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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】投影装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0487 20130101AFI20241021BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241021BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241021BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20241021BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20241021BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241021BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241021BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20241021BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20241021BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20241021BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G06F3/0487
G03B21/00 E
G03B21/14 Z
G06F3/0481
G06F3/04845
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
G09G5/00 530T
G09G5/00 550C
G09G5/37 600
G09G5/373
G09G5/377 100
G09G5/38 100
H04N5/74 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019029285
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020135518
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 歩
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-194850(JP,A)
【文献】特開2014-109662(JP,A)
【文献】特開2013-088840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00
G06F3/048-3/04895
G06F40/00-40/197
G09G5/00-5/40
G06V30/14-30/168
H04N5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を含む投影用画像を投影する投影手段と
記投影用画像の投影領域に対するユーザ操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記ユーザ操作に応じたオブジェクト画像を、前記投影用画像に重畳して前記投影手段に投影させるように制御する重畳手段と、
前記投影用画像の表示形態を、前記対象画像が配置された1つの画面を表示する表示形態と、いずれかに前記対象画像が配置された複数の画面を並べて表示する表示形態との間で切り替える切替手段と、
有し
前記オブジェクト画像が前記対象画像に重畳されている状態において、前記切替手段により表示形態が切り替えられた場合に、前記重畳手段は、前記オブジェクト画像を表示形態を変更した後の前記対象画像の配置に応じた位置で前記対象画像に重畳して前記投影手段に投影させるように制御する
ことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記ユーザ操作は、所定の波長を有する光を前記投影領域に照射するユーザ操作であり、
前記検出手段は、前記所定の波長を有する光を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記所定の波長を有する光は不可視光である
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項4】
前記所定の波長を有する光は可視光である
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記投影領域を撮像した画像に基づいて前記ユーザ操作を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項6】
