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特許7573891硬化高反発クッションおよび硬化高反発まくら
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】硬化高反発クッションおよび硬化高反発まくら
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20241021BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A47G9/10 A
A47C27/00 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022149617
(22)【出願日】2022-09-20
(65)【公開番号】P2024044215
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2023-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509180658
【氏名又は名称】株式会社バイオフェイス東京研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】溝垣 友通
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-345920(JP,A)
【文献】特開平10-259559(JP,A)
【文献】実開昭60-108294(JP,U)
【文献】特開平02-154050(JP,A)
【文献】実開平04-135965(JP,U)
【文献】登録実用新案第3029965(JP,U)
【文献】特開2015-228941(JP,A)
【文献】特開2019-118361(JP,A)
【文献】特開2003-020555(JP,A)
【文献】特開平08-089369(JP,A)
【文献】特開昭59-100751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
A47C 27/00
B68G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低い融点を有するポリエステル綿、前記ポリエステル綿の融点よりも高い融点を有するポリエステル綿、及び再生ポリエステル綿を、前記低い融点を有するポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり且つ再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比となり、前記高い融点を有するポリエステル綿は残りの百分率の重量比となるように配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを連続的に積層したところで熱ロールに供給させて熱圧着させ、次いで一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作る熱処理によりシート材の体積を減らし、ブロワーで冷却風を当てて溶けていた低い融点を有するポリエステル綿を硬化させることで作られる硬化ポリエステルシートを所定のクッションのサイズに切断して得られることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項2】
請求項1記載の硬化高反発クッションであって、前記高い融点を有するポリエステル綿は30乃至60%の重量比を有することを特徴とする請求項1記載の硬化高反発クッション。
【請求項3】
請求項1記載の硬化高反発クッションであって、前記硬化ポリエステルシートは、単位面積当たりの重さが1.3kg/m乃至2.0kg/mの範囲であることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項4】
請求項3記載の硬化高反発クッションであって、前記硬化ポリエステルシートの厚みが1乃至12cmの厚みに設定されることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項5】
請求項1記載の硬化高反発クッションであって、前記硬化ポリエステルシートの表面反発力は、ゴルフボールを高さ60cmから自由落下させた場合に、最初の反発力での到達高さが25cm以上であることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項6】
請求項1記載の硬化高反発クッションであって、前記硬化ポリエステルシートはキルティング構造のクッションカバーに収納されることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項7】
請求項6記載の硬化高反発クッションであって、前記硬化ポリエステルシートは複数枚重ねてクッションカバーに収納されることを特徴とする硬化高反発クッション。
【請求項8】
