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特許7574007カートリッジ、画像形成装置およびカートリッジの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】カートリッジ、画像形成装置およびカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20241021BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241021BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G03G21/18 185
G03G15/00 680
G03G21/16 161
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020115896
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013378
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】久保 行生
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109732(JP,A)
【文献】特開2006-114635(JP,A)
【文献】特開2015-062053(JP,A)
【文献】特開2012-066499(JP,A)
【文献】特開2003-316234(JP,A)
【文献】特開2011-028168(JP,A)
【文献】特開2019-001102(JP,A)
【文献】特開2006-145570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/00
G03G 21/16
G03G 15/08
G03G 15/20
G03G 21/12
B41J 29/00
B41J 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、
前記メモリ部材を支持する支持部材と、
を有し、
前記メモリ部材は、
前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体側電気接点と電気的に接続されるメモリ側電気接点と、
前記メモリ側電気接点が設けられる第1の面と、
前記第1の面と反対側の第2の面と、
複数の側面と、を有し、
前記支持部材は、前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部を有し、
前記メモリ取付部は、前記メモリ部材の前記第2の面と対向する、第1溝部が設けられた第1対向部と、前記メモリ部材の有する前記複数の側面の1つである第1側面と対向する、第2溝部が設けられた第2対向部と、を有し、前記第2溝部は前記第1溝部と繋がっており、
前記メモリ部材は、接着剤によって前記第2の面が前記第1対向部と接着し、前記第1側面が前記第2対向部と接着することにより、前記メモリ取付部に取り付けられており、
前記接着剤は前記第1溝部および前記第2溝部に入り込んでいる
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記メモリ部材は、前記第1溝部から前記第1対向部に広がった前記接着剤によって、前記第2の面が前記メモリ取付部の前記第1対向部に接着された状態である
ことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1側面は、前記第1の面に近い第1の側面領域と、前記第2の面に近い第2の側面領域と、を含み、
前記第2対向部は、前記メモリ部材が前記メモリ取付部に設置されたときに、前記第1側面の前記第2の側面領域に当接する第2の対向領域と、前記第1側面の前記第1の側面領域とは当接せず隙間ができる第1の対向領域と、を含む
ことを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第2溝部は、前記第1の対向領域に繋がっている
ことを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面の反対側の反対面を有し、
前記反対面が前記メモリ取付部から露出されるように、前記第2対向部に直交する直交方向において、前記メモリ取付部は前記第2対向部と反対側が開口している、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記第1溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面と交差する方向に延びる第2側面を有し、
前記メモリ取付部は、前記第2側面と対向する、第3溝部が設けられた第3対向部を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第2対向部に、前記第3溝部と前記第2溝部とに繋がる第4溝部が設けられている、
ことを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面の反対側の反対面を有し、
前記反対面が前記メモリ取付部から露出されるように、前記第2対向部に直交する直交方向において、前記メモリ取付部は前記第2対向部と反対側が開口している、
ことを特徴とする請求項7または8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第1溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記第3溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項9または10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記第1溝部は、断面形状がV字型、U字型、半円型、および矩形型のいずれかであることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジと、を備える画像形成装置であって、
前記カートリッジは、請求項1から12のいずれか1項に記載のカートリッジであり、
前記画像形成装置本体は、前記メモリ側電気接点と電気的に接続される本体側電気接点を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記カートリッジを装着可能であり、前記画像形成装置本体から引き出された位置と、
