(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】計測システム、計測方法、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
G01C15/00 104A
G01C15/00 103E
(21)【出願番号】P 2021054537
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 善孝
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197459(JP,A)
【文献】特開2020-193484(JP,A)
【文献】特開2002-328022(JP,A)
【文献】特開2020-159823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
G01B 11/00-11/30
E21D 1/00- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状を計測する計測システムであって、
計測対象の三次元形状を計測し、計測した三次元形状における点群データを取得する計測装置と、
取得された前記点群データと設計データとの差分を表す画像を表示し、前記画像を複数の領域に分割する情報処理装置と
を含み、
前記情報処理装置は、分割された前記領域の少なくとも1つが選択されたことに応答して、前記計測装置に対し、選択された前記領域を指定して該選択された領域の三次元形状の計測を指示する、計測システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記選択された領域を特定するための複数の点の位置座標を送信し、該選択された領域の三次元形状の計測を指示する、請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、設定された条件に従って、前記画像を格子状に分割し、取得された前記点群データを基に、格子の各交点の位置座標を計算する、請求項1または2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記計測装置は、前記計測対象の三次元形状を計測する三次元スキャナと、前記三次元スキャナを制御する制御装置とを含み、
前記制御装置は、前記情報処理装置からの前記指示に基づき、前記三次元スキャナの計測方向と基準の方位とのなす角を示す振り角と該計測方向と水平面とのなす角の示す仰角を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項5】
前記情報処理装置からの指示に基づき、指示された箇所へ向けてレーザー光を照射する照射装置を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項6】
計測装置と情報処理装置とを含む計測システムにより三次元形状を計測する方法であって、
前記計測装置が計測対象の三次元形状を計測し、計測した三次元形状における点群データを取得するステップと、
前記情報処理装置が前記点群データと設計データとの差分を表す画像を表示し、前記画像を複数の領域に分割するステップと、
前記情報処理装置が分割した前記領域の少なくとも1つが選択されたことに応答して、前記計測装置に対し、選択された前記領域を指定して該選択された領域の三次元形状の計測を指示するステップと
を含む、計測方法。
【請求項7】
三次元形状を計測する計測システムに用いられる情報処理装置であって、
計測対象の三次元形状を計測し、計測した三次元形状における点群データを取得する計測装置から該点群データを受信する受信手段と、
受信された前記点群データと設計データとの差分を表す画像を生成する生成手段と、
設定された条件に従って、生成された前記画像を複数の領域に分割する分割手段と、
分割された前記領域の少なくとも1つが選択されたことに応答して、前記計測装置に対し、選択された前記領域を指定して該選択された領域の三次元形状の計測を指示する指示手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項8】
三次元形状の計測を指示する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
計測対象の三次元形状を計測し、計測した三次元形状における点群データを取得する計測装置から該点群データを受信するステップと、
受信された前記点群データと設計データとの差分を表す画像を生成するステップと、
設定された条件に従って、生成された前記画像を複数の領域に分割するステップと、
