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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】画像形成装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241021BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20241021BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241021BHJP
   G01N 21/47 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/20
G03G21/00 502
G01N21/47 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021001046
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2021117493
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020007835
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正季
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-093896(JP,A)
【文献】特開2013-252708(JP,A)
【文献】特開2016-190707(JP,A)
【文献】特開2005-070877(JP,A)
【文献】特開2012-145858(JP,A)
【文献】特開2008-155482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/20
G03G 21/00
G01N 21/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
給紙部から給紙された記録材の特性を示す特性値を検知する検知手段と、
記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則と、前記検知手段によって検知された特性値と、に基づき前記記録材の種類を判別する判別手段と、
前記判別手段によって判別された前記記録材の種類に応じて、前記記録材への画像形成のための画像形成条件を制御する制御手段と、
前記画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段と、
前記収集手段によって収集された動作履歴に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則を調整する調整手段と、
前記記録材に形成される画像の品質をユーザに確認するための確認画面を前記画像形成装置の表示部に表示し、前記確認画面を介したユーザの入力に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則の信頼性を判定する判定手段と、を備え、
前記調整手段は、前記判別規則の調整後に前記信頼性が低下したと前記判定手段によって判定されると、前記判別規則をリセットし、
前記判別手段は、前記画像形成装置のユーザごとに個別に前記判別規則を有しており、
前記調整手段は、ユーザごとの前記動作履歴の分析結果に基づいて、各ユーザに対応する前記判別規則を調整する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別規則は、記録材の種類として第1の種類と判別すべき特性値の範囲と第2の種類と判別すべき特性値の範囲との間の境界を定めており、
前記調整手段は、前記動作履歴に基づいて前記境界を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記動作履歴の分析結果として得られる、記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて、前記判別規則を調整する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記調整手段は、使用頻度が高い記録材の種類が、使用頻度が低い記録材の種類よりも優先して、記録材の種類の判別結果として特定されるように、前記判別規則を調整する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記動作履歴の分析結果として得られる、記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて、前記第1の種類と前記第2の種類とのうちで使用頻度が高い種類に対応する前記範囲を拡げるように、前記境界を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記調整手段は、前記第1の種類の記録材の特性値が取りうる範囲と、前記第2の種類の記録材の特性値が取りうる範囲とが重複する範囲内で、前記第1の種類と前記第2の種類とのうちで使用頻度が高い記録材の種類が、記録材の種類の判別結果として特定されるように、前記境界を調整する
ことを特徴とする請求項2又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判別手段は、記録材の給紙元となる給紙部ごとに個別に前記判別規則を有しており、
前記調整手段は、給紙部ごとの前記動作履歴の分析結果に基づいて、各給紙部に対応する前記判別規則を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記調整手段は、各給紙部に対応する前記判別規則を、各給紙部における記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて調整する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記調整手段は、各ユーザに対応する前記判別規則を、各ユーザについての記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて調整する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記検知手段は、前記記録材の坪量と前記記録材の表面性を示す値とを前記特性値として検知する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成手段を更に備え、
前記制御手段は、前記記録材の種類に応じて画像形成条件を設定し、設定した前記画像形成条件に従って前記記録材への画像形成が行われるように前記画像形成手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成条件は、前記記録材に画像を定着させるための定着温度、前記記録材に画像を転写する転写手段に供給される転写電圧又は転写電流、及び前記記録材の搬送速度、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能なサーバ装置とを含む通信システムであって、
前記画像形成装置は、
給紙部から給紙された記録材の特性を示す特性値を検知する検知手段と、
記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則と、前記検知手段によって検知された特性値と、に基づき前記記録材の種類を判別する判別手段と、
前記判別手段によって判別された前記記録材の種類に応じて、前記記録材への画像形成のための画像形成条件を制御する制御手段と、
前記画像形成装置の動作履歴を収集し、収集した動作履歴を前記サーバ装置へ送信する収集手段と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記画像形成装置から受信した動作履歴に基づいて、前記サーバ装置において保持している、前記画像形成装置に対応する判別規則を調整する調整手段と、
前記調整手段による前記判別規則の調整結果を示すデータを前記画像形成装置へ送信する送信手段と、を備え、
前記判別手段は、前記サーバ装置から受信した、前記調整結果を示すデータに基づいて、前記判別のために使用している前記判別規則を更新し、