前記画像形成装置本体に収容された位置の間を移動できるトレイをさらに備え、
前記カートリッジが有するメモリ部材のメモリ側電気接点は、前記トレイに装着されたのち、前記トレイが前記画像形成装置本体に収容されることにより、前記画像形成装置本体が備える本体側電気接点と電気的に接続する
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジの製造方法であって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、前記メモリ部材を支持する支持部材と、を準備する工程と、
前記メモリ部材を前記支持部材のメモリ取付部に取り付ける工程と、
を含み、
前記メモリ部材は、前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体側電気接点と電気的に接続されるメモリ側電気接点と、前記メモリ側電気接点が設けられる第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、複数の側面と、を有しており、
前記支持部材は、前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部であって、前記メモリ部材の前記第2の面と対向する、第1溝部が設けられた第1対向部と、前記メモリ部材の有する前記複数の側面の1つである第1側面と対向する、第2溝部が設けられた第2対向部と、を有するものであり、前記第2溝部は前記第1溝部と繋がっており、
前記取り付ける工程において、前記メモリ部材は、前記第2溝部と前記第1溝部を通るように接着剤を塗布することによって前記第2の面が前記第1対向部と接着し、前記第1側面が前記第2対向部と接着することにより、前記メモリ取付部に取り付けられる
ことを特徴とするカートリッジの製造方法。
【請求項16】
前記メモリ取付部は、前記メモリ部材の有する複数の第1側面の1つと対向する、第1溝部が設けられた第2対向部をさらに有し、
前記取り付ける工程において、前記メモリ部材は、接着剤によって前記第1側面が前記第2対向部と接着することによっても、前記メモリ取付部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項15に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項17】
前記第1側面は、前記第1の面に近い第1の側面領域と、前記第2の面に近い第2の側面領域と、を含み、
前記第2対向部は、前記メモリ部材が前記メモリ取付部に設置されたときに、前記第1側面の前記第2の側面領域に当接する第2の対向領域と、前記第1側面の前記第1の側面領域とは当接せず隙間ができる第1の対向領域と、を含み、
前記第2対向部の前記第2溝部は、前記第2の対向領域に設けられており、
前記取り付ける工程において、前記接着剤は、前記第1の側面領域と前記第1の対向領域の隙間から、前記第2対向部の前記第2溝部に流入する
ことを特徴とする請求項16に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項18】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面の反対側の反対面を有し、
前記反対面が前記メモリ取付部から露出されるように、前記第2対向部に直交する直交方向において、前記メモリ取付部は前記第2対向部と反対側が開口している、
ことを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項19】
前記第1溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項18に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項20】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面と交差する方向に延びる第2側面を有し、
前記メモリ取付部は、前記第2側面と対向する、第3溝部が設けられた第3対向部を有する
ことを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項21】
前記第2対向部に、前記第3溝部と前記第2溝部とに繋がる第4溝部が設けられている、
ことを特徴とする請求項20に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項22】
前記メモリ部材は、前記複数の側面の1つであって、前記第1側面の反対側の反対面を有し、
前記反対面が前記メモリ取付部から露出されるように、前記第2対向部に直交する直交方向において、前記メモリ取付部は前記第2対向部と反対側が開口している、
ことを特徴とする請求項20または21に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項23】
前記第1溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項22に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項24】
前記第3溝部は、前記直交方向についての長さが、前記直交方向に直交する方向についての長さよりも長い
ことを特徴とする請求項22または23に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項25】
前記取り付ける工程において、前記メモリ部材が前記メモリ取付部に挿入された後に、前記接着剤が塗布される
ことを特徴とする請求項15から24のいずれか1項に記載のカートリッジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ、画像形成装置およびカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などにより紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する、画像形成装置が知られている。画像形成装置の例としては、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンタ)などが挙げられる。
【0003】
