(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】紫外線発光装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241021BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241021BHJP
【FI】
A61L2/10
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2021026279
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】西田 昌嗣
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190139(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/117853(WO,A1)
【文献】特表2021-505298(JP,A)
【文献】特開平03-266019(JP,A)
【文献】特開2012-054492(JP,A)
【文献】特表2017-532138(JP,A)
【文献】特開2018-007929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
H01L33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体、紫外線を発光する発光体、及び少なくとも一つの支持体を含み、
前記基体は、紫外線を遮蔽する遮蔽シートであり、
前記基体の一方の面に前記発光体が積層しており、
前記支持体は、前記基体を巻き付け
た状態と、前記基体を巻き付けていない状態との間で前記基体の状態を変化させるものであって、前記発光体が積層していない部分で前記基体と係合しており、
前記支持体は、前記基体の末端部分、又は、前記基体の一組の対辺間のいずれか一方において、前記基体の辺と対向するように直線状に係合しており、
前記基体は、前記発光体が積層している一方の面を内側にして、照射対象の照射対象面を被覆可能である、紫外線発光装置。
【請求項2】
前記発光体は、複数あり、
前記複数の発光体は、一方向に沿って複数の列をなし、隣り合う列同士の前記発光体が千鳥状に配置されている、請求項1記載の紫外線発光装置。
【請求項3】
前記発光体は、テープ状の基板に取り付けられているLEDである、請求項1又は2記載の紫外線発光装置。
【請求項4】
さらに、発光コントロール機構を含み、
前記発光体は、複数あり、
前記発光コントロール機構は、操作子を含み、
前記発光コントロール機構は、前記複数の発光体のうち、前記操作子と対応する前記発光体を発光させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の紫外線発光装置。
【請求項5】
前記支持体は、バッテリー部及び電源アダプターの少なくとも一方を含み、
前記発光体は、電気的に接続している前記バッテリー部及び前記電源アダプターの少なくとも一方から電力供給をうける、請求項1から4のいずれか一項に記載の紫外線発光装置。
【請求項6】
少なくとも2つの取付部、及び少なくとも2つのアーム部を含み、
前記取付部は、それぞれ、前記アーム部を介して、前記支持体の末端と係合しており、
2つの前記取付部は、前記照射対象を挟み込むように移動可能である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
さらに、伸縮性を有する取付部、及び少なくとも2つのアーム部を含み、
前記取付部が前記2つのアーム部間を橋架するように、前記各アーム部の内側の平面部と前記取付部の各末端とが係合し、
前記取付部が、前記支持体の長手方向に対し垂直方向に伸縮可能である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記照射対象がタッチディスプレイである、請求項1から
7のいずれか一項に記載の紫外線発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウイルス性感染症の拡大防止のために、殺菌・抗ウイルス等の重要性が高まっている。殺菌・抗ウイルス等の手法としては、紫外線を対象物に照射する手法がある。しかし、紫外線は、人体に有害であることが知られている。そこで、使用者が紫外線発光装置を把持したときに、紫外線を下向きに照射する技術が報告されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の携帯可能な装置は、装置自体のサイズが小さく、紫外線が放射される面積が少ないため、殺菌・抗ウイルス等の作業に多大な時間と労力を要するという問題がある。
【0005】
