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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】線形導波路を用いたフローセル
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20241021BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N21/64 F
【請求項の数】 46
(21)【出願番号】P 2020573000
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020070063
(87)【国際公開番号】W WO2020264546
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】62/868,423
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ジェレイント・エバンズ
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー・エス・ホン
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049530(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111458(WO,A1)
【文献】特表2003-527580(JP,A)
【文献】特開2005-338098(JP,A)
【文献】特表2017-512306(JP,A)
【文献】国際公開第2018/013243(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0008206(US,A1)
【文献】特表2013-524174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 15/00 - G01N 15/1492
G01N 35/00 - G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を受け取るための第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルを有するナノウェル層、
第1の組のナノウェルに関連する第1の線形導波路、および第2の組のナノウェルに関連する第2の線形導波路、並びに
第1の線形導波路のための第1の回折格子、および第2の線形導波路のための第2の回折格子
を含んで成るフローセルであって
第1および第2の回折格子は、第1の光および第2の光の差動結合を提供し、
前記第1の組および第2の組のナノウェルのうちの少なくとも1つにおけるナノウェルが、前記フローセルのための発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有し、
前記第1および第2の線形導波路が、前記フローセルのための発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている、フローセル。
【請求項2】
前記第1および第2の回折格子が、互いに空間的にオフセットされている、請求項1記載のフローセル。
【請求項3】
前記第1および第2の線形導波路が互いに隣接して配置されており、
前記フローセルは、前記第1の線形導波路とは反対側の前記第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路を更に含んで成る、請求項2に記載のフローセル。
【請求項4】
前記第3の線形導波路が、第1の線形導波路と第1の回折格子を共有する、請求項3記載のフローセル。
【請求項5】
第3の線形導波路のための第3の回折格子を更に含んで成る、請求項3記載のフローセル。
【請求項6】
前記第3の回折格子が、第1の回折格子が有するのと同じ第2の回折格子からの空間的なオフセットを有する、請求項5記載のフローセル。
【請求項7】
前記第3の回折格子が、第1の回折格子および第2の回折格子の各々から空間的にオフセットされている、請求項5記載のフローセル。
【請求項8】
前記第1の回折格子が、前記第1の線形導波路の第1の端部に向かって配置され、前記第2の回折格子が、前記第2の線形導波路の第2の端部に向かって配置され、前記第1の端部が前記第2の端部から反対側に配置されている、請求項1~7のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項9】
前記第1の回折格子が三角形の基板上に配置されている、請求項1~8のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項10】
第1の回折格子と第2の回折格子が、互いに異なる格子周期を有する、請求項1~2および8~9のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項11】
前記第1および第2の線形導波路が互いに隣接して配置されており、
フローセルは、
第1の線形導波路とは反対側の第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路;および
第3の線形導波路のための第3の回折格子
を更に含んで成る、請求項10記載のフローセル。
【請求項12】
前記第3の回折格子が、前記第1の回折格子と同じ格子周期を有する、請求項5記載のフローセル。
【請求項13】
前記第3の回折格子が、前記第1の回折格子および前記第2の回折格子の各々の格子周期とは異なる格子周期を有する、請求項11記載のフローセル。
【請求項14】
前記第1の光の差動結合が、第1の光を第1の線形導波路に結合すること、および第1の光の第2の線形導波路への結合を最小化することを含む、請求項1~13のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項15】
前記第2の光の差動結合が、第2の光を第2の線形導波路に結合すること、および第2の光の第1の線形導波路への結合を最小化することを含む、請求項14記載のフローセル。
【請求項16】
前記差動結合が、第1の回折格子または第2の回折格子のうちの1つ以上のカプラ・パラメータに少なくとも部分的に起因する、請求項1~15のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項17】
前記カプラ・パラメータが、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子の不均一性、溝の向き、溝の曲率、カプラ形状、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項16記載のフローセル。
【請求項18】
前記差動結合が、前記第1の線形導波路または前記第2の線形導波路のうちの1つ以上の導波路パラメータに少なくとも部分的に起因する、請求項1~17のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項19】
前記導波路パラメータが、断面プロファイル、屈折率差、モード・マッチング、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項18記載のフローセル。
【請求項20】
前記第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルが、多角形アレイに配置されている、請求項1~19のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項21】
前記多角形アレイが、矩形アレイまたは六角形アレイを含む、請求項20記載のフローセル。
【請求項22】
前記第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルが、少なくとも1つの六角形を形成する六角形アレイに配置されており、
前記六角形が、
前記第1の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第1の行の一部である、前記第1の組のナノウェルの第1および第2のナノウェル、
前記第2の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第2の行の一部である、前記第2の組のナノウェルの第3、第4および第5のナノウェル、並びに
第3の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第3の行の一部である、第3の組のナノウェルの第6および第7のナノウェル
を含む、請求項21記載のフローセル。
【請求項23】
前記第1の組のナノウェルがナノウェルの第1の行を含み、前記第2の組のナノウェルがナノウェルの第2の行を含む、請求項1~21のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項24】
前記ナノウェルの第1の行および第2の行の各々が、前記第1および第2の線形導波路の少なくとも1つと整列している、請求項23記載のフローセル。
【請求項25】
前記ナノウェルの第1の行が前記第1の線形導波路に沿って延び、前記ナノウェルの第2の行が第2の線形導波路に沿って延び、前記第1の線形導波路が前記第2の線形導波路に平行でかつ隣接しており、前記ナノウェルの第1の行が前記ナノウェルの第2の行と同位相であり、
第2の線形導波路に平行でかつ隣接する第3の線形導波路、;および
前記ナノウェルの第1および第2の行と位相がずれている、前記第3の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第3の行
を更に含む、請求項24記載のフローセル。
【請求項26】
前記第3の線形導波路に平行でかつ隣接する第4の線形導波路、および
前記ナノウェルの第3の行と同位相である、前記第4の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第4の行
を更に含む、請求項25記載のフローセル。
【請求項27】
前記第1および第2の線形導波路が互いに平行でかつ隣接しており、前記第1の組のナノウェルは、その反対側の前記第1の線形導波路に沿って延びる前記ナノウェルの第1および第2の行を含み、前記第2の組のナノウェルは、その反対側の前記第2の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第3および第4の行を含む、請求項1~20のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項28】
前記第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルのうちの少なくとも1つのナノウェルが、非円形の開口部を有する、請求項1~27のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項29】
前記非円形の開口部が楕円形の開口部を含む、請求項28記載のフローセル。
【請求項30】
クロス結合を低減するために、前記第1および第2の線形導波路の間に構造体を更に含む、請求項1~29のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項31】
前記構造体が一連のブロックを含む、請求項30記載のフローセル。
【請求項32】
前記構造体が、前記構造体に沿って交互に変化する屈折率を提供する、請求項30記載のフローセル。
【請求項33】
前記第1の線形導波路および前記第1の回折格子がフローセルの第1の層に配置され、前記第2の線形導波路および前記第2の回折格子がフローセルの第2の層に配置され、前記第1の組および第2の組のナノウェルがフローセルの第3の層に配置され、該第2の層が該第1の層よりも該第3の層から離れて配置されている、請求項1~32のいずれか1項記載のフローセル。
【請求項34】
フローセルにおいて、試料を第1の組および第2の組のナノウェルに適用する工程、
第1の回折格子を使用して、第1の光を、第1の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第1の線形導波路に差動的に結合する工程、および
第2の回折格子を使用して、第2の光を、第2の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第2の線形導波路に差動的に結合する工程
を含み、
前記第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルのうちの少なくとも一方のナノウェルが、前記フローセルのための発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有し、
前記第1および第2の線形導波路が、前記発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている、方法。
【請求項35】
前記第1の回折格子および前記第2の回折格子が互いに空間的にオフセットされており、前記方法は、前記第1の光または前記第2の光のうちの少なくとも一方に関する照明要素を制御する工程を更に含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記照明要素を制御する工程が、前記第1の光または第2の光の少なくとも一方を発生する光ビームのビーム・パラメータを制御する工程を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記ビーム・パラメータを制御する工程が、光ビームの位置を制御すること、光ビームの入射角を制御すること、光ビームの発散を制御すること、光ビームのモード・プロファイルを制御すること、光ビームの偏光を制御すること、光ビームのアスペクト比を制御すること、光ビームの直径を制御すること、光ビームの波長を制御すること、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記第1の光が、前記フローセルを横切って第1のスキャン方向に実行される第1のスキャン中に差動的に結合され、前記第2の光が、前記フローセルを横切って第1のスキャン方向とは反対の第2のスキャン方向に実行される第2のスキャン中に差動的に結合される、請求項34~37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記第1および第2の回折格子が互いに異なる格子周期を有し、前記方法が、前記第1の光が差動的に結合されるように照明要素を配置する工程、および前記第2の光が差動的に結合されるように前記照明要素を配置する工程を更に含む、請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記第1および第2の線形導波路が互いに隣接して配置され、前記フローセルが更に、前記第1の線形導波路とは反対側の前記第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記フローセルが、前記第3の線形導波路のための第3の回折格子を更に含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記第3の回折格子を使用して第3の線形導波路にも第1の光を差動的に結合する工程を更に含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記第3の回折格子を使用して少なくとも第3の線形導波路に第3の光を差動的に結合する工程を更に含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記第3の線形導波路が、前記第1の線形導波路と第1の回折格子を共有する、請求項40記載の方法。
【請求項45】
前記第1の光を差動的に結合する工程が、前記第1の光を前記第1の線形導波路に結合すること、および前記第1の光の前記第2の線形導波路への結合を最小化することを含む、請求項34~44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記第2の光を差動的に結合する工程が、前記第2の光を第2の線形導波路に結合すること、および前記第2の光の前記第1の線形導波路への結合を最小化することを含む、請求項45記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、発明の名称「FLOWCELLS WITH LINEAR WAVEGUIDES」の2019年6月28日に出願した米国仮特許出願第62/539,956号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
異なる材料の試料を、様々な分析プロセスのうちの1つ以上を使用して分析することができる。例えば、ハイスループットDNAシーケンシングのようなシーケンシングは、ゲノム解析および他の遺伝学的研究の基礎となり得る。例えば、合成によるシーケンシング(SBS)技術は、ターミネーターと発光スペクトルを有する蛍光色素を含む修飾デオキシリボヌクレオチド三リン酸塩(DNTP)を使用する。この種のシーケンシングおよび他のタイプのシーケンシングでは、遺伝物質の試料の特性は、試料に照明を当て、照明に応答して発生する発光光(例えば、蛍光光)を検出することによって決定される。
【0003】
試料の分析の良好な品質を確保するとともに、分析が比較的高速で行われることを容易にすることが望ましい場合がある。例えば、各個別の段階で分析される試料材料の量は、分析プロセスの結果としてのスループットを向上させる。より多くの材料が任意の時間に分析されることを可能にするために、試料材料を分析装置内でより密に分配することが試みられてもよい。しかしながら、結像光学系から利用可能な最大分解能などの分析システムの特性は、そのようなアプローチがスループットを増加させることができる範囲を制限することがある。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、フローセルは、試料を受け取るための第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルを有するナノウェル層;第1の組のナノウェルに関連付けられた第1の線形導波路、および第2の組のナノウェルに関連付けられた第2の線形導波路;および第1の線形導波路のための第1の回折格子、および第2の線形導波路のための第2の回折格子を含み、第1の回折格子および第2の回折格子は、第1の光および第2の光の差動結合(differential coupling)を提供する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちのいずれかまたはすべてを含んでもよい。第1および第2の回折格子は、互いに空間的にオフセットされている。第1の線形導波路および第2の線形導波路は、互いに隣接して配置され、フローセルは更に、第1の線形導波路とは反対側の第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路を含む:第1の線形導波路とは反対側の第3の線形導波路を含む。第3の線形導波路は、第1の線形導波路と第1の回折格子を共有する。フローセルは、更に、第3の線形導波路のための第3の回折格子を構成する。第3の回折格子は、第1の回折格子と同様に、第2の回折格子からの空間的なオフセット(または相殺もしくはずれ;offset)を有する。第3の回折格子は、第1の回折格子および第2の回折格子の各々から空間的にオフセットされている。前記第1の回折格子は、前記第1の線形導波路の第1の端部に向かって配置され、前記第2の回折格子は、前記第2の線形導波路の第2の端部に向かって配置され、前記第1の端部は、前記第2の端部とは反対側に配置されている。前記第1の回折格子は、三角形の基板上に配置されている。前記第1の回折格子と前記第2の回折格子は、互いに異なる格子周期を有する。第1および第2の線形導波路は互いに隣接して配置され、フローセルは更に、第1の線形導波路とは反対側の第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路;および第3の線形導波路のための第3の回折格子を含む。第3の回折格子は、第1の回折格子と同じ格子周期を有する。前記第3の回折格子は、前記第1の回折格子および前記第2の回折格子の各々の格子周期とは異なる格子周期を有する。前記第1および第2の組のナノウェルの少なくとも一方のナノウェルは、前記フローセル用の発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有している。第1および第2の線形導波路は、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている。第1の光の差動結合は、第1の光を第1の線形導波路に結合し、第1の光を第2の線形導波路に結合することを最小化することを含む。第2の光の差動結合は、第2の光を第2の線形導波路に結合することと、第2の光を第1の線形導波路に結合することを最小化することを含む。差動結合は、第1の回折格子または第2の回折格子のうちの1つ以上のカプラ・パラメータに少なくとも部分的に起因する。カプラ・パラメータは、屈折率、ピッチ、溝幅、溝の高さ、溝の間隔、回折格子の不均一性、溝の配向、溝の曲率、カプラ形状、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された少なくとも一つから構成されている。差動結合は、第1の線形導波路または第2の線形導波路の1つ以上の導波路パラメータに少なくとも部分的に起因している。導波路パラメータは、断面プロファイル、屈折率差、モード・マッチング、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つを含む。第1および第2の組のナノウェルは、多角形アレイ(または多角形配列)に配置されている。多角形アレイは、矩形アレイまたは六角形アレイを含む。第1および第2の組のナノウェルは、少なくとも1つの六角形を形成する六角形アレイ内に配置されており、該六角形は、以下を含む。第1の組のナノウェルの第1および第2のナノウェルであって、第1および第2のナノウェルは、第1の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第1の行の一部である;第2の組のナノウェルの第3、第4および第5のナノウェルであって、第3、第4および第5のナノウェルは、第2の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第2の行の一部である、ナノウェルの第3、第4および第5のナノウェルを含む。および第3の組の第6および第7のナノウェルであって、前記第6および第7のナノウェルは、前記第3の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第3の行の一部である、第3の組の第6および第7のナノウェル。第1の組のナノウェルは、ナノウェルの第1の行を構成し、第2の組のナノウェルは、ナノウェルの第2の行を構成する。ナノウェルの第1の行および第2の行の各々は、第1および第2の線形導波路の少なくとも1つと整列している。ナノウェルの第1の行は、第1の線形導波路に沿って延び、ナノウェルの第2の行は、第2の線形導波路に沿って延び、第1の線形導波路は、第2の線形導波路と平行であり、かつ隣接しており、ナノウェルの第1の行は、ナノウェルの第2の行と同位相であり、フローセルは、更に以下のものを含む。第2の線形導波路に平行で隣接する第3の線形導波路;および第3の線形導波路に沿って延びるナノウェルの3行目のナノウェルであって、ナノウェルの3行目のナノウェルは、ナノウェルの1行目および2行目のナノウェルと位相がずれている、フローセルを更に含む。前記フローセルは更に、前記第3の線形導波路に平行で隣接する第4の線形導波路;および前記第4の線形導波路に沿って延びる第4の行のナノウェルを含み、前記ナノウェルの第4の行は前記ナノウェルの第3の行と位相が合っている。前記第1および第2の線形導波路は、互いに平行で隣接しており、前記第1の組のナノウェルは、その反対側の面で前記第1の線形導波路に沿って延びるナノウェルの第1および第2の行を含み、前記第2の組のナノウェルは、その反対側の面で前記第2の線形導波路に沿って延びる第3および第4の行のナノウェルを含む。第1および第2の組のナノウェルの少なくとも1つのナノウェルは、非円形の開口部を有する。非円形の開口部は、楕円形の開口部を含む。フローセルは更に、クロス結合(または交差結合)を低減するために、第1および第2の線形導波路の間に構造体を構成している。構造体は、一連のブロックを含む。構造体は、構造体に沿って交互に変化する屈折率を提供する。第1の線形導波路および第1の回折格子は、フローセルの第1の層に配置され、第2の線形導波路および第2の回折格子は、フローセルの第2の層に配置され、第1および第2の組のナノウェルは、フローセルの第3の層に配置され、第2の層は、第1の層よりも第3の層から離れて配置されている。
【0006】
第2の態様において、方法は、フローセルにおいて、試料を第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルに適用する工程、第1の回折格子を使用して、第1の光を第1の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第1の線形導波路に差動的に結合する工程、および第2の回折格子を使用して、第2の光を第2の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第2の線形導波路に差動的に結合する工程、を含む。
【0007】
