(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】カートリッジユニット
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
G03G21/18 132
(21)【出願番号】P 2020102703
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小石 勇雄
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-282079(JP,A)
【文献】特開2010-256610(JP,A)
【文献】特開2016-042179(JP,A)
【文献】特開2011-191427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを保護するためのカバー部材であって前記装置本体に前記カートリッジを装着する際に前記カートリッジから取り外す必要があるカバー部材と、を含むカートリッジユニットであって、
前記カートリッジは、感光ドラムと、前記感光ドラムを回転可能に支持する枠体であって前記感光ドラムの外周面の一部を前記カートリッジの外部に露出させて且つ被係合部が設けられた枠体と、を備え、
前記カバー部材は、前記被係合部に係合する係合部
と、前記感光ドラムの前記外周面の前記一部を覆
うカバー部と、が一体的に形成されており、
前記カバー部材のうち少なくとも前記係合部及び前
記カバ
ー部における透光率が40%以上であることを特徴とするカートリッジユニット。
【請求項2】
前記被係合部は、前記感光ドラムの回転軸線の方向における前記枠体の端部に設けられており、
前記カバー部材は、前記回転軸線の方向において前記端部に対して外側に設けられた第1の壁部であって、前記回転軸線の方向に見たときに前記端部とオーバラップする第1の壁部と、前記回転軸線の方向と直交する方向に見たときに前記端部とオーバラップする第2の壁部と、を含み、
前記係合部は、前記回転軸線の方向において前記第1の壁部の内側に配置され、
前記第1の壁部と前記第2の壁部の透光率は、40%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジユニット。
【請求項3】
前記係合部は、前記回転軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップし、前記直交する方向に見たときに前記第2の壁部とオーバラップする、
ことを特徴とする請求項2に記載のカートリッジユニット。
【請求項4】
前記枠体は、前記装置本体に対する前記カートリッジの位置を決めるための被位置決め部を有し、
前記被位置決め部は、前記回転軸線の方向に延びる円筒部を有し、前記円筒部の外周面に前記被係合部を含み、前記円筒部の先端の少なくとも一部と前記被係合部が、前記回転
軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップする、
ことを特徴とする請求項3に記載のカートリッジユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記直交する方向に延びる係止腕と、前記係止腕の自由端側の先端に設けられ、前記直交する方向に突出した係止部と、を有し、
前記枠体は、前記回転軸線の方向に見たときに前記円筒部の半径方向において前記被係合部と反対側の前記外周面に設けられた被係止部であって、前記係止部が係止された被係止部を有し、
前記係止部と前記被係止部は、前記直交する方向に見たときに、前記係止腕とオーバラップする位置に設けられ、
前記係止腕と前記係止部の透光率は、40%以上である、
ことを特徴とする請求項4に記載のカートリッジユニット。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記直交する方向に延びる係止腕と、前記係止腕の自由端側の先端に設けられ、前記回転軸線の方向に突出する係止部と、を有し、
前記枠体は、前記回転軸線の方向に凹んだ凹形状部を有する被係止部であって、前記係止部が係止された被係止部を有し、
前記係止部と前記被係止部は、前記回転軸線の方向に見たときに、前記係止腕とオーバラップする位置にあり、
前記係止腕と前記係止部の透光率は、40%以上である、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項7】
前記枠体を第1の枠体とすると、
前記カートリッジは、
前記感光ドラムと、前記第1の枠体と、を有する第1のユニットと、
前記感光ドラムにトナーを供給するように構成された現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持する第2の枠体と、を有する第2のユニットと、
を備え、
前記カバー部材は、前記第1のユニットと前記第2のユニットの間に差し込まれるスペーサ部を有し、
前記スペーサ部は、前記第1のユニットと当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記回転軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップし、前記直交する方向に見たときに、前記第2の壁部とオーバラップする位置にある、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項8】
前記カバー部材の全体の材質は、ポリプロピレンであり、
前記カバー部材の材質色は、自然色である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項9】
前記カバー部材の全体の透光率が40%以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項10】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを保護するためのカバー部材であって前記装置本体に前記カートリッジを装着する際に前記カートリッジから取り外す必要があるカバー部材と、を含むカートリッジユニットであって、
前記カートリッジは、感光ドラムと、前記感光ドラムを回転可能に支持する枠体であって前記感光ドラムの外周面の一部を前記カートリッジの外部に露出させて且つ被係合部を有する枠体と、を備え、
