(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】インターフェロンの送達のためのマイクロニードルシステム
(51)【国際特許分類】
A61K 38/21 20060101AFI20241021BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20241021BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241021BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241021BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241021BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20241021BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241021BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A61K38/21
A61K9/00
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/32
A61M37/00 530
A61P25/28
A61P43/00 117
(21)【出願番号】P 2020557205
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2019060396
(87)【国際公開番号】W WO2019202170
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】102018109460.4
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018114930.1
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヘンケ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・プラハト
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・ブロドコルプ
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・シェラー
【合議体】
【審判長】藤原 浩子
【審判官】吉田 佳代子
【審判官】渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039761(JP,A)
【文献】特表2017-528434(JP,A)
【文献】特表2004-529917(JP,A)
【文献】特表2010-510978(JP,A)
【文献】特開昭63-179833(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047800(WO,A1)
【文献】低温生物工学会誌、2003年、Vol.49、No.2、p.139-143
【文献】Carbohydrate Polymers、2010年、Vol.79、p.1028-1033
【文献】Drug Development and Industrial Pharmacy、2016年、Vol.42、No.6、p.890(1)-896(7)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00,A61K47/58,A61M37/00
Caplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロニードルを含む、インターフェロンの皮内送達における使用のための
マイクロニードルアレイであって、該複数のマイクロニードルは、主要な構成要素としてポリビニルピロリドンを含む完全に可溶性の配合物
から作成されて、
該配合物中に35
重量%を超えるポリビニルピロリドンを含み、該配合物は
さらにトレハロース、ポリソルベートおよびグリセリンを含
み、インターフェロンはマイクロニードルに包埋されていて、そして、微量な構成要素としてのトレハロースは該配合物中で15重量%を超えて占める、前記マイクロニードルアレイ。
【請求項2】
ポリビニルピロリドンが前記配合物中で45重量%を超えて占める、請求項1に記載の使用のための、ポリビニルピロリドンを含む完全に可溶性の配合物を含むマイクロニードルアレイ。
【請求項3】
インターフェロン含有量はマイクロニードルアレイ当たり0.1μgから200μgである、請求項1または2に記載の使用のための、ポリビニルピロリドンを含む完全に可溶性の配合物を含むマイクロニードルアレイ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリビニルピロリドンを含む完全に可溶性の配合物を含むマイクロニードルアレイを含む製品であって、インターフェロンの皮内送達における使用のための、前記製品。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインターフェロンの皮内送達における使用のためのマイクロニードルアレイまたは製品であって、配合物は最大95重量%のポリビニルピロリドンならびにさらにアジュバントおよび添加剤を含む、前記マイクロニードルアレイまたは製品。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のインターフェロンの皮内送達における使用のためのマイクロニードルアレイまたは製品であって、配合物は最大95重量%のポリビニルピロリドンおよび
