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特許7574197電池放電のアンダー電圧保護方法、電池装置及び電気機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電池放電のアンダー電圧保護方法、電池装置及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241021BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241021BHJP
   G01R 31/3835 20190101ALI20241021BHJP
   G01R 31/374 20190101ALI20241021BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/3835
G01R31/374
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021540790
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2021095187
(87)【国際公開番号】W WO2022241766
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2021-07-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520124888
【氏名又は名称】東莞新能安科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Poweramp Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xinghui Road, Songshan Lake Park, Dongguan City, Guangdong Province, 523000, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】沈 正斌
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-081300(JP,A)
【文献】特開2007-162657(JP,A)
【文献】特開2010-028963(JP,A)
【文献】特開2010-090726(JP,A)
【文献】特開2013-209984(JP,A)
【文献】特開2016-170885(JP,A)
【文献】特開2016-197955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
G01R 31/3835
G01R 31/374
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池放電のアンダー電圧保護方法であって、
異なる温度区間での電池の放電深さを予め設定するステップと、
電池の温度値及び第1電圧値を取得するステップと、
前記温度値に基づいて、前記温度値に対応する温度区間を特定し、前記温度区間に基づいて、前記温度区間に対応する放電深さを確定するステップと、
前記電池のパラメータ対応関係に基づいて、前記第1電圧値に対応する前記電池の第1残存容量比を確定するステップと、
前記電池の放電容量比を大きくするために、前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて第2アンダー電圧閾値を確定するステップと、を含み、
前記パラメータ対応関係とは、残存容量比と開回路電圧との対応関係を指し、
前記第1アンダー電圧閾値は、予め定められたアンダー電圧閾値であり、前記第2アンダー電圧閾値は、動的に調整された後のアンダー電圧閾値であり、
前記電池の放電容量比を大きくするために、前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて第2アンダー電圧閾値を確定するステップは、
前記放電深さに応じて前記電池の第2残存容量比を決定するステップと、
前記第1残容量比が前記第2残容量比より大きいことに応答して、前記パラメータ対応関係に基づいて、前記第2残容量比に対応する第2電圧値を決定するステップと、
前記第1電圧値、前記第2電圧値および前記第1アンダー電圧閾値に基づいて、前記第2アンダー電圧閾値を決定するステップとを含むことを特徴とする電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項2】
前記第1電圧値、前記第2電圧値および前記第1アンダー電圧閾値に基づいて、前記第2アンダー電圧閾値を決定するステップステップは、
前記第1電圧値および前記第2電圧値の電圧値変化量を確定するステップと、
前記電圧値変化量と前記アンダー電圧閾値とに基づいて、前記第2アンダー電圧閾値を確定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項3】
前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて、第2アンダー電圧閾値を確定した後に、
前記電池の放電遮断後の第3電圧値を取得して、前記第2アンダー電圧閾値と前記第3電圧値とに基づいて、前記電池に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを確定することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項4】
前記第2アンダー電圧閾値と前記第3電圧値とに基づいて、前記電池に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを確定するステップは、
