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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】身体保護具装着検出装置
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A42B3/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020565212
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2020000520
(87)【国際公開番号】W WO2020145362
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019003921
(32)【優先日】2019-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517355866
【氏名又は名称】ヘルツ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 優也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 進一
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0902778(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0114723(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第00285938(EP,A1)
【文献】特開2007-016342(JP,A)
【文献】国際公開第2007/083329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/30
A42B3/08
A42B3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の頭部に装着されて保護するヘルメットである身体保護具に取り付けられてこの身体保護具の前記頭部への装着状態を検出する身体保護具装着検出装置において、
前記身体保護具における互いに異なる複数の位置に取り付けられて前記頭部の接近または接触に応じた電気信号である接触検出信号をそれぞれ出力する複数の接触検出センサと、
前記複数の接触検出センサがそれぞれ接続されて前記接触検出信号がそれぞれ入力される制御部とを備え、
前記複数の接触検出センサは、
前記ヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサと前記ヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含む、または前記ヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有して構成されており、
前記複数の接触検出センサのうちの1つが前記制御部に前記接触検出信号を出力しているとき、残余の接触検出センサがGNDに接続されていることを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載した身体保護具装着検出装置において、
前記制御部は、
前記複数の接触検出センサのうちの1つから前記接触検出信号を入力しているとき、残余の接触検出センサをGNDに接続することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した身体保護具装着検出装置において、さらに、
前記制御部に入力された前記複数の接触検出センサからの前記接触検出信号を用いて前記身体保護具の前記頭部への装着状態を判定する装着判定部を備え、
前記装着判定部は、
前記複数の接触検出センサのうちの2つ以上の接触検出センサにおいて前記身体保護具の前記頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が前記頭部に装着されていると判定することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載した身体保護具装着検出装置において、さらに、
前記装着判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、
前記装着判定部とは物理的に離れた場所に設けられて同装着判定部による判定結果を入力するホスト装置とを備え、
前記制御部は、
前記判定結果記憶部および前記装着判定部をそれぞれ備えて、前記装着判定部による判定結果と前記判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたとき前記ホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項5】
人間の頭部に装着されて保護するヘルメットである身体保護具の前記頭部への装着状態を検出する身体保護具装着検出装置において、
前記身体保護具における互いに異なる複数の位置に取り付けられて前記頭部の接近または接触に応じた電気信号である接触検出信号をそれぞれ出力する複数の接触検出センサと、
前記複数の接触検出センサがそれぞれ接続されて前記接触検出信号がそれぞれ入力される制御部と、
前記制御部に入力された前記接触検出信号を用いて前記身体保護具の前記頭部への装着状態を判定する装着判定部と
前記装着判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、
前記装着判定部とは物理的に離れた場所に設けられて同装着判定部による判定結果を入力するホスト装置とを備え、
前記複数の接触検出センサは、
前記ヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサと前記ヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含む、または前記ヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有して構成されており、
前記装着判定部は、
前記複数の接触検出センサのうちの少なくとも2つの接触検出センサにおいて前記身体保護具の前記頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が前記頭部に装着されていると判定し、
前記制御部は、
前記判定結果記憶部および前記装着判定部をそれぞれ備えて、前記装着判定部による判定結果と前記判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたとき前記ホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載した身体保護具装着検出装置において、
前記制御部は、
前記ホスト装置に対する前記判定結果を送信してからの時間を出力経過時間として計測しており、前記装着判定部による判定結果と前記判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が一致しておりかつ前記出力経過時間が所定の時間を経過しているとき前記ホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した身体保護具装着検出装置において、
前記制御部は、
前記装着判定部による判定処理を1回または複数回行うごとに所定の時間だけスリープ状態となることを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【請求項8】
請求項3ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載した身体保護具装着検出装置において、さらに、
前記制御部に対して電源スイッチを介することなく電力を供給する電源部を備えており、
前記制御部は、
前記電源部から前記電力が供給されることをトリガとして前記装着判定部による判定処理を自動的に実行することを特徴とする身体保護具装着検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットなどの身体保護具が頭部などの身体に装着されているか否かを検出する身体保護具装着検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘルメットが人の頭部に正しく装着されているか否かを検出するヘルメット装着検出装置がある。