(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】映像記録装置及び映像記録装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021089369
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】古橋 学
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】西川 和孝
(72)【発明者】
【氏名】口ノ町 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦男
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-005279(JP,A)
【文献】特開2015-176566(JP,A)
【文献】特開2018-082390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像記録装置が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを取得するデータ取得部と、
前記事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に前記映像記録装置から発信させるためにユーザインターフェースを用いて行われる操作を受け付けないよう前記映像記録装置を制御する制御部と、
を備える映像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記通信機器への連絡手段を示す連絡手段データを出力するよう前記映像記録装置を制御する、
請求項1に記載の映像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値よりも大きな値である第二閾値以上である場合、前記映像記録装置から前記通信機器に自動的に発信するよう前記映像記録装置を制御
し、前記第二閾値未満である場合、前記映像記録装置から前記通信機器に自動的に発信しないよう前記映像記録装置を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の映像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値以上であり、且つ、前記第二閾値未満である場合
のみ、前記映像記録装置から前記通信機器に発信させるために行われる操作を受け付けるよう前記映像記録装置を制御する、
請求項
3に記載の映像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記映像記録装置が前記通信機器と通信を実行していない場合、前記映像記録装置により撮影されている映像の音声を記録するよう前記映像記録装置を制御し、前記映像記録装置が前記通信機器と通信を実行している場合、前記映像記録装置により撮影されている映像の音声を記録しないよう前記映像記録装置を制御する、
請求項1から請求項
4のいずれか一つに記載の映像記録装置。
【請求項6】
映像記録装置が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを取得するデータ取得機能と、
前記事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に前記映像記録装置から発信させるためにユーザインターフェースを用いて行われる操作を受け付けないよう前記映像記録装置を制御する制御機能と、
を映像記録装置としてのコンピュータに実現させる映像記録装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録装置及び映像記録装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両が遭遇した事故の適切な解決を図る目的で事故が発生した際における車両の内外の状況を映像として記録する映像記録装置が使用されている。また、事故が発生した際に、車両のユーザが支援サービスを提供している事業者のオペレータと通話する機能を備える映像記録装置も使用されている。このような装置として、例えば、特許文献1に開示されている車両用緊急通報装置が挙げられる。この車両用緊急通報装置は、通報用ボタンが操作されることにより、車両の乗員と通報センターのオペレータとの間でボイスコールによる音声通話を実現させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した車両用緊急通報装置は、誤って通報用ボタンが操作されてしまった場合、通報センターのオペレータと音声通話をする必要が無いにも関わらず、音声通話が開始されてしまうことがある。一方、近年、広い範囲の状況を映像として記録することを可能にする目的で車両から取り外すことが可能な映像記録装置も使用されている。特に、車両から取り外すことが可能な映像記録装置では、不必要な音声通話が開始されてしまうという問題が発生し易い。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、事故に遭遇した車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に誤って発信してしまう事態を回避することができる映像記録装置及び映像記録装置制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、映像記録装置が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを取得するデータ取得部と、前記事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に前記映像記録装置から発信させるためにユーザインターフェースを用いて行われる操作を受け付けないよう前記映像記録装置を制御する制御部と、を備える映像記録装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述した映像記録装置であって、前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記通信機器への連絡手段を示す連絡手段データを出力するよう前記映像記録装置を制御する。
【0010】
本発明の一態様は、上述した映像記録装置であって、前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値よりも大きな値である第二閾値以上である場合、前記映像記録装置から前記通信機器に自動的に発信するよう前記映像記録装置を制御し、前記第二閾値未満である場合、前記映像記録装置から前記通信機器に自動的に発信しないよう前記映像記録装置を制御する。
