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特許7573784環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241018BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241018BHJP
   G06Q 30/0283 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/10
G06Q30/0283
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024510774
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015366
(87)【国際公開番号】W WO2023187966
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠一
(72)【発明者】
【氏名】安田 直矢
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅仁
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/027196(WO,A1)
【文献】特開2004-139590(JP,A)
【文献】特開2020-091771(JP,A)
【文献】特開2014-204657(JP,A)
【文献】特開2009-021088(JP,A)
【文献】特開2003-281228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する装置であって、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出する集計対象抽出部と、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出する使用量算出部と、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価部と、
を備え、
前記評価部は、
前記対象利用者群ごとに前記環境負荷の評価を行うとともに、
前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群で比較可能な態様で表示させる、および/または、前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群の管理者に提供する、
環境負荷評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記総使用量の電力を、化石燃料を用いて発電した場合に排出されるCO2の量である第1の排出量を前記環境負荷の評価値として取得する、
請求項1に記載の環境負荷評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記バッテリにより駆動される機器が内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量である第2の排出量を算出し、前記第1の排出量と前記第2の排出量との差分を前記環境負荷の評価値として取得する、
請求項2に記載の環境負荷評価装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記対象利用者群が前記バッテリを使用して駆動させる機器の種別を認識し、前記機器が前記種別に応じた内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量を前記第2の排出量として算出する、
請求項3に記載の環境負荷評価装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記対象利用者群が前記バッテリを使用して駆動させる機器の種別を認識するとともに、前記機器の前記種別が同じ対象利用者群について前記環境負荷の評価を行う、
請求項1から4のいずれか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項6】
前記評価結果を提供したことに対して、或いは前記評価結果の内容に応じて前記対象利用者群の管理者から受け取るべき対価を算出する対価算出部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項7】
前記利用者が前記バッテリを使用して駆動させる機器は、モータを動力源とする電動車両であり、
前記対価算出部は、前記電動車両の単位走行距離を算出単位として、または前記電動車両が内燃機関によって駆動される車両に比べて削減することができるCO2の単位排出量を算出単位として前記対価を算出する、
請求項6に記載の環境負荷評価装置。
【請求項8】
前記環境負荷の低減に関する認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで前記認証の取得に関する工程の進捗度を取得する認証取得支援部と、
前記認証取得支援部が取得した前記認証の取得に関する工程の前記進捗度に応じて、前記対象利用者群の管理者から受け取るべき対価を算出する他の対価算出部と、
をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項9】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する装置であって、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出する集計対象抽出部と、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出する使用量算出部と、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価部と、
前記環境負荷の低減に関する認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで前記認証の取得に関する工程の進捗度を取得する認証取得支援部と、
前記認証取得支援部が取得した前記認証の取得に関する工程の前記進捗度に応じて、前記対象利用者群の管理者から受け取るべき対価を算出する他の対価算出部と、
を備える環境負荷評価装置。
【請求項10】
コンピュータが、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する方法であって、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出し、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出し、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するものであり、
前記対象利用者群ごとに前記環境負荷の評価を行うとともに、
前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群で比較可能な態様で表示させる、および/または、前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群の管理者に提供する、
環境負荷評価方法。
【請求項11】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するためのコンピュータに、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出させ、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出させ、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価させるためのプログラムであり、
前記対象利用者群ごとに前記環境負荷の評価を行わせるとともに、