かかる画像形成装置の中に、カートリッジ方式のものが存在する。カートリッジは画像形成装置に着脱可能なユニットであり、例えばプロセスカートリッジがある。プロセスカートリッジは、感光体や、感光体に作用するプロセス手段(例えば、帯電部材、現像部材、クリーニング部材等)などを備えている。カートリッジを用いることで、画像形成装置の現像剤補給作業や、各種プロセス手段のメンテナンスが容易になる。すなわち、感光体、帯電部材、現像部材、クリーニング部材等を枠体内にまとめてカートリッジ化しておき、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とする。これにより、カートリッジを交換するという形でユーザ自身が装置をメンテナンスできるため、操作性が向上する。
【0004】
このようなカートリッジにICメモリ等のメモリを搭載し、カートリッジを装置本体に装着した際に、装置本体とカートリッジとの間で情報の送受信を可能にしているものがある。カートリッジに搭載したメモリが記憶する情報としては、例えば、カートリッジのロット番号、画像形成装置の特性、および、プロセス手段の特性等が挙げられる。これにより、装置本体、あるいは、カートリッジのメンテナンスが容易になる。さらに、メモリに記録された情報に応じて画像形成の制御を行うことで、最良の条件で画像形成を行うことができる。
【0005】
特許文献1は、このようなメモリを搭載したカートリッジを用いる画像形成装置において、メモリを接着剤などによってカートリッジの枠体や部品に固定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-102506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メモリを画像形成装置のカートリッジに設ける場合において、メモリの脱落をより確実に防止する方法が求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置に装着されるカートリッジに設けられるメモリの脱落を防止するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、
前記メモリ部材を支持する支持部材と、
を有し、
前記メモリ部材は、
前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体側電気接点と電気的に接続されるメモリ側電気接点と、
前記メモリ側電気接点が設けられる第1の面と、
前記第1の面と反対側の第2の面と、
複数の側面と、を有し、
前記支持部材は、前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部を有し、
前記メモリ取付部は、前記メモリ部材の前記第2の面と対向する、第1溝部が設けられた第1対向部と、前記メモリ部材の有する前記複数の側面の1つである第1側面と対向する、第2溝部が設けられた第2対向部と、を有し、前記第2溝部は前記第1溝部と繋がっ
ており、
前記メモリ部材は、接着剤によって前記第2の面が前記第1対向部と接着し、前記第1側面が前記第2対向部と接着することにより、前記メモリ取付部に取り付けられており、
前記接着剤は前記第1溝部および前記第2溝部に入り込んでいる
ことを特徴とするカートリッジである。

【0010】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジの製造方法であって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、前記メモリ部材を支持する支持部材と、を準備する工程と、
前記メモリ部材を前記支持部材のメモリ取付部に取り付ける工程と、
を含み、
前記メモリ部材は、前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体側電気接点と電気的に接続されるメモリ側電気接点と、前記メモリ側電気接点が設けられる第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、複数の側面と、を有しており、
前記支持部材は、前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部であって、前記メモリ部材の前記第2の面と対向する、第1溝部が設けられた第1対向部と、前記メモリ部材の有する前記複数の側面の1つである第1側面と対向する、第2溝部が設けられた第2対向部と、を有するものであり、前記第2溝部は前記第1溝部と繋がっており、
前記取り付ける工程において、前記メモリ部材は、前記第2溝部と前記第1溝部を通るように接着剤を塗布することによって前記第2の面が前記第1対向部と接着し、前記第1側面が前記第2対向部と接着することにより、前記メモリ取付部に取り付けられる
ことを特徴とするカートリッジの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置に装着されるカートリッジに設けられるメモリの脱落を防止するための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】メモリ部材を収容したメモリ取付部の説明図
図2】画像形成装置の断面図
図3】プロセスカートリッジの断面図
図4】プロセスカートリッジの組立斜視図
図5】画像形成装置の断面図
図6】画像形成装置の断面図
図7】メモリ部材接点の説明図
図8】メモリ部材の斜視図
図9】メモリ取付部の斜視図
図10】メモリ部材のメモリ取付部への取り付けの説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、図面および実施例を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様の
ものである。
【0014】
<実施例1>
なお、以下の記載では、画像形成装置に4個のカートリッジ(以下、プロセスカートリッジとも称す)が着脱可能な場合を例示している。ただし画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。また、以下の記載では、画像形成装置の一態様としてレーザービームプリンタを例示している。ただし後述するように本発明の適用対象はこれに限定されず、装置に着脱される何らかのカートリッジにメモリを設ける構成であれば良い。すなわちカートリッジはプロセスカートリッジに限定されない。本発明は、カートリッジを有する画像形成装置としても捉えられる。