【0011】
本発明の一態様は、上述した映像記録装置であって、前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値以上であり、且つ、前記第二閾値未満である場合、前記映像記録装置から前記通信機器に自動的に発信しないよう前記映像記録装置を制御する。
【0012】
本発明の一態様は、上述した映像記録装置であって、前記制御部は、前記事故データにより示されている事故の程度が前記第一閾値以上であり、且つ、前記第二閾値未満である場合のみ、前記映像記録装置から前記通信機器に発信させるために行われる操作を受け付けるよう前記映像記録装置を制御する。
【0013】
本発明の一態様は、上述した映像記録装置であって、前記制御部は、前記映像記録装置が前記通信機器と通信を実行していない場合、前記映像記録装置により撮影されている映像の音声を記録するよう前記映像記録装置を制御し、前記映像記録装置が前記通信機器と通信を実行している場合、前記映像記録装置により撮影されている映像の音声を記録しないよう前記映像記録装置を制御する。
【0015】
本発明の一態様は、映像記録装置が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを取得するデータ取得機能と、前記事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、且つ、前記映像記録装置が前記車両から取り外された場合のみ、前記車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に前記映像記録装置から発信させるためにユーザインターフェースを用いて行われる操作を受け付けないよう前記映像記録装置を制御する制御機能と、を映像記録装置としてのコンピュータに実現させる映像記録装置制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事故に遭遇した車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に誤って発信してしまう事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る映像記録装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る映像記録装置の外観の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る映像記録装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る映像記録装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る映像記録装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る映像記録装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
図1から
図5を参照しながら実施形態に係る映像記録装置及び映像記録装置制御プログラムについて説明する。
【0019】
まず、
図1から
図3を参照しながら実施形態に係るデータ抽出装置のハードウェア構成について説明する。
図1及び
図2は、実施形態に係るデータ抽出装置の外観の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係るデータ抽出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
図1、
図2及び
図3に示した映像記録装置1は、交通事故の適切な解決を図る目的で交通事故が発生した際における車両の内外の状況を映像として記録する装置である。また、映像記録装置1は、日本ではドライブレコーダ(Drive Recorder)と呼ばれており、欧米ではダッシュカム(Dashcam)と呼ばれている装置である。
【0021】
図1、
図2及び
図3に示すように、映像記録装置1は、筐体101と、嵌合部材102と、着脱用ボタン103と、プロセッサ104と、フロントカメラ105と、インカメラ106と、マイク107と、GPS(Global Positioning System)受信機108と、記録装置109と、タッチパネルディスプレイ110と、発信ボタン111と、通信装置112と、加速度センサ113とを備える。また、
図1は、映像記録装置1のうちフロントカメラ105が取り付けられている側を示した図である。一方、
図2は、映像記録装置1のうちインカメラ106が取り付けられている側を示した図である。
【0022】
筐体101は、嵌合部材102、着脱用ボタン103、フロントカメラ105、インカメラ106、マイク107、タッチパネルディスプレイ110及び発信ボタン111が表面に取り付けられている。また、筐体101は、プロセッサ104、GPS受信機108、記録装置109及び通信装置112と、加速度センサ113と、映像記録装置1を構成する他の構成要素とが収納されている。
【0023】
嵌合部材102は、
図1及び
図2に示すように、例えば、筐体101の上面に取り付けられており、凸部102Cが形成されている。凸部102Cは、例えば、車両のフロントガラスFに取り付けられている支持部材200に形成されている凹部200Cと嵌合される。
【0024】
また、嵌合部材102は、凸部102Cから突出している棒状の固定部材を有していてもよい。この棒状の固定部材は、凹部200Cに形成された孔に進入することにより凸部102Cと凹部200Cとが嵌合されている状態を維持する。或いは、支持部材200は、凹部200Cから突出している棒状の固定部材を有していてもよい。この棒状の固定部材は、凸部102Cに形成された孔に進入することにより凸部102Cと凹部200Cとが嵌合されている状態を維持する。
【0025】
着脱用ボタン103は、上述した固定部材と機械的に連動しているボタンであり、固定部材が孔に進入している状態と、固定部材が孔に進入していない状態とを切り替える目的で押下されるボタンである。
【0026】
プロセッサ104は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ104は、映像記録装置制御プログラムを読み出して実行することにより、
図4に示した機能を実現させる。また、プロセッサ104は、映像記録装置制御プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、映像記録装置1が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。