前記サーバ装置は、前記記録材に形成される画像の品質をユーザに確認するための、前記画像形成装置の表示部に表示された確認画面を介したユーザの入力に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則の信頼性を判定する判定手段を更に備え、
前記調整手段は、前記判別規則の調整後に前記信頼性が低下したと前記判定手段によって判定されると、前記判別規則をリセットし、
前記判別手段は、前記画像形成装置のユーザごとに個別に前記判別規則を有しており、
前記調整手段は、ユーザごとの前記動作履歴の分析結果に基づいて、前記画像形成装置に対応し、かつ、各ユーザに対応する前記判別規則を調整する
ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の種類を判別して画像形成を行う画像形成装置、及び通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式又はインクジェット方式等の画像形成装置では、画像形成の対象となる記録材の種類に応じて画像形成条件を制御することがある。その場合、より高い品質の画像を形成するためには、記録材の種類を精度良く判別する必要がある。
【0003】
特許文献1には、記録材の表面を読取センサによって読み取って得られた画像データに基づいて、記録材の表面の状態を検出し、その検出結果に応じて定着処理条件を設定する画像形成装置が記載されている。また、特許文献2には、記録材の特性値を検知し、検知された特性値が、ユーザにより指定された記録材の種類に対応する特性値の範囲内にある場合に、当該範囲に関連付けられている画像形成条件を用いる画像形成装置が記載されている。その場合に、記録材の種類を判別するための特性値の範囲を更新することで、記録材の判別精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-182518号公報
【文献】特開2018-005083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録材の特性値の検知に使用されるセンサの特性、及び記録材の製造時に生じる特性のばらつき等に起因して、異なる種類の記録材であっても同様の検知結果が得られる場合がある。このような場合、検知された特性値に基づいて記録材の種類を精度良く判別することは難しくなりうる。その結果、記録材の種類に適合した画像形成条件(例えば、定着条件及び転写条件)で画像を形成することができなくなり、画像形成品質が低下しうる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、記録材の種類の判別精度を高め、より高品質の画像を形成するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、給紙部から給紙された記録材の特性を示す特性値を検知する検知手段と、記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則と、前記検知手段によって検知された特性値と、に基づき前記記録材の種類を判別する判別手段と、前記判別手段によって判別された前記記録材の種類に応じて、前記記録材への画像形成のための画像形成条件を制御する制御手段と、前記画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段と、前記収集手段によって収集された動作履歴に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則を調整する調整手段と、前記記録材に形成される画像の品質をユーザに確認するための確認画面を前記画像形成装置の表示部に表示し、前記確認画面を介したユーザの入力に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則の信頼性を判定する判定手段と、を備え、前記調整手段は、前記判別規則の調整後に前記信頼性が低下したと前記判定手段によって判定されると、前記判別規則をリセットし、前記判別手段は、前記画像形成装置のユーザごとに個別に前記判別規則を有しており、前記調整手段は、ユーザごとの前記動作履歴の分析結果に基づいて、各ユーザに対応する前記判別規則を調整することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る通信システムは、画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能なサーバ装置とを含む通信システムであって、前記画像形成装置は、給紙部から給紙された記録材の特性を示す特性値を検知する検知手段と、記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則と、前記検知手段によって検知された特性値と、に基づき前記記録材の種類を判別する判別手段と、前記判別手段によって判別された前記記録材の種類に応じて、前記記録材への画像形成のための画像形成条件を制御する制御手段と、前記画像形成装置の動作履歴を収集し、収集した動作履歴を前記サーバ装置へ送信する収集手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記画像形成装置から受信した動作履歴に基づいて、前記サーバ装置において保持している、前記画像形成装置に対応する判別規則を調整する調整手段と、前記調整手段による前記判別規則の調整結果を示すデータを前記画像形成装置へ送信する送信手段と、を備え、前記判別手段は、前記サーバ装置から受信した、前記調整結果を示すデータに基づいて、前記判別のために使用している前記判別規則を更新し、前記サーバ装置は、前記記録材に形成される画像の品質をユーザに確認するための、前記画像形成装置の表示部に表示された確認画面を介したユーザの入力に基づいて、前記判別手段によって使用される前記判別規則の信頼性を判定する判定手段を更に備え、前記調整手段は、前記判別規則の調整後に前記信頼性が低下したと前記判定手段によって判定されると、前記判別規則をリセットし、前記判別手段は、前記画像形成装置のユーザごとに個別に前記判別規則を有しており、前記調整手段は、ユーザごとの前記動作履歴の分析結果に基づいて、前記画像形成装置に対応し、かつ、各ユーザに対応する前記判別規則を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録材の種類の判別精度を高め、より高品質の画像を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置(プリンタ)の概略的な構成例を示す断面図
図2】プリンタの制御に関連するハードウェア構成例を示すブロック図
図3】検知装置の構成例を示すブロック図
図4】制御部の機能構成例を示すブロック図
図5】分析モデル及び判別規則の具体例、及び判別規則の調整例を示す図
図6】制御部によって実行される処理の手順を示すフローチャート
図7】制御部の機能構成例を示すブロック図(実施例2及び3)
図8】判別規則の調整例を示す図(実施例2及び3)
図9】制御部の機能構成例を示すブロック図(実施例4)
図10】制御部によって実行される処理の手順を示すフローチャート(実施例4)
図11】操作表示部に表示される確認画面の例を示す図(実施例4)
図12】プリンタの動作履歴の例、動作履歴の分析結果の例を示す図
図13】通信システムの構成例、及び管理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図(実施例5)
図14】プリンタ100及び管理サーバ300の機能構成例を示すブロック図(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[実施例1]
<画像形成装置>
図1は、実施例1~4に係る画像形成装置の概略的な構成例を示す断面図である。図1に示すプリンタ100は、電子写真方式の画像形成装置であり、中間転写ベルト及び並列に配置された複数の画像形成部を備えるタンデム方式のカラーレーザプリンタとして構成されている。なお、画像形成装置は、例えば、複写機、複合機(MFP)又はファクシミリ装置として構成されてもよい。
【0013】
プリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部を備える。なお、添付の図面及び以下の説明において、参照符号の末尾のY,M,C,Kは、それぞれ、対応する部品が対象とする現像剤(トナー)の色が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックであることを示している。以下の説明では、色を区別する必要がない場合には、末尾のY,M,C,Kを省いた参照符号を使用する。例えば、感光ドラム11と表記した場合、感光ドラム11Y,11M,11C,11Kのそれぞれを示す。
【0014】
感光ドラム11(感光体)は、対応する色の現像剤(トナー)を担持する像担持体である。帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面を一様に所定の電位に帯電させる。光学ユニット13は、対応する色の画像データ(画像信号)に基づくレーザビームを、帯電した感光ドラム11上に照射することで、感光ドラム11上に静電潜像を形成する。プロセスカートリッジ14は、現像ローラ15を含む。現像ローラ15は、プロセスカートリッジ14内に収納されたトナーを感光ドラム11へ送り出し、感光ドラム11上に形成された静電潜像を、当該トナーを用いて可視化することで、感光ドラム11上にトナー像を形成する。
【0015】
一次転写ローラ16は、感光ドラム11上に形成された画像(トナー像)を、中間転写ベルト17に転写(一次転写)する。中間転写ベルト17は、各感光ドラム11から転写された画像を担持する中間転写体である。中間転写ベルト17は、駆動ローラ18によって駆動される。
【0016】
二次転写ローラ19は、中間転写ベルト17上に形成された画像を、給紙カセット2から搬送路を搬送されてきた記録材Pに転写(二次転写)する。定着部20は、搬送路を搬送される記録材P上の画像(トナー像)に熱及び圧力を与えることで、当該画像を記録材Pに定着させる。排紙ローラ対21は、定着部20による定着処理が行われた記録材Pを、排紙トレイに排紙する。
【0017】
プリンタ100は、画像形成に使用される記録材Pを給紙するための給紙部として給紙カセット2(給紙部1)及び給紙トレイ3(給紙部2)を備える。給紙カセット2は、画像形成に使用される記録材Pを収納する。給紙ローラ4aは、モータ(不図示)によって駆動されて回転することで、給紙カセット2から記録材Pを搬送路に給紙する。給紙カセット2から搬送路に給紙された記録材Pは、搬送ローラ対5によって搬送される。また、給紙トレイ3には、画像形成に使用される記録材Pが積載される。給紙ローラ4bは、モータ(不図示)によって駆動されて回転することで、給紙トレイ3から記録材Pを搬送路に給紙する。
【0018】
プリンタ100は、記録材Pの特性(特性値)を検知する検知装置30を備える。検知装置30は、記録材Pの搬送路に配置されている。本実施例では、検知装置30は、搬送路上においてレジストローラ対6と二次転写ローラ19との間の位置に設けられている。検知装置30は、給紙カセット2又は給紙トレイ3から給紙されて搬送路を搬送される記録材の特性(特性値)を検知する。
【0019】
本実施例のプリンタ100は、検知装置30によって検知された記録材Pの特性値に基づいて記録材Pの種類を判別(特性)する判別機能を有する。後述するように、判別機能は制御部110(図2)に搭載されている。記録材Pの種類を特徴付ける特性値として、例えば、坪量と表面性とがある。検知装置30は、記録材Pの坪量を検知する坪量センサ31と、記録材Pの表面性を検知する表面性センサ32とを有している。坪量センサ31は、超音波を発信する発信器31aと超音波を受信する受信器31bとを有している。
【0020】
<画像形成動作>
プリンタ100は、CPU111を含む制御部110(図2)を備える。制御部110は、プリンタ100の画像形成動作を統括的に制御する。印刷命令及び画像情報(画像データ)等を含む印刷データがホストコンピュータ200(図2)等の外部装置から入力されると、制御部110は、画像形成動作(印刷動作)を開始するよう、プリンタ100内の各デバイスを制御する。
【0021】
まず制御部110は、記録材Pの給紙及び搬送機構を制御することで、記録紙Pの給紙を開始する。記録材Pは、給紙ローラ4aによって給紙カセット2から給紙されることで、又は給紙ローラ4bによって給紙トレイ3から給紙されることで、搬送路に送り出される。搬送路に送り出された記録材Pは、レジストローラ対6に狭持された状態で一旦停止する。
【0022】
制御部110は、中間転写ベルト17上に画像を形成する画像形成動作のタイミングに同期して、記録材Pの給紙及び搬送のタイミングを制御する。具体的には、中間転写ベルト17上に形成された画像が(中間転写ベルト17と二次転写ローラ19との間の)二次転写位置に到達するタイミング合わせて、レジストローラ対6の位置で待機している記録材Pの搬送を再開する。
【0023】
制御部110は、上述のように記録材Pを給紙及び搬送する動作と同期して、以下の一連の画像形成動作を実行するように、各デバイスを制御する。まず、帯電ローラ12が、感光ドラム11の表面を所定の電位に帯電させる。光学ユニット13は、入力された印刷データに含まれる画像データに対応したレーザビームで、帯電した感光ドラム11を露光することで、感光ドラム11上に静電潜像を形成する。
【0024】
その後、現像ローラ15は、対応する色のトナーを用いて、感光ドラム11上に形成された静電潜像を現像することで、感光ドラム11上にトナー像を形成する。感光ドラム11は、中間転写ベルト17と接触しており、中間転写ベルト17の回転に同期して回転する。これにより、感光ドラム11上に形成されたトナー像は、(中間転写ベルト17と感光ドラム11との間の)一次転写位置まで移動する。
【0025】
一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kは、それぞれ、感光ドラム11Y,11M,11C,11K上に形成された各色のトナー像を、中間転写ベルト17上に順に重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト17上に、Y,M,C,Kのトナーによるトナー像であるカラー画像が形成される。
【0026】
中間転写ベルト17上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト17の回転に従って二次転写位置まで移動し、二次転写ローラ19によって記録材P上に転写される。記録材Pに転写されたカラー画像は、定着部20から熱及び圧力を与えられることで、当該記録材上に定着させられる。定着部20による定着処理が行われた記録材Pは、排紙ローラ対21によって排紙トレイに排紙される。これにより、1枚の記録材Pについての画像形成動作が終了する。
【0027】
<制御構成>
図2は、本実施例のプリンタ100の制御に関連するハードウェア構成例を示すブロック図である。プリンタ100は、LAN等のネットワークを介してホストコンピュータ200と通信可能に接続されている。ホストコンピュータ200は、ネットワークを介してプリンタ100へ印刷データ及びプリント指示を送信することが可能である。ホストコンピュータ200は、本体部201及び操作表示部202を備える。操作表示部202は、図2では図示されていないディスプレイ(表示部)と、キーボード及びマウス等の操作部(入力デバイス)とを含む。
【0028】
プリンタ100は、ビデオコントローラ101、操作表示部102、及びエンジンコントローラ103を備える。操作表示部102は、図2では図示されていない操作パネル及び操作ボタン等の操作部(入力デバイス)を含む。ビデオコントローラ101は、ホストコンピュータ200から受信した印刷データ及びプリント指示をエンジンコントローラ103へ出力する。
【0029】
エンジンコントローラ103は、CPU111、ROM112及びRAM113を含む制御部110と、システムバス104と、IOポート105とを備える。CPU111は、ROM112に格納されているプログラムをRAM113にロードして実行する。RAM113の記憶領域はCPU111の作業領域として使用される。CPU111は、システムバス104を介してIOポート105にアクセス可能である。IOポート105には、定着部20、検知装置30、並びに記録材の搬送及び画像形成を実現するための各種アクチュエータ40といった、プリンタ100内の各種デバイスが接続されている。CPU111は、IOポート105を介して接続可能な各デバイスを制御する。
