(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20241021BHJP
F04D 25/10 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
F04D25/08 306C
F04D25/10 302K
(21)【出願番号】P 2023215314
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2020148529の分割
【原出願日】2019-04-09
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2018205173
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】福増 一人
(72)【発明者】
【氏名】江崎 淳史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏和
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特許第6353178(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/10
F04D 25/08
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、
前記台座部に対して立設された支柱と、
前記支柱の上端側に設けられ、ファン及び前記ファンを収容するファンガードを含む送風部と、
前記ファンを駆動させる送風用モータと、
前記送風部を上下方向に首振り動作させる上下首振り機構部と、
前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、
前記送風用モータ及び前記上下首振り用モータの制御を行う制御部と、
を備え、
前記支柱は、前記上下首振り機構部及び前記上下首振り用モータを収容する収容部を含み、
前記収容部との間に隙間を有し、前記送風部の背面側において前記収容部を覆うように設けられた背面カバーをさらに備え、
前記背面カバーは、前記送風部が上下方向に首振り動作を行うことにより、前記送風部とともに上下方向に動作するものであり、
前記収容部には、前記背面カバーの下端部が到来する位置に臨むように開放された凹部が設けられており、
前記凹部は、前記送風部が上方側に向けて首振り動作を行っている状態においても指等が挟み込まれるのを抑制可能なように、前記背面カバーの下端部よりも下方側まで到達するように形成されていることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記凹部は、前記収容部に対して幅方向両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記背面カバーには、前記収容部が一部露出するように切欠が設けられており、
前記切欠は、前記送風部の幅方向に延びる上縁部を有し、前記収容部の一部を露出させるように下方に解放された形状を有し、
前記送風部が下方に傾斜した状態において前記収容部の外周面の端部が外部に露出しないように、前記外周面が前記背面カバーの内側まで延伸されていることを特徴とする
請求項1または2に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば扇風機、あるいは、サーキュレータ等の送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人に対して風を送り、涼をとるために使用される扇風機として、例えば下記特許文献1に開示されているようなものが提供されている。特許文献1の扇風機は、睡眠の妨げとなることを抑制すべく、台座部の周縁部から主に水平方向または斜め下方向へ指向性を有する光を照射可能な照明部を複数設けたものとされている。特許文献1の扇風機では、このような構成とすることにより、照明部から照射される光が睡眠の妨げとなることを抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている扇風機に代表される従来技術の送風機では、就寝中の人体に風が当たり続けることによる悪影響について配慮されたものでないという問題がある。例えば、就寝中に人体に風が当たり続けると、身体が冷えてしまい、起床時に倦怠感を覚える等の悪影響が出る。その一方で、快適に就寝すべく、扇風機等の送風機を使用したいという要望がある。
【0005】
このような二律背反した要望を満足すべく、本発明は、人体に風が当たり続けることによる悪影響を抑制しつつ、快適に過ごせる環境を形成可能な送風機の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を上下方向に変更する上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、前記送風用モータ及び前記上下首振り用モータの制御を行う制御部と、備え、前記制御部が、上下方向に前記送風方向が変動するように前記上下首振り用モータを制御しつつ、前記上下首振り機構部により切り替え可能な上下方向への送風範囲の一部をなす第一上下送風域における風速に対し、前記第一上下送風域より上方の第二上下送風域における風速が高くなるように前記送風用モータを制御可能としたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の送風機は、第一上下送風域、及びこれよりも上方の第二上下送風領域を含む上下方向への送風範囲にわたって送風方向を変動させつつ、送風することができる。そのため、本発明の送風機によれば、例えば就寝時に使用される等としても、人体に風が当たり続けることを抑制できる。また、本発明の送風機は、使用者に向かうように進む風(以下、このような風を「直接風」とも称する)の流れを比較的弱く(軽減)し、かつ、上方側に向けて送風することにより室内の空気を攪拌するように流れる風(以下、このような風を「対流風」とも称する)の流れを比較的強く形成できる。対流風が形成されることで、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れ、使用者が快適に過ごせる環境を構築できる。
【0008】
上述した本発明の送風機は、前記制御部が、前記第一上下送風域と前記第二上下送風域の間にある所定の角度範囲の第三上下送風域を経て送風方向が上下方向に変動するように前記上下首振り用モータを制御しつつ、前記第三上下送風域において風速が段階的あるいは無段階に変動するように前記送風用モータを制御するものであると良い。
【0009】
かかる構成によれば、第一上下送風域と第二上下送風域との間で風速が急激に変化することによる騒音の発生を防止できる。また、周辺の空気を巻き込みながら加速するような風(以下、「巻き込み風」とも称する)の発生等を抑制できる。
【0010】
本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を上下方向に変更する上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、前記送風用モータ及び前記上下首振り用モータの制御を行う制御部と、を備え、前記上下首振り機構部により切り替え可能な上下方向への送風範囲には、その一部をなす第一上下送風域と、該第一上下送風域より上方の第二上下送風域と、を有し、前記制御部が、前記送風範囲の前記第二上下送風域内において前記送風方向が上下方向に変動するように前記上下首振り用モータを制御可能としたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の送風機は、第一上下送風域よりも上方の第二上下送風領域内において送風方向が上下方向に変動するように動作させることができる。そのため、本発明の送風機によれば、使用者に向かうように進む風(直接風)の流れが形成されるのを抑制しつつ、室内の空気を攪拌するように流れる風(対流風)の流れを形成し、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。従って、例えば本発明の送風機を就寝時に使用すれば、就寝中の人体に風が当たり続けることにより懸念される体温の低下や、起床時の倦怠感を抑制しつつ、快適に就寝可能な環境を形成できる。
【0012】
本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を上下方向に変更する上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、前記送風用モータ及び前記上下首振り用モータの制御を行う制御部と、を備え、前記上下首振り機構部により切り替え可能な上下方向への送風範囲には、その一部をなす第一上下送風域と、該第一上下送風域より上方の第二上下送風域と、前記第一上下送風域と前記第二上下送風域の間にある所定の角度範囲の第三上下送風域と、を有し、前記制御部が、前記送風範囲の前記第二上下送風域及び前記第三上下送風域内において前記送風方向が上下方向に変動するように前記上下首振り用モータを制御しつつ、前記第三上下送風域において風速が段階的あるいは無段階に変動するように前記送風用モータを制御可能としたものである。
【0013】
本発明の送風機は、第一上下送風域よりも上方にある第二上下送風領域及び第三上下送風領域において送風方向が上下方向に変動するように動作させることができる。そのため、本発明の送風機によれば、使用者に向かうように進む風(直接風)の流れが形成されるのを抑制できる。これにより、例えば就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減しつつ、室内の空気を攪拌するように流れる風(対流風)の流れを形成し、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。従って、例えば本発明の送風機を就寝時に使用すれば、就寝中の人体に風が当たり続けることにより懸念される体温の低下や、起床時の倦怠感を抑制しつつ、快適に就寝可能な環境を形成できる。
【0014】
また、本発明の送風機は、第三上下送風域において風速が段階的あるいは無段階に変動するように動作する。そのため、本発明の送風機によれば、使用者の近くや低い位置において周辺の空気を巻き込みながら加速するような風(巻き込み風)が発生するのを抑制できる。
【0015】
