(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
G11B 5/31 20060101AFI20241021BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/02 R
(21)【出願番号】P 2021128975
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕治
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-113621(JP,A)
【文献】特開2013-073661(JP,A)
【文献】特開2016-012384(JP,A)
【文献】特開2010-129152(JP,A)
【文献】特開2017-162533(JP,A)
【文献】特開2020-149737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、第1磁性層を含む磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続され、前記コイルに記録電流を供給し前記磁気素子に素子電流を供給可能な制御部と、
を備え、
前記記録電流は、第1極性の第1期間と、前記第1極性とは異なる第2極性の第2期間と、前記第1期間から前記第2期間へ移行する第3期間と、前記第2期間から前記第1期間へ移行する第4期間と、を含み、
前記素子電流は、直流成分と、交流成分と、を含み、前記第1期間における前記交流成分は、前記第2期間における前記交流成分、前記第3期間における前記交流成分、及び、前記第4期間における前記交流成分と同じである、磁気記録装置。
【請求項2】
前記交流成分の振幅の前記直流成分の絶対値に対する比は、0.1以上である、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記交流成分の振幅の前記直流成分の絶対値に対する比は、0.5以上である、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記交流成分の周波数は、0.2GHz以上7GHz以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記第3期間及び前記第4期間の少なくともいずれかに、前記交流成分の位相が同期する、請求項1~4のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項6】
前記磁気素子は、交番磁界を発生させる、請求項1~5のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項7】
前記磁気ヘッドは、第2磁極をさらに含み、
前記磁気素子は、第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた、請求項1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項9】
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項10】
前記直流成分は、前記第1磁極から前記第2磁極への向きを有する、請求項8または9に記載の磁気記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気記録装置において、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド及び制御部を含む。前記磁気ヘッドは、第1磁極と、第1磁性層を含む磁気素子と、コイルと、を含む。前記制御部は、前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続される。前記制御部は、前記コイルに記録電流を供給し前記磁気素子に素子電流を供給可能である。前記記録電流は、第1極性の第1期間と、前記第1極性とは異なる第2極性の第2期間と、前記第1期間から前記第2期間へ移行する第3期間と、前記第2期間から前記第1期間へ移行する第4期間と、を含む。前記素子電流は、直流成分と、交流成分と、を含む。前記第1期間における前記交流成分は、前記第2期間における前記交流成分、前記第3期間における前記交流成分、及び、前記第4期間における前記交流成分と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
【
図5】
図5は、磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図11】
図11(a)~
図11(c)は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、
図1(a)の一部を拡大して示している。
図1に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110及び制御部75を含む。磁気記録装置210は、磁気記録媒体80を含んでも良い。磁気記録装置210において、少なくとも記録動作が行われる。記録動作において、磁気ヘッド110を用いて磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0008】
磁気ヘッド110は、記録部60を含む。後述するように、磁気ヘッド110は、再生部を含んでも良い。記録部60は、第1磁極31、磁気素子20及びコイル30cを含む。この例では、磁気ヘッド110は、第2磁極32を含む。磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。
【0009】
例えば、第1磁極31及び第2磁極32は、磁気回路を形成する。第1磁極31は、例えば、主磁極である。第2磁極32は、例えば、トレーリングシールドである。第1磁極31がトレーリングシールドで、第2磁極32が主磁極でも良い。
【0010】
磁気記録媒体80から磁気ヘッド110への方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、例えばハイト方向に対応する。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向に対応する。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向に対応する。ダウントラック方向に沿って、磁気記録媒体80と磁気ヘッド110とが相対的に移動する。磁気記録媒体80の所望の位置に、磁気ヘッド110から生じる磁界(記録磁界)が印加される。磁気記録媒体80の所望の位置の磁化が、記録磁界に応じた方向に制御される。これにより、磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0011】
第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、実質的にX軸方向に沿う。実施形態において、第1方向D1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。傾斜の角度は、例えば、0度を超え10度以下である。
【0012】
この例では、コイル30cの一部は、第1磁極31と第2磁極32との間にある。この例では、シールド33が設けられている。X軸方向において、シールド33と第2磁極32との間に第1磁極31がある。コイル30cの別の一部が、シールド33と第1磁極31との間にある。これらの複数の要素の間に、絶縁部30iが設けられる。シールド33は、例えば、リーディングシールドである。磁気ヘッド110は、サイドシールド(図示しない)を含んでも良い。
【0013】
図1(a)に示すように、記録回路30Dから、コイル30cに記録電流Iwが供給される。第1磁極31から、記録電流Iwに応じた記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。
【0014】