【0030】
<検知装置>
図3は、検知装置30の構成例を示すブロック図である。図3(A)は、記録材Pの坪量の検知に関連する構成を示し、図3(B)は、記録材Pの表面性の検知に関連する構成を示している。なお、上述のように、検知装置30は、坪量センサ31と表面性センサ32とを有する。検知装置30は、給紙部(給紙カセット2又は給紙トレイ3)から給紙された記録材Pの特性を示す特性値を検知する。本実施例では、検知装置30は、記録材Pの坪量と記録材Pの表面性を示す値とを特性値として検知する。検知装置30は、制御部110からの指示に基づいて以下の動作を行う。
【0031】
図3(A)は、坪量センサ31を示している。制御部110が超音波の発信を指示すると、発信制御部36は、駆動信号を生成して発信器31aに供給する。発信器31aは、駆動信号に従って振動板を振動させ、超音波を発信する。超音波は、記録材Pを通過する際に坪量に応じて減衰する。受信器31bは、受信した超音波に応じた検知信号を出力する。例えば、坪量が小さい記録材P(薄紙)の場合には減衰が少ないため、受信器31bが出力する検知信号のピーク値が大きくなる。反対に、坪量が大きい記録材P(厚紙)の場合には減衰が多いため、受信器31bが出力する検知信号のピーク値が小さくなる。
【0032】
坪量検知部37は、受信器31bが出力する検知信号のピーク値の減衰率に基づいて、記録材Pの坪量を算出し、制御部110へ出力する。減衰率は、記録材Pが発信器31aと受信器31bとの間にない状態で取得されたピーク値Paと、記録材Pが発信器31aと受信器31bとの間にある状態で取得されたピーク値Pbとの比として求められる。制御部110は、記録材Pが発信器31aと受信器31bとの間にない状態で超音波を発信器31aに発信させ、受信器31bに超音波を受信させて検知信号を出力させることで、ピーク値Paを取得する。ピーク値Paの取得は、記録材Pが坪量センサ31に到着する直前に実行されてもよい。これにより、ピーク値Pa,Pbの測定環境がほぼ一致するため、ピーク値Pa,Pbの測定精度の向上を期待できる。
【0033】
図3(B)は、表面性センサ32を示している。表面性センサ32は、発光ダイオード等の発光部32aと、結像レンズ等の結像部32bと、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像センサ32cとを有している。発光部32aは、記録材Pの表面に光を照射する。結像部32bは、発光部32aから照射され、記録材Pの表面で反射した反射光を、撮像センサ32cの撮像面に結像させる。撮像センサ32cは、結像部32bにより結像された光を撮像する。
【0034】
制御部110は、記録材Pが表面性センサ32の設置位置まで搬送されてくると、発光制御部38に発光部32aの発光を指示する。発光制御部38は、発光指示に従って発光部32aに駆動電流を供給する。発光部32aは、駆動電流によって発光し、記録材Pの表面に光を照射する。記録材Pに照射された光は、結像部32bを介し、撮像センサ32cにて撮像される。撮像センサ32cが出力する画像信号は、記録材Pの表面画像を示す画像信号であり、表面性検知部39へ出力される。
【0035】
表面性検知部39へ入力される画像信号が示す表面画像は、記録材Pの表面性(凹凸)によって変化する。例えば、一般的にラフ紙と呼ばれるような凹凸が多い(表面性が粗い)記録材Pの表面画像は、影の割合が多い表面画像となる。一方、コート紙と呼ばれるような表面が比較的平滑な記録材Pの表面画像は、影の少ない表面画像となる。表面性検知部39は、表面画像に占める影の割合から記録材Pの表面性の特性値を算出し、制御部110へ出力する。
【0036】
ここで、表面性が平滑な記録材Pの電気的な抵抗値は比較的に低く、表面性の粗い記録材Pの電気的な抵抗値は比較的に高い。よって、表面性が平滑な記録材Pに必要となる転写電流は多く、表面性の粗い記録材Pに必要となる転写電流は少ない。制御部110は、表面性センサ32(表面性検知部39)による記録材Pの表面性の検知結果に応じて、一次転写ローラ16及び二次転写ローラ19に印加される転写電流又は転写電圧を調整してもよい。それにより、トナー画像を効率よく転写し、トナー画像の濃度の再現性を向上させることが可能である。
【0037】
<制御部>
図4は、制御部110の機能構成例を示すブロック図である。図4においてブロックで示される各機能部は、ROM112に格納されているプログラム及びRAM113に格納されているデータに基づいてCPU111によって実現される。制御部110が有する機能は、プリンタ100の動作履歴に関連する機能、記録材の種類の判別に関連する機能、画像形成に関連する機能に分類される。以下では各機能について順に説明する。
【0038】
制御部110は、プリンタ100の動作履歴に関連する機能として、履歴収集部401、履歴分析部402、及び動作変更部403を有する。履歴収集部401は、プリンタ100の動作履歴を収集し、RAM113に格納(保存)する。履歴分析部402は、履歴収集部401によって収集された動作履歴を分析する。具体的には、履歴分析部402は、収集された動作履歴から、プリンタ動作変更のベースとなりうる情報を抽出及び加工し、得られた情報を分析結果としてRAM113に格納する。なお、プリンタ100の動作履歴及びその分析の詳細については後述する。
【0039】
動作変更部403は、履歴収集部401によって収集された動作履歴に基づいて、記録材判別部405によって使用される判別規則412を調整(変更)する。より具体的には、動作変更部403は、履歴分析部402による動作履歴の分析結果に基づいて、判別規則412を調整する。
【0040】
制御部110は更に、記録材の種類の判別に関連する機能として、検知制御部404、及び記録材判別部405を有する。検知制御部404は、検知装置30を制御することにより、記録材Pの特性を示す特性値を取得し、取得した特性値を記録材判別部405に提供する。記録材判別部405は、記録材の特性を分析するための分析モデル411と、記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則412とを有している。分析モデル411は、記録材Pの特性値と記録材Pの種類との関係を評価するためのモデルである。
【0041】
本実施例では、分析モデル411として、1つ以上の特性値で表現される実数空間(特性値空間)において、記録材の種類(紙種)ごとに、各特性値が取りうる範囲を定めたモデルを用いる。また、判別規則412は、記録材Pの特性値を、予め定められた複数の紙種のうちの1つに対応付けるための基準を定めている。本実施例では、判別規則412は、特性値空間における、特性値に基づいて1つの紙種を判別(特定)するための境界(判別境界)に相当する。例えば、判別規則412は、記録材の種類として第1の種類と判別すべき特性値の範囲と第2の種類と判別すべき特性値の範囲との間の境界を定めている。記録材判別部405は、このような判別規則412と、検知装置30によって検知された特性値とに基づいて記録材Pの種類を判別する。
【0042】
図5(A)は、本実施例における分析モデル411及び判別規則412の具体例を示す図である。ここでは、説明を容易にするために、記録材の種類として2つの種類(紙種1及び2)を判別する場合を想定している。図5(A)の例において、分析モデル411は、2つの特性値(坪量と表面性)で表現される2次元実数空間上で、紙種1の特性値が取りうる範囲Ac1と、紙種2の特性値が取りうる範囲Ac2とを定めている。複数の紙種の特性値がそれぞれ取りうる範囲(特性値範囲)は重複する場合もある。そのような重複する範囲内の特性値が検知された場合は、当該特性値に基づいて判別される紙種の候補(候補紙種)が複数存在することを意味する。
【0043】
図5(A)の例では、2次元実数空間(特性値空間)上で、特性値に基づいて1つの紙種を判別(特定)するための判別規則412として、紙種1と紙種2との間の判別境界R12を示している。判別境界R12は、検知された特性値に基づいて、記録材の種類として紙種1(第1の種類)と判別すべき範囲Aj1と、記録材の種類として紙種2(第2の種類)と判別すべき範囲Aj2との間の境界を定めている。
【0044】
