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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】加熱機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20241021BHJP
   H01H 13/70 20060101ALI20241021BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H01H13/14 B
H01H13/70
A47J27/00 103R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021017418
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120494
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏季
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋平
(72)【発明者】
【氏名】西山 潤
(72)【発明者】
【氏名】野間 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 有希
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-201810(JP,A)
【文献】特開平01-225022(JP,A)
【文献】実開昭56-068930(JP,U)
【文献】特開2004-313572(JP,A)
【文献】特開2019-186115(JP,A)
【文献】特開2017-042538(JP,A)
【文献】特開2002-300960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
A47J 27/00 - 27/13
A47J 27/20 - 29/06
A47J 33/00 - 36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気口と、
前記蒸気口から吹き出て跳ね返った蒸気が少なくとも一部に当たる領域に設けられており、周壁によって画定された開口部と、前記開口部を塞ぐように前記周壁の外側端に設けられた弾性的に変形可能な操作部とを有する操作パネル部と、
前記操作パネル部の内側に間隔をあけて配置されており、前記操作部に対応するスイッチを有する回路基板と、
前記操作パネル部と前記回路基板の間に配置されており、前記操作部と前記スイッチの間に介在するスペーサを有するスペーサユニットと、
前記周壁内に少なくとも一部が配置され、変形した前記操作部が当接可能なリブと
を備え
前記スペーサユニットは、基部と、前記基部から突出した弾性片とを有し、
前記スペーサは、前記弾性片の先端に一体に設けられており、
前記リブは、前記基部のうち前記弾性片以外の部分から前記操作部に向けて突出した断続的な筒状に形成されている、加熱機器。
【請求項2】
前記操作部と前記リブの間隔は以下を満たす、請求項1に記載の加熱機器。
0≦D1≦D2+D3
D1:操作部とリブの間隔
D2:操作部とスペーサの間隔
D3:スイッチとスペーサの間隔
【請求項3】
前記操作部、前記スイッチ及び前記スペーサからなるスイッチセットが複数設けられており、
前記リブは、複数の前記スイッチセットのうち、少なくとも前記蒸気口に最も近い第1スイッチセットに設けられている、
請求項1又は2に記載の加熱機器。
【請求項4】
前記リブは、前記周壁のうち少なくとも前記蒸気口に最も近い部分に設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱機器。
【請求項5】
前記リブは、前記基部から前記回路基板に向けて突出して前記回路基板に支持される脚部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の加熱機器。
【請求項6】
前記回路基板を収容する収容凹部を有する外装体を備え、
前記収容凹部には、前記回路基板の底面を支持する支持リブが設けられ、
前記スペーサユニットの前記基部には、前記回路基板に支持される第1支持部と、弾性的に変形した前記操作パネル部を支持可能な第2支持部とが設けられ、
前記支持リブ、前記第1支持部及び前記第2支持部が直線上に設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加熱機器。
【請求項7】
調理物を収容する鍋と、前記鍋の上端開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記操作パネル部及び前記蒸気口はいずれも前記蓋体の天面パネルに設けられ、前記回路基板及び前記スペーサユニットはいずれも前記天面パネルの内側に配置されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の加熱機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱機器の1つである炊飯器が開示されている。この炊飯器は、炊飯操作等を行うための操作パネル部を備える。操作パネル部には開口部が設けられ、この開口部の外側は弾性変形可能な操作部によって塞がれている。操作部のプッシュ操作によって、スペーサを介して回路基板に実装したスイッチが操作され、炊飯処理等の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-186115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炊飯器は、炊飯中に生じる蒸気を排出する蒸気口を備える。例えば、専用の収納部を備える食器棚に炊飯器が設置されている場合、蒸気口から吹き出た蒸気が収納部の天面(対向物)で跳ね返って操作パネル部に当たり、蒸気の熱で操作部が塑性変形する虞がある。操作部の塑性変形量が大きい場合、操作部の操作ストロークが過度に変化するため、操作部の操作性低下を招来する。特許文献1では、操作部に生じ得る塑性変形による操作性低下について、何も考慮されていない。
