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特許7573992固体伝導体、その製造方法、それを含む固体電解質、及び電気化学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】固体伝導体、その製造方法、それを含む固体電解質、及び電気化学素子
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20241021BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241021BHJP
   H01G 11/56 20130101ALI20241021BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241021BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M4/13
H01G11/56
H01M10/0562
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020090451
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2020194773
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】62/852,552
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2020-0060768
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】520181021
【氏名又は名称】ザ・フロリダ・ステート・ユニヴァーシティ・リサーチ・ファウンデーション・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲リョン▼希
(72)【発明者】
【氏名】▲曹▼ 正柱
(72)【発明者】
【氏名】リンカーン・ミアラ
(72)【発明者】
【氏名】サワンクマール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ヤン▼
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-ヤン・フ
(72)【発明者】
【氏名】權 赫祚
(72)【発明者】
【氏名】金 世元
(72)【発明者】
【氏名】金 柱植
(72)【発明者】
【氏名】鄭 成均
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-108638(JP,A)
【文献】特開2015-216220(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181823(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/06
H01M 10/0562
H01M 4/13
H01G 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物を含む固体伝導体:
[化学式1]
Li1+x+y-zTa2-x1-y8-z
化学式1で、Mは、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、マンガン(Mn)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、またはその組み合わせ物であり、
Nは、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはその組み合わせ物であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、マンガン(Mn)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、またはその組み合わせ物であり、
Nは、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはその組み合わせ物であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【請求項2】
前記化学式1及び前記化学式2で、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、フッ素(F)、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジ化物、またはその組み合わせ物である、請求項に記載の固体伝導体。
【請求項3】
前記化学式1及び前記化学式2で、0≦x<0.6、0≦z<1である、請求項1または2に記載の固体伝導体。
【請求項4】
前記化学式1及び化学式2で、xは、0より大きく、0.5以下、yは、0であるか、あるいは0より大きく、0.5以下、zは、0であるか、または0以上0.3以下である、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項5】
前記固体伝導体は、c2/cの空間群を有する単斜晶系構造または単斜晶系類似構造を有する、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項6】
前記固体伝導体に係わるX線回折分析で定められる回折角2θが、17.5゜±0.5゜、24.8゜±0.5゜、24.9゜±0.5゜、25.4゜±0.5゜及び27.8゜±0.5゜でピークが示される、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項7】
前記固体伝導体に係わる31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、主ピークが化学的移動が-6ppmないし-14ppm範囲で示され、前記主ピークの半値幅(FWHM)が2ppmないし6ppmである、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項8】
前記固体伝導体に係わる31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、副ピークが、化学的移動が-15ppmないし-22ppmで示される、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項9】
前記固体伝導体の常温(25℃)において、リチウムイオン伝導度は、1×10-2mS/cm以上である、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項10】
前記固体伝導体の電子伝導度は、1×10-5mS/cm以下である、請求項1からの何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項11】
前記化学式1で表示される化合物は、下記化学式3で表示される化合物または化学式4で表示される化合物である、請求項1に記載の固体伝導体:
[化学式3]
Li1+x+y-zTa2-xHf1-ySi8-z
化学式3でXは、ハロゲン原子または擬ハロゲンであり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式4]
Li1+x+y-zTa2-xZr1-ySi8-z
化学式4でXは、ハロゲン原子または擬ハロゲンであり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【請求項12】
前記化学式2で表示される化合物は、下記化学式5で表示される化合物または下記化学式6で表示された化合物である、請求項1に記載の固体伝導体:
[化学式5]
Li1+x+y-zTa2-xHf1-ySi・zLiX
化学式5でXは、ハロゲン原子であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式6]
Li1+x+y-zTa2-xZr1-ySi・zLiX
化学式5でXは、ハロゲン原子であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【請求項13】
前記固体伝導体は、
Li0.9TaPO7.90.1、Li0.9TaPO7.9Cl0.1、Li0.85TaPO7.85Cl0.15、Li0.85TaPO7.850.15、Li0.8TaPO 7.8 0.2、Li0.8TaPO7.8Cl0.2、Li1.025Hf0.025Ta1.975PO、Li1.05Hf0.05Ta1.95PO、Li1.1Hf0.1Ta1.9PO、Li1.25Hf0.25Ta1.75PO、Li1.125Hf0.125Ta1.875PO、Li1.375Hf0.375Ta1.625PO、Li1.125Zr0.125Ta1.875PO、Li1.25Zr0.25Ta1.75PO、Li1.375Zr0.375Ta1.625PO、Li1.025Zr0.025Ta1.975PO、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO、Li0.9Hf0.05Ta1.95PO7.850.15、Li0.9Hf0.05Ta1.95PO7.85Cl0.15、Li0.8Hf0.05Ta1.95PO7.750.25、Li0.8Hf0.05Ta1.95PO7.75Cl0.25、Li0.875Hf0.025Ta1.975PO7.850.15、Li0.875Hf0.025Ta1.975PO7.85Cl0.15、Li0.775Hf0.025Ta1.975PO7.750.25 Li0.775Hf0.025Ta1.975PO7.75Cl0.25 Li0.95Hf0.1Ta1.9PO7.85Cl0.15、Li0.85Hf0.1Ta1.9PO7.750.25、Li0.85Hf0.1Ta1.9PO7.75Cl0.25、Li1.1Hf0.25Ta1.75PO7.85Cl0.15、LiHf0.25Ta1.75PO7.750.25、LiHf0.25Ta1.75PO7.75Cl0.25 Li0.975Hf0.125Ta1.875PO7.85Cl0.15、Li0.875Hf0.125Ta1.875PO7.750.25、Li0.875Hf0.125Ta1.875PO7.75Cl0.25、Li1.225Hf0.375Ta1.625PO7.85Cl0.15、Li1.125Hf0.375Ta1.625PO7.750.25、Li1.125Hf0.375Ta1.625PO7.75Cl0.25、Li0.975Zr0.125Ta1.875PO7.85Cl0.15、Li0.875Zr0.125Ta1.875PO7.750.25、Li0.875Zr0.125Ta1.875PO7.75Cl0.25、Li1.1Zr0.25Ta1.75PO7.85Cl0.15、LiZr0.25Ta1.75PO7.750.25、LiZr0.25Ta1.75PO7.75Cl0.25、Li1.225Zr0.375Ta1.625PO7.85Cl0.15、Li1.125Zr0.375Ta1.625PO7.750.25、Li1.125Zr0.375Ta1.625PO7.75Cl0.25、Li0.875Zr0.025Ta1.975PO7.85Cl0.15、Li0.775Zr0.025Ta1.975PO7.750.25、Li0.775Zr0.025Ta1.975PO7.75Cl0.25、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO、Li 0.9 Zr0.05Ta1.95PO7.85Cl0.15、Li 0.8 Zr0.05Ta1.95PO7.750.25、Li 0.8 Zr0.05Ta1.95PO7.75Cl0.25、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO、Li 0.95 Zr0.1Ta1.9PO7.85Cl0.15、Li 0.85 Zr0.1Ta1.9PO7.750.25、Li 0.85 Zr0.1Ta1.9PO7.75Cl0.25;Li0.975TaPO7.9750.025、Li0.95TaPO7.95Cl0.05、Li0.975TaPO7.975Cl0.025、Li0.95TaPO7.95Cl0.05、Li1.05Ta1.975Hf0.0250.975Si0.025、Li1.2Ta1.9Hf0.10.9Si0.1、Li1.5Hf0.5Ta1.5PO、Li0.875TaPO7.8750.125、Li0.75TaPO7.750.25、Li0.625TaPO7.6250.375、Li0.5TaPO7.50.5、Li0.375TaPO7.3750.625、Li0.25TaPO7.250.75、またはその組み合わせ物である、請求項1から12の何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項14】