記録材判別部405は、検知制御部404によって取得された記録材Pの特性値に対して分析モデル411を適用する。これにより、記録材判別部405は、図5(A)の例に示されるように、分析モデル411で定められている、紙種(紙種1及び2)と特性値範囲(Ac1及びAc2)との関係を用いて、特性値に基づいて、候補紙種を求めることができる。
【0045】
記録材判別部405は、更に、検知制御部404によって取得された記録材の特性値に判別規則412を適用することで、候補紙種から、当該記録材Pの種類を判別する。具体的には、上述のように、複数の紙種に対応する特性値範囲が重複する場合には、複数の紙種が候補として求められる。その場合、特性値に対して判別規則412を適用すると、記録材の判別結果を一意に定めることができる(即ち、1つの紙種を判別結果として得ることができる)。
【0046】
制御部110は更に、画像形成に関連する機能として、形成制御部406を有する。形成制御部406は、記録材判別部405によって判別された記録材Pの種類に応じて、当該記録材への画像形成のための画像形成条件を制御する。具体的には、形成制御部406は、判別された記録材Pの種類に応じて画像形成条件を設定し、設定した画像形成条件に従って記録材Pへの画像形成が行われるように画像形成部を制御する。画像形成条件には、例えば、以下のうちの少なくとも1つが含まれる。
‐定着部20における記録材Pの画像を定着させるための定着温度。
‐一次転写ローラ16及び二次転写ローラ19に供給される転写電圧又は転写電流。
‐各種アクチュエータ40を通じて制御される、記録材Pの搬送速度(記録材Pの給紙及び搬送用の各ローラを駆動するモータの回転速度)。
形成制御部406は、設定した画像形成条件を用いて、各種アクチュエータ40及び定着部20の制御を行う。このような制御により、ユーザが使用する記録材Pに適した画像形成条件で画像形成を行うことが可能になりうる。
【0047】
<動作履歴の収集及び分析>
図12(A)は、本実施例における履歴収集部401によって収集されるプリンタ100の動作履歴の一例を示している。履歴収集部401は、記録材への画像形成(印刷)が行われるごとに、プリンタ100の動作履歴として図12(A)に示すような情報を収集し、RAM113に保存する。本実施例では、記録材に対する画像形成が行われるごとに、実行時刻、対応するユーザ、記録材の給紙元の給紙部、及び検知装置30によって検知された特性値に基づいて特定された候補紙種が、動作履歴として保存される。
【0048】
図12(B)は、本実施例における履歴分析部402による動作履歴の分析結果の一例を示している。履歴分析部402は、直近の所定枚数(例えば1040枚)の記録材への画像形成についての動作履歴を分析し、その分析結果をRAM113に保存する。図12(B)の例では、履歴分析部402は、動作履歴の分析結果として、記録材の種類(紙種)ごとの使用頻度を示すデータを取得している。
【0049】
<判別規則の調整>
図5(B)は、2種類の紙種(紙種1及び紙種2)を判別するための判別規則(判別境界R12)の調整例を示している。図5(B)の例では、図5(A)の例と同様、紙種1と紙種2とで、対応する特性値が取りうる範囲が重複している。本実施例では、動作変更部403は、プリンタ100の動作履歴に基づいて、判別境界R12を調整する。
【0050】
まず、プリンタ100の動作についての事前知識(即ち、動作履歴に関する情報)が十分に無い場合には、紙種1と紙種2との間の判別境界R12として初期判別境界Rrefが設定される。Rrefは、紙種の誤判別が生じる可能性が最小限になるように予め定められた判別境界である。例えば、紙種1と紙種2との間で誤判別が生じる可能性を最小限にするために、図5(B)に示すように、Rrefは、特性値範囲が重複する範囲を二等分するように定められる。
【0051】
記録材判別部405は、動作変更部403による判別規則(判別境界R12)の変更が行われない限り、予め定められた初期判別規則(初期判別境界)を判別規則412として使用する。動作変更部403は、履歴分析部402による動作履歴の分析結果に基づいて、記録材判別部405によって使用される判別規則(判別境界R12)を変更(調整)するように構成される。
【0052】
本実施例では、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づく、紙種の使用頻度を基準として、判別規則の調整を行う例について説明する。即ち、動作変更部403は、プリンタ100の動作履歴の分析結果として得られる、記録材の種類(紙種)ごとの使用頻度に基づいて、判別規則を調整する。具体的には、動作変更部403は、使用頻度が相対的に高い紙種が、使用頻度が相対的に低い紙種よりも優先して、紙種の判別結果として特定されるように、判別規則を調整する。例えば、所定の割合(例えば80%)以上の割合で使用されている紙種(図12(B)の例では、紙種1)が優先的に判別結果として特定されるように、判別規則が調整される。これにより、特性値に基づく紙種の判別精度を高めることを可能にする。
【0053】
図12(B)に示す分析結果は、他の紙種と比較して紙種1の使用頻度が高いことを示している。動作変更部403は、プリンタ100の動作履歴の分析結果としてこのような分析結果が得られた場合、図5(B)に示すように、紙種1と紙種2との間の判別境界R12(判別規則)をRrefからRcmに変更する。判別境界Rcmは、紙種1の特性値範囲Ac1の境界に接するように定められている。このように、動作変更部403は、紙種1と紙種2とのうちで使用頻度が高い紙種(紙種1)に対応する範囲Aj1を拡げるように、判別境界R12を調整する。このような判別境界R12の調整により、紙種1の特性値範囲Ac1と紙種2の特性値範囲Ac2とが重複する範囲内の特性値が得られた場合に、紙種の判別結果として、使用頻度が高い紙種1が特定されることになる。
【0054】
このように、特性値に基づいて複数の候補紙種が特定された場合に、より使用頻度が高い紙種が判別結果として優先的に特定されることになるため、特性値に基づく紙種の判別精度を高めることが可能になる。その結果、紙種の判別結果に応じて、使用される紙種により適した画像形成条件を設定することが可能になり、より高品質の画像を形成することが可能になる。
【0055】
なお、判別規則の調整は、例えば、それぞれ異なるN個の判別規則を予め用意しておき、当該N個の判別規則から、判別規則412として使用する判別規則を選択することによって行われてもよい。
【0056】
<処理手順>
次に図6のフローチャートを参照して、本実施例における制御部110によって実行される処理の手順について説明する。
【0057】
エンジンコントローラ103がビデオコントローラ101からプリント指示を受けると、S101で、制御部110は、給紙部(給紙カセット2又は給紙トレイ3)からの記録材Pを給紙する給紙動作を開始させ、記録材Pを搬送させる。次にS102で、制御部110(検知制御部404)は、検知装置30を制御して、記録材Pの特性値を取得する。検知装置30は、坪量センサ31及び表面性センサ32を用いて、記録材Pの特性値を検知し、検知結果を検知制御部404へ出力する。
【0058】
次にS103で、制御部110(記録材判別部405)は、S102で得られた特性値に対して分析モデル411を適用することにより、記録材Pについての紙種の判別において候補となる紙種を特定する。更にS104で、制御部110(記録材判別部405)は、特性値に対して判別規則412(判別境界R12)を適用することで、記録材Pの紙種の判別を行う。具体的には、分析モデル411の適用により複数の紙種が候補として特定された場合に、判別規則412の適用により、対象となる記録材Pの紙種を判別する。なお、S103において分析モデル411の適用により1つの紙種が特定された場合には、制御部110は、判別規則412を適用せずに紙種の判別結果を生成してもよい。
【0059】
S103及びS104において記録材Pについて紙種の判別が完了すると、次にS105で、制御部110(形成制御部406)は、判別された紙種に応じて画像形成条件を設定する。なお、画像形成条件には、例えば、定着温度と、記録材Pの搬送速度と、転写電圧又は転写電流とのうちの1つ以上が含まれる。更にS106で、制御部110は、設定した画像形成条件に従って記録材Pへの画像形成が行われるように画像形成動作を制御する。
