(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】絶縁デバイスおよびアイソレータ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20241021BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241021BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01L27/04 L
(21)【出願番号】P 2021153390
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大黒 達也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 眞理
(72)【発明者】
【氏名】石黒 陽
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅基
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022484(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138241(WO,A1)
【文献】特開2009-111036(JP,A)
【文献】特開2016-207894(JP,A)
【文献】特開2019-009353(JP,A)
【文献】特開2021-048222(JP,A)
【文献】特開2018-206897(JP,A)
【文献】特開2011-082371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面内に設けられた第1コイル層を含む第1インダクタと、
前記第1平面内に設けられ、中心軸が前記第1コイル層の中心軸と重なり前記第1コイル層の内側に位置する第2コイル層を含み、前記第1インダクタから離隔する第2インダクタと、
前記第1インダクタと前記第2インダクタとの間に設けられる絶縁層と、
を備え、
前記第1インダクタは、前記第1コイル層の中心軸が延びる軸方向において前記第1平面から離隔する第2平面内に設けられ、前記第1コイル層に電気的に接続される第3コイル層をさらに含み、
前記第1インダクタの電流経路において、前記第1コイル層の巻き方向と前記第3コイル層の巻き方向は同じであり、
前記第2インダクタは、前記軸方向の逆方向において前記第1平面から離隔した第3平面内に設けられ、前記第2コイル層に電気的に接続される第4コイル層をさらに含み、
前記第2インダクタの電流経路において、前記第2コイル層の巻き方向と前記第4コイル層の巻き方向は同じであ
り、
前記第2コイル層は、巻数が複数のスパイラル状であり、
前記第4コイル層は、巻数が複数のスパイラル状であり、
前記第2コイル層の外側の端部と前記第4コイル層の内側の端部とは、前記軸方向において電気的に接続される、絶縁デバイス。
【請求項2】
前記第1コイル層と前記第3コイル層は、前記軸方向に見て部分的に重なる、請求項
1に記載の絶縁デバイス。
【請求項3】
前記第1インダクタは、前記第1コイル層と前記第3コイル層との間に位置し、前記第1コイル層および前記第3コイル層に接続される第1導電部材をさらに含む、請求項
1または
2に記載の絶縁デバイス。
【請求項4】
前記第3コイル層は、前記第3コイル層の中心軸を含み、かつ、前記第3コイル層の前記中心軸に平行な断面において、隣り合う2つの部分を含み、
前記第1コイル層と前記第2コイル層との距離は、前記第3コイル層の前記隣り合う2つの部分同士の距離よりも長い、請求項
1~
3のいずれか1つに記載の絶縁デバイス。
【請求項5】
前記第4コイル層の外側の端部と前記第4コイル層の中心軸との距離は、前記第3コイル層の外側の端部と前記第3コイル層の中心軸との距離よりも長い、請求項
1~4のいずれか1つに記載の絶縁デバイス。
【請求項6】
前記第1インダクタは、
前記第1平面内に設けられ、前記第1平面に平行な方向において前記第1コイル層と並ぶ第5コイル層と、
前記第2平面内に設けられ、前記軸方向に見て中心軸が前記第5コイル層の内側に位置し、前記第5コイル層に電気的に接続される第6コイル層と、
前記第3コイル層および前記第6コイル層に接続される第1接続部と、
をさらに有し、
前記第1インダクタの前記電流経路において、前記第5コイル層および前記第6コイル層の巻き方向は、前記第1コイル層および前記第3コイル層の巻き方向と逆方向であり、 前記第2インダクタは、
前記第1平面内に設けられ、中心軸が前記第5コイル層の内側に位置する第7コイル層と、
前記第3平面内に設けられ、中心軸が前記第7コイル層の内側に位置し、前記第7コイル層に電気的に接続される第8コイル層と、
前記第4コイル層および前記第8コイル層に接続される第2接続部と、
をさらに有し、
前記第2インダクタの前記電流経路において、前記第7コイル層および前記第8コイル層の巻き方向は、前記第2コイル層および前記第4コイル層の巻き方向と逆方向である請求項
1~5のいずれか1つに記載の絶縁デバイス。
【請求項7】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、銅又はアルミニウムから構成され、
前記絶縁層は、酸化シリコン又は窒化シリコンから構成された、請求項
1~6のいずれか1つに記載の絶縁デバイス。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載の絶縁デバイスと、
前記第1インダクタに電気的に接続される第1回路と、
前記第2インダクタに電気的に接続される第2回路と、
