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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】商品の販売方法と販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241021BHJP
【FI】
G06Q30/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024051607
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521222349
【氏名又は名称】株式会社Nice Eze
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松浦 学
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-081822(JP,A)
【文献】特開2024-007936(JP,A)
【文献】特開2023-169478(JP,A)
【文献】特開2023-068845(JP,A)
【文献】特許第7340308(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不特定者の侵入に対するセキュリティーが確保された複数の施設内にそれぞれ設定された空間に配送される、前記施設へのアクセスが許容されたユーザ宛の個別配送品に関する荷物情報を、前記空間の各々に対応して設けられる読取装置が読み取ること、
前記読取装置と通信接続されたサーバに対し、前記読取装置が前記荷物情報を送信すること、
前記荷物情報に基づき、前記サーバが前記空間の各々の空き容量を算出すること、ならびに
前記サーバが、前記空き容量、および前記施設に関する施設情報および前記ユーザに関するユーザ情報を利用し、前記複数の施設の前記空間に配送する商品と量を決定し、前記商品を配送する一つまたは二つ以上の施設を配送先施設として前記複数の施設から選択することを含む、商品の販売方法。
【請求項2】
前記ユーザの通信端末に対し、前記サーバが認証コードを送信することをさらに含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項3】
前記読取装置が前記商品に付される商品情報および前記認証コードを読み取り、前記サーバに送信することをさらに含む、請求項2に記載の販売方法。
【請求項4】
前記サーバが、
過去に配送された前記個別配送品の実績に基づき、各空間の前記空き容量予測をさらに行うこと、および
前記商品の前記量の前記決定と前記配送先施設の前記選択において、前記空き容量予測の結果をさらに利用することを含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項5】
前記荷物情報は、前記個別配送品の配送人、前記個別配送品の内容物、前記個別配送品の大きさ、および前記個別配送品の宛先の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項6】
前記施設情報は、前記施設の敷地面積、名称、階数、間取り、公示価格、販売価格、賃料、共益費、共有設備、および前記施設へのアクセスが許容された前記ユーザの数の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項7】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢、性別、前記ユーザの世帯構成の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項8】
前記商品の前記決定において、前記サーバが暦、天候、スポーツイベントの有無、およびイーコマスサイトのキャンペーン情報の少なくとも一つをさらに利用する、請求項1に記載の販売方法。
【請求項9】
前記サーバが、前記施設情報と前記ユーザ情報を利用し、前記配送先施設に優先順位を付すことをさらに含む、請求項1に記載の販売方法。
【請求項10】
商品を販売するためのシステムであり、
サーバ、および
不特定者の侵入に対するセキュリティーが確保された複数の施設内にそれぞれ設定された空間に対応して設けられる読取装置を備え、
前記読取装置は、前記サーバと通信接続可能なように構成され、
前記読取装置はさらに、前記施設への入館が許可されたユーザ宛の個別配送品に関する荷物情報を読み取り、前記サーバに送信するように構成され、
前記サーバは、前記荷物情報に基づき、前記空間の各々の空き容量を算出すること、前記空き容量、前記施設に関する施設情報、および前記ユーザに関するユーザ情報を利用し、前記複数の施設の前記空間に配送する商品と量を決定すること、ならびに前記商品を配送する一つまたは二つ以上の施設を配送先施設として前記複数の施設から選択することを実行するように構成される、システム。
【請求項11】
前記サーバは、前記ユーザの通信端末に対し、認証コードを送信するようにさらに構成され、
前記読取装置は、前記商品に付される商品情報および前記認証コードを読み取り、前記サーバに送信するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記サーバは、
過去に配送された前記個別配送品の実績に基づき、各空間の前記空き容量予測を行うこと、および
