(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】傘
(51)【国際特許分類】
A45B 25/10 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A45B25/10
(21)【出願番号】P 2024026412
(22)【出願日】2024-02-26
【審査請求日】2024-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524073304
【氏名又は名称】田村 正志
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】田村 正志
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-097147(JP,A)
【文献】実公昭29-012536(JP,Y1)
【文献】実公昭42-009563(JP,Y1)
【文献】特開2008-125957(JP,A)
【文献】特開2010-119808(JP,A)
【文献】特開平05-211914(JP,A)
【文献】実公昭49-031249(JP,Y1)
【文献】実公昭48-027991(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B25/00-25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開時に放射状に延伸する複数の親骨部と、
前記展開時に放射状に延伸する前記複数の親骨部上の全域を覆うように設けられる傘布部と、
を備え、
前記各親骨部は、先端部が環状の形状を有しており、前記傘布部の端部から外側に向けて突出しないように設けられるリング部を有し、
前記リング部は、対となる形状の2つの湾曲部の境界部が連なっており、前記2つの湾曲部の境界部は前記傘布部の内側に向けられて配置されており、
前記各湾曲部は、円筒部材がそれぞれ挿通されて固定されていることを特徴とする傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの傘が開発されて販売されている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、中棒と、前記中棒の上端近傍に設けられる上ろくろ装置と、摺動可能に前記中棒に取り付けられ、前記上ろくろ装置と中棒の下端との間に位置する下ろくろ装置と、夫々が前記上ろくろ装置に枢設される親骨末端と、親骨先端と、枢設部材と、該親骨先端に設けられる保持装置とを有する複数の親骨と、夫々が、丸主骨末端と、丸主骨先端と、前記保持装置に着脱可能に取り付けられるように該丸主骨末端に枢設けられる枢設装置とを有する複数の丸主骨と、夫々が、前記下ろくろ装置に枢設される受け骨末端と、前記枢設部材に枢設される受け骨先端とを有する複数の受け骨と、前記中棒の下端に設置される取っ手と、前記中棒に固定される中央部と前記複数の丸主骨先端に固定される周縁とを備えると共に、前記複数の親骨及び複数の丸主骨の上部に張設される生布とを有することを特徴とする折畳み式エコ傘が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、露先が傘布から突出した状態となっている。例えば、人込みの中で傘を使う場合に、状況によっては他人の体に露先が当たってしまうことがある。仮に、目の付近に当たってしまうと一大事となる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、露先によって他人へ危害を与えない傘を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る傘は、展開時に放射状に延伸する複数の親骨部と、前記展開時に放射状に延伸する前記複数の親骨部上の全域を覆うように設けられる傘布部と、を備え、前記各親骨部は、先端部が環状の形状を有しており、前記傘布部の端部から外側に向けて突出しないように設けられるリング部を有し、前記リング部は、対となる形状の2つの湾曲部の境界部が連なっており、前記2つの湾曲部の境界部は前記傘布部の内側に向けられて配置されており、前記各湾曲部は、円筒部材がそれぞれ挿通されて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露先によって他人へ危害を与えてしまうこと防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明に係る実施形態の傘の傘骨構造部を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の傘の露先部の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
図1は、本発明に係る実施形態の傘10の平面図である。
図2は、本発明に係る実施形態の傘10の傘骨構造部14を示す側面図である。
図3は、本発明に係る実施形態の傘10の露先部34の変形例を示す図である。
【0012】
傘10は、他人に危害を与えることを防ぐための露先を有する折り畳み傘である。ここでは、折り畳み傘であるものとして説明するが、もちろん、折り畳み傘以外の傘も含まれる。傘10は、傘布部12と、傘骨構造部14とを備えている。
