(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ロータリ式バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
F16K5/04 C
(21)【出願番号】P 2020128106
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】杤木 安弘
(72)【発明者】
【氏名】石口 翔一
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185019(JP,A)
【文献】特開2014-194243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321812(US,A1)
【文献】実開平2-77368(JP,U)
【文献】米国特許第3891183(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部通路及び前記内部通路から径方向外側に向かって外周壁に開口する開口部を有する
と共に所定の軸線回りに回転する筒状のバルブと、
前記バルブを収容して回動自在に支持するハウジングと、
前記外周壁に当接するように前記ハウジングに組み込まれて径方向通路を画定する筒状の通路部材と、
前記通路部材を前記外周壁に向けて付勢する付勢バネと、を備え、
前記通路部材は、前記外周壁に当接する当接部材と、前記当接部材と前記付勢バネの間に介在して前記当接部材を部分的に押圧する環状押圧部を有する介在部材を含み、
前記当接部材は、前記付勢バネの付勢方向において前記環状押圧部と並ぶ領域に環状シール面を有
し、
前記当接部材は、前記介在部材の内側に嵌め込まれる小径部と、前記環状押圧部により押圧される環状被押圧部を画定する大径部を含む、
ことを特徴とするロータリ式バルブ装置。
【請求項2】
前記介在部材は、前記当接部材よりも剛性の高い材料により形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項3】
前記外周壁は、球面をなす外周面を含み、
前記当接部材は、前記外周壁と対向する環状円錐面を含み、
前記環状シール面は、前記環状円錐面の外周縁寄りの領域に形成されている、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項4】
前記小径部は、前記介在部材に圧入されている、
ことを特徴とする請求項
1ないし3いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項5】
前記付勢バネの付勢方向において、前記小径部の長さ寸法は、前記大径部の長さ寸法よりも長く設定されている、
ことを特徴とする請求項
1ないし4いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項6】
前記介在部材は、前記小径部が嵌め込まれる大径内周面と、前記径方向通路を画定する小径内周面と、前記大径内周面と前記小径内周面の間に形成された環状段差部を含み、
前記当接部材は、前記環状段差部と非接触にて対向するべく前記小径部により画定される環状端面を含む、
ことを特徴とする請求項
1ないし5いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項7】
前記当接部材の小径部は、前記径方向通路を画定する内周面を含み、
前記介在部材の小径内周面と前記当接部材の内周面は、同一内径に形成されている、
ことを特徴とする請求項
6に記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項8】
前記介在部材は、前記環状押圧部の内周縁領域に形成された環状面取りを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし
7いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記通路部材を挿入する挿入孔を含み、
前記介在部材及び前記当接部材は、前記挿入孔の内周面と隙間をおいて対向する外周面を含み、
前記介在部材は、前記隙間をシールするシール部材を嵌め込む環状溝を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし
8いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【請求項10】
前記外周壁は、前記軸線
の方向に連なる複数の球面をなす外周面を含み、
前記通路部材は、前記複数の外周面に対応して配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし
9いずれか一つに記載のロータリ式バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブを軸線回りに回転させて流体の通路を開閉するロータリ式バルブ装置に関し、特に、車両等に搭載されるエンジンの冷却水の流れを制御する際に適用されるロータリ式バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリ式バルブ装置としては、内部通路及び外周壁に開口する開口部を有する筒状のバルブ(ロータ)、バルブを回動自在に収容するハウジング、ハウジングの径方向に伸長する挿入孔に挿入されて径方向通路を画定する通路部材、通路部材をバルブの外周壁に向けて付勢する付勢バネ、通路部材の外周面とハウジングの挿入孔(内周面)との隙間をシールする環状シール部材を備え、通路部材が、径方向通路を画定する筒部と、筒部に連続的にかつ薄肉に形成されて外周壁に当接する環状シールリップとしての環状当接部を含むように形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置において、通路部材は、筒部と環状当接部が樹脂材料を用いて一体的に形成されている。したがって、環状当接部のシール性を高めるべく、通路部材が全体として比較的に低剛性の樹脂材料を用いて形成された場合、付勢バネの付勢力が常時作用する環境下においては、高いシール性能を維持するべく環状当接部の領域の変形やヘタリを改善する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解消して、付勢バネの付勢力が作用する環境下においても、通路部材の変形やヘタリを抑制ないし防止でき、低コストが図れ、所望のシール性能を維持できるロータリ式バルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータリ式バルブ装置は、内部通路及び内部通路から径方向外側に向かって外周壁に開口する開口部を有すると共に所定の軸線回りに回転する筒状のバルブと、バルブを収容して回動自在に支持するハウジングと、バルブの外周壁に当接するようにハウジングに組み込まれて径方向通路を画定する筒状の通路部材と、通路部材を外周壁に向けて付勢する付勢バネとを備え、通路部材は、外周壁に当接する当接部材と、当接部材と付勢バネの間に介在して当接部材を部分的に押圧する環状押圧部を有する介在部材を含み、当接部材は、付勢バネの付勢方向において環状押圧部と並ぶ領域に環状シール面を有し、当接部材は、介在部材の内側に嵌め込まれる小径部と、環状押圧部により押圧される環状被押圧部を画定する大径部を含む、構成となっている。
【0007】
上記ロータリ式バルブ装置において、介在部材は、当接部材よりも剛性の高い材料により形成されている、構成を採用してもよい。
【0009】
上記ロータリ式バルブ装置において、バルブの外周壁は球面をなす外周面を含み、当接部材は外周壁と対向する環状円錐面を含み、環状シール面は環状円錐面の外周縁寄りの領域に形成されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記ロータリ式バルブ装置において、小径部は介在部材に圧入されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記ロータリ式バルブ装置において、付勢バネの付勢方向において、小径部の長さ寸法は、大径部の長さ寸法よりも長く設定されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記ロータリ式バルブ装置において、介在部材は、小径部が嵌め込まれる大径内周面と、径方向通路を画定する小径内周面と、大径内周面と小径内周面の間に形成された環状段差部を含み、当接部材は、環状段差部と非接触にて対向するべく小径部により画定される環状端面を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記ロータリ式バルブ装置において、当接部材の小径部は、径方向通路を画定する内周面を含み、介在部材の小径内周面と当接部材の内周面は、同一内径に形成されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記ロータリ式バルブ装置において、介在部材は、環状押圧部の内周縁領域に形成された環状面取りを含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記ロータリ式バルブ装置において、ハウジングは、通路部材を挿入する挿入孔を含み、介在部材及び当接部材は、挿入孔の内周面と隙間をおいて対向する外周面を含み、介在部材は、隙間をシールするシール部材を嵌め込む環状溝を含む、構成を採用してもよい。
【0016】
上記ロータリ式バルブ装置において、バルブの外周壁は、軸線の方向に連なる複数の球面をなす外周面を含み、通路部材は、複数の外周面に対応して配置されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成をなすロータリ式バルブ装置によれば、付勢バネの付勢力が作用する環境下においても、通路部材の変形やヘタリを抑制ないし防止でき、低コスト化を達成でき、所望のシール性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るロータリ式バルブ装置がエンジンの冷却水循環システムに適用された状態を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係るロータリ式バルブ装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図3】
図2に示すロータリ式バルブ装置をハウジングの連通口側から視た外観斜視図である。
【
図4】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれるハウジングを示す外観斜視図である。
【
図5】一実施形態のロータリ式バルブ装置の軸線を含む面での断面図である。
【
図6】一実施形態のロータリ式バルブ装置において、一つのコネクタ部材が連結される部分を切断した部分断面図である。
【
