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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241021BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241021BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H01L29/78 652F
H01L29/78 652T
H01L29/86 301D
H01L29/91 K
H01L29/91 F
H01L29/78 652D
H01L29/78 652M
H01L29/78 657D
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652N
H01L29/78 655G
H01L21/28 301B
H01L21/28 301S
H01L29/50 M
H01L27/06 102A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021154471
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045865
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】朝羽 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
(72)【発明者】
【氏名】水上 誠
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511184(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110285(WO,A1)
【文献】特開2017-055002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/12
H01L 29/872
H01L 29/861
H01L 29/739
H01L 21/28
H01L 29/417
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面に接する第1の領域を含む第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第3の炭化珪素領域及び前記第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の領域に接する第2の部分と、
を含む第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
を備え、
前記第1の部分は金属シリサイド層を含み、
前記第1の面において前記第4の炭化珪素領域は前記第1の領域を囲む、半導体装置。
【請求項2】
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極に対し前記第2の方向に設けられ、前記第1のゲート電極との間に前記第2のゲート電極が設けられた第3のゲート電極と、
第3のゲート絶縁層とを、更に備え、
前記炭化珪素層は、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第2の方向に離間した第2導電形の第5の炭化珪素領域と、
前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第5の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第6の炭化珪素領域と、
前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第7の炭化珪素領域と、
を含み、
前記第2のゲート電極は、前記第1の面において、前記第5の炭化珪素領域と対向し、
前記第2のゲート絶縁層は、前記第5の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられ、
前記第3のゲート電極は、前記第1の面において、前記第5の炭化珪素領域と対向し、
前記第3のゲート絶縁層は、前記第5の炭化珪素領域と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
前記第1の電極は、前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、前記第6の炭化珪素領域及び前記第7の炭化珪素領域に接する第3の部分を、更に含み、
前記第2の部分の前記第2の方向に前記第3の部分が位置する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の炭化珪素領域は、前記第1の面に接する第2の領域を更に含み、
前記第1の電極は、前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、前記第3の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第2の領域に接した第4の部分を、更に含む請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第4の炭化珪素領域は、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の部分と前記第3の炭化珪素領域との界面は、前記第1の面に垂直な第3の方向において、前記第1の面よりも前記第2の面の側に位置し、前記第1の部分は、前記第2の方向において、前記第4の炭化珪素領域に接する請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面に接する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と離間した第2導電形の第5の炭化珪素領域と、
前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第5の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第6の炭化珪素領域と、
前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第7の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極に対し前記第2の方向に設けられ、前記第1のゲート電極との間に前記第2のゲート電極が設けられ、前記第1の面において、前記第5の炭化珪素領域と対向した第3のゲート電極と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間、及び前記第5の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記第5の炭化珪素領域と前記第3のゲート電極との間に設けられた第3のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第3の炭化珪素領域及び前記第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の面において前記第1の炭化珪素領域に接する少なくとも一つの第2の部分と、
前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、前記第6の炭化珪素領域及び前記第7の炭化珪素領域に接する第3の部分と、
前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、前記第3の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の面において前記第1の炭化珪素領域に接する少なくとも一つの第4の部分と、
を含む第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記第1のゲート電極の前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極に接続され、前記第1のゲート電極と同一材料の導電層を、備え、
前記炭化珪素層は、前記第1の炭化珪素領域と前記導電層との間に設けられ、前記第1の電極に電気的に接続された第2導電形の第8の炭化珪素領域を、更に含み、
前記第1の電極は金属シリサイド層を更に含み、
前記第1の電極は、前記導電層に最も近い前記少なくとも一つの前記第2の部分と前記導電層との間に、前記金属シリサイド層を含まず、
前記第1の電極は、前記導電層に最も近い前記少なくとも一つの前記第4の部分と前記導電層との間に、前記金属シリサイド層を含まない、半導体装置。
【請求項6】
前記第1の部分及び前記第3の部分は前記金属シリサイド層を含む請求項記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面に接する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第3の炭化珪素領域及び前記第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の面において前記第1の炭化珪素領域に接する第2の部分と、
を含む第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記第2のゲート電極の前記第2の方向に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極の前記第2の方向の幅よりも前記第2の方向の幅が大きく、前記第2のゲート電極と同一材料の導電層を、備え、
前記炭化珪素層は、前記第1の炭化珪素領域と前記導電層との間に設けられ、前記第1の電極に電気的に接続された第2導電形の第5の炭化珪素領域を、更に含み、
前記第1の電極は金属シリサイド層を更に含み、
前記第1の電極は、前記第2のゲート電極と前記導電層との間に設けられ、前記炭化珪素層に接する第3の部分を更に含み、前記第3の部分は前記金属シリサイド層を含まない、半導体装置。
【請求項8】
前記第1の部分は前記金属シリサイド層を含む請求項記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面に接する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第3の炭化珪素領域及び前記第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の面において前記第1の炭化珪素領域に接する少なくとも一つの第2の部分と、
を含む第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記第1のゲート電極の前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、及び前記第2のゲート電極に接続され、前記第1のゲート電極と同一材料の導電層を、備え、
前記炭化珪素層は、前記第1の炭化珪素領域と前記導電層との間に設けられ、前記第1の電極に電気的に接続された第2導電形の第5の炭化珪素領域を、更に含み、
前記第1の電極は金属シリサイド層を更に含み、
前記第1の電極は、前記導電層に最も近い前記少なくとも一つの前記第2の部分と前記導電層との間に、前記金属シリサイド層を含まない、半導体装置。
【請求項10】
前記第1の部分は前記金属シリサイド層を含む請求項9記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイス用の材料として炭化珪素が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)を実現することができる。
