(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ワイヤレス充電前に車両を位置合わせするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20241021BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241021BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20241021BHJP
B60L 53/38 20190101ALI20241021BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20241021BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20241021BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20241021BHJP
H01Q 13/20 20060101ALI20241021BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20241021BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241021BHJP
【FI】
H02J50/90
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/38
B60L53/66
B60M7/00 X
H01Q3/24
H01Q13/20
H02J50/12
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2022535041
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020063573
(87)【国際公開番号】W WO2021126574
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-29
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、フランシス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダガ、アンドリュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ガンダー、エドワード ジェイ.
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0312071(US,A1)
【文献】特開2011-130210(JP,A)
【文献】特開2000-183633(JP,A)
【文献】特開2010-246348(JP,A)
【文献】特開2016-100984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M1/00-7/00
H01Q3/00-3/46
H01Q13/00-13/28
H01Q21/00-25/04
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界共鳴誘導を利用したワイヤレス充電のために車両の第1のワイヤレス電力誘導コイルを駐車区画内の第2のワイヤレス電力誘導コイルと位置合わせするための車両位置合わせシステムであって、
前記駐車区画内に配置された接地アセンブリであって、前記第2のワイヤレス電力誘導コイルを収容するものである、前記接地アセンブリと、
前記接地アセンブリと接続され、前記駐車区画内に配置された伝送線路であって、充電のために、前記車両によって検出される動作周波数を有する信号を漏洩して前記車両を前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに案内するものであり、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される連続有線モノポールアンテナ、および前記接地アセンブリから離れる方向に延長する第1および第2の部分を有する集中有線ダイポールアンテナ(converging wireline dipole antenna)のうちの1つを有するものである、前記伝送線路と
を有し、
前記車両は、当該車両に搭載された少なくとも2つのアンテナを使用して前記伝送線路から漏洩する前記動作周波数を有する信号を検出するものであり、
前記少なくとも2つのアンテナは、前記車両が前記駐車区画内で位置合わせされる際に前記伝送線路の互いに反対側に搭載されるものであり、
前記車両は、当該車両に搭載された前記少なくとも2つのアンテナによって検出された各信号を処理して、前記車両の前記伝送線路に対する左右の位置合わせを表すとともに前記接地アセンブリまでの距離を決定する各信号間の相対信号位相および振幅を決定するものである、
システム
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記伝送線路は前記駐車区画の中心線に沿って配置されるものである、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記伝送線路は前記駐車区画の中心線と平行かつ当該中心線からオフセットして配置されるものである、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記伝送線路は、前記車両を前記駐車区画内の前記接地アセンブリに案内するために、所定の軌道に沿って曲線状になっているものである、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、前記動作周波数は、40.68 MHzおよび13.56 MHzのうちの1つである、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、前記伝送線路は、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される前記連続有線モノポールアンテナを有し、前記連続有線モノポールアンテナの第1の端部は前記接地アセンブリに接続され、かつ前記接地アセンブリの中心線から第1の側にオフセットされているものであり、前記連続有線モノポールアンテナの第2の端部は前記接地アセンブリに隣接しかつ前記接地アセンブリの中心線に対して第2の側に配置されるものである、システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、前記連続有線モノポールアンテナは、前記接地アセンブリの中心線に対する前記第1および第2の側上に実質的に平行に延長する第1および第2の部分を有するものである、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムにおいて、前記伝送線路は、前記接地アセンブリから離れる方向に延長する前記第1および第2の部分を有する前記集中有線ダイポールアンテナを有し、前記第1および第2の部分は互いに平行であるとともに、前記接地アセンブリの中心線からそれぞれの側にオフセットされているものであり、前記第1および第2の部分の第1の端部は前記接地アセンブリに接続されているものである、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、前記接地アセンブリは、1若しくはそれ以上のワイヤレス充電コイルと磁気誘導共鳴通信送受信機とを有するワイヤレス充電器と、ビーコン信号を前記伝送線路に送信するビーコン信号発生器とを有するものである、システム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムにおいて、さらに、
前記接地アセンブリに接続され、前記接地アセンブリの遠隔側にある前記伝送線路の一端部を超えて前記接地アセンブリから離れる方向に延長する漏洩伝送線路を有するものである、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、前記接地アセンブリは、1若しくはそれ以上のワイヤレス充電コイルと磁気誘導共鳴通信送受信機とを有するワイヤレス充電器と、ビーコン信号発生器とを有し、