【0005】
本発明は、操作部に生じ得る塑性変形量を低減でき、操作部の操作性低下を抑制できる加熱機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、蒸気口と、前記蒸気口から吹き出て跳ね返った蒸気が少なくとも一部に当たる領域に設けられており、周壁によって画定された開口部と、前記開口部を塞ぐように前記周壁の外側端に設けられた弾性的に変形可能な操作部とを有する操作パネル部と、前記操作パネル部の内側に間隔をあけて配置されており、前記操作部に対応するスイッチを有する回路基板と、前記操作パネル部と前記回路基板の間に配置されており、前記操作部と前記スイッチの間に介在するスペーサを有するスペーサユニットと、前記周壁内に少なくとも一部が配置され、変形した前記操作部が当接可能なリブとを備える、加熱機器を提供する。
【0007】
本態様では、操作パネル部の周壁内に少なくとも一部が配置され、変形した操作部が当接可能なリブを備える。これにより、内向きに変形する操作部は、当接するリブの頂部を支点として内向きに撓むため、リブが無い場合と比較して変位量が小さくなる。そのため、蒸気の熱で操作部に塑性変形が生じたとしても、操作部の操作ストロークの変化を抑えることができる。よって、操作部の操作性低下を抑制できる。
【0008】
前記操作部と前記リブの間隔は以下を満たす。
[数1]
0≦D1≦D2+D3
D1:操作部とリブの間隔
D2:操作部とスペーサの間隔
D3:スイッチとスペーサの間隔
【0009】
本態様では、操作部とリブの間隔D1が、0(ゼロ)以上で、操作部とスペーサの間隔D2とスイッチとスペーサの間隔D3とを加算した値以下である。よって、操作部に塑性変形が生じた場合、リブに操作部が確実に当接するため、操作部の操作ストロークの変化を最小限に抑えることができる。
【0010】
前記操作部、前記スイッチ及び前記スペーサからなるスイッチセットが複数設けられており、前記リブは、複数の前記スイッチセットのうち、少なくとも前記蒸気口に最も近い第1スイッチセットに設けられている。
【0011】
本態様では、リブは、複数のスイッチセットのうち、蒸気口に最も近い第1スイッチセットに設けられている。蒸気口に最も近い第1スイッチセットは蒸気が最も当たり易い領域であるため、この第1スイッチセットにリブを設けることで、第1スイッチセットの操作部の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0012】
前記リブは、前記周壁のうち少なくとも前記蒸気口に最も近い部分に設けられている。
【0013】
本態様では、リブは、周壁のうち蒸気口に最も近い部分に設けられている。蒸気口に最も近い部分は最も塑性変形が生じ得る部分であるため、この部分にリブを設けることで、操作部の変位量を低減でき、操作部の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0014】
前記スペーサユニットは、基部と、前記基部から突出した弾性片とを有し、前記スペーサは、前記弾性片の先端に一体に設けられており、前記リブは、前記基部に設けられ、前記操作部に向けて突出している。
【0015】
本態様では、リブがスペーサユニットの基部に設けられている。そのため、操作部の操作性低下を抑制するために、加熱機器の部品点数が増加することを防止できる。よって、部品点数増加に伴う加熱機器の組立性低下も防止できる。
【0016】
前記リブは、前記基部から前記回路基板に向けて突出して前記回路基板に支持される脚部を備える。
【0017】
本態様では、リブが回路基板に支持される脚部を備える。そのため、操作部の操作によってスペーサが押された際、スペーサユニットの基部がスペーサと一緒に移動することを防止できる。よって、操作パネル部が複数のスイッチセットを備える場合、1つのスイッチセットの操作部の操作によって、他のスイッチセットのスイッチが一緒に操作されることを防止できる。
【0018】
前記回路基板を収容する収容凹部を有する外装体を備え、前記収容凹部には、前記回路基板の底面を支持する支持リブが設けられ、前記スペーサユニットの前記基部には、前記回路基板に支持される第1支持部と、弾性的に変形した前記操作パネル部を支持可能な第2支持部とが設けられ、前記支持リブ、前記第1支持部及び前記第2支持部が直線上に設けられている。
【0019】
本態様では、収容凹部に形成された支持リブ、及びスペーサユニットに形成された第1支持部と第2支持部が、直線上に配置されている。これらによって、操作パネル部と収容凹部の間には、収容凹部の底面から操作パネル部にかけて延びる支持柱が形成される。この支持柱によって、操作パネル部に外力が加わった際、操作パネル部が弾性的に撓むことが可能な変位量を低減できる。よって、操作部の操作ストロークと同等の変位量で操作パネル部が撓むことを防止できるため、操作パネル部に外力が加わった際のスイッチの誤作動を防止できる。
