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特許7573924大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバイン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A01D41/12 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024137067
(22)【出願日】2024-08-16
【審査請求日】2024-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599099537
【氏名又は名称】株式会社メリット情報内藤
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】橘井 徳宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝志
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-85327(JP,A)
【文献】特開2022-49601(JP,A)
【文献】特開2021-170951(JP,A)
【文献】特開2011-45310(JP,A)
【文献】特開平4-135411(JP,A)
【文献】特開2021-251930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/00-57/30
A01D 41/00-43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインに設けられた、前記刈取部による農作穀物の刈り取りを補助する刈取補助機構であって、
前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、
前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、
前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、
を備え、
夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、
夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、
夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、
前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、
前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、
を備えていることを特徴とする大型コンバインの農作穀物刈取補助機構。
【請求項2】
前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、
前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構。
【請求項3】
前記分岐管の傾き・位置調整構造は、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構。
【請求項4】
前記分岐管の傾き・位置調整構造は、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有することを特徴とする請求項3に記載の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構。
【請求項5】
前記分岐管の向き・間隔調整構造は、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構。
【請求項6】
走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインであって、
前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、
前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、
前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、
を備え、
夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、
夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、
夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、
前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、
前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、
を備えた農作穀物刈取補助機構を備えていることを特徴とする大型コンバイン。
【請求項7】
前記農作穀物刈取補助機構は、
前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、
前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の大型コンバイン。
【請求項8】
前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の大型コンバイン。
【請求項9】
前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有することを特徴とする請求項8に記載の大型コンバイン。
【請求項10】
前記刈取部における刈刃を備えるプラットフォームの前側下縁部の面が該刈刃から横送りオーガに向けて略平坦化した面に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバイン。
【請求項11】
前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記搬送部と前記選別部の間に配置され、脱穀処理された農作穀物を受け、クリーニングファンからの送風により籾殻やごみを排除するフィードパンを有し、
前記フィードパンは、前記搬送部側端部から前記選別部側に向けた所定位置までの間が緩やかな下向きに傾斜した面を有するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の大型コンバイン。
【請求項12】
前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の向き・間隔調整構造が、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の大型コンバイン。
【請求項13】
前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記脱穀部により排出された排藁を細断する排藁処理部を備え、コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えたことを特徴とする請求項6に記載の大型コンバイン。
【請求項14】
前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の表面に、帯電防止膜または付着防止膜がコーティングされていることを特徴とする請求項13に記載の大型コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、刈取部がプラットフォームの前側下縁部に刈刃を備えた、大型コンバインの刈取部による農作穀物の刈取を補助するための農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型コンバインには、例えば、図26図27に示すように、本体を走行させる走行部10と、農作穀物を刈り取る刈取部20と、刈り取った農作穀物を搬送するコンベア31を備えた搬送部30と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀部40と、脱穀された穀粒を選別する選別部50と、脱穀部40により排出された排藁を細断する排藁処理部60を備えたものがある。
【0003】
このタイプの大型コンバインの刈取部20は、例えば、図28図29に示すように、プラットフォーム21と、農作穀物を刈り取る刈刃22と、農作穀物を刈刃22側へ掻き込む掻き込みリール23と、刈刃22で刈り取られた農作穀物を搬送部30に送り込む横送りオーガ24を備えている。
刈刃22は、左右方向にわたって延びたバリカン状の刃で構成され、プラットフォーム21の前側下縁部に設けられている。
掻き込みリール23は、一対のリール支持アーム23aと、リール支持アーム23aの先端部間に設けたリール支軸23bと、リール支軸23bの左右端部に放射方向に延びたリール形成アーム23cと、リール形成アーム23cを連結する連結片23dと、リール形成アーム23cの先端部間に架設されたタインバー23eと、タインバー23eに所定間隔をあけて吊るされたタイン23fと、リール支軸23bを回転駆動する回転駆動手段(符号省略)と、上下前後に位置を調節可能な位置調節手段(符号省略)を有して構成されている。そして、掻き込みリール23は、プラットフォーム21の上方で農作穀物を刈刃22側へ掻き込むことができるように配置されている。
横送りオーガ24は、円筒状部材24aの外周に、一対の螺旋状部材24bを左右対称に備えるとともに、掻き込みフィンガ24cを放射方向に備え、回転駆動手段(符号省略)により回転することで、刈刃22により刈り取られた農作穀物を搬送部30が設けられている部位に横送りするように構成されている。
その他、プラットフォーム21の前側の両側端部には、圃場における刈取範囲の農作穀物を分草する分草部材25が取り付けられている。
【0004】
そして、このタイプの大型コンバインは、農作穀物の収穫作業を行う際には、走行部10を介して走行しながら、刈取範囲の農作穀物を分草部材25で分草し、分草部材25で分草された刈取範囲内の農作穀物を回転する掻き込みリール23により刈刃22側へ掻き込み、掻き込んだ農作穀物の茎の根元を刈刃22で刈り取る。刈り取った農作穀物を、回転する一対の横送りオーガ24が搬送部30の設けられている部位に横送りし、横送りされた農作穀物を、搬送部30のコンベア31が脱穀部40に搬送し、脱穀された穀粒を選別部50が選別するとともに、脱穀部40により排出された排藁を排藁処理部60が細断して外部に排出する。
このようなコンバインは、次の特許文献1、2に開示されている。
【0005】
また、従来の大型コンバインには、例えば、図30に示すように、刈取部20に、刈刃22と掻き込みリール23に加えて、さらに、空気噴出装置を備えた構造のものがある。
このタイプの大型コンバインでは、例えば、図31に示すように、空気噴出装置は、主配管4aと、多数の細長形状の分岐管4bを備えている。
主配管4aは、ホースとパイプとを接続して構成され、 一端が遠心型送風装置3と接続している。また、主配管4aは、刈刃22の前方且つ上方で刈刃22に対して略平行に配置された部分4a1を有している。また、主配管4aは、他端が、蓋(符号省略)によって閉じられている。
分岐管4bは、主配管4aにおける刈刃22に対して略平行に配置された部分4a1に所定の間隔をあけて夫々接続している。また、分岐管4bは、先端部4b1近傍が後方且つ下方に位置する刈刃22に向けて曲がっている。そして、分岐管4bは、先端部4b1より刈刃22側に向けて略水平方向に空気を噴出させるように構成されている。
このような大型コンバインは、次の非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-171851号公報
【文献】特開2009-171917号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】オーガーヘッド、[online]、https://awsairbar.com/products/auger-heads/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、小豆等の豆類の収穫においては、刈り取られたときに豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出ることにより、プラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込まれることなく、豆や莢がプラットフォームの下方に落下して、収穫量のロスが生じ易いという問題がある。
刈り取った豆及び莢をプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むためには、図
30、図31に示した空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインのように、前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる必要がある。
【0009】
しかし、大型コンバインに設けられている1本の分岐管では、刈取後に豆や莢を落下させることなく後方に送り込むための風量が不足する。
また、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインは、小麦類の大量収穫用に設計されており、分岐管の配置間隔が一般の小豆等の豆類の畝幅の規格と一致しておらず、刈り取る直前に分岐管が小豆等の豆類に衝突して落下させてしまい易い。
このため、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインで小豆等の豆類をロスなく収穫することは困難であり、従来、小豆等の豆類をロスなく収穫することを実現させた大型コンバインは存在していない。
【0010】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、農作穀物を刈り取る刈取部を装備し、刈取部が刈刃と掻き込みリールと空気噴出装置とを備え、空気噴出装置が主配管と、主配管に所定の間隔をあけて夫々接続し、先端部からの空気を刈刃側に向けて噴出させる多数の分岐管と、を備えた大型コンバインにおいて、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、大豆や小豆等の豆類を刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させず、刈り取ったときの豆及び莢の自重や、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃による豆の弾け出し等に起因する、豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類を確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むことができるように空気を噴出し、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させて、収穫時間を大幅に短縮することが可能で、しかも、小麦類の収穫も良好に行うことの可能な、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による大型コンバインの農作穀物刈取補助機構は、走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインに設けられた、前記刈取部による農作穀物の刈取を補助する刈取補助機構であって、前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、を備え、夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、前記分岐管の傾き・位置調整構造は、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されているのが好ましい。
【0014】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、前記分岐管の傾き・位置調整構造は、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されているのが好ましい。
【0016】
また、本発明による大型コンバインは、走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインであって、前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、を備え、夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、を備えた農作穀物刈取補助機構を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記農作穀物刈取補助機構は、前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記刈取部における刈刃を備えるプラットフォームの前側下縁部の面が該刈刃から横送りオーガに向けて平坦化した面に形成されているのが好ましい。
【0021】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記搬送部と前記選別部の間に配置され、脱穀処理された農作穀物を受けクリーニングファンからの送風により籾殻やごみを排除するフィードパンを有し、前記フィードパンは、前記搬送部側端部から前記選別部側に向けた所定位置までの間が緩やかな下向きに傾斜した面を有するように構成されているのが好ましい。
【0022】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の向き・間隔調整構造が、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されているのが好ましい。