前記固体伝導体は、イオン伝導度の等方性を有し、前記固体伝導体の活性化エネルギーは、0.42eV/atom未満である、請求項1から13の何れか一項に記載の固体伝導体。
【請求項15】
固体伝導体形成用前駆体を混合し、前駆体混合物を得る段階と、
前記前駆体混合物を酸化性ガス雰囲気で熱処理する段階と、を含み、下記化学式1で表示される固体伝導体、化学式2で表示される固体伝導体、またはその組み合わせ物を得る固体伝導体の製造方法:
[化学式1]
Li1+x+y-zTa2-x1-y8-z
化学式1で、Mは、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、マンガン(Mn)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、またはその組み合わせ物であり、
Nは、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはその組み合わせ物であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、マンガン(Mn)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、またはその組み合わせ物であり、
Nは、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはその組み合わせ物であり、
Xは、ハロゲン原子または擬ハロゲンであり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【請求項16】
前記熱処理が、500ないし1,200℃で実施される、請求項15に記載の固体伝導体の製造方法。
【請求項17】
前記熱処理が、第1熱処理、及び前記第1熱処理より高い温度で実施される第2熱処理を含み、
前記第1熱処理は、500ないし1,000℃で実施され、
前記第2熱処理は、600ないし1,200℃で実施される、請求項15または16に記載の固体伝導体の製造方法。
【請求項18】
前駆体混合物の製造時、Xを含むリチウム前駆体をさらに付加する固体伝導体の製造方法であって、
Xを含むリチウム前駆体は、塩化リチウム、フッ化リチウムのうちから選択された1以上をさらに含む、請求項15から17の何れか一項に記載の固体伝導体の製造方法。
【請求項19】
請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載の固体伝導体を含む固体電解質。
【請求項20】
請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載の固体伝導体を含む電気化学素子。
【請求項21】
前記電気化学素子が、正極、負極、及びそれらの間に介在された固体電解質を含む電気化学電池である、請求項20に記載の電気化学素子。
【請求項22】
前記固体電解質が、電解質保護膜、正極保護膜、負極保護膜、またはその組み合わせである、請求項21に記載の電気化学素子。
【請求項23】
前記電気化学素子が全固体電池である、請求項20から22の何れか一項に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体伝導体、その製造方法、それを含む固体電解質、及び電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、大きな電気化学容量、高い作動電位、及び優れた充放電サイクル特性を有するために、携帯情報端末機、携帯電子機器、家庭用小型電力保存装置、モータサイクル、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの用途で需要が増大している。そのような用途の拡散により、リチウム二次電池の安全性向上及び高性能化が要求されている。
【0003】
リチウム二次電池は、液体電解質を使用することにより、空気中の水に露出される場合、容易に発火し、安定性の問題が常時提起されてきた。電気自動車において使用されるとき、そのような安定性の問題はさらに顕在化する。それにより、最近、安全性向上を目的に、無機材料からなる固体電解質を利用した全固体二次電池(all-solid-state secondary battery)の研究が活発になされている。全固体二次電池は、安定性、高エネルギー密度、高出力、長寿命、製造工程の単純化、電池の大型化、コンパクト化、及び低価格化などの観点において、次世代二次電池として注目されている。
【0004】
全固体二次電池は、正極、固体電解質及び負極によって構成され、この構成において、固体電解質には、高いイオン伝導度,及び低い電子伝導度が要求される。全固体二次電池の固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などがある。それらのうち、酸化物系固体電解質は、製造過程において毒性物質が発生せず、素材自体の安定性にすぐれるものの、硫化物系酸化物と比較し、常温イオン伝導度が低いという限界点がある。それにより、常温で高いイオン伝導度を示し、安定性にすぐれる固体伝導体開発に多くの研究が集中されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一側面は、改善されたイオン伝導度を有し、リチウム安定性が改善された固体伝導体及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
他の側面は、前記固体伝導体を含む固体電解質を提供するものである。
【0007】
さらに他の側面は、前述の固体伝導体を含む電気化学素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面により、
下記化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物を含む固体伝導体が提供される。
【0009】
[化学式1]
Lix+y-zTa2-x1-y8-zXz
化学式1で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン(pseudohalogen)、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【0010】
他の側面により、
前述の固体伝導体形成用前駆体を混合し、前駆体混合物を得る段階と、
前記前駆体混合物を酸化性ガス雰囲気で熱処理する段階と、を含み、下記化学式1で表示される固体伝導体、化学式2で表示される固体伝導体、またはその組み合わせ物を得る前述の固体伝導体の製造方法が提供される。
【0011】
[化学式1]
Li1+x+y-zTa2-x1-y8-z
化学式1で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン(pseudohalogen)、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【0012】
前記熱処理は、500ないし1,200℃でも実施される。
【0013】
前記熱処理は、第1熱処理、及び前記第1熱処理より高い温度で実施される第2熱処理を含み、前記第1熱処理は、500ないし1,000℃で実施され、前記第2熱処理は、600ないし1,200℃でも実施される。
【0014】
さらに他の側面により、前述の固体伝導体を含む固体電解質が提供される。
【0015】
さらに他の側面により、前述の固体伝導体を含む電気化学素子が提供される。
【0016】
正極、負極、及びそれらの間に介在された前述の固体電解質を含む電気化学電池である電気化学素子が提供される。
【発明の効果】
【0017】
一具現例による固体伝導体は、常温において改善されたイオン伝導度を示し、優秀なリチウムイオン伝導体としても使用される。そのようなリチウムイオン伝導体は、リチウム安定性が向上し、酸化電位が高く、正極用電解質にも活用される。そのようなリチウムイオン伝導体を利用すれば、性能が改善された電気化学素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】実施例2~6、実施例11及び比較例1,2による固体伝導体に係るX線回折分析スペクトルを示した図である。
図1B図1Aの一部領域を拡大して示した図である。
図1C】LiTaPO、及びハフニウムドーピングされた固体伝導体のXRD分析スペクトルである。
図2A】実施例4の固体伝導体において、ドーパント導入前後、Liイオン拡散(diffusion)による拡散係数(diffusivity)(D(単位:cm/S)を示したグラフである。
図2B】実施例8の固体伝導体において、ドーパント導入前後、Liイオン拡散(diffusion)による拡散係数(diffusivity)(D(単位:cm/S)を示したグラフである。
図2C】比較例1の固体伝導体において、ドーパント導入前後、Liイオン拡散(diffusion)による拡散係数(diffusivity)(D(単位:cm/S)を示したグラフである。
図2D】比較例4の固体伝導体において、ドーパント導入前後、Liイオン拡散(diffusion)による拡散係数(diffusivity)(D(単位:cm/S)を示したグラフである。
図3A】実施例4の固体伝導体においてドーパント導入前後、Liイオン拡散による平均自乗変位MSD(mean-square displacements)を示したグラフである。
図3B】比較例1の固体伝導体においてドーパント導入前後、Liイオン拡散による平均自乗変位MSD(mean-square displacements)を示したグラフである。
図4A】実施例1,2,5,6及び比較例1の固体伝導体のイオン伝導度を示したグラフである。
図4B】実施例1,2,5,6及び比較例1の固体伝導体の活性化エネルギーを示したグラフである。
