(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20241021BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241021BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2020180872
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 亦宏
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-068842(JP,A)
【文献】特開2015-045750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズと、
第2レンズと、
前記第1レンズと前記第2レンズとを収容し、前記第1レンズと接合する接合部と、胴体部と、を有する鏡筒と、
前記接合部に形成された、前記第1レンズと前記鏡筒とを接合するための接着剤が収納される円環状の溝と、
前記溝に形成された、空気を排出するための第1孔と、
前記溝に形成された、前記接着剤を注入するための第2孔と、を備え、
前記第1孔は、前記接合部の壁部または底部を貫通する孔であり、
前記第2孔は、前記接合部の前記壁部または前記底部を貫通する孔であ
り、
前記接合部の前記壁部は、前記胴体部よりも幅が広がっており、
前記第1レンズは、前記壁部の内側に嵌め込まれ、
前記第2レンズは、前記胴体部の内側に嵌め込まれる、
レンズユニット。
【請求項2】
前記第1孔は、前記壁部及び前記底部にそれぞれ少なくとも1つずつ形成される、
請求項
1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記接合部の前記底部は、前記第1レンズの底面が突き当てられる凸部を有し、
前記凸部は、前記壁部よりも内側、且つ、前記溝の側方に形成される、
請求項
1に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水性を有するカメラのレンズユニットにおいて、鏡筒にレンズを接着させる場合に、製作者は、鏡筒に設けられた溝に接着剤を塗布する。製作者は、接着剤が塗布された溝の上にレンズが配置されるように鏡筒に嵌め込むことで、鏡筒とレンズとを接着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レンズユニットは、接着剤の上からレンズが嵌め込まれると、接着界面や接着層の内部に気泡が発生してしまうことにより空洞が形成されてしまう。そして、空洞は、レンズと接着剤との密着性を低下させたり、遅漏経路を形成したりしてしまう。
【0005】
本開示は、接着界面や接着層の内部に空洞が形成されてしまうことを抑制することができるレンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、レンズユニットの一態様は、レンズと、鏡筒と、収納溝と、排出孔と、を備える。前記鏡筒は、前記レンズが収容される。前記収納溝は、前記鏡筒に形成された、前記レンズと前記鏡筒とを接合するための接着剤が収納される。前記排出孔は、前記収納溝に形成された、空気を排出するための孔である。
【0007】
上記課題を解決するための、レンズユニットの一態様は、第1レンズと、第2レンズと、鏡筒と、溝と、第1孔と、第2孔と、を備える。前記鏡筒は、前記第1レンズと前記第2レンズとを収容し、前記第1レンズと接合する接合部と、胴体部と、を有する。前記溝は、前記接合部に形成された、前記第1レンズと前記鏡筒とを接合するための接着剤が収納される円環状の溝である。前記第1孔は、前記溝に形成された、空気を排出するための孔である。前記第2孔は、前記溝に形成された、前記接着剤を注入するための孔である。そして、前記第1孔は、前記接合部の壁部または底部を貫通する孔であり、前記第2孔は、前記接合部の前記壁部または前記底部を貫通する孔であり、前記接合部の前記壁部は、前記胴体部よりも幅が広がっており、前記第1レンズは、前記壁部の内側に嵌め込まれ、前記第2レンズは、前記胴体部の内側に嵌め込まれる。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様により、レンズユニットは、接着界面や接着層の内部に空洞が形成されてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の第1レンズが取り外された状態の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1への接着剤の注入方法を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の収納溝に接着剤が充填された状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施形態の変形例1の一態様に係るレンズユニットの第1レンズが取り外された状態の外観を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施形態の変形例1の一態様に係るレンズユニットの断面を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニットの第1レンズが取り外された状態の外観を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニットの断面を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニットへの接着剤の注入方法を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニットの収納溝に接着剤が充填された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の外観を示す斜視図である。
