(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】チョップドプリプレグ繊維を使用する圧縮型のための溶融押出ローディング
(51)【国際特許分類】
B29C 69/02 20060101AFI20241021BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20241021BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20241021BHJP
B29C 31/04 20060101ALI20241021BHJP
B29C 33/08 20060101ALI20241021BHJP
B29C 43/36 20060101ALI20241021BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20241021BHJP
B29K 105/12 20060101ALN20241021BHJP
B29K 101/12 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
B29C69/02
B29C70/06
B29C70/42
B29C31/04
B29C33/08
B29C43/36
B29C43/34
B29K105:12
B29K101:12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020057459
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロムシーバー, エイドリアナ ヴィレムピエ
(72)【発明者】
【氏名】シーバー, ジャック
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-315418(JP,A)
【文献】特開2015-107643(JP,A)
【文献】特開昭60-132743(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104262979(CN,A)
【文献】米国特許第05482665(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B29C 69/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品を製造するための方法(200)であって、
レセプタクル(124,924)を有する雌型(120,920)及び補完的な雄型(110,910)を加熱すること(202)と、
押出機(320,800,950)内に配置されたチョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を溶融させるために、前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、前記押出機(320,800,950)を加熱すること(206)と、
前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)が溶融した状態を維持する間、前記押出機(320,800,950)から前記雌型(120,920)の前記レセプタクル(124,924)内に前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を押し出すこと(208)と、
溶融した前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を前記レセプタクル(124,924)に完全に進入させて、前記雌型(120,920)内に前記雄型(110,910)を押し込むこと(210)と、
前記複合部品を形成するために、前記雌型(120,920)の前記レセプタクル(124,924)内の前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を冷却すること(212)と
、
前記押出機(320,800,950)から前記雌型(120,920)の複数のレセプタクル(124,924)内に前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を押し出すこと(208)と
を含
み、前記雌型(120,920)が前記複数のレセプタクル(124,924)を含み、前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を冷却すること(212)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)に冷却流体を加えることを含む、方法(200)。
【請求項2】
前記レセプタクル(124,924)の体積が、前記レセプタクル(124,924)内に押し出された(208)前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)の体積の1.5倍未満である、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記雌型(120,920)がセグメント化された型を含み、前記方法(200)が、
前記レセプタクル(124,924)から前記複合部品を除去するために、前記セグメント化された型のセグメントを分離すること
を更に含む、請求項1
又は2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)を加熱すること(202)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)内のサセプタの温度を上昇させる電磁場を印加することを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)を加熱すること(202)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)内の抵抗加熱要素(130,140,916,926)に電流を印加することを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記雌型(120,920)を前記押出機(320,800,950)
の下に配置すること(204)
を更に含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項7】
複合部品を製造するためのシステム(300,900)であって、
