(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】高周波回路用参照電流回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/24 20060101AFI20241021BHJP
H03F 1/30 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G05F3/24 A
H03F1/30 210
(21)【出願番号】P 2020161024
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0285666(US,A1)
【文献】特開2014-063288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0270997(US,A1)
【文献】特開2012-151611(JP,A)
【文献】特開2012-123485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0119819(US,A1)
【文献】特開平11-068477(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103631297(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/24
H03F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧を出力するとともに、参照電圧を出力する参照電圧源と、
抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、前記参照電圧の供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧を出力するCTAT電流源と、
前記PTAT電圧に基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えて前記CTAT電圧に基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、
前記N×Iptatの電流から前記M×Ictatの電流を減算するトランジスタ(但し、N×Iptat-M×Ictat によって電流の温度傾斜の傾きが設定され、係数Nの値は N×Iptat-M×Ictat>0 となるように設定される)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路と、を有し、
参照電流としてK×(N×Iptat-M×Ictat)を出力する、
ことを特徴とする高周波回路用参照電流回路。
【請求項2】
抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧を出力するとともに、参照電圧を出力する参照電圧源と、
抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、前記参照電圧の供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧を出力するCTAT電流源と、
前記PTAT電圧に基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えて前記CTAT電圧に基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路と、
前記PTAT電圧に基づいてm×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、mは係数)、前記K×(N×Iptat-M×Ictat)の電流が用いられて発生して前記可変電流減算回路から出力される温度傾斜電圧に基づいて温度傾斜電流Ihrefが流れるトランジスタ、および、m×Iptat≧Ihref の場合にm×Iptatの電流が流れるとともに m×Iptat<Ihref の場合にIhrefの電流が流れるトランジスタを含む電流混合回路と、を有し、
参照電流としてm×IptatまたはIhrefを出力する、
ことを特徴とする高周波回路用参照電流回路。
【請求項3】
温度センサをさらに有し、
前記温度センサによって検知される温度に基づいて前記Mの値および前記Kの値を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波回路用参照電流回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波回路用参照電流回路に関し、特に、温度変化による高周波回路の特性変動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
定電流源回路では、通常、温度特性をフラットにして温度に依存しない出力電流が得られるようにするための工夫が図られる。
【0003】
温度依存性を補償する従来の回路として、例えば、正の温度特性を有する電流を出力する第1の定電流源回路と、負の温度特性を有する電流を出力する第2の定電流源回路と、第1の定電流源回路の電流出力ラインと第2の定電流源回路の電流出力ラインとの間に接続されたカレントミラー回路と、を備える定電流源回路が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プロセスばらつき(「製造ばらつき」とも呼ばれる)があるため、温度依存性の補償の精度を上げる場合には個別に回路ごとの温度特性を調整する必要があり、温度依存性の補償を安定させることは非常に困難であるとともに多大な手間が必要とされる、という問題がある。
【0006】
そこでこの発明は、プロセスばらつきの影響を抑制するとともに温度変化による高周波回路の特性変動を抑制することが可能な、高周波回路用参照電流回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧を出力するとともに、参照電圧を出力する参照電圧源と、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、前記参照電圧の供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧を出力するCTAT電流源と、前記PTAT電圧に基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えて前記CTAT電圧に基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、前記N×Iptatの電流から前記M×Ictatの電流を減算するトランジスタ(但し、N×Iptat-M×Ictat によって電流の温度傾斜の傾きが設定され、係数Nの値は N×Iptat-M×Ictat>0 となるように設定される)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路と、を有し、参照電流としてK×(N×Iptat-M×Ictat)を出力する、ことを特徴とする高周波回路用参照電流回路である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧を出力するとともに、参照電圧を出力する参照電圧源と、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、前記参照電圧の供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧を出力するCTAT電流源と、前記PTAT電圧に基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えて前記CTAT電圧に基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路と、前記PTAT電圧に基づいてm×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、mは係数)、前記K×(N×Iptat-M×Ictat)の電流が用いられて発生して前記可変電流減算回路から出力される温度傾斜電圧に基づいて温度傾斜電流Ihrefが流れるトランジスタ、および、m×Iptat≧Ihref の場合にm×Iptatの電流が流れるとともに m×Iptat<Ihref の場合にIhrefの電流が流れるトランジスタを含む電流混合回路と、を有し、参照電流としてm×IptatまたはIhrefを出力する、ことを特徴とする高周波回路用参照電流回路である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の高周波回路用参照電流回路において、温度センサをさらに有し、前記温度センサによって検知される温度に基づいて前記Mの値および前記Kの値を調整する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、プロセスばらつきに対応し且つ電源電圧に依存しない、電流の温度傾斜が可変可能な参照電流回路が構成され、温度変化による高周波回路の特性変動を抑えることが可能となり、具体的には高周波回路の利得特性を温度変化に対して一定とするとともに低温における安定係数を改善することが可能となる。