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特許7574192固体連続水相中に分散された無水スフェロイドを含有する固体化粧品組成物
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  • 特許-固体連続水相中に分散された無水スフェロイドを含有する固体化粧品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】固体連続水相中に分散された無水スフェロイドを含有する固体化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20241021BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20241021BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241021BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/92
A61K8/73
A61K8/85
A61K8/88
A61K8/44
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q17/04
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021538203
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 FR2019053286
(87)【国際公開番号】W WO2020141275
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】1874418
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】302071210
【氏名又は名称】エルヴェエムアッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マサネッリ、アルメール
(72)【発明者】
【氏名】パルコレ、マルレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ド ラ ポテリー、ヴァレリー
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-048604(JP,A)
【文献】特開平05-345706(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00531192(EP,A1)
【文献】特表2005-520848(JP,A)
【文献】特開2008-303163(JP,A)
【文献】特開2008-019195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むことを特徴とする、固体化粧品組成物:
少なくとも1つの炭化水素系油及び/又は1つのシリコーン油と、少なくとも1つの親油性構造化剤とを含む無水スフェロイドであって、前記スフェロイドは、中に分散されている、無水スフェロイド、
少なくとも1つの親水性ゲル化剤及び水を含む固体水性連続相
ここで前記スフェロイドは50℃以上の滴点を有する
【請求項2】
前記スフェロイドは、0.05~10.0mmの直径を有する、請求項1に記載の固体化粧品組成物。
【請求項3】
前記スフェロイドは、いかなる外側コーティングも含まない、請求項1又は請求項2に記載の固体化粧品組成物。
【請求項4】
前記スフェロイドは、55~100℃の範囲の滴点を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項5】
前記水性連続相が、直径5mmの円筒形の紡錘体を1mm/sの速さで深さ10mmまで浸透させた後、20℃で50g以上の圧縮強度で規定される硬さを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項6】
前記無水スフェロイドと前記水性連続相とが40℃以上の温度で不混和性である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項7】
界面活性剤を含まないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項8】
前記親油性構造化剤は、ワックス、バター、ペースト状脂肪化合物及び/又は親油性ゲル化剤から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項9】
前記ワックスは、天然ワックス、炭化水素系ワックス、20~60個の炭素原子を含む脂肪アルコールワックス、18~60個の炭素原子を含む炭化水素ワックス、及びそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の固体化粧品組成物。
【請求項10】
前記バターは、室温及び大気圧で、液体画分及び固体画分を含むC10~18トリグリセリド(C10-18トリグリセリド(Triglycerides)、シアバター(Shea butter)、カリテニロチカ(Butyrospermum parkii)バター、ガラム(Butyrospermum parkii)バター、ボルネオバター又はテンカワン(Shorea stenoptera)タロー、ショレアバター、イリペバター、マドカ又はバシアマドゥカロンゴリアバター、モワラ(Madhuca latifolia)バター、カチアウ(Madhuca mottleyana)バター、フワラ(M.ブチラセア(Mangifera)バター、マンゴー(Astrocatyum indica)バター、ムルムル(Astrocatyum murumuru)バター、コクム(Garcinia indica)バター、ucuuba(Virola sebifera)バター、ツクマバター、パイニア(Kpangnan)(Pentadesma butyracea)バター、コーヒー(Coffea arabica)バター、アプリコット(Prunus armeniaca)バター、マカダミア(Macadamia temifolia)バター、ブドウ(Vitis vinifera)種バター、アボカド(Persea gratissima)バター、オリーブ(Olea europaea)バター、スイートアーモンド(Prunus amygdalus dulcis)バター、ココア(Theobroma cao)バター、ヒマワリバー及びその混合物から選択される、請求項8又は9に記載の固体化粧品組成物。
【請求項11】
前記ペースト状脂肪化合物は、C10~30コレステロール/ラノステロールエステル、ポリマー性シリコーン化合物、アルキル(メタ)アクリレートのコポリマー、C8~C30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーオリゴマー、C8~C30アルキル基を含有するビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーオリゴマー、1つ以上のC2~C50ジオールの間のポリエーテル化から生じるリポ溶性ポリエーテル、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー、ジグリセロールエステル、アラキジルプロピオネート、フィトステロールエステル、直鎖状又は分岐状のジカルボン酸又はポリカルボン酸と、水素化ヒマシ油とイソステアリン酸、水素化ヒマシ油のジイソステアレート又はトリイソステアレート、大豆ステロールとオキシエチレン化(5 OE)オキシプロピレン化(5 OP)とのエステル化反応から得られるエステルとの間の非架橋ポリエステル) ペンタエリスリトール及びこれらの混合物、からなる群から選択される、請求項8~10のいずれかに記載の固体化粧品組成物。
【請求項12】
前記親油性ゲル化剤は、シリカ、クレー、任意に変性されたヘクトライト、デキストリンエステル、ポリアミド又はシリコーンポリアミド、Lグルタミン酸又はアスパラギン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸、少なくとも1つのスチレン単位を含む炭化水素系ブロックコポリマー、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項8~11のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項13】
