(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】垂直方向に係止解除可能なパネルのセット、その方法および装置
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20241021BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
E04F15/02 E
F16B5/07 F
F16B5/07 C
E04F15/02 G
(21)【出願番号】P 2021539350
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 SE2019051280
(87)【国際公開番号】W WO2020145862
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー、ユリカンガス
(72)【発明者】
【氏名】カール、クビスト
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ、ランドゴールド
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-518130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0151865(US,A1)
【文献】国際公開第2014/209213(WO,A1)
【文献】特開2017-101550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネル(1、2)のセットであって、
前記機械的係止システムは、第1パネル(1)の第1縁部(11)に第1開口を有する変位溝(40)に配置された変位可能な舌部(30)を備え、前記舌部(30)は、前記変位溝(40)内で変位軸(Ax)に沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部(30)の第1部分(31)が、隣接する第2パネル(2)の第2縁部(22)に第2開口を有する第1舌部溝(20)と、前記第1縁部(11)と前記第2縁部(22)との垂直方向の係止のために協働し、
前記舌部(30)の第2部分(32)は、隣接する前記第2パネル(2)の前記第2縁部(22)と、前記第1縁部(11)と前記第2縁部(22)との垂直方向の係止解除のための細長要素(70)を介して協働するように構成され、
前記第2部分(32)の第1係合部(34)は、前記細長要素(70)と係合するように構成されるとともに、係止解除溝(60)を画定し、前記係止解除溝(60)は、前記細長要素(70)を受容することにより、前記舌部(30)を前記変位軸(Ax)に沿って変位させて、前記第1縁部(11)と前記第2縁部(22)との前記垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するように構成され、
前記第2縁部(22)の第2係合部(25)は、前記細長要素(70)と係合するように構成されるとともに、前記係止解除溝(60、60’’、60’’’)を画定
し、
前記第2係合部(25)は、前記第1舌部溝(20)の外側に設けられる、
パネルのセット。
【請求項2】
前記第2係合部(25)は、前記第1舌部溝(20)の外側かつ下方に設けられる、
請求項
1に記載のパネルのセット。
【請求項3】
前記第1係合部(34)および前記第2係合部(25)は平面状であり、並んで、および/または平行に、または実質的に平行に、好適には並んでかつ平行に延びる、
請求項
1又は2に記載のパネルのセット。
【請求項4】
前記係止解除溝(60)は、細長要素(70)の受容時に、前記係止解除状態を実現するように構成され、前記細長要素(70)は、前記細長要素(70)の長手方向において一定の断面幅(Di)を有する、
請求項
1~3のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項5】
前記変位溝(40)は、底面(41)と、上面(42)と、下面(43)と、を備え、
好適には、前記下面(43)は、前記上面(42)と平行である、および/または前記舌部(30)の前記変位軸(Ax)と平行である、
請求項
1~4のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項6】
前記第2係合部(25)は、前記下面(43)の平面(Px)の下方に延びる、
請求項
5に記載のパネルのセット。
【請求項7】
前記下面(43)の平面(Px)の法線方向(Ny)において前記下面(43)と前記第1部分(31)との間の寸法(Dy)は、前記細長要素(70)の最大直径(Di)に少なくとも対応する、
請求項
5または6に記載のパネルのセット。
【請求項8】
前記下面(43)の平面(Px)の
法線方向(Ny)において前記下面(43)と前記第1部分との間の寸法(Dy)は、前記変位軸(Ax)に沿った前記第1係合部(34)と前記舌部(30)の最外点(31a)との間の寸法(Dx)に少なくとも対応する、
請求項
5~7のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項9】
前記下面(43)の平面(Px)の
法線方向(Ny)において前記平面(Px)と前記第1部分(31)との間の
寸法(Dy)は、前記係止状態において前記変位軸(Ax)に沿った前記第2係合部(25)と前記舌部(30)の最外点(31a)との間の最大距離寸法(Dax)に少なくとも対応し、好適には、前記最大距離寸法(Dax)は、前記第2係合部(25)の最外点と前記舌部(30)の最外点(31a)との間で測定される、
請求項
5~7のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項10】
前記寸法(Dy)は、前記第1部分(31)の下面上の点から測定され、前記点は、前記
法線方向(Ny)において、前記細長要素(70)の最上点と整列する、
請求項
8~9のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項11】
前記第2部分(32)と前記細長要素(70)とは協働するように構成され、これにより、前記舌部(30)は、前記変位軸(Ax)に沿って、少なくとも前記第2係合部(25)の最外点と前記第1部分(31)の最外点(31a)とが重ならない程度まで変位する、好適には、水平平面(H)において前記第2係合部(25)の前記最外点と前記第1部分(31)の前記最外点(31a)との間に遊び(dH)が設けられる程度まで変位する、
請求項
2~10のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項12】
前記第2部分(32)は、面取りされた縁部部分(36)を備え、前記縁部部分は、前記舌部の長手方向における外側端部部分であり、面取りされた前記縁部部分(36)は、前記細長要素(70)を前記舌部(30)の横方向(T)において案内するように構成された案内面(37)、好適には面取りされた長手方向縁部部分(36)を形成する、
請求項
1~11のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項13】
前記第2縁部(22)は、前記細長要素(70)を前記舌部(30)に向けて案内するための面取りされた縁部部分(36’)を備える、
請求項
1~12のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項14】
前記細長要素(70)は、その横方向平面において、120度未満、好適には90度未満の角度で回転対称の断面を有し、より好適には円形である、
請求項
1~13のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項15】
機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネル(10、20)のセットを垂直方向に係止解除するための方法であって、
前記機械的係止システムは、第1パネル(10)の第1縁部(11)に第1開口を有する変位溝(40)に配置された変位可能な舌部(30)を備え、前記舌部(30)は、前記変位溝(40)内で変位軸(Ax)に沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部(30)の第1部分(31)は、隣接する第2パネル(2)の第2縁部(22)に第2開口を持つ第1舌部溝(20)と、前記第1縁部(11)と前記第2縁部(22)との垂直方向の係止のために協働し、
前記方法は、細長要素(70)を係止解除溝(60、60’’、60’’’)に挿入することにより前記舌部(30)を前記変位軸(Ax)に沿って変位させて前記第1縁部(11)と前記第2縁部(22)との垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するステップを備え、前記係止解除溝(60、60’’、60’’’)は、前記舌部(30)の
第2部分の第1係合部(34)により画定されるとともに、前記第2パネル(2)の前記第2縁部(22)の第2係合部(25)であって、前記
第1舌部溝(20)の外側に配置された第2係合部(25)によりさらに画定される、
方法。
【請求項16】
前記第1部分(
31)および前記細長要素(70)の直径(Di)は、協働するように構成され、これにより、前記舌部(30)は、前記変位軸(Ax)に沿って、少なくとも前記第2係合部(25)の最外点と前記第1部分(31)の最外点(31a)とが重ならない程度まで変位する、