図4C】フッ素及びハフニウムがドーピングされた固体伝導体のインピーダンス特性を示したグラフである。
図4D】フッ素及びハフニウムがドーピングされた固体伝導体の伝導度を示したグラフである。
図5】実施例5及び比較例1の固体伝導体を利用した構造体のサイクリックボルタンメトリー分析結果を示したグラフである。
図6A】実施例9の固体伝導体を含むリチウム対称セルのリチウム安定性評価結果を示した図である。
図6B】比較例1の固体伝導体を含むリチウム対称セルのリチウム安定性評価結果を示した図である。
図7A】実施例1~3、実施例8及び比較例1の固体伝導体の31P-NMR分析スペクトルである。
図7B図7Aの一部領域を拡大して示した図である。
図7C】実施例2の固体伝導体、及び実施例5の固体伝導体に係わる31P-NMRスペクトルを示した図である。
図8A】LiTaPOに係わるインピーダンススペクトルを示した図である。
図8B】LiTaPOに係わるバルクイオン伝導度及び総イオン伝導度の活性化エネルギー評価結果を示したグラフである。
図8C】タンタルをハフニウムで一部置換した固体伝導体のインピーダンススペクトルを示したグラフである。
図8D】LiTaPO、及びハフニウムドーピングされた固体伝導体の活性化エネルギーを示したグラフである。
図9】一具現例による全個体電池の概略的な構成を示す断面図である。
図10】一具現例による全個体電池の概略的な構成を示す断面図である。
図11】一具現例による全個体電池の概略的な構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、一具現例による固体伝導体、その製造方法、固体伝導体を含む固体電解質、及び電気化学素子についてさらに詳細に説明する。
【0020】
下記化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物を含む固体伝導体が提供される。
【0021】
[化学式1]
Li1+x+y-zTa2-x1-y8-z
化学式1で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン(pseudohalogen)、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【0022】
化学式1及び2で、0≦x<0.6、0≦z<1である。
【0023】
化学式1の化合物において、LiHfTaPOF、LiHfPOCl及びLiHfPOの場合は、除かれる。
【0024】
化学式1及び2において、Mは、酸化数が+4であるタンタルを置換する元素であり、Mの配位数(coordination number)は、6である。
【0025】
化学式1及び2において、Nは、配位数が、例えば、4でもある。
【0026】
化学式1の化合物は、化学式1において、Xが酸素の一部位置を置換したタイプを有し、化学式2の化合物は、LiX(例えば、LiClまたはLiF)がLi1+x+yTa2-x1-yに、添加剤形態で付加された複合体形態を有する。
【0027】
本明細書において、「化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物」は、化学式1で表示される化合物単独、化学式2で表示される化合物単独、化学式1で表示される化合物と、化学式2で表示される化合物との混合物、化学式1で表示される化合物と、化学式2で表示される化合物との複合体などを示す。
【0028】
本明細書において、「擬ハロゲン」は、自由状態(free state)において、ハロゲンと類似している2個以上の電気陰性度を有する原子(electronegative atoms)で構成された分子であり、ハライドイオン(halide ions)と類似した陰イオン(anions)を発生させる。擬ハロゲンの例としては、シアン化物(cyanide)(CN)、シアネート(cyanate)(OCN)、チオシアネート(thiocyanate)(SCN)、アジ化物(azide)(N)、またはその組み合わせ物である。
【0029】
化学式1及び2において、Mは、例えば、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、マンガン(Mn)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、またはその組み合わせ物である。
【0030】
そして、化学式1及び2において、xは、例えば、0より大きく、0.5以下、例えば、0より大きく、0.5未満、例えば、0.025以上、0.1未満、例えば、0.05ないし0.1である。
【0031】
化学式1でNは、酸化数が+4であるリン(P)を置換する元素であり、例えば、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはその組み合わせ物である。ここで、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)及びニオブ(Nb)は、酸化数+5であり、セレン(Se)は、酸化数+6でもある。そして、化学式1でyは、0であるか、あるいは0より大きく、0.5以下、例えば、0.1ないし0.5、例えば、0.1ないし0.2でもある。
【0032】
化学式1及び2において、Xは、酸素の位置を一部置換し、例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)、フッ素(F)、シアン化物(CN)、シアネート(OCN)、チオシアネート(SCN)、アジ化物(N)、またはその組み合わせ物である。化学式1及び2において、zは、0であるか、あるいは0より大きく、0.9以下、例えば、0.01ないし0.5、例えば、0.01ないし0.25、例えば、0.05ないし0.15である。
【0033】
本明細書において、「酸化数」は、平均酸化数を意味する。
【0034】
リン酸リチウム系リチウムイオン伝導体としてLiTaPOが提案された。ところで、そのようなリチウムイオン伝導体は、常温イオン伝導度及びリチウム安定性が満足すべきレベルに至ることができず、イオン伝導度及びリチウム安定性が改善された化合物が必要である。
【0035】
そのために、本発明者らは、LiTaPOのタンタル(Ta)八面体サイト(octahedral site)に、酸化数+4を有する元素(M)を導入したり、リン(P)四面体サイト(tetrahedral site)に、+4酸化数を有し、配位数が4である元素を導入したりするか、あるいは+4の酸化数を有する元素(M)と、+4の酸化数を有し、配位数が4である元素とを同時に導入し、常温でイオン伝導度が改善されたリチウム安定性が改善された固体伝導体を提供する。
【0036】
固体伝導体は、リチウムイオン伝導体でもある。
【0037】
また、固体伝導体の酸素(0)位置に、塩素、フッ素のようなハロゲン原子または擬ハロゲンを導入することができる。そのように、ハロゲン原子または擬ハロゲンが導入された固体伝導体を、固体電解質の製造時に利用すれば、リチウム金属電極と、一具現例による固体伝導体を含む固体電解質との間に、フッ素などを含むパッシブ層(passive layer)が形成され、固体電解質のリチウム安定性が改善され、固体電解質のグレインバウンドリ(grain boundary)領域に、LiFまたはLiClが存在し、グレインバウンドリでのLiイオン伝導度を上昇させることができる。
【0038】
一具現例による固体伝導体は、リチウムイオン伝導体であり、LiTaPO系であり、c2/cの空間群(space group)を有する単斜晶系(monoclinic)または単斜晶系類似構造を有し、2個の[MO]八面体と、1個の[PO]四面体が、コーナー共有(corner sharing)を行う構造を有する。
【0039】
一具現例による固体伝導体は、バルクイオン伝導度及び総イオン伝導度の特性がLiTaPOに比べて改善される。
【0040】
固体伝導体は、電気的に中性を示すことができる。固体伝導体の電気中性度を合わせるために、Li空場所(vacancy)が導入される。このとき、導入された空場所が、Liがホッピング(hopping)可能なサイト(site)になり、Li移動に必要な活性化エネルギーを低減させることができる。化学式1で表示される化合物は、例えば、下記化学式3または4で表示される化合物でもある。
【0041】
[化学式3]
Li1+x+y-zTa2-xHf1-ySi8-z
化学式3でXは、ハロゲン原子または擬ハロゲンであり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式4]
Li1+x+y-zTa2-xZr1-ySi8-z
化学式4でXは、ハロゲン原子または擬ハロゲンであり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【0042】
化学式3及び化学式4で、0≦x<0.6、0≦y<1、0≦z<1である。
【0043】
化学式3及び4でxは、例えば、0より大きく、0.5以下、例えば、0より大きく、0.5未満、例えば、0.1以上、0.5未満、例えば、0.1ないし0.2である。
【0044】
yは、0であるか、あるいは0より大きく、0.5以下、例えば、0.1ないし0.5、例えば、0.1ないし0.2でもある。そして、zは、0より大きく、0.9以下、例えば、0.01ないし0.8、例えば、0.01ないし0.7、例えば、0.01ないし0.6、例えば、0.01ないし0.5、例えば、0.01ないし0.2、例えば、0.05ないし0.15である。
【0045】
化学式3及び4でzは、0であるか、あるいは0より大きく、0.9以下、例えば、0.01ないし0.8、例えば、0.01ないし0.7、例えば、0.01ないし0.6、例えば、0.01ないし0.5、例えば、0.01ないし0.2、例えば、0.05ないし0.15である。
【0046】
化学式3及び4で、ハフニウムまたはジルコニウムがタンタルの一部位置を置換している。また、[PO]四面体内に、酸化数が+5であるPの代わりに、+4であるSiを導入すれば、化合物の電気中性度を合わせるために、過剰(excess)にLiが導入され、移動可能なLiの量が増加することにより、リチウムイオン伝導度が上昇してしまう。
【0047】
酸素の一部位置を陰イオンXが置換すれば、Fなどが含まれたパッシブ層が生じ、リチウム安定性を向上させることができ、グレインバウンドリ領域に、LiFまたはLiClが存在し、グレインバウンドリでのLiイオン伝導度を上昇させることができる。
【0048】
化学式2で表示される化合物は、例えば、下記化学式5または6で表示される化合物である。
【0049】
[化学式5]
Li1+x+y-zTa2-xHf1-ySi・zLiX
化学式5でXは、ハロゲン原子であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式6]
Li1+x+y-zTa2-xZr1-ySi・zLiX
化学式5でXは、ハロゲン原子であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
化学式5及び6で、0≦x<0.6、0≦z<1である。
【0050】
化学式5及び6で、xは、例えば、0より大きく、0.5以下、例えば、0.1以上、0.5未満、例えば、0.1ないし0.2である。
【0051】
