(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】認証処理装置、認証処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241021BHJP
G06F 21/36 20130101ALI20241021BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06F21/36
(21)【出願番号】P 2020160080
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】米澤 博紀
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095299(JP,A)
【文献】特開2018-169943(JP,A)
【文献】特開2007-011456(JP,A)
【文献】奥村明俊 外4名,顔認証によるチケット本人確認システムにおける入場者の自撮り顔画像の活用,情報処理学会 研究報告 デジタルコンテンツクリエーション(DCC) 2018-DCC-018 [online],情報処理学会,2018年01月19日,pp.1~8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01B 21/00 - 21/32
G06F 21/00
G06F 21/30 - 21/46
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用画像から認証対象を検出する第一検出手段と、
前記第一検出手段により検出された認証対象を同定する第一照合手段と、
前記認証用画像から背景画像を検出する第二検出手段と、
前記第二検出手段により検出された背景画像を同定する第二照合手段と、
前記第二照合手段による同定結果に基づいて、前記第一照合手段による同定結果の有効性を判定する判定手段と、
を備え、
前記背景画像は、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定のパターンと、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定の文字列と、の少なくとも1つを含むことを特徴とする認証処理装置。
【請求項2】
前記認証用画像を撮像する撮像装置の撮像範囲内に前記背景画像を表示させる表示制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の認証処理装置。
【請求項3】
前記特定のパターンは、二次元コード化された画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の認証処理装置。
【請求項4】
前記
特定の文字列は、ワンタイムパスワード
であることを特徴とする請求項2又は3に記載の認証処理装置。
【請求項5】
前記背景画像として表示されるワンタイムパスワードと独立に、前記背景画像として表示されるワンタイムパスワードと同一のワンタイムパスワードを生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の認証処理装置。
【請求項6】
前記背景画像は、プロジェクタにより投影されることを特徴とする請求項1から5のいれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項7】
前記背景画像は、可視光モニタにより表示されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項8】
前記認証用画像の撮像と、前記背景画像の表示とを同期させる制御手段を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項9】
予め用意された背景画像を無作為に選択する選択手段と、
前記背景画像、前記背景画像の表示時刻、前記認証用画像および前記認証用画像の撮像時刻をメモリに記憶させる記憶手段とをさらに備え、
前記第二照合手段は、前記認証用画像の撮像時刻に表示された前記背景画像と、前記第二検出手段により前記認証用画像から検出された背景画像との照合結果に基づいて、前記第二検出手段により検出された背景画像を同定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項10】
前記認証用画像において、前記認証対象の検出可能領域以外の領域に前記背景画像が位置するように、前記背景画像の表示の位置および姿勢を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項11】
前記認証用画像において、前記認証対象の検出可能領域以外の領域に前記背景画像が位置するように、前記背景画像の表示の位置を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項12】
前記背景画像の位置および姿勢に基づいて、前記背景画像の歪を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の認証処理装置。
【請求項13】
前記認証用画像から前記認証対象の周囲の直線を検出する第三検出手段と、
前記第三検出手段により検出された直線が前記認証対象を表示する物体の枠線の少なくとも一部か否かを判定する第三照合手段とをさらに備え、
前記判定手段は、前記第二照合手段による同定結果および前記第三照合手段による判定結果に基づいて、前記第一照合手段による同定結果の有効性を判定することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項14】
前記背景画像が除去された認証用画像を表示させる表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項15】
前記認証対象は、人物の顔であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の認証処理装置。
【請求項16】
認証処理装置が行う認証処理方法であって、
認証用画像から認証対象を検出するステップと、
前記認証用画像から検出された認証対象を同定するステップと、
前記認証用画像から背景画像を検出するステップと、
前記認証用画像から検出された背景画像を同定するステップと、
前記認証用画像から検出された背景画像の同定結果に基づいて、前記認証用画像から検出された認証対象の同定結果の有効性を判定するステップと、
を備え、
前記背景画像は、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定のパターンと、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定の文字列と、の少なくとも1つを含むことを特徴とする認証処理方法。
【請求項17】
前記認証用画像を撮像する撮像装置の撮像範囲内に前記背景画像を表示させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の認証処理方法。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1から15のうちいずれか1項に記載の認証処理装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証処理装置、認証処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証装置の普及に伴い、顔認証装置の登録画像に映っている人物と同じ人物の顔を、写真またはスマートフォン等で提示するなりすまし行為が発生している。このようななりすまし行為に対処するため、なりすまし行為を検出する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、特定の画像を瞳に投影し、顔画像認証のなりすましの検出を行う技術が開示されている。特許文献2は、可視光照明を使用し、撮像中の人物の照明による見え方の変化により、タブレットまたは写真によるなりすましを判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-72861号公報
【文献】特許第5955133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タブレットPC(Personal Computer)および薄型ディスプレイの低価格化、処理能力向上、高精細化および大画面化に伴い、これらを悪用したなりすまし対象の表示が行われている。具体的には、実写動画、コンピュータグラフィックス(CG)実時間生成またはビデオチャットの画面などの手段によるなりすまし対象の表示である。
【0006】