上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、可変抵抗回路を用いるようにしているので、リターンロスや利得のプロセスばらつきを軽減することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、プロセスばらつきに対応し且つ電源電圧に依存しない、電流の温度傾斜が可変可能な参照電流回路が構成され、温度変化による高周波回路の特性変動を抑えることが可能となり、具体的には高周波回路の利得特性を温度変化に対して一定とするとともに低温における安定係数を改善することが可能となる。上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、可変抵抗回路を用いるようにしているので、リターンロスや利得のプロセスばらつきを軽減することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、温度センサを備えるようにして実際の接合温度に応じて能動的に電流の温度傾斜を変えることにより、温度変化に対する耐性を一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の高周波回路用参照電流回路の参照電圧源の回路構成を示す図である。
【
図3】
図1の高周波回路用参照電流回路の第1の可変抵抗回路の回路構成を示す図である。
【
図4】
図1の高周波回路用参照電流回路のCTAT電流源の回路構成を示す図である。
【
図5】
図1の高周波回路用参照電流回路の第2の可変抵抗回路の回路構成を示す図である。
【
図6】
図1の高周波回路用参照電流回路の可変電流減算回路の回路構成を示す図である。
【
図7】MOSFETの相互コンダクタンスの温度依存性の例を示す図である。
【
図8】参照電流回路に求められる特性を説明する概念図である。
【
図9】
図1の高周波回路用参照電流回路におけるプラス側電源電圧と参照電流との間の関係を示す図である。
【
図10】
図1の高周波回路用参照電流回路における制御信号を変化させることによる参照電流の対温度勾配の変化を示す図である。
【
図11】
図1の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の利得の対温度変動を示す図である。
【
図12】
図1の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の安定係数の対温度変動を示す図である。
【
図13】この発明の実施の形態2に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【
図14】
図13の高周波回路用参照電流回路の電流混合回路の回路構成を示す図である。
【
図15】
図13の高周波回路用参照電流回路における制御信号を変化させることによる参照電流の対温度勾配の変化を示す図である。
【
図16】
図13の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の利得の対温度変動を示す図である。
【
図17】
図13の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の安定係数の対温度変動を示す図である。
【
図18】この発明の実施の形態3に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【
図19】
図18の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の利得の対温度変動を示す図である。
【
図20】
図18の高周波回路用参照電流回路の場合の高周波増幅回路の安定係数の対温度変動を示す図である。
【
図21】高周波増幅回路のSパラメータの状況を示す図である。
【
図22】高周波増幅回路の安定係数の状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、この発明の説明において、「接続」は「電気的に接続」の意味を含むものとする。
【0015】
また、この発明の説明では参照電流Ihref,Irefmixが高周波増幅回路9へと供給される例を挙げているが、参照電流Ihref,Irefmixが供給される機序は高周波増幅回路に限定されるものではなく、参照電流Ihref,Irefmixは、例えば、周波数混合器/周波数変換器、電圧制御発振器(VCO:Voltage-Controlled Oscillator の略)、あるいは検波回路などへと供給されるようにしてもよい。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【0017】
実施の形態1に係る高周波回路用参照電流回路は、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vrefptatを出力するとともに、参照電圧Vrefを出力する参照電圧源1と、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、参照電圧源1から出力される参照電圧Vrefの供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vrefctatを出力するCTAT電流源2と、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vrefptatに基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてCTAT電流源2から出力されるCTAT電圧Vrefctatに基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路3と、を有し、参照電流Ihref=K×(N×Iptat-M×Ictat)を高周波増幅回路9へと供給する。
【0018】
高周波増幅回路9は、入力される高周波信号/無線周波数信号(「高周波信号RFin」と表記する)の電力を所定のレベルまで増幅して増幅後の高周波信号/無線周波数信号(「高周波信号RFout」と表記する)を出力する。なお、高周波増幅回路9のゲインは、参照電流Ihrefが一定の場合、温度に応じて変化する特性を有している。
【0019】
参照電圧源1は、
図2に示す素子や回路などの相互の接続態様の回路構成を備え、第1の抵抗制御信号R1contの入力を受けて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vref
ptat(PTAT:Proportional To Absolute Temperature の略)を出力するとともに、参照電圧Vrefを出力する。
【0020】
参照電圧源1は、第1乃至第4のトランジスタ11~14と、第1の可変抵抗回路15とを含む。
【0021】
第1のトランジスタ11は、例えばPチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor の略)であり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、第2のトランジスタ12と直列にダイオード接続される(即ち、第1のトランジスタ11のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される)とともに、第3のトランジスタ13と電流ミラー接続される(即ち、第1のトランジスタ11のゲート端子と第3のトランジスタ13のゲート端子とが接続される)。
【0022】
第2のトランジスタ12は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第1のトランジスタ11のドレイン端子に接続される。