【0020】
調理物を収容する鍋と、前記鍋の上端開口を塞ぐ蓋体とを備え、前記操作パネル部及び前記蒸気口はいずれも前記蓋体の天面パネルに設けられ、前記回路基板及び前記スペーサユニットはいずれも前記天面パネルの内側に配置されている。
【0021】
本態様の加熱機器は、鍋と蓋体とを備える調理器であり、操作パネル部と蒸気口は蓋体の天面パネルに設けられ、回路基板とスペーサユニットは天面パネルの内側に配置されている。このような調理器は、専用の収納部を備える食器棚に設置される場合があり、収納部の天面で跳ね返った蒸気の熱で操作部が塑性変形する可能性が他の加熱機器よりも高いが、本態様では、たとえ操作部に塑性変形が生じたとしても、操作部の操作性低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の加熱機器では、操作部に生じ得る塑性変形量を低減でき、操作部の操作性低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る加熱機器である調理器の斜視図。
図2図1の蓋体を開放した状態を示す斜視図。
図3図1の蓋体の分解斜視図。
図4図3の蓋体の一部を分解した斜視図。
図5図1のV-V線で切断した蓋体の一部断面図。
図6図5のVI部分を拡大した断面図。
図7】蓋カバーの平面図。
図8】回路基板とスペーサユニットの分解斜視図。
図9】スペーサユニットの平面図。
図10】第1変形例に係る加熱機器における図5と同様の断面図。
図11】第2変形例に係る加熱機器における図5と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0025】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る加熱機器の一例である調理器10を示す。図1及び図2を参照すると、調理器10は、出汁や水を含む調理物が収容される調理鍋15と、調理鍋15が着脱可能に配置される調理器本体20と、調理器本体20に開閉可能に取り付けられた蓋体30とを備える。
【0026】
調理器10では、調理鍋15を調理器本体20に配置し、調理器本体20に対して蓋体30を閉じた後、蓋体30が備える操作パネル部53を操作することによって、図示しない制御部によって調理物の調理が行われる。調理中に発生した調理鍋15内の蒸気は、蓋体30が備える蒸気通路34を通って外部へ吹き出る。本実施形態では、対向物で跳ね返った蒸気による操作パネル部53の操作部54の塑性変形量を低減し、操作部54の操作性低下を抑制する。
【0027】
以下、調理器10の構成を具体的に説明する。
【0028】
図2を参照すると、調理鍋15は、有底筒状であり、電磁誘導によって加熱される磁性材料によって形成されている。但し、調理鍋15は、ヒータを備える加熱板によって加熱されてもよい。
【0029】
図1及び図2を参照すると、調理器本体20は、上端を開口した本体外装体21と、本体外装体21の開口を塞ぐ肩体22とを備える。肩体22の背部には、蓋体30を回転可能に取り付けるヒンジ接続部23が設けられている。
【0030】
調理器本体20には、調理鍋15を収容する収容部24が形成されている。収容部24は、調理鍋15よりも一回り大きい有底筒状である。収容部24の外側、つまり本体外装体21と収容部24の間の調理器本体20内には、調理鍋15を加熱する加熱部としてコイル(図示せず)が配置されている。制御部による制御によりコイル(加熱部)に高周波電流を通電し、渦電流を発生させることによって、調理鍋15が誘導加熱される。
【0031】
図2及び図3を参照すると、蓋体30は、蓋本体31と蓋外装体32を備える。蓋本体31は、調理器本体20のヒンジ接続部23に回転可能に接続するための接続部31aを備える。蓋外装体32は、蓋本体31に取り付けられ、蓋本体31と一体化される。
【0032】
蓋本体31と蓋外装体32の間には所定間隔の配置スペースが確保されている。この配置スペースには、蒸気通路34を構成するダクト部材35と、調理器本体20に対して蓋体30を閉じた状態に保持するロック部材37とが配置されている。
【0033】
ダクト部材35は、蓋本体31のうち調理鍋15の上方に位置するように設けられた開口部31bに取り付けられている。開口部31bは蒸気通路34の入口を構成する。蓋本体31は調理鍋15の開口を密閉する内蓋(図示せず)を備え、この内蓋によって開口部31bが覆い隠される。ダクト部材35には蒸気口部材36が取り付けられており、この蒸気口部材36が蓋外装体32に設けられた開口部32aに配置されている。蒸気口部材36に形成された蒸気口36aは、蓋外装体32の天面で外部に向けて開口している。
【0034】
引き続いて図2及び図3を参照すると、ロック部材37は、蓋本体31の正面側に取り付けられ、調理器本体20の係止部25に離脱可能に係止する。係止部25に対するロック部材37の係止解除は、操作部材38の操作によって行われる。操作部材38は、蓋外装体32に取り付けられ、開口部32bから外部に露出している。
【0035】
図1及び図3を参照すると、蓋外装体32には操作ユニット50が設けられている。より具体的には、図4に示すように、蓋外装体32は、蓋カバー40と、蓋カバー40の天面を塞ぐ天面パネル42とを備える。操作ユニット50は、操作パネル部53、回路基板55、及びスペーサユニット58を備える。操作パネル部53は天面パネル42に形成されている。回路基板55とスペーサユニット58は、天面パネル42の内側に配置されている。
【0036】