本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を左右方向に変更する左右首振り機構部と、前記左右首振り機構部を作動させる左右首振り用モータと、前記送風用モータ及び前記左右首振り用モータの制御を行う制御部と、を備え、前記制御部が、左右方向に前記送風方向が変動するように前記左右首振り用モータを制御しつつ、前記左右首振り機構部により切り替え可能な左右方向への送風範囲の一部をなす第一左右送風域における風速に対し、前記第一左右送風域より左右側外方の第二左右送風域における風速が高くなるように前記送風用モータを制御可能としたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の送風機は、第一左右送風域、及びこれよりも左右側外方の第二左右送風域を含む左右方向に広がる送風範囲内で送風方向を変動させつつ、送風することができる。そのため、本発明の送風機は、例えば就寝時に第一左右送風域が使用者の正面に向くように設置して使用すると、使用者に当たる直接風の強さを軽減できる。これにより、例えば就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本発明の送風機によれば、第二左右送風域への送風により対流風の流れを形成できる。対流風が形成されることにより、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れるようになり、使用者が快適に過ごせる環境を構築できる。
【0017】
本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を上下方向に変更する上下首振り機構部と、前記送風部による送風方向を左右方向に変更する左右首振り機構部と、前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、前記左右首振り機構部を作動させる左右首振り用モータと、前記送風用モータ、前記上下首振り用モータ、及び前記左右首振り用モータの制御を行う制御部と、を備え、前記制御部が、上下方向及び左右方向に前記送風方向が変動するように前記上下首振り用モータと前記左右首振り用モータを制御しつつ、前記上下首振り機構部により切り替え可能な上下方向への送風範囲の一部をなす第一上下送風域における風速に対し、前記第一上下送風域より上方の第二上下送風域における風速が高くなるように前記送風用モータを制御すると共に、前記左右首振り機構部により切り替え可能な左右方向への送風範囲の一部をなす第一左右送風域における風速に対し、前記第一左右送風域より左右側外方の第二左右送風域における風速が高くなるように前記送風用モータを制御可能としたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の送風機は、第一上下送風域、及びこれよりも上方の第二上下送風領域を含む上下方向への送風範囲にわたって送風方向を変動させつつ、送風することができる。また、本発明の送風機は、第一左右送風域、及びこれよりも左右側外方の第二左右送風域を含む左右方向に広がる送風範囲内で送風方向を変動させつつ、送風することができる。そのため、本発明の送風機は、例えば就寝時に第一左右送風域が使用者の正面に向くように設置して使用すると、使用者に当たる直接風の強さを軽減できる。これにより、例えば就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本発明の送風機によれば、使用者が存在している領域の左右にある第二左右送風域や、上方にある第二上下送風領域への送風により対流風の流れを形成できる。対流風が形成されることにより、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れるようになり、使用者が快適に過ごせる環境を構築できる。
【0019】
本発明の送風機は、ファンを備えた送風部と、前記ファンを駆動させる送風用モータと、前記送風部による送風方向を上下方向に変更する上下首振り機構部と、前記送風部による送風方向を左右方向に変更する左右首振り機構部と、前記上下首振り機構部を作動させる上下首振り用モータと、前記左右首振り機構部を作動させる左右首振り用モータと、前記送風用モータ、前記上下首振り用モータ、及び前記左右首振り用モータの制御を行う制御部と、を備え、前記上下首振り機構部及び前記左右首振り機構部により切り替え可能な送風領域には、その一部をなす所定面積範囲の内側領域と、該内側領域より外方の外側領域と、を有し、前記制御部が、前記外側領域において前記送風方向が上下方向及び左右方向に変動するように前記上下首振り用モータ及び前記左右首振り用モータを制御可能としたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の送風機は、送風領域の一部をなす内側領域より外方の外側領域において送風方向が上下方向及び左右方向に変動するように動作させることができる。そのため、本発明の送風機は、例えば就寝時に内側領域が使用者の正面に向くように設置して使用すると、使用者に当たる直接風を抑制できる。これにより、例えば就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本発明の送風機によれば、外側領域への送風により室内に対流風の流れを形成できる。対流風が形成されることにより、所謂そよ風のような心地よい風が室内を流れるようになり、使用者が快適に過ごせる環境を構築できる。
【0021】
ここで、上述したように左右への首振り動作を可能としつつ、左右方向に形成される送風領域に応じて動作条件を相違させる場合、想定したとおりの効果を得るためには、左右方向への送風部の位置決め精度を向上させることが好ましい。このような課題を解決する方法として、例えば人感センサや、送風部の位置を検出するためのセンサ等の検知装置を設け、この検知装置による検知結果に基づいて動作制御する方法等が考えられる。しかしながら、前述の検知装置等を設ける場合には、その分だけ装置構成や制御が複雑になってしまうという問題がある。
【0022】
そこで、かかる問題を解消すべく提供される本発明の送風機は、前記制御部が、前記送風方向を変更させる動作を終了するための動作条件、及び前記送風部による送風を終了するための動作条件のいずれか一方又は双方を満足すること条件として、前記送風部が所定の基準位置に戻るように、前記左右首振り用モータを作動させることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の送風機は、送風方向を変更させる動作を終了する際や、送風部による送風を終了する際に、送風部が基準位置に戻る。そのため、本発明の送風機は、使用開始時に基準位置から送風部が作動し始める。従って、本発明の送風機は、使用者が基準位置を基準として設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、本発明の送風機は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0024】
ここで、左右方向に送風部を首振り動作させる場合、送風部の左右方向への振り幅が使用者がいるエリアよりも広い範囲となるように動作させれば、直接風が人に当たり続けるのを抑制できると考えられる。しかしながら、本発明の送風機は、上述したように対流風を形成できるものであり、送風部の左右方向への振り幅を過度に広い範囲としなくても直接風が人体に当たり続けるのを抑制できる。従って、本発明の送風機は、送風部の左右方向への振り幅を使用状況等に応じて最適化できるようにすることが望ましい。
【0025】
かかる知見に基づいて提供される本発明の送風機は、前記制御部が、前記左右首振り機構部による前記左右方向の振り幅を複数の角度範囲に調整可能としたことを特徴とするものである。
【0026】
かかる構成によれば、例えば人が居るエリアの大きさ等の使用条件に応じて送風部の左右方向への振り幅を最適化できる。
【0027】
上述した本発明の送風機は、台座となる台座部と、前記台座部に対して立設され、前記送風部を支持する支柱と、を有し、前記台座部内に、前記支柱を回転させる支柱回転機構を備えており、前記支柱が、前記台座に接続された外筒部と、前記送風部に対して直接的あるいは間接的に接続され、前記外筒部の内側において回転自在に支持された内筒部とを有し、前記内筒部が、基端側において前記支柱回転機構に対して連結されると共に、前記支柱の中間において前記外筒部との間に設けられた支承部材により支承されているものであると良い。
【0028】
かかる構成によれば、支柱のぐらつきを抑制しつつ、左右方向へのスムーズな首振りが可能な送風機を提供できる。
【0029】
上述した本発明の送風機は、イオン及びオゾンを放出可能なイオン発生器を有し、前記制御部が、前記送風部による送風の強弱に対応して、前記イオン発生器よるイオン及びオゾンの放出を停止あるいは低減させるものであると良い。
【0030】
かかる構成によれば、送風部による送風の強弱に対応して、イオン発生器による効果も調整できる。
【0031】
上述した本発明の送風機は、前記送風部から離れた位置に設置可能であり、かつ、その位置での風速を検知可能な風速検知部を有し、前記制御部が、前記風速検知部により検知された風速に基づいて、前記送風用モータを制御するものであると良い。
【0032】
かかる構成によれば、送風検知部により検知された風速に応じて、適切な送風強度となるように送風用モータを動作制御できる。
【0033】
上述した本発明の送風機は、前記制御部が、前記風速検知部により検知された風速に基づいて、前記送風方向の制御を行うものであると良い。
【0034】
かかる構成によれば、風速検知部により検知された風速に応じて、適切な送風方向となるように動作制御できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、人体に風が当たり続けることによる悪影響を抑制しつつ、快適に過ごせる環境を形成可能な送風機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る送風機を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示した送風機の台座部近傍における内部構造を示した斜視図である。
【
図6】
図1に示した送風機において収容部に内蔵されている上下首振り用モータ、上下首振り機構部、及びこれらの近傍の構成を示した斜視図である。
【
図8】(a)は
図1に示した送風機が第一上下送風域UD1において送風を行っている状態、(b)は第二上下送風域UD2において送風を行っている状態を説明する説明図である。
【
図9】
図1に示した送風機において上下方向への首振り動作の開始段階で送風部が上下方向基準位置から外れた位置に存在している場合における動作の一例について段階を追って説明するための説明図である。
【
図10】
図1に示した送風機において上下方向への首振り動作の開始段階で送風部が上下方向基準位置から外れた位置に存在している場合における動作の変形例について段階を追って説明するための説明図である。
【
図11】(a)は第二変形例に係る送風機における送風領域内に規定される各領域に係る説明図、(b)は(a)の変形例に係る説明図である。
【
図12】第三変形例に係る送風機の送風領域内に規定される各領域についての説明図である。