【0023】
第3のトランジスタ13は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第1の可変抵抗回路15の一端に接続されるとともに、ゲート端子が第1のトランジスタ11のゲート端子に接続される。
【0024】
第4のトランジスタ14は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第1の可変抵抗回路15の他端に接続される。
【0025】
第1の可変抵抗回路15は、すなわち、一端が第3のトランジスタ13のドレイン端子に接続されるとともに他端が第4のトランジスタ14のドレイン端子に接続されて、第3のトランジスタ13と第4のトランジスタ14との間に直列に介在して設けられる。
【0026】
そして、第3のトランジスタ13と第1の可変抵抗回路15との接続点に第4のトランジスタ14のゲート端子が接続され、また、第4のトランジスタ14と第1の可変抵抗回路15との接続点に第2のトランジスタ12のゲート端子が接続される。
【0027】
第1の可変抵抗回路15は、
図3に示す素子などの相互の接続態様の回路構成を備え、第1のデコーダ151と、複数のトランジスタ(
図3に示す例では、3つのトランジスタ152a,152b,152c)と、複数の抵抗素子(
図3に示す例では、4つの抵抗素子153a,153b,153c,153d)とを含む。なお、
図3に示す例ではトランジスタが3つであるとともに抵抗素子が4つであるようにしているが、トランジスタおよび抵抗素子の個数は、特定の値に限定されるものではなく、
図3に示す例よりも少なくてもよいし多くてもよい。
【0028】
第1のデコーダ151は、第1の抵抗制御信号R1contの入力を受け、前記第1の抵抗制御信号R1contに従って複数のトランジスタ152a~152cのそれぞれのオン状態とオフ状態とを切り替えて制御するオンオフ信号を生成し、生成した前記オンオフ信号を前記複数のトランジスタ152a~152cのそれぞれに対して出力する。そして、複数のトランジスタ152a~152cのそれぞれのオン状態とオフ状態とが切り替えられることにより、第1の可変抵抗回路15としての抵抗値Res1が調節される。
【0029】
複数の抵抗素子153a~153dは、すべてが相互に縦続接続される。
【0030】
複数のトランジスタ152a~152cは、各々、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子に第1のデコーダ151から出力される第1の抵抗制御信号R1contが入力され、また、抵抗素子153b,153c,153dのそれぞれに対して並列に接続される。
【0031】
第1の抵抗制御信号R1contは、定電流回路が用いられて基準抵抗(例えば、抵抗値許容差が±1%程度のもの;「標準抵抗器」とも呼ばれる)と抵抗値Res1とが比較され、抵抗値Res1を基準抵抗と同様の精度に調節するように生成されて利用される。
【0032】
第1の抵抗制御信号R1contの内容(即ち、コード)に基づいて第1のデコーダ151から出力されるオンオフ信号に従って複数のトランジスタ152a~152cそれぞれのオン/オフの状態が切り替えられ、これにより、第1の可変抵抗回路15としての抵抗値Res1が調節される。
【0033】
ここで、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vrefptatおよび参照電圧Vrefは、第1乃至第4のトランジスタ11~14それぞれのゲート閾値電圧と第1の可変抵抗回路15としての抵抗値Res1の精度とで決まる。ゲート閾値電圧は、ゲート幅やゲート長などの電界効果トランジスタのサイズ要因によって決まる。したがって、第1の可変抵抗回路15としての抵抗値Res1の精度を高精度化することにより、PTAT電圧Vrefptatの精度が向上してばらつきが軽減される。
【0034】
すなわち、
図3に示す構成を備える第1の可変抵抗回路15により、抵抗のプロセスばらつきが補正される。そして、
図2および
図3に示す構成を備える参照電圧源1により、抵抗のプロセスばらつきが補正された結果として、電源電圧V
DDの変動に依存しない電圧が生成される。具体的には、第1のトランジスタ11のゲート端子と第3のトランジスタ13のゲート端子との接続点から、参照電圧源1の出力として、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vref
ptatが引き出される。また、第2のトランジスタ12のゲート端子と第4のトランジスタ14のドレイン端子および第1の可変抵抗回路15の他端との接続点から、参照電圧源1の出力として、参照電圧Vrefが引き出される。
【0035】
CTAT電流源2は、
図4に示す素子や回路などの相互の接続態様の回路構成を備え、第2の抵抗制御信号R2contの入力を受けるとともに、参照電圧源1から出力される参照電圧Vrefが印加されて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vref
ctat(CTAT:Complementary To Absolute Temperature の略)を出力する。
【0036】
CTAT電流源2は、オペアンプ21と、第5のトランジスタ22と、第2の可変抵抗回路23とを含む。
【0037】
オペアンプ21は、非反転入力端子(+)に参照電圧源1から出力される参照電圧Vrefが印加され、また、反転入力端子(-)が第5のトランジスタ22のドレイン端子と第2の可変抵抗回路23の一端との接続点に接続されるとともに、出力端子が第5のトランジスタ22のゲート端子に接続される。
【0038】
第5のトランジスタ22は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第2の可変抵抗回路23の一端に接続されるとともに、ゲート端子がオペアンプ21の出力端子に接続される。
【0039】
第2の可変抵抗回路23は、一端が第5のトランジスタ22のドレイン端子に接続され、他端が基準電位VSS(即ち、GND)に接続される。
【0040】
第2の可変抵抗回路23は、
図5に示す素子などの相互の接続態様の回路構成を備え、第2のデコーダ231と、複数のトランジスタ(
図5に示す例では、3つのトランジスタ232a,232b,232c)と、複数の抵抗素子(
図5に示す例では、4つの抵抗素子233a,233b,233c,233d)とを含む。なお、
図5に示す例ではトランジスタが3つであるとともに抵抗素子が4つであるようにしているが、トランジスタおよび抵抗素子の個数は、特定の値に限定されるものではなく、
図5に示す例よりも少なくてもよいし多くてもよい。
【0041】
第2のデコーダ231は、第2の抵抗制御信号R2contの入力を受け、前記第2の抵抗制御信号R2contに従って複数のトランジスタ232a~232cのそれぞれのオン状態とオフ状態とを切り替えて制御するオンオフ信号を生成し、生成した前記オンオフ信号を前記複数のトランジスタ232a~232cのそれぞれに対して出力する。そして、複数のトランジスタ232a~232cのそれぞれのオン状態とオフ状態とが切り替えられることにより、第2の可変抵抗回路23としての抵抗値Res2が調節される。
【0042】
複数の抵抗素子233a~233dは、すべてが相互に縦続接続される。
【0043】
複数のトランジスタ232a~232cは、各々、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子に第2のデコーダ231から出力される第2の抵抗制御信号R2contが入力され、また、抵抗素子233b,233c,233dのそれぞれに対して並列に接続される。
【0044】
第2の抵抗制御信号R2contは、定電流回路が用いられて基準抵抗(例えば、抵抗値許容差が±1%程度のもの;「標準抵抗器」とも呼ばれる)と抵抗値Res2とが比較され、抵抗値Res2を基準抵抗と同様の精度に調節するように生成されて利用される。
【0045】
第2の抵抗制御信号R2contの内容(即ち、コード)に基づいて第2のデコーダ231から出力されるオンオフ信号に従って複数のトランジスタ232a~232cそれぞれのオン/オフの状態が切り替えられ、これにより、第2の可変抵抗回路23としての抵抗値Res2が調節される。
【0046】
そして、第2の可変抵抗回路23の抵抗値がRes2であるとき、第5のトランジスタ22に流れる電流Ictatは、Ictat = Vref/Res2 となる。
【0047】