一方で、紫外線を放射する面積を大きくすれば、装置自体のサイズが大きくなり、重量も増すため、可搬性や操作性に劣るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、可搬性に優れ、殺菌・抗ウイルス等の作業を効率よく行うことができ、時間と労力等を節約可能な紫外線発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の紫外線発光装置は、
基体、紫外線を発光する発光体、及び少なくとも一つの支持体を含み、
前記基体は、紫外線を遮蔽する遮蔽シートであり、
前記基体の一方の面に前記発光体が積層しており、
前記支持体は、前記基体を巻き付け可能に、前記発光体が積層していない部分で前記基体と係合しており、
前記基体は、前記発光体が積層している一方の面を内側にして、照射対象の照射対象面を被覆可能な装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可搬性に優れ、殺菌・抗ウイルス等の作業を効率よく行うことができ、時間と労力等を節約可能な紫外線発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(A)は、実施形態1における紫外線発光装置を紫外線照射方向側から見た斜視図であり、
図1(B)は、実施形態1における紫外線発光装置を横から見た模式図(断面図)である。
【
図2】実施形態1における紫外線発光装置の各部の電気的接続の一例を示すブロック図である。
【
図3】基体上に積層した発光体の配置の一例を示す模式図である。
【
図4】紫外線発光装置をタッチパネルディスプレイ装置のタッチパネル面に適用した一例を示す側面図である。
【
図5A】実施形態2における開いた状態の紫外線発光装置を紫外線照射方向側から見た斜視図である。
【
図5B】実施形態2における開いた状態の紫外線発光装置を紫外線照射方向側から見た斜視図である。
【
図6】紫外線発光装置の取付部の別の形態について示す模式図である。
【
図7】
図7(A)は、
図5Aに示す紫外線発光装置の閉じた状態の一例を示す側面図(断面図)であり、
図7(B)は、
図5Bに示す紫外線発光装置の閉じた状態の一例を示す側面図(断面図)である。
【
図8】
図5Bに示す本装置10をディスプレイ装置30のタッチパネル面に適用した一例を示す模式図である。
【
図9】
図6に示す本装置10をディスプレイ装置30のタッチパネル面に適用した一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、除菌とは、微生物を取り除いて減らすことに限らず、殺菌、抗菌、消毒、滅菌、及び静菌等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。殺菌とは、微生物を死滅させることを意味する。抗菌とは、微生物の増殖を抑制することを意味する。消毒とは、ヒト等の動植物に対して病原性のある微生物を死滅させたり、病原性のある微生物の能力を減退させたりすることで、無害化させることを意味する。滅菌とは、全ての微生物を死滅させることを意味する。静菌とは、微生物の増殖を阻害あるいは阻止することを意味する。
【0011】
本発明において、「抗ウイルス」とは、ウイルスの感染力の低下、ウイルスの感染予防、ウイルスの不活性化、及びウイルスの増殖阻止等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。
【0012】
本発明において、「紫外線」は、波長380~200nmの近紫外線、波長200~10nmの遠紫外線もしくは真空紫外線、波長121~10nmの極紫外線もしくは極端紫外線等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。前記近紫外線は、例えば、UVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm未満)等であってもよい。
【0013】
本発明において、「照射対象」は、特に制限されず、例えば、家具、家電、建具、電子機器、公共物、移動体、寝具、衣料等の不特定多数の人が触れる物がある。
【0014】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。なお、以下の図面において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態における説明は、それぞれ、互いを援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す部分があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0015】
[実施形態1]
図1(A)は、本実施形態における紫外線発光装置10を紫外線照射方向側から見た斜視図であり、
図1(B)は、本実施形態における紫外線発光装置10を横から見た模式図(断面図)である。
図2は、本実施形態における紫外線発光装置10の各部の電気的接続の一例を示すブロック図である。本実施形態の紫外線発光装置10は、
