(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20241021BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241021BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241021BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241021BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L21/88 J
H01L21/88 S
H01L27/146 A
H01L27/146 F
(21)【出願番号】P 2021185153
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 悠
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078020(JP,A)
【文献】特開2020-061756(JP,A)
【文献】特開2012-104684(JP,A)
【文献】特表2017-503373(JP,A)
【文献】特開2008-277645(JP,A)
【文献】特開2019-129322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/70
H01L 27/146
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とが積層された構造を含む光電変換装置であって、
前記第1基板は、複数の画素と、第1方向に平行に延びた複数の第1垂直信号線と、前記複数の第1垂直信号線にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接合部とを含み、
前記第2基板は、前記複数の第1接合部にそれぞれ電気的に接続された複数の第2接合部と、前記第1方向に平行に延びるように配置された複数の第2垂直信号線と、前記複数の第2垂直信号線にそれぞれ電気的に接続された複数の列回路と、前記複数の第2接合部にそれぞれ電気的に接続され、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延びた複数の接続線と、前記複数の第2垂直信号線の各々と前記複数の接続線のうち対応する接続部とを電気的に接続する層間接続部と、を含む、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の接続線の少なくとも1つの接続線と前記複数の第2垂直信号線の少なくとも1つの第2垂直信号線とは、互いに異なる層で交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記複数の接続線の少なくとも1つの接続線は、前記複数の列回路の少なくとも1つの列回路を横切るように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第1基板の1つの主面に対する正射影において、前記複数の接続線の少なくとも1つの接続線は、前記複数の列回路の少なくとも1つの列回路に対して、少なくとも部分的に重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接続線と前記少なくとも1つの列回路のノードとの間にシールド部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1基板の1つの主面に対する正射影において、前記複数の接続線は、前記複数の列回路の少なくとも1つの列回路に対して、少なくとも部分的に重なるように配置されている、
いずれかに対して、少なくとも部分的に重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記複数の接続線と前記少なくとも1つの列回路のノードとの間にシールド部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第1基板の1つの主面に対する正射影において、前記複数の接続線は、前記複数の列回路のいずれとも重ならないように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記複数の接続線は、前記複数の列回路を包含する最小の矩形領域の外に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の第2接合部は、前記複数の列回路を包含する最小の矩形領域の外に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の列回路の各々は、前記複数の第1垂直信号線のうち対応する第1垂直信号線に電流を流す電流供給回路を含み、