前記重畳手段は、前記ユーザ操作に応じて、前記投影領域における、前記ユーザ操作で指定された位置に前記オブジェクト画像が投影されるように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項7】
前記重畳手段は、前記ユーザ操作に応じて前記オブジェクト画像を生成し、前記オブジェクト画像を前記投影用画像に重畳して前記投影手段に投影させるように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項8】
前記対象画像は静止画である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項9】
前記対象画像は動画である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項10】
対象画像を取得する取得ステップと、
前記対象画像を含む投影用画像を投影する投影ステップと
記投影用画像の投影領域に対するユーザ操作を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記ユーザ操作に応じたオブジェクト画像を、前記投影用画像に重畳して前記投影ステップで投影されるように制御する重畳ステップと、
前記投影用画像の表示形態を、前記対象画像が配置された1つの画面を表示する表示形態と、いずれかに前記対象画像が配置された複数の画面を並べて表示する表示形態との間で切り替える切替ステップと、
を有し、
前記オブジェクト画像が前記対象画像に重畳されている状態において、前記切替ステップにおいて表示形態が切り替えられた場合に、前記重畳ステップでは、前記オブジェクト画像を表示形態を変更した後の前記対象画像の配置に応じた位置で前記対象画像に重畳して前記投影ステップで投影されるように制御する
ことを特徴とする投影装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1~のいずれか1項に記載の投影装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投影面に投影された対象画像を含む画像(投影画像)に対するユーザ操作に応じてオブジェクト画像を生成し、オブジェクト画像を投影画像に重ねて表示するインタラクティブプロジェクタなどと呼ばれる投影装置(プロジェクタ)がある。オブジェクト画像は、例えば、ユーザが投影面上をペン、指、等で操作することによって描画される文字や図形を含む画像である。これによりユーザは、投影面に投影された画像に文字や図形を描くような感覚を得ることが可能となる。
【0003】
また、投影装置は投影画像における対象画像のレイアウト(位置、サイズ、形状、等)を変更することができる。例えば、投影画像の全体を対象画像が占める状態から、投影画像の左半分の領域に対象画像が表示される状態にレイアウトを変更することが可能である。
【0004】
特許文献1には、投影画像の大きさを光学的に変化させた場合に、投影画像に加えるテキストデータの文字サイズが変わらないように制御する技術(投影装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-227800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
投影画像における対象画像のレイアウトが変更された場合、オブジェクト画像と対象画像との関係(位置、サイズ、形状、等の関係)が、ずれてしまう場合がある。具体的には、投影画像の全体を対象画像が占める状態で表示された投影画像に対して、ユーザが対象画像のある対象部分に対して書き込み(オブジェクト画像の追加)を行ったとする。このような場合に、対象画像のレイアウトが変更されると、オブジェクト画像の位置が対象画像の対象部分の位置とずれてしまう。
【0007】
特許文献1に記載の投影装置は、投影画像の大きさが変わった場合において、重ねられるテキストデータの文字サイズを変えないように制御を行う。このような技術を用いた場合、投影画像における対象画像のレイアウト(大きさ)が変わったとしても、オブジェクト画像の大きさは変わらない。したがって、上述したように、レイアウト変更後の対象画像とオブジェクト画像との関係はずれてしまう。
【0008】
本発明は、対象画像のレイアウトが変更された場合に対象画像とオブジェクト画像の関係をユーザの意図した関係に保つことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、
対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を含む投影用画像を投影する投影手段と
