(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】機能性食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20241021BHJP
A61K 36/49 20060101ALI20241021BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20241021BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241021BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20241021BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20241021BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K36/49
A61K36/899
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P13/12
(21)【出願番号】P 2018109371
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591210909
【氏名又は名称】株式会社ラテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100121784
【氏名又は名称】山田 稔
(72)【発明者】
【氏名】中川 和城
(72)【発明者】
【氏名】川上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 洋才
(72)【発明者】
【氏名】河野 良平
(72)【発明者】
【氏名】奥野 祥治
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】植前 充司
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-29485(JP,A)
【文献】国際公開第2004/039381(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/031908(WO,A1)
【文献】特開2012-136484(JP,A)
【文献】「ウルトラチャコール 飲む炭 ダイエットドリンク 活性炭 竹炭 備長炭入り 150g バナナ味」、Amazon, 2016.11.27 [検索日 2022.04.20], インターネット:<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%EF%BC%86%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA-%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%8,2%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF-%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/B01N7BO36A
【文献】「チャコールダイエット サプリ 活性炭 竹炭 備長炭 有胞子性乳酸菌 キャンドルブッシュ配合 サプリメント(90粒入り)、Amazon, 2018.05.10 [検索日 2022.04.20], インターネット:<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E6%9C%89%E8%83%9E%E5%AD%90%E6%80%A7%E4%B9%B3%E9%85%B8%E8%8F%8C-%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5-%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-90%E7%B2%92%E5%85%A5%E3%82%8A/dp/B07CRDRKDQ>
【文献】日本エイム, 2017 [検索日 2022.04.20], インターネット:<URL:https://www.nippon-aim.co.jp/cart/20134.html>
【文献】日本食糧新聞,2008年04月07日,p.3
【文献】備長炭パウダー、竹炭パウダー(産業資材),協同組合ラテスト,2017年02月11日,https://web.archive.org/web/20170211102223/http://www.latest.or.jp/36.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/10
A61K 36/49
A61K 36/899
A61P 1/16
A61P 3/04
A61P 3/06
A61P 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賦活竹炭、賦活備長炭、竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭を含有し、
前記賦活竹炭及び賦活備長炭は、いずれも
嵩密度が0.3~0.6g/ml、平均粒径が10μm以下、BET比表面積が1000~1200m
2/g、ヨウ素吸着量が1000~1300mg/gであることを特徴とする肥満改善・抑制効果を有する機能性食品。
【請求項2】
前記竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、前記賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭は、各配合炭の重量比が1:1であることを特徴とする請求項1に記載の機能性食品。
【請求項3】
前記肥満改善・抑制効果は、体重の減少として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項4】
前記肥満改善・抑制効果は、体重に占める白色脂肪細胞比率の減少として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項5】
前記肥満改善・抑制効果は、HDLコレステロール値の上昇として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項6】
肝機能の血液中数値であるAST(GOT)、ALT(GPT)が低減することを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項7】
腎機能の血液中数値であるクレアチニン、尿素窒素が低減することを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項8】
栄養状態を示す血液中のA/G(アルブミン/グロブミン)比の数値が通常食と殆ど変らないことを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項9】
腸内細菌叢が健全な組成に保たれることを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項10】
便臭の成分であるインドールを吸着することを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【請求項11】
胆汁酸を吸着することを副次的効果として発現することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性食品に関するものであり、特に肥満改善及び肥満抑制効果を有する機能性食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、社会が豊かになり飽食の時代ともいわれ、メタボリック症候群に象徴されるように肥満が大きな社会問題となっている。また、肥満は、代謝病の原因とされており、密接に冠状動脈性心臓病、高血圧、2型糖尿病、癌、呼吸系合併症および骨関節炎に関連づけられている。更に昨今では、肥満は子供にも影響しており、小児肥満の増加も大きな社会問題ともなっている。