前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群で比較可能な態様で表示させる、および/または、前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群の管理者に提供させる、
ためのプログラム。
【請求項12】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する装置であって、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする1以上の対象利用者を抽出する集計対象抽出部と、
前記対象利用者による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者が所定期間の間に使用したバッテリの使用量を算出する使用量算出部と、
前記使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価部と、
を備え、
前記評価部は、
前記対象利用者ごとに前記環境負荷の評価を行うとともに、
前記環境負荷の評価結果を複数の前記対象利用者で比較可能な態様で表示させる、および/または、前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者の管理者に提供する、
環境負荷評価装置。
【請求項13】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するためのコンピュータが、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出し、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出し、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価し、
前記環境負荷の低減に関する認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで前記認証の取得に関する工程の進捗度を取得する、
環境負荷評価方法。
【請求項14】
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するためのコンピュータに、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出させ、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出させ、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価させ、
前記環境負荷の低減に関する認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで前記認証の取得に関する工程の進捗度を取得させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CO2排出量の削減を促進することを目的として、EV(Electric Vehicle)の使用量(走行距離や充放電量など)をもとにCO2削減量を算出し、その削減量に応じた量のエコポイントをEVの利用者に付与することが行われている(例えば特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4432156号公報
【文献】特許第4466726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、特定の利用者についてCO2削減に対する貢献度を評価するものであった。そのため、従来技術では、複数の利用者(企業を含む)でバッテリを共有するバッテリシェアリングサービスの利用者についてCO2削減に対する貢献度を適切に評価することができない可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、複数の利用者でバッテリを共有するバッテリシェアリングサービスの利用者についてCO2削減に対する貢献度を適切に評価することができる環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
【0007】
(1):この発明の一態様に係る環境負荷評価装置は、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する装置であって、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出する集計対象抽出部と、前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出する使用量算出部と、前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価部と、を備える。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記評価部は、前記総使用量の電力を、化石燃料を用いて発電した場合に排出されるCO2の量である第1の排出量を前記環境負荷の評価値として取得するものである。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記評価部は、前記バッテリにより駆動される機器が内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量である第2の排出量を算出し、前記第1の排出量と前記第2の排出量との差分を前記環境負荷の評価値として取得するものである。
【0010】
(4):上記(3)の態様において、前記評価部は、前記対象利用者群が前記バッテリを使用して駆動させる機器の種別を認識し、前記機器が前記種別に応じた内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量を前記第2の排出量として算出するものである。
【0011】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記評価部は、前記対象利用者群ごとに前記環境負荷の評価を行い、複数の前記対象利用者群の評価結果を比較可能な態様で表示させるものである。
【0012】
(6):上記(5)の態様において、前記評価部は、前記対象利用者が前記バッテリを使用して駆動させる機器の種別を認識するとともに、前記機器の種別が同じ対象利用者について前記環境負荷の評価を行うものである。
【0013】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記評価部は、前記対象利用者群ごとに行った前記環境負荷の評価結果を前記対象利用者群の管理者に提供し、前記評価結果を提供したことに対して、或いは前記評価結果の内容に応じて前記対象利用者群の管理者から受け取るべき対価を算出する対価算出部をさらに備えるものである。
【0014】
(8):上記(7)の態様において、前記利用者が前記バッテリを使用して駆動させる機器は、モータを動力源とする電動車両であり、前記対価算出部は、前記電動車両の単位走行距離、または前記電動車両が内燃機関によって駆動される車両に比べて削減することができるCO2の単位排出量を算出単位として前記対価を算出するものである。
【0015】
(9):上記(1)から(8)のいずれかの態様において、前記環境負荷の低減に関する認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで前記認証の取得に関する工程の進捗度を取得する認証取得支援部をさらに備え、前記対価算出部は、前記認証の取得に関する工程の進捗度に応じて前記対価を算出するものである。
【0016】
(10):この発明の一態様に係る環境負荷評価方法は、コンピュータが、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する方法であって、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出し、前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出し、前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するものである。
