(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】床下構造
(51)【国際特許分類】
E04B 5/48 20060101AFI20241021BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20241021BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
E04B5/48 B
E03C1/20 Z
F16L3/137
(21)【出願番号】P 2020104441
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】植田 勇輔
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-065515(JP,A)
【文献】実開平04-130368(JP,U)
【文献】実開昭63-018687(JP,U)
【文献】実開昭62-077254(JP,U)
【文献】実開昭63-133688(JP,U)
【文献】特開2004-218412(JP,A)
【文献】特開平11-336152(JP,A)
【文献】特開2021-196033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/48
E03C 1/20
F16L 3/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床
の下面に形成されたことで前記床を補強すると共に、配管保持具が固定されることで、配管を支持する床下補強体を備えた床下構造であって、
前記床下補強体は、床下から下方に向けて張り出す平板状であり、
前記床下補強体の一部に、前記床下から張り出す長さが他の部分よりも短く、前記配管保持具が固定される被支持部を有し、
前記被支持部が、下端面であ
って前記配管を収容可能な幅を有する位置決め当接部と、前記位置決め当接部に連接された垂直面である垂直固定部と、を有し、
前記位置決め当接部に前記配管保持具が当接した状態で、前記垂直固定部に前記配管保持具が固定されることで、前記配管が、前記床下から所定の距離離間した状態で、前記被支持部に支持される、
ことを特徴とする床下構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅における排水設備では、床下において、排水配管が設置されている。この排水配管は、一端が排水口側に、他端が一次排水側に接続されて、設置がされる。また、この排水配管の設置の際には、配管内の排水を容易にするため、一端から他端にかけて、配管の中心位置が徐々に低くなるようにして、所定の勾配で設置される必要がある。そこで、基礎または土台の床面から所定の高さをもって排水配管を設置できるものとして、高さの調整が可能な種々の配管支持具、例えば、配管を固定する高さの調整が可能な配管支持具(特許文献1)および配管固定具(特許文献2)等が提案されている。
【0003】
ところで、住宅における浴室、トイレ等の排水設備が必要な空間では、室内空間をなるべく広く確保するため、床下または壁裏における配管スペースを最小限に抑えて、建築または改築がされることが多い。しかし、上記した配管支持具等による排水配管の設置方法では、所定の勾配の調整作業を基礎または土台の床面を基準として行わなければならず、床下の配管スペースを一定程度確保する必要があり、配管スペースを最小限に抑えるには適したものとはいえなかった。
【0004】
そこで、市販品の中には、基礎または土台の床面を基準にして排水配管を設置するのではなく、浴室、トイレ等の床下を基準として排水配管を設置することができる配管保持具が存在する。この配管保持具は、床下、例えば、浴室の洗場の床下から鉛直に張り出した床下補強体(間仕切り板)の側面において、垂下して固定され、この垂下して固定された配管保持具の下部において、排水配管が固定されるものである。したがって、この配管保持具を用いることで、従来の配管支持具等で排水配管を設置する場合と比較して、排水配管をより床下に近づけて設置することができるため、大幅に配管スペースを抑えることが可能となった。
【0005】
しかし、一方で、浴室、トイレ等の床下における床下補強体(間仕切り板)は、床の強度の確保のため、一定の高さが必要であり、配管スペースを抑えるには床下補強体(間仕切り板)が張り出すぶんにおいて限界があった。
【0006】
また、この配管保持具では、配管保持具の上部が、床下を基準とした勾配の調整に必要とされる最大限の長さで形成されていたため、床下補強体(間仕切り板)への固定の際には、その上部が排水配管のサイズに合わせてカットされ、このカットされた上部の上端を床下に当てることで、勾配の調整が行われていた。さらに、多くの場合では、カットされる前の上部が床下に干渉することで、上部のカット等の加工なしでは、排水配管の設置自体が困難であった。
【0007】
そのため、この配管保持具では、仮当て状態において、排水配管が設置される高さ位置と余分な上部の長さとを確認して、その後に上部をカットしてから床下補強体(間仕切り板)に固定する必要があり、配管スペースを抑えることができる一方で、余計な手間がかかることに加えて、測定誤差や取り付け時にずれが生じる恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-52009号公報