【0015】
[画像形成装置の概略構成]
図2は、画像形成装置500の断面概略図である。また、図3はプロセスカートリッジPの断面図である。また、図4はプロセスカートリッジPを感光体(以下、感光ドラム4と称す)の軸方向(以下、長手方向と呼ぶ)の一端側である駆動側からみた分解斜視図である。
【0016】
画像形成装置500は、記録媒体Sにカラー画像形成を行う、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタである。画像形成装置500は、プロセスカートリッジを画像形成装置本体502に取り外し可能に装着するプロセスカートリッジ方式を採用している。電子写真プロセスは、制御部130の制御により画像データに基づく画像を記録媒体Sに形成する処理を含む。制御部130はプロセッサやメモリ等の演算資源を備える制御回路により構成され、プログラムやユーザの指令に応じて情報処理を実行する。ただし、画像形成装置500の外部の情報処理装置を用いても良いし、画像形成装置内の各構成要素に配置された制御回路と処理を分担してもよい。
【0017】
ここで、画像形成装置500に関して、前ドア111を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置500を正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側とする。また、画像形成装置500を正面から見て上側を上面、下側を下面とする。図2は画像形成装置500を非駆動側から見た断面図であり、紙面手前が画像形成装置500の非駆動側、紙面右側が画像形成装置500の正面、紙面奥側が画像形成装置500の駆動側となる。
【0018】
また、画像形成装置500を正面から見たときの前後方向をX方向とし、正面から背面へ向かう向きをX1、背面から正面へ向かう向きをX2とする。また、画像形成装置500を正面から見たときの左右方向をY方向とし、非駆動側から駆動側へ向かう向き(図2の紙面では手前から奥へ向かう向き)をY1、駆動側から非駆動側へ向かう向き(図2の紙面では奥から手前に向かう向き)をY2とする。また、上下方向をZ方向とし、下方から上方に向かう向きをZ1、上方から下方に向かう向きをZ2とする。
【0019】
図2の画像形成装置500は、画像形成装置本体502にプロセスカートリッジPが装着された状態である。プロセスカートリッジPは、第1のプロセスカートリッジPY、第2のプロセスカートリッジPM、第3のプロセスカートリッジPC、第4のプロセスカートリッジPKを含む。なお、第1~第4のプロセスカートリッジ(PY、PM、PC、PK)を区別する必要がない場合、まとめてプロセスカートリッジPと呼ぶ。第1~第4のプロセスカートリッジ(PY、PM、PC、PK)は略水平に配置されている。
【0020】
プロセスカートリッジPには、画像形成装置本体502の駆動出力部(不図示)から回転駆動力が伝達される。さらに、プロセスカートリッジPには、画像形成装置本体502
の電源出力部(不図示)からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される。制御部130からの指令信号に応じて駆動出力部が動力伝達したり電源出力部が電圧供給したりすることで、プロセスカートリッジPが所定の動作を行う。
【0021】
第1~第4のプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(トナーとも称する)の色が各々異なる。第1のプロセスカートリッジPYは、現像容器25(図3参照)内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光ドラム4の表面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のプロセスカートリッジPMは、現像容器25内にマゼンタ(M)のトナーを収容しており、感光ドラム4の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のプロセスカートリッジPCは、現像容器25内にシアン(C)のトナーを収容しており、感光ドラム4の表面にシアン色のトナー像を形成する。第4のプロセスカートリッジPKは、現像容器25内にブラック(K)のトナーを収容しており、感光ドラム4の表面にブラック色のトナー像を形成する。
【0022】
図2に示すように、第1~第4のプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニット114が設けられている。レーザスキャナユニット114は、画像情報に対応してレーザ光Uを出力する。そして、レーザ光Uは、プロセスカートリッジPの露光窓10を通過して感光ドラム4の表面を走査露光する。
【0023】
第1~第4のプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット112を設けている。中間転写ベルトユニット112は、駆動ローラ112e、ターンローラ112c、テンションローラ112bを有し、可撓性を有する転写ベルト112aを掛け渡している。
第1~第4の各プロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の感光ドラム4は、その下面が転写ベルト112aの上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト112aの内側には、感光ドラム4に対向させて一次転写ローラ112dを設けている。
【0024】
ターンローラ112cには転写ベルト112aを介して二次転写ローラ106aを当接させている。転写ベルト112aと二次転写ローラ106aの接触部が二次転写部である。
中間転写ベルトユニット112の下方には、給送ユニット104を設けている。この給送ユニット104は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ104a、給紙ローラ104bを有する。
【0025】
図2における画像形成装置本体502内の左上方には、定着装置107と、排紙装置108を設けられている。画像形成装置本体502の上面は排紙トレイ113となっている。記録媒体Sは、定着装置107に設けられた定着手段によりトナー像が定着され、排紙トレイ113へ排出される。
【0026】
