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特許7574089情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20241021BHJP
   G06Q 30/015 20230101ALI20241021BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20241021BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241021BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q30/015
G06Q30/0251
G06Q50/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021006898
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111461
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 悠佑
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-042239(JP,A)
【文献】特開2020-021221(JP,A)
【文献】特開2018-101257(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142305(WO,A1)
【文献】特開2006-206225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、
前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、
前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、
を備え、
前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を出力する、情報提供システム。
【請求項2】
前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの前記移動体の位置に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの時刻または前記時刻を含む時間帯に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する、請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記移動体は開閉可能な開閉部を有し、前記開閉部には、前記開閉部を閉じた位置でロックするロック機構が設けられ、
前記情報提供システムは、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記ロック機構によるロックを解除する開閉制御部を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記移動体を撮影する撮影部を備え、
前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記サービスが提供されるときに前記撮影部によって撮影した撮影画像を端末装置に送信する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記サービス依頼受付部は、サービスの提供の日または日時を指定する前記依頼を受け付け、
前記サービス情報出力部は、前記依頼によって指定された日または日時に合わせて、前記サービスの実行を通知する、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、
前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、
前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、
を備え、
前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を、前記移動体に設置された出力装置によって出力させる、情報提供装置。
【請求項8】
出力装置によって情報を出力する情報提供方法であって、
移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、
前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力し、
前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、情報提供方法。
【請求項9】
出力装置によって情報を出力する情報提供装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータにより、
移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、
前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力させ、
前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の移動体に搭乗する乗員に対し、乗員が降車した際に情報を通知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置は、場所に関連する情報として、防犯情報、渋滞情報、お買い物情報およびイベント情報などを格納するデータベースを有し、乗員が降車したときの車両の場所に応じた情報をデータベースから取得して、通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-122849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置は、車両の場所に関連する情報を提供するものであり、場所のみに関連しない様々な情報を提供することができない。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、移動体を利用する利用者に対し、その利用者にとって有用な情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、を備え、前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を出力する、情報提供システムが挙げられる。
【0006】
上記情報提供システムにおいて、前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの前記移動体の位置に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する構成としてもよい。
【0007】
