(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】磁気粒子イメージング装置用磁石
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0515 20210101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B5/0515
(21)【出願番号】P 2024501607
(86)(22)【出願日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2023031911
【審査請求日】2024-01-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構「医療機器等研究成果展開事業/PiB-PETに代わる認知症画像診断のための高感度磁気粒子イメージング装置の開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】野村 航大
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112155544(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0089942(US,A1)
【文献】国際公開第2022/220113(WO,A1)
【文献】特表2019-523115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276902(US,A1)
【文献】特表2013-518657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1直流コイルと、
一対の第2直流コイルと、
一対の交流コイルとを備え、
前記一対の第1直流コイルは、第1方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルは、前記第1方向に垂直な第2方向又は前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において対向配置され、
前記一対の第1直流コイルは、電流が流れることにより、前記一対の第1直流コイルの一方と前記一対の第1直流コイルの他方との間において前記第3方向に沿って零磁界領域を発生させるとともに前記一対の第1直流コイルの一方の前記第3方向における一方端部と前記一対の第1直流コイルの他方の前記第3方向における一方端部とが対向している位置及び前記一対の第1直流コイルの一方の前記第3方向における他方端部と前記一対の第1直流コイルの他方の前記第3方向における他方端部とが対向している位置に前記第3方向に沿って第1磁界を発生させ、
前記一対の第2直流コイルは、電流が流れることにより、前記一対の第1直流コイルの一方の前記第3方向における一方端部と前記一対の第1直流コイルの他方の前記第3方向における一方端部とが対向している位置及び前記一対の第1直流コイルの一方の前記第3方向における他方端部と前記一対の第1直流コイルの他方の前記第3方向における他方端部とが対向している位置に前記第1磁界とは逆方向の第2磁界を発生させて前記零磁界領域を前記第3方向に沿って延ばし、
前記一対の交流コイルは、前記第1方向又は前記第2方向において対向配置され、
前記一対の交流コイルは、電流が流れることにより、前記一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って前記零磁界領域を移動させ、
前記一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部を有し、
前記一対の第1直線部の各々は、前記一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びている、磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項2】
前記一対の第1直流コイルの各々は、一対の第2直線部を有し、
前記一対の第2直線部の各々は、前記第3方向に沿って延びており、
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記第2方向における長さである第1長さと、前記第3方向における長さであり、前記第1長さよりも大きい第2長さを有する、請求項1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項3】
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記一対の第2直流コイルの各々と同一形状及び同一のアンペア・ターンを有する、請求項1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項4】
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記一対の第2直流コイルの各々と異なる形状及びアンペア・ターンを有する、請求項1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項5】
前記一対の第2直流コイルは、前記
一対の交流コイルが対向配置されている方向に垂直な断面において、前記
一対の第1直流コイルの各々の前記第3方向における端部が対向している位置における前記第3方向に沿う方向の磁束密度が10ガウス以下となるように前記位置に前記第1磁界と
前記第2磁界を発生させるように構成されている、請求項1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項6】
前記断面において、前記第3方向に沿う方向の磁束密度が10ガウス以下となる領域の前記第3方向における長さは、前記第3方向における前記一対の第1直流コイルの幅の0.3倍以上である、請求項5に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項7】
一対の第1直流コイルと、
一対の第2直流コイルと、
一対の交流コイルとを備え、
前記一対の第1直流コイルは、第1方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルは、前記第1方向に垂直な第2方向又は前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において対向配置され、
前記一対の交流コイルは、前記第1方向又は前記第2方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部を有し、
前記一対の第1直線部の各々は、前記一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びており、
前記一対の交流コイルの各々は、少なくとも第1分割交流コイルと第2分割交流コイルとを有し、