低い融点を有するポリエステル綿、前記ポリエステル綿の融点よりも高い融点を有するポリエステル綿、及び再生ポリエステル綿を、前記低い融点を有するポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり且つ再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比となり、前記高い融点を有するポリエステル綿は残りの百分率の重量比となるように配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを連続的に積層したところで熱ロールに供給させて熱圧着させ、次いで一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作る熱処理によりシート材の体積を減らし、ブロワーで冷却風を当てて溶けていた低い融点を有するポリエステル綿を硬化させることで作られる硬化ポリエステルシートを所定の枕のサイズに切断して得られた硬化ポリエステル枕部材をキルティング構造のカバーに収納されることを特徴とする硬化高反発まくら。
【請求項9】
請求項8記載の硬化高反発まくらであって、前記硬化ポリエステルシートの厚みが1乃至12cmの厚みに設定されることを特徴とする硬化高反発まくら。
【請求項10】
請求項8記載の硬化高反発まくらであって、前記硬化ポリエステルシートは複数枚重ねてカバーに収納されることを特徴とすることを特徴とする硬化高反発まくら。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は比較的に硬い寝具等として使用される硬化高反発クッションおよび硬化高反発まくらに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ウレタン素材などの発泡樹脂を使用した寝具や敷物、クッションなどの日用品は、例えば人々が寝転ぶ場合では通常その発泡樹脂を用いた部分が変形して潰れるとともに接触した部分の表面積を広げた形で体重や圧力を受け止めるように構成されている。発泡樹脂は成型時に気泡を内包するようにしており、成型後では、圧力を受けた場合に気泡部分が大きく変形して体積を縮小させ、圧力を解除したところで形が元に戻る。
【0003】
従来の首痛などの諸問題を解決する技術としては、種々のものが知られており、例えばまくらが載置された水平面からの角度が10度以上20度以下になるよう傾斜されて形成されている、略直角三角柱状の部材でまくらを形成するもの(特許文献1参照。)や、就寝時に頚椎および腰椎にかかる負担を軽減できるまくらとして、底面が床に載置される面となり、底面に対して約30°傾斜して体載置面がある枕(特許文献2)などが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-110956号公報
【文献】特開2009-261512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウレタン素材を使用した場合では、柔らか過ぎて就眠時の気道の確保ができないなどの問題も発生し易いという問題が発生することがあり、これらの特許文献に記載された断面三角形状のまくらにおいても、発泡樹脂の利用部分は柔らか過ぎる問題が生じる。また、複数の部材を組み合わせて構成する場合には、それが価格の上昇につながることから、クッションやまくらの市場でのコスト面からの競争力を失うことになる。従って、多くの場合、通常の低反発のウレタン系の発泡樹脂などを用いた場合には、柔らかすぎて姿勢を維持するために返って首筋を痛めてしまうという問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、寝具等として使用される硬化高反発クッションおよび硬化高反発まくらであって、十分な睡眠を確保できる構造の硬化高反発クッションおよび硬化高反発まくらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明の硬化高反発クッションは、低い融点を有するポリエステル綿、前記ポリエステル綿の融点よりも高い融点を有するポリエステル綿、及び再生ポリエステル綿を、前記低い融点を有するポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり且つ再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比となり、前記高い融点を有するポリエステル綿は残りの百分率の重量比となるように配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを連続的に積層したところで熱ロールに供給させて熱圧着させ、次いで一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作る熱処理によりシート材の体積を減らし、ブロワーで冷却風を当てて溶けていた低い融点を有するポリエステル綿を硬化させることで作られる硬化ポリエステルシートを所定のクッションのサイズに切断して得られることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の硬化高反発クッションの一例においては、前記融点が異なるポリエステル綿のうち高い融点のポリエステル綿は30乃至60%の重量比とすることができ、前記硬化ポリエステルシートは、単位面積当たりの重さが1.3kg/m 2 乃至2.0kg/m 2 の範囲とすることができ、より好ましくは1.5kg/m 2 乃至2.0kg/m 2 の範囲とすることができ、その硬化ポリエステルシートの厚みは、1乃至12cmの範囲とすることができ、より好ましくは1.5cm乃至3.3cmの範囲とすることができる。
【0009】