を備えるアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、絶縁デバイスおよびアイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気結合型のアイソレータは、電流を遮断した状態で、磁界の変化を利用して信号またはエネルギーを伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、伝達効率が高い絶縁デバイスおよびアイソレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る絶縁デバイスは、第1平面内に設けられた第1コイル層を含む第1インダクタと、前記第1平面内に設けられ、中心軸が前記第1コイル層の内側に位置する第2コイル層を含み、前記第1インダクタから離隔する第2インダクタと、前記第1インダクタと前記第2インダクタとの間に設けられる絶縁層と、を備える。
【0006】
本発明の一実施形態に係るアイソレータは、前記絶縁デバイスと、前記第1インダクタに電気的に接続される第1回路と、前記第2インダクタに電気的に接続される第2回路と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るアイソレータを示す上面図である。
【
図3】
図3(a)は、本実施形態に係るアイソレータにおける第1インダクタおよび接続部材を示す上面図であり、
図3(b)は、本実施形態に係るアイソレータにおける第2インダクタおよび接続部材を示す上面図である。
【
図4】第2の実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す断面図である。
【
図5】第3の実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す上面図である。
【
図7】
図7(a)は、第3の実施形態に係る絶縁デバイスの第1インダクタおよび接続部材を示す図であり、
図7(b)は、第3の実施形態に係る絶縁デバイスの第2インダクタおよび接続部材を示す図である。
【
図8】第4の実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いる。また、Z方向のうち、矢印の方向を「上方向」とし、その逆方向を「下方向」とするが、これらの方向は重力方向とは無関係である。
【0010】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るアイソレータを示す上面図である。
図2は、
図1のII-II線における断面図である。
図3(a)は、本実施形態に係るアイソレータにおける第1インダクタおよび接続部材を示す上面図であり、
図3(b)は、本実施形態に係るアイソレータにおける第2インダクタおよび接続部材を示す上面図である。
【0011】
本実施形態に係るアイソレータ10は、磁気結合型のアイソレータである。アイソレータ10は、
図1を参照して概説すると、第1回路11と、第2回路12と、絶縁デバイス13と、複数の配線部材14a、14b、15a、15bと、を備える。
【0012】
絶縁デバイス13は、
図2を参照して概説すると、第1インダクタ110と、第2インダクタ120と、絶縁層130と、を備える。第1回路11は、第1インダクタ110に電気的に接続される。第2回路12は、第2インダクタ120に電気的に接続される。以下、アイソレータ10の各部について詳述する。
【0013】
第1インダクタ110は、
図2および
図3(a)に示すように、コイル層111と、コイル層111の上方に位置するコイル層112と、2つのコイル層111、112の間に位置し、2つのコイル層111、112に電気的に接続される導電部材113と、2つの延伸部114a、114bと、を含む。なお、
図3(a)では、説明をわかりやすくするために、コイル層112、延伸部114bおよび後述する各接続部材141、142を実線で示し、コイル層112よりも下方に位置するコイル層111、延伸部114aおよび導電部材113を破線で示している。
【0014】
図2に示すように、コイル層111の中心軸C1は、Z方向に延び、コイル層111は、X-Y平面に平行な平面P1内に設けられる。したがってZ方向は、中心軸C1が延びる軸方向に相当する。コイル層111は、例えば巻き数が1以上であり、スパイラル状である。また、コイル層の形状は、全体として略四角形または略六角形等の略多角形状であってもよい。後述する他のコイル層についても同様である。コイル層111の上面および下面は、例えばX-Y平面に略平行な平坦面である。
【0015】
コイル層112の中心軸C2は、Z方向に延び、コイル層112は、X-Y平面に平行な平面P2内に設けられる。平面P2は、平面P1とZ方向において離隔しており、例えば平面P1よりも上方に位置する。中心軸C2は、Z方向から見てコイル層111の内側に位置する。具体的には、中心軸C1と中心軸C2は、Z方向から見て概ね同じ位置に位置する。ただし、中心軸C2と中心軸C1は、Z方向から見て異なる位置に位置してもよい。コイル層112は、例えば巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層112の上面および下面は、例えばX-Y平面に略平行な平坦面である。
【0016】
コイル層111の外側の端部111bには、延伸部114aが接続される。延伸部114aは、外側の端部111bからコイル層111の径方向において外側に延びる。延伸部114aの外側の端部には、導電性を有する接続部材141が接続される。接続部材141は、延伸部114aの外側の端部から上方に延び、
図1に示すように、配線部材14aに接続される。配線部材14aは、絶縁デバイス13の上方を通って、第1回路11に電気的に接続される。ただし、外側の端部111bは、絶縁デバイス13の下方を通る配線部材(不図示)により、第1回路11に電気的に接続されてもよい。このような場合、絶縁デバイス13には、外側の端部111bから下方に延び、配線部材に接続される接続部材(不図示)を設けてもよい。