【0003】
一般に、肥満の治療方法には、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法等があるが、基本となるのは食事療法と運動療法で、これを同時に進めることが一般的であるとされている。この食事療法と運動療法の実施には、本人の強い意志が必要でありこれに堪えられる人が少なく、結局失敗に終わることが多いとされている。
【0004】
そこで、肥満に対応した医薬品、サプリメント、健康食品等が多く提案されている。特に肥満改善及び肥満抑制効果を謳うサプリメントや健康食品は、摂取が容易であり広く普及しようとしている。
【0005】
一方、古くから炭を食することが健康に良いといわれている。例えば、日本薬局方に、止しゃ剤、整腸剤として薬用炭が記載されている(非特許文献1、非特許文献2)。また、近年では炭を利用した健康食品も多く提案されており、例えば、炭と食物繊維を配合して腸内の老廃物を除去して便秘を解消することによる健康増進効果を謳うものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】第17改正日本薬局方(平成28年3月7日厚生労働省告示64号)
【文献】医薬品インタービューフォーム、日医工株式会社、「薬用炭」、日本標準商品分類番号:872319
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、炭が肥満改善や肥満抑制に効果を有するとするものはない。また、薬用炭に関しては、酵素、ビタミン、鉱物質なども吸着するので、消化を妨げて消化不良となることがあり、長期に亘って連用すると栄養障害が起こることもある。
【0008】
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、炭による健康増進効果を利用すると共に摂取が容易で副作用もなく、肥満改善及び肥満抑制効果を有する機能性食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、竹炭と備長炭、これらを賦活した賦活竹炭と賦活備長炭の健康効果を鋭意研究の結果、これらの炭組成物を含有する食品の肥満改善及び肥満抑制効果を見出して本発明の完成に至った。
【0010】
即ち、本発明に係る機能性食品は、請求項1の記載によれば、
賦活竹炭、賦活備長炭、竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭を含有し、
前記賦活竹炭及び賦活備長炭は、いずれも嵩密度が0.3~0.6g/ml、平均粒径が10μm以下、BET比表面積が1000~1200m2/g、ヨウ素吸着量が1000~1300mg/gであることを特徴とする肥満改善・抑制効果を有する。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の機能性食品であって、
前記竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、前記賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭は、各配合炭の重量比が1:1であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
前記肥満改善・抑制効果は、体重の減少として発現することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
前記肥満改善・抑制効果は、体重に占める白色脂肪細胞比率の減少として発現することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
前記肥満改善・抑制効果は、HDLコレステロール値の上昇として発現することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
肝機能の血液中数値であるAST(GOT)、ALT(GPT)が低減することを副次的効果として発現することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
腎機能の血液中数値であるクレアチニン、尿素窒素が低減することを副次的効果として発現することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
栄養状態を示す血液中のA/G(アルブミン/グロブミン)比の数値が通常食と殆ど変らないことを副次的効果として発現することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
腸内細菌叢が健全な組成に保たれることを副次的効果として発現することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
便臭の成分であるインドールを吸着することを副次的効果として発現することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、請求項11の記載によれば、請求項1又は2に記載の機能性食品であって、
胆汁酸を吸着することを副次的効果として発現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記構成によれば、本発明に係る機能性食品は、賦活竹炭、賦活備長炭、竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭を含有する。また、これらのうち賦活竹炭及び賦活備長炭は、いずれも嵩密度が0.3~0.6g/ml、平均粒径が10μm以下、BET比表面積が1000~1200m2/g、ヨウ素吸着量が1000~1300mg/gである。このことにより、肥満改善・抑制効果が発揮される。
【0024】
また、上記構成によれば、竹炭と賦活備長炭との配合炭、又は、賦活竹炭と賦活備長炭との配合炭は、各配合炭の重量比が1:1であってもよい。上記構成によれば、上記作用効果をより効果的に発揮することができる。
【0025】
また、上記構成によれば、肥満改善・抑制効果は、体重の減少、体重に占める白色脂肪細胞比率の減少、HDLコレステロール値の上昇などとして発現する。また、上記構成によれば、肥満改善・抑制効果の副次的効果として、肝機能の血液中数値であるAST(GOT)、ALT(GPT)が低減すること、腎機能の血液中数値であるクレアニチン、尿素窒素が低減すること、栄養状態を示す血液中のA/G(アルブミン/グロブミン)比の数値が通常食と殆ど変らないこと、腸内細菌叢が健全な組成に保たれること、便臭の成分であるインドールを吸着すること、胆汁酸を吸着することとして発現する。
【0026】
よって、上記構成によれば、炭による健康増進効果を利用すると共に摂取が容易で副作用もなく、肥満改善及び肥満抑制効果を有する機能性食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態で作製した竹炭を導管方向から撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図2】
図1の竹炭を道管の側面方向から撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図3】本実施形態で作製した備長炭を撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図4】市販活性炭を撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図5】本実施形態で作製した賦活備長炭を撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図6】