また本発明の硬化高反発まくらは、低い融点を有するポリエステル綿、前記ポリエステル綿の融点よりも高い融点を有するポリエステル綿、及び再生ポリエステル綿を、前記低い融点を有するポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり且つ再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比となり、前記高い融点を有するポリエステル綿は残りの百分率の重量比となるように配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを連続的に積層したところで熱ロールに供給させて熱圧着させ、次いで一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作る熱処理によりシート材の体積を減らし、ブロワーで冷却風を当てて溶けていた低い融点を有するポリエステル綿を硬化させることで作られる硬化ポリエステルシートを所定の枕のサイズに切断して得られた硬化ポリエステル枕部材をキルティング構造のカバーに収納されることを特徴とする。
【0010】
このような処理で製造された硬化高反発まくらは、前記種類が異なるポリエステル綿は融点が異なるポリエステル綿とすることができ、前記硬化ポリエステルシートを所望のサイズに切断することで形成でき、前記硬化ポリエステルシートの厚みは、1cm乃至12cmの範囲とすることができ、より好ましくは1.5cm乃至3.3cmの範囲とすることができる。また、本発明の一例の硬化高反発まくらにおいては、硬化ポリエステルシートは、単位面積当たりの重さが1.2kg/mもしくはそれ以上であり、より好ましくは1.5kg/mもしくはそれ以上とされる。
【0011】
さらに本発明の好適な実施形態にかかる硬化高反発クッション及びまくらにおいては、硬化ポリエステルシートの表面反発力は、例えばゴルフボールを高さ60cmから自由落下させた場合に、最初の反発力での到達高さが約25cm以上であり、より好ましくは約28cm以上とされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態にかかる硬化高反発クッションを一部破断して示す斜視図である。
図2】本発明の他の実施形態にかかる硬化高反発クッションを一部破断して示す斜視図である。
図3】本発明のさらに他の実施形態にかかる硬化高反発クッションを一部破断して示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態にかかる硬化高反発まくらを一部破断して示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態にかかる他の硬化高反発まくらを一部破断して示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に使用される硬化ポリエステルシートについて行ったゴルフボールを用いた反発力比較実験を説明する模式図である。
図7】本発明の実施形態に用いる硬化ポリエステルシートの製造方法の一例を説明するための流れ図である。
図8】本発明の実施形態にかかる硬化高反発クッションに用いる硬化ポリエステルシートの断面図である。
図9】本発明の実施形態にかかる硬化高反発クッションに用いる他の硬化ポリエステルシートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の硬化高反発クッションと硬化高反発まくらの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は硬化高反発クッション10を示す斜視図である。硬化高反発クッション10の外側はキルティング構造のクッションカバー14であり、その内側に固く高反発を示す硬化ポリエステルシート12が存在する。硬化高反発型クッション10に用いられる硬化ポリエステルシート12は、硬化される硬化ポリエステルシートを矩形形状に切断して形成された硬化ポリエステル部材であり、後述するような工程で製造される。硬化高反発クッション100のサイズとしては、45cm×45cm、45cm×60cm、60cm×60cmのものや、円形のものが挙げられる。また、硬化高反発クッション10の例としては、典型的な座布団の各サイズを有していても良く、55cm×59cmの銘仙判、59cm×63cmの八端判、長座布団として60cm×110cm、63cm×120cm、68cm×120cm、70×180cmなどの種々のものがあり、硬化高反発クッション10はこれらのサイズになるように調整しながらシート材を切断して構成することができる。
【0015】
なお、本明細書においてクッションの用語については、広く解されるものであって、クッションとしては種々の座布団なども含むものとする。また、単独で使用することも可能であり、例えばキルティングや被覆するカバーなどを備えていても良い。本発明にかかるクッションは、硬化高反発クッション10の上にシーツやタオルを被せて利用することも可能である。また、本発明にかかるクッションは、家具やそのほかの椅子などに組み込んで使用するものを含む。
【0016】
硬化高反発クッション10に用いられる硬化ポリエステルシートの材質は、100%のポリエステル綿を主な材料としており、ここでポリエステル綿とはポリエステル繊維を綿に加工したもので、特徴は弾力性が高いことで知られ、ソファー・布団・クッション・ぬいぐるみなどに使用される綿状の繊維の塊である。ポリエステル綿はちぎって分けることも可能であるが、本実施例では、それらをプレス加工して所要の厚みのシート化を図った硬化ポリエステルシートに仕上げている。完成した硬化ポリエステルシートの重量としては、圧縮されていることから、単位面積当たりの重さが1.2kg/mもしくはそれ以上であることが望ましく、典型的には硬化ポリエステルシートは1.3kg/m2乃至2.0kg/m2の範囲での重さを有す。硬化ポリエステルシートの厚みは、例えば1cm乃至4cmの範囲とされる。これらのサイズと厚みは例示であり、切断法や製造方法を調整することで他の平面サイズや厚みにできることは言うまでもない