雌型(120,920)であって、
レセプタクル(124,924)を画定する本体(122,922)、及び
一体型加熱要素(130,926)
を含む雌型(120,920)と、
雄型(110,910)であって、
前記レセプタクル(124,924)の形状を補完する突出部(114,914)を画定する本体(112,912)、及び
一体型加熱要素(140,916);
を含む雄型(110,910)と、
前記レセプタクル(124,924)内に押し出すための不連続繊維及び熱可塑性物質を含む溶融したチョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を保管する押出機(320,800,950)と
を含
み、前記雌型(120,920)の前記本体(122,922)が、複数のレセプタクル(124,924)を画定し、
前記雄型(110,910)の前記本体(112,912)が、前記複数のレセプタクル(124,924)のうちの対応するものの形状を各々が補完する複数の突出部(114,914)を画定する、システム(300,900)。
【請求項8】
前記押出機(320,800,950)が
、出口直径(D)を有するノズル(426,850,958)を含
み、前記出口直径(D)が、前記レセプタクル(124,924)内に配置された前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)の位置合わせを制御するように構成される、請求項
7に記載のシステム(300,900)。
【請求項9】
複合部品を製造するための方法(200)であって、
レセプタクル(124,924)を有する雌型(120,920)及び補完的な雄型(110,910)を加熱すること(202)と、
押出機(320,800,950)内に配置されたチョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を溶融させるために、前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、前記押出機(320,800,950)を加熱すること(206)と、
前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)が溶融した状態を維持する間、前記押出機(320,800,950)から前記雌型(120,920)の前記レセプタクル(124,924)内に前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を押し出すこと(208)と、
溶融した前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を前記レセプタクル(124,924)に完全に進入させて、前記雌型(120,920)内に前記雄型(110,910)を押し込むこと(210)と、
前記複合部品を形成するために、前記雌型(120,920)の前記レセプタクル(124,924)内の前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を冷却すること(212)と、
前記レセプタクル(124,924)から前記複合部品を除去するために、セグメント化された型のセグメントを分離することと
を含み、前記雌型(120,920)が前記セグメント化された型を含み、前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)を冷却すること(212)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)に冷却流体を加えることを含む、方法(200)。
【請求項10】
前記レセプタクル(124,924)の体積が、前記レセプタクル(124,924)内に押し出された(208)前記チョップドプリプレグ繊維(652,860,956)の体積の1.5倍未満である、請求項9に記載の方法(200)。
【請求項11】
前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)を加熱すること(202)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)内のサセプタの温度を上昇させる電磁場を印加することを含む、請求項9又は10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)を加熱すること(202)が、前記雌型(120,920)及び前記雄型(110,910)内の抵抗加熱要素(130,140,916,926)に電流を印加することを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記雌型(120,920)を前記押出機(320,800,950)の下に配置すること(204)
を更に含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材料の分野に関し、特に、複合部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
「チョップドプリプレグ繊維(Chopped prepreg fiber)」は、不連続な繊維強化熱可塑性物質の片を指す用語である。各片は、比較的小さく(例えは、幅が10インチ未満)、繊維のセグメント(例えば、繊維ガラス、炭素繊維など)を含む。チョップドプリプレグ繊維を溶融温度まで加熱して圧力をかけると、片と片との間の熱可塑性物質が混ざり合い、ランダムに配向された短繊維によって補強された単一の複合部品が生じる。ゆえに、本書で使用される際、「チョップドプリプレグ繊維」とは、繊維強化プリプレグのチョップド(短く切断された(chopped))単方向フレークを指す。
【0003】
チョップドプリプレグ繊維の片は、そうでなければ廃棄されるであろうスクラップ複合材料を細断することによって準備され、又は片が、単一方向のプリプレグテープから特定の寸法に切断されることがある。しがたって、各切断片は、熱可塑性物質を含浸させた単方向繊維を含むことがある。生じるチョップドプリプレグ繊維の片は、かなりの量のかさがある。即ち、チョップドプリプレグ繊維の片が成形のために型にスタックされるとき、片はエアギャップによって分離される。エアギャップは、チョップドプリプレグ繊維のスタックによって占有される体積の量を増加させる。