前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイル及び前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルは、前記第1方向において対向配置され、かつ前記一対の第1直流コイルの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの一方は、前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの一方の前記第2分割交流コイルとの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの他方は、前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの他方の前記第2分割交流コイルとの間にある
、磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項8】
前記第2分割交流コイルのコイル幅は、前記第1分割交流コイルのコイル幅よりも大きい、請求項7に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項9】
前記一対の第2直流コイルの各々は、少なくとも第1分割直流コイルと第2分割直流コイルとを有し、
前記一対の第2直流コイルの一方の前記第2分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第2分割直流コイルは、前記一対の第2直流コイルの一方の前記第1分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第1分割直流コイルを介在させて対向配置されており、
前記一対の第2直流コイルの一方の前記第1分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第1分割直流コイルは、前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルとの間にある、請求項7又は請求項8に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【請求項10】
一対の第1直流コイルと、
一対の第2直流コイルと、
一対の交流コイルとを備え、
前記一対の第1直流コイルは、第1方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルは、前記第1方向に垂直な第2方向又は前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において対向配置され、
前記一対の交流コイルは、前記第1方向又は前記第2方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部を有し、
前記一対の第1直線部の各々は、前記一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びており、
前記一対の交流コイルの各々は、少なくとも第1分割交流コイルと第2分割交流コイルとを有し、
前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイル及び前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルは、前記第1方向において対向配置され、かつ前記一対の第1直流コイルの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの一方は、前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの一方の前記第2分割交流コイルとの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの他方は、前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの他方の前記第2分割交流コイルとの間にある、磁気粒子イメージング装置用磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気粒子イメージング装置用磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-126838号公報(特許文献1)には、磁気粒子イメージング(MPI:Magnet Particle Imaging)装置用磁石が記載されている。特許文献1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石は、一対の直流コイルと、一対の交流コイルとを有している。
【0003】
一対の直流コイルは、第1方向において対向配置されている。なお、第1方向に垂直な方向を第2方向とし、第1方向及び第2方向に垂直な方向を第3方向とする。一対の直流コイルは、一対の直流コイルの間に、零磁界領域(FFL:Field Free Line)を発生させる。零磁界領域では、第3方向に沿う磁界の成分が0になっている。零磁界領域は、第3方向に沿って延びている。一対の交流コイルは、第1方向に対向配置されている。一対の交流コイルは、零磁界領域の第1方向における位置を移動させる。
【0004】
一対の直流コイルの各々の第3方向における端部が対向する位置では、第3方向に沿う磁界が発生している。このような磁界の発生に起因して、零磁界領域の第3方向における長さが小さくなってしまう。零磁界領域の第3方向における長さを延ばすために、特許文献1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石では、円形補正コイルが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石では、一対の交流コイルにより零磁界領域の第1方向における位置を移動させた際に、円形補正コイルによる補正が不十分となり、零磁界領域の第3方向における長さが小さくなる。その結果、特許文献1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石を用いた磁気粒子イメージング装置では、観察対象となる磁気粒子の画像の端部が途切れてしまうことがある。
【0007】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、零磁界領域を移動させた際に零磁界領域が短くなってしまうことを抑制可能な磁気粒子イメージング装置用磁石を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の磁気粒子イメージング装置用磁石は、一対の第1直流コイルと、一対の第2直流コイルと、一対の交流コイルとを備えている。一対の第1直流コイルは、第1方向において対向配置されている。一対の第2直流コイルは、第1方向に垂直な第2方向又は第1方向及び第2方向に垂直な第3方向において対向配置されている。一対の交流コイルは、第1方向又は第2方向において対向配置されている。一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部を有する。一対の第1直線部の各々は、一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の磁気粒子イメージング装置用磁石によると、零磁界領域を移動させた際に零磁界領域が短くなってしまうことを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】磁気粒子イメージング装置用磁石100の斜視図である。