前記複数の第2垂直信号線の各々は、前記複数の列回路のうち対応する列回路の前記電流供給回路を前記第1方向に平行な方向に横切るように配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記複数の列回路の各々は、前記複数の第2垂直信号線のうち対応する第2垂直信号線から与えられる信号を処理する信号処理回路を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記信号処理回路は、前記第2垂直信号線から与えられる信号の値とランプ信号の値とを比較する比較器を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第1方向に平行な方向において、前記複数の第1接合部の少なくとも2つの第1接合部がそれぞれ配置された位置が互いに異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの第1接合部は、前記第1方向および前記第2方向に交差する方向に平行な仮想直線上に配置されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記複数の第1接合部は、前記複数の画素を包含する最小の矩形領域の中に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記複数の第1垂直信号線の各々は、互いに分離された複数の第1部分垂直信号線を有し、
前記第2基板は、互いに分離された複数の第2部分垂直信号線を有し、
前記複数の第1接合部および前記複数の第2接合部は、1つの第1部分垂直信号線および1つの第2部分垂直信号線に対して1つの第1接合部および1つの第2接合部が割り当てられるように設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記複数の列回路の各々は、前記複数の第2垂直信号線のうち対応する第2垂直信号線のための複数の第2部分垂直信号線から1つの第2部分垂直信号線を選択して前記対応する第2垂直信号線に接続するマルチプレクサと、前記マルチプレクサから出力される信号を処理する信号処理回路と、を含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の光電変換装置。
【請求項19】
前記第1方向に平行な方向における前記複数の第2垂直信号線の長さは、前記第1方向に平行な方向における前記複数の画素の配列ピッチより大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とする光電変換システム。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく測距情報から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、を有する移動体であって、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、光電変換システムおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画素で生成された画素信号をAD変換する少なくとも2つのカラム領域と、画素信号をカラム領域に転送するための複数の垂直信号線と、複数の垂直信号線が配線されていない空き領域とを備える固体撮像装置が記載されている。複数の垂直信号線のうち隣り合う2本の垂直信号線は、それらによって空き領域が挟まれるように配置され、それら2本の垂直信号線の長さが略同一である。また、複数の垂直信号線は、CuCuコネクションから斜め方向(CuCuコネクションが延びている方向に対して斜め方向)に延びるように配置された部分を有する。特許文献1に記載された発明では、空き領域を挟むように配置された2本の垂直信号線の長さが略同一にすることが要件とされるため、第1基板に配置された垂直信号線および第2基板に配置された垂直信号線との接続経路を設計する上での制約が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、第1基板に配置された垂直信号線および第2基板に配置された垂直信号線との接続経路を設計する上での制約を低減するために有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面は、第1基板と第2基板とが積層された構造を含む光電変換装置に係り、前記第1基板は、複数の画素と、第1方向に平行に延びた複数の第1垂直信号線と、前記複数の第1垂直信号線にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接合部とを含み、前記第2基板は、前記複数の第1接合部にそれぞれ電気的に接続された複数の第2接合部と、前記第1方向に平行に延びるように配置された複数の第2垂直信号線と、前記複数の第2垂直信号線にそれぞれ電気的に接続された複数の列回路と、前記複数の第2接合部にそれぞれ電気的に接続され、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延びた複数の接続線と、前記複数の第2垂直信号線の各々と前記複数の接続線のうち対応する接続部とを電気的に接続する層間接続部と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1基板に配置された垂直信号線および第2基板に配置された垂直信号線との接続経路を設計する上での制約を低減するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の光電変換装置の回路構成を模式的に示す図。
【
図3】一実施形態の光電変換装置を構成する第1基板および第2基板の構成例を模式的に示す図。
【
図4】第1基板と第2基板との電気的な接続を例示する図。
【
図9】一実施形態の光電変換装置を説明するための図。
【
図11】一実施形態の光電変換システムの構成を示す図。
【