【0004】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こりうる他の問題点を考慮した、方法及び装置を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0005】
本書に記載の実施形態は、溶融したチョップドプリプレグ繊維を、チョップドプリプレグ繊維部品のための圧縮成形型に直接適用する。溶融したチョップドプリプレグ繊維を型に直接適用することによって、もたらされる複合部品内の繊維配向が制御されうる。加えて、溶融したチョップドプリプレグ繊維が型のレセプタクルに直接適用されるので、レセプタクルは、チョップドプリプレグ繊維片の統合されていないスタック/チャージを収容するのに十分な大きさの体積で作成される必要がない。これにより、圧縮成形に使用される型のサイズが縮小し、型の熱質量が低下する。したがって、この機能により、加熱要件が軽減され、サイクル時間が速くなるという技術的恩恵がもたらされる。
【0006】
1つの実施形態は、複合部品を製造するための方法である。方法は、レセプタクルを有する雌型と補完的な雄型を加熱することと、押出機内に配置されたチョップドプリプレグ繊維を溶融させるために、チョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、押出機を加熱することと、チョップドプリプレグ繊維が溶融した状態を維持する間、押出機から雌型のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことと、雌型内に雄型を押し込むことであって、溶融したチョップドプリプレグ繊維をレセプタクルに完全に進入させる、雌型内に雄型を押し込むことと、複合部品を形成するために、雌型のレセプタクル内のチョップドプリプレグ繊維を冷却することとを含む。
【0007】
更なる実施形態は、プロセッサによって実行されるときに、複合部品を製造するための方法を実行するために動作可能である、プログラムされた命令を実施する非一過性のコンピュータ可読媒体である。方法は、レセプタクルを有する雌型と補完的な雄型を加熱することと、押出機内に配置されたチョップドプリプレグ繊維を溶融させるために、チョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、押出機を加熱することと、チョップドプリプレグ繊維が溶融した状態を維持する間、押出機から雌型のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことと、雌型内に雄型を押し込むことであって、溶融したチョップドプリプレグ繊維をレセプタクルに完全に進入させる、雌型内に雄型を押し込むことと、複合部品を形成するために、雌型のレセプタクル内のチョップドプリプレグ繊維を冷却することとを含む。
【0008】
また更なる実施形態は、複合部品を製造するためのシステムである。システムは、レセプタクルを画定する本体と、一体型加熱要素とを含む雌型を含む。システムはまた、レセプタクルの形状を補完する突出部を画定する本体と、一体型加熱要素とを含む雄型を含む。システムは、レセプタクル内に押し出すための不連続繊維及び熱可塑性物質を含む溶融したチョップドプリプレグ繊維を保管する押出機を更に含む。
【0009】
他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関する方法及びコンピュータ可読媒体)については、後述されることになろう。上述の特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することが可能であり、又は更に別の実施形態において組み合わせることが可能であるが、それらの更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照して理解することができる。
【0010】
ここで、本開示のいくつかの実施形態を、例示としてのみ、添付図面を参照して説明する。すべての図面で、同じ参照番号は、同じ要素又は同じタイプの要素を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的実施形態におけるチョップドプリプレグ繊維複合部品のための圧縮成形装置の図である。
【
図2】例示的実施形態におけるチョップドプリプレグ繊維複合部品のための圧縮成形装置を動作させる方法を図解するフローチャートである。
【
図3】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図4】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図5】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図6A】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図6B】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図7A】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図7B】例示的実施形態における圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を示す。
【
図8】例示的実施形態における、所定の体積の溶融したチョップドプリプレグ繊維を型に制御可能に適用するためにスクリュー軸を利用する押出機の図である。
【
図9】例示的実施形態における製造システムのブロック図である。
【
図10】例示的実施形態における航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【
図11】例示的実施形態における航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面及び以下の説明は、本開示の特定の例示的実施形態を提供する。従って、当業者は、本明細書に明示的に記載又は図示されていない様々な装置を考案して本開示の原理を具体的に実現することができるが、それらは本開示の範囲に含まれることを理解されたい。更に、本明細書に記載のいかなる実施例も、本開示の原理の理解を助けることを意図したものであり、具体的に記載された実施例や諸条件に限定されないという解釈がなされるべきである。この結果、本開示を限定するものは、下記の具体的な実施形態又は実施例ではなく、特許請求項の範囲及びその均等物である。
【0013】