前記商品の前記量の前記決定と前記配送先施設の前記選択において、前記空き容量予測の結果を利用するようにさら構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記荷物情報は、前記個別配送品の配送人、前記個別配送品の内容物、前記個別配送品の大きさ、および前記個別配送品の宛先の少なくとも一つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記施設情報は、前記施設の敷地面積、名称、階数、間取り、公示価格、販売価格、賃料、共益費、共有設備、前記施設への入館が許可された前記ユーザの数の少なくとも一つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢、性別、前記ユーザの世帯構成の少なくとも一方を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記サーバは、前記商品の前記決定において、暦、天候、スポーツイベントの有無、およびイーコマスサイトのキャンペーン情報の少なくとも一つをさらに利用するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記サーバは、さらに、前記施設情報と前記ユーザ情報を利用し、前記配送先施設に優先順位を付すように構成される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、商品の販売方法、およびこの販売方法を実現するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子商取引(イーコマス)の発展に伴って荷物の配送量が飛躍的に増大しており、今後、高齢化世帯の増大に起因し益々増大していくことが予想されている。このような状況下において、所謂2024年問題と言われるドライバーの時間外労働時間の規制強化により、配送コストの増大や配送サービスの低下が懸念されている。このため、より効率的な荷物の配送方法が求められているだけでなく、商品の生産者、提供者に対してもより効率的なビジネスモデルの確立が求められている。
【0003】
効率的な配送方法を実現する一つの方法として「置き配」と言われる配送方法の利用が進みつつある(特許文献1参照)。置き配では、配送される荷物を施錠可能なロッカーなどに搬入するのではなく、荷物の配送人を含む第三者が自由にアクセス可能な場所(例えば、玄関先、車庫、施錠されていない物置や宅配ボックスなど)を受取人であるユーザが指定し、その場所に荷物を届けるという方法である。これにより、ユーザは在宅が要求されるというストレスから解放されるだけでなく、配送人にとっては荷物の再配送という負担が軽減される(例えば、特許文献1から4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-133219号公報
【文献】特開2019-149692号公報
【文献】特開2023-64606号公報
【文献】特開2022-35373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、商品を販売、配送するための新しい方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、配送コストの削減と商品価格の低減が可能な商品販売方法、およびこれを実現するためのシステムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一つは、商品の販売方法である。この販売方法は、(1)不特定者の侵入に対するセキュリティーが確保された複数の施設内にそれぞれ設定された空間に配送される、施設へのアクセスが許容されたユーザ宛の個別配送品に関する荷物情報を、上記空間の各々に配置される読取装置で読み取ること、(2)読取装置と通信接続されたサーバに対し、読取装置から荷物情報を送信すること、(3)サーバにおいて、荷物情報に基づき、複数の施設内の上記空間の各々の空き容量を算出すること、(4)サーバにおいて、施設に関する施設情報およびユーザに関するユーザ情報を利用し、複数の施設の空間に配送する商品と量を決定し、商品を配送する一つまたは二つ以上の施設を配送先施設として複数の施設から選択すること、ならびに(5)配送先施設の上記空間に商品を配置することを含む。
【0007】
本発明の実施形態の一つは、商品を販売するためのシステムである。このシステムは、サーバ、および読取装置を備える。読取装置は、不特定者の侵入に対するセキュリティーが確保された複数の施設内にそれぞれ設定された空間に配置される。読取装置は、サーバと通信接続可能なように構成される。読取装置はさらに、施設へのアクセスが許容されたユーザ宛の個別配送品に関する荷物情報を読み取り、サーバに送信するように構成される。サーバは、施設に関する施設情報およびユーザに関するユーザ情報を利用し、複数の施設の空間に配送する商品と量を決定し、商品を配送する一つまたは二つ以上の施設を配送先施設として複数の施設から選択するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来の商品販売方法を示す模式図。
図2】本発明の実施形態に係る商品販売方法を示す模式図。
図3】本発明の実施形態に係る商品販売方法で用いることができる宅配ボックスの模式的斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る商品販売方法で用いることができる専用コンテナの模式的斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る商品販売方法で利用される配送空間の一例を示す模式的正面図。
図6】本発明の実施形態に係る商品販売方法のフローチャートの一例。
図7】本発明の実施形態に係る商品販売システムのブロック図。
図8】本発明の実施形態に係る商品販売システムに含まれる読取装置の機能ブロック図。
図9】本発明の実施形態に係る商品販売方法のフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
以下、本発明の実施形態の一つに係る販売方法で販売される物を商品と呼ぶ。一方、ユーザがこの販売方法を利用せず、個別に発注して配送依頼を行う物を個別配送品と呼ぶ。商品と個別配送品を総じて荷物と呼ぶ。
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態の一つに係る商品の販売方法(以下、単に本販売方法と記すことがある)とそれを実現するためのシステム(以下、単に本販売システムと記すことがある)について説明する。
【0013】
1.商品の販売方法の概要
