(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0637 20230101AFI20241018BHJP
【FI】
G06Q10/0637
(21)【出願番号】P 2024120687
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-07-26
(31)【優先権主張番号】202310996262.7
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524248094
【氏名又は名称】長江三峡集団実業発展(北京)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】董 義陽
(72)【発明者】
【氏名】劉 志武
(72)【発明者】
【氏名】梁 犁麗
(72)【発明者】
【氏名】徐 志
(72)【発明者】
【氏名】呂 振豫
(72)【発明者】
【氏名】楊 恒
(72)【発明者】
【氏名】▲濯▼ 然
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬翔
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲昆▼
(72)【発明者】
【氏名】殷 兆凱
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187105(JP,A)
【文献】特開2014-037677(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114240119(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114970315(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115563540(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115730739(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0316309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法であって、
ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内の前記ステーション監視降雨データ、前記都市地表データ及び前記都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行い、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成するステップと、
前記都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップと、
ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、前記気象予報データに基づいて、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定するステップと、
現在期間における都市人口分布データを収集し、前記現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成するステップと、
前記グリッド毎の冠水深さ予測結果及び前記グリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成するステップと、
をコンピュータにより実行し、
ターゲット都市区域内の前記ステーション監視降雨データ、前記都市地表データ及び前記都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行い、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成する前記ステップは、
前記ターゲット都市区域に対して空間離散化処理を行い、複数の都市グリッドを生成するステップと、
空間トポロジー関係に応じて、前記ステーション監視降雨データ、前記都市地表データ及び前記都市地下パイプラインデータを前記複数の都市グリッドにそれぞれ分割し、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成するステップであって、分割された各々の都市グリッドに基づいて、降水強度データ、降水継続時間データ、都市地表土地利用タイプ、都市の勾配、都市地下排水パイプライン幅、排水能力及び保水能力の情報のすべてを都市のすべてのグリッドに描き、グリッドにすべての影響要素属性を付与し、空間のすべての影響要素の空間オーバーレイ処理を実現するステップと、を含み、
前記気象予報データに基づいて、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定する前記ステップは、
都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力するステップと、
前記ステーション降水予測データを前記都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力するステップと、を含み、
前記都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成する前記ステップは、
前記都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを所定の洪水冠水深層学習モデルに入力し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を生成するステップであって、各都市グリッドにはいずれも1つの前記所定の洪水冠水深層学習モデルが構築されるステップと、
都市洪水冠水分布データを取得し、前記所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を前記都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップと、を含むことを特徴とする空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法。
【請求項2】
前記気象予報データに基づいて、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定する前記ステップは、
都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力するステップと、
前記ステーション降水予測データを前記都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記都市洪水冠水深さ予測モデルは長・短期記憶深層学習モデルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記グリッド毎の冠水深さ予測結果及び前記グリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成する前記ステップは、
前記グリッド毎の冠水深さ予測結果を所定の深さ閾値と比較し、冠水深さレベルを生成するステップと、
前記グリッド毎の交通流量予測結果を所定の流量閾値と比較し、交通流量レベルを生成するステップと、
前記冠水深さレベル及び前記交通流量レベルに基づいて、都市グリッド内の都市交通危険レベルを決定し、前記都市交通危険レベルを都市交通評価結果とするステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、空間オーバーレイ解析結果に基づいて都市道路交通運輸をリアルタイムで手配し、危険早期警報を行うステップを
コンピュータにより実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置であって、
ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内の前記ステーション監視降雨データ、前記都市地表データ及び前記都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行い、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成することに用いられる第1オーバーレイモジュールと、
前記都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成することに用いられる第1訓練モジュールと、
ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、前記気象予報データに基づいて、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定することに用いられる第1取得モジュールと、
現在期間における都市人口分布データを収集し、前記現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成することに用いられる第1収集モジュールと、
前記グリッド毎の冠水深さ予測結果及び前記グリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成することに用いられる第1評価モジュールと、を含み、
前記第1オーバーレイモジュールは、
前記ターゲット都市区域に対して空間離散化処理を行い、複数の都市グリッドを生成することに用いられる離散化処理サブモジュールと、
空間トポロジー関係に応じて、前記ステーション監視降雨データ、前記都市地表データ及び前記都市地下パイプラインデータを前記複数の都市グリッドにそれぞれ分割し、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成することに用いられるオーバーレイサブモジュールであって、分割された各々の都市グリッドに基づいて、降水強度データ、降水継続時間データ、都市地表土地利用タイプ、都市の勾配、都市地下排水パイプライン幅、排水能力及び保水能力の情報のすべてを都市のすべてのグリッドに描き、グリッドにすべての影響要素属性を付与し、空間のすべての影響要素の空間オーバーレイ処理を実現するオーバーレイサブモジュールと、を含み、
前記第1訓練モジュールは、
前記都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを所定の洪水冠水深層学習モデルに入力し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を生成することに用いられる第1入力サブモジュールであって、各都市グリッドにはいずれも1つの前記所定の洪水冠水深層学習モデルが構築される第1入力サブモジュールと、