図1は、例示的実施形態におけるチョップドプリプレグ繊維複合部品のための圧縮成形装置100の図である。
図1によれば、圧縮成形装置100は、雄型110及び雌型120を含み、これらは、圧力で強制的に押し合わされて、チョップドプリプレグ繊維(熱可塑性物質と繊維を含む)を複合部品の望ましい形状に圧縮成形する。圧縮成形装置100は、チョップドプリプレグ繊維のルーズにスタックされたチップの代わりに、溶融したチョップドプリプレグ繊維を受け入れるように寸法が決定されており、このことは、雌型120内のレセプタクルのサイズが、チョップドプリプレグ繊維のチップのかさばり係数(5と10との間のかさばり係数を有する)とは対照的に、溶融したチョップドプリプレグ繊維(かさばり係数1を有する)のかさばり係数に対応するように調整されていることを意味する。本書で使用されるように、「かさばり係数(bulk factor)」は、チョップドプリプレグ繊維のチップの体積対ボイドのない固体への統合後のチョップドプリプレグ繊維の等しい重量のチップの体積の割合を指す。
【0014】
本実施形態では、雌型120は、本体122を含み、この本体122は、溶融したチョップドプリプレグ繊維を受け取るための1つ又は複数のレセプタクル124を画定する。各レセプタクル124は、複合部品の形状を画定し、溶融したチョップドプリプレグ繊維がレセプタクル124内で圧縮成形されるときに、形状を形成する。本実施形態では、レセプタクル124は、プロング128を含む。更なる実施形態では、レセプタクル124は、屈曲部分及びねじれ部分といった複雑な幾何学形状を有する追加的特徴を含んでもよい。各レセプタクル124は、チョップドプリプレグ繊維のスタックチップの代わりに、溶融したチョップドプリプレグ繊維(即ち、チョップドプリプレグ繊維のチップを溶融することによって作成された溶融した塊)を受け入れるように寸法が決定されるので、レセプタクルの体積対複合部品の体積の比率が減少する。例えば、チョップドプリプレグ繊維複合部品のための従来の圧縮成形型が、レセプタクルの体積対複合部品(5対1と10対1との間の体積で製造される)の体積の比率を示す一方で、レセプタクル124は、それらの結果として生じる複合部品に関して、2未満(例えば、1.5)の比率を示すことがある。これにより、雌型120全体のサイズ及び重量が減少し、雌型120を加熱及び冷却するのに必要なエネルギー量が減少し、雌型120が圧縮成形温度に到達する速度が上がる。
【0015】
この実施形態では、雌型120はまた、雌型120を加熱する一体型ヒータ130(例えば、スマートサセプタ、強磁性サセプタ、抵抗ヒータなど)と、冷却流体(例えば、水、空気、油など)が駆動される冷却経路126とを含む。しかしながら、更なる実施形態では、雌型120は、オーブン内で、又は放射エネルギー若しくは導電プロセスを介して熱を印加する、隣接した加熱要素によって、事前に加熱されてもよい。雌型120は、そうでなければ幾何学的にレセプタクル124内にロックされるであろう完成した複合部品の抽出を容易にするために、更に分割され又はセグメント化されてもよい。
【0016】
雄型110は、本体112を含み、そこから突出部114が延びる。突出部114は、レセプタクル124に各々補完的である。要するに、各突出部114は、雌型120でレセプタクル124と位置合わせされ、溶融したチョップドプリプレグ繊維がレセプタクル124から流出するのを防止するように、レセプタクル124に進入するよう寸法が決定される。圧縮成形中に、突出部114は、レセプタクル124内に進み、レセプタクル124内で溶融したチョップドプリプレグ繊維を圧縮する。これにより、溶融したチョップドプリプレグ繊維がレセプタクル124内に移動し、溶融したチョップドプリプレグ繊維を複合部品の所望の形状に形成する。要するに、突出部114は、レセプタクル124内でチョップドプリプレグ繊維を形成するために、物理的圧縮成形力を提供し、チョップドプリプレグ繊維を複合部品に形成する技術的利点を提供する。特に、突出部114は、チョップドプリプレグ繊維の固体チップの代わりに、溶融したチョップドプリプレグ繊維で使用されるとき、溶融したチョップドプリプレグ繊維を、圧縮時により均一にかつ反応しやすく流動させる。これにより、複合部品を形成するために必要な圧力の量が低減するが、それは、溶融したチョップドプリプレグ繊維がより粘性と流動性を有しているからである。したがって、圧縮成形を実行するために必要とされるエネルギーは低下し、圧縮成形の結果がより均一になる。突出部114が、圧縮成形プロセス中にチョップドプリプレグ繊維と直接接触するので、突出部114は、生じる複合部品の少なくとも1つの側面を画定する。雄型110はまた、冷却を促進する流体経路116と、1つ又は複数のヒータ140とを含む。
【0017】
圧縮成形装置100の動作の例示的詳細が、
図2を参照して検討されることになる。本実施形態について、技術者は、チョップドプリプレグ繊維から複合部品を製造する準備のプロセスにいると想定する。チョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、硫化ポリフェニレン(PPS)、ナイロンなどを含みうる。
【0018】
図2は、例示的実施形態におけるチョップドプリプレグ繊維複合部品のための圧縮成形装置を動作させる方法を図解するフローチャートである。方法200のステップが、
図1の圧縮成形装置100を参照して説明されるが、当業者であれば、方法200が他のシステムで実行されうることを理解するだろう。本書に記載のフローチャートのステップは、網羅的なものではなく、図示していない他のステップを含みうる。本書に記載のステップはまた、代替的な順序で実行されてもよい。
【0019】
ステップ202で、雌型120及び雄型110が加熱される。このステップは、雌型に進入する溶融したチョップドプリプレグ繊維が圧縮成形プロセス中に焼き付く又は凝固することが確実にないようにする、予熱プロセスの一部である。要するに、予熱プロセスは、溶融したチョップドプリプレグ繊維の早期凝固を防止する。この時点で、型がチョップドプリプレグ繊維の溶融温度を超える必要はなく、必要に応じて、チョップドプリプレグ繊維の溶融温度に対応する温度(例えば、華氏50度未満又は華氏50度超えの範囲内)まで加熱されることさえある。加熱プロセスは、圧縮成形プロセス中に、雌型120に適用された溶融したチョップドプリプレグ繊維が、確実に焼き付く又は凝固することがないようにする。本書で検討される型の突出部又は凹部は、溶融したチョップドプリプレグ繊維と複合部品の所望の外形との適合性を確実にする。
【0020】