請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
位置決め要素(71)を前記細長要素(70)に設けるステップと、
前記位置決め要素を前記変位溝(40)に配置するステップと、
をさらに備える請求項
15または16に記載の方法。
【請求項18】
機械的係止システムにより組み付けられた建築パネル(1、2)の前記機械的係止システムを係止解除するための装置(69)であって、前記機械的係止システムは、隣接する建築パネルを水平方向および垂直方向に係止するように構成され、
前記
機械的係止システムは、第1建築
パネル(1)の第1縁部(11)に、前記第1建築パネルの前記第1縁部に設けられた変位溝(40)内で変位するように構成された変位可能な係止舌部(30)を備え、前記係止舌部は、係止位置と係止解除位置との間で変位するように構成され、
前記係止位置において、前記係止舌部(30)は、突出位置にあるように構成され、第2の隣接する建築パネル(2)の隣接する縁部(22)に設けられた舌部溝(20)と協働するように前記変位溝から突出し、
前記係止解除位置において、前記係止舌部は、後退位置にあるように構成され、
前記係止解除
するための装置は、細長要素(70)と位置決め要素(71)とを備え、
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されるように構成される、
装置。
【請求項19】
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されることにより、前記細長要素(70)の中心軸(70x)を前記変位溝の底面(41)から所定距離だけ離れるように位置決めするように構成される、
請求項
18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、機械的係止システムを有する建築パネル、床板、壁板、天井板、家具部品等のパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
垂直方向に係止するように舌部溝と協働する変位可能で弾性を有する舌部を備えた機械的係止システムを設けられた建築パネルが知られており、例えば、WO2006/043893およびWO2007/015669に開示されている。舌部は、別個の部品であり、例えばプラスチックから構成され、パネルの縁部の変位溝に挿入される。舌部は、パネル同士を垂直方向に組み付ける際に変位溝に押し込まれ、パネル同士が係止位置に達すると、隣接するパネルの舌部溝に跳ね返る。
【0003】
さらに知られている係止システムは、例えばくさび要素を有する舌部を備えている。2つの隣接するパネルの縁部が、舌部を隣接する縁部に沿って変位させることで係止される。これは、例えば、WO2008/004960に開示されている。
【0004】
パネルを係止解除するための知られたシステムが構成され、WO2014/209213に開示されている。
【0005】
WO2014/209213は、良好に機能するシステムを提供しているが、まだ改善の余地がある。
【0006】
様々な既知の態様に関する上述の説明は、出願人がそのように特徴付けたものであり、上述のいずれかを先行技術としてみなすことを認めるものではない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の特定の実施形態の目的は、上述の技術および既知の技術に対する改善を提供することである。特に、パネルの組付および分解の容易さが本発明の概念の実施形態により改善され得る。また、本発明の概念は、本明細書で明らかになるように、パネルの製造において、特にパネルの縁部の製造公差の点で利点をもたらし得る。
【0008】
本記述から明らかになるであろうこれらのおよび他の目的および利点の少なくとも一部が、本発明の概念の態様により達成された。第1態様において、機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネルのセットであって、前記機械的係止システムは、第1パネルの第1縁部に第1開口を有する変位溝に配置された変位可能な舌部を備えるパネルのセットが提供される。前記舌部は、前記変位溝内で変位軸に沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部の第1部分が、隣接する第2パネルの第2縁部に第2開口を有する第1舌部溝と、前記第1縁部と前記第2縁部との垂直方向の係止のために協働する。前記舌部の第2部分は、隣接する前記第2パネルの前記第2縁部と、前記第1縁部と前記第2縁部との垂直方向の係止解除のための細長要素を介して協働するように構成される。
【0009】
この構成により、信頼性のある係止解除機構を得るために必要な公差が、舌部と細長要素とにより提供されるという利点がもたらされる。
【0010】
一実施形態において、前記第2部分の第1係合部は、前記細長要素と係合するように構成されるとともに、係止解除溝を画定し、前記係止解除溝は、前記細長要素を受容することにより、前記舌部を前記変位軸に沿って変位させて、前記第1縁部と前記第2縁部との前記垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するように構成される。
【0011】
別の実施形態において、前記第2縁部の第2係合部は、前記細長要素と係合するように構成されるとともに、前記係止解除溝を画定し、前記第2係合部は、好適には前記第1舌部溝の外側に設けられ、より好適には前記第1舌部溝の外側かつ下方に設けられる。
【0012】
さらに別の実施形態において、前記第1係合部および/または前記第2係合部は平面状であり、並んで、および/または平行に、または実質的に平行に、好適には並んでかつ平行に延びる。したがって、細長要素がその横方向に、例えば上下に力を受けないことが達成され得る。また、舌部の直線的な並進移動が得られ得る。
【0013】
またさらに別の実施形態において、前記係止解除溝は、細長要素の受容時に、前記係止解除状態を実現するように構成され、前記細長要素は、前記細長要素の長手方向において一定の断面幅を有する。
【0014】
前記変位溝は、底面と、上面と、下面と、を備え得る。好適には、前記下面は、前記上面と平行である、および/または前記舌部の前記変位軸と平行である。
【0015】
一実施形態において、前記第2係合部は、前記下面の平面の下方に延びる。
【0016】
前記下面の平面の法線方向において前記下面と前記第1部分との間の寸法は、前記細長要素の最大直径、例えば、前記係止解除溝に受容されることが意図された前記細長要素の一部の最大直径に少なくとも対応し得る。
【0017】
一実施形態において、前記下面の平面の前記法線方向において前記下面と前記第1部分との間の寸法は、前記変位軸に沿った前記第1係合部と前記舌部の最外点との間の寸法に少なくとも対応する。
【0018】
前記下面の平面の前記法線方向において前記平面と前記第1部分との間の距離は、前記係止状態において前記変位軸に沿った前記第2係合部と前記舌部の最外点との間の最大距離寸法に少なくとも対応し得る。好適には、前記最大距離寸法は、前記第2係合部の最外点と前記舌部の最外点との間で測定される。
【0019】
前記下面の平面の法線方向において前記下面と前記第1部分との間の前記寸法は、前記第1部分の下面上の点から測定され得る。前記点は、前記下面の前記法線方向において、前記細長要素の最上点と整列する。
【0020】
一実施形態において、前記第2部分と前記細長要素とは協働するように構成され、これにより、前記舌部は、前記変位軸に沿って、少なくとも前記第2係合部の最外点と前記第1部分の最外点とが重ならない程度まで変位する、好適には、水平平面において前記第2係合部の前記最外点と前記第1部分の前記最外点との間に遊びが設けられる程度まで変位する。
【0021】
前記第2部分は、前記細長要素を前記舌部の横方向において案内するように構成された案内面、好適には面取りされた長手方向縁部部分を備え得る。
【0022】
一実施形態において、前記第2縁部は、前記細長要素を前記舌部に向けて案内するための面取りされた縁部部分を備える。
【0023】
前記細長要素は、その横方向平面において、120度未満、好適には90度未満の角度で回転対称の断面を有し得る。より好適には円形である。
【0024】
係止システムは、係止解除状態において、細長要素が変位溝に少なくとも部分的に配置されるように構成され得る。
【0025】
係合方向は、下方を向き得るとともに、第1縁部の上部および第2縁部の上部により形成される垂直平面に平行であり得る。
【0026】
係止状態において、舌部の第1部分は、変位溝から、および/または第1縁部から、例えばその上部から、係合方向を横切り得る水平平面に沿った距離であって、変位溝の下面と舌部の前記第1部分との、変位溝の下面の法線方向における距離以下の距離だけ突出するように構成され得る。
【0027】
一実施形態において、係止解除溝は、舌部溝と変位溝の下面との間に少なくとも部分的に配置される。
【0028】
一実施形態において、第2係合部は、舌部の第2部分の第1係止解除面に対面する第2縁部の第2係止解除面の一部を形成する。第2係止解除面は、係合方向に延び得るとともに、少なくとも舌部の第1部分と変位溝の下面の平面との間の中点を通過し得る。第2係止解除面は、少なくとも変位溝の下面の平面まで延び得る。第1係止解除面および2係止解除面は、平面状および/または垂直であり得る。選択的に、第1係止解除面および2係止解除面は、それぞれ延在部を有し得る。延在部は、細長要素が、変位溝の上方または下方に係合方向に変位するように力を受けないよう構成される。
【0029】
変位溝の下面の法線方向に沿った第2部分の延在部は、前記法線方向に沿った方向における第1部分の延在部を超え得る。