都市洪水冠水分布データを取得し、前記所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を前記都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、前記都市洪水冠水深さ予測モデルを生成することに用いられる第1比較サブモジュールと、を含むことを特徴とする空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置。
【請求項7】
前記第1取得モジュールは、
都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力することに用いられる第2入力サブモジュールと、
前記ステーション降水予測データを前記都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力することに用いられる第3入力サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1訓練モジュールに
含まれる前記都市洪水冠水深さ予測モデルは長・短期記憶深層学習モデルである、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1評価モジュールは、
前記グリッド毎の冠水深さ予測結果を所定の深さ閾値と比較し、冠水深さレベルを生成することに用いられる第2比較サブモジュールと、
前記グリッド毎の交通流量予測結果を所定の流量閾値と比較し、交通流量レベルを生成することに用いられる第3比較サブモジュールと、
前記冠水深さレベル及び前記交通流量レベルに基づいて、都市グリッド内の都市交通危険レベルを決定し、前記都市交通危険レベルを都市交通評価結果とすることに用いられる決定サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
空間オーバーレイ解析結果に基づいて都市道路交通運輸をリアルタイムで手配し、危険早期警報を行うことに用いられる手配モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
コンピュータ機器であって、
メモリと、プロセッサと、を含み、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することによって、請求項1~5のいずれか一項に記載の空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を実行することを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法をコンピュータに実行
させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市の水害及び道路交通安全の技術分野に関し、具体的には、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水害の突発性、発生時間や範囲の不確定性、及び都市の地表、地形、地下や降雨タイプなどの要素の影響により、水害対策をすることは非常に困難である。従来の都市の豪雨冠水予測方法のほとんどは、都市内の水位監視ステーションのリアルタイム情報に基づいて都市の浸水災害が発生する可能性のある区域を短期予測する。影響要素の考慮が不十分であったり、複数の影響要素間の関連性の決定が困難であったりするため、水害予測は十分に正確ではない。従って、どのように水害の予測精度を向上させて都市交通の正確な評価を実現するかは、現在、解決を急ぐ技術的問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記事情に鑑みて、本発明は、どのように水害の予測精度を向上させて都市交通の正確な評価を実現するかという技術的問題を解決するために、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様では、本発明は、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成するステップと、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップと、ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定するステップと、現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成するステップと、グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成するステップと、を含む空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供する。
【0005】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、空間オーバーレイ解析のアイディア及び都市の空間領域離散化のアイディアに基づいて、都市の洪水冠水深さに影響する空、地表、地下などのすべての要素を同一の都市グリッドにオーバーレイし、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、生成された都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて都市洪水冠水深さ予測モデルを訓練及び生成し、さらに気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定することで、気象予報データと組み合わせて、都市の異なる区域の冠水深さの予測を実現し、水害の予測精度を向上させ、最後に、人口分布データ及び都市交通流量予測モデルによって、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、都市の交通の将来の異なる時間ノードにおける交通流量の空間分布を予測し、都市グリッド毎の冠水深さ予測結果とともに空間オーバーレイ解析を行い、都市交通の正確な評価を実現する。
【0006】
1つの選択可能な実施形態では、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行い、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成するステップは、ターゲット都市区域に対して空間離散化処理を行い、複数の都市グリッドを生成するステップと、空間トポロジー関係に応じて、ステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを複数の都市グリッドにそれぞれ分割し、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成するステップと、を含む。
【0007】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、空間オーバーレイ解析のアイディア及び都市の空間領域離散化のアイディアに基づいて、都市の洪水冠水深さに影響する空、地表、地下などのすべての要素を同一のグリッドにオーバーレイし、個々のユニットグリッドは都市の区域位置、区域属性及び降水情報を表し、都市水害の発生する具体的な区域の正確な予測及び都市の異なる区域の水害分布状況を全面的で細かく予測することができる。
【0008】
1つの選択可能な実施形態では、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップは、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを所定の洪水冠水深層学習モデルに入力し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を生成するステップであって、各都市グリッドにはいずれも1つの所定の洪水冠水深層学習モデルが構築されるステップと、都市洪水冠水分布データを取得し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップと、を含む。
【0009】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、都市洪水冠水深さ予測モデルを構築することによって、複数の影響要素間の関連性の学習を実現し、複数の影響要素間の関連性の不確定性による都市洪水冠水深さの不正確な予測を回避し、それによって都市洪水冠水深さの予測精度を向上させる。
【0010】
1つの選択可能な実施形態では、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定するステップは、都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力するステップと、ステーション降水予測データを都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力するステップと、を含む。
【0011】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、グリッド冠水深さ予測と気象予報データとを組み合わせることによって、将来の時間別、日別、週別などの異なる期間における都市洪水空間分布の予測を実現し、交通輸送を事前に手配するのを実現し、それによって住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0012】
1つの選択可能な実施形態では、都市洪水冠水深さ予測モデルは長・短期記憶深層学習モデルである。
【0013】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、長・短期記憶深層学習モデルは前の期間において訓練された結果を記憶し、さらに現在時系列の入力データに基づいてモデルを調整し、入力されたデータが増加し続けることによって、モデルのシミュレーション結果を修正し続け、履歴ユニットの情報をよりよく割り当てることができるとともに、時系列における長期的な依存関係を捕捉する能力を有する。
【0014】
1つの選択可能な実施形態では、グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成するステップは、グリッド毎の冠水深さ予測結果を所定の深さ閾値と比較し、冠水深さレベルを生成するステップと、グリッド毎の交通流量予測結果を所定の流量閾値と比較し、交通流量レベルを生成するステップと、冠水深さレベル及び交通流量レベルに基づいて、都市グリッド内の都市交通危険レベルを決定し、都市交通危険レベルを都市交通評価結果とするステップと、を含む。