図3に示すように、プロセスカートリッジPは、ドラムユニット8と現像ユニット9を有し、感光ドラム4を回転可能に支持する。ドラムユニット8は、感光ドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段及びクリーニング手段を備える。現像ユニット9は、感光ドラム4上の静電潜像を現像する現像手段と、トナーを収容する現像容器25を備える。ドラムユニット8と現像ユニット9は互いに結合されている。
【0027】
[画像形成動作]
フルカラー画像を形成するための動作を説明する。まず、第1~第4の各プロセスカー
トリッジP(PY、PM、PC、PK)の感光ドラム4が所定の速度で回転駆動される(図3矢印A方向)。
転写ベルト112aも感光ドラムの回転に順方向(図2矢印C方向)に感光ドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。
【0028】
レーザスキャナユニット114も駆動される。このレーザスキャナユニット114の駆動に同期して、各プロセスカートリッジにおいて帯電ローラ5が感光ドラム4の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニット114は、各色の画像信号に応じて各感光ドラム4の表面をレーザ光Uで走査露光する。
これにより、各感光ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、所定の速度で回転駆動(図3矢印D方向)される現像ローラ6により現像される。
【0029】
このような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のプロセスカートリッジPYの感光ドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト112a上に一次転写される。
【0030】
同様に第2のプロセスカートリッジPMの感光ドラム4にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト112a上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて一次転写される。
同様に第3のプロセスカートリッジPCの感光ドラム4にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト112a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色のトナー像に重畳されて一次転写される。
同様に第4のプロセスカートリッジPKの感光ドラム4にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト112a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0031】
このようにして、転写ベルト112a上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0032】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ106aと転写ベルト112aとの当接部である二次転写部に導入される。
そして、記録媒体Sが二次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト112a上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に一括転写される。
【0033】
[プロセスカートリッジの全体構成]
上述したように、プロセスカートリッジPは、感光ドラム4と、感光ドラム4に作用するプロセス手段を備えている。プロセス手段には感光ドラム4を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ5、感光ドラム4にトナーを付着させ形成された潜像を現像する現像部材としての現像ローラ6、感光ドラム4の表面に残留する残留トナーを除去するためのクリーニング手段としてのクリーニングブレード7がある。またプロセスカートリッジPは、ドラムユニット8と現像ユニット9を有している。
【0034】
[ドラムユニットの構成]
図3および図4に示すように、ドラムユニット8は、感光ドラム4、帯電ローラ5、クリーニングブレード7、ドラム枠体15、廃トナー収納部15a、駆動側カートリッジカバー部材520、非駆動側カートリッジカバー部材521で構成される。
感光ドラム4は、プロセスカートリッジPの長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材520と、非駆動側カートリッジカバー部材521により、回転自在に支持される。駆動側カートリッジカバー部材520には、破線の円で示すように、後述するメモリ取付部200が形成されている。
【0035】
また、図4に示すように、感光ドラム4の長手方向の一端側には、感光ドラム4を回転する駆動力が入力される感光体カップリング部材43が設けられている。感光体カップリング部材43は、画像形成装置本体502のドラム駆動出力部としてのカップリング(不図示)と係合し、画像形成装置本体502の駆動モータ(不図示)の駆動力が感光ドラム4に伝達される。帯電ローラ5は、感光ドラム4に対し接触して従動回転できるように、ドラム枠体15に支持されている。また、クリーニングブレード7は、感光ドラム4の周表面に所定の圧力で当接するように、ドラム枠体15に支持されている。クリーニングブレード7により感光ドラム4の周面から除去された転写残トナーは、ドラム枠体15内の廃トナー収納部15aに収納される。
【0036】
[現像ユニットの構成]
現像ユニット9は、図3に示すように、現像ローラ6、現像ブレード30、現像容器25を含んで構成されている。現像容器25は、現像ローラ6に供給するトナーを収納するトナー収納部29、および、現像ローラ6周面のトナーの層厚を規制する現像ブレード30を有する。現像ブレード30は、厚さ0.1mm程度のシート状金属である弾性部材30bを、L字断面を有する金属材料である支持部材30aに溶接等で取り付けたものである。現像ブレード30は固定ビス30cにて現像容器25に取り付けられる。固定ビス30cによる固定位置は例えば、長手方向一端側と他端側の二箇所とする。
【0037】