【0003】
炭化珪素を用いた縦形のMOSFETは、内蔵ダイオードとしてpn接合ダイオードを有する。例えば、MOSFETは誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる。この場合、MOSFETがオフ状態であっても、pn接合ダイオードを用いることで還流電流を流すことが可能となる。
【0004】
しかし、バイポーラ動作するpn接合ダイオードを用いて還流電流を流すと、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層中に積層欠陥が成長する。炭化珪素層中に積層欠陥が成長すると、MOSFETのオン抵抗が増大するという問題が生ずる。MOSFETのオン抵抗の増大は、MOSFETの信頼性の低下を招く。例えば、MOSFETに内蔵ダイオードとしてユニポーラ動作するSchottky Barrier Diode(SBD)を設けることで、炭化珪素層中の積層欠陥の抑制が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-47680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性が向上する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、前記第1の面に接する第1の領域を含む第1導電形の第1の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、前記第1の面において前記第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、前記第2の炭化珪素領域と前記第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、前記第2の炭化珪素領域と前記第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第3の炭化珪素領域及び前記第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第1の方向に設けられ、前記第1の領域に接する第2の部分と、を含む第1の電極と、前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備え、前記第1の部分は前記金属シリサイド層を含み、前記第1の面において前記第4の炭化珪素領域は前記第1の領域を囲む
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
図8】第1の実施形態の半導体装置の等価回路図。
図9】第1の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図。
図10】第1の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図。
図11】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図12】第2の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図13】第2の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図14】第2の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図15】第2の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
図16】第2の実施形態の半導体装置の第1の変形例の拡大模式上面図。
図17】第2の実施形態の半導体装置の第2の変形例の拡大模式上面図。
図18】第3の実施形態の半導体装置のチップレイアウトを示す図。
図19】第3の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図20】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図21】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図22】第3の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図。
図23】第3の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図。
図24】第4の実施形態の半導体装置のチップレイアウトを示す図。
図25】第4の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図26】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図27】第4の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図。
図28】第4の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0010】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記がある場合、それらの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn形不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn形不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n形、n形を単にn形、p形、p形を単にp形と記載する場合もある。
【0011】
不純物濃度は、例えば、Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SCMの画像やScanning Electron Microscope(SEM)の画像から求めることが可能である。また、絶縁層の厚さ等は、例えば、SIMS、SEM、又はTransmission Electron Microscope(TEM)の画像上で計測することが可能である。
【0012】
なお、本明細書中でp形の炭化珪素領域の「p形不純物濃度」とは、当該領域のp形不純物濃度から当該領域のn形不純物濃度を引いた正味(net)のp形不純物濃度を意味する。また、n形の炭化珪素領域の「n形不純物濃度」とは、当該領域のn形不純物濃度から当該領域のp形不純物濃度を引いた正味(net)のn形不純物濃度を意味する。
【0013】
また、明細書中に別段の記述がない限り特定の領域の不純物濃度とは、当該領域の最大不純物濃度を意味するものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、第1の面に接する第1の領域を含む第1導電形の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延び、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の方向に延び、第1のゲート電極に対し第1の面に平行で第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、第2の炭化珪素領域と第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、第2の炭化珪素領域と第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極であって、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第3の炭化珪素領域及び第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第1の部分の第1の方向に設けられ、第1の領域に接する第2の部分と、を含む第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。
【0015】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET100である。第1の実施形態のMOSFET100は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。また、第1の実施形態のMOSFET100は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0016】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル形のMOSFETである。
【0017】
図1及び図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図3は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図3は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図1は、図3のAA’断面図である。図2は、図3のBB’断面図である。
【0018】
図4図5、及び図6は、第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。図7は、第1の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。図7は、炭化珪素層の表面の半導体領域のパターンを示す図である。図4は、図7のCC’断面図である。図5は、図7のDD’断面図である。図6は、図7のEE’断面図である。
【0019】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、金属シリサイド層12s及びメタル層12mを含む。ソース電極12は、コンタクト電極部分12x、ダイオード電極部分12yを含む。コンタクト電極部分12xは、第1のコンタクト電極部分12x1(第1の部分)及び第2のコンタクト電極部分12x2(第3の部分)を含む。ダイオード電極部分12yは、第1のダイオード電極部分12y1(第2の部分)及び第2のダイオード電極部分12y2を含む(第4の部分)を含む。ゲート絶縁層16は、第1のゲート絶縁層16a、第2のゲート絶縁層16b、及び第3のゲート絶縁層16cを含む。ゲート電極18は、第1のゲート電極18a、第2のゲート電極18b、及び第3のゲート電極18cを含む。
【0020】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24(第1の炭化珪素領域)、p形のボディ領域26、p形のボディコンタクト領域28、n形のソース領域30を含む。p形のボディ領域26は、p形の第1のボディ領域26a(第2の炭化珪素領域)及びp形の第2のボディ領域26b(第5の炭化珪素領域)を含む。p形のボディコンタクト領域28は、p形の第1のボディコンタクト領域28a(第3の炭化珪素領域)及びp形の第2のボディコンタクト領域28b(第6の炭化珪素領域)を含む。n形のソース領域30は、n形の第1のソース領域30a(第4の炭化珪素領域)及びn形の第2のソース領域30b(第7の炭化珪素領域)を含む。
【0021】
ドリフト領域24は、JBS領域24xを含む。JBS領域24xは、第1のJBS領域24x1(第1の領域)、及び、第2のJBS領域24x2(第2の領域)を含む。なお、JBSは、Junction Barrier Schotkkyの省略形である。