yは、0であるか、あるいは0より大きく、0.5以下、例えば、0.1ないし0.5、例えば、0.1ないし0.2でもある。そして、zは、0より大きく、0.9以下、例えば、0.01ないし0.8、例えば、0.01ないし0.7、例えば、0.01ないし0.6、例えば、0.01ないし0.5、例えば、0.01ないし0.2、例えば、0.05ないし0.15である。
【0052】
化学式5及び6で、zは、0であるか、あるいは0より大きく、0.9以下、例えば、0.01ないし0.8、例えば、0.01ないし0.7、例えば、0.01ないし0.6、例えば、0.01ないし0.5、例えば、0.01ないし0.2、例えば、0.05ないし0.15である。
【0053】
一具現例による固体伝導体は、例えば、化学式5で表示される化合物、化学式6で表示される化合物、またはその組み合わせ物でもある。
【0054】
一具現例による固体伝導体は、例えば、Li0.9TaPO7.90.1、Li0.9TaPO7.9Cl0.1、Li0.85TaPO7.85Cl0.15、Li0.85TaPO7.850.15、Li0.8TaPO7.850.2、Li0.8TaPO7.8Cl0.2、Li1.025Hf0.025Ta1.975PO、Li1.05Hf0.05Ta1.95PO、Li1.1Hf0.1Ta1.9PO、Li1.25Hf0.25Ta1.75PO、Li1.125Hf0.125Ta1.875PO、Li1.375Hf0.375Ta1.625PO、Li1.125Zr0.125Ta1.875PO、Li1.25Zr0.25Ta1.75PO、Li1.375Zr0.375Ta1.625PO、Li1.025Zr0.025Ta1.975PO、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO、Li0.9Hf0.05Ta1.95PO7.850.15、Li0.9Hf0.05Ta1.95PO7.85Cl0.15、Li0.8Hf0.05Ta1.95PO7.750.25、Li0.8Hf0.05Ta1.95PO7.75Cl0.25、Li0.875Hf0.025Ta1.975PO7.850.15、Li0.875Hf0.025Ta1.975PO7.85Cl0.15、Li0.775Hf0.025Ta1.975PO7.750.25、Li0.775Hf0.025Ta1.975PO7.75Cl0.25、Li0.95Hf0.1Ta1.9PO7.85Cl0.15、Li0.85Hf0.1Ta1.9PO7.750.25、Li0.85Hf0.1Ta1.9PO7.75Cl0.25、Li1.1Hf0.25Ta1.75PO7.85Cl0.15、LiHf0.25Ta1.75PO7.750.25、LiHf0.25Ta1.75PO7.75Cl0.25、Li0.975Hf0.125Ta1.875PO7.85Cl0.15、Li0.875Hf0.125Ta1.875PO7.750.25、Li0.875Hf0.125Ta1.875PO7.75Cl0.25、Li1.225Hf0.375Ta1.625PO7.85Cl0.15、Li1.125Hf0.375Ta1.625PO7.750.25、Li1.125Hf0.375Ta1.625PO7.75Cl0.25、Li0.975Zr0.125Ta1.875PO7.85Cl0.15、Li0.875Zr0.125Ta1.875PO7.750.25、Li0.875Zr0.125Ta1.875PO7.75Cl0.25、Li1.1Zr0.25Ta1.75PO7.85Cl0.15、LiZr0.25Ta1.75PO7.750.25、LiZr0.25Ta1.75PO7.75Cl0.25、Li1.225Zr0.375Ta1.625PO7.85Cl0.15、Li1.125Zr0.375Ta1.625PO7.750.25、Li1.125Zr0.375Ta1.625PO7.75Cl0.25、Li0.875Zr0.025Ta1.975PO7.85Cl0.15、Li0.775Zr0.025Ta1.975PO7.750.25、Li0.775Zr0.025Ta1.975PO7.75Cl0.25、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO7.85Cl0.15、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO7.750.25、Li1.05Zr0.05Ta1.95PO7.75Cl0.25、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO7.85Cl0.15、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO7.750.25、Li1.1Zr0.1Ta1.9PO7.75Cl0.25;Li0.975TaPO7.9750.025、Li0.95TaPO7.95Cl0.05、Li0.975TaPO7.975Cl0.025、Li0.95TaPO7.95Cl0.05、Li1.05Ta1.975Hf0.0250.975Si0.025、Li1.2Ta1.9Hf0.10.9Si0.1O8、Li1.5Hf0.5Ta1.5PO、Li0.875TaPO7.8750.125、Li0.75TaPO7.750.25、Li0.625TaPO7.6250.375、Li0.5TaPO7.50.5、Li0.375TaPO7.3750.625、Li0.25TaPO7.250.75、またはその組み合わせ物を挙げることができる。
【0055】
一具現例による固体伝導体は、イオン伝導度の等方性が改善される。
【0056】
一般的なリチウムイオン伝導体は、z軸方向がx軸及びy軸方向に比べ、イオン伝導が非常に迅速に起こる(c(z軸)>>b(y軸)&a(x軸))。
【0057】
しかし、一具現例による固体伝導体においては、一般的なリチウムイオン伝導体においては、c(z軸)だけで速かったイオン伝導経路及びイオン伝導度が、c(z軸)>b(y軸)>a(x軸)レベルに異方性が緩和され、すなわち、異方性が低減されたり緩和されたりし、イオン伝導度の等方性が改善されもする。
【0058】
本明細書において、「イオン伝導度の等方性」は、リチウムイオンの拡散経路が、c(z軸)方向、b(y軸)方向及びa(x軸)方向の順に減少され、それらの差が減少され、イオン伝導度の異方性が低減されること、すなわち、イオン伝導度の等方性が改善されるということを意味する。
【0059】
一具現例による固体伝導体において、イオン伝導度の等方性が改善されるということは、固体伝導体へのドーパント導入前後、Liイオン拡散による拡散係数(diffusivity)(D;単位:cm/S)と平均自乗変位MSD(mean-square displacements)とを、量子計算(NEB(nudge delastic band) calculating)法によってそれぞれ計算した結果からも裏付けられる。該計算結果によれば、一具現例による固体伝導体は、拡散経路(diffusion path)の異方性が低減(a,b軸にリチウム移動度上昇)し、全体的にイオン伝導度値が増加する結果を示し、それにより、一具現例による固体伝導体が、等方性のイオン伝導度特性を示すということを確認することができる。
【0060】
一具現例による固体伝導体は、前述のように、c2/cのスペースグループを有する単斜晶系または単斜晶系類似構造を有する。X線回折分光法によれば、一具現例による固体伝導体は、X線回折分析で定められる回折角2θが1、7.5゜±0.5゜、24.8゜±0.5゜、24.9゜±0.5゜、25.4゜±0.5゜及び27.8゜±0.5゜、例えば、17.5゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、24.9゜±0.2゜、25.4゜±0.2゜及び/または27.8゜±0.2゜でピークが示される。他の一具現例による固体伝導体は、 X線回折分析で定められる回折角2θが1、7.5゜±0.5、24.8゜、24.9゜、25.4゜及び27.8゜、例えば、17.5゜、24.8゜、24.9゜、25.4゜及び/または27.8゜でピークが示される。
【0061】
化学式2で、LiClのようにLiXを含む固体伝導体は、LiClのようなLiXを含んでいない固体伝導体(化学式1で、z=0)のX線回折ピーク対比で、シフト(shift)されたX線回折ピーク特性を示すことができる。そのように、X線回折ピーク特性がシフトされたところから、LiXのXが、酸素の一部位置を置換するということが分かる。
【0062】
下記31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルから、ハフニウムのような酸化数+4元素が結晶構造内に導入されたことを確認することができる。
【0063】
一具現例による化学式1の固体伝導体に係わる31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、主ピーク(main peak)が、化学的移動が-6ppmないし-14ppmの範囲で示され、主ピークの半値幅(FWHM:full width at half-maximum)が2ppmないし6ppm、または2ppmないし3ppmである。ここで、主ピークは、強度が最大であるピークを意味し、半値幅は、主ピークの最大ピーク強度の1/2位置でのピーク幅を数値化したものである。
【0064】
固体伝導体に係わる31P核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、副ピークが、化学的移動が-15ppmないし-22ppmで示される。該副ピークは、主ピークに比べ、強度が弱いピークを言う。
【0065】
一具現例による固体伝導体は、常温(25℃)でのイオン伝導度(Ionic conductivity)が1×10-2mS/cm以上、例えば、1.8×10-1S/cm以上、例えば、2.8×10-1S/cm以上、例えば、5.4×10-1S/cm以上、例えば、6.6×10-1S/cm以上である。固体伝導体がそのような常温での高イオン伝導度を有することにより、そのような固体伝導体を含む電気化学電池の内部抵抗がさらに低下する。
【0066】
固体伝導体の電子伝導度は、1×10-5mS/cm以下、例えば、1×10-6mS/cm以下を有する。
【0067】
一具現例の一固体伝導体は、前述のような、常温での高イオン伝導度及び低電子伝導度を有するために、固体電解質として非常に有用である。
【0068】
一具現例による固体伝導体が電極添加剤に利用される場合には、固体電解質に利用される場合と比べ、電子伝導度が1×10-5mS/cmより高い値を有することができる。電極は、高電圧正極でもある。そのように、固体伝導体が電極添加剤として利用される高電力密度を有する電池を製造することができる。
【0069】
一具現例による固体伝導体は、例えば、リチウム金属に対し、2.0Vないし4.6Vと、電気化学的に安定している。
【0070】
固体伝導体の活性化エネルギーは、0.42eV/atom未満、例えば、0.37eV/atom未満、例えば、0.29ないし0.35eV/atomである。
【0071】
固体伝導体のグレインサイズ(grain size)は、5nmないし500μm範囲である。固体伝導体は、化学式1において、Xを含む場合、グレインサイズが減少され、グレイン・グレイン間の安全性が改善され、グレイン間の接着力が向上する。
【0072】