図12】一実施形態の車両システムとこれに搭載される撮像を行う光電変換システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1には、一実施形態の光電変換装置PECの回路構成が模式的に示されている。光電変換装置PECは、例えば、画素アレイ20と、複数の列回路CCとを備えうる。画素アレイ20は、複数の画素10と、複数の垂直信号線とを含みうる。
図1の例では、画素アレイ20の複数の垂直信号線は、奇数列の垂直信号線VSLOと、偶数列の垂直信号線VSLEとを含むが、これは発明を限定することを意図したものではない。また、
図1の例では、奇数列の垂直信号線VSLOを通して出力される信号を処理する列回路(
図1の複数の列回路CC)と偶数列の垂直信号線VSLEを通して出力される信号を処理する列回路(不図示)とが互いに離隔して設けられうる。しかし、これは発明を限定することを意図したものではない。以下では、奇数列の信号を処理する列回路CCについて説明するが、偶数列の信号を処理する列回路も、奇数列の信号を処理する列回路CCと同様の構成を有しうる。
【0010】
垂直信号線VSLOは、第1基板に配置された第1垂直信号線30と、第2基板に配置された第2垂直信号線130とを含みうる。第1垂直信号線30と第2垂直信号線130とは、相互に電気的に接続されている。光電変換装置PECは、第1基板と第2基板とが積層された構造を含みうる。光電変換装置PECは、第1基板と第2基板とを含む3以上の基板が積層された構造を有してもよい。
【0011】
列回路CCは、例えば、複数の垂直信号線VSLO(第1垂直信号線30、第2垂直信号線130)のうちその列回路CCに対応する垂直信号線VSLOに電流を流す電流供給回路40を含みうる。列回路CCは、それに対応する第2垂直信号線VSLO(第1垂直信号線30、第2垂直信号線130)から与えられる信号の値とランプ信号生成回路50から供給されるランプ信号の値とを比較する比較器60を含んでもよい。ランプ信号生成回路50は、第2基板に配置されうる。列回路CCは、比較器60の出力の反転に応じて、カウンタ90から供給されるカウント値を保持する第1メモリ70を含んでもよい。カウンタ90は、第2基板に配置されうる。カウンタ90は、複数の垂直信号線VSLOに対して共通に設けられてもよいし、複数の垂直信号線VSLOの各々に対して個別に設けられてもよい。比較器60および第1メモリ70は、垂直信号線VSLO(第1垂直信号線30、第2垂直信号線130)から与えられる信号(アナログ信号)に対応するデジタル信号を生成するAD変換器を構成しうる。列回路CCは、第1メモリ70によって保持された信号(デジタル信号)を取り込む第2メモリ80を含んでもよい。比較器60、第1メモリ70および第2メモリ80は、垂直信号線VSLO(第1垂直信号線30、第2垂直信号線130)から与えられる信号を処理する信号処理回路の一例として理解されうる。このような構成例に代えて、他の回路(例えば、アナログ増幅回路、CDS回路)が信号処理回路として設けられてもよい。
【0012】
光電変換装置PECは、複数の第2メモリ80あるいは列回路CCから供給される信号を処理する処理回路95、および、処理回路95による処理によって生成された信号を出力する出力回路100を備えてもよい。処理回路95は、複数の画素10を使って生成された画像信号を出力するように構成されてもよいし、複数の画素10を使って生成された画像信号を処理して得られる信号を出力するように構成されてもよい。処理回路95および出力回路100は、第2基板に配置されうる。
【0013】
図2には、各画素10の構成例が示されている。画素10は、少なくとも光電変換素子400を含む。画素10はまた、フローティングディフュージョン420と、光電変換素子400で生成された電荷をフローティングディフュージョン420に転送する転送トランジスタ410とを含みうる。転送トランジスタ410のゲートは、不図示の垂直走査回路によって駆動される転送制御線TXに接続されうる。転送トランジスタ410は、転送制御線TXの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって、光電変換素子400で生成された電荷をフローティングディフュージョン420に転送しうる。フローティングディフュージョン420は、転送トランジスタ410によって光電変換素子400から転送された電荷を電圧(電位)に変換する電荷電圧変換部として機能しうる。画素10はまた、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)をリセットするリセットトランジスタ455を含みうる。リセットトランジスタ455のゲートは、不図示の垂直走査回路によって駆動されるリセット制御線RESに接続されうる。リセットトランジスタ455は、リセット制御線RESの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)をリセットしうる。画素10はまた、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)に応じた信号を垂直信号線VSLO(第1垂直信号線30、第2垂直信号線130)に出力する増幅トランジスタ430を含みうる。増幅トランジスタ430と前述の電流供給回路40とは、ソースフォロワ増幅回路を構成しうる。画素10はまた、当該画素10を選択状態または非選択状態にするための選択トランジスタ440を含んでもよい。選択トランジスタ440のゲートは、不図示の垂直走査回路によって駆動される選択制御線SELに接続されうる。選択トランジスタ440は、選択制御線SELの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって画素10を選択状態とし、選択制御線SELの電圧がインアクティブレベルに駆動されることによって画素10を非選択状態とする。