前記第3電圧値に基づいて、第4電圧値を特定し、前記第4電圧値が前記第2アンダー電圧閾値より小さければ、前記電池をアンダー電圧保護すると確定することを含むことを特徴とする請求項3に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項5】
前記電池のパラメータ対応関係から前記第1電圧値に対応する前記第1残存容量比を確定する前に、
前記電池の容量がフル容量に達するまで前記電池を充電することと、
前記フル容量に応じた満充電電圧を取得することと、
前記電池の電圧が放電遮断電圧に達するまで前記電池を放電することと、
前記電池の放電中の電圧値と前記電圧値に応じた荷電状態を取得することと、
前記電圧値と前記電圧値に対応する電荷状態とに基づいて、前記パラメータ対応関係を確定することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項6】
前記第1残存容量比と前記放電深さとに基づいて、前記電池の第2残存容量比を確定するステップは、
前記第1残存容量比に基づいて、前記電池の第1放電容量比を確定することと、
前記第1放電容量比と前記放電深さとに基づいて、前記第2残存容量比を確定することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法。
【請求項7】
電池と、プロセッサと、メモリとを備え、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサにより実行されると、請求項1から6のいずれか一項に記載の電池放電のアンダー電圧保護方法を実現することを特徴とする電池装置。
【請求項8】
負荷と、請求項7に記載の電池装置とを備え、前記電池装置は、前記負荷に電気エネルギーを供給することを特徴とする電気機器。
【請求項9】
ドローン、電気自動車、電動工具及びエネルギー貯蔵製品のいずれかを含むことを特徴とする請求項8記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、詳しくは、電池放電のアンダー電圧保護方法、電池装置、及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池のアンダー電圧保護制御には、通常、固定的なアンダー電圧保護点を設ける方法を採用する。固定的なアンダー電圧保護点は、2.8V~3.0Vの範囲内に設けられる。共通の保護点は、一級のアンダー電圧アラーム3.0V、二級のアンダー電圧保護2.9V、三級のアンダー電圧保護2.8Vである。しかしながら、電池を低温条件下で放電すると、電池の放電容量比が急激に小さくなり、電池の低温での容量要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願は、電池の低温での放電容量比が減少するという問題を解決することができる電池放電のアンダー電圧保護方法、電池装置及び電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一実施例に係る電池放電のアンダー電圧保護方法は、電池の温度値及び第1電圧値を取得するステップと、前記温度値に基づいて、前記電池の放電深さを確定するステップと、前記第1電圧値に基づいて、前記電池の第1残存容量比を確定するステップと、前記電池の放電容量比を大きくするために、前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて第2アンダー電圧閾値を確定するステップと、を含む。ここで、前記第1アンダー電圧閾値は、予め定められたアンダー電圧閾値であり、前記第2アンダー電圧閾値は、動的に調整された後のアンダー電圧閾値である。
【0005】
一態様において、前記温度値に応じて、前記電池の放電深さを確定するステップは、前記温度値に対応する温度区間を確定することと、前記温度区間に基づいて、前記温度区間に対応する前記放電深さを確定することと、を含む。
【0006】
他の態様において、前記第1電圧値に基づいて、前記電池の第1残存容量比を確定するステップは、前記電池のパラメータ対応関係から前記第1電圧値に対応する前記第1残存容量比を確定することを含み、ここで、前記パラメータ対応関係とは、残存容量比と開回路電圧との対応関係である。
【0007】
他の態様において、前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて第2アンダー電圧閾値を確定するステップは、前記第1残存容量比と前記放電深さとに基づいて、前記電池の第2残存容量比を確定することと、前記パラメータ対応関係に基づいて、前記第2残存容量比に対応する第2電圧値を確定することと、前記第2電圧値と前記第1電圧値とに基づいて、前記電池の電圧値の変化量を確定することと、前記電圧値の変化量と前記第1アンダー電圧閾値とに基づいて、前記第2アンダー電圧閾値を確定することと、を含む。
【0008】
他の態様において、前記第1残存容量比、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値に基づいて、第2アンダー電圧閾値を確定した後、
前記電池の放電遮断後の第3電圧値を取得して、前記第2アンダー電圧閾値と前記第3電圧値とに基づいて、前記電池に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを確定することをさらに含む。
【0009】
他の態様において、前記第2アンダー電圧閾値と前記第3電圧値とに基づいて、前記電池に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを確定するステップは、
前記第3電圧値に基づいて、第4電圧値を特定し、前記第4電圧値が前記第2アンダー電圧閾値より小さければ、前記電池をアンダー電圧保護すると確定することを含む。
【0010】
他の態様において、前記電池のパラメータ対応関係から前記第1電圧値に対応する前記第1残存容量比を確定する前に、