記投影用画像の投影領域に対するユーザ操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記ユーザ操作に応じたオブジェクト画像を、前記投影用画像に重畳して前記投影手段に投影させるように制御する重畳手段と、
前記投影用画像の表示形態を、前記対象画像が配置された1つの画面を表示する表示形態と、いずれかに前記対象画像が配置された複数の画面を並べて表示する表示形態との間
で切り替える切替手段と、
有し
前記オブジェクト画像が前記対象画像に重畳されている状態において、前記切替手段により表示形態が切り替えられた場合に、前記重畳手段は、前記オブジェクト画像を表示形態を変更した後の前記対象画像の配置に応じた位置で前記対象画像に重畳して前記投影手段に投影させるように制御する
ことを特徴とする投影装置である。
【0010】
本発明の第2の態様は、
対象画像を取得する取得ステップと、
前記対象画像を含む投影用画像を投影する投影ステップと
記投影用画像の投影領域に対するユーザ操作を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記ユーザ操作に応じたオブジェクト画像を、前記投影用画像に重畳して前記投影ステップで投影されるように制御する重畳ステップと、
前記投影用画像の表示形態を、前記対象画像が配置された1つの画面を表示する表示形態と、いずれかに前記対象画像が配置された複数の画面を並べて表示する表示形態との間で切り替える切替ステップと、
を有し、
前記オブジェクト画像が前記対象画像に重畳されている状態において、前記切替ステップにおいて表示形態が切り替えられた場合に、前記重畳ステップでは、前記オブジェクト画像を表示形態を変更した後の前記対象画像の配置に応じた位置で前記対象画像に重畳して前記投影ステップで投影されるように制御する
ことを特徴とする投影装置の制御方法である。
【0011】
本発明の第3の態様は、コンピュータを、上述した投影装置の各手段として機能させるためのプログラムである。本発明の第4の態様は、コンピュータを、上述した投影装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対象画像のレイアウトが変更された場合に対象画像とオブジェクト画像の関係をユーザの意図した関係に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る投影システムの構成例を示す模式図である。
図2】本実施形態に係るプロジェクタの構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る処理部の構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る処理フロー例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る2画面投影の一例を示す模式図である。
図6】本実施形態に係る入力画像のレイアウトの一例を示す模式図である。
図7】本実施形態に係る重畳処理の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
<投影システムの構成>
図1は、本実施形態に係る投影システムの構成例を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る投影システムは、プロジェクタ100(投影装置)、スクリーンボード500(投影面)、及び、操作デバイス600(指示装置)を有する。プロジェクタ100は、投影用画像300をスクリーンボード500に投影できる。投影用画像300は、画面が配置される画面領域400を有する。図1に示すように、投影用画像300は、画面が配置されない非画面領域700を有することもある。画面には対象画像(投影対
象の画像)が配置される。プロジェクタ100は、投影用画像300における画面領域400、対象画像、等のレイアウト(位置、サイズ、形状、等)を変更できる。ユーザ200は、操作デバイス600を用いて、スクリーンボード500に対するユーザ操作を行うことができる。プロジェクタ100は、スクリーンボード500に対するユーザ操作に応じたオブジェクト画像を投影用画像300に重ねてスクリーンボード500に投影する。例えば、プロジェクタ100は、スクリーンボード500上に文字や図形を描くような感覚をユーザ200が得られるように、オブジェクト画像を投影する。
【0016】
なお、図1ではプロジェクタ100がスクリーンボード500の上部に設置されているが、プロジェクタ100とスクリーンボード500の位置関係は特に限定されない。本実施形態では画面の全体に亘って対象画像が配置される例を説明するが、画面の一部に対象画像が配置されてもよい。本実施形態ではプロジェクタ100に入力された画像(入力画像)を対象画像として使用する例を説明するが、プロジェクタ100に格納された画像、プロジェクタ100によって生成された画像、等が対象画像として使用されてもよい。対象画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。対象画像は、例えば、撮影画像、CG(コンピュータグラフィック)画像、プレゼンテーション用の画像、ミーティング用の画像、ホワイトボードを模した画像、等である。