上記情報提供システムにおいて、前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの時刻または前記時刻を含む時間帯に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する構成としてもよい。
【0008】
上記情報提供システムにおいて、前記移動体は開閉可能な開閉部を有し、前記開閉部には、前記開閉部を閉じた位置でロックするロック機構が設けられ、前記情報提供システムは、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記ロック機構によるロックを解除する開閉制御部を備える構成としてもよい。
【0009】
上記情報提供システムにおいて、前記移動体を撮影する撮影部を備え、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記サービスが提供されるときに前記撮影部によって撮影した撮影画像を端末装置に送信する構成としてもよい。
【0010】
上記情報提供システムにおいて、前記サービス依頼受付部は、サービスの提供の日または日時を指定する前記依頼を受け付け、前記サービス情報出力部は、前記依頼によって指定された日または日時に合わせて、前記サービスの実行を通知する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、を備え、前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を、前記移動体に設置された出力装置によって出力させる、情報提供装置が挙げられる。
【0012】
上記目的を達成するための第3態様として、出力装置によって情報を出力する情報提供方法であって、移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力し、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、情報提供方法が挙げられる。
【0013】
上記目的を達成するための第4態様として、出力装置によって情報を出力する情報提供装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、前記コンピュータにより、移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力させ、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、ためのプログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
上記構成によれば、移動体から利用者が降りる際に、利用者の設定に基づいて、サービスに関する情報を提供できる。これにより、利用者にとって有用な情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報提供システムの概要を示す説明図。
図2】情報提供装置が搭載された車両の構成図。
図3】情報提供装置のブロック図。
図4】端末装置のブロック図。
図5】情報提供システムの動作を示すシーケンス図。
図6】端末装置が表示する画面の例を示す図。
図7】端末装置が表示する画面の例を示す図。
図8】端末装置が表示する画面の例を示す図。
図9】情報提供装置が表示する画面の例を示す図。
図10】情報提供システムの動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.情報提供システムの概要]
図1を参照して、本実施形態の情報提供システム200の概要を説明する。
情報提供システム200は、移動体Vに搭載された情報提供装置1が、移動体Vに乗車している利用者Uに対して、情報を提供する。移動体Vは、移動体の一例である。情報提供装置1は、移動体Vに搭載された装置である。端末装置100は、情報提供装置1とは別体として構成される情報処理装置である。端末装置100は、携帯型の装置であってもよいし、固定的に設置される装置であってもよい。本実施形態では、端末装置100を、モバイルデバイス、或いは、ハンドヘルドコンピュータと呼ばれる携帯型のコンピュータとして示す。具体的には、スマートフォンやタブレット型コンピュータである。端末装置100は、移動体Vに搭乗する利用者Uが使用する。
情報提供装置1は、移動体Vに固定的に設けられるタッチパネル90を備える装置であり、例えば、ディスプレイオーディオ(DA)と呼ばれる装置、或いは、カーナビゲーション装置である。
【0017】
利用者Uが利用可能なサービスは、移動体Vが駐車場所Paに駐車している間に、駐車場所Paで提供されるサービスである。具体的には、駐車場所Paに駐車している移動体Vを配達場所とする商品の配達サービス、移動体Vに置かれた衣類を回収する衣類クリーニングサービス等が挙げられる。また、例えば、洗車、コーティング、修理など移動体Vに対する加工や施工が挙げられる。また、例えば、移動体Vが搭載する二次電池への充電、移動体Vへの燃料の補給が挙げられる。駐車場所Paは1カ所に限定されない。例えば、利用者Uの自宅の駐車場、利用者Uの勤務先の駐車場、外出先の駐車場等を含む複数の駐車場所Paにおいて、利用者Uがサービスの提供を受けることが可能であってもよい。
【0018】
情報提供装置1と端末装置100とは、相互にデータ通信可能である。例えば、情報提供装置1及び端末装置100は、それぞれ、無線通信回線を通じて通信ネットワーク500に接続可能である。情報提供装置1及び端末装置100は、通信ネットワーク500を介して互いにデータを送受信してもよい。通信ネットワーク500はデータ通信ネットワークであればよく、公衆回線網を含む広域通信ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0019】
情報提供装置1は、通信ネットワーク500を介してサービス事業者450との間でデータ通信を実行可能である。端末装置100は、通信ネットワーク500を介してサービス事業者450との間でデータ通信を実行可能である。
【0020】
通信ネットワーク500に接続された管理サーバ400が、情報提供装置1、端末装置100、及びサービス事業者450の間におけるデータ通信に介在してもよい。例えば、情報提供装置1が端末装置100にデータを送信する場合、情報提供装置1が管理サーバ400にデータを送信し、このデータを管理サーバ400が端末装置100に送信してもよい。情報提供装置1とサービス事業者450との間のデータ通信、及び、端末装置100とサービス事業者450との間のデータ通信についても同様である。
【0021】
また、情報提供装置1と端末装置100とは、近距離無線通信手段を利用して、直接、通信を実行してもよい。具体的には、Wi-Fi(登録商標)DirectやBluetooth(登録商標)等の無線通信を利用する構成が挙げられる。
【0022】
[2.車両の構成]
図2を参照して、情報提供装置1が搭載された移動体Vの構成について説明する。本実施形態の移動体Vは、乗車定員5名の四輪自動車である。移動体Vは、運転席7a、助手席7b、リア右席7c、リア中央席7d、及びリア左席7eを備える。これら5つの座席7a~7eには、着座センサ70~74が設けられている。
