IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7573994映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム
<>
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図1
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図2
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図3
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図4
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図5
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図6
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図7
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図8
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図9
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図10
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図11
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図12
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図13
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図14
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図15
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図16
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図17
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図18
  • 特許-映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
H04L7/00 160
H04L7/00 990
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020094911
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190868
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花本 伸行
(72)【発明者】
【氏名】所 貴司
(72)【発明者】
【氏名】木村 卓士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀明
(72)【発明者】
【氏名】木暮 康人
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091973(JP,A)
【文献】特開2020-077929(JP,A)
【文献】特開2005-151462(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132089(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0359508(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の映像同期信号を取得し、前記第1の映像同期信号からビデオフレーミングタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号を抽出する取得手段と、
映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数とを特定可能な同期フォーマットの情報を、抽出された前記水平同期信号および垂直同期信号から検出する検出手段と、
PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号と、前記第1の映像同期信号との位相差を示す位相差情報を生成する生成手段と、
前記同期フォーマットの情報と前記位相差情報とを、前記第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力可能な外部装置へIPパケットとして送信する送信手段と、
を有することを特徴とする映像同期装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記位相差情報を、前記第1の基準信号のクロックを逓倍したサンプリングクロックを用いて得られる前記位相差を用いて生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の映像同期装置。
【請求項3】
前記位相差は、前記第1の映像同期信号の垂直同期信号と前記第1の基準信号の垂直同期信号との位相差と、前記第1の映像同期信号の水平同期信号と前記第1の基準信号の水平同期信号との位相差とのうちの、少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の映像同期装置。
【請求項4】
前記位相差情報を繰り返し生成した場合の前記位相差の変化が所定範囲内であるか否かに応じて、送信する前記IPパケットのパケット数を異ならせる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の映像同期装置。
【請求項5】
前記生成手段は、過去に生成した過去位相差情報に基づいて将来の位相差を予測して、前記将来の位相差を含む前記位相差情報を生成する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の映像同期装置。
【請求項6】
他の映像同期装置入力された第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力する映像同期装置であって、
前記他の映像同期装置からIPパケットとして送信される、
(i)前記第1の映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数とを特定可能な同期フォーマットの情報と、
(ii)前記第1の映像同期信号と、PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号との間の位相差を示す位相差情報と、
を取得する取得手段と、
PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第2の基準信号を生成する生成手段と、
前記同期フォーマットと同一のフォーマットの第2の映像同期信号であって、前記第2の基準信号の位相に対して前記位相差に基づく位相をオフセットした前記第2の映像同期信号を出力する出力手段と、を有することを特徴とする映像同期装置。
【請求項7】
前記出力手段は、前記第2の基準信号のクロックを逓倍したサンプリングクロックを用いて前記第2の映像同期信号を出力する、ことを特徴とする請求項6に記載の映像同期装置。
【請求項8】
前記位相差は、前記第1の映像同期信号の垂直同期信号と前記第1の基準信号の垂直同期信号との位相差と、前記第1の映像同期信号の水平同期信号と前記第1の基準信号の水平同期信号との位相差とのうちの、少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項6または7に記載の映像同期装置。
【請求項9】
前記出力手段は、前記取得手段により位相差情報として取得された、予測された将来の位相差を用いて位相をオフセットした前記第2の映像同期信号を出力する、ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の映像同期装置。