図7】一実施形態のロータリ式バルブ装置において、二つの通路部材の中心線を含むと共に軸線に垂直な面での断面図である。
【
図8】一実施形態のロータリ式バルブ装置において、一つの通路部材の中心線を含むと共に軸線に垂直な面での断面図である。
【
図9】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれる、バルブと三つの通路モジュール(通路部材、シール部材及び付勢バネ)の配置関係を示す分解斜視図である。
【
図10】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれるバルブを、シャフトの一端部側から視た外観斜視図である。
【
図11】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれるバルブを、シャフトの他端部側から視た外観斜視図である。
【
図12】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれる通路モジュール(通路部材、シール部材、付勢バネ)を示す分解斜視図である。
【
図13】通路部材を構成する介在部材と当接部材を分解し、介在部材側から視た分解斜視図である。
【
図14】通路部材を構成する介在部材と当接部材を分解し、当接部材側から視た分解斜視図である。
【
図15】通路部材を構成する介在部材と当接部材を分解して示した分解断面図である。
【
図16】一実施形態のロータリ式バルブ装置に含まれるバルブ、通路モジュール(通路部材、シール部材、付勢バネ)及びコネクタ部材の組み付け状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るロータリ式バルブ装置の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係るロータリ式バルブ装置Mは、
図1に示すように、車両に搭載されるエンジンEにおいてウォータポンプ1の下流側に取り付けられて、ラジエータ2、ヒータ3、オイルクーラ4、常時循環対象物5に冷却水を供給するように配置されている。
尚、常時循環対象物5としては、スロットルボディやEGRバルブ等が対象となる。
【0020】
ロータリ式バルブ装置Mは、
図2、
図3、
図5、
図7、
図8に示すように、ハウジングHとしてのハウジング本体10及び結合部材20、コネクタ部材31,32,33,34、軸線S回りに回動するバルブ40、三つの通路モジュールm1,m2,m3、駆動ユニット80を備えている。
三つの通路モジュールm1,m2,m3は、それぞれ、通路部材50、シール部材60、付勢バネ70により構成されている。
尚、三つの通路モジュールm1,m2,m3を構成する通路部材50、シール部材60、及び付勢バネ70は、寸法が異なるのみでその他は同一の構成をなすため、同一の符号を用いて示されている。
【0021】
ハウジング本体10は、樹脂材料又はアルミニウム材料等により形成され、
図4ないし
図5に示すように、収容室11、収容室11内に突出する筒部12、四つの連結嵌合部13,14,15,16、フランジ部17、嵌合凹部18、外側において駆動ユニット80が取り付けられる仕切り壁19を備えている。
【0022】
収容室11は、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、隙間をおいて、バルブ40を軸線S回りに回動自在に収容する。
筒部12は、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、軸線S方向において仕切り壁19から内側に突出するように形成されている。
そして、筒部12は、
図5に示すように、軸受ブッシュBを介してバルブ40のシャフト41の一端部41aを回動自在に支持する。また、筒部12とシャフト41の間には、軸受ブッシュBよりも軸線S方向の内側において、シール部材SRが配置されている。
【0023】
連結嵌合部13は、
図4及び
図7に示すように、軸線Sに垂直な方向に伸長する挿入孔13a、コネクタ部材31を連結する連結部13bを備えている。
挿入孔13aは、通路モジュールm1を挿入し得るように円筒状の内周面を画定するべく形成され、バルブ40の第1外周面43aと径方向において対向する位置に設けられている。
連結部13bは、コネクタ部材31がOリングRgを挟んで嵌合されると共にネジを用いて固定されるように形成されている。
【0024】
連結嵌合部14は、
図4及び
図7に示すように、軸線Sに垂直な方向に伸長する挿入孔14a、コネクタ部材32を連結する連結部14bを備えている。
挿入孔14aは、通路モジュールm2を挿入し得るように円筒状の内周面を画定するべく形成され、バルブ40の第1外周面43aと径方向において対向する位置に設けられている。
連結部14bは、コネクタ部材32がOリングRgを挟んで嵌合されると共にネジを用いて固定されるように形成されている。
【0025】
連結嵌合部15は、
図4及び
図8に示すように、軸線Sに垂直な方向に伸長する挿入孔15a、コネクタ部材33を連結する連結部15bを備えている。
挿入孔15aは、通路モジュールm3を挿入し得るように円筒状の内周面を画定するべく形成され、バルブ40の第2外周面43bと径方向において対向する位置に設けられている。
連結部15bは、コネクタ部材33がOリングRgを挟んで嵌合されると共にネジを用いて固定されるように形成されている。
また、連結嵌合部15の近傍には、
図4、
図6、