前記電池の容量がフル容量に達するまで前記電池を充電することと、
前記フル容量に応じた満充電電圧を取得することと、
前記電池の電圧が放電遮断電圧に達するまで前記電池を放電することと、
前記電池の放電中の電圧値と前記電圧値に応じた荷電状態を取得することと、
前記電圧値と前記電圧値に対応する電荷状態とに基づいて、前記パラメータ対応関係を確定することと、をさらに含む。
【0011】
他の態様において、前記第1残存容量比と前記放電深さとに基づいて、前記電池の第2残存容量比を確定するステップは、
前記第1残存容量比に基づいて、前記電池の第1放電容量比を確定することと、
前記第1放電容量比と前記放電深さとに基づいて、前記第2残存容量比を確定することと、を含む。
【0012】
本願の一実施形態に係る電池装置は、電池と、プロセッサと、メモリとを備え、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサにより実行される時に、本願実施形態の電池放電のアンダー電圧保護方法を実現する。
【0013】
本願の一実施形態に係る電気機器は、負荷と、電池装置とを備え、前記電池装置は、前記負荷に電気エネルギーを供給する。
【0014】
なお、一実施形態において、前記電気機器は、ドローン、電気自動車、電動工具及びエネルギー貯蔵製品のいずれかを含む。
【発明の効果】
【0015】
本願の実施形態は、電池の温度値、第1電圧値及び第1アンダー電圧閾値によって、第2アンダー電圧閾値を確定し、さらに異なる温度区間でのアンダー電圧閾値を確定して、異なる温度区間で異なるアンダー電圧閾値を選択することにより、アンダー電圧閾値に対する動的調整を図り、前記電池の低温での放電容量比を大きくする。さらに、本願の実施形態は、前記電池が放電を遮断した後の第3電圧と前記第2アンダー電圧閾値とに基づいて、電池に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを確定し、前記電池をあまりにも早期にアンダー電圧保護することを回避し、前記電池の低温での放電容量比を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電池の異なる温度における電圧と放電容量比とのグラフである。
図2】本開示の一実施形態に係る電池装置のブロック図である。
図3】本開示の一実施形態に係る電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。
図4】本開示の他の実施形態による電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。
図5】本開示の他の実施形態による電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。
図6】本開示の他の実施形態による電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。
図7】本開示の他の実施形態による電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。
図8】電池の異なる作動状態における開回路電圧の曲線である。
図9】電池が放電を遮断した後の異なる温度での開回路電圧の曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解できるように、以下、図面及び具体的実施例を併せて本願について詳細に説明する。なお、衝突しない場合、本願の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。以下の説明において、本願を十分に理解するために具体的な細部も多数記載されているが、あらゆる実施例ではなく、本願の一部の実施例のみである。
【0018】
なお、フローチャートには論理的な順序が示されているが、いずれの場合も、図示または説明したステップをフローチャートと異なる順序で実行してもよい。本願実施例に開示される方法は、方法を実現するための一または複数のステップまたは動作を含む。方法ステップ及び/または動作は、特許請求の範囲を逸脱することなく相互に入れ替えられてもよい。言い換えれば、ステップまたは動作の特定の順序を指定しない限り、特定のステップおよび/または動作の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0019】
図1は、電池の異なる温度における電圧と放電容量比とのグラフである。ただし、S11は、0.3C放電倍率及び45℃での電圧と放電容量比の曲線である。S12は、0.3C放電倍率及び25℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S13は、0.3C放電倍率及び15℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S14は、0.3C放電倍率及び0℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S15は、0.3C放電倍率及び-10℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S16は、0.3C放電倍率及び-20℃での電圧と放電容量比とのグラフである。
【0020】
図1に示すように、同じ放電倍率(例えば0.3C)では、電池の異なる温度での放電容量比が異なる。温度が低くなるにつれて、電池の放電容量比が急激に低下する。
【0021】
本願の実施例において、温度とは環境温度を意味し、電池が異なる温度にあるとは電池が異なる環境温度にあることを意味する。
【0022】
本願の実施例において、電圧とは、電池の開回路電圧(Open Circuit Voltage,OCV)を意味し、即ち、電池の開回路状態における端子電圧である。
【0023】
本願の実施例において、放電容量比とは、電池が放出する容量が定格容量を占める割合を意味する。