【請求項10】
前記出力手段は、前記位相差に基づく位相をオフセットした場合の信号の位相と、前記第2の映像同期信号の位相との位相差が所定の第1の閾値以上であるか否かに応じて、前記位相差に基づく位相のオフセットの量を変化させ、変化後の前記オフセットの量に基づいて前記位相をオフセットした前記第2の映像同期信号を出力する、ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の映像同期装置。
【請求項11】
前記出力手段は、前記位相差に基づく位相をオフセットした場合の信号の周期と、前記第2の映像同期信号の周期との偏差の絶対値に応じて、前記位相差に基づく位相の該オフセットの量の正負を異ならせ、異ならせた後のオフセット量に基づいて前記位相をオフセットした前記第2の映像同期信号を出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の映像同期装置。
【請求項12】
第1の映像同期装置入力された第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力する映像同期装置であって、
前記第1の映像同期装置からIPパケットとして送信された、前記第1の映像同期信号と、PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号との間の位相差を示す位相差情報を繰り返し取得して、単位時間あたりの前記位相差の変化量を記憶する記憶手段と、
前記IPパケットを正常に受信できるかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記IPパケットを正常に受信できないと判定したことに応じて、前記第1の映像同期装置から前記位相差情報を取得するように構成された他の映像同期装置へ、前記記憶された前記位相差の変化量に基づいて算出する位相差の情報を、前記他の映像同期装置へ送信する送信手段と、有することを特徴とする映像同期装置。
【請求項13】
第1の映像同期信号を取得し、前記第1の映像同期信号からビデオフレーミングタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号を抽出する取得工程と、
映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数とを特定可能な同期フォーマットの情報を、抽出された前記水平同期信号および垂直同期信号から検出する検出工程と、
PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号と、前記第1の映像同期信号との位相差を示す位相差情報を生成する生成工程と、
前記同期フォーマットの情報と前記位相差情報とを、前記第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力可能な外部装置へIPパケットとして送信する送信工程と、
を有することを特徴とする映像同期装置の制御方法。
【請求項14】
他の映像同期装置入力された第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力する映像同期装置の制御方法であって、
前記他の映像同期装置からIPパケットとして送信される、
(i)前記第1の映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数とを特定可能な同期フォーマットの情報と、
(ii)前記第1の映像同期信号と、PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号との間の位相差を示す位相差情報と、
を取得する取得工程と、
PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第2の基準信号を生成する生成工程と、
前記同期フォーマットと同一のフォーマットの第2の映像同期信号であって、前記第2の基準信号の位相に対して前記位相差に基づく位相をオフセットした前記第2の映像同期信号を出力する出力工程と、を有することを特徴とする映像同期装置の制御方法。
【請求項15】
第1の映像同期装置入力された第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力する映像同期装置の制御方法であって、
前記第1の映像同期装置からIPパケットとして送信された、前記第1の映像同期信号と、PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号との間の位相差を示す位相差情報を繰り返し取得して、単位時間あたりの前記位相差の変化量を記憶する記憶工程と、
前記IPパケットを正常に受信できるかを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記IPパケットを正常に受信できないと判定したことに応じて、前記第1の映像同期装置から前記位相差情報を取得するように構成された他の映像同期装置へ、前記記憶された前記位相差の変化量に基づいて算出する位相差の情報を、前記他の映像同期装置へ送信する送信工程と、を有することを特徴とする映像同期装置の制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載の映像同期装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、請求項6から11のいずれか1項に記載の映像同期装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、請求項12に記載の映像同期装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像同期装置、映像同期装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像制作/伝送分野でのIP化が進んでおり、映像を同期する信号をIP化することが必要になっている。このため、IPネットワークを介してマイクロ、ナノ秒単位での時刻同期を可能にする「PTP(Precision Time Protocol)」としてSMPTE ST-2059が規格化されている。
【0003】
この技術を応用することで、グランドマスタクロックの時刻を基準に複数機器の映像同期信号(一般的にGenLock信号と呼ばれる、BB(BlackBurst)信号または3値SYNC信号)を同期することができることが知られている。このような同期は、PTP映像同期と呼ばれる。
【0004】
一方、グランドマスタクロックの時刻を基準とするのではなく、外部入力の映像同期信号にネットワーク接続された他の機器の映像同期信号を同期する方法も知られている。具体的には、SMPTE EG-2059-10で規定されるような、外部入力の映像同期信号から周波数/位相を抽出してグランドマスタクロックの時刻を調整したうえで、PTP映像同期にて機器間の映像同期信号を同期する方法がある。この方法は、1つのグランドマスタクロックの時刻を用いる閉じたグループ内で同期を取る場合には有用である。
【0005】
特許文献1では、非同期パケット交換網で基準画像同期データを含む画像タイミングパケットを送信し、受信側において、基準画像同期データ及び画像タイミングパケットの到着の時刻に基づいて受信側の画像同期信号を生成する技術を提案している。また、特許文献2には、複数の異なる同期通信網内にある同期系装置同士が、非同期通信網を介して互いに同期通信を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4528010号
【文献】特許第4914933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術におけるグランドマスタクロックの時刻を調整して同期をとる方法は、独立して時刻同期するネットワークが複数存在するネットワーク環境では適切に同期がとれない場合がある。例えば、ネットワーク毎にグランドマスタクロックの時刻を調整してしまうと、各々のグランドマスタクロックの時刻がずれてしまうため、グループを跨いだ同期が取れないという課題がある。指定時刻に撮影開始する場合には、グランドマスタクロックの時刻がずれているとネットワーク間で撮影開始の同期を取ることができない。