ステップ204で、雌型120は、不連続繊維及び熱可塑性物質を含むチョップドプリプレグ繊維を含む押出機(例えば、
図3の押出機320)に配置される。押出機は、ステップ206で、熱可塑性物質の溶融点を超え、かつチョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の分解温度未満(例えば、華氏(F)600度と800度との間)まで、加熱される。ステップ208で、押出機は、溶融したチョップドプリプレグ繊維(即ち、液相の熱可塑性物質と固体の不連続繊維の組み合わせ)の体積を、チョップドプリプレグ繊維が溶融した状態を維持しつつ、これらのレセプタクルの体積に一致する(例えば、所望レベルの体積精度内の)雌型120のレセプタクル124の各々に押し出す。雌型120には、ここで、圧縮成形で使用するための溶融したチョップドプリプレグ繊維が詰め込まれる。押出機によって提供される溶融したチョップドプリプレグ繊維は、チョップドプリプレグ繊維(例えば、複数の単方向繊維を含む)のチップを溶融した状態になるまで加熱することによって、又は不連続繊維をある体積の液体熱可塑性物質に混合することによって、準備されうる。
【0021】
ステップ210で、雄型110は、ある圧力(例えば、平方インチあたり20ポンドと5000ポンド(PSI)との間)で、雌型120に押し込まれる。チョップドプリプレグ繊維が溶融するので(即ち、チョップドプリプレグ繊維の熱可塑性部分が溶融したので)、印加された圧力により、チョップドプリプレグ繊維は、各レセプタクル124によって画定された形状と適合するまで流入する。要するに、雄型110を雌型120に押し込むことにより、チョップドプリプレグ繊維が、レセプタクル124に完全に進入する。成形中に印加される圧力の量は、幾何学形状と、チョップドプリプレグ繊維が流れる距離とに依存しうる。要するに、幾何学形状がより複雑になり、流れる距離がより大きくなれば、必要な圧力はより高くなりうる。レセプタクル124には空気が存在しないため、圧縮成形プロセスはまた、生じる複合部品にエアポケットを発生させない。ステップ212で、チョップドプリプレグ繊維がレセプタクル124内で冷却され、複合部品を形成する。更なる実施形態では、本書に記載の型は、生じた複合部品の抽出又は冷却を容易にするために、セグメント化されてもよく、又は型が、この目的のために、突き出しピン(
図9に示される)を含んでもよい。例えば、雌型120は、複合部品を抽出するために、冷却後に分離されたセグメント化された型を含んでもよい。単一ステップのプロセスである射出成形とは異なり、本書に記載の圧縮成形技術は、2つのステップのプロセスであり、充填とプレスは別々に実行される。射出成形の代わりに圧縮成形を用いることで、より大きな補強、圧力要件の低減(例えば、数千PSIではなく、数十PSI又は数百PSI)、工具の複雑さの軽減、及び所望の形状への適合強化を可能にする形での技術的恩恵がもたらされる。
【0022】
図3-7は、例示的実施形態における
図2の方法200による圧縮成形中の溶融したチョップドプリプレグ繊維の適用を図解する。
図3に示されるように、製造システム300が組み立てられ、雄型110がチャンバ310内に置かれ、チャンバ310でアクチュエータ360(例えば、プレス)によって駆動される。チャンバ310は、ヒータ340を含む。1つの実施形態では、ヒータ340は、電場を発生させる電磁場発生器である。電場は、雄型110及び/又は雌型120のサセプタに熱を発生させる。更なる実施形態では、ヒータ340は、赤外線ヒータ、抵抗ヒータなどを含む。チャンバ310はまた、チャンバ310の外側に配置されたリザーバ(図示されず)を有する、冷却流体の加圧源などの冷却システム350を含む。雌型120は、トラック380に沿って方向390に進みうるシャトル370上に搭載されている。押出機320はまた、トラック380に沿って配置される。
【0023】
図4では、雌型120は、押出機320の下を移動した。押出機320は、溶融したチョップドプリプレグ繊維のリザーバ422を含み、ヒータ428によってチョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の溶融温度以上に維持されている。プランジャ424の動作は、リザーバ422からノズル426の外側に、直径D及び長さLを有する、溶融したチョップドプリプレグ繊維を駆動する。ノズル426のこれらの直径、及びスロープといった他の特徴は、各レセプタクル内に配置された繊維の位置合わせを制御するために調整されることがある。狭いノズル直径は、配置された繊維を軸Aと位置合わせさせ、その一方で、幅の広いノズルは、配置された繊維をよりランダムに分散させうる。ノズル長が長い場合、溶融時の熱可塑性物質の粘度に応じて、また押出速度に応じて、繊維の軸Aとの位置合わせもより多く行われる。いくつかの実施形態では、ノズル426は交換可能であり、製造されている複合部品に応じて、様々なノズルが押出機320の上に配置されてよい。これにより、制御される繊維配向/位置合わせが可能になり、異なる方向に印加される力に対して生じる複合部品の物理的特性(例えば、強度)が調整されうる。よって、いくつかの実施形態では、生じる複合部品に実質的に等方性の特性を提供するために、繊維は、ランダムに又はすべての方向にわたって均等に配向される。
【0024】
ノズル426を離れる溶融したチョップドプリプレグ繊維は、レセプタクル124に堆積され、
図5に示されるように、溶融したチョップドプリプレグ繊維のプール500をもたらす。このプロセス中に、押出機320及び/又は雌型120は、ノズル426を充填のための追加のレセプタクルに位置合わせするために移動されてもよい。
図5はまた、ヒータ340が起動され、雌型120が、搭載後に方向510にチャンバ310内に進むことを図解する。
【0025】
更なる実施形態では、溶融したチョップドプリプレグ繊維を適用するために、雌型120と雄型110の両方がチャンバ310内にとどまり、押出機320がチャンバ310に進入してもよい。これらの構成は、押出機320がロボットアーム又は3軸移動ができる類似の装置に取り付けられる環境において有利でありうる。これらの構成はまた、雌型120のためのシャトル又は他のコンベヤを利用する必要がない。よって、いくつかの実施形態では、雌型120と雄型110の両方がチャンバ310内で静止状態にあり、押出機320が型の間を移動し、所望のようにレセプタクルを充填してもよい。
【0026】
雄型110は、