【0022】
ソース電極12は、第1の電極の一例である。第1のコンタクト電極部分12x1は第1の部分の一例である。第2のコンタクト電極部分12x2は、第3の部分の一例である。第1のダイオード電極部分12y1は、第2の部分の一例である。第2のダイオード電極部分12y2は、第4の部分の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のJBS領域24x1は、第1の領域の一例である。第2のJBS領域24x2は、第2の領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第1のボディコンタクト領域28aは、第3の炭化珪素領域の一例である。第1のソース領域30aは、第4の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第5の炭化珪素領域の一例である。第2のボディコンタクト領域28bは、第6の炭化珪素領域の一例である。第2のソース領域30bは、第7の炭化珪素領域の一例である。
【0023】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0024】
炭化珪素層10は、第1の面(図1中“F1”)と第2の面(図1中“F2”)とを備える。以下、第1の面F1を表面、第2の面F2を裏面と称する場合がある。第1の面F1は、炭化珪素層10のソース電極12側に位置する。また、第2の面F2は、炭化珪素層10のドレイン電極14側に位置する。第1の面F1と第2の面F2は対向する。なお、以下、「深さ」とは、第1の面を基準として第2の面に向かう方向の深さを意味する。
【0025】
第1の方向及び第2の方向には、第1の面F1に平行である。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
【0026】
第1の面F1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面F2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
【0027】
形のドレイン領域22は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域22は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドレイン領域22のn形不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0028】
形のドリフト領域24は、ドレイン領域22と第1の面F1との間に設けられる。n形のドリフト領域24は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。n形のドリフト領域24は、ゲート電極18とドレイン電極14との間に設けられる。
【0029】
形のドリフト領域24は、ドレイン領域22上に設けられる。ドリフト領域24は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、ドレイン領域22のn形不純物濃度よりも低い。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。ドリフト領域24の厚さは、例えば、3μm以上150μm以下である。
【0030】
形のドリフト領域24は、JBS領域24xを含む。JBS領域24xは、第1のJBS領域24x1(第1の領域)、及び、第2のJBS領域24x2(第2の領域)を含む。
【0031】
JBS領域24xは、第1の面F1に接する。JBS領域24xは、ボディ領域26に囲まれる。例えば、第1のJBS領域24x1は、第1のボディ領域26aに囲まれる。例えば、第2のJBS領域24x2は、第2のボディ領域26bに囲まれる。
【0032】
JBS領域24xは、ソース電極12のダイオード電極部分12yに接する。例えば、第1のJBS領域24x1は、第1のダイオード電極部分12y1に接する。例えば、第2のJBS領域24x2は、第2のダイオード電極部分12y2に接する。JBS領域24xは、SBDのカソード領域として機能する。
【0033】
p形のボディ領域26は、ドリフト領域24と第1の面F1との間に設けられる。ボディ領域26は、第1の方向に延びる。ボディ領域26は、MOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0034】
第1のボディ領域26aは、ドリフト領域24と第1の面F1との間に設けられる。第2のボディ領域26bは、ドリフト領域24と第1の面F1との間に設けられる。第2のボディ領域26bは、第1のボディ領域26aに対し、第2の方向に離間する。
【0035】
ボディ領域26は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。ボディ領域26のp形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0036】
ボディ領域26の深さは、例えば、500nm以上900nm以下である。
【0037】
ボディ領域26は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域26は、ソース電極12の電位に固定される。
【0038】
ボディ領域26の一部は第1の面F1に接する。ボディ領域26の一部はゲート電極18に対向する。ボディ領域26の一部は、MOSFET100のチャネル領域となる。ボディ領域26の一部とゲート電極18との間に、ゲート絶縁層16が挟まれる。
【0039】
形のボディコンタクト領域28は、ボディ領域26と第1の面F1との間に設けられる。ボディコンタクト領域28は、ボディ領域26とソース電極12のコンタクト電極部分12xとの間に設けられる。
【0040】
第1のボディコンタクト領域28aは、第1のボディ領域26aと第1の面F1との間に設けられる。第1のボディコンタクト領域28aは、第1のボディ領域26aと第1のコンタクト電極部分12x1との間に設けられる。
【0041】
第2のボディコンタクト領域28bは、第2のボディ領域26bと第1の面F1との間に設けられる。第2のボディコンタクト領域28bは、第2のボディ領域26bと第2のコンタクト電極部分12x2との間に設けられる。
【0042】
ボディコンタクト領域28のp形不純物濃度は、ボディ領域26のp形不純物濃度よりも高い。
【0043】
ボディコンタクト領域28は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。ボディコンタクト領域28のp形不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上5×1021cm-3以下である。
【0044】
ボディコンタクト領域28の深さは、例えば、200nm以上500nm以下である。
【0045】
ボディコンタクト領域28は、ソース電極12に接する。ボディコンタクト領域28は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディコンタクト領域28と、ソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ボディコンタクト領域28は、ソース電極12の電位に固定される。
【0046】
ボディコンタクト領域28は、ソース電極12のコンタクト電極部分12xに接する。第1のボディコンタクト領域28aは、第1のコンタクト電極部分12x1に接する。第2のボディコンタクト領域28bは、第2のコンタクト電極部分12x2に接する。
【0047】
形のソース領域30は、ボディ領域26と第1の面F1との間に設けられる。n形のソース領域30は、例えば、ボディコンタクト領域28と第1の面F1との間に設けられる。
【0048】
第1のソース領域30aは、第1のボディ領域26aと第1の面F1との間に設けられる。第1のソース領域30aは、例えば、第1のボディコンタクト領域28aと第1の面F1との間に設けられる。
【0049】
第2のソース領域30bは、第2のボディ領域26bと第1の面F1との間に設けられる。第2のソース領域30bは、例えば、第2のボディコンタクト領域28bと第1の面F1との間に設けられる。
【0050】
ソース領域30は、例えば、リン(P)又は窒素(N)をn形不純物として含む。ソース領域30のn形不純物濃度は、ドリフト領域24のn形不純物濃度よりも高い。
【0051】
ソース領域30のn形不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上5×1021cm-3以下である。ソース領域30の深さは、ボディ領域26の深さよりも浅い。ソース領域30の深さは、例えば、80nm以上200nm以下である。
【0052】
ソース領域30は、ソース電極12に接する。ソース領域30は、ソース電極12に電気的に接続される。ソース領域30とソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ソース領域30は、ソース電極12の電位に固定される。
【0053】
ソース領域30は、ソース電極12のコンタクト電極部分12xに接する。第1のソース領域30aは、第1のコンタクト電極部分12x1に接する。第2のソース領域30bは、第2のコンタクト電極部分12x2に接する。
【0054】
ゲート電極18は、炭化珪素層10の第1の面F1の側に設けられる。ゲート電極18は、第1の方向に延びる。複数のゲート電極18が、第2の方向に、互いに並行に配置される。ゲート電極18は、第1の面F1においてボディ領域26と対向する。
【0055】
第1のゲート電極18aは、第1の方向に延びる。第1のゲート電極18aは、第1の面F1において第1のボディ領域26aと対向する。
【0056】
第2のゲート電極18bは、第1の方向に延びる。第2のゲート電極18bは、第1のゲート電極18aに対し、第2の方向に設けられる。第2のゲート電極18bは、第1の面F1において第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bと対向する。
【0057】
第3のゲート電極18cは、第1の方向に延びる。第3のゲート電極18cは、第2のゲート電極18bに対し、第2の方向に設けられる。第1のゲート電極18aと第3のゲート電極18cとの間に、第2のゲート電極18bが設けられる。第3のゲート電極18cは、第1の面F1において第2のボディ領域26bと対向する。
【0058】
ゲート電極18は、導電層である。ゲート電極18は、例えば、p形不純物又はn形不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0059】
ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とボディ領域26との間に設けられる。第1のゲート絶縁層16aは、第1のゲート電極18aと第1のボディ領域26aとの間に設けられる。第2のゲート絶縁層16bは、第2のゲート電極18bと第1のボディ領域26aとの間に設けられる。第2のゲート絶縁層16bは、第2のゲート電極18bと第2のボディ領域26bとの間に設けられる。第3のゲート絶縁層16cは、第3のゲート電極18cと第2のボディ領域26bとの間に設けられる。
【0060】
ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコンを含む。ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコン層を含む。ゲート絶縁層16には、例えば、高誘電率絶縁材料を適用することも可能である。また、ゲート絶縁層16には、例えば、酸化シリコン層と高誘電率絶縁層との積層構造を適用することも可能である。