【0023】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記脱穀部により排出された排藁を細断する排藁処理部を備え、コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えているのが好ましい。
【0024】
また、本発明の大型コンバインにおいては、前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の表面に、帯電防止膜または付着防止膜がコーティングされているのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、農作穀物を刈り取る刈取部を装備し、刈取部が刈刃と掻き込みリールと空気噴出装置とを備え、空気噴出装置が主配管と、主配管に所定の間隔をあけて夫々接続し、先端部からの空気を刈刃側に向けて噴出させる多数の分岐管と、を備えた大型コンバインにおいて、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、大豆や小豆等の豆類を刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させず、刈り取ったときの豆及び莢の自重や、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃による豆の弾け出し等に起因する、豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類を確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むことができるように空気を噴出し、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させて、収穫時間を大幅に短縮することが可能で、しかも、小麦類の収穫も良好に行うことの可能な、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる空気噴出に関連する装置及び部材の構成を示す説明図で、(a)は第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いて、主配管に接続する複数組の一対の分岐管同士の配置構成を概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。
図2】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の先端部の構成を示す説明図で、(a)は刈刃側を紙面の右側として側方からみた図、(b)は部分拡大断面図、(c)は斜め上方からみたときの部分拡大図、(d)は分岐管の先端部を正面からみた図である。
図3】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いて、主配管に分岐管を取り付けた状態を示す部分斜視図である。
図4】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造の要部の概略構成を示す説明図で、(a)は第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続・固定部材に備わる板ベルトを主配管に取り付ける側から示すとともに、分岐管における主配管への接続側の端部の形態を模式的に示す図、(b)は分岐管接続・固定部材に備わるU字ボルトの構成を示す図、(c)は分岐管を嵌合させた板ベルトを、主配管に取り付けたときの、板ベルトと分岐管夫々の嵌合状態及び分岐管における主配管の取付穴との取り付け状態を示す部分拡大断面図である。
図5】第1実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いた、主配管に接続する複数組の一対の分岐管同士の配置構成を概略的に示す模式図である。
図6】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造の要部の概略構成を模式的に示す説明図である。
図7】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における主配管、分岐管の要部構成を夫々示す説明図で、(a)は主配管の分岐管を取り付ける側を示す部分平面図、(b)は(a)のA-A拡大断面図、(c)は1本の分岐管を側方からみた図、(d)は(c)のB-B拡大断面図である。
図8】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる板状ベース部材の構成を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C断面図である。
図9】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる環状部材の構成を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は板状ベース部材に一対の環状部材が設けられている状態を(a)のD-D断面で示す図、(d)は分岐管を螺合させた状態の第1の雌螺子部を示す断面図である。
図10】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる環状部材固定部材の構成を示す説明図で、(a)は環状部材の回動量調整部のガイド穴に対する位置関係を示す平面図、(b)は板状ベース部材に設けられた環状部材との位置関係を示す断面図である。
図11】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニット固定部材の構成を示す説明図で、(a)は板ベルトの構成を示す図、(b)はU字ボルトの構成を示す図である。
図12】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係をプラットフォームの正面側から概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。
図13】第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係を斜め前方から示す部分説明図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係をプラットフォームの正面側から概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。
図15】第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係を斜め前方から示す部分説明図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、送風用配管を支持する送風用配管支持部材の構成を斜め前方から示す部分説明図である。
図17】第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における送風用配管を支持する送風用配管支持部材の構成を示す部分拡大図である。
図18】本発明の第4実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は部分拡大図、(b)は内部構成を模式的に示す断面図である。
図19】本発明の第5実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の向き・間隔調整構造の要部を示す説明図である。
図20】本発明の第5実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の向き・間隔調整構造の要部を示す説明図で、(a)は鍔状部材が固着された分岐管取付用管状部材をベース板に装着した状態を下側からみた部分平面図、(b)は(a)において第1の連結部材を取り付けた状態を下側からみた部分平面図、(c)は(a)において第2の連結部材を取り付けた状態を下側からみた部分平面図、(d)は分岐管の向き・間隔調整構造を下側からみた部分平面図、(e)は分岐管の向き・間隔調整構造を前方からみた部分正面図である。
図21】本発明の第6実施形態に係る大型コンバインの要部の構成を示す説明図である。
図22】第6実施形態における要部の構成を側方から模式的に示す説明図である。
図23】既存の大型コンバインにおけるフィードパンの構成を斜め上方から示す説明図である。
図24】本発明の第7実施形態に係る大型コンバインのフィードパンの構成を、既存の大型コンバインと対比して示す説明図で、(a)は既存の大型コンバインにおけるフィードパンの構成を側方から模式的に示す説明図、(b)は第7実施形態の大型コンバインのフィードパンの構成を側方から模式的に示す説明図である。
図25】本発明の第8実施形態に係る大型コンバインの要部の構成の一例を示す説明図である。
図26】従来の大型コンバインの全体構成の一例を示す側面図である。
図27図26の大型コンバインの上面図である。
図28図26の大型コンバインの刈取部の構成の一例を示す平面図である。
図29図28の大型コンバインの刈取部の側面図である。
図30】従来の前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバイン全体構成の一例を示す斜視図である。
図31図30の大型コンバインにおける空気噴出装置の構成の一例を示す説明図で、(a)は全体の概略構成を示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。
図32】本件発明者らが、本発明を導出する途中段階の考察・検討過程で導出し、考察、検討した農作穀物刈取補助機構の一構成例を示す説明図で、(a)は全体の構成部材を抽出し、模式的に示す上面図、(b)は側方からみた模式図である。
図33図32の農作穀物刈取補助機構の要部構成を斜め前方から示す部分説明図である。
図34図32の農作穀物刈取補助機構における刈取部の刈刃近傍に配置される構成部材を側方からみたときの構成を示す部分説明図である。
図35図32の農作穀物刈取補助機構に備わる空気噴出部材の構成を示す説明図で、(a)は刈刃側斜め上方からみたときの図、(b)は部分拡大断面図、(c)は噴出部の拡大図である。
【0027】
実施形態の説明に先立ち、本発明が導出されるに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
1.本発明が導出されるに至った経緯
(1)小豆等の豆類の収穫における問題点
上述のように、従来、小豆等の豆類の収穫においては、刈り取られたときに豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出ることにより、プラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込まれることなく、豆や莢がプラットフォームの下方に落下して、収穫量のロスが生じ易いという問題がある。
【0028】
より詳しくは、大豆や小豆等の豆類は、大麦や小麦等とは異なり、莢高が低く倒伏し易い、倒伏していなくても地面に近い高さ位置で結実し易い、また、一つ一つの実が大きくて重い、さらには、収穫のために乾燥させる必要がある、といった特性を有している。
このため、従来一般のコンバインを用いた大豆や小豆等の豆類の収穫においては、刈刃で刈り取られたときの豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出て、刈り取られた豆や莢がプラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれることなく、プラットフォームの下方に落下して、収穫量のロスが生じ易いという問題がある。
また、大豆や小豆等の豆類を栽培する圃場には雑草が発生し易い。そして、従来一般のコンバインを用いて圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行った場合、刈刃で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ方向への進路を妨げられて、プラットフォームの下方に落下し易くなり、収穫量のロスがより一層大きく生じる虞がある。
【0029】
このため、図26図29に示した特許文献1、2に記載されているタイプの大型コンバインでは、収穫量のロスを低減することは難しい。
刈り取った豆及び莢をプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むためには、図30図31に示した空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインのように、前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる必要がある。
【0030】
(2)前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインの問題点について
しかし、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインは、分岐管の配置間隔が一般の小豆等の豆類の畝幅の規格と一致しておらず、刈り取る直前に分岐管が小豆等の豆類に衝突して落下させてしまい易い。
また、大型コンバインに設けられている1本の分岐管では、刈り取り後に豆や莢を落下させることなく後方へ送り込むための風量が不足する。
このため、従来、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインで小豆等の豆類をロスなく収穫することは困難であり、小豆等の豆類をロスなく収穫することを実現させた大型コンバインは存在していなかった。
【0031】
(3)前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインを用いて、小豆等の豆類をロスなく収穫することを実現させるための試行錯誤の過程
日本の農家の実情を鑑みると、少子化、跡継ぎの減少等により、農業の就業人口が減少の一途を辿るとともに、農家一戸当たりの作付面積が増大している。即ち、従来型の多数の農家による小規模作付面積での収穫から少数の農家による大規模作付面積での収穫に移行しつつある。このため、農作穀物の収穫を行うためのコンバインにおいても、従来型の小規模作付面積に対応するものから大規模作付面積に対応したものが求められる。
しかるに、日本では、大規模作付面積に対応したコンバインとしては、非特許文献1に示したような外国製のものが用いられている。
しかし、外国製の大型コンバインは、小麦類などの穀竿を刈り取るのに適した仕様となっており、豆類を刈り取るのに適した仕様とはなっていない。
このため、上述のとおり、従来、前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインでの小豆収穫は困難であると考えられており、このタイプの大型コンバインを用いた、小豆等の豆類のロスのない収穫は実現できていなかった。
【0032】
しかるに、本件発明者らは、従来、実現できていなかった図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインを用いて、小豆等の豆類をロスなく収穫することを実現させることへの挑戦を決意した。
しかし、経験豊富な農家、農協、農機具のメーカー等の専門家から、そのような試行錯誤は無駄であるとの批判を受けるとともに、当該大型コンバインのメーカーの関係者からも見捨てられ、試行錯誤のための支援を得ることはできなかった。
このため、本件発明者らは、独力で試行錯誤を繰り返すこととした。
【0033】
(3-1)既存の前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインを用いて、一般規格の畝幅で播種し栽培した小豆を収穫した際の収穫量のロスの確認
まず、本件発明者らは、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインを用意した。また、試験畑において、畝幅を従来の一般規格の67cmで播種して栽培した。北海道十勝産小豆の播種は、通常、畝幅間隔が67cmであり、トラクター、播種機、管理機、収穫機械の全てが67cmの畝幅間隔に整合したものとなっているのが一般的である。
一方、図30図31に示した前方から刈刃側へ向けて空気を噴出させる空気噴出装置を備えたタイプの大型コンバインにおける主管部に対する分岐管の取付幅は30cmに設計されており、小豆の畝幅67cmと一致していない。このため、刈取時に多くの小豆の莢に分岐管が衝突し、刈取量のロスが大きく生じることが予測された。
そして、本件発明者らは、購入した大型コンバインを用いて、試験畑にて一般規格の畝幅で播種し栽培した小豆の収穫を行った。
実際の試験収穫においては、多数の小豆の莢に分岐管が衝突し、分岐管に衝突した小豆の莢が弾け出て飛び散って落下し、刈取量のロスが大きいことが確認された。
【0034】
(3-2)分岐管の取付位置を一般規格の畝幅に適合させて改造した空気噴出装置を備えた大型コンバインを用いた、一般規格の畝幅で播種し栽培した小豆の収穫試験
翌年、本件発明者らは、当該大型コンバインの主配管に取り付けられている分岐管を取り外し、主配管に30cm間隔であけられている穴を溶接で塞ぐとともに、新たに67cm間隔で穴をあけ、あけた穴の位置に分岐管を取り付ける改造を行った。
そして、上述のように分岐管の取付位置を改造した大型コンバインを用いて、従来の一般規格の67cmで播種し栽培した小豆の収穫試験を行った。
刈取に際しては、1本の分岐管を1つの畝の幅方向における一方の端に位置合わせし、中央部で栽培されている小豆に分岐管が衝突しないようにしながら、畝幅の全領域に向けて空気が絨毯状に噴出するようにした。
収穫試験の結果、刈取時の分岐管による小豆の莢への衝突は回避できた。しかし、1畝に1本の分岐管の配置では、分岐管から小豆を刈り取る刈刃側へ向けて噴出する空気の風量が、畝の幅方向における分岐管から離れている領域において不足し、刈刃で刈取後に豆や莢が落下してしまい、後方に送り込むことができないことが判明した。
【0035】
