(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】保護フィルムと保護フィルムが貼られたパネルおよび保護フィルム付きパネルを備えた表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G09F9/00 313
(21)【出願番号】P 2021086159
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 友貴
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/032899(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/061896(WO,A1)
【文献】特開2007-093684(JP,A)
【文献】特開2017-146482(JP,A)
【文献】特開2013-149182(JP,A)
【文献】特開2018-105909(JP,A)
【文献】国際公開第2021/010197(WO,A1)
【文献】特開2014-059378(JP,A)
【文献】特開2008-081190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C09J1/00-201/10
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G06F1/00
1/16-1/18
3/03-3/047
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合内面と外表面とを有するベースフィルムと、前記ベースフィルムよりも小さく前記外表面の一部に接合されたセパレートシートと、を有する保護フィルムにおいて、
前記セパレートシートが接合片と掴み片とを有し、前記接合片が前記外表面に接合され、
前記接合内面に、粘着層と、貼着力を発揮しない非貼着部とが設けられ、前記接合内面において前記非貼着部の占める面積は前記粘着層が占める面積よりも小さく、
前記
非貼着部は、前記接合片と前記外表面との接合部と重なる領域から前記粘着層の縁部まで連続して形成されていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項2】
前記接合内面は前記粘着層を介してパネル表面に接合されるものであり、
前記非貼着部が設けられることによって、前記パネル表面と前記接合内面との間に、前記
接合片と前記外表面との接合部と重なる領域から前記粘着層の縁部まで連続する空気導入路が形成される請求項1記載の保護フィルム。
【請求項3】
前記非貼着部は、前記粘着層が部分的に存在しない領域である請求項1または2記載の保護フィルム。
【請求項4】
前記粘着層から前記接合内面まで連続する切り込みが入れられて、前記非貼着部が形成されている請求項1または2記載の保護フィルム。
【請求項5】
前記粘着層を覆う離型シートが設けられ、前記切り込みは、前記離型シートから前記粘着層を経て前記接合内面まで連続して形成されている請求項4記載の保護フィルム。
【請求項6】
前記粘着層の表面にシート片が設けられて、前記非貼着部が形成されている請求項1または2記載の保護フィルム。
【請求項7】
前記粘着層を覆う離型シートが設けられ、前記シート片が前記離型シートから分離して形成されている請求項6記載の保護フィルム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の保護フィルムが、前記粘着層を介してパネル表面に接合されていることを特徴とするパネル。
【請求項9】
表示装置の前方に請求項8に記載されたパネルが設けられていることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル表面に貼着される保護フィルムと、前記保護フィルムが貼られたパネル、および保護フィルム付きパネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に容易に剥離することが可能な保護フィルムで保護したタッチパネルに関する発明が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたタッチパネルは、保護フィルムの一方の面が粘着剤層を介して操作入力受付部に貼り付けられている。保護フィルムの他方の面には、剥離テープが設けられている。剥離テープは、貼付部と延出部に区分され、貼付部が粘着部を介して保護フィルムに貼り付けられ、延出部は保護フィルムに貼られていない。剥離テープと保護フィルムとが積層された積層方向に沿って保護フィルムを見たとき、剥離テープと重複する領域に保護フィルム及び粘着剤層を厚さ方向に沿って貫通する貫通孔が設けられている。
【0004】