【0008】
また、特許文献1に記載の同期方法は、基準ビデオデータプロセッサ側から提供される同期時刻に基づき画像タイミングパケットがネットワーク送信される時刻と、基準画像同期信号の生成時刻との差を示す基準画像同期データを用いる。受信側では、基準画像同期データをもとに受信側の稼働同期信号を生成してプロセッサ間のクロックの同期を取る場合、映像同期信号の位相を合わせることまではできない課題がある。また、特許文献2に記載の同期方法は、非同期ネットワークを介した同期通信を実現するものであって、時刻同期に留まり、映像同期信号の位相を合わせることまではできない課題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、グランドマスタクロックの時刻を調整することなく、2つの映像同期信号のフレームを同期させることが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、例えば本発明の映像同期装置は以下の構成を備える。すなわち、第1の映像同期信号を取得し、前記第1の映像同期信号からビデオフレーミングタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号を抽出する取得手段と、映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数とを特定可能な同期フォーマットの情報を、抽出された前記水平同期信号および垂直同期信号から検出する検出手段と、PTPグランドマスタクロックと時刻の同期した第1の基準信号と、前記第1の映像同期信号との位相差を示す位相差情報を生成する生成手段と、前記同期フォーマットの情報と前記位相差情報とを、前記第1の映像同期信号と同期する第2の映像同期信号を出力可能な外部装置へIPパケットとして送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グランドマスタクロックの時刻を調整することなく、2つの映像同期信号のフレームを同期させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る映像同期システムの構成例を示すブロック図
図2】実施形態1に係る第1の映像同期装置の機能構成例を示すブロック図
図3】実施形態1に係る位相差検出部の構成例を示す図
図4】実施形態1に係るIPパケットの構成例を説明するための図
図5】実施形態1に係る第2の映像同期装置の機能構成例を示す図
図6】実施形態1に係る位相調整部の機能構成例を示すブロック図
図7】実施形態1のPLL調整部の機能構成例を示すブロック図
図8】実施形態2に係る位相差変化量パケットの送信タイミングの変更処理を示すフローチャート
図9】実施形態3に係る第1の映像同期装置の機能構成例を示すブロック図
図10】実施形態3に係る将来の位相差を予測する処理を説明するための概念図
図11】実施形態3に係る位相差検出部における将来の位相差を予測する動作を示すフローチャート
図12】実施形態3に係る第2の映像同期装置の機能構成例を示すブロック図
図13】実施形態3に係る位相調整部における位相調整の動作を示すフローチャート
図14】実施形態4に係る映像同期システムの構成例を示す図
図15】実施形態4に係る第3の映像同期装置の機能構成例を示すブロック図
図16】実施形態4に係る位相差及び位相差変化量情報取得を失敗した場合の動作を示すフローチャート
図17】実施形態5に係る位相調整部の機能構成例を示すブロック図
図18】実施形態5に係る位相オフセット調整量を決定する処理を説明するための図
図19】実施形態5に係る位相調整処理の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
(映像同期システムの構成)
以下、本発明の実施形態1について説明する。図1は映像同期システム100のシステム構成を示している。映像同期システム100は、映像同期装置200(第1の映像同期装置ともいう)、PTPグランドマスタクロック101、IPネットワーク102、複数の映像同期装置500a、500b及び500c(第2の映像同期装置ともいう)を含む。
【0015】
なお、本実施形態では、第2の映像同期装置が3台で構成される場合を例に説明するが、この例に限定されない。また、映像同期システム100は、映像同期装置200と映像同期装置500からなる1対1の関係であっても構わない。映像同期装置200と信号発生源103が接続され、映像同期装置200は第1の映像同期信号の入力を受ける。映像同期装置500aには撮影装置104aが、映像同期装置500bには撮影装置104bが、映像同期装置500cには撮影装置104cがそれぞれ接続される。第2の映像同期装置のそれぞれは、各々第2の映像同期信号を出力する。第1の映像同期信号及び第2の映像同期信号は、例えば、映像同期用の基準信号に用いられるBB(Black Burst)信号または3値SYNC信号である。
【0016】
信号発生源103は、例えば、一般的に映像同期用の基準信号に用いられるBB(Black Burst)信号または3値SYNC信号を出力する同期信号発生器や同様の機能を有するビデオカメラである。しかし、同様の信号を発生可能であれば、パーソナルコンピュータやモバイル端末などであってもよい。撮影装置104a、104b及び104cは、例えば、BB(Black Burst)信号または3値SYNC信号の入力を受け、同期撮影可能なビデオカメラである。しかし、同様の信号を受信した撮影が可能であれば、パーソナルコンピュータやモバイル端末などであってもよい。
【0017】
映像同期装置200と映像同期装置500a、500b及び500cは、IPネットワーク102を介して、PTPグランドマスタクロック101と、SMPTE2059-1/-2で規定されたPTP IEEE1588プロトコルを用いた時刻同期を行う。本時刻同期は当該規格に準拠するものであるため詳しい説明を省略する。なお、PTPグランドマスタクロック101を用いない構成では、映像同期装置200や映像同期装置500a、500b及び500cがマスタクロックを担って時刻同期を行うことになる。
【0018】
(映像同期装置200の構成)
次に、図2を参照して、映像同期装置200(すなわち第1の映像同期装置)の機能構成例について説明する。映像同期装置200は、同期信号入力部201、映像フォーマット検出部202、位相差検出部203、逓倍部204、基準信号生成部205、PTP制御部206、ネットワーク通信部207及びシステム制御部208を含む。
【0019】
同期信号入力部201は、信号発生源103から第1の映像同期信号の入力を受ける。同期信号入力部201は、第1の映像同期信号から、ビデオフレームタイミングを示す第1のHSYNC信号(水平同期信号)及び第1のVSYNC信号(垂直同期信号)を抽出して、映像フォーマット検出部202及び位相差検出部203に出力する。映像フォーマット検出部202は、第1のHSYNC信号及び第1のVSYNC信号をもとに第1の映像同期信号の同期フォーマット(映像フォーマットともいう)を検出する。同期フォーマット(映像フォーマット)は、映像同期信号の垂直同期周波数と水平同期周波数を特定可能な情報であり、例えば、後述する1080/60iが含まれる。検出した同期フォーマット情報は、システム制御部208に通知され、システム制御部208を介して基準信号生成部205にも通知される。
【0020】
ネットワーク通信部207は、システム制御部208やPTP制御部206からの要求を受けて、IPネットワーク102で接続された外部機器とパケット通信を行う。PTP制御部206はネットワーク通信部207を介して、PTPグランドマスタクロック101とSMPTE2059-1/-2に規定されたPTP IEEE1588プロトコルによる時刻同期を行う。そして、普遍的に計時される現時刻を示すタイムスタンプを更新すると共に基準信号生成部205に通知する。
【0021】
