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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】排水処理装置を用いた浄水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 9/00 20230101AFI20241018BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
C02F9/00
C02F1/00 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024519702
(86)(22)【出願日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2023035065
(87)【国際公開番号】W WO2024071163
(87)【国際公開日】2024-04-04
【審査請求日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2022157784
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593167768
【氏名又は名称】大阪油化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186026
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 研自
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】堀田 哲平
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007618(JP,A)
【文献】特開2003-300077(JP,A)
【文献】特開2010-207670(JP,A)
【文献】国際公開第2010/046960(WO,A1)
【文献】特開2016-203056(JP,A)
【文献】特開2009-160525(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178165(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107200423(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0186658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
C02F 3/12
C02F 1/02 - 1/18
C02F 9/00 - 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬可能な基台と、
外部から供給される原水から異物を除去するサイクロン型の遠心分離装置からなる異物除去手段と、
前記異物除去手段によって異物が除去された前記原水の浄水処理工程に沿って前記基台上に液面の高さが順次低くなるよう配置される複数の処理槽と、
前記複数の処理槽のうち、少なくとも一部の処理槽に投入する薬剤を収容した複数の薬剤槽と、
前記複数の処理槽により処理された処理水を濾過する手段であって、水平方向に沿って互いに対向するよう配置された固定盤と可動盤との間に、内部が複数の濾過室に区画されたフィルター部材を配置し、前記可動盤を前記固定盤に向けた濾過位置へと移動させることで前記フィルター部材の内部に導入された処理水を濾過する濾過手段と、
前記濾過手段によって濾過された処理水を消毒して飲料水とする消毒手段と、
を備え、
前記基台上で少なくとも前記原水から異物を除去する工程を除いた前記原水を飲料水化する浄水処理の全工程を完了する排水処理装置を用いた浄水装置。
【請求項2】
外部から処理すべき原水が導入される単数又は複数のコンテナ本体と、
外部から導入された前記原水から異物を除去するサイクロン型の遠心分離装置からなる異物除去手段と、
前記コンテナ本体の内部に液面の高さが順次低くなるよう配置され、前記処理すべき前記原水が導入される第1の処理槽と、前記第1の処理槽で処理された処理水が導入される第2の処理槽を少なくとも含む複数の処理槽と、
前記第1及び第2の処理槽にそれぞれ投入する薬剤を収容した複数の薬剤槽と、
前記複数の処理槽により処理された処理水を濾過する手段であって、水平方向に沿って互いに対向するよう配置された固定盤と可動盤との間に、内部が複数の濾過室に区画されたフィルター部材を配置し、前記可動盤を前記固定盤に向けた濾過位置へと移動させることで前記フィルター部材の内部に導入された処理水を濾過する第1の濾過手段と、
前記第1の濾過手段によって濾過された処理水を飲料水化するため濾過する第2の濾過手段と、
前記第2の濾過手段によって濾過された処理水を消毒して飲料水とする消毒手段と、
を備え、
前記単数又は複数のコンテナ本体の内部で少なくとも前記原水から異物を除去する工程を除いた前記原水を飲料水にする浄水処理の全工程を完了する排水処理装置を用いた浄水装置。
【請求項7】
前記第1の濾過手段は、前記コンテナ本体の側面に設けられた開口部に面して配置され、前記フィルター部材の内部に残留したスラッジを受けるスラッジパンが下方に配置される請求項2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬可能な基台を備え、排水処理を行う排水処理装置を応用して原水を飲料水化する排水処理装置を用いた浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水処理設備(プラント)は、機械加工や組立工程が施された金属製品を塗装するまえに行われる脱脂処理や化成処理後の脱脂水洗水や化成水洗水などの処理排水や、タンク型の装置の中に研磨する製品と共に研磨石や研磨剤及び水を混合して攪拌するバレル研磨処理後の排水、或いはアルマイト処理(アルミニウムの陽極酸化処理)後の排水、更には溶融亜鉛メッキ等のメッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理及び硫酸や塩酸等による酸洗処理を施した後の排水などの様々な排水を、当該排水の化学的特性などに応じて排水中に溶解或いは混合されている金属やその酸化物等を化学処理した後に中和させて溶解物や混合物を沈殿させ、その後沈殿した固形物を分離して処理水として排出するよう構成されている(特許文献1等)。
【0003】
排水処理設備(プラント)は、処理すべき排水の種類や化学的特性等に応じて、酸やアルカリ等を用いて個々に化学処理を行う複数の処理槽や、各処理槽の処理工程に応じて所定の薬剤を順次投入して化学的処理を行った後に固形物を分離する分離槽などの複数の処理槽などを備える。そして、排水処理設備(プラント)は、当該設備に要求される排水の処理能力に応じて、複数の処理槽を配管で接続するとともに、複数の処理槽に所定の薬剤を投入する配管等の装備を設けるなど、高度な化学的知識に基づいて個別に設計される非常に複雑な設備とならざるを得ないものであった。
【0004】
従来、このような排水処理設備(プラント)は、設計・施工業者により、ユーザーの工場などから排出される排水の種類や化学的特性、あるいは規模などに応じて個別に設計・施工されて、ユーザーの工場などの敷地に設置されるものであった。そのため、排水処理設備(プラント)は、設計・施工から完成して稼働するまでに非常に長い期間を要するとともに、製造費用も高額とならざるを得ないという技術的課題を有していた。
【0005】
なお、移動可能な排水処理ユニットや浄水装置としては、特許文献2や特許文献3等に開示されたものが既に提案されている。
【0006】
特許文献2は、流量調整槽を有した排水処理槽と、前記排水処理槽に酸素を供給するためのブロワとを、輸送用コンテナの内部に備えた、移動可能な排水処理ユニットであって、前記排水処理槽は、嫌気槽と好気槽を備え、前記輸送用コンテナは、前記排水処理槽のメンテナンスを行うための点検口を備えるように構成したものである。
【0007】
また、特許文献3は、貨物輸送用のコンテナの天板上に少なくとも太陽電池モジュールを配設し、一方、前記コンテナ内に前記太陽電池モジュールから得た電気で作動する複数個のポンプを有する浄水装置本体と、前記電気を利用すると共に該浄水装置本体を制御する制御盤とを配設し、前記浄水装置本体は、反応タンク内に汚れた原水と凝集剤を入れ、かつ該反応タンクに設けた駆動モータの駆動力により回転する攪拌手段を介して沈降化するフロックと色度が透明色へと変化した透明水に分離する固・液分離処理部と、該固・液分離処理部と下流側の濾過装置との間に配設された上澄み採取装置とを備え、前記上澄み採取装置は、下流側に移送ポンプを備え、かつ上澄み採取タンク内に水位の変位に対応して昇降動すると共に、該上澄み採取タンク内の透明水中に残存する浮上フロックを吸い込まないように上澄み部分を吸引する可動パイプ手段を介して前記上澄み部分を下流側へ圧送するよう構成したものである。
【0008】
しかしながら、特許文献2に係る排水処理ユニットは、排水処理槽として嫌気槽と好気槽を備えたものに過ぎず、様々な化学的特性を有する脱脂処理や化成処理を行った脱脂水洗水や化成水洗水などの塗装前の処理排水や、バレル研磨処理の排水、アルマイト処理後の排水、更にはメッキ処理後の排水など多種多様な化学的特性を有する排水には対応することができないものであった。
【0009】
また、特許文献3に係るコンテナ型浄水処理装置は、原水内の不純物を凝集沈澱により固液分離するしくみとなっている。そのため、このコンテナ型浄水処理装置は、分離のための静止時間および静置面積を必要とし、バッチ運転かつ面積確保のための装置サイズが大型化するという技術的課題を有している。また、濾過装置として使用しているRO膜の特性上、製造量の2~3倍の排水が発生するため、無駄になる原水が生じるという技術的課題を有している。
【0010】
さらに、特許文献3に係るコンテナ型浄水処理装置は、コンテナの天板上に配設された太陽電池モジュールを採用しているが、40フィートコンテナの天井に設置される太陽電池モジュールの面積を考慮すると、その発電量は、2.7kWh/日程度である。この浄水処理装置は、濾過装置としてRO膜を使用しているため、その濾過能力は2.5~3.0kWh/mである。また、RO膜は高出力のポンプを連続稼働させる必要があるため、発電量が安定しない自然エネルギーを利用する場合、バッテリーへの蓄電が必須となるが、バッテリーの充放電などによる損失(20~30%)を考慮すると、1日の造水量は1mに満たないものである。
【0011】
また、特許文献3に係るコンテナ型浄水処理装置は、凝集沈澱による固液分離のため、静止時間(浄水場を参考)が6時間程度と想定され、およびRO膜処理後の濾過槽への貯水に24時間程度必要となり、最初の水が出てくるためには丸一日以上が必要であり、立ち上がりに長時間を要するという技術的課題を有している。
【0012】
さらに、特許文献3に係るコンテナ型浄水処理装置は、高出力のポンプを必要とするため、非常に高価なものとなるという技術的課題を有している。
また、特許文献3に係るコンテナ型浄水処理装置は、水分を含んだ汚泥が大量に発生するため、汚泥処理が煩雑であるとともに、汚泥を貯めるタンクが必要となり、付帯設備を必要とするという技術的課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開平8-24877号公報
【文献】特開2015-39669号公報
