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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】クッションフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20241021BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20241021BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/22
B60N2/427
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019005342
(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2020111286
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 隼人
【合議体】
【審判長】草野 顕子
【審判官】高橋 学
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144753(JP,A)
【文献】特開2009-166658(JP,A)
【文献】特開2003-335162(JP,A)
【文献】特表2014-501204(JP,A)
【文献】特開2016-199238(JP,A)
【文献】特開2018-24317(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008713(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及びシートバックを有し、当該シートバックが第1リクライナー及び第2リクライナーを介して当該シートクッションに連結された乗物用シートに適用され、前記シートクッションの骨格を構成するクッションフレームにおいて、
シート前後方向に延びる第1サイドフレームであって、前記第1リクライナーが装着される装着部を有する第1サイドフレームと、
前記第1サイドフレームに対してシート幅方向にずれた位置においてシート前後方向に延びる第2サイドフレームであって、前記第2リクライナーが装着される装着部を有する第2サイドフレームと、
シート幅方向に延びて前記第1サイドフレームと前記第2サイドフレームとを連結する連結部材であって、延び方向一端及び他端それぞれが2つの前記装着部それぞれの下方側に連結された連結部材と、
少なくとも前記第1サイドフレームに設けられ、当該第1サイドフレームの外周端側のうち前記装着部及び前記連結部材を囲む部位において、当該第1サイドフレームからシート幅方向に延出したフランジ部とを備え、
前記第1サイドフレームは、シート前後方向に延びる下端部を有し、
前記フランジ部は、前記下端部のシート後方端から上方へ延びるように設けられ、
前記フランジ部には凹部が設けられており、当該凹部は、前記装着部の下端より下方側、前記下端部の下端より上方側、かつ、前記連結部材の上端より下方側に位置しているクッションフレーム。
【請求項2】
前記第1サイドフレームのうち前記装着部と前記連結部材と間の部位を中間部としたとき、少なくとも前記中間部には、曲げ剛性が当該中間部以外の部位に比べて小さい折曲誘発部が設けられている請求項1に記載のクッションフレーム。
【請求項3】
前記第1サイドフレームのうち、前記折曲誘発部より上方側、かつ、前記装着部の中心と前記連結部材の中心とを結ぶ仮想線よりシート後方側の部位には、前記折曲誘発部より曲げ剛性が大きい高剛性部が設けられている請求項2に記載のクッションフレーム。
【請求項4】
前記第1サイドフレームの長手方向中間部には、2つの傾斜面を区画する中心稜線が上下方向に延びる三角状のビードが設けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載のクッションフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに用いられるクッションフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートは、通常、2つのリクライナーを介してシートバックがシートクッションに連結されている。特許文献1に記載の乗物用シートでは、シートバックにシート後方向きの荷重が作用したときに備えて、サイドフレーム(ロアアームともいう。)の長手方向中間部に、三角状のビードが設けられている。当該三角状のビードは、2つの傾斜面を区画する中心稜線が上下方向に延びるように三角状に膨出した部位である。
【0003】
そして、特許文献1に記載の発明では、当該荷重が作用したときに、上記ビートを中心にロアームが屈曲しながら塑性変形することにより、当該荷重によるエネルギーを吸収し、2つのリクライナーやバックフレーム等が損傷してしまうことを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5176555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示も、シートバックにシート後方向きの荷重が作用したときに、当該荷重によるエネルギーを吸収して、リクライナーやバックフレーム等が損傷してしまうことを抑制可能なクッションフレームの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