基準信号生成部205は、同期フォーマット情報に従って生成する第1の基準信号の基準フォーマットを決定する。そして、SMPTE2059-1/-2の規定により第1の基準信号のフレーム先頭を示すNextAlignmentPointをタイムスタンプをもとに算出し、第1の基準信号の位相を決定する。これにより生成される第1の基準信号の第2のHSYNC信号及び第2のVSYNC信号を位相差検出部203に出力し、ピクセルクロックを逓倍部204に出力する。逓倍部204ではピクセルクロックを4逓倍しサンプリングクロックとして位相差検出部203に出力する。
【0022】
位相差検出部203では、第1のVSYNC信号と第2のVSYNC信号を比較することでVSYNC位相差を検出する。同様に第1のHSYNC信号と第2のHSYNC信号を比較することでHSYNC位相差を検出し、前後のHSYNC位相差の差分からHSYNC位相差変化量を算出する。位相差検出部203は得られたVSYNC位相差及びHSYNC位相差変化量からなる位相差情報をシステム制御部208に通知する。システム制御部208は同期フォーマットおよび位相差情報をネットワーク通信プロトコルに変換し、ネットワーク通信部207を介して、映像同期装置500a、500b及び500cにマルチキャストストリーム伝送する。なお、システム制御部208は、CPUなどの1つ以上のプロセッサと、ROMなどの揮発性メモリと、RAMなどの不揮発性メモリとを有する。1つ以上のプロセッサが、不揮発性メモリに記憶されているプログラムを揮発性メモリに展開、実行することにより、後述の映像同期装置200の処理、および映像同期装置200の全体の動作を制御する。
【0023】
(位相差検出の具体例)
続いて、図3を参照して、位相差検出部203で実行される位相差検出方法について、HSYNCの位相差検出を例に説明する。図3(a)には、2つのフリップフロップとNAND回路を用いた位相周波数比較器の一例を示している。例えば、フリップフロップ301の入力IN_Aに第2のHSYNC信号が入力され、フリップフロップ302の入力IN_Bに第1のHSYNC信号が入力される。
【0024】
図3(b)は、位相周波数比較器の動作を示している。具体的には、IN_Aの立上がりエッジでOUT_Cはハイとなり、次にIN_Bの立上がりエッジでOUT_Dは一瞬ハイとなる。その時点でNAND出力はローになりフリップフロップがクリアされてOUT_Cはローとなる。それにより、第2のHSYNC信号と第1のHSYNC信号のHSYNC位相差に応じたデューティ比のパルスがOUT_Cから出力されることになる。
【0025】
この信号をサンプリングクロックでサンプリングすることでデジタル値に変換したHSYNC位相差が得られる。取得したHSYNC位相差の前後差分を取ることでHSYNC位相差変化量を算出することができる。同様の構成で第2のVSYNC信号と第1のVSYNC信号を比較し、VSYNC位相差位相差を得ることができる。なお、VSYNC位相差及びHSYNC位相差変化量が取得できる構成であれば、他の手段を用いても構わない。
【0026】
以下、同期フォーマットが1080/60iである場合を例に、VSYNC位相差及びHSYNC位相差変化量の取得までの流れを説明する。1080/60iフォーマットのVSYNC周波数は60Hz、HSYNC周波数は33.75kHz、ピクセルクロックは74.25MHzであり、逓倍部204で4逓倍したサンプリングクロックは297MHzとなる。逓倍部204でサンプリングクロックを297MHzとすることで、約3.4nsの位相差を検出することが可能となる。なお、この位相差は、PTP IEEE1588プロトコルによる時刻同期が100ns以下の精度に対し4%未満と十分に小さい。第1の映像同期信号のピクセルクロック精度が100ppmである場合、HSYNCの1周期で最大±2.97ns位相が変化するが、その変化もほぼ捉えることができる。
【0027】
VSYNC周波数が60Hzである場合、サンプリングクロック297MHzでのVSYNC1周期のクロック数は4,950,000であるため、23bit以上のデータ幅があればVSYNC位相差をデジタル値で表現することができる。HSYNC位相差変化量は、第1の映像同期信号のピクセルクロック精度が100ppmの場合、1周期で1クロック程度となる。このため、2bit幅以上あればHSYNC位相差変化量をデジタル値で表現することができる。本実施形態では、VSYNC位相差に23bit、HSYNC位相差変化量に3bitを割り当てる場合を例に説明する。
【0028】
(IPパケットの構成)
図4は、本実施形態におけるIPパケットの構成を簡易的に示している。IPヘッダー部401は、マルチキャストストリーム伝送に用いるプロトコルによって定められ、データ部の構成は、VSYNC位相差とHSYNC位相差変化量を伝送する場合で切り替えられる。図4(a)はVSYNC位相差を伝送する際のIPパケットの構成例を示している。データ部は、「0」であるスタートビット402の後に配置される。VSYNC位相差データであることを識別する1bit(識別情報403)を「1」とし、その後に同期フォーマットを示す8bit(同期フォーマット404)、VSYNC位相差を示す23bit(VSYNC位相差405)が続く。更に、その後ろに誤り検出符号のCRC(Cyclic Redundancy Check)406が続き、最後に「1」であるエンドビット407でデータ部の終わりを示す。
【0029】
図4(b)はHSYNC位相差変化量を伝送する際のIPパケットの構成例を示している。データ部は「0」であるスタートビット402の後、HSYNC位相差変化量データであることを示す1bit(識別情報403)を「0」とし、その後にHSYNC位相差変化量を示す3bit(HSYNC位相差変化量410)が続く。その後ろに誤り検出符号のCRC406が続き、最後にエンドビット407でデータ部の終わりを示す。このようなパケットの構成によりトラフィック負荷を軽減することができる。
【0030】
(映像同期装置500の構成)
次に、図5を参照して、映像同期装置500(第2の映像同期装置)の機能構成例を示す。映像同期装置500は、ネットワーク通信部501、PTP制御部502、基準信号生成部503、逓倍部504、位相調整部505、PLL調整部506、同期信号出力部507及びシステム制御部508を含む。
【0031】
ネットワーク通信部501は、システム制御部508やPTP制御部502からの要求を受け、IPネットワーク102で接続された外部機器とパケット通信を行う。ネットワーク通信部501は、映像同期装置200からの同期フォーマットおよび位相差情報を含むマルチストリームデータを受信する。PTP制御部502は、ネットワーク通信部501を介して、PTPグランドマスタクロック101とSMPTE2059-1/-2に規定されたPTP IEEE1588プロトコルによる時刻同期を行う。そして、普遍的に計時する現時刻を示すタイムスタンプを更新すると共に基準信号生成部503に通知する。
【0032】
システム制御部508は、ネットワーク通信部501で受信したマルチストリームデータから同期フォーマットおよび位相差情報を取得する。同期フォーマット情報を基準信号生成部503に通知し、位相差情報を位相調整部505に通知する。なお、システム制御部508は、CPUなどの1つ以上のプロセッサと、ROMなどの揮発性メモリと、RAMなどの不揮発性メモリとを有する。1つ以上のプロセッサが不揮発性メモリに記憶されているプログラムを揮発性メモリに展開、実行することにより、後述の映像同期装置500における処理、および映像同期装置500の全体の動作を制御する。
【0033】
基準信号生成部503では、同期フォーマット情報に従い生成する第2の基準信号の基準フォーマットを決定する。そして、SMPTE2059-1/-2の規定により第2の基準信号のフレーム先頭を示すNextAlignmentPointを、タイムスタンプをもとに算出し、第2の基準信号の位相を決定する。基準信号生成部503は、生成した第2の基準信号の第3のHSYNC信号及び第3のVSYNC信号を位相調整部505に出力し、第2のピクセルクロックを逓倍部504に出力する。逓倍部504では逓倍部204の逓倍数と一致するようにピクセルクロックを例えば4逓倍し、サンプリングクロックとして位相調整部505に出力する。
【0034】
位相調整部505では、受信した位相差情報に基づき、第3のHSYNC信号及び第3のVSYNC信号に対し、オフセットをかけて第4のHSYNC信号及び第4のVSYNC信号として後段に出力する。
【0035】