【文献】国際公開2010-46960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、塗装前の処理排水や、バレル処理の排水、あるいはアルマイト処理後の排水、さらにはメッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理後の排水などの様々な排水に対応することができ、しかも所望の場所に従来に比べて短期間且つ低コストで設置して稼働することが可能な排水処理装置の特性を生かして、当該排水処理装置を用いた浄水装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、無駄な排水が生じることなく、装置の小型化且つ低コスト化が可能であり、太陽光パネルや風力発電機等の自然エネルギーを利用した電力供給手段で十分な量の浄水を生成することができる排水処理装置を用いた浄水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載された発明は、運搬可能な基台と、
外部から供給される原水から異物を除去する異物除去手段と、
前記異物除去手段によって異物が除去された前記原水の浄水処理工程に沿って前記基台上に配置される複数の処理槽と、
前記複数の処理槽のうち、少なくとも一部の処理槽に投入する薬剤を収容した複数の薬剤槽と、
前記複数の処理槽により処理された処理水を濾過する濾過手段と、
前記濾過手段によって濾過された処理水を消毒して飲料水とする消毒手段と、
を備え、
前記基台上で少なくとも前記原水から異物を除去する工程を除いた前記原水を飲料水化する浄水処理の全工程を完了する排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、外部から処理すべき原水が導入される単数又は複数のコンテナ本体と、
外部から導入された前記原水から異物を除去する異物除去手段と、
前記コンテナ本体の内部に液面の高さが順次低くなるよう配置され、前記処理すべき前記原水が導入される第1の処理槽と、前記第1の処理槽で処理された処理水が導入される第2の処理槽と、前記第2の処理槽で処理された処理水が導入される第3の処理槽を少なくとも含む複数の処理槽と、
前記第1~第3の処理槽にそれぞれ投入する薬剤を収容した第1~第4の薬剤槽と、
前記第3の処理槽に貯留された処理水を濾過する第1の濾過手段と、
前記第1の濾過手段によって濾過された処理水を飲料水化するため濾過する第2の濾過手段と、
前記第2の濾過手段によって濾過された処理水を消毒して飲料水とする消毒手段と、
を備え、
前記単数又は複数のコンテナ本体の内部で少なくとも前記原水から異物を除去する工程を除いた前記原水を飲料水にする浄水処理の全工程を完了する排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0018】
請求項3に記載された発明は、前記原水及び前記処理水の移動、更には前記薬剤の投入及び攪拌を行う機器の一部又は全部に電力を供給する太陽光パネル又は風力発電機の少なくとも1つからなる電力供給手段を備える請求項1又は2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0019】
請求項4に記載された発明は、前記第1及び第2の処理槽は、導入される前記排水又は前記処理水が前記第1及び第2の処理槽の内部に予め定められた時間だけ滞留するよう構成されている請求項2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0020】
請求項5に記載された発明は、第3の処理槽は、前記コンテナ本体の底面に直接配置され、前記第3の処理槽から前記第1の濾過機へは、ポンプによって前記処理水が移動される請求項2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0021】
請求項6に記載された発明は、前記コンテナ本体の内部もしくは外部には、処理すべき原水を貯留する原水槽が配置され、前記原水槽から前記第1の処理槽へは、前記原水槽に配置されたポンプによって前記原水が移動される請求項2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置である。
【0022】
請求項7に記載された発明は、前記第1の濾過機は、複数のフィルター部材の中に前記第3の処理槽に滞留された処理水を注入することによって濾過する請求項2に記載の排水処理装置を用いた浄水装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、塗装前の処理排水や、バレル処理の排水、あるいはアルミニウムの酸化処理後の排水、メッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理後の排水などの様々な排水に対応することができ、しかも所望の場所に従来に比べて短期間且つ低コストで設置して稼働することが可能な排水処理装置の特性を生かして、当該排水処理装置を用いた浄水装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、無駄な排水が生じることなく、装置の小型化且つ低コスト化が可能であり、太陽光パネルや風力発電機等の自然エネルギーを利用した電力供給手段で十分な量の浄水を生成することができる排水処理装置を用いた浄水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置を示す平面構成図である。
図2図2は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置を示す正面構成図である。
図3図3図1のIII-III線断面矢示図である。
図4図4は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置を示す右側面構成図である。
図5図5図1のV-V線断面矢示図である。
図6図6はコンテナ本体を示す外観斜視図である。
図7図7は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置の配管を示す構成図である。
図8図8は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置において処理槽に処理すべき排水を滞留させる構造を示す構成図である。
図9(a)】図9(a)は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置における処理槽を示す正面構成図である。
図9(b)】図9(b)は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置における処理槽を示す平面構成図である。
図10(a)】図10(a)は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置において処理すべき排水を貯留する水洗水貯槽を示す斜視構成図である。
図10(b)】図10(b)は本実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置において処理すべき排水を貯留する水洗水貯槽を示す斜視構成図である。
図11図11は本実施の形態1に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図12図12は本実施の形態1に係る浄水装置を示す正面構成図である。
図13図13は本実施の形態1に係る浄水装置を示す背面構成図である。
図14図14は本実施の形態1に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図15図15は本実施の形態1に係る浄水装置の配管を示す構成図である。
図16図16は本実施の形態1に係る浄水装置を示す右側面構成図である。
図17図17は本実施の形態1に係る浄水装置を示す左側面構成図である。
図18図18は本実施の形態1に係る浄水装置の変形例を示す平面構成図である。
図19図19は本実施の形態1に係る浄水装置の変形例を示す正面構成図である。
図20図20は本実施の形態2に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図21図21は本実施の形態2に係る浄水装置を示す正面構成図である。
図22図22は本実施の形態2に係る浄水装置を示す背面構成図である。
図23図23は本実施の形態2に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図24図24は本実施の形態2に係る浄水装置を示す右側面構成図である。
図25図25は本実施の形態2に係る浄水装置を示す左側面構成図である。
図26図26は本実施の形態2に係る浄水装置の配管を示す構成図である。
図27(a)】図27(a)は本実施の形態3に係る浄水装置を示す構成図である。
図27(b)】図27(b)は本実施の形態3に係る浄水装置を示す構成図である。
図28(a)】図28(a)は本実施の形態3に係る浄水装置を示す構成図である。
図28(b)】図28(b)は本実施の形態3に係る浄水装置を示す構成図である。
図29図29は本実施の形態4に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図30図30は本実施の形態4に係る浄水装置を示す正面構成図である。
図31図31は本実施の形態4に係る浄水装置を示す平面構成図である。
図32図32は本実施の形態4に係る浄水装置の配管を示す構成図である。
図33図33は本実施の形態4に係る浄水装置の蒸留装置ユニットを示す正面構成図である。
図34図34は本実施の形態4に係る浄水装置の蒸留装置ユニットを示す平面構成図である。
図35図35は本実施の形態4に係る浄水装置の蒸留装置ユニットを示す左側面構成図である。
図36図36は本実施の形態4に係る浄水装置の蒸留装置ユニットを示す右側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る浄水装置について説明する前に、浄水装置の構成の前提となる排水処理装置について説明する。
【0028】
地球温暖化の影響による台風や大雨、あるいは地震などの自然災害の被害が拡大している。台風や地震による電柱の倒壊によって電力の供給が遮断されたり、大雨による道路の冠水や床上床下の浸水、あるいは地震などにより水道管が切断され水道水の供給が遮断されるなど、ライフラインの供給が絶たれる事態が頻発してきている。
【0029】
電柱の倒壊による電力の供給などの地上構造物による影響は、比較的早期に復旧可能である。一方、大雨による道路の冠水や床上床下の浸水、あるいは地震などにより水道管が切断され水道水の供給が一端遮断されると、地下構造物である水道管の復旧に短くて数日から長い場合は数週間を要し、飲料水の供給をタンク車などに頼らざるを得ない。特に、飲料水の供給は、電力と異なり、人命に直接かかわる。
【0030】
ところで、本発明者による排水処理装置は、主として、塗装前の処理排水や、バレル処理の排水、あるいはアルミニウムの酸化処理後の排水、メッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理後の排水などの様々な排水(工業用排水)の処理を目的としている。
【0031】
これに対して、河川や湖沼、あるいは地上に貯留した雨水などの原水は、汚染の程度が工業用排水と異なり軽度である。そのため、排水処理装置1は、一部の構成を追加することにより浄水装置として使用することが可能となる。また、排水処理装置は、コンテナ本体を基本としているため、トラック等によって被災地など所望の箇所へ移動して迅速に稼働することができる。
【0032】
図1乃至図5は本発明の実施の形態1に係る浄水装置の前提となる排水処理装置の全体を示す構成図であり、図1は排水処理装置を示す平面構成図、図2は排水処理装置を示す正面構成図、図3図1のIII-III線断面矢示図、図4は排水処理装置を示す右側面構成図、図5図1のV-V線断面矢示図である。
【0033】
本実施の形態1に係る排水処理装置1は、図1に示すように、ISO規格に適合したコンテナ本体2を備えている。このコンテナ本体2は、例えば、20フィートの規格に沿ったものである。コンテナ本体2は、外寸が縦6058mm、横2438mm、高さ2591mmに設定されている。