分割された前記領域の少なくとも1つが選択されたことに応答して、前記計測装置に対し、選択された前記領域を指定して該選択された領域の三次元形状の計測を指示するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状を計測するシステム、方法、該システムに用いられる情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発破によるトンネル掘削工事では、発破により発生したズリを搬出した後、その後の覆工に支障を生じる出っ張り(アタリ)を取り除く作業が行われる。アタリ取りを行う箇所は、作業員の目視により判断することができるが、その範囲が広く、手間がかかることから、三次元(3D)スキャナを用いて掘削壁面の計測を行い、基準断面と比較してアタリ取りを行う箇所を特定している(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5500708号公報
【文献】特許第5500709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3Dスキャナを用いる方法では、3Dスキャナの自己位置・姿勢を推定した後、対象範囲の計測を行い、点群データを取得する。そして、取得した点群データと設計データを比較して差分をコンター図で表示することで、掘削が必要な箇所を掘削機械の運転席で確認することができる。
【0005】
掘削が必要な箇所を掘削した後、再計測を行い、設計通りに掘削できているかを確認する必要があるが、従来の方法では、対象範囲全体を再計測することから、時間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、三次元形状を計測する計測システムであって、
計測対象の三次元形状を計測し、計測した三次元形状における点群データを取得する計測装置と、
取得された点群データと設計データとの差分を表す画像を表示し、前記画像を複数の領域に分割する情報処理装置と
を含み、
情報処理装置は、分割された領域の少なくとも1つが選択されたことに応答して、計測装置に対し、選択された領域を指定して該選択された領域の三次元形状の計測を指示する、計測システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、必要な箇所の再計測を短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図。
【
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示したブロック図。
【
図5】分割された領域の1つを選択する画面の一例を拡大して示した図。
【
図7】計測システムにより計測の流れの一例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、計測システムの構成例を示した図である。
図1に示す例では、計測システムをトンネル掘削工事におけるトンネル底面の逆アーチに仕上げられるインバート掘削出来形測定を行うものとして説明するが、これに限定されるものではない。したがって、計測システムは、トンネルの側壁および天端のアーチ部分の三次元形状や、トンネル以外の三次元形状を計測するために使用してもよい。
【0010】
トンネル掘削工事では、地山等からの圧力に耐えるように、トンネルの側壁や天端がアーチ状に形成され、その壁面がコンクリートで覆工される。地盤が弱い箇所では、地下水等によりトンネルの下側から押し上げる圧力を受けることから、トンネル底面も、その圧力に耐えるように、底面も逆アーチ状に形成され、コンクリートで覆工される。
【0011】
図1に示す例では、トンネル底面を逆アーチ状に掘削して出来た三次元形状を、設計形状と比較し、設計通りに掘削できているかを確認するために、計測システムにより計測している。
【0012】
トンネルの側壁および天端は、吹き付けコンクリートで覆い、鋼製支保工を設置し、ロックボルトを打ち込み、コンクリートで覆工するまでの間、掘削した断面を確保し、地山等の崩壊や変形を防ぐ。トンネルの坑口側(後方側)は、側壁および天端は、コンクリートで覆工され、底面も、コンクリートで覆工される。トンネル底面は、覆工後、埋め戻され、締め固められ、舗装等が行われる。
【0013】
計測システムは、三次元形状を計測する計測装置10と、計測装置10の計測結果を取得し、設計形状との差分を画像で表示する情報処理装置11とを含んで構成される。計測装置10は、トンネルの切羽側に配置され、トンネルの後方側に配置された掘削機の1つであるバックホウ12により掘削された箇所の形状を計測する。バックホウ12は、埋め戻された平坦なトンネル底面上に配置される。
【0014】
計測装置10は、レーザー光により計測対象の三次元形状を計測する3Dスキャナ20と、3Dスキャナ20を制御する制御装置21と、無線通信装置22と、それらの装置へ電源を供給する蓄電池23とを含む。3Dスキャナ20のレーザー光を計測対象の任意の1点に照射し、反射した光を受光し、照射から受光までの時間を計測することにより、当該1点との距離を計測する。3Dスキャナ20は、計測対象の点を変え、複数の点との距離を計測し、点群データを取得する。点群データは、3Dスキャナ20から各点までの距離および角度のデータであってもよいし、3Dスキャナ20の位置座標は、予め測量されるので、3Dスキャナ20の位置座標と計測した距離および角度とから算出された各点の位置座標のデータであってもよい。