【0014】
画素10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、画素10は、フローティングディフュージョン420の容量値を変更可能な機能、換言すると、感度を変更可能な機能を有してもよい。画素10は、複数の光電変換素子400がフローティングディフュージョン420を共用するように構成されてもよい。画素10は、そのような複数の光電変換素子400を1つのマイクロレンズに割り当てて位相差を検出可能な画素とされてもよい。
【0015】
図3には、光電変換装置PECを構成する第1基板1および第2基板2の構成例が模式的に示されている。
図3では、第1基板1および第2基板2が並べて示されているが、第1基板1および第2基板2は互いに積層される。第1基板1には、複数の画素10を含む画素アレイ20が配置され、第2基板2には、複数の列回路CCが配置される。
図3の例では、複数の列回路CCの各々は、電流供給回路40、比較器60、第1メモリ70および第2メモリ80を含む。
【0016】
図4には、第1基板1と第2基板2との電気的な接続が例示されている。ここで、
図4において、第1基板1の構成要素の配置および第2基板2の構成要素の配置は、第1基板1の1つの主面(例えば、第1基板1と第2基板2との接合面)に対する正射影(平面視)における配置として理解されてよい。
図4には、簡単化のために、8列分の画素10および8列分の電流供給回路40が示されている。第1基板1は、複数の画素10と、Y方向(第1方向)に平行に延びた複数の第1垂直信号線30と、複数の第1垂直信号線30にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接合部111とを含みうる。複数の第1接合部111は、画素アレイ20を構成する複数の画素10を包含する最小の矩形領域の中、あるいは、画素アレイ20を包含する最小の矩形領域の中に配置されうる。
【0017】
第2基板2は、複数の第1接合部111にそれぞれ電気的に接続された複数の第2接合部112と、Y方向(第1方向)に平行に延びるように配置された複数の第2垂直信号線130とを含みうる。一例において、Y方向(第1方向)に平行な方向における複数の第2垂直信号線130の長さは、Y方向(第1方向)に平行な方向における複数の画素10の配列ピッチより大きい。第2基板2はまた、複数の第2垂直信号線130にそれぞれ電気的に接続された複数の列回路CCを含みうる。第2基板2はまた、複数の第2接合部112にそれぞれ電気的に接続され、Y方向(第1方向)に直交するX方向(第2方向)に平行に延びた複数の接続線120を含みうる。複数の第2垂直信号線130が配置される層と複数の接続線120が配置される層とは、互いに異なる層である。第2基板2はまた、複数の第2垂直信号線130の各々と複数の接続線120のうち対応する接続線120とを電気的に接続する層間接続部140とを含みうる。層間接続部140は、第2垂直信号線130とそれに対応する接続線120とを電気的に接続するヴィアプラグ(導電性部材)でありうる。このように、第2接合部112とそれに対応する第2垂直信号線130とは、X方向(第2方向)に平行に延びた接続線120、および、層間接続部140によって電気的に接続されうる。これは、第1基板1に配置された垂直信号線30と第2基板2に配置された垂直信号線130との接続経路を設計する上での制約を低減するために有利である。
【0018】
図4に例示された構成では、複数の接続線120の少なくとも1つの接続線120と複数の第2垂直信号線130の少なくとも1つの第2垂直信号線130とは、互いに異なる層で交差している。より具体的には、
図4に例示された構成では、6本の接続線120のうち4本の接続線120と複数の第2垂直信号線130の少なくとも1つの第2垂直信号線130とは、互いに異なる層で交差している。あるいは、
図4に例示された構成では、複数の接続線120の少なくとも1つの接続線120は、複数の列回路CCの少なくとも1つの列回路CCを横切るように配置されうる。より具体的には、
図4に例示された構成では、6本の接続線120のうち4本の接続線120は、複数の列回路CC(
図4では、電流供給回路40のみ図示)の1つの列回路CCを横切るように配置されている。
図4に例示された構成は、第1基板1に配置された垂直信号線30と第2基板2に配置された垂直信号線130との接続経路の配置に必要な領域を低減することができ、これは光電変換装置PECのコストを抑制するために有利である。また、
図4に例示された構成は、第1基板1に配置された垂直信号線30と第2基板2に配置された垂直信号線130との接続経路の短縮に有利であり、これは画素アレイ20あるいは画素10から信号を読み出すための読出速度の向上に有利である。この理由については、後述する。
【0019】