【0034】
国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)では、輸送インフラの共通化を図り、輸送作業の効率化を担保するため、コンテナを規格化しており、ISO規格のコンテナは、その外寸(外形寸法)がコンテナを製造したメーカーにかかわらず同一の寸法となっている。ISO規格のコンテナには、20フィート、40フィートなど、複数サイズのものが用意されている。なお、コンテナ本体2は、ISO規格に適合したコンテナと同等の外寸を有するものであれば良く、コンテナ本体2自体が所謂コンテナそのものを構成する必要はない。例えば、コンテナ本体2は、ISO規格に適合したコンテナと同等の外寸を有する直方体状の枠体のみからなるものであっても良い。ここでは、規格の一例としてIOS規格について説明するが、これに限定されるものではなく、JIS規格等に適合したものであっても良い。
【0035】
コンテナ本体2は、図6に示すように、天井面3と、底面4と、長手方向に沿った前後の側面5,6と、幅方向に沿った左右の側面7,8を有する細長い直方体状に形成されている。コンテナ本体2は、基本的に、底面4に配置される平面矩形状の枠体9と、天井面3に配置される平面矩形状の枠体10と、底面4の枠体9と天井面3の枠体10を四隅で互いに連結する4本の支柱11~14を備えている。なお、枠体9,10及び支柱11~14は、必ずしもすべて必要な訳ではなく、天井面3や底面4、あるいは側面5,6,7,8などが、これらの機能を兼用しても良い。例えば、天井面3に配置される枠体10は、必ずしも必要ではなく、4本の支柱11~14を互いに連結する平面矩形状の凹凸を有する波板等の鋼板からなる天井面3自体がその機能を果たしても良い。コンテナ本体2の8つの角部には、当該コンテナ本体2を運搬する際などに吊り上げたり、上下方向又は水平方向に沿って隣接する図示しないコンテナ本体2と互いに連結するための連結部15~22が設けられている。コンテナ本体2は、底面4を除いて、天井面3と、前後の側面5,6と、左右の側面7,8の一部又は全部が開口されていても良く、底面4を含めて、天井面3と、前後の側面5,6と、左右の側面7,8の全てが閉塞されていても良い。なお、図6では、便宜上、連結部22の符号を連結部21に括弧書きで付記しているが、連結部22は、連結部18の直下に配置されている。コンテナ本体2は、工場の敷地等における整地された又はコンクリート等が打設された所定の設置面B(図3参照)上に直接又は図示しない台座を介して水平に設置される。
【0036】
本実施の形態1に係るコンテナ本体2は、図1及び図6に示すように、前後の側面5,6に作業員が出入りする開閉扉23,24が外側に向けて開閉可能に設けられている。なお、開閉扉23,24は、前後の側面5,6のうち、一方の側面あるいは他の側面7,8に設けても勿論良い。また、コンテナ本体2は、右側の側面8の長手方向に沿った奥側(図中、右側)の一部に、その長手方向に沿って全長の1/2よりやや短い幅の開口部25が設けられている。開口部25は、シャッター26もしくは、開閉扉等によって上端部の一部を除いて開閉可能に構成されている。開口部25の上端部には、図4に示すように、その内部に、シャッター26を開閉可能に収容するシャッターボックス27が配置されている。
【0037】
コンテナ本体2は、図2及び図5に示すように、底面4を含む所定の高さにわたり漏液防止処理が施されている。コンテナ本体2の底面4には、枠体9の上部を閉塞する鋼板28が全面にわたり溶接等の手段により敷設されている。床面に位置する鋼板28は、コンテナ本体2の底面4自体を構成するものであっても、底面4とは別に床面のみを構成するものであっても良い。なお、コンテナ本体2の構成等を考慮すれば、床面の鋼板28は、コンテナ本体2の底面4そのものを構成するのが望ましい。
【0038】
コンテナ本体2の底面4に位置する鋼板28の外周には、所定の高さ(例えば、100~250mm程度)にわたり起立した状態で同じく鋼板等からなる漏液防止壁29が溶接等の手段により全周を取り囲むよう平面矩形の枠体状に設けられている。コンテナ本体2の底面4には、鋼板28及び漏液防止壁29によって所定の高さにわたり漏液防止機能が付与されている。コンテナ本体2は、仮に、後述する反応槽31などから排水や処理水が漏出したとしても、漏出した排水や処理水は、底面4において漏液防止壁29の内部に滞留し、外部に漏出して敷地や設置面Bなどを汚染することがない。また、コンテナ本体2は、その底面4自体に漏液防止処理が施されているため、通常の排水処理設備(プラント)を設置する場合のように、排水処理装置1であるコンテナ本体2を設置する場所の外周及び床面を取り囲む漏液防止処理工事を別途施す必要がない。この点からも本実施の形態1に係る排水処理装置1は、設置を容易に行うことが可能となっている。なお、コンテナ本体2の底面4には、鋼板28及び漏液防止壁29の内周面を合成樹脂等で被覆することにより漏液防止機能や絶縁機能を更に高めても良い。
【0039】
コンテナ本体2の底面4には、図1及び図2に示すように、長手方向に沿った中央部の右側面8寄りに当該底面4に漏出した排水や処理水などを収容する断面凹形状の排水会所30が設けられている。なお、排水会所30に収容された排水や処理水は、図7に示すように、ポンプ301によって汲み上げられるか、排水会所30の側面に設けられたバルブ302を備えた排水管303を介して外部に設置される水洗水貯槽200などに排出可能に構成されている。
【0040】
コンテナ本体2の内部には、図1及び図3に示すように、液面の高さが順次低くなるよう配置され、処理すべき排水が導入される第1の処理槽の一例としての反応槽31と、反応槽31で処理された処理水が導入される第2の処理槽の一例としての中和槽32と、中和槽32で処理された処理水が導入される第3の処理槽の一例としてのストック(貯留)槽33を少なくとも含む複数の処理槽が配置されている。なお、処理槽の数は、3つに限定されるものではなく、4つ以上配置しても良いことは勿論である。
【0041】
更に説明すると、コンテナ本体2の内部は、図1に示すように、その幅方向に沿った中央部に、作業者が移動する歩廊としての通路34が長手方向に沿って前後の開閉扉23,24の間を繋ぐよう全長にわたり設けられている。また、コンテナ本体2の内部は、通路34を介して長手方向と交差する方向である幅方向に沿った一側(図1中、上側)に位置する第1の処理領域35と、幅方向に沿った他側(図1中、下側)に位置する第2の処理領域36に区画されている。
【0042】
コンテナ本体2の背面側(図1中、右側)には、図4及び図5に示すように、開閉扉24を介して出入りする作業員が足を掛ける領域である踏み台37と、当該踏み台37よりも高く設定された作業台38が設けられている。踏み台37は、漏液防止壁29と同等の高さに設定されている。また、作業台38は、反応槽31及び中和槽32の高さに対応して踏み台37より大幅に高い高さに設定されている。作業台38は、図1に示すように、コンテナ本体2の長手方向に沿ってストック槽33の近傍である略中央部までにわたり配置されている。
【0043】
コンテナ本体2の内部には、図1及び図3に示すように、その幅方向に沿った一側の領域である第1の処理領域35において、長手方向に沿った奥側の端部から順に、外部から処理すべき排水が導入される反応槽31と、反応槽31で処理された処理水が導入される中和槽32と、中和槽32で処理された処理水が導入されるストック槽33が、互いに僅かな間隔を隔てて隣接した状態で配置されている。
【0044】
本実施の形態1では、これらの反応槽31と中和槽32とストック槽33は、同様に構成されている。反応槽31と中和槽32とストック槽33は、上端面が全面又は一部開口された有底円筒形状の合成樹脂製や必要に応じて内周面がテフロン(登録商標)等によりコーティング処理された金属製のタンクからなる。各槽31~33の容量は、例えば、等しい値(500L)に設定されている。各槽31~33、特に反応槽31と中和槽32の容量を等しい値に設定した場合は、各槽における排水の処理を連続的に行うことができるため望ましい。ただし、各槽31~33の容量は、必ずしもすべてが等しく設定されている必要はなく、又その値も500Lに限定されず、処理すべき排水の量に応じてこれより多くても少なくても良いことは勿論である。
【0045】
反応槽31、中和槽32及びストック槽33の容量は、排水処理装置1の単位時間当たりの処理能力に依存する。本実施の形態1に係る排水処理装置1は、例えば、単位時間当たりの処理能力として0.4m/hr、1.0m/hr、2.0m/hrに対応した3機種が用意される。反応槽31に導入される排水は、当該反応槽31の内部において後述するように所定の薬剤と予め定められた時間にわたり混合されて反応処理が行われた後、中和槽32へと移動して更に所定の薬剤と予め定められた時間にわたり混合されて中和される。本実施の形態1では、この反応槽31から中和槽32への処理水の移動を、高低の落差による水頭圧を利用して行っている。そのため、反応槽31の内部に単位時間当たりに導入される排水の量が、排水処理装置1の処理能力を決定する。いま、排水処理装置1の単位時間当たりの処理能力を1.0m/hrとすると、容量が500Lの反応槽31は、約30分で満杯となり、次の中和槽32へと処理水が流れることになる。つまり、反応槽31に導入される排水は、約30分間の時間にわたり反応槽31の内部に滞留し、薬剤と反応を受けることになる。このように、反応槽31に導入された排水は、所定の時間にわたり当該反応槽31の内部で反応処理を受け、次の中和槽32へと連続して流れるようになっている。
【0046】
反応槽31と、中和槽32と、ストック槽33は、図3に示すように、液面の高さが順次低くなるよう配置されている。各槽31~33の液面の高さは、収容される処理水の量が略等しいと仮定して、本実施の形態1では、反応槽31の底面が最も高い位置に設定され、中和槽32の底面が次に高い位置に設定され、ストック槽33の底面が最も低い位置となるよう設定されている。反応槽31は、コンテナ本体2の底面4に配置された第1の支持台40上に更に第2の支持台41を介してその底面が最も高い位置に設定されている。また、中和槽32は、コンテナ本体2の底面4に配置された第1の支持台40を介してその底面が反応槽31の次に高い位置に設定されている。本実施の形態1では、反応槽31と中和槽32の高低差が中和槽32とストック槽33の高低差より大きく設定されている。ストック槽33は、コンテナ本体2の底面4に直接載置され、その底面が最も低い位置に設定されている。そして、反応槽31と、中和槽32と、ストック槽33は、その底面の高さに応じて予め定められた所定量の処理水が収容された状態で液面の高さが高低差を有して順次低くなるよう設定されている。
【0047】
反応槽31と、中和槽32と、ストック槽33は、例えば、上述したように、各槽31~33間の処理水の流れが液面の高低の落差による水頭圧を利用して行われるよう構成されている。そのため、各槽31~33間の処理水の流れには、基本的に、ポンプ等の駆動手段を必要とせず、省エネルギー化が可能となっている。ただし、各槽31~33間の処理水の移動をポンプ等の駆動手段によって行うよう構成しても良い。
【0048】
反応槽31の中和槽32側の上端部には、その側面に、反応槽31から中和槽32へと処理水を高低の落差による水頭圧により流れる第1の連通管42が所定の高さH(図9参照)に配置されている。また、第1の連通管42の反応槽31側の端部は、当該反応槽31内の所定の深さDに位置するよう配置されている。また、第1の連通管42の中和槽32側の端部は、当該中和槽32の上端の開口部に面するよう配置されている。
【0049】
そのため、反応槽31に貯留される処理水の量が第1の連通管42の高さを超えると、反応槽31の内部に貯留された排水は、第1の連通管42を介して中和槽32へと高低の落差による水頭圧により連続的に流れる。反応槽31から中和槽32への処理水の移動は、基本的に、反応槽31と中和槽32の液面の高低差を解消するように行われる。ただし、本実施の形態1に係る排水処理装置1では、排水の処理を連続的に行うよう構成されており、反応槽31と中和槽32の液面の高さは、基本的に、所定の高低差を維持するようになっている。
