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特許7573841食品片集合体形成方法および食品片集合体形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】食品片集合体形成方法および食品片集合体形成装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 17/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A22C17/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024141942
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2023100526の分割
【原出願日】2020-06-02
【審査請求日】2024-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
(72)【発明者】
【氏名】浅井 裕司
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-073294(JP,A)
【文献】特開2009-248296(JP,A)
【文献】特開2019-064808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生の塊状肉(MF)を切断して得られる複数の生の肉片(m)を、少なくともその一部が互いに重なるように並べて肉片(m)の集合体(M)を形成する方法であって、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求め、演算で得られた数の肉片(m)を演算で得られたピッチ(K)ずつずらしながら重ねることで、前記集合体(M)の全長を設定された長さ(E)に形成する方法であり、
塊状肉(MF)をその先端部から切断して複数の肉片(m)を順次形成する工程を備え、この切断工程において塊状肉(MF)の先端部となる箇所の高さを計測する厚さ測定手段により得られる塊状肉高さ計測値に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求めることを特徴とする食品片集合体形成方法。
【請求項2】
前記厚さ測定手段が、切断される塊状肉(MF)の先端部の厚さ(X)を前記塊状肉高さ計測値として計測するものである請求項1に記載の食品片集合体形成方法。
【請求項3】
前記先端部の厚さ(X)と肉片(m)の折り畳み位置から、この折り畳み後の肉片(m)の並び方向での長さ(A)を算出し、この長さ(A)に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求める請求項に記載の食品片集合体形成方法。
【請求項4】
塊状肉(MF)をその先端部から略等間隔で切断して、略均一な厚みの肉片(m)を順次形成する請求項または請求項に記載の食品片集合体形成方法。
【請求項5】
前記肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)の演算結果が、同一の集合体(M)の形成が完了するまで変わらない請求項1から請求項のいずれか一項に記載の食品片集合体形成方法。
【請求項6】
前記設定された長さ(E)が、前記集合体(M)が収容されるトレーの大きさに応じて設定されている請求項1記載の食品片集合体形成方法。
【請求項7】
生の塊状肉(MF)をその先端部から切断し、切断された複数の生の肉片(m)を、少なくともその一部が互いに重なるように並べて肉片(m)の集合体(M)を形成する食品片集合体形成装置であって、
前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求めるコントローラ(400)を具備し、
前記コントローラ(400)の演算で得られた数の肉片(m)を前記コントローラ(400)の演算で得られたピッチ(K)ずつずらしながら重ねることで、前記集合体(M)の全長を設定された長さ(E)に形成するものにおいて、
切断される際に塊状肉(MF)の先端部となる箇所の厚さ(X)を測定する厚さ測定手段をさらに具備し、
前記コントローラ(400)が、前記厚さ測定手段により得られる肉高さ計測値に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求めることを特徴とする食品片集合体形成装置。
【請求項8】
前記厚さ測定手段によって測定された厚さ(X)に基づいて、切断された肉片(m)の並び方向での長さ(A)を算出する長さ算出手段をさらに具備し、
前記コントローラ(400)が、前記長さ算出手段によって算出された長さ(A)に応じて前記ピッチ(K)を演算することを特徴とする請求項記載の食品片集合体形成装置。
【請求項9】
塊状肉(MF)をその先端部から略等間隔で切断して、略均一な厚みの肉片(m)を順次形成する請求項に記載の食品片集合体形成装置。
【請求項10】
前記コントローラ(400)の演算で得られた前記肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)が、同一の集合体(M)の形成が完了するまで変わらない請求項または請求項または請求項に記載の食品片集合体形成装置。
【請求項11】
前記設定された長さ(E)が、前記集合体(M)が収容されるトレーの大きさに応じて設定されている請求項記載の食品片集合体形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の食品片から食品片集合体を形成する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の食品片集合体の形成方法および形成装置として、例えば、生肉や加工肉やチーズ等の塊状食品を順次薄く切断して食品片とし、これら複数の食品片を、その一部が互いに重なるように並べて食品片の集合体を形成するものがある。
このように複数の食品片を集合体に形成することで、容器への収容が容易に行なえ、食品加工工場での作業能率が向上する。
また、容器から食品片を分離しながら取り出すことが容易となり、調理における利便性も向上する。
なお、この食品が生肉の場合、通常、薄く切断された生肉は、一枚ごとに折り畳んだ肉片を5~10枚程度並列させて肉片の集合体を形成し、この集合体をトレーに収容して包装し、総重量や重量単価等を表示し商品として出荷する。
【0003】
このような食品片の集合体の形成方法および形成装置として、特許文献1には、塊状の生肉をその先端部から上下方向に切断して複数の薄肉片を順次形成し、この薄肉片をその中間部で折り畳み、この折り畳まれた薄肉片の一部が互いに重なるように並列させて集合体を形成する技術が開示されている。
また、特許文献2には、複数の薄肉片から形成された集合体を、所定の間隔をおいて搬送し、トレーに収容する技術が開示されている。
そして、特許文献3には、肉片の集合体の重量が設定重量に近づくように、並列させる肉片の枚数と肉片の切断厚さを自動的に変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4264518号公報
【文献】特許第5875156号公報
【文献】特許第4942696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば生肉等の塊状食品は、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状は不規則に変化するため、これを均一な厚さに切断しても、切断された食品片の大きさ(長さ)や重量は均一にならない。
このため、同一枚数の食品片を同じピッチで重ねた場合、これによって形成される集合体の全長と重量がばらつく。
このように集合体ごとの重量がばらついた場合、商品としての表示重量帯やこれに伴う表示価格帯等を揃えることが難しくなるため、手作業での調整を要して作業能率が低下するような問題が生じる。
【0006】
また、特許文献3に開示された技術を用いて、並列させる食品片の枚数と切断厚さを自動的に変更する場合、仮にこの食品片からなる集合体ごとの重量のばらつきを少なくすることができたとしても、各食品片を並列させるピッチが自動調整されないため、この集合体の全長を揃えることができない。
この全長のばらつきによって、例えば、集合体の全長が大きくなり過ぎ、トレー等の容器に収容する場合にこの容器からはみ出したり、逆に、集合体の全長が小さくなりすぎて容器内に隙間を生じ、手作業での食品片の並べ直しを要して作業能率が低下したりするような問題が生じる。
また、同一のトレー等の容器に収容された食品片の厚さがばらつくため、商品価値が低下する問題が生じうる。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、食品片の集合体の全長を揃えると共に、集合体の重量のばらつきを少なくすることのできる食品片集合体の形成方法および形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、生の塊状肉(MF)を切断して得られる複数の生の肉片(m)を、少なくともその一部が互いに重なるように並べて肉片(m)の集合体(M)を形成する方法であって、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求め、演算で得られた数の肉片(m)を演算で得られたピッチ(K)ずつずらしながら重ねることで、前記集合体(M)の全長を設定された長さ(E)に形成することを特徴とする食品片集合体形成方法とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記肉片(m)の並び方向での長さ(A)に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求める請求項1に記載の食品片集合体形成方法とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、塊状肉(MF)をその先端部から切断して複数の肉片(m)を順次形成し、この切断される塊状肉(MF)の先端部の厚さ(X)に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求める請求項1に記載の食品片集合体形成方法とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、塊状肉(MF)をその先端部から切断し、設定位置で折り畳んだ肉片(m)を順次形成し、この切断される塊状肉(MF)の先端部の厚さ(X)と肉片(m)の折り畳み位置から、この折り畳み後の肉片(m)の並び方向での長さ(A)を算出し、この長さ(A)に応じて、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求める請求項1に記載の食品片集合体形成方法とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、塊状肉(MF)をその先端部から略等間隔で切断して、略均一な厚みの肉片(m)を順次形成する請求項3または請求項4に記載の食品片集合体形成方法とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)の演算結果が、同一の集合体(M)の形成が完了するまで変わらない請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食品片集合体形成方法とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記設定された長さ(E)が、前記集合体(M)が収容されるトレーの大きさに応じて設定されている請求項1記載の食品片集合体形成方法とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、生の塊状肉(MF)をその先端部から切断し、切断された複数の生の肉片(m)を、少なくともその一部が互いに重なるように並べて肉片(m)の集合体(M)を形成する食品片集合体形成装置であって、前記集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求めるコントローラ(400)を具備し、前記コントローラ(400)の演算で得られた数の肉片(m)を前記コントローラ(400)の演算で得られたピッチ(K)ずつずらしながら重ねることで、前記集合体(M)の全長を設定された長さ(E)に形成することを特徴とする食品片集合体形成装置とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、切断される塊状肉(MF)の先端部の厚さ(X)を測定する厚さ測定手段と、この厚さ測定手段によって測定された厚さ(X)に基づいて、切断された肉片(m)の並び方向での長さ(A)を算出する長さ算出手段と、をさらに具備し、前記コントローラ(400)が、前記長さ算出手段によって算出された長さ(A)に応じて前記ピッチ(K)を演算することを特徴とする請求項8記載の食品片集合体形成装置とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、塊状肉(MF)をその先端部から略等間隔で切断して、略均一な厚みの肉片(m)を順次形成する請求項8に記載の食品片集合体形成装置とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、前記コントローラ(400)の演算で得られた前記肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)が、同一の集合体(M)の形成が完了するまで変わらない請求項8または請求項9または請求項10に記載の食品片集合体形成装置とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、前記設定された長さ(E)が、前記集合体(M)が収容されるトレーの大きさに応じて設定されている請求項8記載の食品片集合体形成装置とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、肉片の集合体の全長を揃えると共に、集合体の重量のばらつきを少なくすることのできる食品片集合体の形成方法および形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明における食品片集合体形成装置である食品切断搬送装置の平面図である。
図2】本発明における食品片集合体形成装置である食品切断搬送装置の左側面図である。
図3】本発明における食品片集合体形成装置である食品切断搬送装置の正面図である。
図4】本発明における食品片集合体形成装置である食品切断搬送装置を左右方向中間部で破断して示す説明用左側面図である。
図5】本発明における食品片集合体形成装置である食品切断搬送装置の伝動説明図である。
図6】供給部の左側面図である。
図7】供給部の平面図である。
図8】切断部の平面図である。
図9】供給部の送出口に設ける枠部材の正面図である。
図10】切断部の右側面図であり、(a)は切断部の説明用右側面図、(b)は(a)において一点鎖線で囲った部分の拡大図である。
図11】切断部および引継部周辺の説明用左側面図である。
図12】切断部および引継部周辺の説明用平面図である。
図13】折り畳まれた食品片の集合体を示す説明用左側面図である。
図14】搬送方向下手側の搬送作用部の右側面図である。
図15】搬送方向下手側の搬送作用部の平面図である。
図16】閉鎖状態における物品移動装置の平面図である。
図17】閉鎖状態における物品移動装置の正面図である。
図18】間隔調整時における物品移動装置の平面図である。
図19】間隔調整時における物品移動装置の正面図である。
図20】開放状態における物品移動装置の平面図である。
図21】開放状態における物品移動装置の正面図である。
図22】物品移動装置の左側面図であり、(a)は作業状態、(b)はメンテナンス状態を示す。
図23】物品移動装置の移載ベルトの説明図である。
図24】物品移動装置の作動状態説明用の正面図であり、(a)は閉鎖状態、(b)は開放状態を示す。
図25】容器供給部の説明用背面図である。
図26】容器供給部の要部の説明図である。
図27】容器供給部の要部の説明図である。
図28】物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図29】物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図30】間隔調整前の初期状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図31】間隔調整前の初期状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図32】間隔調整時における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図33】間隔調整時における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図34】開放途中状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図35】開放途中状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図36】開放状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図37】開放状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図38】収容完了状態における物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図39】エアシリンダーの空圧回路図である。