図5の賦活備長炭を拡大して撮影した電子顕微鏡写真である。
【
図7】実施例1における竹炭投与群及び備長炭投与群における体重の増加量を示すグラフである。
【
図8】実施例2におけるコントロール群のインドール量の分析におけるGC-MSクロマトグラム及びインドールのMSフラグメントを示すチャートである。
【
図9】実施例2における竹炭投与群のCG-MSクロマトグラムを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施形態により説明する。なお、本発明は、下記の実施形態にのみ限定されるものではない。まず、本発明者らは、竹炭、備長炭、賦活竹炭及び賦活備長炭を作製し、これらを用いて基本的な健康増進効果を確認した。
【0029】
<竹炭の作製>
4つ割りした孟宗竹をステンレス製炭化装置に入れ、長時間かけて加熱し、最終的には700~900℃(本実施形態では900℃)で炭化した。なお、本実施形態においては、300℃の低温で炭化した低温炭化竹炭も作製した。本実施形態で作製した竹炭の大きさは数cm程度であり、BET比表面積(BETの式により計算された比表面積)は、100~400m2/gであった。
【0030】
<備長炭の作製>
択伐したウバメガシを数本ずつ束にして、窯の奥から立てかけていく(窯入れ)。窯入れを終えると窯口の半分以上を土と石で閉じ、下部に雑木をくべて着火する(口焚き)。口焚きを始めると、最初は水分を含んだ白い煙がどんどん出ていき、酸味のある強い臭いに変わっていく。この煙の色と匂いを確認後、小さな穴を数カ所残し、それ以外は窯口をすべて閉じて、約1週間から10日間ゆっくり蒸し焼きにする(炭化)。このときの窯内は約300℃の低温を維持する。炭化後、窯口を次第にあけて空気を送り、炭材の樹皮を燃やして赤熱させる(ねらし)。このとき、窯の温度は800~1200℃(本実施形態では1200℃)に達した。ねらし後、手前の炭から少しずつ窯から出し、素灰をかけてゆっくりと冷ます。備長炭は太さや形によって割、半丸、細丸、小丸、上小丸などに分類する。本実施形態で作製した備長炭のBET比表面積は、50~200m2/gであった。
【0031】
<賦活炭の作製>
上記のようにして作製した竹炭及び備長炭は、それぞれ以下のようにして賦活した。まず、竹炭又は備長炭をジョークラッシャ、ロールクラッシャー等の粗粉砕機で5mm以下の粒状にした。次に、粗粉砕した竹炭、備長炭を、炉が回転し均一な処理ができるロータリーキルンに投入し、800℃~1000℃(本実施形態では900℃)に保温しながら、キルンの一方から水蒸気を所定量導入して所定時間賦活した。その後、ボールミル、ジェットミル等の微粉砕機で粉砕後篩分して、10μm以下の微細粉末とした。得られた賦活竹炭及び賦活備長炭の性質を市販活性炭と比較して表1に示す。なお、ヨウ素吸着量は、JIS K―1474(2014)の方法で測定した。
【0032】
【0033】
上述のようにして作製した各炭の電子顕微鏡写真を
図1~6に示す。
図1は、本実施形態で作製した竹炭を導管方向から撮影した電子顕微鏡写真である。
図2は、竹炭を道管の側面方向から撮影した電子顕微鏡写真である。
図3は、本実施形態で作製した備長炭を撮影した電子顕微鏡写真である。また、
図4は、市販活性炭を撮影した電子顕微鏡写真である。
図1~4により、竹炭、備長炭には、市販活性炭よりもサイズの大きな細孔がある。
【0034】
一方、
図5は、本実施形態で作製した賦活備長炭を撮影した電子顕微鏡写真である。また、
図6は、賦活備長炭を更に拡大して撮影した電子顕微鏡写真である。賦活備長炭には、賦活により形成された微細孔が観察される。
【0035】
次に、このようにして作製した竹炭、備長炭、賦活竹炭及び賦活備長炭を用いて、肥満改善・抑制効果及び副次的効果として現れる健康増進効果について、どのような炭組成物が効果的であるかを各実施例により確認した。具体的には、実効的効果として現れる体重増加の抑制機能も確認した。また、副次的効果として現れる健康増進効果については、肝機能の血液中数値であるAST(GOT)、ALT(GPT)の値、腎機能の血液中数値であるクレアニチン、尿素窒素の値、栄養状態を示す血液中のA/G(アルブミン/グロブミン)比、腸内細菌叢の組成変化、便臭の成分であるインドールの吸着機能、胆汁酸の吸着機能を確認した。なお、本発明は、以下の各実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
<体重増加の抑制機能>
本実施例1は、ラットに高脂肪食及び炭添加した飼料を経口投与して2週間飼育し、飼料への炭添加による体重増加への影響について確認した。なお、本実施例1は体重増加抑制機能の予備的検討として、竹炭(炭化温度900℃)及び備長炭のみについて確認した。各群のラットに与えた飼料の内容を表2に示す。
【0037】
【0038】
上記飼料でラットを2週間飼育し、餌投与前と投与後7日目、14日目の体重を測定した。炭投与後の糞を確認すると、投与16時間後から糞の色が黒色に変化した。すべての群において餌の摂取量には差は見られず、摂取に対する炭の影響は無いと考えられる。
【0039】
図7は、本実施例1における竹炭投与群及び備長炭投与群における体重の増加量を示すグラフである。
図7において、高脂肪食投与後7日目における体重及び体重増加量を比較すると、竹炭投与群(実施例1-1)及び備長炭投与群(実施例1-2)のいずれにおいても、高脂肪食投与群(比較例1-2)及びコントロール群(比較例1-1)と比較して体重の増加が抑制された。また、竹炭投与群(実施例1-1)においては、高脂肪食投与群(比較例1-2)と比較して14日目においても体重増加が抑制された。
【実施例2】
【0040】
本実施例2は、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果について確認した。本実施例2で確認した副次的効果は、肝機能の血液中数値、腎機能の血液中数値、栄養状態を示す血液中のA/G比、腸内細菌叢の組成変化、インドールの吸着機能について確認した。以下、各項目について説明する。
【0041】
<肝機能の血液中数値>
ここでは、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、肝機能の血液中数値であるAST(GOT)、ALT(GPT)の値について確認した。これらの値は、肝機能の指標として有効である。
【0042】
AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素;asparate aminotransferase)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸基転移酵素;glutamic oxaloacetic transaminase)とも呼ばれる酵素で、肝、骨格筋、心筋、腎臓、赤血球など多くの臓器組織細胞中に含まれる。一方、ALT(アラニンアミノ基転移酵素;Alanine transaminase)は、GPT(グルタミン酸ピルビン酸転移酵素;glutamic pyruvic transaminase)とも呼ばれ、ピルビン酸とグルタミン酸をアラニンとα-ケトグルタル酸に相互変換する酵素である。
【0043】
AST(GOT)は逸脱酵素と呼ばれ、組織の障害があると組織中のASTが細胞外に出て血液に流れ出す。そのため、ASTを多量に含んでいる臓器(肝臓、心臓、骨格筋、赤血球など)が障害を受けると血液中の値が上昇する。AST(GOT)は肝臓以外の組織にも多く存在することから、ASTのみが高い値の場合、肝疾患以外にも骨格筋疾患や血液疾患などが疑われ、ASTとALTが共に高い値の場合やALT(GPT)が単独で高い値の場合は、肝疾患が疑われる。
【0044】
