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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20241021BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241021BHJP
   H02J 9/08 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 120
H02J9/08
H02J3/38 130
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020198662
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086576
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】西村 荘治
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
(72)【発明者】
【氏名】宇田 怜史
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-142076(JP,A)
【文献】特開2016-116379(JP,A)
【文献】特開2013-121205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統からの電力を一般負荷及び重要負荷に供給する電源システムであって、
前記重要負荷に接続される非常用発電機と、
前記一般負荷又は前記重要負荷に接続される自然エネルギー発電装置と、
前記自然エネルギー発電装置からの電力を前記一般負荷に供給する第1状態と、前記自然エネルギー発電装置からの電力を前記重要負荷に供給する第2状態とを切り替える切替スイッチと、
前記一般負荷の消費電力である一般負荷消費電力と、前記重要負荷の消費電力である重要負荷消費電力と、前記商用電力系統の電力コストである商用電力コストと、前記非常用発電機の電力コストである非発電力コストと、に基づいて前記切替スイッチを制御する切替制御部と、を備える電源システム。
【請求項2】
前記切替制御部が、
前記一般負荷の消費コストである一般負荷消費コストと、前記重要負荷の消費コストとである重要負荷消費コストを比較して、前記切替スイッチを制御する、請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
前記一般負荷消費コスト及び前記重要負荷コストを算出するための算出用データを格納する算出用データ格納部を備え、
前記切替制御部が、前記算出用データを用いて前記一般負荷消費コスト及び前記重要負荷消費コストを算出する、請求項2記載の電源システム。
【請求項4】
前記自然エネルギー発電装置の最大発電能力を推定する最大発電能力推定装置をさらに備える、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記一般負荷消費電力をPLg、前記重要負荷消費電力をPLi、前記最大発電能力をPpv、前記商用電力の単位電力当たりの消費コストをCu、前記非発電力の単位電力当たりの消費コストをCegとした場合、
前記切替制御部が、以下の場合に第1状態となるように前記切替スイッチを切り替える、請求項4記載の電源システム。
(a)PLg>Ppv、PLi>Ppv、且つ、Cu-Ceg>0の場合
(b)PLg>Ppv、PLi<Ppv、且つ、Ppv×Cu-PLi×Ceg>0の場合
(c)PLg<Ppv、PLi>Ppv、且つ、PLg×Cu-Ppv×Ceg>0の場合
(d)PLg<Ppv、PLi<Ppv、且つ、PLg×Cu-PLi×Ceg>0の場合
【請求項6】
前記非常用発電機が、前記商用電力系統のピークカット運転時に前記重要負荷に電力を供給するものである、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電源システムとしては、特許文献1に示すように、商用電力系統からの供給電力の変動を補償するべく、蓄電池、太陽電池、及び非常用発電機を備えたものがある。
【0003】
一方、昨今では、非常用発電機を非常時の自立型電源として機能させるだけでなく、平常時に電力のピークカット電源として稼働させる非常用発電機の2WAY利用が知られている。かかる2WAY利用は、非常用発電機に限らず、太陽電池等の自然エネルギー発電装置においても適用することができる。