【0024】
表1は、電池の異なる温度での放電容量比の状況を示している。図1と表1とを併せて参照すると、まず、同じ温度(例えば25℃)の下で、同じ充電倍率(例えば0.3C)で電池を充電する。次に、前記電池の電圧が放電遮断電圧(例えば2.5V)になるまで、同じ放電倍率(例えば0.3C)及び異なる温度で前記電池を放電させる。最後に、前記電池の放電容量比を確定する。表1から明らかなように、温度が低下するにつれて、前記電池の放電容量比が急激に低下する。
【0025】
【0026】
電池の低温での放電容量比が急激に減少するため、電池の低温での放電容量が必要を満たすことができなくなる。
【0027】
これに基づき、本願は、電池の低温での放電容量比を大きくすることができる電池放電のアンダー電圧保護方法、電池装置及び電気機器を提供する。
【0028】
図2は、電池装置20のブロック図である。図2に示すように、電池装置20は、メモリ21と、プロセッサ22と、電池23と、センサー24とを備えており、これらの要素間はバスを介して接続されてもよく、直接接続されてもよい。
【0029】
前記メモリ21は、プログラムコードと各種のデータを記憶し、且つ電池装置20の動作中にプログラムまたはデータのアクセスを完了するために使用される。前記メモリ21は、電池装置20に内蔵された内部メモリであっても良い。他の実施形態では、前記メモリ21は、電池装置20の外部メモリ、即ち、電池装置20に外接されたメモリであってもよい。
【0030】
前記メモリ21は、デジタル汎用ディスク(Digital Versatile Disc,DVD)や他の光ディスク、磁気ディスク、ハードディスク、スマートメモリカード(Smart Media Card,SMC)、セキュリティデジタル(Secure Digital,SD)カード、フラッシュカード(Flash Card)などの揮発性または不揮発性の記憶デバイスを含む。
【0031】
前記プロセッサ22は、中央処理ユニット(Central Processing Unit,CPU)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、専用集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェア組立体などを含む。
【0032】
一実施形態では、前記電池23は充電可能な電池であり、前記電池装置20に電気エネルギーを供給するために使用される。例えば、前記電池23は、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウム高分子電池及びリン酸鉄リチウム電池などであっても良い。前記電池23は、電気セルを含む。前記センサー24は、前記電気セルの表面に設けられ、電気セルの表面の温度を測定することにより、環境温度を得ることができる。一実施形態では、前記センサー24は負の温度係数(Negative Temperature Coefficient,NTC)のサーミスタである。前記電池装置20は、電圧センサー、電流センサー、光センサー、ジャイロスコープ、湿度計、赤外線センサーなどの他のセンサーを含んでもよいことが理解される。
【0033】
また、電池装置20は、より多くまたはより少ない素子を含んでもよく、または異なる素子構成を有してもよい。前記電池装置20は、電気機器10に適用されてもよい。前記電気機器10は、無人機、電気自動車、電動工具、エネルギー貯蔵製品などを含むが、これらに限定されない。前記電動工具は、電動ドライバー、電気ドリル、電動レンチ、角研削機、鋼材機、電気ハオ、電気ハンマー、雲石機、ワイヤーソーなどを含むが、これらに限らない。前記エネルギー貯蔵製品は、携帯電話、タブレットコンピュータ、電子書籍リーダー、コンピュータ、ワークステーション、サーバ、パーソナルデジタルアシスタント(Personal Digital Assistant,PDA)、携帯式マルチメディアプレーヤー(Portable Multimedia Player,PMP)、モバイル医療機器、カメラ、着用可能設備、光伏インバータ、風電変流器、エネルギー貯蔵システム、新エネルギー自動車駆動システム及び太陽光発電設備などを含むが、これらに限定されない。
【0034】
一実施形態では、前記電気機器10は、前記電池装置20と負荷11とを備え、前記電池装置20は、前記負荷11に電気エネルギーを供給するために用いられる。
【0035】
前記負荷11は、冷蔵庫、コールドドリンクマシン、エアコン、扇風機、換気扇、冷熱器、空気吸湿器、洗濯機、衣類乾燥機、電気アイロン、掃除機、床ワックスがけ機、電子レンジ、電磁レンジ、オーブン、炊飯器、皿洗い機、電気温水器、電気毛布、電気布団、電熱服、空間加熱器、電気シェーバー、電気ドライヤー、整髪器、超音波洗顔器、電気マッサージ器、マイクロプロジェクター、テレビ、ラジオ、録音機、ビデオレコーダー、ビデオカメラ、オーディオ、花火警報器、ベル、電灯、コンピュータなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
一実施形態では、電池装置20は、電池管理システム(Battery Management System,BMS)をさらに含む。前記電池23は、前記電池管理システムを介して前記プロセッサ22に接続されて、前記電池管理システムによって充電、放電及び電力消費管理などの機能を実現する。電池管理システムは、エネルギー変換器(Power Conversion System,PCS)と通信可能に接続されている。
【0037】
図3は、一実施形態による電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。前記電池放電のアンダー電圧保護方法は、次のステップを含む。
【0038】
S31では、前記電池23の温度値と第1電圧値Uとを取得する。
【0039】