前記親水性ゲル化剤は、ジブチルラウロイルグルタミドおよびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ポリアミド-8樹脂、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ベヘン酸グリセリル/エイコサジオエート、ヒマシ油およびカプリル/カプリン酸トリグリセリドをベースとするコポリマー、及びそれらの混合物から選択される、請求項12に記載の固体化粧品組成物。
【請求項14】
前記親水性ゲル化剤は、天然又は合成多糖類、及びそれらの混合物から選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項15】
前記親水性ゲル化剤は、寒天、ジェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、セルロースおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項14に記載の固体化粧品組成物。
【請求項16】
前記無水スフェロイド及び/又は前記水性連続相は、少なくとも1つの顔料及び/又は1つの真珠光沢を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項17】
前記無水スフェロイド及び/又は水性連続相は、少なくとも1つのUVスクリーニング剤を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項18】
前記UVスクリーニング剤は、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、ホモサラート、ポリシリコーン-15、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-エチルヘキシルメトキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、酸化チタン又は酸化亜鉛顔料、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ナノチタン又はナノ亜鉛ディスパージョン、及びそれらの混合物から選択される、請求項17に記載の固体化粧品組成物。
【請求項19】
前記スフェロイド及び/又は前記水性連続相が、少なくとも1つの芳香剤を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物。
【請求項20】
前記スフェロイドが、前記固体化粧品組成物の総重量に対して10~80重量%を占める、請求項1~19のいずれかに記載の固体化粧品組成物。
【請求項21】
以下の工程を含むことを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物の製造方法:
a-水に少なくとも1種の親水性ゲル化剤を撹拌しながら混合して、液体水性連続相組成物を調製する工程、
b-少なくとも1種の炭化水素系油および/または1種のシリコーン油に少なくとも1種の親油性構造化剤を撹拌しながら混合して、液体スフェロイド組成物を調製すること、
c-ステップbの終了時に得られた液体スフェロイド組成物を、液滴の形態で、ミキサーにゆっくりと注入すること、
d-ミキサーの出口で、水性連続相に分散および懸濁した無水スフェロイドからなるステップcの結果で得られた組成物を回収すること、
e-ステップdの結果で得られた組成物を室温に冷却することにより、請求項1から18の1つに記載の固体化粧品組成物を得ること。
【請求項22】
身体及び/又は顔の皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための、請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物の使用。
【請求項23】
請求項1~20のいずれかに記載の固体化粧品組成物を含むことを特徴とする、スティック。
【請求項24】
請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物を含むことを特徴とする、ディッシュ又はポットに注型された固体ゲル。
【請求項25】
請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物を含むことを特徴とする、リップスティック。
【請求項26】
請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物を含むことを特徴とする、ファンデーション。
【請求項27】
請求項1~20のいずれか1項に記載の固体化粧品組成物を含むことを特徴とする、日焼け防止スティック。
【請求項28】
以下の工程を含むことを特徴とする、身体及び/又は顔の皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための方法:
a’-少なくとも1回の塗布を行うのに必要な量の、請求項1~20のいずれかに記載の固形化粧品組成物を取り込むこと、
b’-ステップa’で取った固形化粧品組成物を、身体および/または顔の皮膚に塗布すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、固体水性連続相中に分散された無水スフェロイド(spheroid)を含む固体化粧品組成物に関する。本発明はまた、本発明による固体化粧品組成物の製造方法に関する。本発明はまた、身体および/または顔の皮膚をメイクアップ(making up)及び/又はケア(caring)するための、本発明による固体化粧品組成物の使用に関する。最後に、本発明は、本発明による固体化粧品組成物を用いて身体及び/又は顔の皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品産業は、驚くべき効果を生じる組成物を探求している。これらは、例えば、透明な連続相中に種々の色の固体粒子を分散させることによって、新規な視覚的外観を有する組成物であり得る。それらはまた、新鮮さ及び光沢、新鮮さ及び持続性、又は光沢及び持続性のような、従来の技術を介して会合させることが困難である性能品質を組み合わせる新規な組成物であり得る。
【0003】
流体連続相中に分散されたビーズを含む化粧品組成物は既に存在する。
【0004】
EP 2 979 690は、例えば、経時的により良好な安定化のために固体材料で表面を被覆した、油中水型又は水中油型のエマルジョン中の水相を含む丸いビーズを調製するためのプロセスを記載している。しかしながら、前記方法は、固体無水ビーズの製造を可能にしない。
【0005】
FR 2 649 608は、前記連続相中に懸濁状態で、50℃未満の融点を有する脂質スフェロイドを含有する水性ゲルの形態の連続相を含む組成物を対象とする。これらのスフェロイドは不十分な硬度を有し、それは、それらの形状(多分散及び不均一スフェロイド)及び最終組成物の安定性の両方に影響を及ぼす。
【0006】
国際公開第2017/137597号パンフレットは、マイクロ流体法の手段によって得られる、水性連続相中に液滴の形態で分散された脂肪相ビーズを含む水中油型エマルジョンの形態の化粧品組成物を提案している。液滴は、重合によってゲル化されたシェルと、液体コアとからなる。
【0007】
2つの非混和性相を安定に組み合わせた固体化粧品組成物は、今日まで存在せず、一方は他方に分散されている。この理由は攪拌による高温の液体連続相へのスフェロイドの組み込みが、スフェロイドを部分的に溶融させることによって、又はスフェロイドを変形させることによってスフェロイドを損傷するので、外部コーティングを伴わない無水スフェロイドを含むこのような固体組成物を、先行技術に記載された方法によって調製することができないからである。先行技術の方法は、撹拌又は重量及び重力のいずれかに依存するビーズのサイズを調製することを可能にしない。したがって、本発明の基礎をなす第1の問題は、分散された無水スフェロイドを含む固体水性連続相からなる、室温で固体であり、スフェロイドが懸濁され、安定化され、変形せず、材料を固体水性連続相に浸出させない化粧品組成物を得ることにある。
【0008】
さらに、魅力的に見え、皮膚への適用中に快適で驚くべき感触を有する化粧品組成物の提供は、進行中の目的のままである。本発明の基礎となる第2の問題は、無水スフェロイド及びそれらが分散されている固体水性連続相が容易に破砕されて皮膚に適用されるのに十分に可撓性であり、したがって、2つの相の特性を組み合わせる組成物を得ることからなる。