【
図13】第四変形例に係る送風機の送風領域内に規定される各領域についての説明図である。
【
図14】第五変形例に係る送風機における送風部の左右方向への振り幅についての説明図である。
【
図15】
図1に示した送風機と他の機器との連携について説明図である。
【
図16】第七変形例に係る送風機の要部を拡大しつつ、収容部の内部構造が視認できる形態で示した右側面図である。
【
図17】第七変形例に係る送風機の要部を拡大しつつ、要部の内部構造が視認できる形態で示した斜視図である。
【
図18】第七変形例に係る送風機の要部を示した分解斜視図である。
【
図19】第七変形例に係る送風機の動作を説明するための説明図である。
【
図20】第七変形例に係る送風機が備えるバックラッシュ相殺機構部の動作を説明するための説明図である。
【
図21】バックラッシュ相殺機構部を備えていない送風機において、送風部の仰角が略90度の位置において首振り方向を切り替える前後における第一ギア及び第二ギアの状態を説明するための説明図である。
【
図22】第七変形例に係る送風機において、送風部の仰角が略90度の位置において首振り方向を切り替える前後における第一ギア及び第二ギアの状態を説明するための説明図である。
【
図23】(a),(b)はそれぞれ、弾発部材の変形例を示す斜視図である。
【
図24】第八変形例に係る送風機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態に係る送風機10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、先ず送風機10の構成について説明した後、送風機10に特有の動作について詳細に説明する。
【0038】
≪送風機10の構成について≫
図1~
図4に示すように、送風機10は、台座部20、支柱30、及び送風部50を有する。送風機10は、台座部20に対して支柱30が立設され、その上端側に送風部50を設けた外観構成とされている。
【0039】
台座部20は、送風機10の台座をなす部分である。
図5や
図7等に示すように、台座部20の内部には、左右首振り用モータ22や、左右首振り機構部24、制御基板26(制御部)、電源基板28等が内蔵されている。また、台座部20の表面には、操作部60が設けられている。
【0040】
左右首振り用モータ22は、送風部50を左右方向に首振り動作させるための動力源となるものである。左右首振り用モータ22には、ステッピングモータが採用されている。ステッピングモータは、パルス信号(パルス電力)に同期して動作するモーターであって、左右首振り用モータ22は、制御基板26から出力される制御信号(パルス信号)に対応して、時計の秒針のように一定の角度ずつ回転し、精確に動作制御可能とされている。左右首振り用モータ22は、左右首振り機構部24に対して動力伝達可能なように接続されている。左右首振り機構部24は、複数のギアを噛合させることにより、左右首振り用モータ22から入力されたトルクを増幅して伝達可能としたものである。左右首振り機構部24は、複数のギアを噛合させた状態でユニット化したギアボックスで構成されており、左右首振り用モータ22から入力された動力に基づいて作動し、後述する支柱30の内筒部34に向けて動力を出力可能とされている。
【0041】
制御基板26は、操作部60やリモコン62を介して入力された操作信号に基づいて処理を行い、各部に動作指令信号を出力可能なものとされている。また、電源基板28は、電源コードを介して入力される電力から、送風機10の作動に必要とされる出力電力を生成する電力変換回路を備えている。
【0042】
支柱30は、送風部50を支持するためのものであり、台座部20の表面から上方に向けて立設されている。
図7等に示すように、支柱30は、外筒部32、内筒部34、及び支承部材36を有する。外筒部32は、台座部20に接続され、上下方向に連通した筒状の部分である。外筒部32は、基端側(図示例の下端側)において台座部20の内部に連通している。
【0043】
内筒部34は、外筒部32に対して軸線方向への摺動、及び軸線周り方向への回転が可能なように内挿される円筒状の部分を有する。また、内筒部34は、上端側に収容部38を有する。収容部38には、後に詳述する上下首振り用モータ40や上下首振り機構部42が収容されている。内筒部34は、収容部38を介して送風部50に対して接続されている。また、内筒部34は、基端側(台座部20内)において、上述した左右首振り機構部24に対して連結されている。
【0044】
また、支承部材36は、支柱30の中間において外筒部32と内筒部34との間に設けられている。本実施形態では、支承部材36は、リング(円環)状に形成され、外筒部32の先端側(上端側)の位置に取着されている。支承部材36は、内筒部34の中間部において、内筒部34を回転自在に支承する。
【0045】
上下首振り用モータ40は、送風部50を上下方向に首振り動作させるための動力源となるものである。上下首振り用モータ40には、ステッピングモータが採用されている。上下首振り用モータ40は、制御基板26から出力される制御信号に基づいて動作制御可能とされている。上下首振り用モータ40は、上下首振り機構部42に対して動力伝達可能なように接続されている。上下首振り機構部42は、ギアボックスの内部に収容されている複数のギア(図示せず)を噛合させることにより、上下首振り用モータ40から入力されたトルクを増幅して伝達可能としたものである。上下首振り機構部42は、上下首振り用モータ40から入力された動力に基づいて作動し、送風部50に向けて動力を出力可能とされている。上下首振り用モータ40及び上下首振り機構部42を支柱30の収容部38に収容することで、送風部50を軽量化でき、送風部50を上下首振りさせる際に必要なトルクを軽減できる利点がある。なお、上下首振り機構部42は、ラチェット機構を有し、手動で送風部50を上下方向に首振り動作させることが可能である。
【0046】
図4や
図7等に示すように、送風部50は、ファンガード52、送風用モータ部54、及びファン56等から構成されている。ファンガード52は、送風機10の正面側に配される前ファンガード52a、及び送風機10の背面側に配される後ファンガード52bとを有する。ファンガード52は、前ファンガード52a及び後ファンガード52bを一体化することにより形成される内部空間に、ファン56を回転可能なように収容できる。
【0047】
前ファンガード52aには、正面視で渦巻き状となるように形成されたリブ52cが設けられている。前ファンガード52aの正面には、周方向に隣接するリブ52c,52cの間に形成された隙間を介して、ファン56の回転に伴って発生した風を排出可能とされた排出部52dが設けられている。また、前ファンガード52aは、外側(正面側)に向けて略ドーム状に膨出するように形成されている。前ファンガード52aを膨出して形成することにより、風が送風方向の中央に集まり(収束し)、風速を向上でき、送風部50にて発生する気流(スパイラル気流)の到達距離を伸長できる利点がある。また、送風機10の組立状態において、排出部52dとファン56との間に風洞部52eが形成される。
【0048】
後ファンガード52bには、放射状にリブ52fが設けられている。後ファンガード52bの背面には、周方向に隣接するリブ52f,52fの間に形成された隙間を介して、空気を導入可能とされた吸気部52gが設けられている。
【0049】
図7等に示すように、送風用モータ部54には、送風用モータ54aが組み込まれている。送風用モータ54aは、ファン56を回転させるための動力源となるものである。本実施形態では、送風用モータ54aにはDCモータが用いられており、多段階(本実施形態では10段階)に速度調整可能とされている。送風機10は、制御基板26の制御の下、送風用モータ54aの出力調整を行うことにより、風速調整可能とされている。
【0050】
≪送風機10の動作について≫
続いて、送風機10に特有の動作について説明する。送風機10は、操作部60やリモコン62を介して動作条件を入力する操作を行うことにより、動作させることができる。具体的には、送風機10は、操作部60等を介して送風運転の開始及び停止、風速の設定、左右方向への首振り及び上下方向への首振りの開始及び停止等の動作条件を入力することができる。送風機10は、操作部60等による入力に応じて制御基板26から出力される出力信号に基づき、送風用モータ54aや左右首振り用モータ22、上下首振り用モータ等の動作制御がなされる。このようにして、送風機10は、操作部60等を介して入力された入力条件に則った動作を行える。
【0051】
ここで、送風機10は、上述したような基本動作に加え、予め規定された特定の動作モードで動作できる。具体的には、送風機10は、使用者により選択される一定の風速で連続的に送風を行う連続モード、風速の強弱を切り替えながら送風を行うリズムモード、さらに、例えば、就寝時に適した条件で運転を行う動作モードとして、おやすみモードと称する動作モードが規定されている。おやすみモードは、就寝中の人に当たる直接風を弱くしつつ、就寝中の人に直接当たらない方向に直接風よりも高い風速で送風し、室内に対流風を形成することを想定して送風運転を行う動作モードであり、対流風モードと換言しても良い。
【0052】
おやすみモードが選択された場合、送風機10は、上下首振り用モータ40を作動させることにより、送風方向が下向きに傾いた角度から、上向きの角度まで上下方向に所定の角度範囲に亘る送風領域内で往復動するように送風部50の姿勢を変化させつつ、送風を行う。具体的には、本実施形態では、送風領域が下向きに略15度傾いた角度から、上向きに略90度の角度まで上下方向に略115度に亘る送風範囲内で往復動するように送風部50の姿勢を変化させつつ、送風を行う。
【0053】
ここで、
図3等に示すように、上述した上下方向への送風領域のうち、下向き略15度(略-15度)から上向き略15度の角度範囲に亘る送風領域を第一上下送風域UD1、この第一上下送風域UD1の上方であって、所定の上向き角度θ1から上向き略90度の角度範囲に亘る送風領域を第二上下送風域UD2、第一上下送風領域と第二送風領域との間の角度範囲(略+15度を超えて所定の上向き角度θ1未満の範囲)に亘る送風領域を第三上下送風域UD3と規定する。このように規定した場合、おやすみモードにおいては、第一上下送風域UD1から、第三上下送風域UD3を経て第二上下送風域UD2に至る経路、及びその逆方向への経路で送風方向が変動するように上下首振り用モータ40が動作制御される。
【0054】
また、おやすみモードにおいては、第一上下送風域UD1における風速Y1より第二上下送風域UD2における風速Y2(Y2>Y1)の方が高くなるように送風用モータ54aの出力が制御される。例えば、おやすみモードにおいては、風速Y1が1であるのに対し、風速Y2が5となるように出力制御を行ったり、風速Y1が4であるのに対し、風速Y2が8となるように出力制御を行うなど、風速Y2>風速Y1の関係が成立するように送風用モータ54aの出力が制御される。