前記ビーコン信号発生器は、パルス化されたビーコン信号を前記漏洩伝送線路に送信し、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される前記連続有線モノポールアンテナ、および前記接地アセンブリから離れる方向に延長する前記第1および第2の部分を有する前記集中有線ダイポールアンテナのうちの1つを有する前記伝送線路に連続ビーコン信号を提供するものである、
システム。
【請求項12】
請求項10記載のシステムにおいて、さらに、
前記接地アセンブリから遠隔側にある前記漏洩伝送線路の一端部に送信機を有し、
前記送信機は、前記漏洩伝送線路を介して前記接地アセンブリからデータを受信し、前記接地アセンブリから受信した前記データの少なくとも一部分をブロードキャストするものである、
システム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムにおいて、前記漏洩伝送線路の一端部で前記送信機によってブロードキャストされるデータは、前記接地アセンブリによって供給される電力レベル、前記接地アセンブリにおいて利用可能な電力種類(AC/DC)、前記接地アセンブリによってサポートされるコネクタの種類、前記接地アセンブリによって承諾される支払形式、前記接地アセンブリの充電器が使用中か否か、および前記接地アセンブリによって実行されている充電の残り時間のうちの少なくとも1つを含むものである、システム。
【請求項14】
磁界共鳴誘導を利用したワイヤレス充電のために車両の第1のワイヤレス電力誘導コイルを駐車区画内の第2のワイヤレス電力誘導コイルと位置合わせする方法であって、
充電のために前記車両を前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに案内するように、前記駐車区画内に配置された接地アセンブリによりビーコン信号を前記駐車区画内に配置された伝送線路に提供する工程と、
前記伝送線路により前記ビーコン信号を動作周波数で漏洩する工程であって、前記伝送線路は、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される連続有線モノポールアンテナ、および前記接地アセンブリから離れる方向に延長する第1および第2の部分を有する集中有線ダイポールアンテナのうちの1つを有するものである、前記漏洩する工程と、
前記第2のワイヤレス電力誘導コイルによる充電のために、前記駐車区画内において前記車両の左右の側を前記伝送線路に対して位置合わせする工程であって、この工程は、
前記車両が前記駐車区画内で位置合わせされる際に前記伝送線路の互いに反対側に搭載される少なくとも2つのアンテナにより、前記伝送線路から漏洩する前記動作周波数でビーコン信号を検出する工程を有するものである、
前記位置合わせする工程と、
前記車両の前記伝送線路に対する左右の位置合わせおよび前記接地アセンブリまでの距離を表す各信号間の相対信号位相および振幅に基づいて、前記車両の前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに対する位置合わせを調整する工程と
を有する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記伝送線路は、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される連続有線モノポールアンテナを有し、この方法は、さらに、
前記連続有線モノポールアンテナの第1の端部を前記接地アセンブリに接続して、当該第1の端部を前記接地アセンブリの中心線に対する第1の側にオフセットする工程と、
前記連続有線モノポールアンテナの第1および第2の部分を前記第1の側および前記接地アセンブリの中心線に対する第2の側上に実質的に平行に延長する工程と、
前記連続有線モノポールアンテナの第2の端部を前記接地アセンブリに隣接しかつ前記接地アセンブリの中心線に対して前記第2の側に配置する工程と
を有するものである、方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、前記伝送線路は、前記接地アセンブリから離れる方向に延長する前記第1および第2の部分を有する前記集中有線ダイポールアンテナを有し、この方法は、さらに、
前記接地アセンブリの中心線からそれぞれの側にオフセットされるように、前記第1および第2の部分を互いに平行に配置する工程と、
前記第1および第2の部分の第1の端部を前記接地アセンブリに接続する工程と
を有するものである、方法。
【請求項17】
請求項14記載の方法において、さらに、
記接地アセンブリの遠隔側にある前記伝送線路の一端部を超えて前記接地アセンブリから離れる方向に延長するように、漏洩伝送線路を前記接地アセンブリに接続する工程を有するものである、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、さらに、
前記接地アセンブリにより、パルス化されたビーコン信号を前記漏洩伝送線路に送信する工程と、
前記接地アセンブリにより、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される前記連続有線モノポールアンテナ、および前記接地アセンブリから離れる方向に延長する前記第1および第2の部分を有する前記集中有線ダイポールアンテナのうちの1つを有する前記伝送線路に連続ビーコン信号を提供する工程と
を有するものである、方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、さらに、
前記接地アセンブリから遠隔側にある前記漏洩伝送線路の一端部に送信機を提供する工程と、
前記送信機により、前記漏洩伝送線路を介して前記接地アセンブリからデータを受信する工程と、
前記送信機により、前記接地アセンブリから受信した前記データの少なくとも一部分をブロードキャストする工程と
を有する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記送信機により前記データの少なくとも一部分をブロードキャストする工程は、前記接地アセンブリによって供給される電力レベル、前記接地アセンブリにおいて利用可能な電力種類(AC/DC)、前記接地アセンブリによってサポートされるコネクタの種類、前記接地アセンブリによって承諾される支払形式、前記接地アセンブリの充電器が使用中か否か、および前記接地アセンブリによって実行されている充電の残り時間のうちの少なくとも1つを含むデータをブロードキャストする工程を有するものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月20日付で出願した米国特許出願第16/723,750号に対して優先権の利益を主張するものであり、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
共鳴誘導ワイヤレス充電には、共通のコイル軸に沿って配置された2つの同心コイルからなる空芯変圧器が使用される。一次コイルと二次コイルが軸方向に位置合わせされていない場合、変圧器の結合係数および電力伝送効率は低下する。このため、車両のワイヤレス充電において、コイルの軸方向の位置合わせを確実にするために車両の駐車位置が正確かつ再現可能となるような何らかの対策が必要とされる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2018/0312071号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2019/0356178号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2013/0099962号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2015/0202970号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2017/0133889号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) WRIGLEY,"Folded and Loaded Antennas", rfcafe.com,October 23.2019,retrieved on [30.01.2021].Retrieved from the internet <URL: https://web.archive.org/web/20191023214941/https://www.rfcafe.com/references/qst/folded-loaded-antennas-qst-april-1953.htm> entire document