25重量%から45重量%のトレハロースを含む、前記マイクロニードル
アレイまたは製品。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のインターフェロンの皮内送達における使用のためのマイクロニードルアレイまたは製品であって、配合物は最大95重量%のポリビニルピロリドンおよび0.001重量%から10重量%のポリソルベートを含む、前記マイクロニードルアレイまたは製品。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のインターフェロンの皮内送達における使用のためのマイクロニードルアレイまたは製品であって、配合物は最大95重量%のポリビニルピロリドンおよび0.1重量%から10重量%のグリセリンを含む、前記マイクロニードルアレイまたは製品。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のマイクロニードルアレイ、およびアプリケーターを含む、マイクロニードルシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のマイクロニードルアレイ、およびアプリケーターを含む、マイクロニードルシステムであって、該アプリケーターはトリガーデバイスを含む、前記マイクロニードルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェロンの皮内送達のためのマイクロニードルシステム(略してMNS)に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロンは、免疫システムの異なる細胞が互いに連絡する様式による内因性メッセンジャーである。インターフェロンベータ-1aは、遺伝子操作によって産生され、ヒトベータインターフェロンとはほんの僅か異なる。活性成分は、多発性硬化症(MS)の再発寛解および二次進行性型に使用される。ベータインターフェロンの使用が、自己反応性T細胞(内因性組織に対する防御細胞)の活性を阻害し、それによって神経線維を取り囲み、保護する、ミエリン物質に対するダメージを遅延させることが推定される。
【0003】
MSの処置に現在使用されるベータインターフェロン製品(例えば、Avonex(登録商標)、Rebif(登録商標))は、週に数回筋肉内または皮下に注射される。MS患者のセルフメディケーションの結果、感染および刺し跡のリスクを伴う、患者のコンプライアンスは、溶解マイクロアレイ(dissolving microarray)が使用される場合にベータインターフェロン療法の間に著しく改善できる。専門家の意見によると、ベータインターフェロンの皮内送達のさらなる利点は、活性成分が、皮膚の上層において免疫コンピテントな標的細胞の近傍に直接的に放出され、次に、これが、活性成分の非経口的な送達(例えば、SC感染の形態)とは異なり、頻繁に生じる望ましくない副作用(インフルエンザ様症状、特定の肝臓値における増加)の減少をもたらす可能性があることである。
【0004】
皮膚は、いくつかの層からなる。皮膚の最外層(これは角質層である)は、外来物質が、身体および身体に存在する身体自身の物質が侵入することを防止する、公知のブロッキング特性を有する。角質層は、およそ10から30マイクロメートルの厚さを有する緊密化した角質細胞残留物から構成される複合体構造であり、この目的のために防水膜を形成し、身体を防御する。角質層の天然の不透過性は、ほとんどの薬学的活性成分および他の物質が、経皮性送達形態の一部として皮膚障壁を通して投与されることを防止している。ランゲルハンス細胞は、上皮の基底顆粒層の全体に見出され、侵入する生物に対する免疫システムの初期防御に重要な役割を果たしている。
【0005】
マイクロニードルシステム(MNS)は、マイクロニードルアレイ(MNA)および場合によってはさらなる要素から構成され、皮膚の送達部位にアレイ(MNA)のマイクロニードル(皮膚穿通エレメントとも呼ばれる)を押しつける圧力を使用して、角質層を穿通することによって流体チャネルを確立することができ、その結果、インターフェロンを経皮的に送達できる。マイクロニードルシステム(MS)におけるそのようなマイクロニードルアレイ(MA)およびその製造は、先行技術に記載され、マイクロ(ニードル)アレイパッチとも呼ばれる。
【0006】