【0060】
S106で、1ページ又は所定数のページの印刷(画像形成)が行われるごとに、S107で、制御部110(履歴収集部401)は、S106において実行された画像形成に関連する動作履歴を取得(収集)する。その後S108で、制御部110(履歴分析部402)は、S107で収集されてRAM113に保存されている動作履歴の量(収集量)が所定量以上であるか否かを判定する。ここで、所定量は、例えば1000ページ分の画像形成に対応する動作履歴の量である。制御部110は、動作履歴の収集量が所定量以上である場合には処理をS109へ進め、動作履歴の収集量が所定量以上ではない場合には処理をS111へ進める。
【0061】
S109で、制御部110(履歴分析部402)は、プリンタ100についての最新の動作履歴の分析を行い、分析結果をRAM113に保存する。更にS110で、制御部110(動作変更部403)は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、判別規則412の調整を行う。具体的には、分析モデル411において複数の紙種間でそれぞれ対応する特性値範囲の一部が重複する場合、当該重複する範囲内の特性値に基づいて、使用頻度の高い紙種が特定される可能性を高める(優先的に特定される)よう、判別規則412を調整する。
【0062】
判別規則412の調整の完了後、S111で、制御部110は、次ページの印刷についてプリント指示が行われているか否かを判定し、次ページのプリント指示が行われていない場合には、図6の手順による処理を終了する。一方、制御部110は、次ページのプリント指示が行われている場合にはS101へ処理を戻す。この場合、制御部110は、再び記録材の給紙動作を開始し(S101)、紙種の判別結果に応じて画像形成条件を設定し、画像形成を行う(S102~S106)とともに、収集した動作履歴に基づく判別規則412の調整を行う(S107~S110)。
【0063】
以上説明したように、本実施例では、検知装置30は、給紙部から給紙された記録材Pの特性を示す特性値を検知する。制御部110(記録材判別部405)は、記録材の特性値に基づいて記録材の種類を判別するための判別規則412と、検知された特性値と、に基づき記録材Pの種類を判別する。制御部110(形成制御部406)は、判別された記録材Pの種類に応じて、記録材Pへの画像形成のための画像形成条件を制御する。制御部110(履歴収集部401)は、プリンタ100の動作履歴を収集する。制御部110(動作変更部403)は、収集された動作履歴に基づいて、記録材判別部405によって使用される判別規則412を調整する。
【0064】
本実施例によれば、記録材の種類の判別精度を高めることが可能になる。このため、記録材の種類(紙種)の判別結果に応じて、ユーザが使用する記録材に適した画像形成条件で画像形成を行うことが可能になる。例えば、記録材Pに合わせて定着温度を設定することが可能になり、それにより、定着処理に伴う過剰なエネルギー消費を抑制できる。また、記録材の種類の判別結果に応じた印刷モードの適切な設定により、システム全体の生産性の向上が可能になる。
【0065】
なお、本実施例は、上述のものに限らず種々の変更が可能である。例えば、収集及び分析の対象となるプリンタ100の動作履歴の項目又は範囲が変更されてもよい。また、判別境界の移動量は、各紙種の使用頻度の比率に応じて調整されてもよい。更に、分析モデル411及び判別規則412は、上述のものに限らず、例えば、ニューラルネットワーク等の手法に基づく、記録材の特性分析モデルにおいて、判別規則に関連するパラメータを調整する構成が適用されてもよい。また、複数の分析モデルを用意し、判別規則により最適な分析モデルを選択する構成が適用されてもよい。
【0066】
[実施例2]
実施例2では、制御部110(動作変更部403)は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づく判別規則412の調整を、給紙部ごとに独立して行う例について説明する。以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0067】
図7は、本実施例における制御部110の機能構成例を示すブロック図である。本実施例は、制御部110内の記録材判別部405が、それぞれ異なる給紙部に対応する複数の判別規則412を有する点で、実施例1と異なっている。即ち、記録材判別部405は、記録材の給紙元となる給紙部ごとに個別に判別規則412を有している。
【0068】
上述のように、実施例1の動作変更部403は、履歴分析部402による、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、記録材判別部405によって用いられる、複数の給紙部間で共通の判別規則412を変更(調整)する。しかし、給紙部ごとに使用される紙種が異なるケースも想定されうる。例えば、給紙トレイ3(給紙部2)については、使用ごとにユーザが手差しで記録材をセットする給紙部であるため、様々な種類の記録材が使用される傾向にある。それに対して、給紙カセット2(給紙部1)については、特定の種類の記録材が継続的に使用される傾向にある。
【0069】
上述のようなケースを想定して、本実施例では、履歴分析部402は、プリンタ100の動作履歴を、プリンタ100が備える給紙部ごとに分析する。図12(C)は、本実施例における履歴分析部402による動作履歴の分析結果の一例を示している。履歴分析部402は、直近の所定枚数(例えば1040枚)の記録材への画像形成についての動作履歴を給紙部ごとに分析し、その分析結果をRAM113に保存する。履歴分析部402は、動作履歴の分析結果として、紙種ごとの使用頻度を示すデータを、給紙部ごとに独立して取得する。図12(C)の例では、給紙部1については紙種1の使用頻度と紙種2の使用頻度とがほぼ等しく、給紙部2については紙種1の使用頻度が紙種2よりも高いことを示すデータが得られている。
【0070】
動作変更部403は、履歴分析部402による動作履歴の分析結果に基づいて、給紙部ごとに判別規則412を調整する。図8(A)は、本実施例における分析モデル411及び判別規則412の具体例を示しており、図12(C)に示す分析結果に基づいて、2種類の紙種(紙種1及び紙種2)を判別するための判別規則の調整例を示している。図8(A)の例では、実施例1における図5(B)の例と同様、紙種1と紙種2とで、対応する特性値が取りうる範囲(特性値範囲)が重複している。
【0071】
図8(A)には、検知装置30によって検知された特性値を示す測定サンプルが、紙種ごと及び給紙部ごとにプロットされている。本実施例では、上述のように、紙種1の使用頻度と紙種2の使用頻度とがほぼ等しい給紙部1については、対応する判別境界Rsrc1を、初期判別境界Rrefのまま変更しないようにする。一方、紙種1の使用頻度が紙種2よりも高い給紙部2については、特性値範囲が重複する範囲内で、使用頻度が高い紙種1が優先的に判別結果として特定されるように、対応する判別境界Rsrc2を調整する。図8(A)の例では、判別境界Rsrc2は、(初期判別境界Rrefから)紙種1の特性値範囲Ac1の境界に接するように調整されている。このようにして、各給紙部に対応する判別規則412を、各給紙部における記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて調整する。
【0072】
このような、給紙部ごとの判別境界(判別規則412)の調整により、給紙部1については、紙種1と紙種2との間で誤判別が生じる可能性を最小限にしつつ、給紙部2については、使用頻度の高い紙種1の判別精度を高めることが可能になる。即ち、ユーザが実質的に使用している記録材を精度良く判別することが可能になる。
【0073】
本実施例では、制御部110(記録材判別部405)は、検知装置30によって検知された特性値に基づいて、対象となる記録材Pの紙種を判別する際に(図6のS104)、当該記録材の給紙元の給紙部に対応する判別規則412を適用する。この判別規則412は、上述のようにして、給紙部ごとに独立して調整される(S110)。
【0074】
以上説明したように、本実施例の制御部110(記録材判別部405)は、給紙部ごとの動作履歴の分析結果に基づいて、各給紙部に対応する判別規則412を調整する。このように、給紙部ごとに判別規則412を調整することによって、実施例1よりも更に記録材の種類の判別精度を高めることが可能になる。