図5に示す構成を備える第2の可変抵抗回路23により、抵抗のプロセスばらつきが補正される。そして、
図4および
図5に示す構成を備えるCTAT電流源2により、抵抗のプロセスばらつきが補正された結果として、電源電圧V
DDの変動に依存しない電圧が生成される。具体的には、オペアンプ21の出力端子と第5のトランジスタ22のゲート端子との接続点から、CTAT電流源2の出力として、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vref
ctatが引き出される。
【0048】
可変電流減算回路3は、
図6に示す素子や回路などの相互の接続態様の回路構成を備え、制御信号Scontの入力を受けるとともに、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vref
ptatおよびCTAT電流源2から出力されるCTAT電圧Vref
ctatの供給を受けて、参照電流Ihrefを出力する。
【0049】
可変電流減算回路3は、第6乃至第14のトランジスタ31~39と、第1のトランジスタ群41と、第2のトランジスタ群42と、第3のデコーダ43とを含む。
【0050】
第1のトランジスタ群41は、複数のミラー部トランジスタ(
図6に示す例では、3つのトランジスタ411a,411b,411c;「ミラー部トランジスタ411a~411c」とも表記する)と、複数の制御用トランジスタ(
図6に示す例では、2つのトランジスタ412a,412b;「制御用トランジスタ412a,412b」とも表記する)とを有する。
【0051】
第2のトランジスタ群42は、複数のミラー部トランジスタ(
図6に示す例では、3つのトランジスタ421a,421b,421c;「ミラー部トランジスタ421a~421c」とも表記する)と、複数の制御用トランジスタ(
図6に示す例では、2つのトランジスタ422a,422b;「制御用トランジスタ422a,422b」とも表記する)とを有する。
【0052】
なお、
図6に示す例では、第1のトランジスタ群41も第2のトランジスタ群42も、ミラー部トランジスタが3つであるとともに制御用トランジスタが2つであるようにしているが、ミラー部トランジスタおよび制御用トランジスタの個数は、特定の値に限定されるものではなく、
図6に示す例よりも少なくてもよいし多くてもよい。なお、第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタや制御用トランジスタの個数と第2のトランジスタ群のミラー部トランジスタや制御用トランジスタの個数とが相互に異なるようにしてもよい。
【0053】
第6のトランジスタ31は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ゲート端子にCTAT電圧Vrefctatが印加され、また、ドレイン端子が第7のトランジスタ32のドレイン端子に接続される。
【0054】
第7のトランジスタ32は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第6のトランジスタ31のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cそれぞれのゲート端子に接続される。第7のトランジスタ32のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0055】
第8のトランジスタ33は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ゲート端子にPTAT電圧Vrefptatが印加され、また、ドレイン端子が第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cそれぞれのドレイン端子に接続される。
【0056】
第9のトランジスタ34は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第8のトランジスタ33のドレイン端子と第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cそれぞれのドレイン端子との接続点に接続されるとともに、ゲート端子が第10のトランジスタ35のゲート端子に接続される。
【0057】
第10のトランジスタ35は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第11のトランジスタ36のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第9のトランジスタ34のゲート端子に接続される。第10のトランジスタ35のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0058】
第11のトランジスタ36は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第10のトランジスタ35のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cそれぞれのゲート端子に接続される。第11のトランジスタ36のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0059】
第12のトランジスタ37は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cそれぞれのドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第13のトランジスタ38のゲート端子に接続される。第12のトランジスタ37のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0060】
第13のトランジスタ38は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第14のトランジスタ39のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第12のトランジスタ37のゲート端子に接続される。
【0061】
第14のトランジスタ39は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第13のトランジスタ38のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子がドレイン端子と短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0062】
第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cは、各々、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子が第7のトランジスタ32のゲート端子に接続されるとともに、ドレイン端子が第8のトランジスタ33のドレイン端子に接続される。
【0063】
第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cのうち、出力側の端のトランジスタ411cを除く、トランジスタ411a,411b各々のソース端子が制御用トランジスタ412a,412bそれぞれのドレイン端子に接続される。
【0064】
第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cのうち、出力側の端のトランジスタ411cは、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続される。
【0065】
第1のトランジスタ群41の制御用トランジスタ412a,412bは、各々、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子に第3のデコーダ43から出力される第1のオンオフ信号が入力され、また、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続されるとともに、ドレイン端子がミラー部トランジスタ411a,411bそれぞれのソース端子に接続される。
【0066】
第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cは、各々、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子が第11のトランジスタ36のゲート端子に接続されるとともに、ドレイン端子が第12のトランジスタ37のドレイン端子に接続される。