特許文献1、2に開示された技術では、大画面のタブレットで認証用撮像装置の撮像範囲を覆い隠すように実寸大のなりすまし用の実写動画等が提示された場合、被認証者に負担を強いることなく短時間でなりすましを検出できない場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る認証処理装置は、認証用画像から認証対象を検出する第一検出手段と、前記第一検出手段により検出された認証対象を同定する第一照合手段と、前記認証用画像から背景画像を検出する第二検出手段と、前記第二検出手段により検出された背景画像を同定する第二照合手段と、前記第二照合手段による同定結果に基づいて、前記第一照合手段による同定結果の有効性を判定する判定手段と、を備え、前記背景画像は、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定のパターンと、前記認証用画像を撮像する撮像装置で撮像された画像であることを示す特定の文字列と、の少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る顔認証処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図3】
図2の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図2の背景画像ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図2の認証画像ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図2の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図7(a)は、第1実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図7(b)は、
図7(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図。
【
図8】
図8(a)は、第1実施形態に係る被認証者の認証環境のその他の例を示す斜視図、
図8(b)は、
図8(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図。
【
図9】
図9(a)は、
図7(a)の認証環境におけるなりすまし行為の一例を示す斜視図、
図9(b)は、
図9(a)のなりすまし行為における撮像画像の一例を示す図。
【
図10】第2実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図11】
図10の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図12】
図10の背景画像ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図13】
図10の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図14】
図14(a)は、第2実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図14(b)は、
図14(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図、
図14(c)は、
図14(b)の撮像画像の補正例を示す図。
【
図15】
図15(a)は、第3実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図15(b)は、
図15(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図。
【
図16】第4実施形態に係る顔認証処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図17】第4実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図18】
図17の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図19】
図18の認証画像ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図20】
図18の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図21】
図21(a)は、第4実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図21(b)は、
図21(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図。
【
図22】第5実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図23】
図22の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図24】
図22の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャート。
【
図25】
図25(a)は、第45施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図25(b)は、
図25(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る顔認証処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図1において、セキュリティゲートシステムは、ゲート装置3、ICカード認証装置2および顔認証処理装置1Aを備える。
【0011】
ゲート装置3は、被認証者の通過を物理的に受容もしくは拒絶する。ゲート装置3は、顔認証処理装置1Aの処理結果を外部I/F13から受けて動作する。
ICカード認証装置2は、ICカードを利用した認証を行う。ICカード認証装置2は、認証結果を外部I/F13を介して顔認証処理装置1Aに送信する。
【0012】
顔認証処理装置1Aは、ICカード認証装置2による認証結果を受けて、顔画像および背景画像を含む認証用画像に基づいて画像認証処理を実施し、その認証処理に基づいてゲート装置3を制御する。背景画像は、認証対象である被認証者の背景に表示された画像である。
顔認証処理装置1Aは、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ11、ネットワークI/F(InterFace)12、外部I/F13を備える。また、顔認証処理装置1Aは、認証画像表示装置14、背景画像表示装置15、入力装置16、外部記憶装置17および画像入力装置18を備える。
【0013】
CPU10は、顔認証処理装置1Aの全体の制御を司る。CPU10は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。CPU10は、処理の一部を行うアクセラレータなどのハードウェア回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を備えていてもよい。CPU10は、ニューラルネットワークとして動作してもよい。
【0014】
メモリ11は、CPU10が処理に利用するデータおよびプログラム等を記憶する。メモリ11は、例えば、SRAM(Static Randam Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリを含むことができる。
【0015】
ネットワークI/F12は、顔認証処理装置1Aをネットワークに接続するインタフェースである。ネットワークは、インターネットであってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、WiFiまたはイーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)であってもよい。
外部I/F13は、顔認証処理装置1Aとともにセキュリティゲートを構成するゲート装置3およびICカード認証装置2などの機器に接続するインタフェースである。
【0016】
認証画像表示装置14は、認証用画像およびCPU10による処理結果を表示する。認証用画像は、認証対象の撮像画像および認証対象の背景に表示された背景画像を含む画像である。認証対象は、人物であってもよいし、物品であってもよい。ただし、顔認証の場合は、認証対象は、人物の顔である。認証画像表示装置14は、例えば、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイまたはマイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイである。
【0017】
背景画像表示装置15は、認証用画像を撮像する撮像装置(画像入力装置18)の撮像範囲内に背景画像を表示する。背景画像は、文字情報を含んでもよいし、ワンタイムパスワードを含んでもよい。背景画像表示装置15は、例えば、プロジェクタ、液晶表示装置、有機ELディスプレイまたはマイクロLEDディスプレイである。
【0018】
入力装置16は、ユーザの操作を顔認証処理装置1Aに入力する。入力装置16は、例えば、ボタン、マウス、タッチパネル、カードリーダ、キーボードまたは音声入力装置等である。
【0019】
外部記憶装置17は、メモリ11には収まらないデータおよびプログラム等を記憶する。外部記憶装置17は、例えば、ハードディスク装置またはSSD(Solid State Drive)である。これらデータおよびプログラムは、ネットワーク上の他の機器よりネットワークI/F12を介して取得してもよい。