シートクッション及びシートバックを有し、当該シートバックが第1リクライナー及び第2リクライナーを介して当該シートクッションに連結された乗物用シートに適用され、シートクッションの骨格を構成するクッションフレームは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、シート前後方向に延びる第1サイドフレーム(71)であって、第1リクライナーが装着される装着部(71F)を有する第1サイドフレーム(71)と、第1サイドフレーム(71)に対してシート幅方向にずれた位置においてシート前後方向に延びる第2サイドフレーム(72)であって、第2リクライナーが装着される装着部を有する第2サイドフレーム(72)と、シート幅方向に延びて第1サイドフレーム(71)と第2サイドフレーム(72)とを連結する連結部材(74)であって、延び方向一端及び他端それぞれが2つの装着部(71F)それぞれの下方側に連結された連結部材(74)と、少なくとも第1サイドフレーム(71)に設けられ、当該第1サイドフレーム(71)の外周端側のうち装着部(71F)及び連結部材(74)を囲む部位において、当該第1サイドフレーム(71)からシート幅方向に延出したフランジ部(71A)とを備え、フランジ部(71A)には凹部(71B)が設けられており、当該凹部(71B)は、装着部(71F)の下端より下方側、かつ、第1サイドフレーム(71)の下端より上方側に位置していることである。
【0008】
これにより、当該クッションフレーム(7)では、上記荷重がシートバックに入力されたとき、凹部(71B)に応力(エネルギー)が集中し易いため、当該凹部(71B)を中心に第1サイドフレーム(71)が屈曲するように塑性変形し易くなる。
【0009】
したがって、当該荷重によるエネルギーが当該塑性変形により吸収され得るので、2つのリクライナーやバックフレーム等が損傷してしまうことが抑制され得る。なお、当該クッションフレーム(7)は、第2サイドフレーム(72)も第1サイドフレーム(71)と同様な構成であってもよい。
【0010】
さらに、当該クッションフレーム(7)は、以下の構成であってもよい。
第1サイドフレーム(71)のうち装着部(71F)と連結部材(74)と間の部位を中間部としたとき、少なくとも中間部には、曲げ剛性が当該中間部以外の部位に比べて小さい折曲誘発部(71C)が設けられていることが望ましい。これにより、上記荷重がシートバックに入力されたとき、凹部(71B)を中心に第1サイドフレーム(71)が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0011】
第1サイドフレーム(71)のうち、折曲誘発部(71C)より上方側、かつ、装着部(71F)の中心と連結部材(74)の中心とを結ぶ仮想線よりシート後方側の部位には、折曲誘発部(71C)より曲げ剛性が大きい高剛性部(71E)が設けられていることが望ましい。これにより、上記荷重がシートバックに入力されたとき、凹部(71B)を中心に第1サイドフレーム(71)が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0012】
凹部(71B)は、連結部材(74)の上端より下方側に位置していることが望ましい。これにより、上記荷重がシートバックに入力されたとき、凹部(71B)を中心に第1サイドフレーム(71)が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0013】
第1サイドフレーム(71)の長手方向中間部には、2つの傾斜面を区画する中心稜線が上下方向に延びる三角状のビード(71G)が設けられていることが望ましい。これにより、上記荷重がシートバックに入力されたとき、当該荷重によるエネルギーを確実に吸収でき得る。
【0014】
すなわち、上記荷重がシートバックに入力されると、先ず、当該ビード(71G)を中心に第1サイドフレーム(71)が屈曲しながら塑性変形して当該荷重によるエネルギーが吸収され得る。
【0015】
そして、上記屈曲のみで上記エネルギーを吸収できない場合、つまりエネルギーが残っている場合には、凹部(71B)を中心に第1サイドフレーム(71)が屈曲するように塑性変形することにより、当該残エネルギーが吸収され得る。
【0016】
なお、「上記屈曲のみで上記エネルギーを吸収できない場合」とは、例えば、ビード(71G)を中心に第1サイドフレーム(71)が塑性変形した場合において、当該第1サイドフレーム(71)の後端側がスライド装置又は床に接触することにより、当該塑性変形の進行が停止せざるを得ない状況になった場合等である。
【0017】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係るクッションフレームを示す図である。
図2】第1実施形態に係るクッションフレーム及び連結ロッドを示す図である。
図3】第1実施形態に係るクッションフレーム及び連結ロッドを示す図である。