図7に示すように、連結嵌合部16の連通路16aの途中に連通するバイパス通路15cが形成され、バイパス通路15cに配置されたサーモスタットTが所定温度以上で開弁したとき、通路モジュールm3を経由することなく、連通路16a及びバイパス通路15cを通して内部通路Ipとコネクタ部材33の通路とが直接連通するようになっている。
【0026】
連結嵌合部16は、
図6に示すように、軸線Sに垂直な方向に伸長し途中から屈曲した経路を辿る連通路16a、コネクタ部材34を連結する連結部16bを備えている。
連通路16aは、軸線Sに垂直な径方向に伸長してバルブ40の第1外周面43aと対向する上流側通路、上流側通路から屈曲して連結部16bまで延びる下流側通路を含むように形成されている。
連結部16bは、コネクタ部材34がOリングRgを挟んで嵌合されると共にネジを用いて固定されるように形成されている。
【0027】
フランジ部17は、
図3に示すように、エンジンEの取付け面に接合される接合面17a、軸線Sを中心とする円形孔17b、エンジンEに締結するボルトを通す貫通孔17cを備えている。
嵌合凹部18は、
図5に示すように、フランジ部17の円形孔17bの内側に形成されており、第1環状凹部18a、第2環状凹部18bを備えている。
第1環状凹部18aは、結合部材20が嵌合されてハウジング本体10に結合されるように形成されている。
第2環状凹部18bは、結合部材20の周りにおいてOリングRgが嵌め込まれるように形成されている。
【0028】
仕切り壁19は、
図4及び
図5に示すように、筒部12を通して収容室11を外部に連通させる開口部19a、ネジを用いて駆動ユニット80を締結するべく外側に形成されたボス部19b、バルブ40の突起46を受け入れてバルブ40の回動範囲を規制するべく内側に形成された円弧状の規制溝19cを備えている。
【0029】
結合部材20は、樹脂材料又はアルミニウム材料等により形成され、
図3及び
図5に示すように、三つの連通口21、支持孔22、スラスト受け部23を備えている。
連通口21は、バルブ40の内部通路Ip及び収容室11を外部と連通させるものであり、流体の流入又は流出を可能にする。
支持孔22は、シャフト41の他端部41bを回動自在に受け入れて支持する。
スラスト受け部23は、
図5に示すように、軸線S方向において、バルブ40の他端面43cよりも内側まで突出して形成され、シャフト41の他端部41bに隣接する環状端面41cを軸線S方向において支持する。
【0030】
結合部材20は、シャフト41の一端部41aがハウジング本体10の筒部12に軸受ブッシュB及びシール部材SRを介して嵌め込まれた後に、シャフト41の他端部41bを支持孔22に嵌め込みつつ、軸線S方向からハウジング本体10の第1環状凹部18aに嵌め込まれて結合される。
このように、ハウジングHが、筒部12を有するハウジング本体10と、連通口21及び支持孔22を有する結合部材20により形成されているため、バルブ40を挟み込むようにして容易に組み付けることができる。
【0031】
コネクタ部材31は、金属材料等により形成され、
図2、
図7、
図16に示すように、嵌合部31a、フランジ部31b、パイプ部31cを備えている。
嵌合部31aは、環状のバネ受け部31a
1を有し、連結嵌合部13の挿入孔13aに嵌合されて、付勢バネ70の端部を受けると共に挿入孔13aとの間にOリングRgを挟み込むように形成されている。
フランジ部31bは、連結嵌合部13の端面にネジを用いて締結固定される。
パイプ部31cには、オイルクーラ4に向けて冷却水を供給する配管が接続される。
【0032】
コネクタ部材32は、金属材料等により形成され、
図2、
図7、
図16に示すように、嵌合部32a、フランジ部32b、パイプ部32cを備えている。
嵌合部32aは、環状のバネ受け部32a
1を有し、連結嵌合部14の挿入孔14aに嵌合されて、付勢バネ70の端部を受けると共に、挿入孔14aとの間にOリングRgを挟み込むように形成されている。
フランジ部32bは、連結嵌合部14の端面にネジを用いて締結固定される。
パイプ部32cには、ヒータ3に向けて冷却水を供給する配管が接続される。
【0033】
コネクタ部材33は、金属材料等により形成され、
図2、
図8、
図16に示すように、嵌合部33a、フランジ部33b、パイプ部33cを備えている。
嵌合部33aは、環状のバネ受け部33a
1を有し、連結嵌合部15の挿入孔15aに嵌合されて、付勢バネ70の端部を受けるように形成されている。
フランジ部33bは、連結嵌合部15の端面にOリングRgを挟み込んでネジを用いて締結固定される。
パイプ部33cには、ラジエータ2に向けて冷却水を供給する配管が接続される。
【0034】
コネクタ部材34は、金属材料等により形成され、
図2及び
図6に示すように、嵌合部34a、フランジ部34b、パイプ部34cを備えている。
嵌合部34aは、連結嵌合部16の連通路16aに嵌合されて、連通路16aとの間にOリングRgを挟み込むように形成されている。
フランジ部34bは、連結嵌合部16の端面にネジを用いて締結固定される。
パイプ部34cには、常時循環対象物5に向けて冷却水を供給する配管が接続される。
【0035】
バルブ40は、耐摩耗性及び摺動性に優れた樹脂材料を用いて、内部通路Ipを画定するべく形成され、
図5、
図10、
図11に示すように、軸線Sを中心とするシャフト41、端部壁42、外周壁43、外周壁43をシャフト41に連結する複数のスポーク部44、有底円筒状の凹部45、突起46を備えている。