【0020】
画像入力装置18は、認証用画像を撮像する撮像装置である。画像入力装置18は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサまたはCCD(Charge Coupled Device)センサなどの固体撮像素子と光学レンズを含む。
【0021】
CPU10は、メモリ11および外部記憶装置17に記憶されたプログラムに基づいて、認証対象の認証処理を実行する。このとき、CPU10は、認証対象および背景画像が撮像範囲内に撮像された認証用画像から認証対象を検出し、認証用画像から検出された認証対象を同定する。さらに、CPU10は、認証用画像から背景画像を検出し、認証用画像から検出された背景画像を同定し、認証用画像から検出された背景画像の同定結果に基づいて、認証用画像から検出された認証対象の同定結果の有効性を判定する。
【0022】
そして、CPU10は、認証対象の同定結果が有効と判定した場合、ゲート装置3にゲートの開放を指示し、認証対象の同定結果が無効と判定した場合、ゲート装置3にゲートの閉鎖を指示する。
【0023】
図2は、第1実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示す各機能ブロックのうち、ソフトウェアにより実現される機能については、各機能ブロックの機能を提供するためのプログラムがROM(Read Only Memory)等のメモリに記憶される。そして、そのプログラムをRAM(Random Access Memory)に読み出してCPU10が実行することにより実現される。ハードウェアにより実現される機能については、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムからFPGA上に自動的に専用回路を生成すればよい。また、FPGAと同様にしてゲートアレイ回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASICにより実現するようにしてもよい。なお、
図2に示した機能ブロックの構成は一例であり、複数の機能ブロックが1つの機能ブロックを構成するようにしてもよいし、いずれかの機能ブロックが複数の機能を行うブロックに分かれてもよい。
【0024】
図2において、顔認証処理装置1Aは、制御部21A、認証画像ブロック22、認証ブロック23Aおよび背景画像ブロック24Aを備える。制御部21Aは、各ブロック間の情報通知、動作および同期を司り、セキュリティゲートシステム全体の一連の処理を実現する。
【0025】
認証画像ブロック22は、撮像部221、画像記憶部222、画像選択部223および表示部224を備える。撮像部221は、認証用画像を撮像する。撮像部221は、例えば、可視光カメラである。画像記憶部222は、撮像部221で撮像された認証用画像を一時的に一定の時間記憶する。画像選択部223は、制御部21Aの指示に基づいて、画像記憶部222に記憶された認証用画像の中から、認証ブロック23Aおよび表示部224に送信する認証用画像を選択する。表示部224は、画像選択部223から送信された認証用画像を表示する。表示部224は、例えば、液晶表示装置、有機ELディスプレイまたはマイクロLEDディスプレイである。撮像部221および表示部224は、いずれもゲート装置3およびICカード認証装置2の近傍に設置される。
【0026】
認証ブロック23Aは、登録画像記憶部231、第一検出部232、第一照合部233、第二検出部234、第二照合部235および判定部236を備える。
登録画像記憶部231は、認証を許可する被認証者の顔画像を予め記憶する。第一検出部232は、認証画像ブロック22から送信された認証用画像から顔を検出する。第一照合部233は、第一検出部232により検出された顔を同定する。このとき、第一照合部233は、例えば、登録画像記憶部231にある顔画像と、第一検出部232の検出結果とを比較照合し、顔を同定する。第二検出部234は、背景画像ブロック24Aで作成される背景画像を認証用画像から検出する。第二照合部235は、第二検出部235により検出された背景画像を同定する。このとき、第二照合部235は、例えば、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示されている背景画像と、第二検出部235により検出された背景画像とを比較照合し、背景画像を同定する。
【0027】
ここで、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示される背景画像は、予め用意された複数の背景画像から無作為に選択することができる。このため、背景画像ブロック24Aは、無作為に選択した背景画像と、その背景画像の表示時刻を記憶し、その背景画像と、その背景画像の表示時刻を認証ブロック23Aに送信することができる。認証画像ブロック22は、認証用画像と、その認証用画像の撮像時刻を記憶し、その認証用画像と、その認証用画像の撮像時刻を認証ブロック23Aに送信することができる。そして、第二照合部235は、無作為に選択される背景画像のうち、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示されている背景画像と、その認証用画像から検出された背景画像とを比較照合することができる。
【0028】
判定部236は、第二照合部235による同定結果に基づいて、第一照合部233による同定結果の有効性を判定する。このとき、判定部236は、第一照合部233の照合結果と第二照合部235の照合結果との両方を使用することで、登録画像記憶部231に登録された被認証者がなりすましなく認証を行っているかどうかを判定することができる。例えば、判定部236は、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示されている背景画像が認証用画像にあれば、なりすまし無しと判定し、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示されている背景画像が認証用画像になければ、なりすまし有りと判定することができる。
【0029】
背景画像ブロック24Aは、背景画像生成部241、背景画像記憶部242、背景画像選択部243および背景画像表示部244を備える。背景画像生成部241は、背景画像を生成する。このとき、背景画像生成部241は、複数の背景画像を生成することができる。背景画像記憶部242は、背景画像生成部241で生成された背景画像を一時的に一定の時間記憶する。背景画像選択部243は、制御部21Aの指示に基づいて、背景画像記憶部242に記憶された背景画像の中から、認証ブロック23Aおよび背景画像表示部244に送信する背景画像を選択する。このとき、背景画像選択部243は、予め用意された背景画像を無作為に選択することができる。背景画像表示部244は、撮像部221の撮像範囲内に背景画像を投影する。背景画像表示部244は、例えば、プロジェクタである。このとき、背景画像表示部244は、撮像部221の撮像範囲のうち、認証対象である顔の検出可能領域以外の領域に背景画像が表示されるように背景画像の位置および姿勢を決定する。
【0030】
ここで、大画面のタブレットで撮像部221の撮像範囲を覆い隠すように実寸大のなりすまし用の実写動画等が提示されたものとする。このとき、被認証者の背景に表示された背景画像も当該タブレットで覆い隠され、当該背景画像は撮像範囲内に映し込まれなくなる。このため、第二照合部235は、認証用画像の撮像時に被認証者の背景に表示されている背景画像を同定することができず、判定部236は、第一照合部233による同定結果を無効として、被認証者のなりすましを防止することができる。
【0031】
また、被認証者の背景に表示される背景画像は、予め用意された複数の背景画像から無作為に選択することができる。このため、どのような背景画像が被認証者の背景に表示されるかを被認証者が予め予測するのは困難である。従って、実寸大のなりすまし用の実写動画等に背景画像が予め映し込まれている場合においても、被認証者のなりすましを防止することができる。
【0032】
図3は、
図2の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
なお、
図3の各ステップは、顔認証処理装置1Aの記憶部に記憶されたプログラムをCPU10が読み出し、実行することで実現される。また、
図3に示すフローチャートの少なくとも一部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのプログラムからFPGA上に自動的に専用回路を生成すればよい。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASICにより実現するようにしてもよい。
この場合、
図3に示すフローチャートにおける各ブロックは、ハードウェアブロックとみなすことができる。なお、複数のブロックをまとめて1つのハードウェアブロックとして構成してもよく、1つのブロックを複数のハードウェアブロックとして構成してもよい。
【0033】
図3のS11において、
