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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】廃液処理具および下流側廃液処理具
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A61M1/00 171
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023127229
(22)【出願日】2023-08-03
(65)【公開番号】P2024064993
(43)【公開日】2024-05-14
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2022173431
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505388355
【氏名又は名称】株式会社エクセルシア
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 寛一
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-000673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118680(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0168377(US,A1)
【文献】特開昭51-048589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61G 12/00
A61L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間に含まれる、または人間から排出される体液を収容可能な内部空間と、吸引によって前記内部空間に前記体液を導入可能な開口部と、が設けられた容器と、
前記容器の前記開口部を塞ぐように前記容器に取り付け可能であって前記吸引によって前記体液を前記内部空間に流通可能な流入部を備えた蓋部と、
前記内部空間に配置され、前記内部空間を前記開口部の近位側である第1内部空間と前記第1内部空間よりも前記開口部に対して遠位側に位置する第2内部空間とに仕切る仕切り部材と、
外表面が前記容器の前記第2内部空間に露出しているとともに前記容器に体液が収容された状態において前記第2内部空間の底部に沈むように配置され、前記体液と接触することによって前記体液を固形状の膨潤物質にする排泄物処理剤と、を有し、
前記仕切り部材は、前記流入部から前記内部空間に流入する前記体液を前記第1内部空間と前記第2内部空間との間で流通可能にし、かつ、前記第2内部空間に流入した前記体液が前記排泄物処理剤と接触して生成された前記膨潤物質の前記第1内部空間への流通を遮断可能にする廃液処理具。
【請求項2】
前記仕切り部材は、前記体液を前記第2内部空間と前記第1内部空間との間で流通可能にする第1部材と、前記第1部材よりも剛性の高い第2部材と、を備える請求項1に記載の廃液処理具。
【請求項3】
前記蓋部は、前記吸引によって前記内部空間から排出される気体および前記体液の少なくとも一方を下流側へ流通可能な流出部を備え、
前記第2部材は、前記仕切り部材の前記内部空間への設置状態における前記第1内部空間に配置され、前記流入部と前記流出部の間であって前記流出部に隣接して配置される第1壁部を備える請求項2に記載の廃液処理具。
【請求項4】
前記第2部材は、前記第1部材の一方の側を部分的に被覆する被覆部と、前記被覆部の外周縁部または前記外周縁部の近傍であって前記仕切り部材の前記内部空間への設置状態における前記第1内部空間において前記流入部に隣接して配置される第2壁部を備える請求項2に記載の廃液処理具。
【請求項5】
前記流入部には、前記体液に含まれる固形成分を前記体液から分離可能なフィルタを含む捕捉部を取り付け可能である請求項1に記載の廃液処理具。
【請求項6】
前記蓋部の前記容器への装着状態において前記仕切り部材を前記内部空間に位置決めするように、前記蓋部および前記仕切り部材の一方に凸部が設けられ、他方に前記凸部と係合可能な凹部が設けられる請求項1に記載の廃液処理具。
【請求項7】
前記内部空間と、前記開口部と、が設けられた第2容器と、
前記第2容器の前記開口部を塞ぐように前記第2容器に取り付け可能であって前記流入部と、前記吸引によって前記内部空間から排出される気体を下流側へ流通可能な第2流出部と、を備える第2蓋部と、
外表面が前記第2容器の前記内部空間に露出しているとともに前記容器に体液が収容された状態において前記内部空間の底部に沈むように配置され、前記体液と接触することによって前記体液を前記膨潤物質にする前記排泄物処理剤と、
前記排泄物処理剤が前記体液と接触して生成された前記膨潤物質が前記内部空間において所定の高さに達した際に下流側への前記体液および前記膨潤物質の流通を遮断する変位部材と、を有する、
管状部材を介して請求項1に記載の廃液処理具と接続可能な、下流側廃液処理具。
【請求項8】
前記第2蓋部に取り付け可能であって、前記変位部材が前記体液および前記膨潤物質の流通を遮断しない際に前記変位部材を前記内部空間の前記第2流出部の近傍に保持する当接部を備える取り付け部材を備える請求項7に記載の下流側廃液処理具。
【請求項9】
前記変位部材は、前記第2流出部の流路を少なくとも部分的に閉塞可能な閉塞部と、前記取り付け部材の前記当接部と当接可能であって当接により前記変位部材を前記内部空間における前記第2流出部の近傍の位置で保持する落下防止部と、を備える請求項8に記載の下流側廃液処理具。
【請求項10】
前記変位部材は、重力方向における下端に設けられ、前記内部空間における前記体液の液面との接触状態において前記変位部材を液面上に浮かせることが可能な浮き部を備える請求項7に記載の下流側廃液処理具。
【請求項11】
前記変位部材は、前記吸引の際における液体の前記吸引を抑制しつつ気体の前記吸引を許容する流通機構を備える請求項7に記載の下流側廃液処理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理具および下流側廃液処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
排泄物を適切に処理することは衛生的で快適な環境を維持するために重要であるが、様々な場面・場所で、それが困難となりうる。例えば、緊急災害時における水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラの整備が十分でない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室、人工肛門造設手術(コロストミー)等のストーマ造設手術を受けた患者の便等を受容するオストミーパウチ、手術室・内視鏡検査室などの病院内などである。
【0003】
例えば内視鏡検査室を例に挙げると、内視鏡は経口・経鼻を通じて胃などを検査する上部検査と、肛門を通して直腸、大腸、小腸を検査する下部検査に分かれる。上部検査、下部検査共に体液の吸引を行い、場合によっては水で洗浄を行いつつ検査を行うため排泄物、血液、体液交じりの廃液が排出される。このように発生した体液を含む廃液は、汚物処理に供される。
【0004】
特許文献1では汚物処理の一案として、使い捨ての合成樹脂製の収集容器が提案されている。
【0005】
しかしながら、使い捨ての収集容器を使用する場合においても、収集後の容器を処理施設へ搬送する段階で容器から破損等により、容器内廃液が漏れ出たりする問題があり、衛生上問題があるばかりか、最終的に処理する者にとって好ましくない場合がある。
【0006】