一具現例による固体伝導体は、粒子状態で存在することができる。粒子の平均粒径は、5nmないし500μm、例えば、100nmないし100μm、例えば、1μmないし50μmであり、比表面積は、0.01ないし1,000m/g、例えば、0.5ないし100m/gである。
【0073】
一具現例による固体伝導体の製造方法について説明すれば、次の通りである。
【0074】
一具現例による固体伝導体形成用前駆体を混合し、前駆体混合物を得て、前駆体混合物に対する熱処理を実施する。固体伝導体は、化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物である。
【0075】
[化学式1]
Li1+x+y-zTa2-x1-y8-z
化学式1で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子、擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれ、
[化学式2]
Li1+x+y-zTa2-x1-y・zLiX
化学式2で、Mは、酸化数+4を有する元素であり、
Nは、酸化数+4を有する元素であり、
Xは、ハロゲン原子擬ハロゲン、またはその組み合わせ物であり、
0≦x≦2、0≦y<1、0≦z≦2であり、ただし、i)xとyとzとが同時に0である場合、ii)MがHfであり、XがFであり、x=1,y=0,z=1である場合、iii)MがHfであり、XがClであり、x=2,y=0,z=2である場合、及びiv)MがHfであり、XがFであり、x=2,y=0,z=2である場合は、除かれる。
【0076】
化学式1及び化学式2で、xとyとがいずれも0である場合、固体伝導体形成用前駆体は、リチウム前駆体、リン前駆体、及びXを含むリチウム前駆体の混合物である。
【0077】
化学式1及び化学式2で、xとyとがいずれも0ではない場合、固体伝導体形成用前駆体は、リチウム前駆体、タンタル前駆体、M前駆体、N前駆体、リン前駆体及び/または、Xを含むリチウム前駆体の混合物である。
【0078】
化学式1及び2において、xが0である場合、前駆体においてタンタル前駆体は、使用されず、yが0である場合には、N前駆体が使用されず、zが0である場合には、Xを含むリチウム前駆体が使用されない。
【0079】
前駆体混合物には、溶媒を付加することができる。該溶媒は、リチウム前駆体、タンタル前駆体、M前駆体、N前駆体、P前駆体、及びXを含むリチウム前駆体を溶解または分散させることができるものであるならば、全て使用可能である。該溶媒は、例えば、アセトン、エタノール、水、エチレングリコール、イソプロパノール、またはその組み合わせを有することができる。該溶媒の含量は、前駆体化合物の総重量100重量部を基準にし、50ないし1,000重量部、例えば、100ないし300重量部範囲である。
【0080】
混合は、ミリング、ブレンディング及び撹拌(stirring)のように、当該技術分野に知られた方法によって実施することができる。ミリングは、例えば、ボールミル、エアジェットミル、ビードミル、ロールミル、プラネタリミルなどを利用することができる。
【0081】
混合物に対する熱処理時、昇温速度は、1℃/minないし10℃/minであり、熱処理温度(T)は、500℃ないし1,200℃、例えば、600℃ないし1,000℃の範囲で実施する。熱処理段階において、昇温速度が前記範囲であるとき、熱処理が十分になされる。
【0082】
熱処理は、酸化性ガス雰囲気下で実施することができる。該酸化性ガス雰囲気は、例えば、空気または酸素を利用して作る。そして、熱処理時間は、熱処理温度などによって異なり、例えば、1時間ないし20時間、例えば、1時間ないし10時間、例えば、2時間ないし8時間の範囲である。
【0083】
熱処理は、第1段階熱処理、及び第1熱処理より高い温度で実施される第2段階熱処理を含む2段階によっても実施される。第1熱処理は、500℃ないし1,000℃、または600℃ないし1,000℃で実施され、第2熱処理は、600℃ないし1,200℃、または1,100℃で実施される。熱処理がそのように、2段階で実施されれば、高密度の固体伝導体を得ることができる。
【0084】
第1段階熱処理を施した後、第2段階熱処理を実施する前、熱処理生成物をミリングする過程をさらに実施することができる。ここで、該ミリングは、例えば、プラネタリミリングまたはハンドミリングを実施することができる。そのように、ミリングをさらに実施し、熱処理された生成物の粒子サイズを制御することができる。ミリングを実施して熱処理された生成物の粒子サイズは、例えば、1μm以下にも制御される。そのように、粒子サイズを制御すれば、最終的に得られた密度が改善された固体伝導体を得ることができる。
【0085】
本明細書において、「粒子サイズ」は、粒子が球形である場合には、平均粒子径を示し、粒子が球形ではない場合には、粒子サイズは、長軸長を示すことができる。
【0086】
リチウム前駆体は、例えば、酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫化リチウム、硝酸リチウム、リン酸リチウム、水酸化リチウムのうちから選択された1以上でもある。
【0087】
タンタル前駆体は、例えば、水酸化タンタル、炭酸タンタル、塩化タンタル、硫酸タンタル、硝酸タンタル及び酸化タンタルのうちから選択された1以上である。
【0088】
リン前駆体は、例えば、(NHHPO、(NH)HPO、NaHPO、NaPOなどがある。
【0089】
M前駆体は、例えば、M含有酸化物、M含有カーボネート、M含有塩化物、M含有ホスフェート、M含有ヒドロキシド、M含有硝酸塩、M含有水酸化物、またはその組み合わせ物であり、例えば、酸化ハフニウム、塩化ハフニウム、硫酸ハフニウム、酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどがある。
【0090】
N前駆体は、例えば、N含有酸化物、N含有カーボネート、N含有塩化物、N含有ホスフェート、N含有ヒドロキシド、N含有硝酸塩、またはその組み合わせ物であり、例えば、シリコンオキサイド、スズオキサイド、スズクロリドなどがある。
【0091】
X含有前駆体としては、LiCl、LiF、LiBrなどがある。
【0092】
前述の各前駆体の含量は、化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物、またはその組み合わせ物を含む固体伝導体が得られるように、化学量論的に制御される。
【0093】
次に、熱処理された生成物を粉砕し、成形体を得る。該成形体は、例えば、粉末粒子である。粉砕して得られた成形体(粉末粒子)の大きさは、10μm以下である。粉砕された粒子サイズが前記範囲であるとき、粒子サイズが小さく、粉砕及び混合が十分になされる。本明細書において、「大きさ」は、粒子が球形である場合には、平均粒子径を示し、非球形である場合には、長軸長を意味する。大きさは、電子走査顕微鏡や粒子サイズ分析機を利用して測定することができる。
【0094】
次に、成形体に対する熱処理を実施する。熱処理時、昇温速度は、1℃/minないし10℃/minである。該熱処理は、600℃ないし1,100℃、600ないし1,000℃、または1,000℃ないし1,100℃で実施することができる。成形体に対する熱処理温度(T)は、成形体を得る以前の熱処理温度(T)に比べ、高い温度で実施する。
【0095】
一具現例によれば、成形体を熱処理する段階以前、前述のように、成形体を加圧し、ペレット状に作ることができる。前述のように、ペレット状に熱処理を実施すれば、熱処理する物質の拡散距離が短くなり、目的とする固体伝導体を容易に製造することができる。
【0096】
該成形体の熱処理は、例えば、酸化性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で実施することができる。酸化性ガス雰囲気は、例えば、空気または酸素を利用して作り、還元性ガス雰囲気は、水素のような還元性気体と、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガス雰囲気とを利用して作ることができる。
【0097】
該成形体に対する熱処理時間は、成形体に対する熱処理温度(T)などによって異なり、例えば、1時間ないし50時間、例えば、6時間ないし48時間の範囲である。
【0098】
また、他の側面により、一具現例による固体伝導体を含む電気化学素子が提供される。電気化学素子は、例えば、電気化学電池、蓄電池、スーパーキャパシタ、燃料電池、センサ及び変色素子のうちから選択された一つである。
【0099】
さらに他の側面により、正極、負極、及びそれら間に介在された一具現例による固体伝導体を含む固体電解質を含む電気化学電池が提供される。電気化学電池は、正極と、リチウムを含む負極と、正極と負極との間に配置され、一具現例による固体伝導体を含む固体電解質と、を具備することができる。
【0100】
電気化学電池は、リチウム二次電池、リチウム空気電池、固体電池などである。そして、該電気化学電池は、一次電池、二次電池にいずれも使用可能であり、該電気化学電池の形状は、特別に限定されるものではなく、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒状、扁平型、ホーン型などである。一具現例による電気化学電池は、電気自動車用中大型電池にも適用可能である。
【0101】
該電気化学電池は、例えば、析出型負極を利用する全固体電池でもある。該析出型負極は、電気化学電池の組み立て時には、負極活物質がない無負極コーティング層を有するが、電気化学電池の充電後、リチウム金属のような負極材料が析出される負極を称する。
【0102】
固体電解質は、電解質保護膜、正極保護膜、負極保護膜、またはその組み合わせでもある。
【0103】
一具現例による固体電解質は、硫化物系固体電解質を適用する電池において、正極保護膜として利用され、硫化物系固体電解質と正極との反応を効果的に低減させることができる。また、一具現例による固体電解質は、正極コーティング素材としても利用され、正極保護膜としても利用される。そして、一具現例による固体電解質は、酸化安定電位が3.5Vvs.Li/Li+以上、例えば、4.6ないし5.0Vvs.Li/Li+と高く、正極電解質、例えば、全固体電池の正極電解質として活用可能である。
【0104】
一具現例によれば、該電気化学電池は、全固体電池でもある。
【0105】
図9を参照し、第一具現例による全固体二次電池1の構成について説明する。全固体電池1は、図9のように、正極10、負極20、及び一具現例による固体伝導体を含む固体電解質30を具備することができる。
【0106】
正極10は、正極集電体11及び正極活物質層12を含む。正極集電体11としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、またはそれらの合金からなる板状体またはホイル状体などを使用することができる。正極集電体11は、省略することもできる。
【0107】
正極活物質層12は、正極活物質及び固体電解質を含んでもよい。また、正極10に含まれた固体電解質は、固体電解質30に含まれる固体電解質と類似していてもよく、異なっていてもよい。
【0108】
正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができる正極活物質であればよい。
【0109】