【0027】
フロントカメラ105は、車両の内外の状況の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影するカメラである。フロントカメラ105は、映像記録装置1が車両に取り付けられた状態である場合、主に車両のフロントガラスを通して車両の前方の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影する。一方、フロントカメラ105は、映像記録装置1が車両から取り外された状態である場合、車両の前方の状況に限らず、車両の内外の状況の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影する。
【0028】
インカメラ106は、車両の内外の状況の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影するカメラである。インカメラ106は、映像記録装置1が車両に取り付けられた状態である場合、主に車両の室内の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影する。また、インカメラ106は、映像記録装置1が車両に取り付けられた状態である場合、車両の窓を通して車両の側方及び後方の少なくとも一方の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影してもよい。一方、インカメラ106は、映像記録装置1が車両から取り外された状態である場合、車両の室内、側方及び後方の状況に限らず、車両の内外の状況の動画像及び静止画像の少なくとも一方を撮影する。なお、映像記録装置1は、インカメラ106を備えていなくてもよい。
【0029】
マイク107は、車両の内外で発生した音声を検知して電気信号に変換し、当該音声を示す音声データを生成する。
【0030】
GPS受信機108は、映像記録装置1が取り付けられている車両の位置を算出するために必要な信号を人工衛星から受信する。なお、映像記録装置1は、GPS受信機108を備えていなくてもよい。
【0031】
記録装置109は、少なくとも一つの記憶媒体を有する。記録装置109は、例えば、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。
【0032】
主記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、CPU104により読み出されて実行される映像記録装置制御プログラムその他プログラムを格納する。
【0033】
補助記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。或いは、補助記憶装置は、映像記録装置1に取り付けること及び映像記録装置1から取り外すことが可能な記憶媒体であり、小型である方が好ましい。補助記憶装置は、例えば、フロントカメラ105により撮影された動画像及び静止画像と、インカメラ106により撮影された動画像及び静止画像と、マイク107により生成された音声データが格納される。
【0034】
タッチパネルディスプレイ110は、映像記録装置1を操作するために使用されるインターフェースの一種である。例えば、タッチパネルディスプレイ110は、映像記録装置1を操作するために使用されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)を表示する。また、タッチパネルディスプレイ110は、フロントカメラ105により撮影された動画像及び静止画像、インカメラ106により撮影された動画像及び静止画像を必要に応じて表示してもよい。
【0035】
発信ボタン111は、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させる目的で押下されるボタンである。ここで言う車両のユーザを支援する者は、例えば、車両のユーザに自動車保険サービス、ロードサービス等を提供している事業者、警察、消防等の公共機関である。また、ここで言う通信機器は、例えば、このような事業者に所属しており、個々のユーザに事故対応支援サービス等を提供するオペレータにより使用されるパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、電話機である。
【0036】
通信装置112は、ネットワークを通して他の機器との通信を実行する。また、ネットワークは、例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)、イントラネット、LAN(Local Area Network)である。通信装置112は、フロントカメラ105により撮影された動画像及び静止画像、インカメラ106により撮影された動画像及び静止画像を必要に応じて他の機器に送信する。
【0037】
また、通信装置112は、発信ボタン111が押下された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器との通信を必要に応じて実行する。例えば、通信装置112は、発信ボタン111が押下された場合、VOIP(Voice over Internet Protocol)サーバにアクセスしてVOIPサーバから適切なコールセンターと接続し、通話を確立させる。また、通信装置112は、コールセンターに設置されている複数の端末のうちの一つと直接通話を確立させてもよいし、コールセンターの代表端末と通話を確立させた後に、コールセンターに設置されている複数の端末のうちの一つと通話を確立させてもよい。或いは、通信装置112は、コールセンターの代表端末を経由してコールセンターに設置されている複数の端末のうちの一つと通話を確立させてもよいし、当該代表端末と接続された後にコールセンターに設置されている複数の端末のうちの一つと通話を確立させてもよい。
【0038】
加速度センサ113は、映像記録装置1に加わったX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度の少なくとも一つを検出し、検出した加速度を示す加速度データを生成する。X軸及びY軸は、例えば、車両が走行する路面と平行であり、互いに直交している軸である。Z軸は、例えば、車両が走行する路面と直交しており、X軸及びY軸と直交している軸である。
【0039】
次に、
図4を参照しながら実施形態に係る映像記録装置のソフトウェア構成について説明する。
図4は、実施形態に係る映像記録装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。映像記録装置1は、例えば、プロセッサ104を使用して映像記録装置制御プログラムを読み出して実行する。これにより、映像記録装置1は、