【
図2】磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第1断面図である。
【
図3】磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第2断面図である。
【
図4】磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第3断面図である。
【
図5】磁気粒子イメージング装置用磁石200の斜視図である。
【
図6】磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第1断面図である。
【
図7】磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第2断面図である。
【
図8】磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第3断面図である。
【
図9】第1方向DR1における位置と磁界14、磁界23及び磁界51との関係を示すグラフである。
【
図10】磁気粒子イメージング装置用磁石300の斜視図である。
【
図11】磁気粒子イメージング装置用磁石400の側面図である。
【
図12】磁気粒子イメージング装置用磁石400の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を説明する。実施の形態1に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を、磁気粒子イメージング装置用磁石100とする。
【0012】
(磁気粒子イメージング装置用磁石100の構成)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石100の構成を説明する。
【0013】
図1は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の斜視図である。
図1に示されているように、磁気粒子イメージング装置用磁石100は、一対の第1直流コイル10と、一対の第2直流コイル20と、一対の交流コイル30とを有している。
【0014】
一対の第1直流コイル10の一方を第1直流コイル10aと呼ぶことがあり、一対の第1直流コイル10の他方を第1直流コイル10bと呼ぶことがある。また、一対の第2直流コイル20の一方を第2直流コイル20aと呼ぶことがあり、一対の第2直流コイル20の他方を第2直流コイル20bと呼ぶことがある。さらに、一対の交流コイル30の一方を交流コイル30aと呼ぶことがあり、一対の交流コイル30の他方を交流コイル30bと呼ぶことがある。
【0015】
一対の第1直流コイル10は、第1方向DR1において、間隔を空けて対向配置されている。すなわち、第1方向DR1は、一対の第1直流コイル10が対向配置されている方向である。なお、第2方向DR2は第1方向DR1に垂直な方向であり、第3方向DR3は第1方向DR1及び第2方向DR2に垂直な方向である。
【0016】
第1直流コイル10は、一対の直線部11と、一対の直線部12とを有している。一対の直線部11は、第2方向DR2において、間隔を空けて対向配置されている。直線部11は、第3方向DR3に沿って延びている。一対の直線部11の一方を直線部11aと呼ぶことがあり、一対の直線部11の他方を直線部11bと呼ぶことがある。一対の直線部12は、第3方向DR3において、間隔を空けて対向配置されている。直線部12は、第2方向DR2に沿って延びている。一対の直線部12の一方を直線部12aと呼ぶことがあり、一対の直線部12の他方を直線部12bと呼ぶことがある。
【0017】
第1直流コイル10aの直線部11a及び直線部11bは、それぞれ、第1直流コイル10bの直線部11a及び直線部11bと間隔を空けて対向配置されている。第1直流コイル10aの直線部12a及び直線部12bは、それぞれ、第1直流コイル10bの直線部12a及び直線部12bと間隔を空けて対向配置されている。
【0018】
第1直流コイル10aを流れる電流の方向は、第1直流コイル10bを流れる方向と逆である。つまり、第1直流コイル10aの直線部11aを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部11aを流れる方向と逆方向であり、第1直流コイル10aの直線部11bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部11bを流れる方向と逆方向であり、第1直流コイル10aの直線部12aを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部12aを流れる方向と逆方向であり、第1直流コイル10aの直線部12bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部12bを流れる方向と逆方向である。第1直流コイル10を流れる電流は、図示しない直流電源から供給される。
【0019】
図2は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第1断面図である。
図2では、一対の第2直流コイル20及び一対の交流コイル30の図示が省略されており、発生する磁界が点線で示されている。また、
図2には、第2方向DR2に垂直な断面が示されている。一対の第1直流コイル10では、上記のような電流の方向に起因して、
図2に示されているような磁界が発生する。より具体的には、一対の第1直流コイル10は、一対の第1直流コイル10の間に、零磁界領域13を発生させる。零磁界領域13では、第3方向DR3に沿う磁界の成分が0になっている。零磁界領域13は、第3方向DR3に延びている。零磁界領域13は、一対の交流コイル30に電流が流れていないとき、第1方向DR1において、一対の第1直流コイル10の中点MPにある。
【0020】
さらに、一対の第1直流コイル10は、第1直流コイル10aの第3方向DR3における一方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における一方端部が対向している位置及び第1直流コイル10aの第3方向DR3における他方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における他方端部が対向している位置に、磁界14を発生させる。磁界14の方向は、第3方向DR3に沿っている。
【0021】