図4に例示されるように、第1基板1の1つの主面に対する正射影において、複数の接続線120の少なくとも1つの接続線120は、複数の列回路CC(電流供給回路40)なくとも1つの列回路CCに対して、少なくとも部分的に重なるように配置されうる。該少なくとも1つの接続線120と該少なくとも1つの列回路CCのノード(例えば、特定の信号線)との間には、シールド部材が配置されうる。あるいは、第1基板1の1つの主面に対する正射影において、複数の接続線120は、複数の列回路CC(電流供給回路40)の少なくとも1つの列回路に対して、少なくとも部分的に重なるように配置されうる。該複数の接続線120と該少なくとも1つの列回路CCのノード(例えば、特定の信号線)との間には、シールド部材が配置されうる。該シールド部材には、所定電位、例えば接地電位が提供されうる。該シールド部材は、接続線120とそれが重なる列回路CCのノードとの間のカップリングによる信号干渉を防止あるいは低減するために有利である。
【0020】
図4に例示されるように、Y方向(第1方向)に平行な方向において、複数の第1接合部111の少なくとも2つの第1接合部111がそれぞれ配置された位置は互いに異なりうる。該少なくとも2つの第1接合部111は、Y方向(第1方向)およびX方向(第2方向)に交差する方向に平行な仮想直線上に配置されうる。同様に、Y方向(第1方向)に平行な方向において、複数の第
2接合部112の少なくとも2つの第2接合部112がそれぞれ配置された位置は互いに異なりうる。該少なくとも2つの第2接合部112は、Y方向(第1方向)およびX方向(第2方向)に交差する方向に平行な仮想直線上に配置されうる。
【0021】
図5には、電流供給回路40の回路構成例が示されている。電流供給回路40は、例えば、電流源として機能する電流源トランジスタ220を含みうる。電流供給回路40は、その他、電流源トランジスタ220のゲートに与える電圧を保持する保持容量230と、電流源トランジスタ220のゲートに与える電圧Vbを保持容量230に保持させるスイッチ240とを含んでもよい。電流供給回路40はまた、電流源トランジスタ220に対して直列に接続されたカスコードトランジスタ210を含んでもよい。カスコードトランジスタ210のゲートには、電圧Vcが供給されうる。電流供給回路40はまた、電流源トランジスタ220に対して直列に接続されたスイッチ200を含んでもよい。電圧Vbおよび電圧Vcは、不図示の制御回路よって供給されうる。
【0022】
図6には、電流供給回路40のレイアウト例が示されている。
図6において、電流供給回路40の構成要素の配置は、第1基板1の1つの主面に対する正射影(平面視)における配置として理解されてよい。
図6に例示されるように、複数の第2垂直信号線130の各々は、複数の列回路CCのうち対応する列回路CCの電流供給回路40をY方向(第1方向)に平行な方向に横切るように配置されうる。
【0023】
図7には、比較例が示されている。比較例では、特許文献1の開示にならって、接続線120’が斜め方向に延びるように配置されて第2垂直信号線130に接続されている。比較例では、接続線120’が斜め方向に延びる分、第2基板2において第1垂直信号線30と第2垂直信号線130とを接続するために要する領域が拡大し、これによって光電変換装置の製造コストが増加しうる。接続線120’が斜め方向に延びることは、第1垂直信号線30と第2垂直信号線130とを接続するための配線長の増加、即ち、寄生抵抗および寄生容量の増加をもたらし、これは読み出し速度を低下させる原因となる。
【0024】
図8には、上記の実施形態の変形例が示されている。
図8に例示されるように、第1基板1の1つの主面に対する正射影において、複数の接続線120は、複数の列回路CC((
図4では、電流供給回路40のみ図示)のいずれとも重ならないように配置されうる。他の観点において、複数の接続線120は、複数の列回路CCを包含する最小の矩形領域の外に配置されうる。あるいは、複数の第2接合部112は、複数の列回路CCを包含する最小の矩形領域の外に配置されうる。このような構成は、接続線120と列回路CCの信号線とのカップリング信号干渉を防止あるいは低減するために有利である。
【0025】
図9には、複数
の第2接合部112をX方向(第2方向)に平行な線上に配置した例が示されている。
図4に示された構成と
図9に示された構成とを比べると、
図4に示された構成は、
図9に示された構成よりも、接続線120の長さを短くするため、あるいは、読み出し速度を向上させるために有利であることが分かる。
【0026】
図10には、上記の実施形態の変形例が示されている。ここで、説明しない事項は、上記の説明に従いうる。この変形例は、垂直信号線を複数の部分垂直線に分割することによって画素10からの信号を読み出すための読出速度の向上が図られている。複数の第1垂直信号線30の各々は、互いに分離された複数の第1部分垂直信号線30a、30bを有する。換言すると、複数の第1垂直信号線30の各々は、複数の第1部分垂直信号線30a、30bに分割されている。第2基板2は、互いに分離された複数の第2部分垂直信号線260a、260bを有する。複数の第1部分垂直信号線30aの各々と複数の第2部分垂直信号線260aのうち対応する第2部分垂直信号線260aとは、第1接合部111aおよび第2接合部112aを介して電気的に接続される。複数の第1部分垂直信号線30bの各々と複数の第2部分垂直信号線260bのうち対応する第2部分垂直信号線260bとは、第1接合部111bおよび第2接合部112bを介して電気的に接続される。換言すると、複数の第1接合部111a、111bおよび複数の第2接合部112a、112bは、1つの第1部分垂直信号線および1つの第2部分垂直信号線に対して1つの第1接合部および1つの第2接合部が割り当てられるように設けられている。