【0061】
ゲート絶縁層16の厚さは、例えば、30nm以上100nm以下である。
【0062】
層間絶縁層20は、ゲート電極18上に設けられる。層間絶縁層20は、ゲート電極18とソース電極12との間に設けられる。
【0063】
層間絶縁層20は、ゲート電極18とソース電極12を電気的に分離する。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコン層である。
【0064】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面F1の側に設けられる。ソース電極12は、炭化珪素層10に接する。ソース電極12は、ボディコンタクト領域28及びソース領域30に接する。
【0065】
ソース電極12は、コンタクト電極部分12x及びダイオード電極部分12yを含む。
【0066】
コンタクト電極部分12xは、2本のゲート電極18の間に設けられる。コンタクト電極部分12xは、ボディコンタクト領域28及びソース領域30に接する。
【0067】
例えば、コンタクト電極部分12xとボディコンタクト領域28との界面は、第1の面F1に垂直な第3の方向において、第1の面F1よりも第2の面F2の側に位置する。例えば、コンタクト電極部分12xは、第2の方向において、ソース領域30に接する。
【0068】
第1のコンタクト電極部分12x1は、第1のゲート電極18aと第2のゲート電極18bとの間に設けられる。第1のコンタクト電極部分12x1は、第1のボディコンタクト領域28a及び第1のソース領域30aに接する。
【0069】
例えば、第1のコンタクト電極部分12x1と第1のボディコンタクト領域28aとの界面は、第1の面F1に垂直な第3の方向において、第1の面F1よりも第2の面F2の側に位置する。例えば、第1のコンタクト電極部分12x1は、第2の方向において、第1のソース領域30aに接する。
【0070】
第2のコンタクト電極部分12x2は、第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cとの間に設けられる。第2のコンタクト電極部分12x2は、第2のボディコンタクト領域28b及び第2のソース領域30bに接する。
【0071】
例えば、第2のコンタクト電極部分12x2と第2のボディコンタクト領域28bとの界面は、第1の面F1に垂直な第3の方向において、第1の面F1よりも第2の面F2の側に位置する。例えば、第2のコンタクト電極部分12x2は、第2の方向において、第2のソース領域30bに接する。
【0072】
ダイオード電極部分12yは、2本のゲート電極18の間に設けられる。ダイオード電極部分12yは、コンタクト電極部分12xの第1の方向に設けられる。
【0073】
コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yは、同じ2本のゲート電極18の間に、第1の方向に交互に繰り返し配置される。
【0074】
ダイオード電極部分12yは、ドリフト領域24のJBS領域24xに接する。ダイオード電極部分12yは、SBDのアノード電極として機能する。
【0075】
第1のダイオード電極部分12y1は、第1のゲート電極18aと第2のゲート電極18bの間に設けられる。第1のダイオード電極部分12y1は、第1のコンタクト電極部分12x1の第1の方向に設けられる。第1のダイオード電極部分12y1は、ドリフト領域24の第1のJBS領域24x1に接する。
【0076】
第2のダイオード電極部分12y2は、第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cの間に設けられる。第2のダイオード電極部分12y2は、第2のコンタクト電極部分12x2の第1の方向に設けられる。第2のダイオード電極部分12y2は、ドリフト領域24の第2のJBS領域24x2に接する。
【0077】
ソース電極12は、金属シリサイド層12sとメタル層12mを含む。金属シリサイド層12sは、炭化珪素層10とメタル層12mとの間に設けられる。
【0078】
金属シリサイド層12sは、ボディコンタクト領域28に接する。金属シリサイド層12sは、ソース領域30に接する。
【0079】
金属シリサイド層12sは、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、又はコバルト(Co)を含む。金属シリサイド層12sは、例えば、ニッケルシリサイド層、チタンシリサイド層、又は、コバルトシリサイド層である。
【0080】
メタル層12mは、金属を含む。メタル層12mは、例えば、バリアメタル膜と金属膜との積層構造を備える。
【0081】
バリアメタル膜は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、又は、タンタル(Ta)を含む。バリアメタル膜は、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、窒化タングステン膜、又は、窒化タンタル膜である。
【0082】
金属膜は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。金属膜は、例えば、アルミニウム膜である。
【0083】
コンタクト電極部分12xは、金属シリサイド層12sを含む。第1のコンタクト電極部分12x1は、金属シリサイド層12sを含む。第2のコンタクト電極部分12x2は、金属シリサイド層12sを含む。
【0084】
コンタクト電極部分12xが金属シリサイド層12sを含むことで、ソース電極12とボディコンタクト領域28との間、及び、ソース電極12とソース領域30との間がオーミック接触となる。
【0085】
ダイオード電極部分12yは、例えば、バリアメタル膜を含む。第1のダイオード電極部分12y1は、例えば、バリアメタル膜を含む。第2のダイオード電極部分12y2は、例えば、バリアメタル膜を含む。
【0086】
例えば、ダイオード電極部分12yがバリアメタル膜を含むことで、ソース電極12とJBS領域24xとの間がショットキー接触となる。
【0087】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面F2側に設けられる。ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面F2上に設けられる。ドレイン電極14は、第2の面F2に接する。
【0088】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物を含む。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド層、チタン層、ニッケル層、銀層、又は金層を含む。
【0089】
ドレイン電極14は、ドレイン領域22に電気的に接続される。ドレイン電極14は、例えば、ドレイン領域22に接する。
【0090】
次に、第1の実施形態のMOSFET100の作用及び効果について説明する。
【0091】
図8は、第1の実施形態の半導体装置の等価回路図である。MOSFET100では、ソース電極12とドレイン電極14との間に、トランジスタに並列にpnダイオードとSBDとが内蔵ダイオードとして接続される。ボディ領域26がpn接合ダイオードのアノード領域であり、ドリフト領域24がpn接合ダイオードのカソード領域である。また、ソース電極12がSBDのアノード電極であり、JBS領域24xがSBDのカソード領域となる。
【0092】
例えば、MOSFET100が、誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる場合を考える。MOSFET100のオフ時に、誘導性負荷に起因する誘導電流により、ソース電極12にドレイン電極14に対し正となる電圧が印加される場合がある。この場合、内蔵ダイオードに順方向電流が流れる。この状態は、逆導通状態とも称される。
【0093】
仮にMOSFETがSBDを備えない場合、pn接合ダイオードに順方向電流が流れる。pn接合ダイオードはバイポーラ動作をする。バイポーラ動作するpn接合ダイオードを用いて還流電流を流すと、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層中に積層欠陥が成長する。炭化珪素層中に積層欠陥が成長すると、MOSFETのオン抵抗が増大するという問題が生ずる。MOSFETのオン抵抗の増大は、MOSFETの信頼性の低下を招く。
【0094】
MOSFET100は、SBDを備える。SBDに順方向電流が流れ始める順方向電圧(Vf)は、pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)よりも低い。したがって、pn接合ダイオードに先立ち、SBDに順方向電流が流れる。
【0095】
SBDの順方向電圧(Vf)は、例えば、1.0V以上2.0V未満である。pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)は、例えば、2.0V以上3.0V以下である。
【0096】
SBDはユニポーラ動作をする。このため、順方向電流が流れても、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層10中に積層欠陥が成長することはない。したがって、MOSFET100のオン抵抗の増大が抑制される。よって、MOSFET100の信頼性が向上する。
【0097】
図9は、第1の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図である。図9は、第1の実施形態の図1及び図2に対応する図である。図10は、第1の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図である。図10は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図10は、第1の実施形態の図3に対応する図である。図9は、図10のAA’断面図である。
【0098】
比較例の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET900である。比較例のMOSFET900は、DIMOSFETである。また、比較例のMOSFET900は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0099】
比較例のMOSFET900は、隣り合う2本のゲート電極18の間には、コンタクト電極部分12x又はダイオード電極部分12yのいずれか一方しか存在しない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。2本のゲート電極18の間でコンタクト電極部分12xは、第1の方向に延びる。2本のゲート電極18の間でダイオード電極部分12yは、第1の方向に延びる。
【0100】
比較例のMOSFET900において、トランジスタとSBDとの比率を変化させようとする場合、すなわち、コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの比率を変化させようとする場合、隣り合うSBDの間に挟むゲート電極18の本数を変える。例えば、SBDの比率を下げようとする場合、隣り合うSBDの間のゲート電極18の本数を2本から3本、あるいは3本から4本というように、ゲート電極18の本数を増やす方向に変化させる。このため、トランジスタとSBDの比率の設計の自由度が小さくなる。
【0101】