【0017】
<プロジェクタの構成>
図2は、プロジェクタ100の構成例を示すブロック図である。
【0018】
制御部101は、プロジェクタ100の全体を制御する。例えば、制御部101は、マイクロコンピュータなどである。ROM102は不揮発性メモリであり、ROM102には、制御部101が動作するためのプログラムコード、データ、等が予め格納される。プロジェクタ100が動作するために必要なデータがROM102に新たに格納されたり、ROM102に格納されたデータが更新されたりもする。RAM103は、揮発性メモリであり、制御部101が動作するためのワークメモリとして使用される。
【0019】
検出部104は、スクリーンボード500に対するユーザ操作を検出し、検出結果を処理部107(後述するオブジェクト部111)に出力する。本実施形態では、操作デバイス600は、所定の波長を有する不可視光(赤外光、紫外光、等)を発することができる。ユーザ200は、スクリーンボード500に対するユーザ操作として、操作デバイス600からスクリーンボード500に不可視光を照射するユーザ操作を行う。検出部104は、操作デバイス600から発せられてスクリーンボード500で反射した不可視光を検出する。そして、検出部104は、不可視光を検出した位置(スクリーンボード500に対するユーザ操作で指定された位置)の座標を、処理部107(後述するオブジェクト部111)に通知する。ここで、検出部104が不可視光を検出する際の座標系(例えば実空間の座標系)が、処理部107が画像処理を行う際の座標系(例えば画像(画像データ)の座標系)と異なることがある。その場合には、検出部104は、不可視光を検出した位置の座標を、処理部107が画像処理を行う際の座標系で出力するために、座標変換を行う。
【0020】
なお、スクリーンボード500に対するユーザ操作は、上述したユーザ操作に限られない。スクリーンボード500に対するユーザ操作の検出方法も、上述した方法に限られない。例えば、操作デバイス600は所定の波長を有する可視光を発してもよく、検出部104は所定の波長を有する可視光を検出してもよい。スクリーンボード500に対するユーザ操作は、指、ペン、操作デバイス600、等をスクリーンボード500に接触させたり、指、ペン、操作デバイス600、等とスクリーンボード500との距離を閾値以下にしたりするユーザ操作であってもよい。そして、検出部104は、スクリーンボード500を撮像した画像に基づいて、スクリーンボード500に対するユーザ操作を検出しても
よい。例えば、検出部104は、スクリーンボード500を撮像した画像から操作デバイス600を検出し、操作デバイス600を検出した位置の座標を出力してもよい。スクリーンボード500を撮像する撮像部は、プロジェクタ100に設けられてもよいし、プロジェクタ100とは異なる装置(例えば撮像装置)に設けられてもよい。
【0021】
操作部105は、プロジェクタ100に対するユーザ操作を受け付ける。例えば、操作部105は、プロジェクタ100の筺体に設けられたスイッチ、ボタン、等である。操作部105は、プロジェクタ100のリモートコントローラなどから発せられた信号を受信する受信部であってもよい。プロジェクタ100に対するユーザ操作が行われると、操作部105は、行われたユーザ操作に応じた制御信号を制御部101に出力する。
【0022】
接続部106は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、デジタルカメラ、等の外部機器にプロジェクタ100を接続する。接続部106は、外部機器との無線接続のための通信部であってもよいし、外部機器との有線接続のための接続端子であってもよい。接続部106は、プロジェクタ100に接続された外部機器から画像データ(入力画像;対象画像)を取得し、取得した画像データを処理部107(後述するレイアウト部110)に出力する。接続部106は、制御部101からの指示に従って、プロジェクタ100に接続された複数の外部機器の少なくともいずれかを選択して、選択した外部機器から画像データを取得することができる。接続部106は、制御部101からの指示に従って、外部機器に格納された複数の画像データの少なくともいずれかを選択して取得することもできる。ここで、外部機器から接続部106に出力される画像データのデータフォーマットが、処理部107で処理可能なデータフォーマットと異なることがある。その場合には、接続部106は、取得した画像データを、処理部107で処理可能なデータフォーマットで出力するために、フォーマット変換を行う。画像データは、例えば、所定のフレームレートで取得されて処理される。1フレームの画像データ(画像信号)には、各画素の階調値を示す階調信号と、対応するフレームのタイミングを示す同期信号とが含まれる。