同様に、インターフェロンを含むタンパク質がMNSを介して送達されることは先行技術において公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1は、活性成分粒子の使用を提供し、これは遠心分離によって穿孔器の先端に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、適切な配合に基づいて、MNAを含有するMNSの援助でインターフェロンの皮内送達を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、ポリビニルピロリドン(略してPVP)は、インターフェロンの皮内送達のためのMNAに関して完全に可溶性の配合物の製造に特に良く適する。
【0010】
本発明による配合物は、十分な強度および完全な溶解性を可能にし、MNAの使用および溶解のために、および生体中の活性成分の吸収および分布のために、安定化剤がなくても、インターフェロンに対して十分な安定性を達成する。
【0011】
インターフェロンの直接的な皮内使用に対するMNAの適合性に加えて、本発明による配合物は同様に、特に室温で、3ヶ月以上にわたる、インターフェロン含有マイクロアレイのための本発明による配合物の安定な貯蔵に関する。
【0012】
発明による配合物を、ヒト頚部がんモデル細胞株におけるインビトロ生物検定の範囲内でさらに使用した。脳心筋炎ウイルス(EMCV)を加えたにもかかわらず、ヒト細胞の溶解が生じないことの実証に成功した。発明による配合物において、MNAに包埋したインターフェロンは、信頼のおける抗ウイルス効果を有し、元の製品の効力に匹敵する効力を呈する。結果として、同じ処置の成功は、インターフェロン注射(SCまたはIM)で達成されたものと想定される、
図1~4を参照されたい。
【0013】
したがって、この課題は、本発明に従って、インターフェロンの皮内送達における使用のためのポリビニルピロリドンを含む配合物を含む、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ(MNA)であって、ポリビニルピロリドンが配合物の主要な構成要素である、マイクロニードルアレイにより達成される。
【0014】
したがって、本発明は、同様に、インターフェロンの皮内送達における使用のためのMNAを含む配合物を含むマイクロニードルシステムであって、ポリビニルピロリドンが配合物の主要な構成要素である、マイクロニードルシステムに関する。
【0015】
したがって、本発明は、インターフェロンの皮内送達における使用のためのポリビニルピロリドンを含む配合物を含むマイクロニードルアレイを含む製品であって、ポリビニルピロリドンが配合物の主要な構成要素である、製品を含む。
【0016】
そのような製品は、例えば、インターフェロン皮内送達における使用のための、および特に多発性硬化症(MS)の処置のためのまたはインターフェロン療法のための、上に記載されるマイクロニードルアレイ(MNA)を含む医薬製品である。
【0017】
マイクロニードルアレイ当たり0.1μgから200μg、特に10μgから100μgのインターフェロン含有量を有する本発明によるマイクロニードルアレイが特に好ましい。
【0018】
本発明によると、「皮内(intradermal)送達(同義語:皮内(intracutaneous)送達)」という用語は、MNAから皮膚へのインターフェロンの投与を記載し、皮膚を穿通するマイクロニードルを必要とする。
【0019】
「インターフェロン」という用語は、多発性硬化症(MS)を処置するための、全ての、または1つまたはそれ以上のインターフェロン(IFN)、IFNアルファ、ベータ、ガンマ、インターフェロンタウ、および特にインターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1aを含む。ベータインターフェロンが、本発明によると好ましい。インターフェロンは、免疫賦活性および特に抗ウイルス性および抗腫瘍性効果を呈するタンパク質または糖タンパク質であり、内因性サイトカインを代表している。
【0020】
「ポリビニルピロリドンが配合物の主要な構成要素である」という表現は、他のアジュバントおよび活性成分インターフェロンに加えて、ポリビニルピロリドンが重量%の量で表される主要な構成要素である、すなわち、ポリビニルピロリドンが完全に可溶性の配合物の組成物中の重量%の大部分を占めることを意味する。
【0021】
本発明は同様に、インターフェロンの皮内送達を実行する方法であって、以下の工程:
a)本発明によるマイクロニードルシステムを皮膚に固定する工程;および
b)ポリビニルピロリドンを含む完全に可溶性の配合物を含むマイクロニードルアレイを皮膚に穿通させる工程であり、ポリビニルピロリドンが配合物の主要な構成要素である工程
を含む、方法に関する。
【0022】
本発明の範囲内で、マイクロニードルシステムは、インターフェロンを皮膚に投与するためのマイクロニードルアレイを提供し、皮内送達を引き起こすデバイスを含むシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】マイクロアレイの送達後の血清中の平均活性成分濃度を示すグラフである。
【
図2】ベータインターフェロンのピーク血漿レベルが、SC注射と比較してマイクロアレイパッチの様式により皮内送達に到達するまでの時点を示すグラフである。レジェンド:1 B-IFN-MA 100_g、2 B-IFN-MA 200_g、3 原薬40_g SC.、4 Avonex 30_g S.C.、5 Rebif 44_g S.C.