【0030】
第1係合部は、舌部の凹部に設けられ得る。凹部は、第1部分と変位溝の下面との間に設けられ得る。
【0031】
凹部は、窪んだ形状を有し得る。凹部に窪んだ形状を持たせる利点は、例えば細長要素を係止解除溝に挿入する際に、および/または第1パネルと第2パネルとを分解する際に、細長要素が係止解除溝において所望の位置を維持するということであり得る。
【0032】
第1開口および第2開口は、好適には水平方向に開口しており、第1開口の垂直方向の高さは、好適には第2開口の垂直方向の高さより大きい。
【0033】
変位溝の最大高さは、第1舌部溝の最大高さより大きくてもよい。第1舌部溝の最大高さは、変位溝の最大高さの約20%~約75%の範囲であってもよく、好適には、変位溝の最大高さの約20%~約50%の範囲であってもよい。
【0034】
機械的係止システムは、第1縁部または第2の縁部に第1係止ストリップを有してもよく、第1係止ストリップは、第1縁部または第2の縁部の他方における第1係止溝との水平方向の係止のために協働するように構成された第1係止要素を備え得る。
【0035】
パネルは、床板、壁板、天井板、家具部品等であり得る。
【0036】
パネルのコアは、好適には、MDF、HDF、OSB、WPC、合板、パーティクルボードなどの木質系コアであり得る。また、コアは、ビニールやPVCなどの熱硬化性プラスチックや熱可塑性プラスチックで構成されたプラスチックコアでもあり得る。プラスチックコアは、フィラーを含み得る。合板からなるコアを有するパネルの場合、より薄い第1舌部溝は、合板コアの層に対してより容易に好適な位置に配置され得る。
【0037】
パネルの表面、例えば上面に好適には装飾層が設けられ、裏面に好適にはバランス層が設けられる。
【0038】
係止システムの部品であるパネルの縁部、例えば、第1係止ストリップ、第2係止ストリップ、第1係止要素、第2係止要素、第1係止溝、第2係止溝、変位溝、第1舌部溝、および第2舌部溝は、上述のコア材料のうちの1つ以上から製造され得る、構成され得る。
【0039】
第2態様において、本発明の概念は、第1態様の実施形態のいずれか1つによるセットと、第1縁部と第2縁部とを垂直方向に係止解除するように構成された細長要素と、を備えたキットに関する。
【0040】
第3態様において、本発明の概念は、
機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネルのセットを垂直方向に係止解除するための方法であって、
前記機械的係止システムは、第1パネルの第1縁部に第1開口を有する変位溝に配置された変位可能な舌部を備え、前記舌部は、前記変位溝内で変位軸に沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部の第1部分は、隣接する第2パネルの第2縁部に第2開口を持つ第1舌部溝と、前記第1縁部と前記第2縁部との垂直方向の係止のために協働し、
前記方法は、細長要素を係止解除溝に挿入することにより前記舌部を前記変位軸に沿って変位させて前記第1縁部と前記第2縁部との垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するステップを備え、前記係止解除溝は、前記舌部の前記第2部分の第1係合部により画定されるとともに、前記第2パネルの前記第2縁部の第2係合部であって、前記舌部溝の外側に配置された第2係合部によりさらに画定される方法に関する。
【0041】
第4態様において、本発明の概念は、機械的係止システムにより組み付けられた建築パネルの前記機械的係止システムを係止解除するための装置69に関する。前記機械的係止システムは、隣接する建築パネルを水平方向および垂直方向に係止するように構成される。前記係止システムは、第1建築の第1縁部に、前記第1建築パネルの前記第1縁部に設けられた変位溝内で変位するように構成された変位可能な係止舌部を備える。前記係止舌部は、係止位置と係止解除位置との間で変位するように構成される。前記係止位置において、前記係止舌部は、突出位置にあるように構成され、第2の隣接する建築パネルの隣接する縁部に設けられた舌部溝と協働するように前記変位溝から突出する。前記係止解除位置において、前記係止舌部は、後退位置にあるように構成される。前記係止解除装置は、細長要素(70)と位置決め要素(71)とを備える。前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されるように構成される。
【0042】
さらなる実施形態および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲に記載される。
【0043】
本発明の実施形態を示す添付の概略図を参照しつつ、本発明を例示的により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】
図1Aは、分離した変位可能な舌部を有する既知の係止システムの断面図である。
【
図1B】
図1Bは、分離した変位可能な舌部を有する既知の係止システムの断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の概念の実施形態によるパネルの斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の概念の実施形態によるパネルの斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の概念の実施形態によるパネルの概略側面図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の概念の実施形態によるパネルの概略側面図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の概念の実施形態によるパネルの概略断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の概念の実施形態よる変位可能な舌部の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の概念の実施形態によるパネルの短縁部の概略図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の概念のさらなる実施形態の概略図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の概念のさらなる実施形態の概略図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の概念の実施形態による、組み付けられた建築パネルを分解するための装置の斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明の概念の実施形態による位置決め要素の側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の概念の実施形態による、建築パネルの変位溝に配置された位置決め要素の断面図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の概念の実施形態による、組み付けられた建築パネルを分解する方法を概略的に示す図であって、2つの組み付けられた建築パネルと、一方の建築パネルの変位溝に配置された
図9Aの装置とを示す図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の概念の実施形態による、組み付けられた建築パネルを分解する方法を概略的に示す図であって、
図11Aに示す係止解除溝に挿入された
図9Aの装置の細長要素の少なくとも一部を示す図である。
【
図11C】
図11Cは、本発明の概念の実施形態による、組み付けられた建築パネルを分解する方法を概略的に示す図であって、第1パネルの第1縁部に対する第2パネルの第2縁部の垂直方向の変位によって第1建築パネルと第2建築パネルとが分解される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
建築パネル用の既知の機械的係止システムを
図1A~
図1Bに示す。機械的係止システムは、第1パネル1’の第1縁部と第2’パネルの第2縁部とを垂直に係止するために、第1舌部溝20’と協働する変位可能な舌部30’を備えている。舌部30’は、独立した部品であり、例えばプラスチックから構成され、第1パネル1’の第1縁部の変位溝40’に挿入される。舌部30’は、パネル1’およびパネル2’の第1縁部と第2縁部とを垂直に組み付ける際に変位溝40’に押し込まれ、パネル同士が係止位置に達すると、第2パネル2’の第2縁部の第1舌部溝20’に跳ね返る。パネルの第3縁部および第4縁部には、係止システムが設けられていることにより、角度移動により隣接するパネル(図示せず)へ組み付けることで、第1縁部と第2縁部、および第3縁部と第4縁部を同時に組み付けることができるようになっている。
【0046】
【0047】
図2A~
図2Bは、第1縁部11と第2縁部22とを垂直方向に係止解除するための細長要素70を受容するように構成された専用の係止解除溝60を備えた機械的係止システムを備える本発明の概念の実施形態を示す図である。
【0048】
図3A~
図3Bは、第1パネル1と第2パネル2との係止解除に際して変位可能な舌部30の実施形態の側面図である。
【0049】
第1縁部11の上部および第2縁部22の上部は、垂直平面Vを形成し得る。
【0050】