【文献】特開2000-310357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、排水配管を所定の勾配で設置する場合において、上記した手間を解消し、かつ、より正確に、ずれが生じることなく配管を設置することができると共に、床下における配管スペースをより最小限に抑えることができる配管保持具または床下構造が求められている。
【0010】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、配管保持具を用いて排水配管を所定の勾配で設置する場合において、余計な加工を必要とせず、かつ、正確に設置することができると共に、床下における配管スペースをより最小限に抑えることができる床下構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る床下構造は、床を補強すると共に、配管保持具が固定されることで、配管を支持する床下補強体を備えた床下構造であって、前記床下補強体は、床下から下方に向けて張り出す平板状であり、前記床下補強体の一部に、前記床下から張り出す長さが他の部分よりも短く、前記配管保持具が固定される被支持部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る床下構造は、前記被支持部が、水平な下端面である位置決め当接部と、前記位置決め当接部に連接された垂直面である垂直固定部と、を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る床下構造は、前記位置決め当接部に前記配管保持具が当接した状態で、前記垂直固定部に前記配管保持具が固定されることで、前記配管が、前記床下から所定の距離離間した状態で、前記被支持部に支持される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る床下構造は、床を補強すると共に、配管保持具が固定されることで、配管を支持する床下補強体を備えた床下構造であって、床下補強体は、床下から下方に向けて張り出す平板状の部材であり、床下補強体の一部に、床下から張り出す長さが他の部分よりも短く、配管保持具が固定される被支持部を有している。すなわち、本発明に係る床下構造では、床下補強体の一部に、床下から張り出す長さが他の部分よりも短く、配管保持具が固定される被支持部を有しているため、この被支持部に配管保持具が固定され、この配管保持具を介して被支持部の下方に配管が設置されたときに、床下を基準として配管の勾配が調整されていた従来の床下構造よりも、床下補強体の他の部分と被支持部との床下から張り出す長さの差分において、より配管を床下に近づけて設置することができる。
【0015】
また、本発明に係る床下構造では、被支持部が床下から張り出す長さが、床下補強体の他の部分が床下から張り出す長さよりも短く形成されているため、固定される前の配管と被支持部の下端との間には隙間が生じる。そのため、従来の床下を基準として配管の勾配の調整がされていた床下構造とは異なり、この隙間において、被支持部の下端を基準として配管の勾配の調整が可能となる。すなわち、従来の床下構造では、配管保持具の上端に配管の勾配の調整をするための機能を備えた配管保持具が用いられることが必要であったが、本発明に係る床下構造では、配管の勾配を調整するための機能を、配管保持具の上端ではなく、別の部位に備えた配管保持具を用いて、配管の勾配を調整し、配管を支持することが可能となる。したがって、本発明に係る床下構造であれば、配管保持具の上部を、配管の勾配の調整のために必要以上に長く形成する必要もなく、また、上部の長さを被支持部が床下から張り出す長さよりも短くすることで、配管保持具の上部をカットする手間等も解消することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る床下構造であれば、上記した通り、上部が短く形成された配管保持具を用いることができるため、配管保持具の上部が床下に干渉することもなく、配管保持具が配管に取り付けられた状態であっても、配管保持具を被支持部に固定することができる。すなわち、配管保持具による配管の設置時にずれが生じることがなく、より正確に、配管を設置することができる。
【0017】
また、本発明に係る床下構造であれば、被支持部と床下補強体の他の部分とが一体として連接して形成されていることで、被支持部自体も、床下補強体の一部として床を補強することができる。すなわち、本発明に係る床下構造であれば、床を補強する強度の低下を防ぐことができる。
【0018】
本発明に係る床下構造は、被支持部が、水平な下端面である位置決め当接部と、位置決め当接部に連接された垂直面である垂直固定部と、を有している。すなわち、本発明に係る床下構造では、被支持部の下端面が水平な位置決め当接部として形成されたことで、配管の勾配の調整をするための機能が、配管保持具の上端ではなく、別の部位に備わった配管保持具、例えば、被支持部の下端に当接させることができる突起状の位置決め部を備えた配管保持具等であっても、その位置決め部を被支持部の下端に安定して当接させることができる。したがって、安定して配管の勾配の調整をすることができる。
【0019】