【0015】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、冠水深さレベル及び交通流量レベルに基づいて、都市の異なる区域の危険レベルを得て、予測された危険レベルに基づいて、都市の道路交通を事前に手配及び指揮し、それによって住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0016】
1つの選択可能な実施形態では、空間オーバーレイ解析結果に基づいて都市道路交通運輸をリアルタイムで手配し、危険早期警報を行うステップをさらに含む。
【0017】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0018】
第2態様では、本発明は、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成することに用いられる第1オーバーレイモジュールと、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成することに用いられる第1訓練モジュールと、ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定することに用いられる第1取得モジュールと、現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成することに用いられる第1収集モジュールと、グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成することに用いられる第1評価モジュールと、を含む空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置を提供する。
【0019】
第3態様では、本発明は、メモリと、プロセッサと、を含み、メモリとプロセッサは互いに通信可能に接続され、メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、プロセッサはコンピュータ命令を実行することによって、上記第1態様又はそれに対応するいずれか1つの実施形態に記載の空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を実行するコンピュータ機器を提供する。
【0020】
第4態様では、本発明は、上記第1態様又はそれに対応するいずれか1つの実施形態に記載の空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づき他の図面を得ることができる。
【0022】
【
図1】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(1)である。
【
図2】本発明の実施例に係るバックプロパゲーションニューラルネットワークモデルの模式図(1)である。
【
図3】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(2)である。
【
図4】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(3)である。
【
図5】本発明の実施例に係る長・短期記憶深層学習モデルのユニット構造図である。
【
図6】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(4)である。
【
図7】本発明の実施例に係るバックプロパゲーションニューラルネットワークモデルの模式図(2)である。
【
図8】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(5)である。
【
図9】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャート(6)である。
【
図10】本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置の構造ブロック図である。
【
図11】本発明の実施例におけるコンピュータ機器のハードウェア構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照して本発明の実施例の技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではなく、本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得る他の実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0024】
本明細書に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、都市水害予測電子機器及び道路交通評価電子機器に適用でき、該電子機器は、ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などを含んでもよいが、これらに限定されない。勿論、本明細書に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、上記電子機器で実行されるアプリケーションプログラムにも適用できる。
【0025】
本発明の実施例は、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、空間要素オーバーレイ解析の研究方法によって、水害の予測精度を向上させ、都市交通の正確な評価を実現する。
【0026】
本発明の実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法実施例を提供し、なお、図面のフローチャートに示されるステップは、1組のコンピュータ実行可能命令などのコンピュータシステムにおいて実行されてもよく、そして、フローチャートに論理的順序が示されているが、場合によっては、示される又は説明されるステップをここでの順序とは異なる順序実行してもよい。
【0027】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、上記ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイル端末、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などに適用でき、
図1は、本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャートであり、
図1に示すように、該プロセスは、以下のステップを含む。
【0028】
ステップS101:ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成する。
【0029】
具体的には、表1に示すように、都市水害に影響するデータは、降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを含む。
【0030】
【0031】
降雨データは、水害の決定要素であり、降水がない場合、都市洪水が発生することは困難であり(沿岸都市を除く)、都市降水における異なる降水分布(地面監視ステーション又はレーダー降雨監視に基づく)は、都市の上空で発生する異なる降水空間形態(降雨強度、降雨継続時間、降雨タイプ、降雨中心、降雨の軌跡)を表し、異なる降雨空間分布は1つの都市の水害の発生を直接決定する。
【0032】
降雨データに加えて、考慮すべき重要な要素は、都市地表の異なる地表面状況(道路、林地、草地、住宅地)及び地表の地勢の変化状況(地面の勾配方向、地形)であり、従来の都市冠水予測は、降水要素に焦点をあて、都市自体の地表要素の影響を無視していたため、従来の研究方法は降雨データに基づいて水害の発生の可能性の予測精度が比較的高いが、都市の地表要素の影響を無視しているため、一般に、都市の水害が発生する具体的な区域を正確に予測することは困難であり、これに対して、本実施例は、都市地表データの空間分布状況を考慮して、都市の水害が発生する具体的な区域の正確な予測を実現する。
【0033】
都市地下パイプラインデータは地下排水パイプライン排水口、排水パイプライン口径、及び下水排出能力を含み、都市の異なる区域の水害発生時の対応能力を描き、さらに都市の異なる区域での水害発生の可能性を細かく予測することができる。
【0034】
都市の空、地表、地下の主な都市洪水影響要素の空間分布を考慮し、すべての空間分布シーンを考慮してオーバーレイ解析を行うことによって、都市洪水を解析する。
【0035】
ステップS102:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成する。
【0036】
ステップS103:ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定する。
【0037】
ステップS104:現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成する。
【0038】
具体的には、所定の履歴期間におけるターゲット都市区域の履歴人口分布データ及び履歴道路交通流量データを取得し、所定の履歴期間における履歴人口分布データを所定の道路交通流量予測モデルに入力し、所定の道路交通流量予測モデルの出力結果を取得し、所定の道路交通流量予測モデルの出力結果を所定の履歴期間における履歴道路交通流量データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、都市道路交通流量予測モデルを生成する。
【0039】
さらに、1つの都市のリアルタイムな道路交通流量は、その人口分布(住宅の人口分布)、1日間の時間帯、都市の自動車台数や軽車両台数などに関連しているが、1つの都市の場合、その道路交通流量は、1年間の日付及び当日の時刻と密接に関連しており、例えば、1年間の冬季は、気温が低いため、軽車両台数が減り、外出時に交通機関を選択する住民が増加し、その反面、気温が上がるに伴って、対応する台数が徐々に増加し、また例えば、1年間のメーデー、国慶節などの休祝日の前日に、多くの人々が車で旅行するため、自動車台数は一日を通して急増し、1日間の午前8-9時は朝のラッシュアワー、午後5-6時は夕方のラッシュアワーであり、これら2つの時間帯における交通流量は急増し、都市の異なる人口分布法則によれば、対応する都市の異なる区域の交通流量は一定の法則を有し、総合的に考慮したところ、都市の異なる区域の交通流量を予測するために、バックプロパゲーション(Back-Propagation、BP)ニューラルネットワークモデルを採用することができ、