図1(a)に示すように、第1磁極31は、媒体対向面30Fを含む。媒体対向面30Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)である。媒体対向面30Fは、例えば、磁気記録媒体80に対向する。媒体対向面30Fは、例えば、X-Y平面に沿う。
【0015】
図1(a)に示すように、電気回路20Dが、磁気素子20に電気的に接続される。この例では、磁気素子20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続される。磁気ヘッド110に、第1端子T1及び第2端子T2が設けられる。第1端子T1は、第1配線W1及び第1磁極31を介して磁気素子20と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2及び第2磁極32を介して磁気素子20と電気的に接続される。電気回路20Dから、例えば、素子電流icが磁気素子20に供給される。
【0016】
磁気素子20は、第1磁性層21を含む。この例では、
図1(b)に示すように、磁気素子20は、第1磁性層21、第1非磁性層41及び第2非磁性層42を含む。
図1(b)においては、絶縁部30iは省略されている。例えば、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0017】
図1(b)に示すように、このような磁気素子20に素子電流icが供給される。素子電流icは、例えば、上記の電気回路20Dから供給される。
図1(b)に示すように、素子電流icは、第1磁性層21から第2磁性層22への向きを有する。
図1(b)に示すように、素子電流icに伴う電子流jeは、第2磁性層22から第1磁性層21への向きを有する。
【0018】
例えば、しきい値以上の素子電流icが磁気素子20を流れることで、磁気素子20の磁化が発振する。磁気素子20は、例えばSTO(Spin-Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、磁気素子20から交番磁界(例えば高周波磁界)が発生する。磁気素子20で発生した交番磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への書き込みがアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。
【0019】
このように、制御部75は、磁気素子20及びコイル30cと電気的に接続される。制御部75は、コイル30cに記録電流Iwを供給し、磁気素子20に素子電流icを供給可能である。
【0020】
以下、記録電流Iw及び素子電流icの例について説明する。
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。
図2(a)の縦軸は、記録電流Iwである。
図2(b)の縦軸は、素子電流icである。
【0021】
図2(a)に示すように、記録電流Iwは、第1極性または第2極性の期間を含む。第1極性は、正及び負の一方である。第2極性は、第1極性とは異なる。第2極性は、正及び負の他方である。記録電流Iwは、第1極性の第1期間ST1と、第2極性の第2期間ST2と、を含む。記録電流Iwは、第1期間ST1から第2期間ST2へ移行する第3期間ST3と、第2期間ST2から第1期間ST1へ移行する第4期間ST4と、を含む。
【0022】
1つの例において、第1期間ST1が、記録される情報の1及び0の一方に対応し、第2期間ST2が、記録される情報の1及び0の他方に対応する。
【0023】
別の例において、第3期間ST3が、記録される情報の1及び0の一方に対応し、第4期間ST4が、記録される情報の1及び0の他方に対応しても良い。この場合、極性の変化が記録される情報に対応する。
【0024】
第1~第4期間ST1~ST4のそれぞれの長さは、記録される情報の内容に応じて変化する。このような記録電流Iwがコイル30cに供給される。これにより、記録電流Iwに応じた記録磁界が第1磁極31及び第2磁極32の少なくともいずれかから発生する。発生した記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。磁気記録媒体80において、記録磁界が印加された部分の磁化の向きが制御される。例えば、磁化の向きが、記録される情報に対応する。実施形態において、例えば、垂直磁気記録が行われる。
【0025】
図2(b)に示すように、素子電流icは、直流成分iDC及び交流成分iACを含む。交流成分iACは、例えば変調成分である。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、交流成分iACは、記録電流Iwの状態とは関係なく実質的に一定である。
【0026】
例えば、第1期間ST1における交流成分iACは、第2期間ST2における交流成分iAC、第3期間ST3における交流成分iAC、及び、第4期間ST4における交流成分iACと同じである。例えば、カップリングなどの影響による交流成分iACの変化は無視して良い。
【0027】
例えば、交流成分iACは、振幅iACPを有する。例えば、第1期間ST1における振幅iACPは、第2期間ST2における振幅iACP、第3期間ST3における振幅iACP、及び、第4期間ST4における振幅iACPと実質的に同じである。例えば、カップリングなどの影響による振幅iACPの変化は無視して良い。
【0028】
例えば、交流成分iACは、周波数fdを有する。例えば、第1期間ST1における周波数fdは、第2期間ST2における周波数fd、第3期間ST3における周波数fd、及び、第4期間ST4における周波数fdと実質的に同じである。例えば、カップリングなどの影響による周波数fdの変化は無視して良い。
【0029】
このような素子電流icは磁気素子20に供給されることで、磁気素子20で生じる交番磁界の周波数成分の分布が広くなる。これにより、例えば、磁気素子20の加工のばらつきなどに起因する交番磁界の周波数の変動の影響が実用的に抑制できる。交番磁界の周波数成分の分布が広くなることで、例えば、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数が変動した場合も、磁気記録媒体80は交番磁界と共鳴し易くなる。実用的に安定したMAMRが実施できる。実施形態によれば、実用的に記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供できる。
【0030】
図3(a)及び
図3(b)は、磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
これらの図は、磁気素子20から生じる交番磁界のFFT(Fast Fourier Transform)特性のシミュレーション結果を例示している。これらの図の横軸は、周波数f1である。これらの図の縦軸は、強度P1(パワー密度)である。
図3(a)において、素子電流icは、直流成分iDC及び交流成分iACを含む。この例では、交流成分iACの振幅iACPは、直流成分iDCの1/2である。この条件は、50%の変調率に対応する。
図3(b)においては、素子電流icは、直流成分iDCを含み、交流成分iACを含まない。変調率は、0%である。
【0031】
図3(b)に示すように、素子電流icが交流成分iACを含まない場合、交番磁界の強度P1は、約36GHzに鋭いピークを有する。この場合、例えば、磁気素子20の加工のばらつきなどにより、交番磁界のピーク周波数が敏感に変動する。例えば、交番磁界のピーク周波数が、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数とずれ易い。例えば、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数が変動した場合も、磁気共鳴周波数は、交番磁界のピーク周波数とずれ易い。このため、効果的なMAMRが実施し難い。
【0032】
これに対して、