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明特定事項の実施形態についての様々な詳細が添付の図面および以下の詳細な説明において提供される。
【0004】
車両位置合わせシステムは、磁界共鳴誘導を利用したワイヤレス充電のために車両をワイヤレス電力誘導コイルと位置合わせする。前記システムは、動作周波数を有する信号を漏洩し、前記ワイヤレス電力誘導コイルを含む駐車区画内に配置された伝送線路を含む。前記伝送線路は、充電のために前記車両を前記ワイヤレス電力誘導コイルに案内する。前記車両が前記駐車区画内で位置合わせされる際に前記伝送線路の各側に、通常、前記伝送線路に対して対称的に搭載される少なくとも2つのアンテナは、前記伝送線路から漏洩する信号を検出する。信号処理回路は、前記伝送線路の互いに反対側にある前記少なくとも2つのアンテナによって受信された信号間の相対信号位相を検出する。前記アンテナによって検出された信号間の相対信号位相は、前記車両の前記伝送線路に対する左右の位置合わせを表す。
【0005】
例示的な実施形態において、車両位置合わせシステムは、磁界共鳴誘導を利用したワイヤレス充電のために車両の第1のワイヤレス電力誘導コイルを駐車区画内の第2のワイヤレス電力誘導コイルと位置合わせする。前記システムは、前記駐車区画内に配置された接地アセンブリを含む。前記接地アセンブリは、1若しくはそれ以上のワイヤレス充電コイルと磁気誘導共鳴通信送受信機とを有するワイヤレス充電器と、ビーコン信号を前記伝送線路に送信するビーコン信号発生器とを含むことができる。前記システムは、さらに、前記接地アセンブリと接続され、前記駐車区画内に配置された伝送線路を含み、この伝送線路は、充電のために、前記車両によって検出される動作周波数を有する信号を漏洩して前記車両を前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに案内する。例示的な実施形態において、前記伝送線路は、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される連続有線モノポールアンテナ、または前記接地アセンブリから離れる方向に延長する第1および第2の部分を有する集中有線ダイポールアンテナ(converging wireline dipole antenna)を有する。動作時において、前記車両は、当該車両に搭載された少なくとも2つのアンテナを使用して前記伝送線路から漏洩する前記動作周波数を有する信号を検出するものであり、前記少なくとも2つのアンテナは、前記車両が前記駐車区画内で位置合わせされる際に前記伝送線路の互いに反対側に搭載される。前記車両はまた、当該車両に搭載された前記少なくとも2つのアンテナによって検出された各信号を処理して、前記車両の前記伝送線路に対する左右の位置合わせを表す各信号間の相対信号位相を決定する。前記伝送線路はまた、前記車両を前記駐車区画内の前記接地アセンブリに案内するために、所定の軌道に沿って曲線状になっていてもよい。例示的な実施形態において、前記動作周波数は、40.68 MHzまたは13.56 MHzである。
【0006】
さらなる例示的な実施形態において、前記連続有線モノポールアンテナの第1の端部は前記接地アセンブリに接続され、かつ前記接地アセンブリの中心線から第1の側にオフセットされる。前記連続有線モノポールアンテナの第2の端部は前記接地アセンブリに隣接しかつ前記接地アセンブリの中心線に対して第2の側に配置される。
【0007】
別の例示的な実施形態において、前記集中有線ダイポールアンテナの前記接地アセンブリから離れる方向に延長する前記第1および第2の部分は、前記第1および第2の部分は互いに平行であるとともに、前記接地アセンブリの中心線からそれぞれの側にオフセットされているものであり、前記第1および第2の部分の第1の端部は前記接地アセンブリに接続されている。
【0008】
さらなる別の例示的な実施形態において、漏洩伝送線路が前記接地アセンブリに接続され、前記接地アセンブリの遠隔側にある前記伝送線路の一端部を超えて前記接地アセンブリから離れる方向に延長する。このような実施形態において、ビーコン信号発生器は、パルス化されたビーコン信号を前記漏洩伝送線路に送信し、前記連続有線モノポールアンテナ、または前記集中有線ダイポールアンテナを有する前記伝送線路に連続ビーコン信号を提供する。
【0009】
さらなる別の例示的な実施形態において、前記接地アセンブリから遠隔側にある前記漏洩伝送線路の一端部に送信機が提供される。前記送信機は、前記漏洩伝送線路を介して前記接地アセンブリからデータを受信し、前記接地アセンブリから受信した前記データの少なくとも一部分をブロードキャストする。前記漏洩伝送線路の一端部で前記送信機によってブロードキャストされるデータは、前記接地アセンブリによって供給される電力レベル、前記接地アセンブリにおいて利用可能な電力種類(AC/DC)、前記接地アセンブリによってサポートされるコネクタの種類、前記接地アセンブリによって承諾される支払形式、前記接地アセンブリの充電器が使用中か否か、および/または前記接地アセンブリによって実行されている充電の残り時間を含む
別の観点によれば、磁界共鳴誘導を利用したワイヤレス充電のために車両の第1のワイヤレス電力誘導コイルを駐車区画内の第2のワイヤレス電力誘導コイルと位置合わせする方法が提供される。前記方法は、充電のために前記車両を前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに案内するように、前記駐車区画内に配置された接地アセンブリによりビーコン信号を前記駐車区画内に配置された伝送線路に提供する工程と、前記伝送線路により前記ビーコン信号を動作周波数で漏洩する工程であって、前記伝送線路は、前記接地アセンブリに対して折り返し形式で配置される連続有線モノポールアンテナ、および前記接地アセンブリから離れる方向に延長する第1および第2の部分を有する集中有線ダイポールアンテナのうちの1つを有するものである、前記漏洩する工程と、前記第2のワイヤレス電力誘導コイルによる充電のために、前記駐車区画内において前記車両の左右の側を前記伝送線路に対して位置合わせする工程であって、この工程は、前記車両が前記駐車区画内で位置合わせされる際に前記伝送線路の互いに反対側に搭載される少なくとも2つのアンテナにより、前記伝送線路から漏洩する前記動作周波数でビーコン信号を検出する工程を有するものである、前記位置合わせする工程と、前記車両の前記伝送線路に対する左右の位置合わせ表す各信号間の相対信号位相に基づいて、前記車両の前記第2のワイヤレス電力誘導コイルに対する位置合わせを調整する工程とを含む。
【0010】
例示的な実施形態において、前記方法は、さらに、前記連続有線モノポールアンテナの第1の端部を前記接地アセンブリに接続して、当該第1の端部を前記接地アセンブリの中心線に対する第1の側にオフセットする工程と、前記連続有線モノポールアンテナの第1および第2の部分を前記第1の側および前記接地アセンブリの中心線に対する第2の側上に実質的に平行に延長する工程と、前記連続有線モノポールアンテナの第2の端部を前記接地アセンブリに隣接しかつ前記接地アセンブリの中心線に対して前記第2の側に配置する工程とを含む。
【0011】
別の例示的な実施形態において、前記方法は、さらに、前記接地アセンブリの中心線からそれぞれの側にオフセットされるように、前記集中有線ダイポールアンテナの前記第1および第2の部分を互いに平行に配置する工程と、前記第1および第2の部分の第1の端部を前記接地アセンブリに接続する工程とを含む。
【0012】
さらなる別の例示的な実施形態において、前記方法は、前記接地アセンブリの遠隔側にある前記伝送線路の一端部を超えて前記接地アセンブリから離れる方向に延長するように、漏洩伝送線路を前記接地アセンブリに接続する工程を含む。このような実施形態において、前記接地アセンブリは、パルス化されたビーコン信号を前記漏洩伝送線路に送信し、前記連続有線モノポールアンテナ、または前記集中有線ダイポールアンテナ有する前記伝送線路に連続ビーコン信号を提供する。
【0013】