【0017】
(11):この発明の一態様に係るプログラムは、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価するためのコンピュータに、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出させ、前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出させ、前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価させるものである。
【0018】
(12):この発明の一態様に係る環境負荷評価装置は、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する装置であって、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする1以上の対象利用者を抽出する集計対象抽出部と、前記対象利用者による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者が所定期間の間に使用したバッテリの使用量を算出する使用量算出部と、前記使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
(1)~(11)の態様によれば、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する方法であって、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の前記利用者からなる対象利用者群を抽出し、前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出し、前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価することにより、複数の利用者群でバッテリを共有するバッテリシェアリングサービスの利用者群についてCO2削減に対する貢献度を適切に評価することができる。
【0020】
また、(12)の態様によれば、バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する方法であって、前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする1以上の対象利用者を抽出し、前記対象利用者による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出し、前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価することにより、複数の利用者でバッテリを共有するバッテリシェアリングサービスの各利用者についてCO2削減に対する貢献度を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のバッテリシェアリングサービスシステムの一例を示す図である。
図2】実施形態の電動車両の構成の一例を示す図である。
図3】実施形態の着脱式バッテリの構成の一例を示す図である。
図4】バッテリ交換ステーションのシステム構成を示すブロック図である。
図5】管理サーバ装置のシステム構成を示すブロック図である。
図6】環境負荷評価サービス提供装置のシステム構成を示すブロック図である。
図7】使用履歴情報および利用者管理情報の一例を示す図である。
図8】環境負荷評価サービス提供装置が、CO2排出量の削減に対する対象利用者群の貢献度を評価する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】環境負荷評価サービス提供装置が、対象利用者群に関してサービス対価を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】CO2排出量削減に対する対象利用者群の貢献度(またはその評価結果)について第1の表示例を示す図である。
図11】CO2排出量削減に対する対象利用者群の貢献度(またはその評価結果)について第2の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の環境負荷評価装置、環境負荷評価方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0023】
以下の説明では、実施形態の環境負荷評価装置が、電動車両に着脱可能に搭載される蓄電装置であるバッテリ(以下「着脱式バッテリ」と称する)を共同利用するバッテリ共同利用サービスのシステム(バッテリシェアリングサービスシステム)に適用された場合について説明する。実施形態の環境負荷評価装置は、上記バッテリシェアリングサービスシステムにおいて、着脱式バッテリの受領と、代わりの着脱式バッテリの供与(提供)とを行うバッテリ交換ステーションを管理する管理サーバ装置に適用されてもよい。また、実施形態の環境負荷評価装置の一部または全部は、管理サーバ装置に代えて、バッテリ交換ステーションの一部として設けられてもよい。
【0024】
以下の説明において、電動車両には、鞍乗り型の電動車両(以下「電動二輪車」と称する)や、四輪の電動車両(以下「電動自動車」と称する)など、着脱式バッテリの電力を利用して走行する種々の車両が含まれ得る。例えば、二輪や四輪の車両のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両、さらには、アシスト式の自転車など、着脱式バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する車両型の移動体の全般が含まれる。ただし、実施形態の環境負荷評価装置が適用可能な移動体は、これら車両型の移動体に代えて、移動ロボット、自律走行装置、自律走行車、その他の電動車両、ドローン飛行体、またはその他の電動式移動装置(電動モビリティ)などの移動体であってもよい。
【0025】
[1.全体構成]
図1は、実施形態のバッテリシェアリングサービスシステム1の一例を示す図である。バッテリシェアリングサービスシステム1は、1つ以上(例えば複数)のバッテリ交換ステーション200(図1では4つのバッテリ交換ステーション200-1~200-4を図示)と、管理サーバ装置300と、環境負荷評価装置400とを含む。
【0026】
バッテリ交換ステーション200は、例えば、ステーション制御装置210と、1つ以上のバッテリ交換装置220(図1では2つのバッテリ交換装置220-a,220-bを図示)と、を備える。ステーション制御装置210とバッテリ交換装置220とは、有線または無線により通信可能である。ステーション制御装置210とバッテリ交換装置220とは、別体の装置としてではなく、1つの装置として一体に構成されてもよい。
【0027】
ステーション制御装置210は、バッテリ交換装置220における着脱式バッテリ100の充放電と、着脱式バッテリ100の受領および供与(以下「着脱式バッテリ100の交換」と称する)とを管理する。ステーション制御装置210は、電動車両10のユーザがバッテリ交換ステーション200を利用する場合に、着脱式バッテリ100の交換のための情報をユーザに提供する。例えば、ステーション制御装置210は、電動車両10で使用されて残容量が少なくなった着脱式バッテリ100を受領するバッテリスロット221を示す情報や、受領した着脱式バッテリ100の代わりに提供する別の着脱式バッテリ100が収容されているバッテリスロット221を示す情報などをユーザに提供する。
【0028】
バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100の充放電および交換を行う装置である。バッテリ交換装置220は、1つ以上(例えば複数)のバッテリスロット221を有する。バッテリスロット221は、着脱式バッテリ100を収容して充放電可能な収容部である。図1に示す例では、1つのバッテリ交換装置220は、8つのバッテリスロット221を有し、8つの着脱式バッテリ100を同時に収容可能である。バッテリ交換装置220は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100(図1に示す例では、最大8個の着脱式バッテリ100)を同時に充電可能である。本明細書で「同時に充電」または「同時充電」とは、複数の着脱式バッテリ100の充電を同時に開始する場合に限定されず、ある着脱式バッテリ100の充電時間の一部と、別の着脱式バッテリ100の充電時間の一部とが同時である場合なども含む。
【0029】
バッテリ交換装置220には、外部電源PSから電力が供給される。外部電源PSは、例えば交流100Vの商用電源である。バッテリ交換装置220は、ステーション制御装置210による制御に応じて、電動車両10のユーザから受領した着脱式バッテリ100を充電する。バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100の充電が完了した場合に、充電が完了したことを示す通知をステーション制御装置210に送信する。これにより、ステーション制御装置210は、電動車両10のユーザに供与可能な着脱式バッテリ100を認識する。バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100に残っている電力を放電させることを行ってもよい。バッテリ交換ステーション200の詳細については後述する。
【0030】
管理サーバ装置300は、ネットワークNWに接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのうち1つ以上を含む。本実施形態では、管理サーバ装置300は、ネットワークNWを介して複数のバッテリ交換ステーション200と通信し、複数のバッテリ交換ステーション200を管理する。例えば、管理サーバ装置300は、各バッテリ交換ステーション200からバッテリ交換ステーション200の状態を示す情報(以下「状態情報」と称する)を受信し、状態情報に基づき各バッテリ交換ステーション200の状態を判定する。
【0031】
管理サーバ装置300は、直接またはネットワークNWを介して、バッテリシェアリングサービスシステム1を管理する管理者P1が使用する端末装置T1と通信を行い、バッテリ交換ステーション200の状態に関する所定の通知を端末装置T1に出力する。端末装置T1は、設置型またはノート型のパーソナルコンピュータなどである。
【0032】
管理サーバ装置300は、ネットワークNWを介して、バッテリ交換ステーションの保守を担当する保安要員P2が使用する端末装置T2と通信を行い、バッテリ交換ステーション200の状態に関する所定の通知を端末装置T2に出力する。端末装置T2は、例えば携帯型の端末装置であり、スマートフォンやタブレット端末などである。管理サーバ装置300の詳細については後述する。
【0033】
環境負荷評価装置400は、バッテリシェアリングサービスの利用者に対して環境負荷評価サービスを提供する装置である。本実施形態における環境負荷評価サービスとは、環境負荷削減に対する利用者の貢献度を評価するサービスである。具体的には、環境負荷評価サービスは、CO2排出の削減量を評価値として算出し、その評価値に基づく各種情報を利用者に提供するものである。このような環境負荷評価サービスによれば、利用者は、CO2排出量の削減に対する自身の貢献度を定量的に把握することができる。
【0034】
近年、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への関心がより一層高まっており、CO2排出量の削減を目的として、内燃機関により駆動する車両に代えて、着脱式バッテリ100により駆動する電動車両10の利用が促進されている。このような社会的背景もあり、利用者には、環境負荷低減への取り組みに関して、自身の成果を正確に認識するとともに、対外的にアピールすることで自身の社会的イメージを向上させたいというニーズがある。このようなニーズを背景として、環境負荷評価装置400は、バッテリシェアリングサービスの各種データをもとに利用者に環境負荷評価サービスを提供するものである。
【0035】
より具体的には、環境負荷評価装置400は、利用者が使用した着脱式バッテリ100に関する情報(バッテリ情報)を管理サーバ装置300から取得し、取得したバッテリ情報に基づいてCO2排出の削減量を算出するものである。本実施形態では、このような環境負荷評価サービスの利用者として、主に電動車両10を用いて営業するタクシー会社や運送業者などの事業者を想定するが、利用者は必ずしもこのような事業者である必要はない。例えば、利用者は、上記事業者から電動車両10を賃貸して使用する者(個人または事業者)であってもよいし、1以上の電動車両10を所有する個人であってもよい。
【0036】
[2.電動車両の構成]
図2は、実施形態の電動車両10の構成の一例を示す図である。電動車両10は、着脱式バッテリ100から供給される電力によって駆動される電動機(電動モータ)の駆動力で走行する。ただし、電動車両10は、着脱式バッテリ100と、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関とを組み合わせた駆動力によって走行するハイブリッド電動車両であってもよい。電動車両10は、例えば、バッテリ接続部12と、車両制御部14と、走行駆動力出力装置16と、車両センサ18と、HMI(Human Machine Interface)20と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機22と、を備える。
【0037】
バッテリ接続部12は、着脱式バッテリ100が電動車両10に装着された場合に、着脱式バッテリ100と電気的に接続される。バッテリ接続部12は、着脱式バッテリ100から電力供給を受ける電力線の接続端子や、着脱式バッテリ100と車両制御部14との間でデータ通信を行う通信線の接続端子などを含む。
【0038】
車両制御部14は、車両センサ18から測定結果を取得し、着脱式バッテリ100が備えるBMU(Battery Management Unit)110から蓄電部120の充電状態を表す値(State Of Charge:SOC)を取得し、GNSS受信機22から電動車両10の位置を取得する。車両制御部14は、取得したデータに基づき、走行駆動力出力装置16を制御する。車両制御部14は、GNSS受信機22から取得した電動車両10の位置情報を、バッテリ接続部12を介して着脱式バッテリ100に送信してもよい。
【0039】
走行駆動力出力装置16は、例えば、電動モータと、インバータと、インバータを制御するECU(Electronic Control Unit)と、を備える。ECUは、例えば、インバータを制御することによって、着脱式バッテリ100から電動モータに供給される電力を制御する。車両センサ18は、電動車両10に搭載された速度センサ、加速度センサ、回転速度センサ、オドメータ、その他の各種のセンサを含む。車両センサ18は、測定結果を車両制御部14に出力する。
【0040】
HMI20は、電動車両10のユーザに対して各種の情報を出力するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。HMI20は、例えば、HUD(Head Up Display)およびメーター表示部などの各種の表示装置(タッチパネルであってもよい)、スピーカなどを備える。GNSS受信機22は、例えば、GPS衛星などのGNSS衛星から到来する電波に基づいて、電動車両10の位置を測位する。
【0041】
[3.着脱式バッテリ]
図3は、実施形態の着脱式バッテリ100の構成の一例を示す図である。着脱式バッテリ100は、例えば、蓄電部120と、BMU110と、接続部150と、を備える。BMU110は、例えば、測定センサ130と、記憶部140と、を備える。
【0042】