図3に示されるようにチャンバ310内で加熱され、雌型120は、その一体型ヒータ130を介して加熱されてもよい。また空気がチャンバ310から排気されてもよい。
図6Aでは、チョップドプリプレグ繊維のプール500が溶融状態を維持する間、アクチュエータ360は、雄型110を雌型120内に駆動する。
図6Aの領域650に対応する
図6Bは、プール500の方に進む突出部114、及びプール内の繊維652を図解する。プール500は、完全ではないが、部分的に、そのレセプタクル124に進入しているが、これは、領域624が充填されていない状態を維持しているからである。繊維652は、実質的にランダムに配向される。雄型110上の突出部114が雌型120上のレセプタクル124に補完的であるため、駆動作用は、溶融したチョップドプリプレグ繊維を各レセプタクル124から絞り出す代わりに、各レセプタクル124内の溶融したチョップドプリプレグ繊維を所望の形状にする。
図7Aでは、突出部114をレセプタクル124内に駆動することによって圧縮成形が完了した後に、冷却システム350を作動させる。冷却システム350は、冷却経路126及び116を通して冷却流体を駆動し、チョップドプリプレグ繊維の熱可塑性物質の溶融温度未満まで型を冷却する。これにより、レセプタクル124にあるチョップドプリプレグ繊維が固化し、複合部品になる。
図7Aの領域750に対応する
図7Bは、プール500を能動的に圧縮成形する突出部114を図解する。プール500は、ここで完全にそのレセプタクル124に進入してしまい、領域624がここで充填される。繊維652は移動してしまっているが、実質的にランダムに配向された状態を維持している。
【0027】
図8は、例示的実施形態における、所定の体積の溶融したチョップドプリプレグ繊維をリザーバ830から型に制御可能に適用するためにスクリュー軸820を用いる押出機800の図である。本実施形態では、回転可能なモータ810が、プレート840を、スクリュー軸820に対して方向Rに駆動する。スクリュー軸820が装着されるので、回転モータ810の既知の角回転により、プレート840が既知の距離だけ下方に進む。これにより、既知の量の溶融したチョップドプリプレグ繊維860がノズル850を介して射出される。したがって、回転可能なモータ810の動作を反復的に制御する技術により、有利には、雌型の各レセプタクルに配置されるある体積(又は重量)のチョップドプリプレグ繊維を制御することができる。
【0028】
実施例
下記実施例では、追加的プロセス、システム及び方法が、チョップドプリプレグ繊維複合部品のための圧縮成形システムに照らして説明される。
【0029】
図9は、例示的実施形態における製造システム900のブロック図である。
図9によれば、製造システム900は、チャンバ970を含み、その内部には、雄型910及び雌型920が配置される。雌型920は、本体922及びレセプタクル924を含む。雌型920はまた、加熱要素926と、冷却経路928を含み、それらはそれぞれヒータ930と冷却システム940に連結されている。また突き出しピン929も含まれ、固体の複合部品を雌型920から押し出すために駆動されることがある。雌型920は、シャトル980で維持され、トラック985に沿って横断する。
【0030】
雄型910は、本体912と、突出部914と、加熱要素916と、冷却経路918とを含む。雄型910はまた、位置合わせピン915を含み、雌型920で凹部925との位置合わせを行う。雄型910は、圧縮成形を実行するために、アクチュエータ960によって雌型920内まで駆動される。圧縮成形は、特に上記方法において、射出成形を上回る繊維配向の制御を行い、更により低圧(例えば、数千PSIの代わりに、数百PSIで)で実行されてもよい。
【0031】
ヒータ930は、抵抗加熱要素又は赤外線源を含みうる。加熱要素916及び926がサセプタである実施形態では、ヒータ930は、これらの構成要素を加熱する電磁場を発生させることがある。冷却システム940は、雌型がチャンバ970に到達した後に、ホース又はリンケージを介して、雌型920に連結されてもよい。冷却システム940は、圧縮完了後に、冷却経路918及び冷却経路928を通して冷却流体を駆動し、複合部品の製造の速度を上げる。
【0032】
押出機950は、チャンバ970の外側にあり、溶融したチョップドプリプレグ繊維956を、リザーバ954からノズル958を通ってレセプタクル924内に駆動するプランジャ952を含む。押出機950はまた、溶融したチョップドプリプレグ繊維956を、溶融した状態でリザーバ954に維持するヒータ959を含む。雌型920及びシャトル980が押出機950の下に配置される間(例えば、雌型920のチャンバ970への進入前)に、押出機950は押出を実行しうる。
【0033】
製造システム900はまた、コントローラ990を含み、本書に記載の様々な構成要素の動作を制御する。例えば、コントローラ990はまた、ヒータ930及び/又は冷却システム940を制御するために、センサ992(例えば、温度センサ)と相互作用する。コントローラ990は、更に、溶融したチョップドプリプレグ繊維の分散を制御するために、センサ994(例えば、回転センサ)と相互作用し、アクチュエータ960の動作を制御するために、センサ996(例えば、圧力センサ)と相互作用する。コントローラ990は、加えて、ヒータ959を制御するために、温度センサ998からの入力を利用してもよい。コントローラ990は、例えば、カスタム回路として、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサとして、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装されうる。コントローラ990は、更に、押出機950の、レセプタクル924の各々との位置合わせを制御してもよい。例えば、コントローラ990は、NCプログラムに従って、押出機950のノズル958の再配置を方向付けてもよく、又はノズル958のレセプタクル924との位置合わせを方向付けるために、カメラ999などの視覚感知システムを動作させてもよい。
【0034】
より具体的に図面を参照すると、本開示の実施形態は、
図10に示される方法1000の航空機の製造及び保守、及び