第1直流コイル10は、第1長さと、第2長さとを有している。第1長さは、第2方向DR2における第1直流コイル10の長さである。第2長さは、第3方向DR3における第1直流コイル10の長さである。第2長さは、第1長さよりも大きいことが好ましい。すなわち、第1直流コイル10の長手方向は、第3方向DR3に沿っていることが好ましい。このことを別の観点から言えば、直線部11の長さは、直線部12の長さよりも大きいことが好ましい。
【0022】
図1に示されているように、一対の第2直流コイル20は、例えば、第3方向DR3において間隔を空けて対向配置されている。なお、一対の第2直流コイル20の一方を第2直流コイル20aと呼ぶことがあり、一対の第2直流コイル20の他方を第2直流コイル20bと呼ぶことがある。
【0023】
第2直流コイル20は、一対の直線部21と、一対の直線部22とを有している。一対の直線部21は、第1方向DR1において、間隔を空けて対向配置されている。直線部21は、第2方向DR2に沿って延びている。一対の直線部21の一方を直線部21aと呼ぶことがあり、一対の直線部21の他方を直線部21bと呼ぶことがある。一対の直線部22は、第2方向DR2において、間隔を空けて対向配置されている。直線部22は、第1方向DR1に沿って延びている。一対の直線部22の一方を直線部22aと呼ぶことがあり、一対の直線部22の他方を直線部22bと呼ぶことがある。第2直流コイル20の形状及びアンペア・ターンは、例えば、それぞれ、第1直流コイル10の形状及びアンペア・ターンと異なっている。なお、アンペア・ターンとは、1ターンあたりのコイル電流とターン数の積である。
【0024】
第2直流コイル20aの直線部21a及び直線部21bは、それぞれ、第2直流コイル20bの直線部21a及び直線部21bと間隔を空けて対向配置されている。第2直流コイル20aの直線部22a及び直線部22bは、それぞれ、第2直流コイル20bの直線部22a及び直線部22bと間隔を空けて対向配置されている。なお、直線部21aは、第1方向DR1において直線部21bよりも第1直流コイル10aの近くにある。
【0025】
第2直流コイル20aを流れる電流の方向は、第2直流コイル20bを流れる方向と逆である。つまり、第2直流コイル20aの直線部21aを流れる電流の方向は第2直流コイル20bの直線部21aを流れる方向と逆方向であり、第2直流コイル20aの直線部21bを流れる電流の方向は第2直流コイル20bの直線部21bを流れる方向と逆方向であり、第2直流コイル20aの直線部22aを流れる電流の方向は第2直流コイル20bの直線部12aを流れる方向と逆方向であり、第2直流コイル20aの直線部22bを流れる電流の方向は第2直流コイル20bの直線部22bを流れる方向と逆方向である。第2直流コイル20を流れる電流は、図示しない直流電源から供給される。
【0026】
第2直流コイル20は、第3長さと、第4長さとを有している。第3長さは、第1方向DR1における第2直流コイル20の長さである。第4長さは、第2方向DR2における第2直流コイル20の長さである。第3長さは、第4長さよりも大きいことが好ましい。すなわち、第2直流コイル20の長手方向は、第1方向DR1に沿っていることが好ましい。このことを別の観点から言えば、直線部22の長さは、直線部21の長さよりも大きいことが好ましい。
【0027】
図3は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第2断面図である。
図3では、一対の第1直流コイル10及び一対の交流コイル30の図示が省略されており、発生する磁界が点線で示されている。また、
図3には、第1方向DR1に垂直な断面が示されている。
図3に示されているように、一対の第2直流コイル20は、第1直流コイル10aの第3方向DR3における一方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における一方端部が対向している位置及び第1直流コイル10aの第3方向DR3における他方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における他方端部が対向している位置に、磁界23を発生させる。磁界23の方向は、第3方向DR3に沿っており、磁界14の方向と逆方向になっている。
【0028】
このことを別の観点から言えば、第2直流コイル20aの直線部21aを流れる電流の方向は第1直流コイル10aの直線部12aを流れる電流の方向と逆方向であり、第2直流コイル20aの直線部21bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部12aと逆方向であり、第2直流コイル20bの直線部21aを流れる電流の方向は第1直流コイル10aの直線部12bを流れる方向と逆方向であり、第2直流コイル20bの直線部21bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部12bを流れる電流の方向と逆方向である。
【0029】
図1に示されているように、一対の交流コイル30は、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されている。一対の交流コイル30の一方を交流コイル30aと呼ぶことがあり、一対の交流コイル30の他方を交流コイル30bと呼ぶことがある。一対の交流コイル30は、一対の第1直流コイル10の間に配置されている。交流コイル30aは、交流コイル30bよりも第1直流コイル10aの近くにある。
【0030】
交流コイル30は、一対の直線部31と、一対の直線部32とを有している。一対の直線部31は、第2方向DR2において間隔を空けて対向配置されている。直線部31は、第3方向DR3に沿って延びている。なお、一対の直線部31の一方を直線部31aと呼ぶことがあり、一対の直線部31の他方を直線部31bと呼ぶことがある。一対の直線部32は、第3方向DR3において、間隔を空けて対向配置されている。直線部32は、第2方向DR2に沿って延びている。一対の直線部32の一方を直線部32aと呼ぶことがあり、一対の直線部32の他方を直線部32bと呼ぶことがある。
【0031】
交流コイル30aの直線部31a及び直線部31bは、それぞれ、交流コイル30bの直線部31a及び直線部31bと間隔を空けて対向配置されている。また、交流コイル30aの直線部32a及び直線部32bは、それぞれ、交流コイル30bの直線部32a及び直線部32bと間隔を空けて対向配置されている。
【0032】
交流コイル30aを流れる電流の方向は、交流コイル30bを流れる方向と同一方向である。つまり、交流コイル30aの直線部31aを流れる電流の方向は交流コイル30bの直線部31aを流れる方向と同一方向であり、交流コイル30aの直線部31bを流れる電流の方向は交流コイル30bの直線部31bを流れる方向と同一方向であり、交流コイル30aの直線部32aを流れる電流の方向は交流コイル30bの直線部32aを流れる方向と同一方向であり、交流コイル30aの直線部32bを流れる電流の方向は交流コイル30bの直線部32bを流れる方向と同一方向である。交流コイル30を流れる電流は、図示しない交流電源から供給される。一対の交流コイル30に電流が流れることにより、零磁界領域13は、第1方向DR1に沿って移動する。