イーコマスにおける従来の商品の販売方法では、商品の買い手であるユーザがそれぞれ商品を選択、発注し、売り手がユーザの発注に従って直接または物流業者を通じて商品をユーザへ配送する(図1)。このため、売り手はユーザの個々の発注に対応し、広範囲に分散したユーザに対して商品を配送する必要がある。このようなビジネス形態は、配送コスト増大の大きな原因の一つである。
【0014】
これに対し、後述するように、本販売方法では、図2に示すように、売り手がユーザの需要を予測して一つまたは複数の商品を決定し、かつ、多くのユーザが利用する施設、すなわち、よりユーザ密度の高い施設に一括して配送する。この時、売り手は、ユーザに対して商品の購入を促進するためのプロモーションをさらに行ってもよい。ここで、施設とは、多数のユーザが利用または居住し、かつ、一定のセキュリティーが確保された施設であり、マンションなどの集合住宅、ビジネスビル、工場などが例示される。あるいは、アミューズメント施設やデパート、ショッピングモール、スポーツ施設などの商業施設、大学や専門学校などの教育施設、または医療機関や介護施設などでもよい。この場合、ユーザは、当該施設の使用人、従業員、学生、生徒、教師、患者、あるいは医者を含む医療従事者などである。
【0015】
さらに、本販売方法では、商品はユーザに個別配送されず、施設内に設定された一定の空間(配送空間)に一括して配送される。当該施設への入館が許容されているのは、当該施設を利用する若しくは当該施設に居住するユーザ、または商品を配送する特定の配送員に限られているため、商品や施設に対するセキュリティーが担保される。さらに、本販売方法では、商品の需要を予測するとともに、配送空間の空き容量を考慮および/または予測して商品とその量が決定される。また、より大量の商品の販売が見込める一つまたは二つ以上の施設だけが配送先施設として選択され、配送先施設の配送空間に商品が発送される。商品を購入するか否かはユーザが判断し、購入する場合には、ユーザは配送空間に対応して配置される読取装置を用いて購入、決済手続きを行う。
【0016】
2.配送空間
上述したように、商品の配送先は、ユーザ個々の住宅や住居ではなく、一定のセキュリティーが確保された施設内に設定された配送空間である。この配送空間には、商品だけでなく、本販売方法を介さないユーザ宛の個別配送品も配送される。すなわち、配送空間には、商品と個別配送品が混在する。
【0017】
配送空間としては、施錠可能な宅配ボックス内のロッカーが例示される。この場合、宅配ボックスまでは不特定者がアクセス可能であるが、宅配ボックス内部、すなわち、宅配ボックスに設けられるロッカーに対しては、施設へのアクセスが許容された者、具体的には、施設への入館または居住が許容されたユーザ、および、特定の配送人だけがアクセス可能である。配送空間として宅配ボックスを用いる場合、既設の宅配ボックスを利用可能であるため、低コストで本販売方法を適用することができる。また、宅配ボックスに温度調節機能を付与することで、長期間にわたって商品の温度を維持することができ、例えば生鮮食品や加熱した状態で提供することが相応しい商品を販売することも可能となる。
【0018】
宅配ボックスは、商品や個別配送品を梱包するための専用コンテナを格納するように構成された複数のロッカーを備える宅配ボックスでもよい。具体的には、図3に示すように、宅配ボックス120は施錠可能な扉124が設けられる複数のロッカー122を備え、複数のロッカー122の各々は、全てが同一の形状と大きさを有する専用コンテナ130を一つまたは複数収容可能なように構成されてもよい。このような宅配ボックス120では、各ロッカー122は、二つの動作モードで動作する。一方の動作モード(第1の動作モード)では、専用コンテナ130をロッカー122から引き出せるものの、抜き取ることはできない。他方の動作モード(第2の動作モード)では、専用コンテナ130をロッカー122から抜き取り、空のロッカー122に専用コンテナ130を格納することができる。
【0019】
専用コンテナ130の模式的斜視図を図4に示す。図4に示されるように、専用コンテナ130は、本体132、およびヒンジ136を介して本体132に取り付けられた蓋134を基本的な構成として備え、さらに把手140、ミラー142、ロック138、一つまたは複数の凸部144、一つまたは複数のトレンチ146などを有することができる。図示しないが、専用コンテナ130には、上述した第1の動作モードにおいて専用コンテナ130がロッカー122から抜き取られることを防止し、第2の動作モードにおいて専用コンテナ130がロッカー122から抜き取られることを許容するための機構が設けられる。
【0020】
本体132は、本販売方法で販売される商品、あるいはユーザが個別に発送依頼した個別配送品を格納する容器であり、その形状は直方体であることが好ましい。本体132は、全体または一部が透明でもよい。例えば、把手が設けられる面が透明であり、内部を観察できるように構成されていてもよい。扉124の全体または一部が透明であり、把手が設けられる面も透明であるように宅配ボックス120と専用コンテナ130を構成することで、扉124が閉じた状態でも専用コンテナ130内を目視で確認することができる。
【0021】
専用コンテナ130の大きさに制約はないが、例えば、内寸の奥行きは、150mm以上600mm以下、200mm以上500mm以下、または200mm以上400mm以下であり、典型的にはA4サイズに対応する長さ(297mm)である。内寸の幅は、100mm以上500mm以下、150mm以上400mm以下、または200mm以上300mm以下であり、典型的にはA4サイズに対応する幅(210mm)である。内寸の高さは、50mm以上20mm以下、75mm以上150mm以下、あるいは90mm以上125mm以下であり、典型的には100mmである。ユーザの個別配送品のほとんどの大きさは上述した範囲以下であるため、上記パラメータを満足するように専用コンテナ130を構成することで、大多数の個別配送品を同一サイズと形状を有する専用コンテナ130を用いて配送することができる。形状や大きさの異なる荷物をトラックなどの配送車に搭載する際、荷物の間に隙間が発生し、効率よく搭載できないことが多い。しかしながら、上記専用コンテナ130を用いることで、大量の専用コンテナを配送車に隙間なく搭載することができ、より効率の高い配送が可能となる。