以下、操作ユニット50について具体的に説明する。
【0037】
図4から図6を参照すると、操作ユニット50は、操作パネル部53が備える操作部54と、回路基板55が備えるスイッチ56と、スペーサユニット58が備えるスペーサ60とで構成されたスイッチセット51を複数備える。
【0038】
回路基板55及びスペーサユニット58を配置する蓋カバー40は、例えばPP、ABS等の樹脂によって形成されている。図4を参照すると、蓋カバー40には、天面パネル45を配置する凹部40aと、天面パネル45をネジ止めして取り付けるためのネジ止め部40bとが設けられている。
【0039】
図4図5及び図6を参照すると、蓋カバー40には、蒸気口部材36を配置した部分と操作部材38を配置した部分との間に、回路基板55とスペーサユニット58を収容する収容凹部41が形成されている。収容凹部41は、底面41aと、底面41aの外周部に連なって操作パネル部53に向けて延びる外周面41bとで画定されている。図4及び図7を参照すると、収容凹部41には、複数の位置決めリブ41c、複数の支持リブ41d,41e、及び1つの係止爪部41fが設けられている。
【0040】
位置決めリブ41cは、底面41aから外周面41bにかけて設けられている。位置決めリブ41cは、底面41aに対して間隔をあけて回路基板55を配置するとともに、底面41aに沿った横方向の回路基板55の移動を規制する。
【0041】
第1支持リブ41dと第2支持リブ41eはいずれも、底面41aから突出した突片であり、回路基板55の底面を支持する。本実施形態では、第1支持リブ41dが4個設けられ、第2支持リブ41eが2個設けられている。第1支持リブ41dはそれぞれ、回路基板55を支持するだけでなく、後述する支持部59f,59gと協働して操作パネル部53を支持する支持柱としても機能する(図6参照)。第2支持リブ41eは、回路基板55を支持するだけで、支持柱として機能しない。
【0042】
係止爪部41fは、底面41aから突出しており、回路基板55の上面外周部に弾性的に係止する。係止爪部41fは、複数の支持リブ41d,41eと協働して、底面41aに対して交差する縦方向の回路基板55の移動を規制する。
【0043】
図4から図6を参照すると、操作パネル部53を形成する天面パネル45は、板状であり、蓋カバー40にネジ止めして取り付けるためのボス46を備える。天面パネル45には、前述したように、蒸気口部材36を配置する開口部32aと、操作部材38を配置する開口部32bとが設けられている。また、天面パネル45には、液晶表示器44の表示を透過させる窓部47と、調理器10を操作するための操作パネル部53とが設けられている。
【0044】
天面パネル45のうち窓部47以外の部分は、内部を透視できない不透明な樹脂によって形成されている。窓部47は、回路基板55に配置された液晶表示器48の表示を透視できる透明な樹脂によって形成されている。つまり、天面パネル45は、不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bとを備える。
【0045】
不透明樹脂部45aの形成にはABSを使用できる。透明樹脂部45bの形成にはABSを使用できる。不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bの厚みは、外力によって簡単には撓まない程度の剛性を確保できる寸法(例えば3mm)に設定されている。ここで、簡単には撓まない程度とは、ユーザによる蓋体30の通常閉操作時の操作力では撓まないことを意図しており、そのような操作力を超える力が加わった場合には、不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bは弾性的に撓むことがある。
【0046】
図6に最も明瞭に示すように、天面パネル45は更に、不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bの外面に被覆層45cを備える。被覆層45cは、PET樹脂フィルムからなり、弾性的に変形可能な厚み(例えば2mm)を有する。被覆層45cは、前述した開口部32a,32b以外の不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bの全外表面を覆っている。
【0047】
天面パネル45は、例えばインサート成型によって製造される。具体的には、被覆層45cを構成する樹脂フィルムと、透明樹脂部45bを構成する透明樹脂板を金型内にセットした後、型締めして不透明樹脂材料を射出する。これにより、不透明樹脂部45a、透明樹脂部45b及び被覆層45cを一体化した天面パネル45が成型される。
【0048】
図4から図6を参照すると、操作パネル部53は、窓部47の周囲に形成されている。操作パネル部53は複数の操作部54を備えており、本実施形態では、窓部47の正面側に3個、窓部47の両側にそれぞれ2個、合計で7個の操作部54を備える。
【0049】
不透明樹脂部45aには開口部53aが設けられており、操作部54は開口部53aを塞いだ被覆層45cの一部によって構成されている。言い換えれば、操作パネル部53には開口部53aが設けられ、この開口部53aを画定する周壁53bの外側端を塞ぐように、弾性的に変形可能な操作部54が設けられている。
【0050】
例えば蒸気口36aの上方の10mm以内に対向物(壁)が存在する場合、操作パネル部53が形成された領域には、蒸気口36aから吹き出て対向物で跳ね返った蒸気が当たる。蒸気が操作部54に当たると、蒸気の熱によって操作部54が内側へ窪むように塑性変形する可能性がある。本実施形態では、周壁53b内にリブ63,64を設けることで、たとえ操作部54に塑性変形が生じたとしても、その塑性変形量を低減できるようにする。なお、リブ63,64については後で詳述する。