【0009】
第3の問題は、そのテクスチャーが種々の形態、例えば、デッシュ又はポットの中のスティック又はい注型物(cast)の形態で調製することができるのに十分に硬く、擦ることによって、又は海綿によって吸収することができ、皮膚に快適に適用することができるのに十分に柔軟な化粧品を得ることである。
【0010】
最後に、本発明の根底にある最終的な課題は、界面活性剤を使用しないことにより、皮膚上でより良い持続性と耐性を持つ、特に安定で非アレルギー性の巨視的に不均質な化粧品組成物を得ることである。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は室温で固体である化粧品組成物を対象とし、以下を含む:
-少なくとも1つの炭化水素系油及び/又は1つのシリコーン油と、少なくとも1つの親油性構造化剤とを含む無水スフェロイドであって、前記スフェロイドは、中に分散されている、無水スフェロイド
-少なくとも1つの親水性ゲル化剤及び水を含む、室温で固体である水性連続相。
【0012】
本発明の固体化粧品組成物中の界面活性剤含量は、好ましくは前記組成物の全重量に対して4重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満である。本発明の固体化粧品組成物は、有利には界面活性剤を含まない。
【0013】
予想外に、本発明者らは、2つの視覚的に異なる相を含む固体化粧品組成物を調製することが可能であることを観察した。本発明の固体化粧品組成物は巨視的に不均質な製品であり、これは、界面活性剤を使用した場合に得られる巨視的に均質なエマルジョン(ホモジニアス混合物)と区別する。本発明の固体化粧品組成物中に界面活性剤が存在しないことは、それを特に耐性にし、またその持続性を改善することを可能にする。さらに、連続相中に懸濁された、裸眼で見える無水スフェロイドの存在は、組成物を視覚的に魅力的にする。この効果は、無水スフェロイドが着色され得るという事実によって、さらに増強される。
【0014】
本発明の固体化粧品組成物の別の利点は、その非常に容易な適用、及び皮膚への適用の瞬間におけるその驚くべきテクスチャーに関連する。非混和性の無水スフェロイド及び固体水性連続相は適用中に一緒に混合して、皮膚の表面上の鮮度の感覚を増強し、同時に、無水相の利点(栄養、持続性、保護など)を組み合わせる。2つの相の各々は、異なる特性を与え、従って、新鮮さ及び光沢、新鮮さ及び持続性、新鮮さ及び日光保護等のような、通常、関連させるのが困難である相反する性能品質を得ることを可能にする。水性連続相の存在に関連する驚くべき鮮度感覚効果は、従来のエマルジョンよりも顕著である。同一の含水量について、本発明の固体化粧品組成物は、エマルジョン形態の同一の組成物よりもはるかに顕著な鮮度効果を与え、鮮度効果は弱められる。
【0015】
本発明の化粧品組成物はまた、化粧品組成物がプロセスを出るとすぐに、追加の工程なしに、化粧品組成物の包装を可能にするプロセスに従って調製されてもよい。したがって、本発明の方法は容易に工業化することができる。
【0016】
無水スフェロイド及び固体水性連続相は「不混和性」であり、これは、本発明のスフェロイドが拡散せず、それらが分散される固体水性連続相中で崩壊しないことを意味する。有利には、スフェロイド及び水性連続相が2つの相が液状である場合、特にそれらが40℃以上の温度に加熱される場合、不混和性である。
【0017】
本発明の目的のために、化粧品組成物は、変形しないか、又はそれ自体の重量下で流動しない場合、固体であると考えられる。
【0018】
本発明の目的のために、用語「スフェロイド(spheroid)」は、スフェロイド全体にわたって同じ組成を有する本質的に球形の小さい固体を標的とする。本発明のスフェロイドは、例えば指で小さなせん断力によって皮膚に容易に適用することができ、したがって皮膚にケア又はメイクアップ作用をもたらすことができるように、室温で十分に可撓性で変形可能なテクスチャーを有する。スフェロイドの直径は0.05~10.0mm、好ましくは0.1~4.0mm、より好ましくは0.5~2.5mmの範囲とすることができ、この直径は、例えば、両眼拡大鏡を使用する従来の方法による10回の測定で測定された平均直径である。これらのスフェロイドは、好ましくは規則的な外観、滑らかな表面、及び均一な体積を有する。有利には、本発明のスフェロイドがいかなる外側コーティングも含まない。
【0019】
本明細書において、「室温」とは、20~25℃の温度を意味する。
【0020】
用語「無水」は、考察中の物体の含水量が好ましくは前記物体の1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満であることを意味し、したがって、用語「無水スフェロイド」はこれらのスフェロイドを構成する相が前記相の1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下の含水量を有することを意味する。
【0021】
スフェロイドは、有利には50℃を超える、好ましくは55~100℃の範囲、より好ましくは60~80℃の範囲の滴点を有する。ここで、「滴点」とは、スフェロイドが固相から液相に移行する温度を意味する。滴点は、標準ASTM-D 3954に従って決定される。
【0022】
本発明の目的のために、水性連続相は、1mm・s-1のスピードで10mmの深さまで直径5mmの円筒形紡錘体を前記相中に浸透させた後、20℃で50g以上、好ましくは20℃で80g以上の圧縮強度によって規定される硬さを有する場合、固体であると考えられる。有利には化粧品組成物がスティック形態である場合、水性連続相は20℃で80g以上の圧縮強度によって規定される硬度を有する。水性連続相の硬度は、好ましくは20℃で450g以下、より好ましくは400g以下、さらにより好ましくは350g以下の圧縮強度によって定義される。
【0023】
固体水性連続相は、長期間、好ましくは1ヶ月より長く、より好ましくは3ヶ月より長く、さらに好ましくは6ヶ月より長く、スフェロイドを懸濁状態に保つことを可能にする。この構造は本発明の化粧用組成物に新規な外観を与え、そしてまた、スフェロイドの互いに合体を防止し、そして制限することを可能にする。水性連続相はまた、無水スフェロイドに対して高温で懸濁力を有し、その結果、それらは冷却相を通して水性連続相中に懸濁されたままである。
【0024】
本発明の固体化粧品組成物において、無水スフェロイドは、固体化粧品組成物の総重量に対して、有利には10重量%~80重量%、より有利には20重量%~70重量%、さらに有利には30重量%~60重量%を表す。
【0025】
本発明者らは、無水スフェロイドの成分の性質が本発明の化粧品組成物の適用の容易さだけでなく、その最終的な特性にも影響を及ぼし得ることを観察した。
【0026】
炭化水素系油及び/又はシリコーン油:
【0027】
炭化水素系油及び/又はシリコーン油は、スフェロイドの総重量に対して、5重量%~99.5重量%、好ましくは10重量%~95重量%、より好ましくは20重量%~90重量%、さらにより好ましくは30重量%~85重量%、さらにより好ましくは40重量%~80重量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0028】
炭化水素系油及び/又はシリコーン油は、水性連続相と混和しないように選択される。
【0029】
スフェロイドを構成する炭化水素系油は、揮発性炭化水素系油及び/又は不揮発性炭化水素系油から選択することができる。それは、好ましくは炭化水素系油の混合物である。
【0030】
本発明の目的のために、「炭化水素系油」という語は、主に炭素原子及び水素原子、ならびにおそらくは酸素原子、窒素原子、イオウ原子又はリン原子を含む油を意味する。
【0031】
本発明の目的のために、揮発性炭化水素系油は、室温及び大気圧で、1時間未満で皮膚と接触すると蒸発することができる油である。本発明の揮発性炭化水素系油は室温で液体であり、室温及び大気圧で、特に0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、及びより詳細には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の非ゼロ蒸気圧を有する油である。「不揮発性炭化水素系油」とは、室温及び大気圧で少なくとも数時間皮膚上に残留し、特に0.13Pa(10-3 mmHg)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0032】