また、本発明に係る床下構造は、被支持部において、上記した位置決め当接部に加えて、この位置決め当接部に連接された垂直面である垂直固定部が形成されたことで、被支持部の下端に当接させることができる突起状の位置決め部を備えた配管保持具等であっても、その位置決め部を被支持部の下端に当接させた状態で、被支持部の垂直固定部に配管保持具を固定することができる。したがって、配管保持具による配管の設置の際に、ずれが生じることがなく、より正確に、配管を設置することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る床下構造では、配管の勾配を調整する基準が、床下から被支持部の下端に変更されたことで、例えば、被支持部の下端に当接させることができる互いに高さの異なる複数の突起状の位置決め部を備えた配管保持具等を用いる場合であっても、位置決め当接部に当接させる位置決め部を変更するだけで、容易に配管の勾配の調整をすることができる。
【0021】
本発明に係る床下構造は、位置決め当接部に配管保持具が当接した状態で、垂直固定部に配管保持具が固定されることで、配管が、床下から所定の距離離間した状態で、被支持部に支持される。すなわち、本発明に係る床下構造では、位置決め当接部に配管保持具を当接させて、配管が設置される位置の確認を行った状態で、配管保持具を垂直固定部に固定することができるため、配管保持具による配管の設置時にずれが生じることがなく、より正確に、配管を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具の使用前の状態を示す前方左側上方からの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具の使用前の状態を示す後方右側上方からの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具の使用前の状態を示す右側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具の使用前の状態を示す後方右側下方からの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具の挟持部を係止した状態を示す後方右側下方からの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る床下構造が形成される位置を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る床下構造と、本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具とを示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具における調整部材の前方左側上方からの斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る床下構造に適した配管保持具における調整部材を固定部に差し込んだ状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態に係る床下構造100を図面に基づいて説明する。
なお、便宜上、
図1および
図9においては、
図6に示すように、床下構造100が形成される浴室9における浴槽5の深さ方向を上下方向として、配管2の長手方向を前後方向として、配管2の長手方向と水平に交差する方向を左右方向として、説明する。
【0024】
床下構造100は、
図6および
図7に示すように、主に、浴室9における洗場6の床下において形成される。床下構造100は、洗場6の床下から下方に向けて張り出し、左右方向に伸びる床下補強体である間仕切り板7と、この間仕切り板7の一部に設けられた被支持部110と、から構成される。間仕切り板7は、左右方向を長手方向にした略長方形の細長い樹脂製の平板状の部材として形成されており、被支持部110は、この間仕切り板7の一部に間仕切り板7と一体として、間仕切り板7が伸びる左右方向に沿って形成されている。なお、間仕切り板7は、配管2の長手方向となる前後方向に対し、水平に交差する左右方向に伸びて形成されており、被支持部110は、間仕切り板7において、間仕切り板7と配管2とが高さを異にして交差する箇所に、配管2の長手方向に交差して、左右方向に沿って形成される。
【0025】
被支持部110は、間仕切り板7の上記した箇所において、洗場6の床下から張り出す長さが、間仕切り板7における被支持部110が形成された部分以外の他の部分(以下、「間仕切り板7における被支持部110が形成された部分以外の他の部分」を、便宜上「他の部分150」とする。)よりも短く形成された部位である。すなわち、被支持部110は、間仕切り板7の一部において、洗場6の床下から張り出す間仕切り板7の下部が、下端から一定の範囲で切り欠かれた部位として、形成される。また、他の部分150に連接される被支持部110の左右の両端部は、それぞれ左右方向の外側に向かうにつれて、下方に向けて孤を描き、他の部分150が洗場6の床下から張り出す長さと同じ長さまで広がると共に、他の部分150の側端部と滑らかに一体化している。なお、被支持部110の左右方向に沿った幅は、被支持部110に配管保持具の固定ができる幅であれば任意であるが、配管保持具を介して被支持部110に支持される配管2が、他の部分150に干渉してしまう場合には、配管2の外径に合わせた幅で形成されることが好ましい。
【0026】
また、被支持部110は、水平な下端面として形成された位置決め当接部120と、位置決め当接部120に連接された垂直面である垂直固定部130と、を有している。すなわち、被支持部110は、水平な位置決め当接部120と、位置決め当接部120に連接された垂直な垂直固定部130とにより、直角の角部140を有している。