本実施例では、前記電池23の温度値とは、前記電池23がある環境の温度値を意味する。前記電池23が静置状態にあるときに、前記電池23の温度値と第1電圧値Uを取得する。前記静置状態とは、前記電池23の充電または放電電流が0Aに近い状態を指す。一実施形態では、前記電池23の充電または放電電流が0.5Aより小さい状態を静置状態と定義する。
【0040】
具体的には、前記電池装置20は、前記センサー24により、前記電池23の温度値(例えば-20℃~50℃におけるいずれかの温度値)を取得する。前記電池装置20は、電池管理システムにより、前記電池23の第1電圧値U(例えば、2.0V~3.6Vにおけるいずれかの電圧値)を取得する。
【0041】
本実施例では、前記電池装置20は、前記電池23の温度値と第1電圧値Uとをリアルタイムに取得したり、予め設定された時間間隔(例えば、1sまたは2sなど)で前記電池23の温度値と第1電圧値Uを取得したりすることができる。前記プリセット時間間隔は、具体的な需要に応じて決められる。
【0042】
S32では、前記温度値に基づいて前記電池23の放電深さ(Depth Of Discharge,DOD)を確定する。
【0043】
本実施例では、放電深さ(DOD)とは、電池23が放出する容量が定格容量を占める割合を意味する。本願の実施例では、電池23の放電深さの取得値は、放電容量比の取得値と等しいことが理解される。
【0044】
一実施形態では、前記電池装置20は、収集された前記温度値に基づいて、前記温度値に対応する温度区間を確定する。前記放電深さは、前記温度区間と一定の対応関係がある。前記電池23は、異なる温度区間にある場合には、前記放電深さもそれぞれ異なる。前記温度区間が確定されると、前記放電深さもそれに応じて確定される。例えば、前記温度区間が15℃~45℃であると、前記放電深さは95%である。前記温度区間が-20℃~-10℃であると、前記放電深さは70%である。
【0045】
また、前記放電深さと前記温度区間との対応関係は、前記電池23の設計ニーズに応じて決められる。例えば、電池23が設計された最初に、異なる温度区間での前記電池23の放電深さを予め設定することができる。
【0046】
S33では、前記第1電圧値Uに基づいて、前記電池23の第1残存容量比Qを確定する。
【0047】
本実施例では、電池23の残存容量比Qと開回路電圧Uとは、一定の対応関係がある。前記開回路電圧Uの設定値が確定されると、前記残存容量比Qの設定値も相応的に確定される。例えば、前記開回路電圧Uが3.6Vである場合には、前記残存容量比Qは100%である。前記開回路電圧Uが3.3Vである場合には、前記残存容量比Qは80%である。
【0048】
本実施形態では、残存容量比Qとは、電池23の残容量が定格容量を占める割合を意味する。本願の実施例において、電池23の残存容量比Qの設定値と放電容量比の設定値との和が100%である。
【0049】
また、残存容量比Qと開回路電圧Uとの対応関係は、前記電池23の設計ニーズに応じて決められてもよい。例えば、電池23の設計の最初に、前記残存容量比Qと開回路電圧Uとの対応関係が予め設定されてもよい。一実施形態では、前記残存容量比Qと開回路電圧Uとの対応関係は正相関関係である。
【0050】
一実施形態では、前記電池装置20は、前記電池23のパラメータ対応関係に基づいて、前記第1電圧値Uに対応する前記第1残存容量比Qを確定する。ここで、前記パラメータ対応関係とは、残存容量比Qと開回路電圧Uとの対応関係を意味する。
【0051】
本願の実施例では、前記第1電圧値U及び以下に記載する第2電圧値U、第3電圧値U、第4電圧値Uは、いずれも前記電池23の開回路電圧値である。
【0052】
一実施形態では、図4に示すように、ステップS33の前に、前記電池放電のアンダー電圧保護方法は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0053】
S41では、前記電池23の容量がフル容量になるまで、前記電池23に充電する。
【0054】
本実施例では、フル容量とは、前記電池23の荷電状態(State of Charge,SOC)が100%であることを意味する。
【0055】
本実施例では、前記電池装置20は、前記電池23に対して、定電流充電(Constant-Current Charging,CC)方式で充電してもよいし、定圧充電(Constant -Voltage Charging,CV)方式で充電してもよいし、定電流定圧充電(CC-CV)方式で充電してもよい。本願は、前記電池23の充電方式を限定するものではない。
【0056】
S42では、前記フル容量に対応する満充電電圧を取得する。
【0057】
本実施例では、充電電流が予め設定された充電倍率(例えば0.05C)を超えず、且つ前記電池23の容量が前記フル容量に達した場合、前記電池装置20は前記電池23の電圧値を取得する。前記電圧値は、所謂満充電電圧値である。
【0058】
S43では、前記電池23の電圧が放電遮断電圧に達するまで、前記電池23に対して放電させる。
【0059】
本実施例において、前記放電遮断電圧とは、前記電池23が過度に放電するのを防止して、前記電池23の放電を停止するための電圧である。
【0060】
また、前記放電遮断電圧は、前記電池23の設計ニーズに応じて決められてもよいことが理解される。例えば、前記温度区間が15℃~45℃である場合には、前記放電遮断電圧が2.8Vとして設定される。前記温度区間が-20℃~-10℃である場合には、前記放電遮断電圧が2.1Vとして設定される。
【0061】
本実施例では、前記電池装置20は、予め設定された放電倍率(例えば、0.3C、0.5C、または1.0Cなど)によって前記電池23を放電することができる。本願は、前記予め設定された放電倍率の設定値を制限しない。
【0062】
S44では、前記電池23の放電中の電圧値と前記電圧値に対応する荷電状態(SOC)を取得する。
【0063】