本発明の揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子を含む炭化水素系油、特に8~16個の炭素原子を含む分岐アルカン、例えば石油起源の8~16個の炭素原子を含むイソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン及びイソヘキサデカン、例えばIsopar(登録商標)又はPermethyl(ExxonMobil Chemical)の商品名で販売されている油、8~16個の炭素原子を含む分岐エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物から有利に選択される。他の揮発性炭化水素系油、例えば石油留出物、特にShell社によりShell Soltの名称で販売されているものも使用することができる。揮発性炭化水素系油はまた、8~16個の炭素原子を含む直鎖アルカンから選択され得る。例えば、8~16個の原子から成る線形アルカンはn-ノナデカン(C)、n-デカン(C10)、n-undecane(C11)、n-dodecane(C12)、n-tridecane(C13)、n-tetradecane(C14)、n-pentadecane(C15)及びn-hexadecane(C16)、ならびにこれらの混合物を含み、特に、Cognis社によって基準Cetiol UTで販売されているn-undecane(C11)及びn-tridecane(C13)の混合物を含む。一実施形態によれば、本発明での使用に適した揮発性直鎖アルカンは、n-ノナデカン、n-ウンデカン、n-ドデカン及びn-トリデカン、ならびにそれらの混合物から選択されてもよい。
【0033】
本発明の揮発性炭化水素ベースの油は、有利には8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素ベースの油、及びそれらの混合物から選択される。
【0034】
特にあげることができる不揮発性炭化水素系油には、以下が含まれる:
グリセロールの脂肪酸トリエステルのような植物由来の炭化水素ベースのオイルで、その脂肪酸は4から24の炭素原子からなり、これらのオイルは直鎖状または分岐状で、飽和または不飽和である可能性がある。これらの油は、有利には、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種子油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルキャット油、サトウキビ油などである。ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、カボチャ油、マロー油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、ジャコウネコ油;又は、例えば、Stearinerie Dubois社から販売されているものや、Dynamit Nobel社からMiglyol(登録商標)810,812,818,829,840という名称で販売されているものなどの、代替的なカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;又は、石油ゼリー、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水添ポリイソブテン、スクワラン、およびそれらの混合物などの鉱物または合成由来の4~24個の炭素原子からなる直鎖状または分枝状の炭化水素;合成エステル:例えば、パーセリン(登録商標)オイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、炭素数12~15のアルコールの安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシル ジイソプロピルアジペート、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルコールまたは多価アルコールのオクタン酸塩、デカン酸塩、リシノール酸塩、例えばジオクタン酸プロピレングリコールなど;乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのヒドロキシル化エステル類 ペンタエリスリトールエステル;オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノールなどの炭素原子数12~26の分岐および/または不飽和鎖を持つ、室温で液体の脂肪アルコール;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸;炭酸塩;アセタール;クエン酸塩;およびこれらの混合物である。
【0035】
無水スフェロイドを構成するシリコーン油は、揮発性シリコーン油及び/又は不揮発性シリコーン油から選択することができる。それは、好ましくはシリコーン油の混合物である。
【0036】
言及され得る揮発性シリコーン油には、揮発性シリコーン、例えば、特に2~7個のケイ素原子を含有する揮発性線状又は環状シリコーン油が含まれ、これらのシリコーンは任意に、1~10個の炭素原子を含む少なくとも1つのアルキル基又はアルコキシ基を含む。あげることができる好ましい揮発性シリコーン油としては、シクロペンタジメチルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物があげられる。
【0037】
3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン及び3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン及びそれらの混合物から選択される揮発性直鎖状アルキルトリシロキサン油もあげることができる。
【0038】
好ましい揮発性シリコーン油は、シクロペンタジメチルシロキサンである。
【0039】
言及され得る不揮発性シリコーン油は、シリコーン鎖の側及び/又は末端にある、有利には12~24個の炭素原子を含む少なくとも1個のアルキル基又はアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートを含む。
【0040】
フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル及びフルオロシリコーンから選択されるフルオロ油もあげることができる。ノナフルオロメトキシブタン及びペルフルオロメチルシクロペンタンは、好ましいフルオロ油の中である。
【0041】
スフェロイドを構成する炭化水素系油及び/又はシリコーン油は、少なくとも1つの親油性構造化剤と組み合わされる。
【0042】
親油性構造化剤:
【0043】
本発明のスフェロイドを構成する親油性構造化剤はワックス、バター、ペースト状脂肪化合物及び/又は親油性ゲル化剤から選択することができ、好ましくは親油性ゲル化剤である。
【0044】
親油性構造化剤の含有量は、スフェロイドの全重量に対して、0.5重量%~95重量%、好ましくは3重量%~90重量%、より好ましくは3重量%~60重量%、さらにより好ましくは4重量%~45重量%、さらにより好ましくは5重量%~30重量%の範囲であってよい。
【0045】
本発明の文脈において使用されるワックスは、30℃を超える、好ましくは40~120℃、より好ましくは50~110℃、さらにより好ましくは60~100℃の融点を有する、可逆的な固体/液体状態変化を伴う、室温で固体である親油性化合物であり得る。本発明の目的のために、融点は標準NF EN ISO 11357-3に記載されているように、熱分析(DSC)で観察される最も吸熱的なピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社からModulated DSC 2920の名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0046】
ワックスの混合物は、高融点、すなわち50℃を超える、好ましくは70℃を超える融点を有するワックスを、より低い融点、すなわち50℃未満、好ましくは40℃以下の融点を有するワックスと組み合わせることによって有利に形成することができる。高い融点を有するワックスと低い融点を有するワックスとの混合は、50℃より高い滴点を有するスフェロイドを得ることを可能にすることはずである。
【0047】