【0055】
また、おやすみモードが選択されている場合には、第三上下送風域UD3において風速が次第に変動するように送風用モータ54aが制御される。具体的には、送風部50が下から上に向けて首振りを行っている場合、すなわち送風部50が第一上下送風域UD1から、第三上下送風域UD3を経て第二上下送風域UD2に至る経路で首振りを行っている場合、第三上下送風域UD3における風速Y3が風速Y1から風速Y2に向けて次第に風速が高くなるように、送風用モータ54aが制御される。これとは逆に、送風部50が上から下に向けて首振りを行っている場合、すなわち送風部50が第二上下送風域UD2から、第三上下送風域UD3を経て第一上下送風域UD1に至る経路で首振りを行っている場合、第三上下送風域UD3における風速Y3が風速Y2から風速Y1に向けて次第に風速が低くなるように、送風用モータ54aが制御される。
【0056】
また、送風機10は、操作部60やリモコン62による操作により、タイマー設定することができる。具体的には、送風機10は、設定された時間が経過した後に動作を停止させる切タイマー機能と、設定された時間が経過した後に動作を開始させる入タイマー機能とを備えている。送風機10は、切タイマー機能、及び入タイマー機能を設定する順序に応じて、複雑なタイマー設定を直感的に行うことができる。
【0057】
具体的には、送風運転を行っている状態において、現時点からt1時間経過した時点で送風を停止し、送風停止した時点からt2時間経過した時点で送風を再開するためのタイマー設定を行う場合には、先ず切タイマーをt1時間に設定した後、入タイマーをt2時間に設定する。また、送風運転を停止している状態において、現時点からt3時間経過した時点で送風を開始し、送風開始した時点からt4時間経過した時点で送風を停止するためのタイマー設定を行う場合には、先ず入タイマーをt3時間に設定した後、切タイマーをt4時間に設定する。このように、送風機10は、予定している動作開始及び動作停止の順番に応じて切タイマー機能、及び入タイマー機能の設定を行うことにより、複雑なタイマー設定を直感的に行うことができる。
【0058】
上述したように、本実施例の送風機10は、第一上下送風域UD1、及びこれよりも上方の第二上下送風域UD2及び第三上下送風域UD3を含む上下方向への送風範囲にわたって送風方向を変動させつつ、送風することができる。これにより、送風機10は、
図8(a)に示すように使用者に向かうように進む直接風の流れを形成するだけでなく、
図8(b)に示すように室内の空気を攪拌するように流れる対流風の流れを形成できる。第一上下送風域UD1における風速Y1より第二上下送風域UD2における風速Y2(Y2>Y1)を高く設定することで、直接風の流れを比較的弱く(軽減)し、対流風の流れを比較的強く形成できる。そのため、本実施例の送風機10によれば、就寝時に使用されたとしても、風が当たり続けて身体が冷えてしまうといった問題を抑制しつつ、そよ風のような心地よい風が室内を流れ、使用者が快適に過ごせる環境を構築できる。
【0059】
また、本実施形態の送風機10は、第一上下送風域UD1と第二上下送風域UD2の間にある第三上下送風域UD3において風速が段階的あるいは無段階に変動するように送風用モータ54aを制御することとしている。そのため、送風機10は、第一上下送風域UD1と第二上下送風域UD2との間で風速が急激に変化することによる騒音や、巻き込み風の発生等を抑制できる。
【0060】
なお、本実施形態では、第一上下送風域UD1と第二上下送風域UD2の間に第三上下送風域UD3を設け、この第三上下送風域UD3において風速Y3が徐々に変化するような構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、送風機10は、第三上下送風域UD3における風速Y3が、風速Y1,Y2の中間値で一定で動作するものであっても良い。また、送風機10は、第三上下送風域UD3に相当する領域がなく(この場合、所定の上向き角度θ1=上向き略15度)、第一上下送風域UD1及び第二上下送風域UD2の2領域のみからなるものであっても良い。また、おやすみモードにおいて、強弱を複数段階に設定できるのが好ましい。例えば、弱であれば、第一上下送風域UD1における風速Y1が1であるのに対し、第二上下送風域UD2における風速Y2が5となり、強では、風速Y1が4であるのに対し、風速Y2が8となるように出力制御を行う。おやすみモードの強弱を設定可能とすることで、部屋の広さ、送風対象との距離の変化に対応することができる。
【0061】
なお、本実施形態の送風機10のように、上下方向に複数の領域を規定し、就寝中の人が存在しているものとの想定される領域(第一上下送風域UD1)、及びこれ以外の領域(第二上下送風域UD2、第三上下送風域UD3)で送風条件を変更する場合には、おやすみモードによる動作開始時における送風部50の上下方向への位置を把握できる構成とすることが好ましい。送風部50の位置を把握するための方策として、送風部50の上下方向への位置を検出するための検知手段(具体的にはIRセンサなど)を設ける等しても良い。また、上下方向への首振り運転を停止するための動作条件が成立すること、停止ボタンを押下する等して送風を停止するための動作条件が成立すること、おやすみモードによる運転開始のための条件が成立すること等の条件を開始条件として、上下方向の基準位置(上下方向基準位置)まで送風部50を戻すように制御するようにしても良い。なお、上下方向基準位置は、いかなる位置であっても良いが、例えば第一上下送風域UD1内の所定の位置等とすると良い。このような構成とすることにより、使用者が基準位置を基準として送風機10を設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、前述のように基準位置に戻る構成とすれば、送風機10は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0062】
なお、上述したようにして運転終了等のタイミングにおいて送風部50を上下方向基準位置に戻すこととしても、手動により送風部50の向きが上下方向に切り替えられる等して、次の運転開始時に送風部50が制御基板26において認識されている位置(上下方向基準位置)から外れた位置に存在しているケースが想定される。そのため、送風機10は、このようなケースにおいて、制御基板26において認識されている送風部50の位置と、実際の送風部50の位置にズレを解消できるものであることが望ましい。具体的には、送風機10は、以下に記載するような動作を上下方向への首振り動作の開始段階で行うようにすることが望ましい。
【0063】
すなわち、
図9に示すように、送風機10は、上下方向への首振り動作の開始段階で、先ず上下方向への揺動範囲の上限まで送風部50を移動させるために必要な分だけ上下首振り用モータ40を作動させる。ここで仮に、
図9(a)に示すように首振り動作の開始段階において、送風部50が上下方向基準位置よりも上方に外れた位置にある場合には、送風部50が上下方向基準位置から動作を開始した場合よりも早く揺動範囲の上限位置に達し、停止した状態になる(
図9(b)参照)。その後、
図9(c)に示すように。送風機10は、送風部50を揺動範囲の下限位置まで移動させる。このような動作を行うことにより、制御基板26において認識されている送風部50の位置(上下方向基準位置)と、実際の送風部50の位置にズレがあったとしても、送風部50が最初に上下方向に揺動する動作により前述したズレが解消される。
【0064】
送風機10は、上述したようにして制御基板26において認識されている送風部50の位置(上下方向基準位置)と、実際の送風部50の位置にズレを解消することが可能であるが、これに限定されず例えば
図10に例示するような他の方法により前述のズレを解消することも可能である。
図10に例示した方法についてさらに詳細に説明すると、送風部50の上下方向への可動範囲が
図10(a)に矢印で示すような範囲である場合において、先ず上下方向への首振り動作の開始段階において、
図10(b)に示すように第一段階として上下方向への揺動許容範囲に対して微少な角度a1分だけで送風部50が上下方向に移動するように上下首振り用モータ40を作動させる。その後、
図10(c)に示すように、第二段階として、前述の第一段階において揺動させたのとは逆方向に、第一段階において送風部50が上下方向への動作を開始した位置を超えてさらに下方側に到達するように角度a2分だけ送風部50を揺動させる。その後、
図10(d),(e)に示すように、先に行ったのと同様の要領により、前段階における動作方向とは逆方向であって、前段階における送風部50の上下方向への揺動開始位置を超える位置まで角度a3,a4分だけ送風部50を揺動させる動作を繰り返す。上下方向への揺動開始段階において、制御基板26において認識されている送風部50の位置(上下方向基準位置)と、実際の送風部50の位置にズレがあった場合でも、このような動作を繰り返すうちに、前述のズレが解消される。やがて、送風部50の揺動範囲が揺動許容範囲の上限まで到達した状態(
図10(e)の状態)になると、前述のズレを解消するための動作が完了する。このような方法により前述のズレを解消することとすれば、ズレ解消のために送風部50が上下方向に揺動せず停止しているタイムラグを最小限に抑制できる。
【0065】
また、送風機10は、上述した構成に加え、イオンと共にオゾンを放出可能なイオン発生器70を設けたものとしても良い。
図2と
図7に示すように、イオン発生器70は、例えば、送風部50の下部に配置することができる。なお、イオン発生器70は、送風部50の上部に配置しても良く、あるいは、送風部50の外側に付設しても良い。イオン発生器70により発生したイオン及びオゾンは、送風部50において発生した風により、拡散させることができる。イオン発生器70を設ける場合には、直接風が発生する第一上下送風域UD1において送風部50が作動している間はイオン発生器70を停止させ、対流風が発生する第二上下送風域UD2や第三上下送風域UD3において送風部50が作動している間にイオン発生器70を作動させると良い。
【0066】
また、本実施形態の送風機10は、
図15に示すように、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0067】
また、上述したように、支柱30は、外筒部32及び内筒部34を有し、内筒部34が、基端側において左右首振り機構部24に対して連結されると共に、支柱30の中間において外筒部32との間に設けられた支承部材36により支承されたものとされている。そのため、本実施形態の送風機10は、支柱30の安定度が高く、さらに左右方向への首振り動作をスムーズに行うことができる。なお、本実施形態では、前述したような構成の支柱30を採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成であっても良い。