【0013】
傘骨構造部14は、折り畳み及び展開可能な構造を有している。傘骨構造部14は、
図1に示されるように、展開時の平面視が上ろくろ37を中心に8本の親骨部16が放射状に延びる。
【0014】
ここでは、8本の親骨部16が均等な間隔をあけて放射状に延びるものとして説明するが、もちろん、本数は増減してもよく、例えば、6本又は12本であってもよい。
【0015】
傘布部12は、傘10が雨傘・晴雨兼用傘・日傘に使われる素材として、主にポリエステル、ナイロン、T/C、ポリエチレンが用いられる。日傘だけの場合、綿や麻などの素材でもよい。
【0016】
傘布部12は、
図1に示されるように、放射状に延びた8本の親骨部16上を覆うように設けられた略八角形の形状を有する。そして、親骨部16の数を8本以上に増やすと、円に近づくようになる。
【0017】
次に、傘骨構造部14の詳細について説明する。傘骨構造部14は、親骨部16と支持部17とを備えている。親骨部16は、元親骨18と、先親骨20とを備えている。親骨部16は、鉄、グラスファイバー(GF)、カーボンファイバー(CF)、アルミニウムなどの素材を用いるものとして説明するが、もちろん、その他の素材を使用してもよい。
【0018】
支持部17は、軸方向に延伸可能な棒状の部材である中棒24と、ハンドル部27とを備えている。ハンドル部27は、傘10を使用するユーザが手で掴む部分であり、ここでは、略円筒形状を有する部材として説明するが、もちろん、その他の形状でもよい。
【0019】
8本の元親骨18は、中棒24の他端に枢着されており、各元親骨18の中央部分近くに8本の受骨26が枢着される。各受骨26の他端は、中棒24上に可動可能に取り付けられ、各受骨26の他端が中棒24上で直線移動が可能であり、各受骨26上には各元親骨18に隣接した位置に各接続骨28が枢着される。
【0020】
8本の先親骨20は、それぞれ対応する元親骨18及び接続骨28の他端に枢着される。各先親骨20の端部には露先部34が設けられる。露先部34の具体的な構造は、後述する。
【0021】
図1に示すように、中棒24は、上ろくろ37及び下ろくろ38を備える。上ろくろ37は、中棒24の頂端に取り付けられ、下ろくろ38は、中棒24上に可動可能に取り付けられる。上ろくろ37が元親骨18に枢着され、下ろくろ38が受骨26に枢着され、受骨26の他端が下ろくろ38を介して中棒24上で直線移動が可能である。
【0022】
このため、下ろくろ38を上方へ押動して上ろくろ37へ向かって移動させ、下ろくろ38が中棒24に沿って上方へ移動すると、元親骨18、先親骨20が外方へ伸びて、傘骨構造を開くことができる。
【0023】
ハンドル部27は、ゴム部材で構成されるものとして説明するが、もちろん、その他の材質、例えば、樹脂やアルミニウムなどで構成されていてもよい。ハンドル部27の外側には、ハンドル部27を手で持つときに滑らないように、複数個の半球状の滑り止め凸部が設けられている。
【0024】
接続骨28上には、受骨22に隣接した位置にフック部30が設けられる。フック部30上には、弾性部材32が嵌設される。弾性部材32は、ばねでもよく、弾性部材32の他端が元親骨18上に固着されているため、傘骨を折畳むときに、蓄勢により復位する付勢力が弾性部材32に発生し、傘骨を開くときに、緩衝の弾力を提供し、傘骨を安定かつ確実に使用することができる。
【0025】
次に、露先部34の構造について詳細に説明する。露先部34は、先親骨20の先端部に設けられており、
図1に示されるような形状を有している。即ち、露先部34は、先親骨20の先端から延伸する直線部34aと直線部34aの先端から2つに分岐して最先端部で連結される環状のリング部34bとを備えている。
【0026】
図1に示されるように、リング部34bの最先端部は傘布部12の外側端部から突出しないように設けられている。そして、リング部34bは、
図1に示されるように、3つの円筒部材36を挿入している。
【0027】
円筒部材36は、適度な柔軟性を有する材質、例えば、シリコンやゴムなどを用いて構成することが出来る。円筒部材36の内径は、リング部34bの直径よりも若干大きい値に設定されていることが好ましい。
【0028】
3つの円筒部材36とリング部34bとは、例えば、3つの円筒部材36を傘布部12に接着した後に線上のリング部34bを曲げながら3つの円筒部材36を挿通させた後に無端状のリングとなるように溶接又は接着することが出来る。
【0029】
図1に示されるように、リング部34bは、3つの円筒部材36に挿入されているため、動きが規制されて固定されている。
【0030】
続いて、上記構成の傘10の作用について説明する。従来、ビニール傘、雨傘、折り畳み日傘などのように様々な傘が発売されている。いずれの傘も持ち手部分を有する支持部と、傘骨構造部と、傘布部とで構成されており、露先部は傘布部の外側の端部から露出している状態となっている。
【0031】
従来、この露先部についてもプラスチックで先が丸みを有するカバーなどが装着されているものの突出した状態となっているため、人がたくさん歩いている中で傘をさすと突出した露先が他人に当たった危害を与える可能性が否定できない。本発明に係る実施形態の傘10は、このような課題に対して顕著な効果を発揮する。