本発明の文脈において使用されるワックスは、室温で固体で動物、植物、鉱物又は合成起源のワックス、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0048】
有利には、本発明のワックスはから選択することができる:
-蜜蝋、ラノリンワックス、ラノリンワックス、米ぬかワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリーワックス、エスパルトグラスワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、オリーブワックス、ベリーワックス、セラックワックス、日本ワックス、サトウキビワックス、モンタンワックス、オレンジワックス及びレモンワックス、パラフィン及びオゾケライト等の炭化水素系ワックス;
-20~60個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和脂肪アルコールから選択される脂肪アルコールのワックス;
-シリコーンワックス、例えば16~45個の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシジメチコン;
-フルオロワックス;
-有利には、18~60個の炭素原子を含む炭化水素ワックス、例えば、微晶質ワックスSP-88及び微晶質ワックスSP-16 W(Strahl and Pitsch Inc.)ならびにポリエチレンワックス、例えば、ワックスJeenate(登録商標)(Jeen International Corporation)及びPerformalene(登録商標)(Baker Hughes)
-これらの混合物。
【0049】
好ましい実施形態によれば、バターはC10~18トリグリセリド(INCI名:C10~18トリグリセリド)から選択され得、これには室温及び大気圧で、液体画分及び固体画分、シアバター、カリテニロチカ(Butyrospermum parkii)バター、ガラム(Butyrospermum parkii)バター、ボルネオバター又はテンカワン(Borneo stenoptera)脂肪、ショレアバター、イリペバター、マドカ又はバシアマドゥカロンゴリアバター、モワラ(Madhuca latifolia)バター、カチアウ(Madhuca mottleyana)バター、フワラ(M.ブチラセア(Mangifera)バター、ムルムル(Mangifera)バター、コクム(Garcinia indica)バター、ucuuba(Virola sebifera)バター、ツクマバター、パイニア(Kpangnan)(Pentadesma butyracea)バター、コーヒー(Coffea arabica)バター、アプリコット(Prunus armeniaca)バター、マカダミア(Macadamia temifolia)バター、ブドウ(Vitis vinifera)種バター、アボカド(Persea gratissima)バター、オリーブ(Olea europaea)バター、スイートアーモンド(Prunus amygdalus dulcis)バター、ココア(Theobroma cao)バター、ヒマワリバター、INCI名Astrocaryum murumuru Seed Butterの下のバター、INCI名Theobroma grandiflorum Seed Butterの下のバター、INCI名Irvingia gabonensis Kernel Butterの下のバター、ホホバエステル(水素化ホホバワックス及び油の混合物)(INCI名:ホホバエステル)、シアバターのエチルエステル(INCI名:Sheaバターエチルエステル)、及びそれらの混合物。最も好ましいバターは、シア、キュプアウ、ココア、アボカド及びマンゴバターである。
【0050】
用語「ペースト状脂肪化合物」は、室温及び大気圧で、液体画分及び固体画分を含む非結晶性脂肪化合物を意味する。ペースト状化合物は、例えば、ラノリン及びその誘導体からなる群、好ましくはC8-C30アルキル基を含むアルキル(メト)アクリレートの共重合体、C8-C30アルキル基を含むビニルエステルのホモポリマー及び共重合体オリゴマー、C8-C30アルキル基を含むビニルエーテルのホモポリマー及び共重合体オリゴマー、1つ又は複数のC2-C50ジオール間のポリエーテル、及び/又はC6-C30長鎖アルキレン酸化物のプロピレン酸化物の共重合体、ジグリセロールエステル、アラキジルプロピオン酸、フィトステロールから選択される。直線状又は分岐状のC4-C50ジカルボン酸とジオール又はポリオールとの重縮合に起因する非架橋ポリエステルであって、モノイソステアリン酸、ジイソステアリン酸又はトリイソステアリン酸の水素化ひまし油、ダイズステロール及びオキシエチレン化(5 OE)オキシプロピレン化(5 OP)ペンタエリスリトールの混合物によるエステルから選択される。
【0051】
有利に言及され得る親油性ゲル化剤としては、シリカ、粘土、任意に改質されたヘクトライト、デキストリンエステル、ポリアミド又はシリコーンポリアミド、L-グルタミン酸又はアスパラギン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸、少なくとも1つのスチレン単位、好ましくはジブチルラウロイルグルタミド及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドを含む炭化水素系ブロックコポリマー、ポリアミド-8樹脂、デキストリンパルミテート、デキストリンミリステート、グリセリルベヘネート/エイコサジオエート、ヒマシ油及びカプリル/カプリルトリグリセリドに基づくコポリマー、ならびにそれらの混合物があげられる。
【0052】
ヘクトライトは第四級アルキルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトであってもよく、好ましくは14~20個の炭素原子を含む少なくとも1個及び好ましくは少なくとも2個のアルキル基で置換されたアンモニウムであってもよい。アルキルは、ステアリルであることが有利であり得る。アンモニウムが2つのメチル基及び2つのステアリル基を含む、INCI名Disteardimonium Hectoriteを有する化合物について言及する。
【0053】
本発明の目的のために、デキストリンエステルはデキストリンと、12~24個の炭素原子を含み、好ましくは14~22個の炭素原子を含み、さらにより好ましくは14~18個の炭素原子を含む脂肪酸とのエステルである。好ましくは、デキストリンエステルがミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、及びそれらの混合物から選択される。
【0054】
L-グルタミン酸(グルタミド)又はアスパラギン酸のアミドは、好ましくは6~14個の炭素原子、例えば8又は12個の炭素原子を含む少なくとも1個のアルカノイル基を含む。このようなグルタミン酸アミドは例えば、フランス特許第2 820 739号に記載されている。グルタミドは、好ましくはジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、及びそれらの混合物から選択され、例えば、味の素社によって製造される、EB-21、GP-1、AJK-OD2046、AJK-BG2055、及びAJK-CE2046という商標名を有する製品の1つであってもよい。グルタミドは例えば、ジブチルラウロイルグルタミド及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、又はそれらの混合物から選択される。
【0055】
アミド又はアミド、特にグルタミドの混合物は無水スフェロイドの全重量に対して、例えば、0.1~15.0重量%、0.5~15.0重量%、1.0~8.0重量%、1.0~5.0重量%、さらには2.0~5.0重量%である。
【0056】
本発明の目的のために、少なくとも1つのスチレン単位を含む炭化水素系ブロックコポリマーは好ましくはスチレンとオレフィンとのブロックコポリマー、例えば、少なくとも1つのスチレン単位と、ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、及びそれらの混合物から選択される単位とを含むコポリマーである。本発明の炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレンエチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマー、及びそれらの混合物から有利に選択される。
【0057】