図4に示したデータ生成部141、データ取得部142及び制御部143を実現させる。
【0040】
データ生成部141は、映像記録装置1が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを生成する。具体的には、データ生成部141は、加速度センサ113により生成された加速度データを使用して事故データを生成する。事故データは、データ取得部142により取得される。なお、データ取得部142は、映像記録装置1から独立している加速度センサ等の機器から事故データを取得してもよい。また、データ生成部141は、事故データが生成されたか否かを判定する処理も実行する。
【0041】
例えば、データ生成部141は、車両が大型車以外の車両であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が4G以上である場合、車両が遭遇した事故が重大な事故であることを示す事故データを生成する。また、重大な事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが不可能な事故が挙げられる。
【0042】
また、例えば、データ生成部141は、車両が大型車以外の車両であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が3G以上4G未満である場合、車両が遭遇した事故が中程度の事故であることを示す事故データを生成する。また、中程度の事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが可能な事故が挙げられる。
【0043】
また、例えば、データ生成部141は、車両が大型車以外の車両であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が3G未満である場合、車両が遭遇した事故が軽度の事故であることを示す事故データを生成する。また、軽度の事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが可能であり、車両の損傷が一定の水準未満である事故が挙げられる。
【0044】
或いは、データ生成部141は、車両が大型車であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が10G以上である場合、車両が遭遇した事故が重大な事故であることを示す事故データを生成する。また、重大な事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが不可能な事故が挙げられる。
【0045】
また、例えば、データ生成部141は、車両が大型車であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が4G以上10G未満である場合、車両が遭遇した事故が中程度の事故であることを示す事故データを生成する。また、中程度の事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが可能な事故が挙げられる。
【0046】
また、例えば、データ生成部141は、車両が大型車であり、加速度センサ113により検出されたX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度及びZ軸方向の加速度を合成した加速度が4G未満である場合、車両が遭遇した事故が軽度の事故であることを示す事故データを生成する。また、軽度の事故としては、例えば、車両が事故の後に自力で走行することが可能であり、車両の損傷が一定の水準未満である事故が挙げられる。
【0047】
制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以下であるか否かを判定する。また、制御部143は、映像記録装置1が車両から取り外されているか否かを判定する。
【0048】
そして、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、映像記録装置1が車両から取り外された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けないよう映像記録装置1を制御する。事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満である場合としては、例えば、車両が遭遇した事故が軽度の事故であることが事故データにより示されている場合が挙げられる。通信装置112は、当該制御により、発信ボタン111が押下されても、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に対して音声通話の発信、テキスト形式のメッセージの送信等を実行しなくなる。
【0049】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、映像記録装置1が車両から取り外された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器への連絡手段を示す連絡手段データを出力するよう映像記録装置1を制御してもよい。タッチパネルディスプレイ110は、連絡手段データを制御部143から受信し、連絡手段データに基づいて当該通信機器への連絡手段を表示してもよい。例えば、タッチパネルディスプレイ110は、当該通信機器への連絡手段が電話回線を介した音声通話である場合、当該通信機器に割り当てられている電話番号と、当該通信機器に架電を依頼する旨のメッセージを表示する。
【0050】
また、制御部143は、データ生成部141が事故データを生成する処理を実行している間には、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から自動的に発信する処理を実行しないよう映像記録装置1を制御してもよい。
【0051】
また、制御部143は、データ生成部141が事故データを生成する処理を実行している間に、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けるよう映像記録装置1を制御してもよい。例えば、制御部143は、データ生成部141が事故データを生成する処理を実行している間に、発信ボタン111が押下された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に発信するよう映像記録装置1を制御してもよい。