図3(a)に示すように、素子電流icが交流成分iACを含む場合、交番磁界の強度P1は、約26GHz~約44GHzの広い範囲で高い。例えば、磁気素子20の加工のばらつきなどが生じた場合も、交番磁界の周波数特性に生じる変化が小さい。加工のばらつきなどによる影響が、実用的に抑制できる。例えば、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数が変動した場合も、磁気記録媒体80は交番磁界と安定して共鳴できる。実用的に安定したMAMRが実施できる。
【0033】
このように、素子電流icが交流成分iACを含むことで、交番磁界は、広い周波数成分を含むようになる。これにより、実用的に記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供できる。
【0034】
図4は、磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
図4の横軸は、交流成分iACの周波数fd(変調周波数)である。縦軸は、バンド幅BW1である。バンド幅BW1は、上記の強度P1が10
-2を超える周波数の範囲(最高の周波数と最低の周波数との差)である。
図4において、周波数fdが0の条件は、交流成分iACを含まない場合に対応する。この例では、iACP/iDC=1/2であり、変調率は50%である。
【0035】
図4に示すように、周波数fdが0.2GHz以上7GHz以下のときに、大きなバンド幅BW1が得られる。周波数fdが0.2GHz以上1.6GHz以下のときに、特に大きなバンド幅が得られる。
【0036】
実施形態において、交流成分iACの周波数fdは、0.2GHz以上7GHz以下であることが好ましい。これにより、交番磁界の周波数成分が効果的に広がる。実施形態において、周波数fdが0.2GHz以上1.6GHz以下であることがさらに好ましい。交番磁界の周波数成分が効果的にさらに広がる。
【0037】
実施形態において、交流成分iACの周波数fdは、素子電流icが交流成分iACを含まない場合(例えば
図3(b)参照)に磁気素子20から生じる交番磁界の強度P1が最高となる周波数の1/5以下であることが好ましい。交番磁界の周波数成分が効果的にさらに広がる。
図3(b)の例では、素子電流icが交流成分iACを含まない場合に磁気素子20から生じる交番磁界の強度P1が最高となる周波数は、約36GHzである。
【0038】
図5は、磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
図5の横軸は、変調比RR1である。変調比RR1は、交流成分iACの振幅iACPの、直流成分iDCの絶対値に対する比(iACP/iDC)である。縦軸はバンド幅BW1である。この例では、交流成分iACの周波数fdは、3GHzである。
【0039】
図5に示すように、変調比RR1が高くなるとバンド幅BW1が大きくなる。実施形態において、変調比RR1(交流成分iACの振幅iACPの、直流成分iDCの絶対値に対する比)は、例えば、0.1以上である。交番磁界の周波数成分が効果的に広がる。
【0040】
実施形態において、変調比RR1(交流成分iACの振幅iACPの、直流成分iDCの絶対値に対する比)は、例えば、0.5以上でも良い。交番磁界の周波数成分がより効果的に広がる。
【0041】
実施形態において、変調比RR1(交流成分iACの振幅iACPの、直流成分iDCの絶対値に対する比)は、例えば、2.0以下である。この場合、素子電流icが正であり、負にならない。
【0042】
実施形態において、磁気素子20における素子電流icの電流密度は、例えば、5×108A/cm2以下であることが好ましい。これにより、磁気素子20の特性が安定しやすい。例えば、磁気素子20の損傷が抑制される。
【0043】
上記の例では、交流成分iACは、正弦波状である。実施形態において、交流成分iACは任意の波形を有して良い。
【0044】
図6(a)及び
図6(b)は、磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。これらの図の縦軸は、素子電流icである。
図6(a)に示す例において、交流成分iACは、方形波状である。交流成分iACは、三角波状でも良い。
図6(a)に示す例において、交流成分iACは、のこぎり歯状の形状を有する。のこぎり歯状の形状において、立ち上がりの波形が、立ち下がりの波形と異なる。実施形態において、交流成分iACは任意の波形を有して良い。
【0045】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。
図7(a)の縦軸は、記録電流Iwである。
図7(b)の縦軸は、素子電流icである。
【0046】
図7(a)に示すように、記録電流Iwは、第1~第4期間ST1~ST4を含む。
図7(b)に示すように、素子電流icの交流成分iACの位相は、第3期間ST3及び第4期間ST4と同期している。例えば、記録電流Iwが0となる時刻に、交流成分iACの位相が同期する。このように、実施形態において、第3期間ST3及び第4期間ST4の少なくともいずれかに、交流成分iACの位相が同期しても良い。同期することで、例えば、カップリングなどの影響により意図した時刻に無用のノイズが発生することが抑制される。より安定したMAMRが実施できる。
【0047】
図8は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド111において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられた第2磁性層22と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられた第3非磁性層43と、を含む。
【0048】
磁気ヘッド111の1つの例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0049】
磁気ヘッド111の別の例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0050】
図9は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられた第2磁性層22と、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられた第3磁性層23と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられた第3非磁性層43と、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられた第4非磁性層44と、含む。
【0051】
磁気ヘッド112の1つの例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0052】
磁気ヘッド112の別の例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0053】
図10は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド113において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられた第2磁性層22と、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられた第3磁性層23と、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられた第4磁性層24と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられた第3非磁性層43と、第3磁性層23と第4磁性層24との間に設けられた第4非磁性層44と、第4磁性層24と第2磁極32との間に設けられた第5非磁性層45と、を含む。
【0054】