好ましい親油性ゲル化剤は、ジブチルラウロイルグルタミド(例えば、AJK OD2046(Ajinomotoにより販売))、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(例えば、AJK GP-1(例えば、Ajinomotoにより販売))、ポリアミド-8樹脂(例えば、SP Oleaft LP20(例えば、Crodaにより販売))、デキストリンパルミテート(例えば、Rheopearl KL2(例えば、Miyoshiにより販売))、デキストリンミリステート(例えば、Rheopearl MKL2(例えば、Miyoshiにより販売))、グリセリルベヘネート/エイコサジオエート(例えば、Nomcort(SACI-CFPAにより販売))、ジステアジモニウムヘクトライト(例えば、Bentone(登録商標) 38 V CG(SACI-CFPAにより販売))、ヒマシ油及びカプリル/カプリントリグリセリドに基づくコポリマー(例えば、Estogel M(DKSHにより販売))、及びそれらの混合物から選択される。
【0058】
本発明者らは、水性連続相の成分の性質が本発明の化粧品組成物の適用の容易さだけでなく、その最終的な特性にも影響を及ぼし得ることを観察した。
【0059】
親水性ゲル化剤:
【0060】
水性連続相中の親水性ゲル化剤の含有量は、水性連続相の重量に対して、有利には少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも1.2重量%、さらにより有利には少なくとも1.5重量%である。
【0061】
有利に言及され得る親水性ゲル化剤は、好ましくは寒天(例えば、Iwase Cosfaにより販売されるIna Agar CS 83)、ゲランガム(例えば、Azelisにより販売されるKelcogel(登録商標) CG-LA)、キサンタンガム(例えば、Solvay Novecareにより販売されるRhodicare(登録商標) T又はKeltrol CG LAXT)、カラギーナン(例えば、Cargill Beautyにより販売されるSatiagum(登録商標) VPC 430)、セルロース、及びヒドロキシエチルセルロース(例えば、Ashlandにより販売されるKlucel(登録商標) GF)及びヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチから選択される。セルロースカルボキシメチルエーテル(例えば、Ashlandにより販売されているBlanose(登録商標) 7H3SF)、ビス-デシルテトラデセス-20エーテルに基づくコポリマー(例えば、Adekaにより販売されているAdeka Nol GT-700)、アルカリゲネス多糖類(例えば、Iwase Cosfaにより販売されているAlcasealan)、及びそれらの混合物。
【0062】
特に有利な実施形態によれば、本発明の親水性ゲル化剤は、寒天-寒天、ジェランガム、キサンタンガム及びそれらの混合物から選択される天然多糖である。
【0063】
本発明の固体化粧品組成物は、有利には少なくとも寒天を含む;これは最も好ましい天然又は合成多糖である。
【0064】
本発明の固体化粧品組成物は、有利には少なくともジェランガムを含む;これは寒天-寒天の後に最も好ましい天然又は合成多糖である。
【0065】
本発明の固体化粧品組成物は、有利には少なくともキサンタンガムを含み;これはそれぞれ寒天及びジェランガムの後に最も好ましい天然又は合成多糖である。
【0066】
本発明の固体化粧品組成物は、有利には少なくとも寒天を含む;これは最も好ましい天然又は合成多糖である。
【0067】
水性連続相中に存在する親水性ゲル化剤の量は親水性ゲル化剤の性質に依存し、水性連続相が、1mm・s-1のスピードで前記相中に5mm径の円筒形紡錘体を10mmの深さまで浸透させた後、20℃で50g以上、好ましくは20℃で80g以上の圧縮強度によって規定される硬さを有するように決定される。
【0068】
水性連続相はまた、好ましくは、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物などのポリグリコールから選択される少なくとも1つのグリコールを含んでもよい。特に好ましい実施形態によれば、グリコールは植物性グリセロールである。
【0069】
水性連続相中のグリコール含量は、有利には水性連続相の全重量に対して0~50重量%、好ましくは1~30重量%、さらにより好ましくは2~20重量%の範囲である。
【0070】
本発明の化粧品組成物はまた、無水スフェロイド中又は水性連続相中のいずれかに、又は両方に、好ましくはスフェロイド中に、少なくとも1つの顔料及び/又は1つの真珠、及び好ましくは少なくとも1つの有機又は無機顔料を含むことができる。顔料及び/又は真珠光沢は表面処理されていてもよく、すなわち、それらは、化学的、電子的、機械化学的及び/又は機械的性質の1つ以上の表面処理を受けていてもよい。
【0071】
顔料及び/又は真珠光沢の含有量は、有利には固体化粧品組成物の総重量に対して0~40重量%、好ましくは2~10重量%の範囲である。
【0072】
本発明の化粧品組成物はまた、無水スフェロイド又は水性連続相のいずれかにおいて、又は両方において、少なくとも1つのUV-スクリーニング剤を含み得る。好ましい実施形態によれば、UVスクリーニング剤は、無水スフェロイド中に存在する。
【0073】
無水スフェロイド中に存在する場合、UVスクリーニング剤は、有利にはベンゾフェノン-3、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、ホモサラート、ポリシリコーン-15、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、酸化チタン又は酸化亜鉛顔料、及びそれらの混合物から選択される。
【0074】
水性連続相中に存在する場合、UVスクリーニング剤は、有利にはフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-4、又はナノチタンもしくはナノ亜鉛分散液である。
【0075】
本発明の化粧品組成物はまた、無水スフェロイド又は水性連続相のいずれか、又は両方において、少なくとも1つの芳香剤を含んでもよい。好ましい実施形態によれば、芳香剤は無水スフェロイド中に存在する。
【0076】
化粧品組成物はまた、充填剤、レオロジー剤、pH調製剤、抗酸化剤、保存剤、水和剤、湿潤剤などから選択される少なくとも1つの化粧品上許容される賦形剤を含んでもよい。
【0077】
本発明の固体化粧品組成物は、有利にはディシュ又はポットに注型されたスティック又は固体ゲルの形態である。
【0078】
第2の態様によれば、本発明は、以下の工程を含む、本発明による固体化粧品組成物を調製するための方法に関する:
a-水に少なくとも1種の親水性ゲル化剤を、好ましくは50~110℃の範囲の温度で、撹拌しながら混合することにより、液体水性連続相組成物を調製すること、
b-少なくとも1種の炭化水素系油および/または1種のシリコーン油に少なくとも1種の親油性構造化剤を、好ましくは50~110℃の範囲の温度で、撹拌しながら混合することにより、液体スフェロイド組成物を調製すること、
c-ステップbの終了時に得られた液体スフェロイド組成物を、液滴の形態で、ミキサーにゆっくりと注入すること、
d-ミキサーの出口で、水性連続相に分散および懸濁した無水スフェロイドからなるステップcの結果で得られた組成物を回収すること、
e-ステップdの結果得られた組成物を室温に冷却して、本発明による固体化粧品組成物を得ること。
【0079】
好ましい実施形態によれば、液体無水連続相組成物を調製する工程aは、60~110℃、有利には70~110℃、さらに有利には80~110℃の範囲の温度で実施される。
【0080】
同様に、液体スフェロイド組成物を調製する工程は、60~110℃、有利には70~110℃、さらにより有利には80~110℃の範囲の温度で行われる。
【0081】
別の好ましい実施形態によれば、注入ステップcは、0.05~10.0mm、好ましくは0.1~4.0mm、より好ましくは0.5~2.5mmの範囲の直径を有する液滴を形成するように制御される。
【0082】
別の好ましい実施形態によれば、注入ステップcは、配置され得るT字形ミキサー中で行われる:
-いずれかの水平方向に、液体スフェロイド組成物が液体水性連続相組成物に対して垂直に注入される
-又は垂直に、液体スフェロイド組成物及び液体水性連続相組成物は並流位置で注入される。
【0083】