前記カバー部材は、前記被係合部に係合する係合部を有し、前記感光ドラムの前記外周面の前記一部を覆っており、
前記カバー部材の全体の材質は、ポリプロピレンであり、
前記カバー部材の全体の材質色は、自然色である、
ことを特徴とするカートリッジユニット。
【請求項11】
前記被係合部は、前記感光ドラムの回転軸線の方向における前記枠体の端部に設けられており、
前記カバー部材は、前記回転軸線の方向において前記端部に対して外側に設けられた第1壁部であって、前記回転軸線の方向に見たときに前記端部とオーバラップする第1の壁部と、前記回転軸線の方向と直交する方向に見たときに前記端部とオーバラップする第2の壁部と、を含み、
前記係合部は、前記回転軸線の方向において前記第1の壁部の内側に配置されている、ことを特徴とする請求項10に記載のカートリッジユニット。
【請求項12】
前記係合部は、前記回転軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップし、前記直交する方向に見たときに前記第2の壁部とオーバラップする、
ことを特徴とする請求項11に記載のカートリッジユニット。
【請求項13】
前記枠体は、前記装置本体に対する前記カートリッジの位置を決めるための被位置決め部を有し、
前記被位置決め部は、前記回転軸線の方向に延びる円筒部を有し、前記円筒部の外周面に前記被係合部を含み、前記円筒部の先端の少なくとも一部と前記被係合部が、前記回転軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップする、
ことを特徴とする請求項12に記載のカートリッジユニット。
【請求項14】
前記カバー部材は、前記直交する方向に延びる係止腕と、前記係止腕の自由端側の先端に設けられ、前記直交する方向に突出した係止部と、を有し、
前記枠体は、前記回転軸線の方向に見たときに前記円筒部の半径方向において前記被係合部と反対側の前記外周面に設けられた被係止部であって、前記係止部が係止された被係止部を有し、
前記係止部と前記被係止部は、前記直交する方向に見たときに、前記係止腕とオーバラップする位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項13に記載のカートリッジユニット。
【請求項15】
前記カバー部材は、前記直交する方向に延びる係止腕と、前記係止腕の自由端側の先端に設けられ、前記回転軸線の方向に突出する係止部と、を有し、
前記枠体は、前記回転軸線の方向に凹んだ凹形状部を有する被係止部であって、前記係止部が係止された被係止部を有し、
前記係止部と前記被係止部は、前記回転軸線の方向に見たときに、前記係止腕とオーバラップする位置にある、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項16】
前記枠体を第1の枠体とすると、
前記カートリッジは、
前記感光ドラムと、前記第1の枠体と、を有する第1のユニットと、
前記感光ドラムにトナーを供給するように構成された現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持する第2の枠体と、を有する第2のユニットと、
を備え、
前記カバー部材は、前記第1のユニットと前記第2のユニットの間に差し込まれるスペーサ部を有し、
前記スペーサ部は、前記第1のユニットと当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記回転軸線の方向に見たときに前記第1の壁部とオーバラップし、前記直交する方向に見たときに、前記第2の壁部とオーバラップする位置にある、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に着脱可能なカートリッジの保護組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、プロセスカートリッジ方式の装置構成が知られている。すなわち、トナー補給やメンテナンスを容易にするために、感光体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段などを枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしたものが実用化されている。
【0003】
プロセスカートリッジのクリーニング枠体には、感光体が回転可能に支持されており、感光体の表面の一部が枠体の開口から露出した構成となる。そのためユーザが感光体の表面に接触する可能性がある。ユーザが感光体の表面に接触すると、手脂等が感光体の表面に付着し、画像弊害が発生するおそれがある。ユーザの感光体の表面への接触を防止するために感光体の表面をカバー部材により覆う場合がある。カバー部材は、防塵及びユーザの接触を防止する役割を持つ。
【0004】
またジャム処理等のメンテナンスをする際、一度本体に装着したカートリッジを抜いて、本体外で一時保管する場合がある。その際、ユーザがカバー部材を再度付け直す可能性が挙げられる。この場合も前述と同様に、感光体の表面をカバー部材により覆うことで、防塵及びユーザの接触を防止することができる。ユーザが誤って感光体の表面に接触するリスクを更に低減するために、特許文献1では、カバー部材と、カバー部材に取り付けられたシート部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のカバー部材は、一度外した後に再度カートリッジに付け直すことができる。
【0007】
本発明の目的は、カートリッジに対するカバー部材の着脱の作業性を向上させることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のカートリッジユニットは、
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを保護するためのカバー部材であって前記装置本体に前記カートリッジを装着する際に前記カートリッジから取り外す必要があるカバー部材と、を含むカートリッジユニットであって、
前記カートリッジは、感光ドラムと、前記感光ドラムを回転可能に支持する枠体であって前記感光ドラムの外周面の一部を前記カートリッジの外部に露出させて且つ被係合部が設けられた枠体と、を備え、
前記カバー部材は、前記被係合部に係合する係合部と、前記感光ドラムの前記外周面の前記一部を覆うカバー部と、が一体的に形成されており、