【0023】
図2では、利用者Uが運転席7aに着座している状況を示す。移動体Vは、開閉可能な開閉部として、右前ドア2、左前ドア3、右後ドア4、左後ドア5、及び、テールゲート6を備える。右前ドア2、左前ドア3、右後ドア4及び左後ドア5を開くことにより移動体Vの車室空間への出入りが可能となる。テールゲート6は、移動体Vのトランクを開閉する。
【0024】
移動体Vは、ドアスイッチ60、61、62、63、64、及び、ロック機構80、81、82、83、84を備える。ドアスイッチ60は右前ドア2が開いているか否かを検知するスイッチ式のセンサである。同様に、ドアスイッチ61、62、63、64は、それぞれ、左前ドア3、右後ドア4、左後ドア5、及びテールゲート6が開いているか否かを検知するスイッチ式のセンサである。ロック機構80は、右前ドア2を、閉じた位置でロックする。また、ロック機構81、82、83、84は、それぞれ、左前ドア3、右後ドア4、左後ドア5、及びテールゲート6を、閉じた位置でロックする。
【0025】
移動体Vには、移動体Vの車室空間を撮影するカメラ95が設置される。カメラ95は、例えば、移動体Vの車室内の天井に設置され、前後左右を撮影する広角カメラ、或いは、全天球カメラ(360度カメラ)である。カメラ95は、移動体Vの車室内を撮影するデジタルカメラであればよく、例えば、移動体Vの車室内の前部に配置される広角カメラであってもよい。カメラ95は、撮影部の一例に対応する。
【0026】
移動体Vのダッシュボードには、タッチパネル90、スピーカ91、及び、マイク92が設置される。タッチパネル90は、文字や画像を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルへの接触を検出するタッチセンサーとが重畳された構成を有する。
【0027】
スピーカ91は、移動体Vの車室空間に音を出力する。マイク92は、音声を集音する。マイク92は、移動体Vに搭乗している人が発話する音声等、移動体Vの車室空間の音を集音する。スピーカ91及びマイク92の設置位置および数は任意に変更可能である。
【0028】
[3.情報提供装置の構成]
図3を参照して、情報提供装置1の構成について説明する。
情報提供装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、及び、プログラムやデータを記憶するメモリ20を備える。メモリ20は、半導体メモリデバイスや磁気的記録媒体で構成される記憶装置である。メモリ20は、CPU10が実行する制御用プログラム21、及び、CPU10により処理される各種のデータを記憶する。CPU10は、制御用プログラム21を実行することにより、情報提供装置1の各部を制御する。CPU10及びメモリ20は、不図示のインターフェイス回路を備えてもよい。
【0029】
図3に、CPU10が構成する機能部として、通信制御部11、表示制御部12、入力受付部13、音声処理部14、利用者行動認識部15、サービス情報出力部16、サービス依頼受付部17、及び、サービス対応部18を示す。これらの各機能部は、例えば、CPU10がプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。これらの各部の機能については後述する。
【0030】
CPU10には、タッチパネル90、スピーカ91、マイク92、GNSS(Global Navigation Satellite System)93、カメラ95、及び、通信ユニット97が接続される。
【0031】
GNSS93は、移動体Vの現在位置を測位する。移動体Vが不図示のカーナビゲーションシステムを搭載している場合、GNSS93として、カーナビゲーション装置が備えるGPS(Global Positioning System)ユニット等を利用してもよい。
【0032】
通信ユニット97は、アンテナ、RF回路、エンコーダ、デコーダ等を有する無線通信装置を備える。通信ユニット97は、通信ネットワーク500に接続してデータ通信を実行する。また、上述のように、通信ユニット97は、端末装置100と直接、Wi-Fi DirectやBluetooth通信を行う構成であってもよい。
【0033】
情報提供装置1は、ECU40(Electronic Control Unit)に接続される。ECU40は、移動体Vに搭載される電子デバイスを制御する制御装置である。ECU40は、ドアスイッチ60、61、62、63、64、及び、着座センサ70、71、72、73、74に接続される。ECU40は、ドアスイッチ60、61、62、63、64、及び、着座センサ70、71、72、73、74の検出値を取得する。ECU40は、取得した検出値を情報提供装置1に出力する。ECU40は、ロック機構80、81、82、83、84に接続される。ECU40は、情報提供装置1が出力する制御データに従って、ロック機構80、81、82、83、84を個別に解錠および施錠する。図3に示すECU40は複数のプロセッサで構成されてもよい。
【0034】
通信制御部11は、通信ユニット97を制御してデータ通信を行う。通信制御部11は、通信ユニット97によって受信したデータをメモリ20に記憶させる。
表示制御部12は、タッチパネル90に表示用の制御信号を出力し、文字や画像を含む画面をタッチパネル90に表示させる。
入力受付部13は、タッチパネル90に対する操作を検知することにより、利用者Uによる入力を受け付ける。
音声処理部14は、マイク92が集音した音のデジタル音声データを取得する。また、音声処理部14は、スピーカ91を駆動して音を出力させる。
【0035】
利用者行動認識部15は、利用者Uの行動を認識する。詳細には、利用者行動認識部15は、移動体Vに登場している人物の行動を認識して、その人物が、予め設定された特定行動を行うことを検知する。本実施形態で、特定行動は、人物が移動体Vから降車しようとする行動である。利用者行動認識部15は、例えば、カメラ95の撮影画像を取得し、撮影画像を解析することによって利用者Uの姿勢を認識し、認識した利用者Uの姿勢が特定行動に該当するか否かを判定する。また、例えば、利用者行動認識部15は、ドアスイッチ60、61、62、63、64の検出値に基づき、利用者Uに近い位置のドアが開かれたか否かを判定することによって、利用者Uが特定行動を行ったか否かを判定する。また、例えば、利用者行動認識部15は、着座センサ70、71、72、73、74の検出値に基づき、利用者Uが着座しているか否かを判定することによって、利用者Uが特定行動を行ったか否かを判定する。
【0036】
利用者行動認識部15は、複数種類のセンサの検出値の組み合わせや、センサの検出値と撮影画像の組み合わせを解析することによって、利用者Uが特定行動を行ったか否かを判定してもよい。また、利用者行動認識部15は、ECU40と通信を行うことによって、移動体Vのイグニッションスイッチのオン/オフ、アクセサリ電源のオン/オフ、或いは、移動体Vのメインスイッチのオン/オフを検知し、これらに基づき利用者Uの特定行動を判定してもよい。この場合、利用者行動認識部15は、移動体Vのイグニッションスイッチ、アクセサリ電源、及び、移動体Vのメインスイッチの少なくともいずれかがオフにされたことを契機として、利用者Uが、降車と推定される特定行動を行ったと判定する。