図6は、第3のHSYNC信号及び第3のVSYNC信号のオフセット処理を行うための、位相調整部505の機能構成例を示している。位相調整部505は、VSYNCダウンカウンタ601、VSYNC比較器602、HSYNCアップカウンタ603、HSYNC位相差検出器604、積分器605、HSYNCダウンカウンタ606、HSYNC比較器607などで構成される。
【0036】
VSYNCダウンカウンタ601は、入力されるサンプリングクロックに同期して、第3のVSYNC信号が入力されたときにVSYNC位相差信号を読み込む。その後、VSYNCダウンカウンタ601は、カウント値が-1になるまでカウントダウンする。
【0037】
VSYNC比較器602は、VSYNCダウンカウンタ601のカウント値が0に等しくなったときに第4のVSYNC信号を出力する。第4のVSYNC信号は、第3のVSYNC信号をVSYNC位相差だけ遅延させた信号である。HSYNCアップカウンタ603は、第3のHSYNC信号が入力されると0クリアされ、その後カウントアップを続ける。HSYNC位相差検出器604は、第4のVSYNCが入力されたときにHSYNCアップカウンタ603のカウント値をHSYNCの位相差として検出する。
【0038】
積分器605は、HSYNCの位相差を受信し、HSYNC位相差変化量を積算して、次のHSYNCの位相差として出力する。HSYNCダウンカウンタ606は、第3のHSYNC信号が入力されたときに、積分器605で生成したHSYNCの位相差を読み込んで、カウント値が-1になるまでカウントダウンする。HSYNC比較器607は、HSYNCダウンカウンタ606のカウント値が0に等しくなったときに、第4のHSYNC信号を出力する。第4のHSYNC信号は、第3のHSYNC信号をVSYNC位相差とHSYNC位相差変化量に応じて遅延した信号となる。
【0039】
PLL調整部506は、第4のHSYNC信号に同期した第3のピクセルクロックを生成し、同期信号出力部507に出力する。図7には、PLL調整部506の機能構成例を示している。PLL調整部506は、位相コンパレータ701、積分器702、VCXO703、N分周器704を含む。
【0040】
VCXO703は、入力電圧に応じて発振周波数を制御することができる発振器であり、ピクセルクロックを出力する。本実施形態のVCXO703では、例えば、入力電圧が高くなれば発信周波数が高くなる。N分周器704は、ピクセルクロックをN分周した信号を発生する分周器である。本実施形態のPLL調整部506は、基準信号をHSYNCとしているため、分周比NはHSYNC期間のピクセルクロックの数となる。
【0041】
位相コンパレータ701は、入力されたHSYNCとN分周器704が出力する分周信号の位相を比較する。そして、分周信号の入力がHSYNCの入力より遅い場合(すなわち分周信号の周波数が低い場合)、位相差が生じている期間に正の定電流を出力する。一方、分周信号の入力がHSYNCの入力より早い場合、すなわち分周信号の周波数が高い場合、位相差が生じている期間に負の定電流を出力する。
【0042】
積分器702は、位相コンパレータ701から出力される電流を積分して、電圧をVCXO703に供給する。
【0043】
このように、PLL調整部506では、入力されたHSYNCと分周信号の位相差に基づいてVCXO703の発信周波数を制御する。このため、時間が経過すると、入力されたHSYNCと分周信号の周波数及び位相が一致する。
【0044】
同期信号出力部507では、PLL調整部506から出力される第3のピクセルクロックを元に、第4のHSYNC信号及び第4のVSYNC信号のタイミングをトリガにして第2の映像同期信号を生成し、出力する。
【0045】
このように本実施形態では、映像同期システム100は、第1の同期信号の入力を受ける映像同期装置200と、第1の同期信号に同期して第2の同期信号を出力する映像同期装置500とを含む。映像同期装置200と映像同期装置500は、IPネットワーク102を介して通信可能に構成される。そして、IPネットワーク102には、PTPグランドマスタクロック101が存在し、映像同期装置200と映像同期装置500はPTPによって時刻同期するように構成される。
【0046】
映像同期装置200は、第1の映像同期信号から同期フォーマットを検出し、第1の映像同期信号と時刻同期をもとに生成する第1の基準信号とを比較することで位相差情報を生成する。そして、映像同期装置500に(i)同期フォーマットと(ii)位相差情報とを伝送する。映像同期装置500は、同期フォーマットと一致し、時刻同期をもとに生成する第2の基準信号に対して、位相差情報をもとに位相をオフセットした第2の映像同期信号を出力可能である。このようにすることで、グランドマスタクロックの時刻を調整することなく、第1の映像同期信号と第2の映像同期信号のフレーム同期を取ることができる。
【0047】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。実施形態2では、映像同期装置200のシステム制御部208は、位相差検出部203が算出するHSYNCおよびVSYNCの位相差変化量が一定であるか否かに応じて、ネットワーク通信部207から送信する位相差データの送信タイミングを変更する。このようにすることで、映像同期装置200と映像同期装置500の間のIPパケット数を低減させることが可能になる。
【0048】
なお、本実施形態では、映像同期装置200のシステム制御部208が位相差変化量パケットの送信タイミングを変更する点が実施形態1と異なる。しかし、本実施形態に係る映像同期装置200と映像同期装置500の構成は、実施形態1で上述した構成と同一又は実質的に同一であってよい。このため、実施形態1と同一又は実質的に同一な構成については、同一の参照符号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
【0049】
(位相差変化量パケットの送信タイミングを変更する処理に係る一連の動作)
図8を参照して、映像同期装置200のシステム制御部208が位相差変化量パケットの送信タイミングを変更する処理に係る一連の動作について説明する。なお、本処理は、特段の記載がない限り、システム制御部208において、1つ以上のプロセッサが不揮発性メモリに記憶されているプログラムを揮発性メモリに展開、実行して映像同期装置200の各部を制御することにより実現される。また、本処理は、同期信号入力部201が映像同期信号を入力して、HSYNC信号及びVSYNC信号を抽出し、さらに、ネットワーク通信部207からのパケットにより時刻同期が確立したことを契機として、開始される。
【0050】
S801にて、位相差検出部203は、位相差情報をサンプリングする。具体的には、位相差検出部203は、位相差情報を予め定められた間隔でシステム制御部208に送信する。S802にて、システム制御部208は、受信した複数の位相差情報から位相差が一定(すなわち位相差の変化が所定範囲内)であるか否かを判定する。システム制御部208は、位相差が一定であると判定した場合、位相差変化なしを示す情報をネットワーク通信部207に送信してS803に遷移する。一方、システム制御部208は、位相差が一定ではない(すなわち位相差の変化が所定範囲より大きい)と判定した場合、位相差変化ありを示す情報をネットワーク通信部207に送信してS804に遷移する。
【0051】
S803にて、システム制御部208は、位相差に変化がないため、映像同期装置500に対して位相差情報を伝送するIPパケットの数を減らすように、ネットワーク通信部207を制御する。ここでは、システム制御部208は、VSYNCのタイミングでのみ位相差情報を映像同期装置500に送信する。その後、システム制御部208は、本処理を終了する。
【0052】
S804にて、システム制御部208は、位相差に変化があるため、映像同期装置500に対して位相差情報を伝送するIPパケットの数を減らさないように、ネットワーク通信部207を制御する。ここでは、システム制御部208は、HSYNCおよびVSYNCのタイミングで位相差情報を映像同期装置500に送信する。システム制御部208は、その後、本処理を終了する。なお、上述の例では、位相差情報を伝送するタイミングをHSYNCおよびVSYNCのタイミングのみとしたが、別のタイミングを使用して伝送してもよい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、映像同期装置200において、位相差が一定である場合には、映像同期装置500に対して位相差情報を伝送するパケットの数を減らすように制御する。このようにすることで、映像同期装置200と映像同期装置500の間のパケット数を低減し、ネットワーク帯域を有効に使用することができる。