【0052】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値よりも大きな第二閾値以上である場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から自動的に発信するよう映像記録装置1を制御してもよい。事故データにより示されている事故の程度が第二閾値以上である場合としては、例えば、車両が遭遇した事故が重大な事故であることが事故データにより示されている場合が挙げられる。
【0053】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であり、第二閾値未満である場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けるよう映像記録装置1を制御してもよい。例えば、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であり、第二閾値未満である場合、発信ボタン111が押下されたら車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に発信するよう映像記録装置1を制御してもよい。また、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であり、第二閾値未満である場合としては、例えば、車両が遭遇した事故が中程度の事故であることが事故データにより示されている場合が挙げられる。
【0054】
また、制御部143は、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器と、映像記録装置1とが通信を実行している場合、映像記録装置1により撮影されている映像の音声を記録装置109等に記録しないよう映像記録装置1を制御してもよい。
【0055】
また、制御部143は、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器と、映像記録装置1とが通信を実行していない場合、映像記録装置1により撮影されている映像の音声を記録装置109等に記録するよう映像記録装置1を制御してもよい。
【0056】
次に、
図5を参照しながら実施形態に係る映像記録装置1が実行する処理の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る映像記録装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS51において、データ生成部141は、事故データが生成されたか否かを判定する。
【0058】
ステップS52において、データ取得部142は、事故データを取得する。
【0059】
ステップS53において、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以下であるか否かを判定する。制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であると判定した場合(ステップS53:YES)、処理をステップS54に進める。一方、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であると判定した場合(ステップS53:NO)、処理を終了させる。
【0060】
ステップS54において、制御部143は、映像記録装置1が車両から取り外されているか否かを判定する。制御部143は、映像記録装置1が車両から取り外されていると判定した場合(ステップS54:YES)、処理をステップS55に進める。一方、制御部143は、映像記録装置1が車両に取り付けられていると判定した場合(ステップS54:NO)、処理を終了させる。
【0061】
ステップS55において、制御部143は、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けないよう映像記録装置1を制御する。
【0062】
ステップS56において、制御部143は、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器への連絡手段を示す連絡手段データを出力するよう映像記録装置1を制御する。
【0063】
次に、
図6を参照しながら実施形態に係る映像記録装置1が実行する処理の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る映像記録装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS61において、データ生成部141は、事故データを生成する処理が開始されており、完了していない状態であるか否かを判定する。データ生成部141は、事故データを生成する処理が開始されており、完了していない状態であると判定した場合(ステップS61:YES)、処理をステップS62に進める。一方、データ生成部141は、事故データを生成する処理が開始されていない状態又はデータ生成部141は、事故データを生成する処理が完了していると判定した場合(ステップS61:NO)、処理を終了させる。
【0065】
ステップS62において、制御部143は、映像記録装置1から通信機器に自動的に発信する処理を実行しないよう映像記録装置1を制御する。
【0066】
ステップS63において、制御部143は、映像記録装置1から通信機器に発信させるために行われる操作を受け付けるよう映像記録装置1を制御する。
【0067】
なお、映像記録装置1は、ステップS61が実行された後であり、ステップS62が実行される前にステップS63を実行してもよい。また、映像記録装置1は、ステップS62又はステップS63を実行しなくてもよい。
【0068】
以上、実施形態に係る映像記録装置及び映像記録装置制御プログラムについて説明した。映像記録装置1は、データ生成部141と、データ取得部142と、制御部143とを備える。データ生成部141は、映像記録装置1が取り付けられている車両が遭遇した事故の程度を示す事故データを生成する。データ取得部142は、事故データを取得する。制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、映像記録装置1が車両から取り外された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けないよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、事故に遭遇した車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に誤って発信してしまう事態を回避することができる。