【0050】
同様に、中和槽32のストック槽33側の上端部には、その側面に、中和槽32からストック槽33へと処理水を高低の落差による水頭圧により流れる第2の連通管43が所定の高さH(図9参照)に配置されている。第2の連通管43の中和槽32側の端部は、当該中和槽32内の所定の深さDに位置するよう配置されている。また、第2の連通管43のストック槽33側の端部は、当該ストック槽33の上端の開口部に面するよう配置されている。
【0051】
そのため、中和槽32に貯留される処理水の量が第2の連通管43の高さを超えると、中和槽32の内部に貯留された処理水は、第2の連通管43を介してストック槽33へと高低の落差による水頭圧により連続的に流れる。中和槽32からストック槽33への処理水の移動は、基本的に、中和槽32とストック槽33の液面の高低差を解消するように行われる。ただし、本実施の形態1に係る排水処理装置1では、排水の処理を連続的に行うよう構成されており、中和槽32とストック槽33の液面の高さは、基本的に、所定の高低差を維持するようになっている。
【0052】
本実施の形態1に係る排水処理装置1は、反応槽31及び中和槽32へ供給された処理水がある程度の時間にわたり当該反応槽31及び中和槽32の内部に滞留するよう、次のような滞留手段を備えるよう構成されている。ここでは、反応槽31を例にして説明するが、中和槽32においても同様に構成されている。
【0053】
反応槽31の内部には、図9に示すように、当該反応槽31内に既に供給された反応途中の処理水と十分に混合されることなく中和槽32へと移動するのを防止するため、反応槽31の流入側には、反応槽31の内部と仕切る湾曲した第1の仕切り壁310が設けられている。第1の仕切り壁310には、その底部に反応槽31の内部と連通する第1の連通口311が開口されている。反応槽31内に供給された排水は、第1の仕切り壁310の内部に留まり、僅かずつ第1の連通口311から反応槽31の内部へと流入する。
【0054】
同様に、反応槽31の内部には、当該反応槽31内に新たに供給されて薬剤と十分に攪拌混合されていない排水が直ちに中和槽32へと移動するのを防止するため、反応槽31の流出側には、反応槽31の内部と仕切る湾曲した第2の仕切り壁312が設けられている。第2の仕切り壁312には、その上端部に反応槽31の内部と連通する第2の連通口313が開口されている。また、第1の連通管42の流出側の端部は、反応槽31内の第2の仕切り壁312の内側において、所定の深さDに位置するよう配置されている。
【0055】
その結果、反応槽31の内部に供給された排水は、第1の仕切り壁310の内側を徐々に下方へと移動し、僅かずつ第1の連通口311から反応槽31の内部へと流入して第1の攪拌機47によって既に反応槽31の内部に供給された処理水や薬剤と十分に攪拌される。その後、反応槽31の内部において薬剤と十分に攪拌された処理水は、第2の仕切り壁312の第2の連通口313から当該第2の仕切り壁312の内部を下方へと移動し、当該反応槽31へ流入した排水と同量の薬剤と混合された処理水が第1の連通管42を介して中和槽32へと移動するよう構成されている。そのため、反応槽31の内部に供給された排水は、所定の時間(例えば、約30分程度)にわたり当該反応槽31の内部に滞留して、後述するように、当該反応槽31の内部に供給される薬剤と十分に攪拌混合されて反応処理が進行した後にはじめて中和槽32へと移動する。
【0056】
コンテナ本体2には、図1及び図3に示すように、反応槽31と中和槽32の上部にわたり、水平方向に沿って配置された平面矩形状の第1の支持枠44が掛け渡されている。第1の支持枠44は、一方の脚部45が第2の支持台41上に立脚し、他方の脚部46が第1の支持台40上に立脚している。
【0057】
第1の支持枠44には、反応槽31及び中和槽32の内部を攪拌する偏心して配置された第1及び第2の攪拌器47,48と、反応槽31及び中和槽32内の処理水のペーハー(PH)を検知する第1及び第2のPHセンサ49,50(図1参照)が取り付けられている。
【0058】
反応槽31の内部には、図7及び図8に示すように、後述する水洗水貯槽200から処理すべき排水が供給配管51を介して供給される。供給配管51の先端部には、開閉バルブ52(図7参照)が取り付けられている。
【0059】
また、ストック槽33の上部には、水平方向に沿って配置された平面矩形状の第2の支持枠53が掛け渡されている。第2の支持枠53は、一方の端部が第1の支持枠44の脚部46に連結して固定されており、他方の脚部54が底面4上に立脚している。
【0060】
第2の支持枠53には、ストック槽33の液面の高さを相対的に高い第1の位置と相対的に低い第2の位置の2カ所でそれぞれ検知する第1及び第2の液面センサ55,56が取り付けられている。また、ストック槽33の内部には、当該ストック槽33の内部に収容された処理水を汲み上げて後述する濾過機80へと供給する第1の供給ポンプ57が収容されている。さらに、ストック槽33の上端部には、濾過機80から逆洗水を還流させる開口部にメッシュ58(図3参照)を備えた還流配管59が開口されている。
【0061】
ストック槽33に収容された処理水は、その液面の高さが第1の液面センサ55によって検知される高さに達すると、第1の供給ポンプ57を駆動することにより濾過機80へと供給される。そして、ストック槽33に収容された処理水は、その液面の高さが第2の液面センサ56によって検知される高さまでに低下すると、第1の供給ポンプ57の駆動を停止し、濾過機80への供給を終了する。
【0062】
また、コンテナ本体2の内部には、図1及び図3に示すように、その幅方向に沿った一側の領域である第1の処理領域35において、長手方向に沿った中央部から他方(左側)の端部へ向けて順に、所定の濃度を有する硫酸を収容した第1の薬剤槽の一例としての硫酸槽61と、水に混合拡散された活性炭を収容した第2の薬剤槽の一例としての活性炭槽62と、水に溶解された消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH))を収容した第3の薬剤槽の一例としての消石灰槽63を備えている。
【0063】
なお、第1~第3の薬剤槽61~63及び後述する第4の薬剤槽97に収容される第1~第4の薬剤としては、硫酸、活性炭、消石灰、及び後述するポリ塩化アルミニウム(或いはポリ硫酸第2鉄あるいは、塩化第二鉄)の組合せを標準ユニットとする。標準ユニットの薬剤を用いることにより、塗装前処理排水、バレル研磨排水、アルマイト処理排水、溶融亜鉛メッキ排水、脱脂及び酸洗工程水洗排水などの排水処理に対応することが可能となる。
【0064】
ただし、薬剤の種類としては、これらに限定されるものではなく、処理すべき排水がシアン化金メッキ工程等を含むメッキ排水である場合には、標準ユニットに加えて、次亜塩素酸ナトリウム及び苛性ソーダ等の酸化処理ユニットを用い、処理すべき排水がクロムメッキ工程等を含むメッキ排水である場合には、標準ユニットに加えて、重亜硫酸ナトリウム及び硫酸等の還元処理ユニットを用いることができる。
【0065】
硫酸槽61は、有蓋且つ有底円筒形状のタンクから構成されている。硫酸槽61の蓋体には、当該硫酸槽61に貯留された所定濃度の硫酸の液面を検知する第3の液面センサ64が取り付けられている。また、硫酸槽61に隣接する第2の支持枠53には、当該硫酸槽61の内部に貯留された硫酸を供給する第2の供給ポンプ65が取り付けられている。第2の供給ポンプ65の供給側には、反応槽31の内部に硫酸を供給する供給配管66(図7参照)が接続されている。
【0066】
硫酸槽61は、第3の液面センサ64によって液面の低下が検知されると、その旨の警告を通知し、作業者によって当該硫酸槽61への硫酸及び希釈水の供給がなされる。
【0067】
本実施の形態1では、図1及び図3に示すように、活性炭槽62と消石灰槽63は、同様に構成されている。活性炭槽62と消石灰槽63は、上端面が全面又は一部開口された有底円筒形状の合成樹脂や内周面がコーティング処理された金属製のタンクからなる。各槽62,63の容量は、例えば、等しく(500L)設定されている。ただし、各槽62,63の容量は、必ずしも等しく設定されている必要はなく、又その値も500Lに限定されず、これより多くても少なくても良いことは勿論である。
【0068】
活性炭槽62と消石灰槽63は、コンテナ本体2の底面4に低い架台67を介して等しい高さに配置されている。活性炭槽62と消石灰槽63の上部には、図1及び図3に示すように、これら活性炭槽62と消石灰槽63にわたり、水平方向に沿って配置された平面矩形状の第3の支持枠68が掛け渡されている。第3の支持枠68は、その脚部69が架台67上に立脚している。
【0069】
第3の支持枠68には、活性炭槽62と消石灰槽63の内部を攪拌する第3及び第4の攪拌機71,72と、当該活性炭槽62及び消石灰槽63の内部にそれぞれ貯留された消石灰と活性炭を供給する第3及び第4の供給ポンプ73,74と、活性炭槽62と消石灰槽63の液面の高さを検知する第5及び第6の液面センサ75,76が取り付けられている。第3及び第4の供給ポンプ73,74の供給側には、反応槽31の内部に活性炭及び消石灰を供給するブレードホース77,78(図7参照)がそれぞれ接続されている。
【0070】
活性炭槽62及び消石灰槽63は、第5及び第6の液面センサ75,76によって液面の低下が検知されると、その旨の警告を通知し、作業者によって当該活性炭槽62及び消石灰槽63への活性炭及び消石灰、更には希釈水の供給がなされる。
【0071】
また、コンテナ本体2の内部には、図1及び図2に示すように、その幅方向に沿った他側の領域である第2の処理領域36において、反応槽31、中和槽32及びストック槽33と通路34を挟んで対向する位置に、ストック槽33に貯留された処理水を全量にわたり濾過する第1の濾過手段の一例としての濾過機80が配置されている。
【0072】
濾過機80は、図1に示すように、内部が複数の濾過室(例えば、25室)に区画されて処理水が注入される特殊素材からなるフィルター部材81を、固定盤82と可動盤83によって保持した状態で構成されている。なお、可動盤83は、移動機構84により濾過位置から離間した清掃位置に移動可能となっている。因みに、図1は、フィルター部材81が濾過位置にある状態を示している。フィルター部材81は、左側端部は、固定盤82に固定されておらず、他端部(右側端部)が可動盤83に連結されて水平方向に沿って移動可能に構成されている。
【0073】
フィルター部材81の濾過室内には、図2に示すように、固定盤82側の上端部に接続された供給管85から第1の供給ポンプ57により供給配管86を介してストック槽33内に収容された処理水が導入される。この状態では、フィルター部材81が濾過状態にある。濾過については、逆洗機能付きのタイプもあり、その場合は、供給管85には、逆洗洗浄水をストック槽33へと還流させる還流配管59(図7参照)が接続されている。
【0074】
そして、濾過機80は、フィルター部材81の内部に処理水を連続的に導入しつつ、フィルター部材81内の濾過室によって処理水を全量濾過する。フィルター部材81によって濾過された処理済水は、図1及び図2に示すように、当該フィルター部材81の内部を通して一端部の下方に設けられた2本の排水管87,88から放流槽90の内部へと排出される。
【0075】
フィルター部材81の下方には、図2及び図4に示すように、当該フィルター部材81から漏れたドレンを受ける受板91が傾斜した状態で配置されている。受板91上に落下したドレンは、当該受板91の下端部に設けられた樋部92を介してドレンタンク93へと回収される。ドレンタンク93の内部には、回収したドレンを水洗水貯槽200へと供給する第4の供給ポンプ94が収容されている。また、ドレンタンク93には、図4に示すように、回収したドレンの液面を検知する液面センサ94aが設けられている。そして、液面センサ94aによってドレンタンク93内のドレンの液面が所定の高さに達したことが検知されると、第4の供給ポンプ94からは、ドレンタンク93に貯留されたドレンがリターン配管95(図7参照)を介して水洗水貯槽200へと戻される。