そこで、特許文献2では、容器内に貯留された体液を含む廃液を容易に焼却することができ、衛生上および安全上優れた体液を含む廃液の処理容器を提供すべく、体液を含む廃液を貯留するための、密閉状かつ合成樹脂製の収集容器の上部に、廃液導入管および収集容器内の空気を排気するための排気管が設けられた体液を含む廃液の処理容器において、前記収集容器の上部に、全部もしくは主成分が高分子吸水ポリマーからなる凝固剤を収容した凝固剤容器を設け、かつ該凝固剤容器内の凝固剤を収集容器に貯留された廃液に投入するための投入手段を設けたことを特徴とする体液を含む廃液の処理容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭51-48589号公報
【文献】特開平02-157083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2では、体液を貯留する容器と管とを接続し、体液を吸引により容器に収容し、容器内で高分子吸水体を含む処理剤と体液とを接触して体液を凝固させている。
【0009】
しかし、かかる形態によると、容器内で凝固した物質が下流側の管に引き寄せられ、下流側の管を塞ぐ虞があることを本発明者は見出した。このような状況は医療現場において内視鏡を使用する場合だけでなく、災害現場において手動のポンプのような装置を使用した場合にも生じる虞がある。
【0010】
よって、容器内に予め処理剤が配置されている場合であって、容器に管状部材を接続して容器内に体液を収集する場合に処理剤と接触した体液が容器と接続された管状部材の経路を塞ぐことを防止できる新規な廃液処理に関する技術を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は廃液処理具である。廃液処理具は、容器と、蓋部と、仕切り部材と、排泄物処理剤と、を有する。容器は、人間に含まれる、または人間から排出される体液を収容可能な内部空間と、吸引によって当該内部空間に体液を導入可能な開口部とを設けている。蓋部は、容器の開口部を塞ぐように容器に取り付け可能であって、吸引によって体液を内部空間に流通可能な流入部を備える。仕切り部材は、内部空間に配置され、内部空間を開口部の近位側である第1内部空間と第1内部空間よりも開口部に対して遠位側に位置する第2内部空間とに仕切るように構成している。排泄物処理剤は、容器の第2内部空間に配置され、体液と接触することによって体液を固形状の膨潤物質に変化可能に構成している。仕切り部材は、流入部から内部空間に流入する体液を第1内部空間と第2内部空間との間で流通可能にし、かつ、第2内部空間に流入した体液が排泄物処理剤と接触して生成された膨潤物質の第1内部空間への流通を遮断可能に構成している。
【0012】
また、本発明の一態様は、第2容器と、第2蓋部と、上記排泄物処理剤と、変位部材と、を有し、管状部材を介して上記廃液処理具と接続可能な下流側廃液処理具である。第2容器は、上記内部空間と上記開口部が設けられている。第2蓋部は、第2容器の開口部を塞ぐように第2容器に取り付け可能であって上記流入部と、吸引によって内部空間から排出される気体を下流側へ流通可能な第2流出部と、を備える。排泄物処理剤は、第2容器の内部空間に配置され、体液と接触することによって、体液を膨潤物質にする。変位部材は、排泄物処理剤が体液と接触して生成された膨潤物質が内部空間において所定の高さに達した際に下流側へ体液および膨潤物質の流通を遮断する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る廃液処理具および下流側廃液処理具によれば、収集容器内に予め処理剤が配置されている場合であって容器に管状部材を接続して容器内に体液を収集する場合に処理剤と接触した体液が容器と接続された管状部材の経路を塞ぐことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る廃液処理具と下流側廃液処理具を示す概略斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1に係る廃液処理具の構成を示す分解斜視図である。
図4図2に係る廃液処理具の内部を示す、高さ方向に沿う断面図である。
図5図2に係る廃液処理具を構成する蓋部と仕切り部材を示す斜視図である。
図6図5と別の位置で切断した蓋部と仕切り部材を示す斜視図である。
図7】仕切り部材の構成を示す分解斜視図である。
図8】仕切り部材を示す平面図である。
図9図2に示す下流側廃液処理具の構成を示す分解斜視図である。
図10】下流側廃液処理具の内部を示す高さ方向に沿う断面図である。
図11】下流側廃液処理具を構成する蓋部、連結部材及び取り付け部材を示し、蓋部を切断した状態で示す斜視図である。
図12】蓋部、連結部材、取り付け部材および変位部材を示し、吸引に利用される気体等が取り付け部材の内部を流通する際を示す図10の拡大図である。
図13図12において変位部材の位置が図12と異なる状態を示す拡大図である。
図14図3の変形例を示す廃液処理具の分解斜視図である。
図15図9の変形例に係る下流側廃液処理具を示す分解斜視図である。
図16】変形例に係る仕切り部材を示す斜視図である。
図17図16の分解斜視図である。
図18図16の平面図である。
図19】変形例に係る仕切り部材を示す斜視図である。
図20図12の変形例を示す図である。
図21図13の変形例を示す図である。
図22図1の変形例を示す斜視図である。
図23】変形例に係る廃液処理具に取り付けられる捕捉アセンブリを示す分解斜視図である。
図24】捕捉アセンブリの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0016】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0017】
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明するが、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0018】
なお、図面では説明の都合上、座標系を表記している。直交座標のXYは廃液処理具100または下流側廃液処理具100aを載置する平面と平行な面であって便宜上、面方向XYと称する。直交座標のZは面方向XYと直交する方向であって便宜上、高さ方向Zと称する。円筒座標のrは容器10、10a、蓋部30、30aのいずれかの中心から径方向または放射方向に向かう方向を意図しており、径方向rと称する。円筒座標のθは容器10の周方向または角度方向を意図しており、便宜上周方向θと称する。
【0019】
以下、図1から図13を参照して実施形態に係る廃液処理具100及び下流側廃液処理具100aについて説明する。図1は実施形態に係る廃液処理具100及び下流側廃液処理具100aを示す概略斜視図である。図2図1の正面図である。図3図1に係る廃液処理具100の構成を示す分解斜視図である。図4は廃液処理具100の内部を示す、高さ方向Zに沿う断面図である。図5図2に係る廃液処理具100を構成する蓋部30と仕切り部材40を示す斜視図である。図6図5と別の位置で切断した蓋部30と仕切り部材40を示す斜視図である。図7は仕切り部材40の構成を示す分解斜視図である。図8は仕切り部材40を示す平面図である。
【0020】
図9は下流側廃液処理具100aの構成を示す分解斜視図である。図10は下流側廃液処理具100aの内部を示す高さ方向Zに沿う断面図である。図11は下流側廃液処理具100aを構成する蓋部30a、連結部材50及び取り付け部材60を示す斜視図である。なお、図5図6図11では説明の便宜上、蓋部30、30aを一部切断して図示している。図12は連結部材50、取り付け部材60、及び変位部材70を示し、吸引に利用される気体等が連結部材50の内部に流通する際を示す図10の拡大図である。図13図12において変位部材70の位置が図12と異なる状態を示す拡大図である。