炭の摂取による肝機能への影響を確認するために、高脂肪食に竹炭(炭化温度900℃)、低温炭化竹炭(炭化温度300℃)、賦活竹炭(賦活温度900℃)、備長炭、及び、賦活備長炭(賦活温度900℃)を添加した飼料でそれぞれ5匹を1群としたマウスを飼育した。実験にはマウス(ICR、オス)7週齢を用い、1週間訓化飼育を行い、8週齢から実験を実施した。なお、マウスは個別ケージで1匹ごとに飼育した。各群のマウスに与えた飼料の内容を表3に示す。
【0045】
【0046】
2週間飼育後のマウスの血液検査の結果をAST(GOT)、ALT(GPT)の値として表4に示す。
【0047】
【0048】
表4において、AST(GOT)、ALT(GPT)の値は、すべての炭投与群(実施例2-1~2-5)において、高脂肪食投与群(比較例2-2)及びコントロール群(比較例2-1)より低い値が得られた。このことにより、炭投与群において肝疾患はなく、肝機能は良い状態であることを示している。
【0049】
<腎機能の血液中数値>
次に、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、腎機能の血液中数値であるクレアチニン、尿素窒素の値について確認した。これらの値は、腎機能の指標として有効である。
【0050】
クレアチニン(Cr)とは、筋肉内にあるクレアチン(アミノ酸の一種)が筋肉を動かすエネルギーとして使われた後にできる老廃物のひとつである。クレアチニンは食事の影響を受けないで、常に一定量生産され、ほとんど体内に再吸収されることなく、腎臓からのみ排泄される。そこで、クレアチニンが腎機能をみる指標とすることができる。腎機能が低下すると腎臓から排出されず血液中にたまり、クレアチニンの値が上がることによる。
【0051】
一方、尿素窒素(BUN)は、体内でエネルギーとして使われたタンパク質の老廃物(タンパク質の最終代謝産物)である。タンパク質は、体内で分解されるとアンモニアになる。このアンモニアは、人体には有毒なため、肝臓で代謝されて、無毒な尿素になる。尿素は腎臓の糸球体でろ過されて、尿中へ排出されるが、一部は尿細管で再吸収され血液中へと戻る。そこで、尿素窒素が腎機能をみる指標とすることができる。腎機能が低下すると腎臓から排出されず血液中にたまり、尿素窒素の値が上がることによる。
【0052】
炭の摂取による腎機能への影響を確認するために、上記表3に記載した飼料を与えて飼育したマウスの8週齢から実験を開始した。実験を開始して2週間飼育後のマウスの血液検査の結果をクレアチニン(Cr)、尿素窒素(BUN)の値として表5に示す。
【0053】
【0054】
表10において、クレアチニン(Cr)、尿素窒素(BUN)の値は、すべての炭投与群(実施例5-1~5-5)において、高脂肪食投与群(比較例5-1)及びコントロール群(比較例5-1)より低い値が得られた。このことにより、炭投与群において腎臓が正常に働き、尿として体外に排出されており、血液中の量は低くなっていることがわかる。これらの値が低いことは、腎臓が正常に働いていることを示している。
【0055】
<栄養状態を示す血液中のA/G比>
次に、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、栄養状態を示す血液中のA/G(アルブミン/グロブミン)比について確認した。血清中には約100種類の蛋白がある。健康な場合、血清中の総蛋白の約67%をアルブミンが占めている。アルブミンは、肝臓のみでつくられているため、肝臓に何らかの障害があると、アルブミンの測定値は著しく低下する。
【0056】
一方、残りの約33%を占めているのが、グロブミンである。グロブミンは、肝臓のほかにリンパ節、腸管、骨髄などのリンパ装置と呼ばれる器官でつくられる。そこで、アルブミンとグロブミンの比(A/G比)は、肝臓などの異常を知る簡便な指標となる。ちなみに、人のA/G比の基準値は1.0~2.3である。そこで、A/G比が健康状態をみる指標とすることができる。
【0057】
炭の摂取による健康状態への影響を確認するために、上記表3に記載した飼料を与えて飼育したマウスの8週齢から実験を開始した。実験を開始して2週間飼育後のマウスの血液検査の結果をA/G比の値として表6に示す。
【0058】
【0059】
表6において、A/G比の値は、すべての炭投与群(実施例2-1~2-5)において、高脂肪食投与群(比較例2-2)及びコントロール群(比較例2-1)と変わりない値を示していた。このことにより、炭投与群においてもマウスの健康に対して悪影響を与えず、栄養不足、低タンパク血症、肝臓疾患、腎臓疾患、蛋白喪失性胃炎腸症ではないことを示している。
【0060】
<腸内細菌叢の組成変化>
次に、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、腸内細菌叢の組成について確認した。一般に、通常食に比べ高脂肪食を摂取すると腸内細菌叢の組成が変化し、非健康な状況となる。炭組成物を摂取することにより、高脂肪食を摂取した場合でも通常食と同様の腸内細菌叢の組成を維持できることが好ましい。
【0061】
このことを確認するために、上記表3に記載した飼料でそれぞれ5匹を1群としたマウスを13日間飼育した。
【0062】
腸内細菌叢の分析は、コントロール群、高脂肪食投与群から2検体、炭投与群から各3検体のマウスの盲腸便を用いて行った。糞便からのDNA抽出はQIAamp DNA Stool Mini(キアゲン)を用いて行った。DNA量はNano Dropにより定量した。腸内細菌叢の分析は次世代シーケンサーMiseq(イルミナ)により行った。各糞便は約300mgを用いた。DNA量には各群で大きな差があったが、これらを次世代シーケンサーに供した。腸内細菌叢分析の結果を腸内細菌叢の組成(%)として表7に示す。
【0063】
【0064】
表7において、高脂肪食投与群(比較例2-2)と高脂肪食に炭を添加した飼料投与群(実施例2-1~2-5)において、腸内細菌叢の組成に大きな違いが見られた。高脂肪食摂取群(比較例2-2)では、Firmicutes門の割合が高脂肪食非摂取のコントロール群(比較例2-1)と比較して大きくなったのに対し、高脂肪食に炭を添加した飼料投与群(実施例2-1~2-5)においては高脂肪食を摂取しているにも関わらずコントロール群(比較例2-1)に近い菌叢となった。これらのことから、炭を摂取することにより腸内細菌叢が健全な組成に保たれることが確認できた。
【0065】
<インドールの吸着機能>
次に、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、インドールの吸着機能について確認した。一般に、便臭の成分として、硫化水素、アンモニア、スカトール、インドール、アミンなどがあり、これらは血液中に取り込まれ、便秘、肌荒れ、場合によっては発ガン、老化の原因になると言われている。そこで、便臭の主成分であるインドールに着目し、炭組成物が体内でインドールを吸着する機能があるかを確認した。
【0066】
このことを確認するために、上記表3に記載した飼料でそれぞれ5匹を1群としたマウスを13日間飼育した。
【0067】
便臭成分の抽出は、シリカモノリス捕集剤(MnotTap DCC18、GLサイエンス社)を用いて行った。具体的には、糞便約300mgをサンプル瓶に量りとり、MnotTap DCC18を1枚セットし、60℃にて3時間ヘツドスペース法で便臭を吸着した後、成分をジクロロメタンで抽出し、GC-MS(JMS-QI050GC)により分析した。
【0068】
図8は、コントロール群(比較例2-1)のインドール量の分析におけるGC-MSクロマトグラム及びインドールのMSフラグメントを示すチャートである。
図8において、保持時間13.53にインドールのピークが大きく現れており、強い糞便臭が認められる。また、図示していないが高脂肪食群(比較例2-2)においては、コントロール群(比較例2-1)と成分は大きく異なったクロマトグラムが得られたが、インドールのピークが大きく現れた。
【0069】
