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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】吊下具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A47G29/00 F
A47G29/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018208079
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020074809
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-11-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504193653
【氏名又は名称】株式会社ジーコム
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内河 敬明
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
【審判官】北村 英隆
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2018-0000423(KR,U)
【文献】特開2017-209146(JP,A)
【文献】特開昭62-34515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面に載せられる基部と、前記基部から垂下する垂下部と、対象物が引っ掛けられる引掛部と、を備える、吊下具であって、
複数のリンク体と、
使用形態と収納形態とに変形可能となるように、前記リンク体同士を回転可能に接続する複数の回転軸と、を備え、
前記複数のリンク体は、前記基部を構成する基部リンク体と、前記基部リンク体に連接される第1連結リンク体と、前記第1連結リンク体に連接される第2連結リンク体と、前記引掛部を構成し、前記第2連結リンク体に連接される第1引掛リンク体と、前記引掛部を構成し、前記第1引掛リンク体に連接される第2引掛リンク体と、を含み、
全ての前記回転軸は、平行に配置され、
前記基部リンク体は、前記基部を構成する基部構成部と、前記基部構成部から垂下し、前記垂下部を構成する垂下構成部と、を備え、
前記基部構成部と前記垂下構成部とは、互いに不動となるように固定され
記複数のリンク体は、前記収納態において、四角形状となるように、ロール状に配列され、
前記収納形態において、前記基部リンク体の前記基部構成部の長手方向の部分は、前記四角形状の外周部の第1の長辺を構成し、前記基部リンク体の前記垂下構成部の長手方向の部分は、前記四角形状の外周部の第1の短辺を構成し、前記第1連結リンク体の長手方向の部分は、前記四角形状の外周部の第2の長辺を構成し、前記第2連結リンク体の長手方向の部分は、前記四角形状の外周部の第2の短辺を構成し、前記第1引掛リンク体及び前記第2引掛リンク体は、前記四角形状の内部を構成し、前記基部リンク体、前記第1連結リンク体及び前記第2連結リンク体のそれぞれの前記長手方向の部分は、前記第1引掛リンク体及び前記第2引掛リンク体の外周を巻くように配列され、
前記基部リンク体は、前記複数のリンク体のうち、最も大きい形状である、吊下具。
【請求項2】
前記基部が対象面に載せられる際に、前記引掛部は、前記基部と上下方向で重なるように位置する、請求項1に記載の吊下具。
【請求項3】
前記複数のリンク体の全ての、前記回転軸の軸線方向の寸法は、一定である、請求項1又は2に記載の吊下具。
【請求項4】
前記複数のリンク体の少なくとも一つは、前記回転軸に接続される接続部と、前記接続部に連接される本体部と、前記接続部と前記本体部とに亘って配置される平板状の補強部と、を備える、請求項1~3の何れか1項に記載の吊下具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、吊下具は、対象面に載せられる平板状の基部と、互いに回転可能に接続される複数のリンク体と、基部とリンク体とを連結する連結具とを備えている(例えば、特許文献1及び2)。そして、連結具は、第1回転軸によって基部と回転可能に接続されると共に、第2回転軸によってリンクと回転可能に接続されている。
【0003】
ところで、第1回転軸と第2回転軸とは、直交するように配置されている。これにより、例えば、第1回転軸と直交する方向(第2回転軸の軸線方向)の力が対象物に働くと、第1回転軸により対象物が揺れ、また、例えば、第2回転軸と直交する方向(第1回転軸の軸線方向)の力が対象物に加わると、第2回転軸により対象物が揺れる。このように、対象物を吊下具に吊り下げている際に、対象物が揺れ易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2010-500152号公報
【文献】実開昭60-101929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、対象物を吊り下げている際に、対象物が揺れることを抑制することができる吊下具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
吊下具は、対象面に載せられる基部と、対象物が引っ掛けられる引掛部と、を備える、吊下具であって、複数のリンク体と、使用形態と収納形態とに変形可能となるように、前記リンク体同士を回転可能に接続する複数の回転軸と、を備え、前記複数のリンク体は、前記基部を構成する基部リンク体と、前記引掛部を構成する引掛リンク体と、を含み、全ての前記回転軸は、平行に配置される。