【0076】
濾過機80のフィルター部材81によって濾過された処理水中の固形成分であるスラッジは、濾過動作を実行していないとき、所定のタイミングでフィルター部材81を水平方向に沿って開く方向に移動させることにより、フィルター部材81の図示しない排出口を開放することで下方に位置するスラッジパン96上に排出される。なお、濾過機80による一連の濾過工程は、上述したように、ストック槽33の液面の高さに応じて実行される。
【0077】
スラッジパン96は、図示しないガイド機構により、コンテナ本体2の右側の側面に設けられた開口部25(図6参照))から外部に引き出し可能に構成されている。スラッジパン96は、コンテナ本体2の開口部25から外部に引き出すことにより、スラッジパン96に収容されたスラッジをフォークリフト等の作業車によって容易に回収可能となっている。
【0078】
なお、濾過機80としては、フィルター部材81を水平方向に沿って配置したものについて説明したが、これに限定されるものではなく、フィルター部材81を上下方向に沿って配置したものであっても良い。ただし、濾過終了後にフィルター部材81からスラッジを排出する際の作業性等を考慮すると、フィルター部材81を水平方向に沿って配置するのが望ましい。
【0079】
コンテナ本体2の内部には、図1及び図2に示すように、第2の処理領域36において、濾過機80と隣接する位置に、濾過機80で濾過された後の処理水(処理済排水)を外部に放流するために収容する放流槽90と、PAC(ポリ塩化アルミニウム)を収容した第4の薬剤槽の一例としてのPAC槽97と、濾過機80などを洗浄する洗浄水が貯留された逆洗水槽98が互いに隣接して配置されている。
【0080】
硫酸槽61、活性炭槽62及びPAC槽97は、いずれも収容した薬剤を反応槽31へと供給するものであり、他の消石灰槽63等に比較して、反応槽31に近接した位置に配置されている。そのため、硫酸槽61、活性炭槽62及びPAC槽97から反応槽31へと薬剤を供給する配管の長さを相対的に短くすることが可能となる。
【0081】
コンテナ本体2には、図1及び図3に示すように、放流槽90と、PAC槽97と、逆洗水槽98の上部にわたり、水平方向に沿って配置された平面矩形状の第4の支持枠100が掛け渡されている。第4の支持枠100は、その脚部69が底面4上に立脚している。
【0082】
第4の支持枠100には、放流槽90の液面の高さを検知する第7の液面センサ101と、当該放流槽90内に貯留された処理水をコンテナ本体2の外部に放流するための放流ポンプ102と、ペーハーを検知すると共に検出されたペーハー値を記録可能なPHセンサ103と、放流ポンプ102によって処理後の処理水を外部に放流する放流用の配管104が配設されている。放流ポンプ102は、放流槽90の液面の高さに応じて駆動及び停止を自動的に切り替える機能を有しており、放流槽90の液面の高さを所定の範囲に維持している。また、第7の液面センサ101は、放流槽90の液面の高さが異常に上昇したことを検知して警報を発する。
【0083】
放流用の配管104は、図7に示すように、バルブ105を介して分岐しており、処理水を水洗水貯槽200へと戻す帰還用の配管106が接続されている。そして、PHセンサ103によって検知された処理後の処理水のペーハーが所定の基準値から外れる場合には、放流用の配管104に設けられたバルブ107を閉じ、帰還用の配管106を介して処理水を水洗水貯槽200へと戻すことが可能となっている。
【0084】
また、放流用の配管104は、帰還用の配管106より上流側で逆止バルブ108及びバルブ109を介して更に分岐しており、放流槽90内の処理水を当該当該放流槽90内へ戻すバルブ110を備えた戻し配管111が接続されている。
【0085】
また、第4の支持枠100には、PAC槽97内のPACを反応槽31に供給する第5の供給ポンプ112と、PAC槽97内に収容されたPACの液面を検知する液面センサ113が取り付けられている。第5の供給ポンプ112の供給側には、反応槽31の内部にPACを供給する供給配管114(図7参照)が接続されている。
【0086】
さらに、逆洗水槽98には、図7に示すように、当該逆洗水槽98内に収容された洗浄水を濾過機80に供給する供給ポンプ115と、当該逆洗水槽98の内部に給水用配管402から一定量の洗浄水を供給して貯留する供給栓116が配置されている。供給ポンプ115には、予め定められたタイミングで濾過機80に供給配管117(図7参照)を介して洗浄水を供給する配管117が接続されている。
【0087】
また、コンテナ本体2の内部には、逆洗水槽98に隣接する角部に、架台121上に立設され、排水処理装置1の動作及び電気系統を制御する制御操作盤120が設けられている。
【0088】
制御操作盤120は、排水処理装置1の電気系統を構成する各部材に電力を供給するとともに、各種センサからの検知信号が入力されて、排水処理装置1の動作を図示しないプログラムに従って制御する制御機能を備えている。
【0089】
制御操作盤120は、各種センサからの検知信号が所定の基準値から外れているときは、コンテナ本体2の外部に設置されたモニタ室へと警報などを通知する機能を有するとともに、各種センサからの検知信号を出力する。
【0090】
図7は上記の如く構成される排水処理装置1の配管系統及び電気系統を示す系統構成図である。なお、排水処理装置1のコンテナ本体2の内部には、その天井部などに、外部の図示しないコンプレッサーなどから圧縮空気を供給する圧縮空気用配管401と、外部の図示しない水道栓やポンプなどから希釈水や洗浄水として使用する水を供給する給水用配管402が設けられている。給水用配管402の分岐した先端部には、開閉バルブ403がそれぞれ装着されている。
【0091】
図7において、符号200は、コンテナ本体2の外部に配置され、処理すべき排水(以下、「水洗水」ともいう。)を貯留した水洗水貯槽を示している。水洗水貯槽200には、隣接する図示しない工場等から処理すべき排水が、例えば、1m/hrの流量で流入口201から流入し貯留される。排水の種類としては、特に限定されるものではなく、機械加工や組立工程が施された金属製品などを塗装する際に、酸やアルカリなどを用いて脱脂処理や化成処理を行った後の脱脂水洗水や化成水洗水などの塗装前の処理排水や、タンク型の装置の中に研磨する製品と共に研磨石や研磨剤及び水を混合して攪拌するバレル研磨処理後の排水、或いはアルマイト処理(アルミニウムの陽極酸化処理)後の排水、更には溶融亜鉛メッキ等のメッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおいて脱脂処理及び硫酸や塩酸等による酸洗処理を施した後の排水などの様々な排水が挙げられる。また、排水の種類としては、生活排水などを排除するものではない。
【0092】
水洗水貯槽200としては、コンテナ本体2の外部に配置されたものに限定されるものではなく、図10に示すように、コンテナ本体2の上部に当該コンテナ本体2と同様のコンテナ構造体500の内部に配置されたものであっても良い。この場合には、狭い設置面積の中にコンテナ本体2及び水洗水貯槽200を設置することが可能となる。
【0093】
コンテナ構造体500aは、コンテナ本体2と同様、ISOのコンテナ規格に適合したものである。コンテナ構造体500aは、20フィートのサイズを有しており、外寸がコンテナ本体2と等しく設定されている。コンテナ構造体500は、底面と、天井面と、底面と天井面を繋ぐ4本の支柱6~9を備えており、側面は前後左右ともすべて開放されている。コンテナ構造体500は、底面4を含む所定の高さ(700mm程度)にわたり、コンテナ本体2と同様に漏液防止壁29が施されている。図示例では、コンテナ構造体500aの底面4上に水洗水貯槽200が3基設置されている。
【0094】
コンテナ構造体500aの背面には、作業者が当該コンテナ構造体500に上がり降りするための階段STが設置されている。
【0095】
本実施の形態1に係る排水処理装置1が設置される工場においては、通常、1種類の排水が水洗水貯槽200に貯留される。ただし、これに限定されるものではなく、工場の処理工程に応じて時間差や日にち差で2~3種類の異なった排水が水洗水貯槽200に貯留されるものであっても良い。この場合、水洗水貯槽200に貯留される排水は、その化学的特性等に応じて互いに異なる複数の水洗水貯槽200,200・・・に貯留されるように構成しても良い。ここでは、水洗水貯槽200に1種類の排水が貯留されるものとする。
【0096】
水洗水貯槽200には、図8に示すように、当該水洗水貯槽200に収容される排水の液面(高・中・低)を検知する複数の液面センサ202~204や、外部から液面の高さを目視可能なレベルゲージ205などが装備されている。また、水洗水貯槽200の内部には、当該水洗水貯槽200に収容された排水を供給用の配管51を介してコンテナ本体2内の反応槽31へと供給する供給ポンプ206が配設されている。なお、供給ポンプ206により供給される排水は、その一部がバルブ208を有する分岐した配管209を介して還流可能に構成されている。
【0097】
また、水洗水貯槽200には、コンテナ本体2の内部からドレンタンク93内のドレン及び放流槽90内の処理水を導入用の配管95,106を介してそれぞれ導入する導入口212,213が設けられている。
【0098】
なお、図8中、符号214は水洗水貯槽200内の空気を外部に排気する抜気管を、215は梯子を、216は水洗水貯槽200が設置される箇所の底面及び周囲に配置された漏液防止壁をそれぞれ示している。
【0099】
一方、コンテナ本体2の内部に配置される反応槽31には、図7に示すように、硫酸槽61、活性炭槽62、消石灰槽63、PAC槽97からそれぞれブレードホースもしくは配管66,77,78,114を介して硫酸槽61、活性炭槽62、消石灰槽63、PAC槽97などの薬剤が投入可能に構成されている。また、反応槽31には、当該反応槽31の内部に収容された処理水のペーハー(PH)を検知する第1のPHセンサ49が配置されている。
【0100】
また、中和槽32には、消石灰槽63からブレードホース78を介して消石灰が投入可能に構成されている。また、中和槽32には、当該中和槽32の内部に収容された処理水のペーハーを検知する第2のペーハーセンサ50が配置されている。
【0101】
さらに、ストック槽33には、液面の高さを検知する液面センサ53,54と、当該ストック槽33に貯留された処理水を濾過機80に供給するポンプ57が配置されている。
【0102】
硫酸槽61には、液面の高さを検知する液面センサ64と、当該硫酸槽61に貯留された硫酸を反応槽31に供給するポンプ65が配置されている。
【0103】
活性炭槽62には、液面の高さを検知する液面センサ75と、当該活性炭槽62に貯留された活性炭灰を反応槽31に供給するポンプ73が配置されている。
【0104】
消石灰槽63には、液面の高さを検知する液面センサ76と、当該消石灰槽63に貯留された消石灰を中和槽32に供給するポンプ74が配置されている。
【0105】
なお、コンテナ本体2の上部には、図7に示すように、換気扇130が配置されており、コンテナ本体2内の換気が可能となっている。また、コンテナ本体2の側面には、図10に示すように、開閉窓131などの開閉可能な開口部を適宜備えていても良い。コンテナ本体2などを備えた排水処理装置1は、寒冷地などに設置される場合、外気温の低下などに伴って処理水が凍結することが考えられるが、コンテナ本体2内を密閉した空間とすることで、必要に応じて暖房設備等を設けることにより、処理水の凍結などに対応することが可能となる。
【0106】