一方、炭投与群(実施例2-1~2-5)においては、すべてインドールの相対強度が大きく減少した。一例として、竹炭投与群(実施例2-1)のCG-MSクロマトグラムを
図9に示す。また、各比較例及び各実施例におけるインドールのGCピーク面積の値を表8に示す。
【0070】
【0071】
表8において、炭投与群(実施例2-1~2-5)においては、すべてインドールのGCピーク面積が大きく減少した。特に、備長炭投与群(実施例2-4)及び賦活備長炭投与群(実施例2-5)においては、インドールのピークが殆ど消滅しているものと考えられる。これらのことから、炭を摂取することにより便臭の主成分であるインドールが体内で吸着され炭と共に体外に排出されることが確認できた。
【実施例3】
【0072】
次に、本実施例3においては、2種類の炭を配合した相乗効果による体重増加の抑制機能、その他の健康増進効果について確認した。具体的には、体重変化率、白色脂肪細胞増加の抑制、HDLコレステロール値(善玉コレステロール値)の増加、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、尿素窒素の低下、燐脂質の上昇、A/G比、総胆汁酸に及ぼす配合炭の効果を確認した。
【0073】
これらのことを確認するために、本実施例3においては、竹炭と賦活備長炭を重量比で1:1に混合した炭組成物(以下「配合炭」という)を用いた。実験動物にはマウス(ICR、オス)4週齢を用いて1週間訓化飼育を行い、5週齢から高脂肪食(日本クレア株式会社製High Fat Diet 32)の投与を行い肥育期間8週間まで飼育した。その後、通常食(日本クレア株式会社製CLEA Rodent Diet CE-2)に配合炭(竹炭:賦活備長炭=1:1)を1.0%、0.1%添加し固形化したものを用い、4週間飼育した。なお、各群5匹として飼育した。各群のマウスに与えた飼料の内容を表9に示す。
【0074】
【0075】
<体重増加の抑制機能>
配合炭添加飼料で飼育する前の8週間飼育時の体重を基準にして、配合炭添加1週間目の体重変化率(%)を表10に示す。
【0076】
【0077】
表10において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも体重変化率がマイナスになり、体重増加が抑制された。特に、配合炭1.0%添加飼料投与群(実施例3-2)において、効果が大きかった。
【0078】
<白色脂肪細胞増加の抑制>
白色脂肪細胞には、体内に入った余分なカロリーを中性脂肪として体内に蓄積する働きがある。白色脂肪細胞は、全身のいろいろな部分にあるが、特に、下腹部、尻、太もも、背中、腕の上部、内臓のまわりなどに多くある。配合炭添加4週間後の体重に対する白色脂肪細胞の重量比(W/W%)を表11に示す。
【0079】
【0080】
表11において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも高脂肪食投与群(比較例3-2)に比べ、白色脂肪細胞の重量比(W/W%)が低くコントロール群(比較例3-1)と変わりない値を示していた。このことより、肥満が抑制されている。
【0081】
<HLDコレステロール値>
HDLコレステロールは、血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割をして血液中のコレステロールが増えるのを防いでいる。よって、「善玉コレステロール」と呼ばれている。配合炭添加4週間後のHDLコレステロールの値を表12に示す。
【0082】
【0083】
表12において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも高脂肪食投与群(比較例3-2)に比べ、HLDコレステロール値は高い値であった。
【0084】
<AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP>
配合炭添加4週間後のAST(GOT)、ALT(GPT)、ALPの値を表13に示す。
【0085】
【0086】
表13において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも高脂肪食投与群(比較例3-2)及びコントロール群(比較例3-1)に比べてAST(GOT)、ALT(GPT)、ALPの値が低く、肝臓は正常であることが分かる。
【0087】
<尿素窒素、燐脂質の値>
配合炭添加4週間後の尿素窒素、燐脂質の値を表14に示す。
【0088】
【0089】
表14において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも高脂肪食投与群(比較例3-2)及びコントロール群(比較例3-1)に比べて尿素窒素の値が低く、腎臓は正常であることが分かる。一方、燐脂質が不足すると、血管にコレストロールがたまるなど、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病につながる症状を引き起こすが、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)では、いずれも高脂肪食投与群(比較例3-2)に比べて、燐脂質は上昇した。
【0090】
<A/G比、総胆汁酸の値>
A/G比はアルブミンとグロブミンの総量との比を現したもので、肝臓などの異常を知る簡便な方法である。アルブミンは肝臓でつくられ、肝臓そのものに障害があると、血液中のアルブミンが著しく低下し、A/G比も低下する。ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、栄養不足、糖尿病などでもA/G比は低下する。また、炎症や悪性腫瘍でも著しく低下する。
【0091】
一方、血液中の総胆汁酸は、肝・胆道障害(肝内胆汁うっ滞、胆管閉塞など)では腸管への排泄ができなくなり、血中胆汁酸は高い値となり、小腸、回腸からの再吸収が障害された場合は低い値となる。異常高値の場合は、急性肝炎、慢性肝疾患、胆汁うっ滞、腸内細菌過剰増殖が考えられ、異常低値では、腸管吸収不良症候群がある。
【0092】
配合炭添加4週間後のA/G比、総胆汁酸の値を表15に示す。
【0093】
【0094】
表15において、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれもA/G比はコントロール群(比較例3-1)に比べて高く、高脂肪食投与群(比較例3-2)に比べて低い値となった。これは正常な値である。
【0095】
一方、配合炭添加飼料投与群(実施例3-1、実施例3-2)は、いずれも血液中の総胆汁酸の量はコントロール群(比較例3-1)よりもやや低い値であったが正常と言える。
【0096】
上述のように、上記本実施例3においては、配合炭(竹炭:賦活備長炭=1:1)の効果として、体重増加の抑制をはじめ健康増進効果があることが確認された。また、これらの炭(配合炭を含む)は、経口により簡単に摂取することができ、上記の各効果が得られる。
【実施例4】
【0097】
<胆汁酸の吸着機能>
本実施例4は、肥満改善・抑制効果の副次的効果として現れる健康増進効果のうち、胆汁酸の吸着機能について確認した。一般に、体内のコレステロールは、肝臓で胆汁酸に変換される。肝臓でコレステロールから合成された胆汁酸は、胆管を通して腸管内に分泌され、胆汁酸は小腸内の食物脂質の消化吸収を助ける。分泌された胆汁酸は、95%以上が腸管から再吸収され、5%以下が体外に排出される。腸管内の胆汁酸を吸着排出することにより除去して、胆汁酸の再吸収による循環を抑制すると、コレストロールからの新たな胆汁酸の合成が促進される。このことにより、血中のコレステロール値が低下し、脂肪肝の抑制にもつながる。
【0098】
このことを確認するために、胆汁酸(グリココール酸)の吸着試験を行った。具体的には、試験管に炭を0.020g又は0.0020g分注したのち、50μmol/Lの胆汁酸(グリココール酸)2mLを加え、37℃で30分間振とう後、フィルターろ過し、炭と水溶液を分離した。その後、分離した水溶液中の胆汁酸(グリココール酸)の濃度を胆汁酸・テストワコー(和光純薬工業(株)製、酵素比色法)にて測定した。胆汁酸吸着試験の結果を表16に示す。