【0023】
処理部107は、制御部101からの指示に従って各種画像処理を行い、入力画像が配置された投影用画像300(画像データ)を生成する。そして、処理部107は、投影用画像300(画像データ)を投影部108に出力する。処理部107は、画像処理として、階調変換処理(ゲイン処理、オフセット処理、ガンマ処理、等)、フレーム間引き処理、フレーム補間処理、解像度変換処理、画像合成処理、等を実行できる。処理部107は、画像処理として、幾何学補正処理(キーストン補正処理;曲面補正処理)、パネル補正処理、レイアウト処理、重畳処理、オブジェクト生成処理、等も実行できる。
【0024】
投影部108は、処理部107から出力された画像データに基づいて、投影用画像300をスクリーンボード500に投影する。例えば、投影部108は、投影制御部と投影処理部を有する。投影制御部は、投影用画像300の投影が行われるように、処理部107から出力された画像データに基づく制御信号で投影処理部を制御する。投影処理部は、投影制御部から出力された制御信号に基づいて投影を行う。具体的には、投影処理部は、液晶パネル、レンズ、及び、光源を備える。投影処理部は、1枚の液晶パネルを備えてもよいし、複数枚の液晶パネル(例えば3枚の液晶パネル)を備えてもよい。投影制御部から出力された制御信号に基づいて液晶パネルの透過率(透過率分布)が制御される。光源から発せられた光が液晶パネルを透過することで、投影用画像300に対応する光学像が液晶パネルからスクリーンボード500に発せられる。つまり、投影用画像300がスクリーンボード500に投影される。さらに、投影制御部は、光源の光量などを調整パラメータ(調光率など)で調整することにより、投影用画像300の輝度を調整できる。調整パラメータは、プロジェクタ100(操作部105)に対するユーザ操作に応じて、制御部101により設定(決定)されてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、調整パラメー
タは、プロジェクタ100の使用環境(プロジェクタ100の周囲の明るさなど)に応じて、制御部101により自動で設定されてもよい。
【0025】
内部バス109は、上述した複数の機能部を互いに通信可能に接続する。内部バス109は、複数の機能部が各種データ、各種制御情報、等を互いに送受信するための伝送路として機能する。
【0026】
<操作デバイスの構成>
図2には、操作デバイス600の構成例も模式的に示されている。操作デバイス600は、ペン型の操作デバイスであり、スクリーンボード500上の任意の位置を指し示すために用いられる。ON/OFFボタン601は、操作デバイス600からの不可視光の出力のON/OFFを切り替えるためのボタンである。発光部602は、ON/OFFボタン601に対するユーザ操作に応じて不可視光を発する。例えば、発光部602が不可視光を発していない状態でON/OFFボタン601が押下されると、発光部602は不可視光を発する。そして、発光部602が不可視光を発している状態でON/OFFボタン601が押下されると、発光部602は不可視光の出力を停止する。ON/OFFボタン601が押下されている間だけ発光部602が不可視光を発し、ON/OFFボタン601の押下の解除に応じて発光部602が不可視光の出力を停止してもよい。なお、上述したように、スクリーンボード500に対するユーザ操作は、操作デバイス600を用いたユーザ操作に限られない。例えば、スクリーンボード500に対するユーザ操作は、スクリーンボード500上の任意の位置を指で指し示すユーザ操作であってもよい。
【0027】
<処理部の構成>
図3は、処理部107の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、処理部107は、レイアウト処理を行うレイアウト部110、オブジェクト生成処理を行うオブジェクト部111、及び、重畳処理を行う重畳部112を備える。なお、処理部107は、他の画像処理を行う機能部をさらに備えてもよい。
【0028】
レイアウト部110は、接続部106から出力された画像データ(入力画像;対象画像)に基づいて、入力画像が配置された投影用画像300(画像データ)を生成する。そして、レイアウト部110は、投影用画像300(画像データ)を重畳部112に出力する。さらに、レイアウト部110は、投影用画像300における入力画像のレイアウトを変更できる。例えば、入力画像のレイアウトは、プロジェクタ100(操作部105)に対するユーザ操作に応じて変更されてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、入力画像のレイアウトは、プロジェクタ100に接続された外部機器の種類、数、等の変化に応じて自動で変更されてもよい。
【0029】