【0021】
本実施形態に係る廃液処理具100及び下流側廃液処理具100aは、病院などの医療機関において内視鏡等を用いて患者から排出される体液を処理する際、または災害地等において被災地等に居住する者から排出される体液を処理する際等に利用できる。図1図2では例示的に廃液処理具100を2つ、下流側廃液処理具100aを1つ用意し、各々を管状部材Tによって接続している。以下、廃液処理具100および下流側廃液処理具100aについて説明する。
【0022】
<廃液処理具>
廃液処理具100は図3等を参照して概説すれば容器10と、排泄物処理剤20と、蓋部30と、仕切り部材40と、連結部材50と、を有する。以下、詳述する。
【0023】
<容器>
容器10は、図4に示すように人間に含まれる、または人間から排出される体液を収容可能な内部空間12と、内部空間12に体液を導入可能な開口部11を設けるように構成している。容器10は、体液を内部に収容し、ポンプなどによって内部を負圧にした状態で容器が破損等しなければ具体的な構成は特に限定されない。容器10の上部には、後述する蓋部30のフランジ部32に設けられるねじ形状と係合するおねじ形状などの締結部(締結形状)を設けることができる。容器10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)などの熱可塑性樹脂などの材料を使用できるが、容器10の厚さ、形状等は体液の収容に著しく適していなければ特に限定されない。
【0024】
<排泄物処理剤>
排泄物処理剤20は、容器10の内部空間12を構成し後述する第2内部空間14に配置され、体液と接触することによって体液を固形状の膨潤物質wに変化可能に構成している。排泄物処理剤20は、本実施形態において図4等に示すように塊状に構成しており、容器10の内部空間12に配置した際に隣接する排泄物処理剤20との間に目視で確認できる程度に隙間を形成可能に構成している。このように構成することによって、内部空間12に体液が導入されて排泄物処理剤20が体液と接触して膨潤する際に容器10の下方に位置する排泄物処理剤20が比較的上方で先に膨潤した排泄物処理剤20によって体液と接触できなくなることを防止できる。
【0025】
排泄物処理剤20は、吸水性ポリマーを含む。吸水性ポリマーが含まれることによって、処理対象物中の水分等が吸収され、処理された物が固化されやすくなる(ゼリー状となりやすくなる)。本明細書において「吸水性ポリマー(吸水性樹脂)」とは、ERT441.2-02により規定される水膨潤性(CRC)が5g/g以上であり、およびERT470.2-02により規定される水可溶成分(Ext)が50質量%以下である高分子ゲル化剤をいう。
【0026】
本発明の一実施形態において、吸水性ポリマーの具体例としては、例えば、でんぷんアクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、でんぷんアクリル酸グラフト重合体等のでんぷん系吸水性ポリマー、セルロース-アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース-スチレンスルホン酸グラフト共重合体等のセルロース系吸水性ポリマー、ペクチン等の多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体等のポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム-ビニルアルコール共重合体等のアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体等のポリエーテル系吸水性ポリマー等が挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ(ST-250、ST-100、ST-573)、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS-960(ハイモ株式会社製)、EFポリマー(EF Polymer Private Limited社製)等が挙げられる。
【0027】
本発明の一実施形態において、吸水性ポリマーが、カルボキシメチルセルロースであってもよい。カルボキシメチルセルロースは、セルロースの誘導体であり、セルロースの骨格を構成するグルコノピラノースモノマーのヒドロキシ基の一部にカルボキシメチル基(-CH-COOH)を結合させたものである。また、このカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロース塩であってもよい。カルボキシメチルセルロースは、水との親和性が高く、水と混合することでゲル状の高粘度体となる増粘剤である。本発明において、処理剤が増粘することで、悪臭の抑制効果が高くなり、さらに抑制効果を維持できる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの平均粒子径が、1~1200μm、50~1100μm、10~1000μm、80~850μm、100~600μm、150~500μm、あるいは、200~400μmである。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、水や、PVA、セルロース、水溶性セルロース、水溶性カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等のバインダ等を用いて造粒してもよい。すなわち、本発明の一実施形態によれば、前記処理剤が、塊状の処理剤である。また、本発明の一実施形態の処理剤は、特開2013-6137号公報や、再表2011/162244号公報の技術を用いて、顆粒状処理剤や、塊状の処理剤の形態としてもよい。本発明の一実施形態によれば、処理剤は、潤滑剤を含む。潤滑剤は、塊状の処理剤を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズになるために用いられるものである。よって、潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。例えば、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、カルシウム、亜鉛などが使われる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、処理剤の平均直径は、3~100mm、あるいは、5~50mmである。本明細書中、「平均直径」は、特記がない限り、統計学的に信頼ある数(あるいは、10個、100個、200個、300個、あるいは、1000個)の粒子を任意に選択して、ノギスによって1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。なお、排泄物処理剤20は、塊状や顆粒状の形態に限定されず、粉末状に構成してもよい。この場合、一実施形態によれば、処理剤の平均粒子径は、10μm以上、30μm以上、50μm以上、100μm以上、300μm以上、500μm以上、700以上、1mm以上、あるいは、2mm以上である。一実施形態によれば、処理剤の平均粒子径は、3mm以下、2mm以下、1000μm以下、700μm以下、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、あるいは30μm以下である。一実施形態によれば、10μm~30μm、30μm~50μm、50μm~100μm、100μm~300μm、300μm~500μm、500μm~700~1000μm、1mm~2mm、あるいは、2mm~3mmである。
【0031】
<蓋部>
蓋部30は、容器10の開口部11を塞ぐように容器10に取り付け可能に構成している。このように構成することによって、使用者が容器10の内部空間12に排泄物処理剤20、仕切り部材40を取り付けた状態において容器10の内部空間12を包囲することができる。