図2に示すように、グリッド分割形態に基づいて、ターゲット都市を複数の都市グリッドに分割し、都市を分割したグリッドごとにBPニューラルネットワークを構築し、都市の1年間の日時(月、日、時間)(X1)及びグリッド内の住民の人口数(X2)を入力情報とし、該グリッドに対応する交通流量を出力(Y)としてBPニューラルネットワークを訓練すると、1年間の任意の時刻における交通流量予測結果を得ることができ、近年(例えば最近5年分)の交通流量情報に基づいてモデルを訓練し、都市道路交通流量予測モデルを生成する。
【0040】
ステップS105:グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成する。
【0041】
具体的には、空間オーバーレイ解析結果に基づいて都市道路交通運輸をリアルタイムで手配し、危険早期警報を行い、住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0042】
さらに、構築された異なるグリッドの都市洪水冠水深さ予測モデル及び都市交通流量予測モデルに基づいて、都市交通を適時に調整するために、さらに空間オーバーレイ解析を行う必要があり、即ち、さらにグリッド毎の冠水深さ予測結果とグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、同一の都市区域の場合、冠水深さ予測結果が一定の危険閾値よりも大きく、且つ該区域の予測された交通流量が一定値に達すると、該都市区域は危険区域であり、冠水深さと都市道路交通流量とのオーバーレイ関係に基づいて、異なる区域の交通危険性を警告することができる。
【0043】
さらに、都市洪水冠水深さ予測モデルに基づいて、重大な危険を引き起こす可能性がある区域を適時に予測し、将来の「時間-日-週」の都市の水害が発生する具体的な区域を予測し、該「ユニットグリッド」内の交通を分散させ、予測結果を交通指揮部門にフィードバックし、道路区間を数時間前に封鎖し、車両と人員を移転させる。
【0044】
さらに、気象の変化及び予測にはまだ大きな不確定性があるため、豪雨が発生する直前の場合、気象データとリアルタイムで相互作用し、それによってモデルの改良結果を修正し続け、それによって交通部門とリアルタイムで連動して交通指揮策略を修正し、都市に豪雨が発生するごとに最適な道路交通状況を確保することができ、それによって都市の水害による人員の死傷や人民の財産損失をできるだけ回避し、都市交通の適時な調整、最適化、レイアウトを実現することができる。
【0045】
さらに、空間オーバーレイ解析結果の危険レベルに基づいて、高レベルから低レベルに順に対応を行い、最高レベルの極危険区域の場合、できるだけ早く現在の区域の人員に避難を通知し、交通流量を迅速に移転させ、人員が入らないように交通管制を行い、危険レベルの格下げを実現し、最低レベルの危険無し区域の場合、管理をしなくてもよいが、交通流量の大きな場所及び冠水の深い場所では、一般に危険が隠れている可能性があるため、交通運輸指揮にまだ余力がある場合、非重点区域にも管理を展開してもよく、それによって緊急事態により適時に対応できる。
【0046】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、空間オーバーレイ解析のアイディア及び都市の空間領域離散化のアイディアに基づいて、都市の洪水冠水深さに影響する空、地表、地下などのすべての要素を同一の都市グリッドにオーバーレイし、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、生成された都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて都市洪水冠水深さ予測モデルを訓練及び生成し、さらに気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定することで、気象予報データと組み合わせて、都市の異なる区域の冠水深さの予測を実現し、水害の予測精度を向上させ、最後に、人口分布データ及び都市交通流量予測モデルによって、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、都市の交通の将来の異なる時間ノードにおける交通流量の空間分布を予測し、都市グリッド毎の冠水深さ予測結果とともに空間オーバーレイ解析を行い、都市交通の正確な評価を実現する。
【0047】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、上記ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイル端末、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などに適用でき、
図3は、本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャートであり、
図3に示すように、該プロセスは、以下のステップを含む。
【0048】
ステップS301:ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成する。
【0049】
具体的には、上記ステップS301は、ステップS3011~S3012を含む。
【0050】
ステップS3011:ターゲット都市区域に対して空間離散化処理を行い、複数の都市グリッドを生成する。
【0051】
具体的には、降雨データは時間及び空間の二重変化要素であり、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータは空間変化要素であり、特定の降水の場合、都市に水害が発生するか否か、水害の発生位置及び水害の程度は、降水強度の空間分布、都市地表の空間特徴分布、及び都市地下排水特徴の空間分布状況に依存し、すべての影響要素の空間オーバーレイを考慮するために、本実施例は、グリッド分割形態でグリッドを正方形(例えば10m*10m)などの矩形グリッドに分割し、それによって都市に対して空間離散を行い、都市の空間離散化処理によって後続の都市の異なる区域における洪水リスクの区域別の予測の基礎を提供する。
【0052】
ステップS3012:空間トポロジー関係に応じて、ステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを複数の都市グリッドにそれぞれ分割し、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成する。
【0053】
具体的には、分割された各々の矩形グリッドに基づいて、降水強度データ、降水継続時間データ、都市地表土地利用タイプ、都市の勾配、都市地下排水パイプライン幅、排水能力、及び保水能力などの情報のすべてを都市のすべてのグリッドに描き、グリッドにすべての影響要素属性を付与し、該グリッドに水害が発生するか否かを決定するすべての要素の空間トポロジーをグリッドにオーバーレイし、空間のすべての影響要素の空間オーバーレイ処理を実現し、各々のユニットグリッドは、都市の区域位置、区域属性及び降水情報を表し、各々のグリッドには、表1における影響要素の空間オーバーレイ後の情報が含まれる。
【0054】
ステップS302:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS102を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0055】
ステップS303:ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS103を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0056】
ステップS304:現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0057】
ステップS305:グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS105を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0058】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、空間オーバーレイ解析のアイディア及び都市の空間領域離散化のアイディアに基づいて、都市の洪水冠水深さに影響する空、地表、地下などのすべての要素を同一のグリッドにオーバーレイし、個々のユニットグリッドは都市の区域位置、区域属性及び降水情報を表し、都市水害の発生する具体的な区域の正確な予測及び都市の異なる区域の水害分布状況を全面的で細かく予測することができる。
【0059】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、上記ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイル端末、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などに適用でき、
図4は本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャートであり、
図4に示すように、該プロセスは以下のステップを含む。
【0060】
ステップS401:ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS101を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0061】
ステップS402:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成する。
【0062】
具体的には、上記ステップS402は、ステップS4021~S4022を含む。
【0063】
ステップS4021:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを所定の洪水冠水深層学習モデルに入力し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を生成し、各都市グリッドにはいずれも1つの所定の洪水冠水深層学習モデルが構築される。
【0064】
具体的には、所定の洪水冠水深層学習モデルは、長・短期記憶深層学習モデル(LongShort-Term Memory、LSTM)であってもよい。
【0065】
ステップS4022:都市洪水冠水分布データを取得し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成する。
【0066】