また、SBDを内蔵するMOSFETでは、SBDが順バイアスされた際に、SBDに流れる電流が、ボディ領域26の底部を流れることにより、ボディ領域26とドリフト領域24との間のpn接合に加わる電圧の上昇を抑制している。pn接合に加わる電圧の上昇を抑制することで、pn接合ダイオードがオンすることを抑制する。pn接合ダイオードがオンすることを抑制することで、ボディ領域26からドリフト領域24に正孔が注入されることを抑制している。ドリフト領域24に注入される正孔を抑制することで、炭化珪素層中の積層欠陥の成長を抑制し、信頼性の低下を抑制している。
【0102】
SBDからボディ領域26への距離が離れると、pn接合に加わる電圧の上昇が十分抑制できず、pn接合ダイオードがオンしやすくなる。したがって、信頼性の低下が生じるおそれがある。
【0103】
比較例のMOSFET900では、特に、SBDの比率を下げるために、隣り合うSBDの間に挟むゲート電極18の本数を増やすと、SBDからボディ領域26の距離が極めて大きくなる。したがって、MOSFET900では、pn接合ダイオードがオンし、信頼性が低下することが懸念される。
【0104】
第1の実施形態のMOSFET100は、コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yが、同じ2本のゲート電極18の間に、第1の方向に交互に繰り返し配置される。第1の実施形態のMOSFET100において、トランジスタとSBDとの比率を変化させようとする場合、第1の方向のコンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの比率を変える。コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの比率は、任意の比率にすることが可能である。したがって、比較例のMOSFET900と比較して、トランジスタとSBDの比率の設計の自由度が大きくなる。
【0105】
また、第1の実施形態のMOSFET100は、コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yが、同じ2本のゲート電極18の間に、第1の方向に交互に繰り返し配置される。したがって、比較例のMOSFET900に比べ、SBDからボディ領域26の距離を小さくすることが可能となる。よって、第1の実施形態のMOSFET100は、比較例のMOSFET900と比較して、信頼性が向上する。
【0106】
以上、第1の実施形態によれば、信頼性が向上するMOSFETが実現する。
【0107】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第2の部分の第2の方向に第3の部分が位置する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0108】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET200である。第2の実施形態のMOSFET200は、DIMOSFETである。また、第2の実施形態のMOSFET200は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0109】
図11は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図12は、第2の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図12は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図11は、図12のAA’断面図である。
【0110】
図13及び図14は、第2の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。図15は、第2の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。図15は、炭化珪素層の表面の半導体領域のパターンを示す図である。図13は、図15のCC’断面図である。図14は、図15のDD’断面図である。
【0111】
MOSFET200は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、金属シリサイド層12s及びメタル層12mを含む。ソース電極12は、コンタクト電極部分12x、ダイオード電極部分12yを含む。コンタクト電極部分12xは、第1のコンタクト電極部分12x1(第1の部分)及び第2のコンタクト電極部分12x2(第3の部分)を含む。ダイオード電極部分12yは、第1のダイオード電極部分12y1(第2の部分)及び第2のダイオード電極部分12y2を含む(第4の部分)を含む。ゲート絶縁層16は、第1のゲート絶縁層16a、第2のゲート絶縁層16b、及び第3のゲート絶縁層16cを含む。ゲート電極18は、第1のゲート電極18a、第2のゲート電極18b、及び第3のゲート電極18cを含む。
【0112】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24(第1の炭化珪素領域)、p形のボディ領域26、p形のボディコンタクト領域28、n形のソース領域30を含む。p形のボディ領域26は、p形の第1のボディ領域26a(第2の炭化珪素領域)及びp形の第2のボディ領域26b(第5の炭化珪素領域)を含む。p形のボディコンタクト領域28は、p形の第1のボディコンタクト領域28a(第3の炭化珪素領域)及びp形の第2のボディコンタクト領域28b(第6の炭化珪素領域)を含む。n形のソース領域30は、n形の第1のソース領域30a(第4の炭化珪素領域)及びn形の第2のソース領域30b(第7の炭化珪素領域)を含む。
【0113】
ドリフト領域24は、JBS領域24xを含む。JBS領域24xは、第1のJBS領域24x1(第1の領域)、及び、第2のJBS領域24x2(第2の領域)を含む。
【0114】
ソース電極12は、第1の電極の一例である。第1のコンタクト電極部分12x1は第1の部分の一例である。第2のコンタクト電極部分12x2は、第3の部分の一例である。第1のダイオード電極部分12y1は、第2の部分の一例である。第2のダイオード電極部分12y2は、第4の部分の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のJBS領域24x1は、第1の領域の一例である。第2のJBS領域24x2は、第2の領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第1のボディコンタクト領域28aは、第3の炭化珪素領域の一例である。第1のソース領域30aは、第4の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第5の炭化珪素領域の一例である。第2のボディコンタクト領域28bは、第6の炭化珪素領域の一例である。第2のソース領域30bは、第7の炭化珪素領域の一例である。
【0115】
MOSFET200においては、ダイオード電極部分12yの第2の方向にコンタクト電極部分12xが位置する。例えば、第1のダイオード電極部分12y1の第2の方向に第2のコンタクト電極部分12x2が位置する。
【0116】
MOSFET200においては、ダイオード電極部分12yとコンタクト電極部分12xが第2の方向に隣り合う。コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの第1の方向の配置が、第2の方向に隣りあうコンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの第1の方向の配置に対し、半周期ずれた配置となっている。
【0117】
例えば、第1の実施形態のMOSFET100では、ダイオード電極部分12yの第2の方向には、別のダイオード電極部分12yが位置する。したがって、第2の方向にトランジスタ動作しない領域が連続している。
【0118】
第2の実施形態のMOSFET200では、ダイオード電極部分12yとコンタクト電極部分12xが第2の方向に隣り合うことで、トランジスタ動作しないダイオード電極部分12yの第2の方向に、トランジスタ動作する領域が設けられる。したがって、第1の実施形態のMOSFET100と比較して、トランジスタのオン電流が流れる領域が分散され、MOSFET200のオン電流が増加する。
【0119】
(第1の変形例)
図16は、第2の実施形態の半導体装置の第1の変形例の拡大模式上面図である。炭化珪素層の表面の半導体領域のパターンを示す図である。第2の実施形態の半導体装置の第1の変形例は、MOSFET210である。
【0120】
MOSFET210は、MOSFET200と同様、ダイオード電極部分12yとコンタクト電極部分12xが第2の方向に隣り合う。MOSFET210は、MOSFET200に対し、コンタクト電極部分12xとダイオード電極部分12yの第1の方向の配置の周期のずれが異なる。第2の実施形態の半導体装置の第1の変形例のMOSFET210においても、オン電流が増加する。
【0121】
(第2の変形例)
図17は、第2の実施形態の半導体装置の第2の変形例の拡大模式上面図である。炭化珪素層の表面の半導体領域のパターンを示す図である。第2の実施形態の半導体装置の第2の変形例は、MOSFET220である。
【0122】
MOSFET220は、MOSFET200と同様、ダイオード電極部分12yとコンタクト電極部分12xが第2の方向に隣り合う。MOSFET220は、MOSFET200に対し、ダイオード電極部分12yが設けられないゲート電極スペースが存在する点で異なる。第2の実施形態の半導体装置の第2の変形例のMOSFET220においても、オン電流が増加する。
【0123】
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、信頼性が向上するMOSFETが実現する。また、第2の実施形態及び変形例によれば、オン電流が増加するMOSFETが実現する。
