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特許7574201アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法
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  • 特許-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 279/04 20060101AFI20241021BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20241021BHJP
   B01D 29/64 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
C08F279/04
B01D29/10 520C
B01D29/10 530Z
B01D29/38 550A
B01D29/10 510D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021547259
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 US2020018275
(87)【国際公開番号】W WO2020168180
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】19157070.4
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ヤングストローム,キャメロン ローヤル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,ジアンホア
(72)【発明者】
【氏名】ロウリー,ヴァーン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】マニカ,ドリュー プレンティス
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-039390(JP,A)
【文献】国際公開第2016/162290(WO,A1)
【文献】特開昭57-135018(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第10016011(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法であって、
石油化学物質のモノマーを含むモノマー流を反応器内に供給するステップ;
前記反応器内で、前記石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を生成し、前記重合物流を前記反応器から取り出すステップ;
前記重合物流をフィルターに通して、濾過された生成物流を生成するステップであって、前記フィルターは連続的に自己清浄するフィルターであり、該フィルターは、
内表面と、外表面と、1マイクロメートル~500マイクロメートルの直径を有する開口部とを含む本体であって、前記重合物流が前記開口部を介して前記内表面から前記外表面に通され、前記重合物流から微粒子状汚染物を除去する、本体;および
ある時間間隔で前記本体の内表面に接触する機械式スクラバー
を含む、ステップ;
前記濾過された生成物流を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成するステップ;ならびに
前記アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するステップであって、前記物品が、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである、ステップ;
を含む、方法。
【請求項2】
前記フィルターの本体が耐食性でかつ円柱状である、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記フィルターを通る前記重合物流の体積流量が、1秒当たり0.5立方メートル~1秒当たり1.5立方メートルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー流、前記重合物流、前記濾過された生成物流、前記アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、またはそれらの組み合わせを貯蔵容器に貯蔵するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルターが、ある時間間隔で開きかつ前記本体の端部に位置する機械式バルブをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記機械式スクラバー、前記機械式バルブ、またはそれらの組み合わせが、ソレノイド機構、バネ付勢機構、磁気駆動機構、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械式スクラバーの時間間隔が、0.5時間~2.5時間である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記機械式バルブの時間間隔が、1時間~5時間である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記開口部が、直径30マイクロメートル~70マイクロメートルである、請求項~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記石油化学物質のモノマーがブタジエンを含み、前記濾過された生成物流が、前記フィルターを通った後に、99重量%以上のポリブタジエンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記濾過された生成物流が、前記フィルターを通った後に、25重量百万分率以下の微粒子状汚染物質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微粒子状汚染物質が、架橋ゲル、凝集ゴム粒子、分解ゴム粒子、繊維性材料、凝固物、塵、錆、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