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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】吊下げ架台
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20241021BHJP
   F24F 1/0047 20190101ALI20241021BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
E04B9/18 E
F24F1/0047
F24F13/32
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021101508
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000587
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520396290
【氏名又は名称】EMFORT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中 悟史
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-076366(JP,A)
【文献】特開2020-186825(JP,A)
【文献】特開2020-094467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00
E04B 9/18
F24F 1/0047
F24F 1/0317
F24F 13/32
F16B 1/00
F16M 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の外周に沿った円形または矩形部材であり、
前記ストッパー部材は、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも前後、左右の4方向にそれぞれ少なくとも一個固定されている吊下げ架台。
【請求項2】
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも一部は、前記対象機器の上面に対して、垂直方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置される吊下げ架台。
【請求項3】
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記吊下げ架台の本体の下部は矩形部材であり、前記防振器具は一組の対向する辺に連結され、他の一組の辺には連結されておらず、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の矩形形状の外周に沿った矩形部材であり、
前記防振器具が連結されている側の前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具の内側に配置され、前記防振器具が連結されていない側の前記振れ止め用フレーム部材は前記対象機器の上部の外周より外へ出ている吊下げ架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、建物の天井から空調機器などを吊下げて設置するために利用する吊下げ架台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば図7図8に示すように、建物の天井100に空調機器101などを吊り下げるための吊下げ架台102が知られている。
【0003】
ここに、103は地震などの振動対策のために設けた防振器具であって、吊下げ架台102と空調機器101との間に配置され、その上端103aは吊下げ架台102の下面102aに連結されるとともに、その下端103bは空調機器101の上面101aの空調機器の吊下げ用金具101bに連結されている。
【0004】
ところで、地震が発生したときに生じる、空調機器101への水平方向の振れを抑制するために、吊下げ架台102の下面102aからストッパー部材104を下方に伸ばし、その下端104aで空調機器101の横揺れを抑制することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのようなやり方では、空調機器101と吊下げ架台102との離隔距離が長くなるため、ストッパー部材104の長さも大きくならざるを得ない。すなわち耐震補強対策のための振れ止め対策が大掛かりとなり、高価で丈夫な材料を使う必要があるという課題があった。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、耐震補強対策の振れ止め対策がコンパクトとなり、コストも安価な吊下げ架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の外周に沿った円形または矩形部材であり、
前記ストッパー部材は、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも前後、左右の4方向にそれぞれ少なくとも一個固定されている吊下げ架台である。
第2の本発明は、
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも一部は、前記対象機器の上面に対して、垂直方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置される吊下げ架台である。
