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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】車両の貸出条件設定装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241021BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021170358
(22)【出願日】2021-10-18
(65)【公開番号】P2023060645
(43)【公開日】2023-04-28
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茉菜
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】森谷 翔太
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-084199(JP,A)
【文献】特開2015-141600(JP,A)
【文献】特開2015-152953(JP,A)
【文献】特開2020-197804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の情報を記憶する利用者情報記憶部と、
前記利用者による車両の取扱い履歴の情報を利用情報として取得する利用情報取得部と、
前記利用情報に基づいて貸出条件を算出する条件算出部と、
前記貸出条件の情報を前記利用者に出力する出力部と、
を備え
前記条件算出部は、貸出契約を更新する際の交換可能な車両種別の増減を、前記貸出条件として算出することを特徴とする車両の貸出条件設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の貸出条件設定装置において、
前記利用情報取得部は、前記車両の動作情報または/および前記車両の点検整備情報を含む情報を、前記利用情報として取得することを特徴とする車両の貸出条件設定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の貸出条件設定装置において、
前記利用情報取得部は、電動車両に搭載される走行用バッテリーの劣化度の情報を含む前記車両の動作情報を、前記利用情報として取得することを特徴とする車両の貸出条件設定装置。
【請求項4】
利用者の情報を記憶する利用者情報記憶部と、
前記利用者による車両の取扱い履歴の情報を利用情報として取得する利用情報取得部と、
前記利用情報に基づいて貸出条件を算出する条件算出部と、
前記貸出条件の情報を前記利用者に出力する出力部と、
を備え、
前記条件算出部は、貸出契約を更新する際の貸出価格を、前記貸出条件として算出し、
前記利用者情報記憶部は、前記利用者の情報として年齢を含む情報を記憶し、
前記条件算出部は、さらに、車両が丁寧に取扱われていることを前記利用情報が示す場合に算出する前記貸出条件を、前記貸出価格が利用者の年齢が若年であるほど安価になるよう重みづけして算出することを特徴とする車両の貸出条件設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の貸出条件を設定する貸出条件設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の利用者で車両を共同利用するカーシェアリング(Carsharing)方式の車両貸出サービスにおいて、貸出時および返却時の車両の画像に基づいて車両の汚れ度を判定する技術が知られている(特許文献1参照)。返却された車両の汚れが画像に基づいて判定された場合には、洗車等の措置がとられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-47606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、定額料金を定めて利用者が一定期間車両を利用するサブスクリプション(Subscription)方式の車両貸出サービスでは、上記一定期間の間に車両が返却されない場合があるため、従来技術の適用が困難である。そのため、サブスクリプション方式で貸出される場合は、利用者から車両を丁寧に扱ってもらうための工夫が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両の貸出条件設定装置は、利用者の情報を記憶する利用者情報記憶部と、前記利用者による車両の取扱い履歴の情報を利用情報として取得する利用情報取得部と、前記利用情報に基づいて貸出条件を算出する条件算出部と、前記貸出条件の情報を前記利用者に出力する出力部と、を備える。前記条件算出部は、貸出契約を更新する際の交換可能な車両種別の増減を、前記貸出条件として算出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、貸出車両を丁寧に利用してもらうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態による車両貸出システムの概略構成図。
図2】車両貸出システムの要部構成を示すブロック図。
図3】貸出条件設定装置としてのサーバの要部構成を示すブロック図。
図4】整備業者が有するサーバの要部構成を示すブロック図。
図5】貸出条件算出のために実行するプログラムの流れを説明するフローチャート。
図6】貸出条件(利用料金)の算出処理を詳細に説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