【0036】
シャフト41は、軸線Sを中心とする円柱状に形成され、一端部41a、他端部41b、環状端面41c、歯車41dを備えている。
一端部41aは、凹部45で囲まれると共に外部に露出するように形成され、軸受ブッシュBを介してハウジング本体10の筒部12に嵌合されて軸線S回りに回動自在に支持される。
他端部41bは、結合部材20の支持孔22に嵌合されて軸線S回りに回動自在に支持される。
環状端面41cは、軸線S方向において他端部41bの内側に隣接すると共に、軸線S方向においてバルブ40の他端面としての外周壁43の端面43cよりも内側に配置されるように形成されている。
そして、環状端面41cは、ハウジングHの一部をなす結合部材20のスラスト受け部23に当接して、軸線S方向において摺動自在に支持される。
【0037】
端部壁42は、軸線S方向におけるバルブ40の一端面42aを画定すると共に、外周壁43と凹部45の間に連続して形成され内部通路Ipとシャフト41の一端部41aを遮断するように形成されている。
そして、組付け状態において、端部壁42は、ハウジング本体10の仕切り壁19の内側面と隙間をおいて隣接するように配置される。
【0038】
このように、端部壁42が、一端部41aを内部通路Ipから遮断すると共に仕切り壁19と隣接して配置されるため、連通口21から内部通路Ipに流れ込む流体は、端部壁42の内側面に衝突して開口部43b1,43a1に向かうように方向付けされる。
これにより、流体が、一端部41aの支持領域へ直接的に流れ込むのを防止することができ、支持領域からの流体の漏れを抑制ないし防止することができる。
【0039】
外周壁43は、ハウジング本体10の内周面と隙間をおいて配置され、軸線S方向に連なる第1外周面43a及び第2外周面43b、第1外周面43aに開口する開口部43a1、第2外周面43bに開口する開口部43b1、軸線S方向におけるバルブ40の他端面としての端面43cを備えている。
【0040】
第1外周面43aは、軸線S方向において所定幅をなすと共に軸線S上に中心をもつ球面に形成されている。
第2外周面43bは、軸線S方向において第1外周面43aよりも大きい幅をなすと共に軸線S上に中心をもつ球面に形成されている。
開口部43a1は、内部通路Ipから径方向外側に向かって外周壁43の第1外周面43aの領域に開口すると共に、軸線S回りの周方向に長い長孔として形成されている。
開口部43b1は、内部通路Ipから径方向外側に向かって外周壁43の第2外周面43bの領域に開口すると共に、開口部43a1よりも短い寸法でかつ軸線S回りの周方向に長い長孔として形成されている。
端面43cは、組付け状態において、結合部材20の内側面と隙間をおいて対向するように配置される。
【0041】
スポーク部44は、内部通路Ipが軸方向通路として軸線S方向において端面43cから外部に連通するように、シャフト41に対して外周壁43を離散的に連結するように形成されている。
凹部45は、軸線S方向におけるバルブ40の一端面42aから軸線S方向の内側に凹み、かつ、シャフト41の一端部41aを囲むと共に端部壁42の外側に露出させる有底円筒状に形成されている。
すなわち、凹部45は、その凹み空間においてシャフト41の一端部41aを同軸(軸線S)上で位置付けて露出させると共に、ハウジング本体10の筒部12が隙間をおいて挿入されるように形成されている。
突起46は、端部壁42から軸線S方向に突出するように形成され、組付け状態において、ハウジング本体10の規制溝19cに挿入される。そして、突起46は、規制溝19cの両端に当接することで、バルブ40の回動範囲を規制する役割をなす。
【0042】
上記構成をなすバルブ40によれば、シャフト41がバルブ40の一部として樹脂材料により一体成形されているため、部品点数の削減、組付け工数の削減、管理工数の削減等を達成することができる。
また、凹部45が、軸線S方向において一端面42aよりも内側に凹むと共にシャフト41の一端部41aを囲むように形成され、又、ハウジング本体10の筒部12が凹部45内に挿入されて一端部41aを支持するように形成されているため、バルブの端面から突出したシャフトを支持する形態に比べて、軸線S方向における寸法を短くすることができ、ハウジングHの小型化、装置Mの小型化を達成することができる。
【0043】
また、シャフト41の環状端面41cが、軸線S方向においてバルブ40の端面43cよりも内側に配置されているため、端面43cからの他端部41bの突出量を小さくすることができる。すなわち、バルブ40全体としての軸線S方向における寸法を短くすることができ、又、ハウジングHの軸線S方向における寸法を短く設定できる。これにより、装置Mの小型化、車両搭載性の向上を達成することができる。
【0044】
また、凹部45が有底円筒状に形成され、端部壁42が外周壁43と凹部45の間に連続して形成され内部通路Ipと一端部41aとを遮断するように形成されているため、連通口21から内部通路Ipに流れ込む流体が、一端部41aの支持領域へ直接的に流れ込むのを防止することができ、支持領域からの流体の漏れを抑制ないし防止することができる。
また、シャフト41の一端部41aが軸受ブッシュBを介して筒部12に支持されると共に一端部41aの外側に形成された歯車41dに対して、駆動ユニット80の駆動力が付与される構成であるため、軸受ブッシュBから歯車41dまでのオーバハング量を小さくでき、シャフト41を軸線S回りに円滑に回転させることができる。