図40】ブロック回路図である。
図41】制御用のフローチャートの前段部である。
図42】制御用のフローチャートの後段部である。
図43】集合体の形成状態を示す説明図である。
図44】塊状肉(塊状食品)の高さ変化を示す説明図である。
図45】塊状肉の高さと肉片集合体の総重量の関係を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、塊状肉(塊状食品)MFを連続的に切断し、複数枚の肉片(食品片)mを複数枚ごとの集合体Mとして搬送するスライサー(本発明の「食品片集合体形成装置」)を実施例として詳述する。
なお、このスライサーによって切断される塊状肉MFおよび肉片mの集合体の搬送方向を基準として、上手側を「後側」、下手側を「前側」と定義し、下手側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0023】
(スライサーの全体構成)
図1図3に示すように、スライサー1は、基体となる機台2に対して供給部3と、切断部4と、搬送部5と、収容部6と、制御部7を設けて構成する。
機台2は、所定の高さを有した平面視で長方形状の枠体である。
供給部3は、作業者による塊状肉MFの投入を受けて前方へ搬送するものであり、切断部4は、供給部3の前端部から前方へ突出した塊状肉MFの前端部を所定の厚さに切断するものである。
搬送部5は、切断部4で切断された肉片mを前方へ搬送するものであり、収容部6は、搬送されてきた肉片mを容器に収容して搬出するものである。
制御部7は、各部を駆動する電動モーターやエアシリンダー等の作動状態を制御するものである。
なお、衛生上の観点から、各部は主にステンレス鋼を用いて構成し、ステンレス製のカバーCで覆う。
図4以降は、このカバーCを取り外して示す。
【0024】
(供給部)
図4図7に示すように、供給部3は、平面視で矩形に枠組みされた枠体8と、この枠体8に対して取り付けられ、手作業で供給された塊状肉MFを前方へ搬送する塊状肉搬送装置9を備える。
この塊状肉搬送装置9には、枠体8の左右両側部に左右の側壁10,10を立設し、この左右の側壁10,10の後端部から、左右の支点軸11、11の夫々を外側方へ突出する姿勢で固定する。
この左右の支点軸11,11は、同一軸心上に配置し、その両端部を、左右のベアリング12,12を介して機台2側に支持する。
【0025】
(供給部の揺動機構)
図5に示すように、機台2における枠体8の下方の部位に揺動用電動モーター13を取り付け、この揺動用電動モーター13の出力軸14にクランクアーム15の一端部を取り付ける。
そして、このクランクアーム15の他端部に軸支したベアリング16と、枠体8における支点軸11,11よりも前側下方の部位に支持したベアリング17を、連動ロッド18の両端に備えた円筒部(図示省略)に篏合して固定する。
これによって、供給部3は、搬送終端側となる前端部ほど低くなるように、前下がりに傾斜した姿勢で支持される。
揺動用電動モーター13を駆動すると、供給部3が支点軸11を中心として斜め上下方向に揺動し、供給部3の前端部は、支点軸11を中心とする円弧軌跡上を往復移動する。
【0026】
(供給部の搬送通路)
図5図7に示すように、枠体8には、左右両端部に有した側壁10,10の間に1つの仕切壁19を一体的に備える。
これら2つの側壁10,10と1つの仕切壁19の間に2つの搬送通路20,20が形成される。
なお、図6図7に示すように、左右両端部に有した側壁10,10を、その前部と後部において、2つの搬送通路20,20の上方を跨いで配置された門型またはアーチ形状の補強フレーム21,21で連結し、枠体8の剛性を確保する。
【0027】
(供給部のコンベア)
図4図5図7に示すように、塊状肉搬送装置9は、2つの搬送通路20,20のそれぞれに、塊状肉搬送用の広幅の下部コンベア22を設けて構成する。
この下部コンベア22は、2つの搬送通路20,20の底部を形成し、塊状肉MFを載せて搬送するものである。
下部コンベア22は、前端ローラー23および後端ローラー24と、これら前端ローラー23と後端ローラー24に巻き掛けられる粗雑面を有した下部無端ベルト25と、この下部無端ベルト25に張力を付与する前後方向中間部のテンションローラー26から構成する。
【0028】
前端ローラー23は、左右のフレーム(図示省略)の前端部に固定された左右方向の軸に対して、回転自在に支持する。
この左右のフレームは一体的に構成され、枠体8の下部に着脱自在な構成とする。
後端ローラー24は、左右のフレームの後端部に軸受された左右方向の下部駆動軸27に固定する。
テンションローラー26は、枠体8の前後方向中間部に配置し、下部無端ベルト25の下側巻回域の上面に当接させ、下方へ弾発付勢する。これによって、下部無端ベルト25に、搬送に適した張力が付与される。
また、テンションローラー26を弾発付勢する構成に代えて、テンションローラー26の高さを調節して固定する構成としてもよい。
なお、前端ローラー23、後端ローラー24、テンションローラー26、下部無端ベルト25は、左右の側壁10,10の内側面間隔よりも幅広に形成し、その左右両端部の夫々を、左右の側壁10,10の下側に入り込ませる。
【0029】
また、枠体8における前端ローラー23とテンションローラー26の間、および、テンションローラー26と後端ローラー24の間には、下部無端ベルト25の上側巻回域の下面を摺接支持する摺接板体(図示省略)を取り付ける。この摺接板体は、左右の側壁10,10の内側面間にわたる広幅に形成する。
また、下部無端ベルト25の上面は、仕切壁19の直下に、当接しない程度の隙間を有した状態で配置する。
これにより、下部無端ベルト25の上面は、上述の2つの搬送通路20,20の底部を形成するものとなる。
【0030】
(供給部の押圧板)
図5図7に示すように、左右の支点軸11,11における側壁10,10とベアリング12,12の間の部位には、左右の押圧アーム28,28の基部を軸受支持する。
これによって、左右の押圧アーム28,28は左右の側壁10,10の外側に上下揺動自在に配置される。
この左右の押圧アーム28,28の前端には、搬送通路20,20の前端部上側に臨む押圧板29,29をそれぞれ取り付ける。
この押圧板29,29は、左右の押圧アーム28,28の前端部に取り付けた取付ステー30,30に対してノブボルト30N,30Nで締結固定する。
なお、この取付ステー30,30は、押圧アーム28,28の前端部(自由端部)から上方へ延出した後、搬送通路20,20の上方へ向けて屈折する。
押圧板29,29は、取付ステー30,30に締結固定される上面部と、この上面部の前端から前下がり傾斜する斜面部と、この斜面部の前端から前方へ延出する押圧面部を有する板体である。
【0031】
また、図4図6に示すように、枠体8における左右の側壁10,10からステー30T,30Tを立ち上げ、このステー30T,30Tに左右のエアシリンダー30S,30Sのシリンダー部を左右方向の軸30Y,30Yで回動自在に軸支する。これによって、エアシリンダー30S,30Sは上下方向の姿勢として取り付けられる。
そして、このエアシリンダー30S,30Sのピストンの先端を、左右の押圧アーム28,28の前部に左右方向の軸心回りに回動自在に軸支する。
【0032】
このエアシリンダー30S,30Sが伸長作動すると、押圧アーム28が下方回動し、押圧具29,29が下方の下部無端ベルト25の上面に向けて押圧され、この押圧具29,29の押圧面部によって搬送通路20,20の前部まで搬送された塊状肉MFの前端部を押圧する。
すなわち、このエアシリンダー30S,30Sの伸長および短縮のタイミングを、支点軸11を中心とする供給部3の揺動に同調するように制御する。
【0033】
これにより、供給部3の上昇揺動によって塊状肉MFの前端部が切断部4で切断される直前に、エアシリンダー30S,30Sが伸長して、この塊状肉MFの前端部を押圧し、切断時の位置ずれを防止する。
切断後、このエアシリンダー30S,30Sが短縮して塊状肉MFの押圧が解除され、下部無端ベルト25の駆動によって、塊状肉MFの前端が後述する受板に当接するまで送り出される。
【0034】
(供給部の伝動)
図5に示すように、供給部3における枠体8の下面側に、搬送用電動モーター31を左右方向に向けて取り付け、この搬送用電動モーター31の左右方向の出力軸に出力ギヤ32を固定する。
そして、この出力ギヤ32を、枠体8の後部に軸受された中間ギヤ33に噛み合わせ、この中間ギヤ33を、下部駆動軸27の左側端部に固定した入力ギヤ34に噛み合わせる。
【0035】
(供給部における切断関連部)
図8図9に示すように、供給部3における枠体8の前端部に、2つの開口部35,35を有する枠部材36をボルト37で締結固定する。
図9に示すように、この枠部材36は、左右両端部にボルト孔を有した取付部38,38を備え、この左右の取付部38,38の間に、2つの矩形の開口部35,35を貫通させて形成する。
これら2つの矩形の開口部35,35の間には、上下方向の桟部39が形成される。
この桟部39の前面を含み、枠部材36における左右の開口部35,35の外側前面には、各開口部35の左右側縁と底部側縁の3縁を連続的に囲う摺接縁部40,40を前方へ隆起させて形成する。
【0036】
図10(a)に示すように、この摺接縁部40,40の前面は、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧状に形成する。
また、図9(b)に示すように、この摺接縁部40,40の上部前面は後上がりした傾斜面41とし、供給部3の上昇揺動時に、後述する無端状帯刃49を摺接縁部40,40上に摺接案内する。
なお、各開口部35,35の底部側縁の上縁は刃物状に形成する。
【0037】
また、図9に示すように、桟部39の前面に形成した摺接縁部40,40の幅方向(左右方向)中央部のみに、上下方向に連続する凹部42を形成する。
これによって、凹部42の底部の左右両側に摺接縁部40,40が残存し、この摺接縁部40,40にも後述する無端状帯刃49の刃先縁部後面が摺接する。
なお、この凹部42の底面も、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧状に形成する。
【0038】
(切断部の受板)
図4図8図10図11に示すように、上述の枠部材36の揺動軌跡の前側に対向する位置に、2つの開口部35,35から送り出される塊状肉MFの前端部を受ける受板43を配置する。
この受板43の後面の全面またはその一部の面を、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧に沿う曲率に形成する。
これにより、上述の枠部材36の摺接縁部40,40の前面と、受板43の後面は、側面視において同一または近似した曲率の円弧形状となる。
【0039】
(切断刃)
図5に示すように、切断部4には、切断用電動モーター44と、この切断用電動モーター44の出力軸45に取り付けた駆動プーリー46と、従動軸47に取り付けた従動プーリー48と、駆動プーリー46と従動プーリー48にわたって巻き掛けられる鋼製の無端状帯刃49を備える。
切断刃用電動モーター44は、2つの開口部35,35から左側方へ離れた部位に固定する。
一方、従動軸47は、2つの開口部35,35から右側方へ離れた位置にベアリング50を介して回転自在に支持し、エアシリンダー(図示省略)の作動によって左右方向へ位置調節できるように機台2側に支持する。
なお、出力軸45と従動軸47は、同一の前上がり傾斜姿勢として平行に保持する。
これにより、エアシリンダーを作動させて駆動プーリー46と従動プーリー48の間隔を縮小すれば、この2つのプーリー46,48に無端状帯刃49の巻き掛け作業および取り外し作業を容易に行なうことができる。
【0040】
無端状帯刃49を駆動プーリー46と従動プーリー48に巻き掛けた状態で切断用電動モーター44を起動すると、出力軸45における軸心の前上方延長線方向から見て、駆動プーリー46が反時計回りに駆動回転する。
また、無端状帯刃49を介して従動プーリー48も反時計方向に従動回転する。
これによって、無端状帯刃49の下側巻回域では、無端状帯刃49が従動プーリー48側から駆動プーリー46側へ(右から左へ)周回移動する。
したがって、この下側巻回域では、無端状帯刃49は緊張状態で周回移動することとなり、この無端状帯刃49の下側巻回域を塊状肉MFの切断作用域として使用する。
また、このように周回移動する無端状帯刃49に塊状肉MFの切断抵抗等によって過負荷が掛かった場合には、従動軸47に出力軸45側へ向かう方向の力が掛かるが、この従動軸47を移動調節するエアシリンダー内の空気が圧縮されることによって、過負荷による破損を防止することができる。
なお、無端状帯刃49の一側縁を鋭利な刃縁に形成する。
【0041】
図10に示すように、無端状帯刃49を案内する案内部材51を、駆動プーリー46と従動プーリー48の間における受板43の上方に配置する。
この案内部材51は、左右方向に長尺の板体の下縁部に、下向きに開口した左右方向の溝を形成し、この溝に、無端状帯刃49の刃縁のない側縁部分を左右方向へ摺動自在に嵌入させるものである。
そして、この案内部材51の姿勢を固定することで、無端状帯刃49の巻き掛け面が後下がり傾斜した設定姿勢に保持され、この無端状帯刃49の刃縁と受板43の上端との間に間隔部Tが形成される。
なお、案内部材51によって無端状帯刃49の内面と外面が摺接支持されるため、周回移動時の傾斜姿勢が安定する。
【0042】
(切断部の支持、第1支持部材、第3支持部材)
図4に示すように、機台2の上部左右両側に、2つの平板状のレール52,52を、前後方向に向け、左右方向に間隔をおいて固設する。
平面視で矩形に枠組み形成した第3支持部材53の下部には、その前部の左右両側に、各2個のローラー54を天秤揺動式に支持する。
また、この第3支持部材53の下部における後部の左右両側には、各1個のローラー54を軸支する。
第3支持部材53を機台2上に搭載した状態で、全6個のローラー54が左右のレール52,52の上面に載置され、第3支持部材53が機台2に対して前後方向へ移動自在に支持される。
【0043】
この第3支持部材53の上側に、平面視で矩形に枠組み形成した第1支持部材55を配置し、この第1支持部材55の前後左右の4箇所に、4つの上部リンクアーム56の上端部を左右方向の上部軸57回りに回動自在に軸着する。
この4つの上部リンクアーム56の下端部は、第3支持部材53における前後方向中央部と後部に軸受支持した左右方向の下部軸58,58の左右両端部にそれぞれ固定し、左右の上部リンクアーム56,56が下部軸58,58回りに一体的に回動するように構成する。
また、これら4つの上部リンクアーム56の下端部には、下部リンクアーム59の上端部を連結固定する。これにより、下部リンクアーム59と上部リンクアーム56は、左側面視で逆く字形状を呈する。
また、前後の下部リンクアーム59,59の下端部に設けた左右方向の軸59P,59Pと第3支持部材53前部と後部に設けた軸53P,53Pの間を、前後の引張スプリング60,60で夫々連結し、この引張スプリング60,60の収縮方向への弾発力で第1支持部材55を上昇方向へ付勢する。
【0044】
そして、第3支持部材53に、電動モーター61の基部を左右方向の軸心回りに軸支し、この電動モーター61によって回転駆動される螺子軸63に雌螺子部材64を螺合し、この雌螺子部材64と共に移動する中間部材64aの先端部を、第1支持部材55の前後方向中間部に備えた左右方向のフレーム55a側のステー55bに、左右方向の軸65で回動自在に軸着する。
この電動モーター61の駆動によって螺子軸63が回転すると、これに螺合する雌螺子部材64が螺子軸63の軸心方向に移動し、中間部材64aを介して第1支持部材55のフレーム55aを押し引きし、第1支持部材55が第3支持部材53に対して移動する。
この第1支持部材55の移動軌跡は、前後の上部リンクアーム56の上端部の揺動軌跡の設定によって決定される。
すなわち、4つの上部リンクアーム56の長さは全て同じ長さに形成し、第3支持部材53に対する前側の下部軸58の軸受位置を、第3支持部材53に対する後側の下部軸58の軸受位置よりも高く設定する。
【0045】
そして、前側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜を、後側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜よりも緩く設定する。