サブスクリプション方式の車両貸出サービスは、定額料金で一定期間、複数の車両の中から利用者により選択された車両を利用者に貸出すサービスである。発明の一実施の形態による車両の貸出条件設定装置は、上記サブスクリプション方式の車両貸出サービスで用いられるシステムに対して、貸出車両が利用者から丁寧に取扱ってもらえるように工夫を加えたものである。以下では特に、次の貸出契約における車両の貸出条件を設定する貸出条件設定装置について説明する。
【0009】
一般に、サブスクリプション方式の車両貸出サービスでは、利用者が、税金、保険料および整備費等を含んだ定額料金で、一定期間、種々の車両を任意に選択して利用することができる。このような車両の貸出事業を行う事業体にとっては、返却後の車両に中古車としての価値が残る使われ方、例えば、車両に汚れや損傷が残らないように車両が利用者から丁寧に取扱われることが望ましい。なお、車両を丁寧に取扱うとは、車両に汚れや損傷を残さない他にも、車両に対して所定値を超える加速度が作用する運転、いわゆる急発進、急加速、急減速、急旋回をしないことを含む。
他方、車両貸出サービスで貸出された車両を利用する利用者にとっては、契約期間中に車両を少々手荒に取扱ったとしても、定額料金であるために追加負担金が発生しないことから、車両を自分で所有する場合と比べて車両に対する取扱いが粗雑になりやすい。
【0010】
そこで、実施の形態では、利用者に貸出した車両が丁寧に取扱われた場合には、利用者に対して次の貸出契約における貸出条件を利用者が有利になるように設定する車両の貸出条件設定装置を設ける。貸出条件設定装置は、利用者が車両を丁寧に取扱うと次の貸出契約において利用者に有利な貸出条件を設定するので、利用者に有利な貸出条件を設定しない場合と比べて、利用者に対し、車両を丁寧に取扱う機運を醸成させることが可能になる。このような車両の貸出条件設定装置について、以下に詳細に説明する。
【0011】
<車両貸出システムの概要>
図1は、実施の形態による車両の貸出条件設定装置を構成するサーバ30を用いた、車両貸出システム100の概略構成図である。車両貸出システム100は、サブスクリプション方式の車両貸出サービスを行う事業体Aまたは事業を委託された事業者Bが有するサーバ30および車両1と、事業体Aまたは事業者Bから車両1の点検整備を委託された整備業者Cが有するサーバ40と、車両貸出サービスを利用するユーザが有するユーザ端末(携帯端末)20とによって構成される。なお、整備業者Cに代えて、事業体Aまたは事業者Bが車両1の点検整備を担ってもよい。
【0012】
車両1には車載端末10が搭載されている。車載端末10と、サーバ30と、サーバ40と、利用者端末20とは、無線通信網、インターネット網、電話回線網などの通信ネットワーク4に接続される。車両1には、事業体A等で販売される登録済みの車両(車両番号のついている車両であり、以下単に、中古車ともいう)が含まれ、中古車には、事業体A等を最初の所有者として登録した車両、いわゆる新古車も含まれる。
なお、車両1は、サブスクリプション方式の車両貸出サービスを提供するためにあらかじめ選択された車両でもよい。
【0013】
図1には、便宜上、利用者が所有する1台の利用者端末20と、利用者により選択された1台の車両1(車載端末10)とが示されるが、複数の利用者それぞれが複数の車両1の中から任意の車両を選択できるように、複数の利用者端末20と、複数の車両1(車載端末10)とを含んで構成されてもよい。また、図1にはそれぞれ1台のサーバ30、サーバ40が示されるが、サーバ30、サーバ40をそれぞれ複数のサーバにより構成してもよい。
【0014】
利用者は、事業体A等にあらかじめ必要な情報(利用者情報)を登録しておく。この登録は、サーバ30と通信可能な利用者端末20を用いて行われる。利用者情報には、例えば、利用者ID(identification)、利用者の住所、氏名、生年月日(年齢)、連絡先、免許証番号、決済に必要な情報(例えばクレジットカード番号、銀行口座の番号)等が含まれる。利用者は、利用者端末20に利用者情報を入力してサーバ30へ送信し、利用者登録をした後に、車両1を利用することが可能となる。
【0015】
図2は、図1の車両貸出システム100の要部構成を示すブロック図である。
<車載端末>
車載端末10は、通信部11と、出力部12と、入力部13と、処理部14と、記憶部15とを有する。車載端末10には、車両1に搭載された各種のセンサ群16と、アクチュエータ17とが接続される。車載端末10は、例えば車載ナビゲーション装置を含めて構成される。
【0016】
通信部11は、通信ネットワーク4を介してサーバ30と通信可能に構成される。通信部11は、一例として、車両1を識別する車両IDとともに、センサ群16により検出される信号の一部を、所定時間ごとにサーバ30に送信することが可能に構成されている。
【0017】
出力部12は、案内ルート等を含む地図情報および文字情報等を表示する表示部と、案内音声や音楽等を再生するスピーカ部とを含む。入力部13は、利用者が操作する各種スイッチ部と、利用者が発する音声を入力するマイク部とを含む。スイッチ部には、表示部に積層された透明なタッチ操作部材も含まれる。
【0018】
利用者は、入力部13を介して目的地情報を入力する。利用者によって目的地情報が入力されることで、処理部14によって目的地までの案内ルートが設定され、案内が開始される。処理部14で設定された案内ルートは、出力部12(表示部)に表示される。
【0019】
入力部13はさらに、利用者が有する認証カード(例えば集積回路が組込まれて利用者の個人情報が格納されたIC(Integrated Circuit)カード免許証)から利用者情報を読み取るカードリーダを有する。カードリーダは、車両1の外部から近づけられた認証カードを非接触で認識可能なように、車両1の所定部位(例えばリアウィンドウの下方)に設けられている。
