(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】鏡面ヘテロダイン光学位相測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2020105012
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-03-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520220375
【氏名又は名称】アラギ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョン ダーウィン
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206654(JP,A)
【文献】特表2012-530267(JP,A)
【文献】特開2019-82452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0189968(US,A1)
【文献】特開2016-112947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、
前記軸に連結され、前記軸を回転させるように構成されるモータと、
前記軸に連結され、前記軸によって回転されるように構成される光変調器と、
レンズ素子と、
投影面と、
前記光変調器を通して光を投光し、前記レンズ素子を通して前記投影面上に構造光を投影するように構成される
複数の光源と、
試料の像と前記投影面及び前記試料の表面で反射した構造光とを取得するように構成されるセンサと、
計算処理システムであって、
前記
複数の光源と前記センサとを協調させ
るように構成される同期モジュールと、
前記投影面及び前記試料の前記表面で反射した前記構造光に少なくとも部分的に基づいて三次元(3D)オブジェクトを計算するように構成される分析モジュールと
を含む計算処理システムと
を備え
、
前記複数の光源は、ヌル点をなくすように構成される、
システム。
【請求項2】
前記モータは、前記光変調器が前記軸により連続的に回転されるように前記軸を連続的に回転させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサは、CMOSセンサ、光検出器、光電子倍増管(PMT)、及び電荷結合素子(CCD)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の光源は、ダイナミックレンジを広げるため又は位相誤差をなくすために、
互いに異なる幅、空間周波数、及び入射角で光を投光するように構成される、請求項
1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記
複数の光源は、発光ダイオード(LED)、レーザ、及びフィラメント源からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記モータは、ブラシレスダイレクトドライブモータ、ステッパモータ、又はブラシDCモータである、請求項1から
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記投影面は、紙、金属、ボール紙、布、織地、及び塗料からなる群から選択される材料から形成される、請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記材料はざらざらしている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサは、前記投影面及び前記試料の光沢のある表面で反射した構造光を取得するように構成される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記光変調器は、
前記複数の光源により前記投影面上に投光された前記構造光によってパターンを生成させるように構成されるエンコーダを含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
モータにより軸を回転させることで前記軸に連結された光変調器を回転させ、
ヌル点をなくすように構成される複数の光源からの光を前記光変調器を通して投光して、レンズ素子を通して構造光を投影面上に投影し、
少なくとも1つのセンサを有する光センサ装置を用いて、試料の像と前記投影面及び前記試料の表面で反射した構造光とを取得し、
同期モジュールを用いて、前記
複数の光源と前記少なくとも1つのセンサとを協調さ
せ、
分析モジュールを用いて、前記投影面及び前記試料の前記表面で反射した前記構造光に少なくとも部分的に基づいて三次元(3D)オブジェクトを計算する、
方法。
【請求項12】
前記モータによって前記軸を回転させる際に、前記光変調器が前記軸によって連続的に回転されるように前記軸を連続的に回転させる、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記
複数の光源からの前記光を照射する際に、ダイナミックレンジを広げるため又は位相誤差をなくすために、
前記複数の光源からの光を