【0067】
第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cのうち、出力側の端のトランジスタ421cを除く、トランジスタ421a,421b各々のソース端子が制御用トランジスタ422a,422bそれぞれのドレイン端子に接続される。
【0068】
第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cのうち、出力側の端のトランジスタ421cは、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加される。
【0069】
第2のトランジスタ群42の制御用トランジスタ422a,422bは、各々、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ゲート端子に第3のデコーダ43から出力される第2のオンオフ信号が入力され、また、ドレイン端子がミラー部トランジスタ421a,421bそれぞれのソース端子に接続される。
【0070】
第3のデコーダ43は、制御信号Scontの入力を受け、前記制御信号Scontに従って第1のトランジスタ群41の制御用トランジスタ412a,412bのそれぞれのオン状態とオフ状態とを切り替えて制御する第1のオンオフ信号を生成し、生成した前記第1のオンオフ信号を前記制御用トランジスタ412a,412bのそれぞれに対して出力し、また、前記制御信号Scontに従って第2のトランジスタ群42の制御用トランジスタ422a,422bのそれぞれのオン状態とオフ状態とを切り替えて制御する第2のオンオフ信号を生成し、生成した前記第2のオンオフ信号を前記制御用トランジスタ422a,422bのそれぞれに対して出力する。
【0071】
制御信号Scontは、シミュレーションもしくは実機検証によって電界効果トランジスタの相互コンダクタンスならびに入出力負荷の温度特性をみて、使用する接合温度範囲(言い換えると、想定される接合温度範囲)で各種特性が一定になるように調整されて設定される。制御信号Scontは、例えば、可変電流減算回路3に備えられるヒューズや不揮発性メモリに記憶/格納されて用いられる。
【0072】
そして、ゲート端子にCTAT電圧Vrefctatが印加される第6のトランジスタ31には電流Ictatが流れ、ゲート端子にPTAT電圧Vrefptatが印加される第8のトランジスタ33には N×Iptat の電流が流れる。
【0073】
Nは、第8のトランジスタ33についての、ゲート端子に印可される電圧に対するドレイン端子の電流の比に相当する係数であり、電界効果トランジスタのゲート幅やゲート長などにより決定づけられる。Nは、シミュレーションもしくは実機検証によって電界効果トランジスタの相互コンダクタンスならびに入出力負荷の温度特性をみて、使用する接合温度範囲(言い換えると、想定される接合温度範囲)で各種特性が一定になるように調整されて設定される。Nは、例えば、可変電流減算回路3に備えられるヒューズや不揮発性メモリに記憶/格納されて用いられる。
【0074】
また、第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cのうちの出力側の端のトランジスタ411cに於ける電流は M×Ictat となる。ここで、Mは、第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cのうち、出力側の端のトランジスタ411cと制御用トランジスタ412a,412bのなかでオン状態になっているトランジスタと接続されているトランジスタとの個数である。なお、出力側の端のトランジスタ411cは制御用トランジスタとは接続されておらずオン/オフ状態が切り替わることがなく常にオン状態の個数としてカウントされるので、Mは1以上の整数である。
【0075】
そして、第9のトランジスタ34に N×Iptat-M×Ictat の電流が流れるとともに電流ミラー接続されている第10のトランジスタ35にも N×Iptat-M×Ictat の電流が流れる。つまり、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vrefptatに基づく電流 N×Iptat から、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vrefctatに基づく電流 M×Ictat が減算される。ここで、N×Iptat-M×Ictat によって電流の温度傾斜の傾きが決まり(別言すると、設定され)、係数Nの値は N×Iptat-M×Ictat>0 となるように調節されて決定/設定される。
【0076】
さらに、第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cのうちの出力側の端のトランジスタ421cに於ける電流は K×(N×Iptat-M×Ictat) となる。ここで、Kは、第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cのうち、出力側の端のトランジスタ421cと制御用トランジスタ422a,422bのなかでオン状態になっているトランジスタと接続されているトランジスタとの個数である。なお、出力側の端のトランジスタ421cは制御用トランジスタとは接続されておらずオン/オフ状態が切り替わることがなく常にオン状態の個数としてカウントされるので、Kは1以上の整数である。
【0077】
そして、出力側の端のトランジスタ421cと直列にダイオード接続される第12のトランジスタ37および当該第12のトランジスタ37と電流ミラー接続される第13のトランジスタ38を介して第14のトランジスタ39に於ける参照電流Ihrefは、Ihref=K×(N×Iptat-M×Ictat) となる。この参照電流Ihrefが引き出されて高周波増幅回路9へと供給される。
【0078】
このように、電流Ihrefの大きさが出力すべき参照電流となるように、第3のデコーダ43から出力される第1のオンオフ信号により、制御用トランジスタ412a,412bのうちオン状態とするトランジスタの個数が調節されてMの値が調整され、また、第3のデコーダ43から出力される第2のオンオフ信号により、制御用トランジスタ422a,422bのうちオン状態とするトランジスタの個数が調節されてKの値が調整される。
【0079】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、プラス側電源電圧V
DDと参照電流Ihrefとの間の関係は
図9に示すように、プラス側電源電圧V
DDが凡そ0.6(V)以上の領域において参照電流Ihref(A)の変化の傾きが緩やかになり、高温(具体的には、120℃;図中、実線)と低温(具体的には、-40℃;図中、破線)とのどちらにおいてもプラス側電源電圧V
DDに依存しない電流特性が得られることが確認される。
【0080】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、
図10に示すように、可変電流減算回路3に入力される制御信号Scontを変化させることにより、参照電流Ihrefの対温度勾配(即ち、電流の温度傾斜)を変化させることが可能であることが確認される。図中の「傾き(=0,1,2,3)」は電流の温度傾斜の傾きであり、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vref
ptatに基づく電流 N×Iptat から絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vref
ctatに基づく電流 M×Ictat を減算した N×Iptat-M×Ictat によって決まる。なお、図中のCTATおよびPTATは、制御信号Scontを変化させることによる人為的な温度傾斜の傾きとの比較のために表示している。
【0081】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、
図11に示すように、従来の一般的なPTAT回路と比べ、高周波増幅回路9の利得の対温度変動が小さいことが確認される。具体的には、