磁気ヘッド113の1つの例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0055】
磁気ヘッド113の別の例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0056】
磁気ヘッド113の別の例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0057】
磁気ヘッド113の別の例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0058】
図11(a)~
図11(c)は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図11(a)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド114において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられ第2磁極32と接する第2磁性層22と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、を含む。
【0059】
磁気ヘッド114において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0060】
図11(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド115において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられた第2磁性層22と、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられ第2磁極32と接する第3磁性層23と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられた第3非磁性層43と、を含む。
【0061】
磁気ヘッド115において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0062】
図11(c)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド116において、磁気素子20は、第1磁性層21と、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられた第2磁性層22と、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられた第3磁性層23と、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられ第2磁極32と接する第4磁性層24と、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられた第1非磁性層41と、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられた第2非磁性層42と、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられた第3非磁性層43と、第3磁性層23と第4磁性層24との間に設けられた第4非磁性層44と、を含む。
【0063】
磁気ヘッド116の1つの例において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0064】
磁気ヘッド116において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4磁性層24は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0065】
上記の各種の磁気ヘッドにおいて、磁性層がCr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを含む場合、磁性層は負のスピン分極を有する。磁性層がCr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを実質的に含まない場合、磁性層は正のスピン分極を有する。
【0066】
図12は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図12に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0067】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0068】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0069】
図12に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0070】
図12に示すように、コイル30cは、第2磁極32の周りに設けられても良い。第2磁極32が第1磁極31と共に磁気回路を形成する。コイル30cにより、第1磁極31及び第2磁極32が励磁される。
図1(a)に関して説明したように、コイル30cは、第1磁極31の周りに設けられても良い。
【0071】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図13は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl
2O
3/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0072】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0073】
図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図15(a)及び
図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図14に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0074】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0075】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0076】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0077】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0078】
図15(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図15(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0079】
図15(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0080】
図15(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0081】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0082】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0083】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントランスファトルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0084】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0085】