(3-3)分岐管から小豆を刈り取る刈刃側へ向けて噴出する空気の風量を増大させるための方策についての考察・検討
そこで、本件発明者らは、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の分岐管から小豆を刈り取る刈刃側へ向けて噴出する空気の風量を強化するための方策についての考察・検討を重ね、次の農作穀物刈取補助機構を導出した。
【0036】
本件発明者らが途中段階の考察・検討過程で導出した農作穀物刈取補助機構は、走行部と、走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインに設けられた、刈取部による農作穀物の刈り取りを補助するコンバインの刈取補助機構であって、図32に示すように、大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材2、軸部材2の回転により駆動する遠心型送風装置3と、遠心型送風装置3の排出口と接続する主配管4a及び主配管4aから夫々複数個分岐した分岐管4bを有する送風用配管4と、複数個の分岐管4bからの空気を刈刃側に向けて噴出させる複数個の空気噴出部材5と、空気噴出部材5を支持する空気噴出部材支持部材6と、を備えている。
個々の空気噴出部材5は、例えば、図33図35に示すように、噴出部5aと、連通部5bを有している。
噴出部5aは、空気噴出部材5の刈刃22側に、噴出孔5a1を有している。噴出孔5a1は、刈刃22が設けられている領域の幅方向に分岐管4bの個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に空気を噴出させる所定長さのスリット状に形成されている。
また、噴出部5aは、幅が噴出孔5a1側に向けて広がり、且つ、厚さが噴出孔5a1側に向けて薄い、略扇形形状に形成されている。
連通部5bは、一端が個々の分岐管4bの排出口と接続するとともに、他端5b1が刈刃22側に向けて曲がった形状を有して噴出部5aの噴出孔5a1とは反対側の端部5a2と接続する管状部材で構成されている。
そして、個々の空気噴出部材5は、空気噴出部材支持部材6に支持されながら、スリット状の噴出孔5a1が、刈刃22が設けられている領域の幅方向に対して平行な向きとなって配設されている。
空気噴出部材支持部材6は、プラットフォーム21の前側下端部における刈刃22が設けられている領域の幅方向の辺に対して平行な向きとなって配設された細長状部材からなり、刈刃22に対向する側の面で個々の空気噴出部材5の連通部5bを支持するとともに、図28図29に示した掻き込みリール取付用の一対のリール支持アーム23aに支持されている。図28図29に示した掻き込みリール23は、一対のリール支持アーム23aの夫々に従来公知の上下前後に位置を調節可能な位置調節手段(図示省略)を備えている。
そして、本件発明者らが導出した図32図35に示す農作穀物刈取補助機構1は、一対のリール支持アーム23a、一対のリール支持アーム23aに支持される空気噴出部材支持部材6を介して、刈刃近傍の高さ位置(刈刃の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、空気噴出部材の傾き及び高さ位置を自在に変えて噴出孔から空気を噴出させるように構成されている。
【0037】
本件発明者らが導出した図32図35に示す農作穀物刈取補助機構1によれば、大豆や小豆等の豆類が刈刃22で刈り取られたときの衝撃で莢から弾け出た豆及び自重で落下し易い豆及び莢が、空気噴出部材5における噴出部5aの噴出孔5a1から刈刃近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)に向けて、噴出領域の面積が狭められて噴出される空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くなる。
しかも、空気噴出部材5における噴出部5aが、幅が噴出孔5a1側に向けて広がる略扇形形状に形成されていることにより、分岐管4bの個数に応じて分割された個々の空気噴出部材5の間の刈刃22側へ向けた位置に対しても、空気噴出部材5の噴出孔5a1から強力な風圧の空気を噴出させ易くなる。
このため、倒伏した大豆や小豆等の豆類の持ち上げ漏れに起因する刈り残しによる刈り取りロスや、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の豆や莢の落下による収穫量のロスが大幅に改善され、その分、収穫量が大幅に増加する。
そして、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行ったときに、刈刃22で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃22の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ方向への進路を妨げられても、刈り取られた豆及び莢は、空気噴出部材5における噴出部5aの噴出孔5a1からの、刈刃22近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃22の上方100cmまでの所定範囲で傾き及び高さ位置を自在に変えて噴出する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くなる。
このため、本件発明者らが導出した図32図35に示す農作穀物刈取補助機構1によれば、掻き込みリールを装備することなく、掻き込みリールを装備した構成に比べて、豆や莢の落下による収穫量のロスを大幅に改善しながら、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行うことができる。
しかし、図32図35に示す農作穀物刈取補助機構1には、分岐管4bの排出口と接続する空気噴出部材5が水平方向に広がった形状となっていることが、豆類の刈り取りの邪魔になるという課題が残っていることを本件発明者らは確認した、
【0038】
(3-4)分岐管の取付位置を一般規格の畝幅に適合させるとともに、1畝に対し2本の分岐管から空気が噴出するように改造した空気噴出装置を備えた大型コンバインを用いた、一般規格の畝幅で播種し栽培した小豆の収穫試験
次に、本件発明者らは、当該大型コンバインの主配管にあけた穴を溶接で塞ぐとともに、新たに67cm間隔の位置に一対の穴をあけ、あけた穴の位置に分岐管を取り付ける改造を行った。主配管の穴への分岐管の取付に際しては、分岐管の先端部の水平方向の向きを、67cm間隔で離れた穴に取り付けた分岐管同士の互いの先端部からの空気が1畝に栽培されている小豆に向けて噴出することができる向きにして、分岐管を主配管に固定した。
そして、分岐管の取付位置を一般規格の畝幅に適合させるとともに、1畝に対し2本の分岐管から空気が噴出するように改造した大型コンバインを用いて、従来の一般規格の67cmで播種し栽培した小豆の収穫試験を行った。また、主配管に取り付ける分岐管には、図32図35に示すような水平方向に広がった形状の空気噴出部材5を接続する代わりに、分岐管先端に前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を形成した。
収穫試験の結果、刈取時の分岐管による小豆の莢への衝突は回避できた。しかも、1畝に2本の分岐管の配置により、分岐管から小豆を刈り取る刈刃側へ向けて噴出する空気の風量が十分なものとなって、収穫物入口部全体にエアー絨毯(空気床)が形成され、刈刃で刈り取り後の豆や莢を落下させることなく、後方に送り込むことができた。
このようにして、本件発明者らが試作した農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバインによれば、従来実現できていなかった、機械接触時の莢の弾け落ち、刈取時の刈刃の衝撃等に起因する、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている小豆等の豆類を一度に収穫でき、収穫作業効率が大幅に向上し、収穫時間を大幅に短縮することが可能となった。
【0039】
(4)本件発明者らが導出した農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバインの試作機に内在する課題についての検討、考察
更に、本件発明者らは、作製した大型コンバインの試作機について更なる検討、考察を重ねた。その結果、当該試作機には次のような課題が内在することが判明した。
近年、生産性の向上を図るべく、小豆等の豆類の品種改良の開発が盛んに行われており、播種幅を従来一般の畝幅の規格とは異ならせたものが試験栽培されるようになってきている。このため、今後は、従来一般の畝幅の規格とは異なる様々な畝幅で播種される小豆等の豆類の出現が想定される。
しかし、本件発明者らが作製した大型コンバインの試作機は、主配管に設けられた既存の穴を塞ぐとともに新たな穴をあけて、主配管に接続する分岐管の配置を異ならせたものであり、主配管に取り付ける分岐管の接続位置を自在且つ容易に変更することができない。このため、本件発明者らが作製した大型コンバインの試作機では、様々な畝幅で播種される小豆等の豆類をロスなく収穫することが難しい。
【0040】
そこで、本件発明者らは、大型コンバインを用いて、様々な畝幅で播種される豆類をロスなく収穫することを容易に行うための方策について、更なる検討、考察、試行錯誤を重ねた。
また、本件発明者らは、さらに、大型コンバインを用いた豆類の収穫における収穫ロスをより一層低減するための方策として、豆類を刈り取り後の搬送、脱穀、選別、排出時に起こり得る詰まりや故障等の不具合を容易に解消する観点からも、その改善すべき課題について、検討、考察、試行錯誤を重ねた。
そして、その結果、農作穀物を刈り取る刈取部を装備し、刈取部が刈刃と掻き込みリールと空気噴出装置とを備え、空気噴出装置が主配管と、主配管に所定の間隔をあけて夫々接続し、先端部からの空気を刈刃側に向けて噴出させる多数の分岐管と、を備えた大型コンバインにおいて、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、大豆や小豆等の豆類を刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させず、刈り取ったときの豆及び莢の自重や、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃による豆の弾け出し等に起因する、豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類を確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むことができるように空気を噴出し、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させて、収穫時間を大幅に短縮することが可能で、しかも、小麦類の収穫も良好に行うことの可能な、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインを導出するに至った。
【0041】
本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構は、走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインに設けられた、前記刈取部による農作穀物の刈り取りを補助する刈取補助機構であって、前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、を備え、夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、を備えている。
【0042】
本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構のように、遠心型送風装置の排出口と接続し、刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う分岐管同士が近接配置されている送風用配管を備え、夫々の分岐管を、後方且つ下方に位置する刈刃に向けて曲がり、夫々の分岐管の先端部は、刈刃が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における一対の分岐管を、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設された構成にすれば、大豆や小豆等の豆類が刈刃で刈り取られたときの衝撃で莢から弾け出た豆及び自重で落下し易い豆及び莢が、夫々の組における一対の分岐管の先端部のスリット形状の噴出孔から刈刃が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて、絨毯状に噴出し、刈刃の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くすることができる。また、夫々の組における一対の分岐管を、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設された構成にすれば、刈り取りの際に刈刃が豆類に近づくにつれて、夫々の組の一対の分岐管における、後方且つ下方に位置する刈刃に向けて曲がっている部位が豆類の根元近傍を斜めから押圧しながら、刈刃における、絨毯状に噴出した空気が交差する所定の刈取位置に案内することができる。このとき、夫々の畝において一対の分岐管が小豆の豆及び莢に衝突することが殆どなく、小豆の両側を通り抜けるか分岐管の刈刃に向けて曲がっている部位からの斜めからの押圧により小豆の豆及び莢に衝突する力が弱められるため、夫々の畝で栽培されている小豆の莢からの豆の弾け出しが殆ど生じない。
【0043】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構のように、刈刃近傍の高さ位置から刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、分岐管の先端部の刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造を備えた構成にすれば、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行ったときに、刈刃で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ方向への進路を妨げられても、刈り取られた豆及び莢は、一対の分岐管の先端部のスリット形状の噴出孔から刈刃近傍の高さ位置(刈刃の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃の上方100cmまでの所定範囲で傾き及び高さ位置を自在に変えて絨毯状に噴出し、刈刃の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くなる。
このため、掻き込みリールを装備することなく、掻き込みリールを装備した構成に比べて、豆や莢の落下による収穫量のロスを大幅に改善しながら、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行うことができる。
【0044】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構のように、主配管に接続する夫々の分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造を備えた構成にすれば、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させないようにすることが可能となる。
そして、一対の分岐管からの空気が絨毯状に噴出し、1畝に播種され栽培された小豆等の豆類に刈刃の先端位置において交差するように、分岐管を取り付け、先端部の向きを調整することで、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取られたときに豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出る等の豆類を刈り取る際の豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類をより確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むように空気を送り込むことが可能となり、収穫量のロスを大幅に低減することが可能となる。そして、大型コンバインにより、一度に大量の小豆等の豆類を収穫可能で、作業時間を大幅に短縮可能となるため、収穫効率を極めて高めることができる。
【0045】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、好ましくは、前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されている。
【0046】
本件発明者らが大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に関し更なる試験を行ったところ、掻き込みリール支持アームと、送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、をプラットフォーム上における同じ部材に一体的に取り付けた構成にした場合、掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整を行ったときに、分岐管の先端部の刈刃に対する傾きや高さ位置も動いてしまうため、掻き込みリールと分岐管の両方を最適な位置に調整することが難しくなるという改善課題があることが判明した。