【0007】
また、吊下具においては、前記複数のリンク体は、収納形態において、ロール状に配列され、前記基部リンク体は、収納形態において、前記吊下具の外周部の一部を構成し、且つ、前記複数のリンク体のうち、最も大きい形状である、という構成でもよい。
【0008】
また、吊下具においては、前記基部から垂下する垂下部を備え、前記基部リンク体は、前記基部を構成する基部構成部と、前記基部構成部から垂下し、前記垂下部を構成する垂下構成部と、を備え、前記基部構成部と前記垂下構成部とは、互いに不動となるように固定される、という構成でもよい。
【0009】
また、吊下具においては、前記複数のリンク体の少なくとも一つは、前記回転軸に接続される接続部と、前記接続部に連接される本体部と、前記接続部と前記本体部とに亘って配置される平板状の補強部と、を備える、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る吊下具の全体斜視図であって、対象物が吊り下げられた状態を示す図である。
図2図2は、同実施形態に係る吊下具の全体斜視図であって、使用形態を示す図である。
図3図3は、同実施形態に係る吊下具の全体正面図であって、使用形態を示す図である。
図4図4は、同実施形態に係る吊下具の全体正面図であって、変形途中の形態を示す図である。
図5図5は、同実施形態に係る吊下具の全体斜視図であって、収納形態を示す図である。
図6図6は、同実施形態に係る吊下具の全体正面図であって、収納形態を示す図である。
図7図7は、同実施形態に係る吊下具ユニットの全体斜視図である。
図8図8は、同実施形態に係るケース体の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、吊下具における一実施形態について、図1図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る吊下具1は、対象面X1に載せられる基部1aと、対象物X2が引っ掛けられる引掛部1bと、基部1aから垂下する垂下部1cとを備えている。一般的に、吊下具1は、テーブルハンガー、テーブルフック、バッグハンガー、バッグフック等と呼ばれている。
【0013】
対象面X1は、特に限定されないが、図1においては、対象面X1は、例えば、テーブル、机といった平板の上面としている。なお、対象面X1は、平面であることが好ましいが、基部1aが滑らない程度の曲率を有する曲面でもよい。
【0014】
対象物X2は、特に限定されないが、図1においては、引掛部1bに紐が掛けられるバッグとしている。なお、対象物X2は、例えば、上着、傘、衣服を掛けるハンガー等としてもよい。
【0015】
図1図3に示すように、吊下具1は、連続して繋げられる複数のリンク体2~6と、リンク体2~6同士を回転可能に接続する複数の回転軸7とを備えている。そして、リンク体2~6が回転することによって、吊下具1は、対象物X2を吊り下げるときの形態である使用形態(図1図3参照)と、収納されるときの形態である収納形態(図5及び図6参照)と、に変形可能である。
【0016】
リンク体2~6の個数は、特に限定されないが、リンク体2~6は、三つ以上備えられている。本実施形態においては、複数のリンク体2~6は、基部1aを構成する基部リンク体2と、引掛部1bを構成する第1及び第2引掛リンク体5,6と、基部リンク体2と第1引掛リンク体5とを連結する第1及び第2連結リンク体3,4とを備えている。
【0017】
そして、複数のリンク体2~6は、基部リンク体2、第1連結リンク体3、第2連結リンク体4、第1引掛リンク体5、第2引掛リンク体6の順に、連接されている。したがって、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、一端に配置されており、第2引掛リンク体6は、複数のリンク体2~6のうち、他端に配置されている。
【0018】
リンク体2~6は、回転軸7に接続される接続部8,9と、接続部8,9に連接される本体部10とを備えている。なお、回転軸7は、接続部8,9と別な部材であってもよく、また、一方の接続部8,9と同じ部材(一体的な部材)であってもよい。また、接続部8,9同士を回転軸7によって回転可能に接続する機構も、特に限定されない。
【0019】
本実施形態においては、回転軸7に接続される接続部8,9において、第1の接続部8は、第2の接続部9を両側から加圧接触して挟むように、構成されている。これにより、リンク体2~6に外力が働いていない場合には、第1の接続部8が第2の接続部9を保持しているため、リンク体2~6が回転することを抑制している。
【0020】
なお、基部リンク体2の接続部8、第1連結リンク体3の下方側の接続部8、第2連結リンク体4の下方側の接続部8、及び第1引掛リンク体5の下方側の接続部8は、第1の接続部8である。また、第1連結リンク体3の上方側の接続部9、第2連結リンク体4の上方側の接続部9、第1引掛リンク体5の上方側の接続部9、及び第2引掛リンク体6の接続部9は、第2の接続部9である。
【0021】
基部リンク体2の本体部10は、基部1aを構成する基部構成部10aと、基部構成部10aから垂下し、垂下部1cを構成する垂下構成部10bとを備えている。そして、垂下構成部10bは、接続部8と連接されている。
【0022】
ところで、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、垂下部1cが基部1aに対して可動すると、基部1aが対象面X1に対して滑り易くなる。そこで、基部構成部10aと垂下構成部10bとは、互いに不動となるように固定されている。これにより、垂下部1cが基部1aに対して不動となるため、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、基部1aが対象面X1に対して滑ることを抑制することができる。