【0027】
続けて、本発明の実施形態に係る床下構造100に適した配管保持具である配管保持具1について説明する。
【0028】
配管保持具1は、
図1、
図2、
図3および
図4に示すように、長手方向が湾曲し、下方が開口した略C字形の帯状の部材である挟持部10と、この挟持部10の上面から上方に向けて張り出す複数の突起である位置決め部20と、この位置決め部20が張り出す方向と同じ方向に向けて、挟持部10の上面から張り出す平板状の固定部30と、から構成されている。挟持部10、位置決め部20および固定部30のそれぞれは、樹脂製で、一体に形成されている。また、複数の位置決め部20は、互いに挟持部10の上面から張り出す長さが異なっており、さらに、固定部30は、挟持部10の上面から張り出す長さが、位置決め部20よりも、長く形成されている。
【0029】
挟持部10は、
図1に示すように、略C字形に下方が開口した帯状の部材であり、開口した一方の端部は、下方に向けて延伸し、配管2の外周を囲むことができる程度に、十分な長さに形成されている。また、この下方に向けて延伸した部位の先端には、後述する他端部12における差込口15に差し込みやすい部位として、下方がテーパー状に窄まって形成された略台形の端部である一端部11が形成されている。一方で、挟持部10の略C字形に開口した他方の端部である他端部12には、一端部11が差し込まれる差込口15が形成されている。この構成により、挟持部10は、使用時において、
図7に示すように、配管2の外周を環状に囲むことができると共に、
図5に示すように、配管2の外周を環状に囲んだ状態で、一端部11を差込口15に通し、差込口15を貫通した一端部11を引っ張ることで、配管2を挟持することができる。
【0030】
また、挟持部10は、
図1、
図2、
図4および
図5に示すように、下方に向けて延伸した部位と一端部11とを除いて、配管2を挟持する帯状の部材の内側において、内歯車状の滑り止め部13が形成されている。滑り止め部13は、帯状の部材の長手方向を横断する複数の凸部13Aと、帯状の部材の長手方向を横断する複数の凹部13Bとが、交互に形成されることで、内歯車状の凸凹面として形成されている。したがって、挟持部10が配管2を挟持する際には、滑り止め部13における凸部13Aが、配管2の外周を挟持する。
【0031】
さらに、挟持部10には、
図1および
図5に示すように、下方に向けて延伸した部位の外側において、延伸方向に沿って、この延伸方向を横断する鋸歯状の溝であるセレーション部14が形成されている。また、挟持部10には、
図4に示すように、他端部12における差込口15の内側において、セレーション部14の溝に係止される爪部12Bを備えた係止片12Aが形成されている。この構成により、挟持部10は、
図5に示すように、一端部11を差込口15に通した状態で、セレーション部14の溝に爪部12Bが係止されることで、任意の大きさの内径で環状にすることができる。すなわち、挟持部10は、上記した一端部11、下方に向けて延伸した部位および他端部12における構成により、いわゆる結束バンドとしての機能を備えている。なお、一端部11における外側には、
図1および
図5に示すように、前後方向に沿って、上下に二箇所の略長方形のグリップ部16が形成されている。この二箇所のグリップ部16は、一端部11を掴んで引っ張る際の滑り止めとして機能する。
【0032】
次に、位置決め部20は、
図1、
図2および
図3に示すように、挟持部10の上面から上方に向けて張り出す複数の突起として形成されており、互いに長さが異なる二種類の前側位置決め部22と後側位置決め部21とから構成されている。前側位置決め部22は、挟持部10の上面における前後方向の前側において、一対の突起が上方に向けて張り出すことで形成されており、同様に、後側位置決め部21は、挟持部10の上面の前後方向における後側において、一対の突起が上方に向けて張り出すことで、形成されている。
【0033】
前側位置決め部22は、
図1および
図3に示すように、挟持部10の上面において、上方に向けて張り出す一対の突起として形成されている。具体的には、前側位置決め部22は、
図1に示すように、正面視において、挟持部10の上端における孤に沿って、挟持部10の最上端から左右方向の両外側に向けて、左右対称に横たわる略へ字状の突起として形成されている。また、左右の前側位置決め部22、22の上端は、正面視において、それぞれ挟持部10の最上端と同一の高さで水平をなして形成されており、挟持部10の最上端に連接されている。さらに、左右の前側位置決め部22、22の上端面は、前後方向において、挟持部10の上面における前側から中央にかけて、水平に奥行きをもって形成されている。したがって、挟持部10の上面における前側中央には、左右の水平な前側位置決め部22、22の上端面と、左右の前側位置決め部22、22の上端面で挟まれた挟持部10の最上端とによって、水平な上端面である前側位置決め先端部22Aが形成されている。なお、略へ字状の角にあたる部位は、面取りがなされて、なだらかに傾斜している。
【0034】
後側位置決め部21は、
図2および