【0004】
しかしながら、これまで、非常用発電機と自然エネルギー装置とを備えた設備において、これらの電力を有効活用しつつ、しかも設備内の消費コストの最小化を図ろうとしたシステムは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6052545号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、非常用発電機や自然エネルギー発電装置を有効活用しつつ、施設内の消費コストの最小化を図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る電源システムは、商用電力系統からの電力を一般負荷及び重要負荷に供給する電源システムであって、前記重要負荷に接続される非常用発電機と、前記一般負荷又は前記重要負荷に接続される自然エネルギー発電装置と、前記自然エネルギー発電装置からの電力を前記一般負荷に供給する第1状態と、前記自然エネルギー発電装置からの電力を前記重要負荷に供給する第2状態とを切り替える切替スイッチと、前記一般負荷の消費電力である一般負荷消費電力と、前記重要負荷の消費電力である重要負荷消費電力と、前記商用電力系統の電力コストである商用電力コストと、前記非常用発電機の電力コストである非発電力コストと、に基づいて前記切替スイッチを制御する切替制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このような電源システムであれば、非常用発電機や自然エネルギー発電装置を平常時のピークカット(負荷平準化)に活用しつつも、自然エネルギー発電装置からの電力を一般負荷又は重要負荷に供給するうえで、一般負荷消費電力、重要負荷消費電力、商用電力コスト、及び非発電力コストに基づいて切替スイッチを制御するので、施設内の消費コストの最小化を図れる。
【0009】
前記切替制御部が、前記一般負荷の消費コストである一般負荷消費コストと、前記重要負荷の消費コストとである重要負荷消費コストを比較して、前記切替スイッチを制御することが好ましい。
このような構成であれば、自然エネルギー発電装置からの電力を一般負荷又は重要負荷のどちらに供給した方が全体の消費コストの削減に有利であるかを、的確に判断することができる。
【0010】
より具体的な実施態様としては、前記一般負荷消費コスト及び前記重要負荷コストを算出するための算出用データを格納する算出用データ格納部を備え、前記切替制御部が、前記算出用データを用いて前記一般負荷消費コスト及び前記重要負荷消費コストを算出する態様を挙げることができる。
【0011】
前記自然エネルギー発電装置の最大発電能力を推定する最大発電能力推定装置をさらに備えることが好ましい。
このように、自然エネルギー発電装置の最大発電能力を推定し、この推定された最大発電能力を加味して切替スイッチを切り替えることで、自然エネルギー発電装置から非常用発電機への逆潮流を防ぐことができる。
【0012】
消費コストの最小化を図るための具体的な実施態様としては、前記一般負荷消費電力をPLg、前記重要負荷消費電力をPLi、前記最大発電能力をPpv、前記商用電力の単位電力当たりの消費コストをCu、前記非発電力の単位電力当たりの消費コストをCegとした場合、前記切替制御部が、以下の場合に第1状態となるように前記切替スイッチを切り替える態様を挙げることができる。
(a)PLg>Ppv、PLi>Ppv、且つ、Cu-Ceg>0の場合
(b)PLg>Ppv、PLi<Ppv、且つ、Ppv×Cu-PLi×Ceg>0の場合
(c)PLg<Ppv、PLi>Ppv、且つ、PLg×Cu-Ppv×Ceg>0の場合
(d)PLg<Ppv、PLi<Ppv、且つ、PLg×Cu-PLi×Ceg>0の場合
【0013】
前記非常用発電機が、前記商用電力系統のピークカット運転時に前記重要負荷に電力を供給するものであることが好ましい。
このような構成であれば、非常用発電機を2WAY利用することができ、非常用発電機を有効活用することができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、非常用発電機や自然エネルギー発電装置を有効活用しつつ、施設内の消費コストの最小化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の電源システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の切替制御部の動作を説明するための表。