【0033】
図4は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の模式的な第3断面図である。
図4では、一対の第2直流コイル20の図示が省略されている。また、
図4には、第2方向DR2に垂直な断面が示されている。
図4に示されるように、磁気粒子イメージング装置用磁石100は、鉄心40をさらに有していてもよい。
【0034】
<変形例1>
上記においては、一対の交流コイル30が第1方向DR1において対向配置される例を説明したが、一対の交流コイル30は、第2方向DR2において対向配置されてもよい。この場合、一対の交流コイル30に電流が流れることにより、零磁界領域13は、第2方向DR2に沿って移動されることになる。
【0035】
<変形例2>
上記においては、第1直流コイル10が一対の直線部11及び一対の直線部12の双方を有している例を説明したが、第1直流コイル10は、直線部を有していなくてもよい。すなわち、第1直流コイル10は、円形コイルであってもよい。また、第1直流コイル10は、第1直流コイル10が一対の直線部11及び一対の直線部12のいずれかのみを有していてもよい。
【0036】
<変形例3>
上記においては、第2直流コイル20が一対の直線部21及び一対の直線部22の双方を有している例を説明したが、第2直流コイル20は、一対の直線部22のみを有し、一対の直線部21を有していなくてもよい。なお、変形例1のように一対の交流コイル30が第2方向DR2において対向配置される場合、第2直流コイル20は、一対の直線部21のみを有し、一対の直線部22を有していなくてもよい。
【0037】
(磁気粒子イメージング装置用磁石100の効果)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石100の効果を、比較例に係る磁気粒子イメージング装置用磁石と対比しながら説明する。比較例に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を、磁気粒子イメージング装置用磁石200とする。
【0038】
図5は、磁気粒子イメージング装置用磁石200の斜視図である。
図5に示されているように、磁気粒子イメージング装置用磁石200は、一対の第2直流コイル20に代えて一対の直流円形コイル50を有している。一対の直流円形コイル50は、一対の第2直流コイル20と同様に、第2方向DR2において間隔を空けて対向配置されている。この点を除いて、磁気粒子イメージング装置用磁石200の構成は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の構成と共通している。
【0039】
図6は、磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第1断面図である。
図6では、一対の第1直流コイル10及び一対の交流コイル30の図示が省略されており、発生する磁界が点線で示されている。また、
図6には、中点MPを通り、かつ第1方向DR1に垂直な断面が示されている。
図6に示されているように、磁気粒子イメージング装置用磁石200では、一対の直流円形コイル50が、第1直流コイル10aの第3方向DR3における一方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における一方端部が対向している位置及び第1直流コイル10aの第3方向DR3における他方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における他方端部が対向している位置に、磁界51を発生させることになる。磁界51の方向は、第3方向DR3に沿っており、磁界14の方向と逆方向になっている。
【0040】
図7は、磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第2断面図である。
図7では、一対の交流コイル30及び一対の直流円形コイル50の図示が省略されており、発生する磁界が点線で示されている。また、
図7には、第2方向DR2に垂直な断面が示されている。
図7に示されているように、磁気粒子イメージング装置用磁石200では、磁界51が磁界14を打ち消すことにより、零磁界領域13が第3方向DR3に沿って延ばされる(点線参照)ことになる。
【0041】
図8は、磁気粒子イメージング装置用磁石200の模式的な第3断面図である。
図8では、一対の第1直流コイル10及び一対の交流コイル30の図示が省略されており、発生する磁界が点線で示されている。また、
図8には、中点MPからずれた位置を通り、かつ第1方向DR1に垂直な断面が示されている。
図8に示されているように、直流円形コイル50が円形であることに起因して、磁界51は、第1方向DR1に沿って変動する。そのため、一対の交流コイル30に通電がなされて零磁界領域13の位置が第1方向DR1に沿って移動した際に、磁界14を磁界51により十分に打ち消すことができず、零磁界領域13の第3方向DR3における長さが短くなってしまう。
【0042】
他方で、磁気粒子イメージング装置用磁石100では、第2直流コイル20が一対の直線部22を有している。一対の直線部22は、第1方向DR1、すなわち一対の交流コイル30が零磁界領域13を移動させる方向(一対の交流コイル30が対向している方向)に沿って延びている。そのため、第2直流コイル20では、第1方向DR1に沿った磁界23の変動が、第1方向DR1に沿った磁界51の変動と比較して小さい。その結果、磁気粒子イメージング装置用磁石100では、一対の交流コイル30に通電がなされて零磁界領域13の位置が第1方向DR1に沿って移動しても、磁界14を磁界23により十分に打ち消すことが可能であり、零磁界領域13の第3方向DR3における長さを維持可能である。
【0043】
図9は、第1方向DR1における位置と磁界14、磁界23及び磁界51との関係を示すグラフである。
図9中の横軸は、第1方向DR1における位置である。なお、
図9中の横軸の値(X)は、単位がmであり、中点MPよりも第1直流コイル10bに近い位置が正の値で示され、中点MPよりも第1直流コイル10aに近い位置が負の値で示されている。
図9中の縦軸は、規格化された磁界14、磁界23及び磁界51の強さであり、X=0mにおける磁界の強さを1として規格化して示されている。
【0044】
図9に示されているように、磁界51は、Xの絶対値、すなわち第1方向DR1における中点MPからの距離が大きくなるにしたがって、磁界23よりも急激に弱くなる。そのため、磁気粒子イメージング装置用磁石200では、X=0.1mにおいて、磁界51が磁界14を十分に打ち消すことができず、零磁界領域13の第3方向DR3における長さが減少してしまう。
【0045】