現像ローラ6は、金属材料の芯金6cとゴム部6dから構成されている。図4に示すように、現像ローラ6は、現像容器25の長手方向両端に取り付けられた駆動側軸受526と非駆動側軸受27によって回転可能に支持されている。また、現像ユニット9の長手方向の一端側には、現像ローラ6を回転する駆動力が入力される現像カップリング部材74が設けられている。現像カップリング部材74は、画像形成装置本体502の現像駆動出力部としてのカップリング(不図示)と係合し、画像形成装置本体502の駆動モータ(不図示)の駆動力が現像ユニット9に入力される。現像ユニット9に入力された駆動力は、現像ユニット9内に設けられた不図示の駆動列によって伝達されることで、現像ローラ6を図3の矢印D方向に回転させる。現像ユニット9の長手方向一端側には、現像カップリング部材74や不図示の駆動列を支持、カバーする現像カバー部材533が設けられている。
【0038】
[ドラムユニットと現像ユニットの組立]
図4を用いて、ドラムユニット8と現像ユニット9の組み付けについて説明する。ドラムユニット8と現像ユニット9は、プロセスカートリッジPの長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材520と非駆動側カートリッジカバー部材521によって結合される。なお、本実施例ではメモリ部材の支持部材が駆動側カートリッジカバー部材520となっているが、メモリ取り付け位置はこれに限られない。ドラムユニット8、現像ユニット9、駆動側カートリッジカバー部材520あるいは非駆動側カートリッジカバー部材521など、プロセスカートリッジPを構成するいずれかの支持部材に取り付けることができる。
【0039】
プロセスカートリッジPの長手方向一端側に設けられた駆動側カートリッジカバー部材520には、現像ユニット9を揺動(移動)可能に支持するための、支持穴520aが設けられている。また、プロセスカートリッジPの長手方向他端側に設けられた非駆動側カートリッジカバー部材521には、現像ユニット9を揺動可能に支持するための、円筒状
の支持部521aが設けられている。さらに、駆動側カートリッジカバー部材520と非駆動側カートリッジカバー部材521には、感光ドラム4を回転可能に支持するための支持穴部520b、521bが設けられている。ここで、一端側では、駆動側カートリッジカバー部材520の支持穴520aに、現像カバー部材533の円筒部533bの外径部を嵌合させる。他端側では、非駆動側カートリッジカバー部材521の支持部521aを、非駆動側軸受27の穴に嵌合させる。
【0040】
さらに、感光ドラム4の長手方向両端を駆動側カートリッジカバー部材520の支持穴520bと非駆動側カートリッジカバー部材521の支持穴部521bに嵌合させる。そして、駆動側カートリッジカバー部材520と非駆動側カートリッジカバー部材521を、不図示のビスや接着等により、ドラム枠体15に固定する。つまり、駆動側カートリッジカバー部材520と、非駆動側カートリッジカバー部材521はドラム枠体15と一体となりドラムユニット8を構成する。これにより、現像ユニット9は、ドラムユニット8(感光ドラム4)に対して、駆動側カートリッジカバー部材520と非駆動側カートリッジカバー部材521によって移動可能(回転可能)に支持される。
【0041】
ここで、駆動側カートリッジカバー部材520の支持穴520aと非駆動側カートリッジカバー部材521の支持部521aとを結んだ軸線であり、現像ユニット9の回転中心を、揺動軸Kと称す。現像カバー部材533の円筒部533bは現像カップリング部材74と同軸で、現像ユニット9は揺動軸Kにおいて、現像カップリング部材74を介して画像形成装置本体502から駆動力が入力される構成である。
【0042】
[プロセスカートリッジ着脱構成]
プロセスカートリッジPを支持するカートリッジトレイ(以下トレイと称する)110について、図2図5および図6を用いて更に詳細に説明する。図5の断面図は、前ドア111が開いた状態であり、かつ、トレイ110が画像形成装置本体502の内側に位置する状態を示す。
【0043】
また図6の断面図は、前ドア111が開いた状態であり、かつ、トレイ110が画像形成装置本体502の外側に位置する画像形成装置500の断面図である。図5および図6に示すように、トレイ110は、画像形成装置本体502に対して、矢印X1方向(押し込み方向)および矢印X2方向(引き出し方向)に移動可能である。すなわち、トレイ110は画像形成装置本体502に対して引き出しおよび押し込み可能に設けられ、画像形成装置本体502が水平面上に設置された状態において、トレイ110は略水平方向に移動可能に構成されている。このようにトレイ110は、画像形成装置本体502に収容された位置と、画像形成装置本体502から引き出された位置の間を移動できる。
【0044】
ここで、トレイ110が画像形成装置本体502の外側に位置する状態(図6の状態)を外側位置と称する。また、前ドアが開いた状態でトレイ110が画像形成装置本体502の内側に位置し、感光ドラム4と転写ベルト112aが隙間T1だけ離れた状態(図5の状態)を第一内側位置と称する。
【0045】
トレイ110は、プロセスカートリッジPを装着可能な装着部110aを有する。トレイ110には、第1~第4のプロセスカートリッジ(PY、PM、PC、PK)に各々対応する装着部110aが設けられる。ユーザは、トレイ110が外側位置にあるときに、プロセスカートリッジPを装着部110aに着脱できる。装着部110aに各プロセスカートリッジPが装着されると、駆動側カートリッジカバー部材520および非駆動側カートリッジカバー部材521がトレイ110に接触して支持される。
【0046】
装着部110aに配置された状態の各プロセスカートリッジPは、トレイ110が外側
位置から第一内側位置へと移動するのに伴って、画像形成装置本体502の内側に移動する。図5に示すように、このプロセスカートリッジPの移動中には転写ベルト112aと感光ドラム4との間の隙間T1が保たれる。よって、感光ドラム4が転写ベルト112aと接触することなく、プロセスカートリッジPを搭載したトレイ110が画像形成装置本体502の内側に移動可能である。
【0047】
ここで、図5の矢印X方向(X1、X2)に垂直かつ感光ドラム4の軸線と垂直な方向をZ方向と称す(図5の矢印Z1、Z2)。トレイ110は、第一内側位置から図5の矢印Z2方向に移動して、第二内側位置(図2の状態)に移動可能である。トレイ110が第二内側位置にあるとき、感光ドラム4と転写ベルト112aが接触しており、画像形成プロセスが実行可能となる。画像形成装置500では、図5のように前ドア111が開いた状態から、ユーザが前ドア111を矢印R方向に閉める動作に連動して、トレイ110がZ2方向に移動することで、トレイ110が第二内側位置に配置される。