【0022】
蓋134は、本体132を閉じる機能を有し、これにより、専用コンテナ130の配送中に荷物が専用コンテナ130から落下することが防止される。蓋134は、一部が本体132に固定され、他の一部がヒンジ136を中心に回転するように構成することができる。これにより、専用コンテナ130が部分的にロッカー122から引き出された状態でも蓋134を開けて商品または個別配送品を取り出すことができる。
【0023】
把手140を本体132に設けることで、専用コンテナ130を容易に運搬することができるとともに、専用コンテナ130のロッカー122からの引き出し、抜き取り、およびロッカー122への格納が容易になる。ロック138は、意図せず蓋134が開くことを防止するための機構であり、その構成も適宜決定される。なお、ロック138は鍵を用いなくても施錠、解錠できる構造を有することが好ましい。例えば、本体132と噛み合う回転式のピンやプレートでもよい。鍵を用いずに施錠、解錠できるようにロック138を構成することで、ユーザに対して鍵の所持を要求する必要がなくなり、容易に荷物を取り出すことが可能となる。
【0024】
トレンチ146は、ロッカー122に専用コンテナ130を配置した際にロッカー122に設けられるガイド(図示しない)と噛み合うように設けられる。これにより、ロッカー122内での専用コンテナ130の位置を固定することができるだけでなく、ロッカー122と専用コンテナ130間の摩擦が低減されるため、より容易に専用コンテナ130を引き出し、はめ込み、抜き取ることができる。凸部144は、蓋134の上面に設けられ、複数の専用コンテナ130を全体が重なるように積んだ際にトレンチ146と重なり、かつトレンチ146と平行になるように構成される。このようにトレンチ146と凸部144を同時に設けることにより、専用コンテナ130を複数重ねた場合に専用コンテナ130のずれが防止され、荷崩れが防止される。このことは、配送員の安全確保に寄与する。
【0025】
ミラー142は蓋134の内側に配置される。ミラー142を設けることで、本体132の内部を直接目視できない場合でも、ミラー142に反射した本体132内部を確認することができるため、取り残した荷物の有無を確認することができる。
【0026】
あるいは、配送空間として、仕切りや施錠可能な扉を持たない棚150でもよい(図5)。棚150は、セキュリティーが確保された施設内に設置されるため、当該施設の入館が許容されたユーザ、および、特定の配送人、すなわち、当該施設の入館が一時的または恒久的に許容された配送人のみが棚150に配置された荷物にアクセスすることができる。このため、荷物の盗難に対する抑止力が十分に働く。既存の宅配ボックスの多くは、仕切りと施錠可能な扉を有するため、荷物を格納できる量に大きな制約を受ける。例えば、荷物の大きさによっては、空きのロッカーが存在するにもかかわらず、適合するロッカーが利用できないために荷物を格納できず、再配送を余儀なくされることがある。しかしながら、仕切りや施錠可能な扉を持たない棚150を配送空間として利用することで、荷物の配置に高い自由度を提供することができるため、この問題を解決することができる。
【0027】
3.商品の販売方法
本発明の実施形態の一つに係る商品の販売方法のフローチャートの一例を図6に示す。以下、このフローチャートに従って本販売方法を詳述するが、本フローチャートはあくまで一例であり、例えば、本フローチャートに示された工程の順序などを適宜変更してもよい。
【0028】
(1)配送空間の空き容量の把握
上述したように、商品は配送空間に一括して配送され、かつ、この配送空間にはユーザの個別配送品も配送される。このため、個別配送品の量によって配送空間に配置できる商品の量が制約されることがある。配送空間に十分な容量が存在しない場合、商品を配送空間に配置することができず、再配達が強いられ、その結果、配送コストが増大する。このため、本配送方法では、個別配送品に関する情報が把握される。
【0029】
具体的には、各配送空間に対応する読取装置160が設けられる(図5参照)。読取装置160の構成は後述するが、読取装置160は、個別配送品に付されるタグや伝票、あるいはこれらに付されたバーコードや二次元コードなどの識別子を読み取り、個別配送品に関する情報(荷物情報)を取得する。荷物情報には、個別配送品の大きさのほか、個別配送品の配送人および/または配送業者、個別配送品の内容物、個別配送品の発注先(例えば、イーコマスサイトの名称)、ならびに個別配送品の宛先(すなわちユーザ)などが含まれてもよい。読取装置160は、荷物情報を取得した日時も記録するように構成される。配送空間が宅配ボックスの場合には、読取装置160は、個別配送品が格納されたロッカーの番号(または識別子)が入力できるように構成されてもよい。また、配送空間が仕切りや施錠可能な扉を持たない棚150の場合には、読取装置160に設けられる撮像部を利用して棚150の画像を取得してもよい。あるいは、棚150の棚板上などに読取装置160に接続される複数のセンサを配置し、センサから得られる信号を利用してサーバ(後述)上で個別配送品の量、個別配送品の棚150における収納状態などを把握してもよい。
【0030】
取得した荷物情報の全てまたは一部や、ロッカーの番号、棚150の画像、センサからの信号などは、後述するサーバに送信され、サーバと通信接続されるデータベース(後述)に格納される。データベースには、各施設に設けられる配送空間(すなわち、宅配ボックス120や棚150)の仕様に関する情報もあらかじめ格納される。サーバは、データベースに格納された荷物情報と配送空間の仕様に基づき、各施設の配送空間の空き容量を定期的にまたは随時算出する。配送空間が棚150の場合には、読取装置160から送信される画像やセンサで取得される信号を利用して配送空間の空き容量を算出すればよい。これにより、各施設の配送空間の空き容量をサーバ上で把握することができる。なお、本販売方法では、ユーザは、個別配送品を受領する際、受領手続きを行ってもよい。例えば、個別配送品に付されるタグや伝票、あるいはこれらに付されたバーコードや二次元コードなどの識別子を読取装置160に読み取らせる。読み取られた情報と読み取った日時は読取装置160からサーバへ送信される。これにより、配送空間における荷物の入庫と出庫をサーバ上で把握することができ、より精確に配送空間の空き容量を算出することができる。