【0023】
さらに、基部リンク体2は、対象面X1に接する部分に、摩擦部2aを備えている。摩擦部2aの摩擦係数は、基部リンク体2の他の部分(例えば、接続部8及び本体部10)の摩擦係数よりも、大きくなっている。これにより、基部1aが対象面X1に対して滑ることを抑制することができる。なお、摩擦部2aの材質は、特に限定されないが、例えば、摩擦部2aは、ゴムで形成されてもよい。
【0024】
また、リンク体2~6の材質は、特に限定されない。リンク体2~6は、所定の剛性を有していればよく、例えば、リンク体2~6(摩擦部2aを除く)は、硬質樹脂で形成されてもよく、また、金属で形成されてもよい。また、リンク体2~6は、非磁性体であってもよく、磁性体であってもよい。
【0025】
なお、リンク体2~6の強度が小さいと、リンク体2~6が破損する場合がある。そこで、リンク体3~5は、接続部9と本体部10とに亘って配置される補強部11を備えている。これにより、リンク体3~5の強度を大きくすることができるため、リンク体3~5が破損することを抑制することができる。その結果、吊下具1の耐荷重(吊下げ可能な対象物X2の最大重量)を大きくすることができる。
【0026】
補強部11は、平板状に形成されている。本実施形態においては、補強部11は、第1及び第2連結リンク体3,4と第1引掛リンク体5とにおける、第2の接続部9と本体部10とに亘って、配置されている。なお、補強部11は、第1の接続部8と本体部10とに亘って配置されてもよく、また、補強部11は、他のリンク体2,6に備えられてもよい。また、補強部11は、当該リンク体3~5に備えられていなくてもよい。
【0027】
また、全てのリンク体2~6の、回転軸7の軸線方向の寸法W2~W6は、一定である。なお、一定とは、完全に同じだけでなく、略同じも含む。例えば、一定とは、当該寸法W2~W6の最大値の差が10mm以下であること、又は、当該寸法W2~W6の平均値の差が10mm以下であること、の少なくとも一方を満たすことをいう。
【0028】
ところで、全ての回転軸7は、平行に配置されている。全ての回転軸7は、基部1aが対象面X1に載せられる面(摩擦部2aの表面)に対して、平行である。即ち、基部1aが平面状の対象面X1に載せられている際に、全ての回転軸7は、対象面X1に対して、平行である。
【0029】
これにより、回転軸7と直交する方向以外の力、例えば、回転軸7の軸線方向の力が、対象物X2に働いた場合に、各リンク体2~6が回転軸7によって回転することを抑制することができる。その結果、吊下具1に吊り下げられた対象物X2が揺れることを抑制することができる。
【0030】
また、接続されるリンク体2~6間において、一方のリンク体2~5は、他方のリンク体3~6の回転を規制するように、構成されている。具体的には、一方のリンク体2~5は、他方のリンク体3~6を止める停止部12を備え、他方のリンク体3~6は、停止部12に停止される被停止部13を備えている。そして、吊下具1が使用形態である際には、被停止部13が停止部12に当たっている。
【0031】
これにより、基部1aが平面状の対象面X1に載せられている際に、引掛部1bは、基部1aと上下方向で重なるように位置する。したがって、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、対象物X2の荷重は、垂下部1cが対象面X1に近づく方向に、働くことになる。その結果、基部1aが対象面X1から外れる方向(垂下部1cが対象面X1から離れる方向)に、基部1aが対象面X1に対して滑ることを抑制することができる。
【0032】
なお、図4に示すように、吊下具1が収納形態と使用形態との間の変形途中の形態の場合には、被停止部13が停止部12から離れている。したがって、吊下具1が収納形態から使用形態に変形される場合、及び、吊下具1が使用形態から収納形態に変形される場合には、リンク体2~6の回転は、規制されない。なお、図4の二点鎖線は、使用状態の吊下具1の一部を図示している。
【0033】
図5及び図6に示すように、収納形態において、複数のリンク体2~6は、ロール状に配列されている。なお、ロール状の巻き数は、特に限定されないが、本実施形態においては、収納形態において、複数のリンク体2~6は、約二回巻きのロール状に配列されている。
【0034】
これにより、リンク体2~6間に隙間が発生することを抑制することができるため、収納形態において、吊下具1を小型化することができる。本実施形態においては、吊下具1は、収納形態において、四角形状であるが、斯かる構成に限られない。例えば、吊下具1は、収納形態において、三角形又は五角形以上の多角形状、円形状、楕円形状であってもよい。
【0035】
また、複数のリンク体2~6のうち、一端に配置される基部リンク体2は、吊下具1の外周部の一部を構成しており、複数のリンク体2~6のうち、他端に配置される第2引掛リンク体6は、吊下具1の内部を構成している。本実施形態においては、基部リンク体2は、収納形態において、四角形状の外周部の二辺を構成している。そして、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、最も大きい形状である。具体的には、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、外形による体積が最も大きいリンク体である。
【0036】