【
図3】Ph.Eur.5.2.3.による、Hep-2C細胞および感染性EMCVを含む抗ウイルス性ベータインターフェロン活性アッセイを示すグラフである。量が標準と完全に同一であるとしても、ベータインターフェロンマイクロアレイ(B-IFN-MA)はより高い活性を呈する。マイクロアレイの投与の半固体形態におけるベータインターフェロンの配合物は、インビトロ活性を保存する。
【
図4】ベータインターフェロンマイクロアレイの貯蔵安定性を示すグラフである。室温(21℃)および冷蔵庫の温度(5℃)で貯蔵する間の、製造後、1ヶ月後、3ヶ月後および6ヶ月後に分析されたインビトロベータインターフェロン活性。316.4、177.6、171.0、196.2、158.8[IU/ng]のベータインターフェロンの抗ウイルス効力が、6ヶ月後かつ貯蔵温度21℃でさえ、製造時と同じlog単位範囲に残る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施形態では、マイクロニードルシステムは、電気的または機械的に制御される、アプリケーター、例えば、トリガーデバイスを含むことができる。例えば、アプリケーターは、プランジャーを含むことができ、これがマイクロニードルアレイを皮膚に配置または適用し、マイクロニードルが皮膚を穿通する。
【0025】
トリガーデバイスは、ポンプ、シリンジまたはスプリングを含むことができ、例えば、それによってプランジャーの押し込みを十分なエネルギーにより実行する。プランジャーは、任意の形状および性質のものであり、インターフェロンを皮膚に投与するために、マイクロニードルアレイが、第1のポジションから第2のポジションに提供されることを主に達成する。さらにアプリケーターは、プッシュボタンまたは他のトリガー機構を含むことができる。
【0026】
マイクロニードルアレイは、インターフェロンを患者の皮膚を介してまたは皮膚へと放出できるように、複数のマイクロニードルを含むことができ、ここでマイクロニードルアレイは患者の皮膚に配置される。マイクロニードルアレイの各々のマイクロニードルは、二端を有する伸長シャフトを好ましくは含み、シャフトの一端は、マイクロニードルの基部を形成し、この様式によりマイクロニードルが平面担体に結合され、この様式によりマイクロニードルが平面担体に組み込まれる。基部の逆に位置するシャフトの端は、マイクロニードルができるだけ容易に皮膚を穿通するのを可能にするように、テーパード形状を好ましくは有する。
【0027】
マイクロニードルは、円形断面または非円形断面、例えば、三角形、四角形または多角形断面を有するシャフトを含むことができる。シャフトは、ニードル基部からニードルチップまたはニードルチップ近くに延長する、1つの通路または複数の通路を有することができる。マイクロニードルは(有刺状)フックとして設計され、これらのマイクロニードルの1つまたはそれ以上はそのようなフックの1つまたはそれ以上を含む。さらにマイクロニードルは、ラセン形状に構成し、回転可能に配列され、それによって、回転運動が適用される場合、皮膚への穿通を促進し、皮膚、特に表皮において所望の穿通深さへの固着を実現する(DE 103 53 629 A1)。
【0028】
マイクロニードルの直径は、典型的には、1μmから1000μmの間、好ましくは10μmから100μmの間の範囲である。マイクロニードルの長さは、典型的には、5μmから6,000μmの間、特に100μmから700μmの間の範囲である。
【0029】
マイクロニードルは、その基部で平面担体に結合するまたは平面担体に組み込まれる。マイクロニードルは、担体の表面領域に対して実質的に垂直に位置するように、好ましくは配列される。マイクロニードルは、規則的または不規則に配置されることができる。複数のマイクロニードルの配置は、異なる断面形状、異なる寸法の直径および/または異なる長さを有するマイクロニードルを含むことができる。複数のマイクロニードルの構成の配置は、例えば、中空マイクロニードルを排他的に含むことができる。
【0030】
マイクロニードルアレイは平面担体を含むことができ、ここで、担体は基本的にディスク形状、プレート形状またはフィルム形状の基礎形状を有する。担体は、円形、楕円形、三角形、四角形または多角形の基部表面領域を有することができる。担体は、種々の材料、例えば、金属、セラミック材料、半導体、有機材料、ポリマーまたはコンポジットから製造される。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、ポリビニルピロリドンに加えて、以下の物質が、マイクロニードルの製造のための配合物に好ましく、これは、二糖、好ましくはトレハロース、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリソルベート(エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、Tween)、ポリアルコール、特にグリセロール(グリセリン)からなるまたはこれらを含む。