【0032】
蓋部30は、図4等に示すように被覆部31と、フランジ部32と、接続部33(流入部に相当)と、接続部34(流出部に相当)と、係合凹部35と、を備える。被覆部31は、蓋部30の容器10への装着状態において容器10の開口部11を被覆するように構成している。被覆部31は、接続部33、34の形状を除いて略中央に凹状の段差を設けた形状に形成しているが、容器10への装着状態において容器10の開口部を被覆できれば、具体的な形状は上記形状に限定されず、単純な平面であってもよい。
【0033】
フランジ部32は、被覆部31の外周縁部から高さ方向Zに立ち下がるように形成している。フランジ部32は、容器10への装着状態において容器10の上部外側面を被覆するように構成している。フランジ部32は、容器10の外側面に設けられたねじ部と螺合可能なめねじ等の形状等を設けるように構成している。フランジ部32に設けるめねじ等の締結部(締結形状)は、蓋部30を容器10に装着した際に内部空間12に吸引力を発生できるか、発生した吸引力が意図しない気体の漏れなどによって極端に減少しなければ、具体的な形状は特に限定されない。
【0034】
接続部33、34は、蓋部30の内外を挿通するように設けられ、吸引によって容器10の内部空間12に体液を流通させる管状部材Tを接続可能な連結部材50を取り付け可能に構成している。連結部材50と管状部材Tとの接続により、接続部33は吸引により内部空間12に体液等を流通可能な流入部として機能し、接続部34は吸引により内部空間12から排出される気体および体液の少なくとも一方を下流側へ流出可能な流出部として機能する。
【0035】
係合凹部35は、蓋部30の容器10に対する装着状態において仕切り部材40を内部空間12に位置決めできるように係合凸部p3と係合可能に構成している。係合凹部35は、蓋部30の容器10に対する装着状態において内部空間12の側に設けるように構成している。係合凹部35は、本実施形態において仕切り部材40の係合凸部p3と係合可能な凹部を筒形状として2つ設けるように構成している(図5参照)。ただし、蓋部に対して仕切り部材を位置決めできれば、係合する形状や形状の個数は上記に限定されない。
【0036】
<仕切り部材>
仕切り部材40は、図4等に示すように内部空間12に配置され、内部空間12を開口部11の近位側である第1内部空間13と第1内部空間13よりも開口部11に対して遠位側に位置する第2内部空間14とに仕切るように構成している。仕切り部材40は、接続部33から内部空間12に流入する体液を第1内部空間13と第2内部空間14との間で流通可能にしている。また、仕切り部材40は、第2内部空間14に流入した体液を排泄物処理剤20と接触して生成された膨潤物質w(図4の二点鎖線参照)の第1内部空間13への流通を遮断可能に構成している。
【0037】
仕切り部材40は、内部空間12において排泄物処理剤20よりも開口部11の近傍に配置している。仕切り部材40は、図7に示すように第1部材41と、第2部材42と、を備える。第1部材41と第2部材42は高さ方向Zの厚さ寸法を小さく(薄く)構成していて、厚さ方向に積層して一体に構成している。
【0038】
第1部材41は、体液を第1内部空間13と第2内部空間14との間で流通可能にする。
【0039】
第2部材42は、本実施形態において第1部材41を挟持するように対として構成している。第2部材42は、図7等に示すように被覆部p1と、穴部p2と、係合凸部p3と、第1壁部p4と、第2壁部p5と、を備える。
【0040】
被覆部p1は、第1部材41の一方の側を露出させず、部分的に被覆する部位として構成している。穴部p2は、第1部材41の一方の側が露出する部位として構成している。本実施形態において被覆部p1は、仕切り部材40の径方向rにおける比較的外側に設け、穴部p2は仕切り部材40の径方向rにおける比較的内側に設けるように構成している。なお、穴部p2の具体的な形状は、第1内部空間13から第2内部空間14に体液等を流通し、膨潤物質wの第2内部空間14から第1内部空間13への移動を阻害できれば、図で示す形状に限定されない。
【0041】
係合凸部p3は、上述のように蓋部30の係合凹部35と係合可能に構成している。係合凸部p3は、蓋部30の係合凹部35と同様に本実施形態において2つ設けているが、上記と同様に具体的な数は2つでなくてもよく、形状も図7等以外の形状であってもよい。また、図5では蓋部30に係合凹部35を設け、仕切り部材40に係合凸部p3を設けているが、両者を係合させることができれば、上記と反対に蓋部に凸部を設け、仕切り部材に凹部を設けてもよい。
【0042】
第1壁部p4は、仕切り部材40の内部空間12への設置状態において第1内部空間13に配置され、接続部33と接続部34の間であって接続部34に隣接して配置するように構成している。これにより、接続部33から内部空間12に流入してきた体液が図6の矢印r2に示すように第2内部空間14に流通せずに図6の矢印r1に示すように接続部34に取り付けられた連結部材50の流路を通じて下流側へ流通することを防止または抑制できる。
【0043】
第2壁部p5は、被覆部p1の外周縁部または外周縁部の近傍に設けられる。第2壁部p5は、仕切り部材40の内部空間12への設置状態における第1内部空間13において接続部33に隣接して配置するように構成している。仕切り部材40は、容器10への設置状態において容器10との間に隙間が空く可能性があるものの、第2壁部p5を設けることによって接続部33から流入する体液を容器10と仕切り部材40との境界以外の箇所へ向けて流通させることを促進できる。すなわち、本明細書において仕切り部材40は、容器10の内壁面と仕切り部材40の外周縁部との間に隙間ができることを許容する。
【0044】
第2部材42は、第1部材41を挟持するように外側に対にして配置している。ただし、仕切り部材40が第1部材を備えていれば、第1部材は第2部材によって挟持されていなくてもよい。また、第2部材42は、第1部材41の容器10への設置状態において上側と下側とで同一部品を使用している。ただし、設置状態における上側の第2部材に第1壁部p4と第2壁部p5を設けられれば、下側の第2部材には第1壁部と第2壁部はなくてもよい。第2部材42は、第1部材41よりも剛性が高くなるように構成している。
【0045】
仕切り部材40の材料について、第1部材41は、綿、不織布、織布、綿、紙等を含むことができる。第2部材42は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの材料を含むことができる。不織布等の第1部材41の孔径は、膨潤した吸水性樹脂の大きさより小さい方がよい。また、仕切り部材40は、第1内部空間13に流入する体液が第2内部空間14に流通することを促進するために第1内部空間13側の表面に親水性の表面処理を施すことができる。第2内部空間14側における仕切り部材40の表面処理はあってもなくてもよいが、ない方が好ましい。
【0046】
ここで第2内部空間14において膨潤物質wが生成された際に膨潤物質wが第1内部空間13に流入しないような仕切り部材40および容器10等の関連部位の寸法を例示する。容器10の開口部11の径方向rの寸法d1(図4参照)は135mm程度に構成できる。第1部材41の穴部p2の大きさは、第2内部空間14において排泄物処理剤20と接触して生成された膨潤物質wが第1内部空間13に流通しないように膨潤物質wより小さいことが好ましい。仕切り部材40の穴部p2は、穴部p2がないと想定した場合において被覆部p1を高さ方向Zから平面視した際の面積の1~40%となるように面方向XYにおいて穴部p2を構成する複数の穴形状の各部位の寸法を設定できる。仕切り部材40の第1部材41の厚さおよび第2部材42の厚さ(図7参照)はおよそ1.4mmに構成できる。排泄物処理剤20は、円筒に近似して考えれば、径方向rの寸法d2が13mm程度、高さ方向Zの寸法d3(図4参照)を5~6mmに構成できる。