さらなる別の例示的な実施形態において、前記方法は、前記接地アセンブリから遠隔側にある前記漏洩伝送線路の一端部に送信機を提供する工程と、前記送信機により、前記漏洩伝送線路を介して前記接地アセンブリからデータを受信する工程と、前記送信機により、前記接地アセンブリから受信した前記データの少なくとも一部分をブロードキャストする工程とを含む。例示的な実施形態において、前記送信機は、前記接地アセンブリによって供給される電力レベル、前記接地アセンブリにおいて利用可能な電力種類(AC/DC)、前記接地アセンブリによってサポートされるコネクタの種類、前記接地アセンブリによって承諾される支払形式、前記接地アセンブリの充電器が使用中か否か、および/または前記接地アセンブリによって実行されている充電の残り時間を含むデータをブロードキャストする。
【0014】
本明細書で説明するように、本明細書に記載の方法の態様を実行する論理、コマンド、または命令は、プロセッサと、メモリと、通信回線に接続された通信サブシステムとを含むコンピュータシステムで提供することができる。本明細書で説明する別の実施形態は、本明細書で説明する技術を、当該技術の機能を実行するための各手段を有する装置を含む、別形式のプログラム理論、ハードウェア構成、または専用のコンポーネント若しくはモジュールを含む、別形式に組み込むことを含む。このような技術の機能を実行するために使用される各アルゴリズムは、本明細書で説明する電子動作、または添付の図面および発明の詳細な説明に記載された別の態様の一部または全体のシークエンスを含んでもよい。本明細書で説明する方法を実行するための命令を含むシステムおよびコンピュータ可読媒体も例示的な実施形態を構成する。
【0015】
本発明の概要は、進歩性を有する発明特定事項の観点を簡略化して導入するために提供するものであり、以下の発明の詳細な説明の記載において進歩性を有する発明特定事項をさらに詳細に説明する。本発明の概要は、特許請求の範囲における発明特定事項の必須または必要な特徴を特定することを意図するものではなく、本発明の概要おいて記載した、要素の特定の組み合わせおよび順序は、特許請求の範囲における発明特定事項の要素を限定することを意図するものではない。むしろ、以下の部分は、以下の発明の詳細な説明に記載する実施形態の一部の概要例を提供するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書で説明するシステムおよび方法の上述の特徴およびその他の有益な特徴と利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明により明らかになると考えられる。
【
図1a】
図1aは自動車駐車区画を図示し、当該駐車区画は、誘導ワイヤレス電力伝送コイルと、当該駐車区画の中心線と同一位置にある伝送線路を含む位置合わせシステムとを有する。
【
図1b】
図1bは、所定の角度を成す区画を有する駐車区画、誘導ワイヤレス電力伝送コイル、充電のために車両を駐車区画内の適切な位置に案内することを支援する曲線状伝送線路を含む位置合わせシステムを図示する。
【
図1c】
図1cは、方向転換後にバスが誘導充電位置に接近する様子を図示し、位置合わせシステムの長距離の曲線状伝送線路により、充電コイルと位置合わせするための適切な軌道が確保される。
【
図2a】
図2aは、例示的な実施形態による、車両を駐車場で位置合わせするための装置の概念提示を示す。
【
図2b】
図2bは、車両アンテナの位相差と車両の位置合わせとの間の例示的な関係を示す。
【
図3a】
図3aは、駐車区画における無線周波数発生器および300オームの平衡伝送線路として実装された伝送線路の1実施形態を示す。
【
図3b】
図3bは、駐車区画における無線周波数発生器、および特別設計されたスロットが外部導体またはシールドに設けられた50オームまたは75オームの終端同軸ケーブルの代替実施形態を示す。
【
図4】
図4は、アンテナ整流スイッチおよび関連回路の1実施形態を示す。
【
図5】
図5は、FM受信機信号処理後の回路の1実施形態を示す。
【
図6】
図6は、典型的な前向き駐車区画内の磁気誘導共鳴ワイヤレス充電器に接近するための位置合わせシステムの代替実施形態を示す。
【
図7】
図7は、典型的な前向き駐車区画内の磁気誘導共鳴ワイヤレス充電器に接近するための位置合わせシステムの別の代替実施形態を示す。
【
図8a】
図8aは、一端部にビーコン信号発生器を収容する接地アセンブリを有する折り返し有線ダイポールアンテナを示す。
【
図8b】
図8bは、
図8aに示す折り返し有線ダイポールアンテナの信号誤差関数のグラフ表示である。
【
図9a】
図9aは、一端部にビーコン信号発生器を収容する接地アセンブリを有する集中有線ダイポールアンテナ示す。
【
図9b】
図9bは、
図9aに示す集中有線ダイポールアンテナの信号誤差関数のグラフ表示である。
【
図10a】
図10aは、初期誘導を提供するための離漏洩伝送線路およびアンテナの端部から接地アセンブリワイヤレス充電パッドにわたる位置合わせ用1/2波長「集中アンテナ」の双方を利用して、ワイヤレス電力伝送位置決めを行う車両位置合わせシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
進歩性を有する本システムおよび方法は、以下の詳細な説明を本開示の一部である添付の図面および実施形態と関連付けて参照することでより理解される。また、本システムおよび方法は、本明細書に記載する、および/または本明細書に示す特定の製品、方法、条件またはパラメータに限定されるものではないこと、さらに、本明細書で使用される用語は、例示的に特定の実施形態を説明することのみを目的として使用されているものであり、限定を意図するものではないことを理解されたい。同様に、可能な機構、動作形態、または改良の必要性の理由に関する任意の説明は例示のみを目的とするものであり、本明細書で説明するシステムおよび方法は、このような示唆された機構、動作形態、または改良の必要性の理由が正確である、若しくは正確ではないことによって制約されるものではない。本明細書全体を通して、本説明は方法および当該方法を実施するソフトウェアの双方を言及する。
【0018】
以下、
図1~10を参照して例示的な実施形態を詳細に説明する。以下の説明は、本明細書に記載のシステムおよび方法の可能な実施形態例の詳細について提供するものであるが、このような詳細な説明は、例示のみを意図するものであり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項の範囲を規定するものではないことを注意されたい。
【0019】
本明細書に記載する機能は、1若しくはそれ以上の実施形態において少なくとも部分的にソフトウェアに実装することができる。このようなソフトウェアは、ローカルまたはネットワーク上の1若しくはそれ以上の非一時的メモリまたはその他のタイプのハードウェアベースの記憶装置などのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶装置に格納されたコンピュータにより実行可能な命令を有することができる。また、このような機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能なモジュールに対応する。1若しくはそれ以上のモジュールにおいて適宜複数の機能を実行することができるが、本明細書に記載の実施形態は単なる例である。パーソナルコンピュータ、サーバ、またはその他のコンピュータシステムなどを特定のプログラミング設定を有する機械に変更することにより、当該コンピュータシステム上で動作するデジタル信号処理装置、ASIC、マイクロプロセッサ、またはその他のプロセッサにより前記ソフトウェアを実行することができる。
【0020】
図1aは、自動車駐車区画10の概略図であり、この駐車区画10の前方部付近にワイヤレス電力伝送一次コイル12を示す。しかしながら、ワイヤレス電力伝送一次コイル12は、駐車区画10の後方部または駐車区画の境界線内の任意の位置に配置することもできる。一次コイルの配置位置に関わらず、車両を駐車区画10において指定された境界線内に駐車する必要がある。駐車区画の中心線に沿って埋設型または表面実装型伝送線路14が延長する。この伝送線路14は、低電力連続波無線周波数発生器(low power continuous wave radio frequency source)20(
図2)に接続されて局所的な無線周波電磁界を発生させ、この無線周波電磁界は、車両に搭載された電子機器により車両の駐車区画10の境界内における位置合わせを決定するために利用される。伝送線路14は、