第1舌部溝20を有する第2パネル2を、変位可能な舌部30を有する第2パネル2に対して下降させると、変位可能な舌部30は下降するパネル2によって変位溝40に押し込まれる。パネルが組付位置に達すると、変位可能な舌部30は、第1舌部溝20内に跳ね返り、第1パネル1と第2パネル2とを垂直方向に係止する。
【0051】
係止システムの実施形態により、垂直方向の移動によってパネル同士を隣接する縁部において組み付けることができる。係止システムは、好適には、パネルの縁部のフライス加工、ドリル加工および/または鋸引き等の機械的切削により形成され、好適にはポリマーをベースとした材料で構成された変位可能な舌部30を有する。代替的に、舌部30は金属から構成され得る。変位可能な舌部30は、屈曲可能であり得るとともに、付勢羽根手段等の突出した柔軟な部品を有し得る。係止システムの形成、特にパネルの機械加工において十分に小さい公差を得るには、一般にコストと時間がかかる。本開示の実施形態により、係止システムの製造公差が、舌部30およびスティック等の解除細長要素70によって本質的に提供され得ることが容易とされ得る。スティックは、金属等の硬性かつ屈曲可能な材料から構成され得る。舌部30および細長要素70は、第1縁部11および第2縁部22の公差がどのようなものであっても第1縁部11と第2縁部22とを垂直方向に係止解除するように、水平平面等の平面Hの方向において遊びdH(
図4B参照)が舌部30の第1部分31と第2係合部分25との間に設けられる程度まで、細長要素70を舌部30の係止解除方向において変位させ得るように製造され得る。いくつかの実施形態において、dHはゼロであってもよい。これにより、本発明の概念の実施形態は、舌部30および解除細長要素70を高精度で製造するのはコストがあまりかからないため、コスト効率の点で改善を提供し得る。
【0052】
変位可能な舌部30は、第1パネル1の第1縁部11における変位溝40に配置される。舌部30は、パネル1とパネル2との垂直方向の係止のために、第2パネル2の第2縁部22に形成された第1舌部溝20と協働する。対応する構成が、第2パネル2の第1縁部21に設けられ得る。垂直方向に突出する第1係止要素8を有する第1係止ストリップ6が、第1パネル1の第1縁部11に形成されている。係止要素8は、パネル1とパネル2との水平方向の係止のために、第2パネル2の第2縁部22に形成された第1係止溝28と協働する。
【0053】
舌部30は、係止状態を実現するように、変位溝40内で係止方向に対応する変位軸Axに沿って変位可能であり得る。係止状態において、舌部30の第1部分31が、例えば第2パネル2である隣接するパネルの第2縁部22に開口を有する第1舌部溝20と、第1縁部11と第2縁部22との垂直方向の係止のために協働するように構成されている。
【0054】
舌部30は、変位溝40において変位し得る。具体的には、舌部30の第1部分31および第2部分32が、変位溝40の内部で変位するように構成される。舌部30の第1部分31および第2部分32は、一体をなし得る。舌部30は、変位溝40内で直線的に並進移動し得る。直線並進移動は、並進移動が主として線形であるように、わずかな非線形並進移動を含み得る。
【0055】
例えば
図3A~
図3Bおよび
図4A~
図4Bに示すように、変位溝40は、底面41と、舌部30の第1部分31に隣接して配置され得る上面42と、舌部30の第2部分32に隣接して配置され得る下面43と、を備えている。下面43の平面Pxは、変位軸Axに平行であり得る。したがって、舌部30は、変位軸Axに沿って、下面43に、選択的にさらに上面42に対して、および/または接して変位し得る。以下で説明するように、舌部30は、変位軸Axに沿って、係止状態を実現するように係止方向に、かつ係止解除状態を実現するように係止解除方向に変位し得る、一例として直線的に並進移動し得る。一例として、舌部30は、少なくともある程度底面43に載置される。したがって、底面43の平面Pxの法線方向Nyは、変位溝40の上面42に向かう方向において、平面Pxに対して横方向または直角に延びている。
【0056】
第1部分31は、舌部30の上方外側部分を備え得る、または構成し得る。第2部分32は、舌部30の下方外側部分を備え得る、または構成し得る。この文脈において、「上方」とは、変位溝40の上面42に隣接することを指し得る。これに対応して「下方」とは、変位溝40の下面43に隣接することを指し得る。「外側」とは、変位溝40の底面41に対向することを指し得る。
【0057】
図3A~
図4Bに示すように、変位軸Ax、したがって変位溝40は、水平平面Hに対して角度φをなして傾斜し得る。一例として、第1パネル1の平面、および/またはパネルの上面55および/または下面56は、水平平面Hに対して平行であり得る。パネル1およびパネル2の上面55は、可視面であり得る。
図3A~
図4Bに示すように、変位溝40は、変位溝40が第1パネル1内に延びるにしたがって、係合方向Eのように下方に傾斜していてもよい。
【0058】
図3Aは、係止状態にある舌部30を示す。係止状態において、少なくとも舌部30の第1部分31は、変位溝40から外側に突出し、少なくとも部分的に舌部溝20内にある。第1部分31は、変位可能な舌部30の突出した舌部先端部を備え得る。
【0059】
第2部分32は、変位溝40の外側に突出していてもいなくてもよい。一例として
、第2部分32は、係止状態および/または係止解除状態において、変位溝40から突出しない、または実質的に突出しない。
【0060】
第1部分31は、変位軸Axに沿う延在部であって、第2部分32の延在部を超える延在部を有し得る。第2部分32は、法線方向Nyに沿う延在部であって、第1部分31の延在部を超える延在部を有し得る。
【0061】
舌部30は、凹部33をさらに備えている。凹部33は、舌部30の舌部先端の下方において内側に凹んで舌部30の長手方向に延びる窪み、例えば舌部30の最大延在部を形成し得る。このため、
図3A~
図3Bに示すように、第1部分31と第2部分32との間に緩やかに湾曲する移行部が存在してもよく、この曲線は、細長要素70の半径に実質的に対応するように構成された曲率半径を有し得る。凹部33は、少なくとも部分的に係止解除溝60を取り囲み得る。
【0062】
第1パネル1の舌部30の第2部分32は、第1部分31に隣接して設けられ、第1パネル1と第2パネル2との垂直方向の係止解除のために、隣接する第2パネル2の縁部部分と協働するように構成され得る。舌部30の第2部分32は、
図3A~
図3B、
図4A~
図4Bに示す係合方向、例えば下方向において、舌部30の突出した舌部先端部の上方または下方に設けられ得るが、好適には第1部分31の下方に設けられる。より具体的には、第2部分32は、第2部分32および第2縁部22に同時に接し得る細長要素70を介して第2縁部22の一部分と協働するように構成されている。細長要素70と係合するように、第2部分32は第1係合部34を備え、第2縁部22は第2係合部25を備えている。
【0063】
機械的係止システムは、第1パネルの第1縁部11と、例えば第2パネル2である隣接するパネルの第2縁部22とを垂直方向に係止解除するための係止解除溝60を備えている。
【0064】
図2A~
図2Bに示すように、第1パネル1の第1縁部11および第2縁部12は、例えば第1パネル1であるパネルの短縁部であり得るとともに、第3縁部13および第4縁部14は、例えば第1パネル1であるパネルの長手縁部であり得る。これは、隣接するパネル、例えば、各第1縁部21、第2縁部22、第3縁部23、および第4縁部24を有する第2パネル2にも準用され得る。
【0065】
係止解除溝60は、舌部30の第1部分31、舌部30の第2部分32、第2パネル2の第2縁部22、および変位溝40の下面43のうちの単数または複数の部分により提供される要素の2つ、3つまたは4つの面等の面により画定されている。
【0066】
したがって、第2部分32、第2縁部22、および変位溝40の下面43は、細長要素70を受容するように構成された係止解除溝60を形成し得る。
【0067】
典型的には、係止解除溝60は、舌部30の第1部分31、例えば突出した舌部先端部により法線方向Nyに画定されるとともに、舌部30の第2部分32により、および第2パネル2の第2縁部22の一部によりさらに画定される。
【0068】
係止解除溝60は、細長要素70を受容するように構成されることにより、舌部30が変位軸に沿って係止解除方向に変位して、
図3Bに示す係止解除状態を実現する。
【0069】
細長要素70が係止解除溝60に挿入されると、舌部30は挿入に応じて、すなわち細長要素70が舌部30に係合して舌部30を変位方向Axに沿って変位させるように促す作用を受けて、変位溝40内部で変位させられる、または直線的に並進移動する。
【0070】
舌部30の第2部分32は、細長要素70と、例えば細長要素70の外周縁部と直接係合するための、または協働するための第1係合部34を備えている。
【0071】
第2パネル2の第2縁部22は、舌部溝20の外側、好適には舌部溝20の下方に設けられた第2係合部25(
図4A参照)を備え得る。第2係合部25は、細長要素70との、例えば細長要素70の周縁部との直接的な係合または接触を提供し得る。第1パネル1の第1縁部11は、第1係合部34を備え得る。第1係合部34は、細長要素70との、例えば細長要素70の周縁部との直接的な係合または接触を提供し得る。
【0072】
第1係合部34および/または第2係合部25は、平面状であり得る、および/または垂直方向に延び得る。第1係合部34および第2係合部25は、並んで、および/または平行に延び得る。好適には、第1係合部34および第2係合部25は、平面状であり平行に並んで延びる。
【0073】
パネルの垂直方向の組付に際して、第2係合部25は、舌部30の第1部分31と係合し、舌部30を係止解除方向において変位軸Axに沿って変位溝40内に押し戻すように構成され得る。