互いに異なる幅、空間周波数、及び入射角で投光する、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサは、CMOSセンサ、光検出器、光電子倍増管(PMT)、及び電荷結合素子(CCD)からなる群から選択される、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記
複数の光源は、発光ダイオード(LED)、レーザ、及びフィラメント源からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項
11から
14のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項16】
前記試料の前記表面には光沢がある、請求項
11から
15のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項17】
前記投影面は、紙、金属、ボール紙、布、織地、及び塗料からなる群から選択される材料から形成される、請求項
11から
16のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項18】
1以上の固定された実体のあるコンピュータ読取可能な媒体であって、
プロセッサにより実行された際に、
モータにより軸を回転させることで前記軸に連結された光変調器を回転させ、
ヌル点をなくすように構成される複数の光源からの光を前記光変調器を通して投光し、レンズ素子を通して構造光を投影面上に投影し、
少なくとも1つのセンサを有する光センサ装置を用いて、試料の像と前記投影面及び前記試料の表面で反射した構造光とを取得し、
同期モジュールを用いて、前記
複数の光源と前記少なくとも1つのセンサとを協調さ
せ、
分析モジュールを用いて、前記投影面及び前記試料の前記表面で反射した前記構造光に少なくとも部分的に基づいて三次元(3D)オブジェクトを計算する
ことを含むコンピュータ実施方法を前記プロセッサに行わせる命令を含む、コンピュータ読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術の実施形態は、概して、ガラス、プラスチック、及び金属のような反射面(鏡面)を測定するための方法、手法、システム、及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特定の試料の幾何学的測定値を抽出するための三次元(3D)走査用の従来のシステムは、干渉法、レーザ光散乱法、又は構造光を用いている。構造光測定システムの中には、光の準静的投影を用い、続いて取得された像を分析するものがある。これらのアプローチのうちのいくつかは、面曲率の測定値として投影されたライン幅を分析するだけではなく、変位の直接的な測定値としてラインの曲げや歪みを分析している。
【0003】
これまでのアプローチの中には、取得された像に対してフーリエ変換を用い、被測定面の空間周波数を抽出して表面再構成を可能にするものがある。これまでのシステムは、ほとんどすべての場合において、位相誤差を除去するために構造光中に複数のライン幅とラインピッチを用いている。しかしながら、これらのアプローチの多くは、静的アプローチ又は非変調アプローチと考えることができ、バックグランドノイズが大きくなりやすい。これらのアプローチの中には、構造光のシフト/移動を用いて信号を高めるものがあるが、これは典型的には一方向の線形的シフトに限られる。
【0004】
また、鏡面の測定は、ガラス(例えば、ディスプレイに用いられるガラスなど)、光学部品、自動車、金属加工部品などの製造において工業的に一般に行われている。一般的な方法は、典型的には、光学方式のものの方が接触方式のものよりも測定速度が速いため、事実上、光学方式のものとなっている。しかしながら、非接触光学方式を用いて鏡面部品を測定できるようにするためには、いくつかの問題がある。具体的には、鏡面であることにより、光学的測定値が、使用される光源の不均一性を反映することが多い。これにより、特定の観測角において好ましくない検出器又はセンサの飽和を生じさせる「ホットスポット」が生じることがあり、通常は、処理不可能なデータ又は誤りを含む結果のいずれかが生じることとなる。さらに、鏡面状の材料の中には、ガラスや一般的な光学部品のように透明なものがある。このような透明な材料の場合、試料の表面で反射する信号が非常に小さくなる。信号レベルの低下に対応するために干渉計が用いられることが多く、特別な部品の取扱法や照明光学部品を用いて照明の不均一性から生じる問題を低減している。この結果、システム設計がより複雑になるとともに、コストと時間が余計に必要となる。
【0005】
本開示技術による実施形態は、このような制限及びその他の制限を取り除こうとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第1の例を示すものである。
【
図2】
図2は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第2の例を示すものである。
【
図3】
図3は、本開示技術のある実施形態によるデータを生成及び分析するための方法の第1の例を示すものである。
【
図4】
図4は、本開示技術のある実施形態によるデータを生成及び分析するための方法の第2の例を示すものである。
【
図5】
図5は、本開示技術のある実施形態による測定システムの例を示す機能図である。
【
図6】
図6は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第3の例を示すものである。