これによって、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
しかして、第1支持部材55の後部には、左右の側板66,66を有した後部支持台67の下端部をボルト締結によって固定する。
また、この左右の側板66,66の下部間は、左右方向の丸棒状のフレーム68,68で連結して補強する。
【0046】
図11に示すように、左右の側板66,66の上方延出部の間は、左右方向のフレーム69で連結する。
図4に示すように、左右の側板66,66の上部後側の部位に、前上がり傾斜した斜辺部を形成し、この斜辺部に、上述の受板43の前面における左右両端部から前方へ突設したステー70,70をナット71で締結して固定する。
これによって、受板43が第1支持部材55上の定位置に固定される。
なお、第3支持部材53を機台2に対して前方へ移動させると、受板43が開口部35から離間し、この受板43と開口部35の間にメンテナンス用の空間が形成され、この空間を利用して切断部4および後述する搬送部5等のメンテナンスを行なうことができる。
【0047】
(切断される肉片の厚さ調節)
電動モーター61を駆動すると、第1支持部材55およびこれに一体的に支持された受板43が、上部リンクアーム56,56の揺動軌跡に拘束される方向に移動する。
すなわち、切断される肉片mの厚さを厚くする場合には、第1支持部材55を前方へ移動させることになるが、このとき、第1支持部材55が前下がりに傾斜しながら前側下方へ移動する。
このとき、第1支持部材55に支持された受板43の後面は、前方へ傾倒するように姿勢変化する。
【0048】
この結果、摺接縁部40,40の前面と受板43の後面との間隔変化に拘らず、側面視において、受板43の後面が、摺接縁部40,40の揺動中心である支点軸11を中心とする円弧(仮想上の円弧)上に位置する状態が維持される。
すなわち、支点軸11から受板43の後面の上端までの距離と、支点軸11から受板43の後面の下端までの距離が等しい状態を維持しながら、摺接縁部40,40の前面と受板43の後面との間隔が調節される。
これによって、切断される肉片mの厚さが全面にわたって略均一な厚さで調節される。
なお、側面視における摺接縁部40,40の前面の曲率と、受板43の後面の曲率を略等しくしている。
【0049】
このため、厳密には、上述の厚さ調節を行なうと、支点軸11から受板43の後面の上端および下端までの各距離と、支点軸11から受板43の後面の上下方向中間部までの距離とが僅かに相違したものとなる。
しかしながら、この僅かな相違は、切断された肉片mの商品価値に影響するほどのものとはならない。
また、このように受板43を前方へ傾倒させながら前側下方へ移動させる構成は、この実施例におけるスライサーのように、支点軸11を中心とする摺接縁部40,40の円弧軌跡の下側領域で塊状肉MFを切断する構成の場合に適用される。
【0050】
(切断部の引継回転体)
図4図5図11に示すように、左右の側板66,66の上部間には、同一軸心上で独立して回転する左右の引継回転体72,72を設ける。
この左右の引継回転体72,72は、胴体73の外周部に、多数の鋭利な突起を形成した環状板74を、互いに間隔をおいて多数配列したものであり、この胴体73,73を、左右の側板66,66にわたって架設した支持軸75上に回転自在に軸受支持する。
なお、この環状板74の周縁部に形成される突起は、切断後の肉片mに突き刺さるほどに尖った尖端を有する。
【0051】
また、図5に示すように、左右の側板66,66の上部外側面に引継用電動モーター76,76を取り付け、この引継用電動モーター76,76によって駆動される出力軸77,77を、左右の側板66,66に穿設した孔を通して各側板66,66の内側方へ突出させる。
この出力軸77,77の突出端部に出力ギヤ78,78を固定し、左右の胴体73,73の外側端部に入力ギヤ79,79を固定し、この出力ギヤ78,78と入力ギヤ79,79を噛み合わせる。
なお、環状板74の周縁部の一部を、受板43の上部に形成した上下方向のスリットに侵入させ、この周縁部に形成した突起を切断中および切断後の肉片mに突き刺すようにして引継回転体72,72上に引き継ぐ。
この際の開口部35,35の上動速度と引継回転体72,72の環状板74,74の外周速度を同方向および同速度に設定することで、切断された肉片mを円滑に引継搬送することができる。
【0052】
(折り畳み装置)
図5図11図12に示すように、上述の支持軸75の前側下方に、左右の揺動用電動モーター80,80によって往復回転する左右の棒状体81,81を配置する。
この左右の棒状体81,81には、長手方向に所定の間隔をおいて多数の細杆82,82を植設する。
この多数の細杆82,82は、支持軸75の回動開始前において、上述の隣接する環状板74,74の間に侵入し、この環状板74,74の上側周面に係止されて搬送される肉片mに干渉しない待機位置に格納される。
また、左右の揺動用電動モーター80,80と左右の棒状体81,81をユニット化する。
そして、図11図12に示すように、この左右のユニット83,83を、左右の側板66,66の外側部に前上がりに傾斜させて平行に取り付けた2本の丸棒状の案内レール83L,83Lに対して、その長手方向に摺動自在に支持する。
【0053】
更に、左右の側板66,66の外側部に取り付けた左右の出退用電動モーター84,84から動力が供給されるギヤケース84G,84Gの出力軸に、クランクアーム85,85の一端部を取り付け、このクランクアーム85,85の他端部とユニット83,83にターンバックル式のロッド86,86の両端部を軸着する。
これにより、左右の棒状体81,81に植設された多数の細杆82,82は、左右の揺動用電動モーター80,80の作動によって傾斜姿勢が前後方向へ反転するように往復揺動する。
また、これら多数の細杆82,82は、左右の出退用電動モーター84,84の作動によって、ユニットごと案内レール83L,83Lに案内されながら、前上がり傾斜方向へ往復摺動する。
【0054】
(押圧装置)
図5図11に示すように、左右の側板66,66の上部間を連結する左右方向のフレーム69の中央部に、エアシリンダー87のシリンダー部を斜め上下方向に向けて取り付ける。
そして、このエアシリンダー87のピストン先端部に、左右方向に延在する押圧部材88の左右方向中央部を取り付ける。
この押圧部材88には、弾性を有した線材を山型に湾曲させて形成した4つの線状押圧部材89を、その一端を押圧部材88に固定し、他端を押圧部材88に穿設した孔に摺動自在に挿入して取り付ける。
この状態において、各2つの線状押圧部材89どうしが交錯し、4つの線状押圧部材89の湾曲部が下端に位置する姿勢となる。
エアシリンダー87の伸長作動によって押圧部材88が下方へ移動すると、この押圧部材の下縁によって、折り畳まれた肉片mの上面が押圧される。
この後、エアシリンダー87の短縮作動によって押圧部材88が上方へ移動するとき、4つの線状押圧部材89の湾曲部によって、折り畳まれた2列の肉片mの夫々を、2点で同時に押圧する構成である。
【0055】
(肉片の折り畳みと集合体の形成)
上述の揺動用電動モーター80,80が作動して多数の細杆82が待機位置から前方へ揺動すると、引継回転体72の環状板74の上側周面に載って搬送されてくる肉片mが、この多数の細杆82の先端部で環状板74の周面から剥ぎ取られる。
このとき、左右方向に並ぶ多数の細杆82の先端部が肉片mの下面の前後方向中央部に当接し、この肉片mの前後方向中央部を押し上げ、更に前方へ揺動する。
これによって、肉片mの前後両端部が自重で垂れ下ることにより、この肉片mは多数の細杆82の先端部が当接した位置で折り曲がり、二つ折りとなって、後述する搬送方向上手側(後側)の搬送作用部上に置かれる。
このとき、エアシリンダー87が伸長作動し、押圧部材88が下方へ移動し、この押圧部材88の下縁によって、二つ折りになった肉片mが押圧される。
【0056】
この押圧状態で、出退用電動モーター84,84が作動し、左右の棒状体81,81が、左右の揺動用電動モーター80,80ごと後側下方へ摺動し、二つ折りの肉片mに挟まれていた多数の細杆82が瞬時に抜き出される。
この後、線状押圧部材89の湾曲部で二つ折りの肉片mの上面を下方へ押し離しながら、押圧部材88が上方へ退避する。
このような肉片mの折り畳みを繰り返すことによって、図13に示すように、折り畳まれた複数の肉片m(この実施例では6枚の肉片m)が、その一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、肉片mの集合体Mが形成される。
また、無端ベルト96の搬送速度を断続的に増減速する制御、または、引継回転体72の回転速度と細杆82の揺動タイミングが同期した状態を保ちながら、この細杆82が揺動する時間間隔を断続的に変更する制御等によって、一つの集合体Mと次の集合体Mとの間に所定の間隔が形成される。
【0057】
(搬送部)
図4図5図11図14図15に示すように、搬送部5は、後端部従動ローラー90と、後部従動ローラー群91と、駆動ローラー92及びこの前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93と、駆動ローラー92の上方に配置した上部従動ローラー92Uと、後述する往復移動コンベア95を形成する従動ローラー群とにわたって無端ベルト96を巻き掛けて構成する。
なお、無端ベルト96の上側巻回域における各ローラー間には、この無端ベルト96の内周面を摺接支持する摺接支持板体(図示省略)を設ける。
これによって、搬送始端部から搬送終端部にわたる一連の搬送作用域が形成される。
この一連の搬送作用域は、搬送方向上手側(後側)の搬送作用部5Fと、搬送方向下手側(前側)の搬送作用部5Rから形成される。
【0058】
(搬送方向上手側の搬送作用部)
図4に示すように、第1支持部材55の前後方向中間部上に左右の非対称形状の板体97,97からなる中間部支持台98を搭載する。
すなわち、この左右の板体97,97の下端部に前後方向の軸受穴を有したボス部材を固定し、第1支持部材55の左右両側面部に丸棒状の摺動案内杆の前後両端部を固定し、ボス部材を摺動案内杆に対して前後方向に摺動可能に篏合させる。(ボス部材、摺動案内杆は、いずれも図示省略)
また、摺動案内杆に対するボス部材の摺動位置を固定および固定解除するロック装置(図示省略)を設ける。
左右の板体97,97からなる中間部支持台98を摺動範囲の後端まで摺動させ、この位置でロック装置をロックすると、無端ベルト96の巻き掛け周長が拡大し、この無端ベルト96が張られて搬送可能な状態となる。
一方、ロック装置をロック解除し、中間部支持台98を前方へ摺動させると、無端ベルト96の巻き掛け周長が縮小して無端ベルト96が弛み、この無端ベルト96を脱着可能な状態となる。
【0059】
しかして、中間部支持台98における左右の板体97,97の前部に、左右の支持ステー101,101の基部を固定し、この左右の支持ステー101,101の後方延出端部に、左右方向長尺の支持軸102の左右両端部を上下回動自在に軸受支持する。
図4図5に示すように、この支持軸102には、左右方向に広幅に形成した上述の後端部従動ローラー90を回転自在に支持する。
これによって、後端部従動ローラー90は、上述の切断部4における間隔部Tの前側下方に位置する。
また、この支持軸102の左右両端部には、上片部と下辺部に分岐形成した揺動アーム103,103の頂部を、それぞれ上下回動自在に軸受支持する。
この揺動アーム103,103における左右の上辺部の間には、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URを回転自在に軸支し、揺動アーム103,103における左右の下片部の間に、2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRを回転自在に軸支する。
これによって、上述の後部従動ローラー群91が形成され、この後部従動ローラー群91が、後端部従動ローラー85の前側に配置される。
また、右側の揺動アーム103の頂部から作動アーム104を一体的に垂下させて設ける。
【0060】
一方、中間部支持台98における右側の板体97の右側面に、上下動用電動モーター105から伝動されるギヤケース106を固定し、このギヤケース106の出力軸107にクランクアーム108の一端部を取り付ける。
そして、作動アーム104の先端部(下端部)とクランクアーム108の他端部を、ターンバックル式の連動ロッド109で軸着連結する。
この構成により、上下動用電動モーター105が正転駆動すると、クランクアーム108と作動アーム104が連動して回動し、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として上方回動する。
これによって、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが上昇して無端ベルト96の上側巻回域の内面を押し上げ、一連の搬送作用域における搬送方向上手側の搬送作用部5Fの搬送始端部(後端部)に、前上がりに傾斜する急傾斜面が形成される。
この後、上下用電動モーター105が逆転駆動すると、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として下方回動し、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが下降して元の位置に復帰する。
これによって、無端ベルト96の前部が元の位置まで下がり、搬送作用部5Fの搬送始端部は緩傾斜面に復帰する。
このとき、下降する2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRによって無端ベルト96の下側巻回域の内面を押し下げることによって、無端ベルト96の弛みが防止される。
【0061】
駆動ローラー92は、中間部支持台98における左右の板体97,97の間に配置し、その回転軸110の左右両端部を、ベアリング111,111を介して左右の板体97,97に軸受支持する。
右側の板体97の右側面に、搬送駆動モーター112から動力が供給されるギヤケース113を固定し、このギヤケース113の出力軸に駆動ローラー92の回転軸を連結する。
駆動ローラー92の前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93は、駆動ローラー92よりも高い位置に配置し、左右のベアリング114,114で左右の板体97,97間に軸受支持する。
そして、無端ベルト96を、この2つの従動ローラー93,93の上側周面に巻き掛け、更にこの2つの間に配置した駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けることによって、駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けられる無端ベルト96の巻き掛け周長を長くする。
これによって、駆動ローラー92に対する無端ベルト96の滑りが少なくなる。
また、上述の上部従動ローラー92Uは、中間部支持台98における左右の板体97の上部間に取り付けた左右方向の軸(図示省略)に回転自在に軸受支持し、駆動ローラー92の上方に配置する。
しかして、上述の後端部従動ローラー90から上部従動ローラー92Uにわたる部位を主体として、搬送方向上手側の搬送作用部5Fが形成される。
【0062】
(第2支持部材)
図4に示すように、上述の第3支持部材53の後端部に、左右の板体115,115からなる前部支持台116を固設する。
すなわち、左右の板体115,115の下端部を第3支持部材53の候端部にボルト117,117で締結固定し、この左右の板体115,115の上端部を上述の中間部支持台98における左右の板体97,97の上端部と同等の高さまで延設する。
なお、この前部支持台116は、上述の第1支持部材55との間に前後方向の空間Sを隔てて配置されており、この第1支持部材55および中間部支持台98との直接的な連結関係はない。
【0063】
(搬送方向下手側の搬送作用部)
しかして、図4図14図15に示すように、前部支持台116(左右の板体115,115)の上部から、後方へ上下方向が狭幅の左右の延設板体118,118を、後方へ向けて一体的に延設する。
また、この左右の延設板体118,118の各内側面には、この内側面と間隔をおいて、前後方向の丸棒状のガイドレール119,119を配置し、この左右のガイドレール119,119の各前端部と後端部を、延設板体118,118の内側面にステー120,120を介して取り付ける。
【0064】
そして、前後方向の左右の移動板体121,121と、この左右の移動板体121,121の前後両端部間を連結する前側連結棒122および後側連結棒123から、枠組みされた移動枠124を形成する。
この移動枠124における左右の移動板体121,121の前部上縁には前下がりに傾斜する傾斜縁部を形成する。
そして、この傾斜縁部に沿って傾斜する前後方向の左右の斜設板体125,125の後端部を、左右の移動板体121,121間に架設した後部支持軸126の左右両端部に上下回動自在に軸支する。
この後部支持軸126には、左右方向に広幅の屈折部従動ローラー127を回転自在に篏合する。