【0068】
また、本実施形態では、予定している動作開始及び動作停止の順番に応じて切タイマー機能、及び入タイマー機能の設定を行うことにより、複雑なタイマー設定を直感的に行えるようにした例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば現時点からt1時間経過した時点で送風を停止し、送風停止した時点からt2時間経過した時点で送風を再開するためのタイマー設定を行う場合には、現時点を基準として切タイマーをt1時間、入タイマーをt1+t2時間に設定するようなもの等としても良い。また、送風機10は、切タイマー機能、及び入タイマー機能を備えていないものであっても良い。
【0069】
≪第一変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第一変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0070】
上記実施形態で示した送風機10は、おやすみモードでの運転中に、第一上下送風域UD1、第二上下送風域UD2、及び第三上下送風域UD3の3領域に亘って送風部50を上下方向に首振り動作させつつ、各領域毎に風速調整しながら送風運転を行うものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、本変形例の送風機10は、おやすみモードでの運転中に第二上下送風域UD2、及び第三上下送風域UD3の2領域のみで送風運転を行い、第一上下送風域UD1への首振り動作や送風運転を行わない(風速Y1=0)。このようにすることで、就寝中の人に風が直接当たらないようにしつつ、室内を循環する対流風を発生させることができる。従って、本実施例の送風機10を就寝時に使用すれば、就寝中の人体に風が当たり続けることにより懸念される体温の低下や、起床時の倦怠感を抑制しつつ、快適に就寝可能な環境を形成できる。
【0071】
なお、本変形例において、第二上下送風域UD2及び第三上下送風域UD3の双方における風速Y2,Y3は、それぞれ同一であっても相違していても良い。また、本変形例において、送風機10は、上記実施形態に係る送風機10の場合と同様に、第三上下送風域UD3における風速Y3が風速Y1,Y2の間で次第に風速が変動するように、送風用モータ54aを制御するものであっても良い。
【0072】
また、第一変形例の送風機10についても、上記実施形態の送風機10と同様に、おやすみモードによる動作開始時における送風部50の上下方向への位置を把握できる構成とすることが好ましい。送風部50の位置を把握するための方策として、送風部50の上下方向への位置を検出するためのセンサを設けることとしたり、上下方向への首振り運転の停止時等に上下方向基準位置に送風部50を戻す制御を行うようにしても良い。送風機10を上下方向基準位置に送風部50を戻す制御を行うような構成とした場合には、使用者が基準位置を基準として送風機10を設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、前述のように基準位置に戻る構成とすれば、送風機10は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0073】
また、第一変形例の送風機10についても、イオン発生器70を、例えば送風部50の近傍等に配置しても良い。
【0074】
また、本変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0075】
≪第二変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第二変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0076】
上記実施形態で示した送風機10は、おやすみモードでの運転中に、上下方向に首振り動作させつつ、上下方向に規定された各領域毎に風速調整しながら送風運転を行うものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、本変形例の送風機10は、おやすみモードが選択された場合に、左右首振り用モータ22を作動させることにより送風部50を左右方向に首振り動作させつつ、左右方向に形成される各領域毎に風速調整して送風を行う。
【0077】
ここで、
図11(a)に示すように、上述した左右方向への送風領域のうち、送風部50が正面を向いた状態を基準として左右方向に所定の角度θ2の範囲を第一左右送風域LR1、第一左右送風域LR1より左右側外方の送風域を第二左右送風域LR2,LR2と規定する。このように規定した場合、おやすみモードにおいては、第一左右送風域LR1から左右方向一方側に隣接する第二左右送風域LR2に至る経路を往復して第一左右送風域LR1に戻った後、左右方向他方側にある第二左右送風域LR2に至る経路を往復する経路で送風方向が変動するように左右首振り用モータ22が動作制御される。
【0078】
また、おやすみモードにおいては、第一左右送風域LR1における風速X1より第二左右送風域LR2における風速X2(X2>X1)の方が高くなるように送風用モータ54aの出力が制御される。
【0079】
本変形例の送風機10のように、第一左右送風域LR1、及びこれよりも左右側外方の第二左右送風域LR2を含む左右方向に広がる送風範囲内で送風方向を変動させつつ、送風するようにすれば、就寝時に第一左右送風域LR1が使用者の正面に向くように設置して使用することにより、使用者に当たる直接風の強さを軽減できる。これにより、就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本変形例の送風機10によれば、第二左右送風域LR2への送風により対流風の流れを形成し、そよ風のような心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。
【0080】
なお、本変形例では、おやすみモードにおいては、第一左右送風域LR1においても低速の風速X1で直接風が流れるように送風用モータ54aを作動させる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一左右送風域LR1において送風用モータ54aへの通電を停止する等して、風速X1が略ゼロの状態で運転を行うものとしても良い。
【0081】
また、第二変形例では、左右方向への送風域を正面側にある第一左右送風域LR1と、これよりも左右方向外側に隣接する第二左右送風域LR2とに分類し、各領域における風速制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図11(b)に示すように、上記実施形態に示した送風機10において上下方向への送風域を3つに分類したのと同様に、第一左右送風域LR1と第二左右送風域LR2との間に、第三左右送風域LR3を設け、第三左右送風域LR3において風速X3が次第に変動するように送風用モータ54aを制御するものとしても良い。また、第一左右送風域LR1から、第二左右送風域LR2に至る経路で首振りを行っている場合に、第三左右送風域LR3における風速X3が風速X1から風速X2に向けて次第に風速が高くなるように制御したり、第二左右送風域LR2から、第一左右送風域LR1に戻る経路で首振りを行っている場合に、第三左右送風域LR3における風速X3が風速X2から風速X1に向けて次第に風速が低くなるように制御したりしても良い。
【0082】
なお、第二変形例の送風機10のように、左右方向に複数の領域を規定し、就寝中の人が存在しているものとの想定される領域(第一左右送風域LR1)と、それ以外の領域(第二左右送風域LR2)とで送風条件を変更する場合には、おやすみモードによる動作開始時における送風部50を把握できる構成とすることが好ましい。送風部50の位置を把握するための方策として、送風部50の位置を検出するためのセンサを設ける等しても良い。送風部50の位置を検出するためのセンサを設けることで、送風部50を無理矢理動かしたり、あるいは、停止させたりした場合でも、送風部50のセンター位置(基準位置)を補正することができる。また、左右方向への首振り運転を停止するための動作条件が成立すること、停止ボタンを押下する等して送風を停止するための動作条件が成立すること、おやすみモードによる運転開始のための条件が成立すること等の条件を開始条件として、左右方向の基準位置(左右方向基準位置)まで送風部50を戻すように制御するようにしても良い。なお、左右方向基準位置は、いかなる位置であっても良いが、例えば左右方向に首振り可能な角度範囲の略中央等とすると良い。送風機10を左右方向基準位置に送風部50を戻す制御を行うような構成とした場合には、使用者が基準位置を基準として送風機10を設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、前述のように基準位置に戻る構成とすれば、送風機10は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0083】
また、第二変形例の送風機10についても、イオン発生器70を、例えば送風部50の近傍等に配置しても良い。また、イオン発生器70を設ける場合には、直接風が発生する第一左右送風域LR1において送風部50が作動している間はイオン発生器70を停止させ、対流風が発生する第二左右送風域LR2において送風部50が作動している間にイオン発生器70を作動させると良い。
【0084】
また、本変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0085】
≪第三変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第三変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0086】
上記実施形態で示した送風機10は、おやすみモードでの運転中に、上下方向にのみ首振り動作をさせつつ、上下方向に規定された各領域毎に風速調整しながら送風運転を行うものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、本変形例の送風機10は、おやすみモードが選択された場合に、上下方向に加えて左右方向にも首振り動作をさせるようにし、上下左右に規定された各領域毎に風速調整しながら送風運転を行う。
【0087】
ここで、
図12に示すように、送風機10により首振り可能な領域を上下方向及び左右方向にそれぞれ複数の領域からなるものと規定する。具体的には、