【0031】
(2)商品とその量の決定
上述したように、本販売方法では、ユーザが個々に商品の発注は行わず、サーバを管理若しくは運営する事業体、または、本配送方法を実施する事業者が決定する。すなわち、配送する商品は、データベースに蓄積した情報に基づき、サーバによって決定される。
【0032】
より具体的には、サーバに接続されるデータベースには、商品の需要動向を左右する様々な情報(需要動向情報)が格納される。需要動向情報は、少なくとも外部要因情報、施設情報、およびユーザ情報を含む。
【0033】
外部要因情報とは、ユーザや施設とは独立した情報であり、消費者全体の需要に影響を及ぼす情報である。例えば、天候、気候、暦とそれに関連する行事、商品の生産量・収穫量の変化(旬)、大型のスポーツイベントやカルチャーイベントの有無、イベントがある場合にはその種類や開催時期、イーコマスサイトのキャンペーンに関する情報(キャンペーンの時期や内容、規模など)、疫病の発生の有無やその収束予測時期、法令改正などが例示される。施設情報は施設に関連する情報であり、例えば、施設の名称のほか、敷地面積、階数、間取り、公示価格、販売価格、賃料、共益費、共有設備、施設を利用するまたは施設に居住するユーザの数や世帯数、駐車場台数、付近の交通量、施設に入居しているテナントの種類や数、施設内で提供されるサービス、施設内の規則(例えば、置き配の可否、台車などの使用の可否)などが例示される。一般的に、施設情報が異なると、ユーザの嗜好のほか、購入する商品のグレードや量が異なるため、ユーザのライフスタイルにより適合した商品を決定することができる。ユーザ情報とは、施設を利用するまたは施設に居住するユーザに関する情報であり、ユーザの年齢、性別、ユーザの世帯構成などが例示される。ユーザが望む商品は、ユーザ自身のみならずその世帯構成によっても左右されるため、ユーザ情報を商品決定に利用することで、よりユーザの嗜好に適合した商品を決定することができる。なお、ユーザ情報は、例えば、登録時にユーザから提供された情報を用いればよい。
【0034】
データベースには、過去の需要動向情報とともに、商品の販売実績がさらに格納され、サーバでは、これらの情報を利用して商品が決定される。例えば、過去の需要動向情報と商品の販売実績をインプットデータ(特徴量データ)として利用して教師あり学習モデルを構築する。教師あり学習モデルで用いるアルゴリズムは任意に選択することができ、例えば、線形回帰モデル、ランダムフォレスト、決定木、勾配ブースティング、深層学習(ディープラーニング)などが挙げられ、特に深層学習が好ましい。深層学習を用いる場合には、ニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなどのアルゴリズムを適宜用いればよい。教師ありアルゴリズムを用いて商品の需要予測を行うことで、ユーザの希望に合致した商品をタイムリーに決定することができる。決定された商品と過去の販売実績である教師データの差分が目的関数であり、この目的関数を最小化することで学習モデルを学習、更新させることができる。
【0035】
なお、配送される商品の種類に特段の制約はなく、食品、医療品、化粧品、衣類、スポーツ関連用品、防災用品など、多岐にわたる分野から任意に決定すればよい。また、食品としては、工場などで生産される食品に限られず、海産物や農産物などの収穫物でもよい。
【0036】
商品の量の決定においても、上述した過去の需要動向情報と商品の販売実績を用いればよい。例えば、過去の需要動向情報と商品の販売実績を特徴量データとして利用する教師あり学習モデルを用いて商品の量を決定すればよい。
【0037】
ただし、この際、配送空間の空き容量が考慮される。上述したように、各施設の配送空間の空き容量は、随時サーバ上で把握することができる。このため、決定された商品の量が配送空間の空き容量を超えない場合には、決定された商品の全量を配送すればよい。逆に、決定された商品の量が配送空間の空き容量を超える場合には、空き容量以下の量の商品を配送すればよい。これにより、配送空間不足に起因する再配送が防止され、配送コストを低減することができる。
【0038】
さらに、本販売方法では、商品発送時において配送空間の空き容量を考慮するだけでなく、空き容量を予測し、これに基づいて配送する商品の量や時期を決定してもよい。上述したように、本販売方法では、配送空間に配送される個別配送品がサーバ上で把握される。このため、データベースに格納された過去の需要動向情報(特に外部要因情報)、および過去の個別配送品の実績を用い、これらを特徴量データとして利用する教師あり学習モデルによって個別配送品の配送量を予測することができる。個別配送品の配送量の予測結果と配送空間の仕様から配送空間に配置できる商品の量を計算することができため、空き容量以下の量の商品を配送すればよい。あるいは、決定された商品の全量を配置できる空き容量が確保される時期に配送してもよい。このように、配送空間の空き容量やその予測に従って配送量を増減することで、より柔軟な商品販売が可能となる。また、配送空間を効率良く、かつ整然と利用することができるため、各施設において必要以上に広大な配送空間が要求されず、かつ、施設の美観を損ねることが無い。
【0039】
(3)配送先施設の決定