【0037】
サービス情報出力部16は、サービス予約情報22に基づいて、サービスに関する情報を出力する。サービス情報出力部16は、例えば、サービス予約情報22に含まれるサービスの内容や名称をタッチパネル90に表示させる。
サービス予約情報22は、端末装置100の操作によって予め設定されたサービスに関する情報を含む。サービス予約情報22は、例えば、サービスの名称、内容、サービスを実行するサービス事業者450に関する情報等を含む。また、サービス予約情報22は、サービスの実施日あるいは実施日時、サービスが提供される駐車場所Paの位置等を含んでもよい。
【0038】
サービス依頼受付部17は、サービス情報出力部16によって出力された情報に基づき、利用者Uがサービスを依頼する入力を行う場合に、この入力を受け付ける。サービス依頼受付部17は、受け付けた入力に基づき、サービス依頼情報23を生成する。サービス依頼情報23は、利用者Uが依頼を行ったサービスを特定する情報を含む。
【0039】
サービス対応部18は、プライバシー設定情報24に基づき、サービス事業者450が実施するサービスに対応する動作を実行する。例えば、サービス事業者450の作業者Eが移動体Vの車室空間に出入りする必要がある場合、サービス対応部18は、プライバシー設定情報24に従って、ロック機構80、81、82、83、84のいずれかを解錠する。
【0040】
プライバシー設定情報24は、サービス利用時の制限を定める情報である。サービス利用時の制限とは、例えば、サービスの提供に伴い移動体Vの開閉部を開く必要がある場合に、開かれる開閉部を特定の開閉部に限ることである。また、例えば、サービス利用時の制限として、サービスが提供されるとき、或いは、サービスが提供される前後の車室空間の撮影を義務付けることも可能である。
【0041】
[4.端末装置の構成]
図4を参照して、端末装置100の構成について説明する。
端末装置100は、CPU110、及び、プログラムやデータを記憶するメモリ130を備える。メモリ130は、半導体メモリデバイスや磁気的記録媒体で構成される記憶装置である。メモリ130は、CPU110が実行する制御用プログラム21、及び、CPU110により処理される各種のデータを記憶する。CPU110は、制御用プログラム21を実行することにより、情報提供装置1の各部を制御する。CPU110及びメモリ130は、不図示のインターフェイス回路を備えてもよい。
【0042】
図4に、CPU110が構成する機能部として、通信制御部111、表示制御部112、入力受付部113、音声処理部114、対象認識部115、予約受付部116、プライバシー設定部117、及び、サービス対応部118を示す。これらの各機能部は、例えば、CPU110がプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。これらの各部の機能については後述する。
また、対象認識部115、予約受付部116、プライバシー設定部117、及び、サービス対応部118の機能は、端末装置100にインストールされるアプリケーションプログラムとして実現されてもよい。すなわち、端末装置100にインストールされたサービス利用アプリケーションプログラムが起動すると、対象認識部115、予約受付部116、プライバシー設定部117、及びサービス対応部118の機能が実行される。
【0043】
CPU110には、通信モジュール141、タッチパネル142、スイッチ143、カメラ144、スピーカ145、及び、マイク146が接続される。
【0044】
通信モジュール141は、アンテナ、RF回路、エンコーダ、デコーダ等を有する無線通信装置を備える。通信モジュール141は、通信ネットワーク500に接続してデータ通信を実行する。また、上述のように、通信モジュール141は、情報提供装置1と直接、Wi-Fi DirectやBluetooth通信を行う構成であってもよい。
【0045】
タッチパネル142は、文字や画像を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルへの接触を検出するタッチセンサーとが重畳された構成を有する。
【0046】
スイッチ143は、情報提供装置1の筐体に設けられ、利用者Uが操作する各種のスイッチを含む。カメラ144は、情報提供装置1の筐体に設置されるデジタルカメラである。スピーカ145及びマイク146は、例えば利用者Uが情報提供装置1を利用して音声通話を行う際に利用される。
【0047】
通信制御部111は、通信モジュール141を制御してデータ通信を行う。通信制御部111は、例えば、サービス予約情報133、及び、プライバシー設定情報134を情報提供装置1に送信する。
表示制御部112は、タッチパネル142に表示用の制御信号を出力し、文字や画像を含む画面をタッチパネル142に表示させる。
入力受付部113は、タッチパネル142やスイッチ143に対する操作を検知することにより、利用者Uによる入力を受け付ける。
音声処理部114は、スピーカ145を駆動して音を出力させる処理、及び、マイク146が集音した音のデジタル音声データを取得する処理を実行する。
【0048】
対象認識部115は、カメラ144の撮影画像を解析することによって、情報提供システム200によるサービスの対象を認識する。例えば、対象認識部115は、利用者Uを撮影した画像に基づいて、利用者Uの属性を判定する。利用者Uの属性とは、例えば、性別、体格、体型、年齢層、ペットを飼っているか否かが挙げられる。また、例えば、対象認識部115は、利用者Uを撮影した画像に基づいて利用者Uの個人識別を行ってもよい。対象認識部115は、例えば、移動体Vの外観を撮影した画像に基づいて、移動体Vの属性を判定する。移動体Vの属性とは、例えば、二輪車であるか四輪車であるか、荷物を積載するスペースの有無、荷物を積載するスペースの大きさ、屋根の有無が挙げられる。対象認識部115は、移動体Vのナンバープレートを撮影した画像に基づいて、移動体Vの個体識別を行ってもよい。
【0049】
予約受付部116は、サービス候補情報132を参照し、対象認識部115が認識した対象に該当するサービスを特定する。サービス候補情報132は、サービスの対象となる人物や移動体と、利用可能なサービスとを対応付ける情報である。例えば、サービス候補情報132は、対象認識部115によって判定される利用者Uや移動体Vの属性と、利用可能なサービスに関する情報とを対応付けて含む。利用可能なサービスに関する情報は、例えば、サービスの名称、サービスの提供場所、サービスの提供時間帯、サービスの料金等を含む。予約受付部116は、サービス候補情報132に含まれるサービスを予約するための予約画面をタッチパネル142に表示させる。予約受付部116は、予約画面の表示中に入力受付部113によって受け付けた入力に従って、予約が指示された場合、サービス予約情報133を生成する。予約受付部116は、通信制御部111によってサービス予約情報133を情報提供装置1に送信させる。情報提供装置1は、サービス予約情報133を受信した場合、サービス予約情報22として記憶する。