実施形態は、以下の特徴のうちのいずれかまたはすべてを含んでもよい。第1の回折格子および第2の回折格子は、互いに空間的にオフセットされており、方法は、第1の光または第2の光の少なくとも一方に関する照明要素を制御する工程を更に含む。照明要素を制御する工程は、第1の光または第2の光の少なくとも一方を発生する光ビームのビーム・パラメータを制御する工程を含む。ビーム・パラメータを制御する工程は、光ビームの位置を制御すること、光ビームの入射角を制御すること、光ビームの発散を制御すること、光ビームのモード・プロファイルを制御すること、光ビームの偏光を制御すること、光ビームのアスペクト比を制御すること、光ビームの直径を制御すること、光ビームの波長を制御すること、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つを含む。前記第1の光は、前記フローセルを横切って第1のスキャン方向に実行される第1のスキャンの間に差動的に結合されており、前記第2の光は、前記フローセルを横切って第1のスキャン方向とは反対の第2のスキャン方向に実行される第2のスキャンの間に差動的に結合されている。前記第1の回折格子と前記第2の回折格子は、互いに異なる格子周期を有し、前記方法は、前記第1の光が差動的に結合されるように前記照明要素を配置する工程と、前記第2の光が差動的に結合されるように前記照明要素を配置する工程とを更に含む。前記第1および第2の線形導波路は、互いに隣接して配置され、前記フローセルは更に、前記第1の線形導波路とは反対側の前記第2の線形導波路に隣接して配置された第3の線形導波路を含む。前記フローセルは、更に、前記第3の線形導波路のための第3の回折格子を含む。方法は更に、第3の回折格子を使用して第1の光を第3の線形導波路にも差動的に結合する工程を含む。方法は更に、第3の光を、第3の回折格子を用いて少なくとも第3の線形導波路に差動的に結合する工程を含む。第3の線形導波路は、第1の線形導波路と第1の回折格子を共有する。第1および第2の組の少なくとも1つのナノウェルは、フローセルのための発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有している。第1および第2の線形導波路は、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている。第1の光を差動的に結合する工程は、第1の光を第1の線形導波路に結合し、第1の光を第2の線形導波路に結合することを最小化することを含む。第2の光を差動的に結合する工程は、第2の光を第2の線形導波路に結合し、第2の光を第1の線形導波路に結合することを最小化することを含む。
【0008】
前述の概念および以下でより詳細に論じられる追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)が、本明細書中に開示される発明の要件の一部として企図されていることが理解されるべきである。特に、本開示の最後にある請求項のすべての組み合わせは、本明細書中に開示された本発明の要件の一部であると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】線形導波路を有する例示的なフローセルの一部の断面図である。
図2A】千鳥状回折格子を有するフローセルの例を示す。
図2B】千鳥状回折格子を有するフローセルの例を示す。
図3A】千鳥状回折格子を有するフローセルの例を示す。
図3B】異なる格子周期を有する回折格子を有するフローセルの例を示す。
図4】千鳥状回折格子を有するフローセルの別の例を示す。
図5】例示的なフローセルの一部の断面を示す。
図6】複数の線形導波路が共通の回折格子を共有するフローセルの例を示す。
図7】例示的な照明システムの斜視図である。
図8】例示的な方法のフローチャートである。
図9】例示的な方法のフローチャートである。
図10A】非円形ナノウェルの六角形アレイの例を示す。
図10B】円形ナノウェルの三角形配列の例を示す。
図11】千鳥状回折格子を有するフローセルの別の例を示す。
図12】千鳥状回折格子を有するフローセルの別の例を示す。
図13】千鳥状回折格子を有するフローセルの別の例を示す。
図14】表面に衝突する光ビームを模式的に示す。
図15A】回折格子の例を示す。
図15B】回折格子の例を示す。
図15C】回折格子の例を示す。
図16】カプラの形状の例を示す。
図17】線形導波路の断面プロファイルの例を示す。
図18】線形導波路を有する別の例示的なフローセルの一部の断面を示す。
図19】例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、試料の改善された分析を促進するシステム、技術、製造物品、および/または物質の組成物を記載する。いくつかの実施形態では、2つ以上の線形導波路に差動結合を提供することができる。例えば、線形導波路に光を差動的に結合することができることは、基板(例えば、試料材料を保持するためのナノウェルの層)が試料材料の密度を増加させることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、分析システムおよび/またはプロセスに関する1つ以上のパラメータを、差動結合を得るように選択または調整することができる。例えば、そのようなパラメータは、1つ以上のビーム・パラメータ、1つ以上のカプラ・パラメータ、1つ以上の導波路パラメータ、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、分析画像形成は、基板上の増大した分布密度を有する試料材料上で実施することができ、これは、分析プロセスのスループットを増大させることができる。例えば、試料材料は、試料の個々の部分が、顕微鏡装置などの利用可能な画像形成技術を使用して分解することができるよりも、互いにより近い距離に配置される密度で分布することができる。分析プロセスは、一度に試料の第1の部分のみを選択的に画像形成し、第1の部分の近くの第2の部分を画像形成せず、その後、第1の部分を(再び)画像形成せずに第2の部分を画像形成してもよい。このようなアプローチは、単一の試料ホルダ(例えば、基板)上の比較的大量の試料材料を、一回のセッションで画像化して分析することを可能にする。これは、新しい基板上の追加の試料材料を分析するために、その全体の試料材料を分析した後に基板を交換するアプローチと比較して、分析プロセスのスループットを増加させることができ、このアプローチは、基板の除去および挿入、試料の準備、および装置の初期化の中間ステップを含む可能性がある。
【0012】
いくつかの実施形態では、例えば第1および第2の線形導波路間の差動結合は、光を第1の線形導波路に結合する一方で、光のいずれかを第2の線形導波路に結合しないこと、またはその逆を含んでもよい。そのような差動結合は、常に実用的であるとは限らないか、または可能であるとは限らない。いくつかの実施形態では、差動結合は、スキャンの一部の間に光を第1の線形導波路に結合しながら、例えば第2の線形導波路への結合を最小化することを含んでもよい。最小化の量または分数は、実施形態によって異なることができる。いくつかの実施形態では、最小化された結合(例えば、クロストーク)は、線形導波路への結合の多くとも約1%、約5%、約15%、約25%、または約45%に相当する。このような差動結合は、常に実用的であるとは限らず、可能であるとは限らない。いくつかの実施形態では、差動結合は、スキャンの一部の間、第1の線形導波路と比較して、例えば第2の線形導波路への結合を減少させることを含んでもよい。削減の量または割合は、実施形態によって異なることができる。いくつかの実施形態では、低減された結合(例えば、クロストーク)は、線形導波路への結合のせいぜい約5%、約15%、約35%、約65%、または約95%に相当する。
【0013】
クロストークの量(例えば、その大きさ)は、既知であってもよいし、較正されていてもよい。いくつかの実施形態では、試料の複数のスキャンを実行することができ、例えば、第1の線形導波路への結合を伴う第1のスキャンでは、第2の線形導波路への結合が低減され、第2の線形導波路への結合を伴う第2のスキャンでは、第1の線形導波路への結合が低減され、第2の線形導波路への結合が低減される。これらのスキャンは、第1の線形導波路および第2の線形導波路からそれぞれ得られる情報の変調を引き起こしてもよい。そのような変調は、クロストークの大きさが与えられた予測可能な方法で発生してもよい。例えば、線形代数は、有用な解析情報を抽出するために、それぞれの第1および第2の線形導波路から得られる情報に適用することができる。
【0014】
画像形成装置の利用可能な最大解像度によって課せられる限界は、回折限界と呼ぶことができる。このようにして利用可能な最大分解能で動作する画像形成システムは、回折限界であると言えます。顕微鏡装置の場合、回折限界が与えられた時に得られる空間分解能は、光の波長と対物レンズや照明光源の開口数に依存する。最小分解可能距離dは、以下の式:
d=λ/(2nsinθ)
(式中、λは光の波長、nは屈折率、θは半角(即ち、顕微鏡の光軸と対物レンズによって捕捉された最も斜めの光線の方向との間の角度の1/2)である。)
で表すことができる。この因子nsinθは通常、開口数(NA)と呼ばれ、従って、最小分解可能距離は、以下の式:
d=λ/(2NA)
で表すことができる。即ち、既存の分析システムでは、試料材料は、一般に、試料の個々の部分が少なくとも距離d離れているような密度で分布している。本明細書中に記載されているシステムおよび技術は、分解可能距離dよりも高密度に分布している試料材料に対して分析を実行することを可能にすることができる。
【0015】
試料分析は、これらに限定されないが、遺伝子配列決定(例えば、遺伝物質の構造を決定する)、ジェノタイピング(例えば、個人の遺伝的構成の違いを決定する)、遺伝子発現(例えば、遺伝子情報を用いて遺伝子産物を合成する)、プロテオミクス(例えば、タンパク質の大規模研究)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0016】
本明細書中に記載されるいくつかの例は、遺伝物質の配列決定に関する。配列決定は、ヌクレオチドと呼ばれるどの構成要素が試料中にある特定の遺伝物質を構成しているかを決定するために、試料に対して実施することができる。配列決定は、遺伝物質が最初に精製された後、好適なサイズの試料を調製するために何回も複製された後に行うことができる。遺伝物質の配列決定の過程の一部として画像形成を行うことができる。これは、遺伝物質の試料が光(例えば、レーザービーム)にさらされて、遺伝物質上の1つ以上のマーカーによる蛍光応答を誘発する蛍光画像形成を含んでもよい。遺伝物質のいくつかのヌクレオチドは、それらに適用された蛍光タグを有することができ、これにより、試料に光を当て、試料から特徴的な応答を探すことによって、ヌクレオチドの存在を決定することができる。蛍光反応は、配列決定プロセスの過程で検出され、試料中のヌクレオチドの記録を構築するために使用される。
【0017】
本明細書中に記載される例は、フローセルを指す。フローセルは、分析プロセスの少なくとも1つの段階において、1つ以上の試料を準備し、収容し、または運搬するために使用することができる基板とみなすことができる。フローセルは、試料材料(例えば、遺伝子材料)、照明、およびそれが曝露される化学反応の両方に適合する材料で形成される。基板は、試料材料が付着されてもよい1つ以上のチャネルを有することができる。物質(例えば、液体)は、1つ以上の化学反応を誘発するために、および/または不要な物質を除去するために、試料遺伝物質が存在するチャネルを通って流れることができる。フローセルは、フローセルチャネル内の試料が照明光を受けることができ、試料からの任意の蛍光応答が検出されることを容易にすることにより、画像形成を可能にしてもよい。システムのいくつかの実施形態では、少なくとも1つ記載のフローセルと共に使用されるように設計されていてもよいが、出荷中または顧客に引き渡されたときなどの1つ以上の段階ではフローセルを含まないようにしてもよい。例えば、フローセルは、分析を実行するために、顧客の施設で実施形態に組み込むことができる。
【0018】
本明細書中に記載される例は、1つ以上の回折格子による導波路への光(例えば、レーザービーム)の結合および/または導波路からの結合を指す。回折格子は、光の少なくとも一部を回折する方法で回折格子に衝突する光を結合することができ、それにより、光の一部が1つ以上の他の方向に伝搬することができる。いくつかの実施形態では、結合は、これらに限定されないが、光の一部分の反射、屈折、回折、干渉、および/または透過を含む、1つ以上の相互作用を含んでもよい。実施形態は、これらに限定されないが、大量生産、コスト管理、および/または高い光結合効率に関するものを含む、1つ以上の要件を満たすように設計されてもよい。2つ以上の回折格子は、互いに同一または類似のものであってもよく、または異なるタイプの回折格子を使用してもよい。回折格子は、周期的構造体の1つ以上の形態を含んでもよい。いくつかの実施形態では、回折格子は、基板(例えば、フローセルに含まれる導波路材料)または他の材料から材料を除去または省略することによって形成することができる。例えば、フローセルは、格子を形成するために、そこに1組のスリットおよび/または溝を提供することができる。いくつかの実施形態では、回折格子は、フローセル(例えば、フローセルに含まれる導波路材料)または他の材料に物質を添加することによって形成することができる。例えば、フローセルは、回折格子を形成するために、一連のリッジ、バンド、または他の突出した長手方向構造体を備えることができる。これらのアプローチの組み合わせを使用することができる。
【0019】
基板(フローセルなど)に導波路を提供することは、1つ以上の利点を提供することができる。全内部反射(TIR)に基づくエバネッセント光(evanescent light)を用いた励起は、より高い効率の照明を提供することができる。いくつかの従来のアプローチでは、スキャン処理においてのように、試料を保持する基板に照明を当てるために、レーザービームの全体が使用されていた。このようなアプローチでは、光波の大部分が、試料に効果的に照明を当てることなく、単に基板を伝搬してしまう可能性がある。その結果、そのようなシステムによって当てられた光のごく一部だけが、実際に試料中の蛍光体を励起するために使用される可能性がある。対照的に、エバネッセント光は、材料(例えば、コア層に隣接するクラッディング)を特定の深さ(例えば、1つの例では約150~200nm)までしか透過しないかもしれない。例えば、フローセルは、エバネッセントフィールドが主にウェル領域に限定されるように構成された1つ以上のナノウェルを有するように設計することができる。その結果、エバネッセント光は、蛍光色素を励起するための非常に効率的な方法であってもよい。例えば、従来の照明アプローチに従って動作するシステムは、特定のパワーを有するレーザーを必要とするかもしれないが、エバネッセント光を使用すると、対照的に、かなり低いレーザーパワーで十分であるかもしれない。
【0020】
本明細書中に記載される例は、化学蒸着を指す。化学蒸着(CVD)は、揮発性材料(前駆体と呼ばれることもある)を基板の表面上で反応および/または分解を受けさせ、その上に付着物を形成するすべての技術を含んでもよい。CVDは、1つ以上の態様で特徴付けられてもよい。例えば、CVDは、蒸気の物理的特性(例えば、CVDがエアロゾルアシストされているか、または液体の直接注入を含むか)によって特徴付けられてもよい。例えば、CVDは、基板の加熱の種類(例えば、基板が直接加熱されているか、加熱されたチャンバなどの間接的な加熱されているか)によって特徴付けられてもよい。使用されてもよいCVDのタイプの例としては、これらに限定されないが、大気圧CVD、低圧CVD、超低圧CVD、超高真空CVD、金属有機CVD、レーザーアシストCVD、およびプラズマ強化CVDが挙げられる。
【0021】
本明細書中に記載される例は、原子層堆積を指す。原子層堆積は、CVDの一形態と考えられ、ガスへの曝露によって基板上に膜を成長させるすべての技術を含む。例えば、ガス状の前駆体をチャンバ内に交互に導入してもよい。前駆体の1つの分子は、層が形成され、反応が終了するまで表面と反応してもよく、次のガス状前駆体を導入して新しい層の形成を開始してもよく、そのように1つ以上のサイクルで繰り返される。
【0022】
本明細書中に記載される例は、スプレーコーティングを指す。スプレーコーティングは、特定化された材料が基板上に付着されるように引き起こされる、任意のまたはすべての技術を含んでもよい。これは、これらに限定されないが、熱溶射、プラズマ溶射、コールドスプレー、ウォームスプレー、および/または噴霧化された材料(atomized or nebulized material)を含む。
【0023】
本明細書中に記載される例は、スピンコーティングを指す。スピンコーティングは、基板にコーティング材料の一定量を塗布することと、基板の回転またはスピンに起因する遠心力によってコーティング材料を基板上に分散または拡散させることを含んでもよい。
【0024】
本明細書中に記載される例は、ナノインプリントを指す。ナノインプリントリソグラフィーでは、予め形成されたナノスケールテンプレートは、所望のナノ構造体を成形するために流動性樹脂を機械的に変位させてもよい。次いで、樹脂は、ナノスケールテンプレートを所定の位置に配置した状態で硬化されてもよい。ナノスケールテンプレートの除去に続いて、所望の基板に取り付けられた成形された固体樹脂が製造されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノインプリント法は、基板またはウエハをインプリント樹脂(例えば、以下に例示する樹脂)で完全にまたは部分的に覆うことから開始されてもよい。ナノスケールテンプレートを用いた成形法において、1つ以上のナノ構造体がインプリンティング樹脂中に形成されてもよい。また、インプリント樹脂を基板またはウエハに接触して硬化させ、ウエハまたは基板に残留する樹脂を除去する樹脂除去工程を行ってもよい。例えば、樹脂除去により、ナノ構造体に隣接するチャンバレーンを形成してもよい。そうして形成された基板またはウエハは、チャンバレーンを囲むことによって形成されたフローセルチャンバと同様に、記載されたナノ構造体を有するフローセルを形成するように、別の基板またはその上に適用されたガスケットを有することができる。いくつかの実施形態では、インプリント樹脂を塗布する工程は、樹脂残留物がほとんどまたは全く生じないように構成されていてもよく、そのような実施形態では、樹脂除去工程を省略することができる。また、いくつかの応用例では、最終用途に応じて、硬化した樹脂に化学処理を施したり、生体分子を付着させたりして機能化してもよい。ナノインプリントリソグラフィーにおいて、インプリントされたフォトレジストは、犠牲材料であってもよく、同様に、パターン化されたレジストを基板に転写するための中間ツールとして使用されてもよいし、インプリントされたレジストが後続のコーティング工程への入力として機能するようなレジストのバリエーションが使用されてもよい。パターニング後に残るレジストの例としては、モノマーを粒子および/またはポリマーのゲルへの前駆体としてコロイド溶液への変換を含む方法によって形成された材料が挙げられ、ゾルゲル系材料と呼ばれることもある。
【0025】
本明細書中に記載される例は、基板を指す。基板は、少なくとも実質的に剛性のある構造体を提供する任意の材料、またはそれが接触して配置される容器の形状をとるのではなく、その形状を保持する構造体を指してもよい。材料は、例えば、滑らかな支持体(例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコン、およびセラミック表面)、ならびにテクスチャ付きおよび/または多孔質材料を含む、別の材料が付着することができる表面を有することができる。可能な基板としては、これらに限定されないが、ガラスおよび変性または機能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレンおよびスチレンと他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)などを含む)、多糖類、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリコンおよび変性シリコンを含むシリカまたはシリカ系材料、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバー束、および他の様々なポリマーなどが挙げられる。一般に、基板は、光学的検出を可能にし、それ自体は実質的に蛍光を発することはない。
【0026】
本明細書中に記載される例は、ポリマーを指す。ポリマー層は、ポリマー材料のフィルムを含んでもよい。例示的なフィルム形成ポリマーには、これらに限定されないが、アクリルアミドまたはC1-C12とのコポリマー;芳香族およびヒドロキシル誘導体;アクリレートコポリマー;ビニルピロリジンおよびビニルピロリドンコポリマー;デンプンまたはポリデキストリンなどの糖系ポリマー またはポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、シリコーン、シロキサン、ポリエチレンアミン、グアーガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ローカストビーンガム、メタクリル酸コポリマー、ポリイミド、環状オレフィンコポリマー、またはそれらの組み合わせなどの他のポリマー。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、少なくとも1つの光硬化性ポリマーを含む。例えば、光硬化性ポリマーは、ウレタン、アクリレート、シリコーン、エポキシ、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、エポキシシリコーン、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シルセスキオキサン、アシルオキシシラン、マレイン酸ポリエステル、ビニルエーテル、ビニル基またはエチニル基を有するモノマー、またはコポリマー、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、層は、共有結合したポリマーコーティングを含んでもよい。例えば、これは、他の方法、例えば接着または静電相互作用による表面への付着と比較して、基板の官能基化された表面と化学結合を形成するポリマーコーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、官能基化可能な層に含まれるポリマーは、ポリ(N-(5-アジドアセタミジルペンチル)アクリルアミド‐コ‐アクリルアミド)であり、PAZAMと呼ばれることもある。
【0027】
本明細書中に記載された例には、1つ以上の樹脂を使用してもよいことが記載されている。任意の好適な樹脂が、本明細書中に記載された方法においてナノインプリントに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂(および/またはナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、有機樹脂を使用してもよい。いくつかの例では、樹脂は、ケイ素、酸素、水素を含む化合物間のSi‐O‐Si結合を含む無機シロキサンポリマーを含み、シリカガラスに代表されるシロキサンポリマー系材料を出発物質として用いて形成されていてもよい。また、使用される樹脂は、ケイ素に結合した水素がメチルやフェニルなどの有機基で置換された有機シロキサンポリマーであってもよく、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、シルセスキオキサン水素化物ポリマー、またはアルキルシルセスキオキサン水素化物ポリマーに代表される有機シロキサンポリマーであってもよい。シロキサンポリマーの非限定的な例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、ポリ(オルガノ)シロキサン(シリコーン)、およびパーフルオロポリエーテル(PFPE)が挙げられる。樹脂は、金属酸化物でドープされてもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、これらに限定されないが、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、または酸化ゲルマニウムを含むゾルゲル材料であってもよく、それは好適な溶媒を使用する。用途に応じて、多数の他の樹脂のうちの任意の1つを採用してもよい。
【0028】
図1は、線形導波路102A~102Cを有する例示的なフローセル100の一部の断面図である。フローセル100は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。説明のために、フローセル100の一部のみが示されている。例えば、1つ以上の追加の層および/またはより多くまたはより少ない導波路102A~102Cを使用することができる。
【0029】
フローセル100は、基板104を含む。基板104は、フローセル100のためのベースを形成することができる。いくつかの実施形態では、フローセル100の製造において、1つ以上の他の層が、基板104に(例えば、基板104と接触しているか、または基板104の近くに)形成されてもよい。基板104は、線形導波路102A~102Cを形成するための基礎として機能してもよい。線形導波路102A~102Cは、最初は基板104とは別個に存在し、その後基板104上に適用されてもよいか、または線形導波路102A~102Cは、基板への適用、および/または基板からの1つ以上の材料の除去によって形成されてもよい。線形導波路102A~102Cは、基板104上に直接、または基板104における1つ以上の中間層上に形成することができる。
【0030】
線形導波路102A~102Cは、電磁放射線(レーザー光などの可視光を含むが、これに限定されない)を伝導する役割を果たす。いくつかの実施形態では、電磁放射線は、画像化プロセス中に1つ以上の機能を実行する。例えば、電磁放射線は、画像形成のために試料材料中の蛍光色素を励起する役割を果たすことができる。線形導波路102A~102Cは、1種類以上の電磁放射線の伝播を促進する任意の好適な材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路102A~102Cの材料は、ポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路102A~102Cの材料は、Taおよび/またはSiNxを含んでもよい。例えば、線形導波路102A~102Cは、スパッタリング、化学蒸着、原子層蒸着、スピンコーティング、および/またはスプレーコーティングによって形成することができる。
【0031】
線形導波路102A~102Cの各々は、その線形導波路102A~102C内へおよび/またはその線形導波路102A~102C外への電磁放射線を結合するための1つ以上の回折格子(明確化のためにここでは省略する)を採用することができる。線形導波路102A~102C内の電磁放射線のための1つ以上の進行方向を採用することができる。例えば、進行方向は、本図示の平面内および/または平面外にあってもよい。回折格子の例は、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0032】