【0099】
【0100】
表16において、いずれの炭においても胆汁酸(グリココール酸)は吸着された。特に、賦活竹炭投与群(実施例4-3)、備長炭投与群(実施例4-4)、賦活備長炭投与群(実施例4-5)を1.00%添加した場合には、95%前後が吸着除去された。更に、賦活備長炭投与群(実施例4-5)においては、0.10%添加した場合でも1.00%添加と同程度の吸着除去が認められた。これらのことから、胆汁酸の再吸収による循環を抑制できることが確認できた。
【実施例5】
【0101】
上述の実施例1~4においては、マウス又はラットを用いて炭による体重増加の抑制機能や健康増進効果を確認した。そこで、本実施例5においては、炭を配合した食品を開発し、人を対象として炭の肥満改善・抑制効果を確認した。具体的には、被験者数を24名、対象をBMI25以上の成人男女とし、炭配合の食品の抗肥満効果を検討した。
【0102】
試験デザインは、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で実施した。試験食品は、炭を含有しない食品(以下「対照食品」という)、炭を含有する食品(以下「被験食品」という)を用いた。摂取前検査後に選抜された24名の被験者を、事前検査時における年齢、男女比、体重、BMI、体脂肪率を考慮して層別に2群(I群、II群)に割付を行い、対照食品あるいは被験食品を無作為に割当て、8週間試験食品を摂取させた。試験食品の用法用量は、試験食品を1日のうち朝、昼、夜の時間帯に、原則1度に1本を摂取するよう指導した。朝、昼と摂取を忘れた場合、夜にまとめて摂取することも可とするが、翌日以降にまとめて摂取することは不可とし、できる限り分けて摂取するように指導した。
【0103】
対照食品(炭無添加)の内容は、クエン酸ナトリウム:50mg、ブラックカラント濃縮果汁:200mg、カラメル色素:1500mg、V.B1:2mg、その他としてゲル化剤・甘味料・酸味料・香料を適量配合して20gのスティックゼリーとした。
【0104】
一方、被験食品(炭添加)の内容は、クエン酸ナトリウム:50mg、炭配合パウダー(賦活竹炭:賦活備長炭=1:1):3000mg、ブラックカラント濃縮果汁:200mg、V.B1:2mg、その他としてゲル化剤・甘味料・酸味料・香料を適量配合して20gのスティックゼリーとした。
【0105】
以下、試験結果を詳細に説明する。試験実施期間は、2016年10月~2017年3月であった。被験食品(炭添加)の有効性及び安全性を評価項目とし、各項目で例数、平均値、標準偏差を算出して有意差検定を行い、統計学的な有意水準は両側5%とした。また、本試験に参加した被験者は、男性12名および女性12名の合計24名であった。本試験では、1名(被験食品摂取群)の脱落が認められたことから、最大解析対象集団(FAS)は23名とした。また、1名の被験者が糖尿病を発症したことから、有効性解析対象から除外したため、試験実施計画書適合集団(PPS)は22名とした。FASの23名における試験食品の摂取率は、すべての被験者において95%以上であった。また、FAS、PPSとも各試験食品群間の摂取率において有意な差は認められなかった。
【0106】
<有効性の評価>
(1)主要評価項目(体重、BMI、体脂肪率)
本試験では、主要評価項目の体重、BMI、体脂肪率の摂取前からの変化量において、摂取終了後時点で対照食品摂取群は増加し、被験食品摂取群は低下を示したが、試験食品群間で有意な差は認められなかった。
【0107】
しかし、数値が対照食品摂取群は増加、被験食品摂取群は低下を示しており、摂取開始前からの変化量での群間比較のP値はそれぞれP=0.230、P=0.199、P=0.300であることを考えると、摂取期間の延長、及び、被験者数を増加することにより、顕著な効果を示す可能性が考えられる。各項目について、以下に述べる。
【0108】
体重:
実測値を使用した経時的な比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。また、実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0109】
BMI:
実測値を使用した経時的な比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。また、実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0110】
体脂肪率:
実測値を使用した経時的な比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。また、実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0111】
(2)副次評価項目(血中脂質値)
副次評価項目の血中脂質(T-Cho、LDL-Cho、HDL-Cho、TG)では、摂取前からの変化量において、摂取終了後時点の試験食品群間で有意な差は認められなかった。なお今回参加した被験者(PPS)の基準値以上はT-Choで9名、LDL-Choで7名、TGで4名、基準値以下はHDL-Choで1名と全体の中で占める割合が少なく、正常値の被験者が多かったために、被験食品の効果について評価が困難となったと考えられる。
【0112】
経時的な比較:
血中脂質値について、実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0113】
T-Cho:被験食品摂取群の摂取開始前209.5±37.2mg/dLと比較して、摂取終了後223.4±35.7mg/dLにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0114】
LDL-Cho:被験食品摂取群の摂取開始前131.9±36.3mg/dLと比較して、摂取終了後140.4±35.3mg/dLにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0115】
試験食品群間の比較:
血中脂質値について、実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、いずれの項目においても統計学的に有意な差は認められなかった。
【0116】
(3)腸内細菌叢
副次評価項目の腸内細菌叢では、摂取前からの変化量において、摂取終了後時点の試験食品群間で有意な差は認められなかった。排便状況では、PPSを対象とした解析の摂取前からの変化量において、排便日数の摂取終了後時点で対照食品摂取群と比較して、被験食品摂取群では有意に多い日数であった。摂取開始前の排便回数が5回以下の被験者を対象とした層別解析では摂取開始前からの変化量において、いずれの項目についても試験食品群間で有意な差は認められなかった。
【0117】
経時的な比較:
腸内細菌叢について、実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0118】
Bacteroides:対照食品摂取群の摂取開始前41.32±18.13%と比較して、摂取終了後47.52±16.04%において統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0119】
Clostridium subcluster XIVa:被験食品摂取群の摂取開始前11.87±4.92%と比較して、摂取終了後15.96±4.30%において統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.01)。
【0120】
Clostridium cluster IX:被験食品摂取群の摂取開始前7.16±7.09%と比較して、摂取終了後2.88±2.88%において統計学的に有意な低下が認められた(p<0.05)。