【0054】
<実施形態3>
次に、実施形態3について説明する。上述した実施形態では、映像同期装置500は、映像同期装置200からの位相差情報を用いて位相差調整を実施する。この位相差調整を行う際の基準となる第3のVSYNC信号の立上りエッジのタイミングの時刻は、映像同期装置200がVSYNC位相差を検出した第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミングの時刻より、必ず過去となる。
【0055】
この位相差情報は、第3のVSYNC信号の立上りエッジと同一タイミングであり、映像同期装置200での第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミングである、最小でも1つ前の立上りエッジと、第1のVSYNC信号の立上りエッジとの位相差を示す。
【0056】
一方、信号発生源103から入力される第1の映像同期信号と、映像同期装置200における基準信号生成部205が生成する第1の基準信号とは非同期であるため、位相差は一定ではなく、時間の経過により変化する場合がある。
【0057】
つまり、映像同期装置200と映像同期装置500との間で、同一時刻のVSYNC信号の立上りエッジにおける位相差が異なることになる。そして、映像同期装置200が入力する第1の映像同期信号と映像同期装置500が出力する第2の映像同期信号とで、位相差が発生することになる。また、映像同期装置200と映像同期装置500との間のネットワークレイテンシが大きくなり、位相差情報の伝送遅延が大きくなれば、第1の映像同期信号と第2の映像同期信号との位相差も大きくなる。
【0058】
そこで、実施形態3では、映像同期装置900が、過去の位相差情報に基づいて将来の位相差を予測し、予測した位相差を位相差情報として映像同期装置1200に伝送する。また、本実施形態に係る映像同期装置1200は、映像同期装置900が予測した位相差を含む位相差情報に基づき、第2の基準信号にオフセットをかけ、位相調整を行い、第2の映像同期信号を出力する。
【0059】
(映像同期装置900の構成)
まず、図9を参照して、本実施形態における映像同期装置900の機能構成例について説明する。なお、映像同期装置900は、位相差検出部901と基準信号生成部902の構成が上述の実施形態と異なるが、他の構成及び動作は上述の実施形態と同一又は実質的に同一であってよい。このため、上述の実施形態1と同様な構成及び動作については、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
基準信号生成部902は、基準信号の他にタイムスタンプに基づいた時刻情報を、位相差検出部901に出力する。位相差検出部901は、検出した位相差と過去の位相差とを用いて将来の位相差を予測する。また、位相差検出部901は、基準信号生成部902から入力する時刻情報に基づき、予測した位相差に対応する位相差時刻情報を生成する。そして、位相差検出部901は、予測した位相差と、予測した位相差に対応する位相差時刻情報とからなる位相差情報を、システム制御部208へ通知する。
【0061】
位相差時刻情報は、基準信号生成部902から入力される時刻情報と、位相差を検出するVSYNC信号の立上りエッジのタイミングとから、予測した位相差が検出されるであろうVSYNC信号の立上りエッジのタイミングを示す時刻情報である。また、位相差検出部901は、複数の位相差時刻情報とその位相差時刻情報に対応する予測した位相差を位相差情報としてシステム制御部208へ通知する。
【0062】
次に、図10を参照して、位相差検出部901における将来の位相差を予測する処理について説明する。図10は、変化が線形である場合の位相差の時間変化を示している。この図は、縦軸を位相差1001、横軸を時刻1014とし、位相差検出部901において、位相差を検出した第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻t1009、検出した現在の位相差d1006を示す。
【0063】
また、図10では、過去の位相差dn-1を1007、過去の位相差を検出した第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻tn-1を1008として示している。更に、将来の位相差dn+1~dn+3をそれぞれ1005~1003として示し、将来の位相差で検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻tn+1~tn+3をそれぞれ1010~1012で示している。
【0064】
最大位相差dcons(すなわち1002)は、第1のVSYNC信号と第2のVSYNC信号との位相差がゼロ(同位相)の状態であるが、将来の位相差を予測する算出式に用いるため、VSYNC信号の立上りエッジ間の位相を最大位相差として示す。また、最大位相差dconsとなる時刻tcons(すなわち1013)は、以下の算出式(式1)により算出される。
【0065】
【数1】
【0066】
そして、将来の位相差予測は、後述の算出式を用いて算出する。但し、将来の位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻が、tconsより大きいか小さいかにより、算出式が異なる。
【0067】
まず、将来の位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻が、tconsより小さい場合は、以下の算出式(式2)に従う。
【0068】
【数2】
【0069】
一方、将来の位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻が、tconsより大きい場合には、以下の算出式(式3)に従う。
【0070】
【数3】
【0071】
なお、上述の算出式は、将来の位相差dn+1を算出する場合を例に示した。しかし、将来の位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻をtn+2、tn+3に置き換えることにより、将来の位相差dn+2、dn+3を算出することもできる。
【0072】
次に、位相差検出部901における、将来の位相差を予測する一連の動作について、図11を参照して説明する。なお、本処理は、位相差検出部901を構成するためのハードウェアによって実現されててもよいし、不揮発性メモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0073】
S1100では、位相差検出部901は、予測する位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻がtconsより小さいか否かを判定する。位相差検出部901は、当該タイミング時刻がtconsより小さいと判定した場合には処理をS1101に進め、そうでない場合には処理をS1102に進める。
【0074】
S1102では、位相差検出部901は、予測する位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻がtconsより小さい場合は、上述の算出式(式2)を用いて位相差の予測値を算出する。位相差検出部901は、その後、本動作を終了する。
【0075】
S1103では、位相差検出部901は、予測する位相差が検出されるであろう第2のVSYNC信号の立上りエッジのタイミング時刻がtconsより大きい場合、上述の算出式(式3)を用いて位相差の予測値を算出し、その後、本動作を終了する。
【0076】
(映像同期装置1200の構成)
次に、本実施形態における映像同期装置1200の機能構成例について、図12を参照して説明する。なお、映像同期装置900と同様、上述の実施形態と同一又は実質的に同一の構成および動作については同一符号を付し、説明を省略する。
【0077】
位相調整部1201は、位相差情報から次に位相調整を行うタイミング時刻に一致する位相差時刻情報を取得する。そして、位相調整部1201は、取得した位相差時刻情報に対応する位相差を用いて位相調整を行う。