【0032】
ポリビニルピロリドンは、主要な構成要素として、配合物中で35重量%を超え、45重量%を超え、55重量%を超え、65重量%を超え、75重量%を超え、85重量%を超えて占めることが好ましい。
【0033】
二糖、特にトレハロースは、微量な構成要素として、配合物中で15重量%を超え、25重量%を超え、35重量%を超えて占めることが好ましい。
【0034】
【0035】
液剤が乾燥して、例えば、0.1から20%(m/m)の残留含水量を有するマイクロニードルアレイ(MNA)を形成させた後、MNAの組成物が得られる、これは状況に応じて水を喪失させることによって変化させられる。
【0036】
以下の実施例および図面は、本発明を限定することなく、本発明をより詳細に説明するために提供される。
【実施例】
【0037】
本発明によるマイクロニードルを製造するために、公知の方法が用いることができる(例えば、McCrudden MTC、Alkilani AZ、McCrudden CM、McAlister E、McCarthy HO、Woolfson AD、et al. Design and physicochemical characterisation of novel dissolving polymeric microneedle arrays for transdermal delivery of high dose、low molecular weight drugs.J Control Release. 2014; 180: 71-80)。
【0038】
上に記載される配合物を、前臨床インビボ研究(動物実験モデル:ゲッチンゲンミニブタ)の範囲内で使用した。
【0039】
図1は、マイクロアレイの送達後に達成された動物の血清中の活性成分濃度を示す。
【0040】
ベータインターフェロン療法のための臨床試験デバイスの開発の範囲内で、溶解マイクロニードルまたはマイクロアレイパッチ(MNP)を、製造し、ゲッチンゲンミニブタ動物モデルにおいて試験した。
【0041】
動物試験により、マイクロアレイの使用の成功、および動物実験モデルにおける活性成分物質の溶解、吸収および分布が確認された。これにより、活性成分配合物の適合性が確認された。
【0042】
ベータインターフェロンの血漿中濃度がSC注射後よりも皮内でより低いとしても、多発性硬化症研究の専門家は、皮膚の上層における免疫コンピテントな標的細胞の近傍に活性成分を直接的に放出することによって高い効力が達成できるとの意見である。より重要なことに、専門家によると、より低い活性成分濃度により、匹敵する処置の成功を達成し、望ましくない副作用が頻繁に生じることを大幅に最小化できる可能性がある。ベータインターフェロン注射(皮下(SC)または筋肉内(IM))後、患者の全血流は非常に短い時間内に高濃度のサイトカインで通常満たされる。このことは活性成分の皮内適用で回避される、というのも、活性成分が、間質液およびリンパ系にのみ初期に到達し、対応する効力(これがCNSに作用する免疫カスケードの開始である)がここでトリガーされるからである。
【0043】
図2は、ベータインターフェロンのピーク血漿レベルが、SC注射と比較してマイクロアレイパッチの様式により皮内送達に到達するまでの時点を示す。
【0044】
図3は、Ph.Eur.5.2.3.による、Hep-2C細胞および感染性EMCVを含む抗ウイルス性ベータインターフェロン活性アッセイを示す。量が標準と完全に同一であるとしても、ベータインターフェロンマイクロアレイ(MA)はより高い活性を呈する。マイクロアレイの投与の半固体形態におけるベータインターフェロンの配合物は、インビトロ活性を保存する。
【0045】
製品の配合における安定化剤および他のアジュバントの排除の結果として、望ましくない副作用が防がれる。半固体で無定形なマイクロアレイ構造中での活性成分の優れた安定性が、MA配合物中で頻繁に使用される安定化剤(例えば、マンニトール、HSAまたはアルギニン)を加えることなく示された。そのうえ、安定性分析は、マイクロアレイ中に配合されたベータインターフェロンを室温で貯蔵することができ、また冷環境において貯蔵された他のベータインターフェロン製品に匹敵する比活性を呈することを示す。したがって、コールドチェーンを使用することなく、MA配合物中でベータインターフェロンを有利に貯蔵および輸送することが可能である。
【0046】
図4は、室温(21℃)および冷蔵庫の温度(5℃)で貯蔵する間の、ベータインターフェロンマイクロアレイの貯蔵安定性、および、より詳細には、製造後、1ヶ月後、3ヶ月後および6ヶ月後に分析されたインビトロベータインターフェロン活性を示す。ベータインターフェロンの抗ウイルス効力は、6ヶ月後かつ貯蔵温度21℃でさえ、製造時と同じlog単位範囲に残る。