図6(A)~6(F)は、入力画像のレイアウトの一例を示す模式図である。図6(A)では、投影用画像300の一部に入力画像が配置されている。このため、投影用画像300の一部が入力画像の画面領域400となっており、投影用画像300の他の部分が非画面領域700となっている。図6(B)は、図6(A)の状態から入力画像を拡大した状態を示す。図6(B)では、投影用画像300の全体に入力画像が配置されている。このため、投影用画像300の全体が画面領域400となっており、非画面領域700は存在しない。図6(C),6(D)は、図6(A)の状態から入力画像のアスペクト比を変更した状態を示す。具体的には、図6(C)は、図6(A)の状態から入力画像を垂直方向(縦方向)に拡大した状態を示し、図6(D)は、図6(A)の状態から入力画像を水平方向(横方向)に拡大した状態を示す。レイアウト処理では、入力画像の拡大だけでなく、入力画像の縮小も実行できる。図6(E)は、図6(A)の状態から入力画像を水平方向に縮小した状態を示す。図6(A)~6(E)は、いずれも、入力画像(対象画像)が配置された1つの画面を投影する1画面投影(1画面表示)の例を示す。図6(F)は
、いずれかに入力画像(対象画像)が配置された2つの画面を投影する2画面投影(2画面表示;マルチ画面投影)の例を示す。マルチ画面投影では、複数の画面、複数の画像、等が並べて投影される。図6(F)では、投影用画像300に2つの画面領域401,402が配置されている。図6(A)の1画面投影から図6(F)の2画面投影に切り替えられると、図6(A)の画面領域400の位置とサイズが変更され、図6(A)の画面領域400は図6(F)の画面領域401または画面領域402となる。レイアウト処理では、1画面投影とマルチ画面投影の両方において、入力画像の画面領域400の位置、サイズ、形状(アスペクト比)、等を変更できる。レイアウト処理では、マルチ画面投影において、複数の画面のレイアウトを変更できる。
【0030】
なお、図6(F)では非画面領域700が存在するが、非画面領域700が存在しないように画面領域401,402が配置されてもよい。マルチ画面投影における画面の数は2つより多くてもよい。レイアウト処理における複数の画面のレイアウトは個別に変更できてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、複数の画面のいずれかのレイアウトの変更に応じて、他の画面のレイアウトが自動で変更されてもよい。
【0031】
オブジェクト部111は、スクリーンボード500に対するユーザ操作に応じてオブジェクト画像(画像データ)を生成し、オブジェクト画像(画像データ)を重畳部112に出力する。本実施形態では、オブジェクト部111は、スクリーンボード500における、ユーザ操作(スクリーンボード500に対するユーザ操作)で指定された位置にオブジェクト画像が投影されるように、オブジェクト画像を生成する。具体的には、オブジェクト部111は、検出部104から通知された座標に対する描画を行って、オブジェクト画像を生成する。スクリーンボード500に対するユーザ操作で指定された位置の移動があった場合には、指定された位置の軌跡をなぞるように描画が行われる。このようなオブジェクト画像が投影されることにより、ユーザ200は、スクリーンボード500上に文字や図形を描くような感覚を得ることができる。
【0032】
重畳部112は、入力画像(対象画像)が配置された投影用画像300にオブジェクト画像が重ねられるように、レイアウト部110から出力された画像データに、オブジェクト部111から出力された画像データを合成する。これにより、入力画像が配置され且つオブジェクト画像が配置されていない投影用画像300が、入力画像とオブジェクト画像が配置された投影用画像300に更新される。そして、重畳部112は、更新後の投影用画像300(合成により得られた画像データ)を、投影部108に出力する。
【0033】
図7(A),7(B)は、重畳部112の重畳処理の一例を示す模式図である。図7(A)は、1画面投影の投影用画像300(図1および図6(A))にオブジェクト画像800が重ねられる様子を示す。図7(A)では、重畳処理により、画面領域400(入力画像)の中心にオブジェクト画像800が配置された投影用画像300が得られている。図7(B)は、2画面投影の投影用画像300(図6(F))にオブジェクト画像800が重ねられる様子を示す。図7(B)では、重畳処理により、画面領域401の中心にオブジェクト画像800が配置された投影用画像300が得られている。
【0034】
<プロジェクタの処理フロー>
図4は、プロジェクタ100の処理フロー例を示すフローチャートである。電源ケーブルを介してプロジェクタ100にAC電力が供給されると、プロジェクタ100の制御部101に電力が供給され、制御部101が起動して待機状態となる。そして、ユーザからの起動指示があったことを制御部101が検出すると、図4の処理フローが開始される。例えば、プロジェクタ100に設けられた電源スイッチ(操作部105)の押下に応じて電源スイッチから出力された信号を制御部101が受信すると、図4の処理フローが開始される。プロジェクタ100のリモートコントローラに設けられた電源ボタンの押下に応