本販売方法では、さらに、商品を配送する施設を配送先施設として複数の施設から選択する。具体的には、より多くの商品販売が見込める施設、すなわち、より商品を購入する意欲が高いユーザが多いと予測される施設を配送先施設として複数の施設から選択する。したがって、商品は、配送空間が設けられた複数の施設の全てではなく、そのうちの一つまたは二つ以上に選択的に配送される。このとき、商品の販売見込み量、商品の配送コストや配送時間、施設の配送空間における商品補充のためのコスト、施設に対するプロモーションに必要なコストなどに応じて、配送先施設に優先順位を付してもよい。配送先施設の選択とその優先順位の決定においても、過去の需要動向情報と商品の販売実績を特徴量データとして利用する教師あり学習モデルを用いればよい。これにより、より多くの商品購入が期待される施設に対して優先的に商品を配送することができるため、効率的な商品販売が可能となる。また、配送員の労働時間を適正に管理することができるため、2024年問題に対して適切に対処することも可能となる。
【0040】
(4)商品の配送
配送する商品とその量が決定され、配送先施設が選択されたのち、当該商品を配送先施設に配送する。配送は、本システムを管理若しくは運営する事業者が行ってもよく、別途配送業者に依頼してもよい。例えば、配送業者によって農産物や海産物を生産地から直接各施設に配送してもよい。各施設において商品の発送が完了した際、読取装置160を用いて商品配送が完了したことを通知する信号をサーバに送信してもよい。これにより、商品の配送が完了したことや、配送が行われた日時をサーバ上で把握することができる。なお、商品は、選択された配送先施設の全てに配送してもよく、あるいは、優先順位に従って、配送先施設の一部に配送してもよい。この場合、後述するように、一部の配送先施設に商品を配送して一定期間が経過した後、その配送された商品を他の配送先施設に配送してもよい。
【0041】
商品の配送にあたり、各施設に配送する商品とその量は決定されており、かつ、配送空間における必要な空き容量も確保されている。このため、配送空間不足を原因とする再配送の負担が強いられることはない。また、商品は、ユーザに対して個別に配送する必要はなく、施設内に設けられる配送空間に一括して配置すればよい。このため、配送員に対しても大きな負担が生じない。このような特徴を有するため、本販売方法を利用することで、配送コストを低減することができる。また、商品の配送量をあらかじめ把握することができるため、商品の種類によっては大量購入、配送が可能である。このため、商品の単価を低減することができ、ユーザはより安価に商品を購入することができる。
【0042】
(5)商品の購入
配送空間に配送された商品は、その後、登録されたユーザによって購入することができる。例えば、ユーザは、本販売システムを管理若しくは運営する事業者または本配送方法を実施する事業者が構築したプラットフォームを介し、登録に必要な情報(例えば、氏名、年齢、性別、世帯構成、住所、電話番号、メールアドレス、利用するまたは居住する施設住所や名称、決済方法など)をサーバに送信する。サーバは、必要な情報を取得してデータベースに格納し、ユーザを登録する。登録にあたり、サーバは、ユーザの通信端末に対し、認証コードを送信する。ユーザは、配送空間に配送された商品の購入を希望する場合、読取装置160に認証コードを読み取らせて本人確認を行ったのち、商品または商品の包装に付された二次元コードやバーコードなどの商品に関する情報(商品情報)が含まれる識別子を読取装置160で読み取り、決済を行う。読み取られた認証コードと商品情報は読取装置160からサーバ110に送信され、サーバ110上においてユーザの認証が行われる。正しく認証された場合、あらかじめ登録された決済方法に従って決済が行われ、ユーザによる商品購入が完了する。
【0043】
(6)その他
本販売方法においても、各施設に配送された商品が全てユーザによって購入されるとは限られない。このため、一定期間が経過したのち、配送先施設の優先順位に従い、売れ残った商品を他の配送先施設へ転送してもよい。この場合でも、売れ残った商品の転送先の配送空間の空き容量を考慮または予測し、転送先の施設や転送する商品の量をサーバ上で決定すればよい。このような転送を行うことにより、商品の無駄(食品ロスなど)を防止することができる。
【0044】
より効率的な商品販売を促進するため、配送する商品が決定されたのち、登録されたユーザの通信端末に、商品に関する情報(商品名、配送予定日時、価格など)や宣伝広告をサーバから送信することでユーザに対するプロモーションを行ってもよい。これにより、ユーザは、配送予定にある商品を把握することができ、商品の重複購入を避けることができるとともに、商品の購入先を多様な選択肢から選択する機会を得ることができる。
【0045】
上述したように、本販売方法では、各ユーザの発注に基づいて商品を個別販売するのではなく、ユーザが希望する商品を予測し、その商品をユーザ密度が高く、かつ、ユーザにとって利便性の極めて高い配送空間に一括配送する。ユーザは、配送された商品の購入を希望する場合にのみ、本販売方法を介して商品を購入すればよい。従って、本販売方法を利用することによって擬似的な大量共同購入を実現することができ、ユーザは、商品購入コストを節約することができる。また、配送空間の空き容量やその予測結果に応じて商品の量および/または配送時期が決定されるとともに、配送先は各施設に設置される配送空間となる。このため、個々のユーザに対する個別配送と比較し、極めて高い配送効率を実現することができる。このような特徴は、配送業務における人的資源の節約と配送コストの低減に寄与するとともに、商品単価の低減にも貢献する。
【0046】
4.販売システム
以下、上述した販売方法を実現するための販売システムの一例について説明する。図7に本販売システム100の構成を示すブロック図を示す。本販売システム100は、サーバ110および複数の読取装置160を含む。複数の読取装置160は、いずれもインターネットなどのワイドエリアネットワーク102を介してサーバ110と通信接続するように構成される。ワイドエリアネットワーク102は、本販売方法を利用するユーザのユーザ端末180と通信接続されため、サーバ110とユーザ端末180間での通信が確立される。サーバ110にはデータベース112が接続される。データベース112は、直接または図示しないローカルエリアネットワークを介してサーバ110と通信接続されてもよく、あるいは、ワイドエリアネットワーク102を介してサーバ110と通信接続されてもよい。あるいは、サーバ110とデータベース112は一体化された一つのデバイスでもよい。