図2は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の第1レンズ10が取り外された状態の外観を示す斜視図である。
図3は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の断面を示す断面図である。
【0012】
レンズユニット1は、第1レンズ10及び第2レンズ20が装着される鏡筒30を備える。すなわち、鏡筒30は、第1レンズ10及び第2レンズ20が収容される。鏡筒30は、胴体部31と、胴体部31よりも幅が広がっているフランジ部32と、を有する。胴体部31は、円筒の形状を有している。胴体部31は、上部の先端であって、フランジ部32の内側に第2レンズ20が嵌め込まれている。なお、
図1及び2に示す胴体部31は、円筒の形状を有している。すなわち、胴体部31は、断面形状が円形となっている。しかしながら、胴体部31は、断面形状が円形に限らず、楕円形であってもよいし、三角形の形状であってもよいし、四角形の形状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0013】
フランジ部32は、鏡筒30に設けられ、第1レンズ10を接合する部分である。フランジ部32は、胴体部31の上部の端に設けられる。また、フランジ部32は、底部321と、壁部322とを有している。
【0014】
底部321は、フランジ部32の底である。壁部322は、底部321の周囲を囲う壁である。壁部322の内径は、第1レンズ10と略同じ大きさとなっている。これにより、第1レンズ10は、フランジ部32に嵌め込まれる。
【0015】
また、底部321は、接着剤3が収納される溝である収納溝323を有する。収納溝323は、鏡筒30に形成された、第1レンズ10と鏡筒30とを接合するための接着剤3が収納される溝である。更に詳しくは、収納溝323は、フランジ部32において第1レンズ10の底面が突き当てられる突き当て部324の側方に設けられ、第1レンズ10の外縁と略同じ大きさの環状形状であって、第1レンズ10により開口が閉じられる溝である。
【0016】
図2及び
図3に示す突き当て部324は、表面が平面形状を有している。よって、収納溝323は、フランジ部32に第1レンズ10が突き当てられた場合に、第1レンズ10により開口が閉じられる。すなわち、
図3に示すように、収納溝323は、第1レンズ10により閉じられる。なお、突き当て部324の表面は、平面形状に限らず、先端が尖った凸形状であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0017】
フランジ部32は、注入孔325と、排出孔326とを有している。注入孔325は、収納溝323に形成された、接着剤3を注入するための孔である。すなわち、注入孔325は、第1レンズ10を接着するための接着剤3を収納溝323に注入するための孔である。また、注入孔325は、収納溝323の底面に形成される。更に詳しくは、注入孔325は、フランジ部32の底部321を貫通した孔であって、フランジ部32の外部から収納溝323まで通された孔である。なお、注入孔325は、収納溝323の底面に限らず、収納溝323の側面に形成されてもよい。なお、
図3に示す注入孔325は、レンズユニット1の光軸方向に対して略平行に形成されているが、略平行に限らず、任意の角度が設けられていてもよい。
【0018】
排出孔326は、収納溝323に形成された、空気を排出するための孔である。排出孔326は、第1レンズ10を接着させる接着剤3が収納溝323に充填された場合に、収納溝323から空気を排出する。また、排出孔326は、収納溝323の側面に形成される。更に詳しくは、排出孔326は、フランジ部32の壁部322を貫通した孔であって、フランジ部32の外部から収納溝323まで通された孔である。排出孔326は、収納溝323の中心を挟んで注入孔325と対向する収納溝323上に設けられる。なお、排出孔326は、収納溝323の空気を退避させる空間があれば、フランジ部32の外部まで貫通した孔でなくてもよい。なお、
図3に示す排出孔326は、レンズユニット1の光軸方向に対して略直行に形成されているが、略直行に限らず、任意の角度が設けられていてもよい。
【0019】
例えば、注入孔325と、排出孔326との直径は、0.02ミリメートル以上の孔である。すなわち、注入孔325と、排出孔326との断面積は、0.0003平方ミリメートル以上である。なお、注入孔325と、排出孔326とのサイズは、一例であって、接着剤3の粘度などの様々な条件に応じて任意に変更してもよい。
【0020】
また、
図2及び3に示す注入孔325と、排出孔326との断面形状は、円形となっている。しかしながら、注入孔325と、排出孔326との断面形状は、円形に限らず、楕円形であってもよいし、三角形であってもよいし、多角形であってもよいし、任意の形状であってもよい。
【0021】
また、
図2及び3に示すフランジ部32は、注入孔325と、排出孔326とをそれぞれ1個ずつ設けられている。しかしながら、注入孔325と、排出孔326とは、1個に限らず、複数設けられていてもよい。さらに、注入孔325の個数と、排出孔326の個数とは、一致していなくてもよい。
【0022】