図1及び2に示すように、基体11、紫外線を発光する発光体12(12a~12d)、及び支持体13(13a及び13b)を含む。本装置10は、例えば、後述するように、任意の構成として、さらに、把持部14、取付部15、発光コントロール機構20、電源アダプター40等を含んでもよい。また、支持体13は、任意の構成として、例えば、バッテリー部131等を含んでもよい。
【0016】
基体11は、紫外線を遮蔽する遮蔽シートである。基体11の紫外線のカット率は、特に制限されず、例えば、80%以上、95%以上、等である。なお、カット率とは、例えば、一方の面から他方の面に紫外線を透過させない能力を示すものである。具体的に、基体11は、紫外線吸収材及び紫外線反射材等を含むシートであってもよい。前記紫外線吸収材及び紫外線反射材は、特に制限されず、公知の物質を用いることができる。また、基体11は、例えば、耐下性や耐熱性を有する遮蔽シートであってもよい。具体的に、基体11としては、例えば、株式会社RESTAのリフィロ UVカット 遮光遮熱防火国産ロールスクリーン、株式会社グラムスタイルのびっくりカーペット(登録商標)、Deconovo社のロールスクリーン等を使用することができる。基体11の形状は、特に制限されず、任意に設定可能であり、例えば、長方形、正方形、円形、三角形等であってもよい。
【0017】
基体11は、後述の発光体12が積層している一方の面を内側にして、照射対象の照射対象面を被覆可能である。基体11の大きさは、特に制限されず、前記照射対象の照射対象面の大きさに基づき、適宜設計可能である。一方で、後述の発光体12が積層してない他方の面には、例えば、紫外線を発光しない発光体21が積層されていてもよいし、例えば、任意の文字(社名や「殺菌中」等)がプリントされていてもよい。紫外線を発光しない発光体21とは、言い換えれば、可視光線を放射可能な発光体21であり、例えば、LED(light emitting diode)、蛍光灯、有機EL(Electronic Luminescent)、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が挙げられ、複数あってもよい。前記可視光線としては、特に制限されず、例えば、赤、青、黄、白、等の色に対応する波長がある。本装置10は、例えば、前記他方の面に配置された前記発光体21が発する前記可視光線により、例えば、任意の文字(社名や「殺菌中」等)を表示可能であってもよい。前記可視光線を放射可能な発光体21は、例えば、後述のバッテリー部131と電気的に接続してバッテリー部131から電力供給を受けてもよいし、電源アダプター40を介して外部電源と電気的に接続して前記外部電源から電力供給を受けてもよい。
【0018】
発光体12は、
図1に示すように、基体11の一方の面に積層している。発光体12は、複数あってもよい。具体的に、発光体12としては、例えば、EL(Electronic Luminescent)シート、LED(light emitting diode)、蛍光灯、有機EL、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。また、発光体12は、例えば、テープ状の基板に取り付けられているLED、すなわち、LEDテープライトのLEDであってもよい。本装置10において、例えば、LED(発光体12)を有するLEDテープライト等が複数あってもよい。発光体12が発する紫外線の強度は、特に制限されず、例えば、15mW/cm
2、20mW/cm
2、25mW/cm
2等である。発光体12は、例えば、後述のバッテリー部131と電気的に接続してバッテリー部131から電力供給を受けてもよいし、電源アダプター40を介して外部電源と電気的に接続して前記外部電源から電力供給を受けてもよい。
【0019】
図3に、基体11上に積層した発光体12の配置の一例を示す。
図3において、発光体12は、LEDテープライト121のLED(黒い四角)として示すが、例示であって、これに限定されない。複数のLEDテープライト121a~dは、例えば、
図3に示すように、一方向に沿って複数の列をなすように配置されている。前記複数の列は、例えば、
図3に示すように、列間に間隙部を有してもよいし、間隙を有さずに隣り合う列同士が接していてもよい。複数のLEDテープライト121a~dにおけるLED(黒い四角)は、例えば、
図3(A)に示すように、他のLEDテープライト121のLED(黒い四角)と同じ直線上に配置されていてもよい。一方で、例えば、前記間隙部、特に、
図3(A)に示す丸枠(点線)で囲った部分に対する照射ムラを防ぐために、
図3(B)に示すように、隣り合う列同士の発光体12(LEDテープライト121のLED(黒い四角))が千鳥状に配置されていてもよい。
【0020】
基体11の一方の面の表面積のうち、発光体12が積層している部分は、例えば、50%、60%、70%、80%、90%以上を占めていてもよい。また、基体11には、
