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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20241021BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A45D40/00 H
A45D40/00 P
B65D25/20 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021109427
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006700
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-030823(JP,A)
【文献】実開昭61-010120(JP,U)
【文献】実開平05-021811(JP,U)
【文献】特開2016-159947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収納筒を備えた容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に装着される有頂筒状の蓋体と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた係合部材と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記係合部材と係合させることによって、前記容器本体と前記蓋体とを着脱自在に係止する被係合部材と、を備え、
前記容器本体は、前記収納筒を取り囲んで配置され、その収納筒の外周壁を、前記蓋体の内周壁に対面させて、該蓋体を、該容器本体に着脱可能に装着する化粧筒を有し、
前記蓋体の内周壁と前記化粧筒の外周壁との相互間に形成される隙間が、最も狭いところにおいて0.025~0.1mmあり、かつ、
前記蓋体は、内周壁が天頂部から開放端に向かって0°超~0.1°以下の角度をもち、該内周壁によって形成される内部空間を、該蓋体の開放端に向けて拡大させる傾斜を有することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記係合部材は、第1磁石であり、前記被係合部材は、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材であることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記吸引部材は、磁石であることを特徴とする請求項2に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品や医薬品等の内容物を収容するのに好適な蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば下記特許文献1に記載の蓋付き容器が知られている。この蓋付き容器は、いわゆる繰出し容器であり、内容物を収容する容器本体と、該容器本体に着脱可能に装着された蓋体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-102543号公報
【発明の概要】
【0004】
この種の蓋付き容器は、手指を使って蓋体を容器本体のスリーブに押込み、該蓋体を容器本体に対して被嵌状に取り付けるのが普通であり、蓋付き容器そのものに対して高級感を与えるのが難しく、いまだ改善の余地が残されていた。
【0005】
また、この種の蓋付き容器では、例えば、蓋体と容器本体との係合に磁石用いられた場合において、蓋体が容器本体に対して離脱されている状態から、該蓋体を容器本体に装着させる際、磁石の吸引力に起因して蓋体が容器本体に向かって勢いよく移動し、該容器本体に衝突して大きな音が生じるおそれ等があり、また使用者によっては、蓋体と容器本体との衝突の際の感触が悪いと感じる場合があり、高級感を損なう等の問題点があった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、蓋体を、容器本体に上方から被せるようにして装着させる際に、手指による蓋体の押し込みを伴わずとも、自重によりゆっくりと該蓋体を動作(下降)させ、これにより蓋付き容器に高級感を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために開発した本発明の蓋付き容器は、内容物を収容する収納筒を備えた容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に装着される有頂筒状の蓋体と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた係合部材と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記係合部材と係合させることによって、前記容器本体と前記蓋体とを着脱自在に係止する被係合部材と、を備え、