【0032】
具体的には、折り畳み傘である傘10を展開すると、平面視では
図1のようになる。傘布部12は、
図1に示されるように略八角形の形状を有しているが、8つの露先部34の端部は丸みを有するリング部34bが形成されている。このため、傘布部12の外側の端部から露出していない。これにより、万一、人に当たっても危害を与えることを防ぐことが出来るという顕著な効果を奏する。
【0033】
図3(a)は、傘10の露先部34の第一変形例の傘の露先部44を示す図である。この露先部44以外は、傘10と同一であるため、露先部44のみについて説明し、その他の説明は省略する。
【0034】
露先部44は、先親骨20の先端部に設けられており、
図3(a)に示されるような形状を有している。即ち、露先部44は、先親骨20の先端から延伸する直線部44aと直線部44aの先端から2つに分岐して最先端部で連結されるハート型のリング部44bとを備えている。
【0035】
図3(a)に示されるように、リング部44bの最先端部は傘布部12の外側端部から突出しないように設けられている。そして、リング部44bは、
図3(a)に示されるように、3つの円筒部材46を挿入している。
【0036】
円筒部材46は、円筒部材36と同様に、適度な柔軟性を有する材質、例えば、ファブリック、シリコンやゴムなどを用いて構成することが出来、円筒部材46の内径は、リング部44bの直径よりも若干大きい値に設定されていることが好ましい。
【0037】
2つの円筒部材46とハート型のリング部44bとは、例えば、2つの円筒部材46を傘布部12に接着した後に線上のリング部44bを曲げながら2つの円筒部材46を挿通させた後に無端状のハートとなるように溶接又は接着することが出来る。
【0038】
図3(a)に示されるように、リング部44bは、2つの円筒部材46に挿入されているため、動きが規制されて固定されている。
【0039】
続いて、傘10の第一変形例の傘の作用について説明する。傘10の第一変形例の傘を展開すると、平面視は略八角形の形状を有しているが、8つの露先部44の端部は丸みを有するリング部44bが形成されている。このため、傘布部12の外側の端部から露出していない。これにより、万一、人に当たっても危害を与えることを防ぐことが出来るという顕著な効果を奏する。
【0040】
図3(b)は、傘10の露先部34の第一変形例の傘の露先部54を示す図である。この露先部54以外は、傘10と同一であるため、露先部54のみについて説明し、その他の説明は省略する。
【0041】
露先部54は、先親骨20の先端部に設けられており、
図3(b)に示されるような形状を有している。即ち、露先部54は、先親骨20の先端から延伸する直線部54aと直線部54aの先端から2つに分岐して最先端部で連結される∞型のリング部54bとを備えている。
【0042】
図3(b)に示されるように、リング部54bの最先端部は傘布部12の外側端部から突出しないように設けられている。そして、リング部54bは、
図3(b)に示されるように、3つの円筒部材56を挿入している。
【0043】
円筒部材56は、円筒部材36と同様に、適度な柔軟性を有する材質、例えば、シリコンやゴムなどを用いて構成することが出来、円筒部材56の内径は、リング部54bの直径よりも若干大きい値に設定されていることが好ましい。
【0044】
3つの円筒部材56と∞型のリング部54bとは、例えば、3つの円筒部材56を傘布部12に接着した後に線上のリング部54bを曲げながら3つの円筒部材56を挿通させた後に無端状のハートとなるように溶接又は接着することが出来る。
【0045】
図3(b)に示されるように、リング部54bは、3つの円筒部材56に挿入されているため、動きが規制されて固定されている。
【0046】
続いて、傘10の第二変形例の傘の作用について説明する。傘10の第二変形例の傘を展開すると、平面視は略八角形の形状を有しているが、8つの露先部54の端部は丸みを有するリング部54bが形成されている。このため、傘布部12の外側の端部から露出していない。これにより、万一、人に当たっても危害を与えることを防ぐことが出来るという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0047】
10 傘、12 傘布部、14 傘骨構造部、16 親骨部、17 支持部、18 元親骨、20 先親骨、22 受骨、24 中棒、26 受骨、27 ハンドル部、28 接続骨、30 フック部、32 弾性部材、34,44,54 露先部、34a,44a,54a 直線部、34b,44b,54b リング部、36、46,56 円筒部材。
【要約】
【課題】露先によって他人へ危害を与えない傘を提供することである。
【解決手段】傘10は、展開時に放射状に延伸する複数の親骨部16と、展開時に放射状に延伸する複数の親骨部16上の全域を覆うように設けられる傘布部12と、を備え、各親骨部16は、先端部が環状の形状を有しており、傘布部12の端部から外側に向けて突出しないように設けられるリング部34bを有し、リング部34bは、傘布部12に設けられる円筒部材36に挿通されていることを特徴とする。
【選択図】
図1