【0017】
図3(a)に示すように、コイル層111の内側の端部111aと、コイル層112の内側の端部112aは、Z方向から見て重なる。
【0018】
図2に示すように、導電部材113は、コイル層111の内側の端部111aとコイル層112の内側の端部112aとの間に位置し、内側の端部111aおよび内側の端部112aに接続される。これにより、コイル層112がコイル層111に電気的に接続される。導電部材113の形状は、例えば柱状であり、Z方向に延びる。
【0019】
図3(a)に示すように、コイル層112の外側の端部112bには、延伸部114bが接続される。延伸部114bは、外側の端部112bからコイル層112の径方向において外側に延びる。延伸部114bの外側の端部には、導電性を有する接続部材142が接続される。接続部材142は、
図1に示すように、配線部材14bに接続される。配線部材14bは、絶縁デバイス13の上方を通って、第1回路11に接続される。ただし、外側の端部112bは、絶縁デバイス13の下方を通る配線部材(不図示)により、第1回路11に電気的に接続されてもよい。このような場合、絶縁デバイス13には、外側の端部112bから下方に延び、配線部材に接続される接続部材(不図示)を設けてもよい。
【0020】
以上より、
図3(a)に示すように、第1インダクタ110では、コイル層111の外側の端部111bからコイル層112の外側の端部112bに向かって、または、コイル層112の外側の端部112bからコイル層111の外側の端部111bに向かって、電流が流れる。第1インダクタ110の電流経路において、コイル層111の巻き方向とコイル層112の巻き方向は、一致している。すなわち、第1インダクタ110に電流が流れる際にコイル層111の内側に生じる磁界の向きと、コイル層112の内側に生じる磁界の向きは、一致する。
【0021】
図3(a)に示すように、コイル層111とコイル層112は、Z方向から見て、導電部材113が設けられた個所以外の複数の個所で部分的に重なる。
【0022】
このように、コイル層111、コイル層112、および導電部材113により、一連のコイルが形成される。ただし、第1インダクタの構成は、上記に限定されない。例えば、第1インダクタを構成するコイル層の数は、3以上であってもよい。また、複数のコイル層により一連のコイルが形成できる限り、Z方向に隣り合うコイル層同士の接続位置等は、上記に限定されない。また、第1インダクタにおいて接続部材が接続される位置は、上記に限定されない。
【0023】
第2インダクタ120は、第1インダクタ110から離隔している。第2インダクタ120は、
図2および
図3(b)に示すように、コイル層121と、コイル層121の下方に位置するコイル層122と、2つのコイル層121、122に電気的に接続される導電部材123と、延伸部124と、を含む。なお、
図3(b)では、説明をわかりやすくするために、コイル層121および後述する接続部材143を実線で示し、コイル層121よりも下方に位置するコイル層122、導電部材123、延伸部124、および後述する接続部材144を破線で示している。
【0024】
図2に示すように、コイル層121の中心軸C3は、Z方向に延び、コイル層121は、平面P1内に設けられる。すなわち、コイル層111とコイル層121は、同一平面P1内に位置する。コイル層121の中心軸C3は、コイル層111の内側に位置する。具体的には、本実施形態では、コイル層121の中心軸C3は、中心軸C1と概ね一致している。ただし、中心軸C3と中心軸C1は一致しなくてもよい。コイル層121は、例えばコイル層111の内側に位置する。コイル層121は、例えば巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層121の上面および下面は、例えばX-Y平面に略平行な平坦面である。
【0025】
コイル層122の中心軸C4はZ方向に延び、コイル層122は、X-Y平面に平行な平面P3内に設けられる。平面P3は、平面P1とZ方向において離隔しており、平面P1の下方に位置する。したがって、平面P3と平面P2との間に、平面P1が位置する。コイル層122は、例えば巻き数が1以上であり、スパイラル状である。中心軸C4は、Z方向から見てコイル層111の内側に位置する。具体的には、中心軸C4と中心軸C3は、Z方向から見て概ね同じ位置に位置する。ただし、中心軸C3と中心軸C4は、Z方向から見て異なる位置に位置してもよい。コイル層121の大部分は、Z方向から見てコイル層122の内側に位置する。
【0026】
コイル層121の内側の端部121aには、例えば、導電性を有する接続部材143が接続される。接続部材143は内側の端部121aから下方に延び、
図1に示すように、配線部材15aに接続される。配線部材15aは、絶縁デバイス13の下方を通って、第2回路12に接続される。ただし、内側の端部121aは、絶縁デバイス13の上方を通る配線部材(不図示)により、第2回路12に電気的に接続されてもよい。このような場合、絶縁デバイス13には、内側の端部121aから上方に延び、配線部材に接続される接続部材(不図示)を設けてもよい。
【0027】
図3(b)に示すように、コイル層121の外側の端部121bと、コイル層122の内側の端部122aは、上方から見て重なる。
【0028】
導電部材123は、
図2に示すように、コイル層121の外側の端部121bとコイル層122の内側の端部122aとの間に位置し、外側の端部121bおよび内側の端部122aに接続される。これにより。コイル層122がコイル層121に電気的に接続される。導電部材123の形状は、例えば柱状であり、Z方向に延びる。
【0029】