前記容器本体は、前記収納筒を取り囲んで配置され、その収納筒の外周壁を、前記蓋体の内周壁に対面させて、該蓋体を、該容器本体に着脱可能に装着する化粧筒を有し、
前記蓋体の内周壁と前記化粧筒の外周壁との相互間に形成される隙間が、最も狭いところにおいて0.025~0.1mmあり、かつ、
前記蓋体は、内周壁が天頂部から開放端に向かって0°超~0.1°以下の角度をもち、該内周壁によって形成される内部空間を、該蓋体の開放端に向けて拡大させる傾斜を有することを特徴とする。
【0008】
なお、本発明の蓋付き容器においては、
(1)前記係合部材は、第1磁石であり、前記被係合部材は、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材であること、
(2)前記吸引部材は、磁石であること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蓋付き容器によれば、蓋体を容器本体に装着した際の、該蓋体の内周壁と、容器本体の化粧筒外周壁との間の隙間を、最も狭いところにおいて0.025~0.1mmの範囲内になるように構成したことで、前記隙間にある空気を逃げにくくすることができ、蓋体の容器本体の化粧筒に沿った移動(下降)を抑制することができる。そのため、本発明によれば、蓋体をその自重によって容器本体(化粧筒)に沿ってゆっくりと移動(下降)させることができるようになり、蓋付き容器に高級感を付与することができる。
【0010】
また、本発明の蓋付き容器によれば、前記隙間によって蓋体および容器本体のいずれか一方に設けた係合部材が第1磁石からなり、蓋体および容器本体のいずれか他方に設けた被係合部材が吸引部材からなる場合にも、該吸引部材が前記第1磁石に吸引された際の、蓋体の容器本体への移動速度を低下させることができ、該蓋体を容器本体にゆっくりと装着させることができる。そのため、蓋体が容器本体に接触するときに生じる衝撃が緩和されることになり、その際に発生する音を小さく抑えることができるという効果が期待できる。また、本発明によれば、蓋体の容器本体への装着に際し、該蓋体が、磁石による吸引力によって位置合わせをしながら、ゆっくりとスムーズに装着されることになり、高級感および操作感をさらに向上させることができる。
【0011】
また、本発明の蓋付き容器によれば、蓋体の内周壁を、天頂部から開放端に向かって0°超~0.1°以下の角度で傾斜させて、該内周壁によって形成される内部空間を、該蓋体の開放端に向けて拡大させることで、蓋体の成型時において、蓋体の金型からの離型をスムーズに行うことができる。また、前記傾斜を0.1°以下としたことで、容器本体の化粧筒外周壁と蓋体の内周壁との間の隙間を、容器軸方向にほぼ一定とすることができ、前記蓋体の容器本体への装着に際する上記移動速度の低下の効果を有効に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の蓋付き容器の一実施形態を示す図であり、(a)は、蓋体を取り外した状態で示した平面図(二点鎖線は、蓋体を表示している)、(b)は、A-A矢視断面図である。
図2図1の蓋付き容器の、蓋体と容器本体の嵌合位置を拡大して示す断面図である。
図3図1の蓋付き容器の、B-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の蓋付き容器10を示す図であり、図1(a)は、蓋体を取り外した状態で示した平面図、(b)はA-A矢視断面図である。図2は、図1の蓋付き容器10の、蓋体と容器本体との嵌合位置を拡大して示す断面図であり、図3は、図1の蓋付き容器10のB-B矢視断面図である。
【0014】
本実施形態では、蓋付き容器10は、いわゆる繰出し容器であり、例えば、化粧料(口紅やリップクリーム、スティックアイシャドーなど)、薬剤または糊などの棒状の内容物を繰り出し、および引き込み可能に収容するものである。ただし、蓋付き容器10は、繰出し容器に限定されるものではなく、例えば、ジャー容器やコンパクト容器などであってもよく、また蓋付き容器10がジャー容器等からなる場合には、内容物は固形状に限定されるものではなく、液状や粘稠状、粉粒状など各種のものを用いることができる。
【0015】
図1~3に示したように、蓋付き容器10は、容器本体20と、蓋体40とを備えている。容器本体20は、内部に内容物を収容するものであり、蓋体40は、容器本体20の上部を覆うように有頂筒状からなり、容器本体20に着脱可能に装着されている。
ここで、容器本体20および蓋体40の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下では、前記共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿った蓋体側を上側(一方側)といい、容器軸O方向に沿った容器本体側を下側(他方側)という。容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O周りに周回する方向を周方向という。