以上のように、トレイ110によって、複数のプロセスカートリッジPをまとめて画像形成装置本体502の内側で画像形成が可能な位置に設置できる。
【0048】
[タグコネクタとメモリタグ位置決め]
図7は、プロセスカートリッジPに設けられたメモリタグ100(メモリ部材)と画像形成装置本体502に設けられたタグコネクタ32との位置決め構成を示す斜視図である。タグコネクタ32には、メモリタグ100に設けられた接点部101(メモリ側電気接点)と接触可能な本体電極部33(本体側電気接点)が設けられ、この本体電極部33を挟んで両側に形成された接点位置決め部34(34a,34b,34c,34d)が設けられている。本体電極部33が不図示の電気配線により制御部130等の制御回路と接続されていることにより、メモリと本体の情報送受信が可能となる。
【0049】
一方、駆動側カートリッジカバー部材520には、メモリタグ100を取り付けるためのメモリ取付部200が形成されている。メモリ取付部200の片側には、接点位置決め部34a,34bに挟まれるように位置決めリブ202aが設けられており、接点位置決め部34a,34bに対向するように側壁部200aが設けられている。また、メモリ取付部200の側壁部200aが設けられているのと反対側には、接点位置決め部34c,34dに挟まれるように位置決めリブ202bが設けられており、接点位置決め部34c,34dに対向するように側壁部200aが設けられている。
【0050】
プロセスカートリッジPを搭載したトレイ110が画像形成装置本体502に挿入されると、接点位置決め部34a,34bに対して側壁部200a,位置決めリブ202aが位置決めされ、接点位置決め部34c,34dに対して側壁部200b、位置決めリブ202bが位置決めされる。これにより、画像形成装置本体502のタグコネクタ32が、プロセスカートリッジPのメモリ取付部200に対して位置決めされる。この位置決めにより、タグコネクタ32の本体電極部33とメモリタグ100の接点部101が接触して、両者が電気的に接続される。このとき、トレイ110を第二内側位置へ移動させた後に前ドア111が閉じられると、タグコネクタ32が図6に破線で示した位置から降りてきてメモリ取付部200に係合する。
【0051】
[メモリタグおよびメモリ取付部の構成]
次に、メモリタグ100およびメモリ取付部200の詳細な構成について説明する。図8はメモリタグ100の斜視図、図9はメモリタグ100を組み付ける前のメモリ取付部200の斜視図、図1は接着剤300によってメモリタグ100を固定した状態のメモリ取付部200の平面図および側面図である。
【0052】
メモリタグ100には、カートリッジのロット番号やカートリッジの特性情報、装着す
る画像形成装置500の特性情報等が格納されている。メモリタグに格納された情報を利用すれば、画像形成装置本体502やプロセスカートリッジPのメンテナンスを容易にできる。これら情報の格納が可能であればメモリ部材の種類は問わず、ICメモリなど一般的な記憶素子を使用できる。
【0053】
[メモリタグ]
図8に示すように、メモリタグ100は、面積が5.5mm×5mm、厚みが1.4mmの板状の部材である。図8においてはY方向が長辺、X方向が短辺である。メモリタグ
100は、接点部101が配置された接点面100a(第1の面)、接点面100aと反対側の底面100b(第2の面)、ならびに、接点面100aおよび底面100bと直交する複数の側面を含む。側面は、駆動側カートリッジカバー部材520に装着された際にメモリ取付部200で保持されない前面100c、前面100cと対向する背面100d、前面100cと背面100dの間にある側面100e、側面100eと対向する側面100fを含む。
【0054】
メモリタグ100は、不図示の記憶素子が取り付けられたメモリ基板102と、メモリ基板102に一体的に設けられ、記憶素子を覆って保護する保護部103の2層によって構成されている。図示例ではメモリ基板102と保護部103の厚みは同程度である。メモリ基板102の上面には記憶素子と電気的に接続した接点部101が露出して形成されている。保護部103は例えば樹脂等で構成できる。
【0055】
[メモリ取付部]
次に、メモリタグ100をプロセスカートリッジPに取り付けるための構成について、図1図8図10を参照して説明する。概略、メモリタグ100は、メモリ取付部200に収容され接着剤300によって固定されることで、プロセスカートリッジPに取り付けられる。
【0056】
具体的には図4に示すように、メモリ取付部200は、プロセスカートリッジPの外装部となる駆動側カートリッジカバー部材520に設けられている。そして、メモリ取付部200はメモリタグ100を収容可能である。そして、メモリ取付部200がメモリタグ100を収容した状態で接着剤300を用いて固定することで、各種情報を記憶可能なメモリタグ100がプロセスカートリッジPに取り付けられる。
【0057】
図1および図9に示すように、メモリ取付部200は、駆動側カートリッジカバー部材520の所定位置に、画像形成装置本体502にプロセスカートリッジPを装着する向き(Z2)と逆側の向き(Z1)が開放された略四角形の凹部として形成される。この凹部がメモリタグ100を収容する収容部として機能する。収容部としての凹部の底部には、メモリタグ100の底面100bと対向する底面対向部201b(第1対向部)、V溝204b1およびV溝204b2(溝部)が設けられている。
【0058】
また、収容部の側壁の一つには、メモリタグ100の背面100dと対向して、背面対向部201d、切り欠き部203、V溝204d1、V溝204d2、V溝204d3、V溝204d4が設けられている。ここで、切り欠き部203は背面対向部201dにおいて、メモリタグ100の厚み方向(Z方向)の途中から、接点面100a側の領域に設けられる。切り欠き部203は、背面対向部201dと比べて、背面100dより遠くに位置する。
【0059】
また、収容部の側壁の別の一つには、メモリタグ100の側面100eと対向して、側面対向部201e、V溝204eが設けられている。また、収容部の側壁のさらに別の一つには、メモリタグ100の側面100fと対向して、側面対向部201f、V溝204
fが設けられている。
【0060】
ここで、本発明の第2対向部は、背面対向部201d、側面対向部201e、側面対向部201fのいずれかに相当する。
【0061】