本実施例では、前記電池23が放電されるときに、前記電池装置20は、前記電池管理システムにより、前記電池23の電圧値と前記電圧値に対応する負荷状態(SOC)とをリアルタイムに取得することができる。前記荷電状態(SOC)の値は、前記残存容量比Qの値と等しい。
【0064】
S45では、前記電圧値と前記電圧値に対応する荷電状態(SOC)とに基づいて、前記電池23のパラメータ対応関係を確定する。
【0065】
本実施例では、前記パラメータ対応関係とは、残存容量比Qと開回路電圧Uとの対応関係を指す。
【0066】
本実施例では、前記電池装置20は、前記電池23の放電中の電圧値と前記電圧値に対応する負荷状態(SOC)に応じて、前記電池23の開回路電圧と荷電状態(OCV-SOC)の特性曲線をシミュレートすることができる。
【0067】
また、前記電池23の開回路電圧Uと残存容量比Qの特徴曲線(即ち、前記パラメータ対応関係)は、前記開回路電圧と荷電状態(OCV-SOC)の特性曲線と同じである。
【0068】
また、上記のステップS41~S45は、前記電池23のパラメータ対応関係を取得する一実施形態の具体的なステップである。
【0069】
S34では、第1残存容量比Q、前記放電深さ及び第1アンダー電圧閾値Uに基づいて、第2アンダー電圧閾値Uを確定する。
【0070】
本願の実施例において、前記第1アンダー電圧閾値U0は、予め設定されたアンダー電圧閾値(例えば、2.8V、2.9V、または3.0Vなど)である。前記第2アンダー電圧閾値Uは、動的に調整された後のアンダー電圧閾値(例えば、2.1V、2.2V、または2.4Vなど)である。
【0071】
一実施形態では、図5に示すように、ステップS34は、以下のサブステップを含んでもよい。
【0072】
S341では、前記第1残存容量比Q及び前記放電深さに基づいて、前記電池23の第2残存容量比Qを確定する。
【0073】
本実施例では、前記電池装置20は、前記第1残存容量比Q及び前記放電深さに基づいて、前記電池23の第2残存容量比Qを確定することができる。
【0074】
一実施形態にでは、図6に示すように、ステップS341は、以下のサブステップを含んでもよい。
【0075】
S3411では、前記第1残存容量比Qに基づいて、前記電池23の第1放電容量比を確定する。
【0076】
本実施例では、前記第1残存容量比Qと前記第1放電容量比との和が100%である。前記第1残存容量比Qに基づいて、前記第1放電容量比が(100%-Q)であることを計算し得る。
【0077】
S3412では、前記第1放電容量比と前記放電深さとに基づいて、前記第2残存容量比Qを確定する。
【0078】
本実施例では、前記放電深さをDODとし、前記第1放電容量比が前記放電深さに等しい場合(即ち、100%-Q=DOD)、現在の温度値が前記電池23の放電容量比に影響せず、前記第2残存容量比Qが前記第1残存容量比Qに等しい(即ち、Q=Q)ことを表明する。このとき、前記第1アンダー電圧閾値U0を調整する必要はない。
【0079】
前記第1放電容量比が前記放電深さ(即ち、100%-Q<DOD)よりも小さい場合、現在の温度値によって、前記電池23の放電容量比が減少され、前記第2残存容量比Q=100%-DODであることを表明する。このとき、前記電池23の放電容量比を大きくするために、前記第1アンダー電圧閾値Uを小さくし、即ち、前記第1アンダー電圧閾値Uを前記第2アンダー電圧閾値Uに調整する必要がある。
【0080】
また、低温影響により、前記電池23の第1放電容量比Qは、予め設定された前記放電深さDODに比べて小さくなることが分かる。つまり、前記電池23は、低温で一部の放電容量比であるDOD-(100%-Q)が損なわれている。前記電池23の低温での放電容量比を大きくしようとすると、前記第1アンダー電圧閾値Uを小さくすることで、前記電池23の低温で損失された放電容量比を補う必要がある。
【0081】
前記第1アンダー電圧閾値U0が小さくされる(即ち、放電遮断電圧が低減される)と、前記電池23はより多くの容量を放出することが可能である。
【0082】
S342では、前記パラメータ対応関係に基づいて、前記第2残存容量比Qに対応する第2電圧値Uを確定する。
【0083】
本実施例では、前記電池装置20は、前記電池23のパラメータ対応関係に基づいて、前記第2残存容量比Qに対応する第2電圧値Uを確定することができる。
【0084】
また、前記第1放電容量比が前記放電深さ(即ち、100%-Q<DOD)よりも小さい場合、前記第1残存容量比Qは、前記第2残存容量比Qよりも大きい(即ち、Q>Q)。これに応じて、前記第1電圧値Uは、前記第2電圧値Uよりも大きい(即ち、U>U)。
【0085】
S343では、前記第2電圧値Uと前記第1電圧値Uとに基づいて、前記電池23の電圧値の変化量ΔUを確定する。
【0086】
本実施例では、前記電池23の電圧値の変化量ΔU=U-Uである。前記電圧値の変化量ΔUは、前記電池23が低温の影響を受けることに起因すると理解される。
【0087】
S344では、前記電圧値の変化量ΔUと前記第1アンダー電圧閾値Uとに基づいて、前記第2アンダー電圧閾値Uを確定する。
【0088】
本実施例では、前記電池23が低温で損失する放電容量比(即ち、DOD-(100%-Q))を補償するために、前記第2アンダー電圧閾値U=U-ΔUである。
【0089】
また、前記第1アンダー電圧閾値Uを第2アンダー電圧閾値U=U-ΔUに調整すると、前記電池23の放電を継続可能な容量比がDOD-(100%-Q)であると理解できる。
【0090】
図7に示すように、図7は、一実施形態に係る電池放電のアンダー電圧保護方法のフローチャートである。放電倍率が0.3Cで、前記電池23の温度値が-10℃で、第1電圧値が3.25Vで、予め設定された第1アンダー電圧閾値が2.8Vであるものとする。
【0091】
前記放電倍率の値が異なる場合には、前記第1アンダー電圧閾値の値もそれに応じて調整されるべきであると理解できる。
【0092】
前記電池放電のアンダー電圧保護方法は、以下のステップを含む。