図11に示す接合温度範囲において、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には利得の最小値が-0.380であるとともに最大値が0.097であるので変動幅が0.477であるのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には利得の最小値が-0.213であるとともに最大値が0.039であるので変動幅が0.252であり、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合の方が利得の変動幅が小さい。なお、
図11では、接合温度20℃で利得を規格化している。
【0082】
また、
図12に示すように、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には高周波増幅回路9の利得が高くなることで低温側において安定係数(即ち、K-Factor)が劣化するのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には広い温度帯域(接合温度範囲)で利得が一定となるために低温側における安定係数の劣化が生じないことが確認される。
【0083】
すなわち、上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、プロセスばらつきに対応し且つ電源電圧に依存しない、電流の温度傾斜が可変可能な参照電流回路が構成され、温度変化による高周波回路の特性変動を抑えることが可能となり、具体的には高周波回路の利得特性を温度変化に対して一定とするとともに低温における安定係数を改善することが可能となる。上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、第1の可変抵抗回路15や第2の可変抵抗回路23を用いるようにしているので、リターンロスや利得のプロセスばらつきを軽減することが可能となる。
【0084】
(実施の形態2)
図13は、この発明の実施の形態2に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【0085】
実施の形態2に係る高周波回路用参照電流回路は、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vrefptatを出力するとともに、参照電圧Vrefを出力する参照電圧源1と、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、参照電圧源1から出力される参照電圧Vrefの供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vrefctatを出力するCTAT電流源2と、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vrefptatに基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてCTAT電流源2から出力されるCTAT電圧Vrefctatに基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路3と、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vrefptatに基づいてm×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、mは係数)、K×(N×Iptat-M×Ictat)の電流が用いられて発生して可変電流減算回路3から出力される可変電流減算回路3から出力される温度傾斜電圧Vhrefに基づいて温度傾斜電流Ihrefが流れるトランジスタ、および、m×Iptat≧Ihref の場合にm×Iptatの電流が流れるとともに m×Iptat<Ihref の場合にIhrefの電流が流れるトランジスタを含む電流混合回路5と、を有し、参照電流Irefmixとしてm×IptatまたはIhrefを高周波増幅回路9へと供給する。
【0086】
実施の形態2は、電流混合回路5を有する点で上記の実施の形態1と異なる一方で上記の実施の形態1と共通する構成もあり、実施の形態1と同様の構成については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
電流混合回路5は、
図14に示す素子や回路などの相互の接続態様の回路構成を備え、制御電流Icontの供給を受けるとともに参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vref
ptatおよび可変電流減算回路3から出力される温度傾斜電圧Vhrefの供給を受けて、参照電流Irefmixを出力する。
【0088】
電流混合回路5は、第15乃至第18のトランジスタ51~54と、第2のオペアンプ55と、第19乃至第22のトランジスタ56~59とを含む。
【0089】
第15のトランジスタ51は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ゲート端子に制御電流Icontが供給され、また、ドレイン端子が第16のトランジスタ52のソース端子に接続される。
【0090】
制御電流Icontは、シミュレーションもしくは実機検証によって電界効果トランジスタの相互コンダクタンスならびに入出力負荷の温度特性をみて、使用する接合温度範囲(言い換えると、想定される接合温度範囲)で各種特性が一定になるように調整されて設定される。制御電流Icontは、例えば、電流混合回路5に備えられるヒューズや不揮発性メモリに記憶/格納されて用いられる。
【0091】
第16のトランジスタ52は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子にPTAT電圧Vrefptatが印加され、また、ソース端子が第15のトランジスタ51のドレイン端子に接続されるとともに、ドレイン端子が第17のトランジスタ53のドレイン端子および第18のトランジスタ54のドレイン端子に接続される。
【0092】
第17のトランジスタ53は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ゲート端子にPTAT電圧Vrefptatが印加され、また、ドレイン端子が第16のトランジスタ52のドレイン端子および第18のトランジスタ54のドレイン端子に接続される。
【0093】
第18のトランジスタ54は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第16のトランジスタ52のドレイン端子と第17のトランジスタ53のドレイン端子との接続点に接続されるとともに、ゲート端子が第2のオペアンプ55の反転入力端子(-)に接続される。第18のトランジスタ54のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0094】
第2のオペアンプ55は、反転入力端子(-)に第18のトランジスタ54のゲート端子が接続されるとともに、非反転入力端子(+)に第19のトランジスタ56のゲート端子および第22のトランジスタ59のゲート端子が接続され、また、出力端子が第20のトランジスタ57のゲート端子に接続される。
【0095】
第19のトランジスタ56は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ドレイン端子が第20のトランジスタ57のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第2のオペアンプ55の非反転入力端子(+)に接続される。第19のトランジスタ56のゲート端子とドレイン端子とは短絡接続される(即ち、ダイオード接続される)。
【0096】
第20のトランジスタ57は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第19のトランジスタ56のドレイン端子に接続されるとともに、ゲート端子が第2のオペアンプ55の出力端子に接続される。
【0097】
第21のトランジスタ58は、例えばPチャネル型のMOSFETであり、ゲート端子に温度傾斜電圧Vhrefが印加されるとともに、ソース端子にプラス側電源電圧VDDが印加され、また、ドレイン端子が第19のトランジスタ56のドレイン端子と第20のトランジスタ57のドレイン端子との接続点に接続される。
【0098】
温度傾斜電圧Vhrefは、可変電流減算回路3の第14のトランジスタ39に於ける参照電流Ihref=K×(N×Iptat-M×Ictat) が用いられて発生して可変電流減算回路3から出力されて電流混合回路5へと入力される。
【0099】