しかるに、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構において、リール支持アームと、送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の先端部の刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに分岐管の向き・間隔調整構造による主配管に接続する夫々の分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成すれば、掻き込みリール用位置調節手段による掻き込みリールの位置調整を行っても、分岐管の先端部の刈刃に対する傾きや高さ位置が変動しないため、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物に応じて、夫々の刈り取りに際し、掻き込みリールと、分岐管とを最適な位置に調整することができる。
【0047】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、好ましくは、前記分岐管の傾き・位置調整構造は、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されている。
大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物の畝幅によっては、一対の分岐管からの空気が絨毯状に噴出し、1畝に播種され栽培された小豆等の豆類に刈刃の先端位置において交差するように、分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するために、分岐管の先端部と刈刃との間隔も調整する必要が生じる場合がある。
しかるに、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構において、分岐管の傾き・位置調整構造を、さらに、分岐管の先端部と刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成すれば、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物の畝幅に応じて、夫々の刈り取りに際し、分岐管の先端部と刈刃との間隔を最適な間隔に調整することができ、分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを最適な間隔及び向きに調整することができる。
【0048】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、好ましくは、前記分岐管の傾き・位置調整構造は、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有する。
分岐管の先端部の刈刃との間隔を調整するためには、プラットフォームに対する送風用配管を支持する支持部材の位置を調整する必要があるが、その作業が大きな負担となる。
しかるに、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構において、分岐管の傾き・位置調整構造を、分岐管の先端部の刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有する構成にすれば、分岐管先端部・刈刃の間隔の調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0049】
また、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構においては、好ましくは、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されている。
個々の分岐管の略水平方向の向きの調整のための作業には、多くの時間と労力を要する。そして、大型コンバインを用いて、一度に大量の小豆等の豆類をロスなく収穫するには、多数の畝に応じた多数の組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整が必要となるため、分岐管の略水平方向の向きの調整のための作業負担が非常に大きくなる。
しかるに、本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構において、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成すれば、分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0050】
また、本発明の大型コンバインは、走行部と、前記走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部と、掻き込みリール取付用の一対のリール支持アームと、掻き込みリール用位置調節手段を装備し、前記刈取部が、プラットフォームの前側下縁部に設けられた、農作穀物を刈り取る刈刃を備えた、大型コンバインであって、前記大型コンバインに備わる所定の回転駆動軸と接続する軸部材と、前記軸部材の回転により駆動する遠心型送風装置と、前記遠心型送風装置の排出口と接続し、前記刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び該主配管における前記刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う前記分岐管同士が近接配置されている送風用配管と、を備え、夫々の前記分岐管は、後方且つ下方に位置する前記刈刃に向けて曲がり、夫々の前記分岐管の先端部は、該刈刃が設けられている領域の幅方向に前記分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における前記一対の分岐管は、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、前記刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設され、さらに、前記刈刃近傍の高さ位置から前記刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、前記分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造と、前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造と、を備えた農作穀物刈取補助機構を備えている。
【0051】
本発明の大型コンバインのように、遠心型送風装置の排出口と接続し、刈刃の前方且つ上方で該刈刃に対して、略平行に配置された部分を有する主配管及び主配管における刈刃に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管を複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う分岐管同士が近接配置されている送風用配管を備え、夫々の分岐管を、後方且つ下方に位置する刈刃に向けて曲がり、夫々の分岐管の先端部は、刈刃が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔を有し、夫々の組における一対の分岐管を、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設された構成にすれば、大豆や小豆等の豆類が刈刃22で刈り取られたときの衝撃で莢から弾け出た豆及び自重で落下し易い豆及び莢が、夫々の組における一対の分岐管の先端部のスリット形状の噴出孔から刈刃が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて、絨毯状に噴出し、刈刃の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くすることができる。また、夫々の組における一対の分岐管を、夫々の先端部のスリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設された構成にすれば、刈り取りの際に刈刃が豆類に近づくにつれて、夫々の組の一対の分岐管における、後方且つ下方に位置する刈刃に向けて曲がっている部位が豆類の根元近傍を斜めから押圧しながら、刈刃における、絨毯状に噴出した空気が交差する所定の刈取位置に案内することができる。このとき、夫々の畝において一対の分岐管が小豆の豆及び莢に衝突することが殆どなく、小豆の両側を通り抜けるか分岐管の刈刃に向けて曲がっている部位からの斜めからの押圧により小豆の豆及び莢に衝突する力が弱められるため、夫々の畝で栽培されている小豆の莢からの豆の弾け出しが殆ど生じない。
【0052】
また、本発明の大型コンバインのように、刈刃近傍の高さ位置から刈刃の上方100cmまでの所定範囲で、分岐管の先端部の刈刃に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管の傾き・位置調整構造を備えた構成にすれば、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行ったときに、刈刃で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ方向への進路を妨げられても、刈り取られた豆及び莢は、一対の分岐管の先端部のスリット形状の噴出孔から刈刃近傍の高さ位置(刈刃の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃の上方100cmまでの所定範囲で傾き及び高さ位置を自在に変えて絨毯状に噴出し、刈刃の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くなる。
このため、掻き込みリールを装備することなく、掻き込みリールを装備した構成に比べて、豆や莢の落下による収穫量のロスを大幅に改善しながら、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行うことができる。
【0053】
また、本発明の大型コンバインのように、主配管に接続する夫々の分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造を備えた構成にすれば、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させないようにすることが可能となる。
また、一対の分岐管からの空気が絨毯状に噴出し、1畝に播種され栽培された小豆等の豆類に刈刃の先端位置において交差するように、分岐管を取り付け、先端部の向きを調整することで、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取られたときに豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出る等の豆類を刈り取る際の豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類をより確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むように空気を送り込むことが可能となり、収穫量のロスを大幅に低減することが可能となる。そして、大型コンバインにより、一度に大量の小豆等の豆類を収穫可能で、作業時間を大幅に短縮可能となるため、収穫効率を極めて高めることができる。
【0054】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記農作穀物刈取補助機構は、前記リール支持アームと、前記送風用配管を支持する送風用配管支持部材と、がプラットフォーム上の異なる部材に取り付けられ、前記分岐管の傾き・位置調整構造による該分岐管の前記先端部の前記刈刃に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに前記分岐管の向き・間隔調整構造による前記主配管に接続する夫々の前記分岐管同士の間隔及び該分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整と、前記掻き込みリール用位置調節手段による該掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されている。
このように構成すれば、掻き込みリール用位置調節手段による掻き込みリールの位置調整を行っても、分岐管の先端部の刈刃に対する傾きや高さ位置が変動しないため、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物に応じて、夫々の刈り取りに際し、掻き込みリールと、分岐管とを最適な位置に調整することができる。
【0055】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、さらに、前記分岐管の先端部と前記刈刃との間隔を自在に調整することができるように構成されている。
このように構成すれば、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物に応じて、夫々の刈り取りに際し、分岐管の先端部と刈刃との間隔を最適な間隔に調整することができ、分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを最適な間隔及び向きに調整することができる。
【0056】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の傾き・位置調整構造が、前記分岐管の先端部の前記刈刃との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有する。
このように構成すれば、分岐管先端部・刈刃の間隔の調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0057】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記刈取部における刈刃を備えるプラットフォームの前側下縁部の面が該刈刃から横送りオーガに向けて平坦化した面に形成されている。
既存の大型コンバインにおいては、刈取部の直後のプラットフォームの面とその後方のプラットフォームの面とに1~数cm程度の段差を有していた。
この段差は、小麦類の収穫に際しては、穀稈に相当程度の長さがあるため、穀稈の根元部を刈刃で刈り取ったとき、刈り取られた穀稈は、段差を容易に乗り越えて、横送りオーガに送り込まれるため、支障は生じない。
しかし、豆類の収穫に際しては、莢及び莢を含む茎部分を刈刃で刈り取ったとき、刈り取られた莢及び莢を含む茎部分の長さが短いため、莢によっては段差を乗り越えることができず、段差に衝突して莢から豆が弾け出てしまったり、横送りオーガに送り込まれることなく、落下してしまったりし、その分、収穫のロスが生じる。
しかるに、本発明の大型コンバインにおいて、刈取部における刈刃を備えるプラットフォームの前側下縁部の面を、該刈刃から横送りオーガに向けて平坦化した面に形成すれば、豆類の収穫に際し、莢及び莢を含む茎部分を刈刃で刈り取ったとき、刈り取られた莢の段差との衝突を回避し容易に横送りオーガに送り込まれるようにすることができ、収穫のロスをより一層低減することができる。
【0058】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記搬送部と前記選別部の間に配置され、脱穀処理された農作穀物を受けクリーニングファンからの送風により籾殻やごみを排除するフィードパンを有し、前記フィードパンは、前記搬送部側端部から前記選別部側に向けた所定位置までの間が緩やかな下向きに傾斜した面を有するように構成されている。
既存の大型コンバインにおけるフィードパンは、搬送部から選別部へ向けて上向きの傾斜が設けられており、小豆を脱穀した場合、穀粒やごみがフィードパンの搬送部側の端部近傍に堆積し易く、過度に堆積したときに、フィードパンを揺動する揺動手段や搬送部に故障等の不具合が生じ易くなっていた。
しかるに、本発明の大型コンバインにおいて、フィードパンにおける搬送部側端部から選別部側に向けた所定位置までの間に緩やかな下向きに傾斜した面を有するように構成すれば、小豆を脱穀した場合であっても、フィードパンの搬送部側端部に穀粒やごみが堆積し難くなり、故障を防止することができる。
【0059】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記農作穀物刈取補助機構は、前記分岐管の向き・間隔調整構造が、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されている。
このように構成すれば、分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0060】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記刈取部で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部と、前記脱穀機の下方に配置された、前記搬送部で搬送され前記脱穀部で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部と、前記脱穀部により排出された排藁を細断する排藁処理部を備え、コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えている。
小豆等の豆類を刈取部で刈り取った後、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部において、莢や豆の詰まり等に起因した機械の不具合を生じ、収穫ロスや収穫効率の悪化を招く虞がある。
従来の大型コンバインには、搬送部、脱穀部、選別部等を囲む壁の内部空間を撮像する撮像手段を設け運転席のモニターから処理状態を観察可能にしたものがあるが、外部から観察可能にしたものは存在していない。また、従来の大型コンバインでは、運転席のモニターから、搬送部、脱穀部、選別部等における詰まり等の不具合を確認できたとしても、その不具合を解消するために、大掛かりな部材の取り外しを行う必要があり、多くの作業負担及び時間を要していた。