例えば、下記特許文献1には、1つ以上の静電容量センサを設けて人間の頭部の接近を検知できるヘルメット装着検出装置を備えたヘルメットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-17989号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、2つ以上の静電容量センサを設けて人間の頭部の接近を検知する具体的な構成は開示されておらず、複数の接触検出センサをどのように用いて人間の頭部の接近または接触を検出すればよいかが不明であるという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、複数の接触検出センサを用いて正確に人間の身体の接近または接触を検出することができる身体保護具装着検出装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、人間の頭部に装着されて保護するヘルメットである身体保護具に取り付けられてこの身体保護具の頭部への装着状態を検出する身体保護具装着検出装置において、身体保護具における互いに異なる複数の位置に取り付けられて頭部の接近または接触に応じた電気信号である接触検出信号をそれぞれ出力する複数の接触検出センサと、前記複数の接触検出センサがそれぞれ接続されて接触検出信号がそれぞれ入力される制御部とを備え、前記複数の接触検出センサは、ヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサとヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含む、またはヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有して構成されており、前記複数の接触検出センサのうちの1つが制御部に接触検出信号を出力しているとき、残余の接触検出センサがGNDに接続されていることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、複数の接触検出センサのうちの1つが制御部に接触検出信号を出力しているとき、残余の接触検出センサがGNDに接続されているため、制御部に入力される接触検出信号を安定化させることができ人間の頭部の接近または接触の検出精度を向上させることができる。また、身体保護具装着検出装置は、複数の接触検出センサがヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサと、ヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含んでいるため、ヘルメットの装着状態をより正確に検出することができる。また、身体保護具装着検出装置は、複数の接触検出センサは、ヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有しているため、ヘルメットの装着状態を正確に検出することができる。この場合、複数のヘッドバンド接触検出センサは、頭部に対して前後および/または左右にそれぞれ配置されるとよい。また、ヘルメット装着検出装置は、ヘッドバンド接触検出センサに加えてヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサを備えていてもよい。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、制御部は、前記複数の接触検出センサのうちの1つから接触検出信号を入力しているとき、残余の接触検出センサをGNDに接続することにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、制御部が複数の接触検出センサのうちの1つから接触検出信号を入力しているとき、残余の接触検出センサをGNDに接続しているため、簡単な構成で制御部に入力される接触検出信号を安定化させることができる。つまり、制御部は、複数の接触検出センサに対して1つずつ接触検出信号を入力するとともに、この接触検出信号を入力する接触検出センサ以外の他の接触検出センサをGNDに接続することで、制御部に入力される接触検出信号を安定化させることができる。
【0010】
なお、この場合、身体保護具装着検出装置は、制御部によるGNDへの切替制御に代えてまたは加えて接触検出センサとGNDとの間にプルダウン抵抗を設けることでも制御部に入力される接触検出信号を安定化させることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、さらに、制御部に入力された前記複数の接触検出センサからの前記接触検出信号を用いて身体保護具の頭部への装着状態を判定する装着判定部を備え、装着判定部は、前記複数の接触検出センサのうちの2つ以上の接触検出センサにおいて身体保護具の頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が頭部に装着されていると判定することにある。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、装着判定部が複数の接触検出センサのうちの2つ以上の接触検出センサにおいて前記身体保護具の頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が頭部に装着されていると判定するため、1つの接触検出センサに基づいて装着状態を判定する場合に比べて判定精度を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、さらに、装着判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、装着判定部とは物理的に離れた場所に設けられて同装着判定部による判定結果を入力するホスト装置とを備え、制御部は、判定結果記憶部および装着判定部をそれぞれ備えて、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することにある。
【0014】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、制御部が判定結果記憶部および装着判定部をそれぞれ備えており、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力しているため、ホスト装置に対する判定結果の出力頻度を抑えて電力消費を抑えることができる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、人間の頭部に装着されて保護するヘルメットである身体保護具の頭部への装着状態を検出する身体保護具装着検出装置において、身体保護具における互いに異なる複数の位置に取り付けられて頭部の接近または接触に応じた電気信号である接触検出信号をそれぞれ出力する複数の接触検出センサと、前記複数の接触検出センサがそれぞれ接続されて接触検出信号がそれぞれ入力される制御部と、制御部に入力された接触検出信号を用いて身体保護具の頭部への装着状態を判定する装着判定部と、装着判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部と、装着判定部とは物理的に離れた場所に設けられて同装着判定部による判定結果を入力するホスト装置とを備え、前記複数の接触検出センサは、ヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサとヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含む、またはヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有して構成されており、装着判定部は、前記複数の接触検出センサのうちの少なくとも2つの接触検出センサにおいて身体保護具の頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が頭部に装着されていると判定し、制御部は、判定結果記憶部および装着判定部をそれぞれ備えて、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することにある。
【0016】
このように構成した本発明の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、装着判定部が複数の接触検出センサのうちの2つ以上の接触検出センサにおいて身体保護具の頭部への装着状態を検出したとき同身体保護具が頭部に装着されていると判定するため、複数の接触検出センサを用いて正確に人間の頭部の接近または接触を検出することができ1つの接触検出センサに基づいて装着状態を判定する場合に比べても判定精度を向上させることができる。
【0017】
また、身体保護具装着検出装置は、複数の接触検出センサがヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサと、ヘルメットにおけるヘッドバンドに装着されるヘッドバンド接触検出センサとを含んでいるため、ヘルメットの装着状態をより正確に検出することができる。
【0018】
また、身体保護具装着検出装置は、複数の接触検出センサは、ヘルメットにおけるヘッドバンドの複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサを有しているため、ヘルメットの装着状態を正確に検出することができる。この場合、複数のヘッドバンド接触検出センサは、頭部に対して前後および/または左右にそれぞれ配置されるとよい。また、ヘルメット装着検出装置は、ヘッドバンド接触検出センサに加えてヘルメットにおける顎紐に装着される顎紐接触検出センサを備えていてもよい。
【0019】
また、身体保護具装着検出装置は、制御部が判定結果記憶部および装着判定部をそれぞれ備えており、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が異なっていたときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力しているため、ホスト装置に対する判定結果の出力頻度を抑えて電力消費を抑えることができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、制御部は、ホスト装置に対する判定結果を送信してからの時間を出力経過時間として計測しており、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が一致しておりかつ出力経過時間が所定の時間を経過しているときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力することにある。