前記カバー部材のうち少なくとも前記係合部及び前記カバー部における透光率が40%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カートリッジに対するカバー部材の着脱の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係るカートリッジ保護組立体の斜視図
【
図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置の断面図
【
図3】本発明の実施例1に係るカートリッジの断面図
【
図4】本発明の実施例1に係るカートリッジの分解斜視図
【
図5】本発明の実施例1に係るカートリッジの分解斜視図
【
図6】本発明の実施例1に係る画像形成装置の断面図
【
図7】本発明の実施例1に係る画像形成装置の断面図
【
図8】本発明の実施例1に係る画像形成装置の斜視図と部分斜視図
【
図9】本発明の実施例1に係るカートリッジとカバー部材の斜視図
【
図10】本発明の実施例1に係るカートリッジの正面図
【
図11】本発明の実施例1に係るカートリッジの側面図
【
図12】本発明の実施例1に係るカートリッジの側面図と部分断面図
【
図15】本発明の実施例2に係るカートリッジの正面図
【
図16】本発明の実施例2に係るカートリッジの部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
(実施例1)
電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、この電子写真感光体に作用するプロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着されるものである。例えば、電子写真感光体と、前記プロセス手段としての、現像手段、帯電手段、クリーニング手段の少なくとも一つを一体的にカートリッジ化したものが挙げられる。また、電子写真感光体と現像手段とをそれぞれカートリッジ化し、前者を感光体ユニット(もしくはクリーニングユニット)とし、後者を現像ユニットとする場合がある。なお、以下の説明では、電子写真感光体ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置本体から電子写真感光体ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0013】
図2および
図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態である電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記載する)Bの断面図である。
図3は、カートリッジBの断面図である。ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。
【0014】
<電子写真画像形成装置全体構成>
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光体ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光体ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。
【0015】
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0016】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光体ドラム(以下感光体ドラム62、あるいは単に感光体62、ドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0017】
バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する(
図3参照)。露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザー開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0018】
一方、
図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
【0019】
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
【0020】
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。また、
図2に示すように、レーザー光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
【0021】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0022】
一方、
図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナークリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光体ドラム62を有する感光体ドラムユニットである。
【0023】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0024】
<カートリッジ全体構成>
次にカートリッジBの全体構成について
図3、
図4、
図5を用いて説明する。
図3は、カートリッジBの断面図、
図4、
図5は、カートリッジBの構成を説明する分解斜視図である。なお、本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0025】
カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
【0026】
図3に示すように、第1のユニットとしてのクリーニングユニット60は、第1の回転体としてのドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持する第1の枠体としてのクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される(