他方で、磁界23は、第1方向DR1における中点MPからの距離に対する弱まりの程度が、磁界51と比較して緩やかである。そのため、磁気粒子イメージング装置用磁石100では、仮に撮像領域をX=±0.1mの範囲内とすると、X=0.1mにおいて、磁界51が磁界14を十分に打ち消すことができ、零磁界領域13の第3方向DR3における長さを維持可能である。
【0046】
なお、X=0.1mにおいて、一対の第2直流コイル20は、第1直流コイル10aの第3方向DR3における一方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における一方端部が対向している位置(第1直流コイル10aの第3方向DR3における他方端部と第1直流コイル10bの第3方向DR3における他方端部が対向している位置)における第3方向DR3に沿う磁束密度が10ガウス以下又は1ガウス以下となるように磁界23を発生させることが好ましい。また、X=0.1mにおいて、第3方向DR3に沿う磁束密度が10ガウス以下(又は1ガウス以下)となる領域、すなわち実質的に零磁界領域13と見做せる領域の第3方向DR3における長さは、第1長さの0.3倍以上又は0.5倍以上であることが好ましい。このような領域は、磁気粒子の画像を取得することが可能な領域となる。
【0047】
第1直流コイル10を流れる電流及び第2直流コイル20を流れる電流は、以下のようにして決定されることが好ましい。第1直流コイル10が発生させる傾斜磁界の大きさをGとし、第1直流コイル10が発生させる単位電流当たりの傾斜磁界をC1とし、第2直流コイル20が発生させる単位電流当たりの傾斜磁界をC2とし、第1直流コイル10に流れる電流をI1とし、第2直流コイル20に流れる電流をI2とし、単位電流当たりの磁界14をBz1とし、単位電流当たりの磁界23をBz2とする。磁気粒子イメージング装置用磁石100では、第2直流コイル20が傾斜磁界を発生させないため、C2は0となる。そのため、G、C1及びI1の間には、C1×I1=G(式1)が成立する。また、I1、I2、Bz1及びBz2の間には、Bz1×I1+Bz2×I2=0(式2)との関係式が成立する。所望のG(通常は1T/m程度)を決定すれば、式1からI1=G/C1によりI1が決まり、式2の第1項も決まる。これにより、I2は、I2=Bz1×I1/Bz2と決まる。
【0048】
磁気粒子イメージング装置用磁石100では、第2長さが第1長さよりも大きくなっている(直線部11が直線部12よりも長い)ため、零磁界領域13を第3方向DR3に沿って延ばすことが可能である。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を説明する。実施の形態2に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を、磁気粒子イメージング装置用磁石300とする。ここでは、磁気粒子イメージング装置用磁石100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0050】
(磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成を説明する。
【0051】
図10は、磁気粒子イメージング装置用磁石300の斜視図である。
図10に示されているように、磁気粒子イメージング装置用磁石300は、一対の第1直流コイル10と、一対の第2直流コイル20と、一対の交流コイル30とを有している。これらの点に関して、磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の構成と共通している。
【0052】
磁気粒子イメージング装置用磁石300では、一対の第2直流コイル20が、第2方向DR2において間隔を空けて対向配置されている。磁気粒子イメージング装置用磁石300では、一対の直線部21の各々が、第3方向DR3に沿って延びている。第1直流コイル10の形状が第2直流コイル20の形状と同一であれば、第2直流コイル20のアンペア・ターンは、第1直流コイル10のアンペア・ターンと同一である。これらの点に関して、磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成は、磁気粒子イメージング装置用磁石100の構成と異なっている。なお、磁気粒子イメージング装置用磁石100では、第2直流コイル20が傾斜磁界を発生させないが、磁気粒子イメージング装置用磁石300では、第2直流コイル20が傾斜磁界を発生させる。
【0053】
なお、磁気粒子イメージング装置用磁石300でも磁界23が磁界14と逆方向であるため、第2直流コイル20aの直線部21aを流れる電流の方向は第1直流コイル10aの直線部11aを流れる電流の方向と同一方向であり、第2直流コイル20aの直線部21bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部11aを流れる電流の方向と同一方向であり、第2直流コイル20bの直線部21aを流れる電流の方向は第1直流コイル10aの直線部11bを流れる方向と同一方向であり、第2直流コイル20bの直線部21bを流れる電流の方向は第1直流コイル10bの直線部11bを流れる電流の方向と同一方向である。
【0054】
磁気粒子イメージング装置用磁石300では、他の交流コイルが配置される等の理由により、第1直流コイル10の形状が第2直流コイル20の形状と異なることがある。この場合、第1直流コイル10が発生させる傾斜磁界の大きさ及び第2直流コイル20が発生させる傾斜磁界の大きさが異なり、磁界14の大きさ及び磁界23の大きさも異なる。そのため、第1直流コイル10を流れる電流及び第2直流コイル20を流れる電流は、以下のようにして決定されることが好ましい。
【0055】
第1直流コイル10が発生させる傾斜磁界の大きさをGとし、第1直流コイル10が発生させる単位電流当たりの傾斜磁界をC1とし、第2直流コイル20が発生させる単位電流当たりの傾斜磁界をC2とし、第1直流コイル10に流れる電流をI1とし、第2直流コイル20に流れる電流をI2とし、単位電流当たりの磁界14をBz1とし、単位電流当たりの磁界23をBz2とする。これらのパラメータの間には、C1×I1+C2×I2=G(式1)、Bz1×I1+Bz2×I2=0(式2)との関係式が成立する。所望のG(通常は1T/m程度)を決定すれば、式1及び式2からなる連立二元一次方程式を解くことにより、第1直流コイル10を流れる電流(すなわちI1)及び第2直流コイル20を流れる電流(すなわちI2)が得られる。
【0056】
(磁気粒子イメージング装置用磁石300の効果)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石300の効果を説明する。
【0057】
磁気粒子イメージング装置用磁石300でも、一対の第2直流コイル20が磁界14を打ち消すように磁界23を発生させるとともに磁界23の第1方向DR1に沿った変動が小さいため、一対の交流コイル30が零磁界領域13を第1方向DR1に沿って移動させた際も、零磁界領域13の第3方向DR3における長さを維持可能である。
【0058】
実施の形態3.