含み、微粒子状汚染物質の粒子の直径が、ISO13320:2020に従って測定したときに、10マイクロメートル以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ある体積の前記濾過された生成物流をスクリーンに通して、二次濾過された生成物流を提供するステップをさらに含み、前記濾過された生成物流の体積が、5立方デシメートル~30立方デシメートルである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから形成される物品が、電子デバイス、自動車部品、またはそれらの組み合わせである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記物品が、目に見える表面欠陥を実質的に含まず、前記物品の表面が、約10マイクロメートル以下の平均表面粗さ値(Ra)を有し、前記平均表面粗さ値(Ra)が、ISO4287:1997に従って測定される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するためのシステムであって、
石油化学物質のモノマーを含むモノマー流;
反応器であって、該反応器内で、前記石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を形成する、反応器;
フィルターであって、該フィルターに前記重合物流を通して、濾過された生成物流を生成するフィルターであり、該フィルターは連続的に自己清浄するフィルターであり、
内表面と、外表面と、1マイクロメートル~500マイクロメートルの直径を有する開口部とを含む本体であって、前記重合物流が前記開口部を介して前記内表面から前記外表面に通され、前記重合物流から微粒子状汚染物を除去する、本体;および
ある時間間隔で前記本体の内表面に接触する機械式スクラバー
を含む、フィルター;
グラフトユニットであって、前記濾過された生成物流が、アクリロニトリルおよびスチレンを含む該グラフトユニットに通され、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成する、グラフトユニット;ならびに
押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせであって、ここで前記アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品が形成され、前記物品は、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである、押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせ;
を含む、システム。
【請求項17】
前記フィルターの本体が耐食性でかつ円柱状である、請求項16に記載のシステム
【請求項18】
前記フィルターが、ある時間間隔で開きかつ前記本体の端部に位置する機械式バルブをさらに含む、請求項16または17に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ゴムおよびラテックスは、石油化学物質のモノマーの重合を介して製造される。例えば、ポリブタジエンは、ブタジエンモノマーの重合から形成される合成ゴムポリマーである。ポリブタジエンは、高耐摩耗性および高電気抵抗を有する。ポリブタジエンは、タイヤの製造に使用することができ、プラスチック、例えば、ポリスチレンおよびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)の耐衝撃性を改善するための添加剤として使用することもできる。ポリブタジエンゴムは、2012年の合成ゴムの世界での総消費量のおよそ25%を占めている。ポリブタジエンは、ゴルフボール、弾性物体、および電子アセンブリのコーティングの製造にも使用することができる。
【0002】
特に、ABS共重合体樹脂は、電子機器、電化製品、事務用機器、および自動車部品に使用されるエンジニアリングサーモプラスチックである。多くのABS製造プロセスは、ブタジエンモノマーの乳化重合を含む。乳化重合プロセス中に、過架橋ポリブタジエンゲル、ゴム粒子凝集物、分解ゴム粒子、繊維性材料、凝固物、および他の汚染物が形成すると、最終的なABS製品に下流での欠陥が生じるおそれがある。これらの欠陥は、低汚染物質レベルを必要とする用途、例えば、フィルム、ラミネート加工、塗装、および電気めっきにおける製品品質を低下させる。
【0003】
特許文献1は、懸濁重合の微粒子状生成物を液体媒体および任意の副産物、未反応の出発物質、ならびに/または触媒から分離するためのシステムであって、液体懸濁媒体をスクリーン(複数可)および/またはフィルター(複数可)に通すシステムを含む。特許文献2は、ABSブレンド用のグラフト化ゴム粒子を含むラテックスを調製するためのプロセスを含み、該プロセスは、前記ラテックスを調製し、前記ラテックスの凝集粒子を含む多孔質濾床手段にそれを通すステップと、凝塊を除去するステップと、濾過されたラテックスを生成するステップと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第10016011号明細書
【文献】米国特許第4,064,093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、架橋ゲル、分解ゴム粒子、繊維性材料、凝固物、および他の凝集物の汚染物の低減をもたらす、改善されたゴムおよびラテックス製造プロセス、例えば、改善されたポリブタジエンおよびABS製造プロセスを発見することが望ましいであろう。そのようなプロセスが、汚損、腐食、および最終生成物の欠陥形成の低減ももたらすならば、さらに望ましいであろう。そのようなプロセスが、ブタジエン洗浄、ブタジエン蒸留、スチレン清浄、ならびに/または他の不活性および/もしくは遅延成分の清浄の必要性を低減することができれば、より一層有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な実施形態で開示するのは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法である。