【0015】
3Dスキャナ20は、例えばミラーを内蔵したスキャンヘッドと、レーザー距離計を内蔵したスキャンヘッドの下方に配置される本体とから構成され、ミラーの向きを制御し、計測方向を変える装置を用いることができる。なお、この構成は一例であり、3Dスキャナ20の構成はこれに限られるものではない。
【0016】
制御装置21は、例えば制御用の小型PC(Personal Computer)であり、3Dスキャナ20のレーザー光の照射方向等を制御する。制御装置21は、レーザー光の照射方向を細かく変更し、3Dスキャナ20により1秒間に数千点から数百万点の点群データを取得させる。なお、3Dスキャナ20が取得する点群データの点の数は、コンター図を作成することができれば、千点以下であってもよいし、一千万点以上であってもよい。
【0017】
無線通信装置22は、取得した点群データを、無線通信により情報処理装置11へ送信する。
【0018】
情報処理装置11は、バックホウ12の運転席に設置され、無線通信装置22から送信された計測結果である点群データを取得する。情報処理装置11は、取得した点群データと、情報処理装置11に格納された設計データとを比較し、差分をコンター図により表示する。
【0019】
点群データと設計データの差分は、例えばトンネル軸方向をx方向とした場合の同じx座標、y座標におけるz座標の差である。これは一例であるので、差分はz座標の差に限定されるものではない。コンター図は、ある量の値が同じである点を結んでできる線(等高線)を表示した図である。ある量の値は、上記の例で言えば、x座標、y座標の値である。したがって、掘り足りていない点については、差分が大きく、設計データと同程度に掘削できている場合は、差分がほぼ0となる。
【0020】
コンター図は、差分が所定の値ごとに色分けして表示される。所定の値は、いかなる値であってもよいが、例えば0.05mごととすることができる。
【0021】
運転席で操作を行う作業員は、情報処理装置11により色分けして表示されたコンター図を確認することで、掘り足りていない箇所を特定し、その箇所をバックホウ12により掘削する。
【0022】
計測システムは、例えば一定の時間間隔で、あるいは作業員が計測を指示することにより、計測対象の三次元形状を計測することができる。
【0023】
図2は、情報処理装置11のハードウェア構成の一例を示した図である。情報処理装置11は、CPU(Central Processing Unit)30と、ROM(Read Only Memory)31と、RAM(Random Access Memory)32と、HDD(Hard Disk Drive)33と、通信I/F34と、入出力I/F35と、入力装置36と、表示装置37とを含む。入力装置36と表示装置37は、別個の装置であってもよいし、入力機能を備えた表示装置である操作パネルであってもよい。また、情報処理装置11は、CPU、ROM、RAM、HDDをクラウド上のサーバ等とし、入力装置36と表示装置37を分離し、入力装置36と表示装置37が現地にあってもよい。なお、入力装置36と表示装置37は、別個の装置でなくてもよく、入力装置36と表示装置37が一体化した装置であってもよい。
【0024】
CPU30は、情報処理装置11全体の動作を制御し、コンター図の表示、コンター図の分割、分割された領域の作業員による選択の受け付け、選択された領域を特定するための座標を指定した再計測の指示等の処理を実行する。ROM31は、情報処理装置11を起動するプログラム等を格納する。RAM32は、CPU30に対して作業領域を提供する。HDD33は、上記のCPU30が上記処理を実行するためのプログラム等を格納する。
【0025】
通信I/F34は、計測装置10の無線通信装置22との間で無線通信を行う。入出力I/F35は、入力装置36から入力された情報を受け付け、表示装置37にコンター図等を表示する。
【0026】
図3は、情報処理装置11の機能構成の一例を示したブロック図である。情報処理装置11は、CPU30がHDD33に格納されたプログラムを実行することにより各機能を実現する。なお、情報処理装置11の各機能を実現するための機能部は、プログラムにより実現するほか、機能部の一部または全部を専用の回路等により実現してもよい。
【0027】
情報処理装置11は、機能部として、受信部40と、記憶部41と、演算部42と、生成部43と、分割部44と、選択受付部45と、指示部46とを含む。
【0028】
受信部40は、計測装置10から点群データを受信する。記憶部41は、設計データを記憶する。演算部42は、受信された点群データと、記憶部41に記憶された設計データとの差分を計算する。生成部43は、計算された差分に基づき、コンター図を生成し、表示装置37に表示させる。