しかるに、本発明の大型コンバインにおいて、コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えて構成すれば、外部から内部の不具合を発見でき、詰まり等の不具合に対し、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく外部から対処することができ、収穫ロスや収穫効率の悪化を防ぐとともに、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業負担及び時間を大幅に低減することができる。
【0061】
また、本発明の大型コンバインにおいては、好ましくは、前記搬送部、前記脱穀部、前記選別部、前記排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の表面に、帯電防止膜または付着防止膜がコーティングされている。
大豆や小豆等の豆類、小麦類、蕎麦類その他の多様な種類の農作穀物の収穫作業に関し、ある種類の農作穀物の収穫から他の種類の農作穀物の収穫に切り替えて収穫作業を行う際には、直前に収穫された農作穀物の残留物が混入しないように、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材を清掃する必要がある。従来の大型コンバインでは、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材を清掃する場合、大掛かりな部材の取り外しを行う必要があり、多くの作業負担及び時間を要していた。
しかるに、本発明の大型コンバインにおいて、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の表面に帯電防止膜がコーティングされた構成にすれば、穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が静電気を帯び難くなる。その結果、各部材の表面に付着し難くなり、付着物の堆積等による不具合の発生を抑制することができる。また、各部材の表面に穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が付着しても、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく、上述した窓から空気噴出装置を用いて空気を噴出することで、各部材の表面に付着した付着物を容易に除去することができる。
また、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の表面に付着防止膜がコーティングされた構成にすれば、各部材の表面に穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が付着しても、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく、上述した窓から水洗装置を用いて水洗いすることで、各部材の表面に付着した付着物を容易に除去できる。
このため、本発明の大型コンバインのように構成すれば、ある種類の農作穀物の収穫から他の種類の農作穀物の収穫に切り替えて収穫作業を行う際の、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の清掃のための作業負担及び時間を大幅に低減することができる。
【0062】
このため、本発明によれば、農作穀物を刈り取る刈取部を装備し、刈取部が刈刃と掻き込みリールと空気噴出装置とを備え、空気噴出装置が主配管と、主配管に所定の間隔をあけて夫々接続し、先端部からの空気を刈刃側に向けて噴出させる多数の分岐管と、を備えた大型コンバインにおいて、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、大豆や小豆等の豆類を刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させず、刈り取ったときの豆及び莢の自重や、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃による豆の弾け出し等に起因する、豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類を確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むことができるように空気を噴出し、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させて、収穫時間を大幅に短縮することが可能で、しかも、小麦類の収穫も良好に行うことの可能な、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインが得られる。
【0063】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の説明を行う。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる空気噴出に関連する装置及び部材の構成を示す説明図で、(a)は第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いて、主配管に接続する複数組の一対の分岐管同士の配置構成を概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。図2は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の先端部の構成を示す説明図で、(a)は刈刃側を紙面の右側として側方からみた図、(b)は部分拡大断面図、(c)は斜め上方からみたときの部分拡大図、(d)は分岐管の先端部を正面からみた図である。図3は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いて、主配管に分岐管を取り付けた状態を示す部分斜視図である。図4は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造の要部の概略構成を示す説明図で、(a)は第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続・固定部材に備わる板ベルトを主配管に取り付ける側から示すとともに、分岐管における主配管への接続側の端部の形態を模式的に示す図、(b)は分岐管接続・固定部材に備わるU字ボルトの構成を示す図、(c)は分岐管を嵌合させた板ベルトを、主配管に取り付けたときの、板ベルトと分岐管夫々の嵌合状態及び分岐管における主配管の取付穴との取り付け状態を示す部分拡大断面図である。
【0064】
図5は第1実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を用いた、主配管に接続する複数組の一対の分岐管同士の配置構成を概略的に示す模式図である。図6は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造の要部の概略構成を模式的に示す説明図である。図7は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における主配管、分岐管の要部構成を夫々示す説明図で、(a)は主配管の分岐管を取り付ける側を示す部分平面図、(b)は(a)のA-A拡大断面図、(c)は1本の分岐管を側方からみた図、(d)は(c)のB-B拡大断面図である。図8は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる板状ベース部材の構成を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C断面図である。図9は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる環状部材の構成を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は板状ベース部材に一対の環状部材が設けられている状態を(a)のD-D断面で示す図、(d)は分岐管を螺合させた状態の第1の雌螺子部を示す断面図である。図10は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニットに備わる環状部材固定部材の構成を示す説明図で、(a)は環状部材の回動量調整部のガイド穴に対する位置関係を示す平面図、(b)は板状ベース部材に設けられた環状部材との位置関係を示す断面図である。図11は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造における分岐管接続ユニット固定部材の構成を示す説明図で、(a)は板ベルトの構成を示す図、(b)はU字ボルトの構成を示す図である。図12は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係をプラットフォームの正面側から概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。図13は第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係を斜め前方から示す部分説明図である。
なお、便宜上、図26図31に示す大型コンバインにおけるものと同様の構成部材については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0065】
第1実施形態における空気噴出に関連する装置及び部材
第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、例えば、図1に示すように、軸部材2と、遠心型送風装置3と、送風用配管4と、を備えている。
軸部材2は、コンバインに備わるエンジンからの動力をバリカン状の刈刃を駆動させるための所定の動力伝達機構(不図示)に伝達する所定の回転駆動軸Xの端部に設けられたボスX1と接続されている。
遠心型送風装置3は、プーリ3a~3a、ベルト3b、3bを有してなる回転力伝達機構と、回転により軸方向からの空気を吸入して所定の遠心方向(ここでは、排出口3cの方向)に排出するように構成された羽根車(不図示)と、その羽根車を覆い遠心方向に排出口3cを有するケース3cと、外部からの空気を吸入する吸入部3dを備えている。また、遠心型送風装置3は、刈取部20のプラットフォーム21の後側に設けられ、図示しない固定部材で固定されている。そして、遠心型送風装置3は、軸部材の回転により駆動するように構成されている。
なお、遠心型送風装置3の回転力伝達機構は、軸部材2の回転により、羽根車(不図示)を軸方向からの空気を吸入部3dから吸入して所定の遠心方向(ここでは、排出口3cの方向)に排出する方向に回転させることができれば、どのような構成であってもよい。
また、ケース3c内の羽根車(不図示)は、軸方向からの空気を吸入して所定の遠心方向(ここでは、排出口3cの方向)に排出するものであれば、どのような形態であってもよい。
【0066】
送風用配管4は、ホースとパイプとを接続してなる主配管4aと、主配管4aから夫々複数組分岐した一対の分岐管4bを有している。
【0067】
主配管4aの一端は、遠心型送風装置3の排出口3cに接続している。
主配管4aの他端は、例えば、蓋4cによって閉じられている。蓋4cには、コンバインの刈取部20のプラットフォーム21の後側の所定位置に固定するための固定部4c1が形成されている。
主配管4aは、刈刃22の前方且つ上方で刈刃22に対して、略平行に配置された部分4a1を有して配置されている。
【0068】
複数組の一対の分岐管4bは、主配管4aにおける刈刃22に対して略平行に配置された部分4a1に所定間隔をあけて夫々接続し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う分岐管4b同士が近接配置されている。
夫々の分岐管4bは、後方且つ下方に位置する刈刃22に向けて曲がっている。
また、例えば、図2に示すように、夫々の分岐管4bの先端部4b1は、刈刃22が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔4b1aを有している。
また、夫々の組における一対の分岐管4bは、例えば、図1(a)に示すように、夫々の先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出した空気が、刈刃22の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設されている。
【0069】
第1実施形態における第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造
また、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を備えている。
第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造は、例えば、図3図4に示すように、夫々の分岐管4bに設けられた雄螺子部4b2-1と、分岐管4bを着脱可能な雌螺子部91a3を有する分岐管接続・固定部材91と、を有し、主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを調整することができるように構成されている。
【0070】
雄螺子部4b2-1は、例えば、図4(a)に示すように、夫々の分岐管4bの主配管4aとの接続側の端部4b2に設けられている。
分岐管接続・固定部材91は、例えば、図4(a)、図4(b)に示すように、板ベルト91aと、U字ボルト91bと、を有し、夫々の分岐管4bを、図4(c)に示すように、主配管4aの取付穴(符号省略)に連通する状態に固定することができるように構成されている。
【0071】
詳しくは、板状ベルト91aは、例えば、図4(a)に示すように、長手方向中央部に、分岐管4bの(主配管4aとの)接続側の端部4b2の管径に対応する所定の大きさに形成された雌螺子部91a3を有している。
【0072】
U字ボルト91bは、板ベルト91aの両端部91a1、91a2と接合することで、分岐管4bを取り付けた板ベルト91aが主配管4aに固定された状態を保持することができるように構成されている。
なお、主配管4aに設けられた分岐管4bを取り付ける取付穴のうち、取り付け対象外の取付穴(符号省略)には、所定の蓋部材(図示省略)を用いて塞ぐことができるように構成されている。
【0073】
分岐管接続・固定部材91による分岐管4bの主配管4aの取付穴(符号省略)への接続・固定作業は、分岐管4bの雄螺子部4b2-1を雌螺子部91a3に螺合させた状態の板ベルト91aを主配管4aの取付穴(符号省略)に連通するように位置合わせして主配管4aに巻き付け、U字ボルト91bを図示しないナットを介して、板ベルト91aの両端部91a1、91a2に螺着し接合させることによって行うことができるようになっている。
【0074】
第1実施形態における第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造
また、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を備えた構成であってもよい。
第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造を備えた第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、例えば、図30図31に示したような、走行部(符号省略)と、走行部により走行させられながら農作穀物を刈り取る刈取部20を装備し、刈取部20が、刈刃22と掻き込みリール23と送風用配管4とを備え、例えば、図5に示すように、送風用配管4が遠心型送風装置3と接続し、刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を有する主配管4aと、主配管4aにおける刈刃22に対して略平行に配置された部分4a1に所定間隔をあけて夫々接続し、後方且つ下方に位置する刈刃22に向けて先端部4b1近傍が曲がり、先端部4b1より刈刃22側に向けて略水平方向に空気を噴出させる多数の細長形状の分岐管4bと、を有する。分岐管4bの先端部4b1の構成は、図1図2に示す第1構成例におけるものと略同じである。
第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造は、例えば、図6に示すように、主配管4aに形成された長穴部4a1-1と、夫々の分岐管4bに設けられた第1の雄螺子部4b2-1と、一対の分岐管4bを着脱可能な複数の分岐管接続ユニット100と、分岐管接続ユニット固定部材101と、を有し、主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを調整することができるように構成されている。
【0075】
長穴部4a1-1は、例えば、図7(a)、図7(b)に示すように、主配管4aの刈刃(不図示)に対して平行に配置された部分4a1に形成され、所定の間隔をあけて夫々接続する多数の分岐管4bの接続部を囲む大きさを有している。
【0076】
第1の雄螺子部4b2-1は、例えば、図7(c)、図7(d)に示すように、夫々の分岐管4bの主配管4aとの接続側の端部4b2に設けられている。
【0077】
分岐管接続ユニット100は、板状ベース部材100aと、一対の環状部材100bと、環状部材固定部材100cと、を有して構成されている。
【0078】
板状ベース部材100aは、例えば、図8(a)、図8(b)に示すように、外形が主配管4aに形成された長穴部4a1-1の一部の領域を塞ぐ大きさを有している。また、板状ベース部材100aの長手方向中央部には、分岐管4bの(主配管4aとの)接続側の端部4b2の管径に対応する所定の大きさに形成された一対の穴部100a1を有している。
さらに、板状ベース部材100aは、長手方向中間位置から夫々の長手方向の端縁部まで40~50cm程度の所定の間隔を有している。
【0079】
一対の環状部材100bは、例えば、図9(a)~図9(c)に示すように、円筒部100b1と円筒部100b1両端のフランジ部100b2とを有して構成され、夫々の板状ベース部材100aに形成された夫々の穴部100a1に回動可能且つ離脱不能に設けられている。また、例えば、図9(d)に示すように、一対の環状部材100bの内周には、分岐管4bの(主配管4aとの)接続側の端部4b2に設けられた第1の雄螺子部4b2-1を螺合可能な一対の第1の雌螺子部100b3を有している。