図4参照)。広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0027】
非駆動側において、
図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)を回転可能に支持される構成となっている。各ドラムフランジは軸受部によって回転可能に支持される被軸受部である。
【0028】
図3に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向Rの上流側を向くようにドラム62に当接している。
【0029】
クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。また、
図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0030】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線が延びる方向(軸線方向)と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向を意図する。帯電ロー
ラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
【0031】
図3に示すように、第2のユニットとしての現像ユニット20は、第2の回転体としての現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する第2の枠体としての現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(
図4)、27(
図5)により回転可能に現像容器23に取り付けられている。
【0032】
また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。
図4、
図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微小隙間をもって保持される。
【0033】
また、
図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように現像容器23の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0034】
図4、
図5に示すように、カートリッジBは、クリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。現像ユニット20とクリーニングユニット60の結合の際には、まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。即ち、ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0035】
本実施例においては非駆動側付勢部材46L(
図5)、駆動側付勢部材46R(
図4)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、駆動側付勢部材46Lと非駆動側付勢部材46Rが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢させることで現像ローラ32をドラム62の方向へ確実に押し付けるよう構成する。さらに、現像容器23は、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を備えている。即ち、ドラム62と現像ローラ32が間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することで、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持され、それぞれの相対位置が決まる。
【0036】
<カートリッジ装着>
次にカートリッジBの装着について、
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)を用いて具体的に説明する。
図6(a)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの駆動側ガイド部の断面図であり、
図6(b)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの非駆動側ガイド部の断面図である。
図7(a)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの駆動側断面図である。
図7(b)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの非駆動側断面図である。
【0037】
カートリッジBの装着の説明をする。
図6(a)、
図6(b)に示すように、第1駆動
側板15は、ガイドとしてのガイドレール上15gとガイドレール15hとを有しており、非駆動側板16はガイドレール上16dとガイドレール16eとを有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。なおカートリッジBの装着方向は、ドラム62(
図3)の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。
【0038】
また、クリーニング枠体71は、長手方向において非駆動側に、第1位置決め部としての被位置決め部71dと、第2位置決め部としての被回転止め部71fとを有している。カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着すると、カートリッジBの駆動側は、カートリッジBの被回転止め部73cとが装置本体Aのガイドレール15hにガイドされる。カートリッジBの非駆動側は、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとが、装置本体Aのガイドレール16dとガイドレール16eとにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
【0039】
次に、開閉扉13を閉じる状態を説明する。