【0050】
プライバシー設定部117は、利用者Uによって入力されるプライバシー設定を取得する。プライバシー設定は、例えば、サービスの予約と同時に行われる。予約受付部116が予約画面を表示中に、プライバシー設定に関する入力が行われた場合、プライバシー設定部117は入力内容に基づきプライバシー設定情報134を生成する。プライバシー設定情報134は、予約されたサービスに対応付けて、サービス利用時の制限を定める情報である。プライバシー設定部117は、通信制御部111によってプライバシー設定情報134を情報提供装置1に送信させる。情報提供装置1は、プライバシー設定情報134を受信した場合、プライバシー設定情報24として記憶する。
【0051】
サービス対応部118は、サービス事業者450が実施するサービスに対応する動作を実行する。本実施形態では、サービス事業者450がサービスを開始するとき、及び、サービスが完了したときに、情報提供装置1が端末装置100に通知を送信する。サービス対応部118は、情報提供装置1が送信するデータを受信し、サービスの実施状況を利用者Uに通知する。
【0052】
[5.情報提供システムの動作]
図5は、情報提供システム200の動作の概要を示すシーケンス図である。図5には情報提供装置1、端末装置100、及び、サービス事業者450の動作をそれぞれ示す。
【0053】
端末装置100の動作のうち、ステップSA2は対象認識部115により実行され、ステップSA3、SA4、SA5は予約受付部116により実行され、ステップSA6はプライバシー設定部117により実行される。ステップSA8はサービス対応部118により実行される。情報提供装置1の動作のうち、ステップSB3は対象認識部115により実行され、ステップSB4、SB5はサービス情報出力部16により実行され、ステップSB6、SB7はサービス依頼受付部17により実行される。ステップSB8はサービス対応部18により実行される。
【0054】
利用者Uは、サービスの利用を希望する場合、移動体Vに搭乗する前に端末装置100を操作する。端末装置100は、利用者Uの操作に従って、サービス利用アプリケーションプログラムを起動させる(ステップSA1)。端末装置100は、カメラ144を起動させて撮影を実行する(ステップSA2)。
【0055】
端末装置100は、サービスの対象を認識し、サービスの対象に適合するサービスの候補を表示する(ステップSA3)。詳細には、ステップSA3で、端末装置100は、ステップSA2で撮影した撮影画像を解析することにより、利用者Uおよび移動体Vの少なくともいずれかをサービスの対象として認識する。端末装置100は、サービス候補情報132を参照し、認識したサービスの対象に適合するサービスに関する情報を抽出し、サービス選択画面をタッチパネル142に表示させる。
【0056】
端末装置100は、サービス選択画面の表示中における利用者Uの操作を受け付けて、受け付けた操作に従ってサービスを選択する(ステップSA4)。ステップSA4では、例えば、サービス選択画面に表示される複数のサービスから、1つのサービスを選択する。
【0057】
端末装置100は、利用者Uの入力に従って、ステップSA4で選択したサービスの予約を受け付けて、サービス予約情報133を生成する(ステップSA5)。ステップSA5で、端末装置100は、サービスを予約するための予約画面をタッチパネル142に表示させ、予約画面に対する利用者Uの入力を受け付ける。
【0058】
図6及び図7は、端末装置100が表示する画面の例を示す図であり、図6は予約画面301を示し、図7は予約画面311を示す。予約画面301及び予約画面311は、ステップSA5でタッチパネル142に表示される画面の一例である。
【0059】
予約画面301、311の上部にはサービスの名称が表示される。ここに、サービスの内容やサービスを受けるための料金等が表示されてもよい。
【0060】
予約画面301、311は、クリーニングサービスを予約するための画面である。このクリーニングサービスは、サービス事業者450の作業者Eが、駐車中の移動体Vの車内から衣類を回収してクリーニングを行うサービスである。クリーニングされた衣類は、駐車中の移動体Vの車内に配達される。予約画面301は、衣類の回収に関する予約画面の一例であり、予約画面311は、衣類の配達に関する予約画面の一例である。本実施形態では、衣類を回収するサービスと、衣類を配達するサービスとは、それぞれ別のサービスとして予約及びプライバシー設定を行うことができる。
【0061】
予約画面301は、条件入力部302、プライバシー設定入力部303、プライバシー項目304、及び、操作ボタン305を有する。
条件入力部302は、サービスを受ける対象の移動体V、場所、日時を指定する情報を入力するための入力ボックスを有する。利用者Uは、端末装置100を操作して、条件入力部302に利用者Uが希望する条件を入力する。
【0062】
プライバシー設定入力部303は、サービス利用時の制限を利用者Uが入力するための領域である。プライバシー設定入力部303には、利用者Uが選択入力する項目がプライバシー項目304として表示される。予約画面301において、プライバシー項目304では、移動体Vにおいて衣類を置く場所を入力可能である。プライバシー項目304の入力内容は、プライバシー設定情報134に反映される。例えば、図6に示した例のように、衣類を置く場所としてトランクが指定された場合、プライバシー設定部117は、サービス利用時にテールゲート6のみを解錠するように、プライバシー設定情報134を生成する。
【0063】
操作ボタン305は、予約内容の確定を指示する操作部である。操作ボタン305が利用者Uによって操作されると、端末装置100は、サービス予約情報133及びプライバシー設定情報134を情報提供装置1に送信する。
【0064】
図7の予約画面311には、条件入力部312、プライバシー設定入力部313、プライバシー項目314、及び、操作ボタン315が配置される。これらの各部は、条件入力部302、プライバシー設定入力部303、プライバシー項目304、及び、操作ボタン305と同様である。
【0065】
予約画面311には、条件表示部316が配置される。条件表示部316は、サービスの利用に関して利用者Uが考慮すべき条件が表示される。図7の例では、利用者Uがサービスを受けることが可能な日時についての条件が表示される。
【0066】
図8は、端末装置100が表示する画面の例を示す図であり、通知画面321を示す。図6の操作ボタン305、及び、図7の操作ボタン315が操作されると、端末装置100は、後述するようにサービス予約情報133及びプライバシー設定情報134を情報提供装置1に送信する。端末装置100は、送信完了後に、通知画面321をタッチパネル142に表示する。
【0067】
通知画面321には、移動体Vが搭載する情報提供装置1に情報を送信したことを示すメッセージ322が配置される。また、通知画面321には、利用者Uがメッセージ322を確認したことを入力するための操作ボタン323が配置される。