【0121】
試験食品群間の比較:
腸内細菌叢について、実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、Clostridium cluster XIの摂取終了後において、対照食品摂取群0.40±0.58%と比較して、被験食品摂取群は0.00±0.00%と有意に低値を示した。その他の項目においては統計学的に有意な差は認められなかった。摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、いずれの項目においても統計学的に有意な差は認められなかった。
【0122】
(4)排便状況
PPS(20名)における各時点(摂取開始前、摂取1週後、摂取2週後、摂取3週後、摂取4週後、摂取5週後、摂取6週後、摂取7週後、摂取終了後)の週毎の排便回数及び排便日数、1回毎の排便の性状およびにおいの結果、並びに、摂取開始前からの変化量を測定した。また、層別解析として、前観察期間で排便回数が5回以下の被験者(13名)における各時点での結果を確認した。なお、排便状況においては、それぞれの項目の摂取開始前の状態がそれほど悪い状態でなかったことから、被験食品の効果については評価が困難となったと考えられる。
【0123】
PPSでの経時的な比較:
排便状況に関して、摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0124】
排便回数/週:対照食品摂取群の摂取開始前6.5±3.3回と比較して、摂取3週後13.7±7.2回において統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.01)。被験食品摂取群の摂取開始前4.6±1.1回と比較して、摂取3週後10.1±5.4回、摂取4週後5.6±1.9回、摂取6週後5.7±1.7回、摂取終了後6.3±1.8回において統計学的に有意な上昇が認められた(摂取4週後: p<0.05、摂取3週後、摂取6週後、摂取終了後:p<0.01)。
【0125】
排便日数/週:被験食品摂取群の摂取開始前4.4±0.8日と比較して、摂取4週後5.2±1.5日、摂取5週後5.2±1.4日、摂取6週後5.2±1.3日、摂取終了後5.6±1.3日において統計学的に有意な上昇が認められた(摂取4週後、摂取5週後: p<0.05、摂取6週後、摂取終了後:p<0.01)。
【0126】
PPSでの試験食品群間の比較:
排便状況に関して、試験食品群間の比較を行った結果、性状の摂取6週後において、対照食品摂取群3.1±0.3と比較して、被験食品摂取群は2.6±0.6と有意に低値を示した。においの摂取6週後において、対照食品摂取群3.1±0.3と比較して、被験食品摂取群は2.6±0.7と有意に低値を示した。その他の項目においては統計学的に有意な差は認められなかった。
【0127】
なお、摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、排便日数/週の摂取終了後において、対照食品摂取群0.4±1.1日と比較して、被験食品摂取群は1.3±0.9日と有意に高値を示した。その他の項目においては統計学的に有意な差は認められなかった。
【0128】
摂取開始前の排便回数が5回以下の被験者での経時的な比較:
排便状況に関して、摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0129】
排便回数/週:被験食品摂取群の摂取開始前4.2±0.7回と比較して、摂取3週後9.9±5.9回、摂取5週後5.0±1.4回、摂取6週後5.2±1.3回、摂取終了後5.8±1.4回において統計学的に有意な上昇が認められた(摂取3週後、摂取5週後: p<0.05、摂取6週後、摂取終了後:p<0.01)。
【0130】
排便日数/週:被験食品摂取群の摂取開始前4.1±0.6日と比較して、摂取5週後5.0±1.4日、摂取6週後4.9±1.2日、摂取終了後5.3±1.2日において統計学的に有意な上昇が認められた(摂取5週後: p<0.05、摂取6週後、摂取終了後:p<0.01)。
【0131】
摂取開始前の排便回数が5回以下の被験者での試験食品群間の比較:
排便状況に関して、試験食品群間の比較を行った結果、性状の摂取6週後において、対照食品摂取群3.3±0.5と比較して、被験食品摂取群は2.6±0.6と有意に低値を示した。また、摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、いずれの項目においても統計学的に有意な差は認められなかった。
【0132】
<安全性の評価>
(1)副作用および有害事象
炭含有食品の8週間摂取時の安全性について、身体計測および生理学的検査、臨床検査における異常変動の有無および有害事象の発現状況等を確認した。本試験では副作用は認められなかった。
【0133】
有害事象については、対照食品摂取群で5名の被験者に6件、被験食品摂取群で5名の被験者に5件認められた。有害事象の発現率は対照食品摂取群で41.7%(5名/12名)、被験食品摂取群で45.5%(5名/11名)であった。有害事象の有無について試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0134】
自覚症状における有害事象の内容としては、被験食品摂取群で「溶連菌感染症」、「インフルエンザA型」、両試験食品群で「感冒症状」があり、いずれも試験食品との因果関係は否定された。一方、臨床検査における有害事象の内容としては、対照食品摂取群で「糖尿病域数値(血糖、HbA1c、尿蛋白、尿糖)、「TG高値」、「尿蛋白変動(+)」、被験食品摂取群でTG高値が認められたが、いずれも試験食品との因果関係は否定された。また、本試験では、重篤な有害事象は認められなかった。よって、本試験での自覚症状における有害事象についてはいずれも発現時期、状況から試験食品との因果関係はないと判断された。
【0135】
また、上記以外の検査値の変動については、試験責任医師によりいずれも軽微な変動であり、生理的変動の可能性が高く、臨床上問題となる変動ではないと判断された。その結果、重篤な変動・有害事象は認められなかったことから、安全性に問題はないと判断された。
【0136】
(2)生理学的検査(血圧、脈拍数)
生理学的検査では、摂取開始前からの経時的な比較において、いずれの試験食品摂取群においても有意な変動は認められなかった。また、実測値を用いた試験食品群間の比較では、摂取開始前の拡張期血圧、摂取終了後の脈拍数において統計学的に有意な差が認められたが、これらは臨床的な意義のある差ではないと考えられた。その他の項目では経時的な比較、群間比較ともに統計学的に有意な差は認められなかった。
【0137】
血圧における経時的な比較:
実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、いずれの試験食品群においても、統計学的に有意な変動は認められなかった。
【0138】
血圧における試験食品群間の比較:
実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0139】
拡張期血圧:対照食品群の摂取開始後83.5±7.7mmHgと比較して、被験食品群の摂取開始前76.2±7.3mmHgにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0140】
摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0141】
血圧における個々の被験者の変動:
個々の被験者の変動範囲は収縮期血圧で-15~18mmHg、拡張期血圧で-13~13mmHgであった。
【0142】
脈拍数における経時的な比較:
実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、いずれの試験食品群においても、統計学的に有意な変動は認められなかった。