【0093】
S71では、予め設定された温度区間と放電深さとの対応関係に基づいて、-10℃の温度値に対応する放電深さが80%であると確定する。
【0094】
本実施例では、予め設定された温度区間と放電深さとの対応関係から、-10℃~0℃の温度区間に対応する放電深さはいずれも80%である。
【0095】
S72では、予め設定された開回路電圧と残存容量比との対応関係に基づき、第1電圧値3.25Vに対応する第1残存容量比が30%であると確定する。
【0096】
本実施例では、開回路電圧と残存容量比との対応関係が正相関関係である。予め設定された開回路電圧と残存容量比との特性曲線に基づき、第1電圧値3.25Vに対応する第1残存容量比が30%であると確定できる。
【0097】
S73では、前記第1残存容量比30%に基づいて、第1放電容量比が70%であることを算出した。
【0098】
本実施例では、前記第1残存容量比と前記第1放電容量比との和は、100%である。
【0099】
S74では、前記放電深さ80%と前記第1放電容量比70%とに基づいて、前記電池23の-10℃の低温で損失される放電容量比が10%であることを算出した。
【0100】
前記電池23は低温での放電容量比が小さくなることが分かる。本実施例では、-10℃の低温における前記電池23の放電容量比は、10%減少した。
【0101】
S75では、80%の放電深さに基づいて、第2残存容量比が20%であることを算出した。
【0102】
本実施例では、前記放電深さと前記第2残存容量比との和は、100%である。
【0103】
S76では、予め設定された開回路電圧と残存容量比との対応関係に基づいて、20%の前記第2残存容量比に対応する第2電圧値が3.15Vであることを確定する。
【0104】
本実施例では、予め設定された開回路電圧と残存容量比との特性曲線から、20%の前記第2残存容量比に対応する第2電圧値が3.15Vであると判定できる。
【0105】
S77では、第1電圧値3.25V及び第2電圧値3.15Vに基づいて、前記電池23が-10℃の低温で発生する電圧値の変化量を0.1Vとして算出する。
【0106】
また、前記電池23が-10℃の低温で発生する電圧値の変化量0.1Vは、損失した10%の放電容量比に対応することが分かる。
【0107】
S78では、前記第1アンダー電圧閾値2.8Vと、前記電池23が-10℃の低温で発生する電圧値の変化量0.1Vとに基づいて、第2アンダー電圧閾値を2.7Vとして算出する。
【0108】
また、前記第1アンダー電圧閾値2.8Vを前記第2アンダー電圧閾値2.7Vに調節すると、前記電池23は放電を継続できる容量比が10%であり、前記電池23の-10℃の低温で損失した10%の放電容量比を補償できる。
【0109】
前記ステップS71~S78は、前記電池23が-10℃の低温で調整を必要とするアンダー電圧閾値を確定するための一実施形態の具体的なステップである。上記ステップS71~S78における各パラメータ値はそれぞれ例示的な値である。つまり、他のシナリオでは、予め設定された各パラメータ値が異なることに伴って、前記電池装置20で測定されたパラメータ値と、算出されたパラメータ値もそれに応じて異なる。他の実施形態では、動的に調整された後のアンダー電圧閾値を確定することは、具体的な応用シーンによって決められる。
【0110】
図8に示すように、図8は、前記電池23の異なる作動状態における開回路電圧の曲線である。前記動作状態は、静置状態、充電状態、及び放電状態を含む。前記電池23の充電状態での開回路電圧の曲線から、満充電電圧と充電オフ電圧を確定することができる。前記電池23の放電状態での開回路電圧の曲線から、第1アンダー電圧閾値Uまたは前記第2アンダー電圧閾値Uである放電遮断電圧を確定することができる。前記電池23の静置状態での開回路電圧の曲線からは、前記電池23が上記満充電電圧から完全放電時までの放電深さの変化が分かる。前記電池23の放電状態での開回路電圧の曲線からは、前記電池23が前記充電オフ電圧から前記放電遮断電圧までの放電深さの変化と、放電オフ後の電圧変化とが分かる。前記放電遮断電圧を低減することにより、前記電池23の放電深さはそれに応じて増大し、前記電池23の放電容量比もそれに応じて増大することが明らかになった。
【0111】
ある実施形態において、前記電池装置20は、異なる温度区間における前記第2アンダー電圧閾値Uを予め設定して、異なる温度区間において異なるアンダー電圧閾値を選択することにより、アンダー電圧閾値の動的調整を実現することができる。
【0112】
表2は、前記電池23の異なる温度区間におけるアンダー電圧閾値と放電容量比の状況を示している。まず、同じ温度(例えば25℃)の下で、同じ充電倍率(例えば0.3C)で前記電池23を充電する。次に、前記電池23の電圧が放電遮断電圧に達するまで、同じ放電倍率(例えば0.3C)及び異なる温度で前記電池23を放電する。温度区間を区画する。例えば、第1温度区間が15℃~45℃であり、第2温度区間が0℃~15℃であり、第3温度区間が-10℃~0℃であり、第4温度区間が-20℃~-10℃である。最後に、前記電池23の異なる温度区間と前記第1アンダー電圧閾値(例えば2.8V)との下の放電容量比、及び前記電池23の異なる温度区間と前記第2アンダー電圧閾値(例えば2.8V、2.4V、2.2V、2.1Vなど)との下の放電容量比を確定する。表2から明らかなように、0℃以下であれば、前記第1アンダー電圧閾値(即ち、予め設定されたアンダー電圧閾値)における前記電池23の放電容量比に対して、前記第2アンダー電圧閾値(即ち、動的に調整後のアンダー電圧閾値)における前記電池23の放電容量比が顕著に増大している。前記第1アンダー電圧閾値を前記第2アンダー電圧閾値に調整することによって、前記電池23の低温での放電性能を顕著に改善できることが表明される。例えば、-20℃~-10℃の前記第4温度区間において、前記第1アンダー電圧閾値(即ち、2.8V)を前記第2アンダー電圧閾値(即ち、2.1V)に調整した後、前記電池23の放電容量比が30%から70%に増大し、前記電池23の低温での放電性能が大きく改善される。