図4】第1実施形態に係るクッションフレーム及び連結ロッドを示す図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6図4のVI-VI断面図である。
図7図4のVII-VII断面図である。
図8図4のVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0020】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0021】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係るクッションフレームが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。
【0022】
したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。
【0023】
(第1実施形態)
1.乗物用シートの概要
乗物用シート1は、図1に示されるように、シートクッション3及びシートバック5等を少なくとも備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。
【0024】
クッションフレーム7はシートクッション3の骨格を構成する。当該クッションフレーム7は、2本のクッションサイドフレーム71、72、及び2本の連結ロッド73、74等を少なくとも有する。
【0025】
2本のクッションサイドフレーム71、72は、シート前後方向に延びる部材である。クッションサイドフレーム72は、クッションサイドフレーム71に対してシート幅方向(本実施形態では、右側)にずれた位置に配置されている。
【0026】
2本の連結ロッド73、74は、シート幅方向に延びてクッションサイドフレーム71とクッションサイドフレーム72とを連結する連結部材の一例である。連結ロッド73は、2本のクッションサイドフレーム71、72のシート前端側を連結する。
【0027】
連結ロッド74は、2本のクッションサイドフレーム71、72のシート後端側を連結する。なお、クッションフレーム7はフロントパネル75も備える。フロントパネル75は、2本のクッションサイドフレーム71、72のシート前端を連結するとともに、面状の荷重受部を構成する。
【0028】
バックフレーム9はシートバック5の骨格を構成する。当該バックフレーム9は、2本のバックサイドフレーム91、92、及び2本の連結フレーム(図示せず。)等を少なくとも有する。
【0029】
2本のバックサイドフレーム91、92は、略上下方向に延びる部材である。バックサイドフレーム92は、バックサイドフレーム91に対してシート幅方向(本実施形態では、右側)にずれた位置に配置されている。
【0030】
2本の連結フレームは、シート幅方向に延びてバックサイドフレーム91とバックサイドフレーム92とを連結する部材である。2本の連結フレームのうち第1の連結フレームは、バックサイドフレーム91、92の上端を連結する。第2の連結フレームは、バックサイドフレーム91、92の下端側を連結する。
【0031】
バックフレーム9は、クッションフレーム7に対してシート前後方向に回転可能に連結されている。具体的には、バックサイドフレーム91は、第1リクライナー(図示せず。)を介してクッションサイドフレーム71に連結されている。
【0032】
バックサイドフレーム92は、第2リクライナー(図示せず。)を介してクッションサイドフレーム72に連結されている。つまり、バックサイドフレーム91、92は、回転変位可能な可動部材の一例である。
【0033】
2つのリクライナーは、バックフレーム9を回転可能状態とする場合と回転不可状態とする場合とを切り替えるための機構である。各リクライナーは可動部及び固定部等を有する。
【0034】
各可動部は、バックサイドフレーム91、92それぞれに固定される部位である。各固定部は、クッションサイドフレーム71、72それぞれに対して固定される部位である。各リクライナーが回転可能状態にあるとき、バックサイドフレーム91、92はクッションサイドフレーム71、72に対して回転可能となる。
【0035】
乗物用シート1は、更に少なくとも2本(本実施形態では、4本)のリフタリンク11A~11D、及び少なくとも1組(本実施形態では、2組)のスライド装置12A、12B等を備える。
【0036】
リフタリンク11A~11Dは、クッションフレーム7を昇降変位させるための部材である。各リフタリンク11A~11Dは、上端側がクッションフレーム7に揺動可能に連結され、下端側がスライド装置12A、12Bに揺動可能に連結されている。
【0037】
具体的には、リフタリンク11A、11Cの上端側は、連結ロッド74に固定されている。連結ロッド74は、クッションフレーム7に回転可能に連結されている。リフタリンク11B、11Dの上端側は、連結ロッド73に固定されている。連結ロッド73は、クッションフレーム7に回転可能に連結されている。
【0038】
スライド装置12A、12Bは、クッションフレーム7をスライド可能に支持するための機構である。スライド装置12A、12Bそれぞれは、固定レール12C及び可動レール12D等を有する。
【0039】