第22のトランジスタ59は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、ドレイン端子にプラス側電源電圧VDDが印加されるとともに、ソース端子が基準電位VSS(即ち、GND)に接続され、また、ゲート端子が第19のトランジスタ56のゲート端子に接続される。
【0100】
そして、各々のゲート端子にPTAT電圧Vrefptatが印加される第16のトランジスタ52および第17のトランジスタ53と接続される第18のトランジスタ54には m×Iptat の電流が流れ、ゲート端子に温度傾斜電圧Vhrefが印加される第21のトランジスタ58には温度傾斜電流Ihrefが流れる。
【0101】
mは、第18のトランジスタ54についての、ゲート端子に印可される電圧に対するドレイン端子の電流の比に相当する係数であり、電界効果トランジスタのゲート幅やゲート長などにより決定づけられる。係数mは、シミュレーションもしくは実機検証によって電界効果トランジスタの相互コンダクタンスならびに入出力負荷の温度特性をみて、使用する接合温度範囲(言い換えると、想定される接合温度範囲)で各種特性が一定になるように調整されて設定される。係数mは、例えば、電流混合回路5に備えられるヒューズや不揮発性メモリに記憶/格納されて用いられる。
【0102】
m×Iptatの電流は第18のトランジスタ54を用いて電圧に変換されるとともに温度傾斜電流Ihrefは第19のトランジスタ56を用いて電圧に変換されたうえで第2のオペアンプ55によって比較される。そして、m×Iptat≧Ihref の場合は、第19のトランジスタ56にm×Iptatの電流が流れて第22のトランジスタ59に於ける参照電流Irefmix=m×Iptat となり、一方、m×Iptat<Ihref の場合は、第20のトランジスタ57がオフして、第19のトランジスタ56に温度傾斜電流Ihrefが流れて第22のトランジスタ59に於ける参照電流Irefmix=Ihref となる。
【0103】
そして、第22のトランジスタ59に於ける参照電流Irefmixが引き出されて高周波増幅回路9へと供給される。
【0104】
上記のような高周波回路用参照電流回路の作用効果の説明に関連して、電界効果トランジスタの相互コンダクタンスの温度依存性の例を
図7に示す。
図7に示すように、電界効果トランジスタの相互コンダクタンスを温度上昇に伴う変動を補償して一定にするためには、零温度係数点(Zero Temperature Coefficient Point)を境として、正温度係数側では温度の上昇に応じてゲート端子電圧を下げる必要があり、負温度係数側では温度の上昇に応じてゲート端子電圧を上げる必要がある。
【0105】
上記から、参照電流回路に求められる特性として、
図8の概念図に示すように、低温側における相互コンダクタンスおよび相対負荷の温度特性を考慮した温度依存性のある電流(図中、Islope1)と、高温側における相互コンダクタンスおよび相対負荷の温度特性を考慮した温度依存性のある電流(図中、Islope2)と、を出力可能であることが挙げられる。なお、低温側と高温側とは、使用する接合温度範囲(言い換えると、想定される接合温度範囲)のうち最も一般的/頻繁に想定される接合温度を境として区分されたり、前記接合温度範囲の中ほどの接合温度を境として区分されたりすることが考えられる。
【0106】
これに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、電流混合回路5(特に、第2のオペアンプ55)の働き/ふるまいにより、参照電流Irefmixについてm×IptatとIhrefとの切り替えが行われて、低温側における特性を考慮した温度依存性のある電流と高温側における特性を考慮した温度依存性のある電流とが出力される。
【0107】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、
図15に示すように、可変電流減算回路3に入力される制御信号Scontおよび電流混合回路5に供給される制御電流Icontを変化させることにより、特に第2のオペアンプ55の働き/ふるまいも相まって、参照電流Irefmixの対温度勾配(即ち、電流の温度傾斜)を任意の温度を境として任意に変化させることが可能であることが確認される。すなわち、
図15に示すように、制御信号Scontおよび制御電流Icontが或る設定の場合(図中、二点鎖線)と他の設定の場合(図中、破線)とで、参照電流Irefmixの対温度勾配(即ち、電流の温度傾斜)が変化する接合温度を任意に変えることが可能であり、且つ、前記接合温度の前後の傾きを任意に変えることが可能である。
【0108】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、
図16に示すように、従来の一般的なPTAT回路と比べ、高周波増幅回路9の利得の対温度変動が小さいことが確認される。具体的には、
図16に示す接合温度範囲において、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には利得の最小値が-0.380であるとともに最大値が0.097であるので変動幅が0.477であるのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には利得の最小値が-0.001であるとともに最大値が0.051であるので変動幅が0.052であり、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合の方が利得の変動幅が小さい。なお、
図16では、接合温度20℃で利得を規格化している。
【0109】
また、
図17に示すように、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には高周波増幅回路9の利得が高くなることで低温側において安定係数(即ち、K-Factor)が劣化するのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には広い温度帯域(接合温度範囲)で利得が一定となるために低温側における安定係数の劣化が生じないことが確認される。
【0110】
すなわち、上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、プロセスばらつきに対応し且つ電源電圧に依存しない、電流の温度傾斜が可変可能な参照電流回路が構成され、温度変化による高周波回路の特性変動を抑えることが可能となり、具体的には高周波回路の利得特性を温度変化に対して一定とするとともに低温における安定係数を改善することが可能となる。上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、第1の可変抵抗回路15や第2の可変抵抗回路23を用いるようにしているので、リターンロスや利得のプロセスばらつきを軽減することが可能となる。
【0111】
(実施の形態3)
図18は、この発明の実施の形態3に係る高周波回路用参照電流回路の概略構成を示す図である。
【0112】
実施の形態3に係る高周波回路用参照電流回路は、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えて、温度に対して一次の正特性を有するPTAT電圧Vrefptatを出力するとともに、参照電圧Vrefを出力する参照電圧源1と、抵抗値を変化させる可変抵抗を備えるとともに、参照電圧源1から出力される参照電圧Vrefの供給を受けて、絶対温度に対して相補的なCTAT電圧Vrefctatを出力するCTAT電流源2と、参照電圧源1から出力されるPTAT電圧Vrefptatに基づいてN×Iptatの電流が流れるトランジスタ(但し、Nは係数)、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてCTAT電流源2から出力されるCTAT電圧Vrefctatに基づいてM×Ictatの電流を生成するトランジスタ群(但し、Mは1以上の整数)、および、各トランジスタのオン/オフの状態を切り替えてK×(N×Iptat-M×Ictat)の電流を生成するトランジスタ群(但し、Kは1以上の整数)を含む可変電流減算回路3と、温度センサ6と、を有し、温度センサ6によって検知される温度に基づいてMの値およびKの値を調整し、参照電流Ihref=K×(N×Iptat-M×Ictat)を高周波増幅回路9へと供給する。
【0113】