実施の形態3に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を説明する。実施の形態2に係る磁気粒子イメージング装置用磁石を、磁気粒子イメージング装置用磁石400とする。ここでは、磁気粒子イメージング装置用磁石300と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0059】
(磁気粒子イメージング装置用磁石400の構成)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石400の構成を説明する。
【0060】
図11は、磁気粒子イメージング装置用磁石400の側面図である。
図11には、第3方向DR3に沿って見た側面が示されている。
図12は、磁気粒子イメージング装置用磁石400の平面図である。
図11及び
図12に示されように、磁気粒子イメージング装置用磁石400は、一対の第1直流コイル10と、一対の第2直流コイル20と、一対の交流コイル30とを有している。これらの点に関して、磁気粒子イメージング装置用磁石400の構成は、磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成と共通している。
【0061】
磁気粒子イメージング装置用磁石400では、第2直流コイル20が少なくとも2つの分割直流コイルに分割されており、交流コイル30が少なくとも2つの分割交流コイルに分割されている。
図11に示されている例では、第2直流コイル20が第1分割直流コイル24と第2分割直流コイル25とに分割されており、交流コイル30が第1分割交流コイル33と第2分割交流コイル34とに分割されている。
【0062】
第2直流コイル20aの第1分割直流コイル24と第2直流コイル20bの第1分割直流コイル24は、第2方向DR2において間隔を空けて対向配置されている。第2直流コイル20aの第1分割直流コイル24及び第2直流コイル20bの第1分割直流コイル24は、第2直流コイル20aの第2分割直流コイル25と第2直流コイル20bの第2分割直流コイル25との間に配置されている。第2分割直流コイル25の第1方向DR1における長さは、第1分割直流コイル24の第1方向DR1における長さよりも大きい。
【0063】
交流コイル30aの第1分割交流コイル33及び交流コイル30bの第1分割交流コイル33は、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されている。第1直流コイル10は、第1分割交流コイル33と第2分割交流コイル34の間に配置されている。このことを別の観点から言えば、第1分割交流コイル33は第1直流コイル10よりも内側にあり、第2分割交流コイル34は第1直流コイル10よりも外側にある。第1分割直流コイル24は、交流コイル30aの第1分割交流コイル33及び交流コイル30bの第1分割交流コイル33の間にある。
【0064】
第2分割交流コイル34のコイル幅は、第1分割交流コイル33のコイル幅よりも大きいことが好ましい。これらの点に関して、磁気粒子イメージング装置用磁石400の構成は、磁気粒子イメージング装置用磁石300の構成と異なっている。
【0065】
なお、第1分割直流コイル24及び第2分割直流コイル25の各々は、第2直流コイル20と同様、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されており、かつ第3方向DR3に沿って延びている一対の直線部と、第3方向DR3において間隔を空けて対向配置されており、かつ第1方向DR1に沿って延在している一対の他の直線部を有している。第1分割交流コイル33及び第2分割交流コイル34の各々は、交流コイル30と同様、第2方向DR2において間隔を空けて対向配置されており、かつ第3方向DR3に沿って延びている一対の直線部と、第3方向DR3において間隔を空けて対向配置されており、かつ第2方向DR2に沿って延在している一対の他の直線部を有している。
【0066】
(磁気粒子イメージング装置用磁石400の効果)
以下に、磁気粒子イメージング装置用磁石400の効果を説明する。
【0067】
例えば、交流コイル30が第1直流コイル10の外側にある場合、第1方向DR1における中点MPと交流コイル30との間の距離が大きくなることにより、交流コイル30に大きなアンペア・ターンが必要となる。他方で、例えば交流コイルを第1直流コイル10の内側に配置する場合、第1方向DR1における中点MPと第1直流コイル10との間の距離が大きくなることにより、第1直流コイル10に大きなアンペア・ターンが必要となる。すなわち、第1直流コイル10及び交流コイル30のいずれか一方のアンペア・ターンが極端に大きな設計になってしまうことがある。
【0068】
磁気粒子イメージング装置用磁石400では、第1直流コイル10及び交流コイル30のアンペア・ターンの調整が容易になる。より具体的には、磁気粒子イメージング装置用磁石400では、第1分割交流コイル33が中点MPの近くにあるため、第1分割交流コイル33のアンペア・ターンが小さくても大きな磁界を発生させることが可能であり、第1分割交流コイル33のアンペア・ターン及び第2分割交流コイル34のアンペア・ターンの合計を小さくすることができる。
【0069】
また、磁気粒子イメージング装置用磁石400では、第1直流コイル10が第1分割交流コイル33と第2分割交流コイル34との間にあるため、第1直流コイル10と中点MPとの間の距離の増加を抑制、すなわち第1直流コイル10のアンペア・ターンの増加を抑制可能である。このように、磁気粒子イメージング装置用磁石400では、第1直流コイル10及び交流コイル30のいずれかのアンペア・ターンが極端に大きくなってしまわないように第1直流コイル10及び交流コイル30のアンペア・ターンの調整することが容易となる。
【0070】
上記においては、交流コイル30を分割する例を示したが、交流コイル30を分割せずに第1直流コイル10を分割し、第1直流コイル10をなす分割直流コイルの間に交流コイル30を配置してもよい。また、上記においては、一対の交流コイル30を第1方向DR1において対向配置する例を示したが、一対の交流コイル30を第2方向DR2において対向配置する場合、第1分割交流コイル33と第2分割交流コイル34との間に第2直流コイル20を配置してもよい。
【0071】
[付記]
上記の各実施の形態には、以下の構成が含まれている。
【0072】
<付記1>
一対の第1直流コイルと、
一対の第2直流コイルと、
一対の交流コイルとを備え、
前記一対の第1直流コイルは、第1方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルは、前記第1方向に垂直な第2方向又は前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において対向配置され、
