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特許7574034洗浄剤用増粘剤及びそれを含有する洗浄剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】洗浄剤用増粘剤及びそれを含有する洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/74 20060101AFI20241021BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20241021BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20241021BHJP
   C11D 1/18 20060101ALI20241021BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20241021BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
C11D1/74
C11D1/04
C11D1/10
C11D1/18
C11D1/94
C09K3/00 103G
C09K3/00 103H
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q9/02
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/42
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166500
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021055097
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2019180928
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇野 大貴
(72)【発明者】
【氏名】薙野 恵
(72)【発明者】
【氏名】露崎 浩太
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-255777(JP,A)
【文献】特開2006-348101(JP,A)
【文献】特開昭63-075098(JP,A)
【文献】特開2008-063268(JP,A)
【文献】特開2004-203776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0150818(US,A1)
【文献】特表平11-506128(JP,A)
【文献】特表2006-523717(JP,A)
【文献】特表2012-501340(JP,A)
【文献】特表2019-510803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/74
C11D 1/04
C11D 1/10
C11D 1/18
C11D 1/94
C09K 3/00
A61Q 19/10
A61Q 5/02
A61Q 9/02
A61K 8/86
A61K 8/37
A61K 8/42
A61K 8/36
A61K 8/44
A61K 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
〔式中、R~Rはそれぞれ独立して炭素原子数11~23の脂肪酸残基を表し、AOは炭素原子数2~4のオキシアルキレン基を表す。また、p、q、r及びsは、20≦p+q+r+s≦300の関係を満たす整数である。〕
により表される、ポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)40~80質量%、
脂肪酸アルカノールアミド(B)10~50質量%および
ステアリン酸、イソステアリン酸、及びオレイン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の高級脂肪酸(C)2~30質量%
を含有する、洗浄剤用増粘剤。
【請求項2】
アニオン界面活性剤、及び
請求項1に記載の洗浄剤用増粘剤を含有する、洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤が、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルサルコシン塩及びN-アシルメチルタウリン塩から選ばれる1種又は2種以上である、請求項2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、N-アシルメチルタウリン塩である、請求項2又は3に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに両性界面活性剤を含有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤用増粘剤に関し、更に詳しくはN-アシルメチルタウリン塩等の難増粘性のアニオン界面活性剤を主基剤として含有する洗浄剤に適度な粘度を付与することができる増粘剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
N-アシルメチルタウリン塩やアミノ酸系界面活性剤を主基剤とする液体洗浄剤組成物は、一般に低刺激性であるものの、その使用において必要とされる適度な粘度の付与が困難であった。そのため、これまでに難増粘性のアニオン界面活性剤の粘度構築を目的とした様々な技術が提案されている。
【0003】
N-アシルアミノ酸系界面活性剤に脂肪酸ジエタノールアミド及び水溶性無機塩を配合した弱酸性の液体洗浄剤処方が開示されている(特許文献1参照)。同技術によると、N-アシルアミノ酸系界面活性剤の使用感を損なうこと無く、洗浄剤組成物の粘度を上昇させる事が可能であるが、特に十分な粘度構築を行うため無機塩濃度が上限に近い部分の洗浄剤組成物の低温安定性は十分なものではなかった。
【0004】
水溶性無機塩の配合量を減らして粘度構築を行う目的で、無機塩と両性界面活性剤、半極性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤とを併用する液体洗浄剤処方が開示されている(特許文献2参照)。低温安定性の改善等が見られるが、やはり無機塩は必須成分なのでコンディショニング剤の併用が困難になる等の点があるため満足できるものではなかった。
【0005】
一方、脂肪酸アミドアミンが身体洗浄剤や台所洗剤等の洗浄剤において高い増粘性を有し、更に優れたハンドリング性、溶解性や起泡力を有すると示されている(特許文献3参照)。また、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンペンタエリトリットは、難増粘性アニオン界面活性剤を主基剤とする液体洗浄剤に対しても高い増粘効果を有している(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公平2 -54400号公報
【文献】特開2003-147399号公報
【文献】特開2011-021110号公報