図3に示すように、挟持部10の上面において、上方に向けて張り出す一対の突起として形成されている。具体的には、後側位置決め部21は、挟持部10の上面において、上方に向けて張り出す一対の略四角柱状の突起が、左右方向に互いに一定の距離を設けて、左右対称に形成されている。また、後側位置決め部21は、背面視において、右側の後側位置決め部21の右辺が、下方にかけて右側に向けて湾曲しており、同様に、左側の後側位置決め部21の左辺が、下方にかけて左側に向けて湾曲している。したがって、左右の後側位置決め部21、21は、背面視において、それぞれ下部が広がった逆テーパー状の突起として形成されている。さらに、後側位置決め部21の上端面には、水平な上端面として後側位置決め先端部21Aが形成されている。また、後側位置決め部21は、前側位置決め部22よりも長く形成されており、挟持部10の最上端よりも高く上方に張り出している。したがって、上下方向において、後側位置決め先端部21Aは、前側位置決め先端部22Aよりも高い位置において形成されている。また、前側位置決め先端部22Aが設けられた高さ位置と後側位置決め先端部21Aが設けられた高さ位置との差、すなわち前側位置決め部22と後側位置決め部21とにおける挟持部10の上面から張り出す長さの差は、種々の配管における配管同士の半径の差に合わせて形成されることが好ましい。具体的には、配管保持具1では、前側位置決め部22と後側位置決め部21とにおける長さの差は、配管2と、この配管2と外径が異なる別配管(図示せず)とにおける半径の差と同じに形成されている。
【0035】
また、後側位置決め部21における上下方向の長さは、配管2の外径および所定の勾配を考慮した長さで形成されている。具体的には、後側位置決め部21における上下方向の長さは、
図7に示すように、後側位置決め先端部21Aを被支持部110の位置決め当接部120に当接させた状態で、後述する固定部30が被支持部110の垂直固定部130に固定されたときに、挟持部10で挟持された配管2が、位置決め当接部120から所定の距離離間する長さで形成されている。さらに、この後側位置決め部21における上下方向の長さは、後側位置決め先端部21Aを位置決め当接部120に当接させた状態で、固定部30が垂直固定部130に固定されたときに、配管2の挟持部10で挟持された部位における中心位置の高さが、配管2の洗場排水トラップ4に接続された一端における中心位置の高さよりも、低くなるように形成されている。これにより、配管2が、洗場排水トラップ4に接続された一端から挟持部10で挟持された部位にかけて、下り勾配を保持した状態で、被支持部110に支持される。なお、後側位置決め部21における上下方向の長さは、洗場排水トラップ4から被支持部110までの距離や、配管2の洗場排水トラップ4に接続された一端から挟持部10で挟持される部位までの長さを考慮して、配管2が所定の下り勾配となる長さに調整されることが望ましい。
【0036】
さらに、図示していないが、前側位置決め部22における上下方向の長さは、後側位置決め部21が配管2の外径および所定の勾配を考慮した長さで形成されているのと同様に、別配管の外径および所定の勾配を考慮した長さで形成されている。具体的には、配管2の代わりに別配管を固定する場合において、前側位置決め先端部22Aを位置決め当接部120に当接させた状態で、後述する固定部30が垂直固定部130に固定されたときに、挟持部10で挟持された別配管が、位置決め当接部120から所定の距離離間する長さで形成されている。さらに、この前側位置決め部22における上下方向の長さについても、前側位置決め先端部22Aを位置決め当接部120に当接させた状態で、固定部30が垂直固定部130に固定されたときに、別配管の挟持部10で挟持された部位における中心位置の高さが、別配管の洗場排水トラップ4に接続された一端における中心位置の高さよりも、低くなる長さで形成されている。これにより、別配管が、洗場排水トラップ4に接続された一端から挟持部10で挟持された部位にかけて、下り勾配を保持した状態で、被支持部110に支持される。なお、前側位置決め部22における上下方向の長さにおいても、洗場排水トラップ4から被支持部110が設けられる位置までの距離や、別配管における洗場排水トラップ4に接続された一端から配管保持具1の挟持部10で挟持される部位までの長さを考慮して、別配管が所定の下り勾配となる長さに調整されることが望ましい。
【0037】
また、前側位置決め先端部22Aおよび後側位置決め先端部21Aのそれぞれにおける前後方向の幅は任意であるが、後述する調整部材40における第一載置部41Aおよび第二載置部42Aの前後方向の幅と同一の幅において形成されることが好ましい。
【0038】
次に、固定部30は、
図1、
図2および
図3に示すように、挟持部10の上面において、上方に向けて張り出す一対の平板状の部位として形成されている。具体的には、固定部30は、挟持部10の上面において、上方に向けて張り出す一対の平板状の部位が、前後方向を厚み方向として、左右方向に互いに一定の距離を設けて、左右対称に形成されている。左右の固定部30、30は、
図1および
図2に示すように、正面視および背面視において、上下方向を長手方向とした略長方形に形成されており、また、
図3に示すように、側面視において、挟持部10の上端における前後方向の中央、すなわち前側位置決め部22と後側位置決め部21とに挟まれた間から上方に向けて張り出している。
【0039】
また、左右の固定部30、30は、
図1および
図2に示すように、左右の後側位置決め部21、21が互いに距離を設けたよりも広く距離を設けて形成されており、背面視において、左右の固定部30、30における中央寄りの下部の一部は、それぞれ左右の後側位置決め部21、21に重なるようにして、かつ、左右の後側位置決め部21、21を左右の固定部30、30が挟むようにして形成されている。したがって、後側位置決め部21は、背面視だけでなく、正面視においても、左右の固定部30、30の間から視認することができる。なお、固定部30は、