図12に示す例においては、首振り可能な領域を上下方向に3つの領域、左右方向に5つの領域に分割し、全体として15の領域を想定する。これらの領域のうち、左右方向中央部であって最も下方にある領域を内側領域Iとし、これに対して隣接する領域、すなわち内側領域Iに対して上下左右及び斜め方向に1領域ずつ外れた位置にある領域を第一外側領域M、第一外側領域Mよりも外側にある領域を第二外側領域Oと規定する。図示例では、ベッド80の中心近傍に就寝の際に人が横たわる領域と仮定し、内側領域Iを左右方向中央部であって最も下方にある領域としている。このように各領域を規定すると、内側領域Iに対して直接的に隣接する位置には第二外側領域Oが存在せず、第一外側領域Mのみが存在する。
【0088】
第三変形例の送風機10は、おやすみモードで運転する際に、上述のように規定された各領域に送風方向が向くように左右首振り用モータ22及び上下首振り用モータ40を作動させつつ、各領域毎に送風強度を変化させつつ送風運転を行う。おやすみモードにおいては、内側領域Iに就寝中の人が存在しているものとの想定の下、送風強度の制御が行われる。具体的には、第三変形例の送風機10は、内側領域Iにおける風速Viが、第一外側領域Mにおける風速Vm及び第二外側領域Oにおける風速Voよりも低くなるように送風運転を行う(Vi<Vm,Vi<Vo))。また、送風機10は、第二外側領域Oにおける風速Voが、おやすみモードでの運転中において最大風速となるように送風運転を行う。第一外側領域Mにおける風速Vmは、内側領域Iにおける風速Viと、第二外側領域Oにおける風速Voとの中間値で一定、あるいは風速Vi,Vo間で次第に変化するように送風運転を行う。
【0089】
本変形例の送風機10は、送風領域の一部をなす内側領域I、及びこの外方にある第一外側領域M及び第二外側領域Oにおいて送風方向が上下方向及び左右方向に変動するように動作させることができる。また、本変形例の送風機10は、おやすみモードでの動作時に、内側領域Iにおける風速Viが、第一外側領域Mにおける風速Vm及び第二外側領域Oにおける風速Voよりも低くなるように送風運転を行う。そのため、本変形例の送風機10は、内側領域Iが使用者の正面に向くように設置して使用することにより使用者に当たる直接風の強さを抑制し、就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本変形例の送風機10によれば、第一外側領域M及び第二外側領域Oへの送風により形成される対流風により、心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。
【0090】
なお、第三変形例の送風機10のように、上下方向及び左右方向に複数の領域を規定し、就寝中の人が存在しているものとの想定される領域(内側領域I)と、それ以外の領域(第一外側領域M、第二外側領域O)とで送風条件を変更する場合には、おやすみモードによる動作開始時における送風部50を把握できる構成とすることが好ましい。送風部50の位置を把握するための方策として、送風部50の位置を検出するためのセンサを設ける等しても良い。また、左右方向への首振り運転を停止するための動作条件が成立すること、停止ボタンを押下する等して送風を停止するための動作条件が成立すること、おやすみモードによる運転開始のための条件が成立すること等の条件を開始条件として、所定の基準位置まで送風部50を戻すように制御するようにしても良い。なお、送風部50を戻す基準位置は、いかなる位置であっても良いが、例えば左右方向に首振り可能な角度範囲の略中央であって、送風部50が下方に所定の角度だけ傾いた位置等とすると良い。送風機10を基準位置に送風部50を戻す制御を行うような構成とした場合には、使用者が基準位置を基準として送風機10を設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、前述のように基準位置に戻る構成とすれば、送風機10は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0091】
また、第三変形例の送風機10についても、イオン発生器70を、例えば送風部50の近傍等に配置しても良い。また、イオン発生器70を設ける場合には、直接風が発生する内側領域Iにおいて送風部50が作動している間はイオン発生器70を停止させ、対流風が発生する第一外側領域M及び第二外側領域Oにおいて送風部50が作動している間にイオン発生器70を作動させると良い。
【0092】
また、本変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0093】
≪第四変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第四変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0094】
第四変形例の送風機10におても、上述した第三変形例と同様に、送風部50が首振り可能な領域を上下方向及び左右方向にそれぞれ複数の領域からなるものと規定する。第四変形例の送風機10は、おやすみモードで運転する際に、第三変形例のもののように全ての領域を通過する経路で送風部50を首振り動作させるのではなく、
図13に矢印で示すように、内側領域Iを避けるように送風部50を首振り運転させつつ、送風運転を行う。このように運転を行うことにより、内側領域Iに居ると想定される就寝中の人に向かう直接風を発生させることなく、対流風が発生するように運転を行うことができる。そのため、本変形例の送風機10は、。内側領域Iが使用者の正面に向くように設置して使用することにより使用者に当たる直接風の強さを抑制し、就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減できる。また、本変形例の送風機10によれば、第一外側領域M及び第二外側領域Oへの送風により形成される対流風により、心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。
【0095】
なお、第四変形例として示した送風機10は、第一外側領域M及び第二外側領域Oにおいて風速Vm,Voが略同一となる条件で送風用モータ54aを作動させても良いが、風速Vm,Voが相違する条件で送風用モータ54aを作動させるようにして良い。具体的には、上記第三変形例と同様に、第一外側領域Mにおける風速Vmを、風速Vi,Voの中間値で一定としたり、風速Vi,Vo間で次第に変化させるようにしても良い。
【0096】
また、第四変形例の送風機10についても、第三変形例の送風機10と同様に、おやすみモードによる動作開始時における送風部50の位置を把握できる構成とすることが好ましい。送風部50の位置を把握するための方策として、位置検出用のセンサを設けることとしたり、首振り運転の停止時等に所定の基準位置に送風部50を戻す制御を行うようにしても良い。送風機10を基準位置に送風部50を戻す制御を行うような構成とした場合には、使用者が基準位置を基準として送風機10を設置するだけで想定通りの効果が得られる。また、前述のように基準位置に戻る構成とすれば、送風機10は、基準位置を基準として動作し始めることを前提としたシンプルな動作制御により動作させることができる。
【0097】
また、第四変形例の送風機10についても、イオン発生器70を、例えば送風部50の近傍等に配置しても良い。
【0098】
また、本変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0099】
≪第五変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第五変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0100】
第五変形例の送風機10は、おやすみモードでの運転中において送風部50が左右方向に首振りで可能な範囲(振り幅)を複数の角度範囲に調整可能としたものである。具体的には、第五変形例の送風機10は、
図14に示すように。左右方向への振り幅をA1度、A2度、A3度(例えば、A1度=60度、A2度=90度、A3度=120度)の3段階の角度範囲に切り替え可能としている。
【0101】
一般的な扇風機では、送風方向の左右振り幅が使用者がいるエリアよりも広い範囲となるように設定して、直接風が人に当たり続けるのを抑制しているのであるが、これに対し、本変形例の送風機10は、おやすみモード(対流風モード)で、使用者がいるエリアに左右方向の振り幅を絞って動作させた場合であっても、直接風が人に当たり続けるのを抑制できる。これにより、就寝中に人体に風が当たり続けることによる身体の冷えや、起床時の倦怠感等の悪影響を軽減しつつ、対流風を発生させて心地よい風が室内を流れる快適な環境を構築できる。
【0102】
また、本変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
第五変形例の送風機10は、送風部50の左右方向への振り幅(A1度=60度、A2度=90度、A3度=120度)と、上下方向の可動域(具体的には105°)の比率が、整数倍にならないように設定されている。これは、上下左右同時首振り時の送風軌道がほぼランダムとなり、室内空気をムラなく撹拌するためである。
【0103】
≪第六変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第六変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0104】
第六変形例の送風機10は、風速検知部64を設けた点に特徴を有する。風速検知部64は、送風部50から離れた位置に設置可能なものとされている。風速検知部64は、他の構成部材等とは別に設けられていても良いが、例えばリモコン62やいわゆるスマートスピーカ104等、送風機10の使用者の近傍で使用されるものに設けると良い。
【0105】
風速検知部64は、配置された場所における風速を検知できる。風速検知部64により検知された風速に関するデータは、送風機10の制御基板26に送信可能とされている。制御基板26は、風速検知部64から受信した風速に関するデータに基づき、送風部50を首振り動作させて送風方向を切り替えたり、送風用モータ54aの出力を調整して風速の制御を行う。例えば、睡眠中の使用者が快適に過ごせるような対流風が発生しているか否かを風速検知部64により検知し、風速をコントロールすることとすると良い。また例えば、室内の空気を効率良く循環させるために、どの方向にどれぐらいの風速で送風するのが最適なのかを制御基板26において判定する処理を行い、送風部50の首振り動作と風速を自動制御するようにしても良い。また、送風機10は、リモコン62やスマートスピーカ104等が存在している位置を検出可能とし、当該位置検出結果に基づいて人が居る場所を推定し、直接風及び対流風が適切な場所に届くように左右首振り用モータ22や上下首振り用モータ40、送風用モータ54a等の動作制御を行うようにしても良い。
【0106】