【0065】
また、左右の移動板体121,121の前端部に、上下方向の円弧状の長孔128,128を形成し、この長孔128,128にボルト130,130を外側から挿通し、このボルト130,130の先端部を左右の斜設板体125,125に設けたウエルドナット129に差し込んで、移動板体121と斜設板体125を共締めして固定する。
このボルト130,130を緩めることで、左右の斜設板体125,125の前下がり傾斜角度を調節することができる。
さらに、左右の斜設板体125,125の前端部外側に、左右の支持アーム131,131を取り付け、この左右の支持アーム131,131の前端部間を連結軸132で連結する。
そして、この連結軸132に左右方向に広幅の前端部従動ローラー133を回転自在に軸受支持する。
また、左右の移動板体121,121の後部下側の部位を前下方へ延設し、この左右の延設端部間に架設した軸149に、左右方向に広幅の移動ローラー150を回転自在に軸支する。
【0066】
この移動ローラー150は、移動枠124と共に移動し、前端部従動ローラー133の前後移動によって生じる無端ベルト96の巻き掛け周長の変化を吸収する。
しかして、左右の移動板体121,121の外側面における前後2箇所にボス部材134,134を取り付け、このボス部材134,134を上述の左右のガイドレール119,119に前後方向摺動自在に篏合する。
そして、後部支持台116における右側の板体115の右側面に伸縮用電動モーター135から動力が供給されるギヤケース136を固定する。
このギヤケース136の出力軸137における右側の板体115の内側への突出端部に、上下方向姿勢の揺動アーム138の下端部を固定する。
この揺動アーム138の上端部と、前側連結棒122における移動板体121から外側への突出端部に、ターンバックル式の連動ロッド139,139の前後両端部を軸着連結する。
【0067】
以上により、伸縮用電動モーター135が駆動すると、移動枠124側に支持された屈折部従動ローラー127と前端部従動ローラー133が一体で前後方向に移動し、無端ベルト96の搬送終端部(前端部)が前後方向に位置変更する。
この無端ベルト96における屈折部従動ローラー127から前端従動ローラー133にわたる部位を、上述の往復移動コンベア95と称する。
なお、図14に二点鎖線で示すように、前端部従動ローラー133を移動ローラー150よりも低く配置し、往復移動コンベア95の下側巻回域DAを前下がりに傾斜させる。
これによって、後述する収容部6における収容作動時に、無端ベルト96の下側巻回域DAの垂れ下りによる収容部6との干渉を防止することができる。
【0068】
また、図4図14に示すように、前部支持台116における左右の板体115の上部後側の部位に、テンションアーム140,140の基部(後端部)を、回動軸141,141を中心として上下回動自在に軸支する。
このテンションアーム140,140の自由端部(前端部)には、広幅のテンションローラー142,142を回転自在に軸支する。
図示省略しているが、このテンションアーム140,140を前方へ水平に延出する姿勢に固定するロック装置を設けており、このロック装置をロック解除すると、テンションアーム140,140が下方回動する構成としている。
これにより、ロック解除してテンションアーム140,140を下方回動させると、テンションローラー142,142を含めた無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛む。
【0069】
なお、図示省略しているが、後部支持台67における左側の側板66と、中間部支持台98における左側の板体97と、前部支持台116における左側の板体115は、上板と下板に分割形成されており、この上板と下板を連結する連結板体を取り外すことで、無端ベルト96を左側方へ引き出せる構成としている。
これによって、無端ベルト96の脱着作業が行なえる。
【0070】
また、前部支持台116の後部における上下方向中間の部位に、無端ベルト96の内周面を転動案内する内側案内ローラー143と、無端ベルト96の外周面を転動案内する外側案内ローラー144を設ける。
そして、上述の第1支持部材55の前端部左右両側の部位に、支持ステー145,145をボルト146,146で締結固定し、この左右の支持ステー145,145間に架設された軸147に、左右方向に広幅の下部従動ローラー148を軸受支持する。
前述のように、切断される肉片mの厚さが増すように調節するとき、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
このとき、無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛むことになるが、この第1支持部材55の前端部に設けられた下部従動ローラー148が前下方へ移動することで、無端ベルト96の周長変化が吸収される。
【0071】
しかして、上述の往復移動コンベア95を主体として、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rが形成される。
なお、上述の搬送方向上手側の搬送作用部5Fから、この搬送方向下手側の搬送作用部5Rにわたって、無端ベルト96による一連の搬送作用域が形成される。
なお、上述の各ローラー間には、無端ベルト96における上側巻回域の下面を下から支える摺接板体(図示省略)を設けている。
【0072】
(収容部)
図16図22に示す物品移動装置200に備えた受面201を、搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部(往復移動コンベア95の搬送終端部)の前後移動範囲の下側に配置する。
この物品移動装置200は、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lからなり、その上部に受面201,201を形成した略水平方向の左右の受板202,202を備える。
この左右の受板202,202の形状、支持構造、駆動構造は、左右の移動ユニット200R,200Lにおいて略左右対称に構成する。
このため、以下の説明は、特に指定しない限り、左右両側の移動ユニット200R,200Lの双方に、左右対称に適用される。
【0073】
(収容部の支持構造)
しかして、まず、機台203の上部に、板状に形成された左右の支持ステー204,204の下端部をボルト205,205で締結固定し、この左右の支持ステー204,204の上端部に設けた左右方向の孔部に、左右方向の支点軸206を、軸心回りに回転自在に挿通する。
また、この支点軸206の外周に、支点軸筒207を、軸心回りに回転自在および軸心方向へ摺動自在に篏合する。
そして、支点軸206における左右外側の支持ステー204から外方へ突出した左右一側端部(外側端部)に、左右一側(外側)に配置された板状の上部支持ステー208の下端部をボルト209で締結固定する。
また、支点軸206における左右内側の支持ステー204から内方へ突出した左右他側端部(内側端部)に、左右他側(内側)に配置された略矩形状の内側支持板体210の下端部をボルト211で締結固定する。
【0074】
(収容部の枠組み)
図16図22に示すように、上述の左右一側(外側)に配置された上部支持ステー208の外側方に間隔をおいて、略矩形状の外側支持板体212を配置し、この外側支持板体212と内側支持板体210の間を以下のように連結して枠組みする。
すなわち、内側支持板体210の前部における上下方向中間部の内側面と、外側支持板体212の前部における下部内側面に、丸棒状の第1連結棒213の両端部を位置決めし、ボルト214,214で締結固定する。
また、この第1連結棒213の左右方向中間部は、左右外側の上部支持ステー208の上部に形成した孔に貫通させて固定する。
なお、左右外側の上部支持ステー208上部内側面と、左右の内側支持板体210の前部における上下方向中間部内側面に、丸棒状の下部連結棒215の両端部を位置決めし、ボルト216,216で締結固定している。
【0075】
そして、内側支持板体210における後部の上部内側面と、外側支持板体212における後部の下部内側面に、丸棒状の第2連結棒217の両端部を位置決めし、ボルト218,218で締結固定する。
また、内側支持板体210における後部の上部内側面と、外側支持板体212における後部の上部内側面に、丸棒状の第3連結棒219の両端部を位置決めし、ボルト220,220で締結固定する。
これにより、第3連結棒219は、第2連結棒217の直上方に配置される。
【0076】
また、内側支持板体210の後端部における上部内側面と、左右の外側支持板体212の後端部における上下方向中間部の内側面に、丸棒状の第4連結棒221の両端部を位置決めし、ボルト222,222で締結固定する。
また、右側の移動ユニット200Rに備えた内側支持板体210における前後方向中間部の上端部左側面に、左右方向の摺動案内棒SS1の基部を位置決めし、ボルトSS2で締結固定する。
一方、左側の移動ユニット200Lに備えた内側支持板体210における前後方向中間部の上端部左側面に、左右方向の穴部を備えた摺動案内筒体SS3の基部を位置決めして固定する。
そして、摺動案内棒SS1の先端部を摺動案内筒体SS3の穴部に摺動自在に嵌入させる。
【0077】
これにより、左右の移動ユニット200L,200Rが独立して支点軸206の軸心方向へ移動することを許容し、かつ、この左右の移動ユニット200L,200Rが独立して支点軸206回りに上下揺動することを規制する位置規制部PKが形成される。
なお、第1連結棒213と、第2連結棒217と、第3連結棒219と、第4連結棒221と、摺動案内棒SS1は、水平方向に、且つ、相互に平行に配置される。
また、外側支持板体212の上部後端面と内側支持板体210の上部後端面に、上下方向に幅狭に形成された左右方向の後部連結板体223の左右端部前面を当て、ボルト224,224で締結固定する。
【0078】
(物品移動装置の間隔調節機構)
図16図22に示すように、内側支持板体210の前側下部内側面に、間隔調節用の複動型の第1エアシリンダー225の基部を取り付ける。
また、支点軸筒207の左右方向中間部にステー226の基部を固着し、これによって垂直に立設されたステー226の上部内側面に、ボックス状のホルダー227を固定する。
このホルダー227は、その内部を中空とし、ステー226に固定した部位とは反対側の側面に開口部を有する。
このホルダー227の内部に、前述の開口部よりも大きく形成されたアジャストボルト228の頭部を、ホルダー227の内壁との間に隙間を有して姿勢変化自由な状態で配置し、このアジャストボルト228の雄螺子部を、前述の開口部から内側方へ突出させる。
この雄螺子部の先端を、第1エアシリンダー225のピストン229の先端部に形成した雌螺子部に螺合して連結し、ロックナット230で固定する。
【0079】
これにより、ピストン229の伸縮方向と、支点軸筒207に対する支点軸206の摺動方向とが、平行な姿勢に対して誤差を生じていても、ホルダー227に対するアジャストボルト228の頭部の姿勢変化によってこの誤差を吸収し、支点軸206を円滑に摺動させることができる。
なお、左右の第1エアシリンダー225,225を共に伸縮作動させることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lが互いに左右逆方向へ移動する。
このとき、摺動案内棒SS1が摺動案内筒体SS3に摺動自在に嵌入していることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lの相対姿勢は維持される。
また、後述するように、物品移動装置200を支点軸206の軸心を中心として上昇揺動させる場合に、摺動案内棒SS1が摺動案内筒体SS3に摺動自在に嵌入していることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lは一体で上昇揺動する。
【0080】
(受板)
図16図22に示すように、受板202は、矩形のステンレス鋼板から形成され、前側の縁部を垂直上方に向けて折り曲げ、後側の縁部を後下がり傾斜姿勢に折り曲げ、左右外側の縁部を外側下がり傾斜姿勢に折り曲げ、左右方向内側の縁部を下側へ巻き込むように丸めて形成する。
これに替えて、左右方向内側の端部に前後方向の丸棒を溶接固定してもよい。また、左右方向内側の端部に、前後方向の軸心回りに回転自在な広幅の小径ローラーを取り付けた構成としてもよい。
なお、この受板202の前側の二隅には、上述の内側支持板体210および外側支持板体212との干渉を防ぐために、切り欠き部202K,202Kを形成する。
また、この受板202の後側の二隅には、後述する第1インデックスプランジャー270操作用の切り欠き部202L,202Lを形成する。
このように形成された受板202における前後方向中間部の上側に、水平方向の受面201が形成される。
【0081】
(受板の摺動機構)
しかして、図16図22に示すように、上述の第3連結棒219に対して、左右外側および左右内側に配置される摺動部材231,231を、左右方向に所定の間隔をおいて摺動自在に篏合する。
この摺動部材231,231には、第3連結棒219を挿通する貫通孔を有し、この貫通孔部に、第3連結棒219に対する摺動抵抗を低減するためのボール式の滑動部材を設け、この滑動部材に作用するグリスを封入する。
そして、摺動部材231,231の後側面に、受板202の前端部に形成した垂直上方への折り曲げ部を当接させ、ボルト232,232で締結固定する。
【0082】
(タイミングベルトによる連動手段)
また、この外側の摺動部材231の下部に、第1タイミングプーリー233を前後方向の軸心234回りに回転自在に軸支する。
一方、内側の摺動部材231の下部には、第2タイミングプーリー235を前後方向の軸心236回りに回転自在に軸支する。
これら第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235の有効径は等しく設定している。
そして、第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235にわたってタイミングベルト237を巻き回す。
このタイミングベルト237の上側巻回域の一部を、固定部材238を介して第3連結棒219の長手方向中央部に固定する。
この固定部材238は、その上部を第3連結棒219に対して長手方向に位置調節可能に締結固定し、その下部にタイミングベルト237の一部を固定的に保持する。
【0083】
すなわち、この固定部材238によって、タイミングベルト237の上側巻回域の一部が定点保持される。
また、外側の摺動部材231と内側の摺動部材231を、これらの前側に間隔をおいて配置される左右方向の支持板体239の左右両端部に、ボルト240,240で夫々連結する。
なお、このボルト240,240の先端部に、上述の第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235を軸受支持する軸部を形成するとよい。
この第1タイミングプーリー233、第2タイミングプーリー235、タイミングベルト237、固定部材238、第1摺動子246、牽引板体250によって、移載ベルト295を受板202の移動に連動して移動させる連動手段RAが構成される。
【0084】
(摺動駆動)
また、摺動用の複胴型の第2エアシリンダー241の基部を、内側支持板体210における前後方向中間部の上部内側面に取り付けた前後のステー242,242に前後方向のピン243で軸支して取り付ける。
そして、この第2エアシリンダー241のピストン244の先端部を、上述の支持板体239の外側端部から下方に向けて屈折した屈折部の下端部にボルト245で連結する。
【0085】
(空圧回路)
図39に示す空圧回路320は、左右の第2エアシリンダー241,241の夫々に備える。
この空圧回路320には、空圧ポンプ(図示省略)から送給される空気の給排方向を切り替えて第2エアシリンダー241のピストン244を伸縮作動させる電磁切換弁323を設ける。
この電磁切換弁323の一側に有した3つのポートには、上手側の空圧ポンプから連通するINポート321と2つのOUTポート322を切換自在に連通する。
また、この電磁切換弁323の他側に有した2つのポートには、第2エアシリンダー241の伸長側のポートに連通する第1流路324と、緩衝・速度調整回路325に連通する第2流路326を切換自在に連通する。
【0086】
緩衝・速度調整回路325は、双方向に逆止方向が切り換わるパイロット逆止弁327と、逆止弁328および手動操作式の第1可変絞り弁329と、エアタンク330と、2位置切換弁331と、緩衝用の第1大気開放装置332と、この第1大気開放装置332へ送られる空気量を調節する手動操作式の第2可変絞り弁333と、速度調整用の第2大気開放装置334と、この第2大気開放装置334へ送られる空気量を調節する手動操作式の第3可変絞り弁335を有する。
また、パイロット逆止弁327内から分岐した第3流路336を、第2エアシリンダー241の短縮側のポートに連通する。
【0087】
緩衝・速度調整回路325内において第2流路326に連通された第4流路337の途中部に第5流路338の一端を連通させ、この第5流路338の他端をエアタンク330に連通する。