図1および
図3に示すように、その下端の前面が、前側位置決め部22の後端と連接されており、また、その下端の後面中央寄りは、
図2および
図3に示すように、後側位置決め部21の前端と連接されている。さらに、左右の固定部30、30は、正面視および背面視において、それぞれの左右方向の外側にあたる下端が、下方にかけて外側に向けて湾曲して逆テーパー状に形成されており、挟持部10の上面に滑らかに連接されている。
【0040】
さらに、固定部30は、
図1、
図2および
図3に示すように、前側位置決め部22および後側位置決め部21が挟持部10の上面から張り出すよりも長く、突出している。この張り出した固定部30には、
図1および
図2に示すように、固定部30の厚み方向を貫通して、ネジ、ビス等の固着具8を挿通させることができる挿通孔32が形成されている。この挿通孔32は、固定部30の長手方向に沿った三箇所において、一列に形成されている。また、固定部30には、
図2および
図3に示すように、この三箇所の挿通孔32が設けられた部分同士を区切るようにして、略長方形をなす固定部30の前面において、固定部30の長手方向を横断して、固定部30の長手方向を三分する上下二箇所の切取溝31が形成されている。この切取溝31は、固定部30の前面に切り欠き加工がなされることで、形成されている。
【0041】
次に、配管を所定の勾配に調整をする際に、上記した位置決め部20と共に用いることができる調整部材40について説明する。調整部材40は、
図8および
図9に示すように、平面視において、前方が開口した略C字形の樹脂製の部材である。調整部材40は、上下方向を厚み方向として、厚さが異なる二種類の第一調整部材41と第二調整部材42とから構成されており、第一調整部材41が、第二調整部材42よりも厚く形成されている。
【0042】
第一調整部材41は、平面視で前方が開口した略C字形の部材であり、左右方向を長手方向として横たわる略四角柱の部材である第一載置部41Aと、第一載置部41Aの左右両端から前方に向けて張り出し、先端が内側に直角に折れ曲がった鈎状の第一係止部41B、41Bとから構成されている。また、第一調整部材41は、第一載置部41Aと左右の第一係止部41B、41Bとの間に形成される左右の第一空隙41C、41Cに、左右の固定部30、30を嵌めることができる程度に、左右方向の長さおよび前後方向の幅をもって形成されている。さらに、第一載置部41Aの前後方向の幅は、前側位置決め先端部22Aおよび後側位置決め先端部21Aのそれぞれにおける前後方向の幅と同一の幅において形成されることが好ましい。なお、第一載置部41Aと第一係止部41B、41Bとは、上下方向において互いに同一の厚みで形成されている。
【0043】
第二調整部材42は、第一調整部材41と同様に、平面視で前方が開口した略C字形の部材である。第二調整部材42は、第一調整部材41と比較して、上下方向の厚みが薄く形成されている。具体的には、第二調整部材42は、左右方向を長手方向とし、かつ、上下方向を厚み方向として横たわる略長方形の平板状の第二載置部42Aと、第二載置部42Aの左右両端から前方に向けて張り出し、先端が内側に直角に折れ曲がった鈎状の第二係止部42B、42Bとから構成されている。また、第二調整部材42は、第一調整部材41と同様に、第二載置部42Aと左右の第二係止部42B、42Bとの間に形成される左右の第二空隙42C、42Cに、左右の固定部30、30を嵌めることができる程度に、左右方向の長さおよび前後方向の幅をもって形成されている。さらに、第二載置部42Aの前後方向の幅は、第一載置部41Aと同様に、前側位置決め先端部22Aおよび後側位置決め先端部21Aのそれぞれにおける前後方向の幅と同一の幅において形成されることが好ましい。なお、第二載置部42Aと第二係止部42B、42Bとは、上下方向において互いに同一の厚みで形成されており、また、左右の第二係止部42B、42Bの上端部前方は、面取り加工がなされている。
【0044】
以上のとおり、本発明の実施形態に係る床下構造100に適した配管保持具1は構成されている。続けて、本発明の実施形態に係る床下構造100に、配管保持具1を用いて、配管2を支持させる方法について説明する。
【0045】
床下構造100に対して、配管保持具1は、
図7に示すように、固定部30を上方に、挟持部10を下方にした状態で、洗場6の床下に垂下して固定される。具体的には、まず、配管保持具1の挟持部10で配管2の外周が挟持されることで、配管保持具1が配管2に取り付けられる。次に、配管2に取り付けられた状態の配管保持具1において、床下補強体である間仕切り板7の一部に形成された被支持部110の垂直固定部130に、固定部30の後面を合わせた状態で、挿通孔32に通された固着具8によって、固定部30が垂直固定部130に固定される。これにより、配管2が、洗場6の床下において、配管保持具1を介して、被支持部110に支持される。なお、上記説明では、垂直固定部130に固定部30の後面を合わせて固定する場合を示したが、配管2の排水勾配を変更する場合や、配管2と外径が異なる別配管、例えば耐火二層管等を固定する場合等には、垂直固定部130に、固定部30の前面を合わせて固定してもよい。
【0046】