【0074】
係止解除溝60は、法線方向Nyにおけるその延在部が、
図4Bに示す係止解除位置において少なくとも第1係合部34と第2係合部25との間の距離に対応するように構成され得る。
【0075】
典型的には、係止状態において、係止解除溝60は、第1係合部34および第2係合部25が、変位溝40の下面43より上方に延在部を有するように設けられるように構成される。例えば、第1係合部34および第2係合部25は、係止解除状態において、変位溝40の下面43の上方に、第1係合部34と第2係合部25との間の距離の半分に実質的に対応する距離だけ離れた延在部を少なくとも有するように設けられる。または、例えば第1係合部34および第2係合部25は、変位溝40の下面43の上方に、係止解除溝60の内部において平面Pxと舌部30の第1部分31との間の方向Nyにおける距離の半分に実質的に対応する距離だけ離れた延在部を有するように設けられる。第2係合部25は、第1縁部11における変位溝40の第1開口の下方に延在部を有し得る。
【0076】
舌部30の第2部分32は、係止状態および/または係止解除状態において、舌部溝20の外側に配置され得る。
【0077】
具体的には、第1係合部34は、係止状態および/または係止解除状態において、舌部溝20の外側に配置され得る。
【0078】
係止解除溝60は、細長要素70の受容時に舌部30が係止解除方向において変位して係止解除状態を実現するように構成され得る。細長要素70は、好適には120度、90度、72度、60度、45度、36度、30度未満の角度で回転対称、好適には120未満、より好適には90未満の角度で回転対称、最も好適には円形である。
【0079】
このような構成により、複数の有利な効果が得られる。例えば、細長要素70は、係止解除溝60に低い摩擦抵抗で挿入され得る。そうでないと、細長要素70の屈曲を招き得る。
【0080】
さらに、第1係合部34および第2係合部25がそれぞれ係合要素70に係合している係止解除状態において、この構成は、ニードルベアリングの機能を提供するため、第2パネル2が例えば垂直方向である係合方向Eの反対方向に変位するにつれてニードルベアリングとして機能する。これにより、細長要素70が第1係合部34および/または第2係合部25に接しつつ回転する、または摺動することになる。
【0081】
回転対称の角度が小さくなると、細長要素70とそれぞれの係合部34、25との有効接触面、すなわち摩擦面が減少することを理解すべきである。したがって、好適な実施形態において、細長要素70は、その横方向において円形断面、例えば最短延在部を有している。本実施形態において、細長要素70の周縁部は、第1係合部34および第2係合部25に、第1係合部34および第2係合部25のそれぞれの漸増接触面に沿ってのみ正接し得る。換言すれば、細長要素70の周縁部および係止溝60の面、すなわち下面43、係止システムの第1係止解除面34’および第2係止解除面25’は、接触面を除き、舌部30の横方向平面Tに対して実質的に平行でなくてもよい。
【0082】
開示された本発明の概念の実施形態によれば、第1縁部11と第2縁部22との係止を解除するために、丸い棒、または実質的に丸い棒等の解除細長要素70を使用することができる。
【0083】
したがって、開示された本発明の概念の実施形態は、相乗効果を提供し得る。舌部溝20の外側に係止解除溝60を設けることにより、第1縁部11と第2縁部22との係止解除に使用される実質的に丸い、または丸い、好適には円形の解除要素の使用が容易とされる。解除細長要素70の丸い形状により、第1パネル1および第2パネル2等のパネルの分解に伴う摩擦力が実質的に減少するため、垂直方向の分解が容易とされ得る。
【0084】
細長要素70の長手方向長さ、例えばその最長延在部は、少なくともパネル1の短辺および/または第1縁部11の長さに対応し得る、および/または、いくつかの実施形態において、後述のように、第1縁部11がヘリンボーンパターンの浮床の一部を形成するように構成されたパネルの長辺に対応する場合のように、舌部30の全長が係止解除状態を実現するのに十分な長さに対応し得る。このような場合、舌部30は、選択的に、このようなパネルの長辺の変位溝40の一部においてのみ延び得る(
図7A~
図7Bおよび
図8A~
図8B参照)。
【0085】
第1係合部34と第2係合部35とは、係止状態において互いに接してもよいし、面一に配置されてもよいし、例えば
図4Aに示すように距離Δxだけ離間してもよい。
【0086】
図4A~
図4Bを参照すると、
図3A~
図3Bの係止システムがより詳細に示されている。
図4Aは係止状態のパネルを示し、
図4Bは係止解除状態のパネルを示す。
図4A~
図4Bから導き出されるように、変位溝40は、底面41と上面42と下面43とを備え、下面43は、舌部30の変位軸Axに平行である。したがって、舌部30は、下面43に平行に変位し得る、および/または直線的に並進移動し得る。変位軸Axは、下面43の平面Pxに平行であり得る。舌部が係止方向および係止解除方向それぞれに変位するにつれ、舌部30は変位軸Axに沿って変位し得る。舌部30は、変位溝40の下面43および/または上面42に接して、またはこれに沿って変位し得る。
【0087】
図4A~
図4Bに示すように、平面Pxの法線Nyは、平面Pxを横切る方向に延びる。
【0088】
係止状態において、第1部分31は、
図4Aに示すように、変位溝40の上面42と舌部溝20の下面との間に挟まれてもよい。
【0089】
舌部30の上面および/または下面は、実質的に平面状、または平面状であり得る。
【0090】
舌部30の第1部分31は、本質的に変位軸Axに沿って延び得るとともに、選択的に、法線方向Nyにおいて実質的に一定の厚さを有し得る。
【0091】
図4Bに概略的に示すように、法線方向Nyにおける寸法Dyは、平面Pxと第1部分31、例えば突出する舌部先端部の下側面との間で測定され得る。
【0092】
Dyは、係止解除状態では係止解除溝60内で測定され得る。
【0093】
Dyは、少なくとも細長要素70の最大直径Dmaxに対応し得る。
【0094】
平面Pxの法線方向Nyにおいて下面43と第1部分31との間の寸法Dyは、少なくとも変位軸Axに沿った第1係合部34と舌部30の最外点31aとの間の寸法Dxに対応し得る。
【0095】
係止状態を示す
図4Aから導き出されるように、変位軸Axに沿った舌部30の最外先端点31aと第2係合部分25の最外点との間の寸法をDaxと表す。舌部30の最外先端点31aにより、水平平面Hに沿った方向において第1縁部11から離れる方向が示される。第2係合部25の最外点により、水平平面Hに沿った方向において第2縁部22から離れる方向が示される。したがって、舌部30が係止解除状態を実現するためには、すなわち、第2係合部25と先端点31とが係合方向Eに沿った方向において重ならないようにするためには、舌部30は、係止解除方向において変位軸Axに沿って少なくとも距離Daxだけ変位しなければならない。第2係合部25と先端点31aとが重ならなくなったとき、舌部は係止解除位置を実現し、パネル2の第2縁部22は、第2縁部の係合方向Eの反対方向における変位、すなわち垂直方向の変位によって、第1パネル1から取り外され得る。これは、
図2Bに示すように、第1縁部11および第2縁部22は、垂直方向の変位に際して、互いに対して本質的に変位しなくてよい、換言すれば、第1縁部11と第2縁部22との特徴部同士の水平方向の関係は、分解中に変化しなくてよいということを意味する。したがって、
図3Aおよび
図4Aに示す係止状態から機械的係止システムを係止解除するためには、
図3Aおよび
図4Aに示すように第1パネル1および第2パネル2が隣接している場合に、第2係合部25の最外点と最外先端点31aとが係合方向Eに沿った方向において重ならなくなるように、係止舌部30を変位させるだけでよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、水平平面Hにおいて第2係合部25と先端点31aとの間の遊びがなくてもよい。
図4Aから導き出されるように、遊びdHを提供するように、寸法Daxは第2係合部25のおおよそ半分の範囲から測定されるように示されているが、遊びゼロとなるように舌部を変位させる場合、Daxは、
図4Cに示すように変位軸Axに沿った舌部30の最外先端点31aと第2係合部25との間の最端距離として測定され得る。
【0097】
したがって、細長要素70の最小断面直径Dminは、舌部30を少なくとも距離Daxだけ変位軸Axに沿って、すなわち係止解除方向において変位させ得る。
【0098】
このため、係止解除溝60は、一定の断面直径であり得る直径Diの細長要素70の受容に応じて、舌部30が係止解除方向に距離Daxだけ変位するように構成され、これにより、舌部30は係止解除状態を取るように構成され得る。
【0099】
特に、係止状態において、第1係合部34と第2係合部25との間の距離Δxは、一定の断面直径であり得る直径Diの細長要素70の受容に応じて、舌部30が係止解除方向において変位軸Axに沿って距離Daxだけ変位するように構成され得る。距離Δxは、平面Hに沿って測定され得る。
【0100】
より具体的には、係止溝60は、係止解除溝60が細長要素70を受容したことに応じて、第1係合部34と第2係合部25との間の距離が本質的に細長要素の直径Diに等しくなったとき、舌部は距離Daxだけ変位軸Axに沿って変位したこととなるように構成され得る。
【0101】
係止状態において、変位軸Axに沿った第1係合部34と第2係合部25の最外点との間の寸法は、Dxより大きくてもよい。