【0124】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、第1の面に接する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第2の炭化珪素領域に対し第1の面に平行で第1の方向に垂直な第2の方向に離間した第2導電形の第5の炭化珪素領域と、第5の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第5の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第6の炭化珪素領域と、第5の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に接する第1導電形の第7の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延び、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の方向に延び、第1のゲート電極に対し第2の方向に設けられ、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の方向に延び、第2のゲート電極に対し第2の方向に設けられ、第1のゲート電極との間に第2のゲート電極が設けられ、第1の面において、第5の炭化珪素領域と対向した第3のゲート電極と、第2の炭化珪素領域と第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、第2の炭化珪素領域と第2のゲート電極との間、及び第5の炭化珪素領域と第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、第5の炭化珪素領域と第3のゲート電極との間に設けられた第3のゲート絶縁層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極であって、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第3の炭化珪素領域及び第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第1の部分の第1の方向に設けられ、第1の面において第1の炭化珪素領域に接する少なくとも一つの第2の部分と、第2のゲート電極と第3のゲート電極との間に設けられ、第6の炭化珪素領域及び第7の炭化珪素領域に接する第3の部分と、第2のゲート電極と第3のゲート電極との間に設けられ、第3の部分の第1の方向に設けられ、第1の面において第1の炭化珪素領域に接する少なくとも一つの第4の部分と、を含む第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、第1のゲート電極の第1の方向に設けられ、第2の方向に延び、第1のゲート電極、第2のゲート電極、及び第3のゲート電極に接続され、第1のゲート電極と同一材料の導電層を、備え、炭化珪素層は、第1の炭化珪素領域と導電層との間に設けられ、第1の電極に電気的に接続された第2導電形の第8の炭化珪素領域を、更に含み、第1の電極は金属シリサイド層を更に含み、第1の電極は、導電層に最も近い少なくとも一つの第2の部分と導電層との間に、金属シリサイド層を含まず、第1の電極は、導電層に最も近い少なくとも一つの第4の部分と導電層との間に、金属シリサイド層を含まない。第3の実施形態の半導体装置は、素子領域と終端領域との間の境界領域の第1の電極の構造を規定する点で、第1の実施形態及び第2の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態及び第2の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0125】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET300である。第3の実施形態のMOSFET300は、DIMOSFETである。また、第3の実施形態のMOSFET300は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0126】
図18(a)、図18(b)は、第3の実施形態の半導体装置のチップレイアウトを示す図である。
【0127】
図18(a)は、MOSFET300のチップ上面図である。MOSFET300は、ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102を備える。ゲート電極配線102は、ゲート電極パッド101に接続される。
【0128】
ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102は、例えば、金属である。ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102は、同一材料で形成される。
【0129】
MOSFET300は、素子領域104及び終端領域105を含む。素子領域104には、トランジスタが設けられる。終端領域105は、素子領域104を囲む。終端領域105には、MOSFET300の耐圧を向上させる構造が設けられる。MOSFET300の耐圧を向上させる構造は、例えば、リサーフや、ガードリングである。
【0130】
図18(b)は、MOSFET300のゲート電極18のパターンを示す図である。図18(b)は、ソース電極12の下層に設けられるゲート電極18のパターンを示す。
【0131】
MOSFET300は、複数のゲート電極18、第1のゲート電極接続線106a(導電層)、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107を備える。第1のゲート電極接続線106aは、導電層の一例である。
【0132】
ゲート電極18は、素子領域104に設けられる。ゲート電極18は第1の方向に延びる。
【0133】
第1のゲート電極接続線106a、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107は、終端領域105に設けられる。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、第1の方向に垂直な第2の方向に延びる。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、第1の方向において、ゲート電極18に接続される。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、ゲート電極配線102に電気的に接続される。
【0134】
端部ゲート電極接続線107は、例えば、第1の方向において、第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bに接続される。
【0135】
ゲート電極18、第1のゲート電極接続線106a、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107は、同一の材料で形成される。
【0136】
ゲート電極パッド101に印加されるゲート電圧が、ゲート電極18に印加される。
【0137】
図19は、第3の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図19は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図20及び図21は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図20は、図19のAA’断面図である。図21は、図19のBB’断面図である。
【0138】
図19図20、及び図21は、MOSFET300の素子領域104と終端領域105の境界領域の構造を示す図である。図19図20、及び図21は、例えば、図19(b)の領域Xの構造を示す図である。
【0139】
なお、MOSFET300の素子領域104の構造は、例えば、第1の実施形態又は第2の実施形態の半導体装置と同様である。例えば、図19(b)の領域Zの構造は、第1の実施形態又は第2の実施形態の半導体装置と同様である。
【0140】
MOSFET300は、基板絶縁層50を含む。基板絶縁層50は、終端領域に設けられる。基板絶縁層50は、第1のゲート電極接続線106aと炭化珪素層10との間に設けられる。基板絶縁層50の厚さは、例えば、ゲート絶縁層16の厚さよりも厚い。
【0141】
基板絶縁層50は、例えば、酸化シリコンを含む。基板絶縁層50は、例えば、酸化シリコン層である。
【0142】
ゲート電極18は、第1のゲート電極18a、第2のゲート電極18b、及び第3のゲート電極18cを含む。第1のゲート電極18a、第2のゲート電極18b、及び第3のゲート電極18cは、第1のゲート電極接続線106aに接続される。
【0143】
第1のゲート電極接続線106aの第1の方向の幅(図19中のw1)は、ゲート電極18の第2の方向の幅(図19中のw1)よりも広い。
【0144】
ソース電極12は、コンタクト電極部分12x、ダイオード電極部分12yを含む。コンタクト電極部分12xは、第1のコンタクト電極部分12x1(第1の部分)及び第2のコンタクト電極部分12x2(第3の部分)を含む。ダイオード電極部分12yは、第1のダイオード電極部分12y1(第2の部分)及び第2のダイオード電極部分12y2を含む(第4の部分)を含む。
【0145】
ソース電極12は、第1の電極の一例である。第1のコンタクト電極部分12x1は第1の部分の一例である。第2のコンタクト電極部分12x2は、第3の部分の一例である。第1のダイオード電極部分12y1は、第2の部分の一例である。第2のダイオード電極部分12y2は、第4の部分の一例である。
【0146】
炭化珪素層10は、p形の第1のリサーフ領域40(第8の炭化珪素領域)を含む。第1のリサーフ領域40は、第8の炭化珪素領域の一例である。
【0147】
第1のリサーフ領域40は、第1のゲート電極接続線106aとドリフト領域24との間に設けられる。第1のリサーフ領域40は、基板絶縁層50とドリフト領域24との間に設けられる。
【0148】
第1のリサーフ領域40は、素子領域104の端部に加わる電界の強度を緩和し、MOSFET300の耐圧を向上させる機能を有する。
【0149】
第1のリサーフ領域40は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。第1のリサーフ領域40のp形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0150】
第1のリサーフ領域40の深さは、例えば、500nm以上900nm以下である。
【0151】
第1のリサーフ領域40は、ソース電極12に電気的に接続される。第1のリサーフ領域40は、ソース電極12の電位に固定される。
【0152】
第1のリサーフ領域40の一部は第1の面F1に接する。第1のリサーフ領域40の一部は第1のゲート電極接続線106aに対向する。
【0153】
MOSFET300では、2本のゲート電極18に挟まれるコンタクト電極部分12x及びダイオード電極部分12yの中では、ダイオード電極部分12yが第1のゲート電極接続線106aに最も近い。言い換えれば、2本のゲート電極18に挟まれるダイオード電極部分12yの中で、第1のゲート電極接続線106aに最も近いダイオード電極部分12yと、第1のゲート電極接続線106aとの間には、コンタクト電極部分12xが設けられない。言い換えれば、ソース電極12は、第1のゲート電極接続線106aに最も近いダイオード電極部分12yと第1のゲート電極接続線106aとの間に、金属シリサイド層12sを含まない。
【0154】
例えば、第1のゲート電極18aと第2のゲート電極18bとの間に設けられる第1のコンタクト電極部分12x1及び第1のダイオード電極部分12y1の中で、第1のダイオード電極部分12y1が第1のゲート電極接続線106aに最も近い。第1のゲート電極18aと第2のゲート電極18bの間に挟まれる第1のダイオード電極部分12y1の中で、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第1のダイオード電極部分12y1と、第1のゲート電極接続線106aとの間には、第1のコンタクト電極部分12x1が設けられない。ソース電極12は、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第1のダイオード電極部分12y1と第1のゲート電極接続線106aとの間に、金属シリサイド層12sを含まない。
【0155】
また、例えば、第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cとの間に設けられる第2のコンタクト電極部分12x2及び第2のダイオード電極部分12y2の中で、第2のダイオード電極部分12y2が第1のゲート電極接続線106aに最も近い。第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cの間に挟まれる第2のダイオード電極部分12y2の中で、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第2のダイオード電極部分12y2と、第1のゲート電極接続線106aとの間には、第2のコンタクト電極部分12x2が設けられない。ソース電極12は、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第2のダイオード電極部分12y2と第1のゲート電極接続線106aとの間に、金属シリサイド層12sを含まない。