じてリモートコントローラから出力された信号を、受信部(操作部105)を介して、制御部101が受信することで、図4の処理フローが開始されてもよい。プロジェクタ100に接続された外部機器(制御装置)から出力された制御コマンドを、接続部106を介して、制御部101が受信することで、図4の処理フローが開始されてもよい。
【0035】
ステップS100にて、制御部101は、プロジェクタ100の各機能部の起動処理を行う。具体的には、制御部101は、各機能部に電力を供給するように制御を行い、各機能部が動作可能になるように設定を行う。そして、制御部101は、投影部108の光源が点灯し、プロジェクタ100の内部を冷却する冷却ファンが駆動されるように制御を行う。これにより、接続部106によって取得された入力画像(具体的には、入力画像が配置され且つオブジェクト画像800が配置されていない投影用画像300)の投影が開始される。
【0036】
ステップS101にて、制御部101は、検出部104に対する問い合わせを行い、スクリーンボード500に対するユーザ操作(描画操作)が検出されたか否かを判断する。描画操作が検出された場合はステップS102に処理が進められ、描画操作が検出されなかった場合はステップS103に処理が進められる。描画操作が検出された場合は、オブジェクト部111でオブジェクト画像800が生成される。
【0037】
ステップS102にて、制御部101は、重畳部112に対して、重畳処理を行うように指示する。これにより、重畳部112が重畳処理を行い、入力画像が配置され且つオブジェクト画像800が配置されていない投影用画像300が、入力画像とオブジェクト画像800が配置された投影用画像300に更新される。
【0038】
ステップS103にて、制御部101は、操作部105に対する問い合わせを行い、投影用画像300における入力画像のレイアウトを変更するためのユーザ操作(レイアウト変更操作)が検出されたか否かを判断する。レイアウト変更操作が検出された場合はステップS104に処理が進められ、レイアウト変更操作が検出されなかった場合はステップS108に処理が進められる。
【0039】
ステップS104にて、制御部101は、重畳部112に対する問い合わせを行い、重畳処理が行われているか否かを判断する。重畳処理が行われている場合はステップS105に処理が進められ、重畳処理が実施されていない場合はステップS106に処理が進められる。
【0040】
ステップS105とステップS106のそれぞれにて、制御部101は、レイアウト部110に対して、投影用画像300における入力画像のレイアウトを変更するように指示する。これにより、レイアウト部110がレイアウト処理(レイアウト変更処理)を行い、入力画像のレイアウトが変更される。ここで、図1,6(A)の1画面投影が行われている状態で、2画面投影ボタン(操作部105)をユーザが押下したとする。制御部101は、2画面投影ボタンの押下に応じて操作部105から出力された信号を受信すると、レイアウト部110に対して、2画面投影への切り替えを指示する。そして、レイアウト部110は、図5図6(F))の2画面投影が行われるように、入力画像のレイアウトなどを変更する。
【0041】
なお、1画面投影からマルチ画面投影への切り替えとは異なる処理によって、入力画像(対象画像)のレイアウトが変更されてもよい。例えば、マルチ画面投影から1画面投影への切り替えによって、入力画像のレイアウトが変更されてもよい。つまり、1画面投影とマルチ画面投影の一方から他方への切り替えによって、入力画像のレイアウトが変更されてもよい。投影用画像300における入力画像の位置、サイズ、及び、アスペクト比の
少なくともいずれかの変更、マルチ画面投影における複数の画面のレイアウトの変更、等により、入力画像のレイアウトが変更されてもよい。
【0042】
ここで、入力画像のレイアウトが変更される前の投影用画像300における入力画像とオブジェクト画像800の関係(位置、サイズ、形状、等の関係)は、ユーザが意図した関係である。そして、オブジェクト画像800のレイアウトを変更せずに入力画像のレイアウトを変更すると、投影用画像300における入力画像とオブジェクト画像800の関係も変更される。つまり、入力画像のレイアウトを変更すると、入力画像とオブジェクト画像800の関係がユーザの意図した関係からずれてしまう。そこで、本実施形態では、ステップS107の処理を行う。
【0043】
ステップS107にて、制御部101は、オブジェクト部111に対して、投影用画像300における入力画像のレイアウトの変更に応じて投影用画像300におけるオブジェクト画像800のレイアウトを変更するように指示する。これにより、オブジェクト部111は、入力画像のレイアウトの変更に応じてオブジェクト画像800のレイアウトが変更されるように、オブジェクト画像800を更新する(オブジェクト更新処理)。なお、制御部101は、重畳部112に対して、オブジェクト画像800のレイアウトを変更するように指示してもよい。そして、重畳部112が、オブジェクト画像800のレイアウトが変更されるように、オブジェクト画像800を処理して投影用画像300に重ねてもよい。