【
図7】
図7は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第4の例を示すものである。
【
図8】
図8は、本開示技術のある実施形態による方法の例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る測定システムの実施形態について
図1から
図8を参照して詳細に説明する。
図1から
図8において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図8においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0008】
本開示技術の実施形態は、概して、製造された製品の幾何学形状を測定するために使用される方法及び装置に関するものである。典型的には、様々な産業において、品質管理及び製品の適切な製造を確保するために幾何学的測定値が用いられており、ユニットレベルの仕様が例えばプリアセンブリ又は統合に対して適合するように、これらの幾何学的測定値がプロセスフローに統合されることもある。
【0009】
ある実施形態は、ヘテロダイン位相測定を1以上の散漫散乱スクリーンに組み合わせて拡散光源を生成することを含んでいる。これに代えて、あるいはこれに加えて、実施形態は、変調の絶対位相をトラッキングしながら拡散光源を空間的に変調することを含み得る。これに代えて、あるいはこれに加えて、実施形態は、鏡面状の対象物からの空間的に変調された拡散反射光を観測し、対象物の表面に投影された光学位相を再構成することを含み得る。
【0010】
本開示技術により提供される多くの利点の中でも、注目すべきものは、例えば、対象物を機械的に移動することなく広い表面領域を測定することができること、内面反射を心配することなく非常に薄いガラスを測定することができること、非常に湾曲した表面を測定することができること、大量生産に対して低コストの解決策となることである。
【0011】
半導体製造業者は、工場内の最終処理工程の1つとして集積回路上に銅ピラー又は銅バンプを成膜/成長させることがある。バンプ高さやバンプ径の制御は、一般的に、これらが正しく処理されなければ収率や電気的特性に影響を与えることから制御上の非常に重要な処理パラメータであると考えられている。このため、それぞれのシリコンウェハや集積回路に加え、集積回路上のそれぞれのバンプを検査するための完全自動化システムが必要とされる。この処理工程をモニタリングするために統計的サンプリング法を用いることができ、この統計的サンプリング法は、典型的には、製品の信頼性及び収率に対して非常に重要な監視方法であると考えられている。
【0012】
急速に成長しているもう1つの市場は、三次元(3D)プリンタ市場、すなわち、3Dオブジェクトがゼロから設計されるか、三次元で像が形成され、その後再現されるアディティブ製造法の市場である。ゼロから設計する場合には、幾何学的測定ツールを用いて3D印刷されたオブジェクトの品質管理をモニタリングすることで適切な製造許容度を確実に実現することができる。複製の場合には、十分に正確なシェル又はそれと等価な表面を測定した後、所望のオブジェクトをエミュレートするためにユーザが重量、強度、及び/又は機能の制約の下で内部マトリクスを定義することでこれを利用することができる。これらの3D印刷オブジェクトは、例えば航空業界、生体医学業界、又は宝飾業界(これらに限られるものではない)をはじめとする業界に提供され得る。
【0013】
本開示技術は、概して、構造光を生成して試料上に投影した後、投影された光を測定及び分析して3次元のデータを生成するための方法及び装置を提供するものである。構造光は、典型的には、可変の(すなわち制御された)幅、ピッチ、及び波長を有する1本以上のラインから構成され、予め決められた領域をカバーする。本明細書ではこの領域を基準光フレーム(LFOR)と呼ぶ。LFOR内には中心軸が定義され、この中心軸を中心としてLFORが回転し得る。1以上のセンサは、CCDアレイ又はカメラを含み得るが、これに限られるものではない。1以上のセンサは、1以上の位置において試料上に投影された構造光を測定することができ、本明細書ではイメージ取得データアレイ(ICDA)と呼ぶことがある。LFORが回転しているときにイメージ(像)/データを取得してもよい。これにより、情報のICDA立方体(ICDAC)を生成することができる。空間的サンプリング及び時間的サンプリングの双方についてナイキストの定理を満足するのに十分な情報が取得されるようにデータ取得速度とLFOR回転速度とを同期させてもよい。
【0014】
特定の領域は、ICDA内の単一のピクセルを含み得るが、これに限られるものではない。ICDACを介してこの特定の領域を分析してもよく、この結果、この予め決められた領域内の情報を時間の関数としてトレースすることができ、光強度の変調が可能となる。一般的に、中心軸を中心とする領域にはヌル点(ヌル条件(null condition))が存在し、これはLFORを平行移動すること、複数のLFORを互いにオフセットすること、試料を平行移動すること、あるいは他のアプローチにより除去することができる。平坦面については、典型的には空間周波数がすべて同一になるため、この空間周波数は、ICDACを介したそれぞれのトレースに対する基準信号として用いることができる。ただし、空間周波数をこのような基準信号として用いなければならないわけではない。