線形導波路102A~102Cの各々を、1種以上のクラッディング(cladding)に接触して配置してもよい。クラッディングは、電磁放射線をそれぞれの線形導波路102A~102Cに拘束し、他の線形導波路102A~102Cまたは他の基板への放射の伝播を防止するか、またはその程度を減少させる役割を果たすことができる。ここでは、クラッディング106A~106Dが一例として示されている。例えば、クラッディング106A~106Bは、その異なる(例えば、対向する)側で線形導波路102Aに対してまたはその近傍に配置されてもよい。例えば、クラッディング106B~106Cは、その異なる(例えば、対向する)側面において、線形導波路102Bに対して、またはその近傍に配置されてもよい。例えば、クラッディング106C~106Dは、その異なる(例えば、対向する)側面において、線形導波路102Cに対して、またはその近傍に配置されてもよい。クラッディング106A~106Dは、線形導波路102A~102Cを互いに分離するのに役立つ1つ以上の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、クラッディング106A~106Dは、線形導波路102A~102Cの屈折率/インデックスよりも低い屈折率を有する材料から作られてもよい。例えば、線形導波路102A~102Cは、約1.4~1.6の屈折率を有することができ、クラッディング106A~106Dは、約1.2~1.4の屈折率を有することができる。いくつかの実施形態では、クラッディング106A~106Dのうちの1つ以上は、ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、クラッディング106A~106Dの1つ以上は、これらに限定されないが、真空または別の材料(例えば、空気または液体)の領域によって散在する1つの材料(例えば、ポリマー)の構造体を含む、複数の構造体を含む。
【0033】
フローセル100は、少なくとも1つのナノウェル層108を含む。いくつかの実施形態では、ナノウェル層108は、基板104からの線形導波路102A~102Cに対向して配置される。例えば、ナノウェル層は、線形導波路102A~102Cおよびクラッディング106A~106Dに隣接して(例えば、隣接して、または近接して)配置されてもよい。ナノウェル層108は、1つ以上のナノウェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノウェル層108は、ナノウェル108A~108Cを含む。ナノウェル108A~108Cは、分析プロセスの少なくとも一部(例えば、画像形成のため)の間、1つ以上の試料材料を保持するために使用することができる。例えば、1つ以上の遺伝物質(例えば、クラスターの形態で)をナノウェル108A~108C内に配置することができる。
【0034】
ナノウェル108A~108Cのうちの1つ以上のナノウェルは、線形導波路102A~102Cのうちの1つ以上のナノウェルと少なくとも実質的に整列していてもよい。これにより、画像形成目的のために(エバネッセント光の透過を含むが、これに限定されない)、それぞれのナノウェル108A~108Cと対応する線形導波路102A~102Cとの間の相互作用を可能にすることができる。例えば、ナノウェル108Aは、線形導波路102Aと少なくとも実質的に整列することができ;ナノウェル108Bは、線形導波路102Bと少なくとも実質的に整列することができ;および/またはナノウェル108Cは、線形導波路102Cと少なくとも実質的に整列することができ、ナノウェル108Cは、線形導波路102Cと少なくとも実質的に整列することができる。
【0035】
ナノウェル108A~108Cは、ナノウェル層108へのナノインプリント、またはナノウェル層108からのリフトオフ法によって形成することができる。例えば、ナノウェル層108は樹脂を含むことができ、ナノウェル108A~108Cは、ナノスケールテンプレートを用いたインプリントによって形成することができる。いくつかの実施形態では、ナノウェル108A~108Cは、その1つ以上の寸法がナノメートルのオーダーで範囲となるような寸法を有することができる。ナノウェル108A~108Cの端部(例えば、底部)は、エバネッセント光の伝播を収容する厚さを有することができる。例えば、厚さは、約0~500nmであってもよい。ナノウェル層は、線形導波路102A~102Cおよびクラッディング106A~106Dを含む層の少なくとも実質的に対向面全体を覆うことができる。いくつかの実施形態では、ナノウェル層108は、少なくとも10nm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、100μm以上のナノウェル108A~108C間の平均ピッチを有することができ、および/または、少なくとも100μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、0.1μm以下の平均ピッチを有することができる。いくつかの実施形態では、ナノウェル層108は、約150nm以上のナノウェル108A~108C間のピッチを有することができる。例えば、ナノウェル層108は、約160nm、約220nm、約250nm、約300nm、約450nm、またはそれ以上のナノウェル108A~108C間のピッチを有することができる。各ナノウェル108A~108Cの深さは、少なくとも約0.1μm、約1μm、約10μm、約100μm、またはそれ以上であってもよい。代替的または追加的に、深さは、最大で1×10μm、100μm、10μm、1μm、0.1μm以下であってもよい。
【0036】
図2A~2Bは、千鳥状回折格子202を有するフローセル200を有する例を示す。フローセル200は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と組み合わせて使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。説明のために、フローセル200の一部のみが示されている。
【0037】
フローセル200は、ここでは円形の形状を用いて説明されるナノウェル204Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルの一部のみが具体的に言及され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法の方法で)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的には示されていない。ナノウェル204Aは、ここでは線形導波路206Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル200を参照して記載された線形導波路は、本明細書中に記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路206Aは、ナノウェル204Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル204Aと接触して)配置される。いくつかの実施形態では、線形導波路206Aは、線形導波路コア208および1つ以上の回折格子202を含んでもよい。
【0038】
別のナノウェル204Bもまた、線形導波路206Aに関連している。例えば、ナノウェル204Bは、ナノウェル204Aに隣接して配置され、ナノウェル204A~204Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路206Aからの電磁放射線を受ける方法によって)線形導波路206Aと相互作用してもよい。別のナノウェル204Cは、対照的に、代わりに線形導波路206Bと関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路206Bは、線形導波路206Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路206A~206Bの間に配置することができる。
【0039】
本明細書中に記載された、いくつかの例は、ナノウェルの組について言及しているか、またはそうでなければ関連している。ナノウェルの組は、少なくとも1つの特性を有する1つ以上のナノウェルの論理的または物理的なグループである。1つの組のナノウェルは、1つの線形導波路に関連してもよく、別の組のナノウェルは、別の線形導波路に関連してもよい。いくつかの実施形態では、1つの組のナノウェルは、一行に配置されてもよい。そのようなナノウェルの行は、いくつかの例を挙げると、例えば、線形導波路と同軸である(例えば、線形導波路の上または下に完全に重なっている)ことによって、または線形導波路と平行であり、線形導波路に隣接して配置される(例えば、線形導波路の片側または両側に)ことによって、線形導波路に沿って延びてもよい。従って、1つの組のナノウェルは、いくつかの実施形態では、ナノウェルの1つ以上の行を含んでもよい。ナノウェルのそのような行の各々は、少なくとも1つの線形導波路と整列させてもよい。
【0040】
ナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例において完全にランダムな方法で、または1つ以上のパターンに従って、基板上に(例えば、ナノウェル層内に)配置することができる。いくつかの実施形態では、ナノウェルは、これらに限定されないが、多角形アレイを含む、1つ以上の配列の形態で配置される。例えば、多角形アレイは、矩形、三角形、または六角形アレイ、または少なくともいくつかのナノウェルが多角形に配置されている他の任意の形態の配列であってもよい。この例のフローセル200は、ナノウェルの矩形アレイを有する。
【0041】
フローセル200は、画像形成プロセスの1つ以上の形態で使用することができる。例えば、ナノウェル(ナノウェル204A~204Cを含む)内の試料材料は、それぞれの線形導波路(それぞれの線形導波路206A~206Bを含む)からの電磁放射線を受けることができる。電磁放射線へのそのような曝露から生じる発光(発光の例は、蛍光色素からの蛍光である)は、装置(例えば、1つ以上のカメラおよび/または他の画像形成装置)を使用して捕捉することができる。そのような装置は、発光装置または類似の用語という表現を用いて言及されることがある。例えば、発光装置は、1つ以上のカメラまたは他の画像形成装置、および少なくとも1つのレンズまたは他の発光光学系を含んでもよい。いくつかの実施形態では、回折限界は、少なくとも部分的に発光光学系の1つ以上の特性に起因することができる。例えば、使用される発光光学系に基づいて、分解能距離を定義することができ、その分解能距離は、発光光学系を使用して分解可能な最短距離をマークする。即ち、分解能距離によって間隔を置いている特徴を解決するとき、画像化システムは、その利用可能な最高レベルの解像度で動作していると言うことができる。
【0042】
ここで、距離210は、発光光学系の分解能距離よりも小さく、距離212は、発光光学系の分解能距離よりも大きいか、またはほぼ等しい。ここでの距離210は、一方向のナノウェル間の間隔を表す。いくつかの実施形態では、これは、線形導波路を横切る方向であってもよい。例えば、線形導波路は、ここでは一方向(例えば、図示のような垂直方向)にナノウェルの行と整列しているので、距離210はまた、隣接する線形導波路(例えば、線形導波路206A~206B)の間の距離を表すことができる。例えば、ナノウェル204Aと204Cは、距離210で隔てられている。即ち、線形導波路206A~206Bは、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている。
【0043】
ここでの距離212は、距離210とは別の方向のナノウェル間の間隔を表している。例えば、距離210および212は、実質的に、そして少なくとも1つの例では、互いに完全に垂直であってもよい。いくつかの実施形態では、これは、線形導波路の任意の個々の1つに沿った方向であってもよい。例えば、線形導波路は、ここでは、一方向(例えば、図示のように垂直方向)にナノウェルの行と整列しているので、距離212は、線形導波路の任意の1つ(例えば、線形導波路206A~206B)上の隣接するナノウェル間の距離を表すことができる。例えば、ナノウェル204Aおよび204Bは、距離212によって分離されている。即ち、線形導波路206Aに関連付けられたナノウェルは、フローセル200のための発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有する。
【0044】
回折格子202は、フローセル200の線形導波路へのおよび/または線形導波路からの電磁放射線を結合するために機能する。ここでは、線形導波路206Aは回折格子202Aを有し、線形導波路206Bは回折格子202Bを有する。回折格子202A~202Bは、同じ周期構造体を有していてもよいし、異なる周期構造体を有していてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子202A~202Bのいずれかまたは両方は、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子202A~202Bのリッジは、一例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。
【0045】
回折格子202A~202Bは、対応する線形導波路206A~206Bへの電磁放射線の選択的結合を容易にする1つ以上の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子202のうちの1つ以上は、回折格子202のうちの他の1つ以上から空間的にオフセットされている。相殺は、線形導波路206A~206Bに平行な方向であってもよい。例えば、回折格子202Bと線形導波路206Bに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子202Aと線形導波路206Aに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。回折格子202A~202Bが互いに空間的にオフセットされているという特徴は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206A)の一方に結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206B)の他方に結合することを容易にする。
【0046】
フローセル200は、例えば図示されているように、複数の線形導波路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路206Cは、線形導波路206Aとは反対側の線形導波路206Bに隣接して配置される。例えば、線形導波路206Cは、回折格子202Cを有してもよい。いくつかの実施形態では、回折格子202Cは、回折格子202Bから空間的にオフセットされてもよい。例えば、回折格子202Cは、回折格子202Aが線形導波路206Aに平行な方向に有するのと同じ空間的なオフセットを、線形導波路206Cに平行な方向に、回折格子202Bから有してもよい。
【0047】
回折格子202Aおよび202Cが回折格子202Bから空間的にオフセットされているという特性は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206Aまたは206C)のうちの1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206B)のうちの別の1つに結合することを容易にする。別の例として、特性は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206B)のうちの少なくとも1つの他の1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路206Aまたは206C)のうちの1つに結合することを容易にする。
【0048】
光領域214は、ここでは、破線の輪郭を有する矩形として模式的に図示されている。光領域214は、画像化プロセスの一部として光または他の電磁放射線が衝突するように引き起こされる1つ以上の位置を表す。いくつかの実施形態では、レーザーによって発生した照明光は、最終的に線形導波路のいくつかに結合されるために、光領域214に向けられてもよい。例えば、レーザー光は、試料材料中の1つ以上の蛍光色素の蛍光特性に対応するように選択されてもよい。
【0049】
画像取り込み領域216は、ここでは、破線の輪郭を有する矩形として模式的に図示されている。画像取り込み領域216は、発光光学系の視野を表す。例えば、カメラまたは他の画像センサは、画像取り込み領域216から発生される1種類以上の発光(例えば、蛍光灯)を捕捉することができる。
【0050】
上述した実施例は、フローセル200が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路206Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路206Bに関連付けられたナノウェル)組を有するナノウェル層を含むことを例示している。フローセル200は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路206A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路206B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子202A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子202B)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子202Bから空間的にオフセットされている)を有する。
【0051】
画像取り込みプロセスは、1つ以上のスキャン操作を含んでもよい。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域216は、画像取り込み領域216内の1つ以上のナノウェルに関する画像取り込みを容易にするために、フローセル200の1つ以上の領域を重ね合わせるように引き起こされてもよい。位置決めは、画像取り込み領域216の移動、またはフローセル200の移動、またはその両方を含んでもよい。例えば、発光光学系は、様々なスキャン操作の間に画像取り込み領域216が移動しないように、分析装置内で比較的静止していてもよい。例えば、フローセル200は、画像取り込み領域216に対して相対的に(例えば、少なくとも1つの方向への正確な移動を容易にする電動ステージ上に配置されることによって)1つ以上のスキャン位置に移動させることができる。ここで、矢印218は、画像取り込み領域216が線形導波路およびそれに関連するナノウェルの少なくとも一部をオーバーレイするように、フローセル200を移動させることができることを模式的に示している。
【0052】
光領域214は、画像取り込み領域216と共に静止したままであってもよいし、画像取り込み領域216に対応して移動してもよいし、画像取り込み領域216とは独立して移動してもよい。この例では、光領域214は、回折格子202のいくつかのもの(例えば、回折格子202A、202C)と整列しているが、回折格子のいくつかの他のもの(例えば、回折格子202B)とは整列していない。例えば、スキャンが、光領域214の現在の位置で矢印218の方向に行われる場合、回折格子202Aおよび202C(および同様の空間的なオフセットを有する他のもの)は、光領域214に衝突する光によって照明され、一方、回折格子のいくつかの他のもの(例えば、回折格子202B)は、光領域214に衝突する光によって照明されない。従って、照明光は、線形導波路206Aおよび206C(およびその回折格子が類似の空間的なオフセットを有する他のもの)に結合され、一方、照明光は、線形導波路206B(およびその回折格子が類似の空間的なオフセットを有する他のもの)に結合されない。これは、フローセル200のナノウェルの選択的な照明を容易にすることができる。例えば、線形導波路206Aおよび206Cは、それらに結合された光を有するので、励起光は、線形導波路206Aに結合されたナノウェル204Aおよび204C、および線形導波路206Cに結合されたナノウェル204Dに到達することができる。一方、励起光は、現在光が結合されていない線形導波路206Bに関連付けられているため、ナノウェル204Cには到達しないはずである。このように、試料材料の一部(例えば、ナノウェル204Aおよび204C内)は、互いに距離210で配置されているが、画像形成は正常に進行することができる;即ち、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い。矢印218によって表される動きに対応するスキャン(これは、ラインスキャンとして特徴付けられてもよい)の間、線形導波路の特定の部分集合のみが、それらに結合された光を有することができる。いくつかの実施形態では、光は、すべての第2の線形導波路のみに結合される。例えば、光は、第1、第3、第5、第7、およびその上の線形導波路のみに結合されてもよく、一方、光は、第2、第4、第6、第8、およびその上の線形導波路には結合されない。
【0053】
いくつかの実施形態では、距離210は、回折限界(例えば、発光光学系の分解能距離)よりも短い。例えば、0.75の数値開口で波長が約700nmである場合、回折限界は約466nmであり、その後、距離210はこの限界よりも短くすることができる。いくつかの実施形態では、フローセル200は、ナノウェル204A、204Dが回折限界(例えば、約466nm)について互いに離間するように設計することができる。例えば、その後、距離210は、回折限界の約半分(例えば、約233nm)であってもよい。別の例として、波長が0.75の数値開口で約525nmである場合、回折限界は約350nmであり、距離210はその後約175nmであってもよい。上記の例では、他のすべての線形導波路を一度に活性化することを含む。いくつかの実施形態では、他のすべての線形導波路よりも少ない数の他の線形導波路を一度に作動させることができる。例えば、全ての第3の線形導波路が一度に作動される場合、距離210は、回折限界の約1/3であってもよい。別の例として、すべての第4の線形導波路が一度に作動される場合、距離210は、回折限界の約4分の1であってもよい。
【0054】
図2Aに図示されているスキャンは、フローセル200が画像内で左に移動され、画像取り込み領域216が線形導波路をオーバーレイするように線形導波路に対応する1つ以上の選択された位置で停止し、フローセル200が画像取り込み領域216の左に位置するまで停止するように記載することができる。図2Aに図示されたスキャンの間にそれらに結合された光を有さず、その関連するナノウェルがそれに応じて励起光を受けない1つ以上の線形導波路は、別のスキャン操作で画像化されてもよい。
【0055】
そのような他のスキャン操作は、前述したのと同じ方向(例えば、矢印218の方向に沿って)に、または別の方向に実行することができる。図2Bは、スキャンが矢印220に対応する方向に沿って行われる例を示しており、この方向は、実質的に、そして少なくとも1つの例では、矢印218に関連する方向とは完全に反対である。図2Bに図示されているスキャンは、フローセル200が画像内で右に移動され、画像取り込み領域216がそれらをオーバーレイするように線形導波路に対応する1つ以上の選択された位置で停止し、フローセル200が画像取り込み領域216の右に位置するまで行われる例として説明することができる。位置決めは、画像取り込み領域216の移動、またはフローセル200の移動、またはその両方を含んでもよい。
【0056】
この例では、光領域214は、回折格子202のいくつか(例えば、回折格子202B)と整列しているが、回折格子のいくつかの他のもの(例えば、回折格子202A、202C)とは整列していない。例えば、スキャンが、光領域214の現在の位置で矢印220の方向に行われる場合、回折格子202B(および同様の空間的なオフセットを有する他のもの)は、光領域214に入射する光によって照明を当てられ、一方、回折格子のいくつかの他のもの(例えば、回折格子202Aおよび202C)は、光領域214に入射する光によって照明を当てられない。従って、照明光は、線形導波路206B(およびその回折格子が類似の空間的なオフセットを有する他のもの)に結合され、一方、照明光は、線形導波路206Aおよび206C(およびその回折格子が類似の空間的なオフセットを有する他のもの)に結合されない。これは、フローセル200のナノウェルの選択的な照明を容易にすることができる。例えば、線形導波路206Cは、それに結合された光を有するので、励起光は、線形導波路206Bに関連付けられたナノウェル204Cおよび他のものに到達することができる。一方、励起光は、線形導波路206Aに結合されたナノウェル204A~204Bや、線形導波路206Cに結合されたナノウェル204Dには到達しないはずであり、これは、現在、線形導波路が光をそれらに結合していないからである。このように、試料材料の一部(例えば、ナノウェル204Aおよび204C内)は、互いに距離210で配置されているが、画像形成は正常に進行することができる;即ち、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い。矢印220によって表される動きに対応するスキャン(これは、ラインスキャンとして特徴付けられてもよい)の間、線形導波路の特定の部分集合のみが、それらに結合された光を有することができる。いくつかの実施形態では、光は、すべての第2の線形導波路のみに結合される。例えば、光は、第2、第4、第6、第8、およびその上の線形導波路のみに結合されてもよく、一方、光は、第1、第3、第5、第7、およびその上の線形導波路には結合されない。
【0057】
図2A~2Bに関連する例は、回折格子202が互いに空間的にオフセットされている差動結合に関する。いくつかの実施形態では、1つ以上の他のアプローチが、代わりに、または更に、差動結合に使用されてもよい。そのようなアプローチは、これらに限定されないが、差別化されたビーム・パラメータ、差別化されたカプラ・パラメータ、および/または差別化された導波路パラメータを含んでもよい。例は、以下に提供される。
【0058】
図3A~3Bは、回折格子302を有するフローセル300を有する例を示す。いくつかの実施形態では、フローセル300のための差動結合は、回折格子302に適用される光ビームの1つ以上のパラメータを差別化することに基づいて提供される。いくつかの実施形態では、フローセル300のための差動結合は、回折格子302の1つ以上のパラメータを差別化することに基づいて提供される。いくつかの実施形態では、フローセル300のための差動結合は、フローセル300の線形導波路の1つ以上のパラメータを差別化することに基づいて提供される。これらのアプローチのうちの2つ以上の組み合わせを使用することができる。フローセル300は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と組み合わせて使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。説明のために、フローセル300の一部のみが示されている。