各固定レール12Cは車体に対して固定される。各可動レール12Dは、各固定レール12Cに対してスライド可能である。リフタリンク11A~11Dは、対応する可動レール12Dに揺動可能に連結される。
【0040】
具体的には、リフタリンク11A、11Bは、スライド装置12Aの可動レール12Cに連結される。リフタリンク11C、11BD、スライド装置12Bの可動レール12Cに連結される。
【0041】
2.クッションフレームの詳細
本実施形態に係るクッションフレーム7は、概ね左右対称構造である。つまり、クッションサイドフレーム71とクッションサイドフレーム72とは、概ね左右対称な構造である。
【0042】
つまり、クッションサイドフレーム72も、クッションサイドフレーム71と同様な構成を備える。なお、以下の説明は、主にクッションサイドフレーム71に関する説明である。
【0043】
クッションサイドフレーム71の延び方向後端側には、図2図4に示されるように、装着部71Fが設けられている。装着部71Fは、第1リクライナーが装着される部位である。なお、第1リクライナーは、クッションサイドフレーム71に溶接固定されている。
【0044】
具体的には、第1リクライナーには、複数の凸部(図示せず。)が設けられている。装着部71Fには、それら凸部が嵌り込み可能な凹部71H(図2参照)が複数設けられている。そして、第1リクライナーは、各凸部が各凹部71Hに嵌り込んだ状態で溶接されている。
【0045】
図2及び図3に示されるように、クッションサイドフレーム71のうちビード71Gより延び方向後方側には、フランジ部71A、凹部71B(図3参照)、折曲誘発部71C、高剛性部71E(図2の斜線が付された部位)が設けられている。
【0046】
ビード71Gは、クッションサイドフレーム71の長手方向(延び方向)中間部に設けられた部位である。当該ビード71Gは、2つの傾斜面を区画する中心稜線が上下方向に延びる三角状の凸部又は凹部である。なお、本実施形態に係るビード71Gは、クッションサイドフレーム71に対してクッションサイドフレーム72と反対側に向けて突出した凸部である。
【0047】
フランジ部71Aは、クッションサイドフレーム71の外周端側のうち装着部71F及び連結ロッド74を囲む部位において、当該クッションサイドフレーム71からシート幅方向に延出した部位である。本実施形態に係るフランジ部71Aは、クッションサイドフレーム72側に向けて突出している。
【0048】
凹部71Bは、図3に示されるように、フランジ部71Aに設けられている。当該凹部71Bは、装着部71Fの下端より下方側、かつ、クッションサイドフレーム71の下端より上方側に位置している。そして、本実施形態に係る凹部71Bは、連結ロッド74の上端より下方側に位置している。
【0049】
折曲誘発部71Cは、少なくともクッションサイドフレーム71のうち装着部71Fと連結ロッド74と間の部位(以下、中間部という。)に設けられている。当該折曲誘発部71Cは、曲げ剛性が中間部以外の部位に比べて小さい部位である。
【0050】
本実施形態に係る折曲誘発部71Cは、中間部から凹部71Bに掛けて延びている。具体的には、図2に示されるように、折曲誘発部71Cは、中間部において装着部71Fを囲むように円弧状に延びる部位、及び当該円弧状の部位から凹部71Bに向けて延びる部位により構成されている。
【0051】
高剛性部71Eは、折曲誘発部71Cより曲げ剛性が大きい部位である。当該高剛性部71Eは、図2に示されるように、クッションサイドフレーム71のうち、折曲誘発部71Cより上方側、かつ、仮想線Loよりシート後方側の部位に設けられている。
【0052】
仮想線Loは、装着部71Fの中心と連結ロッド74の中心とを結ぶ仮想線である。本実施形態に係る装着部71Fの中心は、概ねバックサイドフレーム91の回転中心と一致する。本実施形態に係る連結ロッド74の中心は、パイプ状の連結ロッド74の中心軸線と一致する。
【0053】
本実施形態に係るクッションサイドフレーム71には、第2の折曲誘発部71Dが設けられている。第2の折曲誘発部71Dは、装着部71Fからクッションサイドフレーム71に入力された外力が高剛性部71E側に伝達することを規制する。つまり、第2の折曲誘発部71Dは、当該外力を折曲誘発部71Cに誘導する。このため、第2の折曲誘発部71Dも曲げ剛性が当該中間部以外の部位に比べて小さい。
【0054】
本実施形態では、図5図8に示されるように、フランジ部71A、折曲誘発部71C、第2の折曲誘発部71D及び高剛性部71E、並びにビード71Gは、クッションサイドフレーム71を構成する金属製の板材にプレス加工を施すことにより、当該クッションサイドフレーム71に一体成形された一体成形品である。
【0055】
フランジ部71A、折曲誘発部71C及び高剛性部71Eは、凹凸部の高さ寸法a、b、c(図5参照)が適宜設定されることにより、当該機能が発揮可能に設定されている。例えば、寸法a及び寸法bは、共に寸法cより大きい。これにより、折曲誘発部71Cの機能、高剛性部71Eの機能及びフランジ部71Aの機能が発揮され得る。
【0056】
3.本実施形態に係る乗物用シート(特に、クッションフレーム)の特徴