図1aに示すような短距離かつ直線状の実施形態、または
図1bおよび1cに示すような長距離かつ曲線状の実施形態など長さおよび向きが異なっていてもよい。
【0021】
図1bは、所定の角度を成す一連の駐車区画10を表す。ワイヤレス電力伝送一次コイル12は、所定の角度を成す各駐車区画10の前方部付近に示されている。埋設型または表面実装型伝送線路14は、駐車区画内において中心線に沿って配設され、駐車区画外に延長し、さらに、車両を駐車区画10内のワイヤレス電力誘導コイル12に案内する軌道に沿って走る車線に曲線状に延長する。車両15は、右から左に向かう方向に走行し、充電用一次コイル12が利用可能である適切な駐車区画に関する位置合わせ信号を伝送線路および低電力連続波無線周波数発生器20(
図2)から受け取る。以下で
図2に関連して説明するように、車両15は、当該車両上の受信アンテナとの連携により伝送線路から位置合わせ信号を利用する。
【0022】
図1cは、方向転換後、ワイヤレス電力誘導コイル12を含むワイヤレス誘導型充電スタンドに接近するバス16を表す。バス16がワイヤレス電力誘導コイル12に対して適切に位置合わせされることが重要であるとともに、正確な軌道を実現するためには回転半径および回転位置が適切であることが非常に重要である。本例では、伝送線路14は数十フィート長を有する。また伝送線路14は、バス16を正確な経路に沿って継続的に案内し充電用コイル12と適切な位置合わせを行うために、適切な向きで車道17内に埋設されている。
【0023】
図2aは、位置合わせのための電子装置のブロック図を示す。接地には無線周波数発生器20および所定の長さの伝送線路14が備えられている。車両には、その中心線から左側および右側に等間隔離れて搭載された2つの小型アンテナ22、24が備えられている。当業者であれば理解するように、検出された位相オフセットにおいてそのようなオフセットが予測される場合、アンテナ22、24をオフセット(等間隔でない)することも可能である。アンテナ22、24は同軸ケーブルによりアンテナスイッチ28に接続されている。アンテナスイッチ28は、アンテナ整流クロックにより制御され、アンテナ22、24を従来の周波数変調無線受信機32に交互に接続する。例示的な実施形態において、整流信号はデューティ比50%の矩形波である。
【0024】
駐車区画10の境界内で車両が対称的に位置合わせされている場合、2つの受信アンテナ22、24は伝送線路14から等間隔離れて配置されるが、この場合、アンテナスイッチ28の整流動作は受信機の信号に影響しない。2つのアンテナの入力信号31の振幅および位相は同一であり、受信機32による応答はない。しかしながら、駐車区画10の境界内で車両が正確に位置合わせされていない場合、車両のアンテナ22、24は伝送線路14に対して対称ではなくなる。その場合、整流時にアンテナの切り替え動作により信号の振幅および位相に摂動が生じる。伝送線路14により近接したアンテナからの信号は、より離れたアンテナと比べてより大きい振幅および進相を有する。周波数変調受信機32は、周波数が位相の時間変化率である場合、振幅摂動(amplitude perturbations)については無視するが、位相摂動(phase perturbations)を検出し、それによって当該受信機の音声出力34においてアンテナスイッチの整流信号が複製される。前記受信機による音声整流信号の複製は、前記受信機帯域幅が限られているため修正される。整流信号の周波数が前記受信機の再生音声通過帯域の上限を超える場合、再生整流信号は存在しない。整流信号の周波数が前記受信機の音声通過帯域の下限よりも僅かに高い場合、再生整流信号は、前記受信機の音声通過帯域の上限によって低域フィルタリングされるが、元の整流信号の矩形波に近似したものとなる。前記受信機の音声通過帯域の上半分における整流信号の周波数の大部分は、正弦波再生音声信号となる。
【0025】
図2aでさらに示すように、音声出力34は、各アンテナ信号の位相差を検出する同期検出器36に提供され、任意の位置合わせのずれを表す出力信号は、いずれの信号が進相または遅相あるかに基づいて位置合わせの誤差極性を決定する電圧比較器38、および位置合わせの誤差の大きさを決定する絶対値検出器40に提供される。例示的な実施形態において、位置合わせの誤差極性信号および位置合わせの誤差の大きさを示す信号は表示装置およびその他の視聴覚手段に提供され、ワイヤレス電力誘導コイル12に対して車両の位置を駐車区画10において調整するためのフィードバックが運転手に提供される。
【0026】
図2bは、中心線からの位置合わせ誤差または変位を関数とする各位置合わせアンテナ間の位相差を例示的に表す。
【0027】
無線周波数発生器20が供給するシステムの最大動作周波数は、車両に搭載された2つのアンテナ22、24を離間することによって設定され、この距離間隔は車幅未満である必要がある。米国においては、平均駐車区画幅は約9フィートであり、自動車の車幅は通常8フィート以下である。位相曖昧性を回避するために、2つの感知アンテナ22、24は、動作周波数においてλ/2以下となるように離間する必要がある。8フィート離間した2つの感知アンテナの場合、システムの最大動作周波数は約61.5MHzである。車両の運転手が、駐車区画幅の1/2未満の初期位置合わせ誤差で駐車区画に入いることができると仮定した場合、より高周波数とすることが可能となるとともに、アンテナの間隔をより狭くすることができる。また、複数のアンテナまたは位相曖昧性を解決するために利用されるアンテナを追加して2つの搭載アンテナより多くのアンテナを使用することでより高い動作周波数とすることが可能である。当業者であれば理解するように、システムの動作周波数には下限はないが、動作周波数が低くなるにつれて、位置合わせ誤差の信号対雑音比が徐々に悪化する。
【0028】
本明細書に記載の装置は、車両の駐車区画の中心線に対する左右の位置合わせを提供する。車両における左右の位置合わせのずれは、可視手段、可聴手段、または触覚手段によって運転手に指示される。可視指示は、点灯式インジケータ、グラフィック表示、またはソフトウェアにより生成され、ビデオカメラ画像上に配置されたグラフィックオーバーレイであってもよい。可聴指示は、連続音、パルス音、またはソフトウェアにより生成される合成音声であってもよい。触覚指示は、車両のハンドル若しくは操舵機構、変速レバー、運転手の座席、車両のフロア、またはフロアに取り付けられた車両制御ペダルを介して提供することができる。例えば、2013年8月6日付で提出された米国特許仮出願第61/862,572号明細書に記載の運転手に対する視覚的手掛かりまたは技術手段を使用して、コイルの軸方向における位置合わせのために、位置合わせされた車両の前後方向の停止位置を提示または制御することができ、これにより運転手は駐車区画内に十分奥まで入り、充電のために磁気コイルを位置合わせすることが可能となる。
【0029】
図3a、3bは、伝送線路14の例示的な実施形態を示す。特に
図3aは、無線周波数発生器20、および動作周波数で信号を漏洩する埋設型または表面実装型伝送線路14を示す。この実施形態では、40.68 MHz、50オームのインピーダンスの連続波無線周波数発生器により無線周波数が励磁される。1mWの電力レベルが使用され、また小型回路を備えるRF変圧器42(型番ADT 4-6T)がインピーダンスと整合する平衡不平衡変成器として使用される。伝送線路14は、通常の300オームの特性インピーダンスを有する所定長の平衡伝送線路である。この伝送線路は漏洩するように設計されているものではないが、本実施形態では、アンテナ22、24が受信するのに十分な漏洩がある。反射および定在波を除去するために300オームの抵抗器44により平衡伝送線路の端部が終端される。この伝送線路は平衡伝送線路である必要はなく、漏洩不平衡同軸線路も同様に適切である。代替的に、50オームまたは75オームの伝送線路インピーダンスを有し、外部シールドにスロットが設けられた同軸ケーブルも同様に使用することができる。
図3bは、50オームまたは75オームの不平衡同軸ケーブル伝送線路14'を示し、この伝送線路は、特別設計されたスロット43および同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合する終端抵抗器45を有する。
【0030】
図4は、