【0059】
フローセル300は、ここでは円形の形状を用いて図示されているナノウェル304Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルのいくつかのみが具体的に記載され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法によって)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的に示されていない。ナノウェル304Aは、ここでは線形導波路306Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル300を参照して記載された線形導波路は、本明細書中に記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路306Aは、ナノウェル304Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル304Aと接触して)配置される。いくつかの実施形態では、線形導波路306Aは、線形導波路コア308および1つ以上の回折格子302を含んでもよい。
【0060】
別のナノウェル304Bもまた、線形導波路306Aに関連付けられている。例えば、ナノウェル304Bは、ナノウェル304Aに隣接して配置され、ナノウェル304A~304Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路306Aからの電磁放射線を受ける方法によって)線形導波路306Aと相互作用することができる。別のナノウェル304Cは、対照的に、代わりに線形導波路306Bと関連付けられている。いくつかの実施形態では、線形導波路306Bは、線形導波路306Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路306A~306Bの間に配置することができる。
【0061】
フローセル300は、1つ以上の実施形態の画像形成プロセスで使用することができる。例えば、ナノウェル(ナノウェル304A~304Cを含む)内の試料材料は、それぞれの線形導波路(それぞれの線形導波路306A~306Bを含む)からの電磁放射線を受けることができる。電磁放射線へのそのような曝露から生じる発光(発光の例は、蛍光色素からの蛍光である)は、装置(例えば、1つ以上のカメラおよび/または他の画像形成装置)を使用して捕捉することができる。そのような装置は、放出装置または類似の用語と呼ばれることがある。例えば、発光装置は、1つ以上のカメラまたは他の画像形成装置、および少なくとも1つのレンズまたは他の発光光学系を含んでもよい。いくつかの実施形態では、回折限界は、少なくとも部分的に発光光学系の1つ以上の特性に起因することができる。例えば、使用される発光光学系に基づいて、分解能距離を定義することができ、その分解能距離は、発光光学系を使用して分解可能な最短距離をマークする。即ち、分解能距離によって間隔を置いている特徴を解決するとき、画像化システムは、その解像度の最も高い利用可能なレベルで動作していると言うことができる。
【0062】
ここで、距離310は、発光光学系の分解能距離よりも小さく、距離312は、発光光学系の分解能距離よりも大きいか、またはほぼ等しい。ここでの距離310は、一方向のナノウェル間の間隔を表す。いくつかの実施形態では、これは、線形導波路を横切る方向であってもよい。例えば、線形導波路は、ここでは一方向(例えば、図示のような垂直方向)にナノウェルの行と整列しているので、距離310はまた、隣接する線形導波路(例えば、線形導波路306A~306B)間の距離を表すことができる。例えば、ナノウェル304Aと304Cは、距離310で区切られている。即ち、線形導波路306A~306Bは、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されている。
【0063】
ここでの距離312は、距離310とは別の方向のナノウェル間の間隔を表している。例えば、距離310および312は、実質的に、そして少なくとも1つの例では、互いに完全に垂直であってもよい。いくつかの実施形態では、これは、線形導波路の任意の個々の1つに沿った方向であってもよい。例えば、線形導波路は、ここでは、一方向(例えば、図示のように垂直方向)にナノウェルの行と整列しているので、距離312は、線形導波路の任意の1つ(例えば、線形導波路306A~306B)上の隣接するナノウェル間の距離を表すことができる。例えば、ナノウェル304Aおよび304Bは、距離312によって分離されている。即ち、線形導波路306Aに関連付けられたナノウェルは、フローセル300のための発光光学系の分解能距離に応じて分解可能な互いからの間隔を有する。
【0064】
回折格子302は、フローセル300の線形導波路へのおよび/または線形導波路からの電磁放射線を結合するために機能する。ここでは、線形導波路306Aは回折格子302Aを有し、線形導波路306Bは回折格子302Bを有する。ここでの回折格子302A~302Bは、異なる周期構造体を有する。いくつかの実施形態では、回折格子302A~302Bのいずれかまたは両方は、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子302A~302Bのリッジは、一例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。
【0065】
回折格子302A~302Bは、対応する線形導波路306A~306Bへの電磁放射線の選択的結合を容易にする1つ以上の特性を有していてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子302のうちの1つ以上は、回折格子302のうちの1つ以上の他の回折格子とは異なる格子周期を有する。例えば、回折格子302Aは、回折格子302Bよりも高い格子周期を有してもよい。別の例として、回折格子302Bは、回折格子302Aよりも高い格子周期を有してもよい。回折格子302A~302Bが互いに異なる格子周期を有するという特性は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306A)の1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306B)の別の1つに結合することを容易にする。
【0066】
いくつかの実施形態では、回折格子302A~302Cへの結合は、格子周期以外のカプラ・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子の不均一性、溝の配向、溝の曲率、カプラの全体形状、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によっても、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子302A~302Cへの結合はまた、フローセル300の1つ以上の線形導波路に関する導波路パラメータ(例えば、これらに限定されないが、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせ)によって、またはその代わりに差別化されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子302A~302Cへの結合はまた、フローセル300に適用される光ビームのビーム・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、光ビームの位置、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によって差別化されてもよい。
【0067】
フローセル300は、例えば図示されているように、複数の線形導波路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路306Cは、線形導波路306Aとは反対側の線形導波路306Bに隣接して配置される。換言すれば、この実施形態では、線形導波路306Bは、線形導波路306Aと線形導波路306Cとの間にある。例えば、線形導波路306Cは、回折格子302Cを有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子302Cは、回折格子302Bとは異なる格子周期を有することができる。例えば、回折格子302Cは、回折格子302Aと同じ格子周期を有することができる。別の例として、回折格子302Cは、回折格子302Aとは異なる格子周期を有し、回折格子302Bとは異なる格子周期を有することができる。異なる格子周期を有する回折格子302A~302Cの少なくとも一部の特性は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306Aまたは306C)のうちの1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306B)のうちの別の1つに結合することを容易にする。別の例として、特性は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306Aまたは306C)の少なくとも1つの他の部分に結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路306B)の1つに結合することを容易にする。
【0068】
光領域314は、ここでは、破線の輪郭を有する矩形として模式的に図示されている。光領域314は、画像化プロセスの一部として光または他の電磁放射線が衝突するように引き起こされる1つ以上の位置を表す。いくつかの実施形態では、レーザーによって生成された照明光は、最終的に線形導波路のいくつかに結合されるために、光領域314に向けられることができる。例えば、レーザー光は、試料材料中の1つ以上の蛍光色素の蛍光特性に対応するように選択することができる。
【0069】
画像取り込み領域216は、ここでは、破線の輪郭を有する矩形として模式的に図示されている。画像取り込み領域216は、発光光学系の視野を表す。例えば、カメラまたは他の画像センサは、画像取り込み領域316から発せられる1種類以上の発光(例えば、蛍光灯)を捕捉することができる。
【0070】
上述の実施例は、フローセル300が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路306Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路306Bに関連付けられたナノウェル)組を有するナノウェル層を含むことを例示している。フローセル300は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路306A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路306B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子302A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子302B)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子302Bとは異なる格子周期を有する)を有する。
【0071】
画像取り込みプロセスは、1つ以上のスキャン操作を含んでもよい。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域316は、画像取り込み領域316内の1つ以上のナノウェルに関する画像取り込みを容易にするために、フローセル300の1つ以上の領域をオーバーレイさせるように引き起こすことができる。位置決めは、画像取り込み領域316の移動、またはフローセル300の移動、またはその両方を含んでもよい。例えば、発光光学系は、様々なスキャン操作の間に画像取り込み領域316が移動しないように、分析装置内で比較的静止していてもよい。例えば、フローセル300は、画像取り込み領域316に対して相対的に(例えば、少なくとも1つの方向への正確な移動を容易にする電動ステージ上に配置されることによって)1つ以上のスキャン位置に移動させることができる。ここで、矢印318は、画像取り込み領域316が線形導波路およびそれに関連するナノウェルの少なくとも一部をオーバーレイするように、フローセル300を移動させることができることを模式的に示している。
【0072】
光領域314は、画像取り込み領域316と共に静止したままであってもよいし、画像取り込み領域316に対応して移動させてもよいし、画像取り込み領域316とは独立して移動させてもよい。この例では、光領域314は、フローセル300の回折格子302のすべてと整列している。フローセル300の線形導波路のうちの少なくとも1つの、しかし他の少なくとも1つの線形導波路に光を選択的に結合させるために、光領域314に衝突する照明光に異なる入射角を与えることができる。例えば、スキャンが矢印318の方向に行われる場合、入射角は、回折格子302Aおよび302C(および同様の格子周期を有する他のもの)が光領域314に衝突する光を結合するのに対し、回折格子の他のいくつかのもの(例えば、回折格子302B)が光領域314に衝突する光を結合しないように選択することができる。従って、照明光は、線形導波路306Aおよび306C(およびその回折格子が類似の格子周期を有する他のもの)に結合され、一方、照明光は、線形導波路306B(およびその回折格子が類似の格子周期を有する他のもの)に結合されない。これにより、フローセル300のナノウェルの選択的な照明を容易にすることができる。例えば、線形導波路306Aおよび306Cは、それらに結合された光を有するので、励起光は、線形導波路306Aに関連付けられたナノウェル304Aおよび304C、および線形導波路306Cに関連付けられたナノウェル304Dに到達することができる。一方、励起光は、現在光がそれに結合されていない線形導波路306Bに関連付けられているので、ナノウェル304Cには到達しないはずである。このように、試料材料の一部(例えば、ナノウェル304Aおよび304C内)は、互いに距離310に配置されているが、画像形成は、正常に進行することができる;即ち、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い。矢印318によって表される動きに対応するスキャン(これは、ラインスキャンとして特徴付けられてもよい)の間、線形導波路の特定の部分集合のみが、それらに結合された光を有することができる。いくつかの実施形態では、光は、すべての第2の線形導波路のみに結合される。例えば、光は、第1、第3、第5、第7などの線形導波路のみに結合されてもよく、一方、光は、第2、第4、第6、第8などの線形導波路には結合されない。
【0073】
図3Aで例示されるスキャンは、フローセル300が画像中で左に移動され、画像取り込み領域316がそれらをオーバーレイするように線形導波路に対応する1つ以上の選択された位置で停止し、フローセル300が画像取り込み領域316の左に位置するまでであると記述することができる。図3Aに図示されたスキャンの間にそれらに結合された光を有さず、その関連するナノウェルがそれに応じて励起光を受けない1つ以上の線形導波路は、別のスキャン操作で画像化されてもよい。
【0074】
そのような他のスキャン操作は、上述したのと同じ方向(例えば、矢印318の方向に沿って)に、または別の方向に実行することができる。図3Bは、スキャンが矢印320に対応する方向に沿って行われる例を示しており、この方向は、実質的に、そして少なくとも1つの例では、矢印318に関連付けられた方向とは完全に反対である。図3Bに図示されているスキャンは、フローセル300が画像内で右に移動され、画像取り込み領域316が線形導波路をオーバーレイする際に線形導波路に対応する1つ以上の選択された位置で停止し、フローセル300が画像取り込み領域316の右に位置するまで行われる例として説明することができる。位置決めは、画像取り込み領域316、またはフローセル300、またはその両方の移動を含んでもよい。
【0075】
この例では、光領域314は、フローセル300の回折格子302のすべてと整列している。フローセル300の線形導波路のうちの少なくとも1つに光を選択的に結合させるために、光領域314に衝突する照明光に異なる入射角を与えることができる。例えば、スキャンが矢印320の方向に行われる場合、入射角は、回折格子302B(および同様の格子周期を有する他のもの)が光領域314に衝突する光を結合するのに対し、回折格子の他のいくつかのもの(例えば、回折格子302Aおよび302C)が光領域314に衝突する光を結合しないように選択することができる。従って、照明光は、線形導波路306B(およびその回折格子が類似の格子周期を有する他のもの)に結合され、一方、照明光は、線形導波路306Aおよび306C(およびその回折格子が類似の格子周期を有する他のもの)に結合されない。これにより、フローセル300のナノウェルの選択的な照明を容易にすることができる。例えば、線形導波路306Bには光が結合されているので、励起光は、線形導波路306Bに関連付けられたナノウェル304Cおよび他のものに到達することができる。一方、励起光は、線形導波路306Aに結合されたナノウェル304A~304B、または線形導波路306Cに結合されたナノウェル304Dには到達しないはずであり、これは、現在、線形導波路が光をそれらに結合させていないため、線形導波路306Bに結合されたナノウェル304A~304Bには到達しない。このように、試料材料の一部(例えば、ナノウェル304Aおよび304C内)は、互いに距離310に配置されているが、画像形成は、正常に進行することができる;即ち、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い。矢印320によって表される動きに対応するスキャン(これは、ラインスキャンとして特徴付けられてもよい)の間、線形導波路の特定の部分集合のみが、それらに結合された光を有することができる。いくつかの実施形態では、光は、すべての第2の線形導波路のみに結合される。例えば、光は、第2、第4、第6、第8、およびその上の線形導波路のみに結合されてもよく、一方、光は、第1、第3、第5、第7、およびその上の線形導波路に結合されていない。
【0076】
いくつかの実施形態では、回折格子302の2つ以上は、代わりに、またはまた、異なる屈折率を有することができる。例えば、これは、線形導波路306A~306Cの少なくとも一部に関する差動結合を可能にすることができる。
【0077】
図4は、千鳥状回折格子402を有するフローセル400の別の例を示す。フローセル400は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と共に使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。説明のために、フローセル400の一部のみが示されている。
【0078】
フローセル400は、ここでは円形の形状を用いて図示されているナノウェル404Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルの一部のみが具体的に言及され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法の方法で)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的に示されていない。ナノウェル404Aは、ここでは線形導波路406Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル4200を参照して記載された線形導波路は、本明細書中に記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路406Aは、ナノウェル404Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル404Aと接触して)配置される。
【0079】
別のナノウェル404Bもまた、線形導波路406Aに関連している。例えば、ナノウェル404Bは、ナノウェル404Aに隣接して配置され、ナノウェル404A~404Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路406Aからの電磁放射線を受ける方法によって)線形導波路406Aと相互作用することができる。別のナノウェル404Cは、対照的に、代わりに線形導波路406Bと関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路406Bは、線形導波路406Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路406A~406Bの間に配置することができる。
【0080】
フローセル400は、1つ以上の実施形態の画像形成プロセスで使用することができる。例えば、ナノウェル(ナノウェル404A~404Cを含む)内の試料材料は、それぞれの線形導波路(それぞれの線形導波路406A~406Bを含む)からの電磁放射線にさらされてもよい。電磁放射線へのそのような曝露から生じる発光(発光の例は、蛍光色素からの蛍光である)は、装置(例えば、1つ以上のカメラおよび/または他の画像形成装置)を使用して捕捉することができる。そのような装置は、発光装置または類似の用語という表現を用いて言及されることがある。例えば、発光装置は、1つ以上のカメラまたは他の画像形成装置、および少なくとも1つのレンズまたは他の発光光学系を含んでもよい。いくつかの実施形態では、回折限界は、少なくとも部分的に発光光学系の1つ以上の特性に起因することができる。例えば、使用される発光光学系に基づいて、分解能距離を定義することができ、その分解能距離は、発光光学系を使用して分解可能な最短距離をマークする。即ち、分解能距離によって間隔を置いている特徴を解決する場合、画像化システムは、利用可能な最高レベルの解像度で動作していると言うことができる。
【0081】
回折格子402は、電磁放射線をフローセル400の線形導波路へおよび/または線形導波路の外へ結合するために機能する。ここでは、線形導波路406Aは回折格子402Aを有し、線形導波路406Bは回折格子402Bを有し、線形導波路406Cは回折格子402Cを有する。回折格子402A~402Cは、同じまたは異なる周期構造体を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子402A~402Cのいずれかまたはすべては、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子402A~402Cのリッジは、一例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。
【0082】
回折格子402A~402Cは、対応する線形導波路406A~406Cへの電磁放射線の選択的結合を容易にする1つ以上の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子402のうちの1つ以上は、回折格子402のうちの1つ以上の他の1つ以上の回折格子から空間的にオフセットされている。相殺は、線形導波路406A~406Cに平行な方向であってもよい。例えば、回折格子402Bと線形導波路406Bに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子402Aと線形導波路406Aに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。別の例として、回折格子402Cと線形導波路406Cに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子402Aと線形導波路406Aに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きく、また、回折格子402Bと線形導波路406Bに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きくなっている。回折格子402A~402Cが互いに空間的にオフセットされているという特徴は、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路406A)の一方に結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路406Bまたは406C)の他方に結合することを容易にする。即ち、回折格子402Cは、各回折格子402A~402Bから線形導波路406A~406Cに平行な方向に空間的にオフセットされている。
【0083】
いくつかの実施形態では、回折格子402A~402Cへの結合はまた、光ビームの位置以外のビーム・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によって差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子402A~402Cへの結合はまた、カプラ・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、格子周期、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子不均一性、溝配向、溝曲率、カプラの全体形状、およびそれらの組み合わせ)によって差別化することができるか、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子402A~402Cへの結合は、フローセル400の1つ以上の線形導波路に関する導波路パラメータ(例えば、これらに限定されないが、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によっても、またはその代わりに差別化することができる。
【0084】