【0016】
容器本体20は、本体筒21と、収納筒22と、化粧筒23と、摺動リング24と、中皿25と、係合部材として第1磁石26と、を備えている。本体筒21、収納筒22、化粧筒23、摺動リング24および中皿25は、それぞれ合成樹脂素材を用いて製造することができるが、素材の材質についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、後述するように本体筒21が矩形状からなり、収納筒22および化粧筒23が円形状からなる容器本体20を一例として示しているが、容器の形状は、内容物の種類や容器のデザイン、用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。
【0017】
本体筒21は、有底筒状であり、第1外筒27と第1内筒28とを備えている。なお、第1外筒27は有底筒状であり、第1内筒28は容器軸O方向の両側に開口する筒状であり、第1外筒27内に、第1内筒28が配置されている。第1外筒27に対する第1内筒28の回転は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。第1内筒28は、第1外筒27の周方向の回転に伴って回転し、第1外筒27に対する第1内筒28の上下動は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。
【0018】
収納筒22は、下端部が本体筒21内に配置され、該本体筒21から上方へ延びている。収納筒22の上端は、本体筒21よりも上方に位置し、本体筒21に対する収納筒22の回転は、例えば、両者が互いにアンダーカット嵌合によって係止することで規制されている。収納筒22は、本体筒21の周方向の回転に伴って回転し、本体筒21に対する収納筒22の上下動は、例えば、両者が互いにアンダーカット嵌合によって係止することで規制されている。
【0019】
化粧筒23は、二重の筒状からなり、収納筒22の外側を取り囲むように配置され、下端部が、収納筒22の下端部と本体筒21との間に挟まれている。本体筒21および収納筒22に対する化粧筒23の回転は、例えば、上下方向に対向し当接する係止部が形成されることで規制されている。また、化粧筒23は、本体筒21および収納筒22に対して周方向に回転可能である。
【0020】
摺動リング24は、収納筒22と化粧筒23とが相対的にがたつくことを規制するものである。摺動リング24は、収納筒22の下端部と化粧筒23の下端部との間に配置され、収納筒22に対する摺動リング24の回転は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。一方、化粧筒23に対する摺動リング24の回転は、規制されていない。本体筒21および収納筒22が回転するとき、摺動リング24は、化粧筒23の内周壁を摺動しながら回転する。
【0021】
中皿25は、収納筒22に収容され、内容物を下から支持するものである。収納筒22と化粧筒23とが相対的に回転することで、中皿25は収納筒22内を上下動する。この動作は、公知の繰出し容器に採用される構成(例えば、突起、縦溝、螺旋溝を含む構成や、ねじ軸を含み中皿がねじ軸に対して螺着された構成など)によって実現することができる。
【0022】
本実施形態の容器本体20では、本体筒21の第1外筒27の上端部に第1周溝29が設けられている。第1周溝29は、径方向の内側に向けて開口し、かつ上方に向けて開口している。さらに、本体筒21の第1内筒28の上端部に、第1鍔30が設けられている。第1鍔30は、第1内筒28の上端面よりも下方に位置し、第1周溝29内に配置され、その下面が第1周溝29の下面に支持されている。また、第1鍔30の上面は、第1外筒27の上端面と同一高さにある。
【0023】
容器本体20には、環状の受け面31と、環状の突部32とが設けられている。受け面31は、蓋体40の下端面40bに対向して位置し、該下端面40bと接触していても、また離れていてもよい。受け面31は、第1外筒27の上端面と、第1鍔30の上端面とによって形成されている。
【0024】
突部32は、受け面31に対する径方向の内側に設けられている。突部32は、受け面31よりも上方に突出し、第1内筒28のうち、第1鍔30よりも上方に位置する部分によって形成されている。
【0025】
なお、図1(a)に示すように、容器本体20の平面視において、突部32の外周面は矩形状(以下、第1矩形状33という)からなり、4つの第1角部34および4つの第1辺部35を備えている。また、平面視において、収納筒22の内周面は円形状である。
【0026】
第1磁石26は、第1角部34に対応する位置に配置されている。ここで、第1角部34に対応する位置とは、前記平面視において、容器軸Oおよび第1角部34を通過する仮想の直線(以下、第1直線L1という)上の位置であり、第1磁石26は、第1直線L1上に位置する。