蓄電部120は、例えば、複数の単電池を直列に接続した組電池である。蓄電部120を構成する単電池は、例えば、リチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery:LIB)や、ニッケル水素電池、全固体電池など、充電と放電とを繰り返すことができる二次電池である。蓄電部120を構成する二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、ナトリウムイオン電池などの他、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池なども考えられる。蓄電部120を構成する二次電池の構成に関しては特に限定されない。
【0043】
BMU110は、蓄電部120の充電や放電の制御、セルバランシング、蓄電部120の異常検出、蓄電部120のセル温度の導出、蓄電部120の充放電電流の導出、蓄電部120のSOCの推定などを行う。BMU110は、測定センサ130の測定結果に基づいて把握した蓄電部120の異常や故障などを、バッテリ状態情報として記憶部140に記憶させる。測定センサ130は、蓄電部120の充電状態を測定するための電圧センサ、電流センサ、温度センサなどである。測定センサ130は、測定された電圧、電流、温度などの測定結果をBMU110に出力する。
【0044】
記憶部140は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置を含む。記憶部140は、上述したバッテリ状態情報を記憶する。記憶部140には、着脱式バッテリ100に対して割り当てられた識別情報(バッテリID)が記憶されてもよい。接続部150は、着脱式バッテリ100が電動車両10に装着された場合に、電動車両10のバッテリ接続部12に電気的に接続される。この状態で、着脱式バッテリ100は、蓄電部120に蓄えた電力を電動車両10が備える電動モータに供給する。
【0045】
[4.バッテリ交換ステーション]
図4は、バッテリ交換ステーション200のシステム構成を示すブロック図である。本実施形態では、ステーション制御装置210は、例えば、バッテリ管理部211と、充放電制御部212と、情報出力部214と、記憶部216とを有する。
【0046】
バッテリ管理部211、充放電制御部212、および情報出力部214は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予めステーション制御装置210が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、ステーション制御装置210が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることでステーション制御装置210が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部216は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
【0047】
バッテリ管理部211は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100を管理する。例えば、バッテリ管理部211は、電動車両10のユーザからの着脱式バッテリ100の受領、着脱式バッテリ100の充放電の要否判定、充電が完了した着脱式バッテリ100の電動車両10のユーザへの供与を管理する。
【0048】
充放電制御部212は、バッテリ管理部211により充電が必要と判定された着脱式バッテリ100の充放電を制御する。例えば、充放電制御部212は、バッテリ交換装置220に含まれるAC/DC変換器260およびDC/DC変換器271などを制御することで、着脱式バッテリ100の充放電を行う。充放電制御部212は、着脱式バッテリ100の充放電に関する制御の履歴を、制御履歴情報I12として記憶部216に記憶させる。着脱式バッテリ100の充放電に関する制御の履歴は、着脱式バッテリ100の稼働状態の情報の一例である。制御履歴情報I12は、例えば、各着脱式バッテリ100の充電開始時刻および充電終了時刻や、同時充電中の着脱式バッテリ100の個数と日時情報とが対応付けされた情報などを含む。また制御履歴情報I12には、着脱式バッテリ100の放電開始時刻および放電終了時刻が含まれてよい。
【0049】
情報出力部214は、記憶部216に記憶された制御履歴情報I12、バッテリ状態情報I13を含むバッテリ交換ステーション200の状態情報を、所定の周期で管理サーバ装置300に送信する。所定の周期は、例えば10分毎であるが、上記例には限定されない。状態情報は、記憶部216に記憶されたステーションIDI11と紐付けられて管理サーバ装置300に送信される。ステーションIDI11は、バッテリ交換ステーション200を識別可能な識別情報である。
【0050】
また、本実施形態では、バッテリ交換装置220は、AC/DC変換器260に加え、複数のDC/DC変換器271、複数のインターフェース基板(I/F基板)272、および制御基板273を有する。
【0051】
AC/DC変換器260には、外部電源PSから交流電力が供給される。AC/DC変換器260は、外部電源PSから供給された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を複数のDC/DC変換器271に供給する。
【0052】
複数のDC/DC変換器271は、複数のバッテリスロット221に対して1対1の関係で設けられている。複数のDC/DC変換器271は、AC/DC変換器260に対して電気的に並列に接続されている。DC/DC変換器271は、バッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100に接続される。DC/DC変換器271は、AC/DC変換器260から供給される直流電力を、着脱式バッテリ100の充電に適した電圧を持つ直流電力に変換し、変換した直流電力を着脱式バッテリ100に供給する。
【0053】
複数のIF基板272は、複数のバッテリスロット221に対して1対1の関係で設けられている。IF基板272は、バッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100に接続される。IF基板272は、着脱式バッテリ100と通信を行い、着脱式バッテリ100の記憶部140に記憶された情報(例えば、バッテリ状態情報やバッテリID)を着脱式バッテリ100から取得する。IF基板272は、着脱式バッテリ100から取得した情報を制御基板273に出力する。
【0054】
制御基板(制御部)273は、AC/DC変換器260、複数のDC/DC変換器271、および複数のIF基板272を制御する。
【0055】
[5.管理サーバ装置]
図5は、管理サーバ装置300のシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置300は、例えば、情報取得部310と、ステーション管理部320と、情報提供部330と、記憶部370とを有する。
【0056】
情報取得部310、ステーション管理部320、および情報提供部330は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め管理サーバ装置300が備えるHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、管理サーバ装置300が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることで管理サーバ装置300が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部370は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
【0057】
情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された状態情報を取得する。例えば、情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された制御履歴情報I12、バッテリ状態情報I13を取得する。本明細書で「取得する」とは、外部から受信することで取得する場合に加えて、内部で生成される(例えば外部から受信した情報に対して所定の計算を行うことで生成される)場合なども含む。情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から取得した状態情報を、状態履歴情報I21として記憶部370に蓄積する。