【0113】
【0114】
一実施形態において、ステップS34の後、前記電池放電のアンダー電圧保護方法は、さらに、以下のステップを含んでもよい。
【0115】
S35では、前記電池23の放電を遮断した後の第3電圧値Uと前記第2アンダー電圧閾値Uとに基づいて、前記電池23に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを判断する。
【0116】
前記電池装置20は、前記電池管理システムにより前記第3電圧値Uを採取可能であることが分かる。前記電池23が放電を遮断した後、次の2つの状況がある。
【0117】
(1)前記電池23の第3電圧値Uは、前記第2アンダー電圧閾値Uよりも大きい(即ち、U3>Ue)。即ち、前記第3電圧値U3は、放電遮断電圧(即ち、前記第2アンダー電圧閾値U)に達していない。このとき、前記電池23は放電を継続でき、勿論、前記電池23に対してアンダー電圧保護する必要もない。
【0118】
(2)前記電池23の第3電圧値U3は、前記第2アンダー電圧閾値Uと等しく(即ちU=U)、即ち、前記第3電圧値Uが前記放電遮断電圧(即ち、前記第2アンダー電圧閾値U)に達している。前記電池23が放電を継続すると、前記電池23の容量に不可逆的な損失が生じる可能性がある。このとき、前記電池23に対してアンダー電圧保護を行なう必要がある。
【0119】
以下、上記のステップS35について、具体的な応用シーンを介して述べる。
【0120】
前記電池23の温度値が-10℃であると仮定し、予め設定された第1アンダー電圧閾値2.8Vから、調整後の第2アンダー電圧閾値が2.2Vであると確定する。即ち、放電遮断電圧が2.2Vであると判断する。
【0121】
前記電池23が放電を遮断した後に、前記電池管理システムが収集した第3電圧値が2.3Vであるとき、第3電圧値2.3Vが放電遮断電圧2.2Vよりも大きく、前記電池23の電圧が放電遮断電圧2.2Vに達していないことを表明し、前記電池23は放電を継続することができる。即ち、前記電池23に対してアンダー電圧保護する必要がない。
【0122】
また、第3電圧値2.2Vは、前記電池管理システムが収集した第3電圧値が2.2Vのときに、放電遮断電圧2.2Vに等しく、前記電池23が放電を継続すると、前記電池23の容量が不可逆的に失われる可能性がある。このとき、前記電池23に対してアンダー電圧保護を行なう必要がある。
【0123】
前記電池23が放電を遮断した後、前記第3電圧値Uは動的に変化し、一定の時間を経たこそ、前記第3電圧値Uは安定していく。本実施例において、前記第3電圧値Uが安定していくとは、予め設定された期間において、前記第3電圧値Uの変化率が0に近づく傾向である。本実施例では、安定する傾向にある前記第3電圧値Uを第4電圧値Uと定義する。
【0124】
一実施形態において、前記電池23の放電を遮断した後の第4電圧値Uと前記第2アンダー電圧閾値Uとに応じて、前記電池23に対してアンダー電圧保護を行なうか否かを判断する。
【0125】
具体的には、前記第4電圧値Uが前記第2アンダー電圧閾値Uよりも大きければ(即ち、U>U)、前記電池23を継続的に放電させる。前記第4電圧値Uが前記第2アンダー電圧閾値Uよりも小さければ(即ち、U<U)、前記電池23に対してアンダー電圧保護を行なう。
【0126】
図9に示すように、図9は、前記電池23が放電を遮断してから異なる温度の下での開回路電圧の曲線である。ここで、S91は、0.3C放電倍率及び45℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S92は、0.3C放電倍率及び25℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S93は、0.3C放電倍率及び15℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S94は、0.3C放電倍率及び0℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S95は、0.3C放電倍率及び-10℃での電圧と放電容量比とのグラフである。S96は、0.3C放電倍率及び-20℃での電圧と放電容量比とのグラフである。曲線S93、S94、S95及びS96では、電圧が前記第2アンダー電圧閾値Uに到達した後、破線部分は電圧の反発傾向を示している。
【0127】
同じ放電倍率(例えば0.3C)及び異なる温度で前記電池23を放電させる。明らかなように、同じ放電倍率では、異なる温度値に対応する第2アンダー電圧閾値Uが異なる。温度が低くなるにつれて、前記第2アンダー電圧閾値Uは小さくなる。温度が変化すると、前記第2アンダー電圧閾値Ueを動的に調整する必要がある。
【0128】
一実施形態において、前記電池装置20は、前記電池管理システムにより、前記第2アンダー電圧閾値Uを自動的に調整することができる。例えば、温度値が-10℃から-20℃に低下すると、前記電池管理システムは、前記第2アンダー電圧閾値Uを2.2Vから2.1Vに調整する。
【0129】
以上、図面を参照して本願の実施例を詳細に説明したが、本願は上記実施例に限られるものではなく、本技術分野の一般の技術者が備える知識の範囲内で、本願の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。また、衝突しない場合、本願の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0130】
10 電気機器
11 負荷
20 電池装置
21 メモリ
22 プロセッサ
23 電池
24 センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9