【0027】
複数の列回路CCの各々は、複数の第2垂直信号線130のうち対応する第2垂直信号線130のための複数の第2部分垂直信号線260a、160bから1つの第2部分垂直信号線を選択して該第2垂直信号線130に接続するマルチプレクサ250を含みうる。第2垂直信号線130は、前述のように、電流供給回路40に接続されている。前述の比較器60、第1メモリ70および第2メモリ80等で構成されうる信号処理回路は、マルチプレクサ250から第2垂直信号線130を介して出力される信号を処理するように動作しうる。
【0028】
第1垂直信号線30は、複数の第1部分垂直信号線30a、30bに分割することによって、画素10の信号の読出経路に寄生する容量を低減し、画素10の信号の読み出しのための読出速度を向上させることができる。
図10には示されていないが、第1部分垂直信号線30a、30bのそれぞれと電源電圧ラインとの間にスイッチが設けられてもよい。第1部分垂直信号線30a、30bのうち信号の読み出しための使用しない第1部分垂直信号線には、スイッチを介して電源電圧ラインから電源電圧が供給されうる。
【0029】
以下、更に他の変形例を説明する。上記の例では、各画素列に1つの第1垂直信号線が割り当てられているが、各画素例に対して複数の第1垂直信号線を割り当てて、複数の行の画素の信号を同時に読み出せる構成が採用されてもよい。比較器60は、オートゼロ動作用の容量やスイッチを有する構成でもよい。
【0030】
以下、上記の各実施形態の光電変換装置を用いた光電変換システムの一例を説明する。
【0031】
図11は、本実施形態に係る光電変換システム1200の構成を示すブロック図である。本実施形態の光電変換システム1200は、光電変換装置1215を含む。ここで、光電変換装置1215は、上述の実施形態で述べた光電変換装置のいずれかを適用することができる。光電変換システム1200は例えば、撮像システムとして用いることができる。撮像システムの具体例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、監視カメラ等が挙げられる。
図11では、光電変換システム1200としてデジタルスチルカメラの例を示している。
【0032】
図11に示す光電変換システム1200は、光電変換装置1215、被写体の光学像を光電変換装置1215に結像させるレンズ1213、レンズ1213を通過する光量を可変にするための絞り1214、レンズ1213の保護のためのバリア1212を有する。レンズ1213および絞り1214は、光電変換装置1215に光を集光する光学系である。
【0033】
光電変換システム1200は、光電変換装置1215から出力される出力信号の処理を行う信号処理部1216を有する。信号処理部1216は、必要に応じて入力信号に対して各種の補正、圧縮を行って出力する信号処理の動作を行う。光電変換システム1200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリ部1206、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1209を有する。更に光電変換システム1200は、撮像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1211、記録媒体1211に記録または読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1210を有する。記録媒体1211は、光電変換システム1200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。また、記録媒体制御I/F部1210から記録媒体1211との通信や外部I/F部1209からの通信は無線によってなされてもよい。
【0034】
更に光電変換システム1200は、各種演算を行うとともにデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1208、光電変換装置1215と信号処理部1216に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1217を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システム1200は、少なくとも光電変換装置1215と、光電変換装置1215から出力された出力信号を処理する信号処理部1216とを有すればよい。第4の実施形態にて説明したようにタイミング発生部1217は光電変換装置に搭載されていてもよい。全体制御・演算部1208およびタイミング発生部1217は、光電変換装置1215の制御機能の一部または全部を実施するように構成してもよい。
【0035】
光電変換装置1215は、画像用信号を信号処理部1216に出力する。信号処理部1216は、光電変換装置1215から出力される画像用信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。また、信号処理部1216は、画像用信号を用いて、画像を生成する。また、信号処理部1216は、光電変換装置1215から出力される信号に対して測距演算を行ってもよい。なお、信号処理部1216やタイミング発生部1217は、光電変換装置に搭載されていてもよい。つまり、信号処理部1216やタイミング発生部1217は、画素が配された基板に設けられていてもよいし、別の基板に設けられている構成であってもよい。上述した各実施形態の光電変換装置を用いて撮像システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な撮像システムを実現することができる。