この発明は、タッチパネルに貼り付けられた保護フィルムを剥がすために、剥離テープの延出部を上方に引っ張ったとき、貫通孔を介して保護フィルム及び粘着剤層と、操作入力受付部との間に空気を侵入させることで、保護フィルムを剥がし易くするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、剥離テープと重複する領域において保護フィルム及び粘着剤層を貫通する貫通孔が設けられている。しかしながら、空気を多く侵入させようとして、貫通孔の開口面積を広くすると、剥離テープの粘着部の粘着剤が操作入力受付部に付着する懸念があるため、貫通孔の開口面積を広くすることには限界がある。そのため、剥離テープを上に引っ張った時に、貫通孔から侵入させる空気量はわずかであり、操作入力受付部から保護フィルムを剥がすときの抵抗力をさほど低下させることができない。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、セパレートシートを引っ張ったときに、表示装置のパネル表面から剥がし易くすることができる保護フィルムと、前記保護フィルムが貼られたパネル、および保護フィルム付きパネルを備えた表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接合内面と外表面とを有するベースフィルムと、前記ベースフィルムよりも小さく前記外表面の一部に接合されたセパレートシートと、を有する保護フィルムにおいて、
前記セパレートシートが接合片と掴み片とを有し、前記接合片が前記外表面に接合され、
前記接合内面に、粘着層と、貼着力を発揮しない非貼着部とが設けられ、前記接合内面において前記非貼着部の占める面積は前記粘着層が占める面積よりも小さく、
前記非貼着部は、前記接合片と前記外表面との接合部と重なる領域から前記粘着層の縁部まで連続して形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の保護フィルムは、前記接合内面は前記粘着層を介してパネル表面に接合されるものであり、
前記非貼着部が設けられることによって、前記パネル表面と前記接合内面との間に、前記接合片と前記外表面との接合部と重なる領域から前記粘着層の縁部まで連続する空気導入路が形成される。
【0010】
本発明の保護フィルムは、前記非貼着部は、前記粘着層が部分的に存在しない領域であるものとして構成できる。
【0011】
本発明の保護フィルムは、前記粘着層から前記接合内面まで連続する切り込みが入れられて、前記非貼着部が形成されているものとして構成できる。
【0012】
本発明の保護フィルムは、前記粘着層を覆う離型シートが設けられ、前記切り込みは、前記離型シートから前記粘着層を経て前記接合内面まで連続して形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の保護フィルムは、前記粘着層の表面にシート片が設けられて、前記非貼着部が形成されているものとして構成できる。
【0014】
本発明の保護フィルムは、前記粘着層を覆う離型シートが設けられ、前記シート片が前記離型シートから分離して形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明のパネルは、前記いずれかに記載の保護フィルムが、前記粘着層を介してパネル表面に接合されているものとして構成できる。
【0016】
本発明の表示装置は、前記表示装置の前方に前記パネルが設けられているものとして構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の保護フィルムは、セパレートシートを上方に引っ張ったときに、保護フィルムの非貼着部から空気が侵入する。この非粘着部は、セパレートシートと重なる領域から粘着層の縁部まで連続して形成されているため、粘着層の縁部の外側の空気をセパレートシートとの重なり部分に侵入させることができ、保護フィルムを小さい抵抗力で剥がすことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の表示装置を、表示装置の前方から見た平面図。
【
図2】
図1に示されるセパレートシート近傍を拡大して示す拡大平面図。
【
図3】第1実施形態の表示装置を
図2に示すV―V線で切断した断面図。
【
図4】第1実施形態の表示装置を
図2に示すVI―VI線で切断した断面図。
【
図5】第2実施形態の表示装置を
図2に示すV―V線で切断した断面図。
【
図6】第2実施形態の表示装置を
図2に示すVI―VI線で切断した断面図。
【
図8】第3実施形態の表示装置を
図2に示すV―V線で切断した断面図。
【
図9】第3実施形態の表示装置を
図2に示すVI―VI線で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態に係る表示装置1について
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0020】
ここで、各図においてX1方向は左方向、X2方向は右方向、Y1方向は上方、Y2方向は下方、Z1は前方、Z2方向は後方であると定義される。
【0021】
図1に示すように、表示装置1は、パネル2と、このパネル2が取り付けられる本体部3とを有する。表示装置1は例えば車載用であり、本体部3が車室内のダッシュボードまたはインストルメントパネルの内部または表面に固定される。本体部3の内部に表示セルが設けられ、本体部3では、表示セルの表示画面の前方に透明なパネル2が固定されている。本体部3の内部には、表示セルに画像を表示させる表示駆動回路や電源回路、さらには音響回路やテレビジョン受像用回路、さらにはナビゲーション用回路などが設けられている。また、本体部3には、スマートフォンなどの各種外部機器との通信回路が設けられてもよい。
【0022】
図1、
図3及び