【0020】
処理部14は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。処理部14は、入力部13を介して入力された信号、センサ群16で検出された信号、通信部11を介して車載端末10の外部から受信した信号、および記憶部15に記憶されたデータ等に基づいて所定の処理を実行し、通信部11、出力部12、記憶部15およびアクチュエータ17等の車両1の各部に対する制御信号を出力する。
【0021】
例えば、処理部14から入力部13および通信部11に制御信号を出力し、車載端末10とサーバ30との間の信号の送受信を制御する。例えば処理部14は、センサ群16により検出された信号の一部が所定時間ごとにサーバ30に送信されるように、通信部11に制御信号を出力する。また処理部14は、車両1の利用開始時に利用者がカードリーダに認証カードを近づけたとき、入力部13のカードリーダを介して読み取った利用者情報が入力部13から通信部11を介してサーバ30に送信されるように、通信部11に制御信号を出力する。
【0022】
サーバ30は、後述する車両予約情報記憶部353に記憶される車両予約情報を参照する。サーバ30は、車載端末10から受信した利用者情報に対応付けられた車両予約情報が存在する場合は車両1へ解錠指令を送信し、対応する車両予約情報が存在しない場合は車両1へ施錠指令を送信する。処理部14は、通信部11を介してサーバ30からの解錠指令を受信した場合は解錠信号を、通信部11を介してサーバ30から施錠指令を受信した場合は施錠信号を、それぞれ対応するアクチュエータ17に出力する。
【0023】
また、処理部14は、マイクロコンピュータが担う機能的構成として、情報更新部141および動作情報管理部142を有する。情報更新部141は、処理部14で実行する処理プログラムおよび、上記案内ルート設定用の地図データを更新する。情報更新部141は、新たな処理プログラムが通信ネットワーク4を介して車両1へ配信された場合には、記憶部15の図示しないプログラム格納部に格納されている処理プログラムを更新する。また、情報更新部141は、新たな地図データが通信ネットワーク4を介して車両1へ配信された場合には、記憶部15の地図データ記憶部151に記憶されている地図データを更新する。
【0024】
動作情報管理部142は、センサ群16により検出された信号に基づき、車両1の走行距離、加速度、急ブレーキ、急ハンドルを示す情報等を車両1の動作情報として取得し、管理する。実施の形態では、車両1の取扱い履歴を示す情報を車両1の利用情報と呼ぶことにする。利用情報には、車両1の動作情報と、車両1の点検整備情報とを含むものとする。点検整備情報は、車両1に対する点検整備の実施日および整備内容の記録を含む情報である。
【0025】
動作情報管理部142は、例えば、走行距離については期間ごと(日ごと、週ごと、または月ごと)の走行距離のデータ、加速度および急ブレーキについては所定値を超える加速度が作用する加速および減速の回数を示すデータ、急ハンドルについては所定値を超える加速度が作用する旋回の回数を示すデータを、記憶部15の動作情報記憶部152に日ごと、週ごと、または月ごとに記憶させる。
【0026】
動作情報記憶部152に記憶された車両1の動作情報は、通信部11を介してサーバ30へ送信される。動作情報の送信頻度は、定期的に送信してもよいし、サーバ30から車載端末10へ要求があったときにまとめて送信してもよい。
【0027】
記憶部15は、不図示の揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部15は、処理部14が実行する各種プログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部15は、メモリが担う機能的構成として、地図データ記憶部151と、動作情報記憶部152とを有する。
【0028】
記憶部15は、情報更新部141からの制御信号に基づき、上述した地図データを地図データ記憶部151に記憶する。
また、記憶部15は、情報更新部141からの制御信号に基づき、上述した車両1の動作情報を車両IDと対応付けて動作情報記憶部152に記憶する。
【0029】
センサ群16は、上述した車両1の動作情報を検出するセンサを含む、各種センサを有する。センサ群16は、一例として、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(測位信号)を受信して車両1の位置を検出するGPSセンサ161と、車両1の走行速度(車速)を検出する車速センサ162と、車両1に作用する加速度を検出する加速度センサ163と、車両1の走行距離を検出する走行距離センサ164とを含む。
【0030】
アクチュエータ17は、車載端末10(処理部14)からの指令により車両1に搭載された各種機器を駆動する。アクチュエータ17は、一例として、ドアロックを解錠および施錠するロックアクチュエータを有する。ロックアクチュエータは処理部14から解錠信号が出力されるとドアロックを解錠し、施錠信号が出力されるとドアロックを施錠する。
【0031】
<利用者端末>
図2に示すように、利用者端末20は、通信部21と、出力部22と、入力部23と、処理部24と、記憶部25とを有する。利用者端末20は、利用者により操作されるスマートフォン等の携帯無線端末、または、パーソナルコンピュータ等の通信ネットワーク4に接続可能な機器により構成される。
【0032】
通信部21は、通信ネットワーク4を介してサーバ30と通信可能に構成される。例えば通信部21は、利用者を識別する利用者IDとともに、車両1の予約やキャンセル等を指令する信号等をサーバ30に送信する。
【0033】