【0047】
<連結部材>
連結部材50は、隣接する廃液処理具100または下流側廃液処理具100aを、管状部材Tを介して互いに連結するために使用される。連結部材50は、蓋部30において体液が内部空間12から流出入する蓋部30の接続部33、34に取り付けられる。連結部材50は、図4に示すように外側部51と、内側部52と、を備える。連結部材50は、蓋部30の取り付け状態において接続部33では上流側からの体液を内部空間12に流通可能にし、接続部34では容器10の内部空間12に位置する体液を下流側に流通可能にするように中空の筒状に形成している。
【0048】
外側部51は、蓋部30への取り付け状態において内部空間12に対して外側に配置される部位に相当する。外側部51は、本実施形態において略L字状に屈折して形成していて、先端部に管状部材Tを接続するように構成している。ここで、外側部の形状は管状部材Tを接続できれば具体的な形状はL字に限定されず、直線状等であってもよい。
【0049】
内側部52は、蓋部30への取り付け状態において内部空間12に位置する部位に相当する。外側部51と内側部52は、内部空間12と外部に体液を流通可能な流路を設けている。内側部52は、接続部33、34においてゴムやエラストマーなどのシール部材を設けて、流路以外の部位から体液が漏出しないように構成している。なお、連結部材50は、内側部52の下端において後述する下流側廃液処理具100aの変位部材70と当接可能であり、変位部材70と当接し、流路の一部となる部位を開口端部53と称する(図12参照)。詳細は後述する。
【0050】
蓋部30の接続部33、34に接続される管状部材Tは、様々な姿勢で接続部33、34に接続できるように可撓性のある公知のプラスチックなどの材料によって構成できる。
【0051】
<下流側廃液処理具>
下流側廃液処理具100aは、管状部材Tを介して廃液処理具100と接続され、廃液処理具100よりも下流側に配置するように構成している。下流側廃液処理具100aは、図9に示すように容器10a(第2容器に相当)と、排泄物処理剤20と、蓋部30a(第2蓋部に相当)と、連結部材50と、取り付け部材60と、変位部材70と、を有する。容器10aは廃液処理具100の容器10と同様であり、排泄物処理剤20および連結部材50は廃液処理具100の各々の構成部品と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0052】
<蓋部>
蓋部30aは、容器10aの開口部11を塞ぐように容器10aに取り付け可能に構成している。蓋部30aは、図10に示すように被覆部31と、フランジ部32と、接続部33(流入部に相当)と、接続部34a(第2流出部に相当)と、を備える。蓋部30aは蓋部30と異なり、係合凹部35を備えていない一方で、蓋部30と同様に被覆部31、フランジ部32、接続部33を備える。また、接続部34aは、接続部34と同様に吸引により内部空間12から排出される気体の下流側への流通を許容しつつ膨潤物質wの流通を許容しない一方で接続部34と異なり、吸引による下流側への体液の流通を許容しないように構成している。ただし、接続部34aの具体的な形状は接続部34と同様に構成し得る。そのため、被覆部31、フランジ部32、および接続部33、34aの説明を省略する。
【0053】
<取り付け部材>
取り付け部材60は、蓋部30aに取り付け可能であって、ポンプにより吸引される気体等の流通を許容するとともに、後述する変位部材70が膨潤物質wの流通を遮断しない際に変位部材70を載置できるように構成している。取り付け部材60は、図11図12などに示すように、固定部61と、垂下部62と、当接部63と、流通孔64と、挿通孔65と、を備える。
【0054】
固定部61は、取り付け部材60を蓋部30aに取り付けるために蓋部30aに設けられる凸形状(図示省略)と嵌合等により係合可能な孔を設けたフランジを備える。固定部61は、垂下部62の端部から面方向XYに水平に延在するフランジを備えるように構成している。
【0055】
垂下部62は、固定部61のフランジの内側端部から下方に向かって延在するように構成している。垂下部62は本実施形態において高さ方向Zに並行に直線状に延在しているが、後述する流通孔64を設けることができれば、高さ方向Zに対して傾斜していたり、曲線状であったりしてもよい。
【0056】
当接部63は、変位部材70が接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路を遮断しない際に変位部材70を内部空間12の接続部34aの近傍に保持する。当接部63は、図12等に示すように垂下部62の下側端部から面方向XYにおける垂下部62の内方に向かって延在するように構成している。当接部63には、変位部材70の落下防止部72と当接できるように略平坦に形成している。変位部材70が連結部材50の開口端部53を少なくとも部分的に塞がない際には、当接部63に変位部材70を載置させることができる。
【0057】
流通孔64は、図11に示すように垂下部62に設けた切り欠きであり、これにより内部空間12と外部との間でポンプ等によって吸引される気体等を連結部材50の流路を通じて流通可能に構成している。流通孔64は、垂下部62の側面に複数、特に図11に示すように周方向θに設けることができる。挿通孔65は、後述する変位部材70の挿通部73に挿通させることによって取り付け部材60に対して変位部材70を高さ方向Zに移動可能に構成している。挿通孔65は、当接部63の略中央に設けるように構成している。
【0058】
<変位部材>
変位部材70は、接続部34aに設置された連結部材50の開口端部53に当接したり、離間したりするように構成している。変位部材70は、図12に示すように閉塞部71と、落下防止部72と、挿通部73と、逆側端部74と、浮き部75を備える。
【0059】
閉塞部71は、接続部34aに取り付けられる連結部材50の流路を少なくとも部分的に塞ぐことを可能に構成している。閉塞部71は、変位部材70の頂部に設けられる曲面を含むように構成している。この曲面を連結部材50の内側部52の開口端部53に当接させることによって、内部空間12に存在し得る体液及び膨潤物質wが接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路に流通することを妨害できる。
【0060】
落下防止部72は、本実施形態において閉塞部71の曲面と反対側に設けられ、取り付け部材60の当接部63と当接可能に構成している。落下防止部72は、当接部63との当接によって取り付け部材60が変位部材70を内部空間12における接続部34aの近傍の位置で保持できるように構成している。落下防止部72は、閉塞部71の曲面と反対側に設けた平面等を含むように構成できる。
【0061】
挿通部73は、取り付け部材60の挿通孔65を挿通可能であって、本実施形態では筒形状を含むように構成している。これにより、変位部材70の閉塞部71が連結部材50の流路を塞ぐ位置に変位部材70を移動したり、落下防止部72が当接部63と当接する位置に移動したりできる。なお、挿通部73は閉塞部71が連結部材50の流路を塞ぐ位置に移動したり、流路を塞がない位置に移動したりできれば、具体的な形状は上述した筒形状に限定されない。
【0062】
逆側端部74は、挿通部73に対して閉塞部71と反対側に設けるように構成している。逆側端部74は、挿通部73の形状から面方向XYにおける挿通部73の中心から外方に突出するように形成することによって、変位部材70が取り付け部材60に対して上方に移動しすぎることを防止するストッパーとして機能できる。
【0063】