具体的には、都市洪水冠水深さ予測モデルは長・短期記憶深層学習モデルであり、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータフォーマットが構築されており、都市水害の発生を予測できるために、本実施例は、LSTM深層学習モデルを用いて、空、地表、及び地下の3つの側面の空間データを都市の各々のグリッドユニットにオーバーレイすることによって、該ユニットに過去発生した都市水害のシーンデータを抽出し、構築された都市ユニットグリッドごとに1つのLSTMモデルを構築し、構築されたユニット毎の空間三位一体情報(空、地表、地下)を各々のユニットグリッドのLSTM深層学習モデルの入力データとするとともに、対応する監視された履歴都市洪水冠水分布データ(都市冠水分布区域及び冠水深さデータ)をユニットグリッド毎の校正データとすることで、LSTMモデルを訓練し、予測シミュレーション結果を得て、本実施例はLSTM深層学習ニューラルネットワークモデルを選択する理由として、該モデルは時系列モデルであり、即ち、入力データを発生時間順で順に入力して訓練し、LSTMモデルは前の期間(時刻t-1)において訓練された結果を記憶し、さらに現在の時系列(時刻t)の入力データに基づいてモデルを調整し、入力されたデータが増加し続けることによって、モデルのシミュレーション結果を修正し続け、履歴ユニットの情報をよりよく割り当てることができるとともに、時系列における長期的な依存関係を捕捉する能力を有する。
【0067】
さらに、LSTMモデルの構造図は、
図5に示され、LSTMは、複数の時間繰り返しユニットを含み、各々の繰り返しユニットは1つの追加の記憶状態c
t、及び情報フローを制御する複数のゲートを有し、該ゲートは入力ゲート、記憶ゲート、忘却ゲート及び出力ゲートを含み、
図5において、h
tは暗黙状態を表し、x
tは時刻tにおける入力を表し、f
t、i
t、o
t、及びc
tは時刻tにおける忘却ゲート、入力ゲート、出力ゲート及びセル状態をそれぞれ表し、LSTMの関連計算方法は、以下の通りである。
【0068】
【0069】
【0070】
なお、1つの都市の場合、その都市の地表特徴状況及び地下排水特徴状況は、一般に変化が比較的小さいか、又は短期間内に比較的小さいため、シミュレーション時、降雨データセットを再修正し続けるだけでモデルを訓練し続けることができ、しかし、長期的な状況を考慮すると、1つの都市の地表及び地下は大きな変化が発生する可能性があり、この場合、従来のニューラルネットワークなどの循環モデルでは描くことが困難であり、それは時系列の変化を考慮することが困難であるからであり、一方、LSTMモデルは該変化を完全に考慮することができ、現在時刻におけるデータセットに基づいて、地表特徴データ又は地下特徴データを変更することによって、該モデルは以前の訓練内容を継続し、新たな入力データと併せて元々訓練済みのモデルを調整することができ、それによって1つの時系列の入力に応じて「自己調整」及び自分学習し続ける予測モデルを実現し、都市洪水を正確に予測することができる。
【0071】
モデルを訓練し続けることによって、都市のグリッド毎のLSTM都市洪水冠水モデルを得ることができ、該モデルの出力結果は降水の入力の下で該グリッドユニットに発生する洪水冠水深さHの大きさであり、0の場合、冠水がないが、0よりも大きい場合、冠水深さが発生することを示し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成し、所定の条件は損失値が所定の閾値よりも小さいことであってもよく、当業者は実際の需要に応じて所定の閾値の大きさを設定することができ、ここで制限せず、都市洪水冠水深さ予測モデルに基づいて都市の各々のグリッドが出力する洪水冠水深さを予測することができ、さらに都市全体の洪水冠水分布状況を得ることができる。
【0072】
ステップS403:ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS103を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0073】
ステップS404:現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0074】
ステップS405:グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS105を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0075】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、都市洪水冠水深さ予測モデルを構築することによって、複数の影響要素間の関連性の学習を実現し、複数の影響要素間の関連性の不確定性による都市洪水冠水深さの不正確な予測を回避し、それによって都市洪水冠水深さの予測精度を向上させる。
【0076】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、上記ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイル端末、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などに適用でき、
図6は本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャートであり、
図6に示すように、該プロセスは、以下のステップを含む。
【0077】
ステップS601:ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS101を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0078】
ステップS602:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS102を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0079】
ステップS603:ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定する。
【0080】
具体的には、上記ステップS603は、ステップS6031~S6032を含む。
【0081】
ステップS6031:都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力する。
【0082】
具体的には、都市洪水冠水深さ予測モデルを構築した後、将来都市に水害が発生するか否か及び発生する区域を予測することに応用し、本実施例で構築された都市洪水冠水深さ予測モデルの入力は実際に都市に分布する異なるステーションの降水監視データであり、事前予測にはステーション降水予測データにアクセスする必要があり、ステーション降水予測データは気象予報データに非常に関係するため、本実施例を例として将来の気象予報データに基づいて将来のステーション監視データを推定することを実現し、ステーション降水予測モデルを構築して気象予報データとステーション降水予測データとを関連付けることによって、ステーション降雨データ予測を行い、ステーション降水予測モデルがBPニューラルネットワークモデルであることを例として、グリッド毎のBPニューラルネットワークモデルは
図7に示され、入力データは気象データ(F)であり、出力されるグリッド毎の降雨データは(P)である。
【0083】
さらに、ターゲット都市区域内の履歴気象データ及びステーション履歴監視降雨データを取得し、履歴気象データを訓練対象のステーション降水予測モデルに入力し、訓練対象のステーション降水予測モデルの出力結果を取得し、訓練対象のステーション降水予測モデルの出力結果をステーション履歴監視降雨データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、ステーション降水予測モデルを生成する。
【0084】
ステップS6032:ステーション降水予測データを都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力する。
【0085】
具体的には、ステーション降水予測モデル及び気象予報データに基づいて将来の都市の豪雨冠水シーンを予測し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力することができ、予測される将来都市に水害が発生するシーンは気象予報の時間別、日別、週別などのスケールデータに1対1で対応し、即ち、本実施例では、都市洪水予報期間は気象予報期間と一致する。
【0086】
ステップS604:現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0087】
ステップS605:グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS105を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0088】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、グリッド冠水深さ予測と気象予報データとを組み合わせることによって、将来の時間別、日別、週別などの異なる期間における都市洪水空間分布の予測を実現し、交通輸送を事前に手配するのを実現し、それによって住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0089】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を提供し、上記ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイル端末、及び携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル端末などに適用でき、
図8は本発明の実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のフローチャートであり、
図8に示すように、該プロセスは以下のステップを含む。
【0090】
ステップS801:ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS101を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0091】
ステップS802:都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS102を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0092】