【0015】
非平坦面は、複数の空間周波数を含み得る。このため、非平坦面は表面の曲率に沿って構造光を歪めることとなる。歪み量は、一般的に、入射光に垂直な方向の変位に関係している。LFORが回転すると、歪み自体が基準平坦面に対してICDACトレース内の位相遅れ又は位相進みとして表れる。ICDACにおけるそれぞれのトレースに関する基準に対する相対位相は、時間差分法、リサージュ分析、積作成法、フーリエ分析、位相ロック法などの方法(これらに限られるものではない)によって抽出することができる。
【0016】
装置の性質が変調していると仮定すると、時間と周波数に基づくフィルタリング、ロックイン検出スキーム、あるいはその他の方法をはじめとする異なる手法を用いることにより、低レベル信号をバックグランドノイズから区別することができる。さらに、例えば、反射光の量だけではなく、その光の波長に対する検出器の感度を最大化するために、光の波長とセンサの種類を調整することができる。
【0017】
図1は、本開示技術のある実施形態による測定システム100の第1の例を示すものである。この例におけるシステム100は、試料領域110上に投影される回転構造光を生成可能な光源120を含んでいる。構造光を試料領域110上に投影する際に、この構造光を第1のセンサ160により測定してもよい。構造光の角度位置を測定するために第2のセンサ(図示せず)を用いてもよい。第1のセンサ160及び第2のセンサからのデータを集めて計算処理システム190に送ってもよい。計算処理システム190は、第2のセンサにより測定される角度位置を第1のセンサ160により取得されるデータと同調させる機能を有し得る。また、計算処理システム190は、データを記憶し、分析するように構成されていてもよい。
【0018】
図2は、本開示技術のある実施形態による測定システム200の第2の例を示すものである。
図1のシステム100と同様に、このシステム200は、試料領域210と、光源220と、第1のセンサ260と、計算処理システム290とを含んでいる。しかしながら、システム200に関しては、投影される構造光が、任意の角度に回転されたものとして示されており、これに続いて計算処理システム290上でデータが表示される。構造光を任意の不連続な角度に回転させることができ、あるいは構造光を連続的に回転させることができることは理解できよう。これとは関係なく、第1のセンサ260及び第2のセンサからのデータを同期させてもよい。
【0019】
図3は、本開示技術のある実施形態によるデータを生成及び分析するための方法300の第1の例を示すものである。ステップ1において、構造光(基準光フレーム(Frame of Reference(LFOR)))が、所定の角度で生成され、回転され、センサと同期される。それぞれのLFORに対して基準と試料の両方についてデータが収集され(イメージ取得データアレイキューブ(ICDAC))、ステップ2での処理のために記憶される。この処理を複数のLFORに対して繰り返してもよく、あるいは1回比較した後に終了してもよい。
【0020】
ステップ2においては、基準物及び試料の両方に関して記憶されたICDACから(センサにおけるそれぞれのXY位置での)ICDACトレースを抽出して、相対位相を抽出するために分析してもよい。それぞれのICDACトレースに対して相対位相を記憶してそれぞれのLFORに対する位相マップを生成してもよい。複数の位相マップを比較して位相ラッピング誤差(phase wrapping error)を特定してもよく、特定された誤差を補正してもよい。LFOR基準較正に基づいて位相を3D高さマップ情報に変換してもよい。
【0021】
ステップ1とステップ2とを順番に行ってもよいし、ステップ1とステップ2とを並行に行ってもよい。
【0022】
図4は、本開示技術のある実施形態によるデータを生成及び分析するための方法400の第2の例を示すものである。このアプローチにおいては、基準データと試料データとが同時に収集され分析され得る。ソフトウェアによって又はハードウェアによって相対位相に対するICDACトレース分析を行ってもよい。
【0023】
図5は、本開示技術のある実施形態による測定システムの一例を示す機能
図500である。この例は、同期モジュールとイルミネータモジュールとを含んでいる。
【0024】
本開示技術のある実施形態は、概して、例えば光源からホットスポット又は光の不均一性を除去するために、散漫散乱する大きな面を含んでいる。この面のサイズは、典型的には、試料のサイズ及び曲率に正比例しており、これにより、試料のすべての角度における表面が、例えばホットスポットが生じることなく同時に照らされることが可能になっている。センサが試料の表面から散漫散乱した空間的に変調された光の像を形成し得るように、試料及び観測センサが幾何学的に構成されていてもよい。この空間的に変調された光を位相に変換し、その後に表面高さに変換することができる。
【0025】