【0102】
図4A~
図4Bに示すように、変位溝40は、例えば第1パネル1であるパネルの平面に対して角度φだけ傾斜していてもよい。したがって、変位軸Axおよび下面平面Pxは、例えば水平平面である平面Hに対して傾斜している。パネル1の上面55および/またはパネル1の下面56は、平面Hに平行であり得る。このことは、舌部30が変位軸Axに沿って並進移動する際に、舌部30の下方向の移動と横方向の移動との間に一定の比率が存在し得ることを意味する。例えば、舌部を距離Daxだけ変位軸Axに沿って変位させ得る。この時、舌部30の典型的には水平方向である横方向の移動は、Dax*cosine(φ)に対応し、下方向の移動はDax*sine(φ)に対応する。このことから、Diは、好適にはΔxとDax*cosine(φ)との合計以上であり、選択的に遊びdHの寸法に対応するマージン分だけ大きいということになる。非限定的な例において、φは、5°~45°、例えば10°~30°、例えば約10°、20°または30°であり得る。
【0103】
係止状態において、舌部30の第1部分31は、変位溝40から、および/または第1縁部11から、細長要素70の断面幅Di以下の距離だけH平面方向に沿って突出するように構成され得る。
【0104】
係止状態において、舌部30の第1部分31、例えば最外点31aは、変位溝40から、および/または第1縁部11から、変位溝40の下面43と第1部分31との間の法線方向Nyにおける距離以下の距離だけH平面方向に沿って突出するように構成され得る。
【0105】
係止解除溝60は、舌部溝20と変位溝40の下面43との間において少なくとも部分的に配置され得る。
【0106】
第2係合部25は、舌部30の第1部分31と変位溝40の下面43の平面Pxとの間における少なくとも中間点まで延び得る。好適には、第2係合部25は、下面43の少なくとも平面Pxまで延びる。
【0107】
第2係合部25の法線方向Nyにおける延在部は、第1係合部34の対応する延在部より大きくてもよい。
【0108】
第2係合部25は、垂直面Vに沿って、またはその内側で延びていてもよい。
【0109】
第2係合部25は、舌部30が変位軸Axに沿って係止解除方向に変位する間、静止していてもよい。
【0110】
係止解除溝60は、そこに細長要素70を挿入することで第1係合部34に係止解除方向の力を加えることにより、係止解除溝60の拡張を促すように構成されていてもよい。
【0111】
舌部30の第1部分31は、変位溝30の上面42に向かう方向に対面する舌部30の外側上方部分を備え得る。舌部30の第2部分32は、変位溝40の下面に向かう方向に対面する舌部30の外側部分、好適には外側下方部分を備え得る。
【0112】
細長要素70は、少なくとも第1縁部11および/または第2縁部22の長さ、例えば第1パネル1および/または第2パネル2の各短辺に対応する長手方向長さを有し得る。あるいは、細長要素70は、
図5Aに示す舌部30のその長手方向Lにおける長さに少なくとも対応する長手方向長さを有し得る。
【0113】
係止溝60は、係止解除状態において細長要素70とともにニードルベアリングを形成し得るため、係合方向と反対方向における、典型的には、
図2A~
図2Bに示すように第2パネルの垂直上方移動によるパネルの分解に際してニードルベアリングとして機能し得る。
【0114】
細長要素70の直径は、0.5~3mmの範囲、例えば0.8~1.5mmの範囲、好適には約1.1mmであり得る。
【0115】
パネル10およびパネル20の厚さは、約3mm~約10mmの範囲、好適には約4mm~約8mmの範囲にあり得る。
【0116】
機械的係止システムは、第1縁部11または第2縁部22において、第1縁部11または第2縁部22の他方における第1係止溝28と水平係止のために協働するように構成された第1係止要素8を備えた第1係止ストリップ6を備えている。
【0117】
図3Cは、第1パネル1の第3縁部13および第3パネル3の第4縁部304の断面を示す。機械的係止システムは、第3縁部13および第4縁部304において、第3縁部13の第2舌部溝12との垂直方向の係止のために協働するように構成された第4縁部304における第2舌部29を備えている。第3縁部13は、第4縁部304の第2係止溝26との水平方向の係止のために協働するように構成された第2係止要素18を有する突出する第2係止ストリップ16を設けられている。第2係止ストリップ16の第2上面19は、垂直方向の係止のために第2舌部29の下面と接触している。図示の機械的係止システムは、第3縁部13および第4縁部304において、角度移動により係止されるように構成されている。第2上面19は、水平平面49に配置されている。
図3Cに示す実施形態は例示的なものであり、第3縁部13および第4縁部304における他の機械的係止システムが想定可能である。
【0118】
第1係止ストリップ6の上面9は、第2係止ストリップ16の上面19と同一の平面49に設けられ得る。
【0119】
第3縁部13および第4縁部304における機械的係止システムは、第4縁部304を中心とする枢動変位等の角度移動により組み付けられるように構成され得る。
【0120】
第1縁部11および第2縁部22における機械的係止システムは、垂直移動により組み付けられるように構成され得る。
【0121】
第1縁部11および第2縁部22における機械的係止システムは、垂直移動により、例えば、第1パネル1に対する第2パネル2の第2縁部22の係合方向Eにおける垂直移動(
図3A参照)により組み付けられるように構成され得る。
【0122】
パネルは、HDF等の木質繊維からなる芯材や、PVC等の熱可塑性プラスチックからなる芯材からなる床板であってもよい。
【0123】
図5A~
図5Bに示すように、舌部30は、面取りされた端部部分36を備え得る。端部部分36は、長手方向Lの端部部分であり得る。具体的には、舌部30の第2部分32は、舌部30の長手方向および横方向に延びる案内面37を形成する面取りされた端部部分36を備え得る。舌部30の第2部分32は、
図5Aに示す長手方向Lの縁部と横方向の縁部とを有し得る。第2部分32の長手方向縁部と横方向縁部との間の移行部、および/または舌部30の長手方向縁部と横方向縁部との間の第2部分32の隅部は、面取りされた端部部分36を備え得る。これにより、舌部30の長手方向および横方向に延びる案内面37が形成される。
【0124】
案内面37は、細長要素70が係止解除溝60に舌部30の長手方向に挿入される際に、細長要素70を舌部30の横方向Tに案内するように構成され得る。
【0125】
図5Aにも示すように、舌部30は、舌部30を付勢して変位軸Axに沿って係止方向に変位させるように構成された付勢手段38を備え得る。付勢手段38は、舌部30と一体的に形成され得る弾性羽根の形状であり得る。付勢手段38は、少なくとも変位溝40の底面41に接するように構成され得る。
【0126】
図6に示すように、第2縁部22は、細長要素70をパネル2の長手方向Lにおいて係止解除溝60に向けて案内するための面取りされた縁部部分36’を備え得る。
【0127】
パネル1およびパネル2は、
図6に示すように、長手方向Lの端部と横方向の端部とを有し得る。第2縁部12、22と第3縁部13、23との間の移行部、および/または第2縁部12、22と第3縁部13、23との間の隅部は、面取りされた端部部分36を備え得る。これにより、パネル1およびパネル2の長手方向Lおよび横方向Tに延びる案内面36’が形成される。
【0128】
図7A~
図7Bおよび
図8A~
図8Cに示す一実施形態において、本発明の概念の一実施形態が、ヘリンボーンパターンで配置することが意図されたパネルに適用されるように構成されている。
【0129】
非限定的な例において、このようなヘリンボーンパターンは、2種類のパネルを備え得る。Aタイプパネル、およびBタイプパネル。AタイプパネルおよびBタイプパネルは、
図7に示すように互いに鏡面対称、および/または互いに対向する像であり得る。
図7AはAタイプパネルを示し、
図7BはBタイプパネルを示す。
【0130】
AタイプパネルおよびBタイプパネルは、それぞれ、短縁部A11、A12、B11、B12と、長縁部A13、A14、B13、B14とを備え得る。A14、B14等の長縁部は、例えば
図3A~
図3Bに関して上述した第1パネル1の第1縁部11に対応する形状を有し得る。A12、B12等の短縁部は、
図3A~
図3Bに関して上述した第2縁部22に対応する縁部であり得る。ただし、A14、B14等の長縁部の一部のみが、
図7A~
図7Bおよび
図8A~
図8Cに示すように、変位可能な舌部30を備えている。
【0131】
パネルAおよびパネルBの各短辺のうちの一方、例えばA11およびB11、またはA12およびB12は、
図3Cを参照して説明した第3縁部13に対応する縁部を備え得るとともに、他方の縁部は
図3Cを参照して説明した第4縁部304の縁部に対応し得る。
【0132】
A13および/またはB13等のさらなる長辺は、
図3Cを参照して説明した第4縁部304に対応する形状を備え得る。これにより、
図8B~
図8Cに示すように、パネルA’またはパネルB’等の隣接するパネルの舌部29が、パネルAまたはパネルB等の隣接するパネルの変位溝40に受容される。つまり、例えば、パネルB’は係止位置において、第2縁部B12’、すなわちパネルB’の短辺の第4縁部A14、すなわちパネルAの長辺に対する垂直方向の変位によって、パネルAに組み付けられ得る。
【0133】
これにより、ヘリンボーンパターンを、三つ編みを形成するように垂直方向の係合により部分的に適用することができる。さらに、ヘリンボーンパターンパネルを、横方向摺動ではなく、回転および/または垂直方向によって係合解除することができる。このため、浮床の組立と分解の両方が非常に容易になる。