図2のアンテナ22、24、アンテナ整流スイッチ28、および整流クロック30に関連する回路を示す。例示的な実施形態において、アンテナ22、24は、アンテナ間の一貫性を維持するために、プリント配線基板上に製造された矩形螺旋部を含む。矩形螺旋部の巻回数は、動作周波数で所望の応答を実現するための、電気容量と共振するアンテナの所望のインダクタンス値に依存する。例示的な構成では、アンテナ22、24に10回巻の矩形螺旋部を用いた。アンテナ22、24は電気的に小型であり、追加の電気容量を使用しない場合、動作周波数で共振しない。各アンテナ22、24は通常の50オームの特性インピーダンスを有する所定長の同軸ケーブルに接続されている。2つのケーブル26は、アンテナが車両の中心線に対して対称的に離間されている場合は長さが等しく、各ケーブル26は、アンテナ22、24と接続された端部において当該ケーブを被包するいくつかのフェライトビーズを含むフェライトスリーブ46を有し、当該フェライトビーズは、平衡不平衡変成器として機能し、またケーブルの外部導体上に誘導されるRF(高周波)電流を抑制する。誘導RF電流はシステムに大きな誤差を生じさせるため、抑制する必要がある。例示的な実施形態では、40.68 MHzの動作周波数が使用されている。この周波数は本用途において概ね最適であり、高周波加熱、ドップラー周波数または位相感応性の動作・侵入警報装置、透熱療法、焼灼、およびその他の非通信用途を含む、ISM(工業、科学、医療)用途において全国的および国際的に割り当てられている。ISM周波数は非通信用途のために確保されているが、利用者が一次的なISM用途からの無線妨害の可能性があることを承諾する場合、通信用途に使用することも可能である。通信用途に使用する場合、機器の認証および周波数割当規制の負担を大幅に低減できる利点がある。本明細書に記載する車両位置合わせシステムの最大距離は、最長でも数フィートであるため、他の40.68 MHzのISM周波数の利用者による無線妨害の可能性はほとんどない。
【0031】
2つの論理インバータ48と、抵抗器R6、R7と、コンデンサC6とからなるRC発振器30は、所望のアンテナ整流周波数の2倍の周波数の矩形波信号を生成し、この信号が次に、Dフリップフロップによって2で除算されることで、所望の周波数で50対50のデューティ比を有する整流クロックが生成される。コンポーネントR1、R3、R4、D1、D2、およびL1は、「Q and not Q」フリップフロップ出力によって制御されるダイオードRFスイッチ28を構成する。R2、R5、C4、およびC5は、スイッチ制御波形の立ち上がりおよび立ち下がりを遅延させて切り替え過渡現象を制限する。R8、C8、およびこれらに関連付けられた論理インバータ52は、アンテナ整流クロックの制御信号を遅延させて、受信機の遅延を相殺する。C1、C2、およびC3は、DC(直流)信号を阻止するとともにRF(無線周波数)信号を通過させるAC(交流)結合コンデンサである。C7は、Dフリップフロップ50の電圧源からのRFノイズをフィルタリングするバイパスコンデンサである。
【0032】
図5は、受信機信号処理後の回路を示す。アンテナ整流スイッチ28の出力は従来の狭帯域FM受信機32のアンテナ入力に伝送される。この回路は、ポケットサイズの消費者向け走査受信機と、ユニデン社のBC72XLY小型走査装置とを含むが、アナログまたはデジタル、ハードウェアまたはソフトウェアの任意の狭帯域VHF FM受信機の実装が許容範囲内である。車両の位置合わせ誤差は、アンテナ整流クロックの周波数に帯域幅が制限された矩形波として現れる。矩形波の大きさは位置合わせ誤差の大きさを示し、矩形波の極性は、左右の位置合わせ誤差の方向を示す。次に同期検出により、位置合わせ誤差に比例する振幅と、位置合わせ誤差の方向を示す極性とを有するDC電圧が生成される。
【0033】
2つの演算増幅器54は、FM受信機からの音声信号を1および-1の利得により増幅する。集積回路56は、3つの単極双投(SPDT)CMOS FETスイッチを含み、そのうちの1つは、アンテナ整流スイッチ遅延制御信号によって駆動される同期整流器として使用される。抵抗器R16とコンデンサC11からなるローパスフィルタ58はSPDTスイッチ56に従って整流周波数のリップルを全て除去し、それによって車両の位置合わせ誤差に比例する振幅と、駐車区画の中心線からの車両の左右の位置合わせ誤差の方向によって決定される極性とを有する直流信号が残る。絶対値回路40は、車両の変位誤差の大きさを再生し、一方電圧比較器38は誤差極性を決定する。
【0034】
2つの演算増幅器60、62はそれぞれ、RCローパスフィルタ処理後の緩衝増幅器、およびゼロ基準電圧比較器として使用される。トランジスタ64に関連するコンポーネントにより演算増幅器の区画の電圧飽和が回避され、演算増幅器を開ループ接続で電圧比較器として使用する際に時として生じる微妙な問題を防ぐことができる。演算増幅器62によって実装される電圧比較器38は、左右の位置合わせ誤差の極性を示す論理レベル信号を提供する。演算増幅器66とそれに関連するコンポーネントは絶対値検出器40を構成し、同期検出信号の極性とは独立した、位置合わせ誤差の大きさのユニポーラ表現を提供する。
【0035】
上述した実施形態では、車両の二重感知式アンテナ22、24および伝送線路14はそれぞれ、車両の中心線および駐車区画の中心線に沿って取り付けられているが、同期検出器の後のハードウェアまたはソフトウェアに適切なオフセット補正を含めることで、車両底部および駐車区画の障害物を避けるために必要となるオフセット位置に調整することができる。後者の場合、オフセット補正は接地を介して車両の通信リンクに提供される。
【0036】
代替実施形態
代替実施形態として、より複雑なアンテナ形状、および舗装道路に埋設または搭載する追加のアンテナを実装して車両位置合わせシステムに機能を追加することができる。この追加機能は、上記と同一の車両搭載型受信機およびアンテナを利用する車両が接地アセンブリ(GA:Ground Assembly)の充電パッドに接近する際に、当該充電パッドに対する概算距離、速度、および減速度を決定する能力を含む。当該距離、速度、および減速度を車両の制御装置に提供することができ、若しくは提供された測定値から車両の制御装置がこれらの値を計算してもよい。このような実施形態では、(接地アセンブリと共同設置または接地アセンブリ内に組み込まれた)無線周波数発生器は、連続波ビーコン信号、またはパルス出力若しくは変調出力をアンテナに発信する。上述したように、漏洩伝送線路が実装される場合は、受信信号の強度および受信位相の双方を用いた誤差関数を位置合わせに利用することができる。
【0037】
以下の図における左右の指定は、例示のみの目的で接近する車両の視点に基づいているものであり、用途によって逆になる場合もあることに注意されたい。例えば、車両が駐車区画に後ろ向き駐車する場合、左右は逆になる。また、X軸およびY軸はISO 4130の定義に基づいている。一貫性のために、全ての実施形態では「前向き駐車」の視点が用いられる。「逆向き」の駐車法(車両が駐車区画に後ろ向き駐車する場合)用いられる場合は、右左の方向が逆となる。
【0038】
図6は、典型的な(例えば90°の)前向き駐車区画内の磁気誘導共鳴ワイヤレス充電器に接近するための改良された位置合わせ機構の1実施形態を示す。45°を成す駐車区画または歩道の駐車場所に後方から駐車(縦列駐車)する場合など、その他の駐車配置においても同じ機構を配備することができる。「折り返し」または「半楕円形」アンテナは、全方向(直進方向、または左右)のうちの任意の方向から駐車区画内に入る車両に対して位置合わせ機能を提供する。
【0039】
駐車区画601は、舗装道路上の縞模様、ポール、縁石、またはその他の標識によって画成される領域である。接地アセンブリ(GA)602(1若しくはそれ以上のワイヤレス充電コイルと、付属的な磁気誘導共鳴通信送受信機とを含むワイヤレス充電器)は、入庫する車両が利用可能なように配置されている(多くの国において、駐車区画内での接地アセンブリの配置は、現地の条例、供給対象の車両の種類、および現地の慣例の影響を受ける可能性があることに注意されたい。)。折り返し連続有線モノポール送信アンテナ603は、左側部分604と右側部分605によって構成されている。送信アンテナ603は、(舗装道路面に固着または舗装道路内に埋設されて)設置され、折り返しまたは半楕円形のパターンを形成する。信号およびアンテナは、接地アセンブリ(GA)602の中心線606に近接しかつ入庫方向と対面する位置を起点とし、接地アセンブリ(GA)602において中心線606の反対側において接地アセンブリ(GA)602に隣接して終止する。駐車区画601の長さおよび使用される周波数に応じて、モノポールアンテナ603は、全波長または不連続波長(fractional wavelength)延長することができる。例えば、13.56 MHzの周波数を利用した場合、22.11メートルの全波長アンテナでは、全長608が11メーター未満の折り返し配備が可能となる。送信アンテナの平行部分609の間隔は、車両が走行方向610から駐車区画601内に曲がって入ってきた後、車両に搭載された受信機アンテナ22、24が当該送信アンテナ部分609の内部に配置されるようになっている。