図3(b)に示すように、コイル層122の外側の端部122bには、延伸部124が接続される。延伸部124は、外側の端部122bからコイル層122の径方向において外側に延伸する。延伸部124の外側の端部には、導電性を有する接続部材144が接続される。接続部材144は、例えば
図1に示すように、配線部材15bに接続される。配線部材15bは、絶縁デバイス13の下方を通って、第2回路12に接続される。ただし、接続部材143が上方に延びて配線部材15aに接続される場合は、接続部材144も上方に延びて、配線部材15bに接続される。
【0030】
したがって、
図3(b)に示すように、第2インダクタ120では、コイル層121の内側の端部121aからコイル層122の外側の端部122bに向かって、または、コイル層122の外側の端部122bからコイル層121の内側の端部121aに向かって、電流が流れる。第2インダクタ120の電流経路において、コイル層121の巻き方向とコイル層122の巻き方向は、一致している。すなわち、第2インダクタ120に電流が流れる際にコイル層121の内側に生じる磁界の向きと、コイル層122の内側に生じる磁界の向きは、一致する。
【0031】
コイル層121とコイル層122は、Z方向から見て、導電部材123が設けられた個所以外の個所でも部分的に重なる。ただし、コイル層121とコイル層122は、Z方向から見て、導電部材が設けられた個所以外の個所で重ならなくてもよい。
【0032】
以上、説明したように、コイル層121、コイル層122、および導電部材123により、一連のコイルが形成される。ただし、第2インダクタの構成は、上記に限定されない。例えば、第2インダクタを構成するコイル層の数は、3以上であってもよい。また、複数のコイル層により一連のコイルが形成できる限り、隣接するコイル層同士の接続位置等は、上記に限定されない。また、第2インダクタにおいて接続部材に接続される位置は、上記に限定されない。また、同一平面上に位置する第1インダクタのコイル層と第2インダクタのコイル層との組が、複数存在してもよい。また、第1回路または第2回路は、絶縁層の下方に配置される基板に実装されてもよい。
【0033】
図2に示すように、コイル層111とコイル層121の距離L0は、Z方向におけるコイル層111とコイル層112との距離、および、Z方向におけるコイル層121とコイル層122との距離よりも短い。また、距離L0は、本実施形態では、中心軸C1を含み、かつ、中心軸C1に平行な断面において、コイル層111において隣り合う2つの部分111c同士の距離L1aと概ね等しい。また、距離L0は、本実施形態では、中心軸C3を含み、かつ、中心軸C3に平行な断面において、コイル層121において隣り合う2つの部分121c同士の距離L2aと概ね等しい。また、距離L0は、本実施形態では、中心軸C2を含み、かつ、中心軸C2に平行な断面において、コイル層112において隣り合う2つの部分112c同士の距離L1bと概ね等しい。また、距離L0は、中心軸C4を含み、かつ、中心軸C4に平行な断面において、コイル層122において隣り合う2つの部分122c同士の距離L2bと概ね等しい。ただし、これらの距離は相互に異なっていてもよい。
【0034】
図1に示すように、コイル層122の外側の端部122bと中心軸C4との距離L4は、コイル層112の外側の端部112bと中心軸C2との距離L3よりも長い。すなわち、コイル層122の一部は、Z方向から見てコイル層112を囲んでいる。ただし、これらの距離の大小関係は、上記に限定されない。
【0035】
第1インダクタ110、第2インダクタ120、および各接続部材141、142、143、144は、銅またはアルミニウム等の金属材料を含む。第1インダクタ110、第2インダクタ120、および各接続部材141、142、143、144は、表面がタンタル等の金属材料に被覆されていてもよい。
【0036】
第1インダクタ110、第2インダクタ120、および各接続部材141、142、143、144は、絶縁層130内に設けられている。具体的には、
図2に示すように、絶縁層130は、コイル層111において隣り合う2つの部分111cの間、コイル層111とコイル層112との間、およびコイル層112の隣り合う2つの部分112cの間に設けれらる。絶縁層130は、コイル層121において隣り合う2つの部分121cの間、コイル層121とコイル層122との間、およびコイル層122の隣り合う2つの部分122cの間にさらに設けれらる。絶縁層130は、コイル層111とコイル層121との間にさらに設けられる。
【0037】
絶縁層130は、ポリイミドまたはビスマレイミドトリアジン(BT)等の樹脂、酸化シリコン、または窒化シリコン等の絶縁材料を含む。
【0038】
絶縁デバイスの構成は、上記に限定されない。例えば、絶縁層の上面または下面に保護層をさらに設けてもよい。
【0039】
第1回路11および第2回路12のうち一方は、受信回路として用いられる。第1回路11および第2回路12のうちの他方は、送信回路として用いられる。以下では、第1回路11が送信回路であり、第2回路12が受信回路である場合について説明する。
【0040】
第1回路11は、第1インダクタ110に電流を流す。電流が第1インダクタ110を流れると、第1インダクタ110の内側を通る磁界が発生する。第2インダクタ120のコイル層121の中心軸C3は、第1インダクタ110のコイル層111の内側に位置する。そのため、発生した磁力線の一部は、第2インダクタ120の内側を通る。第2インダクタ120の内側における磁界の変化により、第2インダクタ120に誘導起電力が生じ、第2インダクタ120に電流が流れる。これにより、第2インダクタ120に接続された第2回路12に、電流が流れる。このように、第1インダクタ110と第2インダクタ120との間で、電流を遮断(絶縁)した状態で、信号または電力が伝達される。