【0051】
引き続いて図4から図6を参照すると、回路基板55は、蓋カバー40の収容部24に収容され、操作パネル部53の内側、つまり天面パネル45の内側に間隔をあけて配置されている。回路基板55は、絶縁性を有する基板上に銅箔等の導電性を有する導電部(図示せず)を所定パターンで敷設した構成である。
【0052】
回路基板55のうち、複数の操作部54と対応する位置にはそれぞれスイッチ56が配置されている。図4を参照すると、本実施形態では、複数の操作部54のうちの1個には、2個のスイッチ56が配置されている。スイッチ56は、導電部に電気的に接続され、操作受部56aの作動によってオンオフ状態が切り替わる。このようなスイッチ56としては、例えばタクトスイッチを使用できる。
【0053】
図4及び図8を参照すると、回路基板55には、スペーサユニット58を係止する複数の第1係止孔55aと、スペーサユニット58の挿通部59eを挿通する複数の挿通孔55bとが設けられている。また、回路基板55には、液晶表示器48を保持する液晶ホルダ49を係止する複数の第2係止孔55cと、液晶ホルダ49を位置決めする複数の位置決め孔55dとが設けられている。
【0054】
引き続いて図4から図6を参照すると、スペーサユニット58は、操作パネル部53と回路基板55の間に配置されている。スペーサユニット58は、操作部54とスイッチ56との間に介在するスペーサ60を備える。図8及び図9を参照すると、スイッチ56と同様に、複数の操作部54のうちの1個には、2個のスペーサ60が配置されている。よって、スイッチ56及びスペーサ60それぞれの数は、操作部54の数よりも1個多い。
【0055】
以下の説明では、2個のスペーサ60を配置する操作部を54Aといい、操作部54A以外の操作部54に配置するスペーサを60Aといい、操作部54Aに配置する2個のスペーサを60Bということがある。
【0056】
引き続いて図8及び図9を参照すると、スペーサユニット58は、1つの基部59と、複数のスペーサ60とを備え、これらを弾性片61によって一体構造とした樹脂成形品である。
【0057】
基部59は、回路基板55及び操作パネル部53それぞれに対して間隔をあけて配置されている(図6参照)。基部59は、第1部分59a、第2部分59b及び第3部分59cを備える。第1部分59aは、窓部47の正面側に間隔をあけて位置し、左右に延びている。第2部分59bは、窓部47の左側に間隔をあけて位置し、前後に延びている。第3部分59cは、窓部47の右側に間隔をあけて位置し、第2部分59bに沿って前後に延びている。
【0058】
基部59には、回路基板55のうち、複数の第1係止孔55aにそれぞれ弾性的に係止する複数の係止片59dと、複数の挿通孔55bにそれぞれ挿通される複数の挿通部59eとが設けられている。
【0059】
基部59には、第1支持部59fと第2支持部59gが設けられている。図6を参照すると、第1支持部59fと第2支持部59gは、複数の第1支持リブ41dと対応する位置にそれぞれ設けられ、第1支持リブ41dと協働して操作パネル部53を支持する支持柱として機能する。
【0060】
第1支持部59fは、回路基板55に向けて突出し、回路基板55に支持される。具体的には、第1支持部59fの先端(下端)は、組立状態で回路基板55の付近に位置する。付近に位置するとは、組立公差によって回路基板55に対して間隔をあけて位置する状態を意味しており、回路基板55に当接した状態、及び実質的に回路基板55に当接した状態が含まれる。
【0061】
第2支持部59gは、操作パネル部53に向けて突出し、弾性的に変形した操作パネル部53が当接可能である。具体的には、第2支持部59gの先端(上端)は、組立状態で操作パネル部53の近傍に位置する。より具体的には、第2支持部59gの先端は、操作パネル部53に対して定められた間隔をあけて位置している。この間隔は、外力の過負荷によって操作パネル部53が弾性的に変形した際、操作パネル部53が当接し、操作パネル部53を支持可能な距離(例えば0.2~0.3mm)に設定されている。
【0062】
基部59のうち、スペーサ60Aを設ける部分には開口部59hが設けられている。基部59の第3部分59cのうち、スペーサ60Bを設ける部分には、開口部59hは設けられていない。
【0063】
図4から図6を参照すると、複数のスペーサ60はいずれも、操作部54とスイッチ56の間に配置され、操作部54の操作力をスイッチ56にそれぞれ伝達する。図9を参照すると、スペーサ60Aは開口部59h内に設けられ、スペーサ60Bは基部59の第3部分59cに隣接して設けられている。スペーサ60Aの外形は、操作部54の外形、つまり操作パネル部53の周壁53bよりも一回り小さい。2個のスペーサ60Bをあわせた外形は、操作部54Aに対応する操作パネル部53の周壁53bよりも一回り小さい。
【0064】
スペーサ60はいずれも、回路基板55に沿って延びる基板60aを備える。基板60aには、格子状をなすように上向きに突出した突出部60bが設けられ、この突出部60bの上部が操作パネル部53の周壁53b内に配置されている。また、個々の基板60aには下向きに突出した押圧部60cが設けられ、この押圧部60cがスイッチ56を押圧して作動させる。
【0065】