【文献】特開2008-63268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3の実施例記載の処方は脂肪族アミドアミンとラウレス硫酸ナトリウムと両性界面活性剤を併用した系であり、難増粘性アニオン界面活性剤(特にアミノ酸系界面活性剤)での効果は確認されていない。
特許文献4のテトラステアリン酸ポリオキシエチレンペンタエリトリットを単独で使用した場合、粘度の上昇が著しく、液体洗浄剤としての適度な粘度に制御することが難しい。
【0008】
本発明は、N-アシルメチルタウリン塩等の難増粘性アニオン界面活性剤を主基剤として含有する液体洗浄剤に適度な粘度を付与することができる増粘剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、難増粘性のアニオン界面活性剤を主基剤として含有する液体洗浄剤への粘度付与の問題を解決する増粘剤を検討した結果、ポリオキシエチレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及び高級脂肪酸を所定の割合で組み合わせることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
即ち本発明は、
[1]下記一般式(1):
〔式中、R~Rはそれぞれ独立して炭素原子数11~23の脂肪酸残基を表し、AOは炭素原子数2~4のオキシアルキレン基を表す。また、p、q、r及びsは、20≦p+q+r+s≦300の関係を満たす整数である。〕
により表される、ポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)40~80質量%、
脂肪酸アルカノールアミド(B)10~50質量%および
炭素原子数12~24の高級脂肪酸(C)2~30質量%
を含有する、洗浄剤用増粘剤。
[2]アニオン界面活性剤、及び[1]に記載の洗浄剤用増粘剤を含有する、洗浄剤組成物。
[3]前記アニオン界面活性剤が、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルサルコシン塩及びN-アシルメチルタウリン塩から選ばれる1種又は2種以上である、[2]に記載の洗浄剤組成物。
[4]前記アニオン界面活性剤が、N-アシルメチルタウリン塩である、[2]又は[3]に記載の洗浄剤組成物に関するものである。
[5]さらに両性界面活性剤を含有する、[2]~[4]のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗浄剤用増粘剤を難増粘性アニオン界面活性剤を主基剤とする洗浄剤組成物に添加した場合、通常液体洗浄剤組成物の粘度として有用な300~6000mPa・s程度に増粘する。
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
前記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)は、例えば、ペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物に炭素原子数12~24の脂肪酸を反応させることにより得ることができる。
【0014】
前記一般式(1)中のAOは炭素原子数2~4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、1,2-または1,3-オキシプロピレン基、1,2-、1,3-または1,4-オキシブチレン基が挙げられる。これらの中でも、好ましいのはオキシエチレン基と1,2-オキシプロピレン基であり、特に好ましいのはオキシエチレン基である。p、q、r及びsはアルキレンオキサイドの付加モル数であり、p+q+r+sが20~300となる0又は正の整数であるが、感触やハンドリング性の観点からp+q+r+sが80~200であれば好ましく、120~180であればより好ましい。AOは同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダム付加、ブロック付加または交互付加のいずれの付加形式でもよい。
【0015】
炭素原子数12~24の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。
【0016】
本発明の洗浄剤用増粘剤におけるポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)の割合は40~80質量%であるが、増粘効果の観点から好ましくは50~70質量%、特に好ましくは55~65質量%である。
【0017】
ポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)は、難増粘性のアニオン界面活性剤を主成分とする洗浄剤組成物の全量に対し2~5質量%程度含有させることにより液体洗浄剤を増粘させることができる。しかし、それ単独では粘度の上昇が急激であるため、実用的な粘度に制御することが難しい。すなわち、一定量配合しないと増粘効果がほとんどないが、適量を超えると急激に増粘し、ゲル化する場合があるなど、安定的に増粘効果を発現させることは極めて困難である。
【0018】
一方、ポリオキシアルキレンペンタエリトリットの脂肪酸エステル(A)と、脂肪酸アルカノールアミド(B)及び高級脂肪酸(C)を組み合わせることで、増粘効果を制御することが可能であり、難増粘性アニオン界面活性剤である、アシルメチルタウリン塩等を主基剤とする液体洗浄剤に対して、増粘効果を制御しつつ、液体洗浄剤として実用的な粘度を付与することが可能である。
【0019】
脂肪酸アルカノールアミド(B)としては、例えば、炭素原子数8~20の飽和又は不飽和脂肪酸、そのメチルエステル等の脂肪酸誘導体又は油脂と、炭素原子数2~5のアルカノールアミンとの反応生成物を挙げることができる。反応に用いられる脂肪酸、脂肪酸誘導体、油脂の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸、或いはそれらのメチルエステル誘導体、又はヤシ油等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン等が挙げられる。これらの反応生成物の中でも、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ミリスチン酸モノエタノールアミド(ミリタミドMEA)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ミリスチン酸ジエタノールアミド(ミリタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸イソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、ミリスチン酸イソプロパノールアミド(ミリタミドMIPA)、ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド(コカミドMIPA)、ラウリン酸メチルエタノールアミド(ラウラミドメチルMEA)、ミリスチン酸メチルエタノールアミド(ミリタミドメチルMEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)が好適に用いられ、特に、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)が好適に用いられる。本発明では、これらの脂肪酸アルカノールアミドの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0020】