第2対向部が背面対向部201dに相当する場合、本発明の側面は背面100dに相当する。そして、側面の中で第1の面に近い第1の側面領域は、背面対向部201dの上側である第1の対向領域に対向し、側面の中で第2の面に近い第2の側面領域は、背面対向部201dの下側である第2の対向領域に対向する。また第1の側面領域と第1の対向領域の隙間は、切り欠き部203に相当する。そして、切り欠き部203(隙間)から流入した接着剤300は、溝部を介して流れていき、メモリタグと収容部の接触面に広がる。
【0062】
底面100bと底面対向部201b、背面100dと背面対向部201d、側面100eと側面対向部201e、側面100fと側面対向部201fの間、およびV溝204(204b1,204b2,204d1,204d2,204d3,204d4,204e,204f)には、接着剤300が存在している。したがって、メモリタグ100は、接着剤300を介してメモリ取付部200に対して固定される。接着剤300の一例として、メモリタグ100とメモリ取付部200それぞれの材料に対して十分な接着強度を要する接着剤である、シアノアクリレート系接着剤を使用できる。ただし接着剤の種類はこれに限定されず、流動性など接着領域への配置の容易さ、塗布しやすさ、固定時の固定強度、部材との相性に応じて適当なものを利用すれば良い。
【0063】
[メモリ取付部へのメモリタグの取付および固定]
次にメモリタグ100をメモリ取付部200に取り付けて固定する方法について、図10を参照して説明する。本実施例では、メモリタグ100をメモリ取付部200に挿入して設置したのち、接着剤300を用いる。
【0064】
まず、図10(a)に示したように、メモリ取付部200の収容部にメモリタグ100を挿入する。例えば、ガイド溝に沿って板状のメモリタグ100を水平移動させる。この時点でメモリタグ100を挟持できるように、メモリ取付部200を構成しても良い。そして、接着剤300を接着領域に配置するために、切り欠き部203から接着剤300を入れる。
【0065】
図10(b)は、図1(b)と同じ方向から見たときの、接着剤300が広がる様子を示した図であり、メモリタグ100の描写は省略している。図10(b)に示したように、切り欠き部203から入った接着剤300は、背面対向部201d、V溝204(204b1,204b2,204d1,204d2,204d3,204d4,204e,204f)に広がった後、V溝204(204b1,204b2,204d1,204d2,204d3,204d4,204e,204f)に沿って前面100c方向へと進む。
【0066】
図10(c)は、図10(b)と同じ方向から見た、メモリタグ100を省略せずに描写した図である。図10(c)に示したように、V溝204に流入した接着剤300が、底面100bと底面対向部201b、側面100eと側面対向部201e、および側面100fと側面対向部201fの間に染み出して広がっている。
【0067】
以上のように、V溝204を介して広がった接着剤300によってメモリタグ100の
複数の面が接着されることで、底面100bのみを接着する場合と比較してメモリタグ100をメモリ取付部200に対してより強固に固定することができる。
【0068】
ここでは、接着剤300の上面300aが接点面100aよりも低い位置になるような
接着剤300の配置量としている。これにより、接着剤300が接点面100aに付着することがない。従って、タグコネクタ32とメモリタグ100の電気的な接続を安定して確保できる。
【0069】
以上のように、V溝を介して接着剤300を塗布することによってメモリタグ100とメモリ取付部200の間に接着剤300が拡散し、取り付け部分を強固に固定できる。その結果、メモリタグ100のメモリ取付部200からの脱落を防止できる。
【0070】
なお上の説明では、メモリ取付部200を、プロセスカートリッジPの駆動側カートリッジカバー部材520に設けていた。しかし本発明はこの限りではなく、装置の全体構成や、プロセスカートリッジPと画像形成装置本体502の構造や位置関係に応じて、適宜、メモリ取付部200を配置すれば良い。
【0071】
また、V溝の数や本数、配置箇所は図示例に限定されない。メモリタグ100やメモリ取付部200の材質やサイズ、接着剤300の種類や特性などに応じて適宜設計すれば良い。設計に当たっては、接着剤の流しやすさ、接着のしやすさや、求める固定強度などを考慮しても良い。また、V溝は直線状には限られず、カーブや屈折を有していても良い。また、V溝同士が交差または接続する部分があっても良い。
【0072】
上では、収容部の底面および側面にV溝を設けていた。しかしV溝の位置はこれに限られない。例えば、底面のみ、あるいは側面のみにV溝を設けることによっても、従来の接着剤による単純接着と比較すれば、良好な塗布性能や固定性能を得ることができる。
【0073】
また、溝を設ける場合の溝の断面形状は、V字型には限られない。例えば半円型、U字型、矩形型(角にアールを持つ矩形も含む)などの断面形状でも構わない。
【0074】
さらに上記のメモリ取り付け構成は、プロセスカートリッジ以外のカートリッジにも適用できる。例えば、感光体ドラムを有するドラムカートリッジ、トナー像が形成される像担持体に現像材を供給するための現像剤担持体と現像剤を収容した現像剤収容部を備えた現像カートリッジ、現像剤を収容した現像剤カートリッジ、インクジェット記録装置に用いられるインクを収納したインクジェットカートリッジなどが挙げられる。他にも、画像形成装置の装置本体に着脱可能に構成され、メモリ部材が取り付けられたカートリッジであれば適用可能である。したがって、上記構成の適用対象となる画像形成装置としても、電子写真画像形成方式、静電記録画像形成方式の他、例えばインクジェット記録方式のものを利用できる。
【0075】
本発明はまた、カートリッジの製造方法や画像形成装置の製造方法としても捉えられる。その場合本発明は、支持部材とメモリ部材を準備する工程と、メモリ部材を支持部材に取り付ける工程とを含み、取り付ける工程においては、上述したような溝部を介して接着剤を接着領域に流入される方法で固定が行われる。
【符号の説明】
【0076】
P:プロセスカートリッジ、100:メモリタグ、100a:接点面、100b:底面、101:接点部、200:メモリ取付部、201b:底面対向部、204b1、204b2:V溝、300:接着剤、502:画像形成装置本体、520:駆動側カートリッジカバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10