図2の制御部21Aは、認証画像ブロック22、認証ブロック23A、背景画像ブロック24A、ゲート装置3およびICカード認証装置2に動作指示を送る。
これを受けて、ICカード認証装置2は、ICカードの認証受付を開始する。背景画像ブロック24Aは、一定時間間隔Δt1での継続的な背景画像の生成を開始する。認証画像ブロック22は、一定時間間隔Δt2での継続的な認証用画像の撮像と表示部224への表示を開始する。認証ブロック23Aは、背景画像ブロック24Aからの背景画像と、認証画像ブロック22からの認証用画像と、ICカード認証装置2からの認証済みICカードのIDの待ち受けを開始する。
【0034】
次に、S12において、制御部21Aは、ICカード認証装置2からの認証承認を待ち、認証されたICカードのIDを受け取る。
次に、S13において、制御部21Aは、認証されたICカードのIDを認証ブロック23Aに送る。
次に、S14において、制御部21Aは、背景画像ブロック24Aと認証画像ブロック230に同期信号を送る。
【0035】
次に、S15において、背景画像ブロック24Aは、制御部21Aからの同期信号を受け、生成した最新の背景画像を一定時間Δt3だけ被認証者の背景に表示する。
次に、S16において、背景画像ブロック24Aは、生成した最新の背景画像を認証ブロック23Aに送信する。
【0036】
次に、S17において、認証画像ブロック22は、制御部21Aからの同期信号を受け、被認証者および被認証者の背景に表示されている背景画像を撮像する。このとき、認証用画像の撮像開始のタイミングと、背景画像の表示開始のタイミングを一致させることができる。また、背景画像が認証用画像に含まれるように撮像可能とするため、認証用画像の撮像時間に比べて背景画像の表示時間が長くなるように(Δt3>Δt2)、予めの設定することができる。ただし、認証用画像の撮像が完了した直後に背景画像の表示が完了するように、背景画像を表示させる時間Δt3を設定するのが好ましい。
次に、S18において、認証画像ブロック22は、撮像した最新の認証用画像を認証ブロック23Aに送信する。
【0037】
次に、認証ブロック23Aは、背景画像(S16にて受信)と、認証用画像(S18にて受信)と、ICカードのID(S13にて受信)との全てを受け取ると、S19~S22で照合処理を行う。
すなわち、S19において、認証ブロック23Aは、ゲート通過可能者として予め登録されている複数人物の顔画像を記憶している登録画像記憶部231から、ICカードのIDに対応する人物の顔画像を取り出す。
次に、S20において、認証ブロック23Aは、登録画像記憶部231から取り出した顔画像が認証用画像中に存在するかどうかの照合処理を第一照合部233にて行う。
次に、S21において、認証ブロック23Aは、S16にて受信した背景画像が認証用画像中に存在するかどうかの照合処理を第二照合部235にて行う。
【0038】
ここで、照合処理の結果は、照合される画像がどれだけ類似しているかを示す尤度として出力される。このとき、尤度が予め設定されている閾値を超えた場合、第一照合部233は、認証用画像中に顔画像と同じ人物が含まれると判断し、第二照合部235は、認証用画像中に背景画像と同じ画像が含まれると判断することができる。
次に、S22において、認証ブロック23Aは、第一照合部233と第二照合部235の結果を受けて、顔画像と同じ人物の画像と背景画像と同じ画像の両方が認証用画像中に含まれているか否かを判断し、その判断結果を制御部21Aに送信する。
【0039】
次に、S23において、制御部21Aは、認証ブロック23Aの判断結果を受け、ゲート装置3に開放もしくは閉鎖の指示を送信する。
次に、S24において、制御部21Aは、
図1の入力装置16からの終了指示があるか否かを判断する。入力装置16からの終了指示がある場合、制御部21Aは、処理を終了し、入力装置16からの終了指示がない場合、制御部21Aは、処理をS12に戻す。
【0040】
図4は、
図2の背景画像ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図4の処理は、
図3のS15~S16の処理の詳細である。
図4のS31において、
図2の背景画像生成部241は、予め設定されている所定の時間間隔Δt1で背景画像を継続して生成し、背景画像記憶部242は、背景画像生成部241で生成された背景画像を継続して蓄積する。
【0041】
ここで、背景画像は、認証用画像の撮像範囲内に表示され、認証用画像に含まれる画像である。背景画像は、背景画像生成部241に予め複数用意されている所定の画像が無作為抽出されたものであってもよいし、所定の計算処理によって得られる2次元バーコード等のコード化された画像であってもよい。認証用画像に含まれる背景画像は、認証用画像が撮像部221で撮像されたものであることを証明するワンタイムパスワードの役割をする。
【0042】
次に、S32において、背景画像ブロック24Aは、制御部21Aからの同期信号を受信したか否かを判断する。背景画像ブロック24Aが制御部21Aからの同期信号を受信した場合、S33において、背景画像表示部244は、撮像部221が認証用画像を撮像するのに十分な一定時間間隔Δt3の間、認証用画像の撮像範囲内に背景画像を表示する。
次に、S34において、背景画像選択部243は、背景画像記憶部242に格納されている最新の背景画像を、背景画像表示部244、第二検出部234および第二照合部235に送信し、S31に戻る。
【0043】
一方、背景画像ブロック24Aが制御部21Aからの同期信号を受信していない場合、S35において、背景画像ブロック24Aは、制御部21Aからの終了指示があるか否かを判断する。制御部21Aからの終了指示がある場合、背景画像ブロック24Aは、処理を終了し、制御部21Aからの終了指示がない場合、背景画像ブロック24Aは、処理をS31に戻す。
【0044】
図5は、
図2の認証画像ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5の処理は、
図3のS17~S18の処理の詳細である。
図5のS41において、
図2の撮像部221は、予め設定されている所定の時間間隔Δt2で認証用画像を継続して撮像し、画像記憶部222は、撮像を継続して蓄積する。
【0045】
次に、S42において、認証画像ブロック22は、制御部21Aからの同期信号を受信したか否かを判断する。認証画像ブロック22が制御部21Aからの同期信号を受信した場合、S43において、撮像部221は、認証用画像を撮像し、認証ブロック23Aの第一検出部232と第二検出部234に送信し、S41に戻る。
【0046】
一方、認証画像ブロック22が制御部21Aからの同期信号を受信していない場合、S44において、表示部224は、画像記憶部222に記憶されている背景画像が含まれない認証用画像を表示する。このとき、被認証者は、表示部224に表示される背景画像が含まれない認証用画像を確認し、認証が正しく行われるように位置および姿勢を調整することが可能となる。このようにして、背景画像を含む認証用画像が表示部224に表示されないため、被認証者が背景画像を目にすることはなく、セキュリティを強固に保つことができる。
【0047】
次に、認証画像ブロック22は、制御部21Aからの終了指示があるか否かを判断する。制御部21Aからの終了指示がある場合、認証画像ブロック22は、処理を終了し、制御部21Aからの終了指示がない場合、認証画像ブロック22は、処理をS41に戻す。
【0048】
図6は、
図2の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、
図3のS19~S22の処理の詳細である。
図6のS51において、認証ブロック23Aは、被認証者のICカードのID(S13で送信)、背景画像(S16で送信)および認証用画像(S18で送信)のすべてを受信する。
【0049】
次に、S52において、認証ブロック23Aは、被認証者のICカードのIDに対応する顔画像を、予めゲート通過可能者として登録されている複数人物の顔画像を記憶している登録画像記憶部231から取り出す。
次に、S53において、第一照合部233は、登録画像記憶部231から取り出した顔画像と、認証用画像から第一検出部232が検出した顔との照合処理を行う。
【0050】
次に、S54において、第二照合部235は、背景画像ブロック24Aから受信した背景画像と、認証用画像から第二検出部234が検出した背景画像とを照合し、背景画像が認証用画像中にあるかどうか調べる。
次に、S55において、判定部236は、S53の出力である照合結果とS54の出力である照合結果を受け取る。そして、判定部236は、顔画像と同じ人物の画像と、背景画像と同じ画像の両方が認証用画像中に含まれているか否かを判断する。
【0051】
次に、S56において、判定部236は、S55の判断結果を制御部21Aに送信する。
次に、S57において、認証ブロック23Aは、制御部21Aからの終了指示があるか否かを判断する。制御部21Aからの終了指示がある場合、認証ブロック23Aは、処理を終了し、制御部21Aからの終了指示がない場合、認証ブロック23Aは、処理をS51に戻す。
【0052】
図7(a)は、第1実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図7(b)は、