本実施形態に係るクッションフレーム7では、シートバック5にシート後方向きの荷重が作用したとき、凹部71Bに応力(エネルギー)が集中し易いため、当該凹部71Bを中心にクッションサイドフレーム71が屈曲するように塑性変形し易くなる。したがって、当該荷重によるエネルギーが当該塑性変形により吸収され得るので、2つのリクライナーやバックフレーム9等が損傷してしまうことが抑制され得る。
【0057】
上記中間部、つまりクッションサイドフレーム71のうち装着部71Fと連結ロッド74と間の部位には、曲げ剛性が当該中間部以外の部位に比べて小さい折曲誘発部71Cが設けられている。これにより、上記荷重がシートバック5に入力されたとき、凹部71Bを中心にクッションサイドフレーム71が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0058】
クッションサイドフレーム71のうち、折曲誘発部71Cより上方側、かつ、仮想線Loよりシート後方側の部位には、折曲誘発部71Cより曲げ剛性が大きい高剛性部71Eが設けられている。これにより、上記荷重がシートバック5に入力されたとき、凹部71Bを中心にクッションサイドフレーム71が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0059】
凹部71Bは、連結ロッド74の上端より下方側に位置している。これにより、上記荷重がシートバック5に入力されたとき、凹部71Bを中心にクッションサイドフレーム71が確実に屈曲するように塑性変形し得る。
【0060】
クッションサイドフレーム71の長手方向中間部には、2つの傾斜面を区画する中心稜線が上下方向に延びる三角状のビード71Gが設けられている。これにより、上記荷重がシートバックに入力されたとき、当該荷重によるエネルギーを確実に吸収でき得る。
【0061】
すなわち、上記荷重がシートバックに入力されると、先ず、当該ビード71Gを中心にクッションサイドフレーム71が屈曲しながら塑性変形して当該荷重によるエネルギーが吸収され得る。
【0062】
そして、上記屈曲のみで上記エネルギーを吸収できない場合、つまりエネルギーが残っている場合には、凹部71Bを中心にクッションサイドフレーム71が屈曲するように塑性変形することにより、当該残エネルギーが吸収され得る。
【0063】
なお、「上記屈曲のみで上記エネルギーを吸収できない場合」とは、例えば、ビード71Gを中心にクッションサイドフレーム71が塑性変形した場合において、当該クッションサイドフレーム71の後端側がスライド装置12A、12B又は床に接触することにより、当該塑性変形の進行が停止せざるを得ない状況になった場合等である。
【0064】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るクッションサイドフレーム71、72は、フランジ部71A、凹部71B、折曲誘発部71C、第2の折曲誘発部71D、高剛性部71E及びビード71Gを備えていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。
【0065】
すなわち、当該開示は、例えば、フランジ部71A、凹部71B、折曲誘発部71C、第2の折曲誘発部71D、高剛性部71E及びビード71Gのうち少なくとも1つが廃止されたクッションサイドフレーム71、72であってもよい。
【0066】
上述の実施形態に係るクッションフレーム7は、クッションサイドフレーム71とクッションサイドフレーム72とが略左右対称構造であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、クッションサイドフレーム71とクッションサイドフレーム72とが同一構造であるクッションフレーム7であってもよい。
【0067】
上述の実施形態に係るクッションサイドフレーム71、72は、フランジ部71A、凹部71B、折曲誘発部71C、第2の折曲誘発部71D、高剛性部71E及びビード71Gが1枚の金属板材に塑性加工が施されて一体成形されたプレス成形品であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。
【0068】
上述の実施形態に係る乗物用シート1は、リフタリンク11A~11D及びスライド装置12A、12Bを備えていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、リフタリンク11A~11D及びスライド装置12A、12Bのいずれかが廃止された構成であってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に係る開示の適用はこれに限定されるものではなく、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
【0070】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1… 乗物用シート 3… シートクッション 5… シートバック
7… クッションフレーム 9… バックフレーム
71… クッションサイドフレーム 71F… 装着部
71G… ビード 71A… フランジ部 71B… 凹部
71C… 折曲誘発部 71E… 高剛性部 74… 連結ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8