【0143】
脈拍数における試験食品群間の比較:
実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0144】
脈拍数:対照食品群の摂取終了後78.7±12.5bpmと比較して、被験食品群の摂取終了後69.3±7.0mEq/Lにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0145】
摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0146】
脈拍数における個々の被験者の変動:
個々の被験者の変動範囲は-15~22bpmであった。
【0147】
(3)臨床検査(血液生化学的検査、血液学的検査、尿定性検査)
FAS(23名)における臨床検査の血液生化学的検査および血液学的検査では、摂取終了後で対照食品摂取群の女性のCRE、Na、女性のRBC、女性のHtで、被験食品摂取群のNaで統計学的に有意な上昇、被験食品摂取群のALB、女性のCPKで統計学的に有意な低下が認められた。
【0148】
実測値を用いた試験食品群間の比較では、摂取開始前のBUN、PLT、摂取終了後のBUN、女性のUA、WBC、女性のHtで統計学的に有意な差が認められたが、臨床的な意義のある差ではないと考えられた。また、摂取開始前からの変化量を用いた試験食品群間の比較では、女性のCREで統計学的に有意な差が認められたが、臨床的な意義のある差ではないと考えられた。
【0149】
血液生化学検査における経時的な比較:
実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0150】
ALB:被験食品群の摂取開始前4.35±0.24g/dLと比較して、摂取終了後4.25±0.24g/dLにおいて統計学的に有意な低下が認められた(p<0.05)。
【0151】
CPK(CK):女性の被験食品群において摂取開始前86.0±25.9U/Lと比較して、摂取終了後70.2±14.9U/Lにおいて統計学的に有意な低下が認められた(p<0.05)。
【0152】
CRE:女性の対照食品群において摂取開始前0.703±0.124mg/dLと比較して、摂取終了後0.763±0.150mg/dLにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0153】
Na:対照食品群において摂取開始前140.9±1.8mEq/Lと比較して、摂取終了後142.2±1.3mEq/Lにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0154】
被験食品群において摂取開始前140.3±1.8mEq/Lと比較して、摂取終了後141.9±1.6mEq/Lにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.01)。
【0155】
血液生化学検査における試験食品群間の比較:
実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0156】
BUN(UN):対照食品群の摂取開始前12.11±2.76mg/dLと比較して、被験食品群の摂取開始前9.68±2.76mg/dLにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0157】
対照食品群の摂取終了後13.35±2.62mg/dLと比較して、被験食品群の摂取終了後10.18±2.17mg/dLにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.01)。
【0158】
UA:女性の対照食品群の摂取終了後5.55±1.19mg/dLと比較して、被験食品群の摂取終了後4.07±0.90mg/dLにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0159】
摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な差が認められた。
【0160】
CRE:女性の対照食品摂取群0.600±0.041mg/dLと比較して、被験食品摂取群-0.013±0.023mg/dLで統計学的に有意な差が認められた(p<0.01)。
【0161】
血液生化学検査における個々の被験者の変動:
有害事象で挙げられた項目以外は、いくつかの項目で基準範囲外への逸脱が認められたが、いずれも生理的変動の範囲内であった。
【0162】
血液学的検査における経時的な比較:
実測値を使用した摂取開始前との経時的な比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0163】
RBC:女性の対照食品群において摂取開始前452.7±24.6×104/μLと比較して、摂取終了後478.5±33.3×104/μLにおいて統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0164】
Ht:女性の対照食品群において摂取開始前42.80±1.31%と比較して、摂取終了後45.00±2.37%において統計学的に有意な上昇が認められた(p<0.05)。
【0165】
血液学的検査における試験食品群間の比較:
実測値を使用した試験食品群間の比較を行った結果、以下の項目について統計学的に有意な変動が認められた。
【0166】
WBC:対照食品群の摂取終了後6486.8±1492.5/μLと比較して、被験食品群の摂取終了後5572.7±1005.1/μLにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0167】
Ht:女性の対照食品群の摂取終了後45.00±2.37%と比較して、被験食品群の摂取終了後41.68±1.91%において統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0168】
PLT:対照食品群の摂取開始前31.38±3.73×104/μLと比較して、被験食品群の摂取開始前26.45±4.62×104/μLにおいて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。
【0169】
摂取開始前からの変化量を使用した試験食品群間の比較を行った結果、いずれの項目においても統計学的に有意な差は認められなかった。
【0170】
血液学的検査における個々の被験者の変動:
いくつかの項目で基準範囲外への逸脱が認められたが、いずれも生理的変動の範囲内であった。
【0171】
尿定性検査:
尿定性検査では、尿蛋白および尿糖において、いくつかの変動が認められたが、判定値を使用した摂取開始前との経時的な比較および試験食品群間の比較を行った結果、統計学的に有意な差は認められなかった。その他の項目については、異常を示す変動は認められなかった。
【0172】
このように、対照食品(炭無添加)及び被験食品(炭添加)を用いて、8週間摂取による試験を行った。その結果、炭含有食品の8週間摂取による抗肥満効果については、体重、BMI、体脂肪率に関して摂取終了後時点で試験食品群間に有意な差は認められなかったが、摂取開始前と比較して対照食品摂取群は増加、被験食品摂取群は低下を示した。また、安全性については、生理学的検査、臨床検査における異常変動の有無および有害事象の発現状況等を確認した結果、いずれの項目においても試験食品によると考えられる重篤な変動・事象は認められず、炭含有食品の8週間摂取時の安全性が確認された。これらのことから、より正確な結果を求めるため、摂取期間の延長または被験者数を増やして効果を検証することを検討している。
【0173】
以上説明したように、本発明によれば、炭による健康増進効果を利用すると共に摂取が容易で副作用もなく、肥満改善及び肥満抑制効果を有する機能性食品を提供することができる。