【0058】
ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200から取得された状態情報に基づき、各バッテリ交換ステーション200の管理を行う。例えば、ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200の稼働状態、各バッテリ交換ステーション200が受領した着脱式バッテリ100の個数、各バッテリ交換ステーション200から供与された着脱式バッテリ100の個数などを管理する。
【0059】
情報提供部330は、環境負荷評価装置400からの要求に応じて、状態履歴情報I21を環境負荷評価装置400に提供する。また、情報提供部330は、環境負荷評価装置400からの要求に応じて、状態履歴情報I21をもとに使用履歴情報I31を生成し、生成した使用履歴情報I31を環境負荷評価装置400に提供してもよい。
【0060】
記憶部370は、状態履歴情報I21、ステーション管理情報I23を記憶する。ステーション管理情報I23は、各バッテリ交換ステーション200のステーションIDや設置場所などをはじめとする管理情報である。
【0061】
[6.環境負荷評価サービス提供装置]
図6は、環境負荷評価装置400のシステム構成を示すブロック図である。環境負荷評価装置400は、例えば、情報取得部410と、集計対象抽出部420と、使用量算出部430と、評価部440と、認証取得支援部450と、サービス対価算出部460と、記憶部470とを備える。
【0062】
情報取得部410、集計対象抽出部420、使用量算出部430、評価部440、認証取得支援部450、およびサービス対価算出部460は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め環境負荷評価装置400が備えるHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、環境負荷評価装置400が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることで環境負荷評価装置400が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部470は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
【0063】
情報取得部410は、着脱式バッテリ100の使用履歴を取得する。例えば、情報取得部410は、管理サーバ装置300から状態履歴情報I21を取得し、取得した状態履歴情報I21をもとに、利用者ごとに、着脱式バッテリ100の使用履歴を取得する。情報取得部410は、取得した利用者ごとの使用履歴を示す使用履歴情報I31を記憶部470に記録する。
【0064】
集計対象抽出部420は、バッテリ交換ステーション200を利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の利用者からなる利用者群(以下「対象利用者群」という。)を抽出する。この抽出処理において、対象利用者群は任意の基準で抽出されてよい。例えば、対象利用者群は、バッテリシェアリングサービスの利用者のうち環境負荷評価サービスの利用者として登録済みの利用者からなる利用者群であってもよい。また、例えば、対象利用者群は、着脱式バッテリ100の使用履歴が所定の条件を満たす利用者群であってもよい。また、例えば、対象利用者は、着脱式バッテリ100を使用して駆動させる電動車両10の種別に基づいて抽出されてもよい。
【0065】
使用量算出部430は、対象利用者群が所定期間の間に使用した着脱式バッテリ100の使用量を算出する。例えば、使用量算出部430は、使用履歴情報I31をもとに認識される、所定期間における着脱式バッテリ100の放電量を積算することにより使用量を算出することができる。また、例えば、使用量算出部430は、使用履歴情報I31をもとに認識される、所定期間における着脱式バッテリ100の充電量を積算することにより使用量を算出してもよい。
【0066】
評価部440は、対象利用者群ごとの着脱式バッテリ100の使用量に基づき、評価対象の対象利用者群について、CO2排出量の削減に対する貢献度を評価する。具体的には、評価部440は、評価対象の対象利用者群による着脱式バッテリ100の使用量をもとにCO2排出量の削減量を貢献度の評価値として算出する。
【0067】
認証取得支援部450は、CO2排出量の削減に関する各種認証の認定を受けるために必要な対象利用者群の各種活動を支援する。例えば、エコマークやエシカルマークは、ここでいう各種認証の一例である。具体的には、認証取得支援部450は、CO2排出量の削減に関する各種認証の認定を受けるために必要な活動の一部または全部を対象利用者群に代わって実施するための処理を実行する。例えば、認証取得支援部450は、対象利用者群に代わり、認証機関に対して認証の認定を受けるための申請を行ってもよいし、認証機関に対して対象利用者群の削減実績を提示するための処理を実行してもよい。また、認証取得支援部450は、認証の取得のための所定のデータベースにアクセスすることで当該認証の取得に関する工程の進捗度を取得することができる。所定のデータベースは、上記進捗度に関する情報を保持するデータベースであればよく、例えば、認証機関のデータベースであってもよい。
【0068】
サービス対価算出部460は、環境負荷の評価結果を提供したことに対して、或いは当該評価結果の内容に応じて、対象利用者群の管理者から受け取るべき対価を算出するものである。より具体的には、サービス対価算出部460は、着脱式バッテリ100の使用量や、CO2排出量の削減に対する貢献度、認証取得活動の支援状況などに基づき、環境負荷評価サービスの対象利用者群に関する対価(以下「サービス対価」という。)を算出する。サービス対価は、対象利用者群がサービス提供者に支払うものであってもよいし、サービス事業者が対象利用者群に支払うものであってもよい。
【0069】
記憶部470は、使用履歴情報I31、利用者管理情報I32を記憶する。利用者管理情報I32は、バッテリシェアリングサービスの利用者の管理情報である。利用者管理情報I32には、各利用者の識別情報のほか、環境負荷評価サービスに関し、着脱式バッテリ100の使用量について、集計対象となる対象利用者群を認識するための情報が含まれる。
【0070】
図7は、使用履歴情報I31および利用者管理情報I32の一例を示す図である。使用履歴情報I31は、例えば、利用者IDに対して、貸出ステーションIDと、使用バッテリIDと、貸出日時と、返却日時と、返却時SOCとが対応づけられた情報として記憶部470に記憶される。貸出ステーションIDは、当該利用者に着脱式バッテリ100を貸し出したバッテリ交換ステーション200の識別情報である。また、使用バッテリIDは、当該利用者に貸し出された着脱式バッテリ100の識別情報である。このような使用履歴情報I31が管理されることにより、当該利用者について所定期間における着脱式バッテリ100の使用量の積算値を求めることができる。
【0071】
また、利用者管理情報I32は、例えば、利用者IDに対して、管理者IDと、所属グループとが対応づけられた情報として記憶部470に記憶される。管理者IDは、当該利用者が所属するグループ(所属グループ)の管理者の識別情報である。例えば、所属グループは、対象利用者群のグループであり、個々の利用者が所属する会社等の組織であってもよいし、管理者は会社等の組織の代表者であってもよい。このような利用者管理情報I32が管理されることにより、利用者の着脱式バッテリ100の使用量の積算値を、当該利用者の管理者や所属グループごとに求めることができる。これはすなわち、対象利用者群の単位で着脱式バッテリ100の使用量を求めることができる、ということである。
【0072】