浮き部75は、設置状態において重力方向における下端に設けられ、内部空間12における体液の液面と接触した状態において変位部材70を液面上に浮かせることを可能に構成している。ここで、内部空間12に流入する流体によって形成される液面には体液だけでなく膨潤物質wが存在する場合があるが、以下、単に「体液の液面」と記載する。浮き部75は、逆側端部74に貼付や融着等によって接合できる。浮き部75は、閉塞部71、落下防止部72、挿通部73、および逆側端部74を設けた部材と別に比較的軽量な部材により構成できる。浮き部75は、ウレタンや発泡スチロールなどの発泡プラスチックといった材料を含むように構成できる。なお、図12などでは変位部材70が取り付け部材60の挿通孔65から上側に抜けきらないように逆側端部74を径方向rの外方に突出するように形成している。ただし、浮き部75が上方への移動時に挿通孔65を通過しない形状であれば、逆側端部74は挿通孔65を通過できないように径方向rの外方に突出した形状としなくてもよい。
【0064】
また、変位部材70には、吸引の際に液体の吸引を抑制しつつ、気体の吸引を許容する流通機構を設けることができる。流通機構について例示すれば、閉塞部71、落下防止部72、挿通部73、逆側端部74を設ける部材に数ミリ程度の大きさの挿通穴h1(図12、13参照)を設け、浮き部75に発泡プラスチック等によって極めて微小な孔を無数に設けることができる。
【0065】
変位部材70は、図12に示すように落下防止部72が取り付け部材60の当接部63に当接している場合、連結部材50の内側部52の開口端部53を塞がない状態となる。これにより、容器10aの内部空間12に存在する気体等は図11の矢印に示すように流通孔64を通じて連結部材50の開口端部53から連結部材50の流路に流通できる。一方、内部空間12に存在する体液の液面が浮き部75と接した状態からさらに上昇すると、落下防止部72が当接部63から離間して変位部材70が上方に移動し、閉塞部71が連結部材50の内側部52の開口端部53に当接する。これにより、開口端部53は閉塞部71によって塞がれる状態となる。その結果、内部空間12に存在する体液や膨潤物質w等の液体は連結部材50の開口端部53を通じて流通できない状態となる。一方、内部空間12に存在する気体は、浮き部75の微小な穴と挿通穴h1を通じて閉塞部71が内側部52の開口端部53と当接した状態でも下流側へ流通することができる。
【0066】
以上説明したように本実施形態では廃液処理具100は容器10と、排泄物処理剤20と、蓋部30と、仕切り部材40とを有する。容器10は、人間に含まれる、または人間から排出される体液を収容可能な内部空間12と、吸引によって内部空間12に体液を導入可能な開口部11を設けている。蓋部30は、容器10の開口部11を塞ぐように取り付け可能であって、吸引によって体液を内部空間に流通可能な接続部33を備える。仕切り部材40は、内部空間12に配置され、内部空間12を開口部11の近位側である第1内部空間13と第1内部空間13よりも開口部11に対して遠位側に位置する第2内部空間14とに仕切るように構成している。排泄物処理剤20は、容器10の第2内部空間14に配置され、体液と接触することによって体液を固形状の膨潤物質wにするように構成している。仕切り部材40は、接続部33から内部空間12に流入する体液を第1内部空間13と第2内部空間14との間で流通可能にしている。また、仕切り部材40は、第2内部空間14に流入した体液が排泄物処理剤20と接触して生成された膨潤物質wの第1内部空間13への流通を遮断するように構成している。
【0067】
このように構成することによって、体液が排泄物処理剤20と接触して生成された物質が蓋部30の出口側流路である接続部34を塞ぐことを防止できる。また、医療現場等において患者の体内から検体を採取し、採取された検体が誤って容器10の内部空間12に収集されても、仕切り部材40によって上述した膨潤物質wを検体がいる第1内部空間13と別の内部空間(第2内部空間14)に配置できる。これにより、膨潤物質wと検体とが混合することを防止でき、容器10の内部空間12から検体を比較的容易に取り出すことができる。
【0068】
また、仕切り部材40は、体液を第2内部空間14と第1内部空間13との間で流通可能にする第1部材41と、第1部材41よりも剛性の高い第2部材42と、を備える。このように構成することによって、第2内部空間14において膨潤物質wが生成された際に仕切り部材40を膨潤物質wによって変形しにくくできる。これにより、排泄物処理剤20が体液との接触により膨潤した際に膨潤物質wが蓋部30の接続部34の流路を塞ぐことを防止できる。
【0069】
また、蓋部30は吸引によって内部空間12から排出される気体および体液の少なくとも一方を下流側へ流通可能な流出部として接続部34を備える。第2部材42は、仕切り部材40の内部空間12への設置状態における第1内部空間13に配置され、接続部33と接続部34の間であって接続部34に隣接して配置される第1壁部p4を備える。このように構成することによって、接続部33から流入する体液が穴部p2を通じて第1内部空間13から第2内部空間14へ移動せずに接続部34から下流側へ流通することを防止または抑制できる。
【0070】
また、第2部材42は、被覆部p1と第2壁部p5とを備える。被覆部p1は、第1部材41の一方の側を部分的に被覆する。第2壁部p5は、被覆部p1の外周縁部または外周縁部の近傍であって仕切り部材40の内部空間12への設置状態における第1内部空間13において接続部33に隣接して配置される。これにより、接続部33から内部空間12に流入した体液が、第2内部空間14の中でも接続部33の下方に配置された排泄物処理剤20ばかりと反応することを抑制し、接続部34の下方に配置された排泄物処理剤20にも体液が流通することを促進できる。
【0071】
また、第2部材42は第1部材41を挟持するように対になって配置している。このように構成することによって、第2内部空間14において体液が排泄物処理剤20と接触して膨潤物質wが生成された際に仕切り部材40を内部空間12において変形しにくくできる。これにより、排泄物処理剤20が体液との接触により膨潤した際に膨潤物質wが蓋部30の接続部34の流路を塞ぐことを防止できる。
【0072】
また、本実施形態では蓋部30の容器10への装着状態において仕切り部材40を内部空間12に位置決めするように仕切り部材40に係合凸部p3を設け、蓋部30には係合凹部35を設けるように構成している。このように構成することによって、仕切り部材40を内部空間12において意図した位置からずれにくくでき、これにより排泄物処理剤20が体液との接触により膨潤した際に膨潤物質wが蓋部30の接続部34の流路を塞ぐことを防止できる。
【0073】
また、下流側廃液処理具100aは、容器10aと、容器10aの開口部11を塞ぐように容器10aに取り付け可能な蓋部30aと、排泄物処理剤20と、変位部材70と、を有する。容器10aには内部空間12と開口部11が設けられる。蓋部30aは、容器10aの開口部11を塞ぐように容器10aに取り付け可能であって、接続部33と、吸引によって内部空間12から排出される気体を下流側へ流通可能な接続部34aと、を備える。排泄物処理剤20は、容器10aの内部空間12に配置され、体液と接触することによって体液を膨潤物質wにするように構成している。変位部材70は、排泄物処理剤20が体液と接触して生成された膨潤物質wが内部空間12において所定の高さに達した際に下流側への体液および膨潤物質wの流通を遮断するように構成している。
【0074】
このように構成することによって、下流側廃液処理具100aの内部空間12で膨潤物質wを回収し、下流側に体液および膨潤物質wが流通することを防止できる。
【0075】