図11に示される航空機1002に照らして説明されうる。製造前の段階では、方法1000は、航空機1002の仕様及び設計1004と、材料調達1006とを含みうる。製造段階では、航空機1002の、構成要素及びサブアセンブリの製造1008とシステムインテグレーション1010とが行われる。その後、航空機1002は、認可及び納品1012を経て、運航1014に供されうる。顧客によって運航されている期間中、航空機1002には、整備及び保守1016(改変、再構成、改修なども含みうる)の定期的な作業が予定される。本明細書で実施される装置及び方法は、方法1000に記載の製造及び保守の1つ又は複数の任意の適切な段階(例えば、仕様及び設計1004、材料の調達1006、構成要素及びサブアセンブリの製造1008、システムインテグレーション1010、認可及び納品1012、運航1014、整備及び保守1016)及び/又は航空機1002の任意の適切な構成要素(例えば、機体1018、システム1020、内装1022、推進システムシステム1024、電気システムシステム1026、油圧システム1028、環境システム1030)で採用されうる。
【0035】
方法1000の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがそれらに限定されず、かつ、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0036】
図11に示すように、方法1000によって製造された航空機1002は、複数のシステム1020及び内装1022を備えた機体1018を含みうる。システム1020の例は、推進システム1024、電気システム1026、油圧システム1028、及び環境システム1030のうちの1つ又は複数を含む。任意の数の他のシステムも含まれてよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用されうる。
【0037】
上述のように、ここで具現化される装置及び方法は、製造及び保守に方法1000に記載の1つ又は複数の任意の段階で採用されうる。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造1008に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1002の運航中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造されうる。また、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、サブアセンブリの製造1008及びシステムインテグレーション1010において、例えば、実質的に航空機1002の組立てを効率化すること又は航空機1002のコストを削減することによって、利用することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数は、航空機1002の運航中、例えば、限定しないが、整備及び保守1016中に利用することができる。例えば、本書に記載の技術及びシステムは、材料の調達1006、構成要素及びサブアセンブリの製造1008、システムインテグレーション1010、サービス1014、及び/又は整備及び保守1016のために使用されてもよく、及び/又は機体1018及び/又は内装1022に使用されてもよい。これらの技術及びシステムは、例えば、推進システム1024、電気システム1026、油圧システム1028、及び/又は環境システム1030を含むシステム1020に更に利用されてもよい。
【0038】
1つの実施形態では、部品は、機体1018の一部を含み、構成要素及びサブアセンブリの製造1008中に製造される。この部品は、次に、システムインテグレーション1010において航空機を形成するように組み立てられるが、その後、摩耗により部品が使用不能となるまで運航1014において利用されてもよい。その後、整備及び保守1016において、部品は廃棄され、新たに製造された部品と交換されてもよい。新しい部品を製造するために、構成要素及びサブアセンブリの製造1008中にわたって発明の構成要素及び方法が利用されてもよい。
【0039】
本明細書中で図示又は記載された種々の制御要素(例えば電気又は電子構成要素)のいずれもが、ハードウェア、プロセッサ実装ソフトウェア、プロセッサ実装ファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装されうる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実装されうる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は同様の何らかの専門用語で呼ばれてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はいくつかが共有であり得る複数の個別のプロセッサによって提供されうる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを表わすと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)又はその他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア格納用の読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理若しくは何らかの他の物理ハードウェアコンポーネント又はモジュールが黙示的に含まれてもよい。
【0040】
また、制御要素は、プロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実装されて、その要素の機能を実行することができる。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。命令は、プロセッサによって実行されると動作可能になって、その要素の機能を実行するようにプロセッサへ指示する。命令は、プロセッサが読むことができる記憶デバイスに格納されうる。記憶デバイスのいくつかの例は、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0041】
さらに、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