図3において斜線にて示す非積層エリアが設定されていてもよい。前記非積層エリアは、発光体12が積層していないエリアであり、例えば、基体11の一方の面の各末端部分(外枠)から一定の距離内のエリア、後述の支持体13と係合するエリア等が挙げられるが、これに限定されず、任意に設定できる。前記一定の距離は、任意に設定可能である。
【0021】
さらに、本装置10は、前述のように、例えば、発光コントロール機構20を含んでもよい。発光コントロール機構20は、紫外線を発光する発光体12及び可視光線を発光する発光体21の発光をコントロールする。発光コントロール機構20は、例えば、操作子を含む。発光コントロール機構20は、複数の発光体12のうち、前記操作子と対応する発光体12及び発光体21を発光させる。前記操作子と対応する発光体12及び発光体21とは、例えば、前記操作子と発光体12及び発光体21とが電気的に接続していることも意味する。前記操作子と対応する発光体12及び発光体21は、複数あってもよい。前記操作子は、例えば、ボタン、スイッチ等である。これにより、前記操作子を操作することで、任意の発光体12及び発光体21のみを発光させることができる。
【0022】
また、発光コントロール機構20は、例えば、タイマー機構を含んでもよい。前記タイマー機構は、予め設定した時間を経過した場合に、発光体12及び発光体21への電力の供給を停止する。前記予め設定した時間は、特に制限されず、任意に設定可能である。発光コントロール機構20が前記タイマー機構を含む場合、可視光線を放射する発光体21は、例えば、前記予め設定した時間を経過したことを意味する発光を行ってもよい。具体的には、例えば、任意の色を発光したり、複数の前記発光体21が発光することで「殺菌終了」等の文字を表示したりしてもよい。
【0023】
支持体13は、少なくとも1つあればよい。支持体13は、発光体12が積層していない部分で基体11と係合しており、且つ基体11を巻き付け可能である。発光体12が積層していない部分とは、特に制限されず、発光体12が積層している一方の面のうち発光体12が積層していない部分(すなわち、前記非積層エリア)でもよいし、発光体12が積層していない他方の面であってもよい。本装置10は、例えば、
図1に示すように、支持体13を2つ含み、一方の支持体13aは、基体11の一方の末端部分(辺)において基体11の辺と対向するように直線状に係合しており、他方の支持体13bは、前記一方の末端部分と対向する他方の末端部分(辺)において基体11の辺と対向するように直線状に係合していてもよい。これにより、例えば、支持体13aを上側にして、前記照射対象の対象面に本装置10を被せた場合、支持体13bの重さによって基体11が張り、照射ムラを防ぐことができる。
【0024】
また、後述するように、支持体13は、例えば、基体11における一組の対辺間であって、前記対辺と対向するように直線状に係合していてもよい。基体11における一組の対辺間とは、特に制限されず、前記対辺間の中央部分であってもよいし、いずれか一方の辺に寄った部分であってもよい。なお、この場合、基体11のうち発光体12が積層している一方の面は、支持体13を境にして、発光体12が積層している部分(積層エリア)と、発光体12が積層していない部分(前記非積層エリア)とに分かれている。
【0025】
支持体13の素材は、特に制限されず、例えば、木材、プラスチック、金属、等によって構成される。また、支持体13の大きさは、特に制限されず、例えば、基体11における支持体13との係合方向と同一の辺を1としたときに、1~2、1.2~1.8、1.4~1.6等の大きさである。支持体13の形状は、特に制限されないが、例えば、基体11と係合する部分は、円柱状であることが好ましい。前記円柱状であることで、基体11を巻き付けることが容易である。以下、基体11を支持体13に巻き付けた状態の本装置10を「閉じた状態」ともいい、基体11を支持体13に巻き付けていない状態の本装置10を「開いた状態」ともいう。支持体13は、例えば、ローラーであってもよい。
【0026】
支持体13は、例えば、バッテリー部131を内蔵していてもよい。バッテリー部131とは、例えば、発光体12と電気的に接続しており、発光体12に電力を供給する。バッテリー部131は、例えば、繰り返し充放電が可能であってもよい。また、バッテリー部131は、前記可視光線を放射可能な発光体21と電気的に接続して前記可視光線を放射可能な発光体21に電力を供給してもよい。
【0027】
支持体13は、例えば、モーター132を含み、モーター132を駆動させることで支持体13が回転し、基体11を巻き上げ可能であってもよい。モーター132は、例えば、バッテリー部131から電力供給を受けて駆動してもよいし、電源アダプター40を介して外部電源と電気的に接続して前記外部電源から電力供給を受けて駆動してもよい。
【0028】