さらに、シャフト41と筒部12の間は、軸受ブッシュBよりも軸線S方向の内側においてシール部材SRが配置されているため、ハウジングHの収容室11内の流体が筒部12を通して外部に漏れ出るのを防止することができる。
【0045】
通路部材50は、バルブ40の外周壁43に当接するようにハウジング本体10に組み込まれて径方向通路Rpを画定するものであり、
図9、
図12ないし
図15に示すように、全体として円筒状に形成され、介在部材としてのホルダ部材51と、ホルダ部材51に保持されてバルブ40の第1外周面43a又は第2外周面43bに当接する当接部材52とにより形成されている。
【0046】
ホルダ部材51は、当接部材52と付勢バネ70の間に介在して当接部材52を保持するものであり、高結晶性の熱可塑性樹脂材料、例えばポリフェニルサルファイド樹脂等を用いて円筒状に形成され、小径内周面51a、外周面51b、大径内周面としての嵌合内周面51c、環状段差部51d、バネ受け部51e、環状溝51f、環状押圧部51g、環状面取り51hを備えている。
【0047】
小径内周面51aは、バルブ40の内部通路Ipと連通し得る径方向通路Rpを画定する。
外周面51bは、ハウジング本体10の挿入孔13a,14a,15aと隙間Cをおいて配置される。
嵌合内周面51cは、当接部材52の小径部Srが嵌め込まれる寸法、ここでは圧入される寸法に形成されている。
環状段差部51dは、小径内周面51aと嵌合内周面51cの境界に形成され、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて、当接部材52の環状端面52dと非接触にて対向する。
バネ受け部51eは、付勢バネ70の端部を受けるべく、環状端面をなす。
環状溝51fは、シール部材60が嵌め込まれるように形成されている。
環状押圧部51gは、付勢バネ70の付勢力を介して、当接部材52の環状被押圧部52eを押圧する。
環状面取り51hは、環状押圧部51gの内周縁領域に形成されている。環状面取り51hを設けたことにより、当接部材52をホルダ部材51に容易に嵌合させることができ、又、両者を嵌合させる際の削り粉等の発生を防止することができる。
【0048】
上記構成をなすホルダ部材51は、径方向通路Rpを画定する役割と、シール機能をなす当接部材52を保持して位置決めすると共に付勢バネ70の付勢力を伝達する役割と、シール部材60を保持して位置決めする役割をなす。
したがって、ホルダ部材51は、当接部材52よりも機械的強度及び剛性が高くて、低価な樹脂材料を用いて形成される。尚、ホルダ部材51は金属材料を用いて形成されてもよい。
【0049】
当接部材52は、樹脂材料、例えばフッ素樹脂を用いて円筒状に形成され、小径部Srと、大径部Lrを備えている。
小径部Srは、内周面52a、嵌合外周面52c、及び環状端面52dを画定するように形成されている。
大径部Lrは、外周面52b、環状被押圧部52e、及び環状円錐面52fを画定するように形成されている。
【0050】
内周面52aは、バルブ40の内部通路Ipと連通し得る径方向通路Rpを画定する。
外周面52bは、ハウジング本体10の挿入孔13a,14a,15aと隙間Cをおいて配置される。
嵌合外周面52cは、ホルダ部材51の嵌合内周面51cに圧入される寸法に形成されている。
環状端面52dは、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて、ホルダ部材51の環状段差部51dと非接触にて対向する。
環状被押圧部52eは、ホルダ部材51の環状押圧部51gに押圧されて付勢バネ70の付勢力を受ける。
環状円錐面52fは、バルブ40の外周壁43に形成された球面をなす第1外周面43a又は第2外周面43bと対向するように形成され、その外周縁寄りの領域において、
第1外周面43a又は第2外周面43bと接触する環状シール面52f1を有し、その内周側領域は非接触となるように形成されている。
ここで、環状シール面52f1は、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて、環状押圧部51g及び環状被押圧部52eと並ぶ直線FL上の領域に位置付けられている。
【0051】
すなわち、当接部材52は、ホルダ部材51の内側に嵌め込まれる小径部Srと、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて環状押圧部51gにより押圧される環状被押圧部52eを画定する大径部Lrを備えている。
上記構成をなす当接部材52は、径方向通路Rpを画定する役割と、ホルダ部材51を介して及ぼされる付勢バネ70の付勢力により、バルブ40の外周壁43に当接してシールする役割をなす。
したがって、当接部材52は、耐摩耗性及び摺動性に優れ、弾性的復元性のある樹脂材料を用いて形成される。
【0052】
ここで、ホルダ部材51と当接部材52との寸法関係は、
図15に示すように、付勢バネ70の付勢方向Fd(径方向通路Rpの伸長方向)において、当接部材52の長さ寸法H2が、ホルダ部材51の長さ寸法H1よりも短く設定されている。
すなわち、剛性の高いホルダ部材51を長めに設定し、シール性を高める剛性の低い当接部材52を短めに設定することで、当接部材52の荷重に対する座屈荷重を高めることができ、付勢バネ70の付勢力が長時間に亘って付与されても、当接部材52の塑性変形やヘタリを抑制ないし防止することができる。
また、当接部材52の小径部Srと大径部Lrとの寸法関係は、