【0036】
本実施形態の光電変換システムおよび移動体について、
図12及び
図13を用いて説明する。
図12は、本実施形態による光電変換システムおよび移動体の構成例を示す概略図である。
図13は、本実施形態による光電変換システムの動作を示すフロー図である。本実施形態では、光電変換システムとして、車載カメラの一例を示す。
【0037】
図12は、車両システムとこれに搭載される撮像を行う光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム1301は、光電変換装置1302、画像前処理部1315、集積回路1303、光学系1314を含む。光学系1314は、光電変換装置1302に被写体の光学像を結像する。光電変換装置1302は、光学系1314により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。光電変換装置1302は、上述の各実施形態のいずれかの光電変換装置である。画像前処理部1315は、光電変換装置1302から出力された信号に対して所定の信号処理を行う。画像前処理部1315の機能は、光電変換装置1302内に組み込まれていてもよい。光電変換システム1301には、光学系1314、光電変換装置1302および画像前処理部1315が、少なくとも2組設けられており、各組の画像前処理部1315からの出力が集積回路1303に入力されるようになっている。
【0038】
集積回路1303は、撮像システム用途向けの集積回路であり、メモリ1305を含む画像処理部1304、光学測距部1306、測距演算部1307、物体認知部1308、異常検出部1309を含む。画像処理部1304は、画像前処理部1315の出力信号に対して、現像処理や欠陥補正等の画像処理を行う。メモリ1305は、撮像画像の一次記憶、撮像画素の欠陥位置を格納する。光学測距部1306は、被写体の合焦や、測距を行う。測距演算部1307は、複数の光電変換装置1302により取得された複数の画像データから測距情報の算出を行う。物体認知部1308は、車、道、標識、人等の被写体の認知を行う。異常検出部1309は、光電変換装置1302の異常を検出すると、主制御部1313に異常を発報する。
【0039】
集積回路1303は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0040】
主制御部1313は、光電変換システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320等の動作を統括・制御する。主制御部1313を持たず、光電変換システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320が個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)方法も取り得る。
【0041】
集積回路1303は、主制御部1313からの制御信号を受け或いは自身の制御部によって、光電変換装置1302へ制御信号や設定値を送信する機能を有する。
【0042】
光電変換システム1301は、車両センサ1310に接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの自車両走行状態および自車外環境や他車・障害物の状態を検出することができる。車両センサ1310は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段でもある。また、光電変換システム1301は、自動操舵、自動巡行、衝突防止機能等の種々の運転支援を行う運転支援制御部1311に接続されている。特に、衝突判定機能に関しては、光電変換システム1301や車両センサ1310の検出結果を基に他車・障害物との衝突推定・衝突有無を判定する。これにより、衝突が推定される場合の回避制御、衝突時の安全装置起動を行う。
【0043】
また、光電変換システム1301は、衝突判定部での判定結果に基づいて、ドライバーに警報を発する警報装置1312にも接続されている。例えば、衝突判定部の判定結果として衝突可能性が高い場合、主制御部1313は、ブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして、衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1312は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの表示部画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0044】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
PEC:光電変換装置、1:第1基板、2:第2基板、10:画素、30:第1垂直信号線、111:第1接合部、112:第2接合部、120:接続線、130:第2垂直信号線、140:層間接続部、CC:列回路