【0041】
次に、第1実施形態の効果を説明する。
本実施形態に係る絶縁デバイス13においては、第2インダクタ120のコイル層121と第1インダクタ110のコイル層111が同一平面P1内に設けられる。これにより、第1インダクタと第2インダクタがZ方向に離隔している場合と比較して、第1インダクタ110と第2インダクタ120をZ方向に近づけることができるため、第1インダクタ110と第2インダクタ120の結合係数kを大きくできる。
【0042】
また、第1インダクタ110は、複数のコイル層111、112を含む。そのため、第1インダクタ110の巻き数を、第1インダクタが単層である場合と比較して、増やすことができる。第1インダクタ110の巻き数が増えることで、第1インダクタ110のインダクタンスが大きくなる。これにより、絶縁デバイス13のQ値を大きくできる。
【0043】
上述したように、Q値および結合係数kを大きくすることで、結合係数kとQ値との積であるkQ積を大きくできる。そのため、第1インダクタ110と第2インダクタ120との間の、信号またはエネルギーの伝達効率を高めることができる。
【0044】
また、コイル層111およびコイル層121は、同一平面P1内に位置するため、例えば一つのマスクにより形成できる。そのため、製造時に、コイル層111とコイル層121との距離L0を、制御し易い。したがって、複数の絶縁デバイス13を製造した場合に、各絶縁デバイス13の結合係数kがばらつくことを抑制できる。また、絶縁デバイス13の製造が容易になる。
【0045】
また、コイル層111とコイル層112は、Z方向から見て、部分的に重なる。そのため、第1インダクタ110の巻き数を増やしつつ、Z方向から見た第1インダクタ110のサイズが大きくなることを抑制できる。
【0046】
また、第2インダクタ120は、コイル層122をさらに含む。コイル層122は、平面P3内に設けられる。平面P3は、Z方向において平面P1から離隔する。平面P3と平面P2との間に平面P1が位置する。そのため、第2インダクタ120の巻き数を、第2インダクタが単層である場合と比較して、増やすことができる。第2インダクタ120の巻き数が増えることで、第2インダクタ120のインダクタンスが大きくなる。これにより、絶縁デバイス13のQ値を大きくできる。
【0047】
また、コイル層121は、コイル層111の内側に位置する。コイル層122の外側の端部122bとコイル層122の中心軸C4との距離L4は、コイル層112の外側の端部112bとコイル層112の中心軸C2との距離L3よりも長い。そのため、コイル層121をコイル層111の内側に配置することでコイル層121のインダクタンスが低減したとしても、コイル層122のインダクタンスを向上させることができる。これにより、第2インダクタ120の全体のインダクタンスが低下することを抑制できる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す断面図である。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。以下に説明する他の実施形態についても同様である。
【0049】
本実施形態に係る絶縁デバイス23においては、コイル層111とコイル層121との距離L20は、コイル層111において隣り合う2つの部分111c同士の距離L1aより長い。距離L20は、コイル層121において隣り合う2つの部分121c同士の距離L2aよりも長い。距離L20は、コイル層112において隣り合う2つの部分112c同士の距離L1bよりも長い。距離L20は、コイル層122において隣り合う2つの部分122c同士の距離L2bよりも長い。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る絶縁デバイス23においては、コイル層111とコイル層121との距離L20が、コイル層112において隣り合う2つの部分112c同士の距離L1bよりも長い。これにより、絶縁デバイス23の耐圧を高くできる。また、絶縁デバイス23の劣化を抑制できる。
【0051】
また、コイル層111とコイル層121との距離L20は、導電部材113のZ方向の長さおよび導電部材123のZ方向の長さより長い。これにより、絶縁デバイス23の横方向の耐圧を高くできる。また、絶縁デバイス23の劣化を抑制できる。
【0052】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す上面図である。
図6は、
図5のVI-VI線における断面図である。
図7(a)は、本実施形態に係る絶縁デバイスの第1インダクタおよび接続部材を示す図であり、
図7(b)は、本実施形態に係る絶縁デバイスの第2インダクタおよび接続部材を示す図である。
【0053】
本実施形態に係る絶縁デバイス33の第1インダクタ310は、
図6および
図7(a)に示すように、4つのコイル層311、312、313、314と、2つの導電部材315a、315bと、2つの延伸部316a、316bと、接続部317を備える。なお、
図7(a)では、コイル層312、コイル層314、接続部317、および2つの接続部材141、142を実線で示し、コイル層312およびコイル層314よりも下方に位置するコイル層311、コイル層313、2つの導電部材315a、315b、および2つの延伸部316a、316bを破線で示している。
【0054】
図6に示すように、コイル層311の中心軸C31およびコイル層313の中心軸C33は、Z方向に延び、コイル層311およびコイル層313は、平面P1内に設けられる。コイル層311とコイル層313は、X方向に並ぶ。コイル層311は、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層311とコイル層313は、例えば、中心軸C31と中心軸C33との間の中点を中心として、点対称の関係にある。