この第5流路338の途中部には、逆止弁328と第1可変絞り弁329を並列に連通する。
また、第4流路337の中間部にパイロット逆止弁327の一側を連通し、この第4流路337の他側を2位置切換弁331のINポートに連通する。
この2位置切換弁331のOUTポートには、この2位置切換弁331の切換作動によって、第1大気開放装置332と第2大気開放装置334が択一的に連通される。
2位置切換弁331の切換作動は、エアタンク330の空気残量に連動して行なわれる。
【0088】
また、2位置切換弁331のOUTポートと第1大気開放装置332の間に第2可変絞り弁333が連通され、2位置切換弁331のOUTポートと第2大気開放装置334の間に第3可変絞り弁335が連通される。
しかして、コントローラーから切換ソレノイド323Sへの出力によって電磁切換弁323が図39に示す一側の位置に切り換わった状態では、INポート321から流入する空気が第2流路326から第4流路337およびパイロット逆止弁327を無負荷で通過し、第3流路336を経て第2エアシリンダー241の短縮側のポートに流入し、第2エアシリンダー241のピストン244が高速で短縮作動する。
【0089】
これによって、受板202は左右内側方へ摺動し、左右の受板202,202の対向端部の間隔が最小間隔P1となる。
また、第4流路337へ流入した空気の一部は、第5流路338から逆止弁328を通過してエアタンク330に流入し、このエアタンク330内で蓄圧されると共に、この蓄圧力によって、2位置切換弁331を復帰スプリング331Sの弾発力に抗して図39の位置に保持する。
なお、この状態では、パイロット逆止弁327によって、第4流路337から2位置切換弁331へ至る空気は遮断されている。
【0090】
そして、コントローラーから切換ソレノイド323Sへの出力によって電磁切換弁323が他側の位置に切り換わると、INポート321から流入する空気が第1流路324から第2エアシリンダー241の伸長側のポートに流入し、第2エアシリンダー241のピストン244が高速の伸長作動を開始する。
これによって、受板202は左右外側方への摺動が開始される。
この摺動中において、第2エアシリンダー241の短縮側の室にあった空気は、ピストン244の伸長側への作動によって第3流路336へ排出され、パイロット逆止弁327から開放側の第4流路337を通過して2位置切換弁331のINポートに至る。
【0091】
この2位置切換弁331のINポートに至った空気は、この2位置切換弁331のOUTポートから流出し、第3可変絞り弁335によって流量が制限されて第2大気開放装置334から外部へ排出される。
この第3絞り弁335による排出流量の制限によって、第2エアシリンダー241の短出側の室からの排出量が制限され、結果として第2エアシリンダー241のピストン244の伸長速度が高速の一定速度にコントロールされ、受板202の左右外側方への摺動速度が一定に保持される。
この第2エアシリンダー241のピストン244の伸長速度、すなわち受板202の摺動速度は、第3可変絞り弁335の手動調節によって変更可能である。
また、このように第2エアシリンダー241のピストン244が高速で伸長作動している途中過程において、エアタンク330に蓄圧されていた空気が第5流路338へ流出し、第1可変絞り弁329によって流量が制限された状態で、第2流路326および電磁切換弁323を経てOUTポート322へ徐々に排出される。
【0092】
そして、エアタンク330内に蓄圧されていた空気がなくなると、復帰スプリング331Sの弾発力によって2位置切換弁331が切り換わる。
これによって、パイロット逆止弁327から開放側の第4流路337を通過してきた空気が、第2可変絞り弁333で流量を制限されながら第1大気開放装置332から外部へ排出される状態となる。
この状態は、第2エアシリンダー241のピストン244が伸長方向のストローク端に至る直前で現出され、ピストン244の伸長速度はこれ以前の速度よりも大きく低下する。
これにより、ピストン244が伸長方向のストローク端に達したときの衝撃が緩衝され、受板202の急停止による衝撃や音の発生を緩和することができる。
【0093】
(牽引板体)
また、第3連結棒219の直下方に位置する第2連結棒217に、第1摺動子246を摺動自在に支持し、この第1摺動子246をタイミングベルト237の下側巻回域の直下に配置する。
そして、この第1摺動子246の上面と、この第1摺動子246の上部に取り付ける板体247の下面によって、タイミングベルト237の下側巻回域の一部を上下から挟み、板体247をボルト248で第1摺動子246に締結固定する。
【0094】
また、第1摺動子246の左右両側に、ボール式の滑動部材を内蔵しグリスを封入した第2摺動子249,249を配置し、この第2摺動子249,249を第2連結棒217に対して摺動および回動自在に支持させる。
この左右の第2摺動子249,249の後面には、垂直面部と水平面部を有してL字型に屈折形成した牽引板体250の垂直面部をボルト251で締結固定する。
これによって、牽引板体250と、第1摺動子246を挟んで配置される2つの第2摺動子249,249が一体化され、牽引板体250は左右方向へ摺動自在、および、上下方向に回動自在に支持される。
なお、牽引板体250の水平面部の前端部と後端部は、前後方向中間の部位よりも幅広に形成し、移載ベルト295の端部を安定して係止できるものとする。
【0095】
(受板と牽引板体の後端部の支持、物品移動装置の上方回動機構)
図16図22に示すように、後部連結板体223の後面の左右方向外側部に、前後方向に長尺の円筒状フレーム252の前端部を位置決めしてボルト253で締結固定する。
また、後部連結部材223の後面の左右方向中間部に、前後方向に長尺の角筒状フレーム254の前端部を当接させ、ボルト255で締結固定する。
そして、上述の円筒状フレーム252の後端部と角筒状フレーム254の後端部に、連結板256の左右両端部前面を当接させ、ボルト257,258で夫々締結固定する。
図22に示すように、この連結板256の下端部に断面形状が逆L字型のホルダー259を固定する。
【0096】
そして、このホルダー259の上辺部の下面に第1樹脂レール260の上面を当接させ、この第1樹脂レール260の下面にプレート261を当接させ、プレート261の下面に脱落防止プレート262を重ねてボルト263で共締め固定する。
この第1樹脂レール260は、その断面形状を上辺が下辺よりも長い台形状に形成し、前面に後下がり姿勢の傾斜案内面260Sを形成する。
この傾斜案内面260Sによって、受板202の後端部に形成された後下がり傾斜姿勢の後側縁部を、その上側から摺接案内できるものとする。
これによって、第3連結棒219の軸心を中心とした受板202の上方回動が規制される。
【0097】
また、脱落防止プレート262は、断面形状をへ字状に屈折した形状とし、その前辺部は、上述の固定状態において前下がり傾斜姿勢となる。
これにより、後述するように物品移動装置200が支点軸206を中心として上方回動するときに、この前下がり傾斜した前辺部の上面に受板202の後端が当接し、この受板202の下方への脱落回動が防止される。
【0098】
また、ホルダー259の左右両端部に支持アーム264,264の一端部をボルトピン265で上下回動自在に取り付け、この左右の支持アーム264,264の他端部に取付板体266の左右両端部をボルト267で締結固定する。
この取付板体266の前面に当接する左右方向に長尺の第2樹脂レール268を、この第2樹脂レール268の前面に当接する板体269と取付板体266との間に挟んで締結固定する。
図22に示すように、この第2樹脂レール268の前側上部に、牽引板体250の後端部下面を載置支持して摺動案内する第1平面部268Aを形成する。
また、この第2樹脂レール268の後端上部を上方へ突設させ、この上端部に、受板202の後端部下面を載置支持して摺動案内する第2平面部268Bを形成する。
なお、上述の左右の支持アーム264,264部には、その上下回動を固定および固定解除する第1インデックスプランジャー270,270を設ける。
【0099】
そして、上述のホルダー259の下端部前側に支持板体271の上端部を固定し、この支持板体271の下端部後面側に、前後方向の軸心回りに回転自在な複数のガイドローラー272をピンボルト273で取り付ける。
一方、図22に示すように、上下方向の支持板体274の下端部を機台203側と一体化されたフレーム275に固定する。
この支持板体274は、その左右両端部および上部を後方へ折り曲げ、側壁部274Sと上側壁274Uを形成する。
【0100】
そして、側壁部274Sの上部に、左右の回動アーム276,276をボルトピン277,277で上下回動自在に取り付ける。
この回動アーム276,276のうち、左右外側の回動アーム276には、側壁部274Sへのノーズの係合によって回動アーム276を起立姿勢で固定可能な第2インデックスプランジャー278を取り付ける。
また、この左右の回動アーム276,276の後面に、側面視で逆L字型に屈折形成したロックプレート279の前面を当接させ、ボルト280,280で締結固定する。
このロックプレート279の上部には、前方へ向けて屈折した規制部279Kを形成する。
【0101】
(物品移動装置の上方揺動機構)
図16図22に示すように、左右の移動ユニット200L,200Rに備えた内側支持板体210,210の間に、扇型に形成された回動板体281を上下方向の姿勢で配置する。
また、機台203側に、支持板体282をボルト283で固定し、この支持板282の前方延出部に左側のステー284Lと右側のステー284Rを起立姿勢としてボルト285で締結固定し、この左右のステー284L,284Rの間に回動板体281の下部を配置する。
そして、この回動板体281の下部を、左右方向の軸286によって左右のステー284L,284R間に前後揺動自在に軸支する。
なお、右側のステー284Rは左側のステー284Lよりも高く形成し、この右側のステー284Rの上部に第3インデックスプランジャー287を取り付ける。
【0102】
回動板体281の下部における軸286よりも前側の部位に第1貫通孔288を形成し、この第1貫通孔288に第3インデックスプランジャー287のノーズが挿通された状態で、回動板体281は後上がり傾斜姿勢に保持される。
また、回動板体281における軸286の上側の部位に第2貫通孔289を形成し、回動板体281を前方へ揺動させた状態で、この第2貫通孔289に第3インデックスプランジャー287のノーズが挿通される。
【0103】
そして、右側の移動ユニット200Rにおける内側支持板体210の前後方向中央下部に、左右方向の揺動支持軸290の右側端部をボルト291で締結固定する。
また、この揺動支持軸290の左側の部位を、左側の移動ユニット200Lにおける内側支持板体210の前後方向中央下部に形成した穴に摺動自在に貫通させ、更に左方へ延設する。
図22に示すように、上述の回動板体281には、その下端部ほど軸286からの距離が短く、その上端部ほど軸286からの距離が長くなる円弧状のカム溝292を貫通形成し、このカム溝292に上述の揺動支持軸290を挿通させる。
また、回動板体281の後部には、長尺のパイプ等の操作具293を篏合可能な上方延出部294を一体形成する。
【0104】
(物品移動装置の上方揺動)
しかして、図22の(a)に示すように、第2インデックスプランジャー278のノーズを側壁部274Sに係合させた状態では、回動アーム276,276と共にロックプレート279が起立している。
この状態では、ガイドローラー272が上側壁274Uの上面に載り、このガイドローラー272の上側に規制部279Kが位置する。
これによって、ガイドローラー272は、上側壁274U上に左右方向転動自在に支持され、かつ、規制部279Kによって浮き上がりが規制される。
これにより、物品移動装置200の受板202は、その後端部下面が第2樹脂レール268の第2平面部268Bの上面に支持され、略水平な姿勢に維持される。
また、牽引板体250の後端部下面は第2樹脂レール268の第1平面部268Aの上面に支持され、受板202の下面に沿う姿勢に維持される。
この状態で、物品移動装置200による肉片mの容器への収容作業が行なわれる。
【0105】
一方、図22の(b)に示すように、物品移動装置200のメンテナンスを行なう際には、第2インデックスプランジャー278のノブを引いてノーズを側壁部274Sから離脱させ、ロックプレート279の上部に形成された規制部279Kを、ガイドローラー272の上側から後方へ退避させる。
これによって、左右の移動ユニット200L,200Rを、支点軸206中心に上方へ揺動可能な状態となる。
【0106】
また、第3インデックスプランジャー287のノブを引いてノーズを第1貫通孔288から離脱させ、回動板体281を後方揺動可能な状態とする。
この状態で、作業者は、回動板体281の上方延出部294に操作具293を篏合させ、この操作具293を前下方へ操作して回動板体281を後方へ揺動させる。
この回動板体281の後方揺動によってカム溝292が軸286を中心として揺動し、揺動支点軸290と、このカム溝292における軸286から遠い側の内縁部との摺接によって、この揺動支持軸290が下方へ引かれる(押し下げられる)。
これによって、軽い操作力で、左右の移動ユニット200L,200Rからなる物品移動装置200を、支点軸206を中心として前上方へ揺動させることができる。
このとき、左右の移動ユニット200L,200Rは、位置規制部PKによって一体で前上方へ揺動する。
【0107】
また、このように物品移動装置200が前上方へ揺動して開放した状態では、物品移動装置200の重心位置が支点軸206の前側から後側へ移動しており、これに加えて、第3インデックスプランジャー287のノーズを第2貫通孔289に挿通することで、物品移動装置200が開放状態で安定支持される。
なお、図22(b)に示すように、物品移動装置200を開放した状態で、牽引板体250の下方回動が第4連結棒221との当接によって規制される。
このように、物品移動装置200を開放することで、後述する空間Qに配置されたトレー搬送装置305の上方が開放され、このトレー搬送装置305のメンテナンスを容易に行なえる状態となる。
【0108】
(移載ベルトの着脱構造)
図16に示すように、上述の牽引板体250を形成するにあたり、その前後両端部を幅広に形成し、その前後方向中間部を長尺にわたって幅狭に形成し、この幅狭の部位から幅広の部位に切り換わる隅部に、前後方向の切り欠き部を形成している。
しかして、移載ベルト295の装着は、図22(b)に示すように物品移動装置200を開放した状態で行なう。
この状態で、第1インデックスプランジャー270のノブを引いて左右の支持アーム264,264の固定を解除し、この左右の支持アーム264,264を下方回動させる。
これによって、第2樹脂レール268が下方へ退避し、この第2樹脂レール268によって支持されていた牽引板体250を下方回動させられることができる。
【0109】
この牽引板体250の第2連結棒217を中心とする下方回動位置は、この牽引板体250の前端部下面が第4連結棒221に当接した状態で規制される。
なお、第2樹脂レール268によって支持されていた受板202の後端部の下方回動(脱落)は、脱落防止プレート262への当接によって阻止される。
この状態で、図23に示すように、牽引板体250を、移載ベルト295の一端を袋綴じ状にして形成された第1間隙295Sに挿通し、移載ベルト295における第1間隙295Sを包囲する部位の前後両端部を、牽引板体250に形成した前後の切り欠き部に引っ掛ける。
これにより、移載ベルト295の一端側が牽引板体250に取り付けられ、この牽引板体250に引かれて移動するようになる。
【0110】
一方、上述の円筒状フレーム252の前端部と後部には、フック部材296の基部を固定する。
そして、このフック部材296の上部に、斜め外側上方へ向けて開口する開口部が形成されると共に、この開口部の入り口を閉鎖するノーズを備えた第4インデックスプランジャー297,297を設ける。
これにより、円筒状フレーム252の周面に形成した穴に、第4インデックスプランジャー297,297のノーズの先端が嵌入した状態で、開口部の入り口が閉鎖される。
また、この第4インデックスプランジャー297,297のノブを引き上げ、ノーズが穴から抜けて更に上動退避すると、開口部の入り口が開放される。
【0111】
また、移載ベルト295の他端を袋綴じ状にして形成された第2間隙295Eには、移載ベルト295の前後幅よりも長尺の丸棒298を挿通する。
しかして、移載ベルト295の他端側を、受板202の下面に沿わせて左右方向内側へ引いた後、この受板202の左右方向内側の縁部に巻き掛けて受板202の上面側へ折り返す。
そして、この移載ベルト295の他端側を、受板202の上面に沿わせて左右方向外側へ引き、角筒状フレーム254の下側を通し、円筒状フレーム252の下側を通してからこの円筒状フレーム252の外側周面で巻き返す。
【0112】
そして、この移載ベルト295の他端に挿通した丸棒298の前後両端部を、前後のフック部材296,296の開口部から嵌入させて係止する。