【0047】
(1)サーバ、データベース、ユーザ端末
サーバ110は、計算機能と通信機能を備えたデバイスであり、パーソナルコンピュータでもよいが、より大きな計算機能を有するアプリケーションサーバであることが好ましい。データベース112は、本販売方法を実施するためのデータを格納するデバイスであり、階層型データベース、ネットワーク型データベース、リレーショナル型データベースなど、種々のタイプのデータベースを採用することができる。データベースには、上述した過去の商品販売実績のほか、ユーザが登録するためにユーザ端末180を介してサーバ110に送信した種々の情報が格納される。また、データベース112には、サーバ110を介して入力された各種需要動向情報が格納される。ユーザ端末180は、本販売方法を利用するユーザが管理する通信端末であり、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどがユーザ端末180として例示される。
【0048】
(2)読取装置
読取装置160は、商品が配送される配送空間に対応するように配置される。したがって、読取装置160の数は、配送空間の数と同じまたはそれ以上となる。図8に読取装置160の機能ブロック図を示す。読取装置160は、計算機能、表示機能、および通信機能を兼ね備えるデバイスであり、制御部162のほか、記憶部164、入力部166、表示部168、音声出力部170、リーダ172、送受信部174を備える。読取装置160は、さらに撮像部176や光源178を備えてもよい。
【0049】
制御部162は、中央演算ユニットを有し、読取装置160全体を制御する。記憶部164は、読取装置160を動作させるための基本アプリケーションソフトウェアや制御部162の動作を規定するアプリケーションを格納するとともに、制御部162の演算結果のほか、リーダ172で取得した情報や撮像部176で取得した画像を格納するように構成されたデバイスである。記憶部164は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)やリードオンリーメモリ(ROM)などの主記憶装置や、ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの外部記憶装置を含む。
【0050】
入力部166は、読取装置160に情報を入力するための構成であり、例えばキーボード、マウス、ポインタ、テンキーなどで構成することができる。あるいは、表示部168に搭載されたタッチセンサモジュールで入力部166を構成してもよい。入力部166を設けることにより、配送人やユーザによる入力を受け付けることができる。
【0051】
表示部168は、読取装置160に情報を入力する際の補助装置または配送人やユーザへ各種情報を提供する情報提供装置として機能する。例えば液晶表示モジュールや有機電界発光表示モジュールなどを表示部168として利用することができる。上述したように、表示部168にタッチセンサモジュールを搭載することで、表示部168と入力部166を一体化してもよい。表示部168は、制御部162からの命令に従い、入力部166やリーダ172を介した入力に応じて各種情報や各種警告などを表示するように構成される。
【0052】
音声出力部170はスピーカーであり、制御部162の命令に従い、記憶部164に格納された各種警告音や音声メッセージを出力するように構成することができる。これにより、配送人による配送作業や、ユーザによる個別配送品の受け取り、商品の購入を補助することができる。例えば、音声出力部170は、配送人やユーザが読取装置160を誤操作したときに警告音または警告メッセージを発するように構成してもよい。
【0053】
撮像部176は、画像を取得するための構成であり、例えば電荷結合素子(CCD)または相補性金属酸化膜半導体(CMOS)素子を含む。撮像部176は、制御部162の命令に従い、配送される個別配送品や商品および/または個別配送品や商品が配置される空間の画像を定期的に取得するように構成される。画像の取得間隔は、例えば1/120秒以上1秒以下の範囲から適宜選択することができ、これにより、配送空間内の静止画像や動画像を取得することができる。また、撮像部176は、配送空間に入った配送人やユーザの生体情報などを取得するように構成してもよい。
【0054】
送受信部174は、ワイドエリアネットワーク102を介して少なくともサーバ110と通信するための構成であり、公知の送信モジュールと受信モジュールを適宜組み合わせて構成することができる。
【0055】
リーダ172は、個別配送品に付されるタグや伝票に記載されたバーコードや二次元コードなどの識別子、商品またはその包装に付されるバーコードや二次元コードなどの識別子、およびユーザが提示する認証コードなどを読み取るために用いられる。リーダとしては、公知のバーコードリーダや二次元コードリーダを用いればよい。あるいは、リーダ172は、RFIDリーダでもよい。
【0056】
光源178は、制御部162の命令に従って配送空間の一部または全体に光を照射するように構成される。光源としては、例えば無機電界発光素子とレンズの組み合わせが例示される。レンズの焦点距離を適宜調整することで、光の照射範囲を任意に制御することができる。撮像部176による撮像の際に光源178を用いて光を照射することで、配送空間が暗い場合でも鮮明な画像を取得することができる。
【0057】
上記販売システム100では、配送人は、リーダ172を用いて商品または個別配送品の識別子を読み取ったのち、表示部168上で商品または個別配送品を確認し、その後、商品または個別配送品の配送が完了したことを通知するための信号をサーバに送信するための操作を入力部166で行えばよい。これにより、商品または個別配送品の配送が完了したことをサーバ110上で把握することができる。また、サーバ110上では、配送空間の空き容量を算出することができる。一方、ユーザは、リーダ172を用いて認証コードと商品または個別配送品を読み取り、表示部168上で本人確認を行うとともに、個別配送品を受け取ったことを通知するための信号、あるいは、商品を決済するための信号をサーバ110に送信するための操作を入力部166で行えばよい。これにより、購入された商品の量、購入日時、購入者であるユーザをサーバ上で把握することができる。また、あらかじめ登録された決済方法に従って商品代金を受け取ることが可能となる。