【0021】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、制御部がホスト装置に対する判定結果を送信してからの時間を出力経過時間として計測しており、装着判定部による判定結果と判定結果記憶部に記憶した前回の判定結果とを比較して両者が一致しておりかつ出力経過時間が所定の時間を経過しているときホスト装置に対して今回判定した判定結果を出力している。これにより、身体保護具装着検出装置は、制御部がホスト装置に所定の時間以上装着状態を出力しない場合であっても装着状態を正しく判定し続けていることをホスト装置に確認させることができる。また、身体保護具装着検出装置は、制御部がホスト装置に対して無線通信によって身体保護具の装着状態を出力している場合には、制御部がホスト装置に対して通信可能エリア内に存在していることを確認させることができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、制御部は、装着判定部による判定処理を1回または複数回行うごとに所定の時間だけスリープ状態となることにある。
【0023】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、制御部が装着判定部による判定処理を1回または複数回行うごとに所定の時間だけスリープ状態となるため、装着判定部による判定処理の実行頻度を抑えて電力消費を抑えることができる。
【0024】
この場合、制御部のスリープ状態には、CPUの動作周波数を低くする低速動作モード、CPUの周辺機能(例えば、USB機能、電源監視機能、乱数発生機能)を実行可能状態としつつ命令の実行を停止するスリープモードおよびスリープモード状態で周辺機能の動作周波数を低くする低速動作スリープモードがある。
【0025】
また、本発明の他の特徴は、前記身体保護具装着検出装置において、さらに、制御部に対して電源スイッチを介することなく電力を供給する電源部を備えており、制御部は、電源部から電力が供給されることをトリガとして装着判定部による判定処理を自動的に実行することにある。
【0026】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、身体保護具装着検出装置は、制御部が電源部から電力が供給されることをトリガとして装着判定部による判定処理を自動的に実行するため、身体保護具装着検出装置の電源の入れ忘れによる身体保護具の装着状態の不検出を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る身体保護具装着検出装置の外観構成の概略を模式的に示す平面図である。
図2図1に示す身体保護具装着検出装置の作動を制御するための制御システムのブロック図である。
図3図1に示す身体保護具装着検出装置が取り付けられるヘルメットの外観構成の概略を模式的に示す側面図である。
図4図1に示すヘッドバンド接触検出センサを筒状に形成してヘッドバンドに巻き付けた状態を示す要部断面図である。
図5図1に示す身体保護具装着検出装置をヘルメットに装着して顎紐を締める前の状態を模式的に示した側面図である。
図6図1に示す身体保護具装着検出装置をヘルメットに装着して顎紐を締めた状態を模式的に示した側面図である。
図7図2に示す制御部によって実行される身体保護具装着検出プログラムのフローチャートである。
図8】本発明の他の変形例に係るヘッドバンド接触検出センサを筒状に形成してヘッドバンドに巻き付けた状態を示す要部断面図である。
図9】本発明の他の変形例に係る身体保護具装着検出装置をヘッドバンドの前部および後部にそれぞれ装着した状態を模式的に示した側面図である。
図10】本発明の他の変形例に係る身体保護具装着検出装置をヘッドバンドの左右の側部にそれぞれ装着した状態を模式的に示した正面図である。
図11】本発明の他の変形例に係る身体保護具装着検出装置をヘッドバンドの前部における2つの位置にそれぞれ装着した状態を模式的に示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る身体保護具装着検出装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る身体保護具装着検出装置100の外観構成の概略を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1に示す身体保護具装着検出装置100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この身体保護具装着検出装置100は、工事現場や工場において作業者がヘルメット90を正しく装着しているか否かを検出するための機器である。
【0029】
まず、身体保護具装着検出装置100を説明する前に、この身体保護具装着検出装置100の装着対象であるヘルメット90について説明しておく。ヘルメット90は、図3に示すように、工事現場や工場において作業者(身体保護具装着検出装置100の使用者U)の頭部を保護するために頭部を覆うように被せられる金属製または樹脂製の帽子である。このヘルメット90は、使用者Uの頭部を収容するカップ型の帽体91の内側にヘッドバンド92およびハンモック93をそれぞれ備えている。
【0030】
ヘッドバンド92およびハンモック93は、使用者Uの頭部に被せられた際に頭部に対して帽体91を間接的に支持する部品であり、樹脂製または布製の帯状部材を頭部を覆う半球状の篭型に組んで構成されている。この場合、ヘッドバンド92は、樹脂製の帯状部材を頭部の周囲に対応する大きさの環状に形成されて帽体91の内周面に取り付けられている。
【0031】
このヘッドバンド92には、帽体91内に向かって張り出した状態でハンモック93が設けられているとともに、帽体91の下方に下垂した状態で顎紐94が設けられている。ハンモック93は、使用者Uの頭部の上部部分に被せられる部品であり、樹脂製または布製の複数の帯状部材をヘッドバンド92の径方向に凸状に張り出す円弧状に架設して設けられている。
【0032】
顎紐94は、帽体91を被った使用者Uの顎に掛けてヘッドバンド92およびハンモック93を使用者Uの頭部に密着させることで帽体91を使用者Uの頭部に固定するための部品であり、樹脂材または布材を紐状または帯状に形成して構成されている。この顎紐94は、図示しない長さ調整機構を備えており、顎への引っ掛かり具合を調整することができる。すなわち、このヘルメット90は、従来から多用されている一般的な構造の安全ヘルメットで構成されている。
【0033】
(身体保護具装着検出装置100の構成)
身体保護具装着検出装置100は、主として、検出装置本体101、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120をそれぞれ備えて構成されている。検出装置本体101は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ出力される接触検出信号を用いてヘルメット90の装着状態を検出して検出結果に応じた信号をホスト装置200に対して無線(電波)で送信する端末装置である。この検出装置本体101は、人の掌に納まる程度の大きさの樹脂製の筐体102内に制御部103、送受信部104、操作子105、出力部106および電源部107を構成する電子基板(図示せず)を備えて構成されている。
【0034】
制御部103は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ROMなどの記憶装置に予め記憶される身体保護具装着検出プログラムを実行することにより、身体保護具装着検出装置100全体の作動を制御してヘルメット90の装着状態を検出する。具体的には、制御部103は、装着判定部103aおよび判定結果記憶部103bをそれぞれ備えている。
【0035】
装着判定部103aは、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ出力される接触検出信号を用いてヘルメット90の装着状態を判定する。また、判定結果記憶部103bは、装着判定部103aによって判定された判定結果同士を比較するために一時的に記憶するメモリであり、データを読み書き可能な記憶装置であるRAMによって構成されている。
【0036】
これらにより、制御部103は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ出力される接触検出信号を用いてヘルメット90の装着状態を判定して判定結果に応じた検出結果信号をホスト装置200に対して送信する。また、制御部103は、ホスト装置200との間でペアリングなどの通信環境の各種設定も行う。
【0037】
送受信部104は、制御部103から出力される検出結果信号をアンテナを介してホスト装置200に向けて送信する電気回路である。また、送受信部104は、ホスト装置200から出力される信号をアンテナを介して受信して制御部103に出力する。
【0038】
操作子105は、身体保護具装着検出装置100の使用者Uからの手動操作に応じた操作信号を制御部103に出力する入力装置であり、押しボタンで構成されている。この操作子105は、筐体102の外表面に露出した状態で設けられている。出力部106は、制御部103の作動状態を光の明滅によって表示する表示装置である。本実施形態においては、出力部106は、筐体102の外表面に露出した1つのLED発光素子(Light Emitting Diode:発光ダイオード)によって構成されている。
【0039】