【0075】
[実施例3]
実施例3では、制御部110(動作変更部403)は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づく判別規則412の調整を、ユーザごとに独立して行う例について説明する。以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0076】
本実施例における制御部110の機能構成例は、実施例2(図7)と同様である。ただし、本実施例では、記録材判別部405は、プリンタ100を使用するユーザごとに個別に判別規則412を有している。
【0077】
上述のように、実施例1の動作変更部403は、履歴分析部402による、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、記録材判別部405によって用いられる、複数のユーザ間で共通の判別規則412を変更(調整)する。しかし、使用される記録材の種類(紙種)はユーザごとに異なるケースも想定されうる。例えば、ユーザごとにプリンタ100で印刷する画像の種類(例えば、グラフィック、テキスト文章、又は写真)が異なるケースや、特定の業務(例えば、会計業務)に携わるユーザのみが使用する紙種が存在するケースがある。
【0078】
上述のようなケースを想定して、本実施例では、履歴分析部402は、プリンタ100の動作履歴を、プリンタ100を使用するユーザごとに分析する。図12(D)は、本実施例における履歴分析部402による動作履歴の分析結果の一例を示している。履歴分析部402は、直近の所定枚数(例えば1040枚)の記録材への画像形成についての動作履歴を給紙部ごとに分析し、その分析結果をRAM113に保存する。履歴分析部402は、動作履歴の分析結果として、紙種別の使用頻度を示すデータを、ユーザごとに独立して取得する。図12(D)の例では、紙種1及び2に関して、ユーザAは紙種2の使用頻度が高く、ユーザB及びユーザCは紙種1の使用頻度が高いことを示している。
【0079】
動作変更部403は、履歴分析部402による動作履歴の分析結果に基づいて、給紙部ごとに判別規則412を調整する。図8(B)は、本実施例における分析モデル411及び判別規則412の具体例を示しており、図12(D)に示す分析結果に基づいて、2種類の紙種(紙種1及び紙種2)を判別するための判別規則の調整例を示している。図8(B)の例では、実施例1における図5(B)の例と同様、紙種1と紙種2とで、対応する特性値が取りうる範囲(特性値範囲)が重複している。
【0080】
図8(B)には、検知装置30によって検知された特性値を示す測定サンプルが、紙種ごと及びユーザごとにプロットされている。本例では、紙種1と紙種2との間では、ユーザAは紙種2のみ、ユーザB及びユーザCは紙種1のみを使用しており、ユーザごとの紙種の使用頻度に偏りがある。このような場合、ユーザごとに、使用頻度の高い紙種が優先的に判別結果として特定されるように、対応する判別境界を調整する。このようにして、各ユーザに対応する判別規則412を、各ユーザについての記録材の種類ごとの使用頻度に基づいて調整する。
【0081】
具体的には、図8(B)に例示するように、ユーザAに対応する判別境界RusrAを、(初期判別境界Rrefから)紙種2の特性値範囲Ac2の境界に接するように調整する。即ち、ユーザAについては、記録材の種類が紙種2と判別される範囲を拡げる。また、ユーザBに対応する判別境界RusrB及びユーザCに対応する判別境界RusrCを、(初期判別境界Rrefから)紙種1の特性値範囲Ac1の境界に接するように調整する。即ち、ユーザB及びユーザCについては、記録材の種類が紙種1と判別される範囲を拡げる。
【0082】
本実施例では、制御部110(記録材判別部405)は、検知装置30によって検知された特性値に基づいて、対象となる記録材Pの紙種を判別する際に(図6のS104)、ジョブに関連するユーザに対応する判別規則412を適用する。この判別規則412は、上述のようにして、ユーザごとに独立して調整される(S110)。
【0083】
以上説明したように、本実施例の制御部110(記録材判別部405)は、プリンタ100のユーザごとの動作履歴の分析結果に基づいて、各ユーザに対応する判別規則412を調整する。このように、ユーザごとに判別規則412を調整することによって、実施例1よりも更に記録材の種類の判別精度を高めることが可能になる。即ち、ユーザが実質的に使用している記録材を精度良く判別することが可能になる。
【0084】
なお、本実施例は、実施例2と組み合わされてもよい。また、本実施例において、時間帯等の他の条件を組み合わせて判別規則412を調整することも可能である。
【0085】
[実施例4]
実施例4では、制御部110は、調整された判別規則412の信頼性を判定し、信頼性が低下したと判定した場合に判別規則412をリセットする例について説明する。以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0086】
<制御部>
図9は、本実施例における制御部110の機能構成例を示すブロック図である。本実施例は、制御部110が、信頼性判定部407を更に有する点で、実施例1と異なっている。信頼性判定部407は、判別規則412の信頼性に関する情報を収集及び分析し、信頼性を判定する機能を有する。信頼性判定部407は、履歴分析部402による動作履歴の分析結果を参照しうる。また、信頼性判定部407は、操作表示部102との間で、指示又は情報の送受信を行いうる。
【0087】
上述のように、実施例1の動作変更部403は、履歴分析部402による、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、記録材判別部405によって使用される判別規則412を変更(調整)する。しかし、判別規則412の調整後に、例えばユーザが通常使用する紙種が変更された場合、現在使用中の判別規則412の信頼性が低下する状況が生じる可能性がある。判別規則412の信頼性が低下した場合でも、プリンタ100の動作履歴が十分に蓄積された段階で判別規則412の調整が行われることで信頼性を回復することは可能でありうる。しかし、プリンタ100の動作履歴の蓄積に時間を要する場合、信頼性が低下した判別規則412が使用され続ける状況が起こりうる。
【0088】
そこで、本実施例では、信頼性判定部407は、記録材判別部405によって使用される判別規則412の信頼性を判定し、その判定結果を動作変更部403に通知する。動作変更部403は、信頼性判定部407によって、判別規則412の信頼性が低下したと判定されると、記録材判別部405によって使用される判別規則412を(例えば、初期判別境界Rrefに)リセットする。
【0089】
<処理手順>
次に図10のフローチャートを参照して、本実施例における制御部110によって実行される処理の手順について説明する。本実施例の処理手順では、実施例1の処理手順(図6)に対してS201~S205が追加されている。
【0090】
本実施例では、制御部110は、S101~S109において、実施例1と同様の処理を実行する。制御部110(履歴分析部402)は、S109において、プリンタ100についての最新の動作履歴の分析を行い、分析結果をRAM113に保存すると、処理をS201へ進める。
【0091】
S201で、制御部110(信頼性判定部407)は、使用中の判別規則412についての信頼性の確認が必要であるか否かを判定する。例えば、制御部110は、(S103において特定される)候補となる紙種の傾向が、判別規則RLを前回調整した時点から変化し、かつ、直近の動作履歴において、候補となる紙種が複数存在した場合、判別規則412の信頼性の確認が必要であると判定する。制御部110は、判別規則412の信頼性の確認が不要であると判定した場合には、S110へ処理を進める。S110で、制御部は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、判別規則412の調整を行い、S111へ処理を進める。一方、制御部110は、判別規則412の信頼性の確認が必要であると判定した場合には、S202へ処理を進める。
【0092】