【0029】
分割部44は、予め設定された条件に従って、コンター図を複数の領域に分割する。条件は、トンネルの周方向およびトンネル軸方向に何mごとに分割するか、あるいは何分割するか等である。分割部44は、コンター図を格子状に分割し、各領域の境界を格子線により表示させる。このとき、分割部44は、格子状とされた各領域の交点に座標を持たせる。各領域は、矩形で表され、4つの交点を有する。このため、各領域の4つの交点に座標を持たせることとなる。
【0030】
交点の座標は、点群データから得られた各点の座標を基に、内挿法等を使用して算出することができる。
【0031】
選択受付部45は、複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の選択を受け付ける。指示部46は、選択された領域を特定するための交点の座標を計測装置10へ送信して、その領域の三次元形状の計測を指示する。
【0032】
図4は、計測結果の一例を示したコンター図である。コンター図は、取得された点群データと設計データとの差分を色分けして表示され、トンネルの形状に合わせた曲面で表される図と、その図を左右半分に分け、それぞれを平面図で表した図により表示される。
【0033】
図4に示す例では、差分が0.05mごとに色分けして表示され、向かって中央部から下側にかけて濃い色およびその濃い色に隣接する白色で示される領域が、差分が大きく、掘り足りていないことを示している。
【0034】
図5は、
図4に示したコンター図の右半分を表示した平面図を拡大して示した図である。コンター図は、中央の図のみであってもよいが、画像を複数の領域に分割し、複数の領域の少なくとも1つの選択を容易にさせるため、左右半分に分けた平面図を表示している。平面図には、格子線50により区画された複数の領域51のうちの少なくとも1つを選択するためのアイコン52が表示される。
【0035】
作業員は、コンター図を確認し、掘り足りていない箇所を掘削し、掘削後に再計測を行うために、掘削した領域51のみを再計測するように指示するべく、その掘削した領域51を選択する。領域51は、1本の指が伸びた手を表すアイコン52の指を、選択したい領域51を指し示す位置へ移動させ、その位置で選択動作を実行することにより選択することができる。選択動作は、例えば入力装置36がマウスである場合、クリックあるいはダブルクリック等であり、操作パネルである場合、タップ等である。なお、タップの場合は、アイコン52は出ず、矩形の領域51内のいずれかの部分をタップする。
【0036】
図5に示す例では、指の先端が示す破線で囲まれた領域が選択領域とされている。情報処理装置11は、計測装置10に対し、選択領域の4つの角部、すなわち丸で囲まれた4つの交点53の座標を送信して選択領域の三次元形状を再計測させる。
【0037】
コンター図を表示した後、掘り足りていない箇所を確認し、その箇所を掘削するが、掘削した箇所が設計通りに掘削できているかどうかを確認するため、再計測を行う必要がある。その場合に、最初に表示したコンター図と同様、全体を計測するのは範囲が広すぎ、再計測に時間がかかる。
【0038】
しかしながら、このように確認したい領域のみを選択し、その交点53の座標を送信して選択した領域のみを再計測することで、必要箇所の再計測を高速で行うことができる。これにより、掘削作業の効率化を図ることができ、生産性を向上させることができる。
【0039】
ちなみに、再計測を行いたい領域(マス目)51をタッチし、選択することで、情報処理装置11は、そのマス目の四隅の交点の座標を送信する。計測装置10は、受信した座標を基に、3Dスキャナ20の振り角と仰角を計算し、算出した振り角および仰角に限定して、再計測を行う。振り角は、3Dスキャナ20のレーザー光を出力する出力軸が揺動回転する場合の旋回角度(方位角)であり、仰角は、その出力軸と水平面とのなす角である。
【0040】
図5に示す例では、右半分のコンター図に対し、トンネルの周方向に5分割、トンネル軸方向に7分割され、計35分割されている。したがって、左半分を含め、全体に対しては70分割されている。全体を計測する場合、50秒程度の時間がかかるが、選択した1つの領域のみを計測する場合、2、3秒で計測することができる。このため、再計測の時間を大幅に短縮することができる。ここでは、右半分の平面図の領域の1つを選択して再計測を行っているが、左半分の平面図の領域や中央の図の領域の1つを選択して再計測を行ってもよい。
【0041】
図6は、3Dスキャナ20のスキャン動作パターンについて説明する図である。最初にコンター図を表示する場合、全体を計測する。全体を計測する場合、第1のスキャン動作パターンである全体計測(Full Field Scan)を選択することができる。Full Field Scanは、
図6(a)に示すような方位角360°、仰角-35°~35°の範囲を全て計測する。この例では、計測可能範囲が方位角360°、仰角-35°~35°とされているが、これに限定されるものではない。