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)に示すように、第1駆動側板15は、位置決めとしての位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cを有しており、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部上16cを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部上(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部下(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。
【0040】
また、カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ19、21は、それぞれ画像形成装置Aに設けられた前板の長手方向において両端に取り付けられている。ドラム軸受73は付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体71は非駆動側にて被押圧部71oを有す(
図3参照)。開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19、21によって付勢されたカートリッジ押圧部材1、2によって押圧される(
図7参照)。
【0041】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部上73dと被位置決め部下73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに固定される。この結果、カートリッジBやドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これによって非駆動側にてカートリッジBやドラム62が位置決めされる。
【0042】
これまで、装置本体Aに対して、カートリッジBの位置を決める構成の一例として記載したが、位置決めとしての手段を限定する趣旨の記載ではない。カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d、被回転止め部73f、及び、非駆動側の被位置決め部71d、被回転止め部71fに直接作用して、位置決め部それぞれを固定する構成でも良い。
【0043】
次に、カートリッジBが装置本体Aから駆動力を受ける構成について、
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)、
図8(d)を用いて説明する。
図8(a)は、装置本体Aの駆動部の構成を示す図で、
図8(b)は、カートリッジBの駆動部の構成を示す図である。
図8(c)は、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合する前の状態を示す図である。
図8(d)は、装置本体Aの電源が入って、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合した状態を示す図である。
【0044】
図8(a)に示すように、装置本体Aには、装置本体Aの駆動源(不図示)から駆動力
を受けて、カートリッジBに駆動力を伝達する駆動伝達部材81が設けられている。また、
図8(b)に示すように、カートリッジBには、駆動伝達部材81と係合して駆動力を受けるために、駆動側ドラムフランジ63に駆動受動部63bを設けている。ここで、開閉扉13を閉じて、装置本体Aの電源を入れると、駆動伝達部材81は、
図8(c)の矢印E方向に移動する。そして、
図8(d)のように、駆動伝達部材81の駆動伝達部81bと、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bとが係合し、駆動側ドラムフランジ63を介して、ドラム62が回動する。
【0045】
また、駆動伝達部材81の外周部には歯車形状81gが設けられている。さらに、カートリッジBの現像ローラ32の端部には現像ローラギア90が結合されている。そして、
図8(d)に示した駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bが係合した状態のとき、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gと現像ローラギア90も噛合うように配置される。即ち、駆動伝達部材81によって、駆動側ドラムフランジを介してドラム62が回動すると同時に、現像ローラギア90を介して現像ローラ32も回動する。
【0046】
<カバー部材>
図1と
図9を用いて、本実施例における特徴的なカバー部材について、具体的に説明する。
図1、
図9は、本実施例におけるカートリッジBとカバー部材1001を示したものである。
図1は、カートリッジBにカバー部材1001を組み付けた状態を、
図9は、カートリッジBにカバー部材1001を組み付ける前の状態を示している。
図1に示すように装置本体Aから取り外された状態のカートリッジBにカバー部材1001を組付けた構成態様を、カートリッジBを保護するためのカートリッジ保護組立体と称する。
【0047】
カートリッジ全体構成で前述したように、図中右下は軸受27を有する非駆動側を、図中左上はドラム軸受73を有する駆動側を示している。カートリッジBのクリーニング枠体71には、感光体62が回転可能に支持されており、感光体62の表面の一部が枠体71の開口71aから露出した構成となる(
図3参照)。そのため、例えば、ユーザの手が感光体62の表面に接触する可能性がある。ユーザの手が感光体62の表面に接触すると、手脂等が感光体62の表面に付着し、画像弊害が発生するおそれがある。
【0048】
ユーザの手等が感光体62の表面へ接触するのを防止するために、購入時には、感光体62の表面をカバー部材1001により覆った状態、すなわち、保護組立体の態様で出荷している(
図1参照)。カバー部材1001は、防塵及びユーザの感光体62への接触を防止する役割を持つ。また、何か物に当ててしまうことから感光体62を保護する役割を持つ。
【0049】
また、ジャム処理等のメンテナンスをする際、一度装置本体Aに装着したカートリッジBを抜いて、カートリッジBを装置本体Aの外で一時的に保管する場合がある。その際、ユーザがカバー部材1001をカートリッジBに再度付け直す可能性が考えられる(