図15に示すように、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて、小径部Srの長さ寸法h1が、大径部Lrの長さ寸法h2よりも長く設定されている。
これにより、ホルダ部材51と嵌合される小径部Srの嵌合代を長くして嵌合状態を堅固にすることで当接部材52の変形をホルダ部材51で抑制し、大径部Lrの座屈荷重を高めて、変形やヘタリを抑制ないし防止することができる。
【0053】
上記構成をなす当接部材52とホルダ部材51との組付け関係においては、小径部Srの嵌合外周面52cが嵌合内周面51cに圧入されることにより、当接部材52がホルダ部材51に組み付けられるため、堅固な組み付け状態が得られる。
また、
図16に示すように、環状段差部51dが環状端面52dに非接触となるように、かつ、環状押圧部51gが環状被押圧部52eを押圧するように、当接部材52がホルダ部材51に組み付けられるため、付勢バネ70の付勢力を環状シール面52f
1に局部的に集中させることができ、安定したシール面圧を確保することができる。
特に、付勢バネ70の付勢力が作用する直線FL上に、環状押圧部51g、環状被押圧部52e、及び環状シール面52f
1が一列に並ぶように配置されることで、付勢バネ70の付勢力を有効に作用させて、所望されるシール面圧を得ることができる。
さらに、ホルダ部材51の小径内周面51aと当接部材52の内周面52aは、同一内径に形成されているため、径方向通路Rpとしては面一の内周面が画定され、絞りや拡大等による通路抵抗を低減して、流体の円滑な流れを得ることができる。
【0054】
シール部材60は、ホルダ部材51の環状溝51fに嵌め込まれるものであり、ゴム材料により略V又はU字断面をなす円環状に形成され、内周面61、外周面62、端面63、凹状の受圧面64を備えている。
内周面61は、ホルダ部材51の環状溝51fの内壁面に密接する。
外周面62は、ハウジング本体10の挿入孔13a,14a,15aの内周面に密接する。
端面63は、ホルダ部材51の環状溝51fの一方の側壁面に当接するように形成されている。
受圧面64は、ハウジング本体10の挿入孔13a,14a,15aとホルダ部材51の外周面51bの間の隙間を通して流れ込んだ流体の圧力を受けて、その径方向において内周面61と外周面62が押し広げられるように形成されている。
【0055】
すなわち、シール部材60は、受圧面64に対して、流体の圧力が作用するように組み付けられるものである。
したがって、この実施形態で示すように、流体が内部通路Ipから径方向通路Rpに向かって流れる使用形態においては、
図16に示すように、シール部材60は、受圧面64がハウジング本体10の内側を向くように組み付けられる。
一方、流体が径方向通路Rpから内部通路Ipに向かって流れる使用形態においては、シール部材60は、
図16に示す形態とは逆向きに、受圧面64がハウジング本体10の径方向外側を向くように組み付けられる。
【0056】
付勢バネ70は、圧縮型のコイルバネであり、ハウジング本体10の挿入孔13a,14a,15a内に配置されて、一端部がホルダ部材51のバネ受け部51eに当接し、他端部がコネクタ部材31,32,33のバネ受け部31a1,32a1,33a1に当接するように圧縮状態で配置される。
そして、付勢バネ70は、当接部材52の環状シール面52f1がバルブ40の外周壁43の第1外周面43a又は第2外周面43bに密接するように、通路部材50をバルブ40に向けて付勢する付勢力を及ぼす。
【0057】
駆動ユニット80は、
図2及び
図5に示すように、ハウジング本体10の外側において仕切り壁19に結合されてバルブ40に回転駆動力を及ぼすものであり、ケース81、外部との電気的に接続されるコネクタ82、バルブ40の歯車41dと噛合する歯車83、歯車83と噛合する多段構成からなる減速歯車(不図示)、減速歯車に駆動力を及ぼすモータ(不図示)を備えている。
【0058】
この実施形態においては、駆動ユニット80により、バルブ40の回転位置が適宜調整されることにより、連通口21から内部通路Ipを経て径方向通路Rpに向けて流れる流体の流量が調整される。
尚、他の実施形態として、各々のコネクタ部材31,32,33,34から流れ込んだ流体が、径方向通路Rpから内部通路Ipを経て連通口21から流れ出る形態において、駆動ユニット80によりバルブ40の回転位置が適宜調整されることで、流体の流量が調整されてもよい。
【0059】
上記ロータリ式バルブ装置Mの動作について説明する。
先ず、エンジンEの始動で、ウォータポンプ1が回転すると、冷却水循環システムに存在する冷却水は、エンジンE内の冷却水通路からロータリ式バルブ装置Mの連通口21に供給され、内部通路Ip及び収容室11内に流れ込む。
【0060】
そして、駆動ユニット80により、バルブ40の回転位置が適宜駆動制御されて、開口部43a1を通して内部通路Ipをコネクタ部材31に通じる径方向通路Rpと連通させるか否か、開口部43a1を通して内部通路Ipをコネクタ部材32に通じる径方向通路Rpと連通させるか否か、又、開口部43b1を通して内部通路Ipをコネクタ部材33に通じる径方向通路Rpと連通させるか否かを選択する種々のモードが設定される。
【0061】
上記駆動制御により、連通口21から内部通路Ipを経て径方向通路Rpに向けて流れ込んだ冷却水は、コネクタ部材31からオイルクーラ4に向けて適宜供給され、コネクタ部材32からヒータ3に向けて適宜供給され、コネクタ部材33からラジエータ2に向けて適宜供給される。