空間的に変調された光源に加えて、(例えば、平坦面又は湾曲面を有する)拡散反射スクリーンを用いてもよい。軸からずらしてこのスクリーンを照らしてもよい。(例えば回転により)試料を操作するために試料を自動でステージに載せてもよい。センサ(例えば、エリアスキャンカメラ)は、試料対象物の表面の像を形成する光学部品を有していてもよい。カメラと光学部品は、試料の表面からの拡散反射光を観測するように設定されていてもよい。第1の試料の方向でデータを収集してもよく、試料を(例えば90度以上)回転させてもよく、再びデータを収集してもよい。例えば、既知の位相アンラッピングアルゴリズム(phase unwrapping algorithms)を用いて位相測定値から表面を再構成してもよい。
【0026】
図6は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第3の例600を示すものである。システム600は、試料601を位置決めするように構成される試料位置決め装置610を含んでいる。この試料位置決め装置610は、例えば試料601を取り上げ、配置し、さらに/あるいは整列するために1以上の軸を有するロボット又は他の自動装置であり得る。また、システム600は、測定前及び/又は測定中に試料601を位置決めするために1以上の軸を有し得るステージング装置620を含んでいる。さらに、システム600は、例えば試料601の寸法、トポグラフィ、及び特性を測定するための測定装置660を含んでいる。また、システム600は、例えば移動、測定、及び/又は分析を同期するように構成され得る計算処理システム690を有している。
【0027】
図7は、本開示技術のある実施形態による測定システムの第4の例700を示すものである。このシステム700は、試料位置決め装置710と、少なくとも1つの光源720と、モータ730と、光変調器735と、レンズ素子740と、第1のセンサ760と、計算処理システム790とを含んでいる。また、システム700は、投影された光を受光するように構成される投影面750を含んでいる。試料位置決め装置710は、一般的に、試料701を位置決めするように構成される。
【0028】
この例700においては、モータ730は、軸を回転させるように構成されている。光変調器735は、この軸に連結されており、この軸によって回転されるように構成されている。モータ730は、例えば、ブラシレスダイレクトドライブモータ、ステッパモータ、又はブラシDCモータであってもよく、あるいは他の好適な種類のモータであってもよい。ある実施形態においては、光変調器735が軸によって連続的に回転されるように、モータ730が軸を連続的に回転させるように構成されていてもよい。
【0029】
光源720は、光変調器735を通して光を投光し、レンズ素子740を通して構造光を投影面750上に投影するように構成されている。光源720は、例えば構造光を生成し、回転させることが可能な投影光学部品を有していてもよい。ある実施形態においては、光源720は、発光ダイオード(LED)、レーザ、及びフィラメント源からなる群から選択され得る。
【0030】
ある実施形態においては、システムは、ヌル点又はヌル条件をなくすように構成される複数の光源(光源720を含む)を有している。これらの複数の光源は、ダイナミックレンジを広げるため又は位相誤差をなくすために、異なる幅、空間周波数、及び入射角で光を投光するように構成されていてもよい。
【0031】
ある実施形態においては、光変調器735は、光源720により投影面750上に投光された構造光によってパターンを生成させるように構成されるエンコーダを含んでいる。投影面750は、例えば、紙、金属、ボール紙、布、織地、及び塗料からなる群から選択される材料、ざらざらした材料から形成されていてもよい。試料701の表面に光沢があってもよく、例えば、試料701がガラスから形成されていてもよい。
【0032】
例700においては、光センサ装置は、少なくとも第1のセンサ760を含んでおり、投影面750で反射し、その後試料701で反射する拡散光によって試料701の像を取得するように構成されている。光センサ装置は、CMOSセンサ、光検出器、光電子倍増管(PMT)、及び電荷結合素子(CCD)からなる群から選択される2以上のセンサからなるアレイを含んでいてもよい。試料701の表面は、構造光を歪めたり、偏向させたりする作用を有していてもよく、センサ760は、例えばこの歪められた光を読み取ってもよい。
【0033】
計算処理システム790は、少なくとも1つの光源720と第1のセンサ760と他の関連センサとを協調させることによりシステムを位相ロックするように構成される同期モジュールを含んでいる。計算処理システム790は、投影面750及び試料701から反射した受光拡散光に基づいて三次元(3D)オブジェクトを計算するように構成される分析モジュールをさらに含んでいる。この3Dオブジェクトの特徴は、例えば試料701により歪められた光の量に関係し得る。
【0034】
ある実施形態においては、第1のセンサ760は、例えば、テーブルによって試料位置決め装置710に連結されていてもよい。他の実施形態においては、第1のセンサ760が試料位置決め装置710から物理的に分離されていてもよい。
【0035】
他の実施形態においては、投影面750に投影される構造光が、投影面750の前方からではなく、投影面750の後方から投影されてもよい。
【0036】
図8は、本開示技術のある実施形態によるコンピュータ実施方法800の例を示すものである。802では、モータが軸を回転させることによって、この軸に連結された光変調器が回転する。ある実施形態においては、軸に連結された光変調器が軸によって連続的に回転させられるようにモータが連続的に軸を回転させる。
【0037】