図9参照)。この場合も前述と同様に、感光体62の表面をカバー部材1001により覆うことで、防塵及びユーザの接触を防止することができる。
【0050】
カバー部材1001は、カートリッジBの長手方向(感光体62の軸線方向)に沿った形状を有し、その両端部に、カートリッジBの端部の外径形状に適合した形状の凹状部1020、1030を有している。カバー部材1001の一方の端部に設けられた第一の凹状部1020は、カートリッジBの一方の端部であるクリーニング枠体71の非駆動側端部の形状に適合した形状を有している。第一の凹状部1020は、クリーニング枠体71の非駆動側端部に対して、上記長手方向に対向する第1の壁部1021と、上記長手方向と直交する方向に対向する第2の壁部1022と、を含み、上記非駆動側端部の外形の一部を覆う形状構成となっている。同様に、カバー部材1001の他方の端部に設けられた
第二の凹状部1030は、カートリッジBの他方の端部であるクリーニング枠体71の駆動側端部の形状に適合した形状を有している。第二の凹状部1030は、クリーニング枠体71の駆動側端部に対して、上記長手方向に対向する第1の壁部1031と、上記長手方向と直交する方向に対向する第2の壁部1032と、を含み、上記駆動側端部の外形の一部を覆う形状構成となっている。
【0051】
以下、カバー部材1001のカートリッジBへの位置決め及びカバー部材1001のカートリッジBへの装着手順について説明する。位置決め構成に関して、
図10、
図11、
図12を用いて更に詳細に説明する。
図10は、本発明の実施例1に係るカートリッジBの正面図、
図11は、本発明の実施例1に係るカートリッジBの側面図、
図12は、本発明の実施例1に係るカートリッジBの側面図と部分断面図である。
図10は、カートリッジBにカバー部材1001を装着した状態の正面図であり、図中右側が非駆動側を、図中左側は駆動側を示している。
【0052】
図11を用いて、非駆動側におけるカバー部材1001のカートリッジBへの組み付けについて、説明する。
図11は、
図10における矢視Fであり、カートリッジBの非駆動側から見た側面図である。
図11(a)は、カバー部材1001組み付け前の状態を、
図11(b)は、カバー部材1001組み付け後の状態を示している。
【0053】
カートリッジBには、枠体71に設けられた、カートリッジBの長手方向に突出する円筒形状の被位置決め部71dの円筒表面に、その一部である被係合部71kと被係止部71mを併設している。カバー部材1001の非駆動側位置決め部1002には、円筒形状の係合部1002aと、係止腕1002bと、係止腕1002bの先端に三角爪形状の係止部1002cを有している。
【0054】
カバー部材(非駆動側)1002のカートリッジBへの取り付けは、
図11(a)に示すように、クリーニングユニット60と現像ユニット20を把持し、隙間Sが開くようにクリーニングユニット60と現像ユニット20を離間させる。そして、隙間Sに離間スペーサ部1002dを差し込む(隙間Sにおいて離間スペーサ部1002dをクリーニングユニット60と現像ユニット20とで挟む)ように、矢印K方向にカバー部材1001を組み付ける。
【0055】
同時に、被係合部71kが係合部1002aに嵌るよう狙ってカバー部材(非駆動側)1002を枠体71に組み付ける。カバー部材(非駆動側)1002には、誘い込み部1002e、1002fが設けられており、ユーザがカバー部材1001をカートリッジBへ容易に組み付けられるようにしている。
【0056】
組み付け途中においては、係止腕1002bが弾性変形により矢印M方向に撓み、被係止部71mを係止部1002cが乗り越える。係合部1002aが被係合部71kに突き当たり、カバー部材(非駆動側)1002の組み付けが完了する。乗り越えた係止部1002cは、被係止部71mと当接することにより、カバー部材1001の矢印Kと逆方向の外れを抑制するスナップフィット部として機能する。
【0057】
カバー部材(非駆動側)1002がカートリッジBに組み付けられた状態において、カバー部材(非駆動側)1002の係合部1002aは、第一の凹形状部1020の内側に設けられており、カバー部材(非駆動側)1002に隠れる配置となっている。すなわち、係合部1002aは、カートリッジBの長手方向に見たときに、第1の壁部1021に隠れる位置にあり、円筒形状の被位置決め部71dの先端部の一部と被係合部71kも第1の壁部1021に隠れた配置となる。係合部1002aはまた、上記長手方向と直交する方向においても、被係合部71kとは反対側から見たときには、第2の壁部1022に
隠れる位置となる。
【0058】
係止部1002cについても、カートリッジBの長手方向に対して直交する方向に延びる係止腕1002bの先端からさらに直交する方向に突出した凸形状を有し、上記直交する方向に見たときには、その見る角度によっては、係止腕1002bに隠れる。すなわち、上記直交する方向に見たときに係止部1002cと被係止部71mとの係止状態が係止腕1002bに隠れる配置となる角度を有している。
【0059】
円筒形状の被位置決め部71dの外周には、その一部として被係合部71kが設けられ、その裏側において同じく上記外周の一部として被係止部71mが設けられている。すなわち、カバー部材(非駆動側)1002は、被係合部71kとの係合状態と被係止部71mとの係止状態とが、上記長手方向と直交する方向に見たときに、カバー部材(非駆動側)1002に隠れた位置となる角度を広範囲に有する構成となっている。
【0060】
また、離間スペーサ部1002dについても、クリーニングユニット60との当接部が、上記長手方向に見たときに第1の壁部1021に隠れ、上記長手方向と直交する方向に見たときに、第2の壁部1022に隠れた位置となる角度を有している。
【0061】
図12は、
図10における矢視Gであり、カートリッジBを駆動側から見た側面図である。
図12(a)は、カバー部材1001組み付け前の状態を、
図12(b)は、カバー部材1001組み付け後の状態を示している。またそれぞれに対して、感光体62中心軸を公差する水平面で切断した、部分断面
図H-Hと部分断面
図J-Jを示している。
【0062】