図4に示すように、パネル2は本体部3の外側である前方(Z1方向)に向けられるパネル表面5を有しており、保護フィルム4がパネル表面5に貼着されている。パネル2は透明なガラス板またはプラスチック板であり、パネル2は本体部3の内部である後方(Z2方向)に向けられる内面に透明なタッチセンサが貼られ、パネル表面5がタッチセンサを操作するための操作部となっている。タッチセンサは、透明基板に複数の透明電極が設けられて構成された静電容量式センサである。パネル表面5に操作者の指が触れると、電極で検知される静電容量が変化し、このときの静電容量の分布の変化により、指が触れた座標位置が検知される。また、タッチセンサとして静電容量式センサの代わりに、パネル表面5に設けられた抵抗式センサであってもよい。
【0023】
図3及び
図4に示すように、保護フィルム4は、ベースフィルム41とセパレートシート44とを有する。ベースフィルム41は、PETフィルムなどの可撓性の透明樹脂で形成されている。ベースフィルム41は、後方(Z2方向)の面である接合内面42と前方(Z1方向)の面である外表面43とを有する。接合内面42の後方(Z2方向)には粘着層42aが形成される。保護フィルム4は、粘着層42aを介してパネル表面5に接合される。
【0024】
粘着層42aは、粘着性と剥離性の相反する特性をバランス良く備えた特殊な粘着層である。すなわち、粘着層42aは、パネル表面5に対して、ある程度の大きな吸着力(保持力)とともに、剥がし易さを併せ持っている。粘着層42aは、ウレタン系やシリコーン系粘着剤などで形成されてもよいし、被着体との間に介在する空気が脱却することにより真空吸着するものであってもよい。すなわち、粘着層42aは、パネル表面5に対する粘着力(タック力)が弱くてもいいし、実質的に粘着力(タック力)が生じない素材で形成されてもよい。
【0025】
図2ないし
図4に示すように、セパレートシート44は接合片44aと掴み片44bとに区分されている。接合片44aは、接着層を介して、外表面43に接合されている。掴み片44bの下面には、接着層は設けられておらず、掴み片44bはベースフィルム41の外表面43に接合されていない。なお、接合片44aとベースフィルム41とを接着している接着層の単位面積当たりの接着力は、ベースフィルム41をパネル2に粘着させている粘着層42aの単位面積当たりの接着力よりも十分に大きい。ここでの接着力とは、所定面積のベースフィルム41をパネル2の表面から垂直方向へ引き剥がすのに必要な力、および同じ所定面積のセパレートシート44をベースフィルム41の表面から垂直方向へ引き剥がすのに必要な力、を意味している。
【0026】
図2ないし
図4に示すように、保護フィルム4は、接合内面42の粘着層42aが設けられている領域に、部分的に貼着力を発揮しない非貼着部45が設けられている。本発明の第1実施形態の非貼着部45は、粘着層42aが部分的に除去されて形成されている。または、非貼着部45は、粘着層42aの表面の一部に特殊なインキを印刷して粘着層42aのベースフィルム41に対する粘着力を部分的に抑制することで形成してもよい。また、
図3に示すように、非貼着部45は、前後方向(Z1―Z2方向)に沿って保護フィルム4を見たときに、セパレートシート44の接合片44aと外表面43とが重なる領域から粘着層42aの縁部42bまで連続して形成され、非貼着部45は縁部42bにおいて外部空間に開放されている。これにより、パネル表面5と接合内面42との間に、セパレートシート44の接合片44aと外表面43とが重なる領域から粘着層42aの縁部42bまで連続する空気導入路47が形成される。
【0027】
図1に示すように、本体部3のベゼル31は、保護フィルム4が完全に露出した状態で、保護フィルム4の周囲に設けられている。すなわち、前後方向(Z1―Z2方向)に沿って見たときに、ベゼル31と保護フィルム4とが重なっていない。このため、ユーザがセパレートシート44の掴み片44bを掴んで保護フィルム4を剥がすときに、ベゼル31が邪魔にならずに保護フィルム4を剥がすことが可能な構造となっている。ベゼル31は、樹脂材料などで形成されている。
【0028】
次に、本発明の第1実施形態に係る表示装置1の保護フィルム4を剥がす動作を説明する。
【0029】
保護フィルム4の外表面43に接合されたセパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張る。このとき、パネル表面5と接合内面42との間の空気導入路47から空気が侵入する。このため、小さい抵抗力で保護フィルム4を剥がすことができる。
【0030】
本発明の第1実施形態では、
図3および
図4に示される非貼着部45は、空気導入路47から十分な空気量が縁部42bにおいて外部空間から侵入できるように形成されている。また、非貼着部45は、セパレートシート44の接合片44aと外表面43とが重なる領域から縁部42bまで連続して形成されている。
【0031】
セパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張ったときに、接合片44aと接合されている部分でベースフィルム41に持ち上げ力が集中する。接合片44aと重なる領域に非粘着部45が位置しているため、接合片44aが接合されている領域でベースフィルム41に持ち上げ力が集中すると、その下側に位置する非貼着部45の空間の容量が広げられ、縁部42bからセパレートシート44と外表面43との接合部へ向けて、十分な空気量を侵入させることができる。この空気の流入をきっかけとして、保護フィルムを小さい抵抗力で剥がすことができるようになる。特に、非粘着部45が粘着層42aの縁部42bに開口し、縁部42bからセパレートシート44と接合片44aとの接合部まで、空気導入路47が連続しているため、非粘着部45内に多くの空気を小さい抵抗で吸引することが可能になる。