ところで、基部リンク体2を把持しつつ、他の複数のリンク体3~6を回転させることによって、吊下具1を使用形態から収納形態に変形させたり、吊下具1を収納形態から使用形態に変形させたりすることができる。このとき、基部リンク体2が、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成するため、内部を構成するリンク体5,6よりも、基部リンク体2を把持し易い。しかも、基部リンク体2が大きい形状であるため、小さい形状のリンク体3~6よりも、基部リンク体2をさらに把持し易い。
【0037】
加えて、全ての回転軸7が平行であるため、リンク体3~6を回転させる方向が同じである。したがって、吊下具1を使用形態から収納形態に変形させたり、吊下具1を収納形態から使用形態に変形させたりする作業が容易である。
【0038】
なお、図7に示すように、吊下具1は、ケース体21の内部に収容されて、吊下具ユニット20として携帯されてもよい。具体的には、吊下具ユニット20は、吊下具1と、吊下具1を内部に収容するケース体21とを備えている。これにより、吊下具1を収納形態で確実に維持することができる。
【0039】
図7及び図8に示すように、ケース体21は、吊下具1を出し入れするための開口部21aを備えている。そして、ケース体21は、弾性を有している。これにより、ケース体21を弾性変形させることによって、開口部21aを大きくすることができるため、吊下具1が開口部21aを通過できる一方で、ケース体21の内部に吊下具1を収容した際には、吊下具1をケース体21に密着させることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、リンク体2~6に外力が働いていない場合には、接続部8,9によって、リンク体2~6が回転することを抑制しているため、吊下具1が収納形態で維持される。したがって、吊下具1がケース体21に収容されていなくてもよい。また、吊下具1が収納形態の際に、基部リンク体2が不要に回転することを防止するために、吊下具1は、回転防止部を備えている、という構成でもよい。
【0041】
例えば、回転防止部は、基部リンク体2に係合爪を備え、係合爪は、収納形態の際に基部リンク体2に隣接されるリンク体(例えば、第2連結リンク体4)と係合する、という構成でもよい。また、例えば、回転防止部は、基部リンク体2と、収納形態の際に基部リンク体2に隣接されるリンク体(例えば、第2連結リンク体4)とに、それぞれ磁石部を備える、という構成でもよい。
【0042】
以上より、本実施形態に係る吊下具1は、対象面X1に載せられる基部1aと、対象物X2が引っ掛けられる引掛部1bと、を備える、吊下具1であって、複数のリンク体2~6と、使用形態と収納形態とに変形可能となるように、前記リンク体2~6同士を回転可能に接続する複数の回転軸7と、を備え、前記複数のリンク体2~6は、前記基部1aを構成する基部リンク体2と、前記引掛部1bを構成する引掛リンク体5,6と、を含み、全ての前記回転軸7は、平行に配置される。
【0043】
斯かる構成によれば、全ての回転軸7が、平行に配置されているため、吊下具1に対象物X2が吊り下げられた状態において、回転軸7と直交する方向以外の力が、対象物X2に加わった場合に、対象物X2が揺れることを抑制することができる。したがって、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、対象物X2が揺れることを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る吊下具1においては、前記複数のリンク体2~6は、収納形態において、ロール状に配列され、前記基部リンク体2は、収納形態において、前記吊下具1の外周部の一部を構成し、且つ、前記複数のリンク体2~6のうち、最も大きい形状である、という構成である。
【0045】
斯かる構成によれば、収納形態において、複数のリンク体2~6がロール状に配列されるため、リンク体2~6間に隙間が発生することを抑制することができる。これにより、収納形態において、吊下具1を小型化することができる。
【0046】
そして、基部リンク体2を把持しつつ、他の複数のリンク体3~6を回転させることで、吊下具1を使用形態及び収納形態に変形させることができる。このとき、基部リンク体2が、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成するため、基部リンク体2を把持し易い。しかも、基部リンク体2が大きい形状であるため、基部リンク体2をさらに把持し易い。
【0047】
また、本実施形態に係る吊下具1においては、前記基部1aから垂下する垂下部1cを備え、前記基部リンク体2は、前記基部1aを構成する基部構成部10aと、前記基部構成部10aから垂下し、前記垂下部1cを構成する垂下構成部10bと、を備え、前記基部構成部10aと前記垂下構成部10bとは、互いに不動となるように固定される、という構成である。
【0048】
斯かる構成によれば、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、垂下部1cが基部1aに対して可動すると、基部1aが対象面X1に対して滑り易いことに対して、基部構成部10aと垂下構成部10bとは、互いに不動となるように固定されている。これにより、垂下部1cが基部1aに対して不動であるため、吊下具1に対象物X2を吊り下げている際に、基部1aが対象面X1に対して滑ることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る吊下具1においては、前記複数のリンク体2~6の少なくとも一つ(本実施形態においては、第1及び第2連結リンク体3,4及び第1引掛リンク体5)は、前記回転軸7に接続される接続部8,9と、前記接続部8,9に連接される本体部10と、前記接続部9と前記本体部10とに亘って配置される平板状の補強部11と、を備える、という構成である。