【0027】
図3に示すように、第1磁石26は、第1内筒28の突部32に設けられた第1凹部36に嵌合されている。本実施形態では、第1磁石26の上端部は、突部32内に配置されている。言い換えると、突部32の一部は、第1磁石26によって形成されている。
【0028】
蓋体40は、図1に示すように、化粧筒23の上半分の全体を覆うように有頂筒状に形成され、容器本体20に着脱可能に装着される。蓋体40は、第2外筒41と、第2内筒42の二重の筒状からなり、被係合部材として第2磁石43(吸引部材)を備えている。第2外筒41および第2内筒42は、有頂筒状である。なお、蓋体40は、合成樹脂等の素材を用いて製造することができるが、素材の材質についてはとくに限定されず、容器本体20と同じ素材で製造してもよいし、異なる素材を用いて製造してもよい。また、本実施形態では、後述するように蓋体40が平面視矩形状からなるものを一例として示しているが、蓋体40の形状は、内容物の種類や容器のデザイン、用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。
【0029】
第2内筒42は、第2外筒41内に配置されている。第2外筒41に対する第2内筒42の回転は、規制されている。第2内筒42は、第2外筒41の周方向の回転に伴って回転する。第2外筒41に対する第2内筒42の上下動は、規制されている。
なお、第2外筒41に対して第2内筒42の回転を規制させる構成は、公知の構成を適宜採用可能である。また、第2外筒41に対して第2内筒42の上下動を規制させる構成は、公知の構成を適宜採用可能である。
【0030】
図2に示すように、蓋体40には、第2外筒41の下端部に第2周溝44が設けられている。第2周溝44は、径方向の内側に向けて開口し、かつ、下方に向けて開口している。更に、蓋体40の第2内筒42の下端部に、拡径部45と、第2鍔46と、が設けられている。拡径部45は、第2内筒42の最下端に位置し、該第2内筒42において拡径部45よりも上側に位置する部分よりも大径である。第2鍔46は、拡径部45の下端に位置し、第2周溝44内に配置される。また、第2鍔46の下面は、拡径部45の下端面および第2外筒41の下端面と面一である。
【0031】
前記蓋体40では、蓋体40の下端部40aの内径は、蓋体40において下端部よりも上方に位置する部分の内径よりも大きい。蓋体40の下端部40aは、第2外筒41の下端部と、第2内筒42の下端部(拡径部45)と、によって形成されている。蓋体40の下端部40aの内周面は、拡径部45によって形成されている。蓋体40の下端面40bは、拡径部45の下端面、第2鍔46の下面、第2外筒41の下端面によって形成されている。
【0032】
蓋体40の下端部40aは、容器本体20の突部32を径方向の外側から覆うように位置している。蓋体40の下端部40aの内周面は、蓋体40において下端部40aよりも上方に位置する部分の内周面に、段差50を介して連なっている。段差50と突部32の上端面とは、容器軸O方向に対向している。段差50と突部32の上端面とは、接触していてもよく、離れていてもよい。
【0033】
蓋体40は、図1(a)に示すように、平面視において、蓋体40の下端部40aの内周面は、矩形状(以下、第2矩形状47という)である。第2矩形状47は、第1矩形状33と相似形からなり、第1矩形状33よりも大径である。また、第2矩形状47は、4つの第2角部48および4つの第2辺部49を備えている。
【0034】
図3に示すように、第2磁石43は、第1磁石26と容器軸O方向に対向している。第2磁石43は、段差50の上方に配置されている。第2磁石43は、第1磁石26に吸引される吸引部材として機能する。ただし、第2磁石43は、単なる磁性体(例えば、鉄に代表される一部の金属)等とは異なり、第1磁石26と互いに吸引し合う。
本実施形態では、第2磁石43は、第2角部48に対応する位置に配置されている。ここで、第2角部48に対応する位置とは、図1(a)の平面視において、容器軸Oおよび第2角部48を通過する仮想の直線(以下、第2直線L2という)上の位置であり、第2磁石43は、第2直線L2上に位置する。
【0035】
図3に示すように、第2磁石43は、第2内筒42に取り付けられている。第2内筒42には、下方に向けて窪んだ第2凹部51を有し、該第2凹部51に第2磁石43が嵌合されている。
【0036】
なお、本実施形態では、容器本体20に係合部材として第1磁石26を設け、蓋体40に被係合部材として第2磁石43を設け、該第1磁石26と第2磁石43との相互の吸引によって蓋体40を容器本体20に向かって位置合わせをしながら移動させ、これによって蓋体40を容器本体20に装着させるように構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、係合部材と被係合部材は、容器本体20と蓋体40とを着脱自在に係止することができればどのような構造であってもよく、例えば、アンダーカット嵌合等を用いることができる。