【0017】
硬化高反発クッション10に用いられる硬化ポリエステルシートは、種類の異なるポリエステル綿を配合することで得られるシートであり、特に低融点ポリエステル綿を混ぜることで、熱処理時に一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作り、そこから極めて短い時間の冷却処理により、低融点ポリエステル綿を瞬時に固化させて全体的に硬く反発係数の高い硬化ポリエステルシートが得られることになる。一例を挙げれば、低融点ポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり、再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比、通常のポリエステル綿は30乃至60%の重量比で均一に各ポリエステル綿を混ぜ合わせてポリエステル綿シートを得る。低融点ポリエステル綿としては、全体的に低融点のポリエステル繊維を綿状にしたものも使用することができ、芯はポリエステル綿とし、鞘の部分は共重合ポリエステルあるいはポリエチレンとなるような芯鞘で組成が異なるような繊維を用いることもできる。通常のポリエステル綿としては例えば12乃至18デニールの太ささのものを使用し、低融点ポリエステル綿としては例えば4乃至6デニールの太さの繊維を使用できる。
【0018】
製造時においては、例えば通常のポリエステル綿と、ペットボトルなどの再生資源を綿状に加工した再生ポリエステル綿と、低融点ポリエステル綿を均一になるように混ぜ、シート状のポリエステル綿シートを製造する。このシートを重ねるように折り返して、少しずつ送り、複数枚のポリエステル綿シートを熱圧着させる。具体的には熱ローラーなどにより圧力を加えて繊維を板状に加圧し、その際には低融点ポリエステルが溶融してシート内の隅々まで至るような温度に維持される。この加熱のため、比較的に大きさ規模の熱処理装置が使用され、熱圧着によりシート内の低融点ポリエステルの成分が溶融されながらポリエステル綿シートが熱処理装置内を搬送され、熱処理装置の最後に位置するブロワーで冷却風を当てて、溶融していた融点の低いポリエステル成分を硬化させる。圧縮されたポリエステル綿シートは固い状態となって硬化し、シート材の体積を減らして硬化されることになる。
【0019】
なお、硬化ポリエステルシートには、所望の難燃剤などを加えることも可能であり、抗菌性や防カビ性の材料を混ぜることも可能であるが、所望の難燃剤や抗菌性や防カビ性の材料については最終的な製品に塗布するようにしても良い。また、ウェブ状で熱処理装置から排出された硬化ポリエステルシートは、所要のサイズに切断され、カバーなどを付与して硬化高反発クッションが構成されることとなる。
【0020】
図2は硬化高反発クッションの変形例を示す。図2に示す硬化高反発クッション30は、いわゆるダブルとなるように2枚の硬化ポリエステルシート32、36が重なるように使用されており、キルティング構造のクッションカバー34の内部に収納されている。このように2枚の硬化ポリエステルシート32、36を重ねて不足する厚み分を補うこともできる。硬化高反発クッション30はその構造に起因して通気性も優れる。
【0021】
図3は正方形の硬化高反発クッション31であり、例えば45cm×45cmのサイズの硬化ポリエステルシート33がキルティング構造のクッションカバー35の内部に収納される。硬化ポリエステルシート33は、例えば45cm×45cm×9cm(厚み)の寸法を有し、硬化高反発クッション31はその構造に起因して通気性も優れる。
【0022】
図4は硬化高反発まくら40を示す斜視図である。硬化高反発まくら40の外側はキルティング構造のまくらカバー44であり、その内側に固く高反発を示す硬化ポリエステル枕部材42がある。硬化高反発型まくら40に用いられる硬化ポリエステル枕部材42は、硬化される硬化ポリエステルシートを矩形形状に切断して形成された硬化ポリエステル部材であり、後述するような工程で製造される。2枚以上のシート材を重ねて硬化高反発まくら40を構成しても良い。
【0023】
なお、本明細書においてまくらの用語についても広く解されるものであって、敷布団と組み合わせて使用することもでき、他のまくらと組み合わせて使用することもでき、必ずしも布団の上に敷くものに限定されず、ソファーの座面や背もたれなどと組み合わせられるものも含む。また、必ずしも住居用のまくらに限定するものでもなく、病院やホテルなどの業務用や乗り物、その他の施設の一部で人が寝転がってあるいは座って利用する様なあらゆる形態に適用できる。まくらは必ずしも常時使用するものに限らず、一時的な利用も含む。
【0024】
図5は硬化高反発長まくら50を示す斜視図である。硬化高反発長まくら50の外側はキルティング構造のまくらカバー54であり、その内側に固く高反発を示す硬化ポリエステル枕部材52がある。硬化高反発型長まくら50に用いられる硬化ポリエステル枕部材52は、硬化される硬化ポリエステルシートを矩形形状に切断して形成された硬化ポリエステル部材であり、後述するような工程で製造される。2枚以上のシート材を重ねて硬化高反発長まくら50を構成しても良い。
【0025】