【0007】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法であって、石油化学物質のモノマーを含むモノマー流を反応器内に供給するステップ;反応器内で、石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を生成し、重合物流を反応器から取り出すステップ;重合物流をフィルターに通して、濾過された生成物流を生成するステップであって、フィルターが連続的に自己清浄するフィルターである、ステップ;濾過された生成物流を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成するステップ;ならびにアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するステップであって、物品が、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである、ステップ;を含む、方法。
【0008】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するためのシステムであって、石油化学物質のモノマーを含むモノマー流;反応器(反応器内で、石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を形成する);フィルター(フィルターに重合物流を通して、濾過された生成物流を生成し、フィルターは、連続的に自己清浄するフィルターである);グラフトユニット(濾過された生成物流を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成する);ならびに押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせ(ここで、物品をアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから形成し、物品は、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである);を含む、システム。
【0009】
これらのおよび他の特徴および特性は、以降により具体的に記載する。
【0010】
以下は図面の簡単な説明であり、図中、類似する要素には類似する番号が付されている。これは、本明細書に開示する例示的な実施形態を図示する目的で提示されるものであり、それを限定する目的で提示されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法に使用されるユニットの構成を表す、簡略化した概略図である。
図2】アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法に使用されるフィルターの内部ビューを表す、簡略化した概略図である。
図3】アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法に使用されるフィルターの外部ビューを表す、簡略化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示する方法は、架橋ゲル、凝固物、および凝集物の汚染物を低減し、汚損および腐食を低減し、最終生成物の欠陥形成を低減し、ブタジエン洗浄、ブタジエン蒸留、スチレン清浄、ならびに/または他の不活性および/もしくは遅延成分の清浄の必要性を低減することができる。本明細書に開示する方法は、実質的に検出可能な量のゲルを有さない、例えば約25重量百万分率(ppm)未満のゲルを有する生成物を提供することができる。本明細書に開示する方法はまた、相当量のポリマーが架橋処理に曝されておらず、そのために荷重負荷時にポリマーの伸長を制限する傾向があり得る制約された分子運動性の問題を生じることがない生成物を提供することができる。
【0013】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するための本明細書に開示する方法は、石油化学物質のモノマーを含むモノマー流を反応器内に供給するステップを含み得る。例えば、本明細書に開示する方法およびフィルターは、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン、ニトリルゴム、ポリアクリレート、例えば、ポリメチルアクリレート、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせの製造に使用することができる。本明細書に開示する方法およびフィルターは、凝固物および/または凝集粒子の除去を含む任意のゴムまたはラテックス製造プロセスに使用することができる。例えば、石油化学物質のモノマーは、ブタジエンを含み得る。モノマー流中のブタジエンモノマーは、反応器内でエマルジョン混合物と接触して、ポリブタジエンを含む重合物流を生成することができる。例えば、重合反応は、反応器内で行うことができる。フリーラジカル重合によるポリマーの連続製造では、連続流通撹拌槽型反応器、塔型反応器、水平線形流通反応器(horizontal linear flow reactor)、管型反応器、およびスクリュー型反応器を含めた、異なるタイプの反応器が汎用される。
【0014】
反応器は、ガス分配器、還流液分配器、供給トレイ、パッキングトレイ、真空保温ジャケット、反応器の高さに沿って位置する内部熱電対、らせんプリズム状パッキング(spiral-prismatic packing)、自動流量制御、自動温度制御、自動圧力制御、自動レベル制御、自動組成制御、または前述の少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる。反応器は、コンピュータ制御されたポンプ/コンプレッサを含むことができる。これらのポンプは、反応器パラメータ、例えば、反応器に出入りする流れの流量を制御することができる。反応器および関連する流れは、熱交換器、例えば、比例-積分-微分(PID)制御された電子ヒータを使用して加熱することができる。
【0015】