弾性片61は基部59から突出し、その先端にスペーサ60が連なっている。弾性片61は、個々のスペーサ60に対して2本ずつ設けられている。弾性片61は、弾性を付与するために基部59よりも薄く形成され、操作パネル部53と回路基板55との間におけるスペーサ60の移動を許容する。
【0066】
図6及び図9を参照すると、操作部54、スイッチ56及びスペーサ60Aからなるスイッチセット51にはそれぞれ、変形した操作部54が当接可能なリブ63が設けられている。操作部54A、スイッチ56及びスペーサ60Bからなるスイッチセット51にも、変形した操作部54Aが当接可能なリブ64が設けられている。操作部54,54Aの変形には、ユーザのプッシュ操作による弾性的な変形、及び熱が加わることによる塑性変形の両方が含まれる。
【0067】
スペーサ60Aのリブ63は、スペーサユニット58の基部59に設けられている。リブ63は、操作部54に向けて突出し、先端側の一部が操作パネル部53の周壁53bとスペーサ60Aの間に介在している。リブ63は、基部59のうち開口部59hを画定する周壁から突出している。基部59のうち、弾性片61が形成された部分には、開口部59hに連通する打抜部59iが設けられており、この打抜部59iの部分にはリブ63は設けられていない。つまり、リブ63は断続的に設けられた筒状であり、その外形は、操作部54の外形よりも小さく、スペーサ60Aの外形よりも大きい。
【0068】
スペーサ60Bのリブ64は、スペーサユニット58の基部59のうち第3部分59cに設けられている。リブ64は、操作部54Aに向けて突出し、先端側の一部が操作パネル部53の周壁53b内に介在している。リブ64は、一対のスペーサ60Bを区画するように、基部59の第3部分59cから平板状に突出し、周壁53b内の長手方向の中央を短手方向に延びている。
【0069】
図6及び図8を参照すると、リブ63,64は、いずれも基部59から回路基板55に向けて延設されている。つまり、リブ63,64は、基部59から操作部54に向けて突出する規制部63a,64aと、基部59から回路基板55に向けて突出する脚部63b,64bを備える。脚部63b,64bの先端(下端)は、組付状態で回路基板55付近に位置する。付近に位置するとは、組立公差によって回路基板55に対して間隔をあけて位置する状態を意味しており、回路基板55に当接した状態、及び実質的に回路基板55に当接した状態が含まれる。
【0070】
なお、本実施形態では、スペーサ60A用の6個のリブ63のうち3個には、LED(図示せず)を配置するためのLED配置部63aが設けられている。LED配置部63aは、スペーサ60A側の一部を切り欠いた断面C字形の筒状である。
【0071】
このように、操作部54には、周壁53b内に一部が位置するリブ63,64が設けられている。これにより、操作部54が内向きに変形した場合、操作部54がリブ63,64に当接し、当接したリブ63,64の頂部を支点として内向きに撓む。そのため、リブ63,64が無い場合と比較して操作部54の変位量が小さくなる。よって、蒸気の熱で操作部54に塑性変形が生じたとしても、その変位量を低減できる。なお、リブ63,64の頂部とは、リブ63,64のうち操作部54,54Aに最も近い部分である。
【0072】
図6を参照すると、操作部54とリブ63の間隔はD1、操作部54とスペーサ60の間隔はD2、スイッチ56とスペーサ60の間隔はD3、スイッチ56の操作受部56aストロークはSである。この場合、操作部54のプッシュ操作による定常時操作ストロークは、間隔D2と間隔D3とストロークSを加算した長さ(D2+D3+S)である。
【0073】
図6に一点鎖線で示すように、リブ63が無い場合、操作部54は、操作パネル部53の周壁53bの上端を支点として内向きに弾性変形する。このように操作部54が熱によって塑性変形した場合、操作ストロークは定常時操作ストローク(D2+D3+S)よりも短くなるため、操作部54の操作性が低下する。このような操作性低下を抑制するために、本実施形態では、操作部54とリブ63の間隔D1が、以下を満たすように設定されている。操作部54Aとリブ64の間隔も同様に設定されている。
【0074】
[数2]
0≦D1≦D2+D3
D1:操作部とリブの間隔
D2:操作部とスペーサの間隔
D3:スイッチとスペーサの間隔
【0075】
数式2を参照すると、操作部54とリブ63の間隔D1は、0(ゼロ)以上で、操作部54とスペーサ60の間隔D2と、スイッチ56とスペーサ60の間隔D3とを加算した値以下としている。そのため、操作部54に塑性変形が生じた場合、リブ64に操作部54が確実に当接するため、操作部54の操作ストローク(D2+D3+S)の変化を最小限に抑えることができる。また、弾性片61の弾性的な復元力、及びスイッチ56の操作受部56aの復元力も相俟って、スイッチ56のストロークSは確保できる。
【0076】
より具体的には、操作部54とリブ63の間隔D1は、0.3mm以上0.5mm以下に設定することが好ましい。間隔D1を過度に大きくした場合、操作部54が変形可能な変位量が大きくなるため、塑性変形が生じた場合の操作部54の操作性が低下する。間隔D1を過度に小さくした場合、組立誤差によってリブ63が操作部54を外向きに押圧し、外観不良が生じる可能性がある。これらの不都合を防ぐために、操作部54とリブ63の間隔D1は、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では0.3mmに設定されている。
【0077】