【0058】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る販売方法、販売システムを利用することで、新しい形態の販売方法を提供することができる。この販売方法では、配送業務に求められる負担が大幅に軽減され、配送コストの削減が可能である。また、ユーザは、ライフスタイルに適合した商品をより低価格で、かつ、手軽に購入することが可能となる。
【0059】
<第2実施形態>
第1実施形態で述べた商品の販売方法では、各ユーザの発注に基づく商品販売ではなく、ユーザが希望する商品を予測し、その商品をユーザにとって利便性の極めて高い配送空間に一括配送する。本発明の実施形態に係る販売方法はこのような態様に限られず、様々な変形が可能である。本実施形態では、第1実施形態で述べた商品の販売方法の変形例として、ユーザの能動的な商品発注に基づいて商品販売を行う態様について述べる。
【0060】
本変形例に係る商品の販売方法を示すフローチャートを図9に示す。本変形例においても、第1実施形態述べた販売方法と同様に、個別配送品の荷物情報が読取装置160によって取得されてサーバ110に送信され、荷物情報がデータベース112に格納される。このため、サーバ110上で配送空間の空き容量が算出される。また、配送される一つまたは複数の商品とその配送先施設も、需要動向情報を利用してサーバ110上で決定、選択される。
【0061】
本変形例に係る販売方法と第1実施形態述べた販売方法が異なる点の一つは、本変形例に係る販売方法では、サーバ110上で決定された商品の発注をユーザから受けるという点である。このため、本変形例では、選択された配送先施設を利用するまたは選択された配送先施設に居住するユーザに対して、配送が決定された商品の購入を促すためのプロモーションを行う。具体的には、サーバ110からユーザ端末180に対し、配送が決定された商品に関する情報や宣伝広告をサーバから送信する。このとき、配送空間が設けられた施設に居住またはそれを利用する全てのユーザのユーザ端末180に対して商品に関する情報や宣伝広告が送信されるわけではなく、選択された配送先施設に居住またはそれを利用するユーザのユーザ端末180に対し、選択的に当該情報や宣伝広告が送信される。このように、一部のユーザ端末180に対して選択的に商品の情報などを送信することで、より多くの商品販売を見込むことができ、商品の配送に関するコストパフォーマンスを増大させることができる。
【0062】
商品に関する情報や宣伝広告を受領したユーザは、自己の意思に基づき、その商品の購入を検討することができる。商品を購入する場合には、ユーザ端末180を用い、サーバ110に対して商品購入手続のための命令を送信すればよい。
【0063】
こののち、ユーザの購入量に応じ、配送先施設の配送空間に商品を一括して配送する。その後のプロセスは第1実施形態と同様であるため、説明は割愛する。なお、配送する商品は、ユーザによる受注量を把握した後に商品の生産者・提供者などから発注してもよく、あらかじめ商品の生産者・提供者から商品を発注し、その後、配送先施設の決定またはユーザへのプロモーションを行ってもよい。
【0064】
本変形例においても、商品の配送先は配送先施設としてあらかじめ選択されており、また、商品は配送先施設の配送空間に一括して配送される。このため、個々のユーザに対する個別配送と比較し、極めて高い配送効率を実現することができる。このような特徴は、配送業務における人的資源の節約と配送コストの低減に寄与するとともに、商品単価の低減にも貢献する。また、より多くの商品購入が見込める施設が配送先施設として優先的に選択される。このため、より大量の商品の販売が可能となり、ユーザに対してより低価格で商品を提供することが可能となる。
【0065】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当事業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0066】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当事業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0067】
100:販売システム、102:ワイドエリアネットワーク、110:サーバ、112:データベース、120:宅配ボックス、122:ロッカー、124:扉、130:専用コンテナ、132:本体、134:蓋、136:ヒンジ、138:ロック、140:把手、142:ミラー、144:凸部、146:トレンチ、150:棚、160:読取装置、162:制御部、164:記憶部、166:入力部、168:表示部、170:音声出力部、172:リーダ、174:送受信部、176:撮像部、178:光源、180:ユーザ端末
【要約】
【課題】配送コストの削減と商品価格の低減が可能な商品販売方法を提供すること。
【解決手段】この販売方法は、(1)不特定者の侵入に対するセキュリティーが確保された複数の施設内にそれぞれ設定された空間に配送される、施設への入館が許可されたユーザ宛の個別配送品に関する荷物情報を、上記空間の各々に配置される読取装置で読み取ること、(2)読取装置と通信接続されたサーバに対し、読取装置から荷物情報を送信すること、(3)サーバにおいて、荷物情報に基づき、複数の施設内の上記空間の各々の空き容量を算出すること、(4)サーバにおいて、施設に関する施設情報およびユーザに関するユーザ情報を利用し、複数の施設の空間に配送する商品と量を決定し、商品を配送する一つまたは二つ以上の施設を配送先施設として前記複数の施設から選択すること、ならびに(5)配送先施設の上記空間に商品を配置することを含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9