図3】同実施形態の電源システムの動作を示す模式図である。
図4】その他の実施形態の電源システムの構成を示す模式図である。
図5】その他の実施形態の切替制御部の動作を説明するための表。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る電源システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の電源システム100は、図1に示すように、商用電力系統10と重要負荷20との間に設けられ、商用電力系統10の電力を重要負荷20に供給するものである。
【0018】
ここで、商用電力系統10は、電力会社(電気事業者)の電力供給網であり、発電所、送電系統及び配電系統を有するものである。また、重要負荷20は、停電や瞬低などの系統異常時においても電力を安定して供給すべき負荷であり、図1では1つであるが、複数あっても良い。さらに、この商用電力系統には、重要負荷20とは別の1又は複数の一般負荷30も接続されている。
【0019】
具体的に電源システム100は、無停電電源装置(UPS)1と、商用電力系統10と重要負荷20とを解列するための解列スイッチ2と、解列スイッチ2よりも商用電力系統10側の電圧を検出する系統側電圧検出部3と、系統側電圧検出部3の検出電圧から系統異常を検出するとともに、異常検出時に解列スイッチ2を開放する制御監視部4とを備えている。
【0020】
無停電電源装置1は、この実施形態では電力貯蔵装置(蓄電デバイス)たる蓄電池11と、電圧制御装置12とを有するものであり、商用電力系統10の健全状態においては停止状態となり、商用電力系統の異常状態においては運転状態となる。
【0021】
解列スイッチ2は、電力線L1を開閉するものであり、電力線L1において無停電電源装置1の接続点よりも商用電力系統10側であって、一般負荷30の接続点よりも重要負荷20側に設けられている。具体的に解列スイッチ2としては、例えば半導体スイッチ、又は、半導体スイッチと機械式スイッチとを組み合わせたハイブリッドスイッチなどの高速切り替えが可能な切替スイッチを用いることができる。この解列スイッチ2は、後述する制御監視部4により開閉制御されるものであり、所定の解列条件を満たす場合に開放される。
【0022】
系統側電圧検出部3は、電力線L1において解列スイッチ2よりも商用電力系統10側の電圧を検出するものである。具体的に系統側電圧検出部3は、電力線L1における一般負荷30の接続点よりもよりも商用電力系統10側に計器用変圧器を介して接続されている。
【0023】
制御監視部4は、系統側電圧検出部3により検出された検出電圧と、予め定められた整定値とを比較して、前記検出電圧が整定値以下である場合に、解列スイッチ2に制御信号を出力して解列スイッチ2を開放するものである。なお、本実施形態の前記整定値は、瞬低を検出するための電圧値である。このように、例えば瞬低、周波数異常等の商用電力系統10の異常時に制御監視部4が解列スイッチ2を開放させることで、商用電力系統10と重要負荷20とが解列される。
【0024】
また、本実施形態の制御監視部4は、施設全体の総消費電力と、予め定められた上限電力とを比較して、前記総消費電力が上限電力に達した場合に、解列スイッチ2に負荷平準化指令としての制御信号を出力して解列スイッチ2を開放する。なお、本実施形態の前記上限電力は、例えば契約電力等である。
【0025】
より具体的には、本実施形態の電源システム100は、一般負荷30に接続されて一般負荷消費電力PLgを測定する第1消費電力測定手段M1と、重要負荷20に接続されて重要負荷消費電力PLiを測定する第2消費電力測定手段M2とを備えており、これらの消費電力測定手段M1、2により測定された消費電力が制御監視部4に逐次出力されるようにしてある。
かかる構成により、例えば平常時において総消費電力が大きい場合には、制御監視部4が解列スイッチ2を開放させることにより、ピークカットを実現することができる。
【0026】
ここで、本実施形態の電源システム100は、図1に示すように、重要負荷20に接続された非常用発電機5と、一般負荷30又は重要負荷20に接続される自然エネルギー発電装置6とをさらに備えている。
【0027】
非常用発電機5は、解列スイッチ2が開放されている場合に、重要負荷20に電力を供給するものであり、電力線L1において解列スイッチ2よりも重要負荷20側であって、ここでは電力線L1において無停電電源装置1の接続点よりも重要負荷20側に接続スイッチZを介して接続されている。