本発明の洗浄剤用増粘剤における脂肪酸アルカノールアミド(B)の割合は10~50質量%であるが、粘度調整効果の観点から好ましくは15~45質量%、特に好ましくは20~40質量%である。
【0021】
炭素原子数12~24の高級脂肪酸(C)としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。本発明では、これらの高級脂肪酸の中から1種又は2種以上を任意に用いることができるが、中でも、粘度調整効果の観点からオレイン酸、イソステアリン酸が好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤用増粘剤における炭素原子数12~24の高級脂肪酸(C)の割合は2~30質量%であるが、粘度調整効果の観点から好ましくは3~25質量%である。
【0023】
本発明の洗浄剤用増粘剤における前記(A)~(C)の好ましい組み合わせとして、但しこれらに限定されないが、例えば以下の組み合わせを挙げることができる。
(I)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、(C)オレイン酸
(II)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、(C)イソステアリン酸
(III)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、(C)ステアリン酸
(IV)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、(C)オレイン酸
(V)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、(C)イソステアリン酸
(VI)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、(C)ステアリン酸
(VII)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド、(C)オレイン酸
(VIII)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド、(C)イソステアリン酸
(IX)(A)ポリオキシエチレンペンタエリトリットテトラステアレート、(B)ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド、(C)ステアリン酸
【0024】
本発明の洗浄剤組成物は、前記の洗浄剤用増粘剤と、洗浄剤の基剤となる界面活性剤とを含有する。
洗浄剤用増粘剤の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、洗浄剤組成物の全量に対して0.5~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤としては、主としてアニオン界面活性剤と両性界面活性剤が使用される。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物の主基剤として用いられるアニオン界面活性剤としては、例えば、ラウロイルアラニンナトリウム、ラウロイルアラニンカリウム、ラウロイルアラニントリエタノールアミン、ココイルアラニンナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸カリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシル(炭素原子数8~24)アミノ酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ステアリルサルコシンナトリウム等のN-アシル(炭素原子数8~24)サルコシン塩;ステアリルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシル(炭素原子数8~24)メチルタウリン塩などが挙げられる。これらのアニオン界面活性剤の中から1種又は2種以上を任意に用いることができるが、中でも、低刺激性であることからN-アシルメチルタウリン塩が好ましい。
【0027】
また、洗浄力や起泡力を高める目的で、アルキル(炭素原子数8~24)硫酸塩、アルキル(炭素原子数8~24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素原子数8~24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素原子数8~24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素原子数8~24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素原子数8~24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素原子数8~24)エーテルスルホコハク酸塩、α―スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、長鎖(炭素原子数8~24)カルボン酸塩等を併用することもできる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物において、アニオン界面活性剤の含有量は、組成物全量に対して1~20質量%であり、好ましくは3~15質量%、特に好ましくは5~10質量%である。
【0029】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキル(炭素原子数8~24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)スルホベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素原子数8~24)イミダゾリニウムベタイン、アルキル(炭素原子数8~24)アミンオキシド、3級窒素及び4級窒素を含むアルキル(炭素原子数8~24)リン酸エステル等が挙げられる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物において、両性界面活性剤の含有量は、組成物全量に対して1~10質量%であり、好ましくは2~8質量%、特に好ましくは3~6質量%である。
【0031】
前記アニオン界面活性剤と前記両性界面活性剤の好ましい組み合わせとして、但しこれらに限定されないが、例えば以下の組み合わせを挙げることができる。
(i)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン等)
(ii)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)カルボキシベタイン(ヤシ油アルキルベタイン等)
(iii)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)イミダゾリニウムベタイン(ラウロアンホ酢酸ナトリウム等)