電源部107は、制御部103、送受信部104、操作子105および出力部106にそれぞれ電力を供給する電池を備えた電気回路である。本実施形態においては、電源部107は、DC3Vの電力を出力するボタン電池を着脱自在に備えて構成されている。なお、本実施形態においては、制御部103は、電源部107に電池が装着されることで前記身体保護具装着検出プログラムの実行を自動的に開始してヘルメット90の装着状態の検出処理を開始する。
【0040】
ヘッドバンド接触検出センサ110は、図4に示すように、ヘルメット90のヘッドバンド92に着脱自在に取り付けられて使用者Uの頭部における額部分の接近または接触を検出して同検出に対応する接触検出信号を出力する検出器であり、導電性を有した柔軟な布状の布状装着体111で構成されている。より具体的には、ヘッドバンド接触検出センサ110は、布状装着体111が導電性繊維で構成された織物、編物または不織布で構成されている。
【0041】
この場合、導電性繊維は、樹脂製の繊維または天然繊維の表面に導電性を有する銅、銀またはニッケルなどの金属材料をコーティングまたは鍍金して構成されている。なお、導電性繊維は、樹脂材に導電性を有する金属またはカーボンを混ぜて糸状に形成して布状に形成して構成されていてもよい。また、布状装着体111は、導電性を有する金属材料をシート状に形成したもの、導電性を有するゴムシートまたは樹脂製フィルム(例えば、樹脂製フィルムの表面に酸化インジウムスズからなるITO層を形成したフィルム)のみで構成してもよいし、これらの導電性を有するシート体またはフィルム体の表裏面の少なくとも一方を樹脂製の繊維または天然繊維で覆って形成することもできる。さらに、布状装着体111は、導電性を有するゴムシート、樹脂製フィルム(例えば、樹脂製フィルムの表面に酸化インジウムスズからなるITO層を形成したフィルム)を樹脂製の繊維または天然繊維の表面に両面テープ、接着剤または縫合などの手法を用いて取り付けて構成することができる。この場合、導電性を有するシートまたはフィルムは、布状装着体111と同じ大きさに形成できるほか、布状装着体111よりも小さい大きさに形成して布状装着体111の一部に設けることもできる。
【0042】
この布状装着体111は、平面視で長方形状に形成されている。この場合、布状装着体111は、長辺がヘッドバンド92における使用者Uの額部分に対向する部分の周囲を少なくとも一重で覆うことができる筒体を構成できる長さに形成されているとともに、長辺に直交する短辺が使用者Uの額部分に沿って十分に対向する長さ(例えば、2cm~10cm)に形成されている。なお、布状装着体111は、ヘッドバンド92の周囲を少なくとも一重で覆うことができかつ使用者Uの額部分の接近または接触を検出できる形状および大きさに形成されていれば本実施形態に限定されるものではないことは当然である。
【0043】
また、この布状装着体111には、筒状連結具112および第1信号線連結具113をそれぞれ備えている。筒状連結具112は、布状装着体111をヘッドバンド92の周囲を覆う筒状に形成した際に布状装着体111における互いに対向する2つの辺部分を着脱自在に連結して筒型形状を維持または解消するための部品である。本実施形態においては、筒状連結具112は、帯状に延びる面ファスナによって構成されている。この場合、筒状連結具112は、鉤状部を有する貼付面とこの鉤状部が掛けられる環状部を有する貼付面とで構成される一対の貼付部が布状装着体111を筒状に形成した際における布状装着体111の各内側面の両端部にそれぞれ設けられている。
【0044】
第1信号線連結具113は、布状装着体111と接触検出信号線114とを互いに電気的かつ物理的に連結または分離するための部品であり、導電性を有する材料で構成されている。本実施形態においては、第1信号線連結具113は、凸部と凹部とが互いに着脱自在に嵌合し合うスナップボタンで構成されている。この第1信号線連結具113は、一対の凸側部品および凹側部品が布状装着体111および接触検出信号線114にそれぞれ設けられている。なお、布状装着体111の一部にのみ導電性を有する部分が形成されている場合には、第1信号線連結具113は、この導電性を有する部分に接続される。
【0045】
接触検出信号線114は、布状装着体111と制御部103とを電気的に接続して布状装着体111から出力される接触検出信号を制御部103に伝達する電線である。この接触検出信号線114は、一方の端部が制御部103に接続されているとともに、他方の端部(先端部)に前記第1信号線連結具113が設けられている。また、接触検出信号線114には、第2信号線連結具115が設けられている。
【0046】
第2信号線連結具115は、接触検出信号線114の途中で同接触検出信号線114同士を互いに連結または分離するための部品であり、ケーブルジョイントで構成されている。ここで、ケーブルジョイントは、2つの電線を電気的かつ物理的に接続または分離することができる電気部品であって、ピン状の端子とこのピン状の端子が着脱自在に嵌合する筒状の端子とで構成されている。この第2信号線連結具115は、接触検出信号線114の全長における制御部103側の長さを布状装着体111側の長さよりも長くなる位置に設けられている。
【0047】
顎紐接触検出センサ120は、図5および図6にそれぞれ示すように、ヘルメット90の顎紐94に着脱自在に取り付けられて使用者Uの頭部における顎部分の接近または接触を検出して同検出に対応する接触検出信号を出力する検出器であり、ヘッドバンド接触検出センサ110と同様に形成されている。すなわち、顎紐接触検出センサ120は、布状装着体111と同様に、導電性を有した柔軟な布状の布状装着体121で構成されている。
【0048】
布状装着体121は、導電性繊維で構成された織物、編物または不織布で構成されている。この場合、導電性繊維は、樹脂製の繊維または天然繊維の表面に導電性を有する銅、銀またはニッケルなどの金属材料をコーティングまたは鍍金して構成されている。なお、導電性繊維は、樹脂材に導電性を有する金属またはカーボンを混ぜて糸状に形成して布状に形成して構成されていてもよい。また、布状装着体121は、導電性を有する金属材料をシート状に形成したもの、導電性を有するゴムシートまたは樹脂製フィルム(例えば、樹脂製フィルムの表面に酸化インジウムスズからなるITO層を形成したフィルム)のみで構成してもよいし、これらの導電性を有するシート体またはフィルム体の表裏面の少なくとも一方を樹脂製の繊維または天然繊維で覆って形成することもできる。さらに、布状装着体121は、導電性を有するゴムシート、樹脂製フィルム(例えば、樹脂製フィルムの表面に酸化インジウムスズからなるITO層を形成したフィルム)を樹脂製の繊維または天然繊維の表面に両面テープ、接着剤または縫合などの手法を用いて取り付けて構成することができる。
【0049】
この布状装着体121は、平面視で長方形状に形成されている。この場合、布状装着体121は、長辺が顎紐94の周囲を少なくとも一重で覆うことができる筒体を構成できる長さに形成されているとともに、長辺に直交する短辺が使用者Uの顎部分に十分に対向する長さ(例えば、2cm~10cm)に形成されている。なお、布状装着体121は、顎紐94の周囲を少なくとも一重で覆うことができかつ使用者Uの顎部分の接近または接触を検出できる形状および大きさに形成されていれば本実施形態に限定されるものではないことは当然である。
【0050】
また、この布状装着体121には、筒状連結具122および第1信号線連結具123をそれぞれ備えている。筒状連結具122は、布状装着体121を顎紐94の周囲を覆う筒状に形成した際に布状装着体121における互いに対向する2つの辺部分を着脱自在に連結して筒型形状を維持または解消するための部品である。本実施形態においては、筒状連結具122は、帯状に延びる面ファスナによって構成されている。この場合、筒状連結具122は、鉤状部を有する貼付面とこの鉤状部が掛けられる環状部を有する貼付面とで構成される一対の貼付部が布状装着体121を筒状に形成した際における布状装着体121の各内側面の両端部にそれぞれ設けられている。
【0051】
第1信号線連結具123は、布状装着体121と接触検出信号線124とを互いに電気的かつ物理的に連結または分離するための部品であり、導電性を有する材料で構成されている。本実施形態においては、第1信号線連結具123は、凸部と凹部とが互いに着脱自在に嵌合し合うスナップボタンで構成されている。この第1信号線連結具123は、一対の凸側部品および凹側部品が布状装着体121および接触検出信号線124にそれぞれ設けられている。
【0052】
接触検出信号線124は、布状装着体121と制御部103とを電気的に接続して布状装着体121から出力される接触検出信号を制御部103に伝達する電線である。この接触検出信号線124は、一方の端部が制御部103に接続されているとともに、他方の端部(先端部)に前記第1信号線連結具123が設けられている。また、接触検出信号線124には、第2信号線連結具125が設けられている。
【0053】
第2信号線連結具125は、接触検出信号線124の途中で同接触検出信号線124同士を互いに連結または分離するための部品であり、ケーブルジョイントで構成されている。この第2信号線連結具125は、接触検出信号線124の全長における制御部103側の長さを布状装着体121側の長さよりも長くなる位置に設けられている。
【0054】
ホスト装置200は、検出装置本体101から送信される検出結果信号を受信して検出装置本体101が装着されているヘルメット90の使用者Uに対する装着状態を管理するコンピュータ装置(例えば、パソコン)である。ここで、ホスト装置200における装着状態の管理とは、本実施形態においては、ヘルメット90の装着状態を監視して記憶したり、管理者に報知したりする処理である。したがって、ホスト装置200は、身体保護具装着検出装置100に対して物理的に離れた場所に配置されており、検出装置本体101との間で無線通信を行う送受信機を備えている。この場合、ホスト装置200は、複数の身体保護具装着検出装置100における各検出装置本体101から検出結果信号を受信することができる。