出力部22は、例えば文字情報や画像等を表示する表示部と、音声等を再生するスピーカ部等を含む。入力部23は、タッチ操作部材やキーボード等の利用者が操作する各種スイッチ部と、利用者が発する音声を入力するマイク部等を含む。利用者は、入力部23を介して利用者情報および車両貸出サービスの利用に関連した情報を入力することができる。例えば、利用予約の申込み時には、利用日時、車両の情報(例えば車両1の車種等)および利用者ID等を入力する。
【0034】
処理部24は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。処理部24は、入力部23を介して入力された信号、通信部21を介して利用者端末20の外部から受信した信号、および記憶部25に記憶されたデータ等に基づいて所定の処理を実行し、通信部21、出力部22、および記憶部25等の利用者端末20の各部に対する制御信号を出力する。
処理部24は、さらに通信部21に制御信号を出力し、利用者端末20とサーバ30との間の信号の送受信、利用者端末20と車載端末10との間の信号の送受信を制御する。処理部24で行う処理により、利用者は、出力部22に表示される情報を見ながら、利用予約した車両の情報の確認や変更、および登録した利用者情報の変更等を行うことができる。
【0035】
記憶部25は、図示しない揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部25は、処理部24が実行する各種プログラムや各種のデータを記憶する。記憶部25はさらに、利用者情報等を記憶する。
【0036】
<サーバ>
図3は、貸出条件設定装置としてのサーバ30の要部構成を示すブロック図である。サーバ30は、通信部31と、出力部32と、入力部33と、処理部34と、記憶部35とを有する。サーバ30は、クラウド上で仮想サーバ機能を利用して構成することもでき、各機能を分散して構成することもできる。
【0037】
通信部31は、通信ネットワーク4を介して、車載端末10、サーバ40および利用者端末20と通信可能に構成される。出力部32は、例えば文字情報や画像等を表示する表示部と、音声等を再生するスピーカ部等を含む。入力部33は、タッチ操作部材やキーボード等の、サーバ30の保守または管理を行うオペレータが操作する各種スイッチ部と、オペレータが発する音声を入力するマイク部等を含む。
【0038】
出力部32および入力部33は、省略することもでき、例えば、サーバ30に接続される別の情報端末(不図示)で構成することもできる。
【0039】
処理部34は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。処理部34は、入力部33を介して入力された信号、通信部31を介してサーバ30の外部から受信した信号、および記憶部35に記憶されたデータ等に基づいて所定の処理を実行し、通信部31、出力部32および記憶部35に制御信号を出力する。
例えば、処理部34から通信部31に制御信号を出力し、サーバ30と車載端末10、サーバ30と利用者端末20、サーバ30とサーバ40との間の信号の送受信を制御する。処理部34の機能的構成については後述する。
【0040】
記憶部35は、図示しない揮発性および不揮発性メモリを有する。記憶部35は、処理部34が実行する各種プログラムや各種データ等を記憶する。また、記憶部35は、車両貸出サービスに関してメモリが担う機能的構成として、車両情報記憶部351と、利用者情報記憶部352と、車両予約情報記憶部353とを有する。
【0041】
車両情報記憶部351は、車両貸出サービスに供される車両1の車両情報を記憶する。例えば、個々の車両1の車両ID、車種、年式、車体番号、車両番号、および動作情報等の車両情報を記憶する。上述したように、車両1の動作情報は車両1の利用情報の1つであり、動作情報は後述する利用情報取得部343によって個々の車両1から取得され、車両情報記憶部351で記憶される。
【0042】
車両情報記憶部351はさらに、車両貸出サービスに供される車両1の点検整備情報を記憶する。車両1のもう1つの利用情報である点検整備情報は、整備業者Cが実施した車両1に対する点検整備の実施日および整備内容の記録を含む情報である。点検整備情報は、整備業者Cが有するサーバ40で管理されている。点検整備情報は後述する利用情報取得部343によってサーバ40から取得され、車両情報記憶部351で記憶される。
【0043】
車両情報記憶部351は、上記車両情報を車両IDと対応付けて記憶する。また、車両情報記憶部351は、上記車両情報を、車両1の動作情報が検出された時点(換言すると、車両1の動作情報の元になる検出信号が車両1のセンサ群16で検出された時点)で車両1を利用していた利用者の利用者IDにも対応付けて記憶する。
【0044】
車両情報記憶部351で記憶する車両IDは、車両予約情報記憶部353で記憶する各車両の利用計画にも対応付けられる。利用計画には、例えば各車両1について、時系列に表した過去の利用実績と、現在から未来へ時系列に表した予約情報と、予約情報の合間に行われるメンテナンス計画とが含まれるものとする。
【0045】
記憶部35は、後述する車両情報管理部342からの制御信号に基づき、車両情報および点検整備情報を車両情報記憶部351に記憶する。
【0046】
利用者情報記憶部352は、利用者登録された利用者の利用者ID、利用者情報、および利用者の利用実績等を記憶する。利用実績には、各利用者の車両貸出サービスの契約情報および利用履歴情報等が含まれる。契約情報には、車両貸出サービスを利用する利用料金が含まれ、利用履歴情報には、車両貸出サービスの利用回数、利用期間および利用者が選択した車両1の車両ID等が含まれる。
利用者情報記憶部352は、各利用者の利用者IDと対応付けて利用実績および利用者情報等を記憶する。