図7(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図である。
図7(a)において、認証用撮像装置E1は、撮像範囲E6内で撮像を行う。認証用撮像装置E1は、
図2の撮像部221に相当する。認証用撮像装置E1は、ゲート装置E5の手前に設置される。表示装置E2と、ICカード認証装置E3は、認証用撮像装置E1の近傍に設置される。表示装置E2は、
図2の表示部224に相当する。表示装置E2は、被認証者E0が認証用画像を確認し、認証処理に適した顔の位置姿勢をとるための情報を提供する。表示装置E2に表示される認証用画像からは背景画像が除去される。認証用撮像装置E1、表示装置E2およびICカード認証装置E3は、被認証者E0がICカードをICカード認証装置E3に近づけて認証を行う際に、被認証者E0の顔が、認証用撮像装置E1の撮像範囲内に自然に入るように設置される。
【0053】
また、ゲート装置E5の手前には、投影画像を生成するプロジェクタE4が設置される。プロジェクタE4は、
図2の背景画像表示部244に相当する。プロジェクタE4は、例えば、天井に吊り下げてもよいし、表示装置E2の上方の壁面に埋め込んでもよい。プロジェクタE4は、投影空間E8を介して被認証者E0の背景に背景画像E10を投影する。被認証者E0の背景は、例えば、被認証者E0の背後の壁面の投影領域E9である。ここで、プロジェクタE4は、認証用撮像装置E1の撮像範囲E6内にプロジェクタE4の投影領域E9が含まれるように設置される。このとき、投影領域E9に投影された背景画像E10は、認証用撮像装置E1の撮像範囲E6内に必ず存在する。
【0054】
認証用撮像装置E1は、ICカード認証装置E3によるICカードの認証が行われると、被認証者E0の背景に背景画像E10が表示されている状態で被認証者E0の顔を撮像し、
図7(b)の認証用画像GAを生成する。認証用画像GAでは、その中央に被認証者E0の顔画像G0が位置し、被認証者E0の顔画像G0に隠れることなく背景画像G10が映り込んでいる。なお、背景画像G10は、投影領域E9に投影された背景画像E10の撮像画像である。このとき、認証用画像GAにおいて、被認証者E0の顔画像G0の検出可能領域以外の領域G9に背景画像G10が位置するように、背景画像E10の表示の位置および姿勢を決定する。
【0055】
顔認証処理装置1Aは、認証用画像GAから被認証者E0の顔画像G0と背景画像G10を検出し、顔画像G0と背景画像G10をそれぞれ照合する。このとき、顔認証処理装置1Aは、認証用画像GAから検出した背景画像G10が、認証用画像GAの撮像時に投影領域E9に投影された背景画像E10と一致する場合、認証用画像GAはなりすましの実写動画またはCG動画ではないと判断できる。
なお、背景画像E10は、写真またはイラストに類似したものに限定されることなく、文字を含んでいてもよい。
【0056】
図8(a)は、第1実施形態に係る被認証者の認証環境のその他の例を示す斜視図、
図8(b)は、
図8(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図である。
図8(a)の認証環境では、
図7(a)の背景画像E10の代わりに背景画像E11がプロジェクタE4から投影される。
図7(a)の背景画像E10では、写真またはイラストが使用されるのに対し、
図8(a)の背景画像E11では、文字が使用される。このとき、認証用撮像装置E1は、被認証者E0の背景に背景画像E11が表示されている状態で被認証者E0の顔を撮像し、
図8(b)の認証用画像GBを生成する。認証用画像GBは、
図7(b)の背景画像G10の代わりに背景画像G11を含む。顔認証処理装置1Aは、認証用画像GBから検出した背景画像G11が、認証用画像GBの撮像時に投影領域E9に投影された背景画像E11と一致する場合、認証用画像GBはなりすましの実写動画またはCG動画ではないと判断できる。
【0057】
図9(a)は、
図7(a)の認証環境におけるなりすまし行為の一例を示す斜視図、
図9(b)は、
図9(a)のなりすまし行為における撮像画像の一例を示す図である。
図9(a)において、被認証者E0´は、顔認証処理装置1Aの正面にタブレットE13(もしくは、薄型ディスプレイ)をかざすことにより、なりすましを試みる。このとき、タブレットE13には、
図7(a)の被認証者E0の顔が、実寸大の顔の実写動画、コンピュータグラフィックス(CG)実時間生成、ビデオチャットの画面などの手段で表示される。
【0058】
具体的には、なりすましを試みる被認証者E0´は、不正に取得したなりすまし対象者のICカードを用いる。そして、被認証者E0´は、当該ICカードによる認証を成功させた後、不正に取得したなりすまし対象者の実写動画等を実寸大で実際の認証時の顔の位置にタブレットE13に表示させ、顔認証のなりすましを行う。
【0059】
ここで、認証用撮像装置E1の撮像範囲E6は、タブレットE13で覆い隠される。このため、壁面に投影された背景画像E10は、認証用撮像装置E1で撮像されない。このとき、被認証者E0´の背景に背景画像E10が表示されている状態で被認証者E0の実寸大の実写動画等の顔が撮像された場合においても、
図9(a)の背景画像E10が映り込んでない
図9(b)の認証用画像GCが生成される。
【0060】
顔認証処理装置1Aは、認証用画像GCから被認証者E0の実写動画またはCG動画の顔画像G0を検出し、顔画像G0を照合することで、顔画像G0については認証に成功する。ただし、顔認証処理装置1Aは、認証用画像GCから
図7(b)の背景画像G10が検出されない場合、背景画像G10については認証に失敗し、認証用画像GCは、なりすましの実写動画またはCG動画である判断することができる。
【0061】
以上の処理手順で、顔認証処理装置1Aは、認証用画像GCが、認証現場で撮像されたものかどうかを判断することが可能となる。認証用撮像装置E1がタブレットE13で覆い隠されて、なりすましの実写動画またはCG動画が認証用撮像装置E1に提示されている場合は、背景画像G10が認証用画像中GCから検出されることはない。このため、顔認証処理装置1Aは、大画面のタブレットまたは薄型ディスプレイを使用して、認証用撮像装置の撮像範囲を覆い隠すように実寸大のなりすまし用の実写動画、CG動画またはビデオチャットを表示させるなりすましを検出することができる。
【0062】
このとき、顔認証処理装置1Aは、単一の可視光撮像装置E1と入手容易性の高い機器のみでなりすましを検知することが可能である。また、被認証者E0に特別な動作および認証による待ち時間の負担を強いることなく、認証処理を速やかに実行することが可能となる。また、背景画像G10は、表示装置E2には表示されず、背景画像E10がどのような画像であるか被認証者E0´が知ることはできないため、セキュリティを強固にすることができる。
【0063】
以上説明したように、上述した第1実施形態によれば、顔認証処理装置は、認証対象の背景に表示された背景画像を認証用画像に含ませ、その認証用画像から背景画像を同定することにより、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出できる。
【0064】
なお、上述した第1実施形態では、ICカードと顔認証とを併用し、一対一の顔認証処理を行っていたが、これに限るものではなく、顔認証処理のみとしてもよい。この場合、認証ブロック23Aによる顔検出処理を継続的に行い、顔が検出されたことを契機として一連の処理を開始し、一対多の顔認証処理を行う。さらに、上述した第1実施形態では、認証対象を人物の顔としていたが、これに限られるものではなく、物品であってもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、制御部21A、認証画像ブロック22、認証ブロック23Aおよび背景画像ブロック24Aを顔認証処理装置1Aに設けた構成を例にとったが、認証ブロック23Aまたは背景画像ブロック24Aは、顔認証処理装置1Aとは別個の装置に設けてもよい。例えば、認証ブロック23Aの機能はネットワーク上のクラウドコンピュータに設けるようにしてもよい。このとき、制御部21Aは、背景画像ブロック24Aで選択された背景画像と、認証画像ブロック22で撮像された認証用画像をクラウドコンピュータに送信し、認証ブロック23Aの機能を実行するようにクラウドコンピュータに指示する。そして、制御部21Aは、クラウドコンピュータから認証結果を受け取り、その認証結果に基づいて、ゲートの開放または閉鎖を指示してもよい。
【0066】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、背景画像の位置を固定としていたが、第2実施形態では、被認証者によって覆い隠されないように認証用画像に取り込み可能な無作為に選んだ位置に背景画像を表示する。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる点のみについて説明する。
【0067】
図10は、第2実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図10において、顔認証処理装置1Bは、制御部21B、認証画像ブロック22、認証ブロック23B、背景画像ブロック24Bおよび位置姿勢記憶部25を備える。制御部21Bは、各ブロック間の情報通知、動作および同期を司り、セキュリティゲートシステム全体の一連の処理を実現する。