光領域408A~408Cは、ここでは、破線の輪郭を有する矩形として模式的に図示されている。光領域408A~408Cは、画像化プロセスの一部として光または他の電磁放射線が衝突するように引き起こされる位置を表している。いくつかの実施形態では、レーザーによって生成された照明光は、最終的に対応する線形導波路に結合されるために、光領域408A~408Cのうちの1つ以上に向けられることができる。例えば、レーザー光は、試料材料中の1つ以上の蛍光色素の蛍光特性に対応するように選択することができる。光は、光を線形導波路406B~406Cに結合することなく、光を線形導波路406Aに結合するために、光領域408Aに向けられてもよい。光は、光を線形導波路406Aまたは408~408Cに結合することなく、光を線形導波路406Bに結合するために、光領域408Bに向けられることができる。光は、光を線形導波路406A~406Bに結合することなく線形導波路406Cに結合するために光領域408Cに向けられてもよい。
【0085】
フローセル400は、線形導波路406A~406Cに加えて、対応する回折格子を有する他の線形導波路を有することができる。そのような他の線形導波路の個々の回折格子は、回折格子402A~402Cのうちの1つの回折格子の空間的相殺と同様の空間的なオフセットを有することができ、または異なる空間オフセットを有することができる。例えば、光は、第1、第4、第7、第10、およびその上の線形導波路のみに結合されてもよく、一方、光は、第2、第3、第5、第6、第8、第9、第11、第12、およびその上の線形導波路に結合されていない。より一般的には、任意の個々のスキャン操作(特定の光領域の使用に対応し、例えば、光領域408A~408Cのうちの1つの光領域など)において、光が結合される線形導波路の序数は、n番目の序数a(n=1,2,3,...)が式:
=a+d(n‐1)
として表される等差級数を形成することができ、ここで、aは第1の序数であり、dは正の整数である。例えば、a=1、d=3の場合、光が結合されている線形導波路は、上述の例に対応して、1、4、7、10などの序数を有することがわかる。別の例として、a=1、d=4の場合、光が結合されている線形導波路は、1、5、9、13などの序数を有することがわかる。
【0086】
上述の実施例は、フローセル400が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路406Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路406Bに関連付けられたナノウェル)組のナノウェルを有するナノウェル層を含むことを例示している。フローセル400は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路406A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路406B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子402A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子402B~402C)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子402B~402Cから空間的にオフセットされている)を有する。
【0087】
図5は、例示的なフローセル500の一部の断面図である。フローセル500は、本明細書中に記載された1つ以上の方法とともに使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。フローセル500は、説明のために、フローセル500の一部のみが断面で示されている。
【0088】
フローセル500は、ナノウェル502A~502Bを含むナノウェル層502を含む。ナノウェル層502は、ナノインプリントまたはリフトオフ法によって形成することができる。例えば、ナノウェル502A~502Bは、ナノスケールテンプレートを樹脂に適用することによって形成することができる。
【0089】
フローセル500は、線形導波路504A~504Bを含む。線形導波路504A~504Bのうちの1つ以上は、ナノウェル502A~502Bのうちの1つ以上と整列させることができる。例えば、線形導波路504Aは、ここではナノウェル502Aと整列しており、線形導波路504Bは、ここではナノウェル502Bと整列している。
【0090】
線形導波路504A~504Bの各々は、その線形導波路504A~504Bへの電磁放射線をおよび/またはその線形導波路504A~504Bからの電磁放射線をカップルさせるための1つ以上の回折格子(明確化のためにここでは省略する)を有することができる。線形導波路504A~504B内の電磁放射線のための1つ以上の進行方向を採用することができる。例えば、進行方向は、本図示の平面内および/または平面外であってもよい。
【0091】
線形導波路504A~504Bの各々は、1種類以上のクラッディングに対して位置決めされてもよい。クラッディングは、電磁放射線をそれぞれの線形導波路504A~504Bに拘束し、他の線形導波路504A~504Bまたは他の基板への放射の伝播を防止するか、またはその程度を減少させる(例えば、クロス結合を減少させる)のに役立つことができる。ここでは、クラッディング506が例示されている。いくつかの実施形態では、クラッディング506は、一連のブロックを含む。いくつかの実施形態では、クラッディング506は、クラッディング506の構造体に沿って交互に変化する屈折率を提供する。例えば、クラッディング506のうちの第1のものは第1の屈折率を有することができ、第1のものに隣接するクラッディング506のうちの第2のものは第2の屈折率を有することができ、第2のものに隣接するクラッディング506のうちの第3のものは第1の屈折率を有することができる、などである。クラッディング506は、その異なる(例えば、対向する)側で線形導波路102Aに対してまたはその近傍に配置されてもよい。例えば、クラッディング506Aは、線形導波路504Bに対して、またはその近傍に配置することができる。ここで、クラッディング506は、クラッディング506Aを含む複数の構造体を含む。クラッディング506は、線形導波路504A~504Bを互いに分離するのに役立つ1つ以上の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、クラッディング506は、線形導波路504A~504Bの屈折率/インデックスよりも低い屈折率を有する材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、クラッディング506の1つ以上は、ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、クラッディング506の複数の構造体は、真空または別の材料(例えば、空気または液体)の領域を介在させることができる。
【0092】
図6は、複数の線形導波路が共通の回折格子を共有するフローセル600の例を示す。フローセル600は、本明細書中に記載された1つ以上の方法とともに使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。フローセル500は上面図で示されており、説明のために、フローセル600の一部のみが示されている。
【0093】
フローセル600は、基板602を含む。いくつかの実施形態では、基板602は、フローセル600のためのベース層として機能し、1つ以上の層および/または他の構造体を支持することができる。例えば、基板602は、1つ以上の線形導波路要素604Aおよびナノウェル層(図示せず)を支持することができる。
【0094】
線形導波路要素604Aは、回折格子608Aを有する結合要素606Aを含む。線形導波路コネクタ610は、結合要素606Aと線形導波路配列612Aとを互いに接続する。線形導波路配列612Aは、線形導波路コネクタ610に結合された線形導波路分配器614と、互いに平行に配置され、線形導波路分配器614に結合された複数の線形導波路616Aとを含む。動作において、回折格子608Aに入射した光は、結合要素606Aおよび線形導波路コネクタ610によって線形導波路配列612Aに結合されてもよい。線形導波路配列612Aにおいて、線形導波路分配器614は、光を線形導波路616Aに分配することができる。いくつかの実施形態では、線形導波路616Aは、試料分析の一部として画像形成を容易にするために、隣接するナノウェル(図示せず)に配置される。例えば、ナノウェルの行は、線形導波路616Aの各々に沿って配置されてもよい。線形導波路要素604Aは、電磁放射線の伝播を容易にする1つ以上の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路要素604Aの材料は、ポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路要素604Aの材料は、Taおよび/またはSiNxを含んでもよい。
【0095】
線形導波路配列612Aは、フローセル600の1つ以上の他の構成要素の配置を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、フローセル600は、線形導波路配列612Aから基板602の反対側に配置される線形導波路要素604Bを含む。線形導波路要素604Bは、線形導波路配列612Bに結合された結合要素606Bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路配列612Bの個々の線形導波路616Bは、線形導波路配列612Aの各々の線形導波路616Aの間に分散されてもよい。例えば、2つの線形導波路616Aは、一方の線形導波路616Bの各々の対向する側に配置することができる。そして、2つの線形導波路616Aは、同じ回折格子、この例では線形導波路要素604Aの回折格子608Aを共有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、線形導波路616Aおよび線形導波路616Bは、発光光学系の分解能距離よりも互いに近い位置に配置されてもよい。例えば、第1のスキャンステージの間、光は、線形導波路要素604Aの線形導波路616Aに結合され、線形導波路要素604Bの線形導波路616Bに結合されないことができる。第2のスキャン段階の間、更に、光は、代わりに、線形導波路要素604Bの線形導波路616Bに結合され、線形導波路要素604Aの線形導波路616Aに結合されなくてもよい。
【0097】
結合要素606A~604Bの少なくとも1つは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に三角形の形状を有する基板を含んでもよい。これは、複数記載のフローセルを効率的に配置するという点で利点を提供することができる。線形導波路要素604Cは、フローセル600の一部ではなく、別記載のフローセル(図示せず)の一部であると考えられてもよい。いくつかの実施形態では、結合要素606Aの三角基板、および線形導波路要素604Cの結合要素606Cの対応する三角基板は、互いに隣接して配置されてもよい。例えば、結合要素606Aおよび606Cは、線形導波路要素604Aおよび604Cの効率的なパッキングを互いに隣接して提供するように、対向する方向に配置してもよい。
【0098】
回折格子608Aは、線形導波路要素604Aの第1の端部に向かって(この図示では、例えば、その左端部に向かって)配置することができる。更に、回折格子608Bは、線形導波路要素604Bの第2の端部に向かって(この図示では、例えば、その右端部に向かって)配置されてもよい。第1の端部は、ナノウェルの行に平行な方向(例えば、方向が線形導波路616A~616Bに平行である方向)に、第2の端部とは反対側に配置することができる。
【0099】
図示されているよりも多くまたはより少ない線形導波路要素を使用することができる。いくつかの実施形態では、それぞれの線形導波路要素604D~604Fが実施される。例えば、線形導波路要素604E~604Fは、フローセル600の一部とみなすことができ、一方、線形導波路要素604Dは、線形導波路要素604C記載のフローセルとは別の別記載のフローセル(図示せず)の一部とみなすことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、回折格子608Aおよび/またはその他への結合は、ビーム・パラメータ(例えば、光ビームの位置、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない)によって差別化されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子608Aおよび/または他のものへの結合は、カプラ・パラメータ(例えば、格子周期、屈折率、ピッチ、溝幅、溝の高さ、溝の間隔、回折格子の不均一性、溝の配向性、溝の曲率、カプラの全体的な形状、およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)によっても、またはその代わりに差別化されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子608Aおよび/またはその他への結合は、フローセル600の1つ以上の線形導波路に関する導波路パラメータ(例えば、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)によっても、またはその代わりに差別化されてもよい。
【0101】
図7は、例示的な照明システム700の図である。照明システム700は、本明細書中に記載された1つ以上の方法とともに使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。
【0102】
照明システム700は、光源アセンブリ710、ミラー728、対物レンズ734、フローセル736、発光ダイクロイックフィルタ738、第1の光学検出サブシステム756、および第2の光学検出サブシステム758を含む。照明システム700は、2つのカラーチャネルの同時画像形成を可能にする。いくつかの実施形態では、別の照明システムは、2つ以上の色チャネル、例えば、3つの色チャネル、4つの色チャネル、またはそれ以上の色チャネルの同時画像形成を可能にするように構成されてもよい。複数のカラーチャネルの同様の、同時画像形成を生成することができる他の光学構成が存在してもよいことに留意されたい。
【0103】
光源アセンブリ710は、フローセル736に入射する励起照明を発生する。この励起照明は、順番に、レンズ742および748を使用して収集される1つ以上の蛍光色素からの発光照明、即ち蛍光照明を生成する。光源アセンブリ710は、第1の励起照明光源712および対応する収束レンズ714、第2の励起照明光源716および対応する収束レンズ718、およびダイクロイックフィルタ720を含む。
【0104】
第1の励起照明光源712および第2の励起照明光源716は、試料(例えば、それぞれのカラーチャネルに対応する)にそれぞれの励起照明光を同時に提供することができる照明システムを例示している。いくつかの実施形態では、第1の励起照明光源712および第2の励起照明光源716の各々は、発光ダイオード(LED)を含む。いくつかの実施形態では、第1の励起照明光源712および第2の励起照明光源716の少なくとも1つは、レーザーを含む。収束レンズ714、718は、それぞれ、収束レンズ714/718の各々から出てくる照明光がフィールド開口部722に集光されるように、それぞれの励起照明源712、716から距離を置いて設定されている。ダイクロイックフィルタ720は、第1の励起照明光源712からの照明光を反射し、第2の励起照明光源716からの照明光を透過する。
【0105】
いくつかの実施形態では、ダイクロイックフィルタ720から出力された混合励起照明は、対物レンズ134に向かって直接伝搬することができる。他の実施形態では、混合励起照明は、対物レンズ734からの放出に先立って、追加の介在する光学部品によって更に変更および/または制御されてもよい。混合励起照明は、フィールド開口部722内の焦点を通過してフィルタ724を通過し、次いで、色補正コリメートレンズ726を通過することができる。レンズ726からのコリメートされた励起照明は、ミラー728に入射して反射し、励起/発光ダイクロイックフィルタ730に入射する。励起/発光ダイクロイックフィルタ730は、光源アセンブリ710から発光される励起照明を反射する一方で、後述する放出照明が励起/発光ダイクロイックフィルタ730を通過して1つ以上の光学サブシステム756、758によって受信されることを許容する。光学サブシステム756、758は、多重化された蛍光光を同時に収集することができる光収集システムを例示する。励起/発光ダイクロイックフィルタ730から反射された励起照明は、次にミラー732に入射し、そこからフローセル736に向かって対物レンズ134に入射する。
【0106】
対物レンズ734は、ミラー732からのコリメートされた励起照明をフローセル136に焦点を合わせる。いくつかの実施形態では、対物レンズ734は、例えば1倍、2倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、またはそれ以上の所定の倍率を有する顕微鏡対物である。対物レンズ734は、ミラー732からフローセル736に入射した励起照明を、拡大率によって決定された角度の円錐形、即ち数値絞りで集光する。いくつかの実施形態では、対物レンズ734は、フローセルに対して垂直である軸(「z軸」)上で移動可能である。いくつかの実施形態では、照明システム700は、チューブレンズ748およびチューブレンズ742のz位置を独立して調整する。
【0107】
フローセル736は、分析されるべきヌクレオチド配列または任意の他の材料などの試料を含む。フローセル736は、試料材料を保持するように構成された1つ以上のチャネル760(ここでは、拡大断面図の方法で模式的に図示されている)を含むことができ、これらに限定されないが、化学反応を誘発すること、または材料を追加または除去することを含む、試料材料に関して取られる行為を容易にするように構成されている。対物レンズ734の物体面762は、ここでは破線を用いて模式的に図示されているが、フローセル736を通って延びている。例えば、対物面762は、チャネル760に隣接するように定義することができる。
【0108】
対物レンズ734は、視野を定義することができる。視野は、画像検出器が対物レンズ734を使用して発光光を捕捉するフローセル736上の領域を定義することができる。1つ以上の画像検出器、例えば検出器746および754を使用することができる。照明システム700は、発光光の各々の波長(または波長範囲)のための別個の画像検出器746、754を含んでもよい。画像検出器746、754のうちの少なくとも1つは、時間遅延積分型(time-delay integration)CCDカメラなどの電荷結合素子(CCD)、または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide semiconductor;CMOS)技術に基づいて作製されたセンサ、例えば化学的感応電界効果トランジスタ(chemFET)、イオン感応電界効果トランジスタ(ISFET)、および/または金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、照明システム700は、構造体化照明顕微鏡(SIM)を含んでもよい。SIM画像形成は、空間的に構造体化された照明光および再構成に基づいて、対物レンズ734からの倍率のみを使用して形成された画像よりも高い解像度の画像をもたらす。例えば、構造体は、照明励起光を遮断するパターンまたは回折格子から構成されるか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、構造体は、フリンジのパターンを含んでもよい。光のフリンジは、反射的または透過的な回折が起こるような回折格子に光ビームを衝突させることによって生成することができる。構造体化された光は、いくつかの周期性に従って発生してもよいそれぞれのフリンジに従って試料を照らすように、試料に投影することができる。SIMを用いて画像を再構成するために、励起照明のパターンが互いに異なる位相角である2つ以上のパターン化された画像が使用される。例えば、試料の画像は、構造体化光のフリンジの異なる位相で取得することができ、画像の各々のパターン位相と呼ばれることもある。これにより、試料上の様々な場所を多数の照明強度に曝露することができる。結果として得られる発光光画像の組を組み合わせて、より高解像度の画像を再結果として得られる発光画像の組は、より高い解像度の画像を再構成するために結合されてもよい。
【0110】
フローセル736内の試料材料は、対応するヌクレオチドに結合する蛍光色素と接触する。蛍光色素は、対物レンズ734からフローセル736に入射する対応する励起照明で照射されると、蛍光照明を発する。発光した照明光は波長帯で識別され、それぞれの波長帯はそれぞれの色チャネルに分類される。蛍光色素は、それぞれのヌクレオチド、例えば、それぞれの核酸塩基を含むヌクレオチドと化学的に共役している。このようにして、蛍光色素で標識されたdNTPは、画像検出器746、754によって検出された時に、発光波長が対応する波長帯内にあることに基づいて識別されてもよい。
【0111】
対物レンズ734は、フローセル736内の蛍光色素分子によって発光される蛍光光を捕捉する。この発光光を捕捉すると、対物レンズ734は、コリメートされた光を収集して伝達する。この発光光は、その後、元の励起照明が光源アセンブリ710から到達した経路に沿って伝搬する。発光光と励起照明との間にコヒーレンスがないため、この経路に沿って発光光と励起照明との間にはほとんど干渉がないことに留意されたい。即ち、発光光は、別個の光源、即ちフローセル736内の試料材料と接触している蛍光色素の結果である。
【0112】
発光光は、ミラー732で反射した後、励起/発光ダイクロイックフィルタ730に入射する。フィルタ730は、発光光をダイクロイックフィルタ738に透過させる。
【0113】
いくつかの実施形態では、ダイクロイックフィルタ738は、青色カラーチャネルに関連付けられた照明を透過し、緑色カラーチャネルに関連付けられた照明を反射する。いくつかの実施形態では、ダイクロイックフィルタ738は、上述したように、ダイクロイックフィルタ738が、定義された緑色波長帯域内にある光学サブシステム756に発光照明を反射し、定義された青色波長帯域内にある光学サブシステム758に発光照明を送信するように選択される。光学サブシステム756は、チューブレンズ742、フィルタ744、および画像検出器746を含む。光学サブシステム758は、チューブレンズ748、フィルタ750、および画像検出器754を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、ダイクロイックフィルタ738およびダイクロイックフィルタ7120は、互いに同様に動作する(例えば、両方とも、ある色の光を反射し、別の色の光を透過してもよい)。他の実施形態では、ダイクロイックフィルタ738およびダイクロイックフィルタ720は、互いに異なるように動作する(例えば、ダイクロイックフィルタ738は、ダイクロイックフィルタ720が反射する色の光を透過してもよく、その逆もあってもよい)。
【0115】
いくつかの実施形態では、発光照明は、画像検出器754に先立ってミラー752に直面する。示された例では、光学サブシステム758の光路は、照明システム700が全体として空間または体積の要件を満たすように角度が付けられている。いくつかの実施形態では、そのようなサブシステム756および758の両方は、角度が付けられた光路を有する。いくつかの実施形態では、そのようなサブシステム756、758の光路のいずれも角度が付けられていない。このように、複数の光学サブシステムのうちの1つ以上の光学サブシステムは、少なくとも1つの角度のついた光路を有することができる。
【0116】
各チューブレンズ742、748は、それに入射した発光照明を、それぞれの画像検出器746、754に焦点を合わせる。各画像検出器746、754は、いくつかの実施形態では、CCD配列を含む。いくつかの実施形態では、各画像検出器746、754は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを含む。
【0117】
照明システム700は、図7に示されるようなものである必要はない。例えば、ミラー728、732、740の各々は、プリズムまたは照明の方向を変える他の光学デバイスに置き換えられてもよい。各レンズは、回折格子、回折光学素子、フレネルレンズ、または入射照明からコリメートされた照明または集束された照明を生成する他のいくつかの光学デバイスに置き換えられてもよい。
【0118】
図8図9は、例示的な方法800および900のフローチャートである。方法800または900、またはその両方は、本明細書中に記載された1つ以上の他の例を使用して、および/またはそれらと組み合わせて実行することができる。より多くまたはより少ない操作を実行することができ、および/または2つ以上の操作を、別段の指示がない限り、異なる順序で実行することができる。
【0119】
810において、試料は、フローセルのナノウェルの第1および第2の行に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、試料は、図2Aの線形導波路206A~206Bに関連付けられたナノウェルの行に適用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、図4の線形導波路406A~406Bに関連付けられたナノウェルの行に適用されてもよい。例えば、試料は、遺伝物質を含んでもよい。
【0120】
820において、照明要素の位置は、回折格子の部分集合を対応するように変更されてもよい。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、光領域214が回折格子202Aおよび202Cおよびいくつかの他の部分と整列しているが、回折格子202Bおよびいくつかの他の部分と整列していない時に、照明光が図2Aの光領域214に衝突するように、または衝突しないように変更される。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、照明光が、回折格子402Aと整列しているが、回折格子402B~402Cと整列していない図4の光領域408Aに衝突するように、または衝突しないように変更される。例えば、図7のミラー732は、光が入射する位置を変更するように調整することができる。いくつかの実施形態では、フローセルは、照明装置を移動させることに加えて、またはその代わりに、移動または調整することができる。
【0121】
830において、スキャンは、第1の方向に開始することができる。いくつかの実施形態では、スキャンは、図2Aの矢印218に対応する方向に実行される。位置決めは、画像取り込み領域の移動(例えば、画像取り込み装置の移動)、またはフローセルの移動、またはその両方を含んでもよい。
【0122】