記憶部35は、後述する利用者情報管理部341からの制御信号に基づき、利用者情報等を利用者情報記憶部352に記憶する。
【0047】
車両予約情報記憶部353は、上述した個々の車両1の利用計画を記憶する。記憶される利用計画には、各車両の予約情報も含まれる。処理部34が車両1に対して上述した解錠指令を送信するか、施錠指令を送信するかを判定するためには、車両予約情報記憶部353に記憶されている車両の予約情報が参照される。
記憶部35は、後述する予約管理部345からの制御信号に基づき、車両の利用計画を車両予約情報記憶部353に記憶する。
【0048】
処理部34は、処理部が担う機能的構成として、利用者情報管理部341と、車両情報管理部342と、利用情報取得部343と、条件算出部344と、予約管理部345とを有する。
【0049】
利用者情報管理部341は、車両貸出サービスを利用する複数の利用者の利用者ID、利用者情報、利用者の利用実績等を管理する。利用者情報管理部341で管理する情報は、上述したように利用者情報記憶部352に記憶される。
【0050】
車両情報管理部342は、車両貸出サービスに供される個々の車両1の車両ID、車種、年式、車体番号、車両番号、利用情報(車両1の動作情報および点検整備情報)、貸出し実績、および予約情報等の車両情報を管理する。車両情報は、上述したように車両情報記憶部351に記憶される。
【0051】
(動作情報および点検整備情報の取得)
利用情報取得部343は、個々の車両1の利用情報を取得する。利用情報取得部343は、利用情報のうちの動作情報を、通信部31を介して個々の車両1から取得する。また、利用情報取得部343は、利用情報のうちの点検整備情報を、通信部31を介して整備業者Cのサーバ40から取得する。
【0052】
(貸出条件の算出)
条件算出部344は、車両情報記憶部351に記憶されている車両情報に基づいて、次の貸出契約における車両の貸出条件を、利用者IDごとに算出する。実施の形態では、貸出条件の一例として利用料金を算出する。
上記車両1の車両情報には、車両1の将来の価値を表す価値情報が含まれるといえる。価値情報は、例えば、事業体A等が契約満了後に利用者から返却された車両1を販売する場合における想定販売価格に対応する。一般に、想定販売価格は車両1の車種、年式、グレード、色、装備されたオプション、車両1の状態等に基づいて設定される。実施の形態では、上述した車両1の動作情報および点検整備情報のうちの少なくとも1つを上記車両1の状態に対応させる。また、実施の形態では、利用者の情報に基づいた重みづけを行って利用料金を算出する。以下にいくつかの場合を例示する。
【0053】
(例1)走行距離に基づいて利用料金を算出する
動作情報の一例としての走行距離に基づく算出について説明する。一般に、車両1の積算走行距離が標準的な積算走行距離に満たない場合には、標準的な積算走行距離を超える場合と比べて車両1の想定販売価格を高く見込むことができる。そこで、条件算出部344は、次の貸出契約における車両(現在の契約において貸出中の車両1と同一でなくてもよい)の利用料金(サービス情報とも呼ぶ)を、標準的な走行距離に基づいてあらかじめ定めた基本料金(基本サービス情報とも呼ぶ)よりも安くするように割引額(第1サービス情報とも呼ぶ)を設定して算出する。第1サービス情報は、上述の高く見込まれる販売想定価格と、通常の販売想定価格との差に対応する。
【0054】
(例2)急加速および急減速の回数に基づいて利用料金を算出する
動作情報の一例としての、所定値を超える加速度が作用する加速および減速の回数に基づく算出について説明する。車両1に対して行われた急加速および急減速の回数が少ないことは、利用者が車両1を丁寧に取扱ったことの証といえる。一般に、車両1の上記加速および減速の回数があらかじめ定めた所定回数に満たない場合には、所定回数を超える場合と比べて、タイヤの摩耗およびブレーキパッドの摩耗等が少ない。そのため、急加速および急減速の回数が所定回数を超える場合と比べて車両1の想定販売価格を高く見込むことができる。そこで、条件算出部344は、次の貸出契約における車両(現在の契約において貸出中の車両1と同一でなくてもよい)の利用料金(サービス情報とも呼ぶ)を、標準的なタイヤの摩耗およびブレーキパッドの摩耗等に基づいてあらかじめ定めた基本料金(基本サービス情報とも呼ぶ)よりも安くするように割引額(第3サービス情報とも呼ぶ)を設定して算出する。第3サービス情報は、上述の高く見込まれる販売想定価格と、通常の販売想定価格との差に対応する。
【0055】
(例3)点検整備情報に基づいて利用料金を算出する
利用情報の一例としての点検整備情報の有無に基づく算出について説明する。一般に、車両1があらかじめ定めた内容の点検整備を受けていない場合は、点検整備を受けている場合と比べて、次回点検時において交換が必要となる部品点数が多くなるとともに、調整が必要な箇所も多くなることから、車両1を販売する際に行う点検整備費用がかさむことが想定される。そこで、条件算出部344は、次の貸出契約における車両(現在の契約において貸出中の車両1と同一でなくてもよい)の利用料金(サービス情報とも呼ぶ)を、点検整備を受けている場合を前提にあらかじめ定めた基本料金(基本サービス情報とも呼ぶ)よりも高くするように加算額(第2サービス情報とも呼ぶ)を設定して算出する。第2サービス情報は、上記想定される点検整備費用の額(交換が必要な部品の価格+交換作業工賃+調整工賃等)に対応する。
【0056】
(例4)利用者の情報に基づいて重みづけして利用料金を算出する