【0068】
認証ブロック23Bは、
図2の認証ブロック23Aの構成に加え、座標変換部237を備える。背景画像ブロック24Bは、
図2の背景画像ブロック24Aの構成に加え、位置姿勢生成部245を備える。
【0069】
位置姿勢記憶部25は、認証画像ブロック22、認証ブロック23Bおよび背景画像ブロック24Bから独立して設けられる。位置姿勢記憶部25は、三次元実空間上における背景画像表示部244の位置姿勢および投影範囲と、背景画像表示部244が表示を行う壁面およびスクリーンの位置姿勢を予め記憶する。さらに、位置姿勢記憶部25は、撮像部221の位置姿勢および撮像範囲と、被認証者が顔認証可能な撮像部221に対する位置姿勢を予め記憶する。
【0070】
位置姿勢生成部245は、位置姿勢記憶部25に記憶された各機器の三次元位置姿勢情報から認証用画像中の被認証者に遮られない背景画像の大きさと位置姿勢の範囲を計算する。そして、位置姿勢生成部245は、計算した背景画像の大きさと位置の範囲内で無作為に背景画像の大きさと位置姿勢を決定し、背景画像生成部241に送信する。
【0071】
座標変換部237は、位置姿勢記憶部25の情報から、背景画像と撮像部221の相対位置姿勢によって生じる認証用画像中の背景画像の形状歪を補正し、背景画像の検出と照合の前処理を行う。
【0072】
図11は、
図10の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図11のS61において、制御部21Bは、認証画像ブロック22、認証ブロック23B、背景画像ブロック24B、ゲート装置3およびICカード認証装置2に動作指示を送る。また、制御部21Bは、位置姿勢記憶部25に記憶された情報を認証画像ブロック22、認証ブロック23Bおよび背景画像ブロック24Bに送る。この情報は、背景画像表示部244の位置姿勢および投影範囲と、背景画像表示部244が表示を行う壁面およびスクリーンの位置姿勢と、撮像部221の位置姿勢および撮像範囲と、被認証者が顔認証可能な撮像部221に対する位置姿勢を含む。
【0073】
次に、S12~S14において、制御部21Bは、
図3の処理と同様に処理を行う。
次に、S15において、背景画像ブロック24Bは、
図3の処理と同様に処理を行う。
次に、S62において、背景画像ブロック24Bは、背景画像と背景画像の位置姿勢を認証ブロック23Bに送信する。
次に、認証画像ブロック22は、S17~S18において、
図3の処理と同様に処理を行う。
【0074】
次に、認証ブロック23Bは、背景画像とその位置姿勢(S62にて受信)と、認証用画像(S18にて受信)と、ICカードのID(S13にて受信)との全てを受け取ると、S19~S22で照合処理を行う。
すなわち、認証ブロック23Bは、S19~S20において、
図3の処理と同様に処理を行う。
【0075】
次に、S63において、認証ブロック23Bは、位置姿勢記憶部25の情報に基づいて認証用画像の幾何変換を座標変換部237に行わせ、投影された背景画像1214と撮像部221の相対位置姿勢によって生じる認証画像中の背景画像の形状歪を補正する。この補正は、背景画像の検出と照合の前処理である。
次に、S64において、認証ブロック23Bは、S63にて幾何変換された背景画像が認証用画像中に存在するかどうかの照合処理を第二照合部235にて行う。
次に、S22において、認証ブロック23Bは、
図3の処理と同様に処理を行う。
次に、S23~S24において、制御部21Bは、
図3の処理と同様に処理を行う。
【0076】
図12は、
図10の背景画像ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図12の処理は、
図11のS15およびS62の処理の詳細である。
図12のS71において、位置姿勢生成部245は、位置姿勢記憶部25が有する幾何情報から認証用画像中に被認証者に遮られない背景画像の大きさと位置姿勢の範囲を計算する。そして、位置姿勢生成部245は、その計算した範囲内で無作為に背景画像の大きさと位置姿勢を決定し、背景画像生成部241に送信する。
【0077】
次に、S72において、背景画像生成部241は、予め設定されている所定の時間間隔Δt1で背景画像とその大きさと位置姿勢を継続して生成する。そして、背景画像記憶部242は、背景画像生成部241にて生成された背景画像とその大きさと位置姿勢を継続して蓄積する。
次に、S73において、背景画像ブロック24Bは、制御部21Bからの同期信号を受信したか否かを判断する。背景画像ブロック24Bが制御部21Bからの同期信号を受信した場合、S74において、背景画像表示部244は、撮像部221が認証用画像を撮像するのに十分な一定時間間隔Δt3の間、認証用画像の撮像範囲内に背景画像を表示する。
次に、S75において、背景画像選択部243は、背景画像記憶部242に格納されている最新の背景画像とその大きさと位置姿勢を、背景画像表示部244および認証ブロック23Bに送信し、S71に戻る。
【0078】
一方、背景画像ブロック24Bが制御部21Bからの同期信号を受信していない場合、S76において、背景画像ブロック24Bは、制御部21Bからの終了指示があるか否かを判断する。制御部21Bからの終了指示がある場合、背景画像ブロック24Bは、処理を終了し、制御部21Bからの終了指示がない場合、背景画像ブロック24Bは、処理をS71に戻す。
【0079】
図13は、
図10の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図13の処理は、
図11のS19、S20、S63、S64およびS22の処理の詳細である。
図13のS81において、認証ブロック23Bは、位置姿勢記憶部25の有する幾何情報から、背景画像表示部244と撮像部221の相対位置姿勢によって生じる認証用画像中の背景画像の形状歪を補正するための幾何変換情報を得る。
次に、S82において、認証ブロック23Bは、被認証者のICカードのID(S13で送信)、背景画像とその大きさと位置姿勢(S62で送信)、認証用画像(S18で送信)のすべてを受信する。
【0080】
次に、S83において、認証ブロック23Bは、被認証者のICカードのIDに対応する顔画像を、ゲート通過可能者として予め登録されている複数人物の顔画像を記憶している登録画像記憶部231から取り出す。
次に、S84において、第一照合部233は、登録画像記憶部231から取り出した顔画像と、認証用画像から第一検出部232が検出した顔画像との照合処理を行う。
【0081】
次に、S85において、第二照合部235は、S81で取得した幾何変換情報に基づいて認証用画像を幾何変換する。この幾何変換は、背景画像の検出および照合の前処理となる。さらに、第二照合部235は、S82で取得した背景画像の大ききと位置姿勢を利用して、背景画像ブロック24Bから受信した背景画像と、認証用画像から第二検出部234が検出した背景画像とを照合し、背景画像が認証用画像中にあるかどうか調べる。
【0082】
次に、S86において、判定部236は、S84の出力である照合結果とS85の出力である照合結果を受け取る。そして、判定部236は、顔画像と同じ人物の画像と、背景画像と同じ画像の両方が認証用画像中に含まれているか否かを判断する。
次に、S87において、判定部236は、S86の判断結果を制御部21Aに送信する。
次に、S88において、認証ブロック23Bは、制御部21Bからの終了指示があるか否かを判断する。制御部21Bからの終了指示がある場合、認証ブロック23Bは、処理を終了し、制御部21Bからの終了指示がない場合、認証ブロック23Bは、処理をS82に戻す。
なお、
図10の認証画像ブロック22の処理は、
図5の処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0083】
図14(a)は、第2実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図14(b)は、
図14(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図、
図14(c)は、
図14(b)の撮像画像の補正例を示す図である。
図14(a)の認証環境は、プロジェクタE4の設置位置および姿勢が異なる点以外は、
図7(a)の認証環境と同様である。
図14(a)のプロジェクタE4の設置位置および姿勢では、プロジェクタE4は、投影空間E8Aを介して被認証者E0の背景に背景画像E10Aを投影する。このとき、プロジェクタE4の投影領域E9Aは、被認証者E0から見てゲート装置E5の方向に狭くなる台形形状となり、背景画像E10Aには台形歪を生じる。
【0084】
認証用撮像装置E1は、ICカード認証装置E3によるICカードの認証が行われると、被認証者E0の背景に背景画像E10Aが表示されている状態で被認証者E0の顔を撮像し、
図14(b)の認証用画像GDを生成する。認証用画像GDでは、その中央に被認証者E0の顔画像G0が位置し、被認証者E0の顔画像G0に隠れることなく背景画像G10Aが映り込んでいる。なお、背景画像G10Aは、投影領域E9Aに投影された背景画像E10Aの撮像画像である。
【0085】