また、一対の環状部材100bの上縁部には、回動量調整部100b4を備えている。回動量調整部100b4は、環状部材100bの回動する軌道と同心円上の所定位置に形成された円弧状のガイド穴100b4-1を有している。
【0080】
環状部材固定部材100cは、例えば、図10(a)、図10(b)に示すように、夫々の板状ベース部材100aにおける、夫々の環状部材100bの回動量調整部100b4のガイド穴100b4-1の軌道上に設けられた第2の雌螺子部100c1と、第2の雌螺子部100c1に螺合する第2の雄螺子部100c2と、第2の雄螺子部100c2の根元に設けられた頭部100c3とを有する。そして、頭部100c3を介して回動量調整部100b4を締め付けることにより、環状部材100bを板状ベース部材100aに対して固定するように構成されている。
【0081】
分岐管接続ユニット固定部材101は、例えば、図11(a)、図11(b)に示すように、板ベルト101aと、U字ボルト101bと、を有し、夫々の分岐管接続ユニット100を主配管4aに固定することができるように構成されている。
板ベルト101aは、分岐管接続ユニット100の板状ベース部材100aを主配管4aに巻き付けて固定するために用いる。
U字ボルト101bは、板ベルト101aの両端部101a1、101a2と接合することで、分岐管接続ユニット100が主配管4aに固定された状態を保持するために用いる。
分岐管接続ユニット固定部材101による分岐管接続ユニット100の主配管4aへの固定作業は、主配管4aの長穴部4a1-1を覆うように配置した、隣り合う分岐管接続ユニット100における板状ベース部材100a同士が重なり合う箇所を、板ベルト101aで抑えるようにして主配管4aに巻き付け、U字ボルト101bを図示しないナットを介して、板ベルト101aの両端部101a1、101a2に螺着し接合させることによって行うことができるようになっている。
【0082】
第1実施形態における分岐管の傾き・位置調整構造
また、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、分岐管の傾き・位置調整構造を備えている。
分岐管の傾き・位置調整構造は、例えば、図12図13に示すように、送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1の両側下部が、一対の送風用配管支持部材111を介して、例えば、図28図29に示した掻き込みリール取付用の一対のリール支持アーム23aに支持されている。また、図28図29に示した掻き込みリール23は、一対のリール支持アーム23aの夫々に従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な位置調節手段(図示省略)を備えている。
【0083】
そして、分岐管の傾き・位置調整構造は、一対のリール支持アーム23aに一対の送風用配管支持部材111を介して支持される主配管4aを介して、刈刃22近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃22の上方100cmまでの所定範囲で主配管4aに接続する分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さ位置を調節自在に変えて噴出孔4b1aから空気を噴出させることができるように構成されている。
【0084】
第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を用いた、分岐管の向き・間隔、傾き・位置調整の作業手順
このように構成された第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を用いて、主配管4aに接続する複数の分岐管4b同士の間隔及び各々の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを調整するときの作業手順を説明する。
第1構成例の分岐管の向き・間隔調整構造においては、まず、分岐管4bの雄螺子部4b2-1を雌螺子部91a3に螺合させる。次に、分岐管4bの雄螺子部4b2-1を雌螺子部91a3に螺合させた状態の板ベルト91aを主配管4aにおける所望の取付穴(符号省略)に連通するように位置合わせして主配管4aに巻き付ける。次に、U字ボルト91bを図示しないナットを介して、板ベルト91aの両端部91a1、91a2に螺着し接合させる。
この作業を主配管4aにおいて分岐管4bの取り付け対象位置に設けられている全ての取付穴に取り付けるまで繰り返す。
また、所定の蓋部材(図示省略)を用いて、主配管4aにおける取り付け対象外の取付穴(符号省略)を塞ぐ。
これにより、主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔を所望の間隔に調整することができる。
次に、主配管4aに接続する夫々の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを調整する。
次に、所定の固定部材(不図示)を用いて、先端部4b1の略水平方向の向きが調整された分岐管4bの雄螺子部4b2-1を雌螺子部91a3に螺合させた状態を固定する。
これにより、主配管4aに接続する分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを所望の向きに調整することができる。
【0085】
また、第2構成例の分岐管の向き・間隔調整構造においては、まず、夫々の分岐管接続ユニット100における板状ベース部材100aに回動可能且つ離脱不能に設けられた一対の環状部材100bの第1の雌螺子部100b3に分岐管4bの第1の雄螺子部4b2-1を螺着する。
次に、主配管4aに形成された長穴部4a1-1の所定領域を塞ぐように、環状部材100bの第1の雌螺子部100b3に分岐管4bの第1の雄螺子部4b2-1を螺着させた複数の分岐管接続ユニット100を、隣り合う分岐管接続ユニット100の第1の雌螺子部100b3同士が所望の間隔となるように重ね合わせる。そして、分岐管接続ユニット固定部材101を介して分岐管接続ユニット100を主配管4aに固定する。
これらの作業を主配管4aに形成された長穴部4a1-1の全領域を塞ぐまで繰り返す。このとき、板状ベース部材100aの長手方向中間位置から夫々の長手方向の端縁部まで40~50cm程度の所定の間隔を有している。このため、隣り合う分岐管接続ユニット100の板状ベース部材100aに取り付けることで主配管4aに接続する分岐管4b同士の配置間隔を50cm、67cmを含む所望の間隔に調整することができる。
次に、主配管4aに固定された夫々の分岐管接続ユニット100における回動量調整部100b4を所望量回動し、環状部材固定部材100cを介して環状部材100bを固定する。これにより、隣り合う分岐管接続ユニット100の板状ベース部材100aに取り付けられた状態で主配管4aに接続する分岐管4b同士の先端部4b1の向きを略水平方向の所望の向き(各組における一対の分岐管4bの先端部4b1からの1畝に播種され栽培された小豆等の豆類に対する空気の噴射量が最適となる向き)に調整することができる。
【0086】
第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を用いた、農作穀物の刈取処理の流れ
このように構成された第1実施形態の農作穀物刈取補助機構1を、図26図31に示したような大型コンバインの刈取部に備えた状態で、エンジンを駆動すると、バリカン状の刈刃22を駆動させるための所定の動力伝達機構(不図示)に伝達する所定の回転駆動軸Xの端部に設けられたボスX1と接続した軸部材2が回転駆動軸Xと同期して回転する。そして、軸部材2の回転により、プーリとベルトを有してなる回転力伝達機構を経て、遠心型送風装置3が駆動し、羽根車(不図示)を、吸入部3dを経た軸方向からの空気を吸入して所定の遠心方向に排出する方向に回転させて排出口3cから空気を排出する。
遠心型送風装置3から排出された空気は、送風用配管4内を通り、主配管4aから複数組の一対の分岐管4bに分岐される。各組の一対の分岐管4bを通る空気は、風圧が高められた状態で、先端部4b1における、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔4b1aから、風圧が高められた状態で、刈刃22が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させる。このとき、夫々の組における一対の分岐管4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出した空気が、刈刃22の先端位置において交差する。なお、このとき、刈刃22近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃22の上方100cmまでの所定範囲の高さ位置に向けて、従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な位置調節手段(図示省略)を備えた掻き込みリール取付用の一対のリール支持アーム23aに一対の送風用配管支持部材111を介して支持される主配管4aを介して、主配管4aに接続する分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さを自在に変えて、噴出孔4b1aから空気を絨毯状に噴出させることができる。
【0087】
この状態の農作穀物刈取補助機構1を備えたコンバインを用いて、倒伏した大豆や小豆等の豆類及び倒伏していなくても地面に近い高さ位置で結実している大豆や小豆等の豆類を収穫する場合について説明する。
なお、大豆や小豆等の豆類は、衝撃により莢から豆が飛び出し易いため、収穫に際しては、掻き込みリールを取り外しておくことが望まれる。ここでは、掻き込みリールを取り外した状態で収穫する場合について説明する。また、本例では、67cmの畝幅で播種し栽培した小豆を収穫対象とするとともに、主配管4aに接続する夫々の組の一対の分岐管4b同士の間隔を67cm、一対の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを1畝の小豆に向かうよう調整した。
【0088】
刈取部を大豆や小豆等の豆類の方向に向けて走行させる。刈刃22が豆類に近づくにつれて、豆類は、根元近傍が、夫々の組の一対の分岐管4bにおける、後方且つ下方に位置する刈刃22に向けて曲がっている部位に斜めから押圧されながら、刈刃22における所定の刈取位置に案内される。このとき、夫々の畝において一対の分岐管4bが小豆の豆及び莢に衝突することが殆どなく、小豆の両側を通り抜けるか分岐管4bの刈刃22に向けて曲がっている部位からの斜めからの押圧により小豆の豆及び莢に衝突する力が弱められる。このため、夫々の畝で栽培されている小豆の莢からの豆の弾け出しが殆ど生じない。
刈刃22が小豆を刈り取る位置に近づいたとき、夫々の畝に対応して位置及び向きを調整された一対の分岐管4bは、先端部4b1の前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔4b1aから刈刃側の小豆に向けて略水平方向に空気を絨毯状に噴出させる位置に到達する。
さらに、刈取部の走行を続けることで、刈刃22が豆類の莢及び莢を含む茎部分を刈り取る。
【0089】
ところで、大豆や小豆等の豆類は、大麦や小麦等とは異なり、地面に近い高さ位置で結実し易い、また、一つ一つの実が大きくて重い、さらには、収穫のために乾燥させる必要がある、といった特性を有している。
このため、第1実施形態の農作穀物刈取補助機構1を備えていない従来一般の大型コンバインを用いて大豆や小豆等の豆類を収穫した場合、刈刃で刈り取られたときの豆及び莢の自重や、刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出て、落下し易い。
また、大豆や小豆等の豆類を栽培する圃場には雑草が発生し易い。そして、従来一般の大型コンバインを用いて圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行った場合、刈刃で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ24方向への進路を妨げられて、プラットフォームの下方に落下し易くなり、収穫量のロスがより一層大きく生じる虞がある。
【0090】
しかるに、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を介して、主配管4aに接続する複数の分岐管4b同士の間隔及び各々の分岐管4bの先端部4b1の水平方向の向きを調整した大型コンバインを用いた場合、夫々の畝に対し一対の分岐管4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから、刈刃22近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃22の上方100cmの所定範囲で傾き及び高さ位置を自在に変えて、絨毯状に噴出する空気の強力な風圧により落下しようとする豆及び莢を刈り取った雑草とともにプラットフォーム内後方の横送りオーガ24へ送り込む。
刈り取られた大豆や小豆等の豆類は、図26図29に示した大型コンバインと同様、回転する一対の横送りオーガ24により搬送部30の設けられている部位に横送りされる。横送りされた豆類は、搬送部30のコンベア31により脱穀部40に搬送される。脱穀された穀粒は、選別部50により選別される。脱穀部40により排出された排藁と雑草は、排藁処理部60により細断されて外部に排出される。
【0091】
このように、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を介して、主配管4aに接続する複数の分岐管4b同士の間隔及び各々の分岐管4bの先端部4b1の水平方向の向きを調整した大型コンバインを用いて小豆を収穫すると、小豆が刈刃で刈り取られたときの衝撃で莢から弾け出た豆及び自重で落下し易い豆及び莢が、夫々の畝に対し一対の分岐管4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出し、刈刃22の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガ24へ送り込まれ易くなる。また、圃場に雑草が発生したままの状態で小豆の刈り取りを行ったときに、刈刃22で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃22の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ24方向への進路を妨げられても、刈り取られた豆及び莢は、夫々の畝に対し一対の分岐管4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出し、刈刃22の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォームの下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガ24へ送り込まれ易くなる。
また、大型コンバインを用いることにより、一度に多数の畝で栽培された小豆を収穫でき、作業時間を大幅に短縮できる。
このため、小豆を刈り取る際の豆や莢の落下による収穫量のロスが大幅に改善されることと相俟って、収穫効率が極めて高くなる。
【0092】
第2実施形態(における分岐管の傾き・位置調整構造)
図14は本発明の第2実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係をプラットフォームの正面側から概略的に示す模式図、(b)は側方からみた模式図である。図15は第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における一対のリール支持アームと送風用配管を支持する送風用配管支持部材との配置関係を斜め前方から示す部分説明図である。
第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1は、例えば、図14図15に示すように、送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を支持する一対の送風用配管支持部材112は、例えば、図28図29に示した掻き込みリール取付用の一対のリール支持アーム23aとは、プラットフォーム21上の異なる部材に取り付けられている。また、図28図29に示した掻き込みリール23は、一対のリール支持アーム23aの夫々に従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な掻き込みリール用位置調節手段(図示省略)を備えている。また、送風用配管4は、一対の送風用配管支持部材112の夫々に従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な送風用配管用位置調節手段(図示省略)を備えている。
【0093】
そして、第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1に備わる分岐管の傾き・位置調整構造は、分岐管の傾き・位置調整構造における送風用配管用位置調節手段による分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに分岐管の向き・間隔調整構造による主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの調整と、掻き込みリール用位置調節手段による掻き込みリールの位置調整と、を互いに独立して行うことができるように構成されている。
その他の構成は、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1と略同じである。
【0094】
第3実施形態(における分岐管の傾き・位置調整構造)