図8は、環境負荷評価装置400が、CO2排出量の削減に対する対象利用者群の貢献度を評価する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、環境負荷評価装置400において、情報取得部410が、使用履歴情報I31を取得して記憶部470に記録する(ステップS101)。例えば、情報取得部410は、管理サーバ装置300から状態履歴情報I21を取得し、取得した状態履歴情報I21をもとに使用履歴情報I31を生成してもよい。また、例えば、管理サーバ装置300が使用履歴情報I31の生成機能を有する場合、情報取得部410は、管理サーバ装置300に対して、対象利用者群の各利用者に関する使用履歴情報I31の提供を要求してもよい。
【0073】
続いて、集計対象抽出部420が、ステップS101で取得された使用履歴情報I31に基づき、バッテリ交換ステーション200を利用可能な利用者のうち集計対象とする対象利用者群を抽出する(ステップS102)。
【0074】
続いて、使用量算出部430が、ステップS102で抽出された対象利用者群について、所定期間における着脱式バッテリ100の使用量を対象利用者群の各利用者の使用履歴情報I31に基づいて算出する(ステップS103)。
【0075】
続いて、評価部440が、対象利用者群による着脱式バッテリ100の使用量をもとにCO2排出量の削減量を算出する(ステップS104)。例えば、評価部440は、着脱式バッテリ100の使用量の電力を、化石燃料を用いて発電した場合に排出されるCO2の量である第1の排出量を削減量として算出してもよい。また、例えば、評価部440は、着脱式バッテリ100により駆動された電動車両10が内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量である第2の排出量を算出し、第1の排出量と第2の排出量との差分を削減量として算出してもよい。一般に、電力による駆動は、内燃機関による駆動よりもCO2排出量が少ないとされる。そのため、一般には、第1の排出量は第2の排出量よりも少ないと想定される。この場合、さらに評価部440は、対象利用者群が着脱式バッテリ100を使用して駆動させる機器の種別(例えば、バイクや自動車、自転車などの種別)を認識し、対象機器が種別に応じた内燃機関によって駆動された場合に排出されるCO2の量を第2の排出量として算出してもよい。
【0076】
なお、CO2の排出量と発電量の関係は燃焼させる化石燃料の種別や、発電方式によって異なる場合がある。また、発電に使用される化石燃料の量は国や地域のエネルギー需要量やエネルギーバランス(原子力や火力、各種再生可能エネルギーのバランス)などによって異なる場合がある。そのため、評価部440は、このような国や地域ごとのエネルギー需給特性(エネルギー需要量、エネルギーバランス、発電方式等)を考慮してCO2削減量を算出してもよい。この場合、エネルギー需給特性を示す情報は記憶部470に予め格納されるものとする。
【0077】
評価部440は、算出した削減量に基づいてCO2排出量の削減に対する当該対象利用者群の貢献度を評価する(ステップS105)。評価部440は、対象利用者群について、貢献度の評価結果を出力する(ステップS106)。出力の態様は、評価結果を示す画像(映像を含む)の表示であってもよいし、評価結果を示す音声の出力であってもよいし、評価結果を示す情報の他の装置への送信であってもよいし、評価結果を示す情報の記憶装置への出力であってもよい。評価部440は、対象利用者群が複数である場合、複数の対象利用者群の貢献度を比較可能な態様で、評価結果を示す情報を出力してもよい。ここでは、後述するサービス対価を決定する処理のために、評価部440は、評価結果に関する情報を記憶部470に記録するものとする。
【0078】
図9は、環境負荷評価装置400が、対象利用者群に関してサービス対価を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、第1のサービス対価および第2のサービス対価を決定する場合について説明する。第1のサービス対価および第2のサービス対価の詳細は、後述する処理フローにおいて説明する。なお、ここでは、簡単のため、第1のサービス対価および第2のサービス対価を一連の処理フローの中で決定する場合について説明するが、これは一例であり、第1のサービス対価および第2のサービス対価は必ずしも一連の処理フローの中で決定される必要はない。第1のサービス対価および第2のサービス対価は、それぞれ別個の処理フローにより決定されてもよい。また、第1のサービス対価および第2のサービス対価は必ずしも両方が決定される必要はなく、どちらのサービス対価を決定するかは対象利用者群ごとに異なってもよい。
【0079】
まず、サービス対価算出部460は、対象利用者群ごとの集計結果に基づき、第1のサービス対価を決定する(ステップS201)。
ここで、第1のサービス対価は、バッテリシェアリングサービスを利用して電動車両10を用いた移動体サービスを提供する事業者(管理者または所属グループの一例である。)に対するサービス対価である。この場合、移動体サービスの事業者は、バッテリシェアリングサービスの一次利用者であり、当該事業者の従業員はバッテリシェアリングサービスの二次利用であるということができる。この場合の管理者および従業員(利用者IDにより個々の利用者として管理される)は、図7に例示した利用者管理情報I32によって対応づけられる。
【0080】
より具体的には、サービス対価算出部460は、電動車両10の単位走行距離、または電動車両10が内燃機関によって駆動される車両(動力源以外では同様の走行条件を想定した車両)に比べて削減することができるCO2の単位排出量を算出単位としてサービス対価を算出する。例えば、電動車両10の単位走行距離を1kmとし、1km当たりのサービス対価を1ポイントとすると、対象利用者群が電動車両10を100km走行させた場合のサービス対価は100ポイントとなる。
【0081】
また、例えば、電動車両10が内燃機関による車両よりも単位走行距離1km当たりに1[mg]のCO2排出量を削減できると仮定して、その削減量をサービス対価とすると、管理者が電動車両10を100km走行させた場合のサービス対価は100ポイントとなる。
【0082】
これらのようなサービス対価は、電動車両10の使用量に応じて増加するので、サービス対価は電動車両10を使用したことで削減されたCO2排出量の削減量に比例する。そのため、このような第1のサービス対価は、CO2排出量削減に貢献した管理者に対するインセンティブ(対価の一例)として適用され得る。また、第1のサービス対価は、貢献度の評価を受けた管理者が、その評価結果を提供した環境負荷評価サービスの提供事業者に対して支払うべき利用料(対価の一例)として適用されてもよい。
【0083】
続いて、サービス対価算出部460は、認証取得支援部450による認証取得支援の状況に基づき、第2のサービス対価を決定する(ステップS202)。ここで、第2のサービス対価は、第1のサービス対価と同様に、バッテリシェアリングサービスを利用して電動車両10を用いた移動体サービスを提供する事業者に対するサービス対価である。より具体的には、サービス対価算出部460は、認証取得支援部450が事業者(管理者)に代わって行った認証機関に対する認証取得のための申請の状況に応じて第2のサービス対価を決定する。なお、ここでいう認証取得のための申請の状況には、申請の実施から認証が認定されるまでの任意の工程が含まれ得るものとする。認証取得のための申請の状況は「進捗度」の一例である。ここで、認証取得のための申請の状況は、例えば、認証機関のデータベースにアクセスすることによって認識することができるものとする。
【0084】
例えば、認証取得のための申請の状況に第1~第5の工程が含まれ、全工程が完了した場合に付与されるサービス対価の全体が100ポイントであるとし、現在の申請の状況が第3の工程に係属している場合、サービス対価算出部460は、その段階において、第1~第5の5つの工程のうちの2つの工程が完了したとして全体の100ポイントのうちの2/5である40ポイントをサービス対価として付与してもよい。また、例えば、サービス対価算出部460は、第1~第5の工程に負荷(難易度や必要工数など)の違いが存在する場合、負荷に応じた割合で按分したポイントをサービス対価として算出してもよい。例えば、上記の例において、第1~第5の工程の負荷が1:2:3:2:2である場合、サービス対価算出部460は、(1+2)/(1+2+3+2+2)×100=30ポイントをサービス対価として算出してもよい。