実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0086】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0087】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁極と、第1磁性層を含む磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続され、前記コイルに記録電流を供給し前記磁気素子に素子電流を供給可能な制御部と、
を備え、
前記記録電流は、第1極性の第1期間と、前記第1極性とは異なる第2極性の第2期間と、前記第1期間から前記第2期間へ移行する第3期間と、前記第2期間から前記第1期間へ移行する第4期間と、を含み、
前記素子電流は、直流成分と、交流成分と、を含み、前記第1期間における前記交流成分は、前記第2期間における前記交流成分、前記第3期間における前記交流成分、及び、前記第4期間における前記交流成分と同じである、磁気記録装置。
【0088】
(構成2)
前記交流成分の振幅の前記直流成分の絶対値に対する比は、0.1以上である、構成1に記載の磁気記録装置。
【0089】
(構成3)
前記交流成分の振幅の前記直流成分の絶対値に対する比は、0.5以上である、構成1に記載の磁気記録装置。
【0090】
(構成4)
前記交流成分の周波数は、0.2GHz以上7GHz以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0091】
(構成5)
磁気記録媒体をさらに備え、
前記交流成分の周波数は、前記素子電流が前記交流成分を含まない場合に前記磁気素子から生じる交番磁界の強度が最高となる周波数の1/5以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0092】
(構成6)
前記磁気素子における前記素子電流の電流密度は、5×108A/cm2以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0093】
(構成7)
前記第3期間及び前記第4期間の少なくともいずれかに、前記交流成分の位相が同期する、構成1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0094】
(構成8)
前記磁気素子は、交番磁界を発生させる、構成1~7のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0095】
(構成9)
前記磁気ヘッドは、第2磁極をさらに含み、
前記磁気素子は、第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0096】
(構成10)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0097】
(構成11)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0098】
(構成12)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0099】
(構成13)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0100】
(構成14)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0101】
(構成15)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0102】
(構成16)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0103】
(構成17)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0104】
(構成18)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0105】
(構成19)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられ前記第2磁極と接する第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0106】
(構成20)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられ前記第2磁極と接する第3磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0107】
(構成21)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられ前記第2磁極と接する第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0108】
(構成22)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられ前記第2磁極と接する第4磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4磁性層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つと、を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つ、または、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9に記載の磁気記録装置。
【0109】
(構成23)
前記直流成分は、前記第1磁極から前記第2磁極への向きを有する、構成10~22のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0110】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気記録装置が提供できる。
【0111】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0112】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッド及び磁気記録装置に含まれる、磁極、磁気素子、磁性層、非磁性層、及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0113】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0114】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0115】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
20…磁気素子、 20D…電気回路、 21~24…第1~第4磁性層、 30D…記録回路、 30F…媒体対向面、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31、32…第1、第2磁極、 33…シールド、 41~45…第1~第5非磁性層、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 75…制御部、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 110~116…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR…矢印、 BW1…バンド幅、 D1…第1方向、 Iw…記録電流、 P1…強度、 RR1…変調比、 ST1~ST4…第1~第4期間、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 f1、fd…周波数、 iAC…交流成分、 iACP…振幅、 iDC…直流成分、 ic…素子電流、 je…電子流、 tm…時間