第3の本発明は、
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置され、
前記吊下げ架台の本体の下部は矩形部材であり、前記防振器具は一組の対向する辺に連結され、他の一組の辺には連結されておらず、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の矩形形状の外周に沿った矩形部材であり、
前記防振器具が連結されている側の前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具の内側に配置され、前記防振器具が連結されていない側の前記振れ止め用フレーム部材は前記対象機器の上部の外周より外へ出ている吊下げ架台である。
本発明に関連する第1の発明は、
吊下げ架台の本体と、
前記吊下げ架台の本体の下部に、上部が連結された防振器具とを備えた吊下げ架台であって、
前記吊下げ架台の本体の下部に取り付けられた振れ止め用フレーム部材と、
前記振れ止め用フレーム部材の所定箇所に固定されたストッパー部材とを備え、
対象機器の上部が、前記防振器具の下部に連結され、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具に対して離隔して配置され、前記ストッパー部材は前記対象機器に対して、水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置される、吊下げ架台である。
【0008】
このような構成においては、従来のようにストッパー部材を、防振器具を吊り下げているフレームに直接取り付ける場合はどうしても上下に長いストッパー部材にならざるを得ないが、これに比べ、本発明では防振器具を吊り下げているフレームに振れ止め用フレーム部材を下方に取り付け、その振れ止め用フレーム部材にストッパー部材を取り付けるので、対象機器がぶつかった際、ストパー部材に対する水平応力が小さいため、安い材料を使える。すなわち小さな応力に耐えうる材料を使用でき、且、コストも安価にできる。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の外周に沿った円形または矩形部材であり、
前記ストッパー部材は、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも前後、左右の4方向にそれぞれ少なくとも一個固定されている、本発明に関連する第1の発明の吊下げ架台である。
【0010】
このような構成によって、前後、左右のいずれからの水平揺れに対応できる。
【0011】
本発明に関連する第3の発明は、
前記対象機器が前記防振器具に吊下げられた状態において、前記振れ止め用フレーム部材の前記下部の少なくとも一部は、前記対象機器の上面に対して、垂直方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置される、本発明に関連する第1の発明の吊下げ架台である。
【0012】
このような構成によって、上下方向の鉛直揺れにも対応できる。
【0013】
本発明に関連する第4の発明は、
前記吊下げ架台の本体の下部は矩形部材であり、前記防振器具は一組の対向する辺に連結され、他の一組の辺には連結されておらず、
前記振れ止め用フレーム部材の下部は前記対象機器の上部の矩形形状の外周に沿った矩形部材であり、
前記防振器具が連結されている側の前記振れ止め用フレーム部材は前記防振器具の内側に配置され、前記防振器具が連結されていない側の前記振れ止め用フレーム部材は前記対象機器の上部の外周より外へ出ている、本発明に関連する第1の発明の吊下げ架台である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、振れ止め対策がコンパクトとなり、コストも安価な吊下げ架台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかる吊り下げ架台の正面図
図2】同吊下げ架台の略示側断面図
図3】(A)は同吊下げ架台の斜視図、(B),(C)はストッパー部材を中心とする略示断面図
図4】同吊下げ架台の別の角度からの斜視図
図5】同吊下げ架台の更に別の角度からの斜視図
図6】同吊下げ架台の更に別の角度からの斜視図
図7】従来の吊下げ架台と空調機器の正面図
図8図7の吊下げ架台の略示側断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態にかかる吊下げ架台の例を示す正面図、図2はその略示側断面図、図3図4図5図6はいろいろな角度から見た斜視図である。
【0018】
吊下げ架台の本体12は、建物の天井100からほぼ直方体形状の空調機器101を吊り下げている。ここに、103は防振対策のために設けた防振器具であって、吊下げ架台の本体12と空調機器101との間に配置され、その上端103aは吊下げ架台の本体12の下部12aに連結されるとともに、その下端103bは空調機器101の上面101aの空調機器の吊下げ用金具101bに連結されている。
【0019】
さらに、1は、耐震補強対策の振れ止め用フレーム部材(以下単に振れ止め用フレーム部材という)であって、吊下げ架台の本体12の下部12aに固定されている。その形状は略矩形上の下面フレーム1bと、それぞれの角部に立設した4本の縦フレーム1aと、中間に立設した2本の縦フレーム1cで構成されている。その4本の縦フレーム1a,1a,1a,1aと、2本の縦フレーム1cはそれぞれ吊下げ架台の本体12の下部12aに固定されている。