操作部54とスペーサ60の間隔D2は、0.1mm以上0.3mm以下に設定することが好ましい。間隔D2を過度に大きくした場合、定常時操作ストロークが大きくなり、操作部54の操作性が悪くなる。間隔D2を過度に小さくした場合、組立誤差によってスペーサ60が操作部54を外向きに押圧し、外観不良が生じる可能性がある。これらの不都合を防ぐために、操作部54とリブ63の間隔D3は、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では0.2mmに設定されている。
【0078】
スイッチ56とスペーサ60の間隔D3は、0mm以上0.3mm以下に設定することが好ましい。間隔D3を過度に大きくした場合、定常時操作ストロークが大きくなり、操作部54の操作性が悪くなる。間隔D3を過度に小さくした場合、組立誤差によってスペーサ60がスイッチ56の操作受部56aを押圧し、スイッチ56のストロークSが短くなるという不具合が生じる可能性がある。これらの不都合を防ぐために、操作部54とリブ63の間隔D3は、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では0.3mmに設定されている。
【0079】
周壁53bとリブ63の間隔はL1であり、この間隔L1は1mm以上2mm以下に設定することが好ましい。間隔L1を過度に小さくすると、スペーサユニット58を組み付けた蓋カバー40に対する天面パネル45の組付性が悪くなるうえ、操作部54の変形抑制効果が小さくなる。間隔L1を過度に大きくすると、スペーサ60が過度に小さくなるか、操作部54が過度に大きくなる。これらの不都合を防ぐために、周壁53bとリブ63の間隔L1は、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では1.5mmに設定されている。
【0080】
スペーサ60の外周面とリブ63の間隔はL2であり、この間隔L2は0.8mm以上1.5mm以下に設定することが好ましい。間隔L2を過度に小さくすると、リブ63にスペーサ60が干渉したり、ユーザの指が操作部54を介してリブ63に当たったりするため、操作部54の操作性が低下する。間隔L2を過度に大きくすると、スペーサ60が過度に小さくなるか、操作部54が過度に大きくなる。これらの不都合を防ぐために、スペーサ60とリブ63の間隔L2は、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では1mmに設定されている。
【0081】
リブ63,64の厚みは、1mm以上1.5mm以下に設定することが好ましい。リブ63,64の厚みを過度に小さくすると、操作部64の操作によってリブ63,64が弾性的に変形する。リブ63,64の厚みを過度に大きくすると、前述した周壁53bとリブ63の間隔L1、及びスペーサ60の外周面とリブ63の間隔L2のうち、少なくとも一方が小さくなる。これらの不都合を防ぐために、リブ63,64の厚みは、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では1.2mmに設定されている。
【0082】
このように構成したスイッチセット51では、たとえ操作部54に塑性変形が生じたとしても、リブ63,64によって操作部54の変位量を低減できるため、操作部54の操作性低下を抑制できる。
【0083】
本実施形態の調理器10は、以下の特徴を有する。
【0084】
操作パネル部53の周壁53b内に少なくとも一部が配置され、変形した操作部54が当接可能なリブ63,64を備える。これにより、内向きに変形する操作部54は、当接するリブ63,64の頂部を支点として内向きに撓むため、リブ63,64が無い場合と比較して変位量が小さくなる。そのため、蒸気の熱で操作部54に塑性変形が生じたとしても、操作部54の操作ストロークの変化を抑えることができる。よって、操作部54の操作性低下を抑制できる。
【0085】
操作部54とリブ63,64の間隔D1が、0(ゼロ)以上で、操作部54とスペーサ60の間隔D2とスイッチ56とスペーサ60の間隔D3とを加算した値以下である。よって、操作部54に塑性変形が生じた場合、リブ63,64に操作部54が確実に当接するため、操作部54の操作ストロークの変化を最小限に抑えることができる。
【0086】
リブ63は、複数のスイッチセット51の全てに設けられている。よって、全てのスイッチセット51の操作部54の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0087】
リブ63は、周壁53bのうち少なくとも蒸気口36aに最も近い部分に設けられている。蒸気口36aに最も近い部分は最も塑性変形が生じ得る部分であるため、この部分にリブ63を設けることで、操作部54の変位量を低減でき、操作部54の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0088】
リブ63,64はスペーサユニット58の基部59に設けられている。そのため、操作部54の操作性低下を抑制するために、調理器10の部品点数が増加することを防止できる。よって、部品点数増加に伴う調理器10の組立性低下も防止できる。
【0089】
リブ63,64は回路基板55に支持される脚部63b,64bを備える。そのため、操作部54の操作によってスペーサ60が押された際、スペーサユニット58の基部59がスペーサ60と一緒に移動することを防止できる。よって、操作パネル部53が複数のスイッチセット51を備える場合、1つのスイッチセット51の操作部54の操作によって、他のスイッチセット51のスイッチ56が一緒に操作されることを防止できる。
【0090】