<排水処理装置の動作>
ところで、上記の如く構成される排水処理装置は、次のようにして、塗装前の処理排水や、バレル処理の排水、あるいはアルミニウムの酸化処理後の排水、メッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理後の排水などの様々な排水に対応することができ、しかも所望の場所に従来に比べて短期間且つ低コストで設置して稼働することが可能となっている。
【0107】
すなわち、本実施の形態1に係る排水処理装置1は、図示しない工場等の敷地に設置される以前に、当該工場等から排出される処理すべき排水の化学的性質や単位時間当たりの処理量などに応じた排水の処理内容に従って、コンテナ本体2の内部に配置すべき処理槽の種類や数、あるいは薬剤を収容した薬剤槽の種類や数などが予め決定される。
【0108】
そして、本実施の形態1に係る排水処理装置1は、図1乃至図5に示すように、ISO規格のコンテナ本体2をベースとして当該排水処理装置1を製造する工場にて組み立てられる。
【0109】
コンテナ本体2には、図2に示すように、底面4に鋼板28が全面にわたり敷設されるとともに、鋼板28の外周に沿って漏液防止壁29が形成され、漏液防止加工が施される。また、コンテナ本体2には、図6に示すように、開閉扉23,24や開口部25及び当該開口部25を開閉するシャッター26などの外装部材が装備され、内部には、通路34を構成する踏み台37や作業台38が設置される。さらに、コンテナ本体2内の第1及び第2の領域35,36には、第1乃至第4の架台44,53,68,100などが装着される。
【0110】
また、コンテナ本体2の内部には、図1乃至図3に示すように、処理すべき排水の化学的性質等に応じて、反応槽31、中和槽32、ストック槽33、硫酸槽61、活性炭槽62、消石灰槽63、放流槽90、PAC槽97、逆洗水槽98などの処理槽や薬剤槽を構成するタンクが搬入されて所定の位置に設置され固定される。
【0111】
硫酸槽61、活性炭槽62、消石灰槽63、PAC槽97などの薬剤槽には、予め所定の薬剤を収容しても良いが、コンテナ本体2の搬送時における揺れ等に起因した液漏れなどを考慮すれば、薬剤槽には、設置後に所定の薬剤を収容するのが望ましい。
【0112】
また、反応槽31、中和槽32、ストック槽33、硫酸槽61、放流槽90、PAC槽97、逆洗水槽98などの処理槽や薬剤槽には、図7に示すように、所定のセンサや供給ポンプなどが装着される。
【0113】
また、コンテナ本体2の内部には、図1及び図2に示すように、開口部25を介して濾過機80が搬入されて設置される。
【0114】
このようにして、排水処理装置1の組立(製造)工程は、当該排水処理装置1を設置する現地ではなく、排水処理装置1の製造工場にて事前に完了する。
【0115】
その後、排水処理装置1を構成するコンテナ本体2は、図2に示すように、図示しないトレーラー等の運搬手段によって設置場所へと搬送され、クレーン等により吊り上げられて所定の設置面B上に設置される。
【0116】
さらに、コンテナ本体2には、図7に示すように、設置後に、電気系統や信号系統が接続されるとともに、給水系が接続される。
【0117】
なお、コンテナ本体2の上部には、図10に示すように、コンテナ構造体500aとして構成された水洗水貯槽200が配置される。図10中、符号Sは階段を示している。
【0118】
また、水洗水貯槽200は、コンテナ本体2の上部に配置される以外に、コンテナ本体2に隣接した場所に、図10に示すように、処理すべき処理水を収容する水洗水貯槽200が配置される。処理すべき排水の量が大幅に少ない場合は、処理すべき排水を水洗水貯槽200を介さず反応槽31内に直接導入するように構成しても良い。
【0119】
水洗水貯槽から反応槽31の内部に導入される排水としては、例えば、バレル処理後の鉄粉などの微粒子が混合された排水が挙げられる。また、水洗水貯槽200から反応槽31の内部に導入される排水としては、鋼板の塗装処理前に硫酸等などにより酸洗処理が施された排水が挙げられる。この排水は、非常に強い酸性を呈し、鉄イオン及び硫酸などを含入した水である。また、水洗水貯槽200から反応槽31の内部に導入される排水としては、アルミニウムの酸化処理後のアルミニウムが溶解した水や、メッキ処理後の銅や亜鉛、ニッケルなどの重金属が溶解した水などが挙げられる。
【0120】
ここでは、水洗水貯槽200から反応槽31の内部に導入される排水として、バレル処理後の鉄粉などの微粒子が混合された排水を例にして説明する。
【0121】
水洗水貯槽200から排水が導入された反応槽31には、図3に示すように、硫酸槽61から所定濃度の硫酸が適量だけ供給されて未溶解の鉄粉などの金属粉が溶解される。
【0122】
その後あるいは同時に、反応槽31には、図7に示すように、活性炭槽62から活性炭及びPAC槽97からPACが供給され、第1の攪拌機47によって所定時間(約30分程度)にわたり攪拌されて反応処理が実行される。
【0123】
反応槽31内に収容された排水は、図3及び図8に示すように、当該反応槽31内において所定時間が経過すると、第1の連通管42を介して中和槽32へと移動する。中和槽32内へと供給された処理水には、消石灰槽63から消石灰が供給されて中和される。この中和処理は、中和槽32内に供給された処理水を完全に中和させるものであっても勿論良いが、中和槽32内に供給された処理水の酸性度を低下させて通常の排水として処理しても問題がない程度に中和された状態に近づけるものであれば良い。
【0124】
中和槽32内に収容された処理水は、第2の攪拌機48によって攪拌されるとともに、PHセンサ50によってペーハーが検知され、所定の範囲内のペーハーとなるよう消石灰槽63から消石灰が適宜供給されて中和される。
【0125】
次に、中和槽32の内部で中和処理が施された処理水は、当該中和槽32内において所時間が経過すると、第2の連通管43を介してストック槽33へと移動する。
【0126】
ストック槽33では、中和槽32の内部でアルカリ中和法などにより中和された鉄イオンが鉄の水酸化物となって水と分離され、活性炭及びPACと混合され吸着されて固形化する。ストック槽33内で鉄の水酸化物などが水と分離されて固形化した処理水は、第3の供給ポンプ57により濾過機80へと供給される。
【0127】
濾過機80では、フィルター部材81によって固形化した成分が分離除去されて、濾過後の処理済水が放流槽90内に収容され、放流槽90内に配置されたポンプ102によって通常の排水として公共升600などに排出されて、排水の処理工程が終了する。
【0128】
なお、濾過機80は、一定時間だけ運転した後であって濾過動作以外の時間に、フィルター部材81に蓄積された固形化した成分であるスラッジが除去される。
【0129】
このように、本実施の形態1に係る排水処理装置1は、ISO規格に適合したコンテナ本体2を備え、当該コンテナ本体2の内部に反応槽31、中和槽32、ストック槽33や硫酸槽61、活性炭槽62、消石灰槽63、PAC槽97などの薬剤槽などが配置されており、所定の中和凝集処理が施された後に、濾過機80で濾過を行うよう構成されている。
【0130】
そのため、本実施の形態1に係る排水処理装置1は、従来の排水処理設備(プラント)のように、まず、排水処理設備を設置する場所に漏液防止壁等を施工した上で、反応槽31や中和槽32などの処理槽、あるいは薬剤槽などを設置する必要がなく、従来に比べて大幅に短い工期で設置して稼働することが可能となる。
【0131】
また、本実施の形態1に係る排水処理装置1は、薬剤として、標準ユニットの薬剤や、当該標準ユニットの薬剤とともに還元処理ユニットや酸化処理ユニットの薬剤などを使用することにより、塗装前の処理排水や、バレル処理の排水、あるいはアルミニウムの酸化処理後の排水、メッキ処理後の排水、半導体製造装置などにおける脱脂処理後の排水などの様々な排水に対応することが可能となっている。
【0132】
ところで、本実施の形態1に係る浄水装置は、上記の如く構成される排水処理装置1の構成を前提としている。
【0133】
図11乃至図14は本発明の実施の形態1に係る浄水装置の全体を示す構成図であり、図11は浄水装置を示す平面構成図、図12は浄水装置を示す正面構成図、図13は浄水装置を示す背面構成図、図14は浄水装置を示す平面構成図である。なお、前記排水処理装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0134】
浄水装置500は、図11に示すように、ISO規格に適合したコンテナ本体2を備えている。このコンテナ本体2は、例えば、20フィートの規格に沿ったものである。コンテナ本体2は、外寸が縦6058mm、横2438mm、高さ2591mmに設定されている。
【0135】
コンテナ本体2は、図12及び図14に示されるように、その天井面3の上部に、浄水装置500に電力を供給する太陽光パネル又は風力発電機の少なくとも1つからなる電力供給手段を備えている。本実施の形態1に係る浄水装置500は、上述したように、処理すべき排水の一例としての原水や処理水を移動させるためのポンプ、及び反応槽31や中和槽32などを撹拌する攪拌機を駆動するモータ等で可動されるため、RO膜を使用した浄水装置のように高圧ポンプなどを使用する必要がなく、汎用的で消費電力の低いポンプのみで構成されるため、0.5kWh/m程度の浄水能力を有しており、コンテナ本体2に設置される太陽パネルや風力発電機から供給される電力によって賄うことができる。ただし、本実施の形態1に係る浄水装置500においても、発電機や外部から供給される電力を使用しても良いことは勿論である。
【0136】
図示の実施の形態1では、コンテナ本体2の天井面3の上部に、9枚の太陽光パネル501,501・・・と、2基の風力発電機502,502が設置されている。太陽光パネル501,501・・・は、縦1000mm、横1750mmの平面矩形状に形成されている。太陽光パネル501,501・・・は、その背面が支柱501aによって支持されており、例えば、真南の方角に向けて最も望ましい角度である30度の傾斜角度をなすよう配置されている。太陽光パネル501,501・・・は、コンテナ本体2の天井面3の上部に固定して配置されている。そのため、太陽光パネル501,501・・・は、コンテナ本体2の前後の側壁5,6が東西方向を向くよう設置することにより、結果的に真南の方角に向くよう配置されている。太陽光パネル501,501・・・は、例えば、良好な条件下において1平方メートルあたり100~300W程度の発電能力を有する。また、風力発電機502は、風の強さにもよるが、例えば、1時間あたり200~400W程度の電気を発電する。太陽光パネル501,501・・・や風力発電機502,502によって発電された電力は、コンテナ本体2の内部に設置された図示しない蓄電器に蓄積され、必要に応じて図示しないコンバータを介して必要な機器の駆動や制御などに使用される。
【0137】
浄水装置500で飲料水化される原水は、図15に示されるように、取水口503から取水され、異物除去手段の一例としてのサイクロン型の遠心分離装置504によって液体と固体が分離され固形物などの異物が除去される。サイクロン型の遠心分離装置504は、コンテナ本体2の内部に配置しても勿論良いが、図示の実施の形態では、コンテナ本体2の外部に配置している。サイクロン型の遠心分離装置504によって除去された固形物などの異物は、そのまま取水口503から排出されるか、コンテナ本体2の外部に設けられた収容所に収容される。原水としては、例えば、河川や湖沼の水、海水、あるいは地上に貯留した雨水などが用いられるが、これらに限定されるものではなく、地下水や生活排水などであっても良い。
【0138】
遠心分離装置504によって異物が除去された原水は、ポンプ505によって反応槽31に供給される。
【0139】