(例4)では、条件算出部344が利用者情報記憶部352に記憶されている利用者の年齢を参照して利用料金を算出する例を説明する。上述したように、(例2)は利用者が車両1を丁寧に取扱った場合に対応する。条件算出部344は、利用者が車両1を丁寧に取扱った場合には、利用者の年齢を参照し、利用者の年齢が若いほど上記割引額を大きくするように重みづけを行って、次の貸出契約における車両(現在の契約において貸出中の車両1と同一でなくてもよい)の利用料金を算出する。
一般に、保険会社が販売する損害保険商品の車両保険料は、利用者の年齢が若いほど高額に設定されておりサブスクリプション方式の定額料金に車両保険料を組込む場合も料金が高額になってしまう場合がある。(例4)では、車両1を丁寧に取扱う若い利用者へ利用し易い料金で車両貸出サービスを提供するという考え方に基づき、割引額を利用者の年齢に応じて変化させる。
【0057】
予約管理部345は、通信ネットワーク4を介して利用者端末20から送信された車両1の予約情報を受信するように構成される。予約管理部345は、例えば、利用者により利用者端末20に入力された車両1の予約情報(利用者から選択された車両1および貸出期間等の情報)が通信部31を介して受信されると、記憶部35の車両予約情報記憶部353に記憶されている該当車両の車両予約情報を参照して、車両1の予約の可否を判定する。予約管理部345は、対応する貸出期間に車両1の予約がなければ承認信号および利用料金の情報を、通信部31を介して利用者端末20へ送信し、利用者端末20から承認を示す情報を待つ。一方、対応する貸出期間に別の予約があれば否認信号を利用者端末20へ送信する。
予約管理部345は、利用者端末20から送信された承認を示す情報が通信部31で受信されると、車両予約情報記憶部353において車両1の車両予約情報を更新する。
【0058】
<整備業者のサーバ>
図4は、整備業者Cが有するサーバ40の要部構成を示すブロック図である。サーバ40は、通信部41と、出力部42と、入力部43と、処理部44と、記憶部45とを有する。サーバ40は、クラウド上で仮想サーバ機能を利用して構成することもでき、各機能を分散して構成することもできる。
【0059】
通信部41は、通信ネットワーク4を介して、サーバ30と通信可能に構成される。出力部42は、例えば文字情報や画像等を表示する表示部と、音声等を再生するスピーカ部等を含む。入力部43は、タッチ操作部材やキーボード等の、サーバ40の保守または管理を行うオペレータが操作する各種スイッチ部と、オペレータが発する音声を入力するマイク部等を含む。
【0060】
出力部42および入力部43は、省略することもでき、例えば、サーバ40に接続される別の情報端末(不図示)で構成することもできる。
【0061】
処理部44は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。処理部44は、入力部43を介して入力された信号、通信部41を介してサーバ40の外部から受信した信号、および記憶部45に記憶されたデータ等に基づいて所定の処理を実行し、通信部41、出力部42および記憶部45に制御信号を出力する。
例えば、処理部44から通信部41に制御信号を出力し、サーバ40とサーバ30との間の信号の送受信を制御する。
【0062】
処理部44は、処理部が担う機能的構成として、点検整備情報管理部441を有する。点検整備情報管理部441は、車両貸出サービスに供される車両1の点検整備情報を管理する。
【0063】
記憶部45は、図示しない揮発性および不揮発性メモリを有する。記憶部45は、処理部44が実行する各種プログラムや各種データ等を記憶する。また、記憶部45は、メモリが担う機能的構成として、点検整備情報記憶部451を有する。
【0064】
点検整備情報記憶部451は、車両貸出サービスに供される車両1に対して整備業者Cが実施した点検整備の実施日および整備内容の記録を含む情報を記憶する。例えば、車両1の点検整備を担当した整備士が、入力部43を介して車両1の車両ID、点検整備の実施日および整備内容の記録を入力する。記憶部45は、点検整備情報管理部441からの制御信号に基づき、入力された車両ID、点検整備の実施日および整備内容の記録の情報を、車両IDと対応付けた点検整備情報として点検整備情報記憶部451に記憶する。
【0065】
<フローチャートの説明>
実施の形態では、上述したように貸出条件設定装置としてのサーバ30の処理部34が、次の貸出契約における車両の貸出条件を、利用者IDごとに算出し設定する。処理部34が貸出条件に関する処理を行うために実行するプログラムの流れについて、図5および図6のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
処理部34は、例えば、利用者との貸出サービスの契約期間が満了する1~2か月前に、その利用者に提案する次の貸出契約における車両の貸出条件を算出するために図5による処理を行う。ステップS10において、処理部34は、記憶部35から、車両情報記憶部351に記憶されている車両情報を取得してステップS20へ進む。換言すると、処理部34は、利用者に貸出している車両1の車両情報を車両情報記憶部351から読出す。
【0067】
ステップS20において、処理部34は、ステップS10で取得した車両1の車両情報から、車両1の動作情報を取得してステップS30へ進む。換言すると、処理部34は、車両1の車両情報のうちの動作情報を参照する。
【0068】
ステップS30において、処理部34は、整備業者Cのサーバ40から車両1の点検整備情報を取得してステップS40へ進む。換言すると、処理部34は、サーバ40の点検整備情報記憶部451から読出された点検整備情報をサーバ40から取得する。
【0069】
ステップS40において、処理部34は、条件算出部344で次の貸出契約における車両の貸出条件を算出してステップS50へ進む。
【0070】