【0068】
端末装置100は、図5のステップSA5で、操作ボタン305、315の操作に応じて、サービス予約情報133を生成する。さらに、端末装置100は、利用者Uが入力した内容に従って、プライバシー設定情報134を生成する(ステップSA6)。例えば、端末装置100は、プライバシー設定部117によって、プライバシー項目304、314に入力された内容に基づき、プライバシー設定情報134を生成する。
【0069】
端末装置100は、サービス予約情報133及びプライバシー設定情報134を、通信モジュール141によって情報提供装置1に送信する(ステップSA7)。
【0070】
情報提供装置1は、端末装置100からサービス予約情報133及びプライバシー設定情報134を通信ユニット97によって受信する(ステップSB1)。情報提供装置1は、受信したサービス予約情報133及びプライバシー設定情報134に基づいて、サービス予約情報22及びプライバシー設定情報24をメモリ20に記憶させる。情報提供装置1は、受信したサービス予約情報22に基づいて、利用者Uに対して利用を案内するサービスを登録する(ステップSB2)。
【0071】
情報提供装置1は、利用者Uの行動を識別し、利用者Uが特定行動を行ったことを検知する(ステップSB3)。本実施形態では、特定行動は、利用者Uが移動体Vから降車する行動、或いは、利用者Uが移動体Vから降車することが推定される行動である。情報提供装置1は、利用者Uの特定行動が検知されない間は、利用者Uの行動の識別を続けながら待機する。
【0072】
情報提供装置1は、ステップSB2で登録されたサービスに関して、特定行動が検知されない場合に、リマインドを行ってもよい。例えば、情報提供装置1は、利用者Uが移動体Vに搭乗したことを検知したときに、登録されたサービスに関して通知を行ってもよい。具体的には、ステップSB2で登録されたサービスが実行される日に、サービスについて忘れていないかを確認する通知を行う例が挙げられる。この場合の通知は、例えば、クリーニングサービスを依頼する予定があることを利用者Uが忘れていないかの確認、或いは、クリーニングサービスを依頼する衣類を持参したかどうかの確認を求めるメッセージを、タッチパネル90に表示する態様が挙げられる。この場合、利用者Uが、サービスの利用を失念してサービスを享受できなくなることを防止できる。特定行動を検知した場合に限らず、利用者Uにとって有用な情報を提供できる。
【0073】
情報提供装置1は、利用者Uの特定行動を検知すると、ステップSB2で登録されたサービスについて通知を行うか否かを判定する(ステップSB4)。情報提供装置1は、サービスに関する通知を行うと判定した場合は、後述するステップSB5に移行する。サービスに関する通知を行わないと判定した場合、情報提供装置1はステップSB5-SB8の動作を行わずに処理を終了する。
【0074】
ステップSB4で、情報提供装置1は、移動体Vの現在位置、および、特定行動を検知した日時の少なくともいずれかに基づく判定を行う。
移動体Vの現在位置に基づく判定を行う場合、情報提供装置1は、移動体Vの現在位置が、サービスを提供可能な場所に該当するか否かを判定する。サービスを提供可能な場所とは、サービス予約情報22によって指定されるサービス提供場所であり、このサービス提供場所を含む所定範囲内であってもよい。サービス提供場所は、例えば、予約画面301、311で条件入力部302、312に入力された情報により決定される。情報提供装置1は、移動体Vの現在位置が、サービスを提供可能な場所に該当する場合に、通知を行うと判定する。また、移動体Vの現在位置が、サービスを提供可能な場所に該当しない場合、情報提供装置1は、サービスに関する通知を行わないと判定する。
【0075】
特定行動を検知した日時に基づく判定を行う場合、情報提供装置1は、この日時がサービスを提供可能な時間帯に含まれるか否かを判定する。サービスを提供可能な時間帯とは、サービス予約情報22によって指定される時間帯である。例えば、予約画面311の条件表示部316には、サービスを提供する条件として日付および時間帯が表示される。情報提供システム200が提供するサービスには、利用可能な時間帯が指定されているサービスと、指定されていないサービスとが含まれてもよい。
情報提供装置1は、利用者Uの特定行動を検知した日時が、サービスを提供可能な時間帯に含まれる場合に、通知を行うと判定する。また、特定行動を検知した日時が、サービスを提供可能な時間帯に含まれない場合、情報提供装置1は、サービスに関する通知を行わないと判定する。
【0076】
ステップSB5で、情報提供装置1は、サービスの利用に関する通知を行う(ステップSB5)。例えば、情報提供装置1は、タッチパネル90に、サービス通知画面を表示する。
【0077】
図9は、情報提供装置1が表示する画面の例を示す図であり、ステップSB5で表示されるサービス通知画面331の一例を示す。
サービス通知画面331は、サービス通知部332、及び、操作ボタン333を含む。サービス通知部332は、文字や画像によって、利用者Uに対し、利用者Uが利用可能なサービスの内容を通知する。サービス通知部332に表示されるサービスは、ステップSB2で登録されたサービスである。
【0078】
操作ボタン333は、利用者Uがサービスの利用を依頼するための操作部である。利用者Uが操作ボタン333を操作すると、サービス通知部332に表示されたサービスの利用が正式に依頼される。
【0079】
情報提供装置1は、ステップSB5の通知に応じて利用者Uが行う入力を受け付ける。利用者Uによってサービスを依頼する入力がなされると、情報提供装置1は、サービスの依頼を受け付ける(ステップSB6)。
【0080】
情報提供装置1は、サービス事業者450に対してサービスを依頼する情報を送信する(ステップSB7)。ステップSB7で、情報提供装置1は、利用者Uが依頼したサービスを示すサービス依頼情報23を生成してメモリ20に記憶させる。
【0081】
サービス事業者450は、情報提供装置1が送信する情報に基づき、サービスの依頼を受信する(ステップSC1)。
【0082】
その後、サービスを実行する日時に、サービス事業者450は、サービスを実行する(ステップSC2)。情報提供装置1は、サービス事業者450の作業者Eがサービスを実行する際に、プライバシー設定情報24に従って、サービスに対応する動作を実行する(ステップSB8)。端末装置100は、情報提供装置1がステップSB8で実行する動作に対応する動作を行う(ステップSA8)。
【0083】
図10は、情報提供システム200の動作を示すシーケンス図であり、サービスの実行に関する動作を示す。図10に示す動作は、図5のステップSA8、SB8、SC2に相当する。
【0084】
図10に示す端末装置100の動作はサービス対応部118により実行され、情報提供装置1の動作はサービス対応部18により実行される。
【0085】