撹拌槽型反応器は、溶媒またはモノマーを還流させるための塔頂凝縮器を備えた、撹拌されるジャケット付き圧力容器であり得る。撹拌槽以外の反応器は、撹拌槽と機能的に同等であり得る。例えば、ループ反応器は、溶液およびスラリー相の触媒オレフィン重合に使用することができる。ループ反応器では、撹拌槽内の撹拌器は、循環ポンプによって置き換えられる。ループ反応器は、ジャケット付きのパイプから構成することができ、直列に接続された幾つかの管部分を含むことができる。反応混合物の循環速度は極めて高いため、ループ反応器の動作(設計式)は、十分に撹拌される槽容器の動作によって近似することができる。
【0016】
固定層反応器は、触媒が反応器内に静置されたままであり、触媒粒子が、一般に垂直な円柱である容器内に配置され、反応物および生成物が静止層を通る反応器であり得る。固定層反応器では、触媒粒子は、固定された基準系に対して所定の場所に静止して保持することができる。固定層反応器は、とりわけ、断熱性単一層、熱交換流体に囲まれた多管、または内部熱交換を有する断熱性多層であってもよい。固定層反応器は、充填層反応器と呼ぶこともできる。固定層反応器は、気体固体接触をもたらすことができる。
【0017】
移動層触媒反応器では、重力によって、触媒粒子が互いの相対位置を維持しながら流動することが可能になる。層は、それを収容する反応器に対して移動し得る。向流反応物は、この層を通って並流で、向流で、または直交流で移動することができる。移動層によって、触媒粒子を連続的にまたは断続的に取り出すことが可能になるので、それらを反応器の外側で再生し、後で再導入することができる。移動層反応器は、少なくとも1つのトレイ、ならびに1つまたは複数の触媒層の支持手段を含んでもよい。支持手段は、気体に対して透過性であり、触媒粒子に対して不透過性であり得る。
【0018】
流動層反応器は、種々の多相化学反応を実行するために使用することができる。このタイプの反応器では、気体を十分に高い速度で触媒に通して固体を懸濁させ、それが流体であるかのように挙動させることができる。触媒粒子は、多孔板で支持することができる。気体は、多孔板を通して押出し、固体材料を通して上昇させることができる。気体の速度が低くなると、気体が材料中の空隙を通るときに、固体は所定の場所に留まり得る。気体の速度が増加すると、反応器は、固体に及ぼす流体の力が固体材料の重量とバランスを取るのに十分な段階に達することができ、この速度を上回ると、撹拌されている槽または沸騰している鍋の水とよく似て、反応器層の内容物は広がり、辺りを旋回し始めることができる。流動層反応器は、均一な粒子混合、均一な温度勾配、および反応器が連続状態で動作する能力をもたらすことができる。触媒は、反応生成物と共に反応域を離れることができ、再生された後で反応域に再循環されるように、そこから分離することができる。
【0019】
共役ジオレフィン、および任意選択的に共重合性オレフィンは、反応器内で重合させることができる。共役ジオレフィンモノマーの例として、ブタジエン-1,3,2-クロロブタジエン-1,3、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン、シクロブタジエン-1,3,2-フェニルブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン-1,3などが挙げられる。共重合性オレフィンモノマーの代表的な例として、アリールオレフィン、例えば、スチレン、ビニルナフチレン、アルファ-メチルスチレン、パラクロロスチレンなど;アルファ-メチレンカルボン酸ならびにそれらのエステル、アミド、およびニトリル、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルアミドなど;ならびにハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニリデン、臭化ビニルなどが挙げられる。
【0020】
反応器内の重合反応の温度は、0~50℃、好ましくは0~25℃、より好ましくは5~20℃、より好ましくは0~15℃であり得る。反応器内の圧力は、0キロパスカル~200キロパスカル、好ましくは50キロパスカル~150キロパスカル、より好ましくは75キロパスカル~125キロパスカルであり得る。
【0021】
エマルジョン混合物は、水、界面活性剤、および重合活性剤組成物を含むことができる。例えば、エマルジョン混合物は、スチレン、ブタジエン、脂肪酸石けん、ロジン酸石けん、電解質、キレート鉄錯体、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ter-ドデシルメルカプタン、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p-メタンヒドロペルオキシド、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含むことができる。
【0022】
重合された石油化学物質のモノマー、例えばポリブタジエンを含む重合物流は、反応器から取り出すことができ、次いでフィルターに通すことができる。フィルターを通る重合物流の体積流量は、1秒当たり0.1立方メートル~1秒当たり5立方メートル、例えば1秒当たり0.5立方メートル~1秒当たり1.5立方メートルであり得る。
【0023】
フィルターは、シェルおよび本体を含むことができる。例えば、本体は円柱状本体であり得る。シェルおよび本体は、耐食性材料、好ましくはステンレス鋼を含むことができる。本体は、内表面、外表面、および開口部を含むことができる。例えば、開口部はスリットであり得る。重合物流は、内表面から開口部を介して外表面に通って、微粒子状汚染物を重合物流から除去することができる。円柱状本体は、重合物流を開口部に通しながら望ましくない微粒子状汚染物を捕集し、それによって重合物流から微粒子状汚染物を除去することができる。例えば、具体的な汚染物質は、架橋ゲル、例えば架橋ポリブタジエンゲル、凝集ゴム粒子、分解ゴム粒子、繊維性材料、凝固物、塵、錆、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含み得る。開口部は、直径1マイクロメートル~500マイクロメートル、例えば、直径30マイクロメートル~70マイクロメートルであり得る。例えば、開口部は、直径40マイクロメートル~60マイクロメートル、好ましくは直径45マイクロメートル~55マイクロメートルであり得る。
【0024】