【0055】
(身体保護具装着検出装置100の作動)
次に、上記のように構成した身体保護具装着検出装置100の作動について説明する。まず、使用者Uは、ヘルメット90および身体保護具装着検出装置100をそれぞれ用意する。この場合、身体保護具装着検出装置100は、検出装置本体101内に電池が装着されており、前記身体保護具装着検出プログラムの実行によるヘルメット90の装着状態の検出処理を実行している。
【0056】
次に、使用者Uは、身体保護具装着検出装置100をヘルメット90に取り付ける。具体的には、使用者Uは、図4ないし図6にそれぞれ示すように、ヘッドバンド接触検出センサ110における布状装着体111をヘルメット90のヘッドバンド92に巻き付けて取り付けるとともに、顎紐接触検出センサ120を顎紐94に巻き付けて取り付ける。この場合、使用者Uは、ヘッドバンド92および顎紐94における使用者Uの頭部に対向する内側面とは反対側の外側面に筒状連結具112,122が位置する向きで布状装着体111,121をそれぞれ巻き付けた筒状に形成して筒状連結具112,122を介して貼り合せる。これにより、布状装着体111,121は、ヘッドバンド92および顎紐94に対して周方向および長手方向(ヘッドバンド92および顎紐94の各形成方向)にそれぞれ変位可能な状態で取り付けられる。
【0057】
次に、使用者Uは、検出装置本体101をヘルメット90に取り付ける。具体的には、使用者Uは、金属製または樹脂製の取付具95を用意して検出装置本体101をヘルメット90の帽体91に取り付ける。この場合、使用者Uは、検出装置本体101を帽体91における右側または左側のサイド部分に取り付けることができる。なお、使用者Uは、帽体91におけるサイド部分以外の部分(例えば、ヘルメット90のつば部または後頭部)に取り付けてもよいし、取付具95を用いることなく両面テープまたは接着剤を用いて検出装置本体101を直接帽体91に取り付けるようにしてもよい。
【0058】
次に、使用者Uは、ヘルメット90を装着する。具体的には、使用者Uは、帽体91を頭部に被った後、顎紐94を締める。この場合、使用者Uは、ヘッドバンド92に装着されたヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐94に装着された顎紐接触検出センサ120が自身の額部分および顎部分に位置するようにヘッドバンド92および顎紐94に対してそれぞれ摺動させて位置調整する。
【0059】
これにより、使用者Uは、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120を使用者Uの額部分および顎部分にそれぞれ接近させ接触させることができる。また、使用者Uは、第1信号線連結具113,123がスナップボタンで構成されているため、このスナップボタンの嵌合部分を回転させることによって接触検出信号線114,124の位置および向きをそれぞれ調整することもできる。
【0060】
これにより、身体保護具装着検出装置100の制御部103は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ出力される接触検出信号を用いてヘルメット90の装着状態を判定するとともにその判定結果をホスト装置200に送信する。このヘルメット90の装着状態の判定処理は、図7に示す身体保護具装着検出プログラムの実行によって行われる。
【0061】
具体的には、制御部103は、身体保護具装着検出プログラムの実行をステップS100にて開始して、ステップS102にて、額側での接触検出信号入力処理を実行する。このステップS102における額側での接触検出信号入力処理は、次のサブステップ1~サブステップ3の各処理によって構成されている。
【0062】
サブステップ1:まず、制御部103は、顎紐接触検出センサ120をGND(つまり、電源部107の-側)に接続する。具体的には、制御部103は、顎紐接触検出センサ120の接触検出信号を入力するマイコンICの入力ポートをGNDに接続する。
【0063】
サブステップ2:次に、制御部103は、ヘッドバンド接触検出センサ110から接触検出信号を入力する。より具体的には、制御部103は、マイコンICの出力ポートをONにしてヘッドバンド接触検出センサ110に電圧を印加するとともに入力ポートがONとなるまでの時間、すなわち、静電容量が所定量に達するまでの時間を測定する。
【0064】
サブステップ3:次に、制御部103は、前記サブステップ2にて計測したONになるまでの時間を記憶して、ヘッドバンド接触検出センサ110に対する電圧の印加を中断するとともに顎紐接触検出センサ120の接触検出信号を入力するマイコンICの入力ポートのGNDへの接続を切断する。なお、この額側での接触検出信号入力処理は、1回だけ実行して1つの測定値を取得するようにしてもよいし、複数回実行することで複数の測定値を取得することもできる。
【0065】
次に、制御部103は、ステップS104にて、顎側での接触検出信号入力処理を実行する。このステップS104における顎側での接触検出信号入力処理は、前記額側での接触検出信号入力処理と同様に、次のサブステップ1~サブステップ3の各処理によって構成されている。
【0066】
サブステップ1:まず、制御部103は、ヘッドバンド接触検出センサ110をGND(つまり、電源部107の-側)に接続する。具体的には、制御部103は、ヘッドバンド接触検出センサ110の接触検出信号を入力するマイコンICの入力ポートをGNDに接続する。
【0067】
サブステップ2:次に、制御部103は、顎紐接触検出センサ120から接触検出信号を入力する。より具体的には、制御部103は、マイコンICの出力ポートをONにして顎紐接触検出センサ120に電圧を印加するとともに入力ポートがONとなるまでの時間、すなわち、静電容量が所定量に達するまでの時間を測定する。
【0068】
サブステップ3:次に、制御部103は、前記サブステップ2にて計測したONになるまでの時間を記憶して、顎紐接触検出センサ120に対する電圧の印加を中断するとともにヘッドバンド接触検出センサ110の接触検出信号を入力するマイコンICの入力ポートのGNDへの接続を切断する。なお、この顎側での接触検出信号入力処理は、1回だけ実行して1つの測定値を取得するようにしてもよいし、複数回実行することで複数の測定値を取得することもできる。
【0069】
次に、制御部103は、ステップS106にて、装着状態判定処理を実行する。この装着状態判定処理は、ヘルメット90が使用者Uの頭部に正しく装着されているか否かを判定する処理である。具体的には、装着判定部103aを含む制御部103は、前記ステップS102にて取得した測定値および前記ステップS104にて取得した測定値がそれぞれ所定の閾値を超えているか否かを確認して2つの測定値がそれぞれ前記閾値を超えている場合にはヘルメット90が使用者Uの頭部に正しく装着されている「装着状態」と判定して記憶する。
【0070】
一方、制御部103は、このステップS106による装着状態判定処理にて、前記ステップS102にて取得した測定値および前記ステップS104にて取得した測定値のうちの少なくとも一方が前記閾値を超えていない場合にはヘルメット90が使用者Uの頭部に正しく装着されていない「非装着状態」と判定して記憶する。
【0071】
このステップS106における装着状態判定処理においては、前記ステップS102にて取得した測定値および前記ステップS104にて取得した測定値の比較対象である前記所定の閾値は身体保護具装着検出装置100の製造段階で制御部103に予め記憶されている。また、この所定の閾値は、本実施形態においては、ヘッドバンド接触検出センサ110側の測定値と顎紐接触検出センサ120側の測定値とで互いに同じ閾値を使用したが、ヘッドバンド接触検出センサ110側の測定値と顎紐接触検出センサ120側の測定値とで互いに異なる閾値を使用することもできる。
【0072】
例えば、この所定の閾値は、顎紐接触検出センサ120側の測定値を比較する閾値をヘッドバンド接触検出センサ110側の測定値を比較する閾値よりも高い値(条件が厳しい値)とすることで使用者Uに対して顎紐94をより確実に締めることを促すことができる。
【0073】
次に、制御部103は、ステップS108にて、状態変化判定処理を実行する。この状態変化判定処理は、前記ステップS106の装着状態判定処理による判定結果と判定結果記憶部103bに記憶されている判定結果とが同一であるか否かを判定する処理である。具体的には、制御部103は、前記ステップS106の装着状態判定処理による判定結果と判定結果記憶部103bに記憶されている判定結果とが互いに同一であるか否かを判定して両者が互いに同じ判定結果である場合には状態が変化していない「No」と判定してステップS116に進む。
【0074】
一方、制御部103は、このステップS108による状態変化判定処理にて、前記ステップS106の装着状態判定処理による判定結果と判定結果記憶部103bに記憶されている判定結果とが互いに異なる判定結果である場合には状態が変化した「Yes」と判定してステップS110に進む。なお、判定結果記憶部103bには、身体保護具装着検出プログラムが最初に実行される際において図示しないステップにおいて初期値として「非装着状態」の判定結果が記憶されている。
【0075】