【0156】
次に、第3の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0157】
図22は、第3の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図である。図22は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図23は、第3の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図である。図23は、図22のCC’断面図である。図22は、第3の実施形態の図19に対応する図である。図23は、第3の実施形態の図21に対応する図である。
【0158】
比較例の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET901である。
【0159】
比較例のMOSFET901は、2本のゲート電極18に挟まれるコンタクト電極部分12x及びダイオード電極部分12yの中で、コンタクト電極部分12xが第1のゲート電極接続線106aに最も近い場合がある点で、第3の実施形態のMOSFET300と異なる。言い換えれば、2本のゲート電極18に挟まれるダイオード電極部分12yの中で、第1のゲート電極接続線106aに最も近いダイオード電極部分12yと、第1のゲート電極接続線106aとの間に、コンタクト電極部分12xが設けられる場合がある点で、第3の実施形態のMOSFET300と異なる。言い換えれば、ソース電極12は、第1のゲート電極接続線106aに最も近いダイオード電極部分12yと第1のゲート電極接続線106aとの間に、金属シリサイド層12sを含む場合がある点で、第3の実施形態のMOSFET300と異なる。
【0160】
例えば、第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cとの間に設けられる第2のコンタクト電極部分12x2及び第2のダイオード電極部分12y2の中で、第2のコンタクト電極部分12x2が第1のゲート電極接続線106aに最も近い。第2のゲート電極18bと第3のゲート電極18cの間に挟まれる第2のダイオード電極部分12y2の中で、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第2のダイオード電極部分12y2と、第1のゲート電極接続線106aとの間に、第2のコンタクト電極部分12x2が設けられる。ソース電極12は、第1のゲート電極接続線106aに最も近い第2のダイオード電極部分12y2と第1のゲート電極接続線106aとの間に、金属シリサイド層12sを含む。
【0161】
SBDを内蔵するMOSFETでは、SBDが順バイアスされた際に、SBDに流れる電流が、第1のリサーフ領域40の底部を流れることにより、第1のリサーフ領域40とドリフト領域24との間のpn接合に加わる電圧の上昇を抑制している。pn接合に加わる電圧の上昇を抑制することで、pn接合ダイオードがオンすることを抑制する。pn接合ダイオードがオンすることを抑制することで、ボディ領域26からドリフト領域24に正孔が注入されることを抑制している。SBDを内蔵するMOSFETでは、ドリフト領域24に注入される正孔を抑制することで、炭化珪素層中の積層欠陥の成長を抑制し、信頼性の低下を抑制している。
【0162】
SBDから第1のリサーフ領域40への距離が離れると、pn接合に加わる電圧の上昇が十分抑制できず、pn接合ダイオードがオンしやすくなる。したがって、信頼性の低下が生じるおそれがある。
【0163】
比較例のMOSFET901では、ダイオード電極部分12yと第1のゲート電極接続線106aとの間に、コンタクト電極部分12xが設けられる。したがって、SBDから第1のリサーフ領域40の距離が大きくなる。あるいは、第1のリサーフ領域40に近接するSBDの面積が小さくなる。したがって、pn接合ダイオードがオンし、MOSFET901の信頼性が低下することが懸念される。
【0164】
第3の実施形態のMOSFET300では、ダイオード電極部分12yと第1のゲート電極接続線106aとの間に、コンタクト電極部分12xが設けられない。したがって、SBDから第1のリサーフ領域40の距離が比較例のMOSFET901に比べ、小さくなる。あるいは、第1のリサーフ領域40に近接するSBDの面積が大きくなる。したがって、pn接合ダイオードがオンすることが抑制される。よって、MOSFET300の信頼性が向上する。
【0165】
以上、第3の実施形態によれば、信頼性が向上するMOSFETが実現する。
【0166】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、第1の面に接する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い、第2導電形の第3の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に接する第1導電形の第4の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延び、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第1のゲート電極と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延び、第1のゲート電極に対し第1の面に平行で第1の方向に垂直な第2の方向に設けられ、第1の面において第2の炭化珪素領域と対向した第2のゲート電極と、第2の炭化珪素領域と第1のゲート電極との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、第2の炭化珪素領域と第2のゲート電極との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極であって、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第3の炭化珪素領域及び第4の炭化珪素領域に接する第1の部分と、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第1の部分の第1の方向に設けられ、第1の面において第1の炭化珪素領域に接する第2の部分と、を含む第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、第2のゲート電極の第2の方向に設けられ、第1の方向に延び、第2のゲート電極の第2の方向の幅よりも第2の方向の幅が大きく、第2のゲート電極と同一材料の導電層を、備え、炭化珪素層は、第1の炭化珪素領域と導電層との間に設けられ、第1の電極に電気的に接続された第2導電形の第5の炭化珪素領域を、更に含み、第1の電極は金属シリサイド層を更に含み、第1の電極は、第2のゲート電極と導電層との間に設けられ、炭化珪素層に接する第3の部分を更に含み、第3の部分は金属シリサイド層を含まない。第4の実施形態の半導体装置は、素子領域と終端領域との間の境界領域の第1の電極の構造を規定する点で、第1の実施形態及び第2の実施形態の半導体装置と異なる。また、第4の実施形態の半導体装置は、第3の実施形態と異なる位置の境界領域の第1の構造を規定する点で、第3の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0167】
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET400である。第4の実施形態のMOSFET400は、DIMOSFETである。また、第4の実施形態のMOSFET400は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0168】
図24(a)、図24(b)は、第4の実施形態の半導体装置のチップレイアウトを示す図である。図24(a)、図24(b)は、第3の実施系形態の図18(a)、図18(b)に対応する図である。
【0169】
図24(a)は、MOSFET400のチップ上面図である。MOSFET400は、ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102を備える。ゲート電極配線102は、ゲート電極パッド101に接続される。
【0170】
ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102は、例えば、金属層である。ソース電極12、ゲート電極パッド101、及びゲート電極配線102は、同一材料で形成される。
【0171】
MOSFET400は、素子領域104及び終端領域105を含む。素子領域104には、トランジスタが設けられる。終端領域105は、素子領域104を囲む。終端領域105には、MOSFET400の耐圧を向上させる構造が設けられる。MOSFET400の耐圧を向上させる構造は、例えば、リサーフや、ガードリングである。
【0172】
図24(b)は、MOSFET400のゲート電極18のパターンを示す図である。図24(b)は、ソース電極12の下層に設けられるゲート電極18のパターンを示す。
【0173】
MOSFET400は、複数のゲート電極18、第1のゲート電極接続線106a、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107(導電層)を備える。端部ゲート電極接続線107は、導電層の一例である。
【0174】
ゲート電極18は、素子領域104に設けられる。ゲート電極18は第1の方向に延びる。
【0175】
第1のゲート電極接続線106a、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107は、終端領域105に設けられる。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、第1の方向に垂直な第2の方向に延びる。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、第1の方向において、ゲート電極18に接続される。第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bは、ゲート電極配線102に電気的に接続される。
【0176】
端部ゲート電極接続線107は、例えば、第1の方向において、第1のゲート電極接続線106a及び第2のゲート電極接続線106bに接続される。
【0177】
ゲート電極18、第1のゲート電極接続線106a、第2のゲート電極接続線106b、及び端部ゲート電極接続線107は、同一の材料で形成される。
【0178】
ゲート電極パッド101に印加されるゲート電圧が、ゲート電極18に印加される。
【0179】
図25は、第4の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図25は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図26は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図26は、図25のAA’断面図である。
【0180】
図25及び図26は、MOSFET400の素子領域104と終端領域105の境界領域の構造を示す図である。図25及び図26は、例えば、図24(b)の領域Yの構造を示す図である。