図16は本発明の第3実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、送風用配管を支持する送風用配管支持部材の構成を斜め前方から示す部分説明図である。図17は第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造における送風用配管を支持する送風用配管支持部材の構成を側方から示す部分拡大説明図である。
第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1に備わる分岐管の傾き・位置調整構造は、例えば、図16図17に示すように、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自在に調整することができるように構成されている。
詳しくは、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1における送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を支持する一対の送風用配管支持部材112は、第1の角パイプ部材112aと、第2の角パイプ部材112bを有して構成されている。
第1の角パイプ部材112aは、一端(図示省略)が従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な送風用配管用位置調節手段(図示省略)と接続している。
また、第1の角パイプ部材112aは、他端側の側面に所定間隔で形成された複数のボルト通し穴112dを有している。
第2の角パイプ部材112bは、一端が送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を支持している。
また、第2の角パイプ部材112bは、第1の角パイプ部材112aの内部に挿入可能な大きさを有し、側面に所定間隔で形成された複数のボルト通し穴112cを有している。
そして、一対の送風用配管支持部材112は、第2の角パイプ部材112bが、第1の角パイプ部材112aの内部を移動可能に挿入され、作業者を介して第1の角パイプ部材112aの内部を移動しながら、第2の角パイプ部材112bのボルト通し穴112cを第1の角パイプ部材112aの所定のボルト通し穴112dに位置合わせし、ボルト112eで固定することにより、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自在に調整することができるようになっている。
その他の構成は、第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1と略同じである。
【0095】
第4実施形態(における分岐管の傾き・位置調整構造)
図18は本発明の第4実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の傾き・位置調整構造の要部を示す説明図で、(a)は部分拡大図、(b)は内部構成を模式的に示す断面図である。
第4実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1に備わる分岐管の傾き・位置調整構造は、例えば、図18に示すように、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有している。
詳しくは、分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段は、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1における送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を支持する一対の送風用配管支持部材112’と、アクチュエータ113を有して構成されている。
一対の送風用配管支持部材112’は、第1の角パイプ部材112a’と、第2の角パイプ部材112b’を有して構成されている。
第1の角パイプ部材112a’は、一端(図資省略)が従来公知の油圧シリンダ等により上下前後に位置を調節可能な送風用配管用位置調節手段(図示省略)と接続し、内部にアクチュエータ113を備えている。
第2の角パイプ部材112b’は、一端が送風用配管4における主配管4aの刈刃22の前方且つ上方で刈刃に対して略平行に配置された部分4a1を支持し、他端がアクチュエータ113の先端と接続している。
また、第2の角パイプ部材112b’は、第1の角パイプ部材112a’の内部に挿入可能な大きさを有している。
そして、一対の送風用配管支持部材112’は、第2の角パイプ部材112b’が、第1の角パイプ部材112a’の内部を移動可能に挿入され、アクチュエータ113の作動により第1の角パイプ部材112a’の内部を移動しながら、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自動的に調整されるようになっている。
その他の構成は、第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1と略同じである。
【0096】
第5実施形態(における分岐管の向き・間隔調整構造)
図19は本発明の第5実施形態に係る大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の向き・間隔調整構造を示す説明図である。図20は第5実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構に備わる分岐管の向き・間隔調整構造の要部を示す説明図で、(a)は鍔状部材が固着された分岐管取付用管状部材をベース板に装着した状態を下側からみた部分平面図、(b)は(a)において第1の連結部材を取り付けた状態を下側からみた部分平面図、(c)は(a)において第2の連結部材を取り付けた状態を下側からみた部分平面図、(d)は分岐管の向き・間隔調整構造を下側からみた部分平面図、(e)は分岐管の向き・間隔調整構造を前方からみた部分正面図である。
第5実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1に備わる分岐管の傾き・位置調整構造は、全ての組の一対の分岐管の先端部の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されている。
詳しくは、分岐管の傾き・位置調整構造は、例えば、図19に示すように、ベース板121と、鍔状部材122と、第1連結部材123と、第2連結部材124と、連結軸125と、分岐管取付用管状部材126と、を有して構成されている。
ベース板121には、分岐管取付用管状部材126を遊嵌可能な穴(不図示)が形成されている。
鍔状部材122は、分岐管取付用管状部材126におけるベース板121側近傍の外周面に固着されている。また、鍔状部材122は、例えば台形状に形成された部位を有している。
分岐管取付用管状部材126は、ベース板121とは反対側の端部が分岐管4bを接続可能に構成されている。
そして、鍔状部材122が固着された分岐管取付用管状部材126は、図20(a)に示すように、隣り合う組同士で隣り合う分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122の台形状に形成された部位が、ベース板121の長手方向の辺に対して互いに反対側を向くように、ベース板121の穴に遊嵌されている。
連結軸125は、隣り合う組同士で隣り合う分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122の台形状に形成された部位に設けられる。
【0097】
第1連結部材123は、図20(b)に示すように、連結軸125は、隣り合う組同士で隣り合う分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122の台形状に形成された部位に設けられた連結軸125を介して、隣り合う組同士で隣り合う分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122を連結している。これにより、第1連結部材123の長手方向に移動する力が加えられたときに、連結されている分岐管取付用管状部材126同士が互いに異なる方向に回転するようになっている。
第2連結部材124は、図20(c)に示すように、各組において一対の分岐管4bにおける同じ側の分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122の台形状に形成された部位に設けられた連結軸125を介して、各組において一対の分岐管4bにおける同じ側の分岐管4bに対応する分岐管取付用管状部材126同士に固着された、夫々の鍔状部材122を連結している。これにより、第2連結部材124の長手方向に移動する力が加えられたときに、連結されている分岐管取付用管状部材126同士が互いに同じ方向に回転するようになっている。
そして、分岐管の傾き・位置調整構造は、鍔状部材122が固着された分岐管取付用管状部材126をベース板121に装着し、次いで、第1連結部材123を取り付け、次いで、第2連結部材124を取り付けることによって構成される(図20(d))。
さらに、図20(e)に示す、夫々の分岐管取付用管状部材126に全ての分岐管4bを同じ向きにして取り付け、固定させる。なお、その場合、分岐管の傾き・位置調整構造に備わる分岐管取付用管状部材126のうち、両端に位置する分岐管取付用管状部材126以外の分岐管取付用管状部材126に分岐管4bを取り付ける。
このようにして、分岐管4bを取り付けた分岐管の傾き・位置調整構造は、第2連結部材124の長手方向に移動する力を加えることにより、全ての組の一対の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるように構成されている。
その他の構成は、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1と略同じである。
【0098】
なお、図19図20に示す分岐管の傾き・位置調整構造において、好ましくは、第2連結部材124に対して長手方向に移動させる力を加えるアクチュエータ等を第2連結部材124の一端部に接続させるようにする。このようにすれば、全ての組の一対の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの同時調整を自動的に行うことができるようになる。
また、第5実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1に備わる分岐管の傾き・位置調整構造は、全ての組ではなく、少なくとも一つの組の一対の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの同時調整を行うことができるように構成してもよい。
【0099】
第6実施形態(第1実施形態~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバインに付加された構成―その1)
図21は本発明の第6実施形態に係る大型コンバインの要部の構成を示す説明図である。図22は第6実施形態における要部の構成を側方から模式的に示す説明図である。
第6実施形態の大型コンバインは、図1図20を用いて説明した第1実施形態~第5実施形態のいずれかの大型コンバインの農作穀物刈取補助機構を備えることに加えて、さらに、例えば、図21図22に示すように、刈取部20における刈刃22を備えるプラットフォーム21の前側下縁部の面が刈刃22から横送りオーガ24に向けて平坦化した面に形成されている。
詳しくは、刈刃22の直後のプラットフォーム21の面A1とその後方のプラットフォーム21の面A2との段差を段差解消部材130で平坦にしている。
なお、好ましくは、刈刃22を取り付けるボルトは下側に先端が突出するようにするとともに、螺子頭が曲面形状に形成されたものを用いる。このようにすると、刈刃22の後方で豆類が当接し難くなり、豆類を横送りオーガ24の方向に送り易くすることができる。
【0100】
第7実施形態(第1~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバインに付加された構成―その2)
図23は既存の大型コンバインにおけるフィードパンの構成を斜め上方から示す説明図である。図24は本発明の第7実施形態に係る大型コンバインのフィードパンの構成を、既存の大型コンバインと対比して示す説明図で、(a)は既存の大型コンバインにおけるフィードパンの構成を側方から模式的に示す説明図、(b)は第7実施形態の大型コンバインのフィードパンの構成を側方から模式的に示す説明図である。
大型コンバインは、刈取部20で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部30と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機(不図示)を備えた脱穀部40と、脱穀機の下方に配置された、搬送部30で搬送され脱穀部40で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部50と、搬送部30と選別部50の間に配置され、脱穀処理された農作穀物を受け、クリーニングファン(不図示)からの送風により籾殻やごみを排除するフィードパンを有している。
例えば、図23に示す既存の大型コンバインのフィードパン140は、脱穀部40に設けられており、そして、搬送部30により搬送され、脱穀部40の扱胴(不図示)により脱穀された脱穀物を受け、クリーニングファン(空気送出装置)(不図示)からの空気を吹きかけられて籾殻やごみが排除されるようにしながら前後に揺動して脱穀物を選別部50へ送るようになっている。
しかし、既存の大型コンバインにおけるフィードパン140は、図24(a)に示すように、搬送部30から選別部50へ向けて上向きの傾斜が設けられており、小豆を脱穀した場合、穀粒やごみがフィードパン140の搬送部側の端部近傍Pに堆積し易く、過度に堆積したときに、フィードパン140を揺動する揺動手段(不図示)や搬送部30に故障等の不具合が生じ易くなっていた。
【0101】
しかるに、第7実施形態の大型コンバインは、図1図20を用いて説明した第1実施形態~第5実施形態のいずれかの大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1を備えることに加えて、さらに、図24(b)に示すように、フィードパン140が、搬送部側端部から選別部側に向けた所定位置までの間が緩やかな下向きに傾斜した面を有する堆積防止板141を有して構成されている。
【0102】
第8実施形態(第1実施形態~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構を備えた大型コンバインに付加された構成―その3)
図25は本発明の第8実施形態に係る大型コンバインの要部の構成の一例を示す説明図である。
第8実施形態の大型コンバインは、刈取部20で刈り取った農作穀物を搬送するコンベアを備えた搬送部30と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機(不図示)を備えた脱穀部40と、脱穀機の下方に配置された、搬送部30で搬送され脱穀部40で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部50と、脱穀部40により排出された排藁を細断する排藁処理部60を備えている。
そして、図1図20を用いて説明した第1実施形態~第5実施形態のいずれかの大型コンバインの農作穀物刈取補助機構を備えることに加えて、さらに、例えば、図25に示すように、大型コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、搬送部30、脱穀部40、選別部50、排藁処理部60の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えている。
図25に窓の一例として、大型コンバインの後方を覆うカバーが外れて露出した、排藁処理部60の外壁に形成した窓Wを設けた状態を示す。この窓Wは排藁処理部60内部の排藁チェーンの処理状態を観察可能にし、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことを可能にしている。
便宜上、図示を省略するが、搬送部30に形成する窓は、大型コンバインの側方を覆うカバーが外れて露出した、搬送部30の外壁に形成され、コンベア31の処理状態を観察可能にし、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことを可能にしている。同様に、脱穀部40、選別部50に形成する窓は、大型コンバインの側方を覆うカバーが外れて露出した、脱穀部40、選別部50の外壁に形成され、脱穀部40、選別部50の内部の扱銅(不図示)、フィードパン、クリーニングファン(空気送出装置)(不図示)、揺動手段(不図示)の処理状態を観察可能にし、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことを可能にしている。
なお、窓Wには、透明なカバー板を開閉可能に設けるとより好ましい。
さらに、搬送部30、脱穀部40、選別部50、排藁処理部60の夫々の内部に存在する各部材の表面には、帯電防止膜がコーティングされている。なお、帯電防止膜の代わりに付着防止膜がコーティングされていてもよい。
【0103】
第1実施形態~第8実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインの効果