そして、反応槽31内に供給された原水は、上述したように、当該反応槽31の内部において種々の薬剤と反応して処理された後、中和槽32へと送られて中和される。中和槽32の内部において中和処理された処理水は、ストック槽33に貯留される。反応槽31、中和槽32、ストック槽33における各処理時間は、約15分程度である。ストック槽33に貯留された処理水は、ポンプ57によって第1の濾過機80へと送られて、薬剤により固化されたスラッジと分離する濾過処理が施される。第1の濾過機80は、複数のフィルター室を備えたものであり、連続的に処理水を濾過する連続運転が可能である。
【0140】
本実施の形態1では、反応槽31、中和槽32として、容量が500Lのタンクが、ストック槽33として、容量が200Lのタンクがそれぞれ使用されている。また、反応槽31に供給する薬剤を収容する活性炭槽62、消石灰槽63としては、容量が500Lのタンクが、硫酸槽61として、容量が200Lのタンクがそれぞれ使用されている。なお、図11中、符号Tは、反応槽31や中和槽32などの下端部を固定する固定部材を示している。
【0141】
第1の濾過機80で濾過処理が施された処理水は、放流槽90の内部に一旦貯留される。その後、放流槽90に貯留された処理水は、ポンプ99によって第2の濾過手段の一例としての砂濾過槽506へと送られ、砂濾過される。砂濾過槽506は、円筒形状に形成された濾過槽本体の内部に濾過砂や砂利、活性体などの濾材を収容したものである。砂濾過槽506は、例えば、1時間あたり3mの処理能力を有している。
【0142】
砂濾過槽506を通過して浄水処理された処理水は、混合手段の一例としてのラインミキサー507によって消毒薬槽508の内部に収容された消毒薬509と混合され、飲料水として貯水槽511へ送られ貯留される。消毒薬槽508内の消毒薬509は、ポンプ510によってラインミキサー507に供給される。消毒薬509の一例としては、例えば、塩素を含有した所要の濃度の飲料水用の次亜塩素酸ナトリウムが用いられる。次亜塩素酸ナトリウムは、塩素の強い酸化作用により砂濾過槽506を通過して浄水処理された処理水中の微生物などを殺菌し消毒する。
【0143】
このようにして、上記の如く構成される浄水装置500では、飲料水として使用する原水を取水して、固体からなる異物を除去した後、排水処理装置1と同様の工程によって酸やアルカリ、あるいは溶解金属などが除去され、浄水化処理が施される。その後、浄水化処理が施された処理水は、砂濾過槽506によって砂濾過が施されて飲料水化されるともに、飲料水用の次亜塩素酸ナトリウム等の消毒薬によって消毒され、安全な飲料水として貯水槽511に貯留されて飲用に供される。
【0144】
本実施の形態1に係る浄水装置500は、反応槽31で薬剤と反応させて、凝集後の固液分離を第1の濾過機80によって行うため、第1の濾過機80が小型であって省スペースかつ連続運転が可能であり、使用した原水量と浄水の製造量は、ほぼ一致するものである。
【0145】
また、本実施の形態1に係る浄水製造装置500は、原水や処理水の移動を汎用的で消費電力が低いポンプのみで行うことができ、消費電力量は、0.5kWh/m3程度であり、太陽光パネルなどの自然エネルギーを用いた電力供給手段で、1日の造水量は5m3を超えるものである。
【0146】
さらに、本実施の形態1に係る浄水装置500は、反応槽31、中和槽32、ストック槽33の各槽における反応時間が各15分程度で済み、濾過時間を含めて1時間以内での立ち上がりが可能となる。
【0147】
また、本実施の形態1に係る浄水装置500は、消費電力の低いポンプや攪拌機で構成することができ、インバーターやブレーカーや動力線なども汎用的な小型サイズのものを選定することができ、制御盤の内部に全て収めることが可能であり、浄水装置全体としてのコストは相対的に低くなる。
【0148】
さらに、本実施の形態1に係る浄水装置500は、原水を汲み上げる際にサイクロン式の遠心分離機などからなる異物除去手段を備えているため、後段での水処理の負荷を低減することができる。その後、浄水装置1内の第1の濾過機80にて汚泥を濃縮脱水しているため付帯設備を必要とせず、汚泥も含水率70%程度の焼却処分が可能な固形分となっている。そのため、廃棄コストも廃棄物保管コストも安価となり、装置の低コスト化が可能となる。
【0149】
なお、図11等に示す本実施の形態1に係る浄水装置500では、反応槽31や中和槽32、あるいは活性炭槽62や消石灰槽63として容量が相対的に大きいタンクを使用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、反応槽31や中和槽32、あるいは活性炭槽62や消石灰槽63等としては、図19及び図20に示すように、容量が300L程度の容量が相対的に小さいタンクを使用しても良い。この場合、放流槽90は、例えば、第1の濾過機80と制御操作盤120の間に配置される。
【0150】
[実施の形態2]
図20乃至図26は本発明の実施の形態2に係る浄水装置を示す構成図であり、前記実施の形態1に係る浄水装置と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0151】
本発明の実施の形態2に係る浄水装置1は、処理すべき原水の量が実施の形態1に比べて少なく設定されている。それに伴って、各処理槽や薬剤槽の容量や配置などが実施の形態1と異なり小型化されている。
【0152】
すなわち、実施の形態2に係る浄水装置500は、図20乃至図25に示すように、コンテナ本体2として、JIS規格に適合した12フィートのものを採用している。コンテナ本体2は、外寸が縦3658mm、横2438mm、高さ2591mmに設定されている。
【0153】
コンテナ本体2の天井面3の上部には、4枚の太陽光パネル501,501・・・と、2基の風力発電機502,502が設置されている。太陽光パネル501,501・・・は、実施の形態1と同じ縦1000mm、横1750mmの平面矩形状に形成されたものを採用している。風力発電機502,502は、実施の形態1と同様、2基配置されている。
【0154】
コンテナ本体2の内部には、左側面7に面して前側面側5の端部から反応槽31、中和槽、ストック槽、放流槽の順に配置されている。反応槽31、中和槽32、ストック槽33としては、容量が200Lのものが、放流槽としては、容量が100Lのものが使用されている。
【0155】
また、コンテナ本体2の内部には、後側面6に面して濾過機80が左側面7から右側面にわたり設定されている。濾過機80としては、実施の形態1に比較して少ないフィルター室の数が10室の小型のものが使用されている。
【0156】
濾過機80に面したコンテナ本体2の内部には、消石灰槽63、活性炭槽62、硫酸槽61が収容されている。硫酸槽61には、PAC槽97が隣接して配置されている。消石灰槽63、活性炭槽62、硫酸槽61としては、容量が200Lのタンクが用いられている。また、PAC槽97としては、容量が100Lのタンクが用いられている。
【0157】
また、実施の形態2に係る浄水装置500は、第2の濾過手段として、砂濾過槽506の代わりに、複数本のカートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・を用いている。カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・としては、例えば、単位時間当たりの濾過能力が0.48m/hのものを並列的に配置したものが用いられる。カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・は、砂濾過槽506に比較して小型である反面、単位時間当たりの濾過能力が0.48m/hと砂濾過槽の3m/hと比べて小さい。そのため、カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・は、図26に示すように、並列的に接続されて単位時間あたりの処理能力を担保している。
【0158】
カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・は、定期的に、カートリッジフィルターが交換される。ただし、カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・は、第1の濾過機80の下流側に配置されているため、当該カートリッジフィルター式の濾過装置520、520・・・に供給される処理水は、第1の濾過機80で除去しきれなかった極微細な残留物のみである。
【0159】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0160】
[実施の形態3]
図27及び図28は本発明の実施の形態3に係る浄水装置を示す構成図であり、前記実施の形態1に係る浄水装置と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0161】
本発明の実施の形態3に係る浄水装置1は、単一のコンテナ本体2の内部に浄水装置500を構成するすべての部材を収容するのではなく、複数のコンテナ本体2を各機能別にモジュールとして構成されており、複数のモジュールを組み合わせることによって浄水装置500を構成している。
【0162】
図27(a)に示す浄水装置1は、複数のモジュールとして、水平方向に沿って互いに離間して配置された反応槽モジュールM1のコンテナ本体2と、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2と、濾過機モジュールM3のコンテナ本体2とを備えている。反応槽モジュールM1のコンテナ本体2と中和槽モジュールM2のコンテナ本体2は、第1の配管モジュールM4によって互いに接続されている。また、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2と濾過機モジュールM3のコンテナ本体2とは、第2の配管モジュールM5によって互いに接続されている。
【0163】
反応槽モジュールM1のコンテナ本体2の内部には、例えば、反応槽31と、硫酸槽61と、活性炭槽が収容されている。また、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2の内部には、中和槽32と、ストック槽33と、活性炭槽と、放流槽90が収容されている。濾過機モジュールM3のコンテナ本体2の内部には、第1の濾過機80と、砂濾過槽506と、消毒薬槽508が収容されている。
【0164】
反応槽モジュールM1のコンテナ本体2と、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2と、濾過機モジュールM3のコンテナ本体2は、図27(b)に示すように、水平方向に沿って互いに隣接させて隙間なく配置しても良い。
【0165】
このように構成した場合には、反応槽モジュールM1、中和槽モジュールM2及び濾過機モジュールM3の各コンテナ本体2~2の内部に収容される反応槽31や硫酸槽61、中和槽32、ストック槽33、活性炭槽、放流槽90、あるいは第1の濾過機80や砂濾過槽506などとして、容量の大きなものを使用することができ、単位時間当たりの浄水処理の処理能力を大幅に増加させることができる。また、各コンテナ本体2~2の天井面3には、太陽光パネル501,501・・・や風力発電機502,502がそれぞれ配置されるため、各コンテナ本体2~2などで使用されるポンプとして大型のものを採用することができ、この面からも処理能力の増加を図ることができる。
【0166】
また、図28(a)に示す浄水装置1は、反応槽モジュールM1のコンテナ本体2と、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2と、濾過機モジュールM3のコンテナ本体2を鉛直方向に沿って積載した状態で配置して構成されている。
【0167】
さらに、図28(b)に示す浄水装置1は、中和槽モジュールM2のコンテナ本体2の上部に反応槽モジュールM1のコンテナ本体2を配置するとともに、中和槽モジュールM2に間隙をおいて濾過機モジュールM3のコンテナ本体2を配置している。
【0168】