【0055】
コイル層312の中心軸C32およびコイル層314の中心軸C34は、Z方向に延び、コイル層312およびコイル層314は、平面P2内に設けられる。コイル層312は、コイル層311の上方に位置する。コイル層314は、コイル層313の上方に位置する。コイル層312の中心軸C32は、Z方向に見てコイル層311の内側に位置する。コイル層314の中心軸C34は、Z方向に見てコイル層314の内側に位置する。コイル層312とコイル層314は、X方向に並ぶ。コイル層312は、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層312とコイル層314は、例えば、中心軸C32と中心軸C34との間の中点を中心として、点対称の関係にある。
【0056】
図7(a)に示すように、コイル層311の外側の端部311bには、延伸部316aが接続される。延伸部316aの外側の端部には、接続部材141が接続される。接続部材141は、例えば、延伸部316aの外側の端部から上方に延びる。接続部材141の上端部は、絶縁デバイス33の上方を通る配線部材(不図示)に接続され、この配線部材を介して第1回路に電気的に接続される。ただし、接続部材142は、下方に延び、絶縁デバイス33の下方を通る配線部材(不図示)に接続されてもよい。
【0057】
コイル層311の内側の端部311aは、上方から見てコイル層312の内側の端部312aと重なる。内側の端部311aと内側の端部312aとの間には、導電部材315aが位置する。導電部材315aは、内側の端部311aおよび内側の端部312aに接続される。
【0058】
コイル層313の外側の端部313bには、延伸部316bが接続される。延伸部316bの外側の端部には、接続部材142が接続される。接続部材142は、例えば、延伸部316bの外側の端部から上方に延びる。接続部材142の上端部は、絶縁デバイス33の上方を通る配線部材(不図示)に接続され、この配線部材を介して第1回路に電気的に接続される。ただし、接続部材142は、下方に延び、絶縁デバイス33の下方を通る配線部材(不図示)に接続されてもよい。
【0059】
コイル層313の内側の端部313aは、Z方向から見てコイル層314の内側の端部314aと重なる。内側の端部313aと内側の端部314aとの間には、導電部材315bが位置する。導電部材315bは、内側の端部313aおよび内側の端部314aに接続される。
【0060】
コイル層312の外側の端部312bとコイル層314の外側の端部314bとの間には、直線状の接続部317が位置する。接続部317は、外側の端部312bおよび外側の端部314bに接続される。ただし接続部は、直線状でなく湾曲してもよい。後述する他の接続部についても同様である。
【0061】
したがって、第1インダクタ310では、コイル層311の外側の端部311bからコイル層313の外側の端部313bに向かって、または、コイル層313の外側の端部313bからコイル層311の外側の端部311bに向かって、電流が流れる。第1インダクタ310の電流経路において、コイル層311の巻き方向とコイル層312の巻き方向は、一致しており、コイル層313の巻き方向とコイル層314の巻き方向は、一致している。そのため、第1インダクタ310に電流が流れる際に、コイル層311の内側に生じる磁界の向きと、コイル層312の内側に生じる磁界の向きは、一致し、コイル層313の内側に生じる磁界の向きと、コイル層314の内側に生じる磁界の向きは、一致する。また、第1インダクタ310の電流経路において、コイル層311およびコイル層312の巻き方向は、コイル層313およびコイル層314の巻き方向と逆方向である。そのため、第1インダクタ310に電流が流れる際に、コイル層311およびコイル層312の内側に生じる磁界の向きは、コイル層313およびコイル層314の内側に生じる磁界の向きと逆方向である。
【0062】
第2インダクタ320は、
図6および
図7(b)に示すように、4つのコイル層321、322、323、324と、2つの導電部材325a、325bと、接続部327を備える。なお、
図7(b)では、コイル層321、コイル層323、および2つの接続部材143、144を実線で示し、コイル層321およびコイル層323よりも下方に位置するコイル層322、コイル層324、および2つの導電部材325a、325bを破線で示している。
【0063】
コイル層321の中心軸C35は、コイル層311の中心軸C31と概ね一致している。コイル層323の中心軸C37は、コイル層313の中心軸C33と概ね一致している。コイル層321およびコイル層323は、平面P1内に設けられる。コイル層321は、例えば、コイル層311の内側に位置する。コイル層323は、例えば、コイル層313の内側に位置する。コイル層321は、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層321とコイル層323は、例えば、中心軸C35と中心軸C37の間の中点を中心として、点対称の関係にある。
【0064】
コイル層322の中心軸C36およびコイル層324の中心軸C38は、Z方向に延び、コイル層322およびコイル層324は、平面P3内に設けられる。コイル層322は、コイル層321の下方に位置する。コイル層324は、コイル層323の下方に位置する。コイル層322の中心軸C36は、Z方向に見てコイル層321の内側に位置する。コイル層324の中心軸C38は、Z方向に見てコイル層323の内側に位置する。コイル層322とコイル層324は、X方向に並ぶ。コイル層322は、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層322とコイル層324は、例えば、中心軸C36と中心軸C38の間の中点を中心として点対称の関係にある。