続けて、本発明の実施形態に係る床下構造100において、配管保持具1を用いて、配管2の勾配の調整をする方法について説明する。
【0047】
通常、配管2は、
図6に示すように、浴室9の床下において、一端が浴槽排水トラップ3または洗場排水トラップ4に接続され、他端が一次排水に接続される。この際、配管2は、配管2内の排水を容易にするため、浴槽排水トラップ3および洗場排水トラップ4側から一次排水側にかけて、所定の勾配による下り勾配で固定される必要がある。そこで、被支持部110の下方において、配管2を、所定の下り勾配を保持した状態で被支持部110に支持させるため、配管保持具1が用いられる。具体的には、配管保持具1では、
図7に示すように、配管2を固定する際に、固定部30の後面を垂直固定部130に合わせ、かつ、後側位置決め先端部21Aを位置決め当接部120に当接させた状態で、固定部30を固定する。これにより、上述した通り、後側位置決め部21の上下方向の長さが配管2の外径および所定の勾配を考慮して形成されていることで、配管2が、床下から所定の距離で離間した状態で、かつ、洗場排水トラップ4に接続された一端から挟持部10で挟持された部位にかけて所定の下り勾配が保持された状態で、被支持部110に配管2を支持させることができる。また、図示していないが、配管2の排水勾配を変更する場合や、配管2と外径が異なる別配管、例えば耐火二層管等を固定する場合等には、上記配管2を固定する場合とは異なり、固定部30の前後面を反転させて、固定部30の前面を垂直固定部130に合わせ、かつ、前側位置決め先端部22Aを位置決め当接部120に当接させた状態で、固定部30を固定してもよい。すなわち、配管保持具1は、配管2を固定する場合と別配管を固定する場合とで、固定部30の前後面を反転させて用いることができる。また、配管保持具1は、前側位置決め部22および後側位置決め部21のそれぞれの長さが、配管2または別配管の外径および所定の勾配を考慮した長さで形成されていることから、固定部30の前後面を反転させて用いることで、配管2または別配管のいずれを固定する場合であっても、所定の下り勾配の調整を容易に固定することができる。
【0048】
また、後側位置決め先端部21Aを位置決め当接部120に当接させた状態でも所定の排水勾配の調整が困難な場合には、
図9に示すように、調整部材40を左右の固定部30、30の上方から嵌めて、後側位置決め先端部21Aの上に第二載置部42Aおよび第一載置部41Aを載置し、後側位置決め先端部21Aと位置決め当接部120との間に第二載置部42Aおよび第一載置部41Aを挟んだ状態で、固定部30を固定することで、排水勾配を調整してもよい。なお、上記説明では、調整部材40を構成する第一調整部材41および第二調整部材42の双方を用いる場合を示したが、所定の排水勾配を調整するために必要な場合には、第一調整部材41および第二調整部材42のいずれか一方を単独で用いてもよく、また、複数の第一調整部材41または第二調整部材42を用いてもよい。さらに、図示していないが、配管保持具1を、固定部30の前後面を反転させて用いる場合には、上記した調整方法と同様に、前側位置決め先端部22Aと位置決め当接部120との間に第二載置部42Aおよび第一載置部41Aを挟んだ状態で、固定部30を固定することで、排水勾配を調整してもよい。
【0049】
次に、本発明の実施形態に係る床下構造100の効果について説明する。
【0050】
本実施形態に係る床下構造100は、洗場6の床を補強すると共に、配管保持具1が固定されることで配管2を支持する床下補強体である間仕切り板7を備えている。また、床下構造100では、間仕切り板7が、洗場6の床下から下方に向けて張り出す平板状の部材であると共に、間仕切り板7の一部に、洗場6の床下から張り出す長さが、他の部分150よりも短く形成され、配管保持具1が固定される被支持部110を有している。すなわち、床下構造100は、間仕切り板7の一部に、洗場6の床下から張り出す長さが他の部分150よりも短く形成され、配管保持具1が固定される被支持部110を有しているため、この被支持部110に配管保持具1が固定されて、配管保持具1を介して被支持部110の下方に配管2が設置されたときに、床下を基準として配管の勾配が調整されていた従来の床下構造(図示せず)よりも、他の部分150と被支持部110との洗場6の床下から張り出す長さの差分において、より配管2を床下に近づけて設置することができる。したがって、床下における配管スペースをより最小限に抑えることができる。
【0051】
本発明に係る床下構造100では、被支持部110が洗場6の床下から張り出す長さが、他の部分150が洗場6の床下から張り出す長さよりも短く形成されているため、固定される前の配管2と被支持部110の下端との間には隙間が生じる。そのため、床下構造100では、従来の床下を基準として配管の勾配の調整がされていた床下構造とは異なり、この隙間において、被支持部110の下端を基準として配管2の勾配の調整が可能となる。すなわち、従来の床下構造では、配管保持具の上端に配管の勾配の調整をするための機能を備えた配管保持具(図示せず)が用いられることが必要であったが、床下構造100では、配管の勾配の調整をするための機能を、配管保持具の上端ではなく、別の部位に備えた配管保持具、例えば、配管2の勾配の調整をするための位置決め部20を固定部30の下端に備えた配管保持具1等を用いて、配管2の勾配を調整し、配管2を支持することが可能となる。したがって、床下構造100であれば、配管保持具の上部を、配管の勾配の調整のために必要以上に長く形成する必要もなく、また、上部の長さを被支持部が床下から張り出す長さよりも短くすることで、配管保持具の上部をカットする手間等も解消することができる。