ここで、
図10の背景画像生成部241は、台形歪のない背景画像を生成するものとすると、認証用画像GDから検出された背景画像G10Aは、台形歪のない背景画像と照合される。このため、顔認証処理装置1Bは、認証用画像GDから検出された背景画像G10Aの照合を実施しても、背景画像G10Aは認証用画像GDにないと判断し、認証用画像GDは、なりすましの実写動画またはCG動画と判断する。このため、正当な被認証者E0が認証を行ったにもかかわらず、認証が正常に実施されない。
【0086】
台形歪のある背景画像G10Aが認証用画像GDに含まれる場合においても、認証が正常に実施されるようにするため、顔認証処理装置1Bは、背景画像G10Aの台形歪を除去する。顔認証処理装置1Bは、背景画像G10Aの台形歪を除去するため、位置姿勢記憶部25に格納されている幾何情報に基づいて認証用画像GDを幾何変換し、
図14(c)の認証用画像GEを生成する。
【0087】
認証用画像GEに含まれる背景画像G10は、背景画像G10Aの台形歪が除去されている。このため、第二照合部235は、認証用画像GEから検出された背景画像G10の照合処理を実施することで、背景画像G10は認証用画像GEにあると判断することができる。ただし、認証用画像GDを幾何変換すると、認証用画像GDに含まれる顔画像G0も幾何変換される。このため、幾何変換後の認証用画像GEに含まれる顔画像G0Aには、台形歪が発生する。このとき、第一照合部233は、幾何変換前の認証用画像GDから検出された顔画像G0の照合処理を実施することで、顔画像G0は認証用画像GDにあると判断することができる。
【0088】
以上の処理手順で、顔認証処理装置1Bは、認証時に認証を行う現地で認証用画像GDが撮像されたものかどうかを判断することが可能となる。また、顔認証処理装置1Bは、認証用画像GD上での背景画像G10Aの位置および大きさを無作為に変更できるため、悪意ある人物に背景画像E10Aを知られても、背景画像E10Aを用いたなりすまし行為を困難にできる。また、顔認証処理装置1Bは、プロジェクタE4、背景画像の投影面および認証用撮像装置E1の位置と姿勢が異なり、背景画像に形状歪が生じる場合であっても、背景画像の補正を行うことで、背景画像の検出および照合の精度を向上させることができる。また、顔認証処理装置1Bは、認証用画像中の背景画像の大きさ、位置および姿勢を検出時に利用することで、背景画像の検出の計算量を軽減し、認証処理を高速化することができる。
【0089】
以上説明したように、上述した第2実施形態によれば、顔認証処理装置は、認証対象の背景に表示された背景画像を認証用画像に含ませ、認証用画像を幾何変換し、その幾何変換後の認証用画像から背景画像を同定する。これにより、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出することが可能となるとともに、背景画像を知られても、顔画像とともに背景画像を用いたなりすまし行為を困難にできる。
【0090】
なお、上述した第2実施形態では、認証用画像を幾何変換し、背景画像の検出および照合を行ったが、認証用画像を幾何変換することなく、背景画像を幾何変換させて、背景画像の検出と照合を行ってもよい。さらに、深層学習のような認識技術を用いて、背景画像の変形例を予め学習させることで、背景画像の検出と照合を行ってもよい。
【0091】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、背景画像の表示装置としてプロジェクタを例にとったが、第3実施形態は、背景画像の表示装置としてモニタ装置を例にとる。このとき、背景画像は、モニタ装置の表示画像である。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる点のみについて説明する。
図15(a)は、第3実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図15(b)は、
図15(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図である。
【0092】
図15(a)の認証環境では、
図7(a)のプロジェクタE4の代わりにモニタ装置E14が設けられている。モニタ装置E14は、可視光モニタであり、例えば、液晶表示装置、有機ELディスプレイまたはマイクロLEDディスプレイである。モニタ装置E14は、モニタ装置E14を所定の位置および姿勢に保つ治具E15で支持される。なお、モニタ装置E14は、被認証者E0の後方の壁面に埋め込むようにしてもよい。モニタ装置E14には、背景画像E16が表示される。
【0093】
認証用撮像装置E1は、ICカード認証装置E3によるICカードの認証が行われると、被認証者E0の背景に背景画像E16が表示されている状態で被認証者E0の顔を撮像し、
図15(b)の認証用画像GFを生成する。認証用画像GFでは、その中央に被認証者E0の顔画像G0が位置し、被認証者E0の顔画像G0に隠れることなく背景画像G16が映り込んでいる。
【0094】
このように、背景画像G16の表示装置としてモニタ装置E14を使用することで、背景画像G16を投影する壁等の面がセキュリティゲート近傍に存在せずとも、なりすまし行為の検知が可能となる。
【0095】
以上説明したように、上述した第3実施形態によれば、顔認証処理装置は、認証対象の背景に表示されたモニタ画像を認証用画像に含ませ、その認証用画像からモニタ画像を同定することにより、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出できる。
【0096】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、背景画像の表示装置としてプロジェクタを例にとったが、第4実施形態は、背景画像の表示装置としてセキュリティトークンを例にとる。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる点のみについて説明する。
図16は、第4実施形態に係る顔認証処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図16のセキュリティゲートシステムは、
図1の顔認証処理装置1Aの代わりに、顔認証処理装置1Cおよび背景画像生成表示装置4を備える。顔認証処理装置1Cからは、
図1の背景画像表示装置15が除去され、背景画像生成表示装置4は、顔認証処理装置1Cの外部に設けられる。
【0097】
背景画像生成表示装置4は、セキュリティトークンであり、予め設定された時間間隔でワンタイムパスワードを変更し表示する。以下の説明では、ワンタイムパスワードが数桁の数字である場合を例にとるが、数桁の数字に限定されることなく、例えば、英数字の配列であってもよいし、記号が含まれていてもよい。
【0098】
図17は、第4実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図17の顔認証処理装置1Cは、
図2の制御部21Aの代わりに制御部21Cおよびワンタイムパスワード生成部26を備える。顔認証処理装置1Cからは、
図2の背景画像ブロック24Aが除去され、顔認証処理装置1Cの外部には、背景画像生成表示装置4が設けられる。制御部21Cは、各ブロック間の情報通知、動作および同期を司り、セキュリティゲートシステム全体の一連の処理を実現する。
【0099】
背景画像生成表示装置4は、背景画像となるワンタイムパスワードを所定のアルゴリズムに基づき所定時間間隔で生成し、表示することを繰り返し継続して行う。
ワンタイムパスワード生成部26は、背景画像生成表示装置4と同じアルゴリズムを持ち、同じ所定時間間隔で背景画像生成表示装置4と同じ時刻に同じワンタイムパスワードを生成する。
【0100】
図18は、
図17の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図18のS11~S13において、制御部21Cは、
図3の処理と同様に処理を行う。
次に、S91において、制御部21Cは、認証画像ブロック230に同期信号を送る。
次に、S92において、制御部21Cは、ワンタイムパスワード生成部26からワンタイムパスワードを取得し、そのワンタイムパスワードを背景画像として認証ブロック23Aに送信する。
【0101】
次に、S17~S18において、認証画像ブロック22は、
図3の処理と同様に処理を行う。
ここで、ワンタイムパスワードの有効期限をΔt4、認証画像ブロック22が制御部21Cからの同期信号を受けて認証用画像を撮像する所要時間Δt5とすると、Δt5<Δt4となるようにワンタイムパスワードの有効期限が予め設定される。
【0102】
次に、S19~S22において、認証ブロック23Aは、
図3の処理と同様に処理を行う。ただし、S22の背景画像は、ワンタイムパスワードである。
次に、S23~S24において、制御部21Cは、
図3の処理と同様に処理を行う。
【0103】
図19は、
図18の認証画像ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。
図19において、認証画像ブロック22は、
図5の処理に加え、S46の処理を追加して実行する。認証画像ブロック22は、S42の処理でNoの場合、S46の処理を実行してから、S44に進む。