次に、制御部103は、ステップS110にて、判定結果記憶部103bに前記ステップS106の装着状態判定処理による判定結果を記憶する。すなわち、制御部103は、前記ステップS108の状態変化判定処理にて、ヘルメット90の装着状態が変化していると判定したときには、判定結果記憶部103bに記憶されている判定結果を書き換える。具体的には、制御部103は、判定結果記憶部103bに「非装着状態」の判定結果が記憶されていた場合には「装着状態」の判定結果を記憶し、「装着状態」の判定結果が記憶されていた場合には「非装着状態」の判定結果を記憶する。
【0076】
次に、制御部103は、ステップS112にて、装着状態送信処理を実行する。この装着状態送信処理は、前記ステップS110にて判定結果記憶部103bに記憶した最新の判定結果をホスト装置200に送信する処理である。具体的には、制御部103は、前記ステップS110にて判定結果記憶部103bに記憶した最新の判定結果である「装着状態」または「非装着状態」を送受信部104を介してホスト装置200に送信する。
【0077】
これにより、ホスト装置200は、検出装置本体101から送信される検出結果信号を受信してヘルメット90が装着されているか否かの装着状態を監視して記憶したり、管理者に報知したりする処理を実行する。このホスト装置200の処理については本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。
【0078】
次に、制御部103は、ステップS114にて、タイムカウント処理を実行する。このタイムカウント処理は、ホスト装置200に検出結果信号を送信してからの時間である出力経過時間を計測する処理である。具体的には、制御部103は、内蔵するタイマーによってタイムカウントを開始する。
【0079】
一方、前記ステップS108の状態変化判定処理にてヘルメット90の装着の状態が変化していないと判定されたときには、制御部103は、ステップS116にて、所定時間経過判定処理を実行する。この所定時間経過判定処理は、制御部103が直近でホスト装置200に対してヘルメット90の装着の状態を送信してから所定時間が経過したか否かを判定する処理である。
【0080】
具体的には、制御部103は、前記ステップS114におけるタイムカウント処理の実行開始してからの経過時間である出力経過時間が所定の時間経過したか否かを確認してタイムカウント値が所定の時間経過している場合には「Yes」と判定してステップS112に進む。すなわち、制御部103は、ヘルメット90の装着の状態に変化がなくてもヘルメット90の装着の状態をホスト装置200に送信してから所定の時間が経過している場合には、ステップS112にて判定結果記憶部103bに記憶している最新の判定結果を送受信部104を介してホスト装置200に送信する。なお、本実施形態においては、前記所定の時間は5分であるが、この所定の時間は適宜設定されればよい。
【0081】
これにより、制御部103は、ホスト装置200に所定の時間以上判定結果を出力しない場合であっても装着の状態を正しく判定し続けていることをホスト装置200に確認させることができる。また、制御部103は、ホスト装置200に対して通信可能エリア内に存在していることを確認させることができる。そして、制御部103は、ステップS114にてタイムカウント処理を実行する。
【0082】
一方、制御部103は、ステップS114のタイムカウント処理の実行開始後の時間が所定の時間経過していない場合には「No」と判定してステップS118に進む。
【0083】
次に、制御部103は、ステップS118にて、スリープ処理を実行する。このスリープ処理は、制御部103の起動状態を所定時間だけ休止する処理である。具体的には、制御部103は、CPUの周辺機能(例えば、電源監視機能、乱数発生機能)を実行可能状態としつつ命令の実行を停止するスリープモードを所定の時間だけ実行する。なお、本実施形態においては、前記所定の時間は2秒であるが、この所定の時間は適宜設定されればよい。
【0084】
これにより、制御部103は、身体保護具装着検出プログラムの各処理の実行頻度を抑えて電力消費を抑えることができる。また、スリープ処理としては、前記スリープモードのほかに、CPUの動作周波数を低くする低速動作モードおよびスリープモード状態で周辺機能の動作周波数を低くする低速動作スリープモードなどがある。
【0085】
このステップS118によるスリープ処理から復帰した制御部103は、ステップS102に戻って額側での接触検出信号入力処理を実行する。すなわち、制御部103は、身体保護具装着検出プログラムをステップS102からステップS118の各処理を電源部107から電力が供給され続ける限りエンドレスで繰り返し実行する。これにより、制御部103およびホスト装置200は、使用者Uがヘルメット90を正しく装着しているか否かを継続的に監視することができる。
【0086】
このような、ヘルメット90の使用状態において、使用者Uは、検出装置本体101内に装着した電池が消耗した場合には、電池交換を行うことができる。具体的には、使用者Uは、第2信号線連結具115,125で接触検出信号線114,124を分離することで検出装置本体101をヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ分離することができる。これにより、使用者Uは、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120をヘルメット90に取り付けた状態で検出装置本体101を帽体91から取り外して電池交換することができる。
【0087】
この電池交換作業において、制御部103は、電源部107から電池が取り外された際に身体保護具装着検出プログラムの実行が中断されるが、電源部107に電池が装着されて制御部103に電力が供給されることで身体保護具装着検出プログラムが自動的に実行される。
【0088】
次に、使用者Uは、ヘルメット90の使用を終了する場合には、ヘルメット90を脱ぐ。具体的には、使用者Uは、顎紐94を弛めて帽体91を自身の頭部から取り外す。この場合、使用者Uは、身体保護具装着検出装置100をヘルメット90に取り付けた状態でヘルメット90を保管することができる。このヘルメット90の保管時においても、制御部103は、身体保護具装着検出プログラムを実行し続けるため、使用者Uがどのタイミングでヘルメット90を装着しても装着の状態を検出することができる。
【0089】
なお、この場合、使用者Uは、身体保護具装着検出装置100をヘルメット90から取り外すこともできる。具体的には、使用者Uは、筒状に形成された布状装着体111,121を開いてヘッドバンド92および顎紐94から取り外すとともに、検出装置本体101を帽体91から取り外す。これにより、使用者Uは、身体保護具装着検出装置100をヘルメット90から取り外して保管することができる。
【0090】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、身体保護具装着検出装置100は、制御部103がヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120の2つの接触検出センサのうちの一方が制御部103に接触検出信号を出力しているとき、他方の接触検出センサがGNDに接続されているため、制御部103に入力される接触検出信号を安定化させることができ使用者Uの頭部の接近または接触の検出精度を向上させることができる。
【0091】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
例えば、上記実施形態においては、ヘッドバンド接触検出センサ110は、ヘッドバンド92の外周部に密着して巻き付けられるように構成した。つまり、布状装着体111は、筒状連結具112が設けられていない部分の長さ、換言すれば、布状装着体111における筒状連結具112の2つの貼付部間の長さがヘッドバンド92の外周部の長さ(ヘッドバンド92における布状装着体111の巻き付け方向の長さ)と略同じ長さに形成されている。これにより、ヘッドバンド接触検出センサ110は、ヘッドバンド92が使用者Uの頭部に面する位置と同じ位置でヘッドバンド92が使用者Uの頭部に面する面積と略同じ面積で布状装着体111が使用者Uの頭部に面することになる。しかし、ヘッドバンド接触検出センサ110は、ヘッドバンド92などの被装着部の外周部に巻き付けられて取り付けられるように構成されていればよい。
【0093】
したがって、ヘッドバンド接触検出センサ110は、例えば、図8に示すように、布状装着体111における2つの筒状連結具112間の長さをヘッドバンド92の外周部の長さよりも十分に長く形成することができる。これにより、ヘッドバンド接触検出センサ110は、布状装着体111がヘッドバンド92に取り付けられた際に、ヘッドバンド92の長手方向に直交する方向(頭部の上下方向)に張り出して頭部に面し布状装着体111の頭部への接触面積が拡大するため、ヘルメット90の装着状態を正確に検出することができる。
【0094】
なお、布状装着体111における2つの筒状連結具112間の長さは、特に限定されるものではないが、ヘッドバンド92の外周部の長さの1.5倍以上かつ3倍以下の範囲が好ましい。また、布状装着体111の一部に導電性を有する部分が形成されている場合には、布状装着体111における2つの筒状連結具112間の長さとは、この長さ方向における導電性を有する部分の長さである。また、顎紐接触検出センサ120についてもヘッドバンド接触検出センサ110と同様に、布状装着体121における2つの筒状連結具122間の長さを顎紐94の外周部の長さよりも十分に長く形成することができることは当然である。また、図8においては、ヘッドバンド92に対して図示右側が使用者Uの頭部側となる。
【0095】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120をそれぞれ備えて構成した。すなわち、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120が、本発明に係る接触検出センサに相当する。