第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、遠心型送風装置3の排出口と接続し、刈刃22の前方且つ上方で刈刃22に対して、略平行に配置された部分を有する主配管4a及び主配管4aにおける刈刃22に対して略平行に配置された部分に所定間隔をあけて夫々接続する一対の分岐管4bを複数組有し、且つ、隣り合う組同士において隣り合う分岐管4b同士が近接配置されている送風用配管4を備え、夫々の分岐管4bを、後方且つ下方に位置する刈刃に向けて曲がり、夫々の分岐管4bの先端部4b1は、刈刃22が設けられている領域の幅方向に分岐管4bの個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められて形成されているとともに、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔4b1aを有し、夫々の組における一対の分岐管4bを、夫々の先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出した空気が、刈刃22の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設された構成にしたので、大豆や小豆等の豆類が刈刃22で刈り取られたときの衝撃で莢から弾け出た豆及び自重で落下し易い豆及び莢が、夫々の組における一対の分岐管4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから刈刃22が設けられている領域の幅方向に分岐管の個数に応じて分割された一部の分割領域をカバーする所定範囲に向けて、絨毯状に噴出し、刈刃22の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォーム21の下方に落下することなく、プラットフォーム21内後方の横送りオーガ24に送り込まれ易くすることができる。また、夫々の組における一対の分岐管4bを、夫々の先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから絨毯状に噴出した空気が、刈刃22の先端位置において交差するように、互いの先端部4b1が近づく方向を向いて配設された構成にすれば、刈り取りの際に刈刃22が豆類に近づくにつれて、夫々の組の一対の分岐管4bにおける、後方且つ下方に位置する刈刃22に向けて曲がっている部位が豆類の根元近傍を斜めから押圧しながら、刈刃22における、絨毯状に噴出した空気が交差する所定の刈取位置に案内することができる。このとき、夫々の畝において一対の分岐管4bが小豆の豆及び莢に衝突することが殆どなく、小豆の両側を通り抜けるか分岐管4bの刈刃22に向けて曲がっている部位からの斜めからの押圧により小豆の豆及び莢に衝突する力が弱められるため、夫々の畝で栽培されている小豆の莢からの豆の弾け出しが殆ど生じない。
【0104】
また、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、刈刃22近傍の高さ位置から刈刃22の上方100cmまでの所定範囲で、分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さ位置を自在に調整するための分岐管4bの傾き・位置調整構造を備えた構成にしたので、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行ったときに、刈刃で刈り取られた豆及び莢が、刈り取られた雑草により、刈刃の位置からプラットフォーム内後方の横送りオーガ方向への進路を妨げられても、刈り取られた豆及び莢は、一対の4bの先端部4b1のスリット形状の噴出孔4b1aから刈刃22近傍の高さ位置(刈刃22の上方0~数cmの所定範囲の高さ位置)から刈刃22の上方100cmまでの所定範囲で傾き及び高さ位置を自在に変えて絨毯状に噴出し、刈刃22の先端位置において交差する空気の強力な風圧により、プラットフォーム21の下方に落下することなく、プラットフォーム内後方の横送りオーガに送り込まれ易くなる。
このため、掻き込みリール23を装備することなく、掻き込みリール23を装備した構成に比べて、豆や莢の落下による収穫量のロスを大幅に改善しながら、圃場に雑草が発生したままの状態で大豆や小豆等の豆類の刈り取りを行うことができる。
【0105】
また、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを調整するための分岐管の向き・間隔調整構造を備えた構成にしたので、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取る直前に分岐管4bを豆及び莢に衝突させないようにすることが可能となる。
また、一対の分岐管4bからの空気が1畝に播種され栽培された小豆等の豆類に噴出するように、分岐管4bを取り付け、先端部4b1の向きを調整することで、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、刈り取られたときに豆及び莢の自重や、刈刃22や掻き込みリール23のタイン23fに接触したときの衝撃で莢から豆が弾け出る等の豆類を刈り取る際の豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類をより確実にプラットフォーム21内後方の横送りオーガ24へ送り込むように空気を送り込むことが可能となり、収穫量のロスを大幅に低減することが可能となる。そして、大型コンバインにより、一度に大量の小豆等の豆類を収穫可能で、作業時間を大幅に短縮可能となるため、収穫効率を極めて高めることができる。
【0106】
また、第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、リール支持アーム23aと、送風用配管4を支持する送風用配管支持部材111と、がプラットフォーム21上の異なる部材に取り付けられ、分岐管の傾き・位置調整構造による分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さ位置の調整、並びに分岐管の向き・間隔調整構造による主配管4aに接続する夫々の分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの調整と、掻き込みリール用位置調節手段による掻き込みリール23の位置調整と、を互いに独立して行うことができるような構成にしたので、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによる効果に加えて、掻き込みリール用位置調節手段による掻き込みリール23の位置調整を行っても、分岐管4bの先端部4b1の刈刃22に対する傾きや高さ位置が変動しないため、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物に応じて、夫々の刈り取りに際し、掻き込みリール23と、分岐管4bと、を最適な位置に調整することができる。
【0107】
また、第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、分岐管の傾き・位置調整構造を、さらに、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自在に調整することができるような構成にしたので、第2実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによる効果に加えて、大豆や小豆等の豆類や、小麦類等、収穫対象となる農作穀物の畝幅に応じて、夫々の刈り取りに際し、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を最適な間隔に調整することができ、分岐管4b同士の間隔及び分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きを最適な間隔及び向きに調整することができる。
【0108】
また、第4実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、分岐管の傾き・位置調整構造を、分岐管4bの先端部4b1と刈刃22との間隔を自動的に調整する分岐管先端部・刈刃の間隔自動調整手段を有した構成にしたので、第3実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによる効果に加えて、分岐管先端部・刈刃の間隔の調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0109】
また、第5実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、全ての組の一対の分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの調整を同時に行うことができるような構成にしたので、第1実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによる効果に加えて、分岐管4bの先端部4b1の略水平方向の向きの調整のための作業負担を大幅に軽減することができる。
【0110】
また、第6実施形態の大型コンバインによれば、刈取部20における刈刃22を備えるプラットフォーム21の前側下縁部の面を、刈刃22から横送りオーガ24に向けて平坦化した面に形成したので、第1実施形態~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構1を備えた大型コンバインによる効果に加えて、豆類の収穫に際し、莢及び莢を含む茎部分を刈刃で刈り取ったとき、刈り取られた莢の段差との衝突を回避し容易に横送りオーガ24に送り込まれるようにすることができ、収穫のロスをより一層低減することができる。
【0111】
また、第7実施形態の大型コンバインによれば、刈取部20で刈り取った農作穀物を搬送するコンベア31を備えた搬送部30と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部40と、脱穀機の下方に配置された、搬送部30で搬送され脱穀部40で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部50と、搬送部30と選別部50の間に配置され、脱穀処理された農作穀物を受け、クリーニングファンからの送風により籾殻やごみを排除するフィードパン140を有し、フィードパン140を、搬送部側端部から選別部側に向けた所定位置までの間が緩やかな下向きに傾斜した面を有するような構成にしたので、第1実施形態~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構1を備えた大型コンバインによる効果に加えて、小豆を脱穀した場合であっても、フィードパンの搬送部側端部に穀粒やごみが堆積し難くなり、故障を防止することができる。
【0112】
また、第8実施形態の大型コンバインによれば、刈取部20で刈り取った農作穀物を搬送するコンベア31を備えた搬送部30と、搬送された農作穀物を脱穀する脱穀機を備えた脱穀部40と、脱穀機の下方に配置された、搬送部30で搬送され脱穀部40で脱穀処理された農作穀物を揺動しながら穀粒とその他のごみとに選別する選別部50と、脱穀部40により排出された排藁を細断する排藁処理部60を備え、コンバインの側方及び後方を覆うカバーが外れ、駆動機構や配管が露出した状態をなし、搬送部30、脱穀部40、選別部50、排藁処理部60の夫々に、内部の処理状態を外部から観察可能であり、且つ、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業を外部から行うことの可能な所定の大きさ、形状の窓を備えた構成にしたので、第1実施形態~第5実施形態の農作穀物刈取補助機構1を備えた大型コンバインによる効果に加えて、外部から内部の不具合を発見でき、詰まり等の不具合に対し、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく外部から対処することができ、収穫ロスや収穫効率の悪化を防ぐとともに、詰まりや故障その他の内部の不具合を解消するための作業負担及び時間を大幅に低減することができる。
【0113】
また、第8実施形態の大型コンバインによれば、搬送部30、脱穀部40、選別部50、排藁処理部60の夫々の内部に存在する各部材の表面に帯電防止膜がコーティングされている構成にしたので、穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が静電気を帯び難くなる。その結果、各部材の表面に付着し難くなり、付着物の堆積等による不具合の発生を抑制することができる。また、各部材の表面に穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が付着しても、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく、上述した窓から空気噴出装置を用いて空気を噴出することで、各部材の表面に付着した付着物を容易に除去することができる。
また、搬送部30、脱穀部40、選別部50、排藁処理部60の夫々の内部に存在する各部材の表面に付着防止膜がコーティングされている構成にした場合には、各部材の表面に穀粒や排藁その他の粉塵等の付着物が付着しても、大掛かりな部材の取り外しを行うことなく、上述した窓から水洗装置を用いて水洗いすることで、各部材の表面に付着した付着物を容易に除去できる。
このため、第8実施形態の大型コンバインによれば、ある種類の農作穀物の収穫から他の種類の農作穀物の収穫に切り替えて収穫作業を行う際の、搬送部、脱穀部、選別部、排藁処理部の夫々の内部に存在する各部材の清掃のための作業負担及び時間を大幅に低減することができる。
【0114】
従って、第1実施形態~第8実施形態の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構1及びそれを備えた大型コンバインによれば、農作穀物を刈り取る刈取部を装備し、刈取部が刈刃と掻き込みリールと空気噴出装置とを備え、空気噴出装置が主配管と、主配管に所定の間隔をあけて夫々接続し、先端部からの空気を刈刃側に向けて噴出させる多数の分岐管と、を備えた大型コンバインにおいて、様々な畝幅での播種如何にかかわらず、大豆や小豆等の豆類を刈り取る直前に分岐管を豆及び莢に衝突させず、刈り取ったときの豆及び莢の自重や、大豆や小豆等の豆類を刈り取る際の刈刃や掻き込みリールのタインに接触したときの衝撃による豆の弾け出し等に起因する、豆や莢の落下を低減し、刈り取った小豆等の豆類を確実にプラットフォーム内後方の横送りオーガへ送り込むことができるように空気を噴出し、収穫量のロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させて、収穫時間を大幅に短縮することが可能で、しかも、小麦類の収穫も良好に行うことの可能な、大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の大型コンバインの農作穀物刈取補助機構及びそれを備えた大型コンバインは、大規模な作付面積を有する、大豆や小豆等の豆類等の農作穀物を収穫することが必要とされる分野に有用である。
【符号の説明】
【0116】
1 農作穀物刈取補助機構
2 軸部材
3 遠心型送風装置
3a、3a、3a、3a プーリ
3b、3b ベルト
3c ケース
3c 排出口
3d 吸入部
4 送風用配管
4a 主配管
4a1 刈刃22に対して略平行に配置された部分
4a1-1 長穴部
4b 分岐管
4b1 先端部
4b1a 噴出孔
4b2 主配管4aとの接続側の端部
4b2-1 (第1の)雄螺子部
4c 蓋
4c1 固定部
5 空気噴出部材
5a 噴出部
5a1 噴出孔
5a2 噴出孔5a1とは反対側の端部
5b 連通部
5b1 パイプ
6 空気噴出部材支持部材
10 走行部
20 刈取部
21 プラットフォーム
22 刈刃
23 掻き込みリール
23a リール支持アーム
23b リール支軸
23c リール形成アーム
23d 連結片
23e タインバー
23f タイン
24 横送りオーガ
24a 円筒状部材
24b 螺旋状部材
24c 掻き込みフィンガ
25 分草部材
30 搬送部
31 コンベア
40 脱穀部
50 選別部
60 排藁処理部
91 分岐管接続・固定部材
91a 板ベルト
91a1、91a2 両端部
91a3 雌螺子部
91b U字ボルト
100 分岐管接続ユニット
100a 板状ベース部材
100a1 穴部
100b 環状部材
100b1 円筒部
100b2 フランジ部
100b3 第1の雌螺子部
100b4 回動量調整部
100b4-1 ガイド穴
100c 環状部材固定部材
100c1 第2の雌螺子部
100c2 第2の雄螺子部
100c3 頭部
101 分岐管接続ユニット固定部材
101a 板ベルト
101a1、101a2 両端部
101b U字ボルト
111 送風用配管支持部材
112 送風用配管支持部材
112a 第1の角パイプ部材
112b 第2の角パイプ部材
112c ボルト通し穴
112d ボルト通し穴
112e ボルト
112’ 送風用配管支持部材
112a’ 第1の角パイプ部材
112b’ 第2の角パイプ部材
113 アクチュエータ
121 ベース板
122 鍔状部材
123 第1連結部材
124 第2連結部材
125 連結軸
126 分岐管取付用管状部材
130 段差解消部材
140 フィードパン
141 堆積防止板
A1 刈刃22の直後のプラットフォーム21の面
A2 刈刃22の直後より後方のプラットフォーム21の面
W 窓
【要約】
【課題】様々な畝幅での播種如何にかかわらず、収穫ロスを大幅に低減しながら、多数の畝に栽培されている大量の小豆等の豆類を一度に収穫し、収穫作業効率を大幅に向上させ、収穫時間を大幅に短縮可能な農作穀物刈取補助機構の提供。
【解決手段】主配管4aに接続する一対の分岐管4bを複数組有する送風用配管4と、分岐管の先端部4b1の刈刃22に対する傾き及び高さ位置を自在に調整する構造と、主配管に接続する夫々の分岐管同士の間隔及び分岐管の先端部の略水平方向の向きを調整する構造とを備え、分岐管の先端部は、空気を絨毯状に噴出させるように、管路の上下方向が狭められ、前方及び側方に開口したスリット形状の噴出孔4b1aを有し、夫々の一対の分岐管は、スリット形状の噴出孔から絨毯状に噴出した空気が、刈刃の先端位置において交差するように、互いの先端部が近づく方向を向いて配設されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図30
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