例えば、該正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(以下、LCOとする)、リチウムニッケル酸化物(lithium nickel oxide)、リチウムニッケルコバルト酸化物(lithium nickel cobalt oxide)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(以下、NCAとする)、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(以下、NCMとする)、リチウムマンガン酸化物(lithium manganate)、リチウム鉄ホスフェート(lithium iron phosphate)、硫化ニッケル、硫化銅、硫化リチウム、酸化鉄または酸化バナジウムを利用して形成することができる。そのような正極活物質は、それぞれ単独で利用することができ、また2種以上を組み合わせて利用することもできる。
【0110】
また、該正極活物質は、例えば、LiNiCoAl(NCA)(ただし、0<x<1、0<y<1、0<z<1、なお、x+y+z=1である)またはLiNiCoMn(NCM)(ただし、0<x<1、0<y<1、0<z<1、なお、x+y+z=1である)のような三元系遷移金属酸化物のリチウム塩を挙げることができる。
【0111】
該正極活物質は、被覆層によっても覆われている。ここで、本実施例の被覆層は、全固体二次電池の正極活物質の被覆層として公知されているものであるならば、全て使用される。該被覆層の例としては、例えば、LiO-ZrOのようなリチウムイオン伝導体などを挙げることができる。
【0112】
また、該正極活物質が、NCAまたはNCMのように、ニッケル(Ni)を含む化合物であるならば、全固体二次電池1の容量密度を上昇させることができる。従って、本実施例による全固体二次電池1の充電状態での長期信頼性及びサイクル特性を向上させることができる。
【0113】
ここで、該正極活物質の形状としては、例えば、楕円、球形などの粒子状を有することができる。また、正極活物質の粒径は、特別に制限されるものではなく、従来の固体二次電池の正極活物質に適用可能な範囲であればよい。また、正極10の正極活物質の含量も、特別に制限されるものではなく、従来の固体二次電池の正極に適用可能な範囲であればよい。
【0114】
また、正極10は、前述の正極活物質及び固体電解質だけではなく、例えば、導電剤、バインダ、フィラー、分散剤、イオン伝導性補助剤のような添加剤を適切に配合することもできる。
【0115】
正極10に配合可能な導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック(CB:carbon black)、アセチレンブラック(AB:acetylene black)、ケッチェンブラック(KB:Ketjen black))、炭素ファイバ、金属粉末などを挙げることができる。また、正極10に配合可能なバインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンなどを挙げることができる。また、正極10に配合可能なコーティング剤、分散剤、イオン伝導性補助剤などとしては、一般的に、固体二次電池の電極に使用される公知の材料を使用することができる。
【0116】
負極20は、負極集電体21及び無負極コーティング層22を含んでもよい。図9においては、無負極コーティング層22を図示しているが、一般的な負極活物質層でもある。
【0117】
無負極コーティング層22は、例えば、シリコンのような金属とカーボンを含んでおり、前述の金属とカーボンとの周囲に伝導性バインダが配置された構造を有することができる。
【0118】
無負極コーティング層22の厚みは、1μmないし20μmである。負極集電体21は、リチウムと反応しない、すなわち、合金及び化合物をいずれも形成しない材料によっても構成される。負極集電体21を構成する材料としては、例えば、銅(Cu)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)を有することができる。負極集電体21が金属のうち1種によって構成されるか、あるいは2種以上の金属の合金または被覆材料によっても構成される。負極集電体21は、例えば、板状または箔状に形成することができる。
【0119】
ここで、図10に図示されているように、負極集電体21の表面に薄膜24が形成されてもよい。薄膜24は、リチウムと合金を形成することができる元素を含んでもよい。リチウムと合金を形成することができる元素としては、例えば、金、銀、亜鉛、スズ、インジウム、ケイ素、アルミニウム、ビスマスでもある。薄膜24は、それら金属のうち1種によって構成されるか、あるいはさまざまな種類の合金によっても構成される。薄膜24が存在することにより、図11に図示された金属層23の析出形態がさらに平坦化され、全固体二次電池1の特性がさらに向上することができる。
【0120】
ここで、薄膜24の厚みは、特別に制限されるものではないが、1nmないし500nmでもある。薄膜24の厚みが前記範囲であるとき、薄膜24による機能を十分に発揮しながら、負極からのリチウム析出量が適切であり、全固体二次電池1の特性にすぐれる。薄膜24は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などにより、負極集電体21上にも形成される。
【0121】
無負極コーティング層22は、リチウムと、合金または化合物を形成する負極活物質を含んでもよい。
【0122】
該負極活物質としては、例えば、非晶質炭素、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)及び亜鉛(Zn)などを挙げることができる。ここで、該非晶質炭素としては、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック(FB:furnace black)、ケッチェンブラック(KB)、グラフェンなどを挙げることができる。
【0123】
無負極コーティング層22は、そのような負極活物質のうち1種だけ含まれるか、あるいは2種以上の負極活物質を含んでもよい。例えば、無負極コーティング層22は、負極活物質として非晶質炭素のみを含むと、あるいは金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群のうちから選択される1種以上を含んでもよい。また、無負極コーティング層22は、非晶質炭素と、金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群のうちから選択されるいずれか1種以上との混合物を含んでもよい。該非晶質炭素と、金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群のうちから選択されるいずれか1種以上との混合物において、非晶質炭素と、金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群のうちから選択されるいずれか1種以上との混合重量比は、例えば、10:1ないし1:2でもある。負極活物質を、そのような物質で構成することにより、全固体二次電池1の特性がさらに向上することができる。
【0124】
ここで、該負極活物質として、金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛のうち1種以上を使用する場合、そのような負極活物質の粒子サイズ(例えば、平均粒径)は、約4μm以下でもある。その場合、全固体二次電池1の特性がさらに向上することができる。ここで、該負極活物質の粒径は、例えば、レーザ式粒子分布分析機を使用して測定したメジアン(median)径(いわゆる、D50)を使用することができる。以下の実施例、比較例においては、該方法によって粒径を測定した。粒径の下限は、特別に制限されるものではないが、例えば、約10nmでもある。
【0125】
また、該負極活物質は、非晶質炭素によって形成された第1パーティクル(particles)、及び金属または半導体によって形成された第2パーティクルの混合物を含んでもよい。金属または半導体は、例えば、金、白金、パラジウム、シリコン、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ、亜鉛などを含んでもよい。ここで、第2パーティクルの含量は、前記混合物の総重量を基準に、約8重量%ないし60重量%、例えば、約10重量%ないし50重量%である。その場合、全固体二次電池1の特性がさらに向上することができる。
【0126】
無負極コーティング層22の厚みは、特別に制限されるものではないが、1μm~20μmほどでもある。無負極コーティング層22の厚みが前記範囲であるとき、全固体二次電池1の特性が十分に改善される。前述のバインダを使用すれば、無負極コーティング層22の厚みを適正レベルに容易に確保することができる。
【0127】
無負極コーティング層22には、一般的な固体電池に使用される添加剤、例えば、フィラー、分散剤、イオン導電剤などが適切に配合されてもいる。
【0128】
固体電解質30は、一般的な固体電解質を使用する。
【0129】
固体電解質は30、例えば、硫化物系固体電解質材料によっても構成される。硫化物系固体電解質材料としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiX(Xは、ハロゲン元素、例えば、IまたはClである)、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(m、nは、正数であり、Zは、Ge、ZnまたはGaのうち一つである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(p、qは、正数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、GaInのうち一つである)などを挙げることができる。ここで、硫化物系固体電解質材料は、出発原料(例えば、Li2、Pなど)を、溶融急冷法や機械的ミリング法などによって処理して作製される。また、そのような処理の後、熱処理を行うことができる。該固体電解質は、非晶質、結晶質、またはそれらが混合された状態でもある。
【0130】
また、硫化物系固体電解質は、硫黄(S)、リン(P)及びリチウム(Li)を含むものを利用することができる。例えば、LiS-Pを含む材料を利用することができる。ここで、固体電解質を形成する硫化物系固体電解質材料として、LiS-Pを含むものを利用する場合、LiSとPとの混合モル比は、例えば、LiS:P=50:50ないし90:10ほどの範囲によっても選択される。また、固体電解質30は、バインダをさらに含んでもよい。固体電解質30に含まれるバインダは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンなどを挙げることができる。固体電解質30のバインダは、正極活物質層12と無負極コーティング層22とのバインダと同種であるか、あるいは異なる種類でもある。
【0131】
以下の実施例及び比較例を介してさらに詳細に説明される。ただし、該実施例は、例示するためのものであり、それらだけにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例
【0132】
実施例1