ステップS803:ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS103を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0093】
ステップS804:現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成し、詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0094】
ステップS805:グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成する。
【0095】
具体的には、上記ステップS805は、ステップS8051~S8053を含む。
【0096】
ステップS8051:グリッド毎の冠水深さ予測結果を所定の深さ閾値と比較し、冠水深さレベルを生成する。
【0097】
具体的には、本実施例では、グリッド冠水深さ予測結果と所定の深さ閾値の単位は、ミリメートルに統一して設定することができ、所定の深さ閾値は、1つ又は複数設定することができ、例えば、所定の深さ閾値は0、30、60に設定され、グリッド冠水深さ予測結果HがH=0であると、現在の都市グリッドが冠水無しであることを示し、グリッド冠水深さ予測結果Hが0<H<30であると、現在の都市グリッドが浅い冠水であることを示し、グリッド冠水深さ予測結果Hが30<H<60であると、現在の都市グリッドが中規模の冠水であることを示し、グリッド冠水深さ予測結果Hが60<Hであると、現在の都市グリッドが高い冠水であることを示し、当業者は実際の状況に応じて所定の深さ閾値と冠水深さレベルを設定することができ、ここで制限しない。
【0098】
ステップS8052:グリッド毎の交通流量予測結果を所定の流量閾値と比較し、交通流量レベルを生成する。
【0099】
具体的には、本実施例では、グリッド交通流量予測結果と所定の流量閾値の単位は、台/時間に統一して設定することができ、所定の流量閾値は、1つ又は複数設定することができ、例えば、所定の流量閾値は、0、50、100に設定され、グリッド交通流量予測結果QがQ=0であると、現在の都市グリッドが流量無しであることを示し、グリッド交通流量予測結果Qが0<Q<50であると、現在都市グリッドが低流量であることを示し、グリッド交通流量予測結果Qが50<Q<100であると、現在の都市グリッドが中流量であることを示し、グリッド交通流量予測結果Qが100<Qであると、現在の都市グリッドが高流量であることを示し、当業者は実際の状況に応じて所定の流量閾値と交通流量レベルを設定することができ、ここで制限しない。
【0100】
ステップS8053:冠水深さレベル及び交通流量レベルに基づいて、都市グリッド内の都市交通危険レベルを決定し、都市交通危険レベルを都市交通評価結果とする。
【0101】
具体的には、表2に示すように、危険レベルは危険無しから極危険の計6つのレベルに分けられ、異なる危険レベルは異なる色で都市の各グリッドに反映することができ、さらに管理者により直感的に表示し、危険レベルが高いほど、処理の優先度が高いことを示し、なお、流量レベル及び冠水レベルの分割は異なる都市の実際の状況に応じて具体的に分割することができ、本実施例では、ここでレベルの分割のみが示される。
【0102】
【0103】
注釈:「無し」は、危険無しを表し、「やや低い」はやや低い危険を表し、「やや危険」と「危険」の意味は変わらず、「やや高い」はやや高い危険を表し、「極」は極危険を表し、危険レベルは計6つのレベルであり、対応する色は危険警告色であり、「(隠れ)」は、該区域が危険無しであるが、交通流量が急激に増加するか又は都市の冠水が増加すると、該区域の危険レベルが急激に高まり、まだ隠れた危険性があるため、警戒する必要があることを表す。
【0104】
本実施例に係る空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法は、冠水深さレベル及び交通流量レベルに基づいて、都市の異なる区域の危険レベルを得て、予測された危険レベルに基づいて、都市の道路交通を事前に手配及び指揮し、それによって住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0105】
図9に示すように、以下、1つの具体的な実施例によって空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法を説明する。
【0106】
実施例1
都市の水害の早期警報及び予報を時間スケールから日及び週スケールに事前に実現し、道路交通のリアルタイムな流量を事前に予測し、それによって交通輸送を手配し、外出を手配するために、本実施例における空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法のステップは以下のステップを含む。
【0107】
(1)データ準備及び空間要素オーバーレイ解析:都市の洪水を全面的に予測するために、空間要素オーバーレイ解析の研究方法を提案し、後続のモデル構築及び洪水予測に基礎を提供し、主にデータ要素準備及び都市グリッド分割と影響要素の空間オーバーレイを含む。
【0108】
<1>データ要素の準備。
【0109】
都市水害の発生は多くの要素とは関係しており、都市水害の発生に関する従来の研究のほとんどは1回の詳細な分析に焦点をあてるが、水害の発生に対する他の影響要素の潜在的な寄与を無視し、空間から考慮すると、影響要素を空、地表、及び地下の3つの側面に分けることができる。
【0110】
1)(空)ステーション監視降雨データ:水害の決定要素であり、降水がない場合、都市洪水が発生することは困難であり(沿岸都市を除く)、都市降水における異なる降水分布(地面監視ステーション又はレーダー降雨監視に基づく)は、都市の上空で発生する異なる降水空間形態(降雨量、降雨継続時間、降雨タイプ、降雨中心及び降雨中心の移動軌跡)を表し、異なる降雨空間分布は1つの都市の水害の発生を直接決定する。
【0111】
2)(地表)都市地表地形及び被覆データ:(空)ステーション監視降雨データに加えて、考慮すべき重要な要素は都市地表の異なる地表面状況(道路、林地、草地、住宅地)及び地表の地勢の変化状況(地面の勾配方向、地形)であり、従来の都市冠水予測は、降水要素に焦点をあて、多くの研究は都市自体の地表要素の影響を無視していたため、従来の研究方法は降水要素に基づいて水害の発生の可能性の予測精度が比較的高いが、都市の地表要素の影響を無視しているため、一般に、都市の水害が発生する具体的な区域を正確に予測することは困難であり、従って、本実施例は、都市地表の空間分布状況も考慮し、都市の水害区域の正確な予測のために基礎を提供し、都市地表地形及び被覆データは標高データ、都市地表被覆データ、都市地形、勾配データ及び都市道路データを含む。
【0112】
3)(地下)都市地下排水パイプラインデータ:都市パイプライン分布データ、都市パイプライン口径データ、都市パイプライン排水データ、都市排水口分布及び下水排出能力などを含み、都市地下排水パイプラインデータは都市の異なる区域の水害発生時の対応能力を描き、さらに都市の異なる区域での水害発生の可能性を細かく予測することができる。
【0113】
都市の空、地表、地下の主な都市洪水影響要素の空間分布を考慮し、すべての空間分布シーンを考慮してオーバーレイ解析を行うことによって、都市洪水を解析し、具体的なデータは表1に示される。
【0114】
<2>都市グリッドの分割
【0115】
上記は都市の水害発生への影響要素を説明し、降水データは時間及び空間の二重変化要素であり、都市地表要素及び都市地下要素は空間変化要素であり、特定の降水の場合、都市に水害が発生するか否か、水害の発生位置及び水害の程度は、降水強度の空間分布、都市地表の空間特徴分布、及び都市地下排水特徴の空間分布状況に依存し、すべての影響要素の空間オーバーレイを考慮するために、グリッド分割形態で、シミュレーションされた都市境界に対して所定のサイズでグリッド分割を行い、正方形グリッド(例えば、10m*10m)を得て、正方形グリッドに番号付けし、番号付け後の正方形グリッドを都市の異なる区域にマッピングし、それによって都市の空間離散を実現し、都市の空間離散化処理によって、後続で都市の異なる区域の洪水リスクの区域別の予測に基礎を提供する。
【0116】
<3>影響要素の空間オーバーレイ解析
【0117】
準備されたデータを空間トポロジー関係に従って各々のグリッドユニットに分割し、<2>で分割された各々の正方形グリッドに基づいて、降水強度データ、降水継続時間データ、都市地表土地利用タイプ、都市の勾配、都市地下排水パイプライン幅、排水能力、及び保水能力など<1>で言及された情報のすべてを都市のすべてのグリッドに描き、グリッドにすべての影響要素属性を付与し、該グリッドに水害が発生するか否かを決定するすべての要素の空間トポロジーをグリッドにオーバーレイすると、空間すべての影響要素の空間オーバーレイ処理を実現し、各々のユニットグリッドは、都市の区域位置、区域属性及び降水情報を表し、具体的には、まず、シミュレーションされた都市境界に対して所定のサイズでグリッド分割を行い、次に、グリッドに番号付けして都市の異なる区域にマッピングし、最後に、すべての準備されたデータを空間トポロジー関係に従って各々のグリッドユニットに分割し、各々のグリッドは表1における影響要素の空間オーバーレイ後の情報を含む。
【0118】
(2)都市洪水モデルの構築:(1)の前記内容に基づいて、即ち、都市のグリッド毎の空間オーバーレイデータフォーマットが構築されており、都市水害の発生を予測できるために、LSTM深層学習モデルを用いて、空、地表、及び地下の3つの側面の空間データを都市の各々のグリッドユニットにオーバーレイすることによって、該ユニットに過去発生した都市水害のシーンデータを抽出し、構築された都市ユニットグリッドごとに1つのLSTMモデルを構築し、構築されたユニット毎の空間三位一体情報(空、地表及び地下水情報、即ち、
図9におけるx
0、x
1、x
2、…、x
t、x
n)を各々のユニットグリッドに対応するLSTM深層学習モデル(即ち、
図9におけるA
0、A
1、A
2、…、A
t、A
n)の入力データとし、さらに各々のユニットグリッドに対応するLSTM深層学習モデルは都市グリッド毎の洪水冠水深さ(即ち
図9におけるh
0、h
1、h
2、…、h
t、h
n)をそれぞれ出力するとともに、都市水害データ(即ち、都市洪水空間分布データ及び都市洪水冠水深さ監視データ)をユニットグリッド毎の校正データとし、それによってLSTMモデルを訓練し、予測シミュレーション結果を得る。
【0119】