この状態で、前後の第4インデックスプランジャー297,297のノーズ先端を円筒状フレーム252の周面に形成した穴に嵌入させ、フック部材296,296の開口部からの丸棒298の脱落を阻止する。
これにより、移載ベルト295の他端部が円筒状フレーム252に取り付けられ、定点固定される。
【0113】
以上により、受板202の上面に形成される受面201上に、移載ベルト295の上部巻回域下面が摺接支持される。
なお、円筒状フレーム252の周面に前後方向の溝を形成し、この溝に、移載ベルト295の他端に挿通した丸棒298を嵌入させてから、第4インデックスプランジャー297,297で脱落を阻止する構成としてもよい。
なお、移載ベルト295を取り外す作業は、上述と逆の順序で行なわれる。
【0114】
(物品移動装置の要部の作動)
以下において、第1位置PS1、第2位置PS2、第3位置PS3は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端部の位置を基準として説明する。
【0115】
(第1位置)
すなわち、受面201ないし受板202の内側端部が第1位置PS1に位置した状態で、この受面201ないし受板202は、その下方に搬送されてきたトレーG1の上側の全域を覆う。(この状態は、平面視において、受面201ないし受板202がトレーG1の全域に重合した状態を指す。)
そして、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が第1位置PS1,PS1に位置した状態で、2列搬送されてくる肉片mまたは肉片mの集合体Mの夫々が、往復移動コンベア95の搬送終端部から左右の移載ベルト295,295上に供給される。
【0116】
(第1位置から第2位置への移動)
また、左右の受面201,201ないし受板202,202の内側端部が、第1位置PS1,PS1から僅かな距離だけ外側方へ偏倚した第2位置PS2,PS2に移動した状態でも、この受面201,201ないし受板202,202は、その下方に搬送されてきた隣接する2つのトレーG1,G1の夫々の上側を略覆っている。(この状態は、平面視において、トレーG1,G1の端部の僅かな部分が覆われずに露出している状態を含む。)
そして、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が、第1位置PS1,PS1から第2位置PS2,PS2に移動することによって、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔が拡大され、下方に待機する隣接した2つのトレーG1,G1の夫々に載置可能な位置に位置合わせされる。
【0117】
なお、この、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは集合体Mの左右方向間隔の調節量は、切断部4における塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の左右方向間隔と、トレー搬送装置305によって搬送される多数のトレーG1の搬送ピッチによって定まる。
すなわち、トレー搬送装置305によって搬送される多数のトレーG1の搬送ピッチは、このトレーG1自体の左右幅によって決まるため、この搬送ピッチを小さくするには限界がある。
【0118】
一方、切断部4において切り出され搬送されてくる2列の肉片mまたは集合体Mの左右方向間隔は、塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の左右方向間隔で決まる。
そして、上述の搬送ピッチで搬送されてきた隣接する2つのトレーG1,G1(一般的に使用される規格の食品用トレー)の中心間距離は、塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の中心間距離よりも長い(左右方向での幅が広い)。
したがって、2列の肉片mまたは集合体Mを2つの隣接するトレーG1,G1に載置するためには、上述の2つの中心間距離の差を無くするだけ、2列の狭い間隔で搬送されてきた肉片mまたは集合体Mの左右方向間隔を拡大する必要がある。
このため、上述のように、左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部を、第1位置PS1,PS1から第2位置PS2,PS2に移動させることによって、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔を拡大し、下方に待機する隣接した2つのトレーG1,G1の夫々に載置可能な位置に位置合わせするのである。
【0119】
(第2位置から第3位置への移動)
そして、受面201ないし受板202の内側端部が、第2位置PS2から外側方へ大きく移動して第3位置P3に位置した状態では、この受面201ないし受板202は、その下方に搬送されてきたトレーG1の上側から退避し、このトレーG1の上側の全域が開放される。
そして、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が、外側方に位置する第3位置PS3,PS3へ移動するときに、左右の移載ベルト295,295の夫々が左右の受板202,202に対して内側方へ移動する。
これによって、この左右の移載ベルト295,295上にあった肉片mまたは集合体Mが、左右方向の位置変化を伴うことなく2つのトレーG1,G1の夫々に降ろされて載置される。
【0120】
(受板と移載ベルト部の作動説明)
しかして、図24は、第1エアシリンダー225,225の短縮作動によって左右両側の移動ユニット200R,200Lが外側方向(互いに離間する方向)へ移動した状態において、この後の各移動ユニットの作動状態を説明するための正面図である。
すなわち、この図24において、(a)の状態では、左右の第1エアシリンダー225,225が短縮し、移載ベルト295,295を支持した受面201,201ないし受板202,202の内側端部が、その下方に搬送されてきた2つのトレーG1,G1の上側の全域を覆う第1位置PS1,PS1から、僅かな距離だけ外側方へ偏倚した第2位置PS2,PS2へ移動している。
これによって、左右の受板202,202の内側端部の間隔が、図16に示すP1から図18に示すP2に拡大している。
この状態でも、この移載ベルト295,295を支持した受面201,201ないし受板202,202によって、その下方に搬送されてきた2つのトレーG1,G1の上側が略覆われている。
【0121】
また、左右の第2エアシリンダー241,241が短縮し、この第2エアシリンダー241,241のピストン244,244の先端部に一体化された左右の受板202,202が、物品移動装置200の内側へ移動している。
しかして、この状態から、第2エアシリンダー241が伸長作動すると、(b)に示すように、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端部が第2位置PS2から第3位置PS3まで移動する。
また、この受板202と共に、第2エアシリンダー241のピストン244の先端部に一体化された第1タイミングプーリー233の軸心234と第2タイミングプーリー235の軸心236が外側方へ全ストローク移動する。
【0122】
ここで、第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235に巻き回されたタイミングベルト237の上側巻回域の一部が、固定部材238によって定位置に保持されている。
このため、第1タイミングプーリー233の軸心234と第2タイミングプーリー235の軸心236が外側方へ移動するときに、この2つのタイミングプーリー233,235が同方向へ回転しながら、タイミングベルト237の下側巻回域が外側方へ移動する。
これによって、このタイミングベルト237の下側巻回域に取り付けられた第1摺動子246が牽引板体250と一体で外側方へ移動し、この牽引板体250によって移載ベルト295の一端部が外側方へ引かれる。
【0123】
このとき、移載ベルト295は、受板202の上面から受板202の内側端部で折り返し、受板202の下面に沿わせているため、移載ベルト295に弛みを発生させることなく、受板202の内側端部を外側方へ移動させるためには、受板202の外側方への移動量に対して、牽引板体250を外側方へ2倍の距離だけ移動させる必要がある。
すなわち、図24における(a)から(b)への状態変化に示すように、移載ベルト295における受板202上の部位に仮想定点CP1を設定し(図24の(a))、この移載ベルト295を支持した受板202の内側端がこの仮想定点CP1まで移動する状態(図24の(b))を想定する。
【0124】
このとき、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端が仮想定点CP1に達するまでの第1移動距離Sに対して、牽引板体250の外側端部は第1移動距離Sの2倍となる第2移動距離Tだけ移動する必要がある。
このために、上述のタイミングベルト237および2つのタイミングプーリー233,235からなる機構を設けており、これによって、受板202の外側方への移動速度(第2エアシリンダー241のピストン244の伸長速度)に対して、牽引板体250の外側方への移動速度は2倍の速度となる。
これによって、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202が第2位置PS2から第3位置PS3まで移動するときに、移載ベルト295は、この受面201の移動方向とは逆の方向へ、同じ大きさの速度で移動する。
【0125】
なお、図24において、(a)は移載ベルト295を支持した受板202ないし受面201がトレーG1の上方に侵入してこのトレーG1の上方を略覆う閉鎖状態、(b)は受板202(受面201)がトレーG1の上方から退避してこのトレーG1の上方を開放した開放状態である。
(b)の状態において、受板202の内側端部での移載ベルト295の折り返し移動によって、移載ベルト295上の肉片mまたは集合体Mが移載ベルト295の表面から剥離され、トレーG1内に落下して収容される。
すなわち、搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部から受面201上に載置されていた肉片mまたは集合体Mは、左右方向および前後方向の位置をそのままの位置とした状態で、直下方のトレーG1内に落下するように降ろされて載置され、収容される。
【0126】
なお、図16図17は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202がトレーG1の上側の全域を覆う第1位置PS1に位置する状態を示し、図18図19は、受面201ないし受板202がトレーG1の上側を略覆う第2位置PS2(第1位置から所定距離偏倚した第2位置)まで外側方へ移動した状態を示す。
そして、図20図21は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202がトレーG1の上方を開放する第3位置(移載ベルト295上の物品を降ろす第3位置)PS3まで外側方へ移動した状態を示す。
なお、上述のように、この受面201ないし受板202は、搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部の前後移動範囲の下側に配置される。
【0127】
(トレー搬送装置)
図25図27に、容器供給部300を備えたトレー搬送装置305を示す。
図25に示すように、容器供給部300には、レール状のトレー収容部303と、トレー剥離装置304を備える。
トレー収容部303は、重ね合わせた多数の空のトレーG1を収容し、脱落を防止しながら斜め下方へ滑動案内するレール状の枠体から構成する。
また、トレー剥離装置304は、トレー収容部303の下端部からトレーG1を一皿ずつ剥離して取り出すものである。
このトレー剥離装置304は、先端部に吸盤306を備えた回動アーム307と、この回動アーム307を回動させる電動モーター308を備える。
そして、吸盤306には、回動アーム307内に配策した吸気管(図示省略)の先端部が連通されており、回動アーム307が上昇回動したときに負圧を発生させて、トレーG1の下面を吸着する構成としている。
この吸着後に回動アーム307を下降回動させて負圧を解除し、吸着されていたトレーG1をトレー搬送装置305上に載置するように構成されている。
【0128】
このトレー搬送装置305は、トレー剥離装置304によって剥離されたトレーG1を、上述の搬送部5と平面視で直交する方向へ搬送し、収容部6における物品移動装置200の左右の受板202,202の下方に形成される空間Q内を右側から左側へ通過させるものである。
このトレー搬送装置305は、その搬送終端側に配置した駆動スプロケット315と搬送始端側に配置した従動スプロケット314の間に無端チェーン316を巻き掛けて構成する。
この無端チェーン316には、トレーG1の幅に相当する間隔をおいて多数の係止板317を備える。
【0129】
また、トレーG1の前後位置および上下位置を規制しながら搬送案内する断面形状がコ字型の搬送案内レール318を、トレーG1の搬送方向に3分割して配置する。
この搬送案内レール318は、物品移動装置200の受面201が容器G1の上側を覆う第1位置(物品を受け取る第1位置)PS1に位置している状態で(第2位置PS2(受け取った物品を降ろす第2位置)に移動する前に)、左右の受面201,201の直下に搬送されて停止した2つの隣接するトレーG1,G1を所定距離だけ上昇させるエアシリンダー319,319を備える。
【0130】
(切断作動)
切断する塊状肉の種類や状態等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、後述する起動スイッチ401を操作する。
これによって、切断部4の無端状帯刃49の周回移動と、搬送部5の搬送駆動が開始される。
この初期状態において、供給部3は揺動範囲の下限に位置しており、この状態で供給部3に塊状肉MFを投入し、フィードスイッチをON操作すると、塊状肉搬送装置9が駆動を開始する。
これによって、投入された塊状肉MFは塊状肉搬送装置9の搬送作用を受けて前方へ搬送され、この塊状肉MFの前端部が受板43の後面に当接し、塊状肉MFの前端部の位置が規制される。
【0131】
そして、この状態から供給部3が上昇揺動するにつれて、塊状肉MFにおける左右の開口部35から突出した前端部に、右側から左側へ周回移動する無端状帯刃49の刃縁が上側から切り込んでいく。
このとき、塊状肉MFの前端部が受板43によって位置規制されているので、無端状帯刃49によって塊状肉MFの前端部が均一な厚みに切断される。
供給部3が揺動範囲の上限近くの位置まで上昇揺動すると、塊状肉MFの前端部が無端状帯刃49によって切り離される。
そして、この所定の厚さに切断された肉片mが、受板43の上端と無端状帯刃49の下端との間に形成された間隔部Tを通過して、受板43の前側に配置された左右の引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれる。
また、供給部3は揺動範囲の下限位置まで下降揺動し、初期状態に復帰し、この後、供給部3は再び上昇揺動し、上述の塊状肉MFの切断が繰り返される。
【0132】
このようにして間隔部Tを通過して引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれた肉片mは、揺動する多数の細杆82の先端部で、環状板74,74の周面から剥ぎ取られ、二つ折りとなる。
このようにして、肉片mの一部どうしが上下に重なるように搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、2列の肉片mの集合体M,Mが形成される。
【0133】
この2列の集合体M,Mにおいて、各列における集合体Mと次の集合体Mとの間には、所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
このような切断作業において、切断される肉片mの厚さを調節するために、肉厚調節用の電動モーター61を作動させて受板43を開口部35に対して位置調節すると、この受板43と、搬送方向上手側の搬送作用部5Fを支持する第1支持部材55が前後方向に移動する。
しかし、搬送方向下手側の搬送作用部5Rを支持する前部支持部材116は、機台2側の第3支持部材53に一体的に取り付けられているため、受板43の位置調節の影響を受けて前後方向に移動することはない。
【0134】
このため、切断する肉片mの厚さを調節しても、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rの位置が変化しないので、この搬送作用部5Rの搬送終端部から収容部6への肉片mないし肉片mの集合体Mの引き継ぎ位置が安定する。
すなわち、収容部6に設けた物品移動装置200の受面201に対する肉片mないし集合体Mの搬出位置が変化しにくくなり、以後の収容作動を円滑に行なえる。