【0065】
図7(b)に示すように、コイル層321の内側の端部321aには、接続部材143が接続される。接続部材143は、例えば、内側の端部321aから下方に延びる。接続部材143の下端部は、絶縁デバイス33の下方を通る配線部材(不図示)に接続され、この配線部材を介して第2回路に電気的に接続される。ただし、接続部材143は、上方に延び、絶縁デバイス33の上方を通る配線部材(不図示)に接続されてもよい。
【0066】
コイル層321の外側の端部321bは、上方から見てコイル層322の内側の端部322aと重なる。外側の端部321bと内側の端部322aとの間には、導電部材325aが位置する。導電部材325aは、外側の端部321bおよび内側の端部322aに接続される。
【0067】
コイル層323の内側の端部323aには、接続部材144が接続される。接続部材144は、例えば、内側の端部323aから下方に延びる。接続部材144の下端部は、絶縁デバイス33の下方を通る配線部材(不図示)に接続され、この配線部材を介して第2回路に電気的に接続される。ただし、接続部材144は、上方に延び、絶縁デバイス33の上方を通る配線部材(不図示)に接続されてもよい。
【0068】
コイル層323の外側の端部323bは、上方から見てコイル層324の内側の端部324aと重なる。外側の端部323bと内側の端部324aとの間には、導電部材325bが位置する。導電部材325bは、外側の端部323bおよび内側の端部324aに接続される。
【0069】
コイル層322の外側の端部322bとコイル層324の外側の端部324bとの間には、直線状の接続部327が位置する。接続部327は、外側の端部322bおよび外側の端部324bに接続される。
【0070】
したがって、第2インダクタ320では、コイル層321の内側の端部321aからコイル層323の内側の端部323aに向かって、または、コイル層323の内側の端部323aからコイル層321の内側の端部321aに向かって、電流が流れる。第2インダクタ320の電流経路において、コイル層321の巻き方向とコイル層322の巻き方向は、一致しており、コイル層323の巻き方向とコイル層324の巻き方向は、一致している。そのため、第2インダクタ320に電流が流れる際に、コイル層321の内側に生じる磁界の向きと、コイル層322の内側に生じる磁界の向きは、一致し、コイル層323の内側に生じる磁界の向きと、コイル層324の内側に生じる磁界の向きは、一致する。また、第2インダクタ320の電流経路において、コイル層321およびコイル層322の巻き方向は、コイル層323およびコイル層324の巻き方向と逆方向である。そのため、第2インダクタ320に電流が流れる際に、コイル層321およびコイル層322の内側に生じる磁界の向きは、コイル層323およびコイル層324の内側に生じる磁界の向きと逆方向である。
【0071】
第1インダクタ310、第2インダクタ320、および各接続部材141、142、143、144は、絶縁層330内に設けられる。
【0072】
以上説明したように、第1インダクタ310は、コイル層311と同一平面P1に配置されるコイル層313と、コイル層312と同一平面P2に配置されるコイル層314と、をさらに含んでもよい。また、第2インダクタ320は、コイル層321と同一平面P1に配置されるコイル層323と、コイル層322と同一平面P3に配置されるコイル層324と、をさらに含んでもよい。
【0073】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る絶縁デバイスの一部を示す上面図である。
図9は、
図8のIX-IX線における断面図である。
【0074】
本実施形態に係る絶縁デバイス43における第1インダクタ410は、コイル層411、コイル層412、および接続部413を含む。
【0075】
コイル層411の中心軸C41およびコイル層412の中心軸C42は、Z方向に延び、コイル層411およびコイル層412は、X-Y平面に平行な平面P内に設けられる。コイル層411とコイル層412は、X方向に並ぶ。コイル層411およびコイル層412は、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層411の中心軸C41とコイル層411の外側の端部411bとの距離は、例えば、コイル層412の中心軸C42とコイル層412の外側の端部412bとの距離よりも長い。
【0076】
コイル層411の内側の端部411aには、接続部材441が接続される。コイル層412の内側の端部412aには、接続部材442が接続される。コイル層411の外側の端部411bとコイル層412の外側の端部412bとの間には、接続部413が位置する。接続部413は、外側の端部411bおよび外側の端部412bに接続される。各接続部材441、442は、絶縁デバイス43の上方または下方を通る配線部材(不図示)を介して第1回路に電気的に接続される。
【0077】
第1インダクタ410では、コイル層411の内側の端部411aからコイル層412の内側の端部412aに向かって、または、コイル層412の内側の端部412aからコイル層411の内側の端部411aに向かって、電流が流れる。そして、第1インダクタ410の電流経路において、コイル層411の巻き方向は、コイル層412の巻き方向と逆方向である。そのため、第1インダクタ410に電流が流れる際に、コイル層411の内側に生じる磁界の向きは、コイル層412の内側に生じる磁界の向きの逆方向となる。
【0078】
第2インダクタ420は、コイル層421、コイル層422、および接続部423を含む。
【0079】