【0042】
コンター図の連続する複数の領域を選択した場合、選択した複数の領域を計測することができる。選択した領域が、方位角が360°、所定の仰角の範囲である場合、第2のスキャン動作パターンである、仰角に制限がある計測(Bounded Elevation Scan)を選択することができる。Bounded Elevation Scanは、
図6(b)に示すような方位角360°、所定の仰角の範囲を計測する。
【0043】
選択した領域が、所定の方位角、所定の仰角の範囲である場合、第3のスキャン動作パターンである、領域計測(Region Scan)を選択することができる。Region Scanは、
図6(c)に示すような所定の方位角、所定の仰角の範囲を計測する。Region Scanでは、格子状の1つの領域のみを計測することができる。
【0044】
図7は、計測システムにより計測の流れの一例を示したフローチャートである。計測装置10を所定の位置に設置し、計測装置10の位置座標を少なくとも3つの基準球を使用して算出しておく。ステップ100では、3Dスキャナ20のスキャン動作パターンをFull Field Scanに設定し、計測を開始する。ステップ101では、計測装置10が全体の点群データを取得する。ステップ102で、情報処理装置11が、取得された点群データと設計データとからコンター図を生成し、表示させる。このとき、コンター図を格子状に分割し、各格子の交点に座標を持たせる。ステップ103で、情報処理装置11が、コンター図の格子状に分割された領域の少なくとも1つの選択を受け付けたかどうかを判断する。
【0045】
受け付けた場合、ステップ104へ進み、情報処理装置11が、計測装置10に対し、選択された領域を特定するための交点の座標を指定して該領域の三次元形状の再計測を指示する。ステップ105で、計測装置10が、座標を指定した指示を受信し、スキャン動作パターンの設定を変更する。そして、計測装置10が、指示された領域の三次元形状を再計測し、再計測結果を情報処理装置11に送信する。このとき、計測装置10は、指定された座標を基に、3Dスキャナ20の振り角と仰角を限定し、再計測を行う。ステップ106で、情報処理装置11が、取得された点群データからコンター図を生成し、表示させる。
【0046】
ステップ107で、再計測を終了するかを判断する。再計測を終了しない場合、ステップ103へ戻り、他の領域の選択を受け付ける。再計測を終了する場合、ステップ108へ進み、所定の位置に設置した計測装置10による計測を終了する。したがって、次の位置に計測装置10を設置し、ステップ100から計測を行ってもよいし、計測を終了してもよい。
【0047】
図8は、計測システムの別の構成例を示した図である。計測システムは、計測装置10と、情報処理装置11とを含んで構成されるが、計測装置10が、
図10(a)に示すように、3Dスキャナ20、制御装置21、無線通信装置22、蓄電池23に加えて、レーザーを照射する照射装置24を含んでいる。照射装置24は、上下左右に回転可能とされ、情報処理装置11からの指示を受けて、レーザー光を照射する。
【0048】
情報処理装置11は、
図4に示すコンター図を表示し、再計測の場合と同様に、左右にある平面図の複数に分割された矩形の領域51の1つをタップすることにより、領域51を選択し、その選択した領域51に向けてレーザー光を照射するように、照射装置24に対して指示する。この場合も、平面図ではなく、中央の図の領域の1つを選択してもよい。情報処理装置11は、無線通信装置22を介して照射装置24と通信を行い、上記の指示を送信する。
【0049】
照射装置24は、情報処理装置11からの指示を受けて、作業員がタップした箇所に相当する現地の場所にレーザー光を照射し、その場所をレーザーの点25により示す。これにより、掘削が必要な箇所を作業員が容易に確認することができる。
【0050】
照射装置24は、いかなる色のレーザー光を照射できる装置であってもよく、いかなる照射方式のものであってもよい。
【0051】
以上に説明してきたように、本発明によれば、必要箇所の再計測を高速で行うことができる。また、掘削作業の効率化・生産性を向上させることができる。さらに、照射装置を備えることで、作業員が目視により掘削が必要な箇所を容易に確認することができる。
【0052】
これまで本発明の計測システムおよび計測方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10…計測装置
11…情報処理装置
12…バックホウ
20…3Dスキャナ
21…制御装置
22…無線通信装置
23…蓄電池
24…照射装置
25…点
30…CPU
31…ROM
32…RAM
33…HDD
34…通信I/F
35…入出力I/F
36…入力装置
37…表示装置
40…受信部
41…記憶部
42…演算部
43…生成部
44…分割部
45…選択受付部
46…指示部
50…格子線
51…領域
52…アイコン