【0028】
自然エネルギー発電装置6は、解列スイッチ2が開放されている場合に、一般負荷30又は重要負荷20を供給するものであり、ここでは太陽光発電を利用したものである。ただし、自然エネルギー発電装置6としては、風力発電や地熱発電などを利用した発電装置などであっても良いし、複数種の自然エネルギー発電装置6が設けられていても良い。
【0029】
この自然エネルギー発電装置6は、電力線L1における解列スイッチ2よりも商用電力系統10側に設定されたF点、又は、電力線L1における解列スイッチ2よりも重要負荷20側に設定されたL点に択一的に接続される。F点は、一般負荷30が接続される系統に設定されており、L点は、重要負荷20が接続されている系統に設定されている。
【0030】
より具体的に説明すると、本実施形態の電源システム100は、自然エネルギー発電装置6の接続箇所をF点又はL点に切り替える切替スイッチ7と、この切替スイッチ7の動作を制御する切替制御部8とをさらに備えている。
【0031】
切替スイッチ7は、自然エネルギー発電装置6をF点に接続して、自然エネルギー発電装置6からの電力を一般負荷30に供給する第1状態と、自然エネルギー発電装置6をL点に接続して、自然エネルギー発電装置6の電力を重要負荷20に供給する第2状態とを切り替えるものであり、ここでは上述した解列スイッチ2よりは低速のものを用いている。
【0032】
然して、切替制御部8は、一般負荷30の消費電力である一般負荷消費電力PLgと、重要負荷20の消費電力である重要負荷消費電力PLiと、商用電力系統10の電力コストである商用電力コストCuと、非常用発電機5の電力コストである非発電力コストCegと、に基づいて切替スイッチ7を制御するように構成されている。なお、ここでいう電力コストCu、Cegは、単位電力当たりの電力コストである。
【0033】
より具体的に説明すると、切替制御部8は、一般負荷30の消費コストである一般負荷消費コストと、重要負荷20の消費コストである重要負荷消費コストとを比較して切替スイッチ7を制御するものであり、ここでは算出用データ格納部X1に格納されている算出用データに基づいて一般負荷消費コスト及び重要負荷消費コストを算出するように構成されている。
【0034】
算出用データは、一般負荷消費コストや重要負荷消費コストを算出するための算出式などであり、具体的には消費電力に単位電力当たりの電力コストを掛け合わせるものである。
【0035】
具体的にここでの算出用データは、一般負荷消費電力PLg、重要負荷消費電力PLi、商用電力コストCu、及び非発電力コストCegの少なくとも1つをパラメータとして含む算出式である。
一般負荷消費電力PLgは、第1消費電力測定手段M1により逐次測定されるとともに、切替制御部8に逐次出力され、重要負荷消費電力PLiは、第2消費電力測定手段M2により逐次測定されるとともに、切替制御部8に逐次出力される。
また、商用電力コストCuは、商用電力系統10の料金(燃料費)に応じて定まる単位電力当たりの消費コストであり、非発電力コストCegは、非常用発電機5の燃料費に応じて定まる単位電力当たりの消費コストであり、コストデータ格納部X2に予め格納されている。
【0036】
さらに、本実施形態の電源システム100は、自然エネルギー発電装置6の最大発電能力Ppvを推定する最大発電能力推定装置9を備えている。
【0037】
この最大発電能力推定装置9としては、例えば自然エネルギー発電装置6が太陽発電を利用するものである場合には、例えば温度や日射量に基づいて最大発電能力Ppvを推定するものを挙げることができ、自然エネルギー発電装置6が風力発電を利用するものである場合には、例えば風速に基づいて最大発電能力Ppvを推定するものを挙げることができる。
【0038】
かかる構成において、上述した切替制御部8は、一般負荷消費電力PLgや重要負荷消費電力PLiのみならず、最大発電能力推定装置9により推定された最大発電能力Ppvにも基づいて、切替スイッチ7を切り替えるように構成されている。
【0039】
より詳細に説明すると、図2の表に示すように、切替制御部8は、以下の(a)~(d)の何れかを満たす場合には、第1状態となるように切替スイッチ7を切り替えて、自然エネルギー発電装置6を電力線L1におけるF点に接続する。
【0040】
逆に、以下の(a)~(d)の何れも満たさない場合には、切替制御部8は、第2状態となるように切替スイッチ7を切り替えて、自然エネルギー発電装置6を電力線L1におけるL点に接続する。