本装置10は、例えば、さらに、把持部14を含んでもよい。把持部14は、例えば、少なくとも一つの支持体13と係合している。把持部14は、例えば、後述するように、アーム部16を介して支持体13と係合していてもよい。また、把持部14は、例えば、2つ以上あってもよい。把持部14は、例えば、本装置10を持ち運ぶときに使用する移動用把持部141、本装置10を開いた状態にするために使用する延出用把持部142等があってもよい。これにより、本装置10は、可搬性や設置容易性の一層優れたものとなる。
【0029】
さらに、本装置は、取付部15を含んでもよい。取付部15は、本装置10を前記照射対象に取り付ける。具体的には、実施形態2に記載する。
【0030】
本装置10は、発光体12を積層した基体11を支持体13に巻き付け可能であるため、可搬性に優れる。また、本装置10によれば、発光体12を積層した基体11を照射対象の照射対象面に被覆することで、一度に広範囲を対象とした殺菌・抗ウイルス等を施すことができ、作業の手間がかからない。作業者は、殺菌・抗ウイルス等を施すために、本装置10を照射対象の照射対象面に被せるだけでよいため、紫外線照射中は、別の作業をすることができる。そのため、本装置10によれば、作業効率を向上させることができる。さらに、発光体12を積層した基体11は、シート状であるから、前記照射対象の照射対象面の形状に凹凸等があっても、殺菌・抗ウイルス等を施すことができる。本装置10を使用する際は、発光体12を積層している面を照射対象の照射対象面に向けている。そのため、人が発光体12を積層している面の反対面から紫外線を照射中の本装置10を見たとしても、紫外線を遮蔽する遮蔽シートである基体11により紫外線が目に入らず、人体に悪影響を及ぼすリスクが低い。また、人が照射対象の照射対象面の反対側から紫外線を照射中の本装置10を見たとしても、前記照射対象が紫外線を遮るため、紫外線が目に入らず、人体に悪影響を及ぼすリスクが低い。
【0031】
[実施形態2]
本発明をタッチパネルディスプレイ装置に適用した一例について説明する。
【0032】
図4は、紫外線発光装置10をタッチパネルディスプレイ装置30(以下、ディスプレイ装置30ともいう)のタッチパネル面に適用した一例を示す側面図である。
図4(A)は、2つの支持体13a、13bが基体11の対向する各辺とそれぞれ係合している紫外線発光装置10を用いた一例を示し、
図4(B)は、1つの支持体13が基体11における一組の対辺間であって、前記対辺と対向するように直線状に係合している紫外線発光装置10を用いた一例を示す。
【0033】
図4(A)の場合、支持体13aをディスプレイ装置30の上部でディスプレイ装置30を覆うように引っ掛けて、発光体12が積層している面をタッチパネル面と対面するように本装置10を配置している。
【0034】
図4(B)の場合、支持体13をディスプレイ装置30の上部に重ねて置き、発光体12が積層している部分(前記積層エリア)をタッチパネル面と対面するように本装置10を配置している。なお、本装置10は、例えば、
図4(A)に示すように、基材11の前記対辺にそれぞれ支持体13が係合していてもよい(つまり、支持体13は、合計3つになる)。これにより、例えば、人が照射対象の照射対象面の反対側に紫外線が漏れるのをより防ぐことができ、人体に悪影響を及ぼすリスクを低くできる。
【0035】
図4(A)に示す本装置10をディスプレイ装置30の上部でディスプレイ装置30を覆うように引っ掛ける形態について、
図5~
図9を用いてより具体的に説明する。
【0036】
図5A及びBは、開いた状態の本装置10を紫外線照射方向側から見た斜視図である。
図5A及びBに示す本装置10は、基体11、発光体12、モーター132を含む支持体13a(ローター13a)、バッテリー部131を含む支持体13b、把持部14(移動用把持部141、延出用把持部142)、取付部15(15a、15b)、アーム部16(16a、16b)、巻付固定部17、巻付固定部用取付部18及び電源アダプター30等を含む。特に記載しない限り、各部の説明は、前述の記載を援用できる。
【0037】
図5Aでは、支持体13bが、筒型のバッテリー部131を内蔵している。
図5Bでは、支持体13bと係合したケース1311(例えば、布製のケース)内に箱型のバッテリー部131が内蔵されている点を除き、
図5Aと同様である。ケース1311は、
図5Bに示す例に限らず、例えば、
図9に示すように、発光体11が積層してない基体11の面に係合していてもよい。
【0038】
アーム部16は、例えば、板状である。一方のアーム部16aは、例えば、
図5Aに示すように、本装置10の外側の平面部と移動用把持部141とが係合し、本装置10の内側の平面部とローター13aの末端と取付部15aとが係合していてもよい。また、他方のアーム部16bは、例えば、
図5Aに示すように、本装置10の内側の平面部とローター13aの末端と取付部15aとが係合していてもよい。他方のアーム部16bは、例えば、本装置10の外側の平面部と移動用把持部141とが係合していてもよい。アーム部16は、例えば、ローター13a、13bと結合している点を中心にして旋回可能であってもよい。具体的には、例えば、ボルトやナット等を用いることで、前記旋回可能に係合できる。