実施の形態3は、温度センサ6、A/D変換器7、および制御回路8を有する点で上記の実施の形態1と異なる一方で上記の実施の形態1と共通する構成もあり、実施の形態1と同様の構成については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0114】
A/D変換器7は、接合温度に応じて電圧が変化する温度センサ6から出力される信号を温度計測値に変換して出力する。
【0115】
制御回路8は、A/D変換器7から出力される、温度計測値に対応するデジタル値に基づいて制御信号Scontを生成して出力する。
【0116】
実施の形態3では、温度計測値に応じて生成される制御信号Scontにより、第1のトランジスタ群41のミラー部トランジスタ411a~411cのうちの出力側の端のトランジスタ411cに於ける電流 M×Ictat および第2のトランジスタ群42のミラー部トランジスタ421a~421cのうちの出力側の端のトランジスタ421cに於ける電流 K×(N×Iptat-M×Ictat) について、延いては可変電流減算回路3の第14のトランジスタ39に於ける参照電流Ihref=K×(N×Iptat-M×Ictat)について、接合温度に応じて、Mの値を調整するように制御用トランジスタ412a,412bのうちオン状態とするトランジスタの個数が調節されるとともに、Kの値を調整するように制御用トランジスタ422a,422bのうちオン状態とするトランジスタの個数が調節される。
【0117】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、
図19に示すように、従来の一般的なPTAT回路と比べ、高周波増幅回路9の利得の対温度変動が小さいことが確認される。具体的には、
図19に示す接合温度範囲において、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には利得の最小値が-0.380であるとともに最大値が0.097であるので変動幅が0.477であるのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には利得の最小値が-0.099であるとともに最大値が0.000であるので変動幅が0.099であり、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合の方が利得の変動幅が小さい。なお、
図19では、接合温度20℃で利得を規格化している。
【0118】
また、
図20に示すように、従来の一般的なPTAT回路の場合(図中、破線)には高周波増幅回路9の利得が高くなることで低温側において安定係数(即ち、K-Factor)が劣化するのに対して、上記のような高周波回路用参照電流回路の場合(図中、実線)には広い温度帯域(接合温度範囲)で利得が一定となるために低温側における安定係数の劣化が生じないことが確認される。
【0119】
すなわち、上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、プロセスばらつきに対応し且つ電源電圧に依存しない、電流の温度傾斜が可変可能な参照電流回路が構成され、温度変化による高周波回路の特性変動を抑えることが可能となり、具体的には高周波回路の利得特性を温度変化に対して一定とするとともに低温における安定係数を改善することが可能となる。上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、また、第1の可変抵抗回路15や第2の可変抵抗回路23を用いるようにしているので、リターンロスや利得のプロセスばらつきを軽減することが可能となる。
【0120】
上記のような高周波回路用参照電流回路によれば、さらに、温度センサ6を備えるようにして実際の接合温度に応じて能動的に電流の温度傾斜を変えることにより、温度変化に対する耐性を一層向上させることが可能となる。
【0121】
ここで、高周波増幅回路9のSパラメータの状況を
図21に示す(尚、図の縦軸の「Counts」は各Sパラメータの値それぞれの出現頻度を表す)。
図21に示すSパラメータについて標準偏差を計算すると、抵抗値が非一定の場合(図中「Without R Calibration」)にはS11(dB):1.472,S22(dB):5.680,およびS21(dB):0.177であるのに対して、この発明に係る高周波回路用参照電流回路の場合(図中「With R Calibration」)にはS11(dB):1.456,S22(dB):5.559,およびS21(dB):0.1663となり、この発明に係る高周波回路用参照電流回路によれば抵抗による電流源のプロセスばらつきが抑えられることによって各項目のばらつきの程度が軽減されることが確認される。
【0122】
さらに、高周波増幅回路9の安定係数(即ち、K-Factor)の状況を
図22に示す(尚、図の縦軸の「Counts」は安定係数の値それぞれの出現頻度を表す)。
図22に示す結果から、抵抗値が一定の場合(図中「Without R Calibration」)と比べて、この発明に係る高周波回路用参照電流回路の場合(図中「With R Calibration」)には、抵抗による電流源のプロセスばらつきが抑えられることによって安定係数のばらつきの程度が軽減されることが確認される。
【0123】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 参照電圧源
11 第1のトランジスタ
12 第2のトランジスタ
13 第3のトランジスタ
14 第4のトランジスタ
15 第1の可変抵抗回路
151 第1のデコーダ
152a 第1の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
152b 第1の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
152c 第1の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
153a 第1の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
153b 第1の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
153c 第1の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
153d 第1の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
2 CTAT電流源
21 オペアンプ
22 第5のトランジスタ
23 第2の可変抵抗回路
231 第2のデコーダ
232a 第2の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
232b 第2の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
232c 第2の可変抵抗回路を構成するトランジスタ
233a 第2の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
233b 第2の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
233c 第2の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
233d 第2の可変抵抗回路を構成する抵抗素子
3 可変電流減算回路
31 第6のトランジスタ
32 第7のトランジスタ
33 第8のトランジスタ
34 第9のトランジスタ
35 第10のトランジスタ
36 第11のトランジスタ
37 第12のトランジスタ
38 第13のトランジスタ
39 第14のトランジスタ
41 第1のトランジスタ群
411a ミラー部トランジスタ
411b ミラー部トランジスタ
411c ミラー部トランジスタ
412a 制御用トランジスタ
412b 制御用トランジスタ
42 第2のトランジスタ群
421a ミラー部トランジスタ
421b ミラー部トランジスタ
421c ミラー部トランジスタ
422a 制御用トランジスタ
422b 制御用トランジスタ
43 第3のデコーダ
5 電流混合回路
51 第15のトランジスタ
52 第16のトランジスタ
53 第17のトランジスタ
54 第18のトランジスタ
55 第2のオペアンプ
56 第19のトランジスタ
57 第20のトランジスタ
58 第21のトランジスタ
59 第22のトランジスタ
6 温度センサ
7 A/D変換器
8 制御回路
9 高周波増幅回路