【0020】
他方、下面フレーム1bは吊下げ対象とする空調機器101の略矩形上の上面101aの各辺に沿ったフレーム形状をしている。ただし、下面フレーム1bを構成する4本の辺フレーム1b1,1b2,1b3,1b4の内で、対向する一対のフレームは、上記空調機器101の上面101aの各辺より内側へ配置されるようになっている。
【0021】
図示実施例では、辺フレーム1b1と1b3が内側へ配置され、辺フレーム1b2と1b4はわずかに外側へ配置されている。このような構成によって、地震による縦揺れに対しても、この内側に寄っている辺フレーム1b1,1b3が空調機器101の上面に当たることによってストッパーの役割を果たすことが出来るメリットがある。なお、4つの辺フレームが全て内側に配置されていてもかまわない。このように、振れ止め用フレーム部材1は吊下げ架台の本体12と同じ程度の骨格(特に水平方向において)を有することになる。
【0022】
なお、本実施例では防振器具103は、この振れ止め用フレーム部材1の下面フレーム1bより外側に配置されている。
【0023】
さらに、振れ止め用フレーム部材1の所定箇所にストッパー部材2が取り付けられている。すなわち、図3(A)、図3(B)に示すように、本実施例では辺フレーム1b1と辺フレーム1b3にそれぞれ2個のストッパー部材2が所定の間隔を置いて取り付けられている。図3(B)は一部拡大略示断面拡大図である。辺フレーム1b1と辺フレーム1b3はL字状フレームであって、その縦部1b1bが横部1b1aより内側に来るように取り付けられている。そして、L字状のストッパー部材2はその横部2bが縦部2aより内側に来るように配置され、その横部2bと、辺フレーム1b1,1b3の横部1b1aとが内側同士重なり合わされ2本のボルトで互いに固定されることによって、ストッパー部材2が辺フレーム1b1,1b3に取り付けられている。
【0024】
さらに、そのストッパー部材2の縦部2aの内側は、上記吊下げられた状態において、空調機器101の上面101aの各辺から水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置されている。防振器具103の機能を損なわない範囲で余裕を持たすためである。そして大きな横揺れが発生したときには当接させることでストッパー機能を発揮する。その結果、空調機器101が水平方向に横揺れすることで機器吊りボルトの破断による空調機器の脱落や、空調機器に接続されている配管等の損傷による機能停止を防ぐことができる。
【0025】
他方、辺フレーム1b2,1b4は、辺フレーム1b1,1b3と同様にL字状フレームであるが、図3(A)、図3(C)に示すように、その縦部1b2bが横部1b2aより外側に来るように取り付けられている。図3(C)は一部拡大略示断面図である。そして、こちらのL字状のストッパー部材3はその横部3bが縦部3aより外側に来るように配置され、その横部3bと、辺フレーム1b2,1b4の横部1b2aとが外側同士重なり合わされ2本のボルトで互いに固定されることによって、ストッパー部材3が辺フレーム1b2,1b4に取り付けられている。
【0026】
さらに、そのストッパー部材3の縦部3aの外側は、上記吊下げられた状態において、空調機器101の上面101aの各辺から水平方向に所定の間隔をもって対向した位置に配置されている。上述したように防振器具103の機能を損なわない範囲で余裕を持たすためである。そして大きな横揺れが発生したときには当接させることでストッパー機能を発揮する。
【0027】
なお、ストッパー部材2,3は、吊下げる対象となる空調機器101などの上面形状が様々なので、あまり横幅を長く出来ない特徴がある。本実施例の場合、ストッパー部材2,3を吊下げ架台の本体12に直接取り付けるのではなく、吊下げ架台の本体12と同じ程度の骨格(特に水平方向において)を有する振れ止め用フレーム部材1の下部に取り付けているので、従来のようにかなり縦長の部材にすることなく、振れを規制できる長所がある。
【0028】
なお、本発明の振れ止め用フレーム部材の下部は対象機器の上部の外周に沿った形状であれば、矩形に限らず円形などであってもかまわない。
【0029】
また、本発明のストッパー部材は個数に制限は特にないが、地震の振れは左右いづれからも生じる可能性があるので、少なくとも4方向に少なくとも一個配置されることが望ましいが、これに限らない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明における吊下げ架台は、本発明は、地震などの揺れ対策としてのストッパー部材がコンパクトとなり、コストも安価になるので、空調機器などを吊り下げる吊下げ架台などに有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 振れ止め用フレーム部材
1a 縦フレーム
1b、1b1.1b2.1b3.1b4 下面フレーム
1c 中間の縦フレーム
2、3 ストッパー部材
12 吊下げ架台の本体
100 天井
101 空調機器
101a 空調機器の上面
101b 空調機器の吊下げ用金具
102 吊下げ架台
103 防振器具
104 従来のストッパー部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8