804では、光源が光変調器を通して光を投光し、レンズ素子を通して投影面上に構造光を投影する。光源は、発光ダイオード(LED)、レーザ、及びフィラメント源からなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。ある実施形態においては、複数の光源は、ダイナミックレンジを広げるため又は位相誤差をなくすために、数多くの異なる幅、空間周波数、及び入射角で光を投光してもよい。
【0038】
806では、少なくとも1つのセンサを有する光センサ装置が、試料の像と投影面及び試料の表面で反射した構造光とを取得する。この試料の表面には光沢があってもよい。投影面は、紙、金属、ボール紙、布、織地、及び塗料からなる群から選択される材料又は他の好適な材料から形成されていてもよい。
【0039】
ある実施形態においては、上記少なくとも1つのセンサは、CMOSセンサ、光検出器、光電子倍増管(PMT)、及び電荷結合素子(CCD)からなる群から選択されてもよい。
【0040】
808では、分析モジュールが、投影面及び試料の表面で反射した構造光に少なくとも部分的に基づいて三次元(3D)オブジェクトを計算する。
【0041】
図8には図示されていないが、方法800において、同期モジュールが、光源と上記少なくとも1つのセンサとを協調させることによりシステムを位相ロックすることは理解できよう。
【0042】
ここに開示された実施形態は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより実現され得る。また、ここに開示された実施形態は、1以上の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体によって実行される命令又はそのような媒体上に記憶された命令として実施され得る。これらの命令は、1以上のプロセッサにより読み取られ、実行され得る。そのような命令は、コンピュータプログラム製品と呼ばれることがある。本明細書において述べられたように、コンピュータ読取可能な媒体とは、計算機によりアクセス可能な任意の媒体を意味する。一例として、コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体や通信媒体を含み得るが、これらに限られるものではない。
【0043】
さらに、本明細書は特定の特徴について言及するものである。本明細書における開示は、そのような特定の特徴について考えられるすべての組み合わせを含んでいることは理解すべきである。例えば、特定の特徴が特定の態様について開示されている場合には、その特徴は可能な範囲で他の態様についても使用され得る。
【0044】
また、本出願において、定義された工程又は動作を2つ以上含む方法について言及した場合には、それらの定義された工程又は動作は、特にその可能性が排除されている場合を除いて、任意の順序で実施することができ、あるいは同時に実施することができる。
【0045】
さらに、本明細書においては、「含む」、「備える」、「有する」、及びこれらと文法的に等価な用語は、他の構成要素、特徴、工程、処理、動作などが必要に応じて存在していてもよいことを意味するように使用されている。例えば、構成要素A、B、及びCを「含む」又は「備える」物は、構成要素A、B、及びCのみを含んでいてもよく、あるいは、1つ以上の他の構成要素とともに構成要素A、B、及びCを含んでいてもよい。
【0046】
また、「右」や「左」のような方向は、図面に示された図表に関して便宜上使用されるものである。しかしながら、本明細書に開示されている主題は、実際の使用において、あるいは異なる実施形態においては、数多くの方向を向いていることがある。このため、図面において垂直な特徴、水平な特徴、右側の特徴、又は左側の特徴は、すべての実施形態において同一の方向を向いているわけではない。
【0047】
本発明の原理を図示された実施形態を参照しつつ述べ、図示してきたが、図示された実施形態の構成や詳細をそのような原理から逸脱することなく修正することができ、また、所望の形態で組み合わせることができることは理解できるであろう。上述した説明は特定の実施形態に焦点を当てているが、他の構成も考えられる。
【0048】
特に「本発明の実施形態による」といった表現などが本明細書において使用されているが、これらの語句は、一般的に基準となる実施形態の可能性を意味しているのであって、本発明を特定の実施形態の構成に限定することを意図するものではない。本明細書において使用される場合には、これらの語は、他の実施形態に組み合わせることが可能な同一の実施形態又は異なる実施形態を意味することがある。
【0049】
説明のために本発明の特定の実施形態について述べてきたが、本発明の技術的思想の範囲を逸脱することなく、様々な変形を行うことができることは理解できよう。したがって、本発明は、添付した特許請求の範囲により規定される場合を除いて何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
100,200,600,700 測定システム
110,210 試料領域
120,220,720 光源
160,260,760 第1のセンサ
190,290,690,790 計算処理システム
601,701 試料
610,710 試料位置決め装置
620 ステージング装置
660 測定装置
730 モータ
735 光変調器
740 レンズ素子
750 投影面