【0134】
非限定的な例において、
図8A~
図8Bに示すようなヘリンボーンパターンは、以下の単数または複数のステップを備える方法により分解され得る。すなわち、細長要素70を準備するステップと、細長要素70を、例えばB’である第1パネルの例えばB12’である第2縁部と例えばAである隣接する第2パネルの例えばA14である第4縁部との間の例えば60”である第1係止解除溝に挿入することにより、第1パネルの第2縁部と第2パネルの第4縁部とを垂直方向に係止解除するステップと、前記第1パネルを枢動または角度移動させることにより、第1パネルの例えばB13’である第3縁部と例えばBである隣接する第3パネルの例えばB14である第4縁部とを水平方向に係合解除するステップと、第1パネルを取り外すステップと、細長要素70を、第2パネルの例えばA12である第2縁部と第3パネルの例えばB14である第4縁部との間の例えば60’’’である第2係止解除溝に挿入することにより、第2パネルの第2縁部と第3パネルの第4縁部とを垂直方向に係止解除するするステップと、第2パネルを取り外すステップ。
【0135】
図9Aは、
図8A~
図8Cに示す建築パネルのような組み付けられた建築パネルを分解するための装置69の斜視図を示す。
図9Aの装置は、例えば
図3A、
図3B、
図4Aおよび
図4Bに関して上述した第1パネル1および第2パネル2の機械的係止システムによって、ヘリンボーンパターンを形成すべく組み付けられた建築パネルを分解するのに特に好適であり得る。
【0136】
図9Bは、本発明の概念の一実施形態による位置決め要素71の側面図を示す。
【0137】
位置決め要素71は、変位溝における位置決め要素の意図した配向を示す文字および/または記号等の視覚的表示手段74を備え得る。視覚的表示手段により、使用が容易にされ得る。視覚的表示手段は、使用中の装置の適切な機能を容易にし得る。
【0138】
図9Cは、
図9Bの実施形態の別の側面図を示す。位置決め要素は、位置決め要素の一側から反対側に、好適には位置決め要素の長手方向において延びる貫通孔73を備え得る。
【0139】
【0140】
図10は、本発明の概念の一実施形態よるAタイプパネルまたはBタイプパネルであり得る建築パネル1の変位溝に配置された位置決め要素の断面図を示す。本発明の概念の説明を容易にするように、
図10では細長要素70は省略されているが、典型的には、細長要素は、位置決め要素70の貫通孔73に配置され得る。
図10から導き出されるように、位置決め装置が変位溝40に配置されたとき、位置決め要素により細長要素の中心軸70xが所定位置に容易に配置され得る。好適には、位置決め要素が変位溝に配置されたとき、貫通孔の開口が、係止解除溝60、60’’、60’’’の開口に隣接して配置され得る。
【0141】
好適には、位置決め要素が変位溝に配置されたとき、貫通孔の開口は、係止舌部30の第2部分32に隣接して配置され得る。
【0142】
好適には、位置決め要素が変位溝に配置されたとき、貫通孔の少なくとも一部が係止解除溝と整列され得る。
【0143】
好適には、位置決め要素が変位溝に配置されたとき、貫通孔の少なくとも一部が、案内面37に隣接して配置され得る。
【0144】
好適には、位置決め要素が変位溝に配置されたとき、貫通孔の少なくとも一部が案内面37と整列され得る。
【0145】
位置決め要素により、
図10に示すように、細長要素の中心軸70xが変位溝の底面41から所定距離を置いて、好適には同様に変位溝の下面43から所定距離だけ離れて、選択的に同様に変位溝40の上面42から所定距離だけ離れて位置決めされることが容易になり得る。
【0146】
図11A~
図11Cは、本発明の概念の実施形態による、組み付けられた建築パネルを分解する方法を概略的に示す。
【0147】
図11Aは、2つの組み付けられた建築パネル、例えば第2パネル2に対応し得るとともに第2縁部22を有するパネルAを示す。また、
図11Aは、第1パネル1に対応し得るとともに第1縁部11を有するパネルBの1つの変位溝に配置された
図9Aの装置を示す。
【0148】
図11Bは、係止舌部を係止解除方向に変位させて係止解除位置または状態を得るように
図11Aに示す係止解除溝60、60’’、60’’’に挿入された
図9Aの装置69の細長要素70の少なくとも一部を示す。結果として、係止舌部30の第1部分31と第2パネルの第2縁部22の係合部25との間に水平方向の遊びが提供されるため、第2パネル2は垂直方向に変位され得る。したがって、これにより第2パネル2は第1パネル1から垂直方向に係止解除される。
【0149】
図11Cは、第1パネル1の第1縁部11に対する第2パネル2の第2縁部22の垂直方向の変位によって、第1建築パネルと第2建築パネルとが分解される様子を示している。
【0150】
本明細書において、「約」、「本質的に」、「実質的に」という言葉が数値と関連して使用される場合、関連する数値が記載された数値を中心として±10%の公差を含むことが意図されている。
【0151】
アイテム1
機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネル1、2のセットであって、
前記機械的係止システムは、第1パネル1の第1縁部11に第1開口を有する変位溝40に配置された変位可能な舌部30を備え、前記舌部30は、前記変位溝40内で変位軸Axに沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部30の第1部分31が、隣接する第2パネル2の第2縁部22に第2開口を有する第1舌部溝20と、前記第1縁部11と前記第2縁部22との垂直方向の係止のために協働し、
前記舌部30の第2部分32は、隣接する前記第2パネル2の前記第2縁部22と、前記第1縁部11と前記第2縁部22との垂直方向の係止解除のための細長要素70を介して協働するように構成される、
パネルのセット。
【0152】
アイテム2
前記第2部分32の第1係合部34は、前記細長要素70と係合するように構成されるとともに、係止解除溝60を画定し、前記係止解除溝60は、前記細長要素70を受容することにより、前記舌部30を前記変位軸Axに沿って変位させて、前記第1縁部11と前記第2縁部22との前記垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するように構成される、
アイテム1に記載のパネルのセット。
【0153】
アイテム3
前記第2縁部22の第2係合部25は、前記細長要素70と係合するように構成されるとともに、前記係止解除溝60を画定し、前記第2係合部25は、好適には前記第1舌部溝20の外側に設けられ、より好適には前記第1舌部溝20の外側かつ下方に設けられる、
アイテム1または2に記載のパネルのセット。
【0154】
アイテム4
前記第1係合部34および前記第2係合部25は平面状であり、並んで、および/または平行に、または実質的に平行に、好適には並んでかつ平行に延びる、
アイテム2または3に記載のパネルのセット。
【0155】
アイテム5
前記係止解除溝60は、細長要素70の受容時に、前記係止解除状態を実現するように構成され、前記細長要素70は、前記細長要素70の長手方向において一定の断面幅Diを有する、
アイテム2~4のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0156】
アイテム6
前記変位溝40は、底面41と、上面42と、下面43と、を備え、好適には、前記下面43は、前記上面42と平行である、および/または前記舌部30の前記変位軸Axと平行である、
アイテム1~5のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0157】
アイテム7
前記第2係合部25は、前記下面43の平面Pxの下方に延びる、
アイテム6に記載のパネルのセット。
【0158】
アイテム8
前記下面43の平面Pxの法線方向Nyにおいて前記下面43と前記第1部分(31)との間の寸法Dyは、前記細長要素70の最大直径Diに少なくとも対応する、
アイテム6または7に記載のパネルのセット。
【0159】
アイテム9
前記下面43の平面Pxの前記法線方向Nyにおいて前記下面43と前記第1部分との間の寸法Dyは、前記変位軸Axに沿った前記第1係合部34と前記舌部30の最外点31aとの間の寸法Dxに少なくとも対応する、
アイテム6~8のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0160】
アイテム10
前記下面43の平面Pxの前記法線方向Nyにおいて前記平面Pxと前記第1部分31との間の距離Dyは、前記係止状態において前記変位軸Axに沿った前記第2係合部25と前記舌部30の最外点31aとの間の最大距離寸法Daxに少なくとも対応し、好適には、前記最大距離寸法Daxは、前記第2係合部25の最外点と前記舌部30の最外点31aとの間で測定される、
アイテム6~8のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0161】
アイテム10a
前記寸法Dyは、前記第1部分31の下面上の点から測定され、前記点は、前記法線法線方向Nyにおいて、前記細長要素70の最上点と整列する、
請求項9~10のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0162】
アイテム11