840において、第1の光は、ナノウェルの第1の行に整列した第1の線形導波路の第1の回折格子に向けられ、ナノウェルの第2の行に整列した第2の線形導波路に第1の光を結合することなく、ナノウェルの第1の行に整列した第1の線形導波路の第1の回折格子に向けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光は、光領域214が少なくとも部分的に回折格子202Aおよび202Cに重なっている時に、図2Aの光領域214に向けられる。回折格子202Bは、回折格子202Aおよび202Cから空間的にオフセットされているので、第1の光は、線形導波路206Bに結合されない。いくつかの実施形態では、第1の光は、少なくとも部分的に回折格子402Aに重なる図4の光領域408Aに向けられる。回折格子402B~402Cは、回折格子402Aから空間的にオフセットされているので、第1の光は、線形導波路406B~406Cに結合されない。
【0123】
850では、1つ以上の画像を取り込むことができる。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域216がフローセル200の一部の側面を少なくとも部分的にオーバーレイしている場合、画像は、図2Aの画像取り込み領域216を捕捉することができる。同様の方法で、1つ以上の画像が、図4記載のフローセル400の画像を取り込むことができる。例えば、画像取り込みには、ラインスキャンを含んでもよい。
【0124】
860において、照明要素の位置は、回折格子の別の部分集合を対応するように変更することができる。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、光領域214が回折格子202Bおよび他のいくつかの部分集合と整列しているが、回折格子202Aおよび202Cおよび他のいくつかの部分集合と整列していない時に、照明光が図2Bの光領域214に衝突するように、または衝突しないように変更される。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、照明光が、回折格子402Bと整列しているが、回折格子402Aおよび402Cと整列していない図4の光領域408Bに衝突するように、または衝突しないように変更される。例えば、図7のミラー732は、光が入射する位置を変更するように調整することができる。いくつかの実施形態では、フローセルは、照明装置を移動させることに加えて、またはその代わりに、移動または調整することができる。
【0125】
870において、スキャンは、第2の方向に開始することができる。第2の方向は、第1の方向と同じであってもよいし、異なる方向であってもよい。いくつかの実施形態では、スキャンは、図2Bの矢印220に対応する方向に実行される。位置決めは、画像取り込み領域の移動(例えば、画像取り込み装置の移動)、またはフローセルの移動、またはその両方を含んでもよい。
【0126】
880において、第2の光は、第2の光を第1の線形導波路に結合することなく、ナノウェルの第2の行に整列した第2の線形導波路の第2の回折格子に向けることができる。いくつかの実施形態では、第2の光は、光領域214が少なくとも部分的に回折格子202Bに重なっている場合に、図2Bの光領域214に向けられる。回折格子202Aおよび202Cは、回折格子202Bから空間的にオフセットされているので、第2の光は、線形導波路206Aまたは206Cに結合されていない。いくつかの実施形態では、第2の光は、光領域408Bが少なくとも部分的に回折格子402Bに重なっている時に、図4の光領域408Bに向けられる。回折格子402Aおよび402Cは、回折格子402Bから空間的にオフセットされているので、第2の光は、線形導波路406Aおよび406Cに結合されない。
【0127】
890において、1つ以上の画像を取り込むことができる。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域216がフローセル200の一部の側面を少なくとも部分的にオーバーレイしている場合、画像は、図2Bの画像取り込み領域216から取り込まれてもよい。同様の方法で、1つ以上の画像が、図4のフローセル400から取り込まれてもよい。例えば、画像取り込みには、ラインスキャンを含んでもよい。
【0128】
次に、図9の方法900に目を向けると、910において、試料をフローセルのナノウェルの第1および第2の行に適用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、図3Aの線形導波路306A~306Bに関連付けられたナノウェルの行に適用することができる。例えば、試料は、遺伝物質を含んでもよい。
【0129】
920において、照明要素の位置は、回折格子の部分集合の格子周期に関連付けられた角度に変更することができる。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、照明光が、回折格子302Aおよび302Cおよび他のいくつかの回折格子が光を結合するが、回折格子302Bおよび他のいくつかの回折格子が光を結合しない入射角を有するように、または有するように変更される。例えば、図7のミラー732は、入射角を変更するように調整することができる。いくつかの実施形態では、フローセルは、照明装置を調整することに加えて、またはその代わりに、移動または調整することができる。
【0130】
930で、スキャンは、第1の方向に開始することができる。いくつかの実施形態では、スキャンは、図3Aの矢印318に対応する方向に実行される。位置決めは、画像取り込み領域の移動(例えば、画像取り込み装置の移動)、またはフローセルの移動、またはその両方を含んでもよい。
【0131】
940において、第1の光は、ナノウェルの第1の行に整列した第1の線形導波路の第1の回折格子に向けられ、ナノウェルの第2の行に整列した第2の線形導波路に第1の光を結合することなく、ナノウェルの第1の行に整列した第1の線形導波路の第1の回折格子に向けられることができる。いくつかの実施形態では、第1の光は、光領域314が回折格子302に少なくとも部分的に重なっている時に、図3Aの光領域314に向けられる。回折格子302Bは、回折格子302Aおよび302Cとは異なる格子周期を有するので、第1の光は、線形導波路306Bに結合されない。
【0132】
950では、1つ以上の画像が取り込まれてもよい。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域316がフローセル300のいくつかの態様を少なくとも部分的にオーバーレイしている場合、画像は、図3Aの画像取り込み領域316から取り込まれてもよい。
【0133】
960において、照明要素の位置は、回折格子の別の部分集合の格子周期に関連付けられた角度に変更されてもよい。いくつかの実施形態では、照明要素の位置は、回折格子302Bおよび他のいくつかの部分集合が光を結合するが、回折格子302Aおよび302Cおよび他のいくつかの部分集合が光を結合しない入射角を照明光が有するように、または有するように変更される。例えば、図7のミラー732は、光が入射する位置を変更するように調整することができる。いくつかの実施形態では、フローセルは、照明装置を移動させることに加えて、またはその代わりに、移動または調整することができる。
【0134】
970において、スキャンは、第2の方向に開始することができる。第2の方向は、第1の方向と同じであってもよいし、異なる方向であってもよい。いくつかの実施形態では、スキャンは、図3Bの矢印320に対応する方向に実行される。位置決めは、画像取り込み領域の移動(例えば、画像取り込み装置の移動)、またはフローセルの移動、またはその両方を含んでもよい。
【0135】
980において、第2の光は、第2の光を第1の線形導波路に結合することなく、ナノウェルの第2の行に整列した第2の線形導波路の第2の回折格子に向けることができる。いくつかの実施形態では、第2の光は、光領域314が回折格子302に少なくとも部分的に重なっている場合に、図3Bの光領域314に向けられる。回折格子302Aおよび302Cは、回折格子302Bとは異なる格子周期を有するので、第2の光は、線形導波路306Aまたは306Cに結合されない。
【0136】
990において、1つ以上の画像を取り込むことができる。いくつかの実施形態では、画像取り込み領域316がフローセル300のいくつかの態様を少なくとも部分的にオーバーレイしている場合、画像は、図3Bの画像取り込み領域316から取り込んでもよい。例えば、画像取り込みには、ラインスキャンを含んでもよい。
【0137】
本明細書中のいくつかの例では、図示の目的のために、円形の開口部を有するナノウェルが示されている。いくつかの実施形態では、非円形のナノウェルを使用することができる。図10Aは、非円形ナノウェル1002の六角形アレイ1000の例を示す。六角形アレイ1000は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と組み合わせて使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、六角形アレイ1000は、円形ナノウェルまたは非円形ナノウェル、またはその両方と共に使用することができる。非円形ナノウェル1002の1つ以上は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用してもよい。例えば、ナノウェル1002は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列、またはその両方に配置することができる。
【0138】
非円形ナノウェル1002のサイズおよび/または形状は、分析プロセスの一部である画像形成に影響を与える。いくつかの実施形態では、蛍光信号は、非円形ナノウェル1002の一部または全部から収集される。蛍光信号は、非円形ナノウェル1002のサイズおよび/または形状によって影響を受ける。例えば、発生した蛍光信号の変化は、分析システム(例えば、シーケンシングシステム)のスループットに影響を与える。
【0139】
いくつかの実施形態では、非円形ナノウェル1002のうちの1つ以上は、楕円形の開口部を有する。楕円は、長軸および短軸の各々の長さによって特徴付けることができる。小軸の長さは、いくつかの例を挙げると、これらに限定されないが、長軸の長さの5%、15%、35%、65%、または95%を有することを含む、長軸の長さのパーセンテージとして表すことができる。非円形ナノウェルの楕円形以外の他の形状も可能である。
【0140】
図10Bは、円形ナノウェル1006の三角形配列1004の例を示す。三角配列1004は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、三角配列1004は、円形ナノウェルまたは非円形ナノウェル、またはその両方と共に使用することができる。円形ナノウェル1006の1つ以上は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、円形ナノウェル1006は、六角形の配列、または非六角形(例えば、そうでなければ、例えば、円形ナノウェル1006は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列、またはその両方に配置することができる。
【0141】
図11は、千鳥状回折格子1102を有するフローセル1100の別の例を示す。フローセル1100は、本明細書中に記載された1つ以上の方法とともに使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、フローセル1100は、千鳥状回折格子または非千鳥状回折格子、またはその両方と共に使用することができる。千鳥状回折格子1102の1つ以上は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、千鳥状回折格子1102は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列に配置されたナノウェルと一緒に、またはその両方と一緒に使用することができる。
【0142】
フローセル1100は、ここでは円形の形状を用いて図示されているナノウェル1104Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルの一部のみが具体的に言及され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法の方法で)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的に示されていない。ナノウェル1104Aは、ここでは線形導波路1106Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル11000を参照して記載された線形導波路は、本明細書で記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路1106Aは、ナノウェル1104Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル1104Aと接触して)配置される。
【0143】
別のナノウェル1104Bもまた、線形導波路1106Aに関連している。例えば、ナノウェル1104Bは、ナノウェル1104Aに隣接して配置され、ナノウェル1104A~1104Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路1106Aからの電磁放射線を受ける方法によって)線形導波路1106Aと相互作用することができる。別のナノウェル1104Cは、対照的に、代わりに線形導波路1106Bと関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1106Bは、線形導波路1106Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1106A~1106Bの間に配置することができる。
【0144】
ナノウェル1104Dは、ここでは線形導波路1106Cに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1106Cは、線形導波路1106Bに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1106B~1106Cの間に配置することができる。
【0145】
ナノウェル1104Eは、ここでは線形導波路1106Dに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1106Dは、線形導波路1106Cに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1106C~1106Dの間に配置することができる。
【0146】
ここでのナノウェル1104A~1104Bおよび他の材料は、線形導波路1106Aに沿って延びる第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1104Cおよび他のものは、線形導波路1106Bに沿って延びる第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1104Dおよび他のものは、線形導波路1106Cに沿って延びるナノウェルの第3の組(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1104Eおよび他のものは、線形導波路1106Dに沿って延びる第4の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。いくつかの実施形態では、第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1104A~1104Bおよびその他)は、第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1104Cおよびその他)と位相が合うように配置される。第1の組のナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に、線形導波路1106Aに沿って規則的な間隔で配置されてもよい。例えば、線形導波路1106Aにおける第1の組のナノウェルの各々は、線形導波路1106Bにおける第2の組のナノウェルの対応するナノウェルを有する。対応するナノウェルは、ナノウェルから線形導波路1106A~1106Bの間のクラッディングまたは別の材料を直接横切って配置されてもよい。
【0147】
ここで、第3の組のナノウェル1104Dおよび他のナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に、線形導波路1106Cに沿って一定の間隔で配置される。第3の組のナノウェルは、少なくとも第2の組のナノウェルと位相がずれているように配置される。いくつかの実施形態では、第2の組のナノウェルのいずれも、クラッディングまたは他の材料を直接横切って、第3の組のナノウェルの対応するナノウェルを有していない。例えば、第2の組のナノウェルの各ナノウェルは、第3の組のナノウェルの2つの隣接するナノウェルの間に等距離に配置されてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、第4の組のナノウェル(例えば、線形導波路1106Dに沿ったナノウェル1104Eおよびその他)は、第3の組のナノウェル(例えば、線形導波路1106Cに沿ったナノウェル1104Dおよびその他)と位相が合うように配置される。第4の組のナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に、線形導波路1106Dに沿って規則的な間隔で配置されてもよい。例えば、線形導波路1106Dにおける第4の組のナノウェルの各々は、線形導波路1106Cにおける第3の組のナノウェルの対応するナノウェルを有する。対応するナノウェルは、ナノウェルから線形導波路1106C~1106Dの間のクラッディングまたは別の材料を横切って直接配置されてもよい。
【0149】
回折格子1102は、フローセル1100の線形導波路へのおよび/または線形導波路からの電磁放射線を結合するために機能する。ここでは、線形導波路1106Aは回折格子1102Aを有し、線形導波路1106Bは回折格子1102Bを有し、線形導波路1106Cは回折格子1102Cを有し、線形導波路1106Dは回折格子1102Dを有する。回折格子1102A~1102Dの各々は、同じまたは異なる周期構造体を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1102A~1102Dの一部または全部は、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子1102A~1102Dのリッジは、1つの例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。
【0150】
回折格子1102A~1102Dは、対応する線形導波路1106A~1106Dへの電磁放射線の選択的結合を少なくとも部分的に容易にする1つ以上の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1102のうちの1つ以上は、回折格子1102のうちの1つ以上の他の回折格子1102から空間的にオフセットされている。相殺は、線形導波路1106A~1106Dに平行な方向であってもよい。例えば、回折格子1102Bと線形導波路1106Bに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子1102Aと線形導波路1106Aに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。別の例として、回折格子1102Dと線形導波路1106Dに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子1102Cと線形導波路1106Cに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、回折格子1102Aおよび1102Cは、同じまたは同様の空間オフセットを有する。いくつかの実施形態では、回折格子1102Bおよび1102Dは、同じまたは類似の空間的なオフセットを有する。回折格子1102A~1102Dが互いに空間的にオフセットされているという特徴は、少なくとも部分的に、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1106Aおよび/または1106C)のうちの1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1106Bおよび/または1106D)のうちの別の1つに結合することを容易にし、また、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1106Bおよび/または1106D)のうちの1つに結合することを容易にする。
【0151】
いくつかの実施形態では、回折格子1102A~1102Dへの結合は、光ビームの位置以外のビーム・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によっても、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1102A~1102Dへの結合は、カプラ・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、格子周期、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子の不均一性、溝の配向性、溝の曲率、カプラの全体的な形状、およびそれらの組み合わせ)によっても、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1102A~1102Dへの結合はまた、線形導波路1106A~1106Dの1つまたは複数に関する導波路パラメータ(例えば、これらに限定されないが、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせ)によって差別化されてもよい。
【0152】
上述の実施例は、フローセル1100が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路1106Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路1106Bに関連付けられたナノウェル)組のナノウェルを有するナノウェル層を含むことを例示している。フローセル1100は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路1106A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路1106B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子1102A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子1102B)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子1102Bから空間的にオフセットされている)を有する。
【0153】
図12は、千鳥状回折格子1202を有するフローセル1200の別の例を示す。フローセル1200は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と組み合わせて使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、フローセル1200は、千鳥状回折格子または非千鳥状回折格子、またはその両方と共に使用することができる。千鳥状回折格子1202の1つ以上は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、千鳥状回折格子1202は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列に配置されたナノウェルと一緒に、またはその両方と一緒に使用することができる。
【0154】
フローセル1200は、ここでは円形の形状を用いて図示されているナノウェル1204Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルの一部のみが具体的に言及され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法の方法で)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的に示されていない。ナノウェル1204Aは、ここでは線形導波路1206Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル1200を参照して記載された線形導波路は、本明細書中に記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路1206Aは、ナノウェル1204Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル1204Aと接触して)配置される。
【0155】
別のナノウェル1204Bもまた、線形導波路1206Aに関連している。例えば、ナノウェル1204Bは、ナノウェル1204Aに隣接して配置され、ナノウェル1204A~1204Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路1206Aからの電磁放射線を受ける方法によって)線形導波路1206Aと相互作用することができる。別のナノウェル1204Cは、対照的に、代わりに線形導波路1206Bと関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1206Bは、線形導波路1206Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1206A~1206Bの間に配置することができる。
【0156】
ナノウェル1204Dは、ここでは線形導波路1206Cに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1206Cは、線形導波路1206Bに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1206B~1206Cの間に配置することができる。
【0157】