また、注入孔325と、排出孔326との形成方法は、限定しない。例えば、注入孔325と、排出孔326とは、樹脂インサート成形により形成されてもよいし、2次加工により形成されてもよいし、他の方法により形成されてもよい。
【0023】
次に、収納溝323に対する接着剤3の注入方法について説明する。
【0024】
図4は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1への接着剤3の注入方法を示す図である。
図5は、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1の収納溝323に接着剤3が充填された状態を示す断面図である。
【0025】
シリンジ2は、第1レンズ10を接着させるための接着剤3が充填されている。そして、シリンジ2は、
図4に示すようにニードルが注入孔325に挿入された場合に、接着剤3を収納溝323に注入する。接着剤3は、収納溝323に沿って注入孔325から排出孔326に向かって補充される。この時、排出孔326は、接着剤3によって押し出された収納溝323の空気を、収納溝323の外部に排出する。これにより、収納溝323は、接着剤3で満たされる。なお、接着剤3は、シリンジ2に限らず、他の器具や装置により収納溝323に注入されてもおい。
【0026】
また、シリンジ2は、排出孔326から接着剤3が排出された後も所定期間は接着剤3の注入を継続してもよい。これにより、シリンジ2は、収納溝323の空気を外部に排出させることができる。よって、レンズユニット1は、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0027】
また、シリンジ2は、排出孔326が上方に向けられるように、レンズユニット1を傾けた状態で接着剤3を注入してもよい。これにより、収納溝323の空気は、浮き上がるため、排出孔326を通って収納溝323の外部に排出される。よって、レンズユニット1は、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0028】
また、排出孔326は、収納溝323の空気を吸い出す吸引装置が装着されてもよい。これにより、収納溝323の空気は、収納溝323の外部に排出される。よって、レンズユニット1は、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0029】
以上のように、本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1は、鏡筒30を備える。鏡筒30は、第1レンズ10を接合するためのフランジ部32を備える。フランジ部32は、第1レンズ10の外縁と略同じ大きさの環状形状であって、第1レンズ10により開口が閉じられる収納溝323を有する。そして、収納溝323は、第1レンズ10を接着させる接着剤3が収納溝323に充填された場合に、収納溝323から空気を排出する排出孔326を有する。よって、レンズユニット1は、接着界面や接着層の内部に形成された気泡を排出することができるため、接着界面や接着層の内部に空洞が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0030】
(変形例1)
第1の実施形態の変形例1について説明する。
【0031】
図6は、本開示の第1の実施形態の変形例1の一態様に係るレンズユニット1aの第1レンズ10が取り外された状態の外観を示す斜視図である。
図7は、本開示の第1の実施形態の変形例1の一態様に係るレンズユニット1aの断面を示す断面図である。
【0032】
本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1は、フランジ部32の壁部322に排出孔326を有している。変形例1の一態様に係るレンズユニット1aは、鏡筒30aのフランジ部32aの壁部322aではなく、底部321aに排出孔326aが設けられている。
【0033】
図6及び
図7に示すように、排出孔326aは、収納溝323aの底面に形成される。収納溝323aは、フランジ部32aの突き当て部324aに第1レンズ10が突き当てられた場合に、第1レンズ10により開口が閉じられる。更に詳しくは、排出孔326aは、フランジ部32aの底部321aに設けられる。排出孔326aは、レンズユニット1の光軸方向に対して略直行に形成されている。すなわち、排出孔326aは、フランジ部32aの底部321aを貫通した孔であって、フランジ部32aの外部から収納溝323aまで通された孔である。そして、排出孔326aは、注入孔325aにシリンジ2のニードルが注入孔325に挿入された場合に、収納溝323から空気を排出する。
【0034】
この場合においても、シリンジ2は、排出孔326aが上方に向けられるように、レンズユニット1aを傾けた状態で接着剤3を注入してもよい。これにより、収納溝323aの空気は、浮き上がるため、排出孔326aを通って収納溝323aの外部に排出される。よって、レンズユニット1aは、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0035】
以上のように、本開示の第1の実施形態の変形例1の一態様に係るレンズユニット1aにおいて、排出孔326aは、フランジ部32aの底部321aに設けられる。この場合においても、排出孔326aは、第1の実施形態と同様に、収納溝323aから空気を排出する。よって、レンズユニット1aは、接着界面や接着層の内部に形成された気泡を排出することができるため、接着界面や接着層の内部に空洞が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