カートリッジBには、枠体としてのドラム軸受73に、円筒形状(凸状の曲面形状)の被位置決め部上73dと被位置決め部下73fを、また凹形状の被係止部73gを有している。カバー部材1001の駆動側位置決め部1003には、円筒形状の係合部上1003aと係合部下1003bと、係止腕1003cの先端に三角爪形状の係止部1003dを有している(H-H断面)。
【0063】
カバー部材(駆動側)1003のカートリッジBへの取り付けは、
図12(a)に示すように、クリーニングユニット60と現像ユニット20を把持し、隙間Sが開くようにクリーニングユニット60と現像ユニット20を離間させる。そして、隙間Sに離間スペーサ部1003eを差し込む(隙間Sにおいて離間スペーサ部1003eをクリーニングユニット60と現像ユニット20とで挟む)ように、矢印L方向にカバー部材1001を組み付ける。
【0064】
同時に、被位置決め部上73dと被位置決め部下73fが、係合部上1003aと係合部下1003bに嵌るよう狙ってカバー部材(駆動側)1002をドラム軸受73に組み付ける。
【0065】
組み付け途中においては、係止腕1003cが弾性変形により矢印N方向に撓み、被係止部73gを係止部1003dが乗り越える。係合部上1003aと係合部上1003bが位置決め部上73dと被位置決め部下73fにそれぞれ突き当たり、カバー部材(駆動側)1003の組み付けが完了する。乗り越えた係止部1003dは、被係止部73gと当接することにより、カバー部材1001の矢印Lと逆方向の外れを抑制するスナップフィット部として機能する。係止部1003dの弾性変形の方向は、非駆動側の係止部1002cの弾性変形の方向と異なる。
【0066】
カバー部材(駆動側)1003がカートリッジBに組み付けられた状態において、カバー部材(駆動側)1003の係合部1003a、1003bは、第一の凹形状部1030
の内側に設けられており、カバー部材(駆動側)1003に隠れる配置となっている。すなわち、係合部1003a、1003bは、カートリッジBの長手方向に見たときに、第1の壁部1031に隠れる位置にあり、被位置決め部73d、73fも第1の壁部1031に隠れた配置となる。係合部1003a、1003bはまた、上記長手方向と直交する方向においても、被位置決め部73d、73fとは反対側から見たときには、第2の壁部1032に隠れる位置となる。
【0067】
係止部1003dについても、カートリッジBの長手方向に対して直交する方向に延びる係止腕1003cの先端から長手方向に突出した凸形状を有し、長手方向に見たときに、係止腕1003cに隠れる配置となっている。係止部1003dはまた、上記長手方向と直交する方向においても、見る角度によっては、カバー部材(駆動側)1003の他の構成に隠れる。すなわち、係止部1003dは、上記長手方向に凹んだ凹形状の被係止部73gとの係止状態が係止腕1002bやカバー部材(駆動側)1003の他の構成に隠れる配置となる角度を有している。
【0068】
また、離間スペーサ部1003eについても、クリーニングユニット60との当接部が、上記長手方向に見たときに第1の壁部1031に隠れ、上記長手方向と直交する方向に見たときに、第2の壁部1032に隠れた位置となる角度を有している。
【0069】
本実施例においては、非駆動側では突出した円筒形状の被位置決め部71dを利用し、断面方向でスナップフィット部を構成している。駆動側では突出した形状が無いため、凹形状の被係止部73gを設け、長手方向で弾性変形するスナップフィット部を構成している。以上のように、他の機能形状との関係から、非駆動側と駆動側で、すなわち長手方向の一方側と他方側とで、別方向の弾性変形を行うスナップフィット構成をとることが可能である。なお、上述した位置決め部を設ける位置は、上述のように、感光体62の回転軸方向に沿った長手方向の両端部(開口の長手方向の外側)に限定されるものではない。例えば、両端部に設けるのではなく、長手方向に延びる長尺な開口縁部の辺に沿って複数個所設けるような位置決め構成としてもよい。あるいは、両端部以外の箇所に追加的に設けてもよい。
【0070】
また、隙間Sに対し、非駆動側では離間スペーサ部1002dが、駆動側では離間スペーサ部1003eがそれぞれ挿入され、クリーニングユニット60と現像ユニット20との間に挟まる。これにより、クリーニングユニット60に保持された感光体62と現像ユニット20に保持された現像ローラ32の間にギャップを発生させ維持し、物流時の衝撃による感光体62と現像ローラ32の当接による互いの部品への打痕発生を防止することができる。
【0071】
本実施例では、カバー部材1001を透明又は半透明部材で構成している。これにより、
図9に示すように、カバー部材1001をカートリッジBに組み付ける際に、ユーザに触れて欲しくない感光体62を視認しながらカバー部材1001を組み付けることができる。結果、ユーザが誤って感光体62の表面に接触するリスクを低減することができる。なお、本実施例ではカバー部材1001の部材全体を透明又は半透明としているが、必要な箇所のみに透明又は半透明部分を有する構成としてもよい。
【0072】
また、カバー部材1001がカートリッジBに係合するための位置決め部周辺を、透明又は半透明に構成している。これにより、カバー部材1001をカートリッジBへ係合させるための形状の視認性が向上し、カバー部材1001のカートリッジBへの組み付け中に、ユーザが誤って感光体62の表面に接触するリスクを更に低減することができる。
【0073】
また特に、カバー部材1001がカートリッジBに係合するための非駆動側位置決め部
1002、駆動側位置決め部1003を含む周辺を、透明又は半透明に構成している。これは、カバー部材1001がある程度柔らかい場合、長手両端部に位置決め部を有し、カバー部材1001を端部から外し易くする場合があるからである。これにより、ユーザはカバー部材1001のカートリッジBへの係合部が認識できるため、係合させるための形状の視認性が向上し、ユーザが誤って感光体62の表面に接触するリスクを更に低減することができる。
【0074】
<透光率>
図13は、透光率の測定システムを示した図である。カバー部材1001の各部位について、次のようにして透光性を測定した。
【0075】
図13に示すように、内部より光の漏れないボックス構造の上方に光源入射部である直径6mmの窓1104hを配置し、光源入射部下方に照度計1101(日置電機(株)製「HIOKI 3423 LUX HiTESTER」)の測定部1101aを配置した。さらに、光源入射部と測定部との中間位置に試料固定部1102を設置した。