サービス事業者450の作業者Eは、サービスの依頼時に指定された場所に到着すると(ステップSC11)、携帯型装置460によってサービスIDを情報提供装置1に送信する(ステップSC12)。サービスIDは、情報提供装置1がサービス事業者450にサービスを依頼した際に付与される識別情報である。サービスIDは、サービスを依頼した情報提供装置1、及び、サービスの依頼を受けたサービス事業者450が共通して保持する。情報提供装置1は、例えば、サービスIDを、サービス依頼情報23に含めてメモリ20に記憶する。サービスIDは、1回のサービスに固有の情報である。すなわち、利用者Uまたは移動体V、サービスの提供場所、サービスの提供日時、サービスの内容、サービス事業者450の組み合わせに対して固有の情報である。携帯型装置460は、通信ネットワーク500を介して、或いは、直接の無線通信を行うことにより、情報提供装置1にサービスIDを送信する。
【0086】
情報提供装置1は、携帯型装置460が送信するサービスIDを受信し、サービス依頼情報23に含まれるサービスIDと照合する(ステップSB11)。ここで、情報提供装置1は、サービスIDが不一致の場合に、処理を終了する。サービスIDの照合に成功すると、情報提供装置1は、プライバシー設定情報24に従って、ロック機構80、81、82、83、84のいずれかを解錠する(ステップSB12)。
【0087】
ステップS12において、携帯型装置460が有するデジタルキーを利用して、移動体Vのロック機構80、81、82、83、84のロックを解除してもよい。例えば、情報提供装置1は、携帯型装置460と直接、無線通信を実行し、デジタルキーを授受してもよい。この場合、情報提供装置1は、携帯型装置460のデジタルキーが、サービスIDの紐付けられたデジタルキーであるか否かの認証を実行し、認証に成功した場合にロック機構80、81、82、83、84のロックを解除してもよい。また、移動体Vが、ECU40に接続された読取装置を備え、読取装置と携帯型装置460との間でNFC通信によってデジタルキーを送受信してもよい。
【0088】
作業者Eは、ドアロックが解錠されたことに対応して、移動体Vのドアを開く操作を行う(ステップSC13)。情報提供装置1は、ECU40からドアスイッチ60、61、62、63、64の検出値を取得することにより、ドアが開いたことを検知する(ステップSB13)。情報提供装置1は、監視機能を起動して、ドアが開いた後の移動体Vの車室空間をカメラ95によって撮影する(ステップSB14)。ステップSB14では、ドアが開いた直後に撮影を行うことが好ましい。情報提供装置1は、サービスが開始されたことを情報提供装置1に通知し、ステップSB14で撮影した撮影画像を端末装置100に送信する(ステップSB15)。
【0089】
端末装置100は、情報提供装置1が送信する通知および撮影画像を受信して、タッチパネル142に表示する(ステップSA11)。
【0090】
作業者Eは、衣類の回収や配達等、移動体Vにおける作業を終了すると、ドアを閉める(ステップSC15)。情報提供装置1は、ECU40からドアスイッチ60、61、62、63、64の検出値を取得することにより、ドアが閉じたことを検知する(ステップSB16)。情報提供装置1は、ドアが閉じた後の移動体Vの車室空間をカメラ95によって撮影する(ステップSB17)。ステップSB17では、ドアが閉じた直後に撮影を行うことが好ましい。情報提供装置1は、サービスが終了したことを情報提供装置1に通知し、ステップSB17で撮影した撮影画像を端末装置100に送信する(ステップSB18)。
端末装置100は、情報提供装置1が送信する通知および撮影画像を受信して、タッチパネル142に表示する(ステップSA11)。
【0091】
図10に示す例では、プライバシー設定情報24により、ドアの開閉時にカメラ95により撮影を行い、撮影画像を端末装置100に送信するよう定められている例を説明した。情報提供装置1では、例えば、プライバシー設定情報24によって、撮影を省略するよう設定することも可能である。また、例えば、プライバシー設定情報24によって、ドアが開いたことを検知してからドアが閉じたことを検知するまで、動画を撮影するよう設定することも可能である。
【0092】
[6.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、発明が適用される形態を限定するものではない。
例えば、上記実施形態では、移動体Vの一例として四輪自動車を例示したが、移動体Vは、二輪車両、飛行体、船体等、種々の乗用の移動体とすることができる。
また、上記実施形態で、情報提供装置1は、特定行動を検知した場合にタッチパネル90を用いて通知を行うものとして説明した。情報提供装置1は、スピーカ91による音の出力を利用してサービスの通知を行ってもよい。また、音の出力とタッチパネル90による表示の両方を利用してもよい。
【0093】
また、情報提供装置1は、移動体Vに固定的に設置されるものに限定されない。すなわち、通知を行う装置であるタッチパネル90やスピーカ91、及び、撮影を行うカメラ95が移動体Vに設置されていれば、その他の構成は任意に変更可能である。例えば、上記実施形態で説明した情報提供装置1のCPU10が実行する動作の一部を、端末装置100と同様の装置により実現してもよい。
【0094】
なお、図3及び図4は、本願発明の理解を容易にするために、情報提供装置1及び端末装置100の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、情報提供装置1及び端末装置100の構成を限定するものではない。例えば、CPU10が備える構成要素の処理を、1つのハードウェアユニットにより実行してもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行してもよい。CPU110についても同様である。また、図5及び図10に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
また、CPU10が実行する制御用プログラム21は、可搬型の情報記録媒体に制御用プログラム21を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリーやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。情報提供装置1は、情報記録媒体から制御用プログラム21を読み出して実行してもよい。制御用プログラム131も同様に、可搬型の情報記録媒体に記録させた状態とすることができる。
【0095】
[6.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0096】
(第1項)移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、を備え、前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を出力する、情報提供システム。
第1項の情報提供システムによれば、利用者が移動体に搭乗する前に設定したサービスに関する情報を、利用者の特定行動に対応して出力する。これにより、移動体を利用する利用者に対し、利用者にとって有用な情報を提供できる。また、不要な情報を提供することが少なくなるため、効率よく情報を提供できる。