【0085】
このようなサービス対価は、認証取得のための支援活動の進捗状況に応じて増加する。そのため、このような第2のサービス対価は、環境負荷評価サービスを提供する事業者が、移動体サービスの事業者の認証取得を支援する活動において達成した実績に対する報酬として適用され得る。すなわち、第2のサービス対価は、環境負荷評価サービスを提供する事業者が、移動体サービスの事業者に対して課すサービス利用料(対価の一例)として適用され得る。
【0086】
サービス対価算出部460は、このようにして算出した第1のサービス対価および第2のサービス対価の情報を出力する(ステップS203)。例えば、サービス対価算出部460は、算出したサービス対価の値を管理者の識別情報に対応づけて記録してもよいし、移動体サービスの事業者(管理者)に通知してもよい。
【0087】
図10は、CO2排出量削減に対する管理者の貢献度(またはその評価結果)について第1の表示例を示す図である。例えば、評価部440は、CO2排出量削減に対する管理者の貢献度(またはその評価結果)を可視化した情報を管理者に提供することができる。例えば、図10の表示例は、着脱式バッテリ100によって駆動する電動車両10を使用することによって削減することができるCO2排出量を表示したものである。この場合、評価部440は、動力源に化石燃料を使用する場合に比べて削減することができたCO2排出量を実績値として可視化した情報を提供することができる。
【0088】
図11は、CO2排出量削減に対する管理者の貢献度(またはその評価結果)について第2の表示例を示す図である。例えば、評価部440は、CO2排出量削減に対する管理者の貢献度(またはその評価結果)を、図10とは異なるランキング形式で可視化した情報を管理者に提供することができる。例えば、図11の表示例は、各管理者のCO2排出量削減の実績値に基づき、複数の管理者についてランキングを行った結果を示すものである。ランキングの対象となる管理者は、提供する移動体サービスの種類等に基づいて分類されてよい。このように、CO2排出量削減の実績についてランキング形式の可視化情報が提供されることにより、例えば、管理者は、自社のCO2排出量削減の取り組みが十分であるか否かを、同業他社と比べて相対的に認識することができる。
【0089】
また、図10図11に示したような可視化情報が提供されることにより、管理者は、CO2排出量削減に対する自社の貢献度の評価結果を対外的に容易にアピールすることができる。また、このような評価結果のアピールを容易に行えるようになることにより、管理者は、自社の社会的イメージを向上させる活動を促進することができる。
【0090】
以上説明した実施形態のバッテリシェアリングサービスシステム1によれば、バッテリ交換ステーション200を介して交換可能な複数の着脱式バッテリ100を複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリシェアリングサービスシステム1に関し、環境負荷評価装置400が、バッテリ交換ステーション200を利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の利用者からなる対象利用者群を抽出し、対象利用者群による着脱式バッテリ100の使用履歴に基づいて、対象利用者群が所定期間の間に使用した着脱式バッテリ100の総使用量(充電量または放電量)を算出し、その総使用量に基づいて着脱式バッテリ100の使用に関する環境負荷を評価することにより、バッテリシェアリングサービスの対象利用者群についてCO2削減に対する貢献度を適切に評価することができる。
【0091】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
バッテリ交換ステーションを介して交換可能な複数のバッテリを複数の利用者の間で共用可能に管理するバッテリ共用システムに関し、前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価する評価処理であって、
前記バッテリ交換ステーションを利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の利用者からなる対象利用者群を抽出することと、
前記対象利用者群による前記バッテリの使用履歴に基づいて、前記対象利用者群が所定期間の間に使用したバッテリの総使用量を算出することと、
前記総使用量に基づいて前記バッテリの使用に関する環境負荷を評価することと、
を含む前記評価処理を実行する、
環境負荷評価装置。
【0092】
<変形例>
上記実施形態では商用電源に接続されたバッテリ交換ステーション200を想定し、バッテリ交換ステーション200を利用した着脱式バッテリ100の充電について環境負荷を評価する場合について説明した。しかしながら、再生可能エネルギーに接続されたバッテリ交換ステーション200が混在する場合には充電の際に使用した電力の由来を区別して環境負荷を評価するのがより望ましい。この場合、例えば、管理サーバ300は、利用者が使用する着脱式バッテリ100のバッテリIDと、利用者の識別情報と、当該着脱式バッテリ100の充電を行ったバッテリ交換ステーション200のステーションIDとを紐付けて管理するとともに、対象利用者群の各利用者が利用した着脱式バッテリ100の充電履歴を参照し、充電のために使用された電力の由来に応じた環境負荷の評価を行うように構成されてもよい。なお、この場合、電力の由来に応じたCO2排出量の算出が必要となるので、管理サーバ300は、発電時に排出されるCO2の単位排出量や、CO2排出量の計算式などの情報を電力の由来ごとに予め記憶しているものとする。また、この場合、管理サーバ300は、バッテリ交換ステーション200がどのような由来の電力を供給する電源に接続されているかの情報を予め記憶しているものとする。
【0093】
上記の実施形態では、環境負荷評価装置400が、バッテリ交換ステーション200を利用可能な利用者の中から集計対象とする2以上の利用者からなる対象利用者群を抽出し、抽出した対象利用者群について環境負荷削減への貢献度を評価したり、サービス対価を決定したりする場合について説明した。これに代えて、環境負荷評価装置400は、対象利用者群に代えて、評価対象となる個々の利用者(以下「対象利用者」という。)について貢献度の評価やサービス対価の決定を行うように構成されてもよい。この場合、環境負荷評価装置400は、上記の実施形態で説明した使用履歴の集計範囲を対象利用者群の範囲から個々の利用者の範囲に変更することで、対象利用者ごとに貢献度の評価やサービス対価の決定を行うことができる。
【0094】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…バッテリシェアリングサービスシステム、10…電動車両、12…バッテリ接続部、14…車両制御部、16…走行駆動力出力装置、18…車両センサ、20…HMI、22…GNSS受信機、100…着脱式バッテリ、110…BMU、120…蓄電部、130…測定センサ、140…記憶部、150…接続部、200…バッテリ交換ステーション、210…ステーション制御装置、211…バッテリ管理部、212…充放電制御部、214…情報出力部、216…記憶部、220…バッテリ交換装置、221…バッテリスロット、260…AD/DC変換器、271…DC/DC変換器、272…インターフェース基板(I/F基板)、273…制御基板(制御部)、300…管理サーバ装置、310…情報取得部、320…ステーション管理部、330…情報提供部、370…記憶部、400…環境負荷評価サービス提供装置、410…情報取得部、420…集計対象抽出部、430…使用量算出部、440…評価部、450…認証取得支援部、460…サービス対価算出部、470…記憶部
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