【0032】
本発明の第1実施形態によれば、セパレートシート44を引っ張ったときに、表示装置1のパネル表面5から小さな抵抗力で剥がすことができる保護フィルム4、保護フィルム4が貼られたパネル2、および保護フィルム4付きパネル2を備えた表示装置1を提供することができる。
【0033】
次に、
図5、
図6および
図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
図7に、パネル表面5に貼られる前の保護フィルム40が示されている。保護フィルム40は、ベースフィルム410とセパレートシート44と離型シート490とを有する。ベースフィルム410は、PETフィルムなどの可撓性の透明樹脂で形成されている。ベースフィルム410は、後方(Z2方向)の面である接合内面420と前方(Z1方向)の面である外表面430とを有する。接合内面420の後方(Z2方向)には粘着層420aが形成される。粘着層420aの後方(Z2方向)には、粘着層420aを覆う離型シート490が設けられている。離型シート490は、シリコーンコーティングなどで離型処理を施されたPETフィルムで形成される。セパレートシート44の接合片44aは、接着層を介して、外表面430に接合されている。
【0035】
粘着層420aは、粘着性と剥離性の相反する特性をバランス良く備えた特殊な粘着層である。すなわち、粘着層420aは、ある程度の大きな吸着力(保持力)とともに、剥がし易さを併せ持っている。粘着層420aは、ウレタン系やシリコーン系粘着剤などで形成されてもよいし、被着体との間に介在する空気が脱却することにより真空吸着するものであってもよい。この場合の粘着層420aは、粘着力(タック力)が弱くてもいいし、実質的に粘着力(タック力)が生じない素材で形成されてもよい。
【0036】
図7に示すように、保護フィルム40には、切り込み480が形成されている。切り込み480は例えば型プレスで形成される。切り込み480は、離型シート490から粘着層420aを経て接合内面420まで連続して形成されている。切り込み480は、離型シート490を分離シート490aと分離シート490bとに完全に分離させることができるように、粘着層420aを一方の縁部から他方の縁部まで連続して形成されている。
【0037】
図7に示される保護フィルム40は、表示装置10のパネル表面5に接合される。まず、離型シート490の面積が小さい方の分離シート490bを保護フィルム40から剥離して粘着層42aを露出させる。保護フィルム40をパネル2に位置決めしながら露出している粘着層42aをパネル表面5に貼着させ、面積の大きい方の分離シート490aを保護フィルム40から徐々に剥がしながら、
図5及び
図6に示されるように、保護フィルム40の全面を、粘着層420aを介して表示装置1のパネル表面5に貼着する。
【0038】
セパレートシート44は、保護フィルム40の縁部に近い位置に取り付けられ、接合片44aが接着層を介して保護フィルム40に接着されている。
図5および
図6に示すように、セパレートシート44の接合片44aが、切り込み480と前後方向(Z1-Z2方向)で重なる位置で保護シート40に接着されている。そのため、切り込み480によって、粘着層420aの縁部420bから、接合片44aと重なる領域まで連続する非貼着部450が形成され、セパレートシート44の接合片44aと外表面430とが重なる領域から粘着層420aの縁部420bまで連続する空気導入路470が形成される。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係る表示装置10の保護フィルム40を剥がす動作を説明する。
【0040】
保護フィルム40の外表面430に接合されたセパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張る。このとき、パネル表面5と接合内面42との間の空気導入路470から空気が侵入する。このため、小さい抵抗力で保護フィルム40を剥がすことができる。
【0041】
本発明の第2実施形態では、
図5及び
図6に示される非貼着部450は、空気導入路470から縁部420bにおいて十分な空気量が外部空間から侵入できるように形成されている。また、
図6に示されるように、非貼着部450は、セパレートシート44の接合片44aと外表面430とが重なる領域から縁部420bまで連続して形成されている。
【0042】
このため、セパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張ったときに、ベースフィルム410がパネル2から持ち上げられる。このとき、非貼着部450の空間の容量が広がっていき、縁部420bからセパレートシート44と外表面430との接合部へ向けて、十分な空気量を侵入させることができる。これにより、保護フィルムを小さい抵抗力で剥がすことができるようになる。
【0043】