前記第2部分32と前記細長要素70の直径Diとは協働するように構成され、これにより、前記舌部30は、前記変位軸Axに沿って、少なくとも前記第2係合部25の最外点と前記第1部分31の最外点31aとが重ならない程度まで変位する、好適には、水平平面Hにおいて前記第2係合部25の前記最外点と前記第1部分31の前記最外点31aとの間に遊びdHが設けられる程度まで変位する、
アイテム3~10のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0163】
アイテム12
前記第2部分32は、面取りされた縁部部分36を備え、前記縁部部分は、前記舌部の長手方向における外側端部部分であり、面取りされた前記縁部部分36は、前記細長要素70を前記舌部30の横方向Tにおいて案内するように構成された案内面37、好適には面取りされた長手方向縁部部分36を形成する、
先行アイテムのいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0164】
アイテム13
前記第2縁部22は、前記細長要素70を前記舌部30に向けて案内するための面取りされた縁部部分36’を備える、
先行アイテムのいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0165】
アイテム14
前記細長要素70は、その横方向平面において、120度未満、好適には90度未満の角度で回転対称の断面を有し、より好適には円形である、
先行アイテムのいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0166】
アイテム15
前記細長要素70は、好適には、前記第2部分32と前記第2縁部22とに同時に接するように構成される、
先行アイテムのいずれか一項に記載のパネルのセット。
【0167】
アイテム16
機械的係止システムを設けられた建築パネル等の本質的に同一のパネル10、20のセットを垂直方向に係止解除するための方法であって、
前記機械的係止システムは、第1パネル10の第1縁部11に第1開口を有する変位溝40に配置された変位可能な舌部30を備え、前記舌部30は、前記変位溝40内で変位軸Axに沿って変位して係止状態を実現するように構成され、前記係止状態において、前記舌部30の第1部分31は、隣接する第2パネル2の第2縁部22に第2開口を持つ第1舌部溝20と、前記第1縁部11と前記第2縁部22との垂直方向の係止のために協働し、
前記方法は、細長要素70を係止解除溝60に挿入することにより前記舌部30を前記変位軸Axに沿って変位させて前記第1縁部11と前記第2縁部22との垂直方向の係止解除のための係止解除状態を実現するステップを備え、前記係止解除溝60は、前記舌部30の前記第2部分の第1係合部34により画定されるとともに、前記第2パネル2の前記第2縁部22の第2係合部25であって、前記舌部溝20の外側に配置された第2係合部25によりさらに画定される、
方法。
【0168】
アイテム17
前記第1部分32および前記細長要素70の前記直径Diは、協働するように構成され、これにより、前記舌部30は、前記変位軸Axに沿って、少なくとも前記第2係合部25の最外点と前記第1部分31の最外点31aとが重ならない程度まで変位する、
アイテム16に記載の方法。
【0169】
アイテム18
前記第2部分32と前記細長要素70の前記直径Diとは協働するように構成され、これにより、前記舌部30は、前記変位軸Axに沿って、少なくとも前記第2係合部25の前記最外点と前記第1部分31の前記最外点31aとの間に水平方向Hの遊びが設けられる程度まで変位する、
アイテム16または17に記載の方法。
【0170】
アイテム19
-位置決め要素71を前記細長要素70に設けるステップと、
-前記位置決め要素を前記変位溝40に配置するステップと、
をさらに備えるアイテム16~18のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
アイテム20
機械的係止システムにより組み付けられた建築パネル1、2の前記機械的係止システムを係止解除するための装置69であって、前記機械的係止システムは、隣接する建築パネルを水平方向および垂直方向に係止するように構成され、
前記係止システムは、第1建築1の第1縁部11に、前記第1建築パネルの前記第1縁部に設けられた変位溝40内で変位するように構成された変位可能な係止舌部30を備え、前記係止舌部は、係止位置と係止解除位置との間で変位するように構成され、
前記係止位置において、前記係止舌部30は、突出位置にあるように構成され、第2の隣接する建築パネル2の隣接する縁部22に設けられた舌部溝20と協働するように前記変位溝から突出し、
前記係止解除位置において、前記係止舌部は、後退位置にあるように構成され、
前記係止解除装置は、細長要素70と位置決め要素71とを備え、
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されるように構成される、
装置。
【0172】
アイテム21
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されることにより、前記細長要素70の中心軸70xを前記変位溝の底面41から所定距離だけ離れるように位置決めするように構成される、
アイテム20に記載の装置。
【0173】
アイテム22
前記位置決め要素は、前記細長要素70の中心軸70xを前記第1縁部11と平行に、好適には第1パネルの上面55と平行に位置決めするように構成される、
アイテム20に記載の装置。
【0174】
アイテム23
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されることにより、前記細長要素の中心軸を前記変位溝の下面43から所定距離だけ離れるように位置決めするように構成される、
アイテム20~22のいずれか一項に記載の装置。
【0175】
アイテム24
前記係止位置において、前記係止舌部の第1部分31は、第2の隣接する建築パネル2の隣接する縁部22に設けられた舌部溝20と協働する、
アイテム20~23のいずれか一項に記載の装置。
【0176】
アイテム25
前記係止解除位置において、前記係止舌部の前記第1部分は、前記第1部分31の最外点31aと、隣接する前記第2パネル2の前記第2縁部22の下部25であって、例えば前記係止舌部の前記外部の鉛直方向下方の下部25との間に水平方向Hの遊びが提供されるように構成される、
アイテム20~24のいずれか一項に記載の装置。
【0177】
アイテム26
前記係止舌部は、前記係止を前記係止解除位置に変位させるための前記細長要素と協働するように構成された第2下部を備える、
アイテム20~25のいずれか一項に記載の装置。
【0178】
アイテム27
前記第1パネルと前記第2パネルとが組付位置に配設されているとき、前記第2部分は、前記第2パネルの前記第2縁部の縁部部分とともに係止解除溝60、60’’、60’’’を形成するように構成され、前記縁部部分は、前記舌部溝の下方かつ外側に設けられる、
アイテム20~26のいずれか一項に記載の装置。
【0179】
アイテム28
前記細長要素は、回転対称である、
アイテム20~27のいずれか一項に記載の装置。
【0180】
アイテム29
前記細長要素の前記中心軸は、前記舌部溝の下方に/前記係止舌部の前記外部の下方に少なくとも部分的に配置される、
アイテム20~28のいずれか一項に記載の装置。
【0181】
アイテム30
前記装置は、ハンドル72を備える、
アイテム20~29のいずれか一項に記載の装置。
【0182】
アイテム31
前記位置決め要素は、前記細長要素に配置されるとともに、好適には、前記細長要素に沿って変位するように構成される、
アイテム20~30のいずれか一項に記載の装置。
【0183】
アイテム32
機械的係止システムにより組み付けられた建築パネル1、2の前記機械的係止システムを係止解除するための装置69であって、前記機械的係止システムは、隣接する建築パネルを水平方向および垂直方向に係止するように構成され、
前記係止システムは、第1建築1の第1縁部11に、前記第1建築パネルの前記第1縁部に設けられた変位溝40内で変位するように構成された変位可能な係止舌部30を備え、前記係止舌部は、係止位置と係止解除位置との間で変位するように構成され、
前記係止位置において、前記係止舌部30は、突出位置にあるように構成され、第2の隣接する建築パネル2の隣接する縁部22に設けられた舌部溝20と協働するように前記変位溝から突出し、
前記係止解除位置において、前記係止舌部は、後退位置にあるように構成され、
前記係止解除装置は、細長要素70と位置決め要素71とを備え、
前記位置決め要素は、前記変位溝に受容されることにより、前記細長要素の中心軸70xを係止解除溝60、60’’、60’’’と整列させるように構成され、前記係止解除溝60、60’’、60’’’は、前記細長要素を受容して、前記細長要素の前記係止解除溝への挿入に応じて前記係止舌部を前記係止解除位置に配設するように構成される、
装置。
【0184】
アイテム33
前記係止舌部は、前記係止を前記係止解除位置に変位させるための前記細長要素と協働するように構成された第2下部32を備え、
前記第2パネルの前記第2縁部部分25は、前記舌部溝の下方かつ外側に設けられ、
前記第1パネルと前記第2パネルとが組付位置に配設されているとき、前記係止解除溝60、60’’、60’’’は、前記係止舌部の前記第2部分32および前記第2縁部22の前記縁部部分25により形成される、
アイテム32に記載の装置。
【0185】
アイテム34
前記建築パネルは、建築パネルのセットを備える、
アイテム20~33のいずれか一項に記載の装置。
【0186】
アイテム35
アイテム1~14のいずれか一項に記載の前記建築パネルと、請求項20~34のいずれか一項に記載の装置と、を備えるキット。