リチウム前駆体であるLiOH、タンタル前駆体であるTa、ハフニウム前駆体であるHfO、及びリン前駆体である(NHHPOを、表1の組成比に合わせ、化学量論的比率で混合し、アセトンと、ジルコニアボールを含むプラネタリミルとを使用し、2時間粉砕及び混合して前駆体混合物を得た。アセトンの含量は、前駆体混合物の総重量100重量部を基準にし、約100重量部であり、前駆体混合物の製造時、LiOHは、約10重量%過剰で使用し、前駆体混合物の後続熱処理過程において、リチウムが消失する分をあらかじめ補充した。
【0133】
前駆体混合物を約5℃/minの昇温速度で600℃に加熱し、該温度で、空気雰囲気下で、8時間一次熱処理を施した。
【0134】
前記過程によって一次熱処理された結果物に対し、10分間プラネタリミリングを実施した。
【0135】
前記結果物を約5℃/minの昇温速度で1,000℃に加熱し、この温度で、空気雰囲気下で、8時間二次熱処理を施し、下記表1の組成を有する固体伝導体粉末を得た。
【0136】
実施例2~4及び8
ハフニウム前駆体であるHfOの含量を、表1の組成を有する固体伝導体粉末を得ることができるように化学量論的な比率に制御したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、固体伝導体粉末を製造した。
【0137】
実施例5及び7
前駆体混合物の製造時、フッ化リチウム(LiF)をさらに付加したことを除いては、実施例2と同一方法によって実施し、表1に示された組成を有する固体伝導体粉末を製造した。実施例5及び7において、フッ化リチウムの含量は、表1の組成比に合わせて化学量論的比率に制御した。
【0138】
実施例6
前駆体混合物の製造時、塩化リチウム(LiCl)をさらに付加したことを除いては、実施例2と同一方法によって実施し、表1に示された組成を有する固体伝導体粉末を製造した。実施例6において、塩化リチウムの含量は、表1の組成比に合わせて化学量論的比率に制御した。
【0139】
実施例9,11,12
前駆体混合物の製造時、ハフニウム前駆体を使用せず、下記表1に示された組成を有する固体伝導体粉末を得ることができるように、各前駆体の含量を化学量論的な比率に制御したことを除いては、実施例7と同一に実施した。
【0140】
実施例10,13~16
前駆体混合物の製造時、ハフニウム前駆体を使用せず、下記表1に示された組成を有する固体伝導体粉末を得ることができるように、各前駆体の含量を化学量論的な比率に制御したことを除いては、実施例6と同一に実施した。
【0141】
実施例17,18
前駆体混合物の製造時、シリコン前駆体であるSiOをさらに使用したことを除いては、下記表1に示された組成を有する固体伝導体粉末を得ることができるように、各前駆体を使用し、その含量を化学量論的な比率に制御したことを除いては、実施例1と同一に実施した。
【0142】
実施例8,19-29
下記表2に示された組成を有する固体伝導体粉末を得ることができるように、各前駆体を使用し、その含量を化学量論的な比率で制御してする工程によって実施した。
【0143】
前駆体として、LiOH(Sigma Aldrich)、Ta(Alfa-Aesar;純度98%以上)、HfO(Sigma Aldrich)またはZrO、(NH)HPO(Sigma Aldrich)及びLiF(Alfa-Aesar)を使用した。
【0144】
前駆体粉末を、45mlのジルコニア容器で化学量論的比率に混合した後、無水アセトンと共に、SPEX8000を使用し、高エネルギー機械的ミリング(high-energy mechanical milling)を行った。ボールミリングされた粉末を、600℃及び1,000℃で8時間予備熱処理した後、それを圧縮し、12mm径のペレットを得た。前記ペレットは、マザーパウダーで覆い、リチウム損失を防止した後、1,100℃で12時間熱処理した。
【0145】
比較例1
前駆体混合物の製造時、ハフニウム前駆体であるHfOを使用しないことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、表1の組成を有する固体伝導体を製造した。
【0146】
比較例2及び4
リチウム前駆体であるLiOH、タンタル前駆体であるTa、ハフニウム前駆体であるHfO、及びリン前駆体である(NHHPO4を、表1の組成比に合わせ、化学量論的比率に混合し、前駆体混合物の製造時、フッ化リチウムをさらに使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、表1の組成を有する固体伝導体を製造した。フッ化リチウムの含量は、表1の組成比に合わせ、化学量論的比率に制御した。
【0147】
比較例3
リチウム前駆体であるLiOH、ハフニウム前駆体であるHfO、及びリン前駆体である(NHHPOを、表1の組成比に合わせ、化学量論的比率に混合し、前駆体混合物の製造時、塩化リチウムをさらに使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、表1の組成を有する固体伝導体を製造した。塩化リチウムの含量は、表1の組成比に合わせ、化学量論的比率に制御した。
【0148】
【表1】
【表2】
【0149】
評価例1:X線回折分析(XRD:X-ray diffraction)
実施例2~6、実施例11及び比較例1,2による固体伝導体に係わるXRDスペクトルを測定し、その結果を図1A及び図1Bに示した。図1Bは、図1Aにおいて、一部領域を拡大して示したものである。XRDスペクトル測定に、Cu Kα放射線(radiation)(λ=1.5406Å)を使用した。X線回折分析は、Bruker社のD8 Advanceを利用して実施した。
【0150】
図1A及び図1Bを参照すれば、実施例2ないし6、及び実施例11の固体伝導体は、比較例1の固体伝導体(LiTaPO)と同一XRDピーク特性を示すことが分かった。それにより、実施例2ないし6、及び実施例11の固体伝導体は、比較例1の固体伝導体と比較し、実質的に同一結晶構造を有するということが分かった。
【0151】
また、図1Bに図示されているように、比較例1の固体伝導体は、回折角2Θがおよそ25.4゜でピーク(ピークA)が観察された。そして、ハフニウムが置換された固体伝導体(実施例2~4の固体伝導体)の場合、比較例1の固体伝導体と比較し、ピークAがシフトされた結果を示し、フッ素または塩素と、ハフニウムが置換された実施例5,6及び11の固体伝導体は、ピークAがシフトされた結果を示した。
【0152】
それについてさらに詳細に説明すれば図1Bに図示されているように、実施例11の固体伝導体は、ピークAが25.43゜で示され、比較例1の固体伝導体のピークA(回折角2Θ:約25.4゜)と比較し、0.03゜ほど右側にシフトされた。そして、実施例5の固体伝導体は、ピークAが25.42゜で示され、比較例1の固体伝導体のピークA(回折角2Θ:約25.4゜)と比較し、0.02゜ほど右側にシフトされた。また、実施例6の固体伝導体は、ピークAが25.45゜で示され、比較例1の固体伝導体のピークA(回折角2Θ:約25.4゜)と比較し、0.05゜ほど右側にシフトされた。そのように、ハフニウムと、フッ素または塩素が置換された固体伝導体は、比較例1の固体伝導体と比較し、ピークAが0.02ないし0.05゜シフトされた結果を示した。
【0153】
また、実施例2の固体伝導体の(221)面間距離は、比較例1の固体伝導体と比較し、約0.007Åほど減少した結果を示した。前記固体伝導体の(221)面間距離は、2θが25.4゜であるピークから把握が可能である。
【0154】
実施例1ないし18、及び比較例1,2の固体伝導体に係わるXRD分析を実施した結果を下記表3に示した。
【0155】
【表3】
【0156】
表3に図示されているように、実施例1ないし16の固体伝導体は、比較例1の固体伝導体と比較し、実質的に同一結晶構造を有するということが分かった。また、実施例4,17,18の固体伝導体は、LiTaPO以外に、ペロブスカイト相であるLiTaOを有する。そのように、ペロブスカイト相を有せば、固体伝導体のリチウム安定性がさらに改善されるのである。
【0157】
また、実施例2、実施例3、実施例8、比較例1の固体伝導体に係わるXRD分析を実施した。分析結果は、図1Cに図示されている通りである。
【0158】
それを参照すれば、ハフニウム量が0.1以上増加する場合、2θが21゜ないし25゜である範囲において、不純物が観察された。
【0159】
評価例2:イオン伝導度及び活性化エネルギーの測定
実施例1ないし18、比較例1及び比較例2の固体伝導体粉末を、6トンの圧力で5分間加圧し、ペレット化させ、それぞれの固体伝導体ペレット(厚み:約500μm)を作った。前記過程によって得た固体伝導体ペレット上部において、固体伝導体ペレットと同一組成を有するマザー粉末(mother powder)でその表面を完全に覆い、熱処理中に揮発されるリチウムによる組成の変化を最小化させ、それに対し、約1,100℃で12時間熱処理を施した。次に、熱処理されたペレットの両面を、SiCサンドペーパー(sand paper)を利用して研磨(polishing)した後、ペレット両面にブロッキング電極(blocking electrode)として、Au電極を、MTIスパッタリングコータ機(sputtering coater)を利用し、スパッタリング法によって蒸着し、Au/固体伝導体ペレット/Au構造体を製造した。
【0160】
Au/固体伝導体ペレット/Au構造体に対し、電子化学的インピーダンス分光法(EIS)を利用し、分析を行った。該EIS分析は、振幅(amplitude)は、約10mV、周波数は、0.1Hzで実施した。インピーダンス結果から、全体抵抗(Rtotal)値を求め、該値から、電極面積とペレット厚とを補正して伝導度値を計算する。また、EIS測定時、各固体伝導体試料がローディングされたチャンバ温度を変化させて測定した結果から、Liイオン伝導に係わる活性化エネルギー(Ea:activation energy)値を計算した。298K~378Kの区間において、温度別に測定された伝導度値から、下記数式1のアレニウスプロット(Arrhenius plot)(Ln(σT)vs.1/T)に変換し、勾配値からEaを計算することができる。
【0161】
[数式1]
σT=A exp(Ea/RT)
【0162】
数式1で、Eaは、活性化エネルギーであり、Tは、絶対温度(absolute temperature)を示し、Aは、前指数因子(pre-exponential factor)を示し、σは、伝導度を示し、Rは、ガス定数(gas constant)を示す。
【0163】
前記過程によって得た活性化エネルギー分析結果のうち一部を、図4A図4B及び下記表4に示した。
【0164】
【表4】
【0165】
表4において、Li,bulkは、リチウムイオンバルク伝導度、Li,totは、全体リチウムイオン伝導度を示す。
【0166】
表4に図示されているように、実施例1ないし18の固体伝導体は、比較例1ないし3の場合と比較し、常温(25℃)イオン伝導度が改善されるということが分かった。そして、実施例4及び実施例15の固体伝導体は、比較例1ないし3の場合対比で、Li,totは、若干低いが、実施例4及び実施例15の固体伝導体を含む固体電解質は、改善されたリチウム安定性を有する。
【0167】