【0096】
しかし、身体保護具装着検出装置100は、ヘルメット90に取り付けられる2つ以上の複数の接触検出センサを備えていればよい。したがって、身体保護具装着検出装置100は、3つ以上の接触検出センサを備えて構成することもできる。この場合、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド92における使用者Uの額に対向する部分以外の場所、例えば、後頭部または側頭部に対向する部分に取り付けられる接触検出センサを備えて構成することもできる。
【0097】
これらの場合、身体保護具装着検出装置100は、例えば、図9に示すように、顎紐94を有さずヘッドバンド92の締め付け具合を使用者Uの後頭部側から調整するための調整ノブ92aを備えたヘルメット90に装着するがことできる。具体的には、身体保護具装着検出装置100は、2つのヘッドバンド接触検出センサ110a,110bを備えており、一方のヘッドバンド接触検出センサ110aをヘッドバンド92における使用者Uの額に対向する部分に取り付けるとともに、他方のヘッドバンド接触検出センサ110bをヘッドバンド92における使用者Uの後頭部に対向する部分(調整ノブ92aの周辺)に取り付けることができる。これによれば、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド92の締め付けによって2つのヘッドバンド接触検出センサ110a,110bを確実かつ強固に頭部に密着させることができる。
【0098】
また、身体保護具装着検出装置100は、図10に示すように、2つのヘッドバンド接触検出センサ110a,110bをヘッドバンド92における使用者Uの左右の側頭部にそれぞれ対向する部分に取り付けることができる。また、身体保護具装着検出装置100は、図11に示すように、2つのヘッドバンド接触検出センサ110a,110bをヘッドバンド92における使用者Uの額の左側部分および右側部分にそれぞれ対向する各部分に取り付けることができる。なお、ヘッドバンド接触検出センサ110は、3つ以上で構成されていてもよいことは当然である。
【0099】
すなわち、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド92の複数の位置に装着される複数のヘッドバンド接触検出センサ110を有して構成することができる。なお、身体保護具装着検出装置100は、2つ以上の複数の顎紐接触検出センサ120(図示せず)を備えて顎紐94における複数の位置に取り付けることもできる。また、身体保護具装着検出装置100は、ハンモック93に取り付けられて使用者Uの頭頂部またはその周囲に対向する部分に取り付けられる接触検出センサを備えて構成することもできる。
【0100】
また、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からなる接触検出センサは、ヘルメット90のいずれかの位置、例えば、帽体91、ヘッドバンド92、ハンモック93および顎紐94に取り付けられるように構成されていればよく、必ずしもヘッドバンド92および顎紐94に巻き付けられる布状装着体111,121で構成される必要はない。すなわち、接触検出センサは、ヘルメット90の各部に対して両面テープ、接着剤、または縫合によって取り付けられていてもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、制御部103がヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120の2つの接触検出センサのうちで接触検出信号を入力していない側の接触検出センサをGNDに接続するように切換制御を行うように構成した。しかし、身体保護具装着検出装置100は、複数の接触検出センサのうちの1つが制御部103に接触検出信号を出力しているとき、残余の接触検出センサがGNDに接続されていればよい。したがって、身体保護具装着検出装置100は、制御部103によるGNDへの切替制御に代えてまたは加えて接触検出センサとGNDとの間にプルダウン抵抗(図示せず)を設けることでも制御部103に入力される接触検出信号を安定化させることができる。
【0102】
この場合、例えば、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120の各接触検出センサとGNDとの間にプルダウン抵抗を設けた場合には、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120は常時GNDに接続された状態となる。したがって、制御部103は、上記ステップS102における額側での接触検出信号入力処理および上記ステップS104における顎側での接触検出信号入力処理においては、それぞれサブステップ1を省略してサブステップ2から実行すればよい。
【0103】
また、身体保護具装着検出装置100は、制御部103がヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120の各入力ポートを常時GNDに接続するように構成することもできる。この場合、制御部103は、図7の破線で示すように、身体保護具装着検出プログラムの実行を開始すると直ちにステップS101にてヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120の各入力ポートをGNDに接続する処理を実行する。
【0104】
そして、制御部103は、上記ステップS102における額側での接触検出信号入力処理においては、ヘッドバンド接触検出センサ110の入力ポートのGNDへの接続を遮断して接触検出信号を入力し、その後GNDへの接続に復帰させる。また、制御部103は、上記ステップS104における顎側での接触検出信号入力処理においては、顎紐接触検出センサ120の入力ポートのGNDへの接続を遮断して接触検出信号を入力し、その後GNDへの接続に復帰させる。これによっても、身体保護具装着検出装置100は、上記ステップS102における額側での接触検出信号入力処理および上記ステップS104における顎側での接触検出信号入力処理においてそれぞれサブステップ1を省略することができる。
【0105】
また、上記実施形態においては、制御部103は、ステップS106における装着状態判定処理にて、ヘッドバンド接触検出センサ110の検出に基づく測定値および顎紐接触検出センサ120の検出に基づく測定値が共に所定の閾値を超えているとき、使用者Uの頭部に正しく装着されている「装着状態」と判定した。しかし、制御部103は、ステップS106における装着状態判定処理にて、ヘッドバンド接触検出センサ110の検出に基づく測定値および顎紐接触検出センサ120の検出に基づく測定値のうちの一方が所定の閾値を超えているとき、使用者Uの頭部に正しく装着されている「装着状態」と判定することもできる。また、制御部103は、接触検出センサが3つ以上存在している場合には、2つ以上またはすべての接触検出センサにおける測定値が所定の閾値を超えているとき、使用者Uの頭部に正しく装着されている「装着状態」と判定することもできる。
【0106】
このように、身体保護具装着検出装置100は、装着判定部103aが複数の接触検出センサのうちの2つ以上の接触検出センサにおいてヘルメット90の頭部への装着状態を検出したとき同ヘルメット90が頭部に装着されていると判定するように構成した場合には、複数の接触検出センサのうちの1つが制御部103に接触検出信号を出力しているとき、残余の接触検出センサがGNDに接続されているように構成しなくてもヘルメット90の装着状態自体は検出可能である。
【0107】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、ステップS106における装着状態判定処理以降の各処理を制御部103が実行するように構成した。すなわち、身体保護具装着検出装置100は、制御部103が装着判定部103aおよび判定結果記憶部103bを備えて制御部103がヘルメット90の装着状態または非装着状態を判定してホスト装置200に対して検出結果信号を送信するように構成した。しかし、身体保護具装着検出装置100は、制御部103がヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120からそれぞれ出力される接触検出信号をホスト装置200に送信して、ホスト装置200がヘルメット90の装着状態または非装着状態を判定するようにしてもよい。すなわち、ホスト装置200が装着判定部103aおよび判定結果記憶部103bを備えてホスト装置200がヘルメット90の装着状態または非装着状態を判定することができる。
【0108】
また、身体保護具装着検出装置100は、制御部103がヘルメット90の装着状態または非装着状態を判定した際にホスト装置200に対して検出結果信号を送信することなく、自身が有する出力部106に検出結果を出力するように構成してもよい。この場合、出力部106は、LEDなどの発光素子による光の明滅、スピーカなどの発音器による発音、またはモータで偏芯錘を回転させる振動素子による振動などの構成を用いてヘルメット90装着者に直接報知することができる。すなわち、身体保護具装着検出装置100は、ホスト装置200を省略して構成することができる。
【0109】
また、上記実施形態においては、制御部103は、ステップS108の状態変化判定処理によってヘルメット90の装着の状態が変化した場合にホスト装置200に対して検出結果信号を送信するように構成した。しかし、ステップS108の状態変化判定処理を省略してステップS106による装着状態判定処理を実行するごとにホスト装置200に対して検出結果信号を送信するように構成することもできる。