そのため、これらの浄水装置1の場合には、浄水処理の処理能力を増加させつつ、コンテナ本体2の設置面積を相対的に小さくすることができる。
【0169】
また、これらの浄水装置1の場合には、鉛直方向に沿った上方に位置する反応槽モジュールM1のコンテナ本体2から下方に位置する中和槽モジュールM2や濾過機モジュールM3へ重力を利用して処理水を移動させることができ、浄水処理の処理能力を増加させ、コンテナ本体2の設置面積を小さくしつつ、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0170】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
[実施の形態4]
図29及び図31は本発明の実施の形態4に係る浄水装置を示す構成図であり、前記実施の形態1に係る浄水装置と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0172】
本発明の実施の形態4に係る浄水装置500は、飲料水などに使用される浄水を生成するものではなく、主に医療用などに使用される蒸留水を生成するために使用されるものである。
【0173】
この浄水装置500は、浄水装置用のコンテナ本体2以外に、蒸留ユニット700のためのコンテナ本体2aを備えている。浄水装置用のコンテナ本体2及び蒸留ユニット700のコンテナ本体2aとしては、例えば、JIS規格に適合した12フィートのものを採用している。
【0174】
蒸留ユニット700のコンテナ本体2aの天井面3には、浄水装置用のコンテナ本体2と同様に、4枚の太陽光パネル501,501・・・と2機の風力発電機502,502がそれぞれ配置される。蒸留ユニット用のコンテナ本体2aの太陽光パネル501,501・・・や風力発電機502,502によって発電された電力は、主として、蒸留ユニット700を駆動するための加熱源やポンプ等に使用される。
【0175】
蒸留ユニット700コンテナ本体2aの内部には、図33乃至図36に示すように、蒸留装置を構成する複数の蒸留装置構成要素として、蒸留対象物としての浄水が投入される蒸留釜701と、蒸留釜701から気化した成分を取り出す短い蒸留塔702と、蒸留釜701から気化して蒸留塔702を通過した成分を凝集させる凝集器の一例としてのコンデンサー部703と、コンデンサー部703により初期的に凝集された初期蒸留物を収容する第1の受器704と、コンデンサー部703により凝集された目的とする蒸留水を収容する第2の受器705と、コンデンサー部703の先端部を真空ポンプによって負圧に吸引する際に当該コンデンサー部703で凝集しきれなかった気化物を回収する回収容器706を備えている。
【0176】
また、蒸留ユニット700では、蒸留釜701、第1及び第2の受器704,705のうち少なくとも一つは、水平方向に沿った外形寸法(幅又は長さ)が鉛直方向に沿った外形寸法(高さ)より大きく設定されている。
【0177】
また、コンデンサー部703は、コンテナ本体2aの内部に水平方向に沿って配置されている。
【0178】
さらに、第2の受器705は蒸留釜701と、第1の受器704は回収容器706とそれぞれ同一形状に形成されており、蒸留装置構成要素の共通化が図られている。
【0179】
蒸留ユニット700は、図33に示すように、コンテナ本体2aの内部が、水平方向に沿った中央を境として、図中左側に位置して複数の蒸留装置構成要素が配置される第1の領域707と、蒸留装置を稼働させる稼働設備が配置される第2の領域708とに隔壁709によって区画されている。隔壁709は、コンテナ本体2aの第1の領域707の温度が上昇することを考慮すると、断熱性を有する材料からなるものが望ましい。
【0180】
蒸留釜701の上端部710には、図34に示すように、蒸留対象物を投入する投入口711と、気化した蒸留対象物を取り出してコンデンサー部12へと送るため蒸留塔702と接続される取出口712と、蒸留対象物の液面を検知する液面センサ713aを取り付ける取付口713と、蒸留釜11の内部に収容された蒸留対象物を加熱する加熱媒体の一例としての加熱蒸気等を導入する導入口714aと、加熱媒体を排出する排出口714bなどが設けられている。蒸留釜11の内部には、図34及び図35に示すように、導入口714aから導入される加熱蒸気等の熱媒体が流れる螺旋状の加熱用配管714cが収容されている。また、蒸留釜701の底部には、図34に示すように、蒸留対象物の温度を測定する温度計715と、蒸留釜701の内部に残留した残留物を排出する開閉可能な排出口716が設けられている。
【0181】
なお、蒸留釜701を加熱する加熱手段としては、加熱用配管714cから供給される加熱蒸気等に限らず、蒸留釜701を加熱することが可能な手段であれば任意であり、例えば、蒸留釜701が電磁誘導作用によって加熱可能な材料からなるものであれば、電磁誘導作用などによって蒸留釜701自体を直接加熱するものであっても良い。
【0182】
第2の受器705は、蒸留釜701と同一形状に形成されている。第2の受器705は、目的とする蒸留物を収容するチタンや、ニッケル、あるいはステンレス等の耐腐蝕性に優れた金属などからプレス加工や溶接加工等を施すことにより構成されている。
【0183】
第2の受器705の上端部には、図34に示すように、コンデンサー部703から目的とする蒸留物が供給される供給口717と、第2の受器705の液面を検知する液面計718aが取り付けられる第1の取付口718と、第2の受器705内の圧力を検知する圧力計が取り付けられる第2の取付口719と、回収容器706を介して真空ポンプ747に接続される吸引口720とが設けられている。また、第2の受器705の底部には、開閉バルブ721aを備えた取出口721が設けられている。
【0184】
蒸留釜701及び第2の受器705は、図34及び図35に示すように、第1の領域707の床面に立脚された脚部722上に配置された平面矩形状の支持枠723に支持された状態で固定されている。
【0185】
一方、第1の受器704の上端部には、図34に示すように、コンデンサー部703によって凝集された初期的な蒸留物を収容する開口部724や、液面センサを取り付ける取付部725などが設けられている。また、第1の受器704の底部には、初期的な蒸留物を排出して回収する開閉可能な開閉バルブ725aを備えた排出口725bが設けられている。
【0186】
第1の受器704は、図35に示すように、第1の領域707の床面に立脚された脚部726上に片持ち梁状に配置された支持腕727に支持され固定されている。
【0187】
コンテナ本体2a内の第1の領域707の上部には、蒸留釜701の取出口に外径が相対的に大きく短い円筒形状の蒸留塔702が連結されている。蒸留塔702の上端部は、第1の領域707の天井部へ向けて垂直方向に配置されている。
【0188】
コンテナ本体2a内の第1の領域707の上部には、蒸留塔702の上端部から第1の受器704にわたりコンデンサー部703が当該第1の領域707の対角線上に沿って水平に配置されている。
【0189】
また、コンデンサー部703は、短い蒸留塔702を介して蒸留釜701と直接接続されることにより、蒸留釜701の内部の温度を所定の複数段階の温度に精度良く制御することにより、蒸留釜701から蒸発した気化直後の水蒸気を急激に冷却液化して、第1の受器704又は第2の受器705等で選択的に回収収容することにより、目的とする蒸留水を加熱エネルギーに対する目的とする蒸留水の量で決まる蒸留効率を可能な限り向上させることが可能となる。
【0190】
コンデンサー部703は、相対的に外径が大きな円筒形状の部材に形成されている。コンデンサー部703の長手方向に沿った両端部728,729は閉塞されており、閉塞された両端部728,729の間に位置する凝集部731には、加熱された蒸留釜701から気化した蒸留対象物である気体が流れる複数本の細い連通管732が、当該コンデンサー部703の長手方向に沿った両端部728,729を連通するよう配置されている。コンデンサー部703の凝集部731には、複数本の連通管732を通過する気体を冷却する冷却水などの冷却媒体が供給される。
【0191】
コンデンサー部703の一端部728は、蒸留釜701の取出口に取り付けられた蒸留塔702の上端部が連結されている。また、コンデンサー部703の他端部729は、第1の受器704と第2の受器705とに分岐する配管733が連結されている。第1の受器704と第2の受器705との間には、コンデンサー部703の他端部からの蒸留物を分岐する全閉状態とすることが可能な電動の三方弁734が設けられている。コンデンサー部703の他端部から流出する蒸留物は、電動の三方弁734を切り替えることにより、配管735,736を介して第1の受器704と第2の受器705とに選択的に収容可能となっている。なお、コンデンサー部703の他端部729には、電動の三方弁734を閉塞することにより、コンデンサー部703からの蒸留物を試験的に取り出す開閉可能な図示しない補助排出口が設けられている。
【0192】
回収容器706の上端部には、図34に示すように、コンデンサー部703、第1の受器704及び第2の受器705にそれぞれ接続される吸気口740と、圧力計を取り付ける開口部741、冷却水が流入する流入口742、冷却水が流出する流出口743及び真空ポンプに接続される吸引口744などが設けられている。また、回収容器706の底部には、初期的な蒸留物を排出して回収する開閉バルブ745aにより開閉可能な排出口745が設けられている。図36中、符号746は回収容器706で回収したドレインを収容するバケツを示している。
【0193】
回収容器706は、第2の領域708に配置される真空ポンプ747に近接した位置に配置されており、吸引用の配管を可能な限り短くして吸引効率を高めている。
【0194】
回収容器706は、図36に示すように、第1の領域707の床面に立脚された脚部748上に片持ち梁状に配置された支持腕749に支持され固定されている。
【0195】
コンテナ本体2aの第2の領域708には、図33及び図34に示すように、蒸留釜701に供給される加熱蒸気等の熱媒体を循環させる熱媒循環装置750と、熱媒循環装置750に冷却水を循環させる第1の冷却水循環装置751と、コンデンサー部703などに冷却水を循環させる第2の冷却水循環装置752と、真空ポンプ747等が収容されている。また、コンテナ本体2aの第2の領域708には、蒸留ユニット700を操作する作業員Sが作業する作業スペースが確保されている。
【0196】
このように、本実施の形態4に係る浄水装置500は、図32に示すように、蒸留ユニット700を備えており、浄水装置500で浄水化された処理水を蒸留ユニット700により蒸留することで、精製された蒸留水を製造することが可能となっている。
【0197】
なお、本実施の形態4に係る浄水装置500では、図32に示すように、飲料水用の消毒薬にかわってキレート液を供給混合しており、金属イオンを不活性化して安全上を高めている。
【0198】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0199】
産業上の利用性
無駄な排水が生じることなく、装置の小型化且つ低コスト化が可能であり、太陽光パネルや風力発電機等の自然エネルギーを利用した電力供給手段で十分な量の浄水を生成することができる排水処理装置を用いた浄水装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0200】
1…排水処理装置
2…コンテナ本体
31…処理槽
32…中和槽
33…ストック槽
61…硫酸槽
62…活性炭槽
63…消石灰槽
200…水洗水貯槽
500…浄水装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27(a)】
図27(b)】
図28(a)】
図28(b)】
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36