【0076】
試料固定部1102は、試料1001aを配置する固定板1103と、前述の光源入射部を兼ねた試料1001aを覆う蓋板1104で構成される。固定板1103には試料1001aを配置するブランクとして、凹部1103aを測定部1101a中心と対向するように有する。そして固定板1103と蓋板1104の両部品には、光源からの光が通過する直径6mmの窓1103h、1104hを、測定部1101a中心と対向させて、各々配置した。このような評価装置を用いて、試料1101aの透光性を評価した。
【0077】
測定方法詳細としては、光源1105からの光を、固定板1103と蓋板1104の直径6mmの窓1103h、1104hに通した状態(試料の無い状態)で、照度計1101の読み取り値を2000ルクスになるよう光源の光を調整する。その後、試料1001aを固定板1103のブランク1103aに配置し、蓋板1104で覆い、光源1105からの光の通過経路の途中に試料1001aを介在させる。そのときの照度計1101の値(U)を読み取った。この操作を各部位ごとに各3回ずつ行ない、平均値を透光率とした。透光率T(%)は、以下の式により算出した。
透光率T(%)=U/2000×100
【0078】
図14の表1は、カバー部材の厚みと透光率の関係を示したものである。先行技術である、材質がPS(ポリスチレン)であり、色がオレンジであるカバー部材と、本実施例である材質がPP(ポリプロピレン)であり、色がナチュラル(自然色)であるカバー部材の各部位の透光率を前述手順により計測したものである。また透光率の結果と合わせて、係合部が見えるかの判定を行ったものである。
【0079】
その結果、カバー部材1001の、カートリッジBに係合するための非駆動側位置決め部1002、駆動側位置決め部1003を含む周辺の透光率が40%以上であれば、係合部が透けて見えるため、狙いを付けやすく組み立て易いことが分かった。よって、カバー部材1001がカートリッジBに係合するための位置決め部周辺を、透明又は半透明に構成することにより、カバー部材1001をカートリッジBへ係合させるための形状の視認性が向上する。これにより、カバー部材1001のカートリッジBへの組み付け中に、ユーザが誤って感光体62の表面に接触するリスクを更に低減することができる。
【0080】
なお、本明細書における「透明」と「半透明」は、明確な境界分けを必要とするものではない。例えば、上記透光率が100%に近い比較的高い値の場合に「透明」とし、上記透光率が100%から離れるものの上記40%以上が確保される場合に「半透明」とすることができる。すなわち、ユーザがカバー部材1001のカートリッジ部に対する着脱作
業において、カバー部材1001越しに係合部や感光体62の位置等を視認できる程度の透明性(透光性)を備える場合を指して「透明又は半透明」とするものである。また、本実施例では、上述のようにカバー部材の材料としてPP(ポリプロピレン)を用いたが、同様の視認性を得られるものであればPS(ポリスチレン)であってもよい。
【0081】
(実施例2)
図15は、本発明の実施例2に係るカートリッジBの正面図である。また、
図16は、本発明の実施例2に係るカートリッジBの部分断面図であり、
図15のE-E断面の部分的な部位を示したものである。
【0082】
カバー部材1201は、感光体62を覆う表面外側1201aに、取り扱い注意事項の文字を表示した文字形状部1201bを示している。この文字形状部1201bは、例えば、ユーザに対し、感光体62を触らないことの注意喚起や、カバー部材1201の外し方の上方を報知する機能を有している。感光体62を覆うようにして文字形状部1201bを配置しているため、対象となる感光体62の注意喚起として強調することができる。文字形状部1201bの配置方法としては、型に文字を彫っておき、成形により文字1201bを描く刻印等が考えられる。文字やイラストを配置することができれば別手段でも良い。
【0083】
また、カバー部材1201のコストダウンのために使用材料の量を抑制することが望ましい。そのために、
図16に示すように、カバー部材1201の肉厚tを薄くすることを考える。薄いと樹脂が回りきらずショートしてしまうことが考えられ、成形性との兼ね合いが必要である。具体的には、成形型においてゲート(カバー部材1201においてゲートに対応する部分1201g)から流入させた樹脂が成形型のキャビティの隅々まで流れきるようにする必要がある。そのため、成形型の中央流路に対応するカバー部材1201の部分(中央流路部分)1201cの肉厚t1を、成形型のそれ以外の流路に対応するカバー部材1201の部分(他の流路部分)1201dの肉厚t2に比べて厚めにとる方法が考えられる。これにより、十分な流動性を保ち、使用樹脂量の抑制を図ることができる。
【0084】
その際、隣接する中央流路部分1201cとそれ以外の他の流路部分1201dの肉厚段差(t2-t1)ができるが、それらの繋ぎ目1201eで滑らかに繋ぐことにより、段差を目立たなくすることができる。すなわち、カバー部材1201の肉厚の異なる部分の間をつなぐ繋ぎ目1201eにおける肉厚の変化が、少なくとも文字形状部1201bと重なる部位において、徐々に変化するように構成する。その結果、透明又は半透明のカバー部材1201の表面に描かれた文字1201bの輪郭に対して繋ぎ目1201eで段差を目立たなくして、文字形状部1201bの視認性を維持することができる。また刻印に着色を施すことにより、更に文字形状部1201bの視認性を上げることができる。
【0085】
<現像ローラのカバー部材>
本実施例は、カートリッジの回転体として、感光体に対するカバー部材を説明してきたが、現像ローラのカバー部材としても同様の構成を適用することができ、同様の効果を得ることができる。例えば、現像ローラを備えた現像ユニットが、感光体を備えた感光体ユニットとは分離してカートリッジ化されており、かかる現像カートリッジ単独で装置本体に対して着脱可能に構成する場合において、本発明は好適に適用可能である。すなわち、カバー部材を現像カートリッジへ係合させるための形状の視認性が向上し、カバー部材の現像カートリッジへの組み付け中に、ユーザが誤って現像ローラの表面に接触するリスクを更に低減することができる。
【符号の説明】
【0086】
B…カートリッジ、62…感光体ドラム、71…クリーニング枠体、71a…開口、73…ドラム軸受、1001…カバー部材