【0039】
アーム部16a、16bは、例えば、
図5Aに示すように、アーム部16a、16b間を巻付固定部用取付部18が橋架するように、本装置10の内側の平面部と巻付固定部用取付部18の各末端とが係合していてもよい。巻付固定部用取付部18は、巻付固定部17を取り付けている部材である。巻付固定部用取付部18は、例えば、
図5Aに示すように、中央部分に、延出用把持部142が設置されていてもよい。延出用把持部142は、前述のように、本装置10を開いた状態にするためにユーザが把持する部分である。巻付固定部17は、例えば、バンド171と、留め具172とを含む。巻付固定部17は、基体11を支持体13に巻き付けた状態を保つための部材である。バンド171の一部及び留め具172の一部(例えば、雌型の留め具172b)は、例えば、
図5Aに示すように、一方の支持体13bと係合していてもよい。なお、
図5Aにおいて、ローター13a側の留め具172は、例えば、雄型の留め具172aとして示す。巻付固定部17は、例えば、2つ以上あってもよい。バンド171は、例えば、伸縮性のあるバンドであってもよい。バンド171は、例えば、バンド171の長さを調節する調節部材1711を含んでもよい。
【0040】
取付部15a、15bは、それぞれ、ローター13aの長手方向に前記照射対象(ディスプレイ装置30)を挟み込むように移動可能である。具体的には、例えば、ボルトやナット等を用いることで、前記移動可能に係合できる。また、取付部15a、15bにおいて、前記照射対象を挟み込んで接する面は、例えば、吸着パッド(真空パッド)であってもよい。
【0041】
図6に、取付部15の別の形態について示す。
図6は、取付部15が、アーム部16a、16b間を橋架するように、アーム部16a、16bの内側の平面部と取付部15の各末端とが係合している点を除き、
図5Aに示す本装置10と同様である。取付部15は、伸縮性を有し、支持体13の長手方向に対し垂直方向に伸縮可能である。具体的に、取付部15、例えば、ゴム等である。ユーザは、例えば、取付部15を前記垂直方向に引っ張って、前記照射対象(ディスプレイ装置30)の引っ掛け部に取付部15を引っ掛けることで、本装置10を設置する。なお、図示していないが、
図6に示す例であっても、
図5Bに示すように、支持体13bと係合したケース1311(例えば、布製のケース)内に箱型のバッテリー部131が内蔵されていてもよい。
【0042】
図7(A)は、
図5Aに示す本装置10の閉じた状態の一例を示す側面図(断面図)であり、
図7(B)は、
図5Bに示す本装置10の閉じた状態の一例を示す側面図(断面図)である。
図7において、雌型の留め具172bに雄型の留め具172aを嵌合して繋がったバンド171により、基体11を支持体13に巻き付けた状態にしている。なお、図示していないが、
図6に示す形態の本装置10の閉じた状態の一例は、例えば、
図7(A)に示す例と同じである。
【0043】
図8は、
図5Bに示す本装置10をディスプレイ装置30のタッチパネル面に適用した一例を示す模式図である。
図8(A)は、本装置10を取り付けたディスプレイ装置30を正面(紫外線発光装置10を紫外線照射方向側)からみた図であり、
図8(B)は、本装置10を取り付けたディスプレイ装置30の側面図である。
図9は、
図6に示す本装置10をディスプレイ装置30のタッチパネル面に適用した一例を示す模式図である。
図9(A)は、本装置10を取り付けたディスプレイ装置30を正面(紫外線発光装置10を紫外線照射方向側)からみた図であり、
図9(B)は、本装置10を取り付けたディスプレイ装置30の側面図である。このように、取付部15によって本装置10をディスプレイ装置30に取付可能であり、アーム部16によってディスプレイ装置30のタッチパネル面の角度に応じた調節ができる。また、アーム部16によって、紫外線とディスプレイ装置30のタッチパネル面との間で一定距離を確保可能であり、効率的に前記タッチパネル面の抗菌等が可能である。
【0044】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、可搬性に優れ、殺菌・抗ウイルス等の作業を効率よく行うことができ、時間と労力等を節約可能な紫外線発光装置を提供することができる。本発明は、例えば、除菌等を行う場合において有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 紫外線発光装置
11 基体
12 発光体
13 支持体
131 バッテリー部
132 モーター
14 把持部
141 移動用把持部
142 延出用把持部
15 取付部
16 アーム部
17 巻付固定部
171 バンド
172 留め具
18 巻付固定部用取付部
20 発光コントロール機構
21 発光体
30 ディスプレイ装置
40 電源アダプター