【0040】
図7は、典型的な(例えば90°の)前向き駐車区画内の磁気誘導共鳴ワイヤレス充電器に接近するための改良された位置合わせ機構の別の1実施形態を示す。45°を成す駐車区画または歩道の駐車場所に後方から駐車(縦列駐車)する場合など、その他の駐車配置においても同じ機構を配備することができる。
図7に示す「集中アンテナ(converging antenna)は、全方向(直進方向、または左右)のうちの任意の方向から駐車区画内に入る車両に対して位置合わせ機能を提供する。
【0041】
駐車区画701は、舗装道路上の縞模様、ポール、縁石、またはその他の標識によって画成される領域である。接地アセンブリ(GA)702(1若しくはそれ以上のワイヤレス充電コイルと、付属的な磁気誘導共鳴通信送受信機とを含むワイヤレス充電器)は、入庫する車両が前向き駐車、後ろ向き駐車、または(45°、90°、縦列、または歩道)駐車区画への駐車の際に利用可能なように配置されている(多くの国において、駐車区画内での接地アセンブリの配置は、現地の条例、供給対象の車両の種類、および現地の慣例の影響を受ける可能性があることに注意されたい。)。
図7の漏洩伝送線路型集中アンテナおよび車両位置合わせシステムに対して、双方の走行方向710または直進方向707から前進することが可能である。図示されていないが、漏洩伝送線路型集中アンテナおよび車両位置合わせシステムの縦列駐車または歩道駐車への利用がサポートされている。
【0042】
集中有線ダイポールアンテナ703は、左側部分704と右側部分705とを含む。漏洩伝送線路型アンテナ703は、(舗装道路面に固着または舗装道路内に埋設されて)設置され、平行パターンを形成する。信号およびアンテナの双方は、中心線706に位置する接地アセンブリ(GA)702と共同設置または接地アセンブリ内に組み込まれた送信機を起点とする。駐車区画701の長さおよび使用される周波数に応じて、モノポールアンテナ703は、全波長または不連続波長(fractional wavelength)を延長することができる。例えば、13.56 MHzの周波数を利用した場合、22.11メートルの全波長アンテナでは、11メーター強の配備が可能となり、その結果全長708が5.5メートルとなる。アンテナは接地アセンブリ702の近傍で物理的に分割709されるが、
図7における視距離は例示のために強調されている。
【0043】
受信信号特性(例えば、受信信号強度および信号位相)を補正するオフセットが既知の場合、送信アンテナ703を(中心線を中心として)非対称的に配置することも考えられる。
【0044】
図8aは、折り返し有線ダイポールアンテナ802を示す。折り返しダイポールアンテナ802の一端部には、ビーコン信号発生器を収容する接地アセンブリ(GA)801がある。接地アセンブリ(GA)801の中心線は、電力伝送効率を最大化するために車両の車両アセンブリ(VA)において共鳴誘導コイルの中心部が配置されるべきy軸点を示す。アンテナ802は、前進方向と反対方向に最長波長の1/2の長さ(半波長アンテナとして実装される場合は、波長の1/4の長さ)に延長する。折り返しアンテナ802の屈曲端部803は、車両の前進角度に関わらず受信機アンテナ22、24の双方が確実にビーコン信号を検出することができるアンテナ802の開始地点を示す、信号取得開始点(signal acquisition threshold)806として機能する。接地アセンブリ(GA)とアンテナの限界位置805は、有線ダイポールアンテナ802の送信信号により当該アンテナ802の終端が示される地点である。
【0045】
図8bは、
図8aに示した折り返し有線ダイポールアンテナの信号誤差関数のグラフ表示である。X軸809は測距を表し、Y軸808は、受信機アンテナ22、24間におけるビーコン信号の相対位相差807を表す。車両が折り返し有線アンテナ802の端部803を超えて走行すると、受信機アンテナ22、24の双方はビーコン信号の受信を開始する。この最初の信号取得開始点806においては、受信されたビーコン信号の振幅および位相は略同一であり、誤差関数は最小限である。右側アンテナ24および左側アンテナ22がアンテナ802の端部803周辺の曖昧領域を通過した後(接地アセンブリ(GA)801に向かって移動すると)、車両アセンブリ(VA)の右側24および左側22受信機アンテナによって受信される信号に位相のずれが生じ始める。
【0046】
車両が接地アセンブリ(GA)801に向かって前進するにつれて、システムは、右側24および左側22受信機アンテナの信号強度を利用して車両のy軸位置合わせ表示を提供し、一方右側24および左側22受信機アンテナの信号の位相のずれを利用して車両のx軸表示を提供する。車両のx軸およびy軸表示(そして潜在的に計算速度および計算減速度)は定期的に運転手、運転支援システム、または全自動運転システムに提供され、ステアリング制御および制動制御に利用される。
【0047】
車両が接地アセンブリ(GA)801に向かって前進し、右側24および左側22受信機アンテナの受信信号の位相のずれがアンテナの起点805で180°に達するまで、車両位置合わせシステムは、右側24および左側22受信機アンテナの信号強度の利用を継続してy軸位置合わせ表示を提供する。位相が180°と等しくなるアンテナ限界位置(threshold position)805において、受信機アンテナ22、24間の相対信号強度はゼロまで低減され、アンテナ限界位置805に到達したことの二次的な表示が提供される。このように、接地アセンブリ(GA)801の縁部に到達したこと、および805から804までの距離を移動するための最終段階精密位置決めシステムの起動についての明示的な表示が提供される。若しくは、アンテナ限界位置805における車両の走行速度を利用して、車両を接地アセンブリ(GA)の中心線804に配置するために、車両がどの時点でゼロ速度となるべきかについて推定することができる。接地アセンブリ(GA)の縁部805から接地アセンブリ(GA)の中心線804までの距離810における最終段階の位置決めについては、(例えば、「METHOD OF AND APPARATUS FOR DETECTING COIL ALIGNMENT ERROR IN WIRELESS INDUCTIVE POWER TRANSMISSION(ワイヤレス誘導電力伝送におけるコイルの位置合わせ誤差を検出する方法および装置)」と題する、2016年2月4日付で提出された米国特許出願第14/910,071号に記載の)コイル位置合わせ方法、または速度、減速度、および車両の停止特性(例えば、制動率、車両の重量)に基づいた予測モデルを利用することができる。
【0048】
図9aは、一端部にビーコン信号発生器を収容する接地アセンブリ(GA)901を有する集中有線ダイポールアンテナ902を示す。接地アセンブリ(GA)901の中心線は、電力伝送効率を最大化するために車両アセンブリ(VA)において共鳴誘導コイルの中心部が配置されるべきy軸点を示す。アンテナ902は、前進方向と反対方向に最長波長の1/2の長さ(半波長アンテナとして実装される場合は、波長の1/4の長さ)に延長する。平行右側アンテナ要素907および平行左側アンテナ要素908の分離端部903は、車両の前進角度に関わらず、車両に実装された受信機アンテナ22、24の双方が送信されるビーコン信号を確実に検出することを可能とする信号取得開始点906として機能する。接地アセンブリ(GA)とアンテナの限界位置905は、有線ダイポールアンテナ902の送信信号により当該アンテナ902の終端が示される地点である。
【0049】
車両の位置合わせのために集中有線ダイポールアンテナ902を使用する場合、車両は、人が運転しているか、若しくは自動運転であるかに関わらず、充電器が実装された駐車区画に入り、接地アセンブリ(GA)901に向かって移動する。車両に搭載された受信機アンテナ22、24は、信号取得開始点906で集中有線ダイポールアンテナ902から送信された信号を検出する。送信信号は、右側24および左側22受信機アンテナによって受信される。