ステップS50において、処理部34は、貸出条件を示す情報を利用者端末20へ出力して図5による処理を終了する。利用者端末20への出力は、例えば貸出情報を格納したURL(Uniform Resource Locator)を、通信部31を介して利用者端末20へ送信し、利用者端末20からの閲覧を許可することであってもよい。
【0071】
図6は、ステップS40の貸出条件(利用料金)の算出処理を詳細に説明するフローチャートである。図6のステップS401において、条件算出部344は、車両1の積算走行距離が所定距離(標準的な走行距離)よりも短いか否かを判定する。条件算出部344は、車両1の動作情報のうちの走行距離のデータが所定距離よりも短い距離を示す場合にステップS401を肯定判定してステップS402へ進む。条件算出部344は、走行距離のデータが所定距離よりも短い距離を示していない場合にはステップS401を否定判定してステップS403へ進む。
【0072】
ステップS402において、条件算出部344は、標準的な走行距離に基づいてあらかじめ定めた基本サービス情報(基本料金)から第1サービス情報(割引額)を差引いた料金を、次の貸出契約における車両のサービス情報(利用料金)として算出してステップS404へ進む。上述したように、第1サービス情報は、積算走行距離が短い車両の販売想定価格と、通常の販売想定価格との差に対応する。
【0073】
ステップS401を否定判定して進むステップS403において、条件算出部344は、基本サービス情報(基本料金)を、次の貸出契約における車両のサービス情報(利用料金)として算出してステップS404へ進む。
【0074】
ステップS404において、条件算出部344は、車両1の点検整備情報が存在するか否かを判定する。条件算出部344は、車両1の点検整備情報が記憶部35の車両情報記憶部351に記憶されている場合にステップS404を肯定判定してステップS406へ進む。条件算出部344は、車両1の点検整備情報が車両情報記憶部351に記憶されていない場合にはステップS404を否定判定してステップS405へ進む。
【0075】
ステップS405において、条件算出部344は、算出途中の車両のサービス情報(利用料金)に第2サービス情報(加算額)を加算した料金を、次の貸出契約における車両のサービス情報(利用料金)として算出してステップS406へ進む。上述したように、第2サービス情報は、想定される点検整備費用の額(交換が必要な部品の価格+交換作業工賃+調整工賃等)に対応する。
【0076】
ステップS406において、条件算出部344は、車両1が丁寧に取扱われていたか否かを判定する。条件算出部344は、例えば、車両1の加速および減速の回数があらかじめ定めた所定回数に満たない場合に、ステップS406を肯定判定してステップS407へ進む。条件算出部344は、車両1の加速および減速の回数が所定回数を超える場合にはステップS406を否定判定し、図6による処理を終了する。
【0077】
ステップS407において、条件算出部344は、算出途中の車両のサービス情報(利用料金)から第3サービス情報(割引額)を差引いた料金を、次の貸出契約における車両のサービス情報(利用料金)として算出し、図6による処理を終了する。上述したように、第3サービス情報は、上述の高く見込まれる販売想定価格と、通常の販売想定価格との差に対応する。
【0078】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両1の貸出条件設定装置としてのサーバ30は、車両1の利用者の情報を記憶する利用者情報記憶部352と、利用者による車両1の取扱い履歴の情報を利用情報として取得する利用情報取得部343と、利用情報に基づいて貸出条件を算出する条件算出部344と、貸出条件の情報を利用者に出力する出力部としての通信部31とを備える。
このように構成したので、条件算出部344は、例えば、利用者による車両1の取扱い履歴(すなわち利用情報)に基づいて利用者から返却された車両1の価値を判断し、通常よりも価値が高いと判断できる場合には、貸出契約の更新時にその分を割引くなどしてその利用者に対して有利な貸出条件を算出することが可能になる。
【0079】
上述した貸出条件設定装置によれば、利用者にとっては、車両1を丁寧に取扱うことで、次回の貸出契約ではより良い貸出条件で車両を利用することが可能になるため、例えば利用者に所有権が移転しないサブスクリプション方式の車両の貸出サービスにおいて、利用者が車両1を丁寧に取扱う動機付けとなり得る。
他方、車両1を貸出す事業者A等にとっては、返却後の車両1に中古車としての価値がより高く残るように車両1が取扱われるようになるため、車両1を中古車として販売する場合の利益となり得る。また、返却後の車両1に対する整備費用、清掃費用を削減できるので、車両の貸出事業の継続性の点で有利となる。
【0080】
(2)上記(1)の利用情報取得部343は、車両1の動作情報または/および車両1の点検整備情報を含む情報を、利用情報として取得する。
このように構成したので、車両1の動作情報に基づいて車両1の価値を判断することの他に、車両1に対して所定の点検整備が行われたか否かに基づいて車両1の価値を判断することが可能になる。これにより、利用者から返却された車両1の価値を適切に判断し、次回の貸出契約の貸出条件の算出に役立てることが可能になる。
利用者にとっては、車両1の点検整備を適切に受けることで、次回の貸出契約ではより良い貸出条件で車両を利用することが可能になるため、例えば利用者に所有権が移転しないサブスクリプション方式の車両の貸出サービスにおいて、利用者が車両1の点検整備を受ける動機付けとなり得る。
【0081】
(3)上記(1)または(2)の条件算出部344は、貸出契約を更新する際の貸出価格としての利用料金を、貸出条件として算出する。