【0044】
本実施形態では、対象画像のレイアウトの変化にオブジェクト画像800のレイアウトの変化が一致するように、オブジェクト画像800のレイアウトが変更される。ここで、画面領域400(入力画像)の中心にオブジェクト画像800が配置された図7(A)の1画面投影から、2画面投影への切り替えが行われた場合を考える。画面領域400は、左に動かされて縮小されることで、画面領域401になるとする。ステップS107の処理が行われない場合には、オブジェクト画像800のレイアウトは図7(A)のレイアウトから変わらず、図7(C)に示すように、画面領域401(入力画像)の中心からずれた位置に大きなサイズで投影されることになる。本実施形態では、ステップS107の処理により、オブジェクト画像800が、画面領域400と同じ移動量で左に動かされ、画面領域400と同じ縮小率で縮小される。その結果、図7(B)に示すように、入力画像とオブジェクト画像800の関係(位置、サイズ、形状、等の関係)を図7(A)から変えることなく、画面領域401(入力画像)の中心にオブジェクト画像800を投影できる。つまり、入力画像とオブジェクト画像800の関係をユーザの意図した関係に保つことができる。
【0045】
なお、入力画像のアスペクト比が変更された場合には、入力画像のアスペクト比の変更と同様に、オブジェクト画像800のアスペクト比も変更される。例えば、入力画像が垂直方向に拡大された場合には、入力画像の拡大率(垂直方向の拡大率)と同じ拡大率で、オブジェクト画像800が拡大される。入力画像が水平方向に縮小された場合には、入力画像の縮小率(水平方向の拡大率)と同じ縮小率で、オブジェクト画像800が縮小される。
【0046】
なお、オブジェクト画像800のレイアウトの変更方法は、上記方法に限られない。例えば、対象画像のレイアウトの変化にオブジェクト画像800のレイアウトの変化が一致しなくてもよい。対象画像のレイアウトの変化とオブジェクト画像800のレイアウトの変化との差が閾値以下となるように、オブジェクト画像800のレイアウトが変更されてもよい。閾値は、対象画像のレイアウトの変化にオブジェクト画像800のレイアウトの変化が類似していればよい。
【0047】
ステップS108にて、制御部101は、操作部105に対する問い合わせを行い、図4の処理フローを終了するためのユーザ操作(終了操作)が検出されたか否かを判断する。終了操作が検出された場合は、制御部101は、プロジェクタ100の各機能部の終了処理を行う。具体的には、制御部101は、プロジェクタ100各機能部への電力供給を停止するように制御を行う。これにより、制御部101は待機状態に戻り、図4の処理フローは終了される。終了操作が検出されなかった場合は、ステップS101に処理が戻される。
【0048】
以上述べたように、本実施形態によれば、投影用画像における対象画像のレイアウトが変更された場合に、対象画像のレイアウトの変更に応じて投影用画像におけるオブジェクト画像のレイアウトが変更される。これにより、対象画像のレイアウトが変更された場合に対象画像とオブジェクト画像の関係をユーザの意図した関係に保つことができる。
【0049】
なお、本実施形態(図2)の各機能部は、個別のハードウェアであってもよいし、そうでなくてもよい。2つ以上の機能部の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の複数の機能のそれぞれが、個別のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の2つ以上の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。また、各機能部は、ハードウェアによって実現されてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、装置が、プロセッサと、制御プログラムが格納されたメモリとを有していてもよい。そして、装置が有する少なくとも一部の機能部の機能が、プロセッサがメモリから制御プログラムを読み出して実行することにより実現されてもよい。
【0050】
なお、本実施形態(上述した変形例を含む)はあくまで一例であり、本発明の要旨の範囲内で本実施形態の構成を適宜変形したり変更したりすることにより得られる構成も、本発明に含まれる。
【0051】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0052】
100:プロジェクタ 101:制御部 104:検出部 108:投影部
110:レイアウト部 111:オブジェクト部 112:重畳部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7