また、下流側廃液処理具100aは、取り付け部材60を備える。取り付け部材60は、蓋部30aに取り付け可能であって、変位部材70が体液及び膨潤物質wの流通を遮断しない際に変位部材70を内部空間12の接続部34aの近傍に保持する当接部63を備えるように構成している。これにより、容器10aの内部空間12において体液の液面が上昇してきた際に変位部材70によって体液及び膨潤物質wが接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路に流通することを妨害できるように変位部材70を待機させることができる。
【0076】
また、変位部材70は、閉塞部71と、落下防止部72と、を備える。閉塞部71は、接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路を少なくとも部分的に閉塞可能に構成している。落下防止部72は、取り付け部材60の当接部63と当接可能であって当接により変位部材70を内部空間12における接続部34aの近傍の位置で保持する。これにより、容器10aの内部空間12に体液が流入し、体液が接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路を塞がない際に変位部材70を体液と膨潤物質wの流通を妨害可能な位置で待機させることができる。
【0077】
また、変位部材70は、重力方向における下端に設けられ、内部空間12における体液の液面と接触した状態において変位部材70を体液の液面上で浮かせることが可能な浮き部75を備えるように構成している。これにより、体液の液面の上昇に応じて変位部材70を上方に移動させ易くして、体液と膨潤物質wが接続部34aに取り付けられた連結部材50の流路に流通しないように変位部材70を連結部材50の流路を覆う位置に移動するようにできる。
【0078】
また、変位部材70には、吸引の際に液体の吸引を抑制しつつ、気体の吸引を許容する流通機構を設けることができる。このように構成することによって、閉塞部71が連結部材50の内側部52の開口端部53を閉塞した場合にも、気体等を下流側に配置されたポンプ等によって吸引することができる。
【0079】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。図1等では廃液処理具100を2つ用意し、下流側廃液処理具100aを1つ用意すると説明した。ただし、医療現場または災害現場等において要求される体液等を処理できれば、廃液処理具および下流側廃液処理具の具体的な数は図1等に限定されない。また、要求される体液等を処理できれば、廃液処理具100を用意し、下流側廃液処理具100aを用意しなくてもよい。
【0080】
図13図3の変形例に係る廃液処理具100bの分解斜視図、図14図8の変形例に係る下流側廃液処理具100cの分解斜視図である。上記では廃液処理具100又は下流側廃液処理具100aの容器10の内部空間12に排泄物処理剤20等が収容され、体液が排泄物処理剤20と接触して膨潤物質wが生成された際に内部空間12に存在する膨潤物質w等は容器10とともに廃棄できると説明した。ただし、膨潤物質w等を処分できれば、容器10は膨潤物質wが生成される度に膨潤物質wとともに廃棄しなくてもよい。すなわち、廃液処理具100b又は下流側廃液処理具100cの容器10の内部空間12にビニール袋のような使い捨てバッグ80を配置したうえで、使い捨てバッグ80の内部に排泄物処理剤20を設置してもよい(図13図14参照)。
【0081】
使い捨てバッグ80は、上述したビニール袋や巾着袋、チャック付きの袋を利用することができる。このように構成することによって、膨潤物質wが生成された際に使い捨てバッグ80を膨潤物質wとともに廃棄し、廃液処理具および下流側廃液処理具の少なくともいずれかの容器10、10aを再利用することができる。
【0082】
また、上記において仕切り部材40は、第1壁部p4と第2壁部p5を含むと記載した。ただし、接続部33から内部空間12に流入した体液が第2内部空間14に流通できれば、仕切り部材40は第1壁部p4と第2壁部p5を含まないか、第1壁部p4と第2壁部p5のいずれか一方のみを含むように構成してもよい。
【0083】
また、変位部材70は浮き部75を含むと記載したが、容器10aの内部空間12における体液の液面と接触し、液面の上昇に応じて変位部材を上方に移動できれば、変位部材は浮き部75を備えていなくてもよい。
【0084】
図16は変形例に係る仕切り部材40dの構成を示す斜視図、図17図16の分解斜視図、図18図16の平面図、図19は変形例に係る仕切り部材40eを示す斜視図である。
【0085】
図7等では仕切り部材40が第1部材41と第2部材42を有し、第1部材41は2つの第2部材42の間に配置するように構成している。ただし、接続部33から内部空間12に流入する体液を第1内部空間13と第2内部空間14との間で流通させ、第2内部空間14で生成された膨潤物質wが第1内部空間13に流通しないようにできれば、仕切り部材の具体的態様は上記に限定されない。
【0086】
上記以外にも仕切り部材40dは、図16などに示すように、第2部材42dの上に複数の穴部を設けた第1部材41dを配置してもよい。第1部材41dは、略円形状に無数の穴部を設けている。
【0087】
第2部材42dは、図17に示すように被覆部p1dと、穴部p2dと、係合凸部p3dと、を備える。被覆部p1dは、容器10の設置位置における水平断面形状と略同一の外周形状に形成している。穴部p2dは、第1部材41dを設置した状態において第1部材41dの少なくとも一部に第1内部空間13から第2内部空間14への体液を流通可能にする入口側の穴部と出口側の穴部を設けることができる(図17参照)。係合凸部p3dは、仕切り部材40の係合凸部p3と同様に構成している。仕切り部材40の第1壁部p4に相当する部位は、壁部材43dとして第1部材41dの上に設置できる。壁部材43dは、内部空間12において体液が流通する蓋部30の接続部33と接続部34までの間の経路上で接続部34よりに配置している。壁部材43dは、仕切り部材40の第1壁部p4と同様に体液が第1内部空間13から第2内部空間14を経由せずに下流側に流通することを防止または抑制している。
【0088】
また、仕切り部材40dは第1部材41d、第2部材42d、および壁部材43dを各々別部品で構成しているが、これらを図19に示す仕切り部材40eのように一部品で構成してもよい。この場合、仕切り部材40dの穴部p2dを設けない代わりに第1部材41dの無数の穴部を穴部p2eとすることができる。被覆部p1eは穴部p2eの外側において穴部p2eを設けていない平坦な部位であり、係合凸部p3e及び第1壁部p4eは仕切り部材40dの係合凸部p3及び第1壁部p4dと各々同様に構成できる。第2壁部p5e、p6e、p7eは、寸法の比較的大きい第2壁部p5eと、第2壁部p5eに対して寸法が小さく、周方向に間隔をあけるとともに対になって配置した第2壁部p6e、p7eを備える。ただし、仕切り部材40上で体液を穴部p2eから第2内部空間14に流通できれば、第2壁部p6e、p7eは設けなくてもよい。
【0089】
図20図12の変形例を示す図、図21図13の変形例を示す図である。図12図13では下流側廃液処理具100aの変位部材70が閉塞部71と、落下防止部72と、挿通部73と、逆側端部74と、浮き部75と、を備えている。変位部材70の閉塞部71は変位部材70の上側先端部に設けているが、これに限定されず、閉塞部71dは浮き部75dの先端面に設けることができる。変位部材70の落下防止部72は、閉塞部71の反対側に設けているが、変位部材70dの落下防止部72dは、プラスチックなどで構成しうる段付き形状の端面とすることができる。また、挿通部73dは、段付きの筒形状の縦壁とすることができる。また、逆側端部74dは、浮き部75と接触する筒形状の端部とすることができる。浮き部75dは、落下防止部72dや逆側端部74dを備える筒形状と一体に接合され、ウレタン等の発泡材料から構成できる。