このように構成したので、利用者にとっては、利用者による車両1の取扱い方により、次回の貸出契約においてより安価な利用料金で車両を利用することが可能になるため、例えば利用者に所有権が移転しないサブスクリプション方式の車両の貸出サービスにおいて、利用者が車両1を丁寧に取扱ったり、車両1の点検整備を適切に受けたりする動機付けとなり得る。
車両1を貸出す事業者A等にとっては、利用者が車両1を丁寧に取扱ったり、車両1の点検整備を適切に受けたりした結果を、次回の貸出契約における利用料金として利用者へ還元することが可能になる。
【0082】
(4)上記(3)の利用者情報記憶部352は、利用者の情報として年齢を含む情報を記憶し、条件算出部344は、車両1が丁寧に取扱われていることを利用情報が示す場合に算出する貸出条件を、利用者の年齢が若年であるほど利用料金が安価になるよう重みづけして算出する。
このように構成したので、車両1を丁寧に取扱ったり、車両1の点検整備を適切に受けたりした利用者の年齢が若いほど、次回の貸出契約では利用し易い安価な利用料金を算出することが可能になる。
【0083】
上記実施形態は、種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
(変形例1)
上述した実施の形態では、条件算出部344が、車両情報記憶部351に記憶されている車両情報に基づいて、利用者IDごとに、次の貸出契約における車両の貸出条件の一例としての利用料金を算出した。次の貸出契約における車両の貸出条件として、利用料金の代わりに、あるいは利用料金に加えて選択できる車種の数を算出してもよい。
【0084】
変形例1において、条件算出部344は、利用者による車両1の取扱い履歴(すなわち利用情報)に基づいて利用者から返却された車両1の価値を判断し、通常よりも価値が高いと判断できる場合には、次の貸出契約においてその分を、現在と価格帯が異なる車種、例えば利用中の車両よりも高い価格帯の車両に変更できるように、その利用者に対して有利な貸出条件を算出する。一般に、より高い価格帯の車両を選択できるようにすることは、交換可能な車両種別が増えるため、利用者にとって良い条件といえる。
【0085】
反対に、条件算出部344は、利用者による車両1の取扱い履歴(すなわち利用情報)に基づいて、利用者から返却された車両1の価値が通常よりも低いと判断できる場合には、次の貸出契約においてその分を、例えば利用中の車両よりも低い価格帯の車両に変更できるように、その利用者に見合う貸出条件を算出する。一般に、高い価格帯の車両の選択を制限することは、交換可能な車両種別が減ることになる。
【0086】
以上説明した変形例1によれば、条件算出部344は、次の貸出契約において交換可能な車両種別の増減を、貸出条件として算出するように構成したので、利用者にとっては、利用者による車両1の取扱い方により、現在の車両1より高い価格帯の車両を利用することが可能になるため、利用者が車両1を丁寧に取扱ったり、車両1の点検整備を適切に受けたりする動機付けとなり得る。
【0087】
(変形例2)
車両1が、駆動用モータおよび駆動用モータへ電力を供給する駆動用バッテリー(走行用バッテリーと呼んでもよい)を搭載する電動車である場合には、利用情報取得部343は、走行用バッテリーの劣化度の情報を、車両の動作情報に含めて取得してもよい。走行用バッテリーの劣化度の情報とは、例えば走行用バッテリーの内部抵抗の測定による判定といった劣化診断のほか、満充電電圧、充電量、温度、および充放電回数等の各種劣化診断から取得される少なくとも一つを示すデータをいう。
【0088】
車載端末10の動作情報管理部142は、走行用バッテリーの劣化度の情報を、記憶部15の動作情報記憶部152に日ごと、週ごと、または月ごと記憶させる。動作情報記憶部152に記憶された車両1の動作情報は、通信部11を介してサーバ30へ送信される。動作情報の送信頻度は、定期的に送信してもよいし、サーバ30から要求があったときにまとめて送信してもよい。
【0089】
変形例2において、条件算出部344は、車両1の動作情報(特に走行用バッテリーの劣化度の情報)に基づいて利用者から返却された車両1の価値を判断し、走行用バッテリーの劣化度が通常よりも小さく、車両1の価値が高いと判断できる場合には、貸出契約の更新時にその分を割引くなどしてその利用者に対して有利な貸出条件を算出することが可能になる。
利用者にとっては、走行用バッテリーを丁寧に取扱う(例えば急速充電を避ける、過放電を避ける等)ことで、次回の貸出契約ではより良い貸出条件で車両を利用することが可能になるため、利用者が車両1(特に走行用バッテリー)を丁寧に取扱う動機付けとなり得る。
【0090】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 車両、4 通信ネットワーク、10 車載端末、11,21,31,41 通信部、12,22,32,42 出力部、13,23,33,43 入力部、14,24,34,44 処理部、15,25,35,45 記憶部、16 センサ群、17 アクチュエータ、20 利用者端末、30,40 サーバ、100 車両貸出システム、141 情報更新部、142 動作情報管理部、151 地図データ記憶部、152 動作情報記憶部、161 GPSセンサ、162 車速センサ、163 加速度センサ、164 走行距離センサ、341 利用者情報管理部、342 車両情報管理部、343 利用情報取得部、344 条件算出部、345 予約管理部、351 車両情報記憶部、352 利用者情報記憶部、353 車両予約情報記憶部、441 点検整備情報管理部、451 点検整備情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6