フィルターは、ある時間間隔で本体の内表面に接触する機械式スクラバーをさらに含むことができ、それによって、蓄積されたあらゆる微粒子状汚染物が本体から除去される。例えば、機械式スクラバーは、微粒子状汚染物を本体の内表面からこすり取り、微粒子状汚染物を本体の一端部に向けて押し下げることができる。機械式スクラバーの時間間隔は、0.5時間~2.5時間、好ましくは1時間~1.5時間であり得る。機械式スクラバーの移動を容易にするために、機械式スクラバーは、ソレノイド機構、バネ付勢機構、磁気駆動機構、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含むことができる。
【0025】
フィルターは、ある時間間隔で開き、本体の端部に位置する機械式バルブをさらに含むことができ、それによって微粒子状汚染物をフィルターから除去することを可能にする。機械式バルブの時間間隔は、機械式スクラバーの時間間隔より長くすることができ、それによって機械式バルブを介してフィルターから放出する前に微粒子状汚染物を蓄積することが可能になる。機械式バルブの時間間隔は、1時間~5時間、好ましくは3時間~4時間であり得る。機械式バルブの移動を容易にするために、機械式バルブは、ソレノイド機構、バネ付勢機構、磁気駆動機構、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含むことができる。本明細書に記載する機械式バルブおよび機械式スクラバーによって、フィルターが「自己清浄」し、目詰まりまたは保守することなく連続的に動作することが可能になる。
【0026】
濾過された生成物流は、フィルターを通った後に、99重量%以上の重合された石油化学物質のモノマーを含むことができる。例えば、濾過された生成物流は、フィルターを通った後に、99重量%以上のポリブタジエン、好ましくは99.9重量%以上のポリブタジエンを含むことができる。濾過された生成物流はまた、フィルターを通った後に、25ppm以下の微粒子状汚染物質、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、より好ましくは4ppm以下の微粒子状汚染物質を含むことができる。微粒子状汚染物質の粒子の直径は、10マイクロメートル以下、例えば5マイクロメートル以下、例えば1マイクロメートル以下であり得る。粒径は、例えばISO13320:2020に従う、任意の適切な方法によって、測定することができる。
【0027】
ある体積の濾過された生成物流は、フィルターを通った後に、さらにスクリーンに通すことができる。例えば、スクリーンは、メッシュスクリーンであり得る。スクリーンに通す濾過された生成物流の体積は、5立方デシメートル~30立方デシメートル、好ましくは10立方デシメートル~20立方デシメートル、より好ましくは14立方デシメートル~16立方デシメートル、より好ましくは15立方デシメートルであり得る。このプロセスによって、上流のフィルターの評価が可能になり得る。例えば、スクリーンによって捕集される微粒子状汚染物がより少なければ、上流のフィルターはよりよく機能している。スクリーンは、ステンレス鋼およびステンレス鋼中の開口部を含むことができ、ここで、開口部は、直径1マイクロメートル~500マイクロメートル、例えば直径40マイクロメートル~60マイクロメートル、好ましくは40マイクロメートル~50マイクロメートル、より好ましくは40マイクロメートル~45マイクロメートル、より好ましくは43マイクロメートルである。
【0028】
濾過された生成物流の一部分を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットにさらに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成することができる。アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから、押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせを介して物品をさらに形成することができ、例えば、物品は、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、物品は、電子デバイス、自動車部品、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0029】
物品はまた、目に見える表面欠陥(例えば、隆起、気泡、および塊)を実質的に含まない可能性がある。例えば、物品の表面は、スネレン視力表に従って20/20の視力を有する肉眼によって決定したときに、目に見える表面欠陥を有さない可能性がある。物品の表面は、約10マイクロメートル以下、例えば約1マイクロメートル以下、例えば約0.5マイクロメートル以下の平均表面粗さ値(Ra)を有することができる。平均表面粗さ値(Ra)は、任意の適切な方法、例えばISO4287:1997に従う方法によって測定することができる。
【0030】
モノマー流、重合物流、濾過された生成物流、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、またはそれらの組み合わせは、本明細書に記載する方法ステップのいずれかの間に貯蔵容器に貯蔵することができる。例えば、濾過された生成物流は、グラフトユニットに通す前に、ある期間貯蔵容器に貯蔵することができる。
【0031】
添付の図面を参照することによって、本明細書に開示する構成要素、プロセス、および装置のより完全な理解を得ることができる。これらの図面(本明細書では「図」とも呼ぶ)は、本開示の実証の利便性および容易さに基づいた概略図に過ぎず、したがってデバイスもしくはその構成要素の相対的なサイズおよび寸法を示すこと、ならびに/または例示的な実施形態の範囲を定義もしくは限定することを意図するものではない。以下の説明では分かり易くするために特定の用語を使用したが、これらの用語は、図面で示すために選択された実施形態の具体的な構造を指すことだけを意図しており、本開示の範囲を定義または限定することを意図するものではない。図面および以下の説明において、類似の数字表示は、類似の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0032】