条項1. 複合部品を製造するための方法であって、レセプタクルを有する雌型と補完的な雄型を加熱することと、押出機内に配置されたチョップドプリプレグ繊維を溶融させるために、チョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、押出機を加熱することと、チョップドプリプレグ繊維が溶融した状態を維持する間、押出機から雌型のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことと、雌型内に雄型を押し込むことであって、溶融したチョップドプリプレグ繊維をレセプタクルに完全に進入させる、雌型内に雄型を押し込むことと、複合部品を形成するために、雌型のレセプタクル内のチョップドプリプレグ繊維を冷却することと
を含む方法。
条項2. レセプタクルの体積が、レセプタクル内に押し出されたチョップドプリプレグ繊維の体積の1.5倍未満である、条項1に記載の方法。
条項3. 雌型が複数のレセプタクルを含み、押出機から雌型の複数のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことを更に含む、条項1又は2に記載の方法。
条項4. 雌型がセグメント化された型を含み、レセプタクルから複合部品を除去するために、セグメント化された型のセグメントを分離することを更に含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
条項5. 雌型及び雄型を加熱することが、雌型及び雄型内のサセプタの温度を上昇させる電磁場を印加することを含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
条項6. 雌型及び雄型を加熱することが、雌型及び雄型内の抵抗加熱要素に電流を印加することを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7. チョップドプリプレグ繊維を冷却することが、雌型及び雄型に冷却流体を印加することを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8. 雄型が、レセプタクルに補完的な突出部を有する、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9. 雌型を押出機に配置することを更に含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
条項10. 条項1から9のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の部分。
条項11. プログラムされた命令を実施する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、命令は、プロセッサによって実行されると、条項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するために動作可能である、非一過性のコンピュータ可読媒体。
条項12. プログラムされた命令を実施する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、命令は、プロセッサによって実行されるときに、複合部品を製造するための方法を実行するために動作可能であり、方法が、レセプタクルを有する雌型と補完的な雄型を加熱することと、押出機内に配置されたチョップドプリプレグ繊維を溶融させるために、チョップドプリプレグ繊維内の熱可塑性物質の溶融点を超えるまで、押出機を加熱することと、チョップドプリプレグ繊維が溶融した状態を維持する間、押出機から雌型のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことと、雌型内に雄型を押し込むことであって、溶融したチョップドプリプレグ繊維をレセプタクルに完全に進入させる、雌型内に雄型を押し込むことと、複合部品を形成するために、雌型のレセプタクル内のチョップドプリプレグ繊維を冷却することとを含む、非一過性のコンピュータ可読媒体。
条項13. レセプタクルの体積が、レセプタクル内に押し出されたチョップドプリプレグ繊維の体積の1.5倍未満である、条項12に記載の媒体。
条項14. 雌型が複数のレセプタクルを含み、方法が、押出機から雌型の複数のレセプタクル内にチョップドプリプレグ繊維を押し出すことを更に含む、条項12又は13に記載の媒体。
条項15. 雌型がセグメント化された型を含み、方法が、レセプタクルから複合部品を除去するために、セグメント化された型のセグメントを分離することを更に含む、条項12から14のいずれか一項に記載の媒体。
条項16. 雌型及び雄型を加熱することが、雌型及び雄型内のサセプタの温度を上昇させる電磁場を印加することを含む、条項12から15のいずれか一項に記載の媒体。
条項17. 雌型及び雄型を加熱することが、雌型及び雄型内の抵抗加熱要素に電流を印加することを含む、条項12から16のいずれか一項に記載の媒体。
条項18. チョップドプリプレグ繊維を冷却することが、雌型及び雄型に冷却流体を印加することを含む、条項12から17のいずれか一項に記載の媒体。
条項19. 雄型が、レセプタクルに補完的な突出部を有する、条項12から18のいずれか一項に記載の媒体。
条項20. 雌型を押出機に配置することを更に含む、条項12から19のいずれか一項に記載の媒体。
条項21. 条項12から20のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体に記憶された命令によって定義される方法に従って組み立てられた航空機の部分。
条項22. 複合部品を製造するためのシステムであって、雌型であって、レセプタクルを画定する本体、及び一体型加熱要素
を含む雌型と、雄型であって、レセプタクルの形状を補完する突出部を画定する本体、及び一体型加熱要素
を含む雄型と、レセプタクル内に押し出すための不連続繊維及び熱可塑性物質を含む溶融したチョップドプリプレグ繊維を保管する押出機と
を更に含む、システム。
条項23. レセプタクルの体積が、レセプタクル内に押し出されたチョップドプリプレグ繊維の体積の1.5倍未満である、条項22に記載のシステム。
条項24. 雌型の本体が複数のレセプタクルを画定し、雄型の本体が、複数のレセプタクルのうちの対応する1つの形状を各々が補完する複数の突出部を画定する、条項22又は23に記載のシステム。
条項25. 押出機が、チョップドプリプレグ繊維の長さより小さい出口直径を有するノズルを含む、条項22から24のいずれか一項に記載のシステム。
条項26.条項22から25のいずれか一項に記載のシステムを使用して航空機の部分を製造すること。
【0042】
特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定められる。