モデルを訓練し続けることによって、都市グリッド毎のLSTM都市洪水冠水モデルを得ることができ、該モデルの出力結果は、降水の入力の下で該グリッドユニットに発生する洪水冠水深さHの大きさであり、0の場合、冠水がないが、0よりも大きい場合、冠水深さが発生することを示し、都市の各々のグリッドはいずれも洪水冠水深さの大きさを出力するため、都市全体の洪水冠水分布状況を得ることができ、ここまで都市の水害冠水予測モデルの構築が完了する。
【0120】
(3)都市洪水早期警報予報モデルの構築:(2)の前記内容に基づいて、即ち、都市の空間分布を予測可能な洪水冠水モデルの構築が完了し、都市の洪水冠水モデルの構築が完了した後、将来都市に水害が発生するか否か及び発生する区域を予測することに応用し、該機能を実現するために、さらにBPニューラルネットワークモデルを構築してシミュレーションして将来の降水シーンを予測する必要があり、構築されたLSTMモデルの入力は実際に都市に分布する異なるステーションの降水監視データであり、事前予測には気象予報データにアクセスする必要があるため、将来の気象データに基づいて将来のステーション監視データを推定するために、さらに気象予報データと降水空間監視データとの関係を構築する必要があり、これは構築された2番目の学習モデルであり、また、気象データはステーション監視データに非常に関係するため、モデル構築過程は普通のBPニューラルネットワークを使用するだけで実現でき、従って、気象予報に基づいて将来の都市豪雨冠水シーンを予測でき、そして、予報される将来の都市水害発生シーンは気象予報に基づく時間別、日別、週別などのスケールデータに1対1で対応可能であり、即ち、都市洪水予報期間は気象予報期間と常に一致し、グリッド毎のBPニューラルネットワークモデルは
図7に示され、入力データは気象データ(F)であり、グリッド毎の降水データは(P)である。
【0121】
(4)都市道路交通流量の予測及び都市交通の事前予測
【0122】
予測される都市冠水深さ分布によって、冠水の深い地区が都市道路交通に重大な影響を与えるか否かを判断することが困難であり、それは冠水の深い区域は交通流量が少ない可能性があるからであり、従って、都市道路交通への影響を予測するために、道路交通流量のリアルタイム予測データをさらに取得する必要があり、予測される都市の冠水データと都市道路交通流量の予測データに対して空間オーバーレイ解析を行うことによって、冠水区域が道路交通に影響を与えるか否かを判断することができ、予測された結果に基づいて都市道路交通を適時に分散させ、主に以下の3つの側面を含む。
【0123】
<1>都市道路交通流量予測モデルの構築
【0124】
1つの都市のリアルタイムな道路交通流量は、その人口分布(住宅の人口分布)、1日間の時間帯、都市の自動車台数や軽車両台数などに関連しているが、1つの都市の場合、その道路交通流量は、1年間の日付及び当日の時刻と密接に関連しており、例えば、1年間の冬季は、気温が低いため、軽車両台数が減り、外出時に交通機関を選択する住民が増加し、その反面、気温が上がるに伴って、対応する台数が徐々に増加し、また例えば、1年間のメーデー、国慶節などの休祝日の前日に、多くの人々が車で旅行するため、自動車台数は一日を通して急増し、1日間の午前8-9時は朝のラッシュアワー、午後5-6時は夕方のラッシュアワーであり、これら2つの時間帯における交通流量は急増し、都市の異なる人口分布法則によれば、対応する都市の異なる区域の交通流量は一定の法則を有し、総合的に考慮したところ、都市の異なる区域の交通流量を予測するために、BPニューラルネットワークモデルを採用し、
図2に示すように、(1)の<2>で分割されたグリッドに基づいて、ターゲット都市を複数の都市グリッドに分割し、都市を分割したグリッドごとにBPニューラルネットワークを構築し、都市の1年間の日時(月、日、時間)(X1)及びグリッド内の住民の人口数(X2)を入力情報とし、該グリッドに対応する交通流量を出力(Y)としてBPニューラルネットワークを訓練すると、1年間の任意の時刻における交通流量予測結果を得ることができ、近年(例えば最近5年分)の交通流量情報に基づいてモデルを訓練する。
【0125】
<2>都市道路交通流量と都市冠水予測の空間オーバーレイ解析
【0126】
<1>で構築された異なる区域の都市道路交通流量の構築モデルに基づいて、都市交通を適時に調整するために、さらに空間オーバーレイ解析を行い、即ち、都市の洪水予測冠水結果と予測された都市道路の交通流量結果に対してさらに空間オーバーレイ解析を行う必要があり、同一の都市区域の場合、冠水深さ予測結果が一定の危険閾値よりも大きく、且つ該区域の予測された交通流量が一定値に達すると、該都市区域は危険区域であり、冠水深さと都市道路交通流量とのオーバーレイ関係に基づいて、異なる区域の交通危険性を警告することができ、結果は表2に示され、危険レベルは危険無しから極危険の計6つのレベルに分けられ、異なる危険レベルは異なる色で都市の各グリッドに反映することができ、さらに管理者により直感的に表示し、危険レベルが高いほど、処理の優先度が高いことを示し、なお、流量レベル及び冠水レベルの分割は異なる都市の実際の状況に応じて具体的に分割することができる。
【0127】
<3>空間オーバーレイ解析結果に基づく都市道路交通運輸の適時な手配:(3)の前記内容に基づいて将来の「時間-日-週」の都市の具体的な水害発生区域を予測でき、この場合、本予測モデルに基づいて、重大な危険を引き起こす可能性がある区域を適時に予測し、該「ユニットグリッド」内の交通を分散させ、予測結果を交通指揮部門にフィードバックし、道路区間を数時間前に封鎖し、車両と人員を避難させ、しかし、気象の変化及び予測にはまだ大きな不確定性があるため、豪雨が発生する直前の場合、気象データとリアルタイムで相互作用し、それによってモデルの改良結果を修正し続け、それによって交通部門とリアルタイムで連動して交通指揮策略を修正し、都市に豪雨が発生するごとに最適な道路交通状況を確保することができ、それによって都市の水害による人員の死傷や人民の財産損失をできるだけ回避し、都市交通の適時な調整、最適化、レイアウトを実現することができ、また、<2>における空間オーバーレイ解析の危険レベルに基づいて、高レベルから低レベルに順に対応を行い、最高レベルの極危険区域の場合、できるだけ早く現在の区域の人員に避難を通知し、交通流量を迅速に移転させ、人員が入らないように交通管制を行い、危険レベルの格下げを実現し、最低レベルの危険無し区域の場合、管理をしなくてもよいが、交通流量の大きな場所及び冠水の深い場所では、一般に危険が隠れている可能性があるため、交通運輸指揮にまだ余力がある場合、非重点区域にも管理を展開してもよく、それによって緊急事態により適時に対応できる。
【0128】
本実施例は、空間オーバーレイ解析のアイディア及び都市の空間領域離散化のアイディアに基づいて、都市の洪水冠水深さに影響する空、地表、地下などのすべての要素を同一のグリッドにオーバーレイし、さらに各々のユニットグリッド上にLSTMモデルを構築することによって、都市の異なる区域の冠水深さの予測を実現し、さらにBPニューラルネットワークモデルと組み合わせて前処理工程として、気象予報と組み合わせて、将来の時間別、日別などの異なる期間の都市洪水空間分布を予測し、最後に、BPニューラルネットワークを構築することによって都市の交通の将来異なる時間ノードの流量空間分布を予測し、都市洪水冠水深さと空間オーバーレイ解析を行い、都市の異なる区域の危険レベルを得て、予測された危険レベルに基づいて都市の道路交通を事前に手配及び指揮し、従来に比べて、該方法は交通部門による多く手配を支援することができ、それによって住民の財産及び人身安全を最大限に保障し、都市の発展に大きな打撃を与えるのを防止する。
【0129】
本実施例では、空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置をさらに提供し、該装置は、上記実施例及び好ましい実施形態を実現することに用いられ、説明済みの部分については、重複説明を省略し、以下で使用されるように、用語「モジュール」は、所定機能のソフトウェア及び/又はハードウェアの組み合わせを実現することができ、以下の実施例で説明される装置は、好ましくはソフトウェアで実現されるが、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせでの実現も可能であり、構想される。
【0130】
本実施例は空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置を提供し、
図10に示すように、
ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを取得し、ターゲット都市区域内のステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行って、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成することに用いられる第1オーバーレイモジュール1001と、
都市グリッド毎の空間オーバーレイデータに基づいて所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成することに用いられる第1訓練モジュール1002と、
ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、気象予報データに基づいて、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定することに用いられる第1取得モジュール1003と、
現在期間における都市人口分布データを収集し、現在期間における都市人口分布データを都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成することに用いられる第1収集モジュール1004と、
グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、空間オーバーレイ解析結果に基づいて、都市グリッド内の都市交通を評価し、都市交通評価結果を生成することに用いられる第1評価モジュール1005と、を含む。
【0131】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1オーバーレイモジュール1001は、
ターゲット都市区域に対して空間離散化処理を行い、複数の都市グリッドを生成することに用いられる離散化処理サブモジュールと、
空間トポロジー関係に応じて、ステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータを複数の都市グリッドにそれぞれ分割し、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成することに用いられるオーバーレイサブモジュールと、を含む。
【0132】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1訓練モジュール1002は、