ここで図1を参照すると、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するためのシステム10は、石油化学物質のモノマー、例えばブタジエンモノマーを含むモノマー流12を反応器14内に供給することを含むことができる。モノマー流12中の石油化学物質のモノマーは、反応器14内でエマルジョン混合物と接触して、重合された石油化学物質のモノマー、例えばポリブタジエンを含む重合物流16を生成することができる。エマルジョン混合物は、水、界面活性剤、および重合活性剤組成物を含むことができる。重合物流16は、反応器14から取り出すことができ、次いで重合物流16は、フィルター18を通って、濾過された生成物流20を生成することができる。濾過された生成物流20を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニット24にさらに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン26を生成することができる。システム10は、押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせ25をさらに含むことができ、ここで、物品27をアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン26から形成することができ、物品27は、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせであり得る。加えて、ある体積の濾過された生成物流20は、フィルター18を通った後にスクリーン22をさらに通って、二次濾過された生成物流23を生成することができる。
【0033】
図2および図3を参照すると、フィルター18は、シェル36および円柱状本体28を含むことができる。円柱状本体28は、内表面30、外表面32、および開口部34を含むことができる。重合物流16は、内表面30から開口部34を介して外表面32に通って、微粒子状汚染物40を重合物流16から除去することができる。開口部34は、直径1マイクロメートル~500マイクロメートル、例えば、直径30マイクロメートル~70マイクロメートルであり得る。フィルター18は、ある時間間隔で円柱状本体28の内表面30と接触する機械式スクラバー38をさらに含むことができ、それによって、円柱状本体28から微粒子状汚染物40が除去される。フィルター18は、ある時間間隔で開き、円柱状本体28の端部に位置する機械式バルブ42をさらに含むことができ、それによって微粒子状汚染物40をフィルター18から除去することを可能にする。
【0034】
以下の実施例は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するための本明細書に記載する方法およびシステムを例証するに過ぎず、本明細書の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0035】
図1図3に示す通りの、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するための本明細書に記載する方法およびシステムを使用して、実験を行った。
【0036】
実施例1
ポリブタジエンラテックス中の微粒子状汚染物レベルを評価した。ポリブタジエン生成物をフィルター(図2に示す通り)に通し、次いで微粒子状汚染物を評価する目的で様々なステンレス鋼のメッシュスクリーンに通した。ポリブタジエン生成物のサンプルサイズ、およびメッシュスクリーンの開口部のサイズは変動させた。ポリブタジエンサンプルは、漏斗の端部に置かれたメッシュスクリーンを通して排出した。各試験毎にステンレス鋼のスクリーンの質量、および微粒子状汚染物を有するスクリーンの質量を測定した。濾別された微粒子状汚染物、および試験したサンプルのバルク塊の重量に基づいて、汚染物レベルを算出した。結果を表1および表2に示す。
【0037】
サンプルサイズが15.1リットルであると、ポリブタジエン生成物中の汚染物のレベルが低いため、再現性が最も高いことが示された。メッシュの開口部のサイズが43マイクロメートルであると、微粒子状汚染物を濾別するのに最も有効であることが示された。
【表1】
【表2】
【0038】
実施例2
濾過および非濾過ポリブタジエンラテックスのサンプルを両方評価した。43マイクロメートルの開口部を有するステンレス鋼のメッシュスクリーンを通してサンプルを濾過した。汚染物レベルを表3に示す。示す通りに、濾過プロセスは、ポリブタジエンラテックスサンプル中の微粒子状汚染物質レベルを有意に低減した。
【表3】
【0039】
実施例3
自己清浄フィルターユニット(図2に示す通り)を、従来の静的バスケットフィルターと比較して評価した。フィルターユニットは、RPA Process Technologies(現在ではEaton Corporation)から購入したものであり、ステンレス鋼製であった。ポリブタジエンラテックス生成物を、フィルターの円柱状本体中の50マイクロメートルのステンレス鋼スリットを通してポンプで圧送した。静的バスケットフィルターの場合、ポリブタジエンがフィルターに目詰まりし、それによってフィルターは動作不能となった。
【0040】
自己清浄フィルターユニット(図2に示す通り)の場合、連続して運転したときに、驚くべきことに目詰まりが形成されず、フィルターは動作可能のままであることが見出された。微粒子状汚染物は、自己清浄フィルターによって成功裡に捕捉された。バネ付勢ディスクから構成される機械式スクラバーを、ある時間間隔で円柱状本体の内表面に沿って押し付け、それによって捕捉した汚染物を円柱状本体の底部に向けてこすり取った。定期的に、ソレノイド機構は、円柱状本体の底部に位置するパージ値を開き、汚染物を廃棄物容器内に排出した。フィルターによって、驚くべきことに、平均汚染レベルが60%低減することが示された。
【0041】
さらに、驚くべきことに、下流で形成されるアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの物品において、顧客が特定した欠陥(customer-identified defect)の組成分析によって決定したときに、95%を超える目に見える表面欠陥(例えば、隆起、気泡、および塊)の低減が達成された。物品は、目に見える表面欠陥を実質的に含まない可能性がある。物品の表面は、約10マイクロメートル以下、例えば約1マイクロメートル以下、例えば約0.5マイクロメートル以下の平均表面粗さ値(Ra)を有することができる。平均表面粗さ値(Ra)は、任意の適切な方法、例えばISO4287:1997に従う方法によって測定することができる。