また、実施例1ないし6、実施例8ないし18の固体伝導体は、比較例1ないし3の固体伝導体の活性化エネルギーに比べ、小さい数値、すなわち、0.42eV/atomを示した。そのように、固体伝導体の活性化エネルギーが低減されれば、低温において、イオン伝導度が向上した結果を示す。また、実施例8ないし10の固体伝導体は、実施例7の固体伝導体と類似したイオン伝導度特性を示した。
【0168】
また、実施例1ないし3、実施例5ないし8、及び比較例1の固体伝導体の伝導度を評価した。その評価結果は、下記表5の通りである。
【0169】
伝導度は、50mV、5MHz~1Hzの周波数範囲で、Ac電気化学的インピーダンス分光法(Ac EIS:electrochemical impedance spectroscopy)を使用し、21℃で測定する。
【0170】
【表5】
【0171】
表5を参照し、ハフニウムドーピングにより、総伝導度が向上するということが分かった。総伝導度が最も高いのは、x=0.025であり、総伝導度値は、0.658mS/cmである。ハフニウムドーピングは、また活性化エネルギーを0.45eV(x=0)から0.29eV(x=0.05)に低減させる。また、フッ素及びハフニウムがドーピングされた固体伝導体のインピーダンス特性及び伝導度特性を評価し、その評価結果をそれぞれ図4C及び図4Dに示した。
【0172】
フッ素がドーピングされた固体伝導体は、図4Cに図示されているように、1つの半円が観察され、それにより、総伝導度が計算された。
【0173】
評価例3:活性化エネルギー及び平均自乗変位(MSD)(計算値)
実施例8、実施例4、比較例1及び比較例4の固体伝導体において、ドーパント導入前後、Liイオン拡散(diffusion)による拡散係数(D(単位:cm/s)を量子計算(NEB:nudged elastic band calculating)によってそれぞれ計算し、図2Aないし図2Dに示した。
【0174】
実施例4及び実施例8の固体伝導体は、それぞれ図2A及び図2Bに図示されているように、図2Cの比較例1の固体伝導体、及び図2Dの比較例4の固体伝導体対比で、イオン伝導度が非常に上昇した結果を示した。そのような結果から、実施例4及び実施例8の固体伝導体は、比較例1及び2の場合と異なり、イオン伝導経路の等方性が増大したことが分かった。
【0175】
また、実施例4及び比較例1の固体伝導体におけるドーパント導入前後、Liイオン拡散による平均自乗変位(MSD)を量子計算(NEB calculating)法によってそれぞれ計算し、図3A及び図3Bにそれぞれ示した。図3A及び図3Bにおいて、aは、x軸でのMSDを示し、bは、y軸でのMSDを示し、cは、z軸でのMSDを示し、overallは、MSDのnet値を示す。
【0176】
実施例4の固体伝導体は、比較例1の場合と比較し、拡散経路の異方性が低下(a,b軸に移動度上昇する)し、全体的にイオン伝導度値が増大する結果を得た。そのような結果から、実施例4の固体伝導体は、イオン伝導経路の等方性が上昇することが分かった。
【0177】
図3B及び図3Aには、ドーピングされていないLiTaPO、及びHfドーピングされたLi1.25Hf0.25Ta1.75POにおいて、(a[100]),b([010]),c([001])結晶格子方向(crystal lattice direction)に沿い、Li-イオン拡散に係る計算された平均自乗変位(calculated mean-square displacements)がそれぞれ示されている。それを参照すると、Liイオン拡散は、主にc格子によって制限され、Hfドーパントは、b軸に沿ってリチウム拡散を向上させることができることが決定される。
【0178】
評価例4:サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)
実施例5及び比較例1の固体伝導体粉末を、6トンの圧力で5分間加圧し、ペレット化させ、それぞれの固体伝導体ペレット(厚み:約500μm)を作った。前記過程によって得た固体伝導体ペレット上部において、固体伝導体ペレットと同一組成を有するマザー粉末でその表面を完全に覆い、熱処理中に揮発されるリチウムによる組成の変化を最小化させ、それに対し、約1,100℃で12時間熱処理を施した。次に、熱処理されたペレットの両面を、SiCサンドペーパーを利用して研磨し、ペレットの両面に、Au電極をスパッタリング法によって蒸着し、Au/固体伝導体ペレット/Au構造体を製造した。該構造体に対し、1mV/sのスキャン速度(scan rate)で3サイクルスキャン(cycle scan)を行い、サイクリックボルタンメトリー分析を行った。電圧2.0Vないし4.6Vの範囲で電流密度を測定し、図5に示した。
【0179】
図5を参照し、実施例5の固体伝導体は、4.6VLi/Li+まで安定しているということが分かった。
【0180】
評価例5:リチウム安定性
実施例9及び比較例1の固体伝導体粉末を、6トンの圧力で5分間加圧し、ペレット化させ、それぞれの固体伝導体ペレット(厚み:約500μm)を作った。前記過程によって得たペレット上部において、固体伝導体ペレットと同一組成を有するマザー粉末で、その表面を完全に覆い、熱処理中に揮発されるリチウムによる組成の変化を最小化させ、それに対し、約1,100℃で12時間、空気雰囲気下で熱処理を施した。次に、熱処理されたペレットの両面を、SiCサンドペーパーを利用して研磨した後、ペレット両面にリチウム金属を配置し、該結果物に冷間静水圧成形(CIP:cold isostatic press)を行い、Li対称セル(symmetric cell)を製造した。
【0181】
実施例9の固体伝導体を利用したリチウム対称セルと、比較例1の固体伝導体を利用したリチウム対称セルとを3日間放置した後の状態変化を、図6A及び図6Bに示した。図6Aは実施例9の固体伝導体を利用したリチウム対称セルに係わるものであり、図6Bは、比較例1の固体伝導体を利用したリチウム対称セルに係わるものである。
【0182】
図6A及び図6Bに図示されているように、実施例9の固体伝導体を利用したリチウム対称セルは、比較例1の固体伝導体を利用したリチウム対称セルと比較し、リチウムの変色程度が低下するということが分かった。それにより、実施例9の固体伝導体は、比較例1の場合と比較し、リチウム安定性が向上するということが分かった。
【0183】
評価例6:31P核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)分析
実施例1,2,3,8及び比較例1によって得た固体伝導体に係わる31P-NMR分析を行った。31P-NMR分析は、202.4MHzのLarmor周波数において、Bruker Avance-III 500分光計(spectrometer)を利用した。31P NMRスペクトルは、0ppmにおいて、85% HPOに矯正される。
31P-NMR分析結果を図7A図7B及び表6に示した。
【0184】
【表6】
【0185】
図7Bにおいて、P1は、リンの第2配位シェル(second coordination shell)でタンタルを有するサンプル(pristine sample)POを示す。そして、P2は、リンの第2配位サイト(second coordination site)でのハフニウムに起因したものでもある。
【0186】
P3は、XRDでも見られるリン酸ハフニウムである。ハフニウムドーピングが0.1以上である場合、さらなる不純物が、約-30ppmで観察され、リン酸リチウムは、約10ppmに存在すると観察された。
【0187】
それを参照すれば、Taにハフニウムがドーピングされれば、31P-NMRにおいて、化学的移動が、-15ppmないし-22ppmにおいて、副ピークP2,P3が観察された。
【0188】
前述のように、固体伝導体のタンタルにドーピングされるハフニウムの含量が増加するほど、主ピークの半値幅が増大した結果を示した。それにより、前述のXRD分析結果から、ハフニウムドーピングにより、固体伝導体の結晶構造は、維持されながら、31P-NMR結果から、ハフニウムが結晶構造内にドーピングされたことを確認することができた。また、実施例1ないし8の固体伝導体は、比較例1の固体伝導体と異なり、副ピーク(P2及びP3)が観察された。
【0189】
また、実施例2の固体伝導体、及び実施例5の固体伝導体に係わる31P-NMR分析を行い、その分析結果を図7Cに示した。図7Cから、P1ピークの半値幅を下記表7に示した。
【0190】
フッ素ドーピングで、LiPO相が除去された。リン(P)の第2配位環境(second coordination environment)において、ハフニウムと係わるP2は、フッ素ドーピングされたサンプルにおいて、さらに広いピーク状を示すと観察された。
【0191】
【表7】
【0192】
評価例7:相安定性(phase stability)
下記表8に示された固体伝導体に係わるハルエネルギー(energy above hull)が定められる。ハルエネルギーは、相ダイヤグラム(phase diagram)分析を介して計算した。評価結果は、下記表8に示した。ハルエネルギーは、所定化学式で表示され、一定組成を有する総安定性を示す尺度である。
【0193】
【表8】
【0194】
評価例8:インピーダンス、並びにバルク伝導度及び総イオン伝導度の活性化エネルギー
イオン伝導度は、50mV、5MHz~1Hzの周波数範囲において、Ac電気化学的インピーダンス分光法(EIS)を使用し、21℃で測定される。活性化エネルギーは、CSZ掃気後、チャンバにおいて、室温から120℃までの可変温度インピーダンス測定を使用して決定される。合成されたペレットは、遮断電極(MTIスパッタリングコータ)として、金でスパッタリングされ、全ての測定のために、円筒状セル(home-built cylindrical cell)に密封される。
【0195】
1)LiTaPO
インピーダンススペクトルは、図8Aに示し、バルク伝導度及び総イオン伝導度の活性化エネルギー評価結果は、図8Bに示した。
【0196】
図8Aを参照し、3MHzの領域は、バルクインピーダンスを反映し、158MHzの領域は、粒子境界を反映する。そして、図8Bに図示されているように、バルクインピーダンスは、60℃より高い温度で明確に見えないので、全体インピーダンスだけ考慮される。
【0197】
2)タンタルをハフニウムで一部置換した固体伝導体
タンタルをハフニウムで一部置換した固体伝導体のインピーダンススペクトルを図8Cに示した。図8Cを参照し、固体伝導体のバルク伝導度及びグレインバウンドリ伝導度が知ることができる。
【0198】
LiTaPO、ハフニウムドーピングされた固体伝導体の活性化エネルギーを図8Dに示した。ハフニウムドーピングされた固体伝導体は、LiTaPOと比較し、活性化エネルギーが低下した結果を示した。
【0199】
以上においては、図面及び実施例を参照し、一具現例について説明されたが、それらは、例示的なのもに過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから、多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるものである。
【符号の説明】
【0200】
1 全固体二次電池
10 正極
11 正極集電体
12 正極活物質層
20 負極
21 負極集電体
22 無負極コーティング層
23 金属層
30 固体電解質
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11