【0078】
図13を参照して、位相調整部1201における、予測した位相差を用いて位相を調整する一連の動作について説明する。
【0079】
S1300では、位相調整部1201は、位相差情報から、次に位相調整を行うタイミング時刻に一致した位相差時刻情報を取得する。S1301では、位相調整部1201は、取得した位相差時刻情報に対応する予測した位相差を用いて、位相調整を行う。そして、位相調整部1201は、予測した位相差を用いて位相を調整する動作を終了する。
【0080】
以上説明したように本実施形態では、第1の映像同期装置が検出した位相差と過去の位相差とを用いて将来の位相差を予測し、予測した位相差と、予測した位相差が検出されるであろうタイミング時刻を位相差時刻情報とを各々複数、映像同期装置に送信する。このようにすることで、第1の映像同期装置と第2の映像同期装置との間で、同一時刻の第1のVSYNC信号と第2のVSYNC信号の立上りエッジにおける位相差が一致する。このため、第1の映像同期装置が入力する第1の映像同期信号と、第2の映像同期装置が出力する第2の映像同期信号との位相が一致するようになる。さらには、予測した位相差を複数伝送することにより、第1の映像同期装置と第2の映像同期装置間とのネットワークレイテンシが大きくなっても、位相差の発生を抑制することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、VSYNC信号の位相差を例に説明したが、HSYNC信号も同様に実施しても良い。また、本実施形態では、第1の映像同期装置において、将来の位相差を予測する場合を例に説明した。しかし、過去の位相差を含め、同様の情報を第2の映像同期装置も保有しているため、第2の映像同期装置にて将来の位相差を予測する構成としても良い。
【0082】
<実施形態4>
次に、実施形態4について説明する。図14は、実施形態4における映像同期システム1400の構成例を示している。この映像同期システム1400では、映像同期装置500aと映像同期装置500bには、それぞれ撮影装置104aと撮影装置104bが接続される。一方、映像同期装置1401(第3の映像同期装置ともいう)には撮影装置104cが接続され、各々第2の映像同期信号を出力する。なお、上述の実施形態と同一又は実質的に同一の構成には、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
以下、映像同期装置1401の機能構成例および動作について説明する。図15は、映像同期装置1401の機能構成例を示している。映像同期装置1401は、映像同期装置500と比較して、伝送検出部1501と位相差変化量記憶部1502をさらに有する点が異なる。
【0084】
位相差変化量記憶部1502は、映像同期装置200におけるネットワーク通信部207より伝送された位相差及び位相差変化量の情報に応じて、単位時間あたりの位相差変化量を記憶する。なお、位相差変化量記憶部1502は不揮発性メモリを含んでもよいし、映像同期装置1401内の不揮発性メモリへの位相差変化量の書き込みと読み出しを制御する手段として構成されてもよい。
【0085】
伝送検出部1501は、映像同期装置200のネットワーク通信部207より伝送されたデータが異常であることを検出すると、映像同期装置1401の位相差変化量記憶部1502が記憶した単位時間あたりの位相差変化量に応じて位相差を算出する。更に、システム制御部508を制御して、ネットワーク通信部501を介して映像同期装置500a及び500bにマルチキャストストリーム伝送を行わせる。
【0086】
次に、図16を参照して、映像同期装置1401における、位相差情報の伝送処理の動作について説明をする。なお、本処理は、特段の記載がない限り、映像同期装置1401のシステム制御部508が不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリに展開、実行して、映像同期装置1401の各部を制御することにより実現される。
【0087】
S1601では、映像同期装置1401は、映像同期装置500a及び500bとともに映像同期装置200が伝送する位相差及び位相差変化量情報取得を取得する。このとき、システム制御部508は、映像同期装置200のネットワーク通信部207より伝送されたデータを正常に取得しているか否かを判定する。システム制御部508は、映像同期装置200から伝送されたデータの取得に成功した場合にはS1602に処理を進め、データの取得に失敗した場合にはS1605に処理を進める。
【0088】
映像同期装置200から伝送されたデータを取得することができる正常状態において、S1602では、システム制御部508は、取得した位相差情報に基づいて位相調整を行う。更に、S1603において、システム制御部508は、位相差変化量情報に基づいて単位時間あたりの位相差変化量を算出し、算出した単位時間あたりの位相差変化量を、例えば位相差変化量記憶部1502を介して保存する。
【0089】
一方、通信異常等により、映像同期装置200から伝送されたデータの取得に失敗した場合において、S1605では、システム制御部508は、例えば位相差変化量記憶部1502を介して保存した単位時間当たりの位相変化量を読み出す。更に、S1506では、システム制御部508は、位相差情報を伝送する時期に応じた位相差情報を算出し、S1607において、映像同期装置500a及び500bに対して位相差情報を伝送する。システム制御部508は、位相差情報を伝達するとその後処理を終了する。
【0090】
以上説明したように本実施形態では、映像同期装置200との通信に異常等が発生した場合に、映像同期装置1401が過去に取得して保存した単位時間あたりの位相変化情報に基づいて、映像同期装置500a及び500bに対して位相差情報を伝送する。このようにすることで、映像同期装置200との通信に異常等が発生した場合にも映像伝送における画像の乱れを防止または緩和することができる。
【0091】
<実施形態5>
次に、実施形態5について説明する。実施形態4では、映像同期装置200との通信において正常に受信することができない場合に、映像同期装置1401が映像同期装置500に対して位相差情報を伝送する例を示した。映像同期装置200との通信が正常に行えない状態から通信が復旧した場合には、映像同期装置200が位相差情報を送信する状態に戻ることになる。このとき、映像同期装置200に入力される映像同期信号と映像同期装置500が出力する映像同期信号の間に位相差が発生している可能性がある。そのような場合に、撮影中に、映像同期装置200が送信する位相差情報に従って映像同期装置500が映像同期信号の位相調整を行うと、映像同期信号が周期が急激に変化し、撮影に支障が出ることも考えられる。そのため、本実施形態では、上記のような場合でも撮影への影響を低減するようにした映像同期装置500の例について説明する。
【0092】
以下、本実施形態の映像同期装置500の機能構成例および動作について説明する。なお、本実施形態の映像同期装置500の構成は、実施形態1において図5に示した構成と同一であるが、位相調整部505の動作が実施形態1とは異なる。このため、上述の実施形態と同一又は実質的に同一の構成については同一の参照符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態では、位相調整部を505として参照するが、その内部構成については、新たな参照番号1701~1703を付して後述する。実施形態1では、位相調整部505が、第3のVSYNCと第3のHSYNCに基づいて第4のHSYNCを生成し、第4のHSYNCからピクセルクロックを生成する例を示した。一方、本実施形態における位相調整部505は、第3のVSYNCのみを用いてピクセルクロックを生成する例を示す。
【0093】
図17には、本実施形態に係る位相調整部505の機能構成例を示している。本実施形態の位相調整部505は、位相オフセット部1701、位相差比較部1702、オフセット調整部1703を含む。
【0094】