前記一対の交流コイルは、前記第1方向又は前記第2方向において対向配置され、
前記一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部を有し、
前記一対の第1直線部の各々は、前記一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びている、磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0073】
<付記2>
前記一対の第1直流コイルの各々は、一対の第2直線部を有し、
前記一対の第2直線部の各々は、前記第3方向に沿って延びており、
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記第2方向における長さである第1長さと、前記第3方向における長さであり、前記第1長さよりも大きい第2長さを有する、付記1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0074】
<付記3>
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記一対の第2直流コイルの各々と同一形状及び同一のアンペア・ターンを有する、付記1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0075】
<付記4>
前記一対の第1直流コイルの各々は、前記一対の第2直流コイルの各々と異なる形状及びアンペア・ターンを有する、付記1に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0076】
<付記5>
前記一対の交流コイルが対向配置されている方向に垂直な断面において、前記一対の第1直流コイルは、前記一対の第1直流コイルの各々の前記第3方向における端部が対向している位置に前記第3方向に沿う第1磁界を発生させるように構成されており、
前記一対の第2直流コイルは、前記断面において、前記位置における前記第3方向に沿う方向の磁束密度が10ガウス以下となるように前記位置に前記第1磁界と逆方向の第2磁界を発生させるように構成されている、付記1から付記4のいずれか1項に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0077】
<付記6>
前記断面において、前記第3方向に沿う方向の磁束密度が10ガウス以下となる領域の前記第3方向における長さは、前記第3方向における前記一対の第1直流コイルの幅の0.3倍以上である、付記5に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0078】
<付記7>
前記一対の交流コイルの各々は、少なくとも第1分割交流コイルと第2分割交流コイルとを有し、
前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイル及び前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルは、前記第1方向において対向配置され、かつ前記一対の第1直流コイルの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの一方は、前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの一方の前記第2分割交流コイルとの間にあり、
前記一対の第1直流コイルの他方は、前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの他方の前記第2分割交流コイルとの間にある、付記1から付記6のいずれか1項に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0079】
<付記8>
前記第2分割交流コイルのコイル幅は、前記第1分割交流コイルのコイル幅よりも大きい、付記7に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0080】
<付記9>
前記一対の第2直流コイルの各々は、少なくとも第1分割直流コイルと第2分割直流コイルとを有し、
前記一対の第2直流コイルの一方の前記第2分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第2分割直流コイルは、前記一対の第2直流コイルの一方の前記第1分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第1分割直流コイルを介在させて対向配置されており、
前記一対の第2直流コイルの一方の前記第1分割直流コイル及び前記一対の第2直流コイルの他方の前記第1分割直流コイルは、前記一対の交流コイルの一方の前記第1分割交流コイルと前記一対の交流コイルの他方の前記第1分割交流コイルとの間にある、付記7又は付記8に記載の磁気粒子イメージング装置用磁石。
【0081】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の基本的な範囲は上記の実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
10,10a,10b 第1直流コイル、11,11a,11b,12,12a,12b 直線部、13 零磁界領域、14 磁界、20,20a,20b 第2直流コイル、21,21a,21b,22,22a,22b 直線部、23 磁界、24 第1分割直流コイル、25 第2分割直流コイル、30,30a,30b 交流コイル、31,31a,31b,32,32a,32b 直線部、33 第1分割交流コイル、34 第2分割交流コイル、40 鉄心、50 直流円形コイル、51 磁界、100,200,300,400 磁気粒子イメージング装置用磁石、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、MP 中点。
【要約】
磁気粒子イメージング装置用磁石(100,300,400)は、一対の第1直流コイル(10)と、一対の第2直流コイル(20)と、一対の交流コイル(30)とを備えている。一対の第1直流コイルは、第1方向(DR1)において対向配置されている。一対の第2直流コイルは、第1方向に垂直な第2方向(DR2)又は第1方向及び第2方向に垂直な第3方向(DR3)において対向配置されている。一対の交流コイルは、第1方向又は第2方向において対向配置されている。一対の第2直流コイルの各々は、一対の第1直線部(22)を有する。一対の第1直線部の各々は、一対の交流コイルが対向配置されている方向と同一方向に沿って延びている。