【0050】
図9bは、
図9aに示した集中有線ダイポールアンテナ902の信号誤差関数のグラフ表示である。X軸911は測距を表し、Y軸912は、受信機アンテナ22、24間におけるビーコン信号の相対位相差913を表す。車両が有線アンテナ902の端部903を超えて走行すると、受信機アンテナ22、24の双方はビーコン信号の受信を開始する。開始時、Y軸位置においては、取得信号、検出信号、振幅、相対振幅は誤差を示し(相対信号強度がゼロの場合、正しいY軸位置を表す)、一方、信号取得開始時においては、右側24および左側22受信機アンテナによって受信される信号の位相は180°ずれている(1/4波長アンテナが使用される場合、位相差は90°となることに注意されたい)。車両が前進し、右側アンテナ24および左側アンテナ22がアンテナ902の端部903を通過した後(接地アセンブリ(GA)901に向かって移動すると)、右側アンテナ24および左側アンテナ22によって受信される信号の位相差913は、車両が接地アセンブリ(GA)に接近するにつれて減少し始める。右側24および左側22受信機アンテナにおいて受信された信号の相対振幅値は、Y軸(左側対右側)におけるトラッキングを決定するために利用される。車両のx軸およびy軸表示は、定期的に運転手、運転支援システム、または全自動運転システムに提供され、ステアリング制御および制動制御に利用される。
【0051】
車両が接地アセンブリ(GA)901に向かって前進するにつれて、システムは右側24および左側22受信機アンテナにおける信号強度を利用してY軸における位置合わせ表示を継続的に生成し、一方、右側24および左側22受信機アンテナで受信される信号の位相差の減少により、X軸における接地アセンブリ(GA)までの測距表示が提供される。位相差が0°となる地点において、右側対左側の信号強度はゼロになることが予測される。この事象により、接地アセンブリ(GA)901の縁部に到達したこと、接地アセンブリの縁部905から接地アセンブリ(GA)の中心線904までの距離を移動するための、(例えば、「METHOD OF AND APPARATUS FOR DETECTING COIL ALIGNMENT ERROR IN WIRELESS INDUCTIVE POWER TRANSMISSION(ワイヤレス誘導電力伝送におけるコイルの位置合わせ誤差を検出する方法および装置)」と題する、2016年2月4日付で提出された米国特許出願第14/910,071号に記載の)最終段階のコイル位置決めが起動可能であることの明示的な表示が提供される。若しくは、アンテナ限界位置905における車両の走行速度および減速度を利用して、制動率、車両の重量などの車両特性を考慮した上で、車両を接地アセンブリ(GA)の中心線904に配置するために、車両がどの時点でゼロ速度となるべきかについて推定することができる。
【0052】
図10aは、初期誘導を提供するための長距離漏洩伝送線路1007(当該長距離アンテナは、配備の態様に依存して全波長よりも短くても長くてもよい。)およびアンテナの端部1006から接地アセンブリ(GA)1003のワイヤレス充電パッドにわたる位置合わせ用1/2波長「集中アンテナ」1004、1005(
図6で説明した折り返しアンテナシステムを使用して均等な機能を提供することができることを注意されたい)を利用して、ワイヤレス電力伝送位置決めを行う車両位置合わせシステムを示す。
【0053】
図10aに示す例では、アンテナ伝送線路1004、1005、1007のすべてが同一のISMスペクトル(例えば、13.56 MHz、27.12 MHz、40.68 MHzのうちの1つ)で送信されるため、ビーコン信号は、距離漏洩伝送線路1007ではパルス化され、また、集中アンテナ1004、1005の部分では連続送信されることにより弁別が可能となる。長距離漏洩伝送線路1007と集中アンテナセグメント1004、1005との間の弁別は、信号変調(例えば、ASK、パルスなど)に基づいているため、これらの2つのアンテナに使用されるビーコン信号は同位相であるか位相がずれているかのいずれかである。
【0054】
図10bは、
図10aに示した車両位置合わせシステムの信号誤差関数のグラフ表示である。X軸1011は測距を表し、Y軸1012は、受信機アンテナ22、24間におけるビーコン信号の相対位相差1013を表す。車両が有線アンテナ1007の端部を超えて走行すると、受信機アンテナ22、24の双方は、測距1016の起点でビーコン信号の受信を開始する。
【0055】
車両が長距離漏洩伝送線路1007に接近するにつれて、受信機アンテナ22、24のいずれかまたは双方による信号検出により、振幅および位相差を利用した初期誘導が可能となり、これによってY軸(左側対右側)における誤差表示が提供される。車両アセンブリに搭載されたアンテナ22、24が集中アンテナ構造1004、1005から、当該受信機アンテナ22、24が当該集中アンテナ構造の開始点1006を示す連続ビーコン信号を検出すると、離漏洩伝送線路1007の使用から集中アンテナ1004、1005の使用への切り替えが実行される。
図10bに示すように、(送信信号の同一チャネル干渉によって信号弁別が阻害される曖昧領域が生じる、領域1017通過後の)この切り替えによって受信ビーコン信号が変化し、受信信号の相対位相差1009の位相のずれが180°となって受信位相1008が急変する。信号発生器のこの切り替えが完了すると、車両の位置合わせおよび測距は、
図9b(または折り返しアンテナが利用される場合は
図8b)で詳細に説明した態様で進行する。
【0056】
車両の受信機アンテナが位相差ゼロ限界位置1002に接近すると、車両アセンブリ側の送信機は接地アセンブリの送信機と通信を開始することが可能となる。最終段階位置決め方法(または集中アンテナシステムを使用することで提供される測距によって決定される速度に基づいた予測モデル)は、位相差ゼロ限界位置1002と接地アセンブリ(GA)1003との間の距離のために使用することができる。
【0057】
また、この複数のアンテナによる技法は、アンテナ構造または伝送設備のいずれか一方の障害によって他方の動作が妨害されることのない、「ソフトフェイル(soft-fail)」システムとして機能する。
【0058】
任意選択的な短距離送信機ユニット1013(例えば、無線周波送信機)を任意の漏洩伝送線路の端部に含むことができる。無線周波送信機1013は、送信機と、プロセッサと、メモリと、漏洩伝送線路ケーブル1007を介して接地アセンブリ(GA)1003から若しくは接地アセンブリを介してデータを受信する有線通知サブシステムとを含む。この送信機ユニット1013は、GPSによる位置、および充電スタンドの機能(例えば、供給電力レベル、利用可能な電力種類(AC/DC)、サポートされるコネクタの種類、利用可能な支払形式(例えば、仮想ウォレットの支援、オンライン口座の支援、会員支援、スワイプカード、クレジットカード、デビットカード、会員カードなど)をブロードキャストする。送信機ユニット1013はまた、漏洩伝送線路のビーコン信号に対してオフセットのDCを使用する漏洩伝送線路1012によって電力供給される。
【0059】
充電の間(すなわち、車両が接地アセンブリ(GA)1003上に位置決めされると)、送信機ユニット1013は、停止されるか、若しくは他の通過中の車両に(例えば、充電器が使用中である、充電の残り時間などの)情報を送信する。この情報は、(例えば、パルス化、振幅変調などの)信号変調を利用して、漏洩伝送線路1007を介して接地アセンブリ(GA)1003により更新される。
【0060】
上記で説明したすべての実装において、所定の閾値を超える測距が取得された場合(例えば、Y軸(左側対右側)の誤差を修正するのに十分な測距が取得された場合)は、充電前に位置合わせに失敗しても、接地アセンブリ(GA)から離れる方向に移動して位置合わせの工程を再開することができる。
【0061】
上記で様々な実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的な目的のみで提示されているものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述したシステムおよび方法に関連する要素のいずれも上述した望ましい機能のうち任意の機能を採用することができる。したがって、好適な実施形態の範囲は、上述した例示的な実施形態のうち任意の実施形態によって限定されるべきではない。