【0041】
(a)PLg>Ppv、PLi>Ppv、且つ、Cu-Ceg>0の場合
(b)PLg>Ppv、PLi<Ppv、且つ、Ppv×Cu-PLi×Ceg>0の場合
(c)PLg<Ppv、PLi>Ppv、且つ、PLg×Cu-Ppv×Ceg>0の場合
(d)PLg<Ppv、PLi<Ppv、且つ、PLg×Cu-PLi×Ceg>0の場合
なお、ここでのPpv×Cu及びPLg×Cuが一般負荷消費コストを算出するための算出式であり、PLi×Ceg及びPpv×Cegが重要負荷消費コストを算出するための算出式である。
【0042】
本実施形態では、(a)~(d)の何れも満たさず、切替制御部8が切替スイッチ7を制御して第2状態となった場合、すなわち自然エネルギー発電装置6が電力線L1のL点に接続されて、自然エネルギー発電装置6の電力が重要負荷20に供給される場合、上述した無停電電源装置1に備わる電圧制御装置12が、非常用発電機5の出力が逆潮流にならない範囲で、重要負荷20へ供給する電力を可及的に自然エネルギー発電装置6に分担させる。
【0043】
次に、本実施形態の電源システム100の動作について、図3を参照しながら説明する。
【0044】
まず、平常時の電源システム100は第1状態にあり、自然エネルギー発電装置6はF点に接続されており、自然エネルギー発電装置6がF点に対して逆潮流運転をしている。
【0045】
ここで、施設全体の総負荷電力が上限電力を超え、制御監視部4によりピークカット運転(負荷平準化)が必要であると判定された場合、すなわち施設内の総消費電力が上限電力に達した場合、制御監視部4は、解列スイッチ2に制御信号を出力して解列スイッチ2を開放する。
【0046】
これにより、重要負荷20が接続されたL点系が、商用電力系統10との連系運転から自立運転に切り替わる。この切り替わりの直後は、自立運転系に切り替わったL点系に(すなわち、重要負荷20に)無停電電源装置1から電力が供給される。また、本実施形態では、このL点系の自立運転の開始と同時に、最大発電能力推定装置9による自然エネルギー発電装置6の最大発電能力Ppvの推定が開始される。
【0047】
次いで、非常用発電機5が起動し、無停電電源装置1に備わる電圧制御装置12と非常用発電機5との同期検定後に、非常用発電機5の接続スイッチZが投入され、無停電電源装置1の蓄電池11から重要負荷20へ供給される電力を、徐々に非常用発電機5に分担させる。
【0048】
そして、このピークカット運転時において、切替制御部8が、上述したように、一般負荷消費電力PLg、重要負荷消費電力PLi、最大発電能力Ppv、商用電力コストCu、非発電力コストCegに基づいて、切替スイッチ7を制御し、自然エネルギー発電装置6をF点又はL点の何れか一方に択一的に接続する。
【0049】
その後は、制御監視部4により施設全体の総負荷電力の監視が継続されるとともに、切替制御部8により必要に応じて切替スイッチ7を逐次制御されて、自然エネルギー発電装置6の接続点が適宜F点又はL点に切り替わる。
【0050】
制御監視部4によりピークカット運転が不要であると判定されると、ピークカット運転の開始時と逆の手順、すなわち重要負荷20への電力供給を非常用発電機5から無停電電源装置1の蓄電池11に徐々に分担させ、同期検定後に解列スイッチ2を投入して、商用電力系統10と重要負荷20とを接続する、といった手順を踏んで、ピークカット運転を終了する。
【0051】
このように構成した本実施形態の電源ステムによれば、非常用発電機5や自然エネルギー発電装置6を平常時のピークカット(負荷平準化)に活用しつつも、自然エネルギー発電装置6からの電力を一般負荷30又は重要負荷20に供給するうえで、一般負荷消費電力PLg、重要負荷消費電力PLi、商用電力コストCu、及び電力コストに基づいて切替スイッチ7を制御するので、施設内の消費コストの最小化を図れる。
【0052】
さらに、切替制御部8が、最大発電能力推定装置9により推定された自然エネルギー発電装置6の最大発電能力Ppvをも考慮して切替スイッチ7を制御するので、自然エネルギー発電装置6から非常用発電機5への逆潮流を防ぐことができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0054】
例えば、電源システム100としては、図4に示すように、電力線L1に設けられた低速の第1解列スイッチ21と、第1解列スイッチ21よりも重要負荷20側に設けられた高速の第2解列スイッチ22とを備えていても良い。