【0104】
S46において、認証画像ブロック22は、表示部224に認証用画像を表示する前に、認証用画像に含まれる背景画像生成表示装置4をマスキングする。
ここで、背景画像生成表示装置4の認証用画像中の位置は、制御部21Cに予め設定される。マスキングの手段は、例えば、黒等の単色でマスキング領域を塗り潰せばよい。
【0105】
図20は、
図18の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。
図20において、認証ブロック23Aは、
図6の処理と同様に処理を行う。ただし、S51およびS54の背景画像は、ワンタイムパスワードである。
【0106】
図21(a)は、第4実施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図21(b)は、
図21(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図である。
図21(a)の認証環境では、
図7(a)のプロジェクタE4の代わりにワンタイムパスワード生成表示装置E17が設けられる。ワンタイムパスワード生成表示装置E17は、認証用撮像装置E1の撮像視野内であって被認証者E0によって遮られない位置に設置される。なお、ワンタイムパスワード生成表示装置E17は、被認証者E0の後方の壁面に埋め込むようにしてもよい。ワンタイムパスワード生成表示装置E17には、背景画像E18としてワンタイムパスワードが表示される。
【0107】
認証用撮像装置E1は、ICカード認証装置E3によるICカードの認証が行われると、被認証者E0の背景に背景画像E18が表示されている状態で被認証者E0の顔を撮像し、
図21(b)の認証用画像GGを生成する。認証用画像GGでは、その中央に被認証者E0の顔画像G0が位置し、被認証者E0の顔画像G0に隠れることなく背景画像G18が映り込んでいる。また、認証用画像GGには、ワンタイムパスワード生成表示装置E17の撮像画像G17も映り込んでいる。
【0108】
以上説明した処理手順で、顔認証処理装置1Cは、認証時に認証を行う現地で認証用画像GGが撮像されたかどうかを判断することが可能となる。また、顔認証処理装置1Cは、背景画像生成表示装置4と分離した状態で動作することができ、電源および信号線の配線の手間を削減することが可能となる。
【0109】
以上説明したように、上述した第4実施形態によれば、顔認証処理装置は、認証対象の背景に表示されたワンタイムパスワードを認証用画像に含ませ、その認証用画像からワンタイムパスワードを同定する。これにより、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出することが可能となるとともに、なりすましを成功させるための背景画像の利用を困難にすることができる。
【0110】
<第5実施形態>
上述した第1実施形態では、背景画像がタブレットで覆い隠される場合を例にとったが、第5実施形態では、背景画像がタブレットで覆い隠されない場合にスマートフォンまたは写真等の枠を検出して、なりすましを判断する。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる点のみについて説明する。
図22は、第5実施形態に係る顔認証処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図22の顔認証処理装置1Dは、
図2の認証ブロック23Aの代わりに認証ブロック23Dを備える。
【0111】
認証ブロック23Dは、
図2の認証ブロック23Aの構成に加え、第三検出部238および第三照合部239を備える。第三検出部238は、認証用画像から認証対象の周囲の直線を検出する。第三照合部239は、第三検出部238により検出された直線がスマートフォンまたは写真などの枠線の少なくとも一部か否かを同定する。
【0112】
図23は、
図22の顔認証処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図23において、制御部21A、認証画像ブロック22および背景画像ブロック24Aは、
図3の処理と同様に処理を行う。
認証ブロック23Dは、
図3の処理に加え、S101の処理を追加して実行するとともに、
図3のS22の処理の代わりに、S102の処理を実行する。このとき、認証ブロック23Dは、S21の処理を実行後、S101およびS102の処理を実行し、S23に進む。
【0113】
S101において、認証ブロック23Dは、第三検出部238により検出された直線がスマートフォンまたは写真などの枠線の少なくとも一部か否かを第三照合部239にて同定し、スマートフォンまたは写真などが認証に利用されているかを判定する。
【0114】
次に、S102において、認証ブロック23Dは、第一照合部233と第二照合部235と第三照合部239の結果を受ける。そして、認証ブロック23Dは、顔画像と同じ人物の画像と、背景画像と同じ画像と、スマートフォンまたは写真などの枠線が認証用画像中に含まれているか否かを判断し、その判断結果を制御部21Aに送信する。
【0115】
図24は、
図22の認証ブロックの処理の一例を示すフローチャートである。
図24において、認証ブロック23Dは、
図6の処理に加え、S111の処理を追加して実行するとともに、
図6のS55の処理の代わりに、S112の処理を実行する。このとき、認証ブロック23Dは、S54の処理を実行後、S111およびS112の処理を実行し、S56に進む。
【0116】
S111において、認証ブロック23Dは、認証用画像に含まれる直線がスマートフォンまたは写真などの枠線の少なくとも一部か否かを判定し、スマートフォンまたは写真などが認証に利用されているかを検出する。
【0117】
次に、S112において、認証ブロック23Dは、第一照合部233と第二照合部235と第三照合部239の結果を受ける。そして、認証ブロック23Dは、顔画像と同じ人物の画像と、背景画像と同じ画像と、スマートフォンまたは写真などの枠線が認証用画像中に含まれているか否かを判断し、その判断結果を制御部21Aに送信する。
【0118】
図25(a)は、第5施形態に係る被認証者の認証環境の一例を示す斜視図、
図25(b)は、
図25(a)の認証環境における撮像画像の一例を示す図である。
図25(a)の認証環境は、
図9(a)の認証環境と同様である。ただし、
図25(a)の認証行為では、被認証者E0´は、認証用撮像装置E1の撮像範囲E6内に背景画像E10が入るように、タブレットE13の位置をずらしている。
【0119】
背景画像E10が撮像範囲E6内に入るようにするためには、撮像範囲E6をタブレットE13で完全に覆い隠すことはできず、タブレットE13の枠の少なくとも一部は撮像範囲E6内に入る。このとき、被認証者E0´の背景に背景画像E10が表示されている状態で被認証者E0の実寸大の実写動画等の顔が撮像されると、被認証者E0の顔画像G0とともに、背景画像G10および枠線G13を含む
図25(b)の認証用画像GHが生成される。
【0120】
認証用画像GHには被認証者E0の顔画像G0が含まれるので、第一照合部233で照合成功と判定される。認証用画像GHには背景画像G10が含まれるので、第二照合部235で照合成功と判定される。ただし、認証用画像GHにはタブレットE13の枠線G13が含まれるので、第三照合部235で照合失敗と判定される。これらの判定結果を統合すると、なりすましの検出に成功し、なりすましによるセキュリティゲート通過を阻止することが可能となる。
【0121】
以上説明した処理手順で、顔認証処理装置1Dは、認証時に認証を行う現地で認証用画像GHが撮像されたものかどうかを判断することが可能となる。また、なりすましに用いられるスマートフォンまたは写真等を、スマートフォンまたは写真等の枠線を構成する直線の検出で行うことにより、より強固なセキュリティを達成することが可能となる。
【0122】
以上説明したように、上述した第5実施形態によれば、顔認証処理装置は、認証用画像に含まれる背景画像および枠線を同定することにより、認証時の負荷の増大を抑制しつつ、なりすましを検出できる。
【0123】
なお、なりすまし行為の検出手段は、上述した実施形態で示した手段に限定されることなく、セキュリティゲートの設置現場に応じて別のなりすまし行為の検出手段を使用してもよい。また、検出及び照合手段を複数具備したなりすまし行為の検出手段であってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1A 顔認証処理装置、2 ICカード認証装置、3 ゲート装置、10 CPU、11 メモリ、12 ネットワークI/F、13 外部I/F、14 認証画像表示装置、15 背景画像表示装置、16 入力装置、17 外部記憶装置、18 画像入力装置、21A 制御部、22 認証画像ブロック、23A 認証ブロック、24A 背景画像ブロック、221 撮像部、222 画像記憶部、223 画像選択部、224 表示部、231 登録画像記憶部、232 第一検出部、233 第一照合部、234 第二検出部、235 第二照合部、236 判定部、241 背景画像生成部、242 背景画像記憶部、243 背景画像選択部、244 背景画像表示部