コイル層421の中心軸C43は、コイル層411の内側に位置する。具体的には、コイル層421の中心軸C43は、コイル層411の中心軸C41と概ね一致している。コイル層422の中心軸C44は、コイル層412の内側に位置する。具体的には、コイル層422の中心軸C44は、コイル層412の中心軸C42と概ね一致している。コイル層421およびコイル層422は、平面P内に設けられる。コイル層421およびコイル層422は、それぞれ、巻き数が1以上であり、スパイラル状である。コイル層421とコイル層422は、中心軸C43と中心軸C44との中点を中心として、点対称の関係にある。
【0080】
コイル層421は、コイル層411と並行して巻かれた形状を有する。具体的には、コイル層421は、コイル層411から離隔しつつ、コイル層411とともに2重のスパイラルを形成する。コイル層422は、コイル層412と並行して巻かれた形状を有する。具体的には、コイル層422は、コイル層412から離隔しつつ、コイル層412とともに2重のスパイラルを形成する。コイル層421の中心軸C43とコイル層421の外側の端部421bとの距離は、コイル層411の中心軸C41とコイル層411の外側の端部411bとの距離よりも短く、コイル層412の中心軸C42とコイル層412の外側の端部412bとの距離よりも長い。同様に、コイル層422の中心軸C44とコイル層422の外側の端部422bとの距離は、コイル層411の中心軸C41とコイル層411の外側の端部411bとの距離よりも短く、コイル層412の中心軸C42とコイル層412の外側の端部412bとの距離よりも長い。
【0081】
コイル層421の内側の端部421aには、接続部材443が接続される。コイル層422の内側の端部422aには、接続部材444が接続される。コイル層421の外側の端部421bとコイル層422の外側の端部422bとの間には、接続部423が位置する。接続部423は、外側の端部421bおよび外側の端部422bに接続される。各接続部材443、444は、絶縁デバイス43の上方または下方を通る配線部材(不図示)を介して第2回路に電気的に接続される。
【0082】
第2インダクタ420では、コイル層421の内側の端部421aからコイル層422の内側の端部422aに向かって、または、コイル層422の内側の端部422aからコイル層421の内側の端部421aに向かって、電流が流れる。そして、第2インダクタ420の電流経路において、コイル層421の巻き方向は、コイル層422の巻き方向と逆方向である。そのため、第2インダクタ420に電流が流れる際に、コイル層421の内側に生じる磁界の向きは、コイル層422の内側に生じる磁界の向きの逆方向となる。
【0083】
第1インダクタ410および第2インダクタ420は、絶縁層430内に設けられる。
【0084】
このような形態においても、コイル層411とコイル層421またはコイル層412とコイル層422が同一平面P内に位置するため、結合係数kを大きくできる。以上説明したように、第1インダクタ410および第2インダクタ420は、Z方向に積層される複数のコイル層を備えなくてもよい。
【0085】
第1の実施形態、第2の実施形態、および第3の実施形態では、第1インダクタおよび第2インダクタが、それぞれ複数のコイル層を有しているが、第1インダクタまたは第2インダクタのどちらかに設けられるコイル層は、1つであってもよい。
【0086】
以上のように、実施形態によれば、伝達効率が高い絶縁デバイスおよびアイソレータが提供される。
【0087】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 :アイソレータ
11 :第1回路
12 :第2回路
13、23、33、43:絶縁デバイス
14a、14b、15a、15b:配線部材
110、310、410:第1インダクタ
111 :コイル層
111a :内側の端部
111b :外側の端部
111c :部分
112 :コイル層
112a :内側の端部
112b :外側の端部
112c :部分
113 :導電部材
114a、114b:延伸部
120、320、420:第2インダクタ
121 :コイル層
121a :内側の端部
121b :外側の端部
121c :部分
122 :コイル層
122a :内側の端部
122b :外側の端部
122c :部分
123 :導電部材
124 :延伸部
130、330、430:絶縁層
132 :コイル層
141、142、143、144:接続部材
311 :コイル層
311a :内側の端部
311b :外側の端部
312 :コイル層
312a :内側の端部
312b :外側の端部
313 :コイル層
313a :内側の端部
313b :外側の端部
314 :コイル層
314a :内側の端部
314b :外側の端部
315a、315b:導電部材
316a、316b:延伸部
317 :接続部
321 :コイル層
321a :内側の端部
321b :外側の端部
322 :コイル層
322a :内側の端部
322b :外側の端部
323 :コイル層
323a :内側の端部
323b :外側の端部
324 :コイル層
324a :内側の端部
324b :外側の端部
325a、325b:導電部材
327 :接続部
411 :コイル層
411a :内側の端部
411b :外側の端部
412 :コイル層
412a :内側の端部
412b :外側の端部
413 :接続部
421 :コイル層
421a :内側の端部
421b :外側の端部
422 :コイル層
422a :内側の端部
422b :外側の端部
423 :接続部
441、442、443、444:接続部材
C1、C2、C3、C4、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C41、C42、C43、C44:中心軸
L0、L1a、L1b、L2a、L2b、L3、L4、L20:距離
P、P1、P2、P3:平面