【0050】
斯かる構成によれば、補強部11が、接続部9と本体部10とに亘って配置されているため、リンク体3~5の強度を大きくすることができる。これにより、リンク体3~5が破損することを抑制することができる。
【0051】
なお、吊下具1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、吊下具1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0052】
(1)上記実施形態に係る吊下具1においては、基部1aを構成する基部リンク体2は、一つである、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。例えば、基部1aを構成する基部リンク体2は、二つ以上である、という構成でもよい。
【0053】
(2)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、引掛部1bを構成する引掛リンク体5,6は、二つである、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。例えば、引掛部1bを構成する引掛リンク体5,6は、一つ又は三つ以上である、という構成でもよい。
【0054】
(3)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、複数のリンク体2~6は、収納形態において、回転軸7の軸線方向で重ならないように、ロール状に配列されている、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数のリンク体2~6は、収納形態において、少なくとも一部が回転軸7の軸線方向で重なるように、配列されている、という構成でもよい。
【0055】
(4)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、基部構成部10aと垂下構成部10bとは、互いに不動となるように固定されている、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、基部構成部10aを有するリンク体と、垂下構成部10bを有するリンク体とは、別のリンク体であって、互いに回転可能に接続されている、という構成でもよい。
【0056】
(5)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、一端に配置される基部リンク体2は、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成しており、他端に配置される第2引掛リンク体6は、収納形態において、吊下具1の内部に配置されている、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。
【0057】
例えば、他端に配置される第2引掛リンク体6は、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成しており、一端に配置される基部リンク体2は、収納形態において、吊下具1の内部を構成している、という構成でもよい。また、例えば、一端に配置される基部リンク体2は、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成しており、他端に配置される第2引掛リンク体6も、収納形態において、吊下具1の外周部の一部を構成している、という構成でもよい。
【0058】
(6)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、一端に配置されている、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。例えば、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、中間部に配置されている、という構成でもよい。
【0059】
(7)また、上記実施形態に係る吊下具1においては、引掛リンク体5,6は、複数のリンク体2~6のうち、他端に配置されている、という構成である。しかしながら、吊下具1は、斯かる構成に限られない。例えば、引掛リンク体5,6は、複数のリンク体2~6のうち、中間部に配置されている、という構成でもよい。
【0060】
(8)また、吊下具1においては、リンク体2~6の寸法及び形状は、特に限定されない。例えば、リンク体2~6の、回転軸7の軸線方向の寸法W2~W6は、一定ではなく、異なっている、という構成でもよい。また、例えば、基部リンク体2は、複数のリンク体2~6のうち、最も大きい形状ではない、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…吊下具、1a…基部、1b…引掛部、1c…垂下部、2…基部リンク体、2a…摩擦部、3…第1連結リンク体、4…第2連結リンク体、5…第1引掛リンク体、6…第2引掛リンク体、7…回転軸、8…第1の接続部、9…第2の接続部、10…本体部、10a…基部構成部、10b…垂下構成部、11…補強部、12…停止部、13…被停止部、20…吊下具ユニット、21…ケース体、21a…開口部、X1…対象面、X2…対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8