ナノウェル1204Eは、ここでは線形導波路1206Dに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1206Dは、線形導波路1206Cに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1206C~1206Dの間に配置することができる。
【0158】
ここでは、ナノウェル1204A~1204B等は、線形導波路1206Aに沿って延びる第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1204Cおよび他のものは、線形導波路1206Bに沿って延びる第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1204Dおよび他のものは、線形導波路1206Cに沿って延びる第3の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。ここでのナノウェル1204Eおよび他のものは、線形導波路1206Dに沿って延びる第4の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの行)を形成する。いくつかの実施形態では、第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1204A~1204Bおよびその他)は、第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1204Cおよびその他)と位相がずれているように配置される。いくつかの実施形態では、第1の組のナノウェルのいずれも、クラッディングまたは他の材料を直接横切って、第2の組のナノウェルの対応するナノウェルを有していない。例えば、第1の組のナノウェルの各々は、第2の組のナノウェルの2つの隣接するナノウェルの間に等距離に配置されてもよい。
【0159】
ここで、第3の組のナノウェル1204Dおよび他のナノウェルは、実質的に、少なくとも1つの例において、線形導波路1206Cに沿って一定の間隔で、完全に配置される。第3の組のナノウェルは、少なくとも第2の組のナノウェルと位相がずれているように配置される。いくつかの実施形態では、第3の組のナノウェルのいずれも、クラッディングまたは他の材料を直接横切って、第2の組のナノウェルの対応するナノウェルを有していない。例えば、第3の組のナノウェルの各ナノウェルは、第2の組のナノウェルの2つの隣接するナノウェルの間に等距離に配置されていてもよい。第3の組のナノウェルは、少なくとも第1の組のナノウェルと位相が合うように配置されてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、第4の組のナノウェル(例えば、線形導波路1206Dに沿ったナノウェル1204Eおよびその他)は、第3の組のナノウェル(例えば、線形導波路1206Cに沿ったナノウェル1204Dおよびその他)と位相がずれているように配置される。いくつかの実施形態では、第4の組のナノウェルのいずれも、クラッディングまたは他の材料を直接横切って第3の組のナノウェルに対応するナノウェルを有していない。例えば、第4の組のナノウェルの各ナノウェルは、第3の組のナノウェルの2つの隣接するナノウェルの間に等距離に配置されていてもよい。
【0161】
回折格子1202は、電磁放射線をフローセル1200の線形導波路内および/または導波路外に結合するために機能する。ここでは、線形導波路1206Aは回折格子1202Aを有し、線形導波路1206Bは回折格子1202Bを有し、線形導波路1206Cは回折格子1202Cを有し、線形導波路1206Dは回折格子1202Dを有する。回折格子1202A1202Dの各々は、同じまたは異なる周期構造体を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1202A~1202Dの一部または全部は、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子1202A~1202Dのリッジは、一例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。回折格子1202A~1202Dは、複数の好適な形状のうちの1つ以上を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1202A~1202Dは、切り捨てられた三角形の形状を有する。
【0162】
回折格子1202A~1202Dは、対応する線形導波路1206A~1206Dへの電磁放射線の選択的結合を少なくとも部分的に容易にする1つ以上の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1202のうちの1つ以上の回折格子1202は、回折格子1202のうちの1つ以上の他の回折格子1202から空間的にオフセットされている。相殺は、線形導波路1206A~1206Dに平行な方向であってもよい。例えば、ここでは、回折格子1202Bと線形導波路1206Bの他端との間の距離は、回折格子1202Aと線形導波路1206Aの他端との間の距離よりも短い。別の例として、回折格子1202Dと線形導波路1206Dの他端との間の距離は、ここでは、回折格子1202Cと線形導波路1206Cの他端との間の距離よりも短い。いくつかの実施形態では、回折格子1202Aおよび1202Cは、同じまたは同様の空間的なオフセットを有する。いくつかの実施形態では、回折格子1202Bおよび1202Dは、同じまたは類似の空間的なオフセットを有する。回折格子1202A~1202Dが互いに空間的にオフセットされているという特徴は、少なくとも部分的に、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1206Aおよび/または1206C)のうちの1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1206Bおよび/または1206D)のうちの別の1つに結合することを容易にする。
【0163】
いくつかの実施形態では、回折格子1202A~1202Dへの結合は、光ビームの位置以外のビーム・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によっても、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1202A~1202Dへの結合はまた、カプラ・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、格子周期、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子の不均一性、溝の配向性、溝の曲率、カプラの全体形状、およびそれらの組み合わせ)によって差別化されてもよいか、またはその代わりに差別化されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子1202A~1202Dへの結合はまた、1つ以上の線形導波路1206A~1206Dに関する導波路パラメータ(例えば、これらに限定されないが、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によって差別化されることができる。
【0164】
フローセル1200は、複数のパターンのいずれかに配列されたナノウェルを有することができる。本実施例では、ナノウェルは、六角形アレイに配置されている。六角形アレイは、1つ以上の六角形を形成する。ここで、線形導波路1206Bは、ナノウェル1204F~1204Gを更に含み、線形導波路1206Cは、ナノウェル1204Hを更に含む。ナノウェル1204A~1204Hは、ここでは六角形の形態で配置されている。ナノウェル1204A~1204Bは、ここでは第1の組のナノウェルの一部であり、線形導波路1206Aに関連しており、ナノウェル1204Cおよび1204F~1204Gは、第2の組のナノウェルの一部であり、線形導波路1206Bに関連しており、ナノウェル1204Dおよび1204Hは、第3の組のナノウェルの一部であり、線形導波路1206Cに関連している。
【0165】
上述の実施例は、フローセル1200が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路1206Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路1206Bに関連付けられたナノウェル)組のナノウェル層を含むことを例示している。フローセル1200は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路1206A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路1206B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子1202A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子1202B)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子1202Bから空間的にオフセットされている)を有する。
【0166】
図13は、千鳥状回折格子1302を有するフローセル1300の別の例を示す。フローセル1300は、本明細書中に記載された1つ以上の方法とともに使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、フローセル1300は、千鳥状回折格子または非千鳥状回折格子、またはその両方と共に使用することができる。千鳥状回折格子1302の1つ以上は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、千鳥状回折格子1302は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列に配置されたナノウェルと一緒に、またはその両方と一緒に使用することができる。
【0167】
フローセル1300は、ここでは円形の形状を用いて図示されているナノウェル1304Aを含むナノウェルを含む。ナノウェルの一部のみが具体的に言及され、他のナノウェルは、議論されたものと類似または同一であってもよい。ナノウェルは、ナノウェル層に形成されてもよい(例えば、ナノインプリントまたはリフトオフ法の方法で)。例えば、ナノウェルは、ナノスケールテンプレートを用いて樹脂中に形成することができる。ナノウェル層は、明確にするために、この例では明示的に示されていない。ナノウェル1304Aは、ここでは線形導波路1306Aと関連している。いくつかの実施形態では、フローセル1300を参照して記載された線形導波路は、本明細書中に記載された1つ以上の他の線形導波路と類似または同一であってもよい。例えば、線形導波路1306Aは、ナノウェル1304Aを含むナノウェル層に隣接して(例えば、ナノウェル1304Aと接触して)配置される。ナノウェル1304Aは、線形導波路1306Aのための第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの1つ以上の行)の一部である。ここで、ナノウェル1304Aが一部であるナノウェルの行は、その一方の側で線形導波路1306Aに沿って延びている。例えば、フローセル1300の示された観点では、ナノウェルの行は、線形導波路1306Aに重ならない。
【0168】
別のナノウェル1304Bもまた、線形導波路1306Aに関連している。ナノウェル1304Aと同様に、ナノウェル1304Bもまた、線形導波路1306Aのための第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの1つ以上の行)の一部である。ここで、ナノウェル1304Bが一部であるナノウェルの行は、その別の側で線形導波路1306Aに沿って延びている。例えば、ナノウェルの行は、フローセル1300の図示された観点では線形導波路1306Aに重ならず、ナノウェル1304Aの行とは反対側の線形導波路1306A上に配置される。ナノウェル1304A~1304Bの両方は、画像化プロセスにおいて(例えば、線形導波路1306Aからの電磁放射線を受信する方法によって)線形導波路1306Aと相互作用することができる。
【0169】
別のナノウェル1304Cは、線形導波路1306Bに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1306Bは、線形導波路1306Aに平行であり、線形導波路1306Aに隣接して配置される。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1306A~1306Bの間に配置することができる。ナノウェル1304Cは、線形導波路1306Bのための第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの1つ以上の行)の一部である。ここで、ナノウェル1304Cが一部であるナノウェルの行は、その一方の側で線形導波路1306Bに沿って延びている。例えば、フローセル1300の示された観点では、ナノウェルの行は、線形導波路1306Bに重ならない。第2の組のナノウェルの一部でもある別のナノウェルの行は、ナノウェルの行1304Cから線形導波路1306Bの反対側に配置することができる。
【0170】
別のナノウェル1304Dは、線形導波路1306Cに関連している。いくつかの実施形態では、線形導波路1306Cは、線形導波路1306Bと平行であり、線形導波路1306Bに隣接して配置されている。例えば、クラッディング(図示せず)および/または別の材料を、線形導波路1306B~1306Cの間に配置することができる。ナノウェル1304Dは、線形導波路1306Cのため第3の組のナノウェル(例えば、ナノウェルの1つ以上の行)の一部である。ここで、ナノウェル1304Dが一部であるナノウェルの行は、その一方の側で線形導波路1306Cに沿って延びている。例えば、フローセル1300の示された観点では、ナノウェルの行は、線形導波路1306Cに重ならない。第3の組のナノウェルの一部でもある別のナノウェルの行は、ナノウェルの行1304Dから線形導波路1306Cの反対側に配置することができる。
【0171】
関連する線形導波路から相殺して配置されたナノウェルを有することは、(例えば、フローセル1300のように)1つ以上の利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、導波路間のクロストークを減少させるか、または最小化することができる。例えば、この利点は、ナノウェルのやや低い充填密度を上回ることができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、第1の組のナノウェルの行(例えば、ナノウェル1304A~1304B等)のナノウェルは、互いに位相が合うように配置される。線形導波路1306Aのいずれかの側のナノウェル行のナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に、線形導波路1306Aに沿って一定の間隔で配置されてもよい。例えば、これらの行の一方のナノウェルの各々は、他方の行の対応するナノウェルを有する。第1の組のナノウェルの対応するナノウェルは、第1の組のナノウェルの他のナノウェルから線形導波路1306Aを横切って直接配置されてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、第1の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1304A~1304Bおよび他のナノウェル)は、第2の組のナノウェル(例えば、ナノウェル1304Cおよび他のナノウェル)のナノウェルと位相が合うように配置される。線形導波路1306Bのいずれかの側のナノウェル行のナノウェルは、実質的に、そして少なくとも1つの例では完全に、線形導波路1306Bに沿って一定の間隔で配置されてもよい。例えば、これらの行の少なくとも1つのナノウェルの各々は、第1の組のナノウェルの行の少なくとも1つのナノウェルに対応するナノウェルを有する。第1の組のナノウェルの対応するナノウェルは、第2の組のナノウェルのナノウェルからクラッディングまたは他の材料を直接横切って配置されてもよい。
【0174】
回折格子1302は、電磁放射線をフローセル1300の線形導波路内および/または導波路外に結合するために機能する。ここでは、線形導波路1306Aは回折格子1302Aを有し、線形導波路1306Bは回折格子1302Bを有し、線形導波路1306Cは回折格子1302Cを有し、線形導波路1306Dは回折格子1302Dを有する。回折格子1302A~1302Dの各々は、同じまたは異なる周期構造体を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1302A~1302Dの一部または全部は、別の材料によって分散されたリッジの周期構造体を含んでもよい。例えば、回折格子1302A~1302Dのリッジは、一例を挙げると、約200~300nmのピッチを有することができる。
【0175】
回折格子1302A~1302Dは、対応する線形導波路1306A~1306Dへの電磁放射線の選択的結合を少なくとも部分的に容易にする1つ以上の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1302のうちの1つまたは複数は、回折格子1302のうちの1つ以上の他の回折格子1302から空間的にオフセットされている。相殺は、線形導波路1306A~1306Dに平行な方向であってもよい。例えば、回折格子1302Bと線形導波路1306Bに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子1302Aと線形導波路1306Aに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。別の例として、回折格子1302Dと線形導波路1306Dに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離は、ここでは、回折格子1302Cと線形導波路1306Cに関連付けられたナノウェルのうち最も近いナノウェルとの間の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、回折格子1302Aおよび1302Cは、同様のまたは類似の空間的なオフセットを有する。いくつかの実施形態では、回折格子1302Bおよび1302Dは、同一または類似の空間的なオフセットを有する。回折格子1302A~1302Dが互いに空間的にオフセットされているという特徴は、少なくとも部分的に、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1306Aおよび/または1306C)のうちの1つに結合することなく、電磁放射線(例えば、光)を線形導波路(例えば、線形導波路1306Bおよび/または1306D)のうちの別の1つに結合することを容易にする。
【0176】
ここで、距離1308は、発光光学系の分解能距離よりも小さく、距離1310は、発光光学系の分解能距離よりも大きいか、またはほぼ等しい。ここでの距離1308は、隣接する線形導波路に関連付けられた最も近いナノウェル間の間隔を表す。ここでの距離1310は、同じ線形導波路に関連付けられたナノウェル間の距離を表す。
【0177】
いくつかの実施形態では、回折格子1302A~1302Dへの結合は、光ビームの位置以外のビーム・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、入射角、発散、モード・プロファイル、偏光、アスペクト比、直径、波長、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる)によっても、またはその代わりに差別化することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1302A~1302Dへの結合はまた、カプラ・パラメータ(例えば、これらに限定されないが、格子周期、屈折率、ピッチ、溝幅、溝高さ、溝間隔、回折格子の不均一性、溝の配向性、溝の曲率、カプラの全体形状、およびそれらの組み合わせ)によって差別化されてもよいか、またはその代わりに差別化されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子1302A~1302Dへの結合はまた、線形導波路1306A~1306Dの1つまたは複数に関する導波路パラメータ(例えば、これらに限定されないが、断面プロファイル、屈折率差、カプラおよび/またはビームとのモード・マッチング、およびそれらの組み合わせ)によって差別化されることができる。
【0178】
本明細書中に記載される例は、2つ以上の線形導波路への光の差動結合を例示する。差動結合は、解析システムを特徴付ける1つ以上のパラメータに基づくことができ、パラメータは、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、そのような1つ以上のパラメータは、解析のための照明(例えば、励起照明)の光源である光ビームに関連することができる。例えば、結合器(例えば、回折格子)は、1つ以上のパラメータに対して比較的敏感であってもよいので、パラメータの比較的小さな変化は、差動結合を容易にすることができる。
【0179】
上述の実施例は、フローセル1300が、試料を受け取るための第1の(例えば、線形導波路1306Aに関連付けられたナノウェル)および第2の(例えば、線形導波路1306Bに関連付けられたナノウェル)組を有するナノウェル層を含むことを例示している。フローセル1300は、第1の組のナノウェルに整列した第1の線形導波路(例えば、線形導波路1306A)と、第2の組のナノウェルに整列した第2の線形導波路(例えば、線形導波路1306B)とを含み;第1の線形導波路のための第1の回折格子(例えば、回折格子1302A)と、第2の線形導波路のための第2の回折格子(例えば、回折格子1302B)とを含む。第1の回折格子は、第1の光を第2の線形導波路に結合することなく、第1の線形導波路への第1の光の結合を容易にするために、第1の特性(例えば、回折格子1302Bから空間的にオフセットされている)を有する。
【0180】
図14は、表面1402に衝突する光ビーム1400を模式的に示す。光ビーム1400に関連して記載された例および/または概念は、本明細書中に記載された1つ以上の方法に関連して考慮され、および/または採用され、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用されてもよい。
【0181】
光ビーム1400は、ここでは、表面1402の位置1404に入射する。いくつかの実施形態では、位置1404は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。例えば、光ビーム1400が入射する位置1404は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)範囲に影響を与えることができる。
【0182】
1つ以上の角度は、光ビーム1400の入射を特徴付けることができる。ここでは、光ビーム1400は、表面1402の法線に対する入射角1406を有する。いくつかの実施形態では、入射角1406は、差動結合を容易にするために選択および/または調整することができるビーム・パラメータである。例えば、光ビーム1400の入射角1406は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0183】
光ビーム1400の1つ以上の特性を考慮することができる。ここで、光ビーム1400は、互いに平行ではなく、むしろ非ゼロ角度である角度1408を形成する個々の光線1400A~1400Bを含む。光線1400の発散は、角度1408のような特性に基づいて定義することができる。いくつかの実施形態では、光ビーム1400の発散は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。例えば、発散は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0184】
光ビーム1400は、1つ以上のモードの形態で伝搬するコヒーレント光(例えば、レーザービーム)を含んでもよい。ここで、光ビーム1400は、光ビーム1400の少なくとも1つのモードのプロファイルを模式的に(例えば、強度および/または空間分布の観点から)示すモード・プロファイル1410を有する。いくつかの実施形態では、モード・プロファイル1410は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。例えば、モード・プロファイル1410は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0185】
光ビーム1400は、1つ以上の偏光を有することができる。いくつかの実施形態では、偏光は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。例えば、偏光は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0186】
光ビーム1400は、任意の好適な断面プロファイルを有することができる。いくつかの実施形態では、光ビーム1400は、矩形の断面プロファイル1412Aを有する。例えば、矩形断面プロファイル1412Aの1つ以上の寸法(例えば、そのアスペクト比)は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。いくつかの実施形態では、光ビーム1400は、円形断面プロファイル1412Bを有する。例えば、円形断面プロファイル1412Bの1つ以上の寸法(例えば、その直径)は、差動結合を容易にするように選択および/または調整することができるビーム・パラメータである。矩形断面プロファイル1412Aおよび/または円形断面プロファイル1412Bの寸法は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0187】