【0037】
図8は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bの第1レンズ10が取り外された状態の外観を示す斜視図である。
図9は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bの断面を示す断面図である。
【0038】
本開示の第1の実施形態の一態様に係るレンズユニット1は、フランジ部32の底部321に注入孔325を有している。一方、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bの鏡筒30bに設けられたフランジ部32bは、接着剤3を注入する注入孔325を有していない。そこで、シリンジ2は、第1レンズ10が取り外された状態において、フランジ部32bの上方から収納溝323bに接着剤3を塗布する。
【0039】
次に、収納溝323bに対する接着剤3の注入方法について説明する。
【0040】
図10は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bへの接着剤3の注入方法を示す図である。
図11は、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bの収納溝323bに接着剤3が充填された状態を示す斜視図である。
【0041】
図10に示すように、シリンジ2は、第1レンズ10が取り外された状態で、フランジ部32bの上方から収納溝323bに接着剤3を塗布する。この時、製作者は、接着剤3の粘度に応じて、排出孔326bを閉じてもよい。すなわち、収納溝323bに塗布した接着剤3が、排出孔326bから流れ出てしまう場合には、製作者は、排出孔326bを閉じる。一方、接着剤3が、排出孔326bから流れ出ない場合には、製作者は、排出孔326bを閉じなくてもよい。
【0042】
また、シリンジ2は、接着剤3の表面張力などを利用して、収納溝323bの体積以上の接着剤3を塗布する。製作者は、収納溝323bに接着剤3を塗布した場合に、
図11に示すようにフランジ部32bに第1レンズ10を嵌め込む。この時、排出孔326bを閉じている場合には、製作者は、排出孔326bを開放した状態で第1レンズ10を嵌め込む。
【0043】
また、フランジ部32bの突き当て部324bに第1レンズ10を突き当てて嵌め込まれたことにより、収納溝323bの開口は閉じられる。収納溝323bの開口が閉じられたため、収納溝323bの空気は、接着剤3とともに排出孔326bから排出される。このように、収納溝323bの空気が排出されるため、レンズユニット1bは、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0044】
また、レンズユニット1bは、第1レンズ10が嵌め込まれ後に、排出孔326bが上方に向けられるように傾けられてもよい。これにより、収納溝323bの空気は、浮き上がるため、排出孔326bを通って収納溝323bの外部に排出される。よって、レンズユニット1bは、気泡が生成されてしまう可能性が低減されるため、空洞の形成を抑制することができる。
【0045】
また、
図8及び
図9に示すレンズユニット1bは、断面形状が円形の排出孔326bを一つ有している。しかしながら、排出孔326bの数や、断面形状や、大きさは、任意に変更してもよい。また、排出孔326bは、壁部322bに限らず、変形例1のように底部321bに設けられてもよいし、他の位置に設けられてもよい。
【0046】
以上のように、本開示の第2の実施形態の一態様に係るレンズユニット1bにおいて、排出孔326bは、第1レンズ10が嵌め込まれた場合に、第1の実施形態と同様に、収納溝323bから空気を排出する。よって、レンズユニット1bは、接着界面や接着層の内部に形成された気泡を排出することができるため、接着界面や接着層の内部に空洞が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0047】
また、第2の実施形態のレンズユニット1bは、第1の実施形態の変形例1と同様に、排出孔326bがフランジ部32bの底部321bに設けられてもよい。
【0048】
また、第1の実施形態、第1の実施形態の変形例1、及び第2の実施形態では、フランジ部32bは、胴体部31よりも太いと説明した。すなわち、フランジ部32bの外径は、胴体部31の外径よりも大きいと説明した。これにより、
図4に示すように、シリンジ2は、胴体部31の側方であってフランジ部32bの下方から、接着剤3を注入することができる。しかしながら、シリンジ2のニードルが長い場合や、フランジ部32bの側方からニードルを注入孔325aに入れる場合などには、フランジ部32bの外径の大きさは、胴体部31の外径と同じであってもよいし、胴体部31の外径よりも小さくてもよい。
【0049】
以上、本開示の内容について、実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素または各処理プロセスの組み合わせに、いろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0050】
1、1a、1b…レンズユニット、2…シリンジ、3…接着剤、10…第1レンズ、20…第2レンズ、30、30a、30b…鏡筒、31…胴体部、32、32a、32b…フランジ部、321、321a、321b…底部、322、322a、322b…壁部、323、323a、323b…収納溝、324、324a、324b…突き当て部、325、325a…注入孔、326、326a、326b…排出孔。