特に好ましい実施形態によれば、注入工程cは、水平に配置されたT字形ミキサー中で行われる。この位置は、液体スフェロイド組成物の液滴のより規則的な注入及びスフェロイドサイズのより良好な再現性を可能にするので、好ましい。
【0084】
本発明の第3の態様は、身体及び/又は顔の皮膚、特に唇をメイクアップ及び/又はケアするための、本発明による固体化粧品組成物の使用に関する。
【0085】
本発明はまた、本発明による固体化粧品組成物を含むスティックに向けられる。より詳細には、本発明が本発明による固体化粧品組成物を含むリップスティック、ファンデーション又はアンチサンスティックに向けられる。
【0086】
最後に、本発明の最終的な主題は、以下の工程を含む、身体及び/又は顔の皮膚、特に唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法に関する:
a-本発明による固体化粧品組成物の少なくとも1回の適用を行うのに必要な量の取り込むこと、及びb’-ステップa’の間に取り込まれた固体化粧品組成物の、身体及び/又は顔の皮膚、特に唇への適用すること。
【0087】
前述の構成に加えて、本発明は本発明による化粧品組成物の調製に関する以下の説明の残りから、また図1から明らかになる他の構成も含む。
【実施例
【0088】
実施例1:本発明によるリップスティック
以下の表1に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0089】
【表1】
【0090】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0091】
無水スフェロイドの滴点の測定:
滴点の測定は、ASTM-D 3954規格に従って、Mettler Toledo DP 70滴点システムマシンを用いて行った。スフェロイド組成物を、全ての成分の合計融点まで加熱し、次いで、底部に穿孔された直径2.8mmの穴を有するゴブレットに注いだ。このゴブレットを20℃の温度で24時間置いた後、滴点を測定した。次に、ゴブレットを1℃/分の加熱速度でオーブンに入れた。最初の液滴がゴブレットの穴を通過した温度を、滴点として記録した。
無水スフェロイド組成物Aの滴点は63.1℃に等しい。
【0092】
以下の表2に示す式に対応する水性連続相組成物(組成物B)を調製した。
【0093】
【表2】
【0094】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0095】
植物性グリセロールを含まない、上記表2に示したものと同じ式に対応する水性連続相組成物(組成物B’)を調製した。植物性グリセロールを水で置き換えた。
【0096】
固体水性連続相の特性決定:
【0097】
固体水性連続相を、硬度の測定、目視観察、及び官能特性の評価によって特徴付けた。
【0098】
これを行うために、水と保存剤を85℃の温度で撹拌しながら混合し、次いで親水性ゲル化剤を添加し、全体を85℃で15分間撹拌しながら混合した。得られた混合物を15mLピルボトルに注ぎ、直径1cmのスティックに注いだ。
【0099】
硬度の測定:
15mLの丸薬瓶を室温で24時間放置し、次いで20℃のオーブンに24時間入れた。
硬度測定は、テクスチャーメーター(TA-XTPLUSテクスチャーアナライザー、Stable Microsystems)を用いて、以下のパラメーターに従って行った:
- 貫通スピード:1mm.s-1
- 使用円筒主軸:直径5mmの円筒、
- 貫通深さ:10mm。
無水連続相のために3つの丸薬瓶を調製し、丸薬瓶当たり3つの測定、すなわち無水連続相のために合計9つの測定を行った。
配合物Bの水性連続相は1mm・s-1のスピードで前記無水連続相中に5mm径の円筒形紡錘体を10mmの深さまで浸透させた後、100.5gに等しい平均圧縮強度を有し、計測は20℃で行われる。したがって、それは、本発明の目的のために「固体」であると考えられる。
配合物B’の水性連続相は1mm・s-1のスピードで前記無水連続相中に5mm径の円筒形紡錘体を10mmの深さまで浸透させた後、114.9gに等しい平均圧縮強度を有し、計測は20℃で行われる。したがって、それは、本発明の目的のために「固体」であると考えられる。
【0100】
組成物B及びB’のスティックの目視観察:
直径1cmのスティックを室温で24時間放置した。
次に、スティックを2.5cmの長さにわたって開き、次いで1分間水平に保持した。水平位置におけるスティックの曲率が観察された:それらは水平位置におけるスティックの機構の連続性において曲率を有し、これは本発明の目的のためのスティックの「固体」性質を確認する。
【0101】
水性連続相B及びB’の感覚特性の評価:
室温で24時間後、スティックは鮮度の感触を与え、完全に摩耗し、広げている間に良好な凝集性を有する(適用中に破壊しない)。
【0102】
本発明によるリップスティックの調製:
【0103】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0104】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:1mL・min-1
成分Bの流速:5mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:30/70
液滴直径:1.8mm。
【0105】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0106】
水性連続相中に分散した無水スフェロイドを含むリップスティックを得た。この製品は、新鮮さの効果と唇上の色の非常に良好な持続性とを兼ね備えている。
【0107】
実施例2:本発明によるアンチスンスティック
以下の表3に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0108】
【表3】
【0109】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0110】
無水スフェロイド組成物Aの滴点は61.3℃に等しい。
【0111】
以下の表4に示す式に対応する水性連続相組成物(組成B)を調製した。
【0112】
【表4】
【0113】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0114】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0115】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:2mL・min-1
成分Bの流速:20mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:40/60
液滴直径:1mm。
【0116】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0117】
水性連続相中に分散した無水スフェロイドを含む反サンスティックを得た。この製品は、鮮度効果と非常に良好なUV保護とを兼ね備えている。
【0118】
実施例3:本発明によるアンチスンスティック
以下の表5に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0119】
【表5】
【0120】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0121】
無水スフェロイド組成物Aの滴点は66.1℃に等しい。
【0122】
以下の表6に示す式に対応する水性連続相組成物(組成B)を調製した。
【0123】
【表6】
【0124】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0125】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0126】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:2mL・min-1
成分Bの流量:12mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:30/70
液滴直径:2.5mm。
【0127】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0128】
水性連続相中に分散した無水スフェロイドを含む反サンスティックを得た。この製品は、鮮度効果と良好なUV保護とを兼ね備えている。