尚、常時循環対象物5は、バルブ40の回転位置に関係なく常に冷却水が供給され得る状態にある。
【0062】
以上述べたように、上記実施形態によれば、通路部材50が、外周壁43に当接する当接部材52と、当接部材52と付勢バネ70の間に介在して当接部材52を部分的に押圧する環状押圧部51gを有する介在部材(ホルダ部材51)を含み、当接部材52が、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて環状押圧部51gと並ぶ領域に環状シール面52f1を有するため、付勢バネ70の付勢力を環状シール面52f1に局部的に集中させることができ、安定したシール面圧を確保することができる。
【0063】
上記実施形態によれば、介在部材(ホルダ部材51)は、機械的強度及び剛性が高くて安い材料を用いて形成され、当接部材52は、耐摩耗性及び摺動性に優れ、弾性的復元性のある樹脂材料を用いて形成されることにより、特に、介在部材(ホルダ部材51)が当接部材52よりも剛性の高い材料により形成されることにより、通路部材50全体としての機械的強度を確保して変形やヘタリを抑制ないし防止して、低コスト化を達成できると共に安定したシール性能を維持することができる。
【0064】
上記実施形態によれば、当接部材52が、介在部材(ホルダ部材51)の内側に嵌め込まれる小径部Srと、環状押圧部51gにより押圧される環状被押圧部52eを画定する大径部Lrと、外周壁43と対向する環状円錐面52fを含み、環状シール面52f
1が、環状円錐面52fの外周縁寄りの領域に形成されているため、付勢バネ70の付勢力により当接部材52が拡開するように変形するのを防止できる。
特に、
図16に示すように、ハウジングHとバルブ40の隙間に流れ込んだ流体の流れLfにより、環状シール面52f
1が外周壁43から離れるように押し上げられるのを防止でき、シール機能を維持することができる。
【0065】
上記実施形態によれば、当接部材52の小径部Srが介在部材(ホルダ部材51)に圧入されているため、当接部材52を介在部材(ホルダ部材51)に確実に固定することができ、装置の組み付け時にモジュール品として取り扱うことができ、組付け作業性、生産性が向上する。
また、付勢バネ70の付勢方向Fdにおいて、小径部Srの長さ寸法h1が大径部Lrの長さ寸法h2よりも長く設定されているため、当接部材52の変形やヘタリを抑制ないし防止して、シール性能を維持することができる。
【0066】
以上述べたように、上記実施形態のロータリ式バルブ装置Mによれば、付勢バネ70の付勢力が作用する環境下においても、通路部材50の変形やヘタリを抑制ないし防止でき、低コスト化を達成でき、所望のシール性能を維持することができる。
【0067】
上記実施形態においては、シャフト41がバルブ40に一体成形された構成を示したが、これに限定されるものではなく、別個に形成されたシャフトがバルブに組み付けられた構成を採用してもよい。
【0068】
上記実施形態においては、ホルダ部材51と当接部材52との係合関係において、ホルダ部材51が当接部材52の外周側領域を部分的に押圧する環状押圧部51gを採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、当接部材52の内周側領域を部分的に押圧する環状押圧部を採用してもよい。
【0069】
上記実施形態においては、当接部材52が介在部材(ホルダ部材51)に圧入されて保持される構成を示したが、通路部材が介在部材と当接部材により形成される構成であれば、当接部材が介在部材に単に接合される構成を採用してもよい。
上記実施形態において、介在部材として、剛性の高い樹脂材料により形成されたホルダ部材51を示したが、これに限定されるものではなく、介在部材を金属材料により形成してもよい。
上記実施形態においては、ハウジングHがハウジング本体10と結合部材20により形成された構成を示したが、これに限定されるものではなく、その他の形態又は構成をなすハウジングを採用してもよい。
【0070】
上記実施形態においては、バルブとして、球面をなす第1外周面43a及び第2外周面43bを有するバルブ40を示したが、これに限定されるものではなく、一つの外周面を有するバルブ、三つ以上の外周面を有するバルブ、円筒状の外周面を有するバルブを採用してもよい。
【0071】
以上述べたように、本発明のロータリ式バルブ装置は、通路部材の変形やヘタリを抑制ないし防止でき、低コスト化を達成でき、所望のシール性能を維持することができるため、車両等の冷却水制御システムに適用できるのは勿論のこと、その他の流体の流れを制御する流体制御系においても有用である。
【符号の説明】
【0072】
S 軸線
H ハウジング
C 隙間
10 ハウジング本体(ハウジング)
13a,14a,15a 挿入孔
20 結合部材(ハウジング)
40 バルブ
Ip 内部通路
43 外周壁
43a 第1外周面
43a1 開口部
43b 第2外周面
43b1 開口部
50 通路部材
Rp 径方向通路
51 ホルダ部材(介在部材)
51a 小径内周面
51b 外周面
51c 嵌合内周面(大径内周面)
51d 環状段差部
51f 環状溝
51g 環状押圧部
52 当接部材
Sr 小径部
Lr 大径部
h1 小径部の長さ寸法
h2 大径部の長さ寸法
52a 内周面
52b 外周面
52c 嵌合外周面
52d 環状端面
52e 環状被押圧部
52f 環状円錐面
52f1 環状シール面
60 シール部材
70 付勢バネ
Fd 付勢バネの付勢方向