また、受板43と搬送部5における搬送方向上手側の搬送作用部5Fとの位置関係が変化しないので、切断されて折り畳まれた肉片mは、搬送作用部5Fに円滑に引き継がれて搬送される。
【0135】
(収容作動)
上述の切断作業によって形成された2列の集合体M,Mは、各列の間に所定の狭い間隔が形成された状態で収容部6へ搬送されてくる。
図30図37に示すように、この搬送中の集合体M,Mにおける各列の間隔を「肉列間隔P0」と呼ぶ。
【0136】
(受面上への集合体の引き継ぎ)
しかして、図28図29に示すように、収容作動の開始時には、まず、この肉列間隔P0を有して搬送されてくる2列の集合体M,Mを、搬送作動中にある往復移動コンベア95の搬送終端部を後方へ移動させながら、物品移動装置200の左右の受面201,201上に降ろすようにして引き継ぐ。
これにより、図16図30図31に示すように、左右の受面201,201上に左右の集合体M,Mが引き継がれた状態でも、左右の集合体M,Mの間隔は肉列間隔P0のままである。
【0137】
そして、この状態で2つのトレーG1,G1を左右の受面201,201の下側に並置状態で待機させる必要があるが、この2つのトレーG1,G1が重ならないように間隔をおいて配置する必要がある。
このため、受面201上に引き継がれた各集合体Mの左右方向での中心位置と、トレーG1の左右方向での中心位置とが左右方向にずれた状態となり、このまま、受面201上の集合体Mを落下させた場合、この集合体MがトレーG1からはみ出す事態が生じうる。(図30図31において実線で示す集合体Mと破線で示すトレーG1の位置ずれ。)
この集合体M,MとトレーG1,G1の左右方向の位置ずれを、以下のようにして解消する。
【0138】
(1段階目の作動)
まず、図16図17図30図31に示すように、左右の第1エアシリンダー225,225を伸長させて左右の受面201,201を最接近させ、左右の受板202,202の内側端部の間隔(厳密には左右の移載ベルト295,295の折り返し部の間隔)が最小間隔P1となっている状態で、往復移動コンベア95の終端から、この左右の受面201,201上に二列の集合体M,Mを引き継ぐ。
そして、この後、図18図32に示すように、左右の第1エアシリンダー225,225を設定量だけ短縮作動させて、左右の移動ユニット200L,200Rを外側方(相反する方向)へ移動させ、左右の受面201,201の内側端部の間隔を中間間隔P2に拡大する。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、中間間隔P2になった状態での左右の受面201,201の位置を、第2位置PS2と定義する。
【0139】
なお、このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最小間隔P1から中間間隔P2に拡大されるまでの間にわたり、この左右の受面201,201がトレーG1,G1の上側に侵入し、この受面201,201によってトレーG1,G1の上方が略覆われている。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最小間隔P1にある状態での左右の受面201,201の位置を、第1位置PS1と定義する。
そして、この状態では、左右の受面201,201上の肉片mの集合体M,Mが、下側に待機するトレーG1,G1の直上方に位置するようになる。
【0140】
(2段階目の作動)
この状態で、トレー搬送装部302のエアシリンダー319を上昇作動させ、トレーG1,G1を設定位置まで上昇させる。
そして、図20図36に示すように、トレーG1,G1の上昇中または上昇完了後に、左右の第2エアシリンダー241,241を設定量だけ伸長作動させ、左右の受面201,201の内側端部の間隔を最大間隔P3に拡大する。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最大間隔P3になった状態での左右の受面201,201の位置を、第3位置PS3と定義する。
この状態では、左右の受面201,201がトレーG1,G1の上側から左右外側へ退避し、このトレーG1,G1の上方が開放される。
なお、図34図35は、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、中間間隔P2から最大間隔P3に拡大される途中の中間間隔PMにある状態を示すものである。
【0141】
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が中間間隔P2から中間間隔PMを経て最大間隔P3に拡大するまでの間、すなわち、受面201,201の双方が第1位置PS1から第2位置PS2まで移動するときに、各備えた移載ベルト295,295が受面201,201の移動方向とは逆の方向へ同じ大きさの速度で移動する。
これによって、集合体M,Mは、左右および前後の位置変化を伴うことなく、トレーG1,G1内へ落下して収容される。
集合体M,Mを収容したトレーG1,G1は、初期位置へ下降し、トレー搬送装置305によって空間Qを通過し、左外側方へ搬出される。
【0142】
以上の作動が、集合体M,Mが搬送されてくる間隔に同調して繰り返される。
なお、上述のように左右の受面201,201(左右の受板202,202、左右の移載ベルト295,295)が最大間隔P3に拡大した状態では、この最大間隔P3内に搬送作用部5Rが位置する。(搬送作用部5Rの左右幅よりも最大間隔P3の方が大きい。)
また、往復移動コンベア95における無端ベルト96の下側巻回域は、左右の受面201,201の上側に近接する高さに設定し、集合体Mの引継性を高める必要がある。
【0143】
このため、往復移動コンベア95における無端ベルト96の下側巻回域に弛みを生じた場合、左右の第2エアシリンダー241,241を設定量短縮作動して左右の受面201,201を中間間隔P2に戻す際に、左右の受板202,202の内側端部が往復移動コンベア95における無端ベルト96に干渉する恐れがある。
しかしながら、上述のように、往復移動コンベア95における無端ベルト96の下側巻回域DAを前下がりに傾斜させているため、集合体Mの収容作動時に、無端ベルト96の下側巻回域DAの垂れ下りによる左右の受板202,202の内側端部(厳密には左右の移載ベルト295,295の折り返し端部)との干渉を防止することができる。
【0144】
(食品群の形成装置としてのスライサーの制御回路)
上述のように構成されたスライサー1は、塊状肉MFをその先端から所定の厚さで切断し、切断された肉片mを折り畳み、この折り畳まれた複数の肉片mを、その一部が互いに重なるように並列させて集合体Mを形成する。
しかして、図40に示すように、制御部7に備えたコントローラー400に対して、その入力側に、起動スイッチ401と、肉片高さ自動設定入り切りスイッチ402と、塊状肉高さ手動設定スイッチ403と、並列長さ手動設定スイッチ404と、並列枚数手動設定スイッチ405と、並列枚数自動制御入り切りスイッチ406と、左側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ407と、右側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ408と、供給部揺動角度計測用ポテンショメータ409と、下部無端ベルト移動距離計測用センサ410と、左側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ411と、右側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ412と、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ413と、右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ414と、押圧部材作動用エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ415と、揺動アーム揺動角度検出用ポテンショメータ416と、コンベア移動距離計測用センサ417と、コンベア後端部進退位置計測用センサ418と、左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419と、右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420と、左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421と、右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422と、トレーコンベア移動距離センサ423と、剥離アーム回動位置計測用ポテンショメータ424Dを接続する。
【0145】
一方、コントローラー400の出力側には、切断用モータードライバ424と、揺動用モータードライバ425と、搬送用モータードライバ426と、左側引継用モータードライバ427と、右側引継用モータードライバ428と、左側揺動用モータードライバ429と、右側揺動用モータードライバ430と、左側出退用モータードライバ431と、右側出退用モータードライバ432と、エアシリンダー用バルブソレノイド433と、搬送駆動用モータードライバ434と、上下動用モータードライバ435と、伸縮用モータードライバ436と、左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437と、右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438と、左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439と、左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440と、トレー搬送モータードライバ441と、トレー移動アーム用モータードライバ442と、吸着バルブ用ソレノイド443を接続する。
【0146】
(入力側に接続されたスイッチ/センサ類の説明)
上述のコントローラー400の入力側に接続された起動スイッチ401は、スライサー1全体を起動するためのものであり、コントローラー400の出力側からモータードライバ等へ指令信号を出力可能な状態に切り替えるためのものである。この起動スイッチ401の入り操作によって、コントローラー400の出力側から、まず、切断用モータードライバ424と、揺動用モータードライバ425と、搬送用モータードライバ426と、左側引継用モータードライバ427と、右側引継用モータードライバ428へ指令信号が出力され、切断部4と供給部3と搬送部5の駆動が開始される。
【0147】
肉片高さ自動設定入り切りスイッチ402は、後述する肉片高さ自動設定を入り切りする(有効/無効に切り換える)ためのものである。
塊状肉高さ手動設定スイッチ403は、切断前の塊状肉MFの高さを目視で判断して入力(設定)するためのものである。
並列長さ手動設定スイッチ404は、切断作業を開始する前に、切断後の肉片mの並列長さ(集合体Mの全長。後述する並列長さ手動設定値E)を手動で変更設定するためのものである。
並列枚数手動設定スイッチ405は、切断作業を開始する前に、一つの集合体Mを形成する肉片mの枚数を手動で設定するためのものである。
並列枚数自動制御入り切りスイッチ406は、後述する並列枚数自動制御を入り切りする(有効/無効に切り換える)ためのものである。
なお、上述のスイッチは液晶パネル上に表示され、タッチ操作によって操作される。
【0148】
左側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ407は、左側の塊状肉の搬送通路20の前部に配置された左側の押圧具29の上下動位置を計測するためのものであり、これによって左側の搬送通路20に供給された塊状肉MFの先端部の高さが計測される。
右側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ408は、右側の塊状肉の搬送通路20の前部に配置された右側の押圧具29の上下動位置を計測するためのものであり、これによって右側の搬送通路20に供給された塊状肉MFの先端部の高さが計測される。
供給部揺動角度計測用ポテンショメータ409は、供給部3の上下揺動角度を計測するものである。
【0149】
下部無端ベルト移動距離計測用センサ410は、搬送用電動モーター31の回転数等から、供給部3における下部無端ベルト25の移動距離(塊状肉MFの搬送距離)を計測するものである。
【0150】
左側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ411は、左側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
右側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ412は、右側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
【0151】
左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ413は、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ414は、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
【0152】
押圧部材作動用エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ415は、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるエアシリンダー87の伸縮位置を計測するものである。
揺動アーム揺動角度検出用ポテンショメータ416は、搬送部5の始端部に設けられた揺動アーム103の上下揺動角度を計測するものである。
【0153】
コンベア移動距離計測用センサ417は、搬送駆動モーター112の回転数等から、搬送部5における無端ベルト96の移動距離量(搬送距離)を計測するものである。
コンベア後端部進退位置計測用センサ418は、伸縮用電動モーター135の回転数等から、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部の移動位置を計測するものである。
【0154】
左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419は、物品移動装置200における間隔調節用の左側の第1エアシリンダー225の伸縮位置を計測するものである。
右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420は、物品移動装置200における間隔調節用の右側の第1エアシリンダー225の伸縮位置を計測するものである。
【0155】
左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421は、物品移動装置200における摺動用の左側の第2エアシリンダー241の伸縮位置を計測するものである。
右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422は、物品移動装置200における摺動用の右側の第2エアシリンダー241の伸縮位置を計測するものである。
【0156】
トレーコンベア移動距離センサ423は、トレー搬送装置305を駆動する電動モーター313の回転数等から、このトレー搬送装置305によって搬送されるトレーG1の位置を計測するものである。
剥離アーム回動位置計測用ポテンショメータ424Dは、電動モーター308の回転数等から、トレーG1を積載部から剥離して取り出す回動アーム307の回動角度を計測するものである。
【0157】
(出力側に接続されたドライバ等の説明)
また、上述のコントローラー400の入力側に接続された切断用モータードライバ424は、切断用電動モーター44に電力を供給して、無端状帯刃49を駆動制御するものである。
揺動用モータードライバ425は、揺動用電動モーター13に電力を供給して、供給部3を斜め上下方向に揺動駆動制御するものである。
搬送用モータードライバ426は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5を駆動制御するものである。
【0158】
左側引継用モータードライバ427は、左側の引継用電動モーター76に電力を供給して、左側の引継回転体72を駆動制御するものである。
右側引継用モータードライバ428は、右側の引継用電動モーター76に電力を供給して、右側の引継回転体72を駆動制御するものである。
【0159】
左側揺動用モータードライバ429は、左側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81を駆動制御するものである。
右側揺動用モータードライバ430は、右側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81を駆動制御するものである。