【0129】
実施例4:本発明による水性ケアスティック
以下の表7に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0130】
【表7】
【0131】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0132】
無水スフェロイド組成物Aの滴点は61.6℃に等しい。
【0133】
以下の表8に示す式に対応する水性連続相組成物(組成B)を調製した。
【0134】
【表8】
【0135】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0136】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0137】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:1.5mL・min-1
成分Bの流速:10mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:30/70
液滴直径:2.1mm。
【0138】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0139】
水性連続相中に分散した無水ケアスフェロイドを含むスティックを得た。この生成物は、漂白効果と鮮度効果とを兼ね備えている。
【0140】
実施例5:本発明によるスティック形態の芳香組成物
以下の表9に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0141】
【表9】
【0142】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0143】
無水スフェロイド組成物Aの滴点は75℃に等しい。
【0144】
以下の表10に示す式に対応する水性連続相組成物(組成B)を調製した。
【0145】
【表10】
【0146】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0147】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0148】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:3mL・min-1
成分Bの流速:11.2mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:30/70
液滴直径:2.8mm。
【0149】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0150】
水性連続相中に分散された芳香性無水スフェロイドを含むスティックを得た。この製品は、鮮度効果と心地よい芳香臭とを兼ね備えている。
【0151】
実施例6:本発明による皿の中の消毒組成物
以下の表11に示す式に対応するスフェロイド組成物(組成物A)を調製した。
【0152】
【表11】
【0153】
組成物Aの全ての成分を加熱し、混合し、85℃の温度でホモジナイズした。
【0154】
無水スフェロイド組成物Aの滴点は61.3℃に等しい。
【0155】
以下の表12に示す式に対応する水性連続相組成物(組成B)を調製した。
【0156】
【表12】
【0157】
最初に、水及び植物性グリセロールを撹拌しながら85℃の温度に加熱した。次に、親水性ゲル化剤を水性混合物に添加した。混合物を均質化した後、固体ゲルを得た。
【0158】
組成物Aの均一な流体混合物を、液滴の形態で、組成物Bの水性連続相が液体状態で連続的に循環し、85℃の温度に加熱されるT字形ミキサーに注入した。
【0159】
プロセスの特徴:
成分Aの流速:1mL・min-1
成分Bの流速:20mL・min-1
組成物A/組成物Bの重量比:35/65
液滴直径:1.3mm。
【0160】
組成物Aの水性連続組成物及び組成物Bの無水スフェロイドから得られた組成物を、プロセスを出る際に直接、皿に注いだ。次に、この皿を室温に置いて凝固させた。
【0161】
水性連続相中に分散した無水スフェロイドを含む皿を得た。一旦冷却されると、製品は、スポンジを用いて、又は指で取り上げることができる。この製品は、鮮度効果と良好なUV保護とを兼ね備えている。
【0162】
実施例7:比較例
実施例1に先に記載したのと同じ方法に従って調製した本発明による固体化粧品組成物を、水性連続相中に分散した無水スフェロイドの形成なしに、無水スフェロイドの液体組成物と水性連続相とを密接に混合する異なる方法に従って調製した同じ式の化粧品組成物と比較した。
比較組成物は、無水スフェロイドの液体組成物(組成物A)及び水性連続相(組成物B)を85℃の温度で激しく撹拌しながら混合することによって調製した。巨視的に均質な組成物が得られ、次いで包装スティックに注いだ。次に、固化のためにスティックを室温に置いた。
【0163】
次いで、化粧品組成物の新鮮さの感覚を5つの異なるパネルメンバーによって評価した。各パネルメンバーは唇への適用中の組成物の新鮮さの感覚を評価し、1~9、1は新鮮さの全欠如に相当し、9は非常に新鮮な効果に相当する感覚の質に注目した。
【0164】
官能品質の評価の結果を以下の表13に示す:
【0165】
【表13】
【0166】
以上の結果から、本発明の化粧品組成物は、比較の化粧品組成物よりも口唇への適用中にはるかに顕著な鮮度感を与えることが明らかになる。さらに、本発明の組成は、比較組成の組成よりも、より均質に磨滅する(wears down)。
【0167】
実施例8:比較例
水性連続相組成物を、実施例1に記載したのと同じ手順に従って調製した。水性連続相の組成は、1.8重量%の寒天、キサンタンガム及びゲランガムを1.8重量%の中和Carbopol Ultrez 10(INCI名: Carbomer)(GATTEFOSSE)で置換したことを除いて、実施例1の表2に示したものと同じ式に相当する。得られた混合物を15mLピルボトルに注ぎ、直径1cmのスティックに注いだ。
【0168】
スティックの硬度の測定:
得られたスティックの硬度(g平均)は、実施例1と同様の方法により6gであった。
従って、この水性連続相は、その圧縮強度が1mm・s-1のスピードで10mmの深さまで前記水性連続相中に径5mmの円筒形紡錘体を浸透させた後、20℃で50g未満であるので、本発明の目的のために「固体」であるとは見なされない。
【0169】
スティックの目視観察:
実施例1と同様の方法で、直径1cmのスティックを室温で24時間放置し、2.5cmの長さで開封し、1分間水平に保持した。得られたスティックは、一緒に保持されず、水平位置においてそれ自体の重量下で流れる液体ゲルである。得られたスティックの写真を図1に示す。
【0170】
実施例9:比較例
特許出願FR 2 649 608のスフェロイドに対応する2つの無水スフェロイド組成物(組成物C及びD)を調製した。これらのスフェロイドは、36~38℃の融点を有する。これらのスフェロイドの可視化を促進するために顔料を添加した。
【0171】
組成物C及びDは以下の通りである:
【0172】
【表14】
【0173】
【表15】
【0174】
組成物C及びDのスフェロイドは、以下の方法に従って調製した:
-成分を加熱し、混合し、50℃でホモジナイズした。
-混合物が均一になったら、同じ温度に加熱した水相中にゆっくりと分散させた。滴が得られるまで撹拌を続けた。
-次いで、混合物を、0℃に冷却した水相を添加することによって急激に冷却した。撹拌を停止して、固化したスフェロイドに損傷を与えないようにした。
-次いで、スフェロイドを濾過し、次いで室温で乾燥させた。
【0175】
得られたスフェロイドのキャラクタリゼーション:
【0176】
得られた組成物C及びDの無水スフェロイドを、上記の試験に従って特性決定した。結果を以下の表16にまとめる。
【0177】
【表16】
【0178】
組成物C及びDのスフェロイドは50℃未満の融点を有し、本発明のスフェロイドとは異なり、経時的に安定ではない。さらに、得られるスフェロイドは規則的ではなく、再現性のない細長い(球形ではない)形状を有する。さらに、水性連続相中へのそれらの組み込みの間のスフェロイドの取り扱いは非常に困難であり、スフェロイドはそれらが熱水性連続相中に導入される場合、それらの形状を失い、そして溶融し、これは、それらを水性連続相中に組み込むことを不可能である。
【図面の簡単な説明】
【0179】
図1】実施例で得られたスティックの写真である。
図1