以上のようなクッションやまくらに使用される硬化ポリエステルシートについては、本件発明者はその高反発性能についての試験を行っている。図6はゴルフボールの落下試験を示す図である。ゴルフボールの落下試験は、ある一定の高さ、本試験では60cmの高さから、一定のゴルフボール24を本実施形態の硬化ポリエステルシートと比較例として高反発ポリウレタン材の表面にそれぞれ自由落下させ、それぞれシート表面で跳ねて到達した最大高さを計測した。すると、次の表1に示すように、本実施形態の硬化ポリエステルシート26では、大きく跳ね上がって最大33乃至40cm程度の高さまでの跳ね上がりが測定された。これに対して、比較例としての高反発ポリウレタン材28に対してゴルフボール24を自由落下させた場合では、約6cmの高さまでしか跳ね上がりがなく、その反発係数が著しく異なることが示された。
【0026】
表1
【0027】
本実施形態の硬化高反発クッションやまくらに用いられる硬化ポリエステルシートは概ねどのような厚みでも高い反発力を示す傾向があり、例えば厚み(高さ)が10cmを越える硬化ポリエステルシートでは、約60cmの高さからゴルフボールを落下させた場合に、約45cm程度もしくはそれ以上となり、厚みが薄い場合には跳ね上がり高さが低くなる傾向がある。例えば硬化ポリエステルシートの厚みが1~2cm程度の薄い場合には、25~30cm程度となり得る。なお、ゴルフボールもそれぞれ反発が異なるため、いわゆる公認球(重さ:45.93グラム以内、直径:42.67mm以上、反発係数:0.800以内)を使用した。
【0028】
次に、本実施形態の硬化高反発クッションやまくらなどに用いられる硬化ポリエステルシートの製造工程の流れについて簡単に図7を参照しながら説明する。一例として、本実施形態の硬化高反発物品に用いられる硬化ポリエステル枕部材の製造では、巨大なベルトコンベヤーを配した製造ラインを利用することができ、初めに、製造に従事する職人が原料のポリエステル綿として、通常のポリエステル綿、再生ポリエステル綿、および低融点ポリエステル綿を手などでちぎりながらシート加工機に導入する(手順S10)。このシート加工機では、導入されたポリエステル綿を良く混ぜることができ、混ぜ合わされたポリエステル綿を平たく押し伸ばす(手順S12)。次に、流れ作業の中でシート加工機から排出されたポリエステル綿シートを何枚かの枚数のシートが重なるように積層させ(手順S14)、次いで熱ロールで加熱しながら積層されたシートを圧縮する(S16)。この圧縮工程で積層されていたポリエステル綿シートはその厚みが大きく減少されるように加工される。本実施形態の硬化ポリエステルシートの製造工程では、圧縮した後に引き続いて熱処理を施して(手順S18)、通常のポリエステル綿が圧縮されたまま熱を付与して低融点ポリエステル綿を溶かしで全体に広げ、最後に冷却風を当てることで瞬時に硬化させて硬化ポリエステルシートを固めることができる。硬化された硬化ポリエステルシートは、大きな糸鋸やレーザービームなどの切断装置を利用して切断され(手順S20)、最終的には大型のサイズの硬化ポリエステルシートからなる硬化高反発クッションおよびまくらを得ることができる(手順S22)。
【0029】
図8、9は本発明の硬化高反発クッションやまくらの変形例を示す。図8は2層構造のシートを示しており、下層は硬化ポリエステルシート60であり、上層はウレタンシート62である。それぞれの樹脂層の厚みは任意に調整でき、硬い硬化ポリエステルシート60だけでは固すぎるという場合に、上層のウレタンシート62が柔らかさをもたらす。このような構成でも下層の硬化ポリエステルシート60は芯として機能して、窪みなどの発生を抑えることができる。また、図9は上層と下層は硬化ポリエステルシート64、60であり、中間層はウレタンシート62である。このような3層構造とすることで、両面を硬化ポリエステルシート64、60の面としながら、シート自体の剛性を中間層のウレタンシート62の厚みで調整できる。なお、図8、9に示した構造については、層の間は接着或いは融着されていても良く、単に積層させただけの構造であっても良い。
【0030】
以上のように、本実施形態の硬化高反発クッション及びまくらは、圧縮されて固化した硬化ポリエステルシートを用いるため、一般的な発泡ウレタン樹脂のような柔らかさがなく、固くて高反発なシートとなることから、並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置された場合に、窪みを作らずに使用者の就寝時の姿勢を安定させることができ、首痛や腰痛などの就寝時の姿勢に起因するような健康障害の発生を未然に防止できる。
【0031】
また、本実施形態の硬化高反発まくら、硬化高反発クッションにおいては、ポリエステル綿を原材料としながらも非常に固めのまくら、クッションを構成し、その固さがもたらす機能によって腰痛、首痛などの発生を未然に防止する。また、これらの硬化高反発まくら、硬化高反発クッションは、通気性に優れるため、健康阻害を防止して、快適な眠りなどをもたらす。
【符号の説明】
【0032】
10 硬化高反発クッション
12 硬化ポリエステルシート
14 クッションカバー12
20、22 使用者
24 ゴルフボール
26 硬化ポリエステルシート
28 高反発ポリウレタン材
30、31 硬化高反発クッション
32、33、36 硬化ポリエステルシート
34、35 クッションカバー
40 硬化高反発まくら
42 硬化ポリエステル枕部材
44 まくらカバー
50 硬化高反発まくら
52 硬化ポリエステル枕部材
54 まくらカバー
60 硬化ポリエステルシート
62 ウレタンシート
64 硬化ポリエステルシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9