【0055】
これらの第1解列スイッチ21及び第2解列スイッチ22は、いずれも制御監視部4により制御されるものである。
【0056】
かかる構成において、非常用発電機5は、第1解列スイッチ21及び第2解列スイッチ22の間に接続されており、自然エネルギー発電装置6は、第1解列スイッチ21よりも商用電力系統10側に設定されたF点、又は、第1解列スイッチ21及び第2解列スイッチ22の間に設定されたD点の何れかに択一的に接続される。F点は、一般負荷30が接続された系統に設定されており、D点は、非常用発電機5が接続された系統に設定されている。
【0057】
このように構成された電源システム100の動作としては、以下の態様を挙げることができる。
【0058】
平常時においては、自然エネルギー発電装置6はF点に接続されており、自然エネルギー発電装置6がF点に対して逆潮流運転をしている。
【0059】
ここで、施設全体の総負荷電力が上限電力を超え、制御監視部4によりピークカット運転(負荷平準化)が必要であると判定された場合、すなわち施設内の総消費電力が上限電力に達した場合、制御監視部4は、高速の第2解列スイッチ22に制御信号を出力して第2解列スイッチ22を開放する。
【0060】
これにより、重要負荷20が接続されたL点系が、商用電力系統10との連系運転から自立運転に切り替わる。この切り替わりの直後は、自立運転系に切り替わったL点系に(重要負荷20に)無停電電源装置1から電力が供給される。
【0061】
次いで、第1解列スイッチ21を開放するとともに、第2解列スイッチ22を投入して、非常用発電機5を起動させる。続いて、無停電電源装置1に備わる電圧制御装置12と非常用発電機5との同期検定後に、非常用発電機5の接続スイッチZが投入され、無停電電源装置1の蓄電池11から重要負荷20へ供給される電力を、徐々に非常用発電機5に分担させる。
【0062】
そして、このピークカット運転時において、切替制御部8は、図5の表に示すように、一般負荷消費電力PLg、重要負荷消費電力PLi、最大発電能力Ppv、商用電力コストCu、非発電力コストCegに基づいて、切替スイッチ7を制御し、自然エネルギー発電装置6をF点又はD点の何れか一方に択一的に接続する。
具体的に切替制御部8は、以下の(e)~(h)の何れかを満たす場合には、切替スイッチ7を切り替えて、自然エネルギー発電装置6を電力線L1におけるF点に接続する。
【0063】
逆に、以下の(e)~(h)の何れも満たさない場合には、切替制御部8は、切替スイッチ7を切り替えて、自然エネルギー発電装置6を電力線L1におけるD点に接続する。
【0064】
(e)PLg>Ppv、PLi>Ppv、且つ、Cu-Ceg>0の場合
(f)PLg>Ppv、PLi<Ppv、且つ、Ppv×Cu-PLi×Ceg>0の場合
(g)PLg<Ppv、PLi>Ppv、且つ、PLg×Cu-Ppv×Ceg>0の場合
(h)PLg<Ppv、PLi<Ppv、且つ、PLg×Cu-PLi×Ceg>0の場合
【0065】
その後は、制御監視部4により施設全体の総負荷電力の監視が継続され、切替制御部8により必要に応じて切替スイッチ7を逐次制御されて、自然エネルギー発電装置6の接続点が適宜F点又はD点に切り替わる。
【0066】
制御監視部4によりピークカット運転が不要であると判定されると、ピークカット運転の開始時と逆の手順、すなわち重要負荷20への電力供給を非常用発電機5から無停電電源装置1の蓄電池11に徐々に分担させ、同期検定後に第1解列スイッチ21を投入して、商用電力系統10と重要負荷20とを接続する、といった手順を踏んで、ピークカット運転を終了する。
【0067】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
100・・・電源システム
10 ・・・商用電力系統
20 ・・・重要負荷
30 ・・・一般負荷
L1 ・・・電力線
1 ・・・無停電電源装置
11 ・・・蓄電池
12 ・・・電圧制御装置
2 ・・・解列スイッチ
3 ・・・系統側電圧検出部
4 ・・・制御監視部
5 ・・・非常用発電機
6 ・・・自然エネルギー発電装置
7 ・・・切替スイッチ
8 ・・・切替制御部
9 ・・・最大発電能力推定装置
M1 ・・・第1消費電力測定手段
M2 ・・・第2消費電力測定手段
X1 ・・・算出用データ格納部
X2 ・・・コストデータ格納部
Z ・・・接続スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5