【0160】
左側出退用モータードライバ431は、左側の出退用電動モーター84に電力を供給して、左側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
右側出退用モータードライバ432は、右側の出退用電動モーター84に電力を供給して、右側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
【0161】
エアシリンダー用バルブソレノイド433は、エアシリンダー87に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるものである。
【0162】
搬送駆動用モータードライバ434は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5の無端ベルト96を駆動制御するものである。
上下動用モータードライバ435は、上下動用電動モーター105に電力を供給して、揺動アーム103を上下揺動制御するものである。
伸縮用モータードライバ436は、伸縮用電動モーター135に電力を供給して、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部を前後方向に移動制御するものである。
【0163】
左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437は、左側の第1エアシリンダー225に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、左側の移動ユニット200Lの左右方向位置を変更するものである。
右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438は、右側の第1エアシリンダー225に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、右側の移動ユニット200Rの左右方向位置を変更するものである。
左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439は、左側の第2エアシリンダー241に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、左側の移動ユニット200Lの受板202(受面201)を左右方向に摺動させるものである。
右側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440は、右側の第2エアシリンダー241に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、右側の移動ユニット200Rの受板202(受面201)を左右方向に摺動させるものである。
【0164】
トレー搬送モータードライバ441は、電動モーター313に電力を供給して、トレー搬送装置305の無端チェーン316を駆動制御するものである。
トレー移動アーム用モータードライバ442は、電動モーター308に電力を供給して、トレーG1を剥離してトレー搬送装置305上に受け渡す回動アーム307を回動制御する
ものである。
【0165】
吸着バルブ用ソレノイド443は、吸着バルブを作動させて、積層状態の多数のトレーG1のうち、最下位置にあるトレーG1の底面に吸着させるものである。
【0166】
(食品片の集合体の形成制御)
しかして、図41図42に示すフローチャートに沿い、肉片mの集合体Mの形成制御について説明する。
なお、以下では、供給部3の左右の搬送通路20,20のうちの一方の搬送通路20のみに塊状肉MFを供給する状態について説明する。
ただし、供給部3の左右の搬送通路20,20にわたって設けた下部無端ベルト25と、搬送部5に設けた無端ベルト96を、左右に分割形成し、夫々独立して駆動するものとすれば、左右両方の搬送通路20,20に塊状肉MFを供給して集合体Mの形成制御を行なうことも可能である。
なお、本実施例における「肉片高さ」とは、上下方向に切断して形成された肉片(食品片)mが無端ベルト96によって搬送される際の、この搬送方向における肉片mの長さを意味する。
しかして、図41図42に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0167】
(第1フロー)
まず、切断する塊状肉(塊状食品)MFの種類や状態等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、起動スイッチ401を操作する。
これによって、各センサ類407~417の測定結果に基づき、コントローラー400から、各モータードライバ424~432および434~436とバルブソレノイド433へ制御出力がなされ、上述の切断部4の駆動と、供給部3の揺動および駆動と、搬送部5の駆動が開始される。(STEP1)
これにより、上述の塊状肉MFの切断(スライス)と、切断された肉片(食品片)mの折り畳みが開始され、折り畳まれた複数の肉片mの少なくとも一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、肉片mの集合体M,Mが形成される。
このように順次形成される集合体Mと次の集合体Mとの間には、後述する所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
【0168】
このような肉片mの集合体Mの形成において、肉片高さ自動設定入り切りスイッチ402が入り側(ON)に操作されると(または操作されていると)、肉片高さの自動設定が入り(有効状態)に切り換えられ、塊状肉MFの高さ計測(厚さ計測)に移行する。(STEP2)
【0169】
この塊状肉MFの高さ計測(厚さ計測)では、左側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ407と右側塊状肉高さ計測用ポテンショメータ408のうちの塊状肉MFを供給している側のポテンショメータ(請求項の「厚さ測定手段」)によって、この塊状肉MFの先端部の高さ(厚さ)が計測され、塊状肉高さ計測値(請求項における「塊状肉(MF)の先端部の厚さ」)Xが得られる。(STEP3)
【0170】
これに基づき、肉片mの高さ(搬送方向での長さ)の算出が行なわれる。
すなわち、暫時算出される肉片高さ算出値Aは、塊状肉高さ計測値Xと、変数Yから、次の算定式で算出される。(STEP4)
A=X×Y
Yの値は肉片mの折り畳み位置によって変化し、肉片高さの中心位置で折り畳む場合はY=0.5となる。
(STEP4が請求項の「長さ算出手段」に相当する。)
【0171】
このようにして算出された肉片高さ算出値Aと、並列長さ手動設定スイッチ404の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ405で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の手動設定が成立する。(STEP5)
並列長さ手動設定値Eは、各集合体Mの搬送方向での長さを、使用するトレーG1の大きさ(搬送方向での長さ)に合わせて並列長さ手動設定スイッチ404で変更設定したものである。また、並列枚数手動設定値Fは、各集合体Mを形成する肉片mの枚数を、並列枚数手動設定スイッチ405の操作で任意に変更設定したものである。
【0172】
そして、並列枚数自動制御入り切りスイッチ406が入り側(ON)に操作されると(または操作されていると)、この自動制御入り時点T0で行なわれる並列基準値自動設定に移行する。(STEP6)
【0173】
この並列基準値自動設定では、T0時点での肉片mの高さ算出値A0が、肉片高さ基準値Gに置き換えられて記憶されると共に、並列枚数手動設定値Fが、並列枚数基準値Hに置き換えられて記憶され、並列枚数Iの演算に移行する。(STEP7)
【0174】
この並列枚数Iは、肉片高さ算出値Aと、肉片高さ基準値Gと、並列枚数基準値Hから、次の算定式で算出し、この算出値から小数点以下を切り捨て、整数として取得する。(STEP8)
算出値=(G/A)×H
例えば、上式による算出値が5.1の場合と5.9の場合とでは、いずれも並列枚数は5枚となる。
肉片高さ算出値Aは常時算出されているが、小数点以下が切り捨てられることで取得される整数値が変化しない間、枚数変更は起こらない。(これが請求項の「肉片の数の演算結果が、同一の集合体の形成が完了するまで変わらない」に相当する。)
【0175】
また、並列ピッチKは、並列長さ手動設定値Eと、肉片高さ算出値Aと、並列枚数Iから、次の算定式で算出される。(STEP9)
K=(E-A)/(I-1)
【0176】
そして、コンベア移動距離計測用センサ417の計測結果に基づいて、この並列ピッチKに等しい距離だけ搬送部5のコンベアを形成する無端ベルト96を駆動しながら(STEP10)、切断部4から切り出されて折り畳まれた肉片mを1枚ごとに無端ベルト96上に載置する動作を反復して実行する。(STEP11)
なお、一つの集合体を形成している途中で並列ピッチKの算出値が変化しても、並列した枚数がSTEP8で取得された整数に達するまで、並列ピッチの変更は禁止される。(これが請求項の「肉片を並べるピッチの演算結果が、同一の集合体の形成が完了するまで変わらない」に相当する。)
【0177】
無端ベルト96上に載置し並列した枚数は、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ413または右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ414の往復回動回数によって判定し、この並列した枚数が上述の並列枚数Iに一致した時点で、集合体間隔形成用のコンベア移動量の演算に移行する。(STEP12)
【0178】
この集合体間隔形成用のコンベア移動量Pは、無端ベルト96の搬送有効長(コンベア有効長)Lと、並列長さ手動設定値Eと、集合体の数Rから、次の算定式で算出される。(STEP13)
P=(L-E×R)/(R-1)
このコンベア移動量Pは、隣接する集合体M,Mの間隔となるものであり、コンベア移動距離計測用センサ417によって計測される。
【0179】
以上のようにして、集合体Mが、無端ベルト96上に集合体間隔Pを置きながら断続的に形成されて搬送される。
図43に、このようにして形成された肉片(食品片)mの集合体Mを示す。
【0180】
そして、この集合体Mが無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)に至った状態で、コントローラー400から伸縮用モータードライバ436への出力によって、伸縮用電動モーター135が作動し、無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)が後方へ伸長する。
これによって、無端ベルト96の搬送終端部は、物品移動装置200の左右一側の受面201の下方に待機するトレーG1の後端部上方まで進出する。(STEP14)
【0181】
そして、コンベア移動距離計測用センサ417によって計測される無端ベルト96の搬送距離(コンベアの移動距離)が、設定距離に達した時点(STEP15。後端部の集合体Mが搬送終端部から離脱した時点)で、コントローラー400から伸縮用モータードライバ436への出力によって、伸縮用電動モーター135が逆方向へ作動し、無端ベルト96の搬送終端部がトレーG1上から後方へ退却する。(STEP16)
【0182】
上述のようにして無端ベルト96の搬送終端部から離脱した集合体Mは、物品移動装置200の左右一側の受面201上に引き継がれ、トレーG1に収容される。
【0183】
(第2フロー)
一方、STEP6において、並列枚数自動制御入り切りスイッチ406が切り側(OFF)に操作されると(または操作されていると)、上述の並列基準値自動設定には移行せず、並列ピッチの演算に移行する。
【0184】
この並列ピッチKは、並列長さ手動設定値Eと、肉片高さ算出値Aと、並列枚数手動設定値Fから、次の算定式で算出される。(STEP17)
K=(E-A)/(F-1)
【0185】
そして、コンベア移動距離計測用センサ417の計測結果に基づいて、この並列ピッチKに等しい距離だけ搬送部5のコンベアを形成する無端ベルト96を駆動しながら(STEP18)、切断部4から切り出されて折り畳まれた肉片mを1枚ごとに無端ベルト96上に載置する動作を反復して実行する。(STEP19)
【0186】
無端ベルト96上に載置し並列した枚数は、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ413または右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ414の往復回動回数によって判定し、この並列した枚数が上述の並列枚数手動設定値Fに一致した時点で、集合体間隔形成用のコンベア移動量の演算に移行する。(STEP20)
以降は第1フローと共通であるため、説明を省略する。
【0187】
(第3フロー)
また、STEP2において、肉片高さ自動設定入り切りスイッチ402が切り側(OFF)に操作されると(または操作されていると)、肉片高さの算出を経ることなく、並列形態の手動設定に移行する。
ここで、塊状肉高さ手動設定スイッチ403で設定した肉片高さ設定値Jと、並列長さ手動設定スイッチ404の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ405で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の手動設定が成立し、並列ピッチの演算に移行する。(STEP21)
【0188】
この並列ピッチKは、STEP17と同様に、並列長さ手動設定値Eと、肉片高さ算出値Aと、並列枚数手動設定値Fから、次の算定式で算出される。(STEP22)
K=(E-A)/(F-1)
以降は、第2フローと共通であるため、説明を省略する。
【0189】
(集合体の形成状態)
しかして、図43に、上述のようにして形成される集合体の状態を例示する。
この例では、5枚の肉片(食品片)mを、少なくともその一部が重なるように並列させて形成した集合体M1と、6枚の肉片mを同様に並列させて形成した集合体M2と、7枚の肉片mを同様に並列させて形成した集合体M3を同時に並べて示している。
ただし、これは説明の便宜上使用するものであり、本発明において、このように肉片枚数の異なる集合体Mが、同一の無端ベルト96上に存在することを限定するものではない。
【0190】
しかして、集合体M1は、長さ(高さ)Aの肉片m1をピッチKで5枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
また、集合体M2は、肉片m1よりも短い肉片m2を、Kよりも短いピッチで6枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
そして、集合体M3は、肉片m2よりも短い肉片m3を、集合体M2よりも短いピッチで7枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
このように、肉片mの高さに応じて、並列させる枚数とピッチを変更することで、肉片(食品片)mの集合体Mの全長や重量を揃えることができる。
【0191】
すなわち、図44に示すように、塊状肉MFは、通常、所定の長さを有し、その前端部の高さV1と後端部の高さV2は異なり、前端部から後端部にかけてもその高さが不規則に変化している。
このため、上下方向に一定の厚さで切断(スライス)した場合、切断する部位によって高さの異なる肉片が形成され、この切断された肉片の重量も均一にはならない。
これに対して、上述のように、並列ピッチの制御に加え、並列枚数の制御を行なうことによって、図45に示すように、塊状肉MFの高さ(請求項における「塊状肉(MF)の先端部の厚さ」)に対する集合体Mの総重量を、ばらつき幅αに近付けるなど、各集合体Mの総重量のばらつきを少なくすることができる。
【符号の説明】
【0192】
A 肉片(食品片)の並び方向での長さ
E 設定された長さ
K ピッチ
m 肉片(食品片)
M 集合体
MF 塊状肉(塊状食品)
X 先端部の厚さ




【要約】
【課題】食品片の集合体の全長や重量を揃えることのできる食品片集合体の形成方法および形成装置を実現すること。
【解決手段】複数の生の肉片(m)を、少なくともその一部が互いに重なるように並べて肉片(m)の集合体(M)を形成する方法であって、各集合体(M)を形成する肉片(m)の数と肉片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求め、演算で得られた数の肉片(m)を演算で得られたピッチ(K)ずつずらしながら重ねることで、各集合体(M)の重量を所定の許容範囲内に収めると共に、各集合体(M)の全長を設定された長さ(A)に形成する。また、肉片(m)の並び方向での長さ(A)に応じて、各集合体(M)を形成する肉片(m)の数と食品片(m)を並べるピッチ(K)を演算により求める。
【選択図】図43



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