【0090】
図22図1の変形例を示す斜視図、図23は捕捉アセンブリ80dを示す分解斜視図、図24は捕捉アセンブリ80dの内部を示す図である。廃液処理具100と廃液処理具100とは連結部材50によって接続できるが、図1に示す廃液処理具100の中でも一番上流に位置する廃液処理具100の接続部33には連結部材50の代わりに捕捉アセンブリ80d(捕捉部に相当)を取り付けてもよい(図22参照)。
【0091】
捕捉アセンブリ80dは、図23に示すように蓋部81と、容器85と、区画部91と、を備える。
【0092】
蓋部81は、取り付け部82と、上部83と、側部84と、を備える。上部83は、容器85の開口部88を塞ぐように構成している。側部84は、上部83の外周において上部83と連なって設けられ、容器85と連結可能に構成している。側部84の内側は、容器85と篏合したり、ねじ形状や溝形状を設けることで容器85と連結したりできる。取り付け部82は、管状部材Tなどを接続可能であり、患者から排出される体液やポリープ等を流通させる穴部を設けている。
【0093】
容器85は、壁面86と、段差部87と、開口部88と、排出部89と、を備える。壁面86は、容器85の側壁や底壁を形成するように構成している。段差部87は、後述する区画部91を設置できるように壁面86の中でも内側の側壁の中間位置に設けている。開口部88は、蓋部81によって塞がれる部位であり、容器85の上部に設けている。排出部89は、容器85の下部に設けており、開口部88から流入した体液を下流側に流通できるように設けている。
【0094】
区画部91は、フィルタ92と、パーティション93と、支柱94と、を備える。フィルタ92は、取り付け部82を通じて流入した体液に含まれるポリープなどの固形成分を体液から分離するように無数の穴部を設けている。パーティション93は、フィルタ92の上部において角度方向に所定間隔で設けている。パーティション93は、フィルタ92上で体液から分離した固形成分を配置する場所を複数設けられるように平面視においてフィルタ92の上部を周方向に分割する形状を設けている。区画部91は、容器85に対して相対的に回転可能に構成しており、取り付け部82に対してパーティション93の位置を回転して変えることによって、例えば固形成分をフィルタ92の上で患者ごとに分けて捕捉できる。支柱94は、パーティション93の略中央で複数のパーティション93と一体となるように設けている。このように構成することによって、処理対象となる廃液から比較的早期にポリープなどの固形成分を除去(分離)することができる。
【0095】
本発明は下記態様および形態を包含する。
【0096】
1.人間に含まれる、または人間から排出される体液を収容可能な内部空間と、吸引によって前記内部空間に前記体液を導入可能な開口部と、が設けられた容器と、
前記容器の前記開口部を塞ぐように前記容器に取り付け可能であって前記吸引によって前記体液を前記内部空間に流通可能な流入部を備えた蓋部と、
前記内部空間に配置され、前記内部空間を前記開口部の近位側である第1内部空間と前記第1内部空間よりも前記開口部に対して遠位側に位置する第2内部空間とに仕切る仕切り部材と、
前記容器の前記第2内部空間に配置され、前記体液と接触することによって前記体液を固形状の膨潤物質にする排泄物処理剤と、を有し、
前記仕切り部材は、前記流入部から前記内部空間に流入する前記体液を前記第1内部空間と前記第2内部空間との間で流通可能にし、かつ、前記第2内部空間に流入した前記体液が前記排泄物処理剤と接触して生成された前記膨潤物質の前記第1内部空間への流通を遮断可能にする廃液処理具。
【0097】
2.前記仕切り部材は、前記体液を前記第2内部空間と前記第1内部空間との間で流通可能にする第1部材と、前記第1部材よりも剛性の高い第2部材と、を備える上記1に記載の廃液処理具。
【0098】
3.前記蓋部は、前記吸引によって前記内部空間から排出される気体および前記体液の少なくとも一方を下流側へ流通可能な流出部を備え、
前記第2部材は、前記仕切り部材の前記内部空間への設置状態における前記第1内部空間に配置され、前記流入部と前記流出部の間であって前記流出部に隣接して配置される第1壁部を備える上記2に記載の廃液処理具。
【0099】
4.前記第2部材は、前記第1部材の一方の側を部分的に被覆する被覆部と、前記被覆部の外周縁部または前記外周縁部の近傍であって前記仕切り部材の前記内部空間への設置状態における前記第1内部空間において前記流入部に隣接して配置される第2壁部を備える上記2または3に記載の廃液処理具。
【0100】
5.前記流入部には、前記体液に含まれる固形成分を前記体液から分離可能なフィルタを含む捕捉部を取り付け可能である上記1~4のいずれかに記載の廃液処理具。
【0101】
6.前記蓋部の前記容器への装着状態において前記仕切り部材を前記内部空間に位置決めするように、前記蓋部および前記仕切り部材の一方に凸部が設けられ、他方に前記凸部と係合可能な凹部が設けられる上記1~5のいずれかに記載の廃液処理具。
【0102】
7.前記内部空間と、前記開口部と、が設けられた第2容器と、
前記第2容器の前記開口部を塞ぐように前記第2容器に取り付け可能であって前記流入部と、前記吸引によって前記内部空間から排出される気体を下流側へ流通可能な第2流出部と、を備える第2蓋部と、
前記第2容器の前記内部空間に配置され、前記体液と接触することによって前記体液を前記膨潤物質にする前記排泄物処理剤と、
前記排泄物処理剤が前記体液と接触して生成された前記膨潤物質が前記内部空間において所定の高さに達した際に下流側への前記体液および前記膨潤物質の流通を遮断する変位部材と、を有する、
管状部材を介して上記1~6のいずれかに記載の廃液処理具と接続可能な、下流側廃液処理具。
【0103】
8.前記第2蓋部に取り付け可能であって、前記変位部材が前記体液および前記膨潤物質の流通を遮断しない際に前記変位部材を前記内部空間の前記第2流出部の近傍に保持する当接部を備える取り付け部材を備える上記7に記載の下流側廃液処理具。
【0104】
9.前記変位部材は、前記第2流出部の流路を少なくとも部分的に閉塞可能な閉塞部と、前記取り付け部材の前記当接部と当接可能であって当接により前記変位部材を前記内部空間における前記第2流出部の近傍の位置で保持する落下防止部と、を備える上記8に記載の下流側廃液処理具。
【0105】
10.前記変位部材は、重力方向における下端に設けられ、前記内部空間における前記体液の液面との接触状態において前記変位部材を液面上に浮かせることが可能な浮き部を備える上記7~9のいずれかに記載の下流側廃液処理具。
【0106】
11.前記変位部材は、前記吸引の際における液体の前記吸引を抑制しつつ気体の前記吸引を許容する流通機構を備える上記7~10のいずれかに記載の下流側廃液処理具。
【符号の説明】
【0107】
10 容器、
10a 容器(第2容器)、
11 開口部、
12 内部空間、
13 第1内部空間、
14 第2内部空間、
20 排泄物処理剤、
30 蓋部、
30a 蓋部(第2蓋部)、
33 接続部(流入部)、
34 接続部(流出部)、
34a 接続部(第2流出部)、
35 係合凹部、
40 仕切り部材、
41 第1部材、
42 第2部材、
50 連結部材、
60 取り付け部材、
63 当接部、
70 変位部材、
71 閉塞部、
72 落下防止部、
75 浮き部、
80 捕捉アセンブリ(捕捉部)、
92 フィルタ、
100 廃液処理具、
100a 下流側廃液処理具、
h1 挿通穴(流通機構)、
p1 被覆部、
p3 係合凸部、
p4 第1壁部、
p5 第2壁部、
T 管状部材、
w 膨潤物質。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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