【0110】
また、上記実施形態においては、制御部103は、ステップS116の所定時間経過判定処理によって出力経過時間が所定の時間を経過しているときホスト装置200に対して検出結果信号を送信するように構成した。しかし、制御部103は、ステップS116の所定時間経過判定処理の実行を省略して構成することもできる。
【0111】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、電源部107に電池を装着することで制御部103が自動的に身体保護具装着検出プログラムを実行するように構成した。すなわち、身体保護具装着検出装置100は、制御部103が電源部107から電力が供給されることをトリガとして装着判定部103aによる判定処理を自動的に実行するため、身体保護具装着検出装置100の電源スイッチの入れ忘れによるヘルメット90の装着状態の不検出を未然に防止することができる。しかし、身体保護具装着検出装置100は、電源スイッチを設けることで電源部107の電力を制御部103に供給するように構成することもできる。これによれば、身体保護具装着検出装置100は、保管時など使用しない場合に電源スイッチをOFFにすることで電源部107の電力消費を抑えることができる。
【0112】
また、上記実施形態においては、筒状連結具112,122は、面ファスナで構成することによって筒状に形成した布状装着体111,121の両端部を着脱自在に構成した。しかし、筒状連結具112,122は、筒状に形成した布状装着体111,121における互いに対向する部分を留めることができればよく、面ファスナ以外のボタン(ボタンホールを有するもの)、ホックまたはチャックで構成することができる。
【0113】
また、筒状連結具112,122は、ヘッドバンド92および顎紐94が貫通する筒状に形成した布状装着体111,121における互いに対向する部分を縫合によって連結するように構成してもよいし、各端部を接着によって連結するように構成することもできる。すなわち、筒状連結具112,122は、筒状に形成した布状装着体111,121における互いに対向する部分を固定的に接合することもできる。この場合、布状装着体111,121に対しても縫合または接着して固定的に設けることもできる。
【0114】
また、上記実施形態においては、筒状連結具112,122は、布状装着体111,121を筒状に形成した際における内側面にそれぞれ設けて布状装着体111,121の各両端部を貼り合せた際に外側に突出するように構成した。これにより、筒状連結具112,122は、布状装着体111,121がヘッドバンド92および顎紐94に装着された際の位置ずれを防止することができる。すなわち、筒状連結具112,122それぞれの2つの貼付部は、布状装着体111,121におけるそれぞれ同一面上に設けられている。
【0115】
しかし、筒状連結具112,122それぞれの2つの貼付部は、布状装着体111,121における互いに反対面にそれぞれ設けることもできる。これによれば、筒状連結具112,122は、布状装着体111,121を筒状に形成した際に両端部における一方の端部(外側面)上に他方の端部(内側面)を重ねて貼り合せることができ外側への突出を抑えることができる。また、筒状連結具112,122は、チャックで構成した場合においては、筒状に形成した布状装着体111,121における各両端部にそれぞれ設けることができる。

【0116】
また、上記実施形態においては、第1信号線連結具113,123は、スナップボタンで構成した。しかし、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121と接触検出信号線114,124とを電気的かつ物理的に連結または分離することができるように構成されていればよい。したがって、第1信号線連結具113,123は、スナップボタン以外の端子、例えば、ケーブルジョイントまたはコネクタなどの差込み型の端子で構成することができる。
【0117】
また、上記実施形態においては、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121における筒状連結具112,122が設けられた面の反対側の面、すなわち、布状装着体111,121を筒状に形成した場合における外側面に設けた。これにより、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121を顎紐94およびヘッドバンド92に装着した状態で分離または連結し易くすることができる。しかし、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121における筒状連結具112,122が設けられた面、すなわち、布状装着体111,121を筒状に形成した場合における内側面に設けることもできる。これによれば、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121を筒状に形成した場合に筒内に配置されるためヘルメット90の使用時における汚損を防止することができる。
【0118】
また、第1信号線連結具113,123は、布状装着体111,121と接触検出信号線114,124とを電気的かつ物理的に連結または分離することが不要な場合には省略することもできる。
【0119】
また、上記実施形態においては、第2信号線連結具115,125は、ケーブルジョイントで構成した。しかし、第2信号線連結具115,125は、接触検出信号線114,124の途中で接触検出信号線114,124自体を電気的かつ物理的に連結または分離することができるように構成されていればよい。したがって、第2信号線連結具115,125は、ケーブルジョイント以外のコネクタなどの差込み型の端子のほか、スナップボタン型の端子で構成することができる。
【0120】
なお、第2信号線連結具115,125は、第1信号線連結具113,123と同じ接続端子で構成することにより、第2信号線連結具115,125と第1信号線連結具113,123とを互いに連結することもできる。
【0121】
また、上記実施形態においては、第2信号線連結具115,125は、接触検出信号線114,124の全長における制御部103側の長さを布状装着体111,121側の長さよりも長くなる位置に設けた。これにより、身体保護具装着検出装置100は、使用者Uがヘルメット90を装着している場合において、接触検出信号線114,124を分離した際における布状装着体111,121から延びる接触検出信号線114,124の長さが短いため使用者Uの頭部から接触検出信号線114,124が垂れ下がる量が少なく不快感を軽減することができる。
【0122】
しかし、第2信号線連結具115,125は、接触検出信号線114,124の全長における中央部分に設けることもできる。また、第2信号線連結具115,125は、接触検出信号線114,124の全長における制御部103側の長さを布状装着体111,121側の長さよりも短くなる位置に設けることもできる。これによれば、身体保護具装着検出装置100は、布状装着体111,121側の接触検出信号線114,124の長さを種々取り揃えることにより接触検出信号線114,124の長さ調整の幅を広げることができる。また、第2信号線連結具115,125は、接触検出信号線114,124の途中で電気的かつ物理的に連結または分離することが不要な場合には省略することもできる。
【0123】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120における布状装着体111,121と制御部103とを有線である接触検出信号線114,124で接続するように構成した。しかし、身体保護具装着検出装置100は、ヘッドバンド接触検出センサ110および顎紐接触検出センサ120における布状装着体111,121と制御部103とを無線で接続するように構成することもできる。
【0124】
また、上記実施形態においては、身体保護具装着検出装置100は、安全ヘルメットに装着した。すなわち、身体保護具装着検出装置100は、ヘルメット装着検出装置として構成した。しかし、身体保護具装着検出装置100は、安全ヘルメット以外のヘルメット、例えば、自転車または自動二輪車などの乗り物用のヘルメットのほか、スポーツなどの競技用または遊戯用のヘルメットにも広く装着することができる。
【0125】
また、本発明に係る身体保護具装着検出装置100は、人間の身体に装着されて守る身体保護具の装着検出装置として広く適用することができる。この場合、身体保護具としては、安全靴、防護眼鏡、防護マスクまたは防護手袋がある。また、身体保護具としては、人間の首、胴、腰、腕脚または足に装着されるプロテクタがある。
【符号の説明】
【0126】
U…使用者、
90…ヘルメット、91…帽体、92…ヘッドバンド、92a…調整ノブ、93…ハンモック、94…顎紐、95…取付具、
100…身体保護具装着検出装置、101…検出装置本体、102…筐体、103…制御部、103a…装着判定部、103b…判定結果記憶部、104…送受信部、105…操作子、106…出力部、107…電源部、
110,110a,110b…ヘッドバンド接触検出センサ、111…布状装着体、112…筒状連結具、113…第1信号線連結具、114…接触検出信号線、115…第2信号線連結具、
120…顎紐接触検出センサ、121…布状装着体、122…筒状連結具、123…第1信号線連結具、124…接触検出信号線、125…第2信号線連結具、
200…ホスト装置。
図1
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図9
図10
図11