S202で、制御部110(信頼性判定部407)は、図11に示すような確認画面を操作表示部102に表示することで、ユーザによる入力結果を、判別規則412の信頼性を示す信頼性情報として収集する。図11に示す確認画面では、印刷品質に関してユーザに確認が行われる。更にS203で、制御部110(信頼性判定部407)は、収集した信頼性情報に基づいて、現在の判別規則412の信頼性を分析する。本実施例では、図11に示す確認画面において、ユーザが「はい」を選択した場合には、信頼性が高く(即ち、維持されている)、「いいえ」を選択した場合には信頼性が低い(即ち、低下した)と判定する。
【0093】
その後、S204で、制御部110(信頼性判定部407)は、判別規則412の信頼性が低下したか否かを判定し、信頼性が低下していない場合にはS110へ処理を進める。S110で、制御部は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、判別規則412の調整を行い、処理をS111へ進める。一方、制御部110は、判別規則412の信頼性が低下した場合には、S205へ処理を進める。S205で、制御部110は、(動作変更部403)は、判別規則412を初期判別規則にリセットし、S111へ処理を進める。
【0094】
以上説明したように、本実施例によれば、判別規則412の信頼性が低下した場合に、記録材の種類の判別精度の改善のための動作をより早いタイミングに実行することが可能になる。これにより、実施例1よりも更に記録材の種類の判別精度を高めることが可能になる。
【0095】
なお、信頼性情報の収集及び分析は、上述の方法に限定されず、例えば、図11に示す確認画面の表示内容が判別規則412に応じて変更されてもよい。判別規則412の信頼性の判定(S204)において、確認画面を介してユーザから複数の項目について入力を受け付けて、当該複数の項目についての入力内容に基づいて、信頼性の分析が行われてもよい。
【0096】
[実施例5]
上述の各実施例では、プリンタ100の動作履歴の分析と、その分析結果に基づく判別規則の調整とが、プリンタ100内で行われている。本実施例では、これらの処理を、プリンタ100と通信可能なサーバ装置(管理サーバ)で行う例について説明する。以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0097】
<システム構成>
図13は、本実施例における通信システムの構成例、及び管理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施例の通信システムにおいて、プリンタ100は、ネットワーク350を介して管理サーバ300と通信可能に接続されている。ネットワーク350は、有線LAN、無線LAN又はインターネット等の、任意のネットワークで構成されうる。なお、プリンタ100は、ネットワーク350を介してホストコンピュータ200等の外部装置とも通信可能である。
【0098】
管理サーバ300は、CPU301、ROM302、RAM303、ハードディスクドライブ(HDD)304、及びネットワークインタフェース(I/F)305を備え、これらのデバイスはシステムバス306に接続されている。CPU301は、ROM302又はHDD304に格納された制御プログラムをRAM303に展開し、その展開したプログラムを実行することで、管理サーバ300全体の動作を制御する。
【0099】
ROM302は、CPU301による実行可能な制御プログラム等の各種プログラムを格納している。RAM303は、主としてCPU301の主メモリ及びワークエリア等として機能する。HDD304は、ブートプログラム及び各種アプリケーション等の、各種データを格納している。なお、HDD304に代えて、SDカード又はフラッシュメモリ等の記憶装置が補助記憶装置として使用されてもよい。ネットワークI/F305は、ネットワークを介して外部装置とのデータ通信を行う。
【0100】
<制御構成>
図14は、本実施例におけるプリンタ100及び管理サーバ300の機能構成例を示すブロック図である。図14に示すように、本実施例では、実施例1における履歴分析部402及び動作変更部403(図4)が、それぞれ、履歴分析部1402及び動作変更部1403として管理サーバ300に設けられる。
【0101】
図14においてブロックで示される、制御部110内の各機能部は、プリンタ100において、ROM112に格納されているプログラム及びRAM113に格納されているデータに基づいてCPU111によって実現される。また、履歴分析部1402及び動作変更部1403は、管理サーバ300において、ROM302に格納されているプログラム及びRAM303に格納されているデータに基づいてCPU301によって実現される。
【0102】
履歴分析部1402及び動作変更部1403は、それぞれ、実施例1における実施例1における履歴分析部402及び動作変更部403と同様の機能を有する。ただし、本実施例では、履歴収集部401は、収集した動作履歴を、ネットワーク350を介して管理サーバ300へ送信する。履歴分析部1402は、プリンタ100の動作履歴をプリンタ100(履歴収集部401)から受信し、受信した動作履歴の分析を行う。
【0103】
また、動作変更部1403は、プリンタ100(履歴収集部401)から受信した動作履歴に基づいて、プリンタ100(記録材判別部405)によって使用される判別規則412を調整(変更)する。より具体的には、動作変更部1403は、RAM303又はHDD304に保持している、プリンタ100用の(プリンタ100に対応する)判別規則412を、履歴分析部1402による動作履歴の分析結果に基づいて調整する。動作変更部1403は更に、判別規則412の調整結果を示すデータを、プリンタ100へ送信する。
【0104】
プリンタ100において、記録材判別部405は、判別規則412の調整結果を示すデータを管理サーバ300から受信すると、受信したデータに基づいて、使用している判別規則412を更新する。記録材判別部405は、更新後の判別規則412と、検知装置30によって検知された特性値とに基づいて、記録材Pの種類を判別する判別処理を行う。
【0105】
<処理手順>
本実施例では、実施例1の図6に示す処理手順において、S109及びS110の処理が、管理サーバ300によって行われる。具体的には、S101~S108の処理は、実施例1と同様である。ただし、S108において、制御部110(履歴分析部402)は、収集量が所定量以上である場合には、収集済みの動作履歴を管理サーバ300へ送信し、処理をS109へ進める。
【0106】
S109で、管理サーバ300のCPU301(履歴分析部1402)は、プリンタ100から受信した動作履歴の分析を行う。更にS110で、CPU301(動作変更部1403)は、プリンタ100の動作履歴の分析結果に基づいて、プリンタ100に対応する判別規則412の調整を行い、調整結果を示すデータをプリンタ100へ送信する。プリンタ100において、制御部110(記録材判別部405)は、管理サーバ300から受信したデータに基づいて、記録材の判別のために使用している判別規則412を更新する。これにより、プリンタ100における判別規則412の調整が完了する。
【0107】
以上説明したように、本実施例では、プリンタ100の動作履歴の分析と、その分析結果に基づく判別規則の調整とを、プリンタ100と通信可能な管理サーバ300(サーバ装置)において行う。この場合にも、実施例1と同様の効果を得ることが可能である。
【0108】
なお、本実施例は上述の実施例2~4と組み合わされてもよい。即ち、実施例2~4におけるプリンタ100の動作履歴の分析と、その分析結果に基づく判別規則の調整とを、実施例1と同様に管理サーバ300において実行するように、通信システムが構成されてもよい。
【0109】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0110】
100:プリンタ(画像形成装置)、101:ビデオコントローラ、103:エンジンコントローラ、110:制御部、111:CPU、20:定着部、30:検知装置、31:坪量センサ、32:表面性センサ、401:履歴収集部、402:履歴分析部、403:動作変更部、404:検知制御部、405:記録材判別部、406:形成制御部、411:分析モデル、412:判別規則
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14