【0097】
(第2項)前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの前記移動体の位置に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する、第1項に記載の情報提供システム。
第2項の情報提供システムによれば、不必要なサービスに関する通知を抑制できる。
【0098】
(第3項)前記サービス情報出力部は、前記利用者行動認識部によって前記特定行動が認識されたときの時刻または前記時刻を含む時間帯に基づき、前記サービス情報を出力するか否かを決定する、第1項または第2項に記載の情報提供システム。
第3項の情報提供システムによれば、不必要なサービスに関する通知を抑制できる。
【0099】
(第4項)前記移動体は開閉可能な開閉部を有し、前記開閉部には、前記開閉部を閉じた位置でロックするロック機構が設けられ、前記情報提供システムは、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記ロック機構によるロックを解除する開閉制御部を備える、第1項から第3項のいずれか1項に記載の情報提供システム。
第4項の情報提供システムによれば、サービスと無関係に開閉部が開閉されることを防止できるので、セキュリティ面における信頼性、及び、プライバシーを確保できる。
第4項の情報提供システムにおいて、前記開閉部は、前記移動体に設けられる複数の開閉扉であり、前記開閉制御部は、前記ロック機構によって、複数の前記開閉扉のうち、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に対応する前記開閉扉のロックを解除させる構成であってもよい。この構成によれば、複数の開閉部のうち、サービスに関する開閉部を開閉可能とし、サービスに関係ない開閉部のロックを解除しない動作を実現できる。このため、セキュリティ面における信頼性をより一層、高めることができる。
【0100】
(第5項)前記移動体を撮影する撮影部を備え、前記サービス依頼受付部が受け付けた前記依頼に基づいて前記サービスが提供されるときに前記撮影部によって撮影した撮影画像を端末装置に送信する、第1項から第4項のいずれか1項に記載の情報提供システム。
第5項の情報提供システムによれば、サービスを利用するために第三者が移動体に対して作業を行う様子を、利用者に知らせることができる。これにより、サービスの利用に関して利用者に安心感を与えることができる。
【0101】
(第6項)前前記サービス依頼受付部は、サービスの提供の日または日時を指定する前記依頼を受け付け、前記サービス情報出力部は、前記依頼によって指定された日または日時に合わせて、前記サービスの実行を通知する、第1項から第5項のいずれか1項に記載の情報提供システム。
第6項の情報提供システムによれば、利用者がサービスの利用を失念した場合等に、サービスを享受できない事態を防止でき、利便性の向上を図ることができる。
【0102】
(第7項)移動体に搭乗している利用者の行動を認識する利用者行動認識部と、前記利用者行動認識部によって、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスに関するサービス情報を出力するサービス情報出力部と、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付けるサービス依頼受付部と、を備え、前記サービス情報出力部は、前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関する前記サービス情報を、前記移動体に設置された出力装置によって出力させる、情報提供装置。
第7項の情報提供システムによれば、利用者が移動体に搭乗する前に設定したサービスに関する情報を、利用者の特定行動に対応して出力する。これにより、移動体を利用する利用者に対し、利用者にとって有用な情報を提供できる。また、不要な情報を提供することが少なくなるため、効率よく情報を提供できる。
【0103】
(第8項)出力装置によって情報を出力する情報提供方法であって、移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力し、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、情報提供方法。
第8項の情報提供方法によれば、利用者が移動体に搭乗する前に設定したサービスに関する情報を、利用者の特定行動に対応して出力する。これにより、移動体を利用する利用者に対し、利用者にとって有用な情報を提供できる。また、不要な情報を提供することが少なくなるため、効率よく情報を提供できる。
【0104】
(第9項)出力装置によって情報を出力する情報提供装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、前記コンピュータにより、移動体に搭乗している利用者の行動を認識し、前記利用者が前記移動体から降りると推定される特定行動が認識されたときに、前記利用者が利用可能なサービスであって前記利用者が前記移動体に搭乗する前に端末装置によって設定したサービスに関するサービス情報を、前記出力装置によって出力させ、前記サービス情報に基づくサービスの依頼を受け付ける、ためのプログラム。
第9項のプログラムによれば、利用者が移動体に搭乗する前に設定したサービスに関する情報を、利用者の特定行動に対応して出力する。これにより、移動体を利用する利用者に対し、利用者にとって有用な情報を提供できる。また、不要な情報を提供することが少なくなるため、効率よく情報を提供できる。
【符号の説明】
【0105】
1…情報提供装置、2…右前ドア(開閉部)、3…左前ドア(開閉部)、4…右後ドア(開閉部)、5…左後ドア(開閉部)、6…テールゲート(開閉部)、10…CPU、11…通信制御部、13…入力受付部、14…音声処理部、15…利用者行動認識部、16…サービス情報出力部、17…サービス依頼受付部、18…サービス対応部、20…メモリ、21…制御用プログラム(プログラム)、22…サービス予約情報、23…サービス依頼情報、24…プライバシー設定情報、40…ECU、60、61、62、63、64…ドアスイッチ、80、81、82、83、84…ロック機構、90…タッチパネル、91…スピーカ、95…カメラ(撮影部)、100…端末装置、110…CPU、111…通信制御部、113…入力受付部、114…音声処理部、115…対象認識部、116…予約受付部、117…プライバシー設定部、118…サービス対応部、130…メモリ、132…サービス候補情報、133…サービス予約情報、134…プライバシー設定情報、141…通信モジュール、142…タッチパネル、143…スイッチ、144…カメラ、200…情報提供システム、400…管理サーバ、450…サービス事業者、460…携帯型装置、500…通信ネットワーク、Pa…駐車場所、V…移動体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10