このように、本発明の第2実施形態によれば、セパレートシート44を引っ張ったときに、表示装置10のパネル表面5から剥がし易くすることができる保護フィルム40、保護フィルム40が貼られたパネル2、および保護フィルム40付きパネル2を備えた表示装置10を提供することができる。
【0044】
次に、
図8、
図9及び
図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
図10に示すように、保護フィルム400は、ベースフィルム41とセパレートシート44と離型シート491とシート片500とを有する。ベースフィルム41の接合内面42の後方(Z2方向)には粘着層421aが形成される。粘着層421aの後方(Z2方向)には、粘着層421aを覆う離型シート491とシート片500とが設けられている。離型シート491とシート片500は、シリコーンコーティングなどで離型処理を施されたPETシートで形成される。離型シート491とシート片500は、まず連続した1枚のシートの状態で、粘着層421aに積層される。その後、連続した1枚のシートの状態から、型プレスなどで離型シート491とシート片500とに分離して形成される。セパレートシート44の接合片44aは、接着層を介して、外表面43に接合されている。
【0046】
粘着層421aは、粘着性と剥離性の相反する特性をバランス良く備えた特殊な粘着層である。すなわち、粘着層421aは、ある程度の大きな吸着力(保持力)とともに、剥がし易さを併せ持っている。粘着層421aは、ウレタン系やシリコーン系粘着剤などで形成されてもよいし、被着体との間に介在する空気が脱却することにより真空吸着するものであってもよい。この場合の粘着層421aは、粘着力(タック力)が弱くてもいいし、実質的に粘着力(タック力)が生じない素材で形成されてもよい。
【0047】
図10に示される保護フィルム400は、表示装置100のパネル表面5に接合される。まず、保護フィルム400の離型シート491を保護フィルム400から剥離して粘着層421aを露出させ、シート片500のみを残した状態にする。保護フィルム400をパネル2に位置決めしながら、露出している粘着層421aをパネル表面5に貼着させ、
図9及び
図10に示されるように、保護フィルム400のシート片500が貼着している領域を除いた全領域を、粘着層421aを介して表示装置100のパネル表面5に貼着する。
【0048】
セパレートシート44は、保護フィルム400の縁部に近い位置に取り付けられ、接合片44aが接着層を介して保護フィルム400に接着されている。
図8及び
図9に示すように、パネル表面5と粘着層421aとの間に、シート片500が介しており、シート片500の後方(Z2方向)の面とパネル表面5とは、接合されていない。このため、シート片500の後方(Z2方向)の面とパネル表面5との間が非貼着部451として形成され、セパレートシート44の接合片44aと外表面43とが重なる領域から粘着層421aの縁部421bまで連続する空気導入路471が形成される。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る表示装置100の保護フィルム400を剥がす動作を説明する。
【0050】
保護フィルム400の外表面43に接合されたセパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張る。このとき、パネル表面5とシート片500の後方(Z2方向)の面との間の空気導入路471から空気が侵入する。このため、小さい抵抗力で保護フィルム400を剥がすことができる。
【0051】
本発明の第3実施形態では、
図8及び
図9に示される非貼着部451は、空気導入路471から縁部421bにおいて十分な空気量が外部空間から侵入できるように形成されている。また、
図9に示されるように、非貼着部451は、セパレートシート44の接合片44aと外表面43とが重なる領域から縁部421bまで連続して形成されている。
【0052】
このため、セパレートシート44の掴み片44bを下方(Y2方向)から上方(Y1方向)に向けて引っ張ったときに、ベースフィルム41が粘着層421aを介して接合されているシート片500とともに、パネル2から持ち上げられる。このとき、非貼着部45の空間の容量が広がっていき、縁部421bからセパレートシート44と外表面43との接合部へ向けて、十分な空気量を侵入させることができる。これにより、保護フィルム400を小さい抵抗力で剥がすことができるようになる。
【0053】
このように、本発明の第3実施形態によれば、セパレートシート44を引っ張ったときに、表示装置100のパネル表面5から剥がし易くすることができる保護フィルム400、保護フィルム400が貼られたパネル2、および保護フィルム400付きパネル2を備えた表示装置100を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
1、10、100 表示装置
2 パネル
3 本体部
4、40、400 保護フィルム
5 パネル表面
31 ベゼル
41、410 ベースフィルム
42、420 接合内面
42a、420a、421a 粘着層
42b、420b、421b 縁部
43、430 外表面
44 セパレートシート
44a 接合片
44b 掴み片
45、450、451 非貼着部
47、470、471 空気導入路
480 切り込み
490、491 離型シート
500 シート片