収容凹部41に形成された支持リブ41d、及びスペーサユニット58に形成された第1支持部59fと第2支持部59gが、直線上に配置されている。これらによって、操作パネル部53と収容凹部41の間には、収容凹部41の底面から操作パネル部53にかけて延びる支持柱が形成される。この支持柱によって、操作パネル部53に外力が加わった際、操作パネル部53が弾性的に撓むことが可能な変位量を低減できる。よって、操作部54の操作ストロークと同等の変位量で操作パネル部53が撓むことを防止できるため、操作パネル部53に外力が加わった際のスイッチ56の誤作動を防止できる。
【0091】
加熱機器は、調理鍋15と蓋体30とを備える調理器10であり、操作パネル部53と蒸気口36aは蓋体30の天面パネル45に設けられ、回路基板55とスペーサユニット58は天面パネル45の内側に配置されている。このような調理器10は、専用の収納部を備える食器棚に設置される場合があり、収納部の天面で跳ね返った蒸気の熱で操作部54が塑性変形する可能性が他の加熱機器よりも高いが、本実施形態では、たとえ操作部54に塑性変形が生じたとしても、操作部54の操作性低下を抑制できる。
【0092】
なお、本発明の加熱機器は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、前記実施形態では、全てのスイッチセット51にリブ63又は64を設けたが、リブ63又は64は、図9に示す複数のスイッチセット51のうち、最も近い第1スイッチセット51Aに設け、その他には設けなくてもよい。蒸気口36aに最も近い第1スイッチセット51Aは蒸気が最も当たり易い領域であるため、この第1スイッチセット51Aにリブ63又は64を設けることで、第1スイッチセット51Aの操作部54の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0094】
スペーサ60Aのリブ63は、基部59の開口部59hの周壁のうち、弾性片61を形成するための打抜部59i以外の全域に設けたが、蒸気口36aに最も近い部分だけに設けてもよい。蒸気口36aに最も近い部分は最も塑性変形が生じ得る部分であるため、この部分にリブ63を設けることで、操作部54の変位量を低減でき、操作部54の操作性低下を効果的に抑制できる。
【0095】
リブ63は、開口部59hの周壁の周方向に間隔をあけて設けた複数の突片で構成されてもよいし、1つの突片のみで構成されてもよい。
【0096】
リブ63,64は、スペーサユニット58に設ける構成に限られず、図10に示す第1変形例、又は図11に示す第2変形例のようにしてもよい。
【0097】
図10に示す第1変形例では、リブ63は、蓋カバー40の収容部24に設けられている。この場合、リブ63は不連続の筒状に形成され、回路基板55とスペーサユニット58には、リブ63と対応する部分に貫通孔が設けられる。
【0098】
図11に示す第2変形例では、リブ63は、操作パネル部53の周壁53bに設けられている。この場合、リブ63は、操作パネル部53とは別体で設けられ、溶着等によって後付けされる。又は、リブ63を含む不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bを金型によって一体成形し、不透明樹脂部45aと透明樹脂部45bの表面に被覆層45cを後で成形する。
【0099】
操作パネル部53を含む操作ユニット50は、調理器本体20に設けられていてもよく、蒸気口36aから吹き出て跳ね返った蒸気が少なくとも一部に当たる領域に設けられていればよい。
【0100】
前記実施形態では調理器10を例に挙げて説明したが、加熱機器は、飯米を炊飯する炊飯器であってもよい。また、お湯を沸かす湯沸かし器、及び室内の空気を加湿する加湿器であってもよく、鍋と、鍋の上端開口を塞ぐ蓋体とを備える加熱機器であれば、同様の作用及び効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0101】
10…調理器(加熱機器)
15…調理鍋
20…調理器本体
21…本体外装体
22…肩体
23…ヒンジ接続部
24…収容部
25…係止部
30…蓋体
31…蓋本体
31a…接続部
31b…開口部
32…蓋外装体
32a…開口部
32b…開口部
34…蒸気通路
35…ダクト部材
36…蒸気口部材
36a…蒸気口
37…ロック部材
38…操作部材
40…蓋カバー
40a…凹部
40b…ネジ止め部
41…収容凹部
41a…底面
41b…外周面
41c…位置決めリブ
41d…第1支持リブ
41e…第2支持リブ
41f…係止爪部
45…天面パネル
45a…不透明樹脂部
45b…透明樹脂部
45c…被覆層
46…ボス
47…窓部
48…液晶表示器
49…液晶ホルダ
50…操作ユニット
51…スイッチセット
51A…第1スイッチセット
53…操作パネル部
53a…開口部
53b…周壁
54,54A…操作部
55…回路基板
55a…第1係止孔
55b…挿通孔
55c…第2係止孔
55d…位置決め孔
56…スイッチ
56a…操作受部
58…スペーサユニット
59…基部
59a…第1部分
59b…第2部分
59c…第3部分
59d…係止片
59e…挿通部
59f…第1支持部
59g…第2支持部
59h…開口部
59i…打抜部
60,60A,60B…スペーサ
60a…基板
60b…突出部
60c…押圧部
61…弾性片
63…リブ
63a…規制部
63b…脚部
63c…LED配置部
64…リブ
64a…規制部
64b…脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11