さらに、第六変形例の送風機10は、いわゆるシーリング照明100や、エアコン102、スマートスピーカ104等の他の機器類と連携して、使用者が就寝している状態にあるのか否かを制御基板26等において推定し、推定結果に基づいておやすみモードで運転するか、他の動作モードで運転するのかを自動判定するようにしても良い。
【0107】
≪第七変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第七変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、図示及び詳細の説明については適宜省略する。
【0108】
上述したように、送風部50を上下方向に首振り可能とした送風機10は、送風部50が所定の角度を超えて上方に首振り動作を行った後、首振り方向が下方に切り替わる際に送風部50の動作がカクつき(ノッキング)を起こすのを抑制できるものであることが好ましい。すなわち、上述した送風機10において、上下首振り用モータ40から出力された動力をギア機構を介して伝達して送風部50を上下動させることとした場合、ギア同士の間に形成されるバックラッシュの影響により、送風部50が所定の角度を超えて上方に首振り動作を行った後、首振り方向が下方に切り替わる際にカクつき(ノッキング)が生じる可能性がある。
【0109】
かかる問題を解消すべく、第七変形例においては、送風部50が所定の角度を超えて上方に首振り動作を行った後、首振り方向が下方に切り替わる場合であっても、カクつき(ノッキング)が生じる可能性を最小限に抑制できる送風機10の提供を目的とした。
【0110】
かかる課題を解決すべく、第七変形例に係る送風機10は、以下のような特徴を備えたものとされている。
【0111】
(1)第七変形例に係る送風機は、ファンを備えた送風部と、前記送風部を上下方向に首振り動作させる上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部に向けて動力を出力する上下首振り用モータと、前記送風部の首振り動作方向が上方から下方に逆転する際に前記送風部に下方への付勢力を作用させる付勢手段を備え、該付勢手段は、前記送風部が所定の角度を超えて上方に首振り動作するときに前記送風部に対しての付勢力を作用させることを特徴とするものである。
【0112】
(2)また、第七変形例に係る送風機は、ファンを備えた送風部と、前記送風部を上下方向に首振り動作させる上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部に向けて動力を出力する上下首振り用モータと、前記送風部の首振り動作方向が上方から下方に逆転する際に前記送風部に下方への付勢力を作用させる付勢手段を備え、前記上下首振り機構部が、上方に向けて前記送風部が首振り動作するときに前記上下首振り用モータから正方向への回転動力を受けて正回転し、前記送風部が下方に向けて首振り動作するときに前記上下首振り用モータから逆方向への回転動力を受けて逆回転する第一ギアと、前記第一ギアに対して直接的あるいは間接的に噛合し、前記送風部と共に回転可能とされ、前記送風部が上方に向けて首振り動作するときに正方向に回転し、前記送風部が下方に向けて首振り動作するときに逆方向に回転する第二ギアと、を有し、該付勢手段は、前記送風部が所定の角度を超えて上方側の領域において首振り動作するときに前記第二ギアに対して逆方向への付勢力を作用させることを特徴とするものである。
【0113】
(3)第七変形例に係る送風機は、前記付勢手段が、弾発部材を備えており、前記弾発部材が弾性変形することにより前記付勢力を発生させるものであり、前記送風部が所定の角度以下の領域において首振り動作するときには、前記弾発部材が弾性変形せず、前記送風部が所定の角度を超えて上方において首振り動作するときに、前記弾発部材が弾性変形し、前記付勢力が発生するものであると良い。
【0114】
(4)第七変形例に係る送風機は、前記付勢手段が、弾発部材を備えており、前記弾発部材の一端が前記送風部側に固定され、前記弾発部材の他端側が自由端とされており、前記送風部が所定の角度を超えて上方側に向けて首振り動作することにより、前記弾発部材の前記自由端が他部材に当接して弾性変形し、前記付勢力が発揮されるものであると良い。
【0115】
(5)第七変形例に係る送風機は、前記送風部が所定の回転軸を中心として上下方向に首振り動作可能とされており、前記弾発部材が、前記送風部において前記回転軸の軸線方向に所定の間隔を開けて対称に配置されているものであると良い。
【0116】
第七変形例に係る送風機は、ファンを備えた送風部と、前記送風部を上下方向に首振り動作させる上下首振り機構部と、前記上下首振り機構部に向けて動力を出力する上下首振り用モータと、前記送風部の首振り動作方向が上方から下方に逆転したときに生じるバックラッシュを相殺するバックラッシュ相殺機構部と、を備えており、前記バックラッシュ相殺機構部が、所定の角度を超えて前記送風部が上方に首振りした状態になることを条件として前記送風部に対して下方に向かう方向への付勢力を作用させ、前記バックラッシュを相殺するものであることを特徴とするものであると良い。
【0117】
上述した構成によれば、送風部50が所定の角度を超えて上方に首振り動作を行った後、首振り方向が下方に切り替わる場合であっても、カクつき(ノッキング)が生じる可能性を最小限に抑制できる送風機10を提供できる。
【0118】
以下、上記(1)~(5)の構成を備えた送風機10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0119】
図16及び
図17は、第七変形例に係る送風機10について、収容部38近傍の内部構造が見えるようにカバー等を取り外した状態で示している。
図16~
図19に示すように、収容部38には、上下首振り用モータ40や上下首振り機構部42が内蔵されている。上下首振り機構部42は、複数のギアを互いに噛合させたものであり、上下首振り用モータ40の動力を送風部50側に伝達可能とされている。具体的には、上下首振り用モータ40は、
図16の紙面背後側に向けて突出した出力軸(図示せず)を有する。上下首振り用モータ40の出力軸には、出力ギア(図示せず)が出力軸と一体的に回転可能なように設けられている。
【0120】
一方、
図16や
図19等に示すように、上下首振り機構部42は、第一ギア120を有する。第一ギア120は、ギア比の異なる入力側ギア部122及び中間ギア部124を軸線方向に並べて形成したものである。第一ギア120は、入力側ギア部122において、上下首振り用モータ40に設けられた出力ギアと噛合している。また、第一ギア120は、中間ギア部124において送風部50側の第二ギア130と噛合している。第二ギア130は、送風部50と一体的に回転可能とされている。
【0121】
具体的には、本実施形態では、
図16等に示すように、第二ギア130の中心部を貫通し、第二ギア130と連動して回転可能なように設けられた回転軸134を有する。また、
図17や
図18に示すように、回転軸134は、収容部38の両側に設けられた側壁部152,152を貫通し、外部に取り出されている。回転軸134の両端部は、側壁部152,152に沿うように配置された保持部158,158に対して接続されている。また、保持部158,158は、送風部50に対して接続されている。さらに詳細には、保持部158は、送風部接続部158aと、弾発部材保持部158bとを有する。送風部接続部158aは、送風部50の背面に対して固定される部分である。本実施形態では、送風部接続部158aは、ネジ等の固定部材によって送風部50の背面側に固定されている。これにより、保持部158と送風部50とが一体化されている。そのため、
図19(a),(b)に示すように、送風機10は、第二ギア130を回動させることにより、第二ギア130の軸心位置を中心として送風部50を上下方向に回動させることができる。
【0122】
また、
図19や
図20に示すように、本実施例の送風機10では、第一ギア120を正方向(図示状態において反時計回り方向)に回転させると、第二ギア130が正方向(図示状態において時計回り方向)に回転する。これにより、送風部50は上方に向けて回動する。一方、第一ギア120を逆方向(図示状態において時計回り方向)に回転させると、第二ギア130が逆方向(図示状態において反時計回り方向)に回転する。これにより、送風部50は下方に向けて回動する。このように、送風機10は、上下首振り用モータ40による回転動力の出力方向を切り替え、第一ギア120の回転方向を変更することにより、送風部50の回動方向を上下方向に切り替えることができる。以下の説明においては、特に断りのない限り、送風部50が上方に向けて回動するときの第一ギア120及び第二ギア130の回転方向を正方向あるいは正回転方向、送風部50が下方に向けて回動するときの第一ギア120及び第二ギア130の回転方向を逆方向あるいは逆回転方向として説明する。
【0123】
また、
図16~
図20に示すように、送風部50の背面側には、付勢手段150が設けられている。
図17や
図20等に示すように、付勢手段150は、弾発部材154、及び当接部156を有する。
図17に示すように、付勢手段150は、収容部38に対して両側方(第一ギア120及び第二ギア130の軸線方向に隣接する位置)に略対称となるように配されている。すなわち、付勢手段150は、送風部50の背面側において側壁部152、弾発部材154、及び当接部156が第一ギア120及び第二ギア130の軸線方向に所定の間隔を開けて配置されている。なお、付勢手段150は、バックラッシュ相殺機構部と換言しても良い。
【0124】
図16や
図20等に示す実施形態において、弾発部材154は、略「く」字型に金属製の薄板を屈曲させた薄板ばねによって構成されている。具体的には、弾発部材154は、円弧部154aと、第一腕部154bと、第二腕部154cとが一体的に形成されたものである。円弧部154aは、金属製の薄板を円弧状に湾曲することにより形成された部分である。また、第一腕部154bは、円弧部154aの一端側に連なるように形成された直線状の部分である。第二腕部154cは、円弧部154aの他端側に連なるように形成された直線状の部分である。弾発部材154は、上述した側壁部152に隣接する位置に設けられた保持部158の挿通孔158cに第一腕部154bを差し込むことにより、側壁部152によって片持ち状に保持される。弾発部材154を側壁部152に保持された状態において、第二腕部154cは、自由端とされ側壁部152の外周側に露出した状態になる。弾発部材154は、このような姿勢で保持部158に保持された状態で、送風部50の上下方向への首振り動作に連動して保持部158と共に回動可能とされている。
【0125】
さらに詳細に説明すると、弾発部材154は、
図16~
図18に示すように、保持部158によって保持されている。保持部158は、側壁部152に対して第二ギア130の軸線方向両外側に隣接する位置に設けられている。弾発部材154は、保持部158の弾発部材保持部158bにおいて保持されており、送風部50の上下方向への首振り動作に連動して回動可能とされている。