(iv)ココイルグルタミン酸ナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン等)
(v)ココイルグルタミン酸ナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)カルボキシベタイン(ヤシ油アルキルベタイン等)
(vi)ココイルグルタミン酸ナトリウムと、アルキル(炭素原子数8~24)イミダゾリニウムベタイン(ラウロアンホ酢酸ナトリウム等)
なお、前記本発明の洗浄剤用増粘剤における成分(A)~(C)の好ましい組み合わせ:(I)~(XI)と、上記アニオン界面活性剤と両性界面活性剤の好ましい組み合わせ:(i)~(vi)とを、それぞれ相互に組み合わせて、本発明の洗浄剤組成物とすることができる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物には、必要に応じ非イオン界面活性剤を使用することもできる。非イオン界面活性剤としては、例えば、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0033】
また本発明の洗浄剤組成物中の他の成分は特に限定されず、洗浄剤組成物に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示する。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物には、アニオン性高分子、カチオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、シリコーン成分、油分、パール化剤、懸濁剤を配合することができる。
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0035】
カチオン性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性セルロース誘導体、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性タマリンドガム、カチオン変性タラガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
【0036】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0037】
両性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0038】
シリコーン成分としては、シリコーンゴム、シリコーン油、官能基変性シリコーンを配合することができる。その具体例としてはジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、環状シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0039】
油分としては、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。また、パール化剤としては、脂肪酸エチレングリコール等、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等が挙げられる。
【0040】
さらに、本発明の洗浄剤組成物に配合可能なその他の成分としては、カチオン界面活性剤、pH調整剤(クエン酸、乳酸、グルタミン酸、グリコール酸等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、酸化防止剤、高級アルコール、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、色素、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の各成分を、溶媒である水に溶解又は分散させることで調製することができる。水の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、洗浄剤組成物の全量に対して60~90質量%である。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物の剤型としては、液体洗浄剤、ゲル状洗浄剤、ゼリー状洗浄剤が好ましく、液状洗浄剤、ゲル状洗浄剤がより好ましい。具体的には、洗顔料、ボディシャンプー、シャンプー、ハンドソープ、シェービング剤、洗濯用洗剤等が挙げられる。
【実施例
【0043】
次に、本発明を実施例及び比較例によって更に具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されない。なお、以下に記載する配合量はいずれも質量%である。
【0044】
表1~表3に記載の処方でシャンプー処方を調製する。(pHは適正な値になるようにクエン酸又はクエン酸ナトリウムを用いて調整。)これらの作製した処方について、処方粘度を測定した。
なお、表中に略号で示した成分の詳細は次の通りである。
AMT:ココイルメチルタウリンナトリウム(東邦化学工業(株)製ネオスコープCN-30)
CAB:コカミドプロピルベタイン(東邦化学工業(株)製オバゾリンCAB-30)
CME:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(東邦化学工業(株)製トーホールN-120)
DEA:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(東邦化学工業(株)製トーホールN-220XM)
PETS:ポリオキシエチレン(150モル)ペンタエリトリットテトラステアレート
【0045】
評価方法の説明
<粘度試験>
洗浄剤組成物の粘度を25℃において、B型粘度計(ビスメトロン粘度計VS-A1。芝浦システム(株)製)を用い、No.1~4のローターにて回転数を12rpmに固定して測定した。pHはクエン酸で5.0に調整した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
各処方は界面活性剤総量(洗浄剤基剤と増粘剤成分の合計量)が洗浄剤組成物(シャンプー処方)の総質量に対して10.0~15.0質量%に調整されている。実施例群と比較例群を比較すると、実施例群の増粘剤は、難増粘性アニオン界面活性剤であるココイルメチルタウリンNa、コカミドプロピルベタインの処方に対して、液体洗浄剤として実用的な粘度(300~6000mPa・s)を付与する効果を示すことが分かる。なお実施例群において、増粘剤成分は速やかに均一に混合・溶解して洗浄剤組成物を調製でき、また得られた洗浄剤組成物は泡立ちがよいものとなった。すなわち実施例群の洗浄剤組成物は、起泡性や溶解性について、洗浄剤としての基本性能を有している。これに対し、増粘剤成分として(A)成分であるPETSのみを配合した比較例2~5では、その配合量が1.5質量%以下では増粘効果がほとんどないが、2.0質量%を超えると急激に増粘する。また増粘剤成分として成分(A)~(C)のうちのいずれか1つでも成分を欠く比較例6~10、12~16では、増粘効果が全くないか、十分な粘度を付与できない。さらに、増粘剤成分である成分(A)~(C)をすべて含む場合であっても、規定の配合割合を満たさない場合、例えば(C)成分が所定量を超えた比較例11の場合、増粘性が高くなりすぎる結果となり、実用的な粘度を得ることができなかった。