【0181】
なお、MOSFET400の素子領域104の構造は、例えば、第1の実施形態又は第2の実施形態の半導体装置と同様である。例えば、図25(b)の領域Zの構造は、第1の実施形態又は第2の実施形態の半導体装置と同様である。
【0182】
MOSFET400は、基板絶縁層50を含む。基板絶縁層50は、終端領域に設けられる。基板絶縁層50は、端部ゲート電極接続線107と炭化珪素層10との間に設けられる。基板絶縁層50の厚さは、例えば、ゲート絶縁層16の厚さより厚い。
【0183】
基板絶縁層50は、例えば、酸化シリコンを含む。基板絶縁層50は、例えば、酸化シリコン層である。
【0184】
ゲート電極18は、第1のゲート電極18a及び第2のゲート電極18bを含む。第1のゲート電極18aは、第2のゲート電極18bの第1の方向に延びる。
【0185】
端部ゲート電極接続線107は、第1の方向に延びる。端部ゲート電極接続線107は、第2のゲート電極18bの2の方向に設けられる。第1のゲート電極18aと端部ゲート電極接続線107との間に、第2のゲート電極18bが設けられる。端部ゲート電極接続線107の第2の方向の幅(図25中のw3)は、ゲート電極18の第2の方向の幅(図25中のw4)よりも大きい。
【0186】
ソース電極12は、コンタクト電極部分12x、ダイオード電極部分12yを含む。コンタクト電極部分12xは、第1のコンタクト電極部分12x1(第1の部分)を含む。ダイオード電極部分12yは、第1のダイオード電極部分12y1(第2の部分)及び第2のダイオード電極部分12y2(第3の部分)を含む。
【0187】
ソース電極12は、第1の電極の一例である。第1のコンタクト電極部分12x1は第1の部分の一例である。第1のダイオード電極部分12y1は、第2の部分の一例である。第2のダイオード電極部分12y2は、第3の部分の一例である。
【0188】
第1のコンタクト電極部分12x1及び第1のダイオード電極部分12y1は、第1のゲート電極18aと第2のゲート電極18bとの間に設けられる。第2のダイオード電極部分12y2は、第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107との間に設けられる。
【0189】
第2のダイオード電極部分12y2は、第1の面F1において、炭化珪素層10に接する。第2のダイオード電極部分12y2は、第1の面F1において、ドリフト領域24に接する。
【0190】
第2のダイオード電極部分12y2の第1の方向の長さは、例えば、第1のダイオード電極部分12y1の第1の方向の長さよりも長い。
【0191】
炭化珪素層10は、p形の第2のリサーフ領域42(第5の炭化珪素領域)を含む。第2のリサーフ領域42は、第5の炭化珪素領域の一例である。
【0192】
第2のリサーフ領域42は、端部ゲート電極接続線107とドリフト領域24との間に設けられる。第2のリサーフ領域42は、基板絶縁層50とドリフト領域24との間に設けられる。
【0193】
第2のリサーフ領域42は、素子領域104の端部に加わる電界の強度を緩和し、MOSFET400の耐圧を向上させる機能を有する。
【0194】
第2のリサーフ領域42は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。第2のリサーフ領域42のp形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0195】
第2のリサーフ領域42の深さは、例えば、500nm以上900nm以下である。
【0196】
第2のリサーフ領域42は、ソース電極12に電気的に接続される。第1のリサーフ領域40は、ソース電極12の電位に固定される。
【0197】
第2のリサーフ領域42の一部は第1の面F1に接する。第2のリサーフ領域42の一部は端部ゲート電極接続線107に対向する。
【0198】
MOSFET400では、第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれ、炭化珪素層10に接するソース電極12が、金属シリサイド層12sを含まない。第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれ、炭化珪素層10に接するソース電極12が、第1の方向の全ての部分に金属シリサイド層12sを含まない。MOSFET400では、第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれるソース電極12は、例えば、ボディコンタクト領域28及びソース領域30のいずれにも接しない。第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれるソース電極12は、ドリフト領域24に接する。
【0199】
例えば、第2の方向の端部の第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107に挟まれ、ドリフト領域24に接する第2のダイオード電極部分12y2は、金属シリサイド層12sを含まない。
【0200】
次に、第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0201】
図27は、第4の実施形態の比較例の半導体装置の模式上面図である。図27は、炭化珪素層の上面の、ゲート電極及びソース電極のパターンを示す模式図である。図28は、第4の実施形態の比較例の半導体装置の模式断面図である。図28は、図27のBB’断面図である。図27は、第4の実施形態の図25に対応する図である。図28は、第4の実施形態の図26に対応する図である。
【0202】
比較例の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート形の縦形MOSFET902である。
【0203】
比較例のMOSFET902は、第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれ、炭化珪素層10に接するソース電極12が、金属シリサイド層12sを含む点で、第4の実施形態のMOSFET400と異なる。MOSFET400では、第2の方向の端部のゲート電極18と端部ゲート電極接続線107に挟まれるソース電極12の少なくとも一部は、ボディコンタクト領域28及びソース領域30のいずれにも接する。
【0204】
例えば、第2の方向の端部の第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107に挟まれ、ドリフト領域24に接するコンタクト電極部分12xは、金属シリサイド層12sを含む。第2の方向の端部の第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107に挟まれ、ドリフト領域24に接するコンタクト電極部分12xは、ボディコンタクト領域28及びソース領域30のいずれにも接する。
【0205】
SBDを内蔵するMOSFETでは、SBDが順バイアスされた際に、SBDに流れる電流が、第2のリサーフ領域42の底部を流れることにより、第2のリサーフ領域42とドリフト領域24との間のpn接合に加わる電圧の上昇を抑制している。pn接合に加わる電圧の上昇を抑制することで、pn接合ダイオードがオンすることを抑制する。pn接合ダイオードがオンすることを抑制することで、ボディ領域26からドリフト領域24に正孔が注入されることを抑制している。SBDを内蔵するMOSFETでは、ドリフト領域24に注入される正孔を抑制することで、炭化珪素層中の積層欠陥の成長を抑制し、信頼性の低下を抑制している。
【0206】
SBDから第2のリサーフ領域42の距離が離れると、pn接合に加わる電圧の上昇が十分抑制できず、pn接合ダイオードがオンしやすくなる。したがって、信頼性の低下が生じるおそれがある。
【0207】
比較例のMOSFET902では、第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107との間に、コンタクト電極部分12xが設けられる。したがって、SBDから第2のリサーフ領域42の距離が大きくなる。あるいは、第2のリサーフ領域42に近接するSBDの面積が小さくなる。したがって、pn接合ダイオードがオンし、MOSFET902の信頼性が低下することが懸念される。
【0208】
第4の実施形態のMOSFET400では、第2のゲート電極18bと端部ゲート電極接続線107との間に、コンタクト電極部分12xが設けられない。したがって、SBDから第2のリサーフ領域42の距離が比較例のMOSFET902に比べ、小さくなる。あるいは、第2のリサーフ領域42に近接するSBDの面積が大きくなる。したがって、pn接合ダイオードがオンすることが抑制される。よって、MOSFET400の信頼性が向上する。
【0209】
以上、第4の実施形態によれば、信頼性が向上するMOSFETが実現する。
【0210】
第1ないし第4の実施形態では、SiCの結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
【0211】
第1ないし第4の実施形態では、第1導電形がn形、第2導電形がp形の場合を例に説明したが、第1導電形をp形、第2導電形をn形とすることも可能である。
【0212】
第1ないし第4の実施形態では、p形不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n形不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
【0213】
また、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)に本発明を適用することも可能である。
【0214】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0215】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
12s 金属シリサイド層
12x1 第1のコンタクト電極部分(第1の部分)
12x2 第2のコンタクト電極部分(第3の部分)
12y1 第1のダイオード電極部分(第2の部分)
12y2 第2のダイオード電極部分(第4の部分、第3の部分)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16a 第1のゲート絶縁層
16b 第2のゲート絶縁層
16c 第3のゲート絶縁層
18 ゲート電極
18a 第1のゲート電極
18b 第2のゲート電極
18c 第3のゲート電極
24 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
24x1 第1のJBS領域(第1の領域)
24x2 第2のJBS領域(第2の領域)
26a 第1のボディ領域(第2の炭化珪素領域)
26b 第2のボディ領域(第5の炭化珪素領域)
28a 第1のボディコンタクト領域(第3の炭化珪素領域)
28b 第2のボディコンタクト領域(第6の炭化珪素領域)
30a 第1のソース領域(第4の炭化珪素領域)
30b 第2のソース領域(第7の炭化珪素領域)
40 第1のリサーフ領域(第8の炭化珪素領域)
42 第2のリサーフ領域(第5の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
106a 第1のゲート電極接続線(導電層)
107 端部ゲート電極接続線(導電層)
200 MOSFET(半導体装置)
300 MOSFET(半導体装置)
400 MOSFET(半導体装置)
F1 第1の面
F2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28