【0042】
実証されたように、本明細書で開示する方法およびシステムは、架橋ゲル、凝固物、および凝集物の汚染物が低減した生成物、モノマー転換率の上昇、汚損、腐食性、および最終生成物の欠陥の低下、ならびに重合停止剤、モノマー再循環、ブタジエン洗浄、ブタジエン蒸留、スチレン清浄、および/または他の不活性および/もしくは遅延成分の清浄を採用する必要性の低減をもたらすことができる。本明細書に開示する方法は、実質的に検出可能な量のゲルを有さない、例えば25ppm未満のゲルを有する生成物を提供することができる。本明細書に開示する方法およびシステムは、相当量のポリマーが架橋処理に曝されておらず、そのために荷重負荷時にポリマーの伸長を制限する傾向があり得る制約された分子運動性の問題を生じることがない生成物を提供することができる。
【0043】
本明細書に開示する方法は、少なくとも以下の態様を含む:
【0044】
態様1:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成する方法であって、石油化学物質のモノマーを含むモノマー流を反応器内に供給するステップ;反応器内で、石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を生成し、重合物流を反応器から取り出すステップ;重合物流をフィルターに通して、濾過された生成物流を生成するステップであって、フィルターが連続的に自己清浄するフィルターである、ステップ;濾過された生成物流を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成するステップ;ならびにアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するステップであって、物品が、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである、ステップ;を含む、方法。
【0045】
態様2:フィルターを通る重合物流の体積流量が、1秒当たり0.5立方メートル~1秒当たり1.5立方メートルである、態様1に記載の方法。
【0046】
態様3:モノマー流、重合物流、濾過された生成物流、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、またはそれらの組み合わせを貯蔵容器に貯蔵するステップをさらに含む、態様1または2に記載の方法。
【0047】
態様4:フィルターが、内表面と、外表面と、1マイクロメートル~500マイクロメートルの直径を有する開口部と、を含む本体(好ましくは耐食性および円柱状である)であって、重合物流が、内表面から開口部を介して外表面に通って微粒子状汚染物を重合物流から除去する、本体;ある時間間隔で本体の内表面と接触する機械式スクラバー;ならびにある時間間隔で開き、本体の端部に位置する機械式バルブ;を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
態様5:機械式スクラバー、機械式バルブ、またはそれらの組み合わせが、ソレノイド機構、バネ付勢機構、磁気駆動機構、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含む、態様4に記載の方法。
【0049】
態様6:機械式スクラバーの時間間隔が、0.5時間~2.5時間、好ましくは1時間~1.5時間である、態様4または5に記載の方法。
【0050】
態様7:機械式バルブの時間間隔が、1時間~5時間、好ましくは3時間~4時間である、態様4~6のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
態様8:開口部が、直径30マイクロメートル~70マイクロメートル、好ましくは40マイクロメートル~60マイクロメートル、より好ましくは45マイクロメートル~55マイクロメートルである、態様4~7のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
態様9:石油化学物質のモノマーがブタジエンを含み、濾過された生成物流が、フィルターを通った後に、99重量%以上のポリブタジエン、好ましくは99.9重量%以上のポリブタジエンを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
態様10:濾過された生成物流が、フィルターを通った後に、25重量百万分率以下の微粒子状汚染物質、好ましくは10重量百万分率以下、より好ましくは5重量百万分率以下、より好ましくは4重量百万分率以下の微粒子状汚染物質を含む、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
態様11:微粒子状汚染物質が、架橋ゲル、凝集ゴム粒子、分解ゴム粒子、繊維性材料、凝固物、塵、錆、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含み、微粒子状汚染物質の粒子の直径が、ISO13320:2020に従ってに従って測定したときに、10マイクロメートル以下、好ましくは5マイクロメートル以下、好ましくは1マイクロメートル以下である、態様10に記載の方法。
【0055】
態様12:ある体積の濾過された生成物流をスクリーンに通して、二次濾過された生成物流を提供するステップをさらに含み、濾過された生成物流の体積が、5立方デシメートル~30立方デシメートル、好ましくは10立方デシメートル~20立方デシメートル、より好ましくは14立方デシメートル~16立方デシメートルである、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
態様13:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから形成される物品が、電子デバイス、自動車部品、またはそれらの組み合わせである、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