位相オフセット部1701は、受信した位相差情報に基づいて第3のVSYNCの位相をオフセットして出力する。位相差比較部1702は、オフセット後の第3のVSYNCと、同期信号出力部507から出力される出力VSYNCの位相差を検出する。そして、位相差比較部1702は、位相差の絶対値が所定の第1の閾値以内であるかどうかを判定し、結果をオフセット調整部1703へ出力する。所定の第1の閾値は、(予め実験等により定めた)撮影に支障が出ない映像同期信号の変動範囲の値とすればよく、例えば、映像同期信号の周期の40ppmの値などである。
【0095】
オフセット調整部1703は、位相差比較部1702で検出した位相差が所定の第1の閾値未満の場合には、位相オフセット部1701から出力されるオフセット後の第3のVSYNCをそのままPLL調整部506へリファレンスVSYNCとして出力する。
【0096】
一方、オフセット調整部1703は、位相差比較部1702で検出した位相差が所定の第1の閾値以上である場合には、次のようにしてオフセット後の第3のVSYNCのオフセット量を調整しリファレンスVSYNCとして出力する。
【0097】
まず、オフセット調整部1703は、第3のVSYNCの周期とオフセット後の第3のVSYNCの周期の差である周期の偏差を算出する。そして、周期の偏差の絶対値が所定の第2の閾値にくらべ十分に小さい場合には、偏差と同じ符号を第2の閾値に掛けてオフセット調整値とする。すなわち、例えば、第3のVSYNCの周期よりオフセット後の第3のVSYNCの周期が長く周期の偏差が正の値である場合は、正の値の第2の閾値をオフセット調整値とする。逆に、周期の偏差の絶対値が大きく所定の第2の閾値に近い場合には、偏差とは逆の符号を第2の閾値に掛けてオフセット調整値とする。すなわち、第3のVSYNCの周期よりオフセット後の第3のVSYNCの周期が長く、周期の偏差が正の値である場合には、負の値の第2の閾値をオフセット調整値とする。なお、周期の偏差に応じてオフセット調整値の正負(符号)を制御するのは、周期の偏差が第2の閾値に近い場合に、位相が一致する(位相差が第1の閾値以内になる)までの時間が長くなることを防ぐためである。なお、第2の閾値は第1の閾値と同じ値にすることができる。
【0098】
図18(a)及び(b)を参照して、オフセット調整部1703における、オフセット調整値の決定処理の動作を説明する。図18(a)及び(b)における、図の縦軸は位相差、横軸は時間、線の傾きは周期の偏差を示している。破線は受信した位相差情報の値を、実線は第3のVSYNCと同期信号出力部507から出力される出力VSYNCの位相差を示す。
【0099】
図18(a)では、第3のVSYNCの周期とオフセット後の第3のVSYNCの周期の差である周期の偏差が小さい場合の例を示している。図18(a)から把握できるように、周期の偏差が小さい場合には、周期の偏差と同じ符号の位相オフセット調整量を与えると短時間で位相が一致する。
【0100】
一方、図18の(b)は、第3のVSYNCの周期とオフセット後の第3のVSYNCの周期の差である周期の偏差が大きい場合の例を示している。この場合、一点鎖線で示すように、周期の偏差と同じ符号の位相オフセット調整量を与えると、長時間位相が一致しないことがわかる。そのため、本実施形態のオフセット調整部1703は、周期の偏差と逆の符号の位相オフセット調整量を与えて、実線で示すように短時間で位相を一致させる。
【0101】
オフセット調整部1703は、決定した位相オフセット調整量に基づいて同期信号出力部507から出力される出力VSYNCの位相を、オフセットしリファレンスVSYNCとしてPLL調整部506へ出力する。
【0102】
次に、本実施形態の映像同期装置500における位相調整の一連の動作を、図19を参照して、説明する。なお、本処理は、特段の記載がない限り、映像同期装置500のシステム制御部508が不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリに展開、実行して、映像同期装置500の各部を制御することにより実現される。また、位相調整部505、PLL調整部506及び同期信号出力部507による動作は、それぞれを構成するハードウェアによって実現されてもよいし、プログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0103】
S1901では、位相オフセット部1701は、受信した位相差情報に基づいて第3のVSYNCの位相をオフセットして出力する。
【0104】
S1902では、位相差比較部1702は、オフセット後の第3のVSYNCと、同期信号出力部507から出力される出力VSYNCとの位相差を検出し、位相差の絶対値が所定の第1の閾値以内であるかどうかを判定する。位相差比較部1702は、位相差の絶対値が所定の第1の閾値以内であると判定した場合には処理をS1903へ進め、位相差の絶対値が所定の第1の閾値以内ではないと判定した場合には処理をS1904へ進める。
【0105】
S1903では、オフセット調整部1703は、オフセット後の第3のVSYNCをリファレンスVSYNCとしてPLL調整部506へ出力する。S1904では、オフセット調整部1703は、第3のVSYNCの周期とオフセット後の第3のVSYNCの周期の差である周期の偏差を算出する。
【0106】
S1905では、オフセット調整部1703は、周期の偏差の絶対値と所定の第2の閾値とを比較する。オフセット調整部1703は、周期の偏差の絶対値が十分に小さい(周期の所定の閾値以下である)場合にはS1906に処理を進め、周期の偏差の絶対値が十分に小さくない(周期の所定の閾値より大きい)場合にはS1907へ処理を進める。
【0107】
S1906では、オフセット調整部1703は、偏差と同じ符号を第2の閾値に掛けて位相オフセット調整量として設定する。一方、S1907では、オフセット調整部1703は、偏差と逆の符号を第2の閾値にかけて位相オフセット調整量として設定する。
【0108】
S1908では、オフセット調整部1703は、設定した位相オフセット調整量に基づいて同期信号生成部から出力されるVSYNCの位相をオフセットし、PLLのリファレンス同期信号として出力する。
【0109】
S1909では、PLL調整部506は、PLLのリファレンス同期信号と同期信号生成部から出力されるVSYNCに基づいてクロック信号を生成する。S1910では、同期信号出力部507は、クロック信号から映像同期信号を生成して出力する。システム制御部508は、その後、本処理を終了する。
【0110】
なお、本実施形態では、位相差比較部1702において、位相差の絶対値が所定の第1の閾値を超える場合に位相差調整を制限して、出力する映像同期信号の変動を抑える例を示した。しかし、撮影中でない場合や、映像同期信号の変動を許容できる場合を更に判定し、これらの場合に位相差調整を制限しないようにすれば、位相が一致するまでの時間を短くすることもできる。
【0111】
以上説明した本実施形態では、位相差情報を送信する装置が切り替わった場合など、受信した位相差情報と同期信号出力部507から出力される出力VSYNCの位相差が所定の閾値より大きい場合にオフセット調整量を制限するようにした。したがって、同期信号出力部から出力される映像同期信号の周期の変動は所定の範囲内に抑えられ、撮影中でも撮影への影響を抑制することができる。また、第3のVSYNCの周期とオフセット後の第3のVSYNCの周期の差に基づいて、位相オフセット調整量の符号を決めるようにした。このようにすれば、周期の偏差が第2の閾値に近い場合に位相が一致する(位相差が第1の閾値以内になる)までの時間が長くなることを防ぐことができる。
【0112】
なお、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【0113】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0114】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0115】
200…映像同期装置、201…同期信号入力部、202…映像フォーマット検出部、203…位相差検出部、205…基準信号生成部、206…PTP制御部、207…ネットワーク通信部、208…システム制御部、500…映像同期装置、502…PTP制御部、503…基準信号生成部、505…位相調整部、507…同期信号出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19