【0126】
具体的には、弾発部材保持部158bは、送風部50に接続された送風部接続部158aと一体化されている。弾発部材保持部158bは、側壁部152に対して回転軸134の軸線方向外側に設けられた保持部配置部136内において回動可能なように配置されている。また、弾発部材保持部158bは、弾発部材154の一端側を保持できるものとされている。弾発部材保持部156bは、弾発部材154を保持できるものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では弾発部材154の第一腕部154bを保持可能な挿通孔158cにより形成されている。具体的には、挿通孔158cは、筒状に形成された弾発部材保持部158bの中心を外れた位置において弾発部材保持部158bの周面を貫通するように第一腕部154bを挿通可能な貫通孔とされている。弾発部材154は、挿通孔158に対して第一腕部154bを挿通することにより保持されている。そのため、弾発部材154は、第二腕部154cが弾発部材保持部158bの径方向外側に突出した姿勢で保持部158に保持されつつ、送風部50の上下方向への首振り動作に連動して保持部158と共に回動とされている。
【0127】
図16や
図17に示すように、当接部156は、保持部配置部136において円弧状に湾曲するように設けられた湾曲部136aの先端部分に設けられている。具体的には、湾曲部136aは、上述した弾発部材保持部158bに対して径方向外側において、弾発部材保持部158bの外周に沿うように湾曲している。当接部156は、湾曲部136aの先端部分に設けられている。
図19や
図20においてハッチングを付して示すように、当接部156は、送風部50が第二ギア130の軸心位置を中心として回動する際に、送風部50や保持部158と共に回動する弾発部材154の回動軌道上に位置している。
図20(a)に示すように、送風部50の仰角が低角度の領域において、当接部156は、弾発部材154から離れた位置にある。具体的には、当接部156は、送風部50の仰角が所定の角度よりも低い領域にあるときに弾発部材154が存在している位置に対し、第二ギア130の正方向(図示状態において時計回り方向)に外れた位置に存在している。そのため、送風部50の仰角が所定の角度よりも低い状態においては、当接部156は、弾発部材154から離れた位置にある。しかしながら、当接部156は、送風部50が上方に向けて回転し、仰角が90度以下の所定の角度以上に到達すると、弾発部材154の第二腕部154cに当接する位置にある。当接部156が弾発部材154の第二腕部154cに当接した状態で送風部50をさらに上方に向けて回動させると、弾発部材154が当接部156によって圧縮され、第二腕部154cが第一腕部154b側に近づく方向に弾性変形する。送風部50の仰角が略90度に達するまで回動すると、
図20(b)に示すように弾発部材154が最大限圧縮され、弾性変形した状態になる。
【0128】
付勢手段150は、上述したような構成とされている。そのため、付勢手段150は、当接部156に弾発部材154の第二腕部154cが当接する位置以上の領域まで送風部50が上方に傾斜した状態において、弾発部材154による弾発力を発生させ、第二ギア130を逆回転方向(送風部50が下方に向けて回動するときの回転方向)に付勢した状態とすることができる。また、送風部50の仰角が90度に近づく程、弾発部材154の圧縮量が増え、その分だけ第二ギア130に作用する付勢力が大きくなる。これにより、付勢手段150は、送風部50の仰角が所定の角度以上になった状態において、第一ギア120の中間ギア部124と第二ギア130とのバックラッシュを相殺することができる。
【0129】
さらに詳細に説明すると、仮に付勢手段150が存在していない場合には、
図21(a)に示すように、中間ギア部124をなす歯126における正回転方向側の歯側面126aと、第二ギア130の歯132における逆回転方向側の歯側面132aとが接触しつつ、中間ギア部124及び第二ギア130が正回転方向(図中の矢印A1,A2方向)に回転することになる。この際、中間ギア部124をなす歯126における逆回転方向側の歯側面126bと、第二ギア130の歯132における正回転方向側の歯側面132bとの間にバックラッシュ相当分の隙間110が形成される。このような隙間110ができた状態で送風部50の仰角が略90度になるまで送風部50が首振り動作した後、送風部50を下方向に首振り動作させるべく中間ギア部124が逆回転しはじめると、送風部50がカクつき(ノッキング)を起こす。すなわち、
図21(b)に示すように、中間ギア部124が逆方向(図中の矢印B1方向)に回転を開始した後、中間ギア部124の歯側面126bと、第二ギア130の歯側面132bとが接触する段階になると、前述の隙間110が解消される。その一方で、中間ギア部124の逆回転方向側にある歯側面126aと、第二ギア130の逆回転方向側にある歯側面132aとの間にバックラッシュ相当分の隙間112が形成された状態になる。この状態からさらに中間ギア部124が逆方向に回転すると、
図21(b)に矢印B2で示すように、中間ギア部124の歯126により第二ギア130の歯132が押し動かされる。この際、歯132に対して逆回転方向前方に隣接する位置に隙間112が形成されているため、第二ギア130及び送風部50が急激に回動し、カクつき(ノッキング)を起こす。
【0130】
しかしながら、本変形例の送風機10においては、付勢手段150により、上述したような送風部50のカクつき(ノッキング)を抑制できる。すなわち、本変形例の送風機10においては、送風部50が所定の角度を超えて上方側に首振り動作を行う際に、
図22(a)において矢印Fで示すように、弾発部材154による付勢力が第二ギア130に作用する。この付勢力の作用により、中間ギア部124の歯126における逆回転方向側の歯側面126bと、第二ギア130の歯132における正回転方向側の歯側面132bとが接触しつつ、中間ギア部124及び第二ギア130が正回転方向(図中の矢印C1,C2方向)に回転することになる。また、送風部50が所定の角度を超え、仰角が略90度になるまで上昇した後、首振り方向が下方に切り替わる際には、
図22(b)に示すように、歯側面126a,132bが接触したまま、中間ギア部124及び第二ギア130の回転方向が逆方向(図中の矢印D1,D2方向)に回転する。これにより、送風部50は、仰角が略90度の位置において首振り方向が切り替わる際にも、カクつき(ノッキング)を生じることなくスムーズに首振り動作を行うことができる。
【0131】
一方、当接部156に弾発部材154の第二腕部154cが当接する位置よりも下方の領域に送風部50が存在している場合には、弾発部材154には弾発力が発生せず、第二ギア130が弾発部材154から付勢力を受けることなく自由に回転可能な状態になる。そのため、送風部50は、仰角が所定の角度未満の状態において、弾発部材154から何ら負荷を受けることなく、自由に回動できる。
【0132】
なお、本変形例の送風機10についても、他の変形例と同様に、上述した構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成を変更可能である。例えば、本変形例では、弾発部材154として板バネを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弾発力を発生可能なものであればいかなる者であっても良い。例えば、
図23(a),(b)に示す弾発部材155,157ように、金属製の線材を加工することにより形成したもの等としても良い。具体的には、弾発部材155,157は、上述した弾発部材154の円弧部154aに相当する円弧部155a,157a、第一腕部154bに相当する第一腕部155b,157b、及び第二腕部154cに相当する第二腕部155c,157cが一体的に形成されたものである。弾発部材155,157のように線材を加工したものを用いれば、弾発力を分散させて発揮でき、より一層の耐久性向上等の効果が期待できる。また、上下首振り機構部42は、相互に噛合する複数のギアにより上下首振り用モータ40の駆動力を送風部50に伝達するものに限らず、リンク機構やその他回転伝達機構により送風部50の上下首振り動作を実現する構造のものを包含する。
【0133】
≪第八変形例≫
続いて、上記実施形態で示した送風機10の第八変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態や上記変形例に示したものと同一のものについては同一の符号を付し、図示及び詳細の説明については適宜省略する。
【0134】
図24に示すように、送風機10は、送風部50の背面側に収容部38を覆うように設けられた背面カバー160を有する。背面カバー160には、収容部38が一部が露出するように設けられた切欠162を有する。切欠162は、送風部50の幅方向に延びる上縁部164を有する。切欠162は、上縁部164と収容部38の外周面38aとの間に殆ど隙間が開かないように形成されている。また、外周面38aは、背面カバー160の内側まで延伸されている。これにより、送風部50が最も下方に傾斜した状態においても、外周面38aの端部が切欠162を介して外部に露出しない構成とされている。送風機10は、このような構成とされているため、例えば、送風部50が最も下方に傾斜した状態から上方に向けて首振り動作をし始めるタイミングなどにおいて、切欠162と収容部38の外周面38aとの間に誤って指等が挟み込まれるのを抑制できる。
【0135】
また、送風機10は、背面カバー160の下方側に、凹部170を有する。凹部170は、収容部38に対して幅方向両側に設けられている。このような凹部170を設けておくことにより、送風部50が上方側に向けて首振り動作を行っている際に、背面カバー160と収容部38との間に指等が挟み込まれるのを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、扇風機やサーキュレータ等の送風機全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0137】
10 :送風機
20 :台座部
22 :左右首振り用モータ
24 :左右首振り機構部
26 :制御基板
30 :支柱
32 :外筒部
34 :内筒部
36 :支承部材
40 :上下首振り用モータ
42 :上下首振り機構部
50 :送風部
54a :送風用モータ
56 :ファン
64 :風速検知部
70 :イオン発生器
I :内側領域
LR1 :第一左右送風域
LR2 :第二左右送風域
M :第一外側領域
O :第二外側領域
UD1 :第一上下送風域
UD2 :第二上下送風域
UD3 :第三上下送風域
Y1 :風速
Y2 :風速