態様14:物品が、目に見える表面欠陥を実質的に含まず、物品の表面が、約10マイクロメートル以下、好ましくは約1マイクロメートル以下、好ましくは約0.5マイクロメートル以下の平均表面粗さ値(Ra)を有し、平均表面粗さ値(Ra)が、ISO4287:1997に従って測定される、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
態様15:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから物品を形成するためのシステムであって、石油化学物質のモノマーを含むモノマー流;反応器(反応器内で、石油化学物質のモノマーを重合活性剤と接触させて、ゴム、ラテックス、またはそれらの組み合わせを含む重合物流を形成する);フィルター(フィルターに重合物流を通して、濾過された生成物流を生成し、フィルターは、連続的に自己清浄するフィルターである);グラフトユニット(濾過された生成物流を、アクリロニトリルおよびスチレンを含むグラフトユニットに通して、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを生成する);ならびに押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせ(ここで、物品をアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンから形成し、物品は、押出シート、成形部品、またはそれらの組み合わせである);を含む、システム。
【0059】
一般に本発明は、代替的に、本明細書に開示される任意の適正な成分を含むか、それらからなるか、あるいはそれらから本質的になり得る。本発明は、従来技術の組成物に使用されている任意の成分、材料、構成成分、アジュバント、もしくは種、または他に本発明の機能および/もしくは目的の達成に必要ないそうしたものを含まないように、または実質的に含まないように、追加的にまたは代替的に製剤化されてもよい。同じ成分または特性を対象とするすべての範囲の端点は、包含されており、独立に組み合わせ可能である(例えば、「25wt%以下、または5wt%~20wt%」という範囲には、「5wt%~25wt%」という範囲の端点およびすべての中間値が包含される、など)。広い範囲に追加される、より狭い範囲またはより具体的な群の開示は、広い方の範囲または大きい方の群を否認するものではない。「組み合わせ」には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。さらに、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では、任意の順序、分量、または重要性を示すのではなく、ある要素を別の要素と分けて示すために使用される。本明細書の「ある(a)」および「ある(an)」および「該(the)」という用語は、分量の限定を示すものではなく、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。「または」は、「および/または」を意味する。「(複数可)」という接尾辞は、本明細書で使用する場合、それが修飾する用語の単数形と複数形を両方含み、それによってその用語の1つまたは複数を含むことを意図している(例えば、フィルム(複数可)は、1つまたは複数のフィルムを含む)。本明細書全体を通して、「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれており、他の様態に存在する場合も、存在しない場合もあることを意味している。加えて、記載される要素は、様々な実施形態において任意の適切な方式で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0060】
分量に関して使用される「約」という修飾語は、述べられた値を包含し、文脈によって指示される意味を有する(例えば、特定の分量の測定に付随する程度の誤差を含む)。「±10%」という表記は、示された測定値が、述べられた値のマイナス10%である量からプラス10%である量までであり得ることを意味している。「前面」、「背面」、「底部」、および/または「頂部」という用語は、特に断りのない限り、本明細書では説明の便宜のために使用されるに過ぎず、いかなる1つの位置または空間的定位にも限定するものではない。「任意選択的」または「任意選択的に」とは、続いて記載される事象または状況が起きることも起きないこともあり、その記載には、該事象が起きる場合と起きない場合とが含まれることを意味している。別段の定義がない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。「組み合わせ」には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。
【0061】
引用したすべての特許、特許出願、および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。しかしながら、本出願における用語が、組み込まれた参考文献における用語と矛盾するかまたは相反する場合、本出願からの用語が、組み込まれた参考文献からの相反する用語よりも優先されるものとする。
【0062】
特定の実施形態を記載してきたが、現在予想されていないまたは予想できない代替、修正、変更、改善、および実質的等価物が出願人または他の当業者に想起されることもある。したがって、出願されたときの、および補正された場合の添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような代替、修正変更、改善、および実質的等価物を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10 システム
12 モノマー流
14 反応器
16 重合物流
18 フィルター
20 濾過された生成物流
22 スクリーン
24 グラフトユニット
25 押出ユニット、成形ユニット、またはそれらの組み合わせ
26 アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン
27 物品
38 機械式スクラバー
40 微粒子状汚染物
42 機械式バルブ

図1
図2
図3