【0069】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値未満であり、映像記録装置1が車両から取り外された場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器への連絡手段を示す連絡手段データを出力する。これにより、映像記録装置1は、当該通信機器への連絡手段を車両のユーザに知らせることができる。
【0070】
また、制御部143は、データ生成部141が事故データを生成する処理を実行している間には、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から自動的に発信する処理を実行しないよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、車両が遭遇した事故の程度が速やかに車両のユーザを支援する者と連絡をとる必要がある程の事故ではなかった場合に、当該通信機器に自動的に発信してしまうことを回避することができる。
【0071】
また、制御部143は、データ生成部141が事故データを生成する処理を実行している間に、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けるよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、車両が遭遇した事故の程度を判定する処理が完了していなくても、車両のユーザが速やかに車両のユーザを支援する者と連絡をとる必要があると判断した場合に、当該通信機器に発信することを可能にすることができる。
【0072】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値よりも大きな第二閾値以上である場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から自動的に発信するよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、車両が上述した重大な事故に遭遇した場合、当該通信機器に速やかに発信することができる。
【0073】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であり、第一閾値よりも大きな第二閾値未満である場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から自動的に発信しないよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、車両が上述した中程度の事故に遭遇したものの、速やかに車両のユーザを支援する者と連絡をとる必要が無い場合に、当該通信機器に発信してしまうことを回避することができる。
【0074】
また、制御部143は、事故データにより示されている事故の程度が第一閾値以上であり、第二閾値未満である場合、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に映像記録装置1から発信させるために行われる操作を受け付けるよう映像記録装置1を制御する。これにより、映像記録装置1は、車両が上述した中程度の事故に遭遇し、車両のユーザが速やかに車両のユーザを支援する者と連絡をとる必要があると判断した場合に、当該通信機器に発信することを可能にすることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態では、映像記録装置1が発信ボタン111を備えており、発信ボタン111が押下されると、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器に発信する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。映像記録装置1は、発信ボタン111を備えている代わりに、発信ボタンと同様の機能を有するユーザインターフェースをタッチパネルディスプレイ110に表示してもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、
図4に示した映像記録装置1が備える機能が映像記録装置制御プログラムを読み出して実行するプロセッサ104により実現される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0077】
図4に示した映像記録装置1が備える機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。或いは、
図4に示した映像記録装置1が備える機能の少なくとも一部は、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現されてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、データ生成部141が加速度センサ113により生成された加速度データを使用して事故データを生成する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、データ生成部141は、フロントカメラ105又はインカメラ106により撮影された動画像又は静止画像に画像認識を適用して事故の程度を推定し、事故の程度を推定した結果を示す事故データを生成してもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、車両のユーザを支援する者により使用される通信機器への連絡手段がタッチパネルディスプレイ110に表示される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、当該連絡手段は、映像記録装置1に搭載されているスピーカから音声として出力されてもよい。或いは、当該連絡手段は、映像記録装置1に別途接続されているディスプレイ又はスピーカから出力されてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の組み合わせ、変形、置換及び設計変更の少なくとも一つが加えられることがある。
【0081】
また、上述した本発明の実施形態の効果は、一例として示した効果である。したがって、本発明の実施形態は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【符号の説明】
【0082】
1…映像記録装置、101…筐体、102…嵌合部材、102C…凸部、103…着脱用ボタン、104…プロセッサ、105…フロントカメラ、106…インカメラ、107…マイク、108…GPS受信機、109…記録装置、110…タッチパネルディスプレイ、111…発信ボタン、112…通信装置、113…加速度センサ、141…データ生成部、142…データ取得部、143…制御部、200…支持部材、200C…凹部、F…フロントガラス