都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを所定の洪水冠水深層学習モデルに入力し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を生成することに用いられ、各都市グリッドにはいずれも1つの所定の洪水冠水深層学習モデルが構築される第1入力サブモジュールと、
都市洪水冠水分布データを取得し、所定の洪水冠水深層学習モデルの出力結果を都市洪水冠水分布データと比較し、比較結果が所定の条件を満たすと、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成することに用いられる第1比較サブモジュールと、を含む。
【0133】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1取得モジュール1003は、
都市ターゲット区域の気象予報データセットをステーション降水予測モデルに入力し、ステーション降水予測データを出力することに用いられる第2入力サブモジュールと、
ステーション降水予測データを都市洪水冠水深さ予測モデルに入力し、グリッド毎の冠水深さ予測結果を出力することに用いられる第3入力サブモジュールと、を含む。
【0134】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1訓練モジュールが具体的に含む都市洪水冠水深さ予測モデルは長・短期記憶深層学習モデルである。
【0135】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1評価モジュール1005は、
グリッド毎の冠水深さ予測結果を所定の深さ閾値と比較し、冠水深さレベルを生成することに用いられる第2比較サブモジュールと、
グリッド毎の交通流量予測結果を所定の流量閾値と比較し、交通流量レベルを生成することに用いられる第3比較サブモジュールと、
冠水深さレベル及び交通流量レベルに基づいて、都市グリッド内の都市交通危険レベルを決定し、都市交通危険レベルを都市交通評価結果とすることに用いられる決定サブモジュールと、を含む。
【0136】
いくつかの選択可能な実施形態では、
空間オーバーレイ解析結果に基づいて都市道路交通運輸をリアルタイムで手配し、危険早期警報を行うことに用いられる手配モジュールをさらに含む。
【0137】
上記各モジュール及びユニットのさらなる機能説明については、上記対応する実施例と同じであり、ここで重複説明を省略する。
【0138】
本実施例における空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置は、機能ユニットの形態で提示され、ここでのユニットとは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)回路、1つ又は複数のソフトウェア又は固定プログラムを実行するプロセッサ及びメモリ、及び/又は上記機能を提供できる他のデバイスを指す。
【0139】
本発明の実施例はコンピュータ機器をさらに提供し、上記
図10に示す空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価装置を有する。
【0140】
図11に示すように、
図11は本発明の選択可能な実施例に係るコンピュータ機器の構造模式図であり、
図11に示すように、該コンピュータ機器は、1つ又は複数のプロセッサ10と、メモリ20と、高速インターフェース及び低速インターフェースを含み、各部材を接続するためのインターフェースと、を含み、各部材は、異なるバスを介して互いに通信可能に接続され、共通のマザーボードに取り付けられるか又は必要に応じて他の方法で取り付けられてもよい。プロセッサは、コンピュータ機器内で実行される命令を処理することができ、外部入力/出力装置(例えば、インターフェースに結合された表示機器)にGUIのグラフィック情報を表示するための、メモリ又はメモリ上に記憶される命令を含む。いくつかの選択可能な実施形態では、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを複数のメモリ及び複数のメモリとともに使用することができる。同様に、複数のコンピュータ機器を接続してもよく、各機器は、部分的に必要な操作(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバのセット、又はマルチプロセッサシステムとして)を提供する。
図11において1つのプロセッサ10を例とする。
【0141】
プロセッサ10は、中央処理装置、ネットワークプロセッサ又はこれらの組み合わせであってもよい。プロセッサ10は、ハードウェアチップをさらに含んでもよい。上記ハードウェアチップは、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス又はこれらの組み合わせであってもよい。上記プログラマブルロジックデバイスはコンプレックスプログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルロジックゲートアレイ、汎用アレイロジック又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0142】
前記メモリ20は、少なくとも1つのプロセッサ10に実行可能な命令が記憶されていることで、上記実施例に示す方法を前記少なくとも1つのプロセッサ10に実行及び実現させる。
【0143】
メモリ20は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶するためのプログラム記憶領域と、コンピュータ機器の使用に応じて作成されるデータなどを記憶するためのデータ記憶領域とを含んでもよい。また、メモリ20は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的ソリッドステート記憶デバイスなどの非一時的メモリをさらに含んでもよい。いくつかの選択可能な実施形態では、メモリ20は選択可能にプロセッサ10に対して遠隔で設置されるメモリを含み、これらのリモートメモリはネットワークを介して該コンピュータ機器に接続され得る。上記ネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク及びその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0144】
メモリ20はランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含んでもよく、メモリはフラッシュメモリメモリ、ハードウェア又はソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリを含んでもよく、メモリ20は上記種類のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0145】
該コンピュータ機器は入力装置30及び出力装置40をさらに含む。プロセッサ10、メモリ20、入力装置30及び出力装置40はバス又は他の方法で接続されてもよく、
図11では、バスによる接続を例とする。
【0146】
入力装置30は入力された数字又は文字情報を受信し、該コンピュータ機器のユーザー設定及び機能制御に関するキー信号入力を生成することができ、例えばタッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、インジケータスティック、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、及びジョイスティックなどである。出力装置40は、表示機器、補助照明装置(例えば、LED)及び触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含んでもよい。上記表示機器は、液晶ディスプレイ、発光ダイオード、ディスプレイ及びプラズマディスプレイを含むが、これらに限定されない。いくつかの選択可能な実施形態では、表示機器はタッチスクリーンであってもよい。
【0147】
本発明の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、上記本発明の実施例に係る方法はハードウェア、ファームウェアにおいて実現されてもよいし、記憶媒体に記録可能に実現されてもよいし、ネットワークによってダウンロードされた、元々リモート記憶媒体又は非一時的機械読み取り可能な記憶媒体に記憶されるがローカル記憶媒体に記憶されるコンピュータコードとして実現されてもよく、それによって、ここで説明される方法は汎用コンピュータ、専用プロセッサ又はプログラマブル又は専用ハードウェアを用いた記憶媒体に記憶されるようなソフトウェアによって処理されてもよい。記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリメモリ、ハードウェア又はソリッドステートドライブなどであってもよく、さらに、記憶媒体は、上記種類のメモリの組み合わせをさらに含んでもよい。理解できる点として、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサコントローラ又はプログラマブルハードウェアは、ソフトウェア又はコンピュータコードを記憶又は受信可能な記憶コンポーネントを含み、ソフトウェア又はコンピュータコードがコンピュータ、プロセッサ又はハードウェアによりアクセスされて実行されると、上記実施例に示す方法を実現する。
【0148】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに種々の変更や変形を行うことができ、このような変更や変形はすべて添付特許請求の範囲に定められる範囲に属する。
【要約】 (修正有)
【課題】水害の予測精度を向上させ、都市交通の正確な評価を実現する空間オーバーレイ解析に基づく都市交通評価方法及び装置を提供する。
【解決手段】方法は、ステーション監視降雨データ、都市地表データ及び都市地下パイプラインデータに対して空間データオーバーレイを行い、都市グリッド毎の空間オーバーレイデータを生成し、所定の深層学習モデルを訓練し、都市洪水冠水深さ予測モデルを生成するステップと、ターゲット都市区域内の気象予報データを取得し、都市洪水冠水深さ予測モデルを用いてグリッド毎の冠水深さ予測結果を決定するステップと、現在期間における都市人口分布データを収集し、都市交通流量予測モデルに入力し、グリッド毎の交通流量予測結果を生成するステップと、グリッド毎の冠水深さ予測結果及びグリッド毎の交通流量予測結果に対して空間オーバーレイ解析を行い、都市グリッド内の都市交通を評価するステップと、を含む。
【選択図】
図1