【0037】
上記構成からなる容器本体20と蓋体40とを備える蓋付き容器10では、蓋体40が容器本体20から離脱した状態で、該蓋体40を、容器本体20の化粧筒23に上方から覆うようにして嵌め入れると、蓋体40がその自重によって化粧筒23に沿ってゆっくりと下降した後、蓋体40の第2磁石43が、容器本体20の第1磁石26に吸引され、蓋体40が位置合わせをしながら容器本体20に対して移動し、使用者が操作等することなく、蓋体40を容器本体20の正しい位置に簡単に装着させることができる。
【0038】
このような蓋付き容器10において、本実施形態では、蓋体40の第2内筒42が、容器本体20の化粧筒23の外径よりも0.05~0.2mm大きい内径を有し、図3に拡大して示したように蓋体40を容器本体20に装着した際、第2内筒42の内壁面と、化粧筒23の外壁面との間に形成される隙間Dが、最も狭いところにおいて0.025~0.1mmになるように構成されている。なお、隙間Dは、容器軸O方向の全長において上記範囲内になるように形成されてもよく、また部分的に上記範囲以上となる箇所があってもよい。
【0039】
この隙間Dを上記範囲内としたことで、蓋体40を、容器本体20の化粧筒23に上方から覆うように嵌め入れて装着する際、隙間D内の空気が外に逃げにくく(空気がゆっくりと抜けるように)なり、蓋体40の化粧筒23に沿った移動が抑制されることになる。これにより、蓋体40は、前記隙間Dの効果によって、化粧筒23に沿ってゆっくりと移動(下降)した後、さらに蓋体40の第2磁石43と容器本体20の第1磁石26との吸引によって、容器本体20に対して移動する際の、移動速度を低下させながら、容器本体20にゆっくりと装着させることができるようになる。その結果、使用者が蓋体40を押し込む等しなくても、蓋体40を自重によってゆっくりと下降させることができ、蓋付き容器10の操作感の向上や、高級感を確保することができ、また蓋体40が容器本体20に接触するときに生じる衝撃を緩和し、発生する音を小さく抑えることができる。
【0040】
なお、隙間Dが、0.025mm未満の場合には、空気による抵抗が大きくなり過ぎてしまい、蓋体40をスムーズに容器本体20に装着させることができず、一方、0.1mm超の場合には、蓋体40の容器本体20への移動速度を十分に低下させることができない。
【0041】
また、蓋体40は、第2内筒42の内周壁を、天頂部から下端部40aに向かって0°超~0.1°以下の角度で径方向外向きに傾斜させることが好ましい。これにより、第2内筒42の内周壁によって形成される蓋体40の内部空間を、開放端に向けて拡大させることができ、蓋体40を射出成型等の成型法を適用して成型する際に、該蓋体40の金型からの離型をスムーズに行うことができる。
また、前記傾斜を0.1°以下としたことで、容器本体20の化粧筒23の外周壁と蓋体40の第2内筒42の内周壁との間の隙間を、容器軸O方向にほぼ一定とすることができ、蓋体40の容器本体20への装着に際する上記移動速度の低下の効果を有効に発揮することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第1磁石26と第2磁石43とが、互いに吸着し合う(吸引部材としての第2磁石43が、第1磁石26に吸引されるときに、第1磁石26も第2磁石43に吸引される)ため、例えば、吸引部材として、単に第1磁石26に吸引されるだけの磁性体が採用される場合に比べて、第1磁石26と第2磁石43とが強固に吸着し合うことになり、蓋体40が容器本体20に強固に装着される。また、蓋体40が容器本体20に対して移動する速度が高められ易くなるが、前記したように隙間Dを0.025~0,1mmとすることにより蓋体40の移動速度を低減するという効果が顕著に奏功される。
【0043】
なお、第1磁石26に吸引される吸引部材としては、第2磁石43に代えて、鉄などの磁性体を採用してもよい。この場合には、第1磁石26が、容器本体20および蓋体40のいずれか一方に設けられ、吸引部材としての磁性体が、容器本体20および蓋体40のいずれか他方に設けられた構成を適宜、採用することが可能である。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、さらに前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 蓋付き容器
20 容器本体
21 本体筒
22 収納筒
23 化粧筒
24 摺動リング
25 中皿
26 第1磁石
27 第1外筒
28 第1内筒
29 第1周溝
30 第1鍔
31 受け面
32 突部
33 第1矩形状
34 第1角部
35 第1辺部
36 第1凹部
40 蓋体
40a 下端部
40b 下端面
41 第2外筒
42 第2内筒
43 第2磁石(吸引部材)
44 第2周溝
45 拡径部
46 第2鍔
47 第2矩形状
48 第2角部
49 第2辺部
50 段差
51 第2凹部
O 容器軸
図1
図2
図3