【0052】
また、床下構造100であれば、上部が短く形成された配管保持具、例えば、固定部30として上部が短く形成された配管保持具1等を用いることができるため、配管保持具の上部が洗場6の床下に干渉することもなく、配管保持具が配管2に取り付けられた状態であっても、配管保持具を被支持部110に固定することができる。すなわち、配管保持具による配管2の設置時にずれが生じることがなく、より正確に、配管2を設置することができる。
【0053】
さらに、床下構造100であれば、被支持部110と他の部分150とが一体として連接して形成されていることで、被支持部110自体も、間仕切り板7の一部として洗場6の床を補強することができる。すなわち、床下構造100であれば、洗場6の床を補強する強度の低下を防ぐことができる。
【0054】
床下構造100では、被支持部110において、水平な下端面である位置決め当接部120と、位置決め当接部120に連接された垂直面である垂直固定部130とが、形成されている。すなわち、床下構造100では、被支持部110の下端面が水平な位置決め当接部120として形成されたことで、配管の勾配の調整をするための機能が、配管保持具の上端ではなく、別の部位に備わった配管保持具、例えば、配管2の勾配の調整をするための位置決め部20を固定部30の下端に備えた配管保持具1等を用いる場合であっても、位置決め部20における前側位置決め先端部22Aまたは後側位置決め先端部21Aを、位置決め当接部120に安定して当接させることができる。したがって、安定して配管2の勾配の調整をすることができる。
【0055】
また、床下構造100は、被支持部110において、位置決め当接部120に加えて、位置決め当接部120に連接された垂直面である垂直固定部130が形成されていることで、被支持部の下端に当接させることができる位置決め部を備えた配管保持具等、例えば、上記した配管保持具1等であっても、位置決め部20における前側位置決め先端部22Aまたは後側位置決め先端部21Aを、位置決め当接部120に当接させた状態で、固定部30を垂直固定部130に固定することができる。したがって、配管保持具による配管2の設置の際に、ずれが生じることがなく、より正確に、配管2を設置することができる。
【0056】
さらに、床下構造100では、配管2の勾配を調整する基準が、洗場6の床下から被支持部110の下端、すなわち位置決め当接部120に変更されたことで、位置決め当接部120に当接させることができる互いに高さの異なる複数の位置決め部を備えた配管保持具等、例えば、複数の位置決め部20を備えた配管保持具1等を用いる場合であっても、位置決め当接部120に当接させる位置決め部20、すなわち前側位置決め部22または後側位置決め部21を変更するだけで、容易に配管2の勾配の調整をすることができる。
【0057】
床下構造100は、位置決め当接部120に当接させることができる位置決め部を備えた配管保持具等、例えば、上記した配管保持具1等が、位置決め当接部120に当接した状態で、垂直固定部130に固定することができる固定部を備えた配管保持具等、例えば、固定部30を備えた配管保持具1等が、垂直固定部130に固定されることで、配管2が、洗場6の床下から所定の距離離間した状態で、被支持部110に支持される。すなわち、床下構造100では、位置決め当接部120に配管保持具1を当接させて、配管2が設置される位置の確認を行った状態で、配管保持具1を垂直固定部130に固定することができるため、配管保持具1による配管2の設置の際に、ずれが生じることがなく、より正確に、配管2を設置することができる。また、上記した配管保持具1を用いる場合であれば、配管保持具1における位置決め部20と固定部30との高さの差によって生じる段差、すなわち位置決め部20の前側位置決め先端部22Aと固定部30の前側面とから形成される段差または位置決め部20の後側位置決め先端部21Aと固定部30の後側面とから形成される段差のいずれかを、位置決め当接部120と垂直固定部130とから形成される角部140に合わせるだけで、容易に、かつ、瞬時に、配管2の勾配の調整をすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0059】
例えば、本発明の実施形態では、床下構造100が樹脂製であるものを示したが、これに限定されるものではなく、金属によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 配管保持具
2 配管
3 浴槽排水トラップ
4 洗場排水トラップ
5 浴槽
6 洗場
7 間仕切り板
8 固着具
9 浴室
10 挟持部
11 一端部
12 他端部
12A 係止片
12B 爪部
13 滑り止め部
13A 凸部
13B 凹部
14 セレーション部
15 差込口
16 グリップ部
20 位置決め部
21 後側位置決め部
21A 後側位置決め先端部
22 前側位置決め部
22A 前側位置決め先端部
30 固定部
31 切取溝
32 挿通孔
40 調整部材
41 第一調整部材
41A 第一載置部
41B 第一係止部
41C 第一空隙
42 第二調整部材
42A 第二載置部
42B 第二係止部
42C 第二空隙
100 床下構造
110 被支持部
120 位置決め当節部
130 垂直固定部
140 角部
150 他の部分