光ビーム1400は、1つ以上の波長の電磁放射線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光ビーム1400の波長は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいビーム・パラメータである。波長は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。例えば、異なる波長は、異なる角度で回折格子に結合する。光ビーム1400の波長および角度の変化は、差動結合を可能にすることができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、差動結合に影響を与える1つ以上のパラメータは、解析のために光を線形導波路に結合する回折格子に関連することができる。例えば、カプラ(例えば、回折格子)は、1つ以上のパラメータに対して比較的敏感であってもよいので、パラメータの比較的小さな変更は、差動結合を容易にすることができる。
【0189】
図15A~15Bは、回折格子1500および1502の例を示す。回折格子1500および/または1502は、本明細書中に記載された1つ以上の方法で使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。
【0190】
回折格子1500および1502は、互いに同じまたは異なる屈折率を有することができる。いくつかの実施形態では、屈折率は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。例えば、屈折率は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0191】
ここでの回折格子1500は、溝1504を含み、回折格子1502は、溝1506および1508を含む。少なくとも1つの溝ピッチ1510は、回折格子1500および1502の各々について定義することができる。溝ピッチ1510は、溝1504、1506、または1508のうちの1つの溝1504、1506、または1508のうちの隣接する1つの溝1504、1506、または1508のうちの対応するエッジからの距離を表すことができる。いくつかの実施形態では、溝ピッチ1510は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。例えば、溝ピッチ1510は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0192】
少なくとも1つの溝幅1512は、溝1504、1506または1508の各々について定義することができる。溝幅1512は、溝1504、1506、または1508のうちの1つの溝1504、1506、または1508の端から端までの幅を表すことができる。いくつかの実施形態では、溝幅1512は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。例えば、溝幅1512は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0193】
少なくとも1つの溝の高さ1514は、溝1504、1506または1508の各々について定義することができる。溝の高さ1514は、溝1504、1506、または1508のうちの1つの溝の底部から開口部までの高さを表すことができる。いくつかの実施形態では、溝の高さ1514は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。例えば、溝の高さ1514は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0194】
少なくとも1つの溝間隔1516は、溝1504、1506または1508の各々について定義することができる。溝間隔1516は、溝1504、1506、または1508のうちの1つの溝1504、1506、または1508のうちの隣接する1つの溝1504、1506、または1508のうちの最も近いエッジまでの距離を表すことができる。いくつかの実施形態では、溝間隔1516は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。例えば、溝間隔1516は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、不均一な回折格子を使用することができる。いくつかの実施形態では、回折格子1502の溝1506および1508は、不均一な回折格子を提供する。例えば、溝1506および1508は、異なる溝幅1512を有してもよい。別の例として、溝1506および1508は、代わりに、または追加的に、異なる溝ピッチ1510、異なる溝高さ1514、および/または異なる溝間隔1516を有してもよい。このように、回折格子1502は、回折格子不均一性の一例である。
【0196】
いくつかの実施形態では、溝の配向は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。いくつかの実施形態では、回折格子は、一般に、電界が回折格子溝に平行である横方向の電気分極で結合する。回折格子1500および/または1502は、溝1504、1506および/または1508の特定の配向を得るように配置されてもよい。例えば、溝構造体は、回転した分極に基づく結合を提供するために、別の向きに回転させることができる。即ち、溝の向きは、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、溝の曲率は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。図15Cは、異なる曲率を有する溝1520を有する回折格子1518の上面図を示す。例えば、溝の曲率は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0198】
いくつかの実施形態では、カプラの形状は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよいカプラ・パラメータである。図16は、カプラ1600、1602、1604、および1606の形状の例を示す。これらの例は、カプラの例示的な形状を示しており、それぞれの回折格子の溝を模式的に示している。カプラ1600は、矩形(例えば、正方形)の回折格子を含んでもよい。例えば、回折格子の溝は、矩形の長辺、または短辺に沿って配向することができる。カプラ1602は、楕円形(例えば、円形)の回折格子を含んでもよい。例えば、格子の溝は、格子の長軸に沿って、または格子の小軸に沿って配向することができる。カプラ1604は、切り詰められた三角形の回折格子を含んでもよい。例えば、格子の溝は、三角形の基部に対して垂直に、または高さに対して垂直に配向することができる。別の例として、側縁の異なる角度を使用することができる。カプラ1606は、三角形の格子を含んでもよい。例えば、格子の溝は、三角形の底面に対して垂直な方向、または高さに対して垂直な方向に配向させることができる。別の例として、側縁の異なる角度を使用することができる。いくつかの実施形態では、カプラの形状は、いくつかの例を挙げると、照明ビームの直径、または照明ビームのアスペクト比、またはそれらの組み合わせに基づいて(例えば、最適化された)選択されてもよい。カプラの形状および/または溝の配向は、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0199】
カプラ(これらに限定されないが、カプラ1600、1602、1604、および1606を含む)の形状は、光ビームの直径、アスペクト比、または他の特性を考慮して選択することができる。例えば、これは、結果として得られる構造体を、特定の差動結合のために調整することを可能にすることができる。
【0200】
カプラ・パラメータは、照明ビームのモード・プロファイルに基づいて選択および/または調整することができる。これは、溝構造を選択する(例えば、最適化する)方法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、不均一な回折格子を使用することができる。例えば、チャープ型(chirped)回折格子(例えば、溝のピッチが変化する回折格子)、アポダイズ型(apodised)回折格子(例えば、回折格子の端部に向かって0に近づく屈折率を有する)、湾曲した回折格子、およびそれらの組み合わせを使用することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のカプラ・パラメータ(例えば、回折格子構造)に関するコンピュータベースの最適化を実行することができる。例えば、これは、入射光ビームのモード・プロファイルに基づく差動結合を容易にすることができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、差動結合に影響を与える1つ以上のパラメータは、解析のために光が結合される線形導波路に関連することができる。例えば、結合は、導波路に関連する1つ以上のパラメータに比較的敏感であってもよく、従って、パラメータの比較的小さな変更は、差動結合を容易にすることができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、線形導波路の断面プロファイルは、差動結合を容易にするために選択および/または調整することができる導波路パラメータである。図17は、線形導波路の断面プロファイルの例を示す。導波路1700は、矩形(例えば、正方形)のプロファイルを含んでもよい。例えば、ナノウェル層は、矩形の長辺、または短辺に隣接して配置することができる。導波路1702は、楕円形(例えば、円形)のプロファイルを含んでもよい。例えば、ナノウェル層は、導波路1702の長軸に平行に、または短軸に平行に配置することができる。導波路1704は、切頭三角形断面を含んでもよい。例えば、ナノウェル層は、三角形の基部、側縁、および/または切頭面に隣接して配置することができる。側縁の異なる角度を使用することができる。導波路1706は、三角形のプロファイルを含んでもよい。例えば、ナノウェル層は、三角形の1つ以上の側面に隣接して配置することができる。側縁の異なる角度を使用することができる。断面プロファイルは、光が1つ以上の線形導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、線形導波路の屈折率は、差動結合を容易にするために選択および/または調整されてもよい導波路パラメータである。例えば、2つ以上の線形導波路の間の屈折率差は、光が導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0204】
いくつかの実施形態では、線形導波路とカプラとの間、または線形導波路と光ビームとの間、またはその両方の間の1つ以上のモードのマッチングは、差動結合を容易にするように選択および/または調整することができる導波路パラメータである。例えば、線形導波路の寸法および/または比率は、入射光の特定のモードの伝播を容易にする(または伝播を容易にしない)ように選択することができる。即ち、カプラおよび/または光ビームとのモード・マッチングは、光が導波路に結合される(または結合されない)程度に影響を与えることができる。
【0205】
本明細書中に記載される例は、ビーム・パラメータ、カプラ・パラメータ、および/または導波路パラメータを、差動結合を容易にするために選択および/または調整することができることに言及している。いくつかの実施形態では、2つ以上のそのようなパラメータの組み合わせを選択および/または調整することができる。例えば、選択/調整は、少なくとも2つのビーム・パラメータ;または少なくとも1つのビーム・パラメータと少なくとも1つのカプラ・パラメータ;または少なくとも1つのビーム・パラメータ、少なくとも1つのカプラ・パラメータ、および少なくとも1つの導波路パラメータを考慮に入れることができる。いくつかの実施形態では、導波路の断面プロファイルは、特定の回折格子(例えば、特定の結合または非結合のために最適化された回折格子)とともに使用することができる。例えば、これは、いくつかの例を挙げると、結果として得られる構造体を、異なるモード・プロファイル、ビーム直径、アスペクト比のために調整することを可能にすることができる。
【0206】
図18は、線形導波路1802、1804および1806を有する別の例示的なフローセル1800の一部の断面図である。フローセル1800は、本明細書中に記載された1つ以上の方法と共に使用することができ、および/または本明細書中に記載された1つ以上のシステムまたは装置と組み合わせて使用することができる。例えば、フローセル1800は、千鳥状回折格子または非千鳥状回折格子、またはその両方と共に使用することができる。別の例として、フローセル1800は、六角形アレイまたは非六角形(例えば、そうでなければ多角形)配列に配置されたナノウェル、またはその両方と共に使用することができる。説明のために、フローセル1800の一部のみが示されている。例えば、1つ以上の追加の層および/またはより多くまたはより少ない導波路1802、1804および/または1806を使用することができる。
【0207】
フローセル1800は、基板1808を含む。基板1808は、フローセル1800のためのベースを形成することができる。いくつかの実施形態では、フローセル1800の製造において、1つ以上の他の層が、基板1808に(例えば、基板1808と接触しているか、またはその近くに)形成されてもよい。基板1808は、線形導波路1802、1804および/または1806を形成するための基礎として機能してもよい。線形導波路1802、1804および/または1806は、最初は基板1808とは別個に存在し、その後基板1808上に適用されてもよいか、または線形導波路1802、1804および/または1806は、基板への適用、および/または基板からの1つ以上の材料の除去によって形成されてもよい。線形導波路1802、1804および/または1806は、基板1808上に直接、または基板1808における1つ以上の中間層上に形成することができる。
【0208】
線形導波路1802、1804および/または1806は、電磁放射線(これらに限定されないが、レーザー光などの可視光を含む)を伝導するのに役立つ。いくつかの実施形態では、電磁放射線は、画像化プロセス中に1つ以上の機能を実行する。例えば、電磁放射線は、画像形成のために試料材料中の蛍光色素を励起するのに役立つ。線形導波路1802、1804および/または1806は、1種以上の電磁放射線の伝搬を容易にする任意の好適な材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路1802、1804および/または1806の材料は、ポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形導波路1802、1804および/または1806の材料は、Taおよび/またはSiNxを含んでもよい。例えば、線形導波路1802、1804および/または1806は、スパッタリング、化学蒸着、原子層蒸着、スピンコーティング、および/またはスプレーコーティングによって形成することができる。
【0209】
線形導波路1802、1804および/または1806の各々は、その線形導波路1802、1804および/または1806へのおよび/またはその線形導波路1802、1804および/または1806からの電磁放射線を結合するための1つ以上の回折格子(明確化のためにここでは省略する)を有することができる。回折格子は、対応する線形導波路と同じ層内に配置することができる。線形導波路1802、1804および/または1806内の電磁放射線のための1つ以上の進行方向を採用することができる。例えば、進行方向は、本図示の平面内および/または平面外であってもよい。回折格子の例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0210】
線形導波路1802、1804および/または1806の各々は、1種以上のクラッディングに対して位置決めされてもよい。クラッディングは、電磁放射線をそれぞれの線形導波路1802、1804および/または1806に拘束し、他の線形導波路1802、1804および/または1806または他の基板への放射の伝播を防止するか、またはその程度を減少させるのに役立つことができる。ここでは、クラッディング1810、1812、1814、1816、および1818が例示されている。いくつかの実施形態では、クラッディング1810、1812、1814は、線形導波路1802、1804と共に、フローセル1800内に第1の層を形成することができる。例えば、クラッディング1810、1812は、その異なる(例えば、対向する)側面で線形導波路1802に対して、またはその近くに配置されてもよい。例えば、クラッディング1812および1814は、その異なる(例えば、対向する)側面において線形導波路1804に対してまたはその近傍に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、クラッディング1816および1818は、線形導波路1806とともに、フローセル1800内に第2の層を形成することができる。例えば、クラッディング1816および1818は、その異なる(例えば、対向する)側面で線形導波路1806に対してまたはその近傍に配置されてもよい。複数の層の形成は、差動結合に関する利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる材料をそれぞれの導波路に使用することができる。例えば、これは、それぞれの導波路および/またはカプラに異なる屈折率が与えられることを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、導波路間のクロストークを低減または最小化することができる。
【0211】
クラッディング1810、1812、1814、1816、および/または1818は、線形導波路1802、1804、および/または1806を互いに分離するのに役立つ1つ以上の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、クラッディング1810、1812、1814、1816、および/または1818は、線形導波路1802、1804、および/または1806の屈折率/インデックスよりも低い屈折率を有する材料から作られてもよい。例えば、線形導波路1802、1804および/または1806は、約1.4~1.6の屈折率を有することができ、クラッディング1810、1812、1814、1816、および/または1818は、約1.2~1.4の屈折率を有することができる。いくつかの実施形態では、クラッディング1810、1812、1814、1816、および/または1818のうちの1つ以上は、ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、クラッディング1810、1812、1814、1816、および/または1818の1つ以上は、真空または別の材料(例えば、空気または液体)の領域によって散在する1つの材料(例えば、ポリマー)の構造体を含むが、これらに限定されない、複数の構造体を含む。
【0212】
フローセル1800は、少なくとも1つのナノウェル層1820を含む。いくつかの実施形態では、ナノウェル層1820は、第2の層から第1の層に対向して配置される。例えば、ナノウェル層1820は、線形導波路1802および1804、ならびにクラッディング1810、1812および1814に隣接して(例えば、隣接してまたは近くに)配置されてもよい。ナノウェル層1820は、1つ以上のナノウェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノウェル層1820は、ナノウェル1822、1824、および1826を含む。ナノウェル1822、1824、および/または1826は、分析プロセスの少なくとも一部(例えば、画像形成のため)の間、1つ以上の試料材料を保持するために使用されてもよい。例えば、1つ以上の遺伝物質(例えば、クラスターの形態で)をナノウェル1822、1824、および/または1826内に配置することができる。
【0213】
ナノウェル1822、1824、および/または1826は、ナノウェル層1820において、任意のパターンで、または特定のパターンなしで配置することができる。ナノウェル1822、1824、および/または1826のうちの1つ以上のナノウェルは、線形導波路1802、1804、および/または1806のうちの1つ以上のナノウェルと少なくとも実質的に整列することができる。これは、画像形成目的のために(エバネッセント光の透過を含むが、これに限定されない)、それぞれのナノウェル1822、1824、および/または1826と対応する線形導波路1802、1804、および/または1806との間の相互作用を可能にすることができる。例えば、ナノウェル1822は、線形導波路1802に少なくとも実質的に整列されてもよい;ナノウェル1824は、線形導波路1804に少なくとも実質的に整列されてもよい;および/またはナノウェル1826は、線形導波路1806に少なくとも実質的に整列されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層(例えば、線形導波路1802および1804とともに、クラッディング1810、1812および1814)は、第2の層(例えば、線形導波路1806とともに、クラッディング1816および1818)よりもナノウェル層1820に近い位置に配置されてもよい。別の例として、第2の層は、第1の層よりも第3の層から離れた位置に配置されてもよい。
【0214】
図19は、例示的な方法1900のフローチャートである。方法1900は、本明細書中に記載された1つ以上の他の例を使用して、および/または組み合わせて実行することができる。より多くまたはより少ない操作を実行することができ、および/または、別段の指示がない限り、2つ以上の操作を異なる順序で実行することができる。
【0215】
1910において、試料は、フローセルの少なくとも一部のナノウェルに適用される。いくつかの実施形態では、試料は、第1の組のナノウェルおよび第2の組のナノウェルに適用される。
【0216】
1920において、第1の光は、第1の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第1の線形導波路に差動的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光は、第1の回折格子を用いて差動的に結合されてもよい。
【0217】
1930では、第2の光は、第2の組のナノウェルに関連付けられた少なくとも第2の線形導波路に差動的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の光は、第2の回折格子を用いて差動的に結合されてもよい。
【0218】
本明細書全体で使用される用語「実質的に」および「約」は、処理の変動に起因するような小さな変動を説明し、考慮するために使用される。例えば、±5%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、±0.05%以下、±0.1%以下、±0.05%以下などを指してもよい。また、本明細書で使用される場合、「a(1つの)」または「an(1つの)」のような不定冠詞は、「少なくとも1つ」を意味する。
【0219】
前述の概念および以下でより詳細に論じられる追加の概念のすべての組み合わせが、(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)本明細書中に開示された本発明の主題の一部として企図されることが理解されるべきである。特に、本開示の最後に現れる請求される主題のすべての組み合わせは、本明細書中に開示される本発明の主題の一部として企図される。
【0220】
多数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本明細書の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされてもよいことが理解されるであろう。
【0221】
更に、図に描かれた論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序、または逐次的な順序を必要としない。更に、他のプロセスが、記載されたフローから提供されてもよく、またはプロセスが除去されてもよく、他の構成要素が、記載されたシステムに追加されてもよく、または記載されたシステムから除去されてもよい。従って、他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。
【0222】
記載された実施形態の特定の特徴が、本明細書中に記載されているように例示されているが、多くの修正、置換、変更および等価物が、当技術分野に熟練した当業者には、現在、発生するであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、実施形態の範囲内に収まるようなすべてのそのような修正および変更をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。それらは、限定ではなく例示のためだけに提示されたものであり、形態および詳細についての様々な変更がなされてもよいことを理解すべきである。本明細書中に記載された装置および/または方法の任意の部分は、相互に排他的な組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書中に記載された実施形態は、記載された異なる実施形態の機能、構成要素および/または特徴の様々な組み合わせおよび/または部分的な組み合わせを含んでもよい。
【符号の説明】
【0223】
100、200、300、400、500、600、736、1100、1200、1300、1800 … フローセル
102、206、306、406、504、616、1106、1206、1306、1802、1804、1806 … 線形導波路
104、1808 … 基板
106、506、1810、1812、1814、1816、1818 … クラッディング
108、502、1820 … ナノウェル層
202、302、402、608、1102、1202、1302、1500、1502 … 回折格子
204、304、404、1002、1104、1204、1304、1822、1824、1826 … ナノウェル
214、314、408 … 光領域
216、316 … 画像取り込み領域
700 … 照明システム
710 … 光源アセンブリ
714、718 … 収束レンズ
720、738 … ダイクロイックフィルタ
728、732、740 … ミラー
730、744 … フィルタ
734 … 対物レンズ
742、748 … レンズ
746、754 … 画像検出器
756、758 … サブシステム
760 